JP5739406B2 - アルミナベーマイトを含む高分子発泡体 - Google Patents

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Description

発明の背景
相互参照の記載
本願は、参照によって本明細書にその全内容が組み込まれている2009年3月27日に出願された米国特許仮出願第61/163,891号の利益を請求する。
本発明は高分子発泡体及び高分子発泡体の製造方法に関する。
断熱高分子発泡体は現在の我々の世界では普通のものである。断熱高分子発泡体シートは、構造建築の実施のために大部分の供給地において入手可能である。現在のエネルギー費用及びより快適な住居に関する消費者の要望が、より所望される断熱高分子発泡体の開発を絶えず推進している。1つの主要な推進力は、高分子発泡体を介して、熱伝導率を減少させることである。
高分子発泡体における赤外線アテニュエーターの包含は、発泡体を介して、熱伝導率を減少させる1つの手段である。高分子発泡体における赤外線アテニュエーターは、発泡体を介して、赤外線エネルギーの貫通を阻害することによって、発泡体の片側に熱を保持することを助ける。一般の赤外線アテニュエーターはカーボンブラック、グラファイト及び二酸化チタン(TiO2)を含む。しかしながら、これらの各赤外線アテニュエーターは、所望の断熱高分子発泡体の製造における挑戦を創り出す。
カーボンブラック、グラファイト及び二酸化チタン(TiO2)は、全てほぼ1マイクロメートル又はそれ以下の粒子径を有する。この大きさの粒子状添加剤は、高分子発泡体の製造の際には、核形成剤としての役割を果たす。かかる小さな粒子径及び大きな表面積を有する添加剤は、所定の充填量で、発泡体膨張の際に、それぞれがセル(気泡)の核形成を誘導し得る多数の核形成部位を提供する。その結果として、カーボンブラック、グラファイト及びTiO2は、全て小さなセル径の形成を促進する。小さなセル径は、経済的に好ましくなくなる高い発泡体密度を導くので、断熱発泡体の製造工程において所望されない。その関連で、大きな粒子径を有する赤外線アテニュエーターが所望される。同一の充填量で、大きな径を有する添加剤は、より小さな大きさにされた添加剤よりも少ない核形成部位を提供する。また、より大きな粒子径にされた充填剤は、高分子発泡体における連続気泡(open cell)構造を促進することができる。セル間のセル壁よりも大きな径を有する粒子は、セル間の壁の破断を引き起こし、そして断熱発泡体にも同様に所望されない発泡体を介する連続気泡構造を促進することができる。断熱高分子発泡体のセル壁は一般的に0.8〜3ミクロンの厚さである。
カーボンブラック及びグラファイトは特徴的な黒色又は灰色を有する。これらの添加剤はカーボンブラック及びグラファイトを含む高分子発泡体を黒色又は灰色にさせる顔料としての役割を果たす。他の顔料の添加によって黒色又は灰色の発泡体の色を更に変色させることは困難であるために、黒色又は灰色以外の色を有することが所望される場合には、これは所望され得ない。一部の消費者は、そのきれいな外観のために白色の発泡体を所望し得る。ある製造業者は、灰色又は黒色ではない彼らの製品を表す特定色に彼らが着色し得る断熱発泡体を所望することができる。カーボンブラック及びグラファイトは、これらの状況において所望されない添加剤となる。
二酸化チタン(TiO2)は白色であるため、カーボンブラック及びグラファイトの黒色及び灰色の挑戦に苦しむことはない。しかしながら、二酸化チタンは、核形成を促進する小さな粒子径を有する。更に二酸化チタンは、TiO2が非白色顔料色を洗い流してしまうために、発泡体を更に特定の非白色に着色させることを困難にするのに効果的な白色顔料である。
カーボンブラック、グラファイト及びTiO2と同程度に核形成体としての役割を果たさず、更に独立気泡(closed cell)発泡体の形成を可能にする高分子発泡体のための断熱添加剤を見出すことが所望される。更に、高分子発泡体の色に最小限の影響しか有さず、且つ高分子発泡体の着色において顔料の使用を最小限にしか妨げないような断熱添加剤を見出すことが所望される。
発明の概要
本発明は、高分子発泡体の色に最小限の影響しか有さず、且つ高分子発泡体の着色において顔料の使用を最小限にしか妨げず、カーボンブラック、グラファイト及びTiO2と同程度に、核形成体としての役割を果たさず、更に独立気泡発泡体の形成を可能にする断熱添加剤を含む高分子発泡体を提供することに付随する、1つ又はそれ以上の課題を解決する。
本発明は、高分子発泡体における添加剤として、アルミナベーマイトを探究することに起因する。アルミナベーマイトは、典型的には、化学触媒、自動車用ウォッシュコート触媒、バインダー及びサポート触媒等の適用における触媒として、そしてゾルゲル研磨剤及び 艶出し化合物としての用途のために使用される。予想外で且つ驚くべきことに、アルミナベーマイトは高分子発泡体において断熱添加剤としての役割を果たす。更に、アルミナベーマイトは、所望されない小さなセル(気泡)径をもたらさず、且つカーボンブラックよりも大きな粒子径を有するにもかかわらず、独立気泡発泡体の形成を可能にする。更にアルミナベーマイトは、高分子発泡体の色に最小限の影響しか有さず、且つ高分子発泡体の着色にほとんど影響を有さない。
第一の面では、本発明は、以下の工程:(a)軟化温度を有するポリマーマトリックス中に分散された発泡剤を含む発泡性ポリマー組成物を準備し:そして(b)ポリマーマトリックスの軟化温度又はそれ以上の温度の間に、発泡性ポリマー組成物を高分子発泡体に膨張させるのに充分に低い圧力を有する環境に、発泡性ポリマー組成物を曝すことを含んで成る高分子発泡体の製造方法であり、前記発泡性ポリマー組成物が、ポリマーマトリックス中に分散されたアルミナベーマイトを更に含んで成る。
第一の面のいくつかの所望の態様は、以下の追加の特徴の任意の1つ又は1つより多い任意の組合せを有することができ:アルミナベーマイトがポリマーマトリックス重量に基づき、0.1〜30重量%の範囲の濃度でポリマーマトリックス中に存在し;アルミナベーマイトが、3.0重量%未満の硝酸塩濃度を有し;ポリマーマトリックス中の全てのポリマーの50重量%は、アルケニル芳香族ポリマーであり;ポリマーマトリックス中の全てのポリマーの少なくとも95重量%は、ポリスチレンホモポリマー及びスチレンコポリマーから選定され;発泡剤が二酸化炭素を含み;発泡剤が二酸化炭素並びにイソブタン及び水の少なくとも1つを含み;そして高分子発泡体が5%又はそれ以下の連続気泡含量を有する。
第二の面では、本発明は、そこに分散された多数のセルを特徴付けるポリマーマトリックスを含み、且つポリマーマトリックス中に分散されたアルミナベーマイトを更に含む高分子発泡体である。
第二の面の一部の所望の態様は、以下の特徴の任意の1つ、又は1つより多い任意の組合せを更に有することができる:高分子発泡体が、発泡体ビーズを特徴付けるポリマースキンのネットワークがない押出高分子発泡体であり;アルミナベーマイトが、ポリマーマトリックス中の総ポリマー重量に基づき、0.1〜30重量%の範囲の濃度で存在し;アルミナベーマイトが、ポリマー組成物重量に基づき、0.5〜5重量%の範囲の濃度で存在し;アルミナベーマイトが、3重量%未満の硝酸塩濃度を有し;ポリマーマトリックス中の全てのポリマーの50重量%超がアルケニル芳香族ポリマーであり;アルケニル芳香族ポリマーが、ポリスチレンホモポリマー及びスチレンコポリマーから選定され;そして高分子発泡体が5%又はそれ以下の連続気泡含量を有する。
本発明の方法は本発明の高分子発泡体を製造するのに有用である。本発明の発泡体は断熱材として有用である。
発明の詳細な説明
本明細書の全ての範囲は、他に断りのない限り、端温度を含める。ASTMは、米国材料試験協会(American Society for Testing and Materials)を示す。ISOは、国際標準化機構(International Organization for Standardization)を示す。ENは、欧州規格(European Norm)を示す。DINは、ドイツ工業規格(Deutsches Institute for Normung e.V)を示す。 ASTM、ISO、EN及びDIN試験方法は、方法番号のハイフンで結んだ添え字における現在の年の方法を参照し、又はハイフンで結んだ添え字がない場合は、本明細書の優先日に先立ち発行された直近の方法を参照する。
本発明の方法では、ポリマーマトリックス中に分散した発泡剤を含んで成る発泡性ポリマー組成物を提供する。
発泡剤は、高分子発泡体の製造において、現在又は将来における使用に適している任意の発泡剤組成物とすることができる。例えば発泡剤は二酸化炭素、アルゴン、窒素及び空気等の無機ガス;水、1〜9個の炭素を有する脂肪族及び環式炭化水素(メタン、エタン、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロブタン及びシクロペンタンを含む)等の有機発泡剤;好適には塩素が存在しない、1〜5個の炭素を有する、全体的に及び部分的にハロゲン化されたアルカン及びアルケン(例えばジフルオロメタン(HFC-32)、ペルフルオロメタン、フッ化エチル(HFC-161)、1,1,-ジフルオロエタン(HFC-152a)、1,1,1−トリフルオロエタン(HFC-143a)、1,1,2,2-テトラフルオロエタン(HFC-134)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、ペンタフルオロエタン(HFC−125)、ペルフルオロエタン、2,2-ジフルオロプロパン(HFC-272fb)、1,1,1-トリフルオロプロパン(HFC-263fb)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−A-227ea)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)及び1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC-365mfc));メタノール、エタノール、n−プロパノール及びイソプロパノール等の1〜5個の炭素を有する脂肪族アルコール;アセトン、2−ブタノン及びアセトアルデヒド等の化合物を含むカルボニル;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等の化合物を含むエーテル;ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル等のカルボン酸塩化合物;カルボン酸並びにアゾジカーボンアミド、アゾジイソブチロニトリル、ベンゼンスルホ-ヒドラジン、4,4−オキシベンゼンスルホニル半-カルバジド、p−トルエンスルホニル半-カルバジド、アゾジカルボン酸バリウム、N,N’−ジメチルN,N’−ジニトロソテレフタルアミド、トリヒドラジノトリアジン及び重炭酸ナトリウム等の化学発泡剤から成る群から選ばれる任意の1つ又は1つより多い発泡剤の任意の組合せであり得る。
1つの所望の態様では、発泡剤は二酸化炭素、1〜5個の炭素を有する炭化水素及び水から成る群から選ばれる。発泡剤は二酸化炭素、二酸化炭素及び水、二酸化炭素及び1つ又はそれ以上の炭化水素又は水及び1つ又はそれ以上の炭化水素を有する二酸化炭素を含むことができる。炭化水素として、又は炭化水素の1つとして使用するために、特に所望される炭化水素はイソブタンである。この所望される態様の特定例は、発泡剤の総重量に基づく重量%で、40〜100重量%の二酸化炭素、0〜60重量%のイソブタン及び0〜20重量%の水を含む。
別の特に所望される発泡剤は1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)である。HFC−134aは二酸化炭素並びに任意的に水及び任意的に1つ又はそれ以上の炭化水素(特にイソブタン)を含む所望の態様において含ませることができる。別の所望の発泡剤の組合せは、発泡剤の総重量に基づく重量%で、10〜90重量%の濃度の二酸化炭素、0〜50重量%の濃度の二酸化炭素、0〜60重量%の濃度のイソブタン、0〜50重量%の濃度のエタノール及び0〜20重量%の濃度の水を含める。
発泡剤は、一般的に、ポリマーマトリックスにおけるポリマー100gにつき、0.05〜0.35、好適には0.08〜0.25、そして最適には0.10〜0.20モル濃度で発泡性ポリマー組成物中に存在する。
ポリマーマトリックスは、1つのポリマー又は1つより多いポリマーの組合せを含む連続相である。典型的には、ポリマーマトリックス中のほとんどのポリマー(50重量%超)は熱可塑性ポリマーである。熱可塑性ポリマーは、ポリマーマトリックス中に、70重量%(wt%)、80重量%、90重量%又は実に100重量%のポリマーの割合を占めることができる。適切な熱可塑性ポリマーはオレフィンポリマー、オレフィン及びアルケニル芳香族成分の両方を含むアルケニル−芳香族ホモポリマー並びにコポリマーを含む。適切なオレフィンポリマーの例はエチレン及びプロピレンのホモポリマー並びにコポリマーを含む。
望ましくは、ポリマーマトリックスは1つ又はそれ以上のアルケニル−芳香族ポリマーを含む。アルケニル−芳香族ポリマーはポリマーマトリックス中の全てのポリマーの望ましくは50重量%又はそれ以上、好適には70重量%又はそれ以上であり、且つ80重量%又はそれ以上、90重量%又はそれ以上、95重量%又はそれ以上であってよく、且つ実に100重量%であることができる。アルケニル−芳香族ポリマーは、ポリマー構造に重合化されたアルケニル芳香族モノポリマーを含むポリマーである。アルケニル−芳香族ポリマーはホモポリマー、コポリマー又はホモポリマー及びコポリマーのブレンドであることができる。アルケニル−芳香族コポリマーはランダムコポリマー、交互コポリマー、ブロックコポリマー又はその任意の組合せであってよく、且つ直鎖であり、分岐され又はその混合物であることができる。
スチレンポリマーは特に望ましいアルケニル−芳香族ポリマーである。スチレンポリマーは、ポリマー骨格中に重合化したスチレンモノマーを有し、且つスチレンホモポリマー, コポリマー及びそのブレンドを含む。50重量%超のスチレンポリマー含む高分子発泡体は押出ポリスチレン、又はXPS、発泡体である。本発明の発泡体は望ましくはXPS発泡体である。
望ましくは、本発明において使用されるスチレンホモポリマーは、1モルにつき100,000〜500,000g、好適には1モルにつき130,000〜400,000gの範囲にある重量平均分子量(Mw)を有する。分子量分布(Mw/Mn)は1.0〜10.0の範囲、そして好適には1.5〜5.0そして最適には2.0〜4.0の範囲にある。
本発明に適しているスチレンコポリマーの例は、1つ又はそれ以上の以下の:アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリロニトリル、無水マレイン酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸メチル、酢酸ビニル及びブタジエンとのスチレンコポリマーを含む。
スチレン−アクリロニトリルコポリマー(SAN)は、その製造しやすさ及びモノマーの入手し易さから、本発明における使用のために特に所望のアルケニル−芳香族ポリマーである。SANコポリマーは、ブロックコポリマー又はランダムコポリマーであることができ、且つ直鎖又は分岐とすることができる。SANは、ポリスチレンホモポリマーよりも大きな水溶性を提供することによって、水性発泡剤の使用を促進する。更にSANは、ポリスチレンホモポリマーよりも高い熱変形温度を有し、それはポリスチレンホモポリマー発泡体よりも高い使用温度を有する発泡体を提供する。本発明の方法の所望の態様は、SANを含んで成る、実にSANから成りさえする、ポリマー組成物を採用する。アルケニル−芳香族ポリマーは、実にポリマーマトリックス自体でさえ、ポリスチレンホモポリマー等の別のポリマーとSANのポリマーブレンドを含んで成るか、又はそのブレンドから成ることができる。
望ましくは、本発明において使用されるSANは、1モルにつき、50,000〜300,000g、好適には1モルにつき、100〜200,000gの範囲にある重量平均分子量(Mw)を有する。分子量分布(Mw/Mn)は、望ましくは1.0〜10の範囲、好適には1.2〜5.0の範囲、そして最適には1.5〜3.0の範囲にある。
発泡性ポリマー組成物はポリマーマトリックス中に分散したアルミナベーマイトを更に含む。アルミナベーマイトは、ダイアスポア(dia spore)を有するジモルファス(dimorphous)のアルミニウムオキサイドハイドロオキサイド鉱物である。アルミナベーマイト結晶はリーフレット又は長方形の形であり、且つ外形は、高アスペクト比によって特徴付けられる。アルミナベーマイトは2〜200ナノメートル(nm)の結晶の大きさを有する。本発明において使用するアルミナベーマイトは、2nm又はそれ以上、6nm又はそれ以上の結晶の大きさ(直径)でさえも有することができ、且つ200nm又はそれ以下の結晶の大きさを有することができ、また100nm又はそれ以下、60nm又はそれ以下の大きささえも有することができる。アルミナベーマイトは、典型的には、化学触媒、自動車用ウォッシュコート触媒、バインダー及びサポート触媒等の適用における触媒として、そしてゾルゲル研磨剤及び艶出し化合物、増粘剤及び滑り止め剤としての使用のために使用される(例えばhttp://www.catalvsts.basf.com/main/process/adsorbents/alumina based adsorbent technologies/hiq_Boehmite_alumina.beでのBASFのHiQ(商標)ベーマイトアルミナの説明を参照)。
アルミナベーマイトは、有機的に修飾されることができ、且つ硝酸により調製又は合成された結果として、高濃度の硝酸塩を含むことができる。アルミナベーマイトは、それが押出発泡工程において実施可能な180℃又はそれ以上の温度で、適切な化学及び熱安定性を有することを保証するために、望ましくは、アルミナベーマイトの総重量に基づき、3.0重量%又はそれ以下の硝酸塩含量を有する。硝酸塩含量が3.0%を超える場合には、上昇した温度でアルミナベーマイトの分解が起こり、そして高分子発泡体中に黄変をもたらすことがあり得る。
驚くべきことに、本発明に至る研究は、アルミナベーマイトが高分子発泡体中で赤外線アテニュエーターとしての役割を果たすカーボンブラック、グラファイト及び二酸化チタンの強力且つ有害な核形成効果を有しないことを見出した。更に驚くべきことに、アルミナベーマイトは、カーボンブラック、グラファイト及び二酸化チタンとは異なり、高分子発泡体への色素沈着の影響をほとんど有さない。
得られる高分子発泡体に効果的な赤外線減衰を達成するために、発泡性ポリマー組成物は、望ましくは、ポリマーマトリックスの重量に基づき、少なくとも0.1重量%のアルミナベーマイトを含む。最適な赤外線減衰を達成するために、好適には、アルミナベーマイトは、ポリマーマトリックス重量に基づき、0.2重量%又はそれ以上、より好適には0.5重量%又はそれ以上の濃度で存在する。典型的には、アルミナベーマイトは、ポリマーマトリックス重量に基づき、30重量%又はそれ以下、好適には20重量%又はそれ以下、及び更により好適には10重量%又はそれ以下の濃度で存在する。
発泡性ポリマー組成物は、典型的には、ポリマーマトリックスの内部に分散された添加剤を更に任意的に含むことができる。一般的な添加剤は、以下の任意の1つ又は1つより多い組合せ:赤外線減衰剤(例えばカーボンブラック、グラファイト、金属フレーク、二酸化チタン);天然吸収剤粘土(例えばカオリナイト及びモンモリロナイト)及び合成粘土等の粘土;核形成剤(例えばタルク及びケイ酸マグネシウム);難燃剤(例えば臭素化ポリマー等の臭素化難燃剤、ヘキサブロモシクロドデカン、リン酸トリフェニル等のリン系難燃剤及び例えばジクミル及びポリクミル等の相剰剤(synergist)を含むことができる難燃剤パッケージ);潤滑剤(例えばステアリン酸カルシウム及びステアリン酸バリウム);並びに酸スカベンジャー(例えば酸化マグネシウム及びピロリン酸四ナトリウム)を含む。
ポリマーマトリックスは軟化温度を有する。その軟化温度及びそれ以上で、ポリマーマトリックスは、添加剤及び発泡剤と混合することができる。
前記ポリマーがすべて半結晶であるポリマーマトリックスの"軟化温度"(Ts)はポリマーマトリックスの溶融温度である。半結晶性ポリマーの"溶融温度"(Tm)は、特定の加熱速度で結晶化したポリマーを加熱することによって示差走査熱量計(DSC)によって決定されるような、結晶から溶融相への変化の間の中間にある温度である。ASTM方法E794−06におけるDSC手順に従って半結晶性ポリマーのTmを決定する。1分につき、セ氏10度(℃)の加熱速度を用いてTmを決定する。ポリマー成分が混和性ポリマーのみを含み、且つ一つの結晶から溶融相への変化(on one crystalline-to-melt phase change)だけがそのDSC曲線において明白である場合には、ポリマーマトリックスのTmは相変化の間の中間にある温度(temperature half-way)である。
多数の結晶から溶融相への変化がDSC曲線において明白である場合には、非混和性ポリマーの存在のために、ポリマーマトリックスのTmは連続相ポリマーのTmである。1つより多いポリマーが連続的であり、且つそれらが混和性でない場合には、ポリマーマトリックスのTmは連続相ポリマーの最も高いTmである。
ポリマーがアモルファスであるポリマーマトリックスの軟化温度は、ポリマーマトリックスのガラス転移温度である。ポリマー成分の"ガラス転移温度"(Tg)は、ASTM方法El356−03における手順に従ったDSCによって決定される。ポリマーマトリックスが混和性ポリマーだけを含み、且つ1つのガラス転移相の変化のみがDSC曲線において明らかである場合には、ポリマーマトリックスのTgは相変化の間の中間の温度である。非混和性アモルファスポリマーの存在のために、多数のガラス転移相の変化がDSC曲線において明らかである場合には、ポリマーマトリックスのTgは連続相ポリマーのTgである。1つより多いアモルファスポリマーが連続であり、且つそれらが混和性でない場合、ポリマーマトリックスのTgは連続相ポリマーの最も高いTgである。
ポリマーマトリックスが半結晶性及びアモルファスポリマーの組合せを含む場合には、ポリマーマトリックスの軟化温度は、連続相ポリマー成分の軟化温度である。半結晶性及びアモルファスポリマー相が共連続的である場合には、ポリマーマトリックスの軟化温度は、2相のうち、より高いほうの軟化温度である。
本発明は、発泡性ポリマー組成物がポリマーマトリックスの軟化温度又はそれ以上の温度である間に、発泡性ポリマー組成物を高分子発泡体に膨張させるのに充分に低い圧力を有する環境に発泡性ポリマー組成物を曝すことを更に含む。本発明の最も広い範囲は、本プロセスのこの工程を実施する手順とは相違し得る多くの異なる発泡プロセスを占める。最も広い範囲では、本発明は、発泡性ポリマー組成物を提供すること、及びポリマー組成物がポリマーマトリックスの軟化温度又はそれ以上の温度である間に、発泡性ポリマー組成物を高分子発泡体に膨張させるのに充分に低い圧力に発泡性ポリマー組成物を曝すことの両方を実施する全ての方法を含む。
適切な発泡プロセスの例は膨張ポリマービーズプロセス及び押出プロセスを含む。
膨張ビーズ発泡プロセスは、顆粒中に分散された発泡剤を有する熱可塑性ポリマーマトリックスを含む顆粒を含んで成る発泡性ポリマー組成物を調製することを要求するバッチプロセスである。加圧下で、熱可塑性ポリマー組成物の顆粒が発泡剤と共に吸収させることを含む任意の方法において、発泡剤はポリマー顆粒中に取り込まれる。それぞれの顆粒(又はビーズ)はある意味では発泡性ポリマー組成物である。しなしながら、しばしば発泡性ビーズが少なくとも2つの膨張工程を受けることは、必ずしも必要ではない。初期の膨張は、顆粒のポリマーマトリックスの軟化温度超で顆粒を加熱すること、そして膨張を可能にするのに充分に低い雰囲気圧において、発泡剤がビーズを膨張させることができるようになることによって起こる。第二の膨張は、しばしば多数のビーズと共に、型において、ビーズを流れに曝し、更にビーズを膨張させ、そしてそれらを一緒に溶かすことによって成される。結合剤は、ビーズの結合を一緒に促進するために、一般に第二の膨張の前にビーズ上にコーティングされる。
膨張ビーズ発泡体は、互いに付着された複数の膨張ポリマービーズを含む。結果として、膨張ビーズ発泡体の特徴は、それぞれの膨張ビーズを特徴付け、且つ一般的に高分子発泡体の全ての表面を相互連結する発泡体の至るところに張り巡らされるポリマースキンの連続的なネットワークである。ポリマースキンネットワークは、それぞれ個々のビーズの表面に相当し、且つ発泡体の至るところに比較的小さな、且つ局在化したセル群を網羅する。ポリマースキンネットワークは、ネットワークがセル壁を含めて網羅するセル群を含む発泡体の一部分よりも高密度である。
押出プロセスは、高分子発泡体の至る所に熱伝導率を増加させることができる。かかる広域の内在ビーズスキンのネットワークが存在しない高分子発泡体を生み出すために、膨張ビーズ発泡プロセスよりも所望される。押出プロセスは、合体したストランド発泡プロセス並びに個々の発泡シート及びボードプロセス(即ち、互いに付着された多数の発泡要素が存在しない発泡体を押出す工程)を含める。押出プロセスは、累積押出プロセスなどの半連続的又は連続的であることができ、プロセスの意味は、押出機への成分の添加から、高分子発泡体の形成まで、中間遅延せずに連続的であるということである。
押出プロセスでは、押出機に、初期温度且つ初期圧力で、発泡性ポリマー組成物を提供し、そして圧力が発泡性ポリマー組成物を膨張させることを可能にする初期圧力よりも低いならば、発泡ダイスから雰囲気に押出す。発泡性ポリマー組成物を調製する1つの方法は、押出機中にポリマーを供給し、そして押出機内の初期温度に加熱することである。押出機中へのアルミナベーマイト及び任意的な追加の充填剤の添加は、押出機におけるポリマーの添加の終了段階に、ポリマー、又は両方の組合せと同時に起こり得る。一般的に、初期圧力で、ポリマー添加の終了段階に押出機中に発泡剤を注入し、そしてポリマー及びアルミナベーマイト並びに任意の他の添加剤と混合して、発泡性ポリマー組成物を形成させる。得られたポリマー、添加剤(単数又は複数)及び発泡剤の組合せは、発泡性ポリマー組成物を形成する。
累積押出(accumulation extrusion)プロセスは、1)熱可塑性材料及び発泡剤組成物を混合して、発泡性ポリマー組成物を形成させ;2)発泡性ポリマー組成物を発泡させることができない温度及び圧力に維持された保持ゾーン(holding zone)に発泡性ポリマー組成物を押出し;保持ゾーンは、発泡性ポリマー組成物を発泡させるより低圧なゾーンにオリフィス開口を規定するダイ及びダイオリフィスを閉鎖する開閉可能なゲートを有し;3)発泡性ポリマー組成物上で移動可能なラムの手段によって実質的に同時に機械的圧力を適用している間にゲートを定期的に開き、ダイスオリフィスを介して保持ゾーンからより低圧のゾーンに、それを押し出し、そして4)押出された発泡性ポリマー組成物を膨張させて、発泡体を形成させることを含んで成る。参照によって本明細書に組み込まれた米国特許第4,323,528号はポリオレフィン発泡体を作製する文脈においてかかる工程を開示する。
連続押出プロセスにおける発泡性ポリマー組成物は、押出機を介して持続し、且つ一般的に発泡ダイスを介して、初期圧力より低く、且つ遅延又は途切れることなく発泡性ポリマー組成物の発泡を全て可能にするのに充分に低い圧力を有する雰囲気中に押し出される。
合体した(coalesced)ストランド発泡体プロセスでは、複数の開口部を有する発泡ダイスを介して発泡性ポリマー組成物を放出して、複数のストランドの発泡性ポリマー組成物を同時に押出す。ストランド膨張として、それらは互いに接触し、そして互いに付着されはじめて、合体したストランド発泡体を形成する。合体したストランド発泡体は、それらが共に発泡体の内部にスキンネットワークを有する膨張したビーズ発泡体に似ている。しかしながら、合体したストランド発泡体は、スキンネットワークが小さな局在化したセルのビーズを取り囲まず、むしろ発泡体の全長を引き伸ばし、且つ末端で開いたままであるという温度において、膨張したビーズ発泡体とは異なる。
個々の発泡体シート及びボードを調製する押出プロセスでは、単一の開口部を有する発泡ダイを介して発泡性ポリマー組成物を押出す。押出プロセスにより作られた個々の発泡体シート又はボードは、セル壁よりも高い密度を有する発泡体の内部にスキンネットワークが存在しない。
本発明の方法から得られる高分子発泡体は本発明の高分子発泡体である。高分子発泡体は、複数のセル(気泡)を規定するポリマーマトリックスを含んで成り、且つその内部に分散したアルミナベーマイトを含む。高分子発泡体のポリマーマトリックスは、発泡性ポリマー組成物に対して記載したようなものである。更にアルミナベーマイトは、好適な濃度を含めて発泡性ポリマー組成物について記載した通りである。
本発明の発泡体は、望ましくは、立方メートルにつき、200キログラム(kg/m3)又はそれ以下、好適には100kg/m3又はそれ以下、更により好適には64kg/m3又はそれ以下の密度を有する。より低い密度の発泡体は、製造及び輸送コストを減らすため、そして取り扱いやすさのために所望される。典型的には、本発明の高分子発泡体は、8kg/m3又はそれ以上の密度を有し、且つ望ましくは取扱いの際の機械的完全性を保証するために、16kg/m3又はそれ以上、好適には24kg/m3又はそれ以上の密度を有する。ISO 845−95の方法に従って発泡体密度を決定する。
本発明の発泡体は、望ましくは0.05ミリメートル(mm)又はそれ以上、好適には0.1mm又はそれ以上、更により好適には0.2mm又はそれ以上の平均気泡径を有し、且つ一般的に5.0mm又はそれ以下、典型的には1.0mm又はそれ以下の気泡径を有する。ASTM法D−3576に従って、平均気泡径を決定する。
本発明の発泡体の連続気泡含量は、望ましくは30%又はそれ以下、好適には10%又はそれ以下、更により好適には5%又はそれ以下、またより好適には2%又はそれ以下である。連続気泡含量は1%又はそれ以下、又は0%でさえある。ASTM D6226−05の方法に従って、連続気泡含量を決定する。
本発明の高分子発泡体は、望ましくはメートル*ケルビン(Mw/m*K)につき、40ミリワット又はそれ以下、好適には35mW/m*K又はそれ以下、更により好適には33mW/m*K又はそれ以下を有する断熱材料である。EN 8301の方法に従って熱伝導率を決定する。
調製
コントロール発泡体
いかなる赤外線減衰剤なしで、80重量%の低分子量ポリスチレン(Mw=145,000g/mol、Mw/Mn=3.3)及び20重量%の高分子量ポリスチレン(Mw=200,000g/mol、Mw/Mn=2.7)から構成される100重量部のポリスチレン樹脂を、0.1重量部のステアリン酸バリウム、0.2重量部の銅フタロシアニン青色顔料(ポリスチレン中、20重量%濃度にある)及び0.2重量部のポリエチレンと最初に乾燥混合し、そして混合物を200℃に加熱する50ミリメートル(mm)の押出機の中に混合物を供給し、そしてそれを完全に混合することによって、コントロールサンプルを調製する。しばらくの時間、押出機中で、4重量部の二酸化炭素及び1.5重量部のイソブタンを含む発泡剤を、発泡を不可能にする圧力で添加し(混合に13〜25メガパスカル)、発泡性ポリマー組成物を形成させる。発泡性ポリマー組成物を混合した後に、その温度を約127℃まで下げて、スリットダイスを介して大気圧(101キロパスカル)及び周囲温度(23℃)の中にそれを押出し、そしてそれを長方形の高分子発泡体に形成できるようにする。ダイス圧力は、4〜12メガパスカルの範囲である。
比較例A〜C
以下の事項を除き、コントロールと類似の方法で比較例を調製する。
比較例A:青色顔料を除き、且つ乾燥混合において、約250ナノメートルの平均粒子径を有するカーボンブラックを含める(例えばTHERMAX(商標)−991、THERMAXは、Cancarb Co.の商標である)。60重量%のポリスチレンである配合濃縮物としての乾燥混合中に、カーボンブラックを添加する。比較例A(i)は、2.5重量%のカーボンブラックを含み、且つ比較例A(ii)は、5重量%のカーボンブラックを含む。
比較例B:青色顔料を除き、且つ乾燥混合において、約3.0マイクロメートルの平均粒子径を有するグラファイトを含める(例えばKopfmuel GmbHのUF−1)。70重量%のポリスチレンである配合濃縮物としての乾燥混合中に、グラファイトを添加する。比較例B(i)は、2.5重量%のグラファイトを含み、且つ比較例B(ii)は、5重量%のグラファイトを含む。
比較例C:乾燥混合中に、約220ナノメートルの平均粒子径を有する有機コーティングされた二酸化チタンを含む(例えばTi−PURE(商標)R−104、Ti−PUREは、E.I.Du Pont De Nemours and Companyの商標である)。50重量%のポリスチレンである配合濃縮物としての乾燥混合中に、コーティングされた二酸化チタンを添加する。比較例C(i)は、2.5重量%の二酸化チタンを含み、且つ比較例C(ii)は、5重量%の二酸化チタンを含む。
実施例1及び2
以下の事項を除き、コントロール発泡体と類似の方法で実施例を調製する。
実施例1:乾燥混合において、約15ミクロンの平均粒子径を有するアルミナベーマイトを含む(例えばPURAL(商標)−NF、PURALは、Sasol Germany GmbHの商標である)。80%のポリスチレンである配合濃縮物としての乾燥混合中に、アルミナベーマイトを添加する。実施例1(i)は、2.5重量%のアルミナベーマイトを含み、且つ実施例1(ii)は、5重量%のアルミナベーマイトを含む。
実施例2:乾燥混合において、約40ミクロンの平均粒子径を有するアルミナベーマイトを含む(例えばDISPAL(商標)25F4、DISPALは、Sasol North America, Inc.の商標である)。80%のポリスチレンである配合濃縮物としての乾燥混合中に、アルミナベーマイトを添加する。実施例2(i)は、2.5重量%のアルミナベーマイトを含み、且つ実施例2(ii)は、5重量%のアルミナベーマイトを含む。
特質
表1は、コントロール、比較例及び実施例の典型的な特質を挙げる。ISO 845−95の方法に従って、密度を決定する。ASTM D6226−05の方法に従って、連続気泡含量を決定する。ASTM D−3576の方法に従って、平均セル径を決定する。EN8301の方法に従って、熱伝導率を決定する。
***(CIELAB)色空間を用いて発泡体の色を特徴付ける。CIE L***(CIELAB)は、国際照明委員会(Commission Internationale d‘Eclairage)によって特定された色空間である。Minolta Chroma Meter CR210 色度計を用いて、CIE L*** 色空間コーディネートの観点から発泡体サンプルを特徴付ける。L*コーディネートは、色の明度を表す(0のL*は、黒色であり、且つ100のL*は、散乱白色である)。a*コーディネートは、赤色/赤紫色と緑色の間の範囲に相当する(よりネガティブなa*値は、より緑色に相当するが、よりポジティブなa*値は、より赤色/赤紫色に相当する)。b*コーディネートは、黄色と青色の間の範囲の色に相当する(よりネガティブなb*値は、より青色に相当するが、よりポジティブなb*値は、より黄色に相当する)。
Figure 0005739406
コントロールサンプル、比較例及び実施例の特徴の比較については、以下の観察から明らかである。
・それぞれの実施例における熱伝導率の減少により明らかであるように、アルミナベーマイトは赤外線アテニュエーターとしての役割を果たす。
・コントロールと比較して、アルミナベーマイトの実施例の全ては、核形成によって予測されるまさに反対の効果であるセル径の増加を説明する。対照的に、カーボンブラック、グラファイト及び二酸化チタンは、全て高分子発泡体のセル径の減少を誘導する傾向にある(C(ii)は、コントロールとほぼ同等のままであると予測された)。
・コントロール発泡体及びアルミナベーマイトを含む発泡体(実施例1及び2)は、ほとんど同一の色合いを有する。対照的に、カーボンブラック(A発泡体)及びグラファイト(B発泡体)により製造された発泡体は、より暗く、より赤く及びより青が薄いというように、劇的に色が相違する。コーティングされた二酸化チタンにより製造された発泡体は、コントロールよりも白く、緑が薄く、且つ青が薄い。アルミナベーマイトは、発泡体の色に劇的な影響を及ぼさなかったが、他の赤外線アテニュエーターは、発泡体の色に劇的な影響を及ぼした。
これらの高分子発泡体は、高分子発泡体における赤外線減衰剤としてのアルミナベーマイトの驚くべき挙動を説明する。
実施例3−ニトロ化アルミナベーマイト
以下の相違を有しながら、実施例1及び2と類似の方法で実施例3を調製する。
(1)アルミナベーマイトとして、3.4〜4.0重量%の硝酸塩濃度を有するDISPERAL(商標)P2(Sasol North America,Inc.)を使用し、
(2)0.75インチ(20ミリメートル)の押出機を使用し、
(3)3.5pphの二酸化炭素を使用し、そして
(4)青色顔料を除く。
4、7及び10重量部のアルミナベーマイト濃度で、全て所望されないセル径の減少、及び高分子発泡体の所望されない黄変をもたらした。セル径の減少及び黄変は、おそらく発泡体製造工程の間のアルミナベーマイトの熱分解の結果である。本実施例は、なぜアルミナベーマイトにおける硝酸塩濃度が、望ましくは3.0%又はそれ以下であるのかを説明する。
以下に、本発明及びその関連態様を記載する。
態様1.(a)軟化温度を有するポリマーマトリックス中に分散された発泡剤を含む発泡性ポリマー組成物を準備し、そして
(b)前記ポリマーマトリックスの軟化温度又はそれ以上の温度の間に、前記発泡性ポリマー組成物を高分子発泡体に膨張させるのに充分に低い圧力を有する環境に、前記発泡性ポリマー組成物を曝す
ことを含んで成り、
前記発泡性ポリマー組成物が前記ポリマーマトリックス中に分散されたアルミナベーマイトを更に含む高分子発泡体の製造方法。
態様2.前記方法が、前記発泡性ポリマー組成物が前記ポリマーマトリックスの軟化温度を超える初期温度で且つ前記発泡性ポリマー組成物の発泡を妨げる初期圧力で、押出機中に提供し、そして工程(b)が、初期圧力よりも低く且つ前記発泡性ポリマー組成物を押出高分子発泡体に膨張させるのに充分に低い圧力を有する環境に、前記発泡性ポリマー組成物を放出することによって起こる、押出方法である態様1に記載の方法。
態様3.前記アルミナベーマイトが、ポリマーマトリックス重量に基づき、0.1〜30重量%の範囲の濃度で前記ポリマーマトリックス中に存在する態様1に記載の方法。
態様4.前記アルミナ ベーマイトが3.0重量%未満の硝酸塩濃度を有する態様1に記載の方法。
態様5.前記ポリマーマトリックス中の全てのポリマーの50重量%がアルケニル芳香族ポリマーである態様1に記載の方法。
態様6.前記発泡剤が二酸化炭素を含む態様1に記載の方法。
態様7.前記発泡剤が二酸化炭素並びにイソブタン及び水の少なくとも1つを含む態様1に記載の方法。
態様8.ポリマーマトリックス中に分散された複数のセルを規定する前記ポリマーマトリックスを含み、且つ前記ポリマーマトリックス中に分散されたアルミナベーマイトを更に含む高分子発泡体。
態様9.前記高分子発泡体が、発泡体ビーズを規定するポリマースキンのネットワークを含まない、押出高分子発泡体である態様8に記載の高分子発泡体。
態様10.前記アルミナベーマイトが、前記ポリマーマトリックスの総ポリマー重量に基づき、0.1〜30重量%の範囲の濃度で存在する態様8に記載の高分子発泡体。
態様11.前記アルミナベーマイトが、ポリマー組成物重量に基づき、0.5〜5重量%の範囲の濃度で存在する態様8に記載の高分子発泡体。
態様12.前記アルミナベーマイトが3重量%未満の硝酸塩濃度を有する態様8に記載の高分子発泡体。
態様13.前記ポリマーマトリックス中の全てのポリマーの50重量%超がアルケニル芳香族ポリマーである態様8に記載の高分子発泡体。
態様14.前記アルケニル芳香族ポリマーがポリスチレンホモポリマー及びスチレンコポリマーから選ばれる態様8に記載の高分子発泡体。
態様15.前記高分子発泡体が、5%又はそれ以下の連続気泡含量を有する態様8に記載の高分子発泡体。

Claims (7)

  1. (a)軟化温度を有するポリマーマトリックス中に分散された発泡剤を含む発泡性ポリマー組成物を準備し、そして
    (b)前記ポリマーマトリックスの軟化温度又はそれ以上の温度の間に、前記発泡性ポリマー組成物を高分子発泡体に膨張させるのに充分に低い圧力を有する環境に、前記発泡性ポリマー組成物を曝す
    ことを含んで成り、
    前記発泡性ポリマー組成物が前記ポリマーマトリックス中に分散されたアルミナベーマイトを更に含む、35kg/m 3 又はそれ以下の密度を有する高分子発泡体の製造方法。
  2. 前記方法が、前記発泡性ポリマー組成物が前記ポリマーマトリックスの軟化温度を超える初期温度で且つ前記発泡性ポリマー組成物の発泡を妨げる初期圧力で、押出機中に提供し、そして工程(b)が、初期圧力よりも低く且つ前記発泡性ポリマー組成物を押出高分子発泡体に膨張させるのに充分に低い圧力を有する環境に、前記発泡性ポリマー組成物を放出することによって起こる、押出方法である請求項1に記載の方法。
  3. 前記アルミナベーマイトが硝酸を用いて調製されたものである請求項1に記載の方法。
  4. 前記発泡剤が二酸化炭素を含む請求項1に記載の方法。
  5. ポリマーマトリックス中に分散された複数のセルを規定する前記ポリマーマトリックスを含み、且つ前記ポリマーマトリックス中に分散されたアルミナベーマイトを更に含む、35kg/m 3 又はそれ以下の密度を有する高分子発泡体。
  6. 前記高分子発泡体が、発泡体ビーズを規定するポリマースキンのネットワークを含まない、押出高分子発泡体である請求項5に記載の高分子発泡体。
  7. 前記アルミナベーマイトが硝酸を用いて調製されたものである請求項5に記載の高分子発泡体。
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