JP5742139B2 - 分離可能な透明蓋材 - Google Patents

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Description

本発明は、バリア性を有する上層と通気性を有する下層からなる複合フィルムを用いた透明蓋材であり、揮発または蒸発する液体や固体を入れた容器の開口部を封止し、使用時に上層のみを剥離し、下層は通気性を維持したまま、容器のフランジにシールされた、容器内の液体や固体が外部に出ないようにする蓋材およびそれを用いた容器である。
従来、消臭剤、芳香剤、除湿剤、防虫剤、香料等の容器は、内容物をフランジ付きの紙カップやプラスチック成形容器に収納し、その開口部をヒートシール性の不織布、有孔フィルム、あるいはヒートシール性ニスを処理した紙等から構成される通気性蓋材で覆うことにより、容器転倒時に内容物が落下することなく、かつ、内容物の溶媒あるいは芳香成分が該通気性蓋材を通過し得るようにしてある。
また、使用時まで前記通気性蓋材による通気性を封印するため、この通気性蓋材をさらにポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム/アルミニウム箔/イージーピールシーラントの積層構成、PETフィルムに硅素酸化物またはアルミニウム酸化物の透明蒸着薄膜層を設けた蒸着フィルム(VMPET)/ヒートシール性ニスの積層構成、延伸ポリエチレンテレフタレート(OPET)フィルム/延伸ナイロン(ONy)フィルム、ポリエチレン(PE)等の構成からなるバリア性の外蓋で覆うといったことが行われている。
しかしながらこのような従来の方法は、通気性蓋材とバリア性蓋材の2種類の蓋材のそれぞれをヒートシール等のシール方法を用いて容器に密封シールすることになり、シールを2工程で行わねばならず、加工費が高くかかるのみならず、2種類の蓋材を使用することによる蓋材のコストも高い、等の問題があった。
最内層がPE樹脂からなるフランジ付き容器の蓋材に関する以上のような問題に着目して多くの研究開発が行われた(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1で提案されている発明によれば、一工程のシールで密封が可能であり、転倒しても内容物がこぼれ出ることのない、通気層とバリア層に分離が可能な蓋材を提供できるとされている。しかしながら被着体である容器構成に制約があり、また特に、内容物の溶媒成分が常温では飛散しにくい水等の成分である場合、溶媒・香料飛散量にも制約がある。
また、特許文献2では、この問題を解決すべく、バリア層/分離層/シーラント層からなる積層構成において、シーラント層を貫通するハーフカット加工を施すことにより、バリア層剥離後容器に透過膜として残るシーラント層に内容物溶媒飛散量を調整する穴を設けることを可能にした。また、ハーフカット穴からの内容物浸出を防ぐために、分離層としてはイージーピールシーラント層を使用し、剥離時にはイージーピールシーラント層の凝集剥離になるような工夫がなされている。
しかしながら上記の発明は、イージーピールシーラント層の材質構成は特に指定されておらず、シーラントに対してイージーピールシーラント層を構成するベースポリマーの融点が低い場合、容器へのシール部においてイージーピール層が潰れて良好な剥離が発揮されない等の問題が発生する場合がある。また、シーラント層のハーフカット線を剥離きっかけとしているが、容器シール時にハーフカット部の再融着が発生することがあるため、この構成でこの剥離きっかけ手法を利用することは困難であることがわかった。
特許文献3には、フランジ付きプラスチック成形容器の開口部を覆い、成形容器周縁にフランジ部分と一工程のシールで密封が可能で、基材と透過層に分離可能な蓋材として、蓋材をプルタブから引き剥がすことで容易にプラスチック容器から剥離可能で、かつ、基材と透過層に分離可能な蓋材が提案されている。
この蓋材は、外側から基材、分離層、透過層が順次積層された複合フィルムからなる蓋材であって、分離層がポリマーアロイ単層から成ることを特徴とする、分離可能な蓋材である。
また、特許文献4には、内層と外層とを積層してなる蓋材において、接着剤による接着強度をコントロールするなどの複雑な工程を要することなく、簡便に外層と内層とを安定した状態で剥離可能に積層できる蓋材として、外層を基材層とポリエチレン系樹脂層とから構成し、内層を延伸ポリプロピレンフィルムからなる基材層と、熱接着性樹脂からなるシール層とから構成し、外層のポリエチレン系樹脂層と内層の基材層とが界面剥離可能に積層された蓋材が提案されている。
この蓋材では、外層と内層とが直接積層されているため、別途接着剤を用いる必要がなく、簡便に安定した状態で剥離可能とすることができる。また、この蓋材を打ち抜いてなる蓋を、容器のフランジに高温度でヒートシールしても、外層と内層との界面に接着剤を用いていないため、剥離強度に変化が生じず、手で容易に剥離させることができるとされている。
しかしながら、特許文献3に提案されている分離可能な蓋材においては、剥離境界となる前記プルタブ基部は、剥離きっかけとなる、透過層のみを貫通するハーフカット線をシール外周とフランジ外周の間に設けなければならずこの工程が面倒である。
のみならず、特許文献4に提案されている蓋材にも共通する問題点として、容器のフランジにヒートシールした場合にそのシール状態を確認することが大変であり、ヒートシール部に異物や内容物が混入した状態でシールされた場合(挟雑シール)等の不良を見逃しやすいということが指摘されていた。
特開2002−128127号公報。 特開2003−237811号公報。 特開2006−131233号公報。 特開2008−44657号公報。
本発明の課題は、バリア性を有する上層と通気性を有する下層からなる複合フィルムを用いた蓋材であって、揮発または蒸発する液体や固体を入れたフランジ付き成形容器の開口部を封止し、使用時に上層のみを剥離し、下層は通気性を維持したまま、容器のフランジにシールされている、容器内の液体や固体が外部に出ないようにする透明蓋材およびそれを用いた容器を提供することである。
本発明の請求項1の発明は、フランジ付き成形容器の開口部を覆い、成形容器周縁のフランジ部分と密封シールされる、外周縁にプルタブが形成された蓋材において、外側から透明バリア性フィルムと無延伸ポリプロピレン樹脂であるシーラントからなるバリア性を有する上層と、溶融押出法によって形成されたポリエチレンとシーラントからなる通気性を有する下層とが接して順次積層され、前記無延伸ポリプロピレン樹脂と前記溶融押出法によって形成されたポリエチレンが接している複合フィルムからなる分離可能な透明蓋材である。
請求項1記載の発明によれば、蓋材が外側から、透明バリア性フィルムとシーラントからなるバリア性を有する上層と、溶融押出法によって形成されたポリエチレンとシーラントからなる通気性を有する下層とが順次積層された複合フィルムからなることによって、使用時に上層と下層を容易に分離することが可能である。
上層に透明バリア性フィルムを用いたことによって、バリア性確保のためにアルミニウム箔を用いた場合に比べてほぼ同等のバリア性を有しながら、内容物の見える蓋構成が可能となり、とくに、フランジへのヒートシールの状態の異常が発見しやすくなり不良品の除去が容易になった。
上層の下側にシーラント層を設けて下層の上側に溶融押出法によって形成されたポリエチレン層を設けたことによって、容器のフランジへのヒートシールの際にシールエッジによって下層が厚さ方向に切り込みが生じ、これにより、フランジより外側にある上層及び下層の複合フィルムの一部の端部が剥離可能な状態になり、その端部を持ち上げることで上層と下層を界面で剥離させることが出来る。
この結果、上層と下層の界面で剥離させる際の剥離開始のための切り込みの工程を別に設ける必要がなくなった。
また上層のシーラントが無延伸ポリプロピレン樹脂であるので、ポリエチレン樹脂と比べて熱影響を受け難く、成形品フランジへのヒートシール部において上層のシーラント層が潰れて良好な剥離が発揮されない等の問題を回避できる。
また、請求項2の発明は、前記無延伸ポリプロピレン樹脂はレトルト用無延伸ポリプロピレン樹脂である請求項1記載の分離可能な透明蓋材である。
また、請求項の発明は、前記下層は多層構成からなり、上層側に溶融押し出し法により形成されたポリエチレン樹脂層が配置され、容器側となる被着体側には容器と同系の樹脂層が配置されていることを特徴とする、請求項1または2記載の分離可能な透明蓋材である。
請求項記載の発明によれば、下層は多層構成からなり、上層側に溶融押し出し法により形成されたポリエチレン樹脂層が配置され、容器側となる被着体側には容器と同系の樹脂層が配置されているので、蓋材を容器である被着体のフランジと密封シールした後、蓋材を剥がすと、下層は被着体と強固に溶着しているので上層のみを分離して除去することが出来る。
また、請求項の発明は、前記下層の、溶融押し出し法により形成されたポリエチレン樹脂層の内側に中間層が配置されたことを特徴とする、請求項に記載の分離可能な透明蓋材である。
請求項記載の発明によれば、前記下層の溶融押し出し法により形成されたPE樹脂層の内側に中間層を配置することができるので、例えば、ガスバリア性に優れた分離可能な透明蓋材にすることができる。
また、請求項の発明は、前記プルタブ基部の下層の上層側に、易剥離塗工層が設けられていることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の分離可能な透明蓋材である。
請求項記載の発明によれば、プルタブ基部の下層の上層側に、易剥離塗工層が設けられているので、プルタブから剥離する時にその部分だけを選択的に剥離強度を低減することができる。
また、請求項の発明は、前記下層には通気孔が穿設されていることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の分離可能な透明蓋材である。
このように請求項記載の発明によれば、下層には通気孔が穿設されているので、内容物溶媒飛散量を調節することができる。
また、請求項の発明は、前記複合フィルムの表面又は裏面に、印刷層が設けられていることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項記載の分離可能な透明蓋材である。
このように請求項記載の発明によれば、本発明の分離可能な透明蓋材において、前記
複合フィルムの表面又は裏面に、透明性の必要な範囲に重ならない限りで加飾あるいは内容説明等のための印刷層が設けることが出来るので、中身に関する情報や訴求のためのデザインを表示できる。
また、請求項1〜のいずれか1項に記載の分離可能な透明蓋材を用いたフランジ付きプラスチック成形容器または紙容器であば、内容物の確認が簡単に出来るのみならず、フランジへのヒートシールの異常もない、分離可能な透明蓋材を用いたフランジ付きプラスチック成形容器または紙容器とすることができる。
以上のように本発明の分離可能な透明蓋材は、従来の二重蓋構成と比較してコストダウンが可能である。すなわち、蓋材が一枚でできるため生産コストの低下と、充填ラインの簡素化が可能である。
また、透明であるために内容物の確認が簡単に出来るのみならず、容器フランジへのヒートシールの異常も容易に発見できる。そのために異物や内容物がシール部分に挟雑物として混入している場合やシール部分の不良を確実に除去することが出来る。
さらに、下層に設けたスリット孔の大きさを変えることにより、上層剥離後の下層の開口面積を調整できるので、使用時に内容物からの薬効成分の揮発量や溶媒飛散量を調整してより効果的に使用することが可能である。
またポリプロピレン樹脂ベースの上層シーラントと下層上面に押出ポリエチレンを使用することにより、ヒートシール時にシールエッジ部において下層に溶断による切り込みを生じさせる。
これによって、下層にハーフカット等の機械的な切り込みを入れることなしにフランジより外側にある複合フィルムの端部が剥離可能な状態となり、その端部を持ち上げることにより、上層と下層を界面で剥離させることが出来る。
このシールはフランジの上面に容器の開口部を取り囲むリング状に施されているので、内容物の封入された容器の使用開始時に、通気性のある下面のみを開口部に残して薬効成分等の放出が可能な状態にすることが簡単に出来る。
本発明の分離可能な透明蓋材の一例。(a)は層構成の断面、(b)はシール時の断面、(c)は剥離時の断面をそれぞれ示す。 本発明の分離可能な透明蓋材を用いた容器の一例。(a)は蓋材の層構成の断面、(b)は上面から見たシール時の平面、(c)はシール時の断面をそれぞれ示す。
本発明の分離可能な透明蓋材の実施の形態を必要に応じて図面を参照しながら以下に説
明する。
本発明の分離可能な透明蓋材は、例えば、図1に示すように、フランジ付き成形容器(7)の開口部を覆い、成形容器周縁のフランジ部分(6)とヒートシール部分(5)において密封シールされる、外周縁にプルタブが形成された蓋材であり、外側から上層(2)、下層(3)が順次積層された複合フィルム(1)からなる。
そして、複合フィルム(1)の上層(2)は外側から透明バリア性フィルム(2a)と上層シーラント(2b)を含み、下層(3)は外側から溶融押出法により形成されたポリエチレン層(3a)と下層シーラント(3b)を含む層からなる。
透明バリア性フィルム(2a)は蓋材の基材であって、代表的には透明な延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム単層が用いられるが、アルミニウム箔並みのガスバリア性が要求される場合には片面に酸化アルミニウムや酸化ケイ素などの無機化合物の薄膜を物理蒸着あるいは化学蒸着などの蒸着法により20〜100nm程度の厚さに設けた無機化合物蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム(GLフィルム)等のバリア性の高い透明フィルム層を単体あるいは積層して用いることも可能である。
透明バリア性フィルム(2a)の厚みは蓋材の基材として必要な物性を有していれば特に限定されないが、取り扱いやすさとコスト面から12μm程度の延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム単層やバリア性を強化した積層フィルムがよく用いられる。
また、透明バリア性フィルムには裏面または表面に印刷層(図3参照)を形成させることもできる。この場合の印刷領域は内容物の視認やヒートシール部分の異常検知の障害とならない位置に設けられることが必要である。
印刷層を設けることにより、蓋材に綺麗な模様やデザインを施すことができ加飾が可能になる。
上層シーラント(2b)は透明バリア性フィルム(2a)と溶融押出法により形成されたポリエチレン層(3a)とを無理なく容易に剥離出来る程度に接着する層であって、ポリプロピレン樹脂が代表的には用いられる。
上層シーラントに用いられる樹脂としては、これとヒートシールされる下層の溶融押出法により形成されたポリエチレン層よりも融点が高いことが必要であり、ポリプロピレン樹脂を主要成分としたコポリマー等も用いることが出来る。上層シーラント(2b)は、多層構成のイージーピールシーラント層としても良い。
上層シーラント(2b)は、透明バリア性フィルム(2a)と溶融押出法やドライラミネート法等の公知の方法で積層することが出来、厚みは特に限定はないが70μm程度が適当である。
下層(3)は溶融押出法により形成されたポリエチレン層(3a)と下層シーラント(3b)を含む層からなる。ポリエチレン層(3a)はシール時にシールエッジで溶融破談するためには、上層シーラント(2b)に用いられる樹脂よりも低融点である必要があり、溶融押出法に用いられるポリエチレン樹脂が最適である。ポリエチレン層(3a)の厚みは5μmから30μmの範囲であることが望ましい。
下層シーラント(3b)は、成形容器(7)のフランジ(6)と熱融着する必要があるので、被着体となる容器のフランジ部上面と同系の樹脂層を用いることが望ましい。
このようにすることによって、蓋材を容器である被着体のフランジと密封シールした後、蓋材を剥がすと、下層は被着体と強固に溶着しているので上層のみを分離して除去することが出来る。成形容器(7)の表面がポリエチレン樹脂の場合には直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等のポリエチレン樹脂を好ましく用いることが出来る。
下層シーラント(3b)は公知の方法で作成でき、厚みは20μmから130μmの範囲が好適である。
下層(3)には成形容器(7)に収納された内容物の飛散量の調節のため小径の通気孔を穿設することが出来る。この通気口は下層のみを貫通するハーフカット加工をすることにより蓋材を上層と下層に分離する際に下層から小径の孔が除去されて開くような接着強度となっている。
孔開け手法としてはトムソン刃によるハーフカットや、ポーラス加工、熱針加工等がある。
下層(3)の、溶融押し出し法により形成されたポリエチレン樹脂(3a)の内側に必要により中間層(9)が配置された構成としても良い。機械的強度を補強するための中間層(9)としては、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムや延伸ナイロンフィルムのような延伸フィルムが使用できる。中間層(9)の材質や寸法は目的により適宜選ぶことが出来る。
また、中間層の形成方法も印刷法やパートラミ法等公知の方法で行うことが出来るが、この中間層(9)はシールエッジ(4)における下層(3)の溶融破断に影響を与えないようにシール部(5)の内側の領域のみに配置することが必要である。(図4参照)
プルタブ部分(8)基部の下層(3)の上層側に、ポリアミド、硝化綿等を主成分とする易剥離塗工層(11)を設けることにより、蓋材(1)をフランジ(6)から剥がす際、部分的に剥離強度を低減することができ、剥離界面をさらに開き易くすることができる(図5参照)。
以下実施例により本発明を詳細に説明する。
本実施例では上層と下層からなる構成の複合フィルムを作製した。全ての複合フィルムにおいて、上層の透明バリア性フィルム(2a)としては厚さ12μmの透明蒸着PETフィルム(GX−P−F)を使用し、透明バリア性フィルム(2a)と上層シーラント(2b)はポリウレタン樹脂系の接着剤によるドライラミネートにより貼り合わせ、被着体である成形容器(7)としてはポリエチレンテレフタレートフィルムとポリエチレンフィルムのラミネート品の成形容器を使用した。
<実施例1>
厚さ12μmの透明蒸着PETフィルム(GX−P−F)を上層の透明バリア性フィルム(2a)として、厚さ70μmのレトルト用未延伸ポリプロピレンフィルムを上層シーラント(2b)として、両者をポリウレタン樹脂系の接着剤によるドライラミネートにより貼り合わせて上層(2)の積層フィルムを準備した。
別に、下層シーラント(3b)として厚さ100μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルムを用いて、上層(2)の積層フィルムの上層シーラント面とを、溶融押出法により押出グレードのポリエチレン樹脂を厚さ15μmになるように積層(3a)して貼り合せて複合フィルム(1)を作成した。
このようにして作成した複合フィルムの層構成は外側から、透明蒸着PETフィルム12μm(2a)/レトルト用未延伸ポリプロピレンフィルム70μm(2b)/溶融押出法によるポリエチレン樹脂15μm(3a)/直鎖状低密度ポリエチレンフィルム100μm(3b)の順である。(図2参照)。
<実施例2>
厚さ12μmの未延伸ポリプロピレン樹脂層と厚さ6μmのポリプロピレン/ポリエチレン/エチレン−プロピレンゴム=70/25/5の配合の樹脂層を積層したイージーピールシーラント層を上層シーラント層(2b)として準備した。
そして厚さ12μmの透明蒸着PETフィルム(GX−P−F)を上層の透明バリア性フィルム(2a)として、イージーピールシーラント層の未延伸ポリプロピレン樹脂層側とを対向させて貼り合わせて上層(2)の積層フィルムを準備した。
別に、中間層(9)である厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムとシーラント層(3b)である厚さ100μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルムをパートラミネート法で貼り合わせた積層フィルム(3)と、先に準備した上層(2)の積層フィルムの上層シーラント(2b)面とを対向させ、溶融押出法により押出グレードのポリエチレン樹脂を厚さ15μmになるように積層(3a)して貼り合せて複合フィルム(1)を作成した。
このようにして作成した複合フィルムの層構成は外側から、透明蒸着PETフィルム12μm(2a)/上層シーラントフィルム18μm(2b)/溶融押出法によるポリエチレン樹脂15μm(3a)/直鎖状低密度ポリエチレンフィルム100μm(3b)の順である。(図2参照)。
こうして作製した実施例1〜実施例2の複合フィルムを下層(3b)が貫通するハーフカット線で剥離きっかけ用のプルタブ基部及び、小径の通気孔を抜き加工した。そして成形容器に内容物であるゲル状芳香性消臭剤(PH;2)を適量充填し、各蓋材の下層側を容器フランジ上面にヒートシールして、透明蓋材の剥離しやすさと透明性の効果を目視で評価した。
実施例1〜実施例2の透明蓋材を用いた容器では、透明蓋材のプルタブ部分を上方に持ち上げて、下層以外の層が適切な剥離強度で剥離可能であり、プラスチック成形容器開口部に通気孔の開いた下層が残った。
また、実施例の容器ではフランジシール部分の接着状態が透明蓋材を通して目視で確認できるので異物や内容物の挟雑シール等のシール欠陥も一目瞭然であった。
1…複合フィルム
2…上層
2a…透明バリア性フィルム
2b…上層シーラント
3…下層
3a…溶融押出法により形成されたポリエチレン樹脂層
3b…下層シーラント
4…シールエッジ
5…ヒートシール部分
6…フランジ
7…成形容器
8…プルタブ部分
9…中間層
10…印刷層
11…易剥離塗工層
12…フランジカット
13…通気孔

Claims (7)

  1. フランジ付き成形容器の開口部を覆い、成形容器周縁のフランジ部分と密封シールされる、外周縁にプルタブが形成された蓋材において、外側から透明バリア性フィルムと無延伸ポリプロピレン樹脂であるシーラントからなるバリア性を有する上層と、溶融押出法によって形成されたポリエチレンとシーラントからなる通気性を有する下層とが接して順次積層され、前記無延伸ポリプロピレン樹脂と前記溶融押出法によって形成されたポリエチレンが接している複合フィルムからなる分離可能な透明蓋材。
  2. 前記無延伸ポリプロピレン樹脂はレトルト用無延伸ポリプロピレン樹脂である請求項1記載の分離可能な透明蓋材。
  3. 前記下層は多層構成からなり、上層側に溶融押し出し法により形成されたポリエチレン樹脂層が配置され、容器側となる被着体側には容器と同系の樹脂層が配置されていることを特徴とする、請求項1または2記載の分離可能な透明蓋材。
  4. 前記下層の、溶融押し出し法により形成されたポリエチレン樹脂層の内側に中間層が配置されたことを特徴とする、請求項に記載の分離可能な透明蓋材。
  5. 前記プルタブ基部の下層の上層側に、易剥離塗工層が設けられていることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の分離可能な透明蓋材。
  6. 前記下層には通気孔が穿設されていることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の分離可能な透明蓋材。
  7. 前記複合フィルムの表面又は裏面に、印刷層が設けられていることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項記載の分離可能な透明蓋材。
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