JP5735777B2 - 研磨パッド - Google Patents

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Description

本発明は、工作物との間に研磨材を含有するスラリーを供給しながら前記工作物を相対的に移動させて工作物を高精度に研磨する研磨パッドであり、現在使用されている研磨パッドよりも格段に優れた研磨能率を向上させることができる研磨パッドに関するものである。
従来、ディスプレイ用の液晶硝子、板硝子、光学用のレンズプリズム、更には、半導体のウエハーのような工作物の表面および端面はきわめて高度な平滑度および平坦度が求められることから高精度の研磨仕上げが要求されるとともに 高い研磨能率による研磨時間の短縮化も要求される。
そこで、例えば粒径が0.5〜2.0μm程度の研磨材を含有するスラリーを工作物との間に供給しながら前記工作物とを相対的に移動させて工作物を研磨する研磨パッドによる研磨方法が知られている。
そして、研磨パッドに含有される研磨材の粒径を同じ範囲の径とすることにより、研磨スラリーによる研磨と研磨パッドによる研磨レートの差をなくし、加工面の平坦度を向上させる手段が特開2007−250166号公報に提示されている。
しかしながら、前述の如く高度な平滑度および平坦度が求められる工作部の表面を研磨するには前述の如く粒径が0.5〜2.0μm程度の研磨スラリ−を流して、発泡ウレタン樹脂又は二層の一方が発泡ウレタン樹脂のスエ−ド等の研磨パッドを用いての研磨方法が主流であるが、この様に何れも用いられている研磨パッドの基材に大きな違いがない事から、研磨パッドの特性により多少の研磨能率の差は出るものの研磨能率自体には大差なく、発泡ウレタン樹脂により形成される基材を用いていることからそれ以上大きく研磨能率を向上させることには限界がある。
また、例えば特開2005−177945号公報に提示されているように、研磨パッドの研磨領域表面に一定の溝を形成して研磨スラリーの流れを良くする事により研磨能率を向上させる研磨パッドが提示されている。
ところが、前記溝を有する研磨パッドは溝の形状が工作物に転写してうねりを生じさせる、という問題がある。
特開2007−250166号公報 特開2005−177945号公報
本発明は、前記従来の基材をウレタン樹脂により形成した研磨パッドが有している問題点を解決するためになされたものであり、きわめて高度な平滑度および平坦度が求められる高精度の研磨仕上げを行うことはいうまでもなく、従来の研磨パッドよりも格段に優れた研磨能率を向上させることを可能にする研磨パッドを提供することを課題とする。
前記課題を解決するためになされた本発明は、研磨台に直接取り付けられて工作物との間に研磨材を含有するスラリーを供給しながら前記研磨台または工作物を相対的に移動させて前記工作物を研磨する研磨パッドであってエポキシ樹脂とウレタン樹脂の混合発泡樹脂により形成されて且つエポキシ樹脂とウレタン樹脂との配合割合が重量比で3:7〜99:1の範囲であるとともに成形後の硬度がD硬度18〜65(A硬度60〜100)であることを特徴とする。
本発明によれば、発泡樹脂として研磨能率に効果のある高い剛性(靭性)を有するエポキシ樹脂を用いた研磨パッドにおいて、使用寸法形状の薄いシ−ト状にスライスする工程で端面が欠ける、スライス表面精度が落ちる、曲率の強い研磨面に全体面を合わせ難い等の機械加工特性の
問題を解決する手段として発泡樹脂としてウレタン樹脂を添加し、弾性率低下(内部応力低下)を起こしエポキシ樹が有する剛性とウレタン樹脂の柔軟性の両作用を持たせることにより研磨能率を加速させた。
また、本発明において、前記研磨パッドの気孔率が〜70%である場合が好ましい。
硬度をD硬度18〜65(A硬度60〜100の範囲としたのは、硬度が18(A硬度60以下では形状精度が悪化し、硬度が65(A硬度100以上では摩耗が多くなるためである。
更に、本発明において、前記基材に直径0.5〜500μm程度の砥粒が1〜30%配合されている場合、前記基材の表面に格子状の溝が形成されている場合が好ましい。
本発明の研磨パッドは、現在市販されている研磨パッドとしては優れているといわれている発泡ウレタン樹脂からなる研磨パッドに比較してスラリー添加時の動的摩擦係数が大きく砥粒の保持力が高くなる為に、工作物と砥粒の相対速度が高まる事で研磨能率が大きく向上する。
本発明の好ましい実施の形態を示す斜視図。 本発明の実施例製作した研磨パッド外観図。 本発明の実施例製作した研磨パッド表面の光学顕微鏡像。 本発明の実施例作製した研磨パッドの曲げ加工図。 本発明の研磨パッドの研磨能率及び加工後工作物表面粗さの関係図。
次に本発明の最良の形態について図面を参照して説明する。
図1は回転式の研磨台に取り付けられる本発明の研磨パッドの好ましい実施の形態を示すものであり、研磨パッド1を形成する発泡樹脂がエポキシ樹脂とウレタン樹脂の混合発泡樹脂で且つエポキシ樹脂とウレタン樹脂との配合割合が重量比で3:7〜99:1の範囲であり、全体が薄形円柱形形成され、表面に直径が0.01〜3mmの気孔3が形成されている。
更に詳しく説明すると、本実施の形態は、例えばポキシ樹脂とウレタン樹脂との混合物に、発泡剤を混合して、硬化剤を加え金型内で発泡させて硬化させた後、離型し、室温で二次乾燥して製造する。その後、所定厚にスライスして薄いシ−ト状の製品にする。
120℃で予熱して粘度を低下させたエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製、JER834)42.0g及びウレタン樹脂(三井化学ポリウレタン株式会社 ハイプレンU−51)10.0gに、硬化剤(ジャパンエポキシレジン、JERキュアFL052)を38.5g添加した。また研磨パッドに気孔を形成する為に、発泡剤(永和化成セルラ−D)及び発泡助剤(永和化成製、セルベ−スト M3)を添加した。発泡剤及び発泡助剤は同量添加し、添加量は2.5〜4.1gの範囲で変化させた。これらの材料を混合した後、攪拌を行い金型に注型した。その後、加熱を行い樹脂での硬化と発泡を行った。加熱温度(116℃)以上の120℃で45分間保持した。
図2に製作した研磨パッド(外径210mm)の外観写真を示す。また、図3に研磨パッドにおける表面の光学顕微鏡写真を示す。発泡剤を添加することにより研磨パッドの表面に多数の気孔が形成されていることがわかる。
更に、ウレタン樹脂を添加して弾性を低下させたことにより曲率の強い研磨面への合わせも容易となる。図4にウレタン樹脂を添加した研磨パッドの曲げ加工写真を示す。
次に、前記得られた研磨パッドと酸化セリウム砥粒を用いてガラスの研磨実験を行った。表1に研磨実験条件を示す。
製作した研磨パッドは表面に凹凸が存在するために、研磨機上において切削(フェイシング)を行った。工作物にはソ−ダガラスを用い、研磨圧力は20KPa,研磨パッド及び工作物の回転速度は90rpmとした。また砥粒には平均粒径が1.2μmの酸化セリウム(昭和電工製SHOROX A−10)を用い、純水中に分散させた。比較の為に市販されている酸化セリウム配合発泡ウレタン研磨パッド(九重電気製KP66A)を用い、同様な条件で研磨実験を行った。研磨加工後表面粗さは白色式干渉顕微鏡(ZygoNewView5032)により評価し、研磨能率は研磨前後の工作物の質量差により評価した。
図5に従来の発泡ウレタン樹脂により形成した研磨パッドとエポキシ樹脂とウレタン樹脂の混合発泡樹脂により形成された本発明の実施例である研磨パッドの研磨能率及び加工後工作物表面粗さの関係を示す。本発明の実施例は従来市販の研磨パッドと比較して約2倍の研磨能率が得られた。また加工後工作物の表面粗さは従来市販の研磨パッドと比較しても遜色なく、粗さを維持しながら高い研磨能率を有することが確認できた。
これは本発明であるエポキシ樹脂とウレタン樹脂の混合発泡樹脂により形成された研磨パッドが従来市販されている基材が発泡ウレタン樹脂により形成されている研磨パッドよりも研磨能率を高める効果が得られた結果である。これらのことから、従来有効といわれていた発泡ウレタン樹脂により形成されている研磨パッド(スエ−ド含む)及び更に溝入りの研磨パッドに比べて本発明の研磨パッドが研磨能率の向上に関して有効であることが確認される。
1 研磨パッド、2 表面、3 気孔

Claims (4)

  1. 研磨台に直接取り付けられて工作物との間に研磨材を含有するスラリーを供給しながら前記研磨台または工作物を相対的に移動させて前記工作物を研磨する研磨パッドであってエポキシ樹脂とウレタン樹脂の混合発泡樹脂により形成されて且つエポキシ樹脂とウレタン樹脂との配合割合が重量比で3:7〜99:1の範囲であるとともに成形後の硬度がD硬度18〜65(A硬度60〜100)であることを特徴とする研磨パッド。
  2. 前記混合発泡樹脂気孔率〜70%であることを特徴とする請求項1記載の研磨パッド。
  3. 前記混合発泡樹脂に直径0.5〜500μの砥粒が1〜30%配合されていることを特徴とする請求項1または2記載の研磨パッド。
  4. 研磨表面に格子状の溝が形成されていることを特徴とする請求項1,2または3記載の研磨パッド。
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