JP5734441B2 - 多重チョッパ装置 - Google Patents

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Description

この発明は、半導体素子とリアクトルを組み合わせたチョッパ装置を複数並列接続した多重チョッパ装置に係り、特に複数並列接続したチョッパ装置の相互間の電流アンバランス(電流偏差)を低減するための技術に関するものである。
低圧側から高圧側や高圧側から低圧側への直流変換に用いられる多重チョッパ装置として、複数のチョッパ装置を並列接続し、各チョッパ装置を(2π/並列数)の位相差を設けて駆動する多重チョッパ装置がある。この多重チョッパ装置は、上記のような位相差を設けて駆動することにより、並列接続しない場合に比べて電流リップルが低減されるため、コンデンサ等の小型化が可能になるという利点がある。
しかし、このようにチョッパ装置を並列接続する場合には、各チョッパ装置を構成するスイッチング素子やそのドライバ、リアクトル等の特性バラツキに起因して、並列チョッパ装置間での分担電流のアンバランスが生じる。そして、このような電流アンバランスが生じると、電流集中による過電流破壊や、発熱集中による過温度破壊につながるという不都合が生じるため、並列チョッパ装置間で電流を均等化する必要がある。
そこで、従来技術では、多重チョッパ装置が並列接続された場合、例えば2台のチョッパ装置から構成される場合、各チョッパ装置の出力電流を各チョッパ装置に個別に設けた電流検出器で検出し、それらの検出電流に基づいて演算器により2台のチョッパ装置の出力電流の差を演算する。そして、各出力電流の差の波形を、ローパスフィルタによって高周波成分を除去することにより、2台のチョッパ装置間の電流偏差を表す電流偏差信号を生成して制御部に入力する。
各チョッパ装置を駆動制御する制御部は、出力電圧指令値と位相差が設定された2つの搬送波との大小関係を比較することにより、PWM(パルス幅変調)方式により2つのスイッチング信号を生成し、各スイッチング信号を各チョッパ装置に出力する。その際、制御部は、2台のチョッパ装置の間の電流アンバランスが低減するように、上記のようにしてローパスフィルタを介して入力される電流偏差信号に応じて、2台のチョッパ装置のうちの1台のチョッパ装置の搬送波について、そのオフセットを調整してスイッチング信号のオン/オフ時間を変化させる。こうして、オン/オフ時間が変化したスイッチング信号を受けたチョッパ装置の出力電流は、オン/オフ時間の変化の向きにより、上昇または下降するので、これによって各チョッパ装置の間の電流アンバランスが低減される(例えば、下記の特許文献1参照)。
特開2010−273470号公報
上記従来のような多重チョッパ装置は、電流アンバランスの低減を図ることができる。しかしながら、上記制御部は、各チョッパ装置を駆動するためのPWM方式によるスイッチング信号の生成と、各チョッパ装置間の電流アンバランスを低減するための搬送波のオフセットの調整とを共に行う必要がある。そのため、電流検出器により各チョッパ装置の出力電流を検出してから制御部により各チョッパ装置に対するスイッチング信号のオン、オフ期間を調整して出力するまでの制御時間が長くなり、電流アンバランスを低減するための制御の遅れが大きいという課題がある。また、制御部の設計を変更すると、スイッチング信号を生成するための搬送波についてのオフセットの調整も新たに必要となり、制御部の設計変更に伴う全体的な影響が大きく、余分な手間と労力を要するという課題があった。
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、各チョッパ装置間の電流アンバランスを低減するための制御の遅れが小さく、かつ各回路部の設計を変更しても、それに伴う全体的な影響が小さくて、余分な手間や労力が削減できる多重チョッパ装置を提供することを目的とする。
この発明に係る多重チョッパ装置は、低圧側に接続されたリアクトル、このリアクトルに接続されたスイッチング素子およびダイオードからなるチョッパ装置をN台(Nは2以上の整数)並列に接続し、各々の上記チョッパ装置のスイッチング素子を互いに位相差をもたせてオン、オフすることにより、低圧側と高圧側の間で直流変換を行う多重チョッパ装置であって、
各々の上記チョッパ装置を構成する同一の配線部品の配置箇所に、各々の上記チョッパ装置で直流変換を分担する際に上記同一の配線部品に流れる電流の差を検出するための電流検出器を設けると共に、各々の上記チョッパ装置に対して当該装置駆動用のスイッチング信号を生成するスイッチング信号生成部と、上記電流検出器が検出した電流波形を処理して上記チョッパ装置の相互間の電流偏差を表す電流偏差信号を生成する電流波形処理部と、上記電流波形処理部が生成した電流偏差信号に基づいて上記チョッパ装置の相互間の電流偏差が低減するように上記スイッチング信号生成部が生成したスイッチング信号にデューティ補正を施すスイッチング信号補正部と、上記スイッチング信号補正部がデューティ補正を施したスイッチング信号を受けて上記スイッチング素子を駆動するドライバと、を備えている。
この発明の多重チョッパ装置によれば、各チョッパ装置を駆動するスイッチング信号の生成と、電流アンバランスを低減するためにスイッチング信号のオン/オフ時間を変化させる制御とをそれぞれ独立に行えるようにしているので、各チョッパ装置間の電流アンバランスを低減するための制御の遅れが小さく、かつ、各回路部の設計を変更しても、それに伴う全体的な影響が小さく、余分な手間や労力が削減できる多重チョッパ装置を提供することが可能となる。
この発明の実施の形態1における昇圧型の多重チョッパ装置を示す回路図である。 各チョッパ装置間に電流アンバランスが生じている場合の各チョッパ装置のスイッチング信号、リアクトルを流れる電流、電流検出器で検出される検出電流、および電流波形処理部で得られる電流偏差信号を示す波形図である。 スイッチング信号補正部によりスイッチング信号にデューティ補正を施す場合の波形図である。 スイッチング信号補正部によりスイッチング信号に他のデューティ補正を施す場合の波形図である。 この発明の実施の形態1の変形例としての降圧型の多重チョッパ装置を示す回路図である。 この発明の実施の形態1における昇圧型の多重チョッパ装置の配線束と電流検出器の配置場所の変形例を示す回路図である。 この発明の実施の形態1における昇圧型の多重チョッパ装置の配線束と電流検出器の配置場所の変形例を示す回路図である。 この発明の実施の形態1における昇圧型の多重チョッパ装置の配線束と電流検出器の配置場所の変形例を示す回路図である。 この発明の実施の形態1における昇圧型の多重チョッパ装置の配線束と電流検出器の配置場所の変形例を示す回路図である。 この発明の実施の形態1における昇圧型の多重チョッパ装置の電流波形処理部の変形例を示す回路図である。 この発明の実施の形態1における昇圧型の多重チョッパ装置の電流波形処理部の他の変形例を示す回路図である。 この発明の実施の形態2における双方向型の多重チョッパ装置を示す回路図である。 この発明の実施の形態2の変形例としての同期整流型の多重チョッパ装置を示す回路図である。 この発明の実施の形態3における双方向型の多重チョッパ装置を示す回路図である。 この発明の実施の形態3の変形例としての同期整流型の多重チョッパ装置を示す回路図である。 この発明の実施の形態4における昇圧型の多重チョッパ装置を示す回路図である。
以下、この発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1における多重チョッパ装置を示す回路図である。
実施の形態1の多重チョッパ装置は、低圧側の直流電源としてのバッテリー1から高圧側の負荷2へ直流電力の昇圧を行う昇圧型のものである。この多重チョッパ装置は、バッテリー1と負荷2の間に2台のチョッパ装置100A、100Bが並列に接続され、バッテリー1と負荷2にはそれぞれ平滑用コンデンサ3、4が並列に接続されている。また、この多重チョッパ装置は、電流検出器12、電流波形処理部13、および各チョッパ装置100A、100Bを駆動制御する制御部20を備えている。
ここに、第1のチョッパ装置100Aは、リアクトル5A、上アームのダイオード8A、下アームのダイオード9A、下アームのスイッチング素子7A、およびスイッチング素子7Aを駆動するドライバ17Aを有する。また、第2のチョッパ装置100Bについても同様に、リアクトル5B、上アームのダイオード8B、下アームのダイオード9B、下アームのスイッチング素子7B、およびスイッチング素子7Bを駆動するドライバ17Bを有する。
制御部20は、スイッチング素子7A、7Bのオン、オフを指令する各スイッチング信号Sa、Sbをドライバ17A、17Bへ出力し、これにより各チョッパ装置100A、100Bがπの位相差を設けて駆動される。PWM制御(Pulse Width Modulation)と呼ばれる制御では、スイッチング素子7A、7Bのオン時間とオフ時間の合計時間は一定であり、スイッチング周期と呼ばれる。スイッチング周期に対するオン時間の比はデューティと呼ばれる。制御部20は、各チョッパ装置100A、100Bのドライバ17A、17Bへ出力する各スイッチング信号Sa、Sbのデューティを変えることで各チョッパ装置100A、100Bの直流電圧変換率等を制御する。
この実施の形態1の多重チョッパ装置の特徴は、2台のチョッパ装置100A、100Bの同一の配線部品としてリアクトル5A、5Bの配線を選び、第1のチョッパ装置100Aのリアクトル5Aからスイッチング素子7Aやダイオード8Aへ向かって流れる電流の向きと、第2のチョッパ装置100Bのリアクトル5Bからスイッチング素子7Bやダイオード8Bへ向かって流れる電流の向きとが逆向きになるように、これら電流が流れる一対の配線を重ね合わせることで配線束11を形成している。そして、この配線束11に対して、電線やバスバーを流れる電流を非接触で直流成分を含めて検出できる電流検出器12が設置されている。この場合の電流検出器12としては、例えばDCCT、ホールCT、ホール電流センサ等が適用される。
上記の構成により、電流検出器12は、上記の配線束11の箇所で、各チョッパ装置100A、100Bの同一の部品配線である、チョッパ装置100Aのリアクトル5Aの配線とチョッパ装置100Bのリアクトル5Bの配線とに流れる電流の差を検出することになる。以下、上記の配線束11の箇所において電流検出器12で検出される電流を単に検出電流Idと称する。
上記の配線束11の箇所において電流検出器12で検出される検出電流Idの最大電流値は、各チョッパ装置100A、100Bのリアクトル5A、5Bの配線を個々に流れる電流の最大電流値よりも一般に小さい。したがって、電流検出器12の最大測定可能電流値は、個々のリアクトル5Aの配線を流れる電流を電流検出器で個別に検出する場合の値に比べて小さくすることができる。これにより、高分解能の電流検出器12を用いて検出電流Idを高精度で検出することができ、かつ、電流検出器12の数を削減することができる。
電流波形処理部13は、ここではローパスフィルタ131により構成され、電流検出器12の検出電流Idの波形からリップル成分を取り除き、直流成分を電流偏差信号ΔIとして生成する。そして、この電流波形処理部13により生成された電流偏差信号ΔIは制御部20に入力される。
次に、各チョッパ装置100A、100B間に電流アンバランスが生じている場合の各部の状態について説明する。
図2には各チョッパ装置100A、100B間に電流アンバランスが生じている場合の、各チョッパ装置100A、100Bのドライバ17A、17Bに加わるスイッチング信号Sa、Sb、各リアクトル5A、5Bを流れる電流Ia、Ib、電流検出器12で検出される検出電流Id(=Ia−Ib)、および電流波形処理部13から出力される電流偏差信号ΔIの各波形を示している。なお、各リアクトル5A、5Bを流れる電流Ia、Ibは、バッテリー1から負荷2へ流れる向きを正としている。電流検出器12で検出される検出電流Idの符号については、電流検出器12はリアクトル5Aを流れる電流Iaの、リアクトル5Bを流れる電流Ibに対する差を検出するとし、符号を定める。
図2から分かるように、第1のチョッパ装置100Aのリアクトル5Aを流れる電流Iaが第2のチョッパ装置100Bのリアクトル5Bを流れる電流Ibよりも大きいので、電流アンバランス状態であり、一方の電流Iaの波形のピークは他方の電流Ibの波形のピークよりも高い位置にある。
このように、第1のチョッパ装置100Aのリアクトル5Aを流れる電流Iaが第2のチョッパ装置100Bのリアクトル5Bを流れる電流Ibよりも大きく電流アンバランス状態にあることから、電流波形処理部13によって得られる電流偏差信号ΔI(直流成分)の波形は、ゼロアンペアラインよりも上方にある。チョッパ装置100A、100B間の電流アンバランス状態が大きいほど、電流偏差信号ΔIの波形のゼロアンペアラインからのずれは大きくなる。そして、制御部20は、電流波形処理部13が生成する電流偏差信号ΔIを入力することで、チョッパ装置100A、100Bの間の電流アンバランス状態の向き(正負)と大きさを判定することができる。
次に、制御部20の構成について説明する。
制御部20は、スイッチング信号生成部21とスイッチング信号補正部22とがそれぞれ独立して設けられている。スイッチング信号生成部21は、スイッチング周期設定及びチョッパ装置100Aと100B間の位相差設定を行うと共に、入出力電圧設定に基づいて各チョッパ装置100A、100Bのドライバ17A、17Bに対する所定のデューティをもつスイッチング信号Sa*、Sb*を生成する。スイッチング信号補正部22は、電流波形処理部13が生成する電流偏差信号ΔIを入力し、この電流偏差信号ΔIに基づいて、チョッパ装置100A、100Bの間の電流アンバランス状態の向きと大きさを判定し、この判定に基づいてチョッパ装置100A、100Bの間の電流アンバランス状態を低減するように、スイッチング信号生成部21が生成したスイッチング信号Sa*、Sb*に対してデューティ補正を施し、このデューティ補正後のスイッチング信号Sa、Sbを各チョッパ装置100A、100Bのドライバ17A、17Bに対して出力する。以下、スイッチング信号補正部22によるデューティ補正の内容について、図3を参照して具体例に基づいて説明する。
ここでは、第1のチョッパ装置100Aのリアクトル5Aを流れる電流Iaの直流成分が16アンペア、第2のチョッパ装置100Bのリアクトル5Bを流れる電流Ibの直流成分が10アンペアであるとする。
電流波形処理部13は、電流検出器12が検出した検出電流Id(=Ia−Ib)の電流波形を処理してチョッパ装置100Aのリアクトル5Aの電流Iaがチョッパ装置100Bのリアクトル5Bの電流Ibよりも6アンペア高いことを表す電流偏差信号ΔIを生成する。スイッチング信号補正部22は、この電流波形処理部13が生成した電流偏差信号ΔIを入力し、この電流偏差信号ΔIに基づいてスイッチング信号生成部21が生成したスイッチング信号Sa*、Sb*に対して、次のような補正を行う。
すなわち、第1のチョッパ装置100Aのドライバ17Aに関するスイッチング信号Sa*に対してはオン時間が短くなるように、デューティが小さくなる補正を施し、そのリアクトル5Aに流れる電流が3アンペア下がるようにする。一方、第2のチョッパ装置100Bのドライバ17Bに関するスイッチング信号Sb*に対してはオン時間が長くなるように、デューティが大きくなる補正を施し、そのリアクトル5Bに流れる電流が3アンペア上がるようにする。
このスイッチング信号補正部22によるデューティ補正は、図示しないが、例えばRCフィルタとコンパレータとを組み合わせることにより行う。つまり、スイッチング信号生成部21からの各スイッチング信号Sa*、Sb*を時定数がスイッチング周期の200分の1から20分の1程度のRCフィルタに通過させた後、コンパレータの一方の入力端子に入力し、コンパレータの他方の入力端子には上記の電流偏差信号ΔIを基準信号として入力し、コンパレータで両信号を比較して方形波に再度波形成形して出力するなどの信号処理を行うことで実現することができる。
このように、スイッチング信号補正部22が、スイッチング信号生成部21が生成した各スイッチング信号Sa*、Sb*の両方にデューティ補正を施し、補正後の各スイッチング信号Sa、Sbをチョッパ装置100A、100Bのドライバ17A、17Bに対して出力することで、各チョッパ装置100A、100Bから負荷2への出力電流の合計が変動することなく、チョッパ装置100A、100B間の電流アンバランスを低減することができる。
しかも、スイッチング信号生成部21によるスイッチング信号の生成と、スイッチング信号補正部22によるスイッチング信号の補正とはそれぞれ独立して行われるので、各チョッパ装置100A、100Bの間の電流アンバランス状態を低減するための制御の遅れが小さく、かつ、各回路部の設計を変更しても、それに伴う全体的な影響が小さく、余分な手間や労力を削減することができる。
なお、図3に示した例では、各チョッパ装置100A、100Bのドライバ17A、17Bに関するスイッチング信号Sa*、Sb*の双方に対してデューティ補正を施した。しかしこれに限らず、例えば図4に示すように、第2のチョッパ装置100Bへのスイッチング信号Sb*に対するデューティ補正は省略し、第1のチョッパ装置100Aへのスイッチング信号Sa*に対してのみデューティ補正を施してもよい。
すなわち、第2のチョッパ装置100Bのドライバ17Bに関するスイッチング信号Sb*に対してデューティ補正を施さず、第1のチョッパ装置100Aのドライバ17Aに関するスイッチング信号Sa*に対してのみオン時間が短くなるように、デューティが小さくなる補正を施すことで、第1のチョッパ装置100Aのリアクトル5Aに流れる電流Iaが6アンペア下がるようにしてもよい。各チョッパ装置100A、100B間の電流アンバランス状態が低減するとともに、スイッチング信号補正部22の部品点数が抑えられ、低コスト化できる。
上記の実施の形態1に対して、以下のような各種の変形を加えることが可能である。
変形例1.
図1では、低圧側のバッテリー1から高圧側の負荷2へ直流電力の昇圧を行う昇圧型の多重チョッパ装置を例にとって説明したが、この発明はこれに限らず、例えば図5に示すように、高圧側のバッテリー1から低圧側の負荷2へ直流電力の降圧を行う降圧型の多重チョッパ装置にも適用できる。
すなわち、図5には、高圧側のバッテリー1と低圧側の負荷2との間に2台のチョッパ装置100A、100Bが並列に接続された、多重数が“2”の降圧型の多重チョッパ装置を示している。図5において、第1のチョッパ装置100Aは、リアクトル5A、下アームのダイオード9A、上アームのスイッチング素子6A、上アームのダイオード8A、およびスイッチング素子6Aを駆動するドライバ16Aより構成される。また、第2のチョッパ装置100Bについても同様に、リアクトル5B、下アームのダイオード9B、上アームのスイッチング素子6B、上アームのダイオード8B、スイッチング素子6Bを駆動するドライバ16Bより構成される。その他の構成は、図1に示した昇圧型の多重チョッパ装置の場合と同様であるから、ここでは詳しい説明は省略する。
図5に示した降圧型の多重チョッパ装置についても、制御部20を構成するスイッチング信号補正部22は電流波形処理部13が生成した電流偏差信号ΔIを受け、チョッパ装置100A、100B間の電流アンバランス状態の向きと大きさを判定してスイッチング信号生成部21が生成したスイッチング信号に対して両チョッパ装置100A、100B間の電流アンバランスが低減するように補正を施すので、図1に示した場合と同様に、この発明の作用、効果を得ることができる。
変形例2.
図1又は図5に示した多重チョッパ装置では、各チョッパ装置100A、100B間で電流差が生じる同一の配線部品として、リアクトル5A、5Bの各配線を選び、各配線から流れ出す電流の向きが逆向きになるように重ね合わせることで一対の配線からなる配線束11を形成し、この配線束11の形成箇所に電流検出器12を設置して各配線を流れる電流差を表す検出電流Idを得るようにしている。この発明は必ずしもリアクトル5A、5Bの各配線を選定する必然性はなく、次のようにして各チョッパ装置100A、100Bの同一の配線部品を選択することにより一対の配線束11を形成して電流検出器12を設置してもよい。
すなわち、図6に示すように、各チョッパ装置100A、100Bの同一の配線部品として、各チョッパ装置100A、100Bの入力配線を選び、入力配線から流れ出す電流の向きが逆向きになるように重ね合わせることで配線束11を形成する。そして、この配線束11の形成箇所に電流検出器12を設置して各入力配線を流れる電流の差を検出電流Idとして得るようにしても良い。
また、図7に示すように、各チョッパ装置100A、100Bの同一の配線部品として、各チョッパ装置100A、100Bの出力配線を選び、出力配線から流れ出す電流の向きが逆向きになるように重ね合わせることで配線束11を形成する。そして、この配線束11の形成箇所に電流検出器12を設置して各出力配線を流れる電流の差を検出電流Idとして得るようにしても良い。
また、図8に示すように、各チョッパ装置100A、100Bの同一の配線部品として、各チョッパ装置100A、100Bのスイッチング素子7A、7Bの主電流の配線を選び、各スイッチング素子7A、7Bの主電流の配線から流れ出す電流の向きが逆向きになるように重ね合わせることで配線束11を形成する。そして、この配線束11の形成箇所に電流検出器12を設置して、各スイッチング素子7A、7Bの主電流の配線を流れる電流の差を検出電流Idとして得るようにしても良い。
また、図9に示すように、各チョッパ装置100A、100Bの同一の配線部品として、各チョッパ装置100A、100Bのダイオード8A、8Bの配線を選び、各ダイオード8A、8Bの配線から流れ出す電流の向きが逆向きになるように重ね合わせることで配線束11を形成する。そして、この配線束11の形成箇所に電流検出器12を設置して各ダイオード8A、8Bの配線を流れる電流の差を検出電流Idとして得るようにしても良い。
変形例3.
図1及び図5では、一対の配線からなる配線束11の形成箇所に電流検出器12を設けるとともに、電流波形処理部13をローパスフィルタ131により構成しているが、この構成に限らず、例えば図10に示すような構成としてもよい。
すなわち、図10の場合、各チョッパ装置100A、100Bの同一の配線部品としてリアクトル5A、5Bの配線を選び、各配線ごとに個別に電流検出器12A、12Bを設ける。そして、電流波形処理部13はローパスフィルタ131と演算器132から構成している。そして、各チョッパ装置100A、100Bのリアクトル5A、5Bに流れる電流を電流検出器12A、12Bで検出し、その検出電流Ida、Idbを電流波形処理部13の演算器132に入力して、両電流Ida、Idbを減算処理して電流差を求める。次にローパスフィルタ131でリップル成分を取り除くことで、電流差の直流成分を電流偏差信号ΔIとして生成し、この電流偏差信号ΔIを制御部20に入力するようにしている。
この構成によれば、電流検出器12A、12Bの数は多くなるものの、一対の配線からなる配線束11を形成する必要がないので、主回路配線の取り回し加工が簡単になる。
変形例4.
また、上記の図10の場合、各電流検出器12A、12Bで得られる各検出電流Ida、Idbを先に演算器132に入力してから、その後ローパスフィルタ131を通して電流偏差信号ΔIを生成している。これとは逆に、図11に示すように、電流波形処理部13において、電流検出器12A、12Bで得られる検出電流Ida、Idbを先ず各ローパスフィルタ131A、131Bに個別に入力してリップル成分を取り除くことで直流成分を生成し、その後、各検出電流Ida、Idbの直流成分を演算器132に入力して両者の差を求めることで電流偏差信号ΔIを生成し、この電流偏差信号ΔIを制御部20に入力するようにしてもよい。
この構成によれば、電流波形処理部13を構成する演算器132は、直流成分波形の減算処理を行うので、高周波特性の悪い演算器132を用いても電流偏差信号ΔIを生成することができ、低コストで電流波形処理部13を構成することができる。
変形例5.
図10、図11の場合は、各チョッパ装置100A、100Bの同一の配線部品としてリアクトル5A、5Bの配線を選び、各リアクトル5A、5Bの配線を流れる電流を電流検出器12A、12Bで検出するようにした。しかし、これに限らず、各チョッパ装置100A、100Bの同一の配線部品として、スイッチング素子7A、7Bを選び、各スイッチング素子7A、7Bに流れる主電流をそれぞれ電流検出器12A、12Bで検出することもできる。あるいは、各チョッパ装置100A、100Bの同一の配線部品として上アームのダイオード8A、8Bを選び、各ダイオード8A、8Bに流れる電流を電流検出器12A、12Bで検出することもできる。さらに、各チョッパ装置100A、100Bの入力電流あるいは出力電流をそれぞれ電流検出器12A、12Bで検出するようにしても良い。
変形例6.
制御部20内のスイッチング信号補正部22は、チョッパ装置100A、100B間の電流アンバランスを低減するために、スイッチング信号生成部21から生成されるスイッチング信号Sa*、Sb*に対してデューティ補正を施すが、その場合の補正量に制限を設けることが望ましい。
すなわち、例えば、第2のチョッパ装置100Bが故障し、このチョッパ装置100Bの配線部品を流れる電流がゼロアンペアになり、チョッパ装置100Bから負荷2への電流供給が途絶えた場合を考える。このとき、スイッチング信号補正部22がスイッチング信号Sa*、Sb*に補正を施す補正量に制限が無いとすると、スイッチング信号補正部22は、第1のチョッパ装置100Aの配線部品を流れる電流がゼロアンペアになるように、スイッチング信号生成部21が生成したスイッチング信号Sa*に対して補正を施すことになる。その結果、故障を起こしたチョッパ装置100Bから負荷2への電流供給だけでなく、故障を起こしていないチョッパ装置100Aから負荷2への電流供給までもが途絶えてしまう不具合を生じる。これに対して、スイッチング信号補正部22のスイッチング信号Sa*、Sb*に対するデューティ補正の補正量に制限を設けると、第2のチョッパ装置100Bが故障を起こしても、故障を起こしていないチョッパ装置100Aから負荷2への電流供給がゼロアンペアに減少することが無く、負荷2への電流供給を続けることができる。
変形例7.
各チョッパ装置100A、100Bに用いるスイッチング素子6A、6B、7A、7Bとしては、IGBTやMOSFETなど、オン、オフ制御が可能な半導体素子が適用でき、また、ダイオード8A、8B、9A、9Bとしては、PiNダイオードやショットキーバリアダイオードの他、例えばMOSFETのボディダイオード等を適用することができる。
スイッチング素子6A、6B、7A、7Bやダイオード8A、8B、9A、9Bの半導体材料については広く普及している珪素を用いるものの他、珪素に比べてバンドギャップが大きいワイドバンドギャップ半導体を用いてもよい。ワイドバンドギャップ半導体としては、例えば、炭化珪素、窒化ガリウム系材料またはダイヤモンドがある。スイッチング素子6A、6B、7A、7Bの半導体材料としてワイドバンドギャップ半導体を用いると、耐電圧性が高い、許容電流密度が高い等のワイドバンドギャップ半導体の材料特性によりチョッパ装置に用いられる珪素製のIGBTをワイドバンドギャップ半導体製のMOSFETに置き換えることができる。MOSFETのオン時の主端子間電圧は素子温度の上昇とともに上がる。各チョッパ装置100A、100Bの入力電流、出力電流が増加するとスイッチング素子6A、6B、7A、7Bの温度は上昇し、オン抵抗が増すことから電流アンバランスの拡大を妨げる。電流アンバランス低減制御の機能を補助することから、制御のフィードバックループのゲインを小さくすることができ、安定な電流アンバランス低減制御が可能となる。ダイオード8A、8B、9A、9Bの半導体材料としてワイドバンドギャップ半導体を用いると、耐電圧性が高い、許容電流密度が高い等のワイドバンドギャップ半導体の材料特性によりチョッパ装置に用いられる珪素製のPiNダイオードをワイドバンドギャップ半導体製のショットキーバリアダイオードに置き換えることができる。ショットキーバリアダイオードの順方向電圧降下は素子温度の上昇とともに上がる。各チョッパ装置100A、100Bの入力電流、出力電流が増加すると、ダイオード8A、8B、9A、9Bの温度は上昇し、順方向電圧降下が増すことから、電流アンバランスの拡大を妨げることができる。このように、電流アンバランスを低減する制御の機能を補助することから、制御のフィードバックループのゲインを小さくすることができ、安定な電流アンバランスの低減制御が可能となる。
変形例8.
この実施の形態1では、多重数が“2”の多重チョッパ装置を例にとって説明したが、この発明はこれに限定されるものではなく、多重数が“3”以上の多重チョッパ装置にも適用することができる。
実施の形態2.
図12はこの発明の実施の形態2における多重チョッパ装置を示す回路図であり、図1に示した実施の形態1と対応もしくは相当する構成部分には同一の符号を付す。
この実施の形態2の多重チョッパ装置は、低圧側のバッテリー1と高圧側の負荷2の間で双方向に通流して直流電力を変換する双方向型のもので、低圧側のバッテリー1と高圧側の負荷2の間に2台のチョッパ装置100A、100Bが並列に接続されている。また、この実施の形態2の多重チョッパ装置は、電流検出器12、電流波形処理部13、および各チョッパ装置100A、100Bを駆動制御する制御部20を備えている。
図12において、第1のチョッパ装置100Aは、リアクトル5A、上アームのダイオード8Aとスイッチング素子6A、このスイッチング素子6Aを駆動するドライバ16A、下アームのダイオード9Aとスイッチング素子7A、およびこのスイッチング素子7Aを駆動するドライバ17Aより構成される。また、第2のチョッパ装置100Bについても同様に、リアクトル5B、上アームのダイオード8Bとスイッチング素子6B、このスイッチング素子6Bを駆動するドライバ16B、下アームのダイオード9Bとスイッチング素子7B、およびこのスイッチング素子7Bを駆動するドライバ17Bより構成される。
制御部20は、各スイッチング素子6A、7A、6B、7Bのオン、オフを指令するPWM制御用のスイッチング信号Sa1、Sa2、Sb1、Sb2を各ドライバ16A、17A、16B、17Bに出力し、これにより、各チョッパ装置100A、100Bがπの位相差を設けて駆動される。
この実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、第1のチョッパ装置100Aのリアクトル5Aからスイッチング素子7Aやダイオード8Aへ向かって流れる電流の向きと、第2のチョッパ装置100Bのリアクトル5Bからスイッチング素子6Bやダイオード8Bへ向かって流れる電流の向きとが逆向きになるように、これら電流が流れる一対の配線を重ね合わせることで配線束11を形成する。そして、この配線束11に電流検出器12が設置されている。これにより、実施の形態1と同様、電流検出器12により、第1のチョッパ装置100Aのリアクトル5Aの配線を流れる電流と、第2のチョッパ装置100Bのリアクトル5Bの配線を流れる電流の差が検出電流Idとして検出される。
また、電流波形処理部13は、ローパスフィルタ131により構成され、電流検出器12の検出波形からリップル成分を取り除き、直流成分を電流偏差信号ΔIとして生成し、この電流偏差信号ΔIが制御部20に入力される。
次に、制御部20の構成について説明する。
この制御部20は、実施の形態1と同様に、スイッチング信号生成部21とスイッチング信号補正部22とがそれぞれ独立して設けられている。
実施の形態2のスイッチング信号生成部21は、スイッチング周期設定及びチョッパ装置100Aと100B間の位相差設定を行うと共に、入出力電圧設定に基づいて各チョッパ装置100A、100Bの各ドライバ16A、17A、16B、17Bに関する所定のデューティをもつスイッチング信号Sa1*、Sa2*、Sb1*、Sb2*を生成する。しかも、同一アームに属するスイッチング素子6Aと7A、およびスイッチング素子6Bと7Bへの、スイッチング信号Sa1*とSa2*、およびスイッチング信号Sb1*とSb2*に関しては、オンとオフの切り替えの際に上下アームのスイッチング素子6Aと7A、およびスイッチング素子6Bと7Bの双方にオフ指令を与えるデッドタイムが設けられる。
この場合のデッドタイムについては、デッドタイムが短いとアーム短絡を起こし、チョッパ装置の構成部品を破損する恐れがある一方、デッドタイムが長すぎると以下のような問題が起こる。双方向型の多重チョッパ装置では、低圧側のバッテリー1から高圧側の負荷2へ直流電力を昇圧して送る状態と、高圧側の負荷2から低圧側のバッテリー1へ直流電力を降圧して回生する状態の間を、スイッチング信号のデューティを制御することで連続的に切り替えることができる。ここで、デッドタイムが長すぎると、上アームのスイッチング素子6A、6Bに関するスイッチング信号Sa1*、Sb1*のデューティと、下アームのスイッチング素子7A、7Bに関するスイッチング信号Sa2*、Sb2*のデューティの差が大きくなる。昇圧状態での電圧変換率と降圧状態での電圧変換率の差が大きくなり、昇圧状態と降圧状態の切り替え時にチョッパ装置100A、100Bの動作が不安定になってしまう。このように、同一アームに属するスイッチング素子6Aと7A、スイッチング素子6Bと7Bへの、スイッチング信号Sa1*とSa2*、スイッチング信号Sb1*とSb2*に設定されるデッドタイムには、好適なデッドタイムの長さが存在し、制御部20は設計された所定のデッドタイムの長さをもってチョッパ装置100A、100Bにスイッチング信号を出力することが必須である。
また、制御部20内のスイッチング信号補正部22は、電流波形処理部13が生成する電流偏差信号ΔIを入力し、この電流偏差信号ΔIに基づいて、チョッパ装置100A、100B間の電流アンバランス状態の向きと大きさを判定する。そして、スイッチング信号補正部22は、この判定に基づいてチョッパ装置100A、100B間の電流バランス状態が低減するように、スイッチング信号生成部21が生成したスイッチング信号Sa1*とSa2*、スイッチング信号Sb1*とSb2*にデューティ補正を施し、デューティ補正後の各スイッチング信号Sa1、Sa2、Sb1、Sb2を各チョッパ装置100A、100Bの各ドライバ16A、17A、16B、17Bに対して出力する。
この場合、スイッチング信号補正部22が行うデューティ補正の内容は、基本的には実施の形態1で説明した場合と同様である。なお、スイッチング信号生成部21が生成した同一アームのスイッチング素子6Aと7A、スイッチング素子6Bと7Bへのスイッチング信号Sa1*とSa2*、スイッチング信号Sb1*とSb2*にはデッドタイムが設けられているが、スイッチング信号補正部22が施す補正によってデッドタイムの長さが変わらないように予め調整しておく。
この実施の形態2の双方向型の多重チョッパ装置のように、デッドタイムを設けて上下アームのスイッチング素子6Aと7A、スイッチング素子6Bと7Bをオン、オフする場合でも、チョッパ装置100A、100B間の電流アンバランスを低減するとともに、電流アンバランス状態を低減する制御の遅れを小さくできる。さらに、PWM方式によるスイッチング信号の生成と、電流アンバランスを低減するためにスイッチング信号のオン、オフ時間を変化させる制御とをそれぞれ独立に行うので、設計変更に伴う全体的な影響が小さく、余分な手間や労力が削減できる。
図12に示した多重チョッパ装置は、低圧側のバッテリー1と高圧側の負荷2の間で双方向に通流して直流電力を変換する双方向型の多重チョッパ装置として、各チョッパ装置100A、100BにIGBTなどの一方向通流型のスイッチング素子6A、7A、6B、7Bを使用しているが、これに限らず、双方向通流スイッチを用いて同期整流を行う同期整流型の多重チョッパ装置にも適用することが可能である。
図13はこの同期整流型の多重チョッパ装置の回路図である。
この場合の基本的な構成は、図12に示した場合と同じであるが、スイッチング素子6A、7A、6B、7Bには双方向通流スイッチが採用されている。この場合の双方向通流スイッチとは、MOSFETのように、ゲートドライバにオン指令信号を入れると、スイッチング素子の順方向だけでなく逆方向にも低抵抗で電流を通流することができるスイッチをいう。
図13に示す同期整流型の多重チョッパ装置では、各ダイオード8A、9A、8B、9Bに還流電流が通流する期間に、各ダイオード8A、9A、8B、9Bに並列接続されている双方向通流スイッチである各スイッチング素子6A、7A、6B、7Bをオンする。還流電流がダイオード8A、9A、8B、9Bとスイッチング素子6A、7A、6B、7Bに分流して通流し、ダイオード8A、9A、8B、9B単体で全ての還流電流が通流する場合に比べて還流電流の電圧降下が小さくなる。このように、公知の同期整流技術を用いると、昇圧を行う多重チョッパ装置、降圧を行う多重チョッパ装置、昇圧と降圧を双方向に行う多重チョッパ装置において全体の通流損失を低減することができる。
その他の構成および動作は、図12に示した構成の場合と同様であるから、ここでは詳しい説明は省略する。
なお、この実施の形態2に係る図12、図13に示した構成の場合にも、先の実施の形態1で指摘した変形例2〜変形例8と同様の各種の変形を加えることが可能である。
実施の形態3.
図14はこの発明の実施の形態3における多重チョッパ装置の構成を示す回路図であり、図12に示した実施の形態2と対応もしくは相当する構成部分には同一の符号を付す。
この実施の形態3の多重チョッパ装置は、低圧側のバッテリー1と高圧側の負荷2の間で双方向に通流して直流電力を変換する双方向型のもので、互いに並列に接続された各チョッパ装置100A、100Bの構成は、図12に示した実施の形態2の場合と基本的に同じである。また、各チョッパ装置100A、100Bのリアクトル5A、5Bの配線について、電流の向きが逆向きになるようにこれら一対の配線を重ね合わせることで配線束11が形成され、この配線束11に電流検出器12が設置されていることも実施の形態2と同じである。さらに、電流波形処理部13の構成も実施の形態2の場合と同様であるから、ここでは詳しい説明は省略する。
この実施の形態3において、図12に示した実施の形態2と異なる点は、制御部20の構成にある。すなわち、この実施の形態3の制御部20は、スイッチング信号生成部21およびスイッチング信号補正部22に加えて、さらに上下アーム信号生成部23を備えている。
ここで、スイッチング信号生成部21は、スイッチング周期設定及びチョッパ装置100A、100B間の位相差設定を行うと共に、入出力電圧設定に基づいて、各チョッパ装置100A、100Bの下アームのスイッチング素子7A、7Bの各ドライバ17A、17Bに関するスイッチング信号Sa2*、Sb2*を生成する。
スイッチング信号補正部22は、電流波形処理部13が生成する電流偏差信号ΔIを入力し、この電流偏差信号ΔIに基づいて、チョッパ装置100A、100B間の電流アンバランス状態の向きと大きさを判定し、この判定に基づいてチョッパ装置100A、100B間の電流バランス状態が低減するように、スイッチング信号生成部21が生成した2つのスイッチング信号Sa2*、Sb2*に対してデューティ補正を施す。
上下アーム信号生成部23は、スイッチング信号補正部22でデューティ補正を施された2つのスイッチング信号Sa2、Sb2に基づいて、4つのスイッチング信号Sa1、Sa2、Sb1、Sb2を生成し、これらの各スイッチング信号Sa1、Sa2、Sb1、Sb2を各チョッパ装置100A、100Bの各ドライバ6A、7A、6B、7Bにそれぞれ出力する。
すなわち、上下アーム信号生成部23は、スイッチング信号補正部22でデューティ補正された下アームのドイラバ17Aに与えるスイッチング信号Sa2に遅延時間を与えて出力する。スイッチング信号Sa2のオン時間の長さ、オフ時間の長さは変わらない。上下アーム信号生成部23は、下アームのドライバ17Aのスイッチング信号Sa2のオンを出力する前に上アームのドライバ16Aへのスイッチング信号Sa1のオフを出力し、スイッチング信号Sa1、Sa2の双方がオフとなるデッドタイムを設ける。下アームのドライバ17Aのスイッチング信号Sa2のオフを出力した後に上アームのドライバ16Aへのスイッチング信号Sa1のオンを出力し、スイッチング信号Sa1、Sa2の双方がオフとなるデッドタイムを設ける。所定のデッドタイム長さが得られるように上下アーム信号生成部23をあらかじめ調整しておく。上下アーム信号生成部23は、スイッチング信号補正部22でデューティ補正された下アームのドイラバ17Bに与えるスイッチング信号Sb2についても同様に処理し、下アームのドイラバ17Bに与えるスイッチング信号Sb2と上アームのドライバ16Bに与えるスイッチング信号Sb1を出力する。スイッチング信号補正部22にてデューティ補正されたスイッチング信号Sa2とSb2の位相差設定が変わらないように上下アーム信号生成部23をあらかじめ調整しておく。このように、上下アーム信号生成部23は、スイッチング信号補正部22でデューティ補正を施された2つのスイッチング信号Sa2、Sb2から4つのスイッチング信号Sa1、Sa2、Sb1、Sb2を生成する。
そして、上下アーム信号生成部23により生成された各スイッチング信号Sa1、Sa2、Sb1、Sb2は、それぞれチョッパ装置100A、100Bの各ドライバ16A、17A、16B、17Bに入力され、各チョッパ装置100A、100Bは直流変換を行う。
このように、この実施の形態3による双方向型の多重チョッパ装置は、デッドタイムを設けて上下アームのスイッチング素子6Aと7A、スイッチング素子6Bと7Bをオン、オフする場合でも、チョッパ装置100A、100B間の電流アンバランスを低減するとともに、電流アンバランス状態を低減する制御の遅れを小さくできる。さらに、PWM方式によるスイッチング信号の生成と、電流アンバランスを低減するためにスイッチング信号のオン、オフ時間を変化させる制御と、上下アームのスイッチング素子へのスイッチング信号間の所定長さのデッドタイムの設定とをそれぞれ独立に行うので、設計変更に伴う全体的な影響が小さく、余分な手間や労力が削減できる。例えば、電流アンバランスを低減するためにスイッチング信号のオン、オフ時間を変化させる制御の設計を変更しても、所定のデッドタイム長さの設定の精度への影響が小さい。
なお、図14の多重チョッパ装置の説明で、スイッチング信号生成部21は、各チョッパ装置100A,100Bの下アームの各スイッチング素子7A,7Bのドライバ17A,17Bに関するスイッチング信号Sa2*、Sb2*を生成するようにしているが、これに限らず、各チョッパ装置100A,100Bの上アームの各スイッチング素子6A,6Bのドライバ16A,16Bに関するスイッチング信号Sa1*、Sb*1を生成する構成としてもよい。
この場合、上下アーム信号生成部23は、スイッチング信号補正部22により補正を施されたスイッチング信号Sa1、Sb1を受けて、デッドタイムを設けて上アームのスイッチング素子6A,6Bへのスイッチング信号Sa1、Sb1と下アームのスイッチング素子7A,7Bへのスイッチング信号Sa2、Sb2の組を生成する。
図14に示した多重チョッパ装置は、低圧側のバッテリー1と高圧側の負荷2の間で双方向に通流して直流電力を変換する双方向型の多重チョッパ装置として、各チョッパ装置100A、100BにIGBTなどの一方向通流型のスイッチング素子6A、7A、6B、7Bを使用しているが、これに限らず、双方向通流スイッチを用いて同期整流を行う同期整流型の多重チョッパ装置にも適用することが可能である。
図15はこの同期整流型の多重チョッパ装置の回路図である。
図15の多重チョッパ装置の基本的な構成は、図14に示した場合と同じであるが、スイッチング素子6A、7A、6B、7Bには、MOSFETのように、ゲートドライバにオン指令信号を入れると、スイッチング素子の順方向だけでなく逆方向にも低抵抗で電流を通流することができる双方向通流スイッチが採用されている。
図15に示す同期整流型の多重チョッパ装置では、各ダイオード8A、9A、8B、9Bに還流電流が通流する期間に、各ダイオード8A、9A、8B、9Bに並列接続されている双方向通流スイッチである各スイッチング素子6A、7A、6B、7Bをオンする。還流電流がダイオード8A、9A、8B、9Bとスイッチング素子6A、7A、6B、7Bに分流して通流し、ダイオード8A、9A、8B、9B単体で全ての還流電流が通流する場合に比べて還流電流の電圧降下が小さくなる。このように、公知の同期整流技術を用いると、昇圧を行う多重チョッパ装置、降圧を行う多重チョッパ装置、昇圧と降圧を双方向に行う多重チョッパ装置において全体の通流損失を低減することができる。
その他の構成および動作は、図14に示した構成の場合と同様であるから、ここでは詳しい説明は省略する。
なお、この実施の形態3に係る図14、図15に示した構成の場合にも、先の実施の形態1で指摘した変形例2〜変形例8と同様の各種の変形を加えることが可能である。
実施の形態4.
図16はこの発明の実施の形態4における多重チョッパ装置を示す回路図であり、図1に示した実施の形態1と対応もしくは相当する構成部分には同一の符号を付す。
実施の形態4の多重チョッパ装置は、低圧側のバッテリー1から高圧側の負荷2への昇圧を行う昇圧型の3重チョッパ装置であり、バッテリー1と負荷2の間に3台のチョッパ装置100A、100B、100Cが並列に接続されている。また、この実施の形態4の多重チョッパ装置は、2つの電流検出器12AB、12BC、2つの電流波形処理部13AB、13BC、および各チョッパ装置100A、100B、100Cを駆動制御する制御部20を備えている。
第1のチョッパ装置100Aは、図1に示した実施の形態1の場合と同様、リアクトル5A、上アームのダイオード8A、下アームのダイオード9Aとスイッチング素子7A、このスイッチング素子7Aを駆動するドライバ17Aを備える。第2のチョッパ装置100Bは、リアクトル5B、上アームのダイオード8B、下アームのダイオード9Bとスイッチング素子7B、このスイッチング素子7Bを駆動するドライバ17Bを備える。第3のチョッパ装置100Cは、リアクトル5C、上アームのダイオード8C、下アームのダイオード9Cとスイッチング素子7C、このスイッチング素子7Cを駆動するドライバ17Cを備える。
制御部20は、スイッチング素子7A、7B、7Cのオン、オフを指令するスイッチング信号Sa、Sb、Scを各ドライバ17A、17B、17Cに出力し、チョッパ装置100A、100B、100Cはそれぞれゼロ、2π/3、4π/3の位相で駆動される。
この実施の形態4では、チョッパ装置100A及び100Bの同一の配線部品として、リアクトル5A、5Bの各配線を選び、各配線から流れ出す電流の向きが逆向きになるように重ね合わせることで一対の配線からなる配線束11ABを形成し、この配線束11ABの箇所に電流検出器12ABを設置している。そして、一方の電流波形処理部13ABは、ローパスフィルタ131ABを備え、電流検出器12ABにより検出されたリアクトル5A、5Bの配線を流れる電流差を示す検出電流Id1から直流成分を抽出して電流偏差信号ΔI1を出力する。
また、チョッパ装置100B及び100Cの同一の配線部品として、リアクトル5B、5Cの各配線を選び、各配線から流れ出す電流の向きが逆向きになるように重ね合わせることで一対の配線からなる配線束11BCを形成し、この配線束11BCの箇所に電流検出器12BCを設置している。そして、他方の電流波形処理部13BCは、ローパスフィルタ131BCを備え、電流検出器12BCにより検出されたリアクトル5B、5Cの配線を流れる電流差を示す検出電流Id2から直流成分を抽出して電流偏差信号ΔI2を出力する。
こうして、各電流波形処理部13AB、13BCにより生成された各電流偏差信号ΔI1、ΔI2は共に制御部20に入力される。
ここで、チョッパ装置100Aのリアクトル5Aを流れる電流の直流成分をIa、チョッパ装置100Bのリアクトル5Bを流れる電流の直流成分をIb、チョッパ装置100Cのリアクトル5Cを流れる電流の直流成分Icとし、例えばIa=16アンペア、Ib=11アンペア、Ic=12アンペアである場合を例にとって制御部20の機能について以下説明する。
スイッチング信号生成部21は、スイッチング周期設定及び並列チョッパ装置間の位相差設定を行うと共に、入出力電圧設定に基づいて、各ドライバ17A、17B、17Cに関するスイッチング信号Sa*、Sb*、Sc*をそれぞれ生成する。
スイッチング信号補正部22は、電流波形処理部13ABが生成する電流偏差信号ΔI1を入力することで、チョッパ装置100Aのリアクトル電流がチョッパ装置100Bのリアクトル電流よりもIa−Ib=5アンペア高いという情報を得る。また、スイッチング信号補正部22は、電流波形処理部13BCが生成する電流偏差信号ΔI2を入力することで、チョッパ装置100Cのリアクトル電流がチョッパ装置100Bのリアクトル電流よりもIc−Ib=1アンペア高いという情報を得る。各チョッパ装置100A、100B、100Cが互いに電流バランス状態にあるとしたとき、各リアクトル5A、5B、5Cを流れる電流の直流成分はIa、Ib、Icの平均電流(Ia+Ib+Ic)/3に一致する。
この実施の形態4では、チョッパ装置100A、100B、100Cの同一の配線部品としてリアクトル5A、5B、5Cの配線を選んでいる。そこで、全てのチョッパ装置についてリアクトル配線に流れる電流の値とリアクトル配線に流れる電流の平均値との差を対平均電流偏差と定義すると、全てのチョッパ装置について対平均電流偏差は、次の式(1)で表される。
Figure 0005734441
スイッチング信号補正部22は、上記の式(1)に基づいて、電流波形処理部13AB、13BCが生成した各電流偏差信号ΔI1、ΔI2に基づいて、各チョッパ装置100A、100B、100Cの対平均電流偏差を計算する。計算したこれらの対平均電流偏差に応じて、スイッチング信号補正部22は、全てのチョッパ装置100A、100B、100Cについて、対平均電流偏差が無くなるように、スイッチング信号生成部21が生成したスイッチング信号Sa*、Sb*、Sc*の全てにデューティ補正を施す。
上記の具体例についてみると、スイッチング信号補正部22は、スイッチング信号生成部21が生成したチョッパ装置100Aに関するスイッチング信号Sa*に対しては、当該装置100Aのリアクトル5Aに流れる電流が3アンペア減少するようにデューティ補正を施し、チョッパ装置100Bに関するスイッチング信号Sb*に対しては、当該装置100Bのリアクトル5Bに流れる電流が2アンペア増加するようにデューティ補正を施し、さらに、チョッパ装置100Cに関するスイッチング信号Sc*に対しては、当該装置100Cのリアクトル5Cに流れる電流が1アンペア増加するようにデューティ補正を施す。
なお、図16に示した構成では、スイッチング信号補正部22は、2つの電流偏差信号ΔI1、ΔI2が入力される構成としたが、さらに、図示しないが、チョッパ装置100C、100Aのリアクトル5C、5Aの各配線から流れ出す電流の向きが逆向きになるように配線束11CAを形成し、この配線束11CAの箇所に電流検出器12CAを設置するとともに、別途、電流波形処理部13AB、13BCと同様の構成の電流波形処理部13CAを設け、この電流波形処理部13CAにより電流検出器12CAにより検出された検出電流Id3から直流成分を抽出してチョッパ装置100A、100Cの間の電流偏差を表す電流偏差信号ΔI3を生成し、上記の電流偏差信号ΔI1、ΔI2に加えて、さらに電流偏差信号ΔI3をスイッチング信号補正部22に入力するようにしてもよい。
このようにすれば、スイッチング信号補正部22は、より多くの電流偏差信号ΔI1〜ΔI3を入力することになるので、一部の電流波形処理部が故障して一部の電流偏差信号が途絶えても、残りの電流偏差信号から対平均電流偏差を計算することができ、信頼度が高まる。
次に、実施の形態4のように、多重数が“3”以上の多重チョッパ装置において、電流アンバランス状態を低減する際に、スイッチング信号補正部22で上述の対平均電流偏差の概念を用いてデューティ補正を行うことの利点について説明する。
いま、スイッチング信号補正部22が、各電流波形処理部13AB、13BCが生成する電流偏差信号ΔI1、ΔI2だけを用いて単純にデューティ補正を行い、この実施の形態4のような対平均電流偏差の概念を用いたデューティ補正を行わない場合を考える。
スイッチング信号補正部22は、電流波形処理部13ABが生成する電流偏差信号ΔI1を受けて、チョッパ装置100Aのリアクトル5Aに流れる電流がチョッパ装置100Bのリアクトル5Bを流れる電流よりもIa−Ib=5アンペア高いという情報を得る。このため、スイッチング信号補正部22は、スイッチング信号生成部21が生成したチョッパ装置100Aへのスイッチング信号Sa*に対しては、チョッパ装置100Aのリアクトル5Aに流れる電流が2.5アンペア減少するように補正を施す。また、スイッチング信号生成部21が生成したチョッパ装置100Bへのスイッチング信号Sb*に対しては、チョッパ装置100Bのリアクトル5Bに流れる電流が2.5アンペア増加するような補正を施すことを試みる。
また、スイッチング信号補正部22は、電流波形処理部13BCが生成する電流偏差信号ΔI2を受けて、チョッパ装置100Cのリアクトル5Cに流れる電流がチョッパ装置100Bのリアクトル5Bに流れる電流よりもIc−Ib=1アンペア高いという情報を得る。このため、スイッチング信号補正部22は、スイッチング信号生成部21が生成したチョッパ装置100Bへのスイッチング信号Sb*に対しては、チョッパ装置100Bのリアクトル5Bに流れる電流が0.5アンペア増加するような補正を施すことを試みる。また、スイッチング信号生成部21が生成したチョッパ装置100Cへのスイッチング信号Sc*に対しては、チョッパ装置100Cのリアクトル5Cに流れる電流が0.5アンペア減少するように補正を施す。
これらの結果として、スイッチング信号補正部22は、スイッチング信号生成部21が生成したチョッパ装置100Bへのスイッチング信号Sb*に対しては、チョッパ装置100Bのリアクトル5Bに流れる電流が3アンペア(=2.5+0.5)増加するような補正を施す。このように、チョッパ装置100A、100B、100Cの負荷2への出力電流の合計が変動することなく、チョッパ装置100A、100B、100C間の電流アンバランスが時間経過とともに次第に低減されるものの、電流アンバランスが低減されるまでに時間がかかる。
すなわち、チョッパ装置100Cのリアクトル5Cに流れる電流についての電流アンバランスを補正する場合に着目すると、式(1)に基づく対平均電流偏差を計算していない場合、スイッチング信号補正部22は、スイッチング信号生成部21が生成したスイッチング信号Sc*に対して、チョッパ装置100Cのリアクトル5Cに流れる電流が一旦0.5アンペア減少するような補正を施す。これに対して、この実施の形態4では、対平均電流偏差を計算しているので、スイッチング信号補正部22は、スイッチング信号Sc*に対してチョッパ装置100Cのリアクトル5Cに流れる電流が一度に1アンペア増加するような補正を行う。このため、チョッパ装置100A、100B、100Cの負荷2への出力電流の合計が変動することなく、チョッパ装置100A、100B、100C間の電流アンバランス状態を短時間のうちに低減することができる。
このように、この実施の形態4では、多重数が“3”以上の多重チョッパ装置において、電流アンバランス状態を低減する際に、スイッチング信号補正部22で上述の対平均電流偏差の概念を用いてデューティ補正を行うので、チョッパ装置100A、100B、100Cの負荷への出力電流の合計が変動することなく、各チョッパ装置100A、100B、100C間の電流アンバランスを速やかに低減することができる。
図16に示したこの実施の形態4の構成についても、次のような各種の変形を加えることが可能である。
すなわち、図16に示した構成について、先の実施の形態1で指摘した変形例2〜変形例7と同様の各種の変形を加えることが可能である。また、この実施の形態4では多重数が“3”の多重チョッパ装置にて説明したが、これに限らず、多重数が“4”以上の多重チョッパ装置にも適用することができる。また、この発明の実施の形態4では、低圧側のバッテリー1から高圧側の負荷2へ直流電力の昇圧を行う昇圧型の多重チョッパ装置について説明したが、これとは逆に、高圧側のバッテリーから低圧側の負荷へ直流電力の降圧を行う降圧型のチョッパ装置にも適用できる。さらに、上アームと下アームの各スイッチング素子を用いて低圧側と高圧側の間で双方向に通流して直流電力を変換する双方向型の多重チョッパ装置にも適用でき、さらに、双方向通流スイッチを用いて同期整流を行う同期整流多重チョッパ装置にも適用することが可能である。
100A、100B、100C チョッパ装置、2 負荷、3 平滑コンデンサ、
5A、5B、5C リアクトル、
6A、6B、6C スイッチング素子、7A、7B、7C スイッチング素子、
8A、8B、8C ダイオード、9A、9B、9C ダイオード、
11、11AB、11BC、11CA 配線束、
12A、12B、12AB、12BC、12CA 電流検出器、
13、13AB、13BC、13CA 電流波形処理部、
16A、16B、17A、17B、17C ドライバ、20 制御部、
21 スイッチング信号生成部、22 スイッチング信号補正部、
23 上下アーム信号生成部、
131、131AB、131BC ローパスフィルタ、132 演算器。

Claims (13)

  1. 低圧側に接続されたリアクトル、このリアクトルに接続されたスイッチング素子およびダイオードからなるチョッパ装置をN台(Nは2以上の整数)並列に接続し、各々の上記チョッパ装置のスイッチング素子を互いに位相差をもたせてオン、オフすることにより、低圧側と高圧側の間で直流変換を行う多重チョッパ装置であって、
    各々の上記チョッパ装置を構成する同一の配線部品の配置箇所に、各々の上記チョッパ装置で直流変換を分担する際に上記同一の配線部品に流れる電流の差を検出するための電流検出器を設けると共に、各々の上記チョッパ装置に対して当該装置駆動用のスイッチング信号を生成するスイッチング信号生成部と、上記電流検出器が検出した電流波形を処理して上記チョッパ装置の相互間の電流偏差を表す電流偏差信号を生成する電流波形処理部と、上記電流波形処理部が生成した電流偏差信号に基づいて上記チョッパ装置の相互間の電流偏差が低減するように上記スイッチング信号生成部が生成したスイッチング信号にデューティ補正を施すスイッチング信号補正部と、上記スイッチング信号補正部がデューティ補正を施したスイッチング信号を受けて上記スイッチング素子を駆動するドライバと、を備える多重チョッパ装置。
  2. 上記スイッチング信号補正部が施すデューティ補正の遅延が1スイッチング周期未満であることを特徴とする請求項1に記載の多重チョッパ装置。
  3. 上記スイッチング信号補正部は、コンパレータとスイッチング周期の200分の1から20分の1の範囲の時定数を持つRCフィルタとで構成されることを特徴とする請求項2に記載の多重チョッパ装置。
  4. 各々上記チョッパ装置は、上アームのスイッチング素子と下アームのスイッチング素子とを有し、同一アームに属するスイッチング素子については上アームと下アームのスイッチング素子が共にオフとなるデッドタイムを設けてオン、オフを切り替え、各々の上記チョッパ装置の相互間のスイッチング素子については互いに位相差をもたせてオン、オフするものであり、
    上記スイッチング信号生成部は、各々の上記チョッパ装置の上アームと下アームのそれぞれのスイッチング素子に対してスイッチング信号を生成するものであり、
    上記スイッチング信号補正部は、上記電流波形処理部が生成した電流偏差信号に基づいて上記チョッパ装置の間の電流偏差が低減するように上記スイッチング信号生成部が生成した各スイッチング信号に補正を施すものである請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の多重チョッパ装置。
  5. 各々の上記チョッパ装置の内の2台を1組とした場合に、この2台1組のチョッパ装置の上記同一の配線部品から流れ出す電流の向きが逆向きになるように配線部品を重ね合わせて一対の配線束を形成し、この配線束の形成箇所に上記電流検出器を配置して上記配線束を流れる一対の配置部品間の電流差を検出すると共に、上記電流波形処理部は、上記電流検出器が検出した電流波形から直流成分を抽出して2台1組のチョッパ装置の間の電流偏差を表す上記電流偏差信号を生成するローパスフィルタからなる請求項1から請求項のいずれか1項に記載の多重チョッパ装置。
  6. 各々の上記チョッパ装置を構成する入力配線、出力配線、上記リアクトル、上記スイッチング素子、および上記ダイオードの内のいずれか一つを電流偏差が生じる箇所に位置する同一の配線部品として選定するとともに、その配線部品を流れる電流を検出する上記電流検出器を各々の上記チョッパ装置に対して個別に設ける一方、上記電流波形処理部は、各々の上記チョッパ装置の内の2台を1組とした場合に、この2台1組のチョッパ装置に対応して設けられて2台1組のチョッパ装置の相互間の電流偏差を抽出するものであって、各々の上記電流検出器が検出した電流波形の差を演算する演算器と上記演算器の出力から直流成分を抽出するローパスフィルタ、または各々の上記電流検出器が検出した電流波形から直流成分を抽出するローパスフィルタと上記ローパスフィルタにより抽出された直流成分の差を演算する演算器とからなる請求項1から請求項のいずれか1項に記載の多重チョッパ装置。
  7. 上記スイッチング信号補正部は、上記電流波形処理部が生成する上記電流偏差信号に基づいて、上記スイッチング信号生成部が生成する各々の上記スイッチング信号の内、1台のチョッパ装置に対するスイッチング信号については補正を施さず、残りのチョッパ装置に対するスイッチング信号について、全てのチョッパ装置の相互間の電流偏差が低減するように補正を施すものである請求項1から請求項のいずれか1項に記載の多重チョッパ装置。
  8. 上記スイッチング信号補正部は、上記電流波形処理部が生成する電流偏差信号に基づいて、全てのチョッパ装置の相互間の電流偏差が低減し、かつ上記スイッチング信号への補正によって全てのチョッパ装置の出力電流の合計が変わらないように、上記スイッチング信号生成部が生成した各々の上記チョッパ装置に対するスイッチング信号の全てに補正を施すものである請求項1から請求項のいずれか1項に記載の多重チョッパ装置。
  9. 上記スイッチング信号補正部は、上記電流波形処理部が生成する上記電流偏差信号に基づいて、全てのチョッパ装置について上記配線部品に流れる電流の値と上記配線部品に流れる電流の平均値との差を対平均電流偏差として算出し、全てのチョッパ装置について上記対平均電流偏差が無くなるように、上記スイッチング信号生成部が生成した上記スイッチング信号の全てに補正を施すものである請求項に記載の多重チョッパ装置。
  10. 上記スイッチング信号補正部は、上記スイッチング信号生成部が生成したスイッチング信号に補正を施す場合の補正量に制限を設けるものであり、一部のチョッパ装置の故障が発生している状態においても補正量の制限を変更しないものである請求項1から請求項のいずれか1項に記載の多重チョッパ装置。
  11. 上記スイッチング素子は、ワイドバンドギャップ半導体によって形成されている請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の多重チョッパ装置。
  12. 上記ダイオードは、ワイドバンドギャップ半導体によって形成されている請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の多重チョッパ置。
  13. 上記ワイドバンドギャップ半導体は、炭化珪素、窒化ガリウム系材料又はダイヤモンドである請求項11または請求項12に記載の多重チョッパ装置。
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