JP5741428B2 - 多段プレス装置の金型の調整方法 - Google Patents
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Description
詳細には、従来の多段プレス装置においては、ダイプレートから中間上型及び中間下型を取り外せば、中間上型及び中間下型を一般的な上型及び下型と同様に扱う事ができるため、中間上型及び当該中間上型に対応する下型、並びに中間下型及び当該中間下型に対応する上型をそれぞれ所定のプレス装置に取り付けることで、一段単位でプレス品を試作して金型の調整を行うことができるが、中間型を具備する多段プレス装置においては、上下面に成形面が形成された中間型の構造上、全ての金型が揃わないと、プレス品を試作できず、一段単位で金型の調整を行うことができない。
そのため、中間型を具備する多段プレス装置においては、金型を調整する作業が煩雑となっていた。
以下では、図1〜図5を参照して、本発明に係る、多段プレス装置の金型の調整方法の第一実施形態である、調整工程S1について説明する。
調整工程S1は、多段プレス装置1によって所望の品質のプレス品が成形できるように、多段プレス装置1が備える複数の金型を調整する工程である。
多段プレス装置1は、鋼板等のワークを加工するための加工部が鉛直方向に複数(本実施形態においては、二つ)設けられた多段構造のプレス装置であり、各加工部に対応するワークに対して同時にプレス加工を行うことで、各加工部に応じたプレス品を成形する。
なお、説明の便宜上、図1における上下方向を多段プレス装置1の上下方向と規定する。多段プレス装置1の上下方向は、鉛直方向に一致する。
スライド2は、下面に上型10を取り付け可能に構成された取付部材であり、多段プレス装置1の上部に配置されている。スライド2は、油圧シリンダ等のアクチュエータによって駆動され、上型10を上下方向に沿って往復運動させる。
締結機構11は、上型10とスライド2とを、ボルト及びナット等によって締結可能とした機構である。締結機構11としては、既存のプレス装置が具備する締結機構を採用可能であり、詳細な説明は省略する。
パッド12は、上型10と中間型30とによってワークがプレス加工される際において、当該ワークの一部を中間型30と共に挟持することで、当該ワークを固定する部材である。パッド12は、ガスシリンダ13によって、下方に向けて付勢されている。
ボルスタ3は、上面に下型20を取り付け可能に構成された取付部材であり、多段プレス装置1の下部に配置されている。
締結機構21は、下型20とボルスタ3とを、ボルト及びナット等によって締結可能とした機構である。締結機構21としては、既存のプレス装置が具備する締結機構を採用可能であり、詳細な説明は省略する。
クッションリング22は、下型20と中間型30とによってワークがプレス加工される際において、当該ワークの一部を中間型30と共に挟持することで、しわ押さえとして機能する部材である。クッションリング22は、ガスシリンダ23によって、上方に向けて付勢されている。
中間型30は、多段プレス装置1の一部を成す所定の部材に支持されており、上型10の動きに連動して上下方向に沿って往復運動するように構成されている。
つまり、多段プレス装置1は、二段構造のプレス装置であり、二種類のワークに対して同時にプレス加工を行うように構成されている。
このように構成された多段プレス装置1における上型10、下型20、及び中間型30は、調整工程S1を経ることによって調整される。
本実施形態においては、調整を行う一対の金型として、下型20及び中間型30を選定する。この時、中間型30においては、成形面30aが調整面となる。
ここで、調整面とは、選定された一対の金型を構成する成形面であって、調整が行われる成形面である。
スライド102及びボルスタ103は、それぞれ上型10及び下型20を取り付け可能に構成された一対の取付部材である。スライド102及びボルスタ103には、それぞれ締結機構11・21によって、上型10及び下型20が取り付け可能となっている。
なお、通常、スライド102に中間型30を取り付けることはできないが、締結機構11と同様に構成された締結機構31を中間型30の上部に設けることにより、締結機構31を介して中間型30をスライド102に取り付けることが可能となる。
支持部材40は、上下方向に延出する円筒状の部材であり、上下端面が平坦面となっている。支持部材40は、ボルト等によって中間型30及びスライド102の少なくとも一方に締結可能に構成されている。
一方、支持部材40を中間型30の成形面30bにおける曲面部分(例えば、ワークの最終的に製品となる部分を加工するための成形面)に配置する場合においては、下端面が平坦面である支持部材40をそのまま中間型の成形面30bにおける平坦面上に配置することができない。
そのため、図4(a)に示すように、中間型30の成形面30bにおける曲面部分に、着脱可能な着脱部30cを複数個設け、図4(b)に示すように、中間型30から着脱部30cを取り外すことで、当該中間型30における着脱部30cが取り外された部分に支持部材40を設置可能な構成としている。
詳細には、中間型30の成形面30bにおける曲面部分には、支持部材40を設置可能な形状を有する凹部が複数個形成されており、当該凹部を埋めるように着脱部30cが設けられる。中間型30の成形面30bに形成された凹部の底面は、平坦面となっており、当該底面に支持部材40の下端面が当接することとなる。
着脱部30cは、中間型30に対して着脱可能に構成され、ボルト等によって中間型30に締結された状態では、中間型30の成形面30bの一部として機能する。
図3に示すように、下型20と中間型30との間には、複数の支持部材40・40・・・が介装されているため、プレス品の成形時には、複数の支持部材40・40・・・が成形反力を受け止め、中間型30の変形を抑制する。つまり、複数の支持部材40・40・・・は、プレス品の成形時の反力に抗するように、中間型30を支持するのである。
多段プレス装置1においては、下型20及び中間型30によるプレス加工時に中間型30に付与される反力は、上型10によって受け止められるが、下型20及び中間型30が取り付けられた一段構造のプレス装置においては、複数の支持部材40・40・・・によって受け止められることとなるため、複数の支持部材40・40・・・を下型20と中間型30との間に介装することにより、一段構造のプレス装置上で多段プレス装置1としてのプレス加工を模擬することができる。
支持部材40を用いずに、下型20及び中間型30が取り付けられた一段構造のプレス装置によるプレス加工を行った場合には、成形反力によって中間型が上方に撓み、多段プレス装置1における下型20及び中間型30によるプレス加工を模擬することができない。つまり、一段構造のプレス装置における成形荷重の伝達の度合が、多段プレス装置1における成形荷重の伝達の度合とは大きく異なってしまうが、支持部材40を用いることによって、一段構造のプレス装置における成形荷重の伝達の度合を多段プレス装置1における成形荷重の伝達の度合に近付けることができるのである。
なお、支持部材40としては、プレス品の成形時の圧力に耐えうる剛性を有する素材(例えば、一般構造用圧延鋼材(SS材))が採用される。
また、本実施形態においては、支持部材40を円筒状としたが、中間型30の成形面30bと、スライド102における中間型30が取り付けられる面とに当接し、プレス品の成形時の反力に抗するように、中間型30を支持することができれば、支持部材40の形状を限定しない。
また、本実施形態においては、支持部材40の下端面を平坦面としたが、中間型30に着脱部30cを設けずに、支持部材40の下端面を、中間型30の成形面30bにおける曲面部分(例えば、ワークの最終的に製品となる部分を加工するための成形面)に合わせた形状とすることも可能である。
ステップS20にて成形されたプレス品が所望の品質ではない場合、ステップS40の工程を行う。
ステップS20にて成形されたプレス品が所望の品質である場合、ステップS50の工程を行う。
本実施形態においては、下型20及び中間型30の調整を行う。
詳細には、下型20の成形面20a及び中間型30の成形面30aの加工(切削及び肉盛り)、並びに下型20のガスシリンダ23の圧力調整等を行う。
ステップS40の後は、ステップS20に戻り、所望の品質のプレス品が成形されるまで上記の工程を繰り返す。
多段プレス装置1における全ての金型の調整が終了していない場合、ステップS10に戻る。
多段プレス装置1における全ての金型の調整が終了している場合、調整工程S1を終了する。
この時、中間型30においては、成形面30bが調整面となる。
支持部材50は、支持部材40と略同様に構成された部材であり、詳細な説明は省略する。
支持部材50の設置態様は、支持部材40と略同様であるため、詳細な説明は省略する。
なお、通常、ボルスタ103に中間型30を取り付けることはできないが、締結機構21と同様に構成された締結機構32を中間型30の上部に設けることにより、締結機構32を介して中間型30をボルスタ103に取り付けることが可能となる。
また、多段プレス装置1においては、上型10及び中間型30によるプレス加工時に中間型30に付与される反力は、下型20によって受け止められるが、上型10及び中間型30が取り付けられた一段構造のプレス装置においては、複数の支持部材50・50・・・によって受け止められることとなるため、複数の支持部材50・50・・・を上型10と中間型30との間に介装することにより、一段構造のプレス装置上で多段プレス装置1としてのプレス加工を模擬することができる。
また、一段構造のプレス装置のボルスタ103に中間型30を締結機構32により取り付けて、中間型30とボルスタ103との相対位置を一定とすると共に、プレス品の成形時の反力に抗するように中間型30を支持する複数の支持部材50・50・・・を上型10と中間型30との間に介装することによって、一段構造のプレス装置上で多段プレス装置1としてのプレス加工を模擬した状態で、一対の金型としての上型10及び中間型30によるプレス加工を行うことができる。
したがって、調整工程S1によれば、多段プレス装置1における複数の金型を一段単位で(一対の金型ごとに)調整することができる。
例えば、本発明に係る多段プレス装置として、二つの中間型を具備する多段プレス装置を適用した場合には、第一に下型及び当該下型に隣接する中間型の調整を行い、第二に上型及び当該上型に隣接する中間型の調整を行い、第三に下型に隣接する中間型及び上型に隣接する中間型の調整を行えばよい。
以下では、図6〜図8を参照して、本発明に係る、多段プレス装置の金型の調整方法の第二実施形態である、調整工程S100について説明する。
調整工程S100は、多段プレス装置1によって所望の品質のプレス品が成形できるように、多段プレス装置1が備える複数の金型を調整する工程である。
本実施形態においては、調整を行う一対の金型として、下型20及び中間型30を選定する。この時、中間型30においては、成形面30aが調整面となる。
なお、通常、上型10と中間型30とを固定することはできないが、締結機構11と同様に構成された締結機構14を、上型10における、中間型30の締結機構31に対向する部分に設けることにより、上型10の締結機構14と中間型30の締結機構31とを介して、上型10と中間型30とを固定することが可能となる。
シム60は、上型10と中間型30との間の隙間を埋めるための板材である。
シム70は、シム60と略同様に構成された板材である。
図7に示すように、中間型30は、上型10の成形面10aと中間型30の成形面30bとが対向するように、上型10に固定されているため、プレス品の成形時には、上型10が成形反力を受け止め、中間型30の変形を抑制する。つまり、プレス品の成形時の反力に抗するように、上型10が中間型30を支持するのである。
この時、上型10と中間型30との間に設けられた複数のシム60・60・・・によって、成形反力による中間型30の上方への撓みが抑制される。更に、上型10とパッド12との間に設けられたシム70によって、パッド12の上方への移動が規制され、それに伴って、中間型30の上方への撓みが抑制される。
こうして、多段プレス装置1と同様に、一段構造のプレス装置においても、下型20及び中間型30によるプレス加工時に中間型30に付与される反力が上型10によって受け止められることとなるため、上型10の成形面10aと中間型30の成形面30bとが対向するように、中間型30を上型10に固定することにより、一段構造のプレス装置上で多段プレス装置1としてのプレス加工を模擬することができる。
なお、上型10の成形面10aと、中間型30の成形面30bとの間に、上型10と中間型30とによって成形されたプレス品を介在させることも可能である。
これにより、一段構造のプレス装置上で多段プレス装置1としてのプレス加工を良好に模擬することができる。
ステップS120にて成形されたプレス品が所望の品質ではない場合、ステップS140の工程を行う。
ステップS120にて成形されたプレス品が所望の品質である場合、ステップS150の工程を行う。
本実施形態においては、下型20及び中間型30の調整を行う。
詳細には、下型20の成形面20a及び中間型30の成形面30aの加工(切削及び肉盛り)、並びに下型20のガスシリンダ23の圧力調整等を行う。
ステップS140の後は、ステップS120に戻り、所望の品質のプレス品が成形されるまで上記の工程を繰り返す。
多段プレス装置1における全ての金型の調整が終了していない場合、ステップS110に戻る。
多段プレス装置1における全ての金型の調整が終了している場合、調整工程S100を終了する。
シム80は、下型20と中間型30との間の隙間を埋めるための板材である。
なお、通常、下型20と中間型30とを固定することはできないが、締結機構21と同様に構成された締結機構24を、下型20における、中間型30の締結機構32に対向する部分に設けることにより、下型20の締結機構24と中間型30の締結機構32とを介して、下型20と中間型30とを固定することが可能となる。
シム90は、シム80と略同様に構成された板材である。
この時、下型20と中間型30との間に設けられた複数のシム80・80・・・によって、成形反力による中間型30の下方への撓みが抑制される。更に、下型20とクッションリング22との間に設けられたシム90によって、クッションリング22の下方への移動が規制され、それに伴って、中間型30の下方への撓みが抑制される。
こうして、多段プレス装置1と同様に、一段構造のプレス装置においても、上型10及び中間型30によるプレス加工時に中間型30に付与される反力が下型20によって受け止められることとなるため、下型20の成形面20aと中間型30の成形面30aとが対向するように、中間型30を下型20に固定することにより、一段構造のプレス装置上で多段プレス装置1としてのプレス加工を模擬することができる。
なお、下型20の成形面20aと、中間型30の成形面30aとの間に、下型20と中間型30とによって成形されたプレス品を介在させることも可能である。
これにより、一段構造のプレス装置上で多段プレス装置1としてのプレス加工を良好に模擬することができる。
また、一段構造のプレス装置のボルスタ103に取り付けられた下型20に、締結機構14・31を介して中間型30を取り付けて、中間型30とボルスタ103との相対位置を一定とすることによって、一段構造のプレス装置上で多段プレス装置1としてのプレス加工を模擬した状態で、一対の金型としての上型10及び中間型30によるプレス加工を行うことができる。
したがって、調整工程S100によれば、多段プレス装置1における複数の金型を一段単位で(一対の金型ごとに)調整することができる。
例えば、本発明に係る多段プレス装置として、二つの中間型を具備する多段プレス装置を適用した場合には、第一に、上型と二つの中間型とを固定した状態で、下型及び当該下型に隣接する中間型の調整を行い、第二に、下型と二つの中間型とを固定した状態で、上型及び当該上型に隣接する中間型の調整を行い、第三に、下型と当該下型に隣接する中間型とを固定し、上型と当該上型に隣接する中間型とを固定した状態で、下型に隣接する中間型及び上型に隣接する中間型の調整を行えばよい。
2 スライド
3 ボルスタ
10 上型
11 締結機構
12 パッド
13 ガスシリンダ
20 下型
21 締結機構
22 クッションリング
23 ガスシリンダ
30 中間型
30c 着脱部
31、32 締結機構
40、50 支持部材
102 スライド(取付部材)
103 ボルスタ(取付部材)
Claims (2)
- 多段プレス装置が備える複数対の金型のうちの一対の金型を一段構造のプレス装置に取り付け、当該一対の金型によって成形されるプレス品の品質に基づいて、当該一対の金型を調整する、金型の調整方法であって、
前記複数対の金型は、下面に成形面が形成され、前記多段プレス装置の上部に配置される上型と、上面に成形面が形成され、前記多段プレス装置の下部に配置される下型と、上下面にそれぞれ成形面が形成され、前記二つの金型の間に配置される、少なくとも一つの中間型と、から成り、
前記一段構造のプレス装置は、前記上型及び前記下型を取り付け可能な一対の取付部材を有し、
前記一対の金型によって前記プレス品を成形する際には、
前記一対の金型に含まれる中間型に、前記取付部材に取り付け可能な機構を設け、当該中間型を前記一段構造のプレス装置における、当該中間型の調整面とは反対側に位置する取付部材に取り付けることにより、当該中間型と、当該取付部材との相対位置を一定とすると共に、
前記中間型における調整面とは反対側の面と、前記取付部材における、前記中間型が取り付けられる面とに当接する支持部材を設けることにより、前記プレス品の成形時の反力に抗するように、前記一対の金型に含まれる中間型を支持する、
ことを特徴とする、金型の調整方法。 - 多段プレス装置が備える複数対の金型のうちの一対の金型を一段構造のプレス装置に取り付け、当該一対の金型によって成形されるプレス品の品質に基づいて、当該一対の金型を調整する、金型の調整方法であって、
前記複数対の金型は、下面に成形面が形成され、前記多段プレス装置の上部に配置される上型と、上面に成形面が形成され、前記多段プレス装置の下部に配置される下型と、上下面にそれぞれ成形面が形成され、前記二つの金型の間に配置される、少なくとも一つの中間型と、から成り、
前記一段構造のプレス装置は、前記上型及び前記下型を取り付け可能な一対の取付部材を有し、
前記一対の金型によって前記プレス品を成形する際には、
前記上型及び前記下型を前記一段構造のプレス装置における一対の取付部材に取り付け、
前記多段プレス装置における、前記一対の金型に含まれる中間型の調整面とは反対側に位置する全ての金型を、対応する成形面同士が対向する状態で、当該中間型と共に一体的に固定することにより、当該中間型と、前記一段構造のプレス装置における、当該中間型の調整面とは反対側に位置する取付部材との相対位置を一定とすると共に、前記プレス品の成形時の反力に抗するように、前記一対の金型に含まれる中間型を支持し、
前記一体的に固定された金型のうちの隣接する金型の間に、当該隣接する金型によって成形されたプレス品を介在させる、
ことを特徴とする、金型の調整方法。
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