JP5734619B2 - シリンダバルブ - Google Patents
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Description
例えば下記特許文献1,特許文献2にこの種のシリンダバルブが開示されている。
図において、200はシリンダバルブ202における弁ケースで円筒形状をなしており、周方向所定個所に筒壁を貫通する水流出用のケース開口(第1のケース開口)206が設けられている。
204は、弁ケース200に対して回転可能に内嵌された円筒形状のシリンダ弁体で、このシリンダ弁体204においても筒壁を貫通する弁孔(第1弁孔)208が設けられている。
このシリンダ弁体204にはまた、軸方向の一端側にハンドル連結部となる弁軸部210が一体回転状態に設けられている。
この例において、主孔部208aはシリンダ弁体204の軸方向に長手形状をなしている。より具体的には、ここでは主孔部208aは、シリンダ弁体204の軸方向を長径側、周方向を短径側とするオーバル形状をなしており、絞り孔部208bを含む弁孔208全体が涙型形状をなしている。
そして弁軸部210を更に同じ方向に回転すると、絞り孔部208bとケース開口206bとの重合面積が次第に増加し、流出流量もこれに応じて増大する。
上記のシリンダバルブ202は、ハンドルを左向きに回転させることで吐水する形式の水栓用として構成されており、ハンドルを右向きに回転させて吐水する形式の水栓のシリンダバルブとして使うことはできない。
具体的には、このシリンダバルブ202では、シリンダ弁体204の弁軸部210とは軸方向の反対側に開口部216を設けて、この開口部216から水を内部に流入可能となしており、また図13(A)及び図14(B)に示しているように、上記のケース開口206,弁孔(第1弁孔)208とはそれぞれ周方向に180°異なった位置において弁ケース204に第2のケース開口212を、またシリンダ弁体204に弁孔(第2弁孔)214を設け、これらケース開口212及び弁孔214を通じて、シリンダ弁体204の内部に水を流入可能となしている。
ここで弁孔214は、周方向に長円形状をなす一対の弁孔214-1と214-2とから成っている。
従って図14(B)に示す弁孔214,ケース開口212を水の流出用として用いることで、ハンドルの回転方向が逆向きの水栓に対応するといったことは実際上できない。
特許文献3には「バルブのウォーターハンマ防止構造」についての発明が示され、そこにおいてシリンダバルブが開示されているが、この特許文献3に開示のシリンダバルブの場合、これをハンドルを左向きに回転させることで吐水する形式の水栓と、右向きに回転させることで吐水する形式の水栓とに共通に用いることのできないものであり、本発明と異なる。
但しこの特許文献4に開示のシリンダバルブの場合、シリンダ弁体の弁孔が周方向に横長の長円形状のものであり、流量調節特性において、またウォーターハンマ防止の効果の点で本発明と異なる別異のものである。
またこれらの場合において上記の第1弁孔と第2弁孔とは、周方向において対称形状となしておくことができる。
このようにすれば、第1弁孔と第2弁孔との一方を水流入用として用い、また他方を水流出用として用いることが可能となり、シリンダバルブに対して軸直角方向に水を流入させた上、流入した水を軸直角方向に流出させる機能をシリンダバルブにもたせることができる。
このようにすることで、シリンダバルブに対し、軸方向に流入して来た水を軸直角方向に流出する機能をもたせることができる。
図1において、10は洗濯機水栓,トイレの手洗用水栓等に用いられる水栓(ここでは単水栓)で、壁Wから前方に突出する状態で設けられている。
ここでハンドル16は、回転操作によって吐水開始と止水及び水量調節を行う。
このハンドル16には、周方向所定個所に突出形状の摘み18を備えている。また吐水部14は先端に吐水口20を備えている。
ここでシリンダバルブ24は、本体ボデー12内部の入側水路22を通じて軸方向に流れて来た水を、開口部25から内部に軸方向に流入させた上、軸直角方向に流出させる。即ち流入して来た水を90°向きを変えて流出させる。
流出した水は吐水口20へと到って、そこから外部に吐水される。
このシリンダバルブ24は、ハンドル16に作動的に連結されてこれと一体回転する円筒形状のシリンダ弁体26と、これを回転可能に内嵌させた外側の円筒形状の弁ケース28とを有している。
またこれとは周方向に180°隔たった位置において、水流入用のケース開口(第2のケース開口)34が、軸方向の同一位置で同じく筒壁を貫通して設けられている。
尚、弁ケース28にはケース開口36を取り囲む状態にシール用のOリング114が設けられており、このOリング114によって、本体ボデー12とシリンダ弁体26の筒壁との間が水密にシールされている。
尚この例のシリンダバルブ24では、このとき弁孔32もまたケース開口34に重合状態となる。
但しここではシリンダ弁体26の弁孔32及び弁ケース28のケース開口34は、実際に水を流入させるためのものとして用いられていない。
一方ハンドル16の操作によって弁孔30をケース開口36に対して完全不一致とすると、ここにおいて弁孔30及びケース開口36からの水の流出が停止する。即ち吐水口20から吐水停止する。
弁軸部38には、図2,図3,図4及び図5に示しているように細幅のリング溝42が形成されており、そこに止め輪(ここではEリング)44が弾性的に嵌められている。
そしてこの固定リング54の本体ボデー12のねじ込みにより、シリンダバルブ24が、後述の位置決リング56を介し本体ボデー12に軸方向に固定され抜止めされている。
一方ハンドル18の内面には、図3に示しているように雌セレーション部62が設けられていて、この雌セレーション部62が雄セレーション部60に噛み合わされている。そしてこれら雄セレーション部60と雌セレーション部62との噛み合いにより、伝達部材58がハンドル16と一体回転するようになっている。
そしてその嵌合状態の下で、弁軸部38の中心部に形成された雌ねじ孔66に、固定ねじ68がねじ込まれることによって、弁軸部38と伝達部材58とが軸方向に締結されている。
一方これに嵌合する伝達部材58の嵌合孔64には、図3の部分拡大図に示すように、奥部に弁軸部38の先端部に対応した四角形状の係合部72と、突条70に対応した凹溝74が備えられており、それら係合部72及び凹溝74が、弁軸部38の四角形状の先端部及び突条70に嵌り合って回転方向に係合している。そしてそれらの係合に基づいて、伝達部材58に伝えられた回転方向の操作力が弁軸部38に伝えられ、それらが一体回転するようになっている。
即ち、シリンダバルブ24の本体ボデー12に対する回転方向の組付位置が、位置決リング56を介して規定されている。
詳しくは、位置決リング56をシリンダバルブ24に対し軸方向に押し込むと、爪部88がシリンダバルブ24のリング溝42に装着されている止め輪44を弾性的に乗り越えて通過し、そして止め輪44を爪部88が乗り越えたところで爪部88が止め輪44に対し軸方向に引っ掛かって係合した状態となる。これにより位置決リング56がシリンダバルブ24に対し組み付いた状態となる。
尚、各爪部88には位置決リング56を図中軸方向に押し込むときに、止め輪44を乗り越えるための傾斜形状の乗越ガイドが押込方向の先端側に設けられている。
これらストッパ部84-1,84-2は、ハンドル16の回転を一定角度範囲内に規定するハンドルストッパ部として働くものである。
図5に示しているように、シリンダ弁体26における上記の弁孔30と32とは、それぞれシリンダ弁体26の軸方向に長手形状をなす開口面積の大きな主孔部30aと、主孔部30aから周方向の延び且つ周方向に進むにつれて先細り形状となる、主孔部30aよりも上記軸方向の寸法が小で開口面積の小さな絞り孔部30bとを有する形状をなしている。
ここで主孔部30aは、具体的にはシリンダ弁体26の軸方向を長軸側とし、周方向を短軸側とするオーバル形状、厳密には絞り孔部30bが延び出す部分を切り欠いた形の部分オーバル形状をなしている。
ここでオーバル形状には楕円形状,互いに平行な2つの直線の各端側を半円形状等の円弧形状で結んだ長円形状等を含む概念であるが、ここでは主孔部30aは楕円形状若しくは楕円形状に近似した形状をなしている。
またこれら一対の弁孔30,32は、図5(B)の中心線を対称軸として図中上下方向(つまり周方向)に対称形状をなしている。即ち弁孔30と32とは同じ大きさで形成されている(但し大きさを互いに異ならせておくこともできる)。
一方弁ケース28における一対のケース開口36,34は何れも略4角形状をなしている。
この例では、水流出用のケース開口36に対して、水流入用のケース開口34の形状が若干大きくされている。
尚図7に示しているように、ここでは伝達部材58が、その当接部86-1と弁軸部38における突条70とを同一方向に向ける状態で、シリンダバルブ24に組み付けられている。
図7(I)は閉弁状態を示しており、このとき伝達部材58における一対の当接部86-1,86-2は、それぞれ位置決リング56における対応するストッパ部84-1,84-2に対し右向きに当接し、また弁孔30はケース開口36に対して不一致の状態にあって、ケース開口36はシリンダ弁体26にて閉鎖された状態にある。
尚このとき、今一方の弁孔32もまたケース開口34に対し不一致の状態にあって、ケース開口34もまたシリンダ弁体26にて閉鎖された状態にある。
ここにおいてシリンダ弁体26の内部の水が、絞り孔部30bからケース開口36を通じて流出し、吐水口20から吐水される。
そして主孔部30aがケース開口36にかかると、ここにおいて水の流出流量の増大の度合が増し、シリンダ弁体26の僅かな開方向の回転に伴って流量が急激に増大する。
その閉弁間際から閉弁にかけて、水の流出流量は少しずつ減少して最終閉弁状態となるため、ウォーターハンマの発生が良好に防止される。
同図において、94は水栓92における本体ボデーで吐水口20を備えている。
95は摘み96を有するハンドルである。
この例の水栓92の場合、ハンドル95が摘み96を水平向きとした状態で閉弁状態つまり止水状態にあり、この状態からハンドル95を右方向(時計方向)に回転させることで吐水を行う。そして摘み96が上方位置に到ったところで吐水の流量が最大流量となる。
即ちこの実施形態の水栓92の場合、止水状態から吐水するためのハンドルの回転方向が上例の水栓10とは左右逆方向となる。
図に示しているようにここではハンドル95が、上記の伝達部材58を介さないで、直接シリンダバルブ24の弁軸部38に嵌合し、その状態で固定ねじ68によって弁軸部38に軸方向に締結されている。
尚ハンドル95には、図9に示しているように、図3の伝達部材58の嵌合孔64,係合部72,凹溝74が直接設けられている。
即ちここでは、弁ケース28のケース開口34が水流入用の開口として用いられている。但しシリンダ弁体26における一対の弁孔30,32のうち、ここでは弁孔32が水流出用として用いられ、他方の弁孔30が水流入用として用いられている。
図10(I)は、シリンダ弁体24が閉弁した状態を示しており、このとき弁孔32は弁ケース28のケース開口36に対し図中下側の隠れた位置にあって、弁孔32全体が閉鎖された状態にある。
またこのとき、ハンドル95に設けられた一対の当接部86-1,86-2が、位置決リング56における一対のストッパ部84-1,84-2に対してそれぞれ左向きに当接した状態にある。
即ちここでは、ハンドル95側の凹溝74が当接部86-1,86-2に対し、周方向に90°異なった位置に設けられている。
その際の流出流量の変化は図7に示したのと同様である。
また閉弁間際から閉弁にかけて流出流量は少しずつ減少し流出停止となるため、閉弁時の流れの急激な停止によってウォーターハンマが発生するのを有効に防止する。
これにより従来2種類のシリンダバルブを必要としていたのを、1種類のシリンダバルブ24だけで対応可能となり、所要のシリンダバルブの種類を削減し得てシリンダバルブのためのコストを低減できる。
同図に示しているように水栓92では、シリンダ弁体26の右向きの回転により、水流出側の弁孔32は絞り孔部30bの先端側からケース開口36に向って移動し、一方水流入側の弁孔30は、主孔部32aの側からケース開口34に向って移動する。
そして図11(I)に示しているように、弁孔32の絞り孔部32bの先端がケース開口36に僅かに覗いた時点即ち重合した時点で、弁孔30は主孔部32aの大部分がケース開口34に重合した状態となる。
そのように弁孔32,30及びケース開口36,34の位置及び形状が定められている。
その後は弁孔32のケース開口36に対する重合面積が増大するにつれて、弁孔30はケース開口34に対する重合面積を少しずつ増加させ、そして弁孔32の全体がケース開口36に重合する直前で、弁孔30はケース開口34に対し全体的に重合した状態となる。
そして弁孔30がケース開口34に全体的に重合した状態を維持しつつ、シリンダ弁体26の更なる右向きの回転によって、最終的に弁孔32の全体がケース開口36に重合した状態となり、ここにおいてシリンダ弁体26を通過する水の流量が最大流量となる。
また流量を絞ったときに圧損を生じる個所が、実質的に弁孔32の側だけであるため、全体としての圧損を少なくすることができる。
例えば本発明はシリンダ弁体26における弁孔30,弁孔32を図12に示しているように点対称形状の弁孔とすることもできるし、これ以外の他の様々な形状となすことが可能であり、またシリンダバルブ24の構成を上例以外の他の様々な構成となすことも可能である。
また上例では弁孔30と弁孔32とが周方向に180°隔たった位置に設けてあるが、弁孔30と弁孔32との周方向の位置関係を上例以外の位置関係となすことも可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
26 シリンダ弁体
28 弁ケース
30 弁孔(第1弁孔)
32 弁孔(第2弁孔)
30a,32a 主孔部
30b,32b 絞り孔部
34 ケース開口(第2のケース開口)
36 ケース開口(第1のケース開口)
38 弁軸部
Claims (2)
- 円筒形状のシリンダ弁体と、該シリンダ弁体を回転可能に内嵌させる外側の円筒形状の弁ケースと、該シリンダ弁体の軸方向の一端側に一体回転状態に設けられた弁軸部と、を含み、
前記弁ケースには周方向の所定個所に筒壁を貫通する水流出用の第1のケース開口が、前記シリンダ弁体には筒壁を貫通する弁孔がそれぞれ設けてあり、該シリンダ弁体の回転に伴い該弁孔を該第1のケース開口に重合させることで該シリンダ弁体の内部の水を重合面積に応じた流量で流出させ、該弁孔を該第1のケース開口に対し不一致とすることで流出停止させるシリンダバルブにおいて、
前記シリンダ弁体には、前記弁孔として水流出口となる第1弁孔を前記ケース開口に対応して設けるとともに、該第1弁孔とは周方向において180度異なった位置に該弁孔として第2弁孔を設けて、それら第1弁孔と第2弁孔とを、該シリンダ弁体の軸方向に長手形状をなす主孔部と、該主孔部から周方向に延び出し且つ該周方向に進むにつれて先細り形状となる、該主孔部より前記軸方向の寸法が小で開口面積の小さな絞り孔部とを有する形状で且つ同じ大きさで形成し、各絞り孔部を周方向に対向させる状態に配置してあり、
前記弁ケースは、前記第1弁孔および前記第2弁孔の一方を前記第1のケース開口に重合させたときに、周方向において他方を重合させる位置に筒壁を貫通する水流入用の第2のケース開口が設けてあることを特徴とするシリンダバルブ。 - 請求項1において、前記主孔部を、前記シリンダ弁体の軸方向を長径側、周方向を短径側とするオーバル形状となしてあることを特徴とするシリンダバルブ。
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