JP5738553B2 - 生体用埋設部材および生体用埋設部材の製造方法 - Google Patents

生体用埋設部材および生体用埋設部材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、人若しくはその他の動物等の生物の体内に埋設される生体用埋設部材に関する。
医療等の技術分野において生体に埋め込まれる部材若しくは当該部材を含む機器が知られている(例えば、特許文献1)。例えば、人工器官、人工関節、人工骨、デンタルインプラント、カテーテル、ステントなどが知られている。
特許文献1は、セラミックにより構成された基板と、当該基板に被着された、白金により構成された金属線とを有する生体用埋設部材を開示している。セラミック及び白金は、生体に対する適合性が高く、また、白金は体内に溶出しにくく、生体用埋設部材を構成する材料として好ましい。
特開2008−538980号公報
生体用埋設部材の信頼性や耐久性を向上させるためには、セラミックと白金との接合がより堅固になされることが好ましい。
本発明の目的は、セラミックと白金との接合を強化可能な生体用埋設部材及びその製造方法を提供することにある。
本発明の一態様の生体用埋設部材は、セラミックにより構成されたセラミック部と、白金により構成された白金部と、前記セラミック部と前記白金部との間に介在する酸化白金層と、を有する。
好適には、前記酸化白金層には前記セラミックの副成分が拡散されている。
好適には、前記白金部には前記セラミックの副成分が拡散されている。
好適には、前記セラミックは、酸化アルミニウムを主成分とし、酸化ケイ素、酸化カルシウム及び酸化マグネシウムの少なくとも一つを副成分とする。
好適には、前記生体用埋設部材は、白金とは異なる導電材料により構成され、前記セラミック部を貫通する貫通導体を更に有し、前記白金部は、前記貫通導体の前記セラミック部から露出する部分を覆っている。
前記貫通導体は金属により構成され、前記白金部と前記貫通導体との間には、白金と前記金属との合金層が形成されている。
前記貫通導体を構成する金属は、モリブデン又はタングステンである。
本発明の一態様の生体用埋設部材の製造方法は、焼成前若しくは焼成後のセラミック部に白金のペーストを塗布する工程と、前記白金のペーストが塗布された前記セラミック部を真空中又は不活性ガス中で焼成する工程と、を有する。
好適には、前記製造方法は、前記白金のペーストを塗布する工程の前において、セラミックグリーンシートに貫通孔を形成する工程と、前記貫通孔に白金とは異なる金属のペーストを充填する工程と、前記金属のペーストが充填された前記セラミックグリーンシートを還元雰囲気中で焼成し、白金とは異なる金属からなる貫通導体が配置された前記セラミック部を形成する工程と、を更に有し、前記白金のペーストを塗布する工程においては、前記白金のペーストを、前記貫通導体の前記セラミック部から露出する部分、及び、前記セラミック部の、前記貫通導体の露出部分の周囲部分に塗布する。
上記の構成又は手順によれば、セラミックと白金との接合を強化できる。
本発明の実施形態に係る生体用埋設部材を模式的に示す断面図。 図1の領域IIの拡大図の第1の例を示す模式図。 図1の領域IIの拡大図の第2の例を示す模式図。 図1の生体用埋設部材の製造方法を説明する模式的な断面図。
以下、本発明の実施形態に係る生体用埋設部材について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いられる図は模式的なものであり、図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。
図1は、本発明の実施形態に係る配線基板1の構成を模式的に示す断面図である。
配線基板1は、生体内に埋設される生体用埋設機器に含まれる生体用埋設部材である。生体用埋設機器は、特に図示しないが、例えば、配線基板1に不図示の半導体チップなどの適宜な電子部品が実装され、その電子部品が不図示のパッケージにより封止されることにより構成される。生体用埋設機器は、例えば、神経系等との間で電気信号の送受を行う人工器官、若しくは、体液の化学的な測定を継続して行うセンサとして機能する。なお、生体用埋設機器全体が生体用埋設部材と捉えられてもよい。
配線基板1は、例えば、セラミック基板3と、セラミック基板3を貫通する貫通導体5と、セラミック基板3内に配置された内部導体層7と、セラミック基板3の表面に配置された外部導体層9とを有している。
セラミック基板3は、板状の絶縁部材であり、第1主面3aと、その背面の第2主面3bとを有している。また、セラミック基板3は、複数枚(本実施形態では2枚)の絶縁層11A、11B(以下、A、Bを省略することがある。)が積層されることにより構成されている。なお、図1では、説明の便宜上、絶縁層11A、11Bの境界線を明示しているが、実際の製品においては、製造プロセスにおいて絶縁層11A、11Bが一体化されることにより、これらの境界線は特定不可能となっていてもよい。
絶縁層11(セラミック基板3)は、セラミックにより構成されている。セラミックは、種々のセラミックから適宜に選択されてよいが、以下では、アルミナセラミックを例にとって説明する。アルミナセラミックは、例えば、主成分としてのアルミナ(Al)と、副成分とを含んでいる。副成分は、例えば、シリカ(SiO)、カルシア(CaO)及びマグネシア(MgO)である。
アルミナセラミックは、絶縁性、耐摩耗性、化学安定性に優れている。また、アルミニウム、シリコン、カルシウム、マグネシウムの各元素は、生体に本来的に存在する元素であり、この観点からも、アルミナセラミックは生体用埋設部材に好ましい。
アルミナは、例えば、80%以上100%未満含まれている。副成分は、0%超20%未満含まれている。副成分の少なくとも一部は、昇温によりガラス転移現象を示す非晶質固体、すなわち、ガラス成分である。また、副成分の少なくとも一部は、後述する配線基板1の製造方法においては、アルミナの焼結を促進する、いわゆる焼結助剤として機能する。
貫通導体5は、セラミック基板3を厚み方向に貫通する貫通孔3hに充填されており、第1主面3a及び第2主面3bの少なくとも一方(本実施形態では双方)からセラミック基板3の外部へ露出している。貫通導体5は、第1主面3aの外部導体層9と第2主面3bの外部導体層9との接続、外部導体層9と内部導体層7との接続、又は、互いに異なる層に配置された内部導体層7同士(図1では不図示)の接続を行う。
貫通導体5は、好ましくは、白金以外の導電材料により構成されている。また、より好ましくは、貫通導体5は、白金以外の金属により構成されている。なお、白金以外の材料とするのは、一般に、白金は高価であることからである。また、金属材料とするのは、一般に、導電性が高いのは金属材料であることからである。
例えば、貫通導体5は、セラミックとの同時焼成が好適に行われる高融点金属により構成されている。高融点金属は、例えば、モリブデン又はタングステンである。モリブデンは、生体に本来的に存在する元素であるという観点からも好ましい。タングステンは、金属元素の中では生体に及ぼす影響が少ない元素とされており、その観点からも好ましい。
内部導体層7は、複数の絶縁層11間に配置されており、セラミック基板3から露出していない。内部導体層7は、例えば、セラミック基板3の一方の主面に配置された電子部品と、他方の主面に配置された外部導体層9とを接続する配線の一部を構成する。内部導体層7は、例えば、貫通導体5と同一の材料により構成されている。
外部導体層9は、第1主面3a及び第2主面3bの少なくとも一方(本実施形態では双方)に設けられている。外部導体層9は、例えば、電子部品と接続されるパッド(端子)若しくは電子部品の信号を伝達する配線の一部を構成する。図1では、第1主面3aの外部導体層9により構成されたダイパッド、及び、第2主面3bの外部導体層9により構成され、貫通導体5により構成された端子を例示している。なお、上述の不図示のパッケージは、第1主面3aに実装された半導体チップを封止し、第2主面3b側は封止されない。外部導体層9は、白金により構成されている。
図2は、図1の領域IIの拡大図の第1の例を模式的に示す図である。図2において、長さLは、例えば、数μm〜30μmである。なお、図2では、後述する酸化白金層13ついては、実際の寸法よりも厚く示している。また、気孔及び粒界の図示は省略している。
セラミック基板3と外部導体層9との界面には、酸化白金層13が形成されている。酸化白金層13は、比較的薄く形成されており、その厚さは、最小で、原子レベル(Åオーダー)である。ただし、形成方法若しくはセラミック基板3の成分等によっては、酸化白金層13は、原子レベルよりも厚く(例えばnmオーダー)形成される。
酸化白金層13は、必ずしもセラミック基板3と外部導体層9との界面の全面に形成されていなくても(途切れている部分があっても)構わない。
酸化白金層13は、PtO若しくはPt等の酸化白金を含んでいると考えられる。また、酸化白金層13は、酸化白金と、セラミック基板3に含まれる元素とが結合された化合物を含んでいてもよい。なお、本願では、酸化白金若しくは酸化白金と他の元素との化合物が含まれていれば、酸化白金層13として成立するものとする。
外部導体層9は、点線で仕切って示すように、緻密化された緻密部9aと、緻密部9aに比較して緻密化が進んでいない非緻密部9bとを有している。緻密部9aは、外部導体層9の、セラミック基板3と重なる領域において、且つ、セラミック基板3側において形成されている。
貫通導体5と外部導体層9との界面には、貫通導体5を構成する金属と、白金との合金層15が形成されている。合金層15を構成する合金は、例えば、モリブデン−白金の合金、タングステン−白金の合金である。合金層15の厚さは、例えば、0.1μm〜30μmである。合金層15は、外部導体層9の非緻密部9b及び貫通導体5に比較して、緻密化されている。
セラミック基板3の副成分17(セラミック基板3内での図示は省略)は、セラミック基板3と他の部位との界面から他の部位へ拡散している。具体的には、副成分17は、酸化白金層13、外部導体層9の緻密部9a、貫通導体5及び合金層15に拡散している。なお、副成分17は、貫通導体5及び合金層15のうち、セラミック基板3側部分にのみ拡散してもよいし、全体に拡散してもよい。また、図2は模式図であることから、副成分17の比較的大きな塊のみを抽出して図示しているが、実際には、より細かい塊も拡散されている。
図3は、図1の領域IIの拡大図の第2の例を模式的に示す図である。
第2の例においては、外部導体層9は、セラミック基板3と重なる領域全体が緻密部9aとなっている。換言すれば、第2の例は、第1の例よりも緻密部9aが厚くなっている。また、合金層15は、第1の例よりも厚くなっている。第2の例は、第1の例よりも高温で焼成を行って配線基板1を作製することにより得られる。
(配線基板の製造方法)
図4(a)〜図4(d)は、配線基板1の製造方法を模式的に示す断面図である。製造工程は、図4(a)から図4(d)へ順に進む。なお、配線基板1を構成する部材は、製造工程の進行に伴って形状及び材質等が変化するが、図4では、一貫して、完成後の符号を用いるものとする。
図4では、一の配線基板1の製造工程を示す。なお、図4に示す工程は、ダイシングにより配線基板1が多数個取りされる予定のウェハ状の母基板を対象として行われてもよい。
まず、図4(a)に示すように、絶縁層11A及び11Bとなるセラミックグリーンシートを準備し、それぞれのセラミックグリーンシートに貫通孔3hとなる貫通孔を形成する。
セラミックグリーンシートは、例えば、主成分(本実施形態ではアルミナ)及び副成分(本実施形態では、シリカ、カルシア及びマグネシア)の粉末に適当な有機溶剤及び溶媒を添加混合して泥漿を生成し、これを従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法等によりシート状に成形することによって得られる。貫通孔は、例えば、パンチングあるいはレーザー加工により形成される。
次に、図4(b)に示すように、貫通孔3hとなる貫通孔に貫通導体5となる導電ペーストを充填するとともに、セラミックグリーンシートの主面に内部導体層7となる導電ペーストを塗布する。
導電ペーストは、例えば、主成分の金属(本実施形態ではモリブデン又はタングステン)の粉末に有機バインダーおよび有機溶剤、並びに必要に応じて分散剤等を加えて、ボールミル、三本ロールミル、またはプラネタリーミキサー等の混練手段により混合および混練することで製造される。また、導電ペーストは、例えば、スクリーン印刷法により、貫通孔に注入され、セラミックグリーンシートの主面において塗布される。
次に、図4(c)に示すように、セラミックグリーンシートを積層し、焼成する。これにより、貫通導体5及び内部導体層7が接合されたセラミック基板3が作製される。
セラミックグリーンシートの積層においては、適宜な圧力により圧着が行われてよい。圧着は、例えば、3.0〜8.0MPa程度の圧力により行われ、必要に応じて35〜80℃の加熱を行なう。また、セラミックグリーンシート同士の十分な接着性を得るために、溶剤と樹脂バインダーを混合するなどして作製した接着剤が用いられてもよい。
焼成は、還元雰囲気下、すなわち、酸素を奪う反応を示す気体の雰囲気下で行われる。還元雰囲気は、例えば、窒素に対し10〜20体積%の水素が加えられた気体の雰囲気である。還元雰囲気とすることにより、貫通導体5若しくは内部導体層7を構成する金属(本実施形態ではモリブデン又はタングステン)の酸化が抑制される。酸化の抑制により、例えば、貫通導体5及び内部導体層7とセラミック基板3との接合が強化される。雰囲気にはセラミックグリーンシートに加えられた有機溶剤を分解したり、貫通導体5等の粒子成長を制御したりするために、適当な量の水蒸気を加えることが望ましい。
また、焼成は、適宜な温度で行われる。当該温度は、一般的にセラミックと金属との同時焼成において採用されている温度でよく、例えば、1200〜1800℃である。
次に、図4(d)に示すように、外部導体層9となる導電ペーストを塗布し、焼成する(2次焼成を行う)。これにより、外部導体層9が接合されたセラミック基板3が作製され、ひいては、配線基板1が作製される。
導電ペーストは、主成分の白金粉末に有機バインダーおよび有機溶剤、並びに必要に応じて分散剤等を加えて、ボールミル、三本ロールミル、またはプラネタリーミキサー等の混練手段により混合および混練することで製造される。また、導電ペーストは、例えば、スクリーン印刷法により、セラミック基板3の主面において塗布される。
焼成は、真空雰囲気下で行われる。真空雰囲気下とされることにより、図2及び図3を参照して説明したように、酸化白金層13が形成され、また、セラミック基板3の副成分17が酸化白金層13及び外部導体層9に拡散する。
なお、還元雰囲気下において焼成を行った場合においては、酸化白金層13は形成されず、また、副成分17の酸化白金層13及び外部導体層9への拡散も生じない。
還元雰囲気下においては酸化白金層13が形成されないことから、酸化白金層13の形成には、外部導体層9を構成する白金の表面に形成された原子レベルの酸化膜の有無の影響が大きいと考えられる。なお、当該酸化膜は、白金の表面の原子の安定化のために形成されるものであり、特別な処理を施さなくても形成されるが、還元雰囲気下においては酸素が奪われて消失する。なお、酸化白金層13の生成には、副成分に含まれる酸素が影響していることも考えられる。
また、真空雰囲気下において焼成を行った場合において副成分17の白金への拡散が生じるのは、酸化白金層13が存在することにより、白金と副成分17との濡れ性が高くなったことによるものと考えられる。
この2次焼成では、合金層15も形成される。具体的には、外部導体層9及び貫通導体5は、これらを構成する金属の融点以下の高温とされることにより、外部導体層9を構成する白金(粒子)が貫通導体5を構成する金属(粒子)に拡散する。また、これと同時にネック成長が進展し、粒子間の結合が強くなり、隙間が少なくなる。
焼成の温度は、真空雰囲気下における2次焼成において一般的に採用されている温度でよい。例えば、焼成の温度は、800〜1200℃である。ただし、焼成の温度は、白金の融点(1770℃程度)を超えないことが必要である。
なお、上述のように、酸化白金層13は、焼成前から白金の表面に存在していた原子レベルの酸化膜を含んで構成されていると考えられる。従って、酸化白金層13は、真空雰囲気下において焼成が行われれば、焼成の温度によらず、生成されるものと考えられる。
また、第1の例(図2)及び第1の例よりも高温で焼成した第2の例(図3)との比較から理解されるように、高温で焼成するほど、副成分17は外部導体層9に拡散し易く、合金層15は生成され易い。従って、副成分17が外部導体層9に拡散され、合金層15が生成された配線基板1の作製は、焼成の温度を比較的高く設定すれば可能であり、具体的な材料毎に正確な温度範囲を示さなくとも、配線基板1は、当業者に過度の負担を強いることなく、実施可能である。
以上の実施形態によれば、配線基板1は、セラミックにより構成されたセラミック基板3と、白金により構成された外部導体層9と、セラミック基板3と外部導体層9との間に介在する酸化白金層13とを有する。
従って、セラミック基板3と外部導体層9との接合が強化される。なお、酸化白金層13が介在することにより接合が強化される理由としては、酸化白金層13により白金とセラミックとの濡れ性が向上することによるものと考えられる。濡れ性の向上により接合が強化される理由としては、濡れ性の向上によりセラミック基板3の副成分(特にガラス成分)が白金粉末の間に拡散しやすくなったことが考えられる。
配線基板1は、白金とは異なる導電材料からなり、セラミック基板3を貫通する貫通導体5を更に有し、外部導体層9は、貫通導体5のセラミック基板3から露出する部分を覆っている。
従って、高価な白金の使用量を少なくして配線基板1全体としてコスト削減を図りつつ、生体への溶出が少ない白金により貫通導体5の露出部分を覆って配線基板1が生体へ及ぼす影響を低減できる。
貫通導体5は金属からなり、外部導体層9と貫通導体5との間には、白金と金属との合金層15が形成されている。
従って、外部導体層9を構成する白金が貫通導体5を構成する金属に拡散されていることにより、外部導体層9と貫通導体5との接合が強化される。また、白金が拡散されて緻密化された合金層15により、貫通導体5を構成する金属が合金層15を超えて拡散することが抑制される。
本実施形態の配線基板1の製造方法は、セラミック基板3に白金のペーストを塗布する工程と、白金のペーストが塗布されたセラミック基板3を真空中で焼成する工程とを有する(図4(d))。
従って、真空中での焼成により、白金表面の原子レベルの酸化膜を維持し、外部導体層9とセラミック基板3との間に、これらの接合を強化する酸化白金層13が形成される。
また、本実施形態の配線基板1の製造方法は、白金のペーストを塗布する工程(図4(d))の前において、セラミックグリーンシートに貫通孔3hを形成する工程(図4(a))と、貫通孔3hに白金とは異なる金属のペーストを充填する工程(図4(b))と、金属のペーストが充填されたセラミックグリーンシートを還元雰囲気中で焼成し、白金とは異なる金属からなる貫通導体5が配置されたセラミック基板3を形成する工程(図4(c))と、を更に有する。そして、白金のペーストを塗布する工程においては、白金のペーストを、貫通導体5のセラミック基板3から露出する部分、及び、セラミック基板3の、貫通導体5の露出部分の周囲部分に塗布する。
従って、還元雰囲気中での焼成により貫通導体5の酸化を抑制しつつセラミック基板3及びセラミック基板3に接合された貫通導体5を形成するとともに、真空中での焼成により貫通導体5の溶出を抑制する外部導体層9及びその接合を強化する酸化白金層13を形成することができる。
なお、以上の実施形態において、配線基板1は本発明の生体用埋設部材の一例であり、セラミック基板3は本発明のセラミック部の一例であり、外部導体層9は本発明の白金部の一例である。
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
生体用埋設部材は、配線基板に限定されない。また、生体用埋設部材は、長期的に生体内に配置されるものに限定されず、一時的に生体内に配置されるものであってもよい。また、生体用埋設部材は、その全体が生体内に配置されるものに限定されず、一部のみが生体内に配置されるものであってもよい。具体的には、生体用埋設部材は、人工器官、人工関節、人工骨、デンタルインプラント、カテーテル、ステント、若しくは、これらの構成部材であってもよい。
セラミック部及び白金部は、絶縁体及び導体として機能するものに限定されない。例えば、磁気共鳴装置により位置が把握されることが可能なステントにおいて、セラミック部及び白金部は、非磁性体及び磁性体として機能してもよい。また、例えば、人工関節において、セラミック部及び白金部は、人工骨の基材及び基材に接合された金属の溶出を抑制する被膜として機能してもよい。また、例えば、デンタルインプラントにおいて、セラミック部及び白金部は、デンタルインプラントの基材及びデンタルインプラントに付加価値を付与する装飾部として機能してもよい。
生体用埋設部材が配線基板である場合において、貫通導体や内部導体層は必須の要件ではない。絶縁層(11)は、1層でもよいし、3層以上でもよい。露出部分が白金部に覆われる貫通導体は、一端のみがセラミック部から露出するものであってもよい。
セラミックは、アルミナセラミックに限定されない。セラミックは、酸化物系セラミックでもよいし、非酸化物系セラミックでもよい。酸化物系セラミックとしては、アルミナセラミックの他に、例えば、ジルコニアセラミック(ZrO)、ムライトセラミック(3Al・2SiO)、アルミナ−酸化ケイ素系のガラスセラミック焼結体を挙げることができる。また、非酸化物系セラミックとしては、例えば、炭化物系セラミック、窒化物系セラミック、ホウ化物系セラミックを挙げることができる。より具体的には、例えば、炭化ケイ素(SiC)、窒化ケイ素(Si)、窒化ホウ素(BN)を主成分とするセラミックを挙げることができる。
セラミックの副成分は、製造工程において焼結助剤として用いられるものに限定されず、また、シリカ、カルシア及びマグネシアに限定されない。例えば、副成分は、ジルコニア、2酸化チタン(TiO)であってもよい。また、副成分は、1種類のみでもよい。なお、希土類元素等の生体に対する適合性が良好とされない元素を含む副成分は避けることが好ましい。
貫通導体を構成する金属は、白金より安価なもの若しくは白金よりも生体に溶出し易いものに限定されず、また、モリブデン及びタングステンに限定されない。例えば、当該金属は、チタン、コバルト、アルミニウム、マグネシウム、ニオブ、ジルコニウム、クロム、ニッケル、ステンレス鋼、タンタル、金、パラジウム、銅、マンガン又は、これらを含む合金であってもよい。
図2及び図3に例示した断面は、例えば、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)又は透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscopy、TEM)により観察することができる。すなわち、白金部(9)における緻密部(9a)及び非緻密部(9b)の存在、セラミックの副成分(17)の白金部(9)への拡散、白金と貫通導体(5)を構成する金属との合金層(15)の存在、セラミックの副成分(17)の貫通導体(5)への拡散は、SEM等により観察可能である。
なお、本願発明者の実験においては、実験の便宜のために配置された樹脂が非緻密部(9b)へ拡散されたことなどもあり、緻密部(9a)と非緻密部(9b)との境界、合金層(15)と白金又はモリブデンとの境界がSEMにより明確に観察できた。ただし、このような境界は観察できなくてもよい。換言すれば、緻密の程度若しくは組成が急激に変化する部分が存在せず、徐々に緻密の程度若しくは組成が変化してもよい。この場合であっても、例えば、白金の表面側と、白金のセラミック側(若しくは貫通導体側)とで緻密の程度に差があることが観察されれば、境界が明確でなくとも、非緻密部と緻密部(若しくは合金層)とが存在するといえる。
また、合金層の存在等は、SEM等による観察以外にも、種々の方法により確認可能である。例えば、X線光電子分光(XPS:X-ray photoelectron spectroscopy)分析によって、白金部(9)の表面側から貫通導体(5)側への深さの異なる範囲における、種々の原子の比率を調べることにより、合金層の存在を確認することができる。
酸化白金層の存在は、TEM等により観察可能である。また、XPS等により原子の比率を調べることによっても確認できる。さらに、上述したように、酸化白金層が存在しない状態においては、セラミックの副成分は白金に拡散しないから、セラミックの副成分が白金に拡散していることは、酸化白金層が形成されていることを確認する一助となる。
本発明の一態様の製造方法において、白金のペーストの焼成は、2次焼成に限定されない。すなわち、焼成前のセラミック部に白金のペーストが塗布されて、焼成が行われてもよい。また、白金のペーストの焼成は、不活性ガス(例えば窒素)の雰囲気中で行われてもよい。この場合であっても、白金の原子レベルの酸化膜は維持される。
1…配線基板(生体用埋設部材)、3…セラミック基板(セラミック部)、9…外部導体層(白金部)、13…酸化白金層。

Claims (9)

  1. セラミックにより構成されたセラミック部と、
    白金により構成された白金部と、
    前記セラミック部と前記白金部との間にこれらに接して介在する酸化白金層と、
    を有する生体用埋設部材。
  2. 前記酸化白金層には前記セラミックの副成分が拡散されている
    請求項1に記載の生体用埋設部材。
  3. 前記白金部には前記セラミックの副成分が拡散されている
    請求項1又は2に記載の生体用埋設部材。
  4. 前記セラミックは、酸化アルミニウムを主成分とし、酸化ケイ素、酸化カルシウム及び酸化マグネシウムの少なくとも一つを副成分とする
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の生体用埋設部材。
  5. 白金とは異なる導電材料により構成され、前記セラミック部を貫通する貫通導体を更に有し、
    前記白金部は、前記貫通導体の前記セラミック部から露出する部分を覆っている
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の生体用埋設部材。
  6. 前記貫通導体は金属により構成され、
    前記白金部と前記貫通導体との間には、白金と前記金属との合金層が形成されている
    請求項5に記載の生体用埋設部材。
  7. 前記貫通導体を構成する金属は、モリブデン又はタングステンである
    請求項6に記載の生体用埋設部材。
  8. 焼成前若しくは焼成後のセラミック部に白金のペーストが接するように前記セラミック部に前記白金のペーストを塗布する工程と、
    前記白金のペーストが塗布された前記セラミック部を真空中又は不活性ガス中で焼成する工程と、
    を有する生体用埋設部材の製造方法。
  9. 前記白金のペーストを塗布する工程の前において、
    セラミックグリーンシートに貫通孔を形成する工程と、
    前記貫通孔に白金とは異なる金属のペーストを充填する工程と、
    前記金属のペーストが充填された前記セラミックグリーンシートを還元雰囲気中で焼成し、白金とは異なる金属からなる貫通導体が配置された前記セラミック部を形成する工程と、
    を更に有し、
    前記白金のペーストを塗布する工程においては、前記白金のペーストを、前記貫通導体の前記セラミック部から露出する部分、及び、前記セラミック部の、前記貫通導体の露出部分の周囲部分に塗布する
    請求項8に記載の生体用埋設部材の製造方法。
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