JP5731970B2 - 冷却剤の再循環の制御のための装置および方法 - Google Patents

冷却剤の再循環の制御のための装置および方法 Download PDF

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Description

関連出願の説明
本出願は、その内容が依拠されここにその全てが引用される、「冷却剤の再循環の制御のための装置および方法」と題する、2008年5月22日に出願された米国非仮特許出願第12/154359号の恩恵とそれに優先権を主張するものである。
本発明は、広く、冷却ガスの回収システムに関し、特に、光ファイバの冷却に関連するヘリウム回収システムに関する。
光ファイバの製造において、ガラス棒材またはプリフォームが光ファイバ線引きシステムにおいて加工される。典型的に、光ファイバ線引きおよび被覆システムは、線引き炉、熱交換器、被覆塗布機、硬化装置、およびスプールを備えている。最初に、ガラス棒材またはプリフォームを線引き炉内で溶融してファイバを作製する。このファイバは、熱交換器を通過するときに冷却される。熱交換器により冷却されたファイバを被覆塗布機内において一次被覆で被覆し、この被覆を一次硬化装置内で硬化させる。次いで、典型的に、被覆されたファイバを被覆塗布機内において二次被覆で被覆し、この被覆を二次硬化装置内で硬化させる。次いで、ファイバをスプールに巻き付ける。
熱交換器内での冷却速度を増加させるために、熱伝導率の高い冷却ガスを使用することがしばしば望ましい。そのようなガスの1つはヘリウムである。ヘリウムは比較的高価なガスである。その上、ヘリウムは、希ガスとして、非反応性である。これらの理由のために、例えば、特許文献1および2に開示されているような光ファイバ冷却システム内で使用したヘリウムを再循環させる試みが行われてきた。
米国特許第5377491号明細書 米国特許第5452583号明細書
熱交換器内で光ファイバを冷却するときに、ファイバを特定の温度範囲内で冷却することが一般に望ましい。ファイバを特定の温度範囲内に冷却することに対する主な理論的根拠は、熱交換器から出たファイバが熱すぎたり冷たすぎたりすると、不可能ではないにせよ、光ファイバの被覆が難しくなる(被覆の粘度への光ファイバの温度の影響により)ことである。ファイバが、被覆が適切に行える温度まで冷却された状況でさえも、被覆塗布機の出力利用率(power usage)および/または熱交換器内での冷却剤の使用が過剰であり得る。それゆえ、光ファイバを冷却し被覆するための改良されたシステムおよび方法が引き続き必要とされている。
本発明のある態様は、光ファイバを冷却し被覆する方法を含む。この方法は、光ファイバを少なくとも1つの熱交換器に通す工程を含む。この熱交換器は、光ファイバをその熱交換器に通過させるための通路、冷却ガスをこの通路に通すための少なくとも1つの入口、および冷却ガスをこの通路から除去するための少なくとも1つの出口を備えている。この方法は、冷却ガスを少なくとも1つの入口に送り込み少なくとも1つの出口から排出させる工程も含む。その上、この方法は、光ファイバを少なくとも1つの被覆塗布機に通過させることによって、光ファイバに少なくとも一次被覆を塗布する工程を含む。この方法はさらに、冷却ガスの熱伝導率、冷却ガスの粘度、一次被覆の直径、および少なくとも1つの被覆塗布機の出力利用率からなる群より選択される少なくとも1つのパラメータを測定する工程を含む。その上、この方法は、少なくとも1つのパラメータの関数として、少なくとも1つの入口を通過する冷却ガスの量を調節する工程を含む。
別の態様において、本発明は、光ファイバの冷却および被覆システムを含む。この光ファイバの冷却および被覆システムは、少なくとも1つの熱交換器を備えている。この熱交換器は、光ファイバを熱交換器に通過させるための通路、冷却ガスをこの通路に通すための少なくとも1つの入口、および冷却ガスをこの通路から除去するための少なくとも1つの出口を備えている。この光ファイバの冷却および被覆システムは、冷却ガスを少なくとも1つの入口に送り込み少なくとも1つの出口から排出させる少なくとも1つのポンプも備えている。その上、この光ファイバの冷却および被覆システムは、光ファイバが熱交換器を通過した後に光ファイバに少なくとも一次被覆を塗布するための少なくとも1つの被覆塗布機を備えている。この光ファイバの冷却および被覆システムは、冷却ガスの熱伝導率、冷却ガスの粘度、一次被覆の直径、および少なくとも1つの被覆塗布機の出力利用率からなる群より選択される少なくとも1つのパラメータを測定するための少なくとも1つの測定構成要素をさらに備えている。その上、この光ファイバの冷却および被覆システムは、少なくとも1つのパラメータの関数として、少なくとも1つの入口を通過する冷却ガスの量を調節するための少なくとも1つの調整構成要素を備えている。
好ましい実施の形態において、冷却ガスをヘリウムを含む。
好ましい実施の形態において、少なくとも1つの被覆塗布機は、温度制御されたサイジング・ダイ(TCSD)を備えている。
本発明の追加の特徴と利点は、以下の詳細な説明に述べられており、一部は、その説明から当業者には容易に明らかになるか、または以下の詳細な説明、特許請求の範囲、並びに添付の図面を含む、ここに記載された本発明を実施することによって認識されるであろう。
先の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方とも、本発明の実施の形態を提示しており、特許請求の範囲に記載された本発明の性質および特徴を理解するための概要または構成を提供することが意図されているのが理解されよう。添付の図面は、本発明をさらに理解するために含まれており、本明細書に包含され、その一部を構成する。これら図面は、本発明の様々な実施の形態を例示しており、説明と共に、本発明の原理および動作を説明するように働く。
本発明の1つの実施の形態による光ファイバの冷却および被覆システムの概略図 本発明の別の実施の形態による光ファイバの冷却および被覆システムの概略図 本発明の特定の実施の形態に使用できる温度制御されたサイジング・ダイ(TCSD)を備えた被覆塗布機の断面図 二成分ヘリウム−空気混合物中のヘリウムの濃度の関数としての熱伝導率を示すグラフ ヘリウム冷却剤の流量の関数としての一次被覆の直径を示すグラフ サイジング・ダイのヒータ出力の関数としての一次被覆の直径を示すグラフ
ここで、本発明の現在好ましい実施の形態を詳細に参照する。その実施例が添付の図面に示されている。同じまたは同様の部品を参照するために、できる限り、図面全体に亘って同じ参照番号が使用されている。
図1は、本発明の1つの実施の形態による光ファイバの冷却および被覆システムの概略図を示している。この冷却および被覆システムは、光ファイバ10を熱交換器14に通過させるための通路8を備えた熱交換器を備えている。この熱交換器はさらに、冷却ガスを通路8に通すための入口6、および冷却ガスを通路8から除去するための出口2および4を備えている。熱交換器14は、冷蔵されている(すなわち、周囲の温度より低い温度に)ことが好ましく、熱交換器14の頂部と底部に位置する2つの小さなオリフィスまたはシール16および18を含むことが好ましい。これらのオリフィスまたはシール16および18は、通路8へと通路8からのガスの侵入を最小にするように設計されている。
冷却ガス源(図示せず)からの新鮮な冷却ガスが質量流量制御装置(MFC)30に供給され、この制御装置が、入口6を通じて通路8に供給される新鮮な冷却ガスの量を調節する。ガスは、出口2および4を通じて通路から同時に除去される。出口2および4を通じて除去されたガスは、ガス流の急増を緩和するための容積またはバラストタンク26に流入することが好ましい。絞り弁22は出口4を通じて除去されるガスの量を調節し、絞り弁32は出口2を通じて除去されるガスの量を調節し、絞り弁28はバラストタンク26から除去されるガスの量を調節する。バラストタンク26から除去されたガスは、MFC30からの新鮮な冷却ガスと組み合わされ、入口6を通じて通路8に再循環させられる。絞り弁22,28および32の各々は、通路8から除去されるガスおよび通路8に通されるガスの流量を調節するために様々な量で開いたり閉じたりすることができる。絞り弁22,28および32は、入口6を通じて通路8に通される新鮮な冷却ガスに対する、再循環されるガスの比を調節するために、MFC30に合わせて動作することができる。圧縮機またはポンプ24は再循環プロセスのための動力を提供する。
図1に示されたシステムは、測定構成要素34,36および38をさらに備えている。ある好ましい実施の形態において、1つ以上の測定構成要素34,36および38は冷却ガスの熱伝導率を測定する。
別の好ましい実施の形態において、1つ以上の測定構成要素34,36および38は冷却ガスの粘度を測定する。
好ましい実施の形態において、冷却ガスはヘリウムを含む。特に好ましい実施の形態において、MFC30に供給される新鮮な冷却ガスは、99.995%純粋なヘリウム、あるいは99.999%純粋なヘリウム(「9が5桁(five nines)」)などの実質的に純粋なヘリウムである。
冷却ガスが入口6、通路8、および出口2および4を通過するときに、ガスのある程度がこのシステムの外部に失われる。例えば、MFC30に供給される冷却ガスが実質的に純粋なヘリウムである場合、冷却ガス流が入口6、通路8、および出口2および4を通過するときに、このヘリウムの数パーセントがシステムから失われる。その結果、出口2および4から排出される冷却ガスは、MFC30に供給される冷却ガスまたは入口6に通される冷却ガスよりも、ヘリウムの濃度が低くなる(空気の濃度が高くなる)と予測できる。ヘリウムは、例えば、図4に示されるように、二成分のヘリウム−空気の混合物の熱伝導率が混合物中のヘリウム含有量(それゆえ冷却能力)と相互に関連するように、所定の温度で空気よりも高い熱伝導率を有する(25℃での0.024W/m・Kに対して25℃での約0.152W/m・K)。同様に、ヘリウムは、二成分のヘリウム−空気の混合物の粘度が混合物のヘリウム含有量(それゆえ冷却能力)と相互に関連するように、室温に近い温度で空気よりも高い粘度を有する。それゆえ、測定構成要素34,36および38により冷却ガスの熱伝導率および/または粘度を測定することによって、冷却ガス流の冷却能力の密接な近似を決定できる。
図1に示されたシステムが最高線引きプロセス速度で動作されている場合、MFC30および絞り弁22,28および32によって、一定量の冷却ガスが、出口2および4を通じてバラストタンク26からと、MFC30から流れ、それによって一定量の冷却ガスを入口6に通過させることができる。これらの量は、システムの外部に失われる冷却ガスの量を考慮しながら、熱伝導率および/または粘度などの測定された冷却ガスのパラメータを所定の範囲内に維持するために設定することができる。測定構成要素34,36および38の内の1つ以上が、冷却ガスの熱伝導率および/または粘度を所定の設定値より低いと測定した場合、絞り弁22,28および32の内の1つ以上を、例えば、比例積分(PI)制御ループにより判定されるように、ある量だけ閉じることができる。MFC30もより多くの新鮮な冷却ガスをこのシステムに導入することができる。反対に、測定構成要素34,36および38の内の1つ以上が、冷却ガスの熱伝導率および/または粘度を所定の設定値より高いと測定した場合、絞り弁22,28および32の内の1つ以上を、ある量だけ開くことができる。MFC30もより少ない新鮮な冷却ガスをシステムに導入することができる。それゆえ、図1に示されたシステムにおいて、MFC30および絞り弁22,28および32の各々は、入口6と出口2および4を通過する冷却ガスの量を調節するための調整構成要素として機能する。
例えば、測定された冷却ガスのパラメータが熱伝導率であり、新鮮な冷却ガスがヘリウムを含む場合、1つ以上の測定構成要素34,36および38が熱伝導率が所定の範囲外であると測定したら、1つ以上の絞り弁22,28および32および/またはMFC30を上述したように調節することができる。好ましい実施の形態において、測定構成要素34および36により測定される、出口2および4から排出されている冷却ガスの熱伝導率は、135から151mW/(m・K)、より好ましくは140から151mW/(m・K)、さらにより好ましくは145から151mW/(m・K)に及ぶ。
図1に示されたシステムは、一次被覆塗布機20をさらに備えている。その実施の形態が図3を参照して以下により詳しく記載されている、一次被覆塗布機20は、光ファイバが熱交換器14を通過した後、この光ファイバに少なくとも一次被覆を被覆することができる。
図2は、本発明の別の実施の形態による光ファイバの冷却および被覆システムの概略図を示している。図1に示された実施の形態に関するように、図2に示された冷却および被覆システムは、熱交換器14、通路8、入口6、出口4、オリフィスまたはシール16および18、バラストタンク26、MFC30、ポンプ24、および絞り弁22および28を備えている。図1に示された実施の形態に関するように、熱交換器14は冷蔵されていることが好ましい。
冷却ガスが入口6、通路8、および出口4を通過するときに、そのある程度がシステムの外部に失われる。これを補うために、バラストタンク26から除去された冷却ガスを、MFC30からの新鮮な冷却ガスと組み合わせ、入口6を通じて通路8に再循環させることができる。絞り弁22および28の各々は、通路8から除去されるガスおよび通路8に通されるガスの流量を調節するように様々な量で開いたり閉じたりすることができる。絞り弁22および28は、入口6を通じて通路8に通される新鮮な冷却ガスに対する、再循環されるガスの比を調節するためにMFC30に合わせて動作させても差し支えない。
好ましい実施の形態において、冷却ガスはヘリウムを含む。特に好ましい実施の形態において、MFC30に供給される新鮮な冷却ガスは、99.995%純粋なヘリウム、あるいは99.999%純粋なヘリウム(「9が5桁」)などの実質的に純粋なヘリウムである。
図2に示されたシステムは、一次被覆塗布機20をさらに備えている。その実施の形態が図3を参照して以下により詳しく記載されている。その上、図2に示されたシステムは測定構成要素40を備えている。ある好ましい実施の形態において、測定構成要素40は、一次被覆塗布機20により塗布される一次被覆の直径を測定する。別の好ましい実施の形態において、測定構成要素40は被覆塗布機20の出力利用率を測定する。測定構成要素40は、被覆塗布機20と一体であっても、被覆塗布機20と別体であってもよい。
測定構成要素40が一次被覆塗布機20によって塗布される一次被覆の直径を測定する場合、測定構成要素40は、ファイバが光源に照射されたときのファイバの陰の幅を測定する測影技法を利用した装置などの、被覆ファイバの直径の光学的測定に依存する市販の装置を備えても差し支えない。測定構成要素40は、2つの位置でファイバの直径を測定し、それらの測定値を組み合わせて全体の制御信号を生成する装置も備えて差し支えない。そのような測定構成要素は、干渉パターンを生成するように未被覆ファイバが照射ビームで照射され、その干渉パターンを分析してファイバの直径を示す信号を生成する装置を備えても差し支えない。
測定構成要素40が被覆塗布機20の出力利用率を測定する場合、測定される電力は、好ましい実施の形態において、電力を被覆塗布機20中の抵抗加熱器に供給する一般のAC電源からの電力などの、被覆塗布機20に直接供給される電力の尺度であり得る。被覆塗布機20の出力利用率がここでパーセントで参照されている場合、このパーセント電力は、加熱器の最大出力と比較した、抵抗加熱器に供給されるAC電流の負荷サイクル(加熱器の出力となる)の関数として決定される。例えば、抵抗加熱器が100ワットモデルである場合、被覆塗布機の0%の出力利用率は0ワットを意味し、被覆塗布機の20%の出力利用率は20ワットを意味し、被覆塗布機の50%の出力利用率は50ワットを意味し、被覆塗布機の80%の出力利用率は80ワットを意味し、被覆塗布機の100%の出力利用率は100ワットを意味する。
動作において、図1および2に示されたシステムは光ファイバ10を冷却し、このファイバは、例えば、線引き炉(図示せず)から熱交換器14の通路8に、高温ファイバ(10aと示される)として通過する。次いで、熱交換器14から出た、冷却された光ファイバ(10bと示される)は、一次被覆塗布機20に通される。次いで、一次被覆塗布機20から出た被覆光ファイバ(10cと示される)は、一次被覆と二次被覆が紫外線硬化性被覆である場合、一次被覆硬化装置(図示せず)内で硬化され、次いで、二次被覆塗布機(図示せず)内で被覆され、その後、二次被覆硬化装置(図示せず)内で硬化される。しかしながら、本発明の実施の形態は、紫外線硬化性被覆の塗布に制限されず、他のタイプの被覆(例えば、熱可塑性被覆など)の塗布を含み得る。
一次被覆塗布機20により塗布される一次被覆の直径および/または一次被覆塗布機20の出力利用率は、通路8内を流れる冷却ガスの冷却能力に相関させることができる。例えば、冷却ガスの冷却能力が所望のものより低ければ、熱交換器14から出たファイバ10bは所望のものよりも熱くなる。その結果、被覆塗布機20に供給される電力がそれを補うように増加させられない限り(被覆がファイバに塗布される速度を増加させることによって−一定のファイバ温度での被覆塗布機の加熱器の電力の関数としての一次被覆の直径が、図6に示されている)、一次被覆塗布機20により塗布される一次被覆の直径は、所望のものよりも小さくなる(より熱いファイバ上の低い被覆粘度のために)。それゆえ、冷却ガスの冷却能力が所望のものよりも低い場合、一次被覆塗布機20により塗布される一次被覆の直径は小さくなるおよび/または一次被覆塗布機20の出力利用率は高くなる。反対に、冷却ガスの冷却能力が所望のものよりも高い場合、一次被覆塗布機20により塗布される一次被覆の直径は大きくなるおよび/または一次被覆塗布機20の出力利用率は低くなる。
空気/ヘリウムの混合物の冷却能力が、上述したように混合物中のヘリウム含有量に相関するので、一次被覆塗布機20により塗布される一次被覆の直径および/または一次被覆塗布機20の出力利用率は、通路8に流入する冷却ガスのヘリウム含有量に関連させることができる(例えば、一定の一次被覆塗布機の出力利用率でのヘリウム流量の関数としての一次被覆の直径が図5に示されている)。それゆえ、冷却ガス中のヘリウム含有量が所望のものより少ない場合、一次被覆塗布機20により塗布される一次被覆の直径は小さくなるおよび/または一次被覆塗布機20の出力利用率は高くなる。反対に、冷却ガス中のヘリウム含有量が所望のものより多い場合、一次被覆塗布機20により塗布される一次被覆の直径は大きくなるおよび/または一次被覆塗布機20の出力利用率は低くなる。
図2に示されたシステムが最高線引きプロセス速度で動作されている場合、MFC30および絞り弁22および28によって、一定量の冷却ガスが、出口4を通じてバラストタンク26からと、MFC30から流れ、それによって一定量の冷却ガスを入口6に通過させることができる。これらの量は、システムの外部に失われる冷却ガスの量を考慮しながら、一次被覆塗布機20により塗布される一次被覆の直径および/または一次被覆塗布機20の出力利用率などの、測定された冷却ガスのパラメータを所定の範囲内に維持するために設定することができる。測定構成要素40が、一次被覆塗布機20により塗布される一次被覆の直径を所定の設定値より低いおよび/または一次被覆塗布機20の出力利用率を所定の設定値より高いと測定した場合、絞り弁22および28の内の1つ以上を、例えば、比例積分(PI)制御ループにより判定されるように、ある量だけ閉じることができる。MFC30もより多くの新鮮な冷却ガスをこのシステムに導入することができる。反対に、測定構成要素40が、一次被覆塗布機20により塗布される一次被覆の直径を所定の設定値より高いおよび/または一次被覆塗布機20の出力利用率を所定の設定値より低いと測定した場合、絞り弁22および28の内の1つ以上を、ある量だけ開くことができる。MFC30もより少ない新鮮な冷却ガスをシステムに導入することができる。それゆえ、図2に示されたシステムにおいて、MFC30および絞り弁22および28の各々は、入口6と出口4を通過する冷却ガスの量を調節するための調整構成要素として機能する。
例えば、測定したパラメータが一次被覆塗布機20の出力利用率であり、新鮮な冷却ガスがヘリウムを含む場合、測定構成要素40が出力利用率を所定の範囲の外にあると測定すれば、1つ以上の絞り弁22および28および/またはMFC30を上述したように調節することができる。好ましい実施の形態において、測定構成要素40により測定される、被覆塗布機20の出力利用率は、10%から90%、さらにより好ましくは20%から80%に及ぶ。
図1および2に示されたシステムは、熱交換器14から排出される光ファイバ10bを特定の値または範囲内に冷却することができる。好ましい実施の形態において、熱交換器14から排出されるファイバ10bの温度は、20℃から60℃を含む、0℃から90℃などの100℃未満である。
図1および2に示されたシステムは、光ファイバ10が熱交換器14の通路8を、少なくとも30メートル毎秒などの少なくとも15メートル毎秒の速度で通過したときに、入口6に送り込まれた冷却ガスの少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%を出口4(または出口2および4)から排出することができる。好ましい実施の形態において、冷却ガスは、標準状態でのリットル毎分で少なくとも150(slpm)、さらには少なくとも200slpmなどの少なくとも100slpmの流量で入口6に送り込まれる。好ましい実施の形態において、新鮮な冷却ガスがヘリウムを含む場合、光ファイバ10が、少なくとも30メートル毎秒などの少なくとも15メートル毎秒の速度で熱交換器14の通路8を通過させたときに、15slpm未満、さらには10slpm未満などの20slpm未満のヘリウムしか、入口6と出口4(または出口2および4)との間でシステムの外部に失われない。同時に、被覆塗布機20の出力利用率は、20%から80%などの10%から90%に及び得る。
好ましい実施の形態において、被覆塗布機20は、温度制御されたサイジング・ダイ(TCSD)を備えて差し支えない。このサイジング・ダイは、ここに記載された実施の形態において、既存のファイバに所定量の被覆を塗布するためのコーターの出口領域における被覆材料の局部粘度制御に依存する圧力供給被覆装置である。本発明の実施の形態に使用されるTCSDを備えた例示の被覆塗布機の断面図が図3に示されている。ガイド・ダイ(guide die)44がコーター・ブロック42内に配置されている。インサート46が、ガイド・ダイ44の下にあり、被覆材料を被覆塗布機20に入れるための入口となっている。温度制御されたサイジング・ダイ(TCSD)48が、インサート46の下に配置されている。ディスク50がTCSD48の下に配置されており、TCSD48に伝熱する。ディスク50は、TCSD48へとTCSD48からの熱伝達を効率的にするために高熱伝導率材料から製造されている。熱伝達管52はディスク50に熱的に連通している。抵抗加熱器54が熱伝達管52の少なくとも一部分を取り囲んでいる。熱伝達管52の一部分は、抵抗加熱器54より下まで延在し、ヒート・シンク56と熱的に連通している。ヒート・シンク56は流体循環システム58に接続されており、このシステムは、ヒート・シンク56から熱を除去するために必要に応じて使用してよい。
TCSD48へまたはTCSD48から伝達される熱量は、被覆ファイバの直径を目標値に制御するために被覆ファイバの直径の測定値に基づいて調節することができる。被覆ファイバの測定された直径が目標値より低い場合、熱が、抵抗加熱器54からディスク50を通じてTCSD48に伝達される。このことは、抵抗加熱器54への電流を増加させることによって行われ、その結果、TCSD48の壁近くの被覆材料の温度が上昇し、転じて、これにより、TCSD48の壁近くの被覆材料の粘度が減少する。TCSD48の壁近くの被覆材料の粘度が減少すると、ファイバに塗布される被覆の量が増加し、それによって、被覆ファイバの直径が増加する。同様に、被覆ファイバの測定された値が目標値よりも大きい場合、熱をTCSD48からディスク50、熱伝達管52およびヒート・シンク56に伝達することができる。このことは、循環システム58内の流体の流量を増加させることによって行うことができ、この結果、ヒート・シンク56から熱が伝達され、それによって、TCSD48の壁近くの被覆材料の温度が減少し、転じて、これにより、TCSD48の壁近くの被覆材料の粘度が増加する。TCSD48の壁近くの被覆材料の粘度が増加すると、ファイバに塗布される被覆材料の量が減少し、それによって、被覆ファイバの直径が減少する。ヒート・シンク56を通じて伝達される熱量も、循環システム58内の流体の温度を増減することによって、または流体の流量および温度の変化の組合せによって変えることもできる。
図3に関して記載された冷却特徴による、被覆ファイバの直径以外の被覆ファイバの物理的性質の悪影響の可能性のために、好ましい実施の形態は、ヒート・シンク56および流体循環システム58を備えていない、図3に示されたものに似た装置である。これによっても、装置の設計が容易になる。この場合、TCSD48の出口の直径は、被覆ファイバの直径を所望の値に維持するためにある程度の熱が常に要求されるように選択されるであろう。このため、TCSD48の出口の直径は、被覆装置に加熱能力と冷却能力の両方が含まれた場合に必要とされるであろうよりも小さく作られる必要がある。
好ましい実施の形態において、TCSD48には、120VAC 100ワットのモデルの抵抗加熱器54が設けられている。光ファイバが最高プロセス速度で被覆塗布機を通して線引きされているときに、出力利用率は、30%(30ワット)から60%(60ワット)に及ぶことが好ましく、20%(20ワット)から80%(80ワット)の範囲内に留まるように制御できる。好ましい実施の形態において、光ファイバは、少なくとも30m/sなどの、少なくとも15m/sの速度で熱交換器14および被覆塗布機20を通して線引きできる。
図3に示したものなどのTCSDを備えた被覆塗布機を使用することによって、光ファイバ10cの一次被覆の直径は、被覆塗布機20の出力利用率を可変にさせながら、狭い仕様範囲内に維持することができる。転じて、被覆塗布機20の出力利用率は、出力利用率が直接測定される(すなわち、図2に示された実施の形態におけるように)または冷却ガスの熱伝導率および/または粘度が測定される(すなわち、図1に示された実施の形態におけるように)上述した方法を使用して、熱交換器14の通路8を通過する光ファイバ10の冷却速度を制御することによって、所定の範囲内に維持することができる。そのようにして、光ファイバの冷却および被覆システムの動作に関する費用を、被覆塗布費用に対して冷却ガス費用のバランスをとることによって、減少させるまたは最小にすることができる。
1つ以上の例示の方法を、本発明の実施の形態による光ファイバの冷却および被覆システムを立ち上げるために使用することもできる。例えば、図2に示した実施の形態において、第1の立上げ段階において、線引きプロセス速度を初期速度から最高線引きプロセス速度まで徐々に増加させる。この段階中、絞り弁28は、入口6を通る冷却ガスの全てがMFC30から提供される(すなわち、冷却ガスは全く再循環されない)ように閉じられている。被覆塗布機20はTCSDを備えており、これにより、光ファイバ10c上の一次被覆の直径を狭い仕様範囲内に維持することができる。転じて、被覆塗布機20の出力利用率は、線引き速度が増加するにつれてMFC30から提供される冷却ガスを概して増加させることによって、所定値にまたは所定値の近く(例えば、総出力の40%)に維持される(すなわち、測定構成要素40が出力利用率を所定値を超えて徐々に増加するのを測定したときに、比例積分(PI)制御ループがMFC30により多くの冷却ガスを導入するように指示し、それによって、被覆塗布機20の出力利用率を徐々に降下させて所定値に戻す)。一旦、最高線引きプロセス速度に到達すると、「再循環なし」のMFC設定値が記録される。この「再循環なし」のMFC設定値は、冷却ガスが再循環されていないときに、被覆塗布機の出力利用率を所定値にまたは所定値の近くに維持できるように、MFC30から、入口6を通る冷却ガスの必要量を提供する。
第1立上げ段階と第2立上げ段階との間の中間工程において、「全再循環」のMFC設定値が計算される。全再循環において、第1の立上げ段階中とは異なり、入口6を通じて提供される冷却ガスの一部のみがMFC30を通じて提供される。その残りは再循環によるものである(すなわち、絞り弁28を通じて)。この「全再循環」のMFC設定値は、再循環が行われない第1の立上げ段階中に最高線引きプロセス速度に到達したときに提供されるのと同量の冷却ガスが全再循環中に入口6を通じて提供されるように計算される。例えば、第1の立上げ段階から決定された「再循環なし」のMFC設定値が200slpmの冷却ガスを入口6に通して提供し(被覆塗布機20を、例えば、最高線引きプロセス速度の40%の出力で運転するために)、この冷却ガスの20slpm(または10%)が再循環を1回通過する毎に失われると予測できる場合、この冷却ガスの180slpmが再循環される(すなわち、絞り弁28を通じて)と予測され、200slpmの冷却ガスを入口6を通じて提供し続けるために、残りの20slpmを、MFC30を通じて提供する必要があるであろう。それゆえ、この場合、「全再循環」のMFC設定値は、20slpmの冷却ガスをMFC30から提供するように計算されるであろう。
一旦、「全再循環」のMFC設定値が計算されたら、第2の立上げ段階が開始される。この第2の立上げ段階中、システムは、最高線引きプロセス速度を維持しながら、MFC30から提供される冷却ガスを徐々に、再循環された冷却ガスと置き換える(すなわち、絞り弁28を通じて)ことによって、「再循環なし」状態から「全再循環」状態へと徐々に移行する。この段階において、絞り弁28は、「全再循環」のMFC設定値に到達するまで、MFC30からの冷却ガスを徐々に減少させながら、徐々に開かれる。第1の立上げ段階のように、この第2の立上げ段階中に、光ファイバ10c上の一次被覆の直径はTCSDにより制御される。
一旦、システムが定常状態で「全再循環」で動作したら、被覆塗布機20の出力利用率を測定構成要素40によって連続的または増加的のいずれかでモニタすることができる。被覆塗布機20の出力利用率が高すぎる(例えば、80%より高い)場合、ファイバの冷却が不十分になってしまう。そのような場合、制御ループがMFC設定値を増加させてより多くの冷却ガスを供給し、被覆塗布機の出力利用率を下げて許容範囲内(例えば、20%から80%)に収めることができる。被覆塗布機20の出力利用率が低すぎる(例えば、20%未満)場合、光ファイバが過剰に冷却されてしまう。そのような場合、制御ループはMFC設定値を減少させてより少ない冷却ガスを供給し、被覆塗布機の出力利用率を上げて許容範囲内に収めることができる。
その上、冷却ガスは、光ファイバの冷却および被覆システムが立ち上げられている間により積極的に再循環することができる。例えば、第1の立上げ段階中(再循環が行われていないとき)、線引き速度は、最高線引き速度未満のレベルまで増加させることができる。次いで、第2の立上げ段階中、システムが「再循環なし」状態から「全再循環」状態まで移行しているときに、最高線引き速度まで増加させることができる。あるいは、線引き速度は、システムが「再循環なし」状態から「全再循環」状態に移行した後、最高線引き速度まで増加させても差し支えない。立上げ中のそのようなより積極的なヘリウムの再循環には、最高線引き速度での冷却剤の要件が低速での冷却剤の要件によって予測できるように、線引き速度の関数としての「冷却マッピング」が一般に必要であろう。
当業者には、本発明の精神および範囲から逸脱せずに、本発明に様々な改変および変更を行えることが明らかであろう。それゆえ、本発明は、本発明の改変および変更を、そららが添付の特許請求の範囲およびその同等物に含まれるという条件で、包含することが意図されている。
8 通路
10 光ファイバ
14 熱交換器
22,28,32 絞り弁
30 質量流量制御装置またはMFC
34,36,38,40 測定構成要素
48 温度制御されたサイジング・ダイまたはTCSD
56 ヒート・シンク
58 流体循環システム

Claims (2)

  1. 光ファイバを冷却し被覆する方法において、
    光ファイバを少なくとも1つの熱交換器に通す工程であって、該熱交換器は、前記光ファイバを該熱交換器に通過させるための通路、冷却ガスを前記通路に通すための少なくとも1つの入口、および冷却ガスを前記通路から除去するための少なくとも1つの出口を備えたものである工程、
    ヘリウムを含む冷却ガスを前記少なくとも1つの入口に送り込み前記少なくとも1つの出口から排出させる工程、
    前記光ファイバを少なくとも1つの被覆塗布機に通過させることによって、該光ファイバに少なくとも一次被覆を塗布する工程、
    前記冷却ガスの熱伝導率を測定する工程、および
    前記冷却ガスの熱伝導率の関数として、前記少なくとも1つの入口に送り込まれる、前記ヘリウムを含む冷却ガスの量を調節する工程、
    を有してなる方法。
  2. 前記少なくとも1つの出口から出る前記冷却ガスを、前記少なくとも1つの入口に再循環させる工程をさらに有してなる請求項1記載の方法。
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