JP5739828B2 - アルミニウム合金積層板 - Google Patents

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本発明は、アルミニウム合金熱交換器用の、強度と耐エロージョン性に優れたアルミニウム合金積層板(以下、アルミニウムをAlとも言う)に関するものである。ここで積層板とは、少なくとも心材アルミニウム合金板とアルミニウム合金犠牲防食材とをクラッドした積層板である。この積層板はろう付けによって熱交換器とされる熱交換器用の素材である。したがって、単にアルミニウム積層板(あるいは積層板)と言う場合は、ろう付け処理前あるいはろう付け相当の加熱処理前のアルミニウム合金積層板(単に積層板とも言う)のことを指す。
自動車の車体軽量化のため、従来から使用されている銅合金材に代わって、熱交部材にも、アルミニウム合金材の適用が増加しつつある。そして、これら熱交部材用アルミニウム合金材は、多層化させた積層板(クラッド板、クラッド材とも言う)からなる耐食性アルミニウム合金材が用いられている。
前記積層板は、ろう付けにより熱交換器として組み立てられる場合には、心材(板)の一方の面にアルミニウム合金犠牲防食材(板)と、他面にアルミニウム合金ろう付け材(板)とを各々クラッドした、積層板(ブレージングシート)として構成される。
図3にアルミニウム合金製自動車用熱交換器(ラジエータ)の例を示す。図3のように、ラジエータ100は、一般的には、複数本設けられた扁平管状のアルミニウム合金製チューブ111の間に、コルゲート状に加工したアルミニウム合金製放熱フィン112を一体に形成し、このチューブ111の両端はヘッダ113とタンク(図示しない)とで構成される空間にそれぞれ開口した構成となっている。かかる構成のラジエータ100は、一方のタンクの空間からチューブ111内を通して高温になった冷媒を、他方のタンク側の空間に送り、チューブ111および放熱フィン112の部分で熱交換して、低温になった冷媒を再び循環させる。
このアルミニウム合金材からなるチューブ111は、図4に断面を示す、アルミニウム合金製ブレージングシート101から構成される。この図4において、ブレージングシート101は、アルミニウム合金製心材102の一側面に、アルミニウム合金製犠牲陽極材(皮材とも言う)103を積層(クラッド)し、心材102の他側面に、アルミニウム合金製ろう材104を積層(クラッド)している。なお、この図4において、アルミニウム合金製クラッドシートの場合には、一方の面にアルミニウム合金犠牲防食材103のみをクラッドした積層板として構成される。
このようなブレージングシート101を、成形ロールなどによって偏平管状に形成し、電縫溶接することによって、あるいは、ろう付け加熱することによって、ブレージングシート101自体がろう付けされて前記図4のチューブ111の流体通路が形成されている。
ラジエータの冷媒(クーラント)は、水溶性媒体が主成分であり、これに市販の防錆剤などを適宜含んだ冷媒が使用されている。しかし、防錆剤などが経時劣化した場合に酸を生成し、前記犠牲材や心材などのアルミニウム合金材が、これらの酸により腐食されやすくなるという問題がある。このため、水溶性媒体に対する高耐食性を有するアルミニウム合金材の使用が必須となる。
したがって、ブレージングシートやクラッドシートの積層板に用いるアルミニウム合金として、心材102は、耐食性と強度の観点から、JISH4000に規定されている、例えば、Al−0.15質量%Cu−1.1質量%Mnなどの組成からなる、3003などのAl−Mn系(3000系)合金が用いられている。また、冷媒に常時触れている皮材103には、防食と心材102へのMg拡散による高強度化を狙って、Al−1質量%Znの組成などからなる7072などのAl−Zn系、または、Al−Zn−Mg系(7000系)合金が用いられている。更に、ろう材104には、低融点であるAl−10質量%Siなどの組成からなる4045などのAl−Si系(4000系)合金が用いられている。
ラジエータ100は、このようなブレージングシート101を用いて形成したチューブ111と、コルゲート加工を行った放熱フィン112と、その他の部材とを用いて、ブレージングにより一体に組み立てられる。ブレージングの手法としては、フラックスブレージング法、非腐食性のフラックスを用いたノコロックブレージング法などがあり、600℃前後の高温に加熱してろう付けされる。
このようにして組み立てられたラジエータ100内、特にチューブ111内は、高温から低温、かつ、高圧から常圧の、前記した液体冷媒が常時流通・循環することになる。すなわち、チューブ111には、これら繰り返しの内圧変動や、自動車自体の振動を含めて(加えて)、長時間にわたり、繰り返し応力がかかるため、これらに耐える強度が要求される。仮に、強度が低く、疲労破壊が生じた場合には、チューブ111のクラックとして発生、進展し、チューブ111を貫通すると、ラジエータからの液漏れの原因になる。このため、ラジエータチューブの強度改善は重要課題とされている。
従来から、このラジエータチューブの強度あるいは疲労特性の改善が種々提案されている。代表的には、アルミニウム合金ブレージングシートにおける心材の平均結晶粒径を制御して、チューブ111の繰り返し曲げによる疲労破壊性=自動車の振動下での耐振動疲労特性を改善しようとするものである。また、ろう付け後のブレージングシートの心材と犠牲材の界面近傍の心材側界面部で、特定の析出物( 金属間化合物) を分布させ、心材側界面部の強度を上げて、疲労特性を改善しようとしているものもある。
ただ、これら提案されている、従来の自動車のラジエータチューブの心材は、全て板厚が0.20mmをはるかに超える、比較的厚肉である。これに対して、地球環境問題から来る燃費向上のための自動車軽量化によって、ラジエータの軽量化が図られている。このため、ラジエータチューブ、即ちアルミニウム合金ブレージングシートのより一層の薄肉化が検討されている。
ラジエータチューブの心材が前記比較的厚肉である場合には、チューブ自体の剛性が比較的高い。これに対して、ラジエータチューブ、主には、ブレージングシートなどの積層板の板厚が薄肉化された場合には、チューブ自体の剛性が低くなる。一方、使用される冷媒の圧力は、従来よりも高く設定されることが多くなっている。したがって、これらの相乗効果によって、ブレージングシートなど積層板の板厚が薄肉化された場合には、前記繰り返し応力による疲労破壊に対する感受性が高くなり、疲労特性が低下してしまう傾向がある。このような疲労破壊が発生した場合には、ラジエータチューブに亀裂(クラック、割れ)が生じ、薄肉化された場合に、このような亀裂の発生は、チューブを貫通し、ラジエータの液漏れにつながる可能性が高く、より深刻なダメージとなる。
また、ブレージングシートなど積層板の板厚が薄肉化された場合には、前記ろう付けの際に、Al合金ブレージングシートのろう材が心材を侵食し、心材厚さを減少させる現象であるエロージョン現象が生じた場合には、やはり深刻なダメージとなる。
このように薄肉化されたラジエータチューブの強度あるいは疲労特性、更には耐エロージョン性の向上に対しては、これまでも改善策が種々提案されている。その代表例は、微細な析出物(金属間化合物)の制御である。例えば、特許文献1では、板厚が0.25mm程度ではあるが、心材の0.02〜0.2μm程度の金属間化合物を数密度で10〜2000個/μm3 含有させる。そして、この金属間化合物の作用によって、分散硬化により強度を向上させ、ろう付け加熱中に生じる再結晶粒を粗大かつパンケーキ状にする。そして、粒子の界面に拡散元素がトラップされる作用により、心材の組成がブレージング中の拡散により変化するのを防止させる。
また、特許文献2では、心材の平均結晶粒径を50μm以下に微細化させるとともに、6万倍のTEMで観察される、0.01〜0.1μm(10〜100nm)の径のAlおよびMnを含有する化合物の数を規制して、前記した耐エロージョン性を向上させる。
更に、特許文献3では、0.25mm未満の薄肉である心材アルミニウム合金板の圧延面板厚中心部での50000倍のTEMにより観察される円相当直径の平均値が0.1〜0.5μm(100〜500nm)の範囲の析出物の平均数密度を150個/μm3 以下とした組織としている。これは、ブレージングシートの板厚が薄肉化された場合の、疲労特性における疲労破壊のメカニズムには2種類あり、疲労破壊による亀裂(クラック、割れ)の発生よりも、亀裂伝播(速度)が支配的な場合と、疲労破壊による亀裂(クラック、割れ)の伝播(速度)よりも、亀裂の発生が支配的な場合とであることを特許文献3が知見したためである。
すなわち、これら二つの疲労破壊のメカニズムに対して、疲労特性を向上させるための冶金的に有効な手段も各々異なり、疲労破壊による亀裂(クラック、割れ)の発生よりも、亀裂伝播(速度)の方が支配的な場合には、この疲労破壊の伝播(速度)は、熱交換器を構成する前記積層板の心材アルミニウム合金板の組織、即ち、平均結晶粒径と比較的微細な析出物の平均数密度とに大きく影響されるという。これに対して、疲労破壊による亀裂(クラック、割れ)の伝播(速度)よりも、亀裂の発生の方が支配的な場合には、この亀裂の発生のしやすさは、熱交換器を構成する前記積層板の心材アルミニウム合金板の組織、即ち、平均結晶粒径と比較的粗大な分散粒子の平均数密度とに大きく影響されるという。
特許文献3では、この内、疲労破壊による亀裂(クラック、割れ)の発生よりも、疲労破壊の伝播(速度)が支配的な場合の疲労特性を向上させるものであり、熱交換器用素材としての心材アルミニウム合金板の組織、あるいは、ろう付け相当の加熱した後の心材アルミニウム合金板の組織における、平均結晶粒径と微細な析出物の平均数密度を制御、規制して、疲労破壊の伝播を抑制し、疲労破壊の伝播が支配的な場合の疲労寿命(疲労特性)を向上させるものである。因みに、この特許文献3では、前記析出物とは、Si、Cu、Mn、Tiなどの合金元素あるいはFe、Mgなどの含有される元素同士の金属間化合物や、これら元素とAlとの金属間化合物であって、形成元素(組成)にはよらず、組織観察によって、上記大きさから識別できる金属間化合物の総称であるとする。
特開平8−246117号公報 特開2002−126894号公報 特開2009−191293号公報
ただ、これら従来のブレージングシートよりも、更に心材が0.20mm未満の薄肉化した厚み(板厚) で、しかも高強度で耐エロージョン性に優れた、ブレージングシートの要求も出始めている。このような心材が0.17mm未満の薄肉化したブレージングシートに対して、前記従来技術における心材アルミニウム合金板の組織制御、すなわち、平均結晶粒径と微細な析出物の数密度の制御、規制のような改善策だけでは、要求される高強度化や耐エロージョン性に対応しきれないのが実情である。
このような問題に鑑み、本発明の目的は、心材がより薄肉なブレージングシートにおいても高強度化と耐エロージョン性の向上が可能な、アルミニウム合金熱交換器用のアルミニウム合金積層板を提供することにある。
この目的を達成するために、本発明の強度と耐エロージョン性に優れたアルミニウム合金積層板の要旨は、少なくとも心材アルミニウム合金板とアルミニウム合金犠牲防食材とをクラッドし、ろう付けによって熱交換器とされるアルミニウム合金積層板であって、前記心材アルミニウム合金板が、質量%で、Mn:0.5〜1.8%、Si:0.4〜1.5%、Cu:0.05〜1.2%、Ti:0.03〜0.3%を各々含有するとともに、Fe:1.0%以下(0%を含む)に規制し、更に、Cr:0.02〜0.4%、Zr:0.02〜0.4%、Ni:0.02〜0.4%のうちの1種または2種以上を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金組成を有し、この心材アルミニウム合金板の圧延面板厚中心部で観察される円相当直径が0.5μm以下の分散粒子の平均数密度が10個/μm以上25個/μm以下であり、かつ、前記円相当直径が0.5μm以下の分散粒子に含まれるAl−Mn−Si系分散粒子の平均Mn/Si組成比(質量%換算)が2.50以上であり、かつ、前記円相当直径が0.5μm以下のAl−Mn−Si系分散粒子のうち、Mn/Si組成比(質量%換算)が2.50以上のAl−Mn−Si系分散粒子の体積分率aと、Mn/Si比(質量%換算)が2.50未満のAl−Mn−Si系分散粒子との体積分率bとの比a/bが0.50以上であることとする。
ここで、前記積層板における心材アルミニウム合金板が、更に、Zn:0.2〜1.0質量%を含有することが好ましい。また、前記積層板における心材アルミニウム合金板が、更に、Mgを0.8質量%以下(0%を含む)に規制することが好ましい。また、前記積層板における心材アルミニウム合金板の板厚が0.17mm未満の薄肉であることが好ましい。また、前記積層板の板厚が0.2mm未満の薄肉であることが好ましい。
また、上記各要旨のアルミニウム合金積層板における前記心材アルミニウム合金板が、前記アルミニウム合金積層板が、ろう付けに相当する加熱処理を受けた後でも、あるいはろう付けによって熱交換器とされた後でも、前記心材アルミニウム合金板の板厚中心部で観察される円相当直径が0.5μm以下の分散粒子の平均数密度が5個/μm以上20個/μm以下であり、かつ、前記円相当直径が0.5μm以下の分散粒子に含まれるAl−Mn−Si系分散粒子の平均Mn/Si組成比(質量%換算)が2.50以上であり、かつ、前記円相当直径が0.5μm以下のAl−Mn−Si系分散粒子のうち、Mn/Si組成比(質量%換算)が2.50以上のAl−Mn−Si系分散粒子の体積分率aと、Mn/Si比(質量%換算)が2.50未満のAl−Mn−Si系分散粒子との体積分率bとの比a/bが0.50以上である組織を有することが好ましい。
本発明者らは、心材が0.17mm未満のより薄肉なブレージングシートにおいては、熱交換器に必要な耐エロージョン性は、心材アルミニウム合金板において存在する析出物=分散粒子の数密度に大きく影響されることに加えて、強度に関しては、前記分散粒子の数密度だけでなく、その組成によっても、大きく影響されることを知見した。
すなわち、本発明においても、薄肉なブレージングシートの強度と耐エロージョン性とが、心材組織に存在する析出物に影響される点では、前記従来技術と共通する。しかし、本発明者らは、心材がより薄肉なブレージングシートでは、前記従来技術のように、円相当直径が100nm以下の(サブミクロンレベルの大きさの)析出物の、大括りな密度や個数の規制だけでは、強度の向上には限界があることを知見した。
心材がより薄肉なブレージングシートにおいては、従来では認識できていなかった事項として、前記した通り、熱交換器に必要な強度が、心材アルミニウム合金板において存在する析出物=分散粒子の数密度だけでなく、分散粒子の組成、言い換えると、アルミニウム合金マトリックス中の主要元素の固溶、析出状態にも大きく影響される。先ず、数密度については、分散粒子そのものの効果としての分散硬化による強度向上に寄与する。すなわち、数密度が大きいほど、転位の移動の障害となるため、強度向上効果が増大する。
一方、析出させる分散粒子の組成(マトリックス中の主要元素の固溶、析出状態)ついて、特に、心材に含有されるSiの存在状態の影響が大きい。心材に含有されるSiは、マトリックスに固溶する分と、分散粒子のうち、特にAl−Mn−Si系分散粒子となって析出する分とが存在する。そして、この分散粒子に食われる(消費される)Si量が小さく、固溶するSi量が多いほど、ろう付け加熱後の固溶強化量増大と、Mgを添加している場合ろう付け加熱後の室温保持におけるMgとSiの時効析出物形成量増大によって、心材(熱交換器)に必要な強度が向上する。
従って、単に微細な分散粒子の数密度を増大させるだけは、分散粒子のうちの主に存在するAl−Mn−Si系分散粒子の増大によって、マトリックス中の固溶Si量が低下し、却って強度低下を招くこととなる。このため、分散粒子の数密度の制御に加えて、析出させる分散粒子の組成を、例えば固溶Siが消費されるようなAl−Mn−Si系分散粒子ではなく、Siの量が少ない(固溶Siの消費量が少ない)分散粒子に、制御することが強度向上のために重要となる。
これらAl−Mn−Si系分散粒子中のSi組成(Mn/Si組成比)を変える具体的手法としては、Al−Mn−Si系分散粒子のうちで、Siの量が少ない=Mn/Si組成比が大きいα−AlMnSi相粒子と、Siの量が多い=Mn/Si組成比が小さいβ−AlMnSi相粒子の形成比率を制御する。これらα−AlMnSi相粒子(MnSiAl12)と、β−AlMnSi相粒子(MnSiAl)との形成比率の制御によって、分散粒子の数密度だけでなく、分散粒子の組成を制御することが可能となる。
また、耐エロージョン性に関しては、分散粒子の存在によって、ろう付け焼鈍時に生じる再結晶粒を粗大かつパンケーキ状にし、心材へのろうの拡散を少なくすることでエロージョンを抑制する。微細な分散粒子の数密度が大きいほど、ろう付け焼鈍後の再結晶粒が粗大化、パンケーキ状になりやすく、エロージョン抑制効果が強くなる。しかしながら、前記したように、分散粒子の数密度をただそのまま増大させるだけでは、前記したようにマトリックス中の固溶Si量が低下することによって強度の低下をもたらす影響が大きくなり、無視できなくなるため、更なる高強度化と耐エロージョン特性との両立のための制御がさらに必要となる。
したがって、本発明では、従来と違って、主に存在するAl−Mn−Si系分散粒子の組成を制御することによって、心材、ひいては積層板の強度と耐エロージョン性とを向上させることができる。
前記特許文献2のような0.01〜0.1μm(10〜100nm)の径の析出物の大括りな密度あるいは個数の規制だけでは、本発明のような組成が制御された分散粒子は組織内に好ましい数密度として存在(分散)せず、心材が0.17mm未満のより薄肉なブレージングシートにおいては、強度に大した効果がない。また、前記特許文献3のような円相当直径の平均値が0.1〜0.5μm(100〜500nm)の範囲の析出物の大括りな平均数密度の規制でも、やはり、本発明のような組成が制御された分散粒子は組織内に好ましい数密度として存在(分散)せず、心材が0.20mm未満のより薄肉なブレージングシートにおいては、強度に大した効果がない。
本発明積層板を示す断面図である。 アルミニウム合金製熱交換器を示す断面図である。 一般的なアルミニウム合金製熱交換器を示す断面図である。 一般的なブレージングシートなどの積層板を示す断面図である。
本発明の積層板、ろう付け相当加熱実施後(熱履歴)の積層板およびこれらの心材アルミニウム合金板を実施するための最良の形態について、図1、2を用いて説明する。図1は、本発明の熱交換器用アルミニウム合金積層板の断面図であり、図2は、図1の積層板(熱交換器用アルミニウム合金製チューブ)を用いた、本発明の積層板(自動車用ラジエータチューブ)の要部断面図である。なお、この図1、2の基本的な構成、構造自体は、前記した図4、5と同じである。
(積層板)
本発明の積層板は、熱交換器に組み立てられる前に、先ず、図1に示すアルミニウム合金積層板1として、予め製造される。この積層板1は、ろう付けされる場合には、心材アルミニウム合金板2の一方の面にアルミニウム合金犠牲防食材(板)3と、他面にアルミニウム合金ろう付け材(板)4とをクラッドしたブレージングシートとして構成される。
上記心材アルミニウム合金板2は、後述する特徴的な組織や組成のJIS3000系アルミニウム合金からなる。また、上記ブレージングシートとしては、この心材2の内側である冷媒に常時触れている側(図1の上側)には、後述する犠牲防食材(犠材、内張材、皮材)3として、例えば、Al−Zn組成のJIS7000系などのアルミニウム合金がクラッドされる。更に、心材2の外側(図1の下側)には、例えば、Al−Si組成のJIS4000系などのアルミニウム合金ろう材4がクラッドされる。
本発明の積層板とは、以上のような、心材アルミニウム合金板2を中心とする3層の圧延クラッド材(板)である。この心材アルミニウム合金板の板厚は、前記した熱交換器の軽量化のために、0.17mm未満の0.08〜0.16mmに薄肉化する。この場合、ろう材、犠牲防食材ともその厚さは通常20〜30μm程度の厚みとする。しかし、その被覆率は使われる熱交部材の板厚(用途の仕様)によって異なり、これらの値に限定するものではない。
但し、ブレージングシートなどの積層板1の板厚(主として心材アルミニウム合金板の板厚)は、前記した通り、熱交換器の軽量化の要となる。したがって、積層板の板厚は0.2mm未満の0.15〜0.19mm程度、心材は0.17mm未満の0.08〜0.16mm程度の薄板であることが好ましい。
これらブレージングシートは、均質化熱処理を施した心材アルミニウム合金板(鋳塊)の片面に、犠牲防食材(板)やろう材(板)を重ね合わせて熱間圧延し、次いで冷間圧延、中間焼鈍、冷間圧延を順に施して、H14調質材などのシートを製造する。ここで、均質化熱処理を熱間圧延前に実施しても良い。
(熱交換器)
このブレージングシートなどのアルミニウム合金積層板1を、成形ロールなどにより幅方向に曲折して、管内面側に皮材3が配置されるように偏平管状に形成した後、これを電縫溶接等により、偏平管状のチューブを形成する。即ち、図2に示す、流体通路が形成された偏平管状のチューブ(積層部材)11とする。
このような偏平管状のチューブ(積層部材)11は、コルゲート加工を行った放熱フィン12や、ヘッダ13などの他の部材と、ブレージングにより一体に図2に示す、ラジエータ10などの熱交換器として作製される(組み立てられる)。チューブ(積層部材)11と放熱フィン12とが一体化された部分を熱交換器のコアとも言う。この際、ろう材4の固相線温度以上である、585〜620℃、好ましくは590〜600℃の高温に加熱してろう付けされる。このブレージング工法としては、フラックスブレージング法、非腐食性のフラックスを用いたノコロックブレージング法等が汎用される。
図2の熱交換器において、偏平チューブ(積層部材)11の両端はヘッダー13とタンク(図示せず)とで構成される空間にそれぞれ開口している。そして、一方のタンク側の空間から偏平チューブ11内を通して、高温冷媒を他方のタンク側の空間に送り、チューブ11およびフィン12の部分で熱交換し、低温になった冷媒を再び循環させる。
(心材アルミニウム合金板組織)
ここで、積層板(ろう付け相当加熱前後)における心材アルミニウム合金板は、3000系アルミニウム合金組成からなる。本発明では、この心材アルミニウム合金板の強度と耐エロージョン性を高めるために、ろう付け処理される前のあるいは熱交換器組み立て(熱履歴)前の素材積層板としての、この心材の組織における分散粒子の平均数密度と分散粒子の組成とを規定する。なお、この規定は、アルミニウム合金積層板がろう付けに相当する加熱処理を受けた後でも、あるいはろう付けによって熱交換器とされた後でも、この心材の組織における分散粒子の平均数密度と分散粒子の組成の規定として、熱交換器における前記心材の強度と耐エロージョン性を高めるために有効である。
心材アルミニウム合金板は、ブレージングシートあるいは積層板として、ろう付け加熱後に熱交換器に組み立てられる(組み込まれる)際には、ろう付けの際に、600℃付近の温度に必然的に加熱される。このような加熱履歴を受けても、本発明で規定する上記した化学成分組成などは変化しない。しかし、本発明で規定する分散粒子の平均数密度は、固溶や粗大化などによって、前記ろう付け加熱後の積層板では、前記素材積層板よりも少ない方に変化する。
また、本発明で規定する分散粒子の組成は、このような加熱履歴によって変化し、円相当直径が0.5μm以下のAl−Mn−Si系分散粒子の平均Mn/Si組成比(質量%換算)は大きい方に変化し、また、円相当直径が0.5μm以下のAl−Mn−Si系分散粒子のうち、Mn/Si組成比(質量%換算)が2.50以上のAl−Mn−Si系分散粒子の体積分率aと、Mn/Si比(質量%換算)が2.50未満のAl−Mn−Si系分散粒子との体積分率bとの比a/bも大きい方に変化する。但し、ここで想定している、前記ろう付けの際の加熱や、ろう付けの加熱に相当する加熱履歴では変化が小さい。したがって、本発明における心材の組織における分散粒子の組成規定は、ろう付け処理される前のあるいは熱交換器組み立て(熱履歴)前の素材積層板の段階だけではなく、前記した通り、ろう付けに相当する加熱処理を受けた後でも、あるいはろう付けによって熱交換器とされた後でも、この心材の強度や耐エロージョン性などの特性を保障するための、組織における分散粒子の組成の規定として有効である。
(分散粒子の平均数密度)
本発明では、心材(板)の強度と耐エロージョン性を高めるために、心材アルミニウム合金板の板厚中心部(心材アルミニウム合金板の圧延面板厚中心部)での50000倍のTEMにより観察される、円相当直径が0.5μm以下のサブミクロンレベルの大きさの分散粒子(析出物)の平均数密度を規定する。これによって、本発明では、これらサブミクロンレベルの大きさの分散粒子の平均数密度を好適範囲内に制御したうえで、組織内に積極的に多く存在(分散)させ、これら分散した析出物の作用によって、耐エロージョン性を向上させる。また、強度に関しては、前記分散した析出物の作用に加えて、後記する分散粒子の組成の制御による作用の組合せによって、向上させる。
なお、ここで円相当直径とは、前記TEMで観察される不定形な粒状の分散粒子における「径」の特定で汎用される、公知の規程である。円相当直径とは、粒状の析出物の投影面積と同じ面積を持つ円の直径(単位はnm或いはμm)であり、Heywood径や重心直径とも呼ぶ。本発明では、この円相当直径を持って、分散粒子の大きさと、その平均数密度を規定する。
本発明では、前記素材積層板(心材)やろう付けの際の上記600℃付近の温度での加熱履歴を受けた熱交換器部材としての心材の上記分散粒子の平均数密度を規定する。
より具体的に、本発明では、ろう付け相当加熱後の積層板では、この積層板における心材アルミニウム合金板の、圧延面板厚中心部での50000倍のTEMにより観察される円相当直径が0.5μm以下の分散粒子の平均数密度が5個/μm以上20個/μm以下とした組織とする。
ろう付け相当加熱後の積層板の心材アルミニウム合金板の前記分散粒子の前記平均数密度が前記規程範囲の下限を下回った場合、前記分散粒子による分散強化による強度増大効果が得られない。また、ろう付け焼鈍後の再結晶粒の粗大化効果や、パンケーキ状結晶粒を得る効果がなくなるため、エロージョン抑制効果が得られなくなる。また、ろう付け相当加熱後の積層板の心材アルミニウム合金板の前記分散粒子の前記平均数密度が前記規程範囲の上限を上回った場合、疲労破壊時のクラックの伝搬を担う分散粒子の平均数密度が増大することになり、この挙動を助長することになるため、疲労破壊の伝搬が支配的な場合の疲労寿命(疲労特性)が劣化する。
一方、本発明では、ろう付けの際の加熱履歴を受ける前の、素材積層板段階での心材アルミニウム合金板の前記分散粒子の平均数密度を規定する。この規定は、ろう付け相当加熱後の積層板の心材アルミニウム合金板組織中の前記分散粒子の平均数密度を保障するためである。具体的には、素材積層板段階での心材アルミニウム合金板の、圧延面板厚中心部での50000倍のTEMにより観察される円相当直径が0.5μm以下の分散粒子の平均数密度が10個/μm以上25個/μm以下とした組織とする。
ろう付けの際の加熱履歴を受ける前の、素材積層板段階での積層板の心材アルミニウム合金板の、前記分散粒子の前記平均数密度が、前記規定範囲の下限を下回った場合には、ろう付け相当加熱後の積層板の心材アルミニウム合金板組織中の上記分散粒子の平均数密度が保障できない。また、ろう付けの際の加熱履歴を受ける前の、素材積層板段階での積層板の心材アルミニウム合金板の、前記分散粒子の前記平均数密度が、前記規定範囲の上限を上回った場合には、ろう付け相当加熱後の積層板の心材アルミニウム合金板組織中の上記分散粒子の平均数密度が保障できない。したがって、ろう付け相当加熱後の積層板の心材アルミニウム合金板組織には、本発明のような平均数密度を好適範囲に制御された分散粒子が適当数存在(分散)せず、積層板が0.17mm未満のより薄肉なブレージングシートにおいては、強度と耐エロージョン性との向上効果がなくなる。
これらの分散粒子(析出物)は、含有される元素であるMn、Si、Cu、Ti、Fe、Cr、Zr、Ni、Zn、Mg同士の金属間化合物や、これら元素とAlとの金属間化合物である。そして、本発明で、上記のようにその平均数密度で規定するのは、分散粒子は、形成元素(組成)によらず、その数密度が強度や耐エロージョン性に影響するからである。従って、本発明で言う分散粒子(析出物)とは、前記組成の金属間化合物であって、形成元素(組成)にはよらず、組織観察によって、上記大きさから識別できる金属間化合物の総称である。
(分散粒子の組成)
本発明では、心材(板)が0.17mm未満のより薄肉なブレージングシートにおいて、熱交換器に必要な強度を高めるために、心材アルミニウム合金板の板厚中心部における、円相当直径が0.5μm以下のサブミクロンレベルの大きさの分散粒子(析出物)の平均数密度を規定する。また、これに加えて、これら円相当直径が0.5μm以下の分散粒子(析出物)のうち、Al−Mn−Si系分散粒子の平均Mn/Si組成比(質量%換算)を2.50以上とする。
前記心材アルミニウム合金板の板厚中心部とは、心材アルミニウム合金板の圧延面板厚中心部である。そして、円相当直径が0.5μm以下のサブミクロンレベルの大きさの分散粒子(析出物)の平均数密度は、50000倍のTEMにより観察、測定できる。また、円相当直径が0.5μm以下のサブミクロンレベルの大きさの分散粒子(析出物)のうち、Al−Mn−Si系分散粒子の平均Mn/Si組成比(質量%換算)は前記50000倍のTEM−EDXにより観察、測定できる。
そして、同時に、円相当直径が0.5μm以下のAl−Mn−Si系分散粒子のうち、Mn/Si組成比(質量%換算)が2.50以上のAl−Mn−Si系分散粒子の体積分率aと、Mn/Si比(質量%換算)が2.50未満のAl−Mn−Si系分散粒子との体積分率bとの比a/bを0.50以上とする。
前記した通り、心材が0.17mm未満のより薄肉なブレージングシートにおいては、熱交換器に必要な強度と耐エロージョン性が、心材アルミニウム合金板において存在する分散粒子の平均数密度に加えて、その組成に大きく影響される。
分散粒子の平均Mn/Si組成比:
心材に合金元素として含有され、心材(熱交換器)に必要な強度と耐エロージョン性に効くSiは、マトリックスに固溶する分と、Al−Mn−Si系分散粒子となって析出する分とに分かれる。この分散粒子に消費されるSi量が多くなって、固溶するSi量が少ないと、幾らSiの含有量自体が多くても、心材に必要な強度がSiからは得られない。したがって、本発明では、この分散粒子に食われる(消費される)Si量を極力小さくして、固溶するSi量を増す。
円相当直径が0.5μm以下のAl−Mn−Si系分散粒子の平均Mn/Si組成比は、この心材組織中に固溶している効果的なSi量の目安、すなわち、前記分散粒子に消費されている無駄なSi量の目安である。この分散粒子に消費されるSi量が小さいほど(固溶Si量が多いほど)、分母であるSi量が小さくなって、Mn/Si組成比の値が高くなって好ましい。
本発明では、心材に必要な強度と耐エロージョン性から、この臨界を、円相当直径が0.5μm以下であって、50000倍のTEM−EDXにより観察が可能な小ささまでの、Al−Mn−Si系分散粒子の平均Mn/Si組成比(質量%換算)を2.50以上とする。この平均Mn/Si組成比(質量%換算)が2.50未満では、分母であるSi量=前記分散粒子に消費されている無駄なSi量が大きくなり、固溶するSi量が少なくなって、Siの含有量自体が多くても、心材に必要な強度が得られない。ここで、50000倍のTEM−EDXにより観察が可能な円相当直径とは10nm程度である。 したがって、Al−Mn−Si系分散粒子の円相当直径の下限は好ましくは10nmとし、規定するAl−Mn−Si系分散粒子の円相当直径は好ましくは10nm〜0.5μmの範囲とする。
また、Siの含有量が少ない=Mn/Si組成比が大きいα−AlMnSi相粒子の組成は前述したようにMnSiAl12であることから、α−AlMnSi相粒子の割合が増大するほど、Mn/Si組成比は3.0に近づくことになる。但し、この化合物には組成幅があるため、Mn/Si組成比として実測で得られる上限は5.0程度である。
Al−Mn−Si系分散粒子の体積分率:
同時に、もうひとつの分散粒子の組成の要件として、前記固溶Siの確保だけでなく、これら円相当直径が0.5μm以下のAl−Mn−Si系分散粒子のα型分散粒子とβ型分散粒子との割合も、心材に必要な強度を得るために重要となる。すなわち、前記Al−Mn−Si系分散粒子のうちで、Mnの量が多い=Mn/Si組成比が高い立方晶であるα型分散粒子を多くし、Mnの量が少ない=Mn/Si組成比が低い六方晶であるβ型分散粒子が少ない方が、心材の固溶Si含有量が増大し、心材に必要な強度が向上する。
したがって、本発明では、固溶Si量の確保とともに、心材組織中の前記α型分散粒子を多くして、前記β型分散粒子を少なくすることによって、心材、ひいては積層板の強度を向上させる。但し、α型分散粒子やβ型分散粒子の割合を、正確に、再現性良く、直接測定することは困難である。このため、本発明では、測定しやすく、このα型分散粒子やβ型分散粒子の割合によく相関する、円相当直径が0.5μm以下の個々のAl−Mn−Si系分散粒子のMn/Si組成比(質量%換算)によって、間接的に、α型分散粒子やβ型分散粒子の割合(体積分率)を規定する。
円相当直径が0.5μm以下であって、50000倍のTEM−EDXにより観察が可能な小ささまでのAl−Mn−Si系分散粒子のうち、Mn/Si組成比(質量%換算)が2.50以上のAl−Mn−Si系分散粒子は、Mnの量が多い=Mn/Si組成比が高い立方晶であるα型分散粒子を代表し、その体積分率aはα型分散粒子の体積分率を代表する。また、Mn/Si比(質量%換算)が2.50未満のAl−Mn−Si系分散粒子は、Mnの量が少ない=Mn/Si組成比が低い六方晶であるβ型分散粒子を代表し、その体積分率bはβ型分散粒子の体積分率bを代表する。
本発明では、これら両者の分散粒子の体積分率の比a/bを0.50以上として、心材組織中のα型分散粒子を多くし、β型分散粒子を少なくすることによって、心材、ひいては積層板の強度を向上させる。この比a/bが0.50未満では、心材組織中のα型分散粒子が少なく、β型分散粒子が多くなって、心材、ひいては積層板の強度と耐エロージョン性とを向上させことができない。
また、実際にα型分散粒子の割合が100%になることはないため、a/bの比の上限としては、50程度である。
これらの前記分散粒子(析出物)は、含有される元素であるMn、Si、Cu、Ti、Fe、Cr、Zr、Ni、Zn、Mg同士の金属間化合物や、これら元素とAlとの金属間化合物であるが、本発明では、前記分散粒子の組成に関しては、主としてAl、Mn、Siから構成される析出物、金属間化合物に関するものである。心材に含まれる可能性がある他の元素として、Feは晶出物が主でこの分散粒子の組成に入る可能性は低い。一方、Cr、Zr、Niはこの分散粒子の組成に入る可能性が高い。また、Cu、Znは熱処理が低温でないとこの分散粒子の組成には入らず、後述する本発明における高温域が多い積層板(心材)の製法では固溶している可能性が高い。従って、本発明で言う分散粒子の組成とは、前記TEMによる組織観察によって、前記大きさと組成から、他の分散粒子と識別できる、金属間化合物の組成の総称である。
Cr、Zr、Niは、Al−Mn−Si系分散粒子にも含まれる可能性が高いが、本発明ではCr、Zr、Niの添加量がMnと比較しても相対的に少ないため、Al−Mn−Si系分散粒子のSi組成(Mn/Si組成比)はMn、Si添加量や製造条件によって概ね決まり、Cr、Zr、Ni等の元素による影響は無視できるレベルである。
ちなみに、本発明心材組織において、0.5μmを超える粗大なAl−Mn−Si系分散粒子は、本発明の心材では、その合金組成を、これら粗大な分散粒子が生成しないような組成にしている。このため、仮に組織中にこれら粗大な分散粒子が存在していたとしても、無視できるくらい少数であり、心材、ひいては積層板の強度と耐エロージョン性に対する実害はない。
分散粒子の測定:
これら分散粒子のサイズと組成および平均数密度の測定は、50,000倍のFE−TEM(透過型電子顕微鏡)と、これに付随するX線分光装置(EDX:Energy Dispersive X−ray Spectroscopy、EDSとも言う)によって行う。
具体的には、心材アルミニウム合金板の板厚中心部(ろう付け前の素材積層板であれば圧延面の板厚中心部)を0.05〜0.1mmに機械研磨した後、電解エッチングしてTEM観察用試料に仕上げ、前記FE−TEMを用いて、分散粒子を10視野観察する。そして、分散粒子の平均数密度に関しては、公知のコンタミネーション・スポット法により、TEM観察試料の膜厚tを測定、算出した結果より、観察した10視野の体積合計を求める。また、円相当直径が0.5μm以下の、そして前記FE−TEMにて観察可能な大きさの分散粒子の総個数を10視野の観察写真より画像解析で求め、さらに、前記分散粒子の総個数を前記観察視野合計の体積で割ることによって、分散粒子の平均数密度(個/μm)とした。
また、Al−Mn−Si系分散粒子の組成に関しては、前記FE−TEMで10視野観察した分散粒子の組成を、付随する前記EDXを用いて分析し、このEDXにより、Al−Mn−Si系分散粒子か、Al、Mn、Siを実質的に含まない他の分散粒子かを識別する。
同時に、この識別された個々のAl−Mn−Si系分散粒子につき、そのMn/Si組成比(質量%換算)が2.50以上か、2.50未満かが、同じくEDXにより分析および識別される。そして、Mn/Si組成比(質量%換算)が2.50以上のAl−Mn−Si系分散粒子の合計の(群としての)体積分率aと、Mn/Si比(質量%換算)が2.50未満のAl−Mn−Si系分散粒子の体積分率bとが算出され、この体積分率の比a/bが算出され、このa/bが0.50以上であるか否かが判別される。
上記Al−Mn−Si系分散粒子の体積分率は、前記TEM観察視野面積に対する、Al−Mn−Si系分散粒子の合計面積の割合(面積分率)を、公知のコンタミネーション・スポット法により、TEM観察試料の膜厚tを測定、算出して体積分率に換算したものである。また、Mn/Si組成比が2.50以上の体積分率に関しては、上記Al−Mn−Si系分散粒子より、その規定範囲に適合するものだけを抽出して、それらのみの体積分率に換算したものである。
(分散粒子の制御:積層板の製造)
本発明で規定する範囲内に分散粒子を制御するためには、心材(積層板)の製造工程において、高温域を多くすることが必要である。すなわち、前記した平均Mn/Si組成比が2.50以上の分散粒子、あるいはMnの量が多い=Mn/Si組成比が高い立方晶であるα型Al−Mn−Si系分散粒子を多くする(目安としての前記体積分率a/bの比を0.50以上とする)ためには、これらが生成(析出)しやすい高温域下で長時間保持することが必要となる。
また、円相当直径が0.5μm以下の前記分散粒子の平均数密度を25個/μm以下とするためにも、分散粒子が多数析出する低温域ではなく、高温域下で保持することが必要である。一方、円相当直径が0.5μm以下の前記分散粒子の平均数密度を10個/μm以上とするためには、前記分散粒子の粗大化が顕著に進行し、平均数密度が顕著に低下することを防ぐために、焼鈍温度の上限が必要である。
このためには、心材(積層板)の製造工程において、高温処理工程(高温加熱処理)を多くして、元々鋳造時に晶出したβ型Al−Mn−Si系分散粒子が、α型Al−Mn−Si系分散粒子に相変態するなどの、所望の分散粒子の析出時間をかせぐことが必要となる。また、円相当直径が0.5μm以下の前記分散粒子の数密度の上限を所望の範囲に制御するためにも、高温処理工程(高温加熱処理)を増やして分散粒子の数密度の制御が必要である。
具体的には、450℃以上、好ましくは480℃以上でかつ2時間以上、好ましくは4時間以上の均熱処理(均質化熱処理)および熱延後の450℃以上、好ましくは480℃以上でかつ1分以上の高温での荒鈍処理を各々行う必要がある。また、これに加えて、冷延途中で450℃以上、好ましくは480℃以上での高温の中間焼鈍処理を各々行っても良い。前記均熱処理が450℃以上の長時間であっても、荒鈍工程が無いと(省くと)、あるいは均熱処理か荒鈍処理かのいずれかでも処理(加熱)温度が低いと、前記平均Mn/Si組成比が2.50以上の分散粒子やα型Al−Mn−Si系分散粒子が充分析出するための高温域での時間が不足して、本発明で規定する範囲内に分散粒子を制御できない可能性が高くなる。
一方、円相当直径が0.5μm以下の前記分散粒子の数密度の下限を所望の範囲に制御するためには、加熱温度の上限が必要であり、具体的には、620℃以下、好ましくは610℃以下で、かつ15時間以下、好ましくは10時間以下での均熱処理(均質化熱処理)および熱延後の610℃以下で、かつ4時間以下での高温の荒鈍処理を行う必要がある。
ちなみに、ろう付け温度は600℃の高温だが、このような1回のみ、あるいは短時間の高温処理だけでは、通常の(従来の)心材(積層板)の製法と同様に、高温域での保持時間が少なすぎて、本発明で規定する範囲内に分散粒子を制御できない。すなわち、必然的にα型分散粒子が少なくなる。
均熱処理の際には、心材のアルミニウム合金鋳塊のみに、好ましくは480℃以上、固相線温度以下の高温の均熱処理を施して、その後、この心材のアルミニウム合金鋳塊に、犠牲防食材やろう付け材をクラッドして、この積層板を、350〜450℃の比較的低温の均熱処理や、450℃以上、550℃未満での温度での短時間の高温均熱処理を行っても良い。
このような均熱処理後のクラッド板は、前記均熱温度で均熱された後にそのままか熱延開始温度に、あるいは室温などの低温まで冷却された後に熱延開始温度に再加熱されて、常法によって熱間圧延される。そして、更に、熱延後の前記荒鈍処理が施された後で、冷間圧延されて所望の板厚とされた後に、調質(熱処理)されて、素材積層板(ブレージングシート)とされる。
(結晶粒)
なお、本発明の心材組織の前提として、ろう付け相当加熱後の積層板としての、心材アルミニウム合金板の前記平均結晶粒径が微細化した場合には、板の耐エロージョン性が低下する。したがって、ろう付け相当加熱後の積層板における心材アルミニウム合金板の、圧延方向の縦断面における圧延方向の平均結晶粒径は120μm以上に粗大化させることが好ましく、さらに好ましくは150μm以上である。一方、平均結晶粒径が大きくなりすぎると、ろう付け後強度が低下するため、250μm以下が好ましく、さらに好ましくは200μm以下である。
なお、ろう付け相当加熱後の積層板における心材アルミニウム合金板をこのように粗大化させるためには、ろう付けの際の加熱履歴を受ける前の、前記素材積層板段階での心材アルミニウム合金板の前記分散粒子の平均数密度を前記規定の範囲に制御することで可能である。前記積層板段階での心材アルミニウム合金板の組織としては、必ずしも再結晶組織とは限らず、結晶粒径が規定できない加工組織の場合もある。いずれの場合でも、ろう付け相当加熱時の再結晶、粒成長挙動によって形成されるろう付け相当加熱後の積層板における心材アルミニウム合金板の平均結晶粒径は、ろう付け相当加熱前の積層板の心材アルミニウム合金板の前記分散粒子の平均数密度の影響を多大に受けることを知見していることから、素材積層板の段階の心材アルミニウム合金板の平均結晶粒径は特に規定しないことにした。
ここで、本発明でいう結晶粒径とは、圧延方向の縦断面(圧延方向に沿って切断した板の断面)における圧延方向の結晶粒径である。この結晶粒径は、素材積層板やろう付け相当加熱後の積層板における心材アルミニウム合金板(採取試料)における前記圧延方向の縦断面を、機械研磨、電解エッチングによって前処理した後に、50倍の光学顕微鏡を用いて観察する。この際、前記圧延方向に、直線を引き、この直線上に位置する個々の結晶粒の切片長さを、個々の結晶粒径として測定する切断法(ラインインターセプト法)で測定する。これを任意の10箇所で測定し、平均結晶粒径を算出する。この際、1測定ライン長さは0.5mm以上とし、1視野当たり測定ラインを各3本として、1測定箇所当たり、5視野を観察する。そして、測定ライン毎に順次測定した平均結晶粒径を、1視野当たり(測定ライン3本)、5視野当たり/1測定箇所、10測定箇所当たりで順次平均化して、本発明で言う、平均結晶粒径とする。
(アルミニウム合金組成)
以下、本発明に係る積層板を構成する各部材のアルミニウム合金組成を説明する。先ず、本発明に係る心材アルミニウム合金板2は、前記した通り、3000系アルミニウム合金組成からなる。ただ、本発明心材アルミニウム合金板はチューブ材およびヘッダー材などの熱交換器用部材として、後述する本発明組織とするためだけでなく、それ以外にも、成形性、ろう付け性あるいは溶接性、強度、耐食性などの諸特性が要求される。
このため、本発明に係る心材アルミニウム合金板は、質量%で、Mn:0.5〜1.8%、Si:0.4〜1.5%、Cu:0.05〜1.2%、Ti:0.03〜0.3%を各々含有するとともに、Fe:1.0%以下(0%を含む)に規制し、更に、Cr:0.02〜0.4%、Zr:0.02〜0.4%、Ni:0.02〜0.4%のうちの1種または2種以上を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金組成とする。なお、各元素の含有量の%表示は全て質量%の意味である。
ここで、前記アルミニウム合金板が、更に、質量%で、Zn:0.2〜1.0質量%を含有しても良い。また、Mgを0.8質量%以下(0%を含む)に規制することが好ましい。
これ以外のその他の元素は基本的には不純物である。ただ、アルミニウム合金板のリサイクルの観点から、溶解材として、高純度Al地金だけではなく、その他のアルミニウム合金スクラップ材、低純度Al地金などを溶解原料として使用した場合には、これらの元素が混入される。そして、これら元素を例えば検出限界以下に低減すること自体コストアップとなり、ある程度の含有の許容が必要となる。したがって、本発明目的や効果を阻害しない範囲で、JIS規格の3000系アルミニウム合金組成の上限程度まで許容する。
Si:0.4〜1.5%
Siはマトリックスに固溶して、心材(熱交換器)に必要な強度に効く。ただ、Siは、前記した通り、Al−Mn−Si系分散粒子に消費される分もあるので、固溶Si量を確保する意味からも下限0.4%以上含有させる。また、Siは、特に前記Al−Mn−Si系分散粒子を形成することでも、心材アルミニウム合金板の強度を高める効果もある。Si含有量が0.4%未満では、これらの効果が不足する。一方、Si含有量が多過ぎると、心材の融点を低下させると共に、低融点相の増加に起因してろう付け時に心材の溶融が生じてしまうため、上限は1.5%以下とする。したがって、Siの含有量範囲は0.4〜1.5%の範囲とする。
Cu:0.05〜1.2%
Cuは固溶状態にてアルミニウム合金板中に存在し、心材アルミニウム合金板の強度を向上させる元素であり、また、ろう材側の耐食性も向上させる。このため、前記積層板やろう付け相当加熱後の積層板としての必要な強度を確保するためには、下限0.05%以上含有させる。一方、Cu含有量が多過ぎると、ろう付け加熱後の冷却時に粗大なCu系化合物が結晶粒界に析出して粒界腐食が起こりやすくなり、前記積層板やろう付け相当加熱後の積層板としての耐食性が低下する。また、心材の融点を低下させるため、ろう付け時に心材の溶融が生じてしまう。従って、上限は1.2%以下とする。したがって、Cuの含有量範囲は0.05〜1.2%の範囲とする。
Mn:0.5〜1.8%
Mnは、規定している微細分散粒子をアルミニウム合金板中に分布させ、心材アルミニウム合金板の、耐食性を低下させることなく、分散強化によって強度を向上させるための元素である。このため、前記積層板やろう付け相当加熱後の積層板としての必要な強度を確保するためには、下限0.5%以上含有させる。
一方、Mn含有量が多過ぎると、塑性変形時のクラック発生の起点となる、粗大なAl−Fe−(Mn)−(Si)系晶出物の数密度が増大するため、アルミニウム合金積層板の成形性が低下し、部品形状への組付け等の加工時にアルミニウム合金積層板が割れてしまう恐れがある。このため、Mn含有量の上限は1.8%以下とする。したがって、Mnの含有量範囲は0.5〜1.8%の範囲とする。
Ti:0.03〜0.3%
Tiは、アルミニウム合金板中で微細な金属間化合物を形成し、心材アルミニウム合金板の耐食性を向上させる働きを有する。具体的には、Tiの添加によって、心材アルミニウム合金板中に層状に析出し、孔食が深さ方向へ進行することを抑制すると共に、Tiの添加により心材電位を貴に移行させることができる。また、Tiはアルミニウム合金において拡散速度が小さく、ろう付け時の移動も少ないため、Tiを添加することは、心材とろう材、または心材と犠材の電位差を維持して、電気化学的に心材を紡織することに有効である。このため、前記積層板やろう付け相当加熱後の積層板としての必要な耐食性を確保するためには、下限0.03%以上含有させる。
一方、Ti含有量が多過ぎると、粗大なAl−Ti系化合物を生成するため、アルミニウム合金積層板の成形性が低下し、部品形状への組付け等の加工時にアルミニウム合金積層板が割れてしまう恐れがある。このため、Ti含有量の上限は0.3%以下とする。したがって、Tiの含有量範囲は0.03〜0.3%の範囲とする。
Fe:1.0%以下(0%を含む)
Feは、不純物としてスクラップをアルミニウム合金溶解原料として使用する限り、心材アルミニウム合金板に必然的に含まれる。Feには、前述のようにSiと金属間化合物を形成して心材アルミニウム合金板の強度を高めるとともに、心材のろう付け性を高める効果もある。しかし、その含有量が多すぎると、心材アルミニウム合金板の自己耐食性が著しく低下する。また、粗大な化合物を形成し、アルミニウム合金積層板の成形性が低下し、部品形状への組付け等の加工時にアルミニウム合金積層板が割れてしまう恐れがある。このため、Fe含有量は1.0%以下(0%を含む)に規制する。
Mg:0.8%以下(0%を含む)
Mgは心材アルミニウム合金板の強度を高める効果もあるが、その含有量が多いと、ろう材へのMgの拡散の影響が強くなるために、フッ化物系フラックスを用いるノコロックろう付け法などにおいて、ろう付け時にろう材表面に塗布されるフッ化物系フラックスと材料中のMgが反応し、ろう付け性が著しく低下する。このため、Mgによってろう付け性が低下するようなろう付け条件による熱交換器向けには、Mg含有量は0.8%以下に規制することが好ましい。
Cr:0.02〜0.4%、Zr:0.02〜0.4%、Ni:0.02〜0.4%のうちの1種または2種以上
Cr、Zr、Niは、規定している円相当直径が100nm以下のサブミクロンレベルの大きさの析出物(金属間化合物)をアルミニウム合金板中に分布させるための元素であり、これらのうちの1種または2種以上を含有させる。このうちでも、特にZrが、微細分散粒子を規定の粒度分布だけアルミニウム合金板中に分布させる効果が最も大きい。Cr、Zr、Niが各規定下限量未満では、微細分散粒子を充分分布させることができずに、分散強化による強度向上効果が得られない。また、Cr、Zr、Niが各規定上限量を超えて多すぎると、粗大な化合物を形成し、アルミニウム合金積層板の成形性が低下し、部品形状への組付け等の加工時にアルミニウム合金積層板が割れてしまう恐れがある。したがって、含有させる場合、Crは0.02〜0.4%、Zrは0.02〜0.4%、Niは0.02〜0.4%の各範囲とする。
Zn:0.2〜1.0%
Znは、固溶強化によって、心材アルミニウム合金板の強度を高める効果がある。ただし、Znは母相の電位を卑にして優先的に腐食する作用があるため、心材へのZnの含有量が多いと、優先腐食層として設けられた犠牲防食材と心材の電位差が小さくなり、耐食性が劣化する。従って、Zn含有量はこの効果を発揮させたい場合には、Zn:0.2〜1.0%の範囲で選択的に含有させる。
(ろう材合金)
心材アルミニウム合金板2にクラッドされるろう材合金4は、従来から汎用されているJIS4043、4045、4047などの4000系のAl−Si系合金ろう材など公知のろう材アルミニウム合金が使用できる。ろう材合金は、一方の面にアルミニウム合金犠牲防食材(板)3と、他面にアルミニウム合金ろう付け材(板)4とをクラッドしたブレージングシートとして構成される。
(犠牲防食材)
心材アルミニウム合金板2にクラッドされる犠牲防食材合金3は、従来から汎用されているAl−1質量%Zn組成のJIS7072などの7000系アルミニウム合金等、Znを含む公知の犠牲防食材アルミニウム合金が使用できる。このような犠牲防食材は、冷却水がチューブ内面側に存在する自動車用熱交換器では必須となる。即ち、前記した冷却水が存在するチューブ内面側の腐食性に対する防食、耐蝕性確保のためには必須となる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。表1に示すA〜Tの組成の3000系アルミニウム合金心材2を有する積層板(ブレージングシート)1を作成して、心材2部分の組織を調査した。更に、この積層板1を、ろう付け処理を模擬して、10%の予ひずみを付与後に、600℃の温度に3分間保持する、ろう付け相当の加熱処理を実施した後、平均冷却速度100℃/分で室温まで冷却し、このろう付け相当加熱後の積層板の心材部分の組織を調査した。これらの結果を表2に示す。また、このろう付け相当加熱後の積層板の機械的な特性と、耐エロージョン性を測定、評価した。これらの結果も表2に示す。
(積層板の製造)
積層板の製造は以下の通りとした。表1に示すA〜Tの組成の3000系アルミニウム合金組成を溶解、鋳造してアルミニウム合金心材鋳塊を製造とした。発明例は、この心材鋳塊のみを、表2に示す温度条件にて共通して10時間保持する1回目の均熱処理を行った。その後、犠牲防食材およびろう付け材を積層した後で、再加熱して2回目の均熱処理(共通して3時間保持)を行った。表2に示している「1回目の均熱処理温度」は心材鋳塊のみの均熱処理温度であり、「2回目の均熱処理温度」は積層板(積層鋳塊)の均熱処理温度である。
前記心材鋳塊2への積層は、心材鋳塊2の一方の面にAl−1質量%Zn組成からなるJIS7072アルミニウム合金板を犠牲防食材として、他面にAl−10質量%Si組成からなるJIS4045アルミニウム合金板をろう付け材として、各々クラッドした。そして、前記2回目の均熱処理温度にて熱間圧延を開始した。この際、前記2回目の均熱処理終了後から熱延を開始するまでの時間を30分と一定とした。
そして更に、熱延後の板を冷間圧延前に、バッチ焼鈍炉あるいは連続焼鈍炉にて、表2に示す温度、時間条件で荒鈍を行った。前記バッチ焼鈍における昇温、降温速度は、ともに40℃/hrと各例とも同じとした。また、前記連続焼鈍における昇温、降温速度も、ともに40℃/sと各例とも同じとした。ちなみに、冷間圧延途中の焼鈍は行わずに、冷間圧延後に、各例とも共通して250℃×2時間の仕上げ焼鈍を行い、0.17mm厚のH24調質材としての積層板(ブレージングシート)を作製した。ここで、心材アルミニウム合金板の板厚は0.11mmに薄肉化されていた。
各例とも共通して、積層板(ブレージングシート)は、心材アルミニウム合金板の板厚が0.11mmであり、この心材の各々の面に、それぞれ積層されたろう材、犠牲防食材ともに、その厚さは25〜35μmの範囲であった。
(組織)
前記した測定方法を各々用いて、上記冷延クラッド板である積層板の心材部分と、上記加熱後の各積層板の心材部分との組織を観察した。具体的には、積層板の心材部分の、圧延方向の縦断面における圧延方向の平均結晶粒径(μm)を前記した測定方法で測定した。ここで、素材であるろう付け相当加熱前の積層板の心材アルミニウム合金板の平均結晶粒径は、表2に示していないが、合金組成や製造条件によって、加工組織のままや再結晶組織となっているものなど様々であり、加工組織に関しては平均粒径が評価できないものもあり、さらに、表2に示す、ろう付け相当加熱後の積層板における心材アルミニウム合金板の平均結晶粒径とは対応関係が認められなかった。
更に、前記積層板の圧延面板厚中心部で観察される、この心材アルミニウム合金板の圧延面板厚中心部で観察される円相当直径が0.5μm以下のAl−Mn−Si系分散粒子の平均Mn/Si組成比(質量%換算)を各々測定した。また、前記円相当直径が0.5μm以下のAl−Mn−Si系分散粒子のうち、Mn/Si組成比(質量%換算)が2.50以上のAl−Mn−Si系分散粒子の体積分率aと、Mn/Si比(質量%換算)が2.50未満のAl−Mn−Si系分散粒子との体積分率bとの比a/bを各々測定した。これらの結果も表2に示す。なお、前記した体積分率の比a/bは、表2ではMn/Si組成比が違う分散粒子同士の体積分率の比a/bと簡略化して表示している。また、これらの各測定は前記した測定方法で行った。
(機械的特性)
上記ろう付け相当加熱後の各積層板の引張り試験を行い、引張強さ(MPa)を各々測定した。これらの結果を表2に示す。試験条件は、各積層板から圧延方向に対し垂直方向のJISZ2201の5号試験片(25mm×50mmGL×板厚)を採取し、引張り試験を行った。引張り試験は、JISZ2241(1980)(金属材料引張り試験方法)に基づき、室温20℃で試験を行った。また、クロスヘッド速度は、5mm/分で、試験片が破断するまで一定の速度で行った。
(耐エロージョン性)
耐エロージョン性は、エロージョン深さを測定して評価した。前記ろう付け相当加熱前の積層板に、市販の非腐食性フラックスを3〜5g/m塗布し、酸素濃度が200ppm以下の雰囲気中において600℃で5分以上保持し、ろう付け試験片を作製した。次に、ろう付け相当加熱を施した積層板の圧延方向の縦断面を、機械研磨、電解エッチングによって前処理した後に、100倍の光学顕微鏡を用いて5視野観察する。その5視野の中で、ろう材の心材への浸入深さ(エロージョン深さ)を測定し、それらの平均値としてエロージョン深さ(μm)を求めた。
表1、2に示す通り、発明例1〜13は、心材アルミニウム合金板(鋳塊)が本発明成分組成範囲内で、かつ、好ましい条件で均熱処理および荒鈍処理を行い、製造している(発明例3は1回の均熱処理のみ)。
このため、発明例1〜13は、表2に示す通り、積層板(ブレージングシート)の心材アルミニウム合金板は、本発明で規定する範囲内の組織を有する。すなわち、この心材アルミニウム合金板の圧延面板厚中心部で観察される円相当直径が0.5μm以下のAl−Mn−Si系分散粒子の平均Mn/Si組成比(質量%換算)が2.50以上であり、かつ、前記円相当直径が0.5μm以下のAl−Mn−Si系分散粒子のうち、Mn/Si組成比(質量%換算)が2.50以上のAl−Mn−Si系分散粒子の体積分率aと、Mn/Si比(質量%換算)が2.50未満のAl−Mn−Si系分散粒子との体積分率bとの比a/bが0.50以上である。また、前記ろう付け相当加熱後の積層板における心材アルミニウム合金板の圧延方向の縦断面における圧延方向の平均結晶粒径も120μm以上に粗大化されている。
この結果、発明例1〜13は、心材が0.17mm未満の0.11mmに薄肉化されても、ろう付け相当加熱後の積層板が、所定の強度を有した上で、耐エロージョン性に優れている。すなわち、より薄肉なブレージングシートにおいても高強度化と耐エロージョン性の向上が可能であることが分かる。
但し、発明例の中でも、心材アルミニウム合金板(鋳塊)のMgの含有量が0.8%と比較的高い、表1の合金例Jを用いた発明例11は、試験結果では示していないが、フッ化物系フラックスを用いるノコロックろう付け法を用いた場合には、ろう付け性が著しく低下する。このため、このようなMgによってろう付け性が低下するようなろう付け条件による熱交換器向けには、前記した通り、Mg含有量は0.8%以下に規制することが好ましい。
これに対して、比較例14〜18は、心材アルミニウム合金板(鋳塊)が本発明成分組成範囲内(B)ではあるが、1回の均熱か2回の均熱かは別にして、これら均熱処理温度が450℃未満か、荒鈍温度が450℃未満となっており、処理温度が低すぎる。また、比較例17では荒鈍自体が省略されている。
このため、表2に示す通り、比較例14〜18の心材アルミニウム合金板の圧延面板厚中心部で観察される円相当直径が0.5μm以下のAl−Mn−Si系分散粒子の平均Mn/Si組成比(質量%換算)は2.50未満となっており、少なすぎる。また、前記円相当直径が0.5μm以下のAl−Mn−Si系分散粒子のうち、Mn/Si組成比(質量%換算)が2.50以上のAl−Mn−Si系分散粒子の体積分率aと、Mn/Si比(質量%換算)が2.50未満のAl−Mn−Si系分散粒子との体積分率bとの比a/bも0.50未満となっており、低すぎる。また、前記ろう付け相当加熱後の積層板における心材アルミニウム合金板の圧延方向の縦断面における圧延方向の平均結晶粒径も120μm未満と小さすぎる。この結果、表2に示す通り、比較例14〜18の前記ろう付け相当加熱後の積層板は、共通して強度が低く、耐エロージョン性が劣っている。
比較例19〜26は、心材アルミニウム合金板(鋳塊)が本発明範囲から外れる成分組成M、N、O、P、Q、R、S、T(表1)を有している。また、1回の均熱か2回の均熱かは別にして、これら均熱処理温度が450℃未満で、かつ荒鈍温度も500℃未満で、いずれも、あるいはいずれかが低すぎる例もある。
このため、やはり心材アルミニウム合金板の圧延面板厚中心部で観察される円相当直径が0.5μm以下のAl−Mn−Si系分散粒子の平均Mn/Si組成比(質量%換算)は2.50未満で少なすぎる。また、前記円相当直径が0.5μm以下のAl−Mn−Si系分散粒子のうち、Mn/Si組成比(質量%換算)が2.50以上のAl−Mn−Si系分散粒子の体積分率aと、Mn/Si比(質量%換算)が2.50未満のAl−Mn−Si系分散粒子との体積分率bとの比a/bも0.50未満で低すぎる。また、前記ろう付け相当加熱後の積層板における心材アルミニウム合金板の圧延方向の縦断面における圧延方向の平均結晶粒径も120μm未満と小さすぎる。この結果、表2に示す通り、これら比較例の前記ろう付け相当加熱後の積層板は強度が低く、耐エロージョン性が劣っている。
比較例19は、表1の合金略号Mのように、Si量が少なすぎる。
比較例20は、表1の合金略号Nのように、Cu量が少なすぎる。
比較例21は、表1の合金略号Oのように、Mn量が少なすぎる。
比較例22は、表1の合金略号Pのように、Fe量が多すぎる。
比較例23は、表1の合金略号Qのように、Ti量が少なすぎる。
比較例24、25は、表1の合金略号R、Sのように、Cr、Zr、Niを含有していない。
比較例26は、表1の合金略号Tのように、Zn量が多すぎる。
したがって、以上の実施例の結果から、心材ひいては積層板の強度と耐エロージョン性とを向上させる本発明各要件の持つ臨界的な意義乃至効果が裏付けられる。すなわち、心材組織中に存在する分散粒子の平均数密度を制御することに加えて、分散粒子のうちのAl−Mn−Si系分散粒子の組成を、Si含有量が少ないα型分散粒子を多くして、Si含有量が多いβ型分散粒子を少なくする意義が裏付けられる。このように分散粒子組成を制御して、固溶Si量を多くすることで、心材ひいては積層板の強度と耐エロージョン性とを向上させることができる。したがって、熱交換器用積層板あるいはろう付け加熱後の積層板としての、機械的な特性に優れるための、本発明各要件の持つ臨界的な意義乃至効果が裏付けられる。
Figure 0005739828
Figure 0005739828
本発明によれば、心材が0.2mm未満薄肉化されたブレージングシートにおいても、高強度化と耐エロージョン性の向上が可能である。したがって、アルミニウム合金ラジエータチューブなどのろう付け相当加熱後の積層板や、アルミニウム合金ブレージングシートなどの積層板の薄肉化が可能な、高強度化と耐エロージョン性とを向上させたアルミニウム合金積層板やろう付け相当加熱後の積層板を提供できる。このため、本発明は、ラジエータチューブの薄肉化とともに、疲労特性に優れることが求められる、自動車用などのアルミニウム合金製熱交換器に用いられて好適である。
1:熱交換器用アルミニウム合金積層板、2:心材、3:皮材、4:ろう材、10:ラジエータ(熱交換器)、11:チューブ(積層部材)、12:放熱フィン、13:ヘッダ

Claims (6)

  1. 少なくとも心材アルミニウム合金板とアルミニウム合金犠牲防食材とをクラッドし、ろう付けによって熱交換器とされるアルミニウム合金積層板であって、前記心材アルミニウム合金板が、質量%で、Mn:0.5〜1.8%、Si:0.4〜1.5%、Cu:0.05〜1.2%、Ti:0.03〜0.3%を各々含有するとともに、Fe:1.0%以下(0%を含む)に規制し、更に、Cr:0.02〜0.4%、Zr:0.02〜0.4%、Ni:0.02〜0.4%のうちの1種または2種以上を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金組成を有し、この心材アルミニウム合金板の圧延面板厚中心部で観察される円相当直径が0.5μm以下の分散粒子の平均数密度が10個/μm以上25個/μm以下であり、かつ、前記円相当直径が0.5μm以下の分散粒子に含まれるAl−Mn−Si系分散粒子の平均Mn/Si組成比(質量%換算)が2.50以上であり、かつ、前記円相当直径が0.5μm以下のAl−Mn−Si系分散粒子のうち、Mn/Si組成比(質量%換算)が2.50以上のAl−Mn−Si系分散粒子の体積分率aと、Mn/Si比(質量%換算)が2.50未満のAl−Mn−Si系分散粒子との体積分率bとの比a/bが0.50以上であることを特徴とするアルミニウム合金積層板。
  2. 前記積層板における心材アルミニウム合金板が、更に、Zn:0.2〜1.0%を含有する、請求項1に記載の強度と耐エロージョン性に優れたアルミニウム合金積層板。
  3. 前記積層板における心材アルミニウム合金板が、更に、Mgを0.8%以下(0%を含む)に規制した、請求項1または2に記載の強度と耐エロージョン性に優れたアルミニウム合金積層板。
  4. 前記積層板における心材アルミニウム合金板の板厚が0.17mm未満の薄肉である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の強度と耐エロージョン性に優れたアルミニウム合金積層板。
  5. 前記積層板の板厚が0.2mm未満の薄肉である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の強度と耐エロージョン性に優れたアルミニウム合金積層板。
  6. 前記アルミニウム合金積層板が、ろう付けに相当する加熱処理を受けた後でも、あるいはろう付けによって熱交換器とされた後でも、前記心材アルミニウム合金板の板厚中心部で観察される円相当直径が0.5μm以下の分散粒子の平均数密度が5個/μm以上20個/μm以下であり、かつ、前記円相当直径が0.5μm以下の分散粒子に含まれるAl−Mn−Si系分散粒子の平均Mn/Si組成比(質量%換算)が2.50以上であり、かつ、前記円相当直径が0.5μm以下のAl−Mn−Si系分散粒子のうち、Mn/Si組成比(質量%換算)が2.50以上のAl−Mn−Si系分散粒子の体積分率aと、Mn/Si比(質量%換算)が2.50未満のAl−Mn−Si系分散粒子との体積分率bとの比a/bが0.50以上である組織を有する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の強度と耐エロージョン性に優れたアルミニウム合金積層板。
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