JP5744232B2 - レーザ光源装置及び映像表示装置 - Google Patents
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Description
映像表示装置がレーザ光を光源として用いる場合、レーザ光は可干渉性(コヒーレンシー)が高いため、干渉による光強度の明暗のムラ(スペックル)を生じる。
このような明暗のムラは、1本のレーザ光が光学素子によって分割された後に重畳された場合や、レーザ光が光学素子の表面の微小な凹凸又は内部の欠陥などによって散乱された場合などに、レーザ光が互いに干渉することでスクリーン上に生じる。
可干渉性の高いレーザ光を用いると、スペックルによる光強度のムラが目視によって明確に認識できるほどに大きくなり、画質が大幅に劣化する。
図6は特許文献1に開示されている映像表示装置を示す構成図である。
この映像表示装置では、均一な照度分布の光束を出力するレーザ光源装置を搭載しており、このレーザ光源装置は、レーザ光を出射する複数の発光点を有するレーザ光源101と、レーザ光源101における複数の発光点から出射されたレーザ光を集光する集光レンズ102と、集光レンズ102によるレーザ光の集光点付近に配置され、レーザ光の発散角を広げるホログラムを有する拡散素子103とから構成されている。
また、高出力が可能なアレイ型半導体レーザや平面導波路型レーザを使用する場合、直交する2方向でビーム品質が異なり、品質の悪い方のビームが光学系のNAと一致するように光学系が設計される。このため、レーザ光源の光が光軸の中心付近に集中して、均一な角度・空間分布を得ることが困難であるなどの課題があった。
また、この発明は、光学系での光の損失を抑制しながら、均一な強度分布の光束を出力することができるレーザ光源装置を得ることを目的とする。
さらに、この発明は、上記レーザ光源装置を適用することができる映像表示装置を得ることを目的とする。
図1はこの発明の実施の形態1によるレーザ光源装置を示す上面図(図中、y軸方向からの俯瞰図)であり、図2はこの発明の実施の形態1によるレーザ光源装置を示す側面図(図中、x軸方向からの俯瞰図)である。
図1及び図2において、レーザ光源1は直交する2方向で広がり角が異なるレーザ光を出射する光源である。
なお、レーザ光源1としては、例えば、マルチモード半導体レーザ、アレイ型半導体レーザ、波長変換型固体レーザや平面導波路型レーザなど、照明用に用いられる一般的なレーザ光源を使用することが可能である。
導光手段3は集光レンズ2により集光されたレーザ光を伝播させて出射する部材であり、導光手段3として、例えば、マルチモード光ファイバやインテグレータロッドが用いられる。
なお、導光手段3の入射端面には、集光レンズ2により集光されたレーザ光のうち、集光角度が小さい方向の光が垂直以外の角度で入射される。
レーザ光源1として、例えば、マルチモード半導体レーザを用いる場合、直交する2方向のうち、x軸方向にマルチモードの発振方向をとると、y軸方向には低次モードの発振が得られるため、x軸方向のビーム品質は悪くなるが、y軸方向のビーム品質は良くなり、直交する2方向でビーム品質が異なる。
また、レーザ光源1として、アレイ型半導体レーザを用いる場合、x軸方向にアレイ方向をとると、同様に、x軸方向のビーム品質は悪くなるが、y軸方向のビーム品質は良くなり、直交する2方向でビーム品質が異なる。
また、レーザ光源1としては、平面導波路型レーザを用いる場合、導波路構造を有する方向をx軸方向にとり、平面方向(空間伝播方向)をy軸方向にすると、同様に、x軸方向のビーム品質は悪くなるが、y軸方向のビーム品質は良くなり、直交する2方向でビーム品質が異なる。
以下、レーザ光源1がマルチモード半導体レーザであるとして、レーザ光の集光と入射の方法について説明する。
この場合、x軸方向に関して、エミッタ幅は一般的に数百μm〜数mmであり、レーザ光源1の出射光の発散角は一般的に(全角)10°未満程度である。
また、x軸方向に関しては、マルチモード発振のため、ビーム品質は悪い。このため、集光レンズ2により集光されるx軸方向の集光半角θ2は、集光NAが大きく、導光手段3の許容入射角θFの大半を満たしている。
このため、集光レンズ2を構成している複数のレンズの中で、レーザ光源1の直後に配置されるシリンドリカルレンズによってレーザ光のコリメート化が行われる。
また、y軸方向に関しては、シングルモード発振のため、ビーム品質が良く、集光NAが小さくなるので、y方向の集光半角θ1が小さくなる。
そのため、y軸方向に関して、レーザ光源1の発光点の中心軸、または、集光レンズ2のシリンドリカルレンズの中心軸を、導光手段3の中心軸上と異なる位置とすることで、y軸方向のレーザ光を導光手段3の集光半角内の角度で傾けて入射することができる。
図3はy軸方向のレーザ光を導光手段3の集光半角内の角度で傾けて入射した場合と、レーザ光を導光手段3の入射端面に垂直(導光手段3のz軸方向の中心軸に平行)に入射した場合での導光手段3の入射端面のレーザ光の強度と入射角度の関係(以降、「光の角度強度分布」と称する)を示す説明図である。ただし、導光手段3のz軸方向の中心軸と平行な方向を0°としている。
よって、レーザ光が導光手段3の入射端面に垂直に入射される場合、y軸方向に関しては、均一な分布を得ることが困難である。
また、導光手段3内では、入射時の角度強度分布が保たれて光が伝播されるため、導光手段3の出射端面での角度強度分布も、中心付近の強度が強くなる。
よって、レーザ光が導光手段3の入射端面に垂直に入射される場合、レーザ光源装置の出射光のy軸方向の角度強度分布が中心付近に集中し、均一な照明が困難である。
上述したように、導光手段3内では、入射時の角度強度分布が保たれて光が伝播されるため、導光手段3の出射端面での角度強度分布も、出射角の大きい光線の強度が増加する。
このように、y軸方向のレーザ光が垂直以外の角度で傾けて入射される場合、出射角の大きい光線の強度が増加するため、光学系での光の損失を抑制しつつ、照明の均一性を高めることができる。
レーザ光が導光手段3の入射端面に垂直に入射される場合、ビーム品質の良い方向(図中、y軸方向)のレーザ光の角度強度分布は、中心付近に光が集中するため、スペックルの発生が顕著である。
一方、y軸方向のレーザ光が垂直以外の角度で傾けて入射される場合、垂直に入射される場合と比べて、出射角の大きい光線の強度が増加するため、異なる入射角度でスクリーン(図5を参照)に入射するレーザ光が発生させるスペックルパターンが異なる。そのため、スペックルパターンが互いに打ち消し合ってスペックルが低減される。
よって、角度強度分布の均一性が良いほど、スペックルを低減することが可能である。
導光手段3として、例えば、マルチモード光ファイバが用いられる場合、集光レンズ2により集光されて、マルチモード光ファイバ内に入射されたレーザ光は、全反射を繰り返しながら、マルチモード光ファイバ内を伝播する。
ただし、一般的には、光ファイバは、任意に曲げられて設置されることが多い。曲げられた光ファイバ内を光が伝播する場合、光ファイバの内面の全反射面が平面ではないため、入射時と出射時において、角度強度分布が完全には保存されない。
しかし、マルチモード光ファイバは径が太いため、曲げによる角度強度分布の変化が必ずしも大きくない。このため、マルチモード光ファイバが任意に曲げられて設置される場合でも、マルチモード光ファイバから出射されたレーザ光の角度強度分布は、入射時の角度強度分布をほぼ保存する。
よって、導光手段3として、マルチモード光ファイバが用いられる場合、角度強度分布の均一性が高い照明用のレーザ光源が得られる。
また、レーザ光を光ファイバで伝播させる場合、レーザ光の波面が乱されるため、さらにスペックルの低減効果を高めることができる。
よって、導光手段3として、インテグレータロッドが用いられる場合、入射時と出射時において、角度強度分布が保存されるが、ロッドレンズの出口では、照度分布が均一になる効果が得られるため、さらに照明の均一性を高めることができる。
また、ロッドレンズの出口における照度分布の均一化効果により、さらにスペックル低減効果を高めることができる。
上記実施の形態1では、y軸方向に関して、レーザ光源1の発光点の中心軸、または、集光レンズ2のシリンドリカルレンズの中心軸を、導光手段3の中心軸上と異なる位置とすることで、y軸方向のレーザ光を導光手段3の集光半角内の角度で傾けて入射するものを示したが、y軸方向のレーザ光を導光手段3の集光半角よりも大きな角度で傾けて入射するようにしてもよい。
導光手段3として、インテグレータロッドが用いられる場合、インテグレータロッドの入射端面に対するレーザ光の入射角度がθ1以上であるとすると、インテグレータロッド内でレーザ光が全反射を繰り返すうちに、出射角度の大きい成分が増加し、インテグレータロッドの出射端面での角度強度分布が、図4に示すように、出射角の大きい光線の強度が増える分布となる。
この実施の形態2では、入射角度の大きな成分の光量を増やすことができるため、上記実施の形態1よりも更に、スペックルの低減効果を高めることができる。
上述したように、光ファイバは伝播過程において、角度強度分布を保存するため、マルチモード光ファイバの出射端面での角度分布は、図4に示すように、出射角の大きい光線の強度が増える分布となる。
また、レーザ光を光ファイバで伝播させる場合においては、レーザ光の波面が乱されるため、更にスペックル低減効果を高めることができる。
この場合においても、照明用光源の角度分布均一化効果およびスペックル低減効果は上記実施の形態1の場合と同様に得られることは明らかである。
この実施の形態2において、上記以外の効果は、上記実施の形態1の場合と同じである。
図5はこの発明の実施の形態3による映像表示装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
リレーレンズ系4はレーザ光源装置の導光手段3から出射されたレーザ光を通過させて、そのレーザ光をライトバルブ5に照射する照明光学系である。
ライトバルブ5は入力される映像信号に応じて、リレーレンズ系4により照射されたレーザ光を空間的に変調する映像表示素子である。
投写レンズ6はライトバルブ5により変調されたレーザ光をスクリーン7に投写する投写光学系である。
また、リレーレンズ系4、ライトバルブ5、投写レンズ6及びスクリーン7の構成及び配置は、図5の例に限るものではない。
なお、映像表示装置が、背面投写型の映像表示装置である場合には、スクリーン7も映像表示装置の構成要素となる。
よって、この実施の形態3の映像表示装置として、上記実施の形態1のレーザ光源装置を用いる場合よりも、上記実施の形態2のレーザ光源装置を用いる場合の方が、更にスペックルの低減効果を高めることができる。
Claims (6)
- 出射されるレーザ光が、直交する2方向で広がり角が異なるレーザ光であるレーザ光源と、
上記レーザ光源から出射されたレーザ光を集光する集光レンズと、
上記集光レンズにより集光されたレーザ光を伝播させて出射する導光手段とを備え、
上記集光レンズにより集光されたレーザ光のうち、集光角度が小さい方向の光が、上記導光手段の入射端面に対して、垂直以外の角度で入射されることを特徴とするレーザ光源装置。 - 上記集光レンズにより集光されたレーザ光が、上記導光手段の入射端面に対して、上記導光手段の集光半角よりも大きな角度で入射されることを特徴とする請求項1記載のレーザ光源装置。
- 上記集光レンズにより集光されたレーザ光のうち、集光角度が小さい方向の光が、上記導光手段の入射端面に対して、上記導光手段の集光半角よりも大きな角度で入射されることを特徴とする請求項1記載のレーザ光源装置。
- 上記導光手段として、インテグレータロッドを用いていることを特徴とする請求項1記載のレーザ光源装置。
- 上記導光手段として、マルチモード光ファイバを用いていることを特徴とする請求項1記載のレーザ光源装置。
- 請求項1記載のレーザ光源装置と、
上記レーザ光源装置の上記導光手段から出射されたレーザ光を照射する照明光学系と、
入力される映像信号に応じて、上記照明光学系により照射されたレーザ光を空間的に変調する映像表示素子と、
上記映像表示素子により変調されたレーザ光をスクリーンに投写する投写光学系と
を備えた映像表示装置。
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