JP2009241082A - プレス加工装置及びプレス加工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】プレス加工装置10では、上パッド22が下降して第1支持面18aとの間でワーク50を挟むタイミングが、上曲げ刃がワーク50に接触するタイミングよりも遅くならないように調整されている。上曲げ刃がワーク50に接触したタイミング以降における上曲げ刃の下端の高さと、絞り加工パッド20が第3支持面14aとの間でワーク50を挟んだタンミング以降における絞り加工パッド20の第2押さえ面20aの高さが、上曲げ刃と絞り加工パッド20の境界において、同一高さを維持して下降する関係に調整されている。
【選択図】 図1
Description
そこで、ワークに絞り加工を行わず、曲げ加工によってワークを所定の形状に加工することが考えられる。曲げ加工では、絞り加工のようにワークの周縁部を挟んで加工する必要がないことから、ワークに実際の製品には不要な周縁部を設ける必要がない。そのため、曲げ加工では、絞り加工と比較して材料の歩留まりが向上する。しかしながら、曲げ加工では、絞り加工と異なり、ワークに複雑な形状を加工することができない。
しかしながら、単に上記した要件を備えているだけのプレス加工装置では、曲げ加工された部分と絞り加工された部分が滑らかに連続したワークを得ることができなかった。
本発明のプレス加工装置は、上記した構成に加えて、以下の構成を備えていることを特徴とする。
(1)上パッドが下降して第1支持面との間でワークを挟むタイミングは、上曲げ刃がワークに接触するタイミングよりも遅くならないように調整されている。
(2)上曲げ刃がワークに接触したタイミング以降における上曲げ刃の下端の高さと、絞り加工部が第3支持面との間でワークを挟んだタンミング以降における絞り加工部の下面の高さが、上曲げ刃と絞り加工部の境界において、同一高さを維持して下降する関係に調整されている。
この構成によれば、均一な板厚のワークに曲げ加工と絞り加工を同時に行うことができる。
戴置工程では、下曲げ刃の第1支持面と、下曲げ刃に並置されているとともに下曲げ刃に対して上下動不能なポンチの第2支持面と、第2支持面の周縁に沿って配置されているとともにポンチに対して上下動可能な下パッドの第3支持面にワークを戴置する。位置決め工程では、下曲げ刃に対して上パッドを下降させることによって第1支持面との間でワークを挟んで位置決めする。曲げ加工工程では、上曲げ刃を下曲げ刃に対して下降させて下降途中でワークと接触させ、上曲げ刃をさらに下降させて上曲げ刃と下曲げ刃との間でワークに曲げ加工を行う。絞り加工工程では、絞り加工部をポンチに対して下降させて下降途中で第3支持面との間でワークを挟ませ、絞り加工部をさらに下降させて第3支持面との間でワークを挟ませた状態で下パッドを押し下げることによって絞り加工部とポンチとの間でワークに絞り加工を行う絞り加工工程を有する。
位置決め工程は、上曲げ刃がワークに接触するタイミングよりも遅くならないように調整されている。また、上曲げ刃がワークに接触したタイミング以降における上曲げ刃の下端の高さと、絞り加工部が第3支持面との間でワークを挟んだタンミング以降における絞り加工部の下面の高さが、上曲げ刃と絞り加工部の境界において、同一高さを維持して下降する関係に調整されている。
このプレス加工方法によれば、ワークが曲げ加工される部分に周縁部を設ける必要がなくなる。これにより、全体が絞り加工される場合と比較して、材料の歩留まりを向上させることができる。また、このプレス加工方法によれば、絞り加工された部分と曲げ加工された部分が滑らかに連続したワークを得ることができる。
例えば、自動車に用いられる部品は、軽量であることと剛性が高いことが求められる。そのため、自動車に用いられる部品には、高張力材料が用いられることが多い。低張力材料を用いて剛性の高い部品を作製するためには、材料の板厚を厚くしなければならず、部品の重量が重くなるからである。一方において、高張力材料は、低張力材料と比較して延びにくいため、絞り加工が難しい。上記したプレス加工方法では、高張力材料の第1ワークと低張力材料の第2ワークを有するワークを用いて部品が作製される。これにより、上記したプレス加工方法で加工されたワークの剛性を、同一の板厚の低張力材料で作製されたワークの剛性と比較して高くすることができる。また、上記したプレス加工方法では、低張力材料の第2ワークのみに絞り加工を行う。そのため、絞り加工を容易に行うことができる。また、絞り加工後にワークの周縁部を切り取る際にも、低張力材料であることから比較的簡単にきれいに切り取ることができる。
プレス加工方法によって加工されたワークは、加工後の形状によって剛性が高くなる場合がある。特に、ワークが高張力材料で作製されている場合、ワークの剛性は非常に高くなる。外形抜き加工されるワークの剛性が高くなると、外形抜き加工に用いられる切刃に大きな負荷がかかってしまう。この結果、切刃の耐久性が低下し、頻繁に切刃を交換しなければならなくなってしまう。このプレス加工方法によれば、曲げ加工後の高張力材料のワークに外形抜き加工する必要がない。
(形態1) 下曲げ刃は、第1支持面から上パッドに向かって突出する複数の位置決め用突起を有している。ワークは、第1支持面で支持された状態で位置決め用突起が貫通する位置決め用孔を有している。ワークセット工程では、ワークの位置決め用孔に位置決め用突起を貫通させることによって、プレス加工装置に対するワークの位置決めを行う。
下型12は、プレス加工機(図示省略)のボルスタ30上に固定されている。下型12には、プレス加工機のクッションピン32を貫通させる複数のピン用孔12aが形成されている。下型12の上面には、ポンチ16と下曲げ刃18が固定されている。ポンチ16と下曲げ刃18は一体で形成されている。ポンチ16の上端には、ワーク50を支持する第2支持面16aが形成されている。下曲げ刃18の上端には、第1支持面18aが形成されている。第2支持面16aと第1支持面18aは、ボルスタ30の上面に対して同一の高さに形成されている。ポンチ16と下曲げ刃18は、別体で形成されていてもよい。また、第1支持面18aには、2つの位置決めピン18bが略垂直に突設されている。
上型26の下面には、絞り加工パッド20が固定されている。絞り加工パッド20の下端には、クッションパッド14の第3支持面14aに対向する第2押さえ面20aが形成されている。図2に示すように、上型26の下面には、2つの上曲げ刃24が固定されている。2つの上曲げ刃24は、上パッド22を挟んで対向して配置されている。図3に示すように、上曲げ刃24は、上パッド22の長手方向に沿って配置されている。上曲げ刃24の下面24aは、絞り加工パッド20の第2押さえ面20aと同一の高さに位置している。下面24aは、第2押さえ面20aに連なって配置されている。また、上パッド22の第1押さえ面22aは、プレス加工前の状態で、下面24aと第2押さえ面20aよりも下方に位置している。
第2ワーク54は、第1ワーク52と比較して引張応力の低い低張力鋼材で作製されている。例えば、第2ワーク54は、引張応力が590MPa以下の鋼材で作製されている。第2ワーク54は矩形状の平板である。第2ワーク54の板厚は、第1ワーク52の板厚と同一の板厚である。
プレス加工機が駆動して、図1に示す位置からラム34がボルスタ30に対して下降すると、上型26が下型12に対して下降する。絞り加工パッド20と上曲げ刃24は、上型26の下降に伴って、同一速度で下降する。ワーク50は、第1押さえ面22aと第1支持面18aによって挟まれて位置決めされる。この位置からさらに上型26が下降すると、窒素ガスシリンダ28が圧縮されて、上パッド22は下降しない。ワーク50は、窒素ガスシリンダ28の復元力によって、強固に位置決めされる。
図8は、下死点でのプレス加工装置10の縦断面図である。図7の状態から図8の状態に至るまで、絞り加工パッド20と上曲げ刃24を同一速度で下降する。これにより、プレス加工装置10がワーク50を加工している間、第2押さえ面20aの高さと下面24aの高さが同一高さに維持される。
ラム34が下死点まで下降すると、プレス加工機のロック機構(図示省略)によって、クッションピン32の位置が固定される。ラム34が下死点まで下降して加工が終了すると、上型26は、ラム34の上昇に伴って上昇する。クッションピン32は、クッションピン32のロックが解除されてクッションパッド14によってワーク50が持ち上げられたときに、ワーク50と接触しない位置まで上パッド22が上昇すると、ロックが解除され上方に移動する。
上記したプレス加工装置10では、加工前の状態で、第2支持面16aと第1支持面18aと第3支持面14aが同一の高さに配置されている。ワーク50は、第2支持面16aと第1支持面18aと第3支持面14aによって支持される。また、絞り加工パッド20の第2押さえ面20aと上曲げ刃24の下面24aが、同一の高さに配置されている。この結果、下面24aと第2押さえ面20aは、ワーク50に対して同一の高さに配置されることとなる。上型26が下降して、下面24aが第1ワーク52に接触するタイミングは、第2押さえ面20aが第2ワーク54に接触するタイミングと同一タイミングになる。即ち、上曲げ刃24が第1ワーク52に接触するタイミングと、絞り加工パッド20がクッションパッド14との間で第2ワーク54を挟むタイミングが同時となる。これにより、第1ワーク52に曲げ加工を開始するタイミングと第2ワーク54に絞り加工を開始するタイミングを同時にすることができる。
上記した実施例では、第1ワーク52と第2ワーク54の板厚は同一であった。しかしながら、第1ワーク52と第2ワーク54の板厚が異なっていてもよい。図10に示すように、第2ワーク54の板厚が第1ワーク52の板厚よりも厚い場合この場合、ワーク50の一方の面が同一平面となるように、第1ワーク52と第2ワーク54を接合する。この場合、図11に示すように、プレス加工装置10では、第2支持面16aと第3支持面14aの高さが、第1支持面18aの高さに対して板厚の差だけ低く調整されている。この結果、絞り加工パッド20の第2押さえ面20aと上曲げ刃24の下面24aの高さは、第2支持面16aと第1支持面18aと第3支持面14a上にセットされたワーク50の上面に対して同一の高さとなる。これにより、プレス加工装置10は、同一タイミング、同一高さで絞り加工と曲げ加工を開始することができる。
上記した実施例では、第1ワーク52と第2ワーク54は、いずれも矩形状の平板であった。しかしながら、図12に示すように、第1ワーク52と第2ワーク54は、予めスタンピング加工等によって加工されていてもよい。この場合、第1ワーク52の第1領域52bと第2ワーク54の第2領域54aが同一平面上になるように加工する。第1領域52bは、上曲げ刃24の下面24aが接触する領域である。第2領域54aは、クッションパッド14と絞り加工パッド20が挟む領域である。この場合、プレス加工装置10では、第2支持面16aと第1支持面18aと第3支持面14aの高さを調整することによって、ワーク50が第2支持面16aと第1支持面18aと第3支持面14a上にセットされたときに、第1領域52bと第2領域54aの高さが、絞り加工パッド20の第2押さえ面20aと下面24aに対して同一の高さになるように調整する。これにより、プレス加工装置10は同一タイミング、同一高さで絞り加工と曲げ加工を開始することができる。
上記した実施例では、第1ワーク52と第2ワーク54は、ともに矩形状の平板であった。しかしながら、第1ワーク52と第2ワーク54は、矩形状でなくてもよい。図13は、第1ワーク52が矩形状の平板でない場合のワーク50の一例を示す斜視図である。この場合、図14に示すように、第1ワーク52は、第2ワーク54と接合される前に、鋼板60を破線64の位置で外形抜き加工して作製してもよい。あるいは、第2ワーク54と接合した後で第1ワーク52を外形抜き加工して作製してもよい。この場合、図15に示すように、プレス加工装置10では、上曲げ刃24の下面24aが、第1ワーク52の形状に合わせて第2押さえ面20aに対して傾斜している。上曲げ刃24と絞り加工パッド20の境界では、下面24aと第2押さえ面20aの高さが同一の高さに調整されている。
この構成によれば、上曲げ刃24と絞り加工部20の境界において、第2押さえ面20aと第3支持面14aとの間で挟まれている第2ワーク54の高さと上曲げ刃24の下端に接触する第1ワーク52の高さを同一高さに維持しながら、絞り加工と曲げ加工を同時に行うことができる。これにより、絞り加工された部分と曲げ加工された部分が滑らかに連続したワークを得ることができる。なお、第1ワーク52と第2ワーク54の形状は、加工後の形状に合わせて適宜選択することができる。
例えば、ワーク50は、均一の材料、均一の板厚で作製されていてもよい。この場合、ワーク50は、レーザ接合等を用いることなく、一枚の鋼板で作製してよい。
また、例えば、窒素ガスシリンダ28は、バネやウレタンスプリングであってもよい。
また、例えば、クッションピン32が無くてもよい。この場合、クッションパッド14がポンチ16に対して上下動可能に支持される構成(例えば窒素ガスシリンダ等)を下型12に配置してもよい。また、例えば、プレス加工機にロック機構が無くてもよい。この場合、クッションパッド14の上昇がラム34の上昇に対して遅くなる構成(例えばダンパ等)を配置してもよい。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は、複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
12:下型
14:クッションパッド
14a:第3支持面
16:ポンチ
16a:第2支持面
18:下曲げ刃
18a:第1支持面
20:絞り加工パッド
20a:第2押さえ面
22:上パッド
22a:第1押さえ面
22b:成形部
22c:逃がし穴
24:上曲げ刃
24a:下面
50:ワーク
52:第1ワーク
54:第2ワーク
56:接合部
Claims (5)
- ワークを支持する第1支持面を有する下曲げ刃と、
前記下曲げ刃に対して上下動可能であり、下降することによって前記第1支持面との間で前記ワークを挟んで位置決めする上パッドと、
前記下曲げ刃に対して上下動可能であり、下降途中で前記ワークに接触するとともに、さらに下降することによって前記下曲げ刃との間で前記ワークに曲げ加工を行う上曲げ刃と、
前記下曲げ刃に並置されており、前記ワークを支持する第2支持面を有するとともに、前記下曲げ刃に対して上下動不能なポンチと、
前記第2支持面の周縁に沿って配置されており、前記ワークを支持する第3支持面を有するとともに、前記ポンチに対して上下動可能な下パッドと、
前記ポンチに対して上下動可能であり、下降途中で前記第3支持面との間で前記ワークを挟むとともに、さらに下降して前記第3支持面との間で前記ワークを挟んだ状態で前記下パッドを押し下げることによって前記ポンチとの間で前記ワークに絞り加工を行う絞り加工部と、
を備えており、
前記上パッドが下降して前記第1支持面との間で前記ワークを挟むタイミングは、前記上曲げ刃が前記ワークに接触するタイミングよりも遅くならないように調整されており、
前記上曲げ刃が前記ワークに接触したタイミング以降における前記上曲げ刃の下端の高さと、前記絞り加工部が前記第3支持面との間で前記ワークを挟んだタンミング以降における前記絞り加工部の下面の高さが、前記上曲げ刃と前記絞り加工部の境界において、同一高さを維持して下降する関係に調整されていることを特徴とするプレス加工装置。 - 前記上曲げ刃が前記ワークに接触するタイミングにおいて、前記第1支持面の高さと、前記第2支持面の高さと、前記第3支持面の高さが同一高さに調整されていることを特徴とする請求項1に記載のプレス加工装置。
- 下曲げ刃の第1支持面と、前記下曲げ刃に並置されているとともに前記下曲げ刃に対して上下動不能なポンチの第2支持面と、第2支持面の周縁に沿って配置されているとともに前記ポンチに対して上下動可能な下パッドの第3支持面にワークを戴置する戴置工程と、
前記下曲げ刃に対して上パッドを下降させることによって前記第1支持面との間で前記ワークを挟んで位置決めする位置決め工程と、
上曲げ刃を前記下曲げ刃に対して下降させて下降途中で前記ワークと接触させ、前記上曲げ刃をさらに下降させて前記上曲げ刃と前記下曲げ刃との間で前記ワークに曲げ加工を行う曲げ加工工程と、
絞り加工部を前記ポンチに対して下降させて下降途中で前記第3支持面との間で前記ワークを挟ませ、前記絞り加工部をさらに下降させて前記第3支持面との間で前記ワークを挟ませた状態で前記下パッドを押し下げることによって前記絞り加工部と前記ポンチとの間で前記ワークに絞り加工を行う絞り加工工程と、
を有しており、
前記位置決め工程は、前記上曲げ刃が前記ワークに接触するタイミングよりも遅くならないように調整されており、
前記上曲げ刃が前記ワークに接触するタイミングと、前記絞り加工部が下降して前記第3支持面との間で前記ワークを挟むタイミングが同時となるように調整されており、
前記上曲げ刃が前記ワークに接触したタイミング以降における前記上曲げ刃の下端の高さと、前記絞り加工部が前記第3支持面との間で前記ワークを挟んだタンミング以降における前記絞り加工部の下面の高さが、前記上曲げ刃と前記絞り加工部の境界において、同一高さを維持して下降する関係に調整されていることを特徴とするプレス加工方法。 - 前記ワークは、高張力材料の第1ワークと低張力材料の第2ワークが接合されることによって作製されており、
前記戴置工程で、前記第1ワークが前記第1支持面に支持され、前記第2ワークが前記第2支持面と前記第3支持面に支持されるようにワークを戴置することを特徴とする請求項3に記載のプレス加工方法。 - 前記曲げ加工工程の前に、前記第1ワークの外形形状を所定の形状にする外形抜き工程を実施することを特徴とする請求項3又は4に記載のプレス加工方法。
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