JP5743205B2 - ボイラ施設建設工法 - Google Patents

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Description

本発明は、大型のボイラおよびその建屋の建設に係り、特に建屋に吊下げ状態で据え付けられる発電設備に用いるボイラを建屋に据え付けるまでの建設工期を短縮することに好適なボイラ施設の建設工法に関する。
火力発電所施設などに採用されるボイラは大型であり、加熱により膨張が生ずることから、施設建屋の天端部分に設けられる大梁と称される構造物に吊下げられる構成が採られている。こうした構造のボイラの建設をするにあたっては、作業の安全性の向上と工期の短縮化が課題とされてきた。
ボイラを備えた火力発電所施設は、概略的には、建屋の側壁を構成すると共に配管設備などが備えられたサイドスパン鉄骨と、対を成すサイドスパン鉄骨の上部に掛け渡される大梁と、この大梁に吊下されるボイラ本体とを有する。
このような構成の火力発電所施設は従来、図7に示すような工程で建設されてきた。すなわち、サイドスパン鉄骨の四方に設けられる主柱を1節分組み立てた後、組み立てた節の主柱、サイドスパン鉄骨に収まるフロアユニットおよび配管類の据え付けを行う。こうした作業を必要とされる節の数だけ繰り返し、サイドスパン鉄骨を完成させる(ステップ1〜5)。次に、サイドスパン鉄骨間に張り渡す大梁を、サイドスパン鉄骨の上部に吊り上げて固定する(ステップ6)。その後、大梁を基準としてボイラの引き上げを行う。ここで、ボイラは、複数(図7に示す例では3つ)のユニットに分割されており、上部側のユニットを引き上げながら下部側のユニットの係合を順次行うことで、ボイラの吊下げと据え付けを並行して行うことができる(ステップ7〜9)。このような工程で火力発電所施設を組み立てることは、例えば特許文献1に開示されている。
また、このような構成の火力発電所施設の建設工期を短縮するための工法が、特許文献2に開示されている。特許文献2に開示されている工法は、まず、サイドスパン鉄骨を構成する4本の主柱を立設する。その後、フロアユニットや配管等が組み込まれたフロアモジュールを主柱間に配置する。ここで、各フロアモジュールは、予め工場で組み立てられた上で搬入され、主柱の上部に配置されたジャッキによって所定位置まで吊り上げて据え付けられる。なお、主柱間には、サイドスパン鉄骨の倒れ込みを防止する連結材が設けられている。
次に、主柱の上部に備えられたジャッキを用いてボイラモジュールの吊り上げを行う。特許文献2に開示されているボイラモジュールは、セパレートタイプのモジュールであり、ボイラを吊下するための大梁と、ボイラ上部ユニットとを含む上部モジュールと、ボイラ下部ユニットを含む下部モジュールから成る。ここで、上部モジュール、下部モジュールはそれぞれ工場で組み立てられた上で搬入される。
特許第2927320号公報 特開2002−213707号公報
火力発電所施設の建設にあたっては、ボイラの据付状態を基準として連結部材や配管類の接続が成される。このため、ボイラ据付までの工期を短縮することができれば、建設工期全体の短縮を図ることができると考えられる。
そこで本発明では、大型ボイラおよびその建屋の建設に関し、ボイラを据え付けるまでの工期を短縮することのできるボイラ施設建設工法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係るボイラ施設建設工法は、ボイラ建屋の四方に位置し、複数の支柱により構成される主柱と、4本の前記主柱のうちの2本を連結してサイドスパン鉄骨を構成するガーター梁、及び前記サイドスパン鉄骨を連結する缶前鉄骨を据え付ける主柱据付工程と、前記主柱据付工程の後に、前記主柱上部に備えられた複数のジャッキ装置により、前記主柱間に大梁を吊上げて固定する大梁据付工程と、前記大梁据付工程の後に、前記大梁に備えた複数のジャッキ装置を介してボイラ本体を吊上げて固定するボイラ据付工程と、前記大梁据付工程と前記ボイラ据付工程と並行して、前記主柱上部に備えられた複数のジャッキ装置により、前記主柱の各フロアを構成するフロアユニットを吊上げて固定するフロアユニット据付工程と、を有することを特徴とする。
また、上記のような特徴を有するボイラ施設建設工法において前記フロアユニット据付工程は、前記ジャッキ装置のロッドと最上部に配置されるフロアユニットを接続してジャッキアップする工程を経た後、ジャッキアップされたフロアユニットの下階に配置されるフロアユニットをジャッキアップされたフロアユニットの下側に仮吊材により接続してジャッキアップする工程を繰り返すことで各フロアユニットを据付対象とするフロアにまでジャッキアップして据付を行うようにすると良い。このような工法を採ることにより、フロアユニット据付に際してジャッキ装置によるジャッキアップ回数を減らすことができる。また、下階のフロアユニットを吊り上げるためにジャッキ装置自体を移設する等の必要性が無い。
また、上記のような特徴を有するボイラ施設建設工法において前記フロアユニット据付工程は、前記ボイラ据付工程完了前に完了すると良い。このようなタイミングでフロアユニット据付工程を終えることで、ボイラ据付工程が完了した際には、全ての工程が終了することとなり、並行して行った工程の工期分だけ建設工事全体の工期を短縮することができることとなる。
また、上記のような特徴を有するボイラ施設建設工法において前記フロアユニット据付工程と平行して、前記缶前鉄骨と対向して前記サイドスパン鉄骨を連結する缶後鉄骨の据え付けも行うようにすると良い。このようにすることで、比較的重量の重い大梁などの吊上げの際、サイドスパン鉄骨が内側へ倒れ込むことを防止することができる。
また、上記のような特徴を有するボイラ施設建設工法において前記大梁据付工程と前記ボイラ据付工程、および前記フロアユニット据付工程に用いるジャッキ装置は、その一部または全部を各工程にて相互利用すると良い。このような手段を採ることで、不使用のジャッキ装置や、使用を予定するジャッキ装置を建屋上部と地上との間で逐次昇降させる必要が無くなる。このため、ジャッキ装置の昇降、設置に要する時間を短縮することができる。
また、各工程にて相互利用する前記ジャッキ装置は、各工程においての使用が終了した後、他の工程実施中に移動が成されるようにすると良い。このようにすることで、ジャッキ装置の移動のためだけに要する時間を無くすことができ、各工程に要する時間の短縮を図ることができる。
また、上記のような特徴を有するボイラ施設建設工法では、前記大梁据付工程と、前記ボイラ据付工程、および前記フロアユニット据付工程に用いる前記ジャッキ装置のロッドは、サイズを共通として相互利用することが望ましい。このような手段を採ることにより、ロッドの管理が容易になると共に、ロッドの相互利用により不使用ロッドの数が減り、使用ロッドの総数を減らすことができる。
さらに、上記のような特徴を有するボイラ施設建設工法では、前記主柱据付工程には外部クレーンを用い、前記主柱据付工程終了後に前記外部クレーンを撤去し、大梁据付工程、ボイラ据付工程、およびフロアユニット据付工程は、ジャッキ装置を用いて行うようにすることが望ましい。このようにして工事を進めることで、従来に比べて外部クレーンを使用する期間を短くすることができる。このため、外部クレーンを使用するために必要とされる工費を抑制することができ、工事全体の工費も抑えることができる。
上記のようなボイラ施設建設工法によれば、大型ボイラおよびその建屋の建設にあたり、ボイラ本体を据え付けるまでの工期を短縮することができる。このため、ボイラ施設建設全体の工期も短縮することが可能となる。
実施形態に係る工法により建設するボイラ施設の一例を示す正面図である。 実施形態に係る工法により建設するボイラ施設の一例を示す側面図である。 実施形態に係るボイラ施設の建設工法における各工程を説明するための図であり、(A)は正面構成、(B)は平面構成を示す。 実施形態におけるフロアユニット据付工程の具体的な実施例を示す斜視図である。 従来の工法による建設工程を示すフローと、実施形態に係る建設工程を示すフローとの比較図である。 実施形態に係るボイラ施設建設工法を実施するにあたり使用するジャッキシステムの概略構成を示す図である。 従来のボイラ施設の建設工法における各工程を説明するための図である。
以下、本発明のボイラ施設建設工法に係る実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
まず、図1、および図2を参照して、本実施形態において建設するボイラ施設の一例の概略構成について説明する。なお、図1はボイラ施設の正面構成を示す図であり、図2は同ボイラ施設の側面構成を示す図である。
ボイラ施設10は、ボイラ建屋12とこの建屋内に据え付けられるボイラ本体30とを有する。ボイラ建屋12は、側壁を構成すると共に図示しない配管類等の据付を行うサイドスパン鉄骨20と、このサイドスパン鉄骨20の倒れ込みを防止する缶前鉄骨16、缶後鉄骨15(図3(B)参照)、大梁22、および藤棚鉄骨24等を有する。サイドスパン鉄骨20は、建屋の四方に据え付けられる4本の主柱14と、この4本の主柱14のうちのそれぞれ2本を連結して側壁を構成するガーター梁18を有する。なお、主柱14は、4本の支柱13により構成される。そして、サイドスパン鉄骨20は複数の階層に区分けされており、各階層毎に、フロアユニット14aや図示しない配管類が据え付けられている。
缶前鉄骨16は、対を成すサイドスパン鉄骨20間であって、ボイラ建屋12の前面壁を構成するように設けられる梁である。缶前鉄骨16はサイドスパン鉄骨20に、大梁等の重量物を吊上げる際、サイドスパン鉄骨20が内側(互いに向かい合う側)へ倒れ込むことを防止する役割を担う。缶後鉄骨15は、前述した缶前鉄骨16と対向してボイラ建屋12の後面壁を構成するように設けられる梁である。
大梁22は、サイドスパン鉄骨20を構成する主柱14の上端に設けられた仕口21に接続され、対を成すサイドスパン鉄骨20の上端に架け渡すように設けられる梁である。なお、図3(A)に示すように、仕口21と大梁22との接続面は特許第3389839号の工法を使用するため傾斜面としている。大梁22の下部側には、藤棚鉄骨24と呼ばれる複数の小梁がボイラ建屋12の前後方向に張り渡されている。詳細を後述するボイラ本体30は、この大梁22を基準とした藤棚鉄骨24の下に吊下されることとなる。
ボイラ本体30は、大梁22を基準として据え付けられた藤棚鉄骨24に吊下されている。実施形態に係るボイラ本体30は、複数のユニットから構成されている。なお、図1〜図3に示す例では、説明を簡単化するために、3つのユニット(上部ユニット32、中間部ユニット34、および下部ユニット36)として示している。
以下、このような基本構成を有するボイラ施設10を建設するための工法について、図3を参照して説明する。なお、図3において、図3(A)は正面構成を示す図であり、図3(B)は上面構成を示す図である。
まず、複数の階層(節図3に示す例では4節)から構成される主柱14の第1節目、第2節目の据え付けを行う。第2節目の主柱14の据え付けの際、第1節目の主柱14間にガーター梁18、および缶前鉄骨16を据え付ける。主柱14の据付作業とガーター梁18、缶前鉄骨16、および缶後鉄骨15の据付作業は、ボイラ建屋建設地の周囲に配備する外部クレーン(不図示)によって行う(ステップ1)。
次に主柱14の第3節目、第4節目の据え付けを行う。ここで、第3節目の据え付けの際には、第2節目の主柱14間にガーター梁18、および缶前鉄骨16を据え付け、第4節目の据え付けの際には第3節目の主柱14間にガーター梁18、および缶前鉄骨16を据え付ける(ステップ2)。なお、主柱14の第4節目の据付完了後には、第4節目の主柱14間にガーター梁18と缶前鉄骨16を据え付ける。
そして、主柱の上端には、大梁22を固定するための基台となる仕口21が取り付けられると共に、大梁22やフロアユニット14aを吊上げるためのジャッキ装置40が、主柱14の上端部へと吊り上げられる。ジャッキ装置40の吊り上げが終了した後、フロアユニット14aの吊り上げ、据付を開始する(ステップ3:フロアユニット据付工程)。フロアユニット据付工程は図4に示すように、上階に配置されるフロアユニット14aに対して下階に配置されるフロアユニット14aを順次連結させた状態で吊り上げが行われる。具体的には、最上部(最上階に配置されるフロアユニット14aに対して、主柱14の上部に配置されたジャッキ装置40のロッド40aを接続し、これをジャッキアップする。最上階に配置されるフロアユニット14aを所定高さ(例えば階層間高さ)まで吊り上げた後、最上部に配置されるフロアユニットの下部に、下階に配置されるフロアユニット14aを配置し、上階に配置されることとなるフロアユニット14aと下階に配置されることとなるフロアユニット14aとを仮吊材50により接続する。仮吊材50を介して上下に接続されたフロアユニット14aをさらに所定高さまでジャッキアップし、次いで下階に配置されることとなるフロアユニット14aの配置と、仮吊材による接続を成す。このような、階層間の接続とジャッキアップを繰り返し行い、各フロアユニット14aが、据付対象となるフロアにまでジャッキアップし、据付を行う。そして、各フロアユニット14aの据付が終了した後、フロアユニット14a間の接続を行った仮吊材を取り外す。
なお、仮吊材は、フロアユニット14aを吊下するだけの耐久性を有していれば、その材質、形態等に限定は無い。例えばワイヤであっても良いし、鎖であっても良い。
各階層に係るフロアユニット14a毎にジャッキアップを行った場合には、各階層に係るフロアユニット14aをジャッキアップする度にジャッキ装置40を移動させる必要が生ずると共に、ジャッキアップの回数も増える。実施形態に係る工法によれば、ジャッキアップ回数は1回(対象とする複数のフロアユニット14a単位)となり、ロッド40aの上げ下げに要する時間を大幅に短縮することができる。また、ジャッキ装置40を移設することなく対象とする複数のフロアユニット14aをジャッキアップすることができるため、ジャッキ装置40の移設に要する時間も短縮することができる。
フロアユニット据付工程と並行して缶後鉄骨15の据え付けを行う(主柱据付工程)。
ガーター梁18と缶前鉄骨16、および缶後鉄骨15の据付が終了した後、外部クレーン(不図示)を撤去する。そして、フロアユニット14aの吊上げおよび据え付けを行うフロアユニット据付工程と並行して、大梁22の吊上げおよび据付を行う。本実施形態では、並行作業として成されるフロアユニット据付工程で用いるジャッキ装置40と、大梁22の吊り上げやボイラ本体30の吊り上げに用いるジャッキ装置40とは、同じものを採用している。これにより、工程間におけるジャッキ装置40の相互利用を図ることが可能となり、不使用ジャッキ装置や使用ジャッキ装置の昇降に要する時間を短縮することができる。
このため、主柱14におけるフロアユニット14aの据え付けが終了した後には、ジャッキ装置40をガーター梁18の上端や、据え付けが完了した大梁22の間等に移動させ、次工程での吊り上げ作業に備える。なお、ジャッキ装置40の移動には、主柱14の上端に備えられる図示しないパワーリーチ(クレーン)を用いれば良い(ステップ4:大梁据付工程)。
大梁22の吊上げ終了後、藤棚鉄骨24(図1、図2参照)の据付を行い、上述したフロア据付工程と並行して、大梁22の上部に設けたジャッキ装置40によるボイラ本体30の吊上げを行う。ボイラ本体30の吊上げは、分割されたボイラユニットを順次吊下げて係合するかたちで行われる。このため、その吊り上げには複数のジャッキ装置40が必要とされ、必要に応じて吊り上げ用のジャッキ装置40の追加を行う。なお、図3に示す例では、大梁据付工程後に6台のジャッキ装置40を追加して32台のジャッキ装置40をボイラ建屋12の上部に配置する構成としているが、使用するジャッキ装置40の多寡は、発明を実施する上での限定的な要素では無い。
ボイラ本体30の吊り上げは、上部側のユニットから複合的に行われる。例えば図3に示す例ではステップ5にて、副側モジュール(上部ユニット32)の吊り上げを行うと共に、再熱器バンクモジュール(例えば中間部ユニット34)を吊り上げるためのジャッキ装置40の準備を行う。
次に、再熱器バンクモジュールの吊り上げを行う。再熱器の吊り上げ作業と並行して、副側モジュールを吊り上げたジャッキ装置40とフロアユニット14aを吊り上げたジャッキ装置40とを移動させ、ウインドボックスの吊り上げ作業を行う(ステップ6)。
そして、ウインドボックスの吊り上げを終了させ、再熱器の吊り上げ作業と並行してジャッキ装置40の移動を行い、過熱器バンクモジュール(例えば下部ユニット36)の吊り上げを行い、ボイラ本体30を上昇させて大梁22や藤棚鉄骨24に吊下げる(ステップ7:ボイラ据付工程)。
このような工法で建設されるボイラ施設10によれば、図5に示すように、従来に比べて工期を大幅に短縮することができる。従来は、主柱の据付とフロアユニットの据付を、各節(階層)毎に順次繰り返し行うことで主柱、並びにサイドスパン鉄骨を構成し、その後に大梁の吊上げ、および据付を行っていた。これに対し本実施形態に係るボイラ施設建設工法では、主柱14の据付(フロアユニット14aを含まないサイドスパン鉄骨20の据付)を先行して行うようにしている。そして、各節におけるフロアユニット14aの据付は、大梁22の吊上げやボイラ本体30の吊上げと並行して行うようにしているため、工期全体の短縮を図ることが可能となった。具体的には、従来工程では、主柱内にフロアユニットを備えたモジュール工法を採用した場合でも、フロアユニットの据付に要する工期は、工期全体の約1/4の日数を要していた。これに対して本実施形態に係る工法によれば、フロアユニットの据付に要する工期自体は従来よりも長くなるが、この工期を他の工期、すなわちボイラ本体30の吊り上げと並行して行うことで、工期全体を従来に比べ、約3/4の日数に短縮させることができるのである。
また、工期の短縮により、工費の抑制、操業時期の繰上げといった効果を奏することができる。なお、ボイラ本体の吊り上げ手順や、吊り上げに用いるジャッキ装置40の数等は、施工内容により適宜変更することができる。
また、本実施形態に係るボイラ施設建設工法では、主柱14やガーター梁18、缶前鉄骨16、および缶後鉄骨15等の鉄骨類を外部クレーン(不図示)を介して組付けた後、外部クレーンを撤去して主柱14等に備えられたジャッキ装置40を介してフロアユニット14aの据え付けを行うようにしている。このため、外部クレーンを使用する期間を短縮することができ、工費を抑制することができる。
また、本実施形態のようなボイラ施設建設工法によれば、サイドスパン鉄骨20を構成するフロアユニット14aの組付けやボイラ本体30を構成する各ユニットの組付けを地上付近で行うことができる。このため、作業者による高所作業を減らすことができ、建設作業の安全性を向上させることが可能となる。
また、本実施形態に係るボイラ施設建設工法では、フロアユニット14aや大梁22等の吊上げ等に用いるジャッキ装置40と、ボイラ本体30を吊上げるためのジャッキ装置40とを共通化させることで、工程間におけるジャッキ装置40の相互利用を図ることが可能となった。このため、使用済みのジャッキ装置40や、使用を予定されるジャッキ装置40を逐次昇降させるために要する時間を短縮することができる。
また、本実施形態に係るボイラ施設建設工法で用いるジャッキ装置40は、図6に示すように、操作盤60と、ポンプユニット42、およびジャッキ装置40とによってジャッキユニットを構成している。ポンプユニット42はそれぞれ、操作盤60からの信号を受けて個別に稼動することが可能とされており、信号に従って各ジャッキ装置40に作動油を供給するように構成されている。
このようなジャッキユニットを用いることで、各ジャッキ装置の吊上げ状態を個別に調整することができ、吊下物の水平を保った状態、あるいは任意の傾きを保った状態で安定して吊上げることが可能となる。
なお、図3に示した各ジャッキ装置40は、それぞれ個別にポンプユニット42を備えるように示したが、ポンプユニット42は、同期して稼動される組単位のジャッキ装置毎に設けるようにしても良い。この場合には、ポンプユニット42とジャッキ装置40との間にマニホールド(分配器)と制御弁等を設け、作動油の分岐と制御を行うようにすれば良い。このようにすることで、各ジャッキ装置40の制御を個別に行うことが可能となるからである。
なお、上記実施形態においては、必要に応じてジャッキ装置40を追加する旨記載したが、ボイラ建屋12の上部の空きスペースに余裕があれば、工程全体に亙って必要とする数のジャッキ装置40を、予め吊り上げておくようにすると良い。これにより、建屋建設工程中に、余剰なジャッキ装置を地上に降ろしたり、必要とされるジャッキ装置を吊り上げたりするといった作業が不要となるからである。
また、上記実施形態では、大梁据付工程と、ボイラ据付工程、およびフロアユニット据付工程に用いるジャッキ装置40のロッド40aは、その長さや直径といった寸法(サイズ)を共通とし、各工程において相互に利用することとしている。このような手段を採ることで、複数種類のロッド40aをボイラ建屋12の上部に配置しておく必要が無くなり、未使用ロッドの数を減らすことができる。なお、当然に、ボイラ本体30等の重量物の吊り上げを行う場合と、フロアユニット14a等の比較的軽い物の吊り上げを行う場合とにおいて、使用するロッドのサイズを異ならせるようにしても良い。長尺、大径のロッドの数を増やすよりも、小径ロッドを用いた方が、工費を削減することができる場合もあるからである。このような場合には、ジャッキ装置にスペーサを噛ます等の手段を採れば、共通のジャッキ装置40を使用しつつ、ロッドのサイズだけを変更することができる。
10………ボイラ施設、12………ボイラ建屋、13………支柱、14………主柱、14a………フロアユニット、15………缶後鉄骨、16………缶前鉄骨、18………ガーター梁、20………サイドスパン鉄骨、22………大梁、24………藤棚鉄骨、30………ボイラ本体、32………上部ユニット、34………中間部ユニット、36………下部ユニット、40………ジャッキ装置、42………ポンプユニット、50………仮吊材、60(60a,60b)………操作盤。

Claims (8)

  1. ボイラ建屋の四方に位置し、複数の支柱により構成される主柱と、4本の前記主柱のうちの2本を連結してサイドスパン鉄骨を構成するガーター梁、及び前記サイドスパン鉄骨を連結する缶前鉄骨を据え付ける主柱据付工程と、
    前記主柱据付工程の後に、前記主柱上部に備えられた複数のジャッキ装置により、前記主柱間に大梁を吊上げて固定する大梁据付工程と、
    前記大梁据付工程の後に、前記大梁に備えた複数のジャッキ装置を介してボイラ本体を吊上げて固定するボイラ据付工程と、
    前記大梁据付工程と前記ボイラ据付工程と並行して、前記主柱上部に備えられた複数のジャッキ装置により、前記主柱の各フロアを構成するフロアユニットを吊上げて固定するフロアユニット据付工程と、
    を有することを特徴とするボイラ施設建設工法。
  2. 前記フロアユニット据付工程は、前記ジャッキ装置のロッドと最上部に配置されるフロアユニットを接続してジャッキアップする工程を経た後、
    ジャッキアップされたフロアユニットの下階に配置されるフロアユニットをジャッキアップされたフロアユニットの下側に仮吊材により接続してジャッキアップする工程を繰り返すことで各フロアユニットを据付対象とするフロアにまでジャッキアップして据付を行うことを特徴とする請求項1に記載のボイラ施設建設工法。
  3. 前記フロアユニット据付工程は、前記ボイラ据付工程完了前に完了することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のボイラ施設建設工法。
  4. 前記フロアユニット据付工程と平行して、前記缶前鉄骨と対向して前記サイドスパン鉄骨を連結する缶後鉄骨の据え付けも行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のボイラ施設建設工法。
  5. 前記大梁据付工程と前記ボイラ据付工程、および前記フロアユニット据付工程に用いるジャッキ装置は、その一部または全部を各工程にて相互利用することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のボイラ施設建設工法。
  6. 各工程にて相互利用する前記ジャッキ装置は、各工程においての使用が終了した後、他の工程実施中に移動が成されることを特徴とする請求項5に記載のボイラ施設建設工法。
  7. 前記大梁据付工程と、前記ボイラ据付工程、および前記フロアユニット据付工程に用いる前記ジャッキ装置のロッドは、サイズを共通として相互利用することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のボイラ施設建設工法。
  8. 前記主柱据付工程には外部クレーンを用い、
    前記主柱据付工程終了後に前記外部クレーンを撤去し、
    大梁据付工程、ボイラ据付工程、およびフロアユニット据付工程は、ジャッキ手段を用いて行うことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のボイラ施設建設工法。
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