JP3098232B1 - 光ファイバ素線の製造方法と製造装置 - Google Patents

光ファイバ素線の製造方法と製造装置

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JP3098232B1
JP3098232B1 JP11182541A JP18254199A JP3098232B1 JP 3098232 B1 JP3098232 B1 JP 3098232B1 JP 11182541 A JP11182541 A JP 11182541A JP 18254199 A JP18254199 A JP 18254199A JP 3098232 B1 JP3098232 B1 JP 3098232B1
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  • Optical Fibers, Optical Fiber Cores, And Optical Fiber Bundles (AREA)
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Abstract

【要約】 【課題】 光ファイバ裸線3のコート径を安定させ、側
圧特性の良好な光ファイバ素線9を得る。 【解決手段】 光ファイバ素線9の製造方法において、
光ファイバ裸線3を冷却する冷却装置24に熱伝達率の
違う少なくとも2種以上の冷却ガスを導入し、これらの
うち少なくとも1種以上の冷却ガスの流量を可変とし、
この可変流量の冷却ガスの流量を流量調節装置22にて
調整し、光ファイバ裸線3の樹脂塗布装置5への入線温
度を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ファイバ母材か
ら溶融紡糸された光ファイバ裸線を、冷却装置にて冷却
し、ついでこの光ファイバ裸線上に樹脂を塗布し、硬化
してプライマリ被覆層、セカンダリ被覆層を順次形成す
る光ファイバ素線の製造方法およびこの製造方法に用い
られる製造装置に関し、溶融紡糸後の光ファイバ裸線の
冷却方法を改善することにより、安定した側圧特性を示
す光ファイバ素線を得ようとするものである。
【0002】
【従来の技術】図13は、光ファイバ素線の製造工程の
一例を示す概略構成図である。紡糸炉2において光ファ
イバ母材1から溶融紡糸した光ファイバ裸線3を冷却装
置4にて冷却し、ついでこの光ファイバ裸線3上に、樹
脂塗布装置5にて樹脂を塗布し、ついで硬化装置6にて
前記樹脂を硬化してプライマリ被覆層を形成し、さらに
このプライマリ被覆層上に樹脂塗布装置7にて樹脂を塗
布し、硬化装置8にてこの樹脂を硬化してセカンダリ被
覆層を形成する。このように製造された光ファイバ素線
9は巻取り装置10により巻取られる。上記工程におい
て溶融紡糸後の光ファイバ裸線3を冷却するのは、溶融
紡糸後の光ファイバ裸線3はそのままでは高温であり、
プライマリ被覆層となる樹脂が塗布できないためであ
る。
【0003】このような光ファイバ裸線3の冷却に用い
られる冷却装置4としては、一般に図14に示すような
構造のものが知られている。この冷却装置4は冷却筒4
aと循環水筒4bとからなる。冷却筒4a内には、光フ
ァイバ裸線3が挿通されるとともに、冷却ガスが導入口
11から導入され、排出口12より排出される。また、
循環水筒4bには、冷却水が導入され循環される。光フ
ァイバ裸線3は、この冷却筒4aを通過する間に冷却ガ
スと循環水との冷却効果により冷却され、被覆層となる
樹脂を塗布する樹脂塗布装置5に送り込まれる。
【0004】従来、このような冷却装置4には、一定流
量方式のものや、混合比可変方式のものなどがあった。
上記一定流量方式は、冷却装置4の冷却筒4a内に導入
される冷却ガスの流量を一定とするものである。よっ
て、光ファイバ裸線3の冷却温度は、光ファイバ裸線3
の冷却筒4a内通過時間、すなわち光ファイバ裸線3の
紡糸線速によって決まる。
【0005】ところで、光ファイバ裸線3の樹脂塗布後
の外径(以下コート径とする)の変動は、長手方向にお
ける光ファイバ素線9の側圧特性のばらつきの原因とな
る。このような側圧特性のばらつきは、光ファイバ素線
9の伝送損失の増大につながり好ましくない。よって、
このような側圧特性のばらつきを減少させるために光フ
ァイバ裸線3のコート径を一定にすることが必要とされ
ている。また、上記コート径は、光ファイバ裸線3の冷
却後の温度つまり樹脂塗布装置5への入線温度(以下、
単に入線温度ということがある)によって決まる。よっ
て、光ファイバ裸線3のコート径を一定にするために
は、光ファイバ裸線3の入線温度を調整することが必要
とされる。
【0006】一方、光ファイバ素線9の製造工程におけ
る紡糸線速は、光ファイバ母材1の外径変動に応じて常
に変動する。これは、溶融紡糸後の光ファイバ裸線3の
外径を一定(φ125μm)にするためである。このよ
うに紡糸線速が常に変動する場合、上記一定流量方式の
冷却装置4を用いると、光ファイバ裸線3の冷却時間に
差が生じ、その結果光ファイバ裸線3の入線温度が変動
し、光ファイバ裸線3のコート径が変動してしまうとい
う問題があった。
【0007】このような問題を解決するために、光ファ
イバ裸線3の紡糸線速に応じて、冷却装置4における冷
却能力を調整し、光ファイバ裸線3の入線温度を一定に
制御する冷却装置4が考えられている。このようなもの
の一例が、上記混合比可変方式の冷却装置4である。混
合比可変方式の冷却装置4は、熱伝達率の異なる少なく
とも2種以上の冷却用ガスを用い、その混合比を光ファ
イバ裸線3の紡糸線速の変動に応じて変化させることに
より光ファイバ裸線3の入線温度を一定に制御するもの
である。(特許第2844741号公報)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな混合比可変方式の冷却装置4においては、光ファイ
バ裸線3の入線温度を常に一定の値にするものであるの
で、特に高速線引き時に光ファイバ裸線3のコート径が
変動してしまうという問題があった。また、冷却装置4
に導入される冷却ガスの総流量が一定であることから、
特に高速線引き時には、大量の冷却ガスを必要とするの
で、光ファイバ裸線3に線ブレが起こり、そのコート径
が変動してしまうという問題があった。さらに、これら
の冷却装置4においては、冷却ガスの排出口12が設け
られていることから、特に高速線引き時にエアーの巻き
込みが生じ、そのために入線温度が不安定になり、光フ
ァイバ裸線3のコート径が変動してしまうという問題も
あった。このように光ファイバ裸線3のコート径に変動
があると、光ファイバ素線9の側圧特性にばらつきが生
じ、伝送損失増加の原因となるため好ましくない。
【0009】本発明は前記事情に鑑みてなされたもの
で、光ファイバ素線の製造工程において、高速線引き時
の光ファイバ裸線の入線温度や、線ブレや、エアーの巻
き込み等による光ファイバ裸線のコート径の変動を改善
し、該コート径を安定させ、側圧特性にばらつきのない
良好な光ファイバ素線を得ることを目的とするものであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するた
めに、以下に示す光ファイバ素線の製造方法と製造装置
とを提案する。第1の発明においては、光ファイバ母材
から溶融紡糸された光ファイバ裸線を冷却装置にて冷却
し、ついでこの光ファイバ裸線上に樹脂を塗布し、硬化
して順次プライマリ被覆層、セカンダリ被覆層を形成す
る光ファイバ素線の製造方法において、熱伝達率の異な
る少なくとも2種以上の冷却ガスを、流量を固定したも
のと、流量を可変としたものとに分けて上記冷却装置に
導入することを特徴とする光ファイバ素線の製造方法を
提案する。
【0011】第2の発明においては、上記第1の発明に
おける冷却ガスの可変流量と、冷却後の光ファイバ裸線
の温度を、樹脂塗布後の光ファイバ裸線の外径と光ファ
イバ裸線の紡糸線速に応じて調整する。第3の発明にお
いては、上記第1または第2の発明における冷却後の光
ファイバ裸線の温度を、樹脂塗布後の光ファイバ裸線に
安定した外径を与える温度領域内に制御する。第4の発
明においては、上記第1ないし第3の発明において、可
変流量の冷却ガスの熱伝達率が固定流量の冷却ガスの熱
伝達率よりも低くなるようにし、また可変流量の冷却ガ
スと固定流量の冷却ガスとを上記冷却装置に別々に導入
し、このときの可変流量の冷却ガスの導入位置を固定流
量の冷却ガスの導入位置よりも下方にする。
【0012】また、第5の発明においては、光ファイバ
母材から光ファイバ裸線を溶融紡糸する紡糸炉と、溶融
紡糸された光ファイバ裸線を冷却する冷却装置と、冷却
された光ファイバ裸線に被覆層となる樹脂を塗布する樹
脂塗布装置と、この樹脂を硬化する硬化装置とからなる
光ファイバ素線の製造装置において、上記冷却装置が光
ファイバ裸線を挿通するとともに冷却ガスを流入する冷
却筒を有し、該冷却筒には、冷却ガスの排出口が設けら
れず、冷却ガスの導入口が少なくとも2つ以上設けられ
ており、これらの導入口には冷却ガスの流量を調整する
流量調節装置がそれぞれ連接されている光ファイバ素線
の製造装置を提案する。
【0013】第6の発明においては、上記第5の発明に
おいて、樹脂塗布後の光ファイバ裸線の外径と光ファイ
バ裸線の紡糸線速に応じて冷却ガスの流量を調整し、冷
却後の光ファイバ裸線の温度を、樹脂塗布後の光ファイ
バ裸線に安定した外径を与える温度領域内に制御する制
御手段を設ける。第7の発明においては、上記第5また
は第6の発明において、可変流量の冷却ガスの導入口
と、固定流量の冷却ガスの導入口と別に設け、可変流
量の冷却ガスの導入口が固定流量の冷却ガスの導入口よ
りも下方となるように設ける。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳しく説明
する。図1は、本発明の光ファイバ素線の製造方法と製
造装置を用いた光ファイバ素線の製造工程の一例を示す
概略構成図である。図中、図13に示す従来のものと同
じ装置を示すものには同一の符号を付けた。
【0015】紡糸炉2において光ファイバ母材1から溶
融紡糸された光ファイバ裸線3は、冷却装置24に送り
込まれ、ここで冷却されて樹脂塗布装置5に送られる。
ここで、光ファイバ裸線3に樹脂が塗布され、ついで硬
化装置6にて前記樹脂が硬化されてプライマリ被覆層が
形成される。さらに、このプライマリ被覆層上に樹脂塗
布装置7にて樹脂が塗布され、硬化装置8にてこの樹脂
が硬化されてセカンダリ被覆層が形成される。このよう
に製造された光ファイバ素線9は巻取り装置10により
巻取られる。
【0016】上記冷却装置24には、熱伝達率の違う少
なくとも2種以上の冷却ガスが導入され、これらの冷却
ガスのうち少なくとも1種以上の冷却ガスの流量は調整
されて導入される。このとき、冷却ガスは可変流量のも
のと固定流量のものとに別れる。そして、これらの冷却
ガスの流量は流量調節装置22、22・・・によって調
整され、導入口23、23・・・より冷却装置24に導
入される。
【0017】上記固定流量の冷却ガスの流量は、対象と
する光ファイバ裸線3の紡糸の中心線速に応じた流量に
調整され紡糸中は一定にされる。また、上記可変流量の
冷却ガスの流量は、光ファイバ裸線3のコート径と光フ
ァイバ裸線3の紡糸線速(以下、単に線速ということが
ある)に応じて流量調節装置22により調整される。
【0018】光ファイバ裸線3の外径は、樹脂塗布装置
5と硬化装置6との間におかれた外径測定装置20によ
り測定される。また、光ファイバ裸線3の紡糸線速は巻
取り器10に設置された図示しない線速測定器により測
定される。これらの外径、紡糸線速の測定結果の信号は
常時制御装置21に送られ、ここで信号は処理されて流
量調節装置22に送られる。そして、流量調節装置22
は、この信号により冷却ガスの流量を調整する。
【0019】このとき、光ファイバ裸線3の樹脂塗布装
置5への入線温度は、光ファイバ裸線3に安定したコー
ト径を与える温度領域内(安定領域)に制御される。す
なわち、本発明は、冷却装置24における冷却ガスの流
量を、光ファイバ裸線3のコート径をフィードバックし
て光ファイバ裸線3の入線温度を調整するとともに、そ
のときの線速をフィードバックして、光ファイバ裸線3
の入線温度がその線速における安定領域内となるように
調整するものである。
【0020】ここで、光ファイバ裸線3の入線温度の安
定領域について詳しく説明する。上述のように、光ファ
イバ裸線3のコート径は、光ファイバ裸線3の入線温度
によって定まるということがわかっている。入線温度の
安定領域とは、光ファイバ裸線3に安定したコート径を
施すことができる光ファイバ裸線3の入線温度の領域の
ことをいう。この安定領域は、光ファイバ裸線3の紡糸
線速によって変動するものであり、特に高線速時には、
この安定領域が狭い範囲に限られる。この安定領域につ
いて、紡糸線速を低線速時、中線速時、高線速時に分け
て説明する。
【0021】図3は、低線速(100m/min以下)
時における光ファイバ裸線3の紡糸線速(m/min)
および入線温度(℃)を示したグラフである。低線速時
の入線温度は通常常温の範囲であるが、図3より、多少
の線速変動があっても入線温度に変動はなく、したがっ
てコート径も安定していることがわかる。図4は、低線
速(例えば、100m/min)時における光ファイバ
裸線3の入線温度(℃)とコート径(μm)との関係を
示したグラフである。図4から、光ファイバ裸線3の入
線温度が高温になると、ある点から光ファイバ裸線3に
コート径のバラツキが発生し、さらに高温になると光フ
ァイバ裸線3は樹脂のコーティングが不能となることが
わかる。つまり、低線速時には、光ファイバ裸線3に安
定したコート径を施すことのできる入線温度の上限温度
がある。したがって、このような低線速時においては、
前記上限温度以下が光ファイバ裸線3に安定したコート
径を施すことのできる領域、すなわち安定領域となる。
【0022】次に、中線速(200〜800m/min
程度)時について説明する。図5は、光ファイバ裸線3
の紡糸線速(m/min)と入線温度(℃)との関係を
示したものである。図5に示すように、中線速になる
と、光ファイバ裸線3のコート径にバラツキが生じてし
まう光ファイバ裸線3の入線温度の上限温度に加えて、
光ファイバ裸線3の被覆層への泡の混入が起こってしま
う入線温度の下限温度が存在する。よって、安定した光
ファイバ裸線3のコート径を得るためには、光ファイバ
裸線3の入線温度をこの上限温度と下限温度との間で調
整しなければならない。つまり、中線速時においてはこ
の上限温度と下限温度の間が光ファイバ裸線3に安定し
たコート径を施すことのできる安定領域となる。中線速
時の安定領域は、比較的範囲が広いため、図5に示すよ
うに、安定領域内の適切な値を入線温度として選んで一
定にした場合(例えば、図中58℃の場合)であれば、
光ファイバ裸線3の線速が変動してもその入線温度は安
定領域内にあるため、そのコート径も安定する。
【0023】次に、高線速(1000m/min以上)
時について説明する。図6は、光ファイバ裸線3の紡糸
線速(m/min)と入線温度(℃)との関係を示した
ものである。図6に示すように、高線速時においても、
中線速時と同様に、光ファイバ裸線3のコート径のバラ
ツキが生じる入線温度の上限温度と、光ファイバ裸線3
の被覆層への泡の混入が起こってしまう入線温度の下限
温度が存在し、これらの温度の間が高線速時の安定領域
となる。しかし、この安定領域は、中線速時に比べて非
常に狭い範囲となる。よって、入線温度を一定にした場
合(例えば、図中85℃の場合)でも、紡糸線速が変動
すると入線温度が安定領域を越えてしまう場合があり、
常に安定した光ファイバ裸線3のコート径を維持するこ
とができなくなる。これは、上述の入線速度が一定であ
る混合比可変方式の冷却装置において、特に高線速時に
コート径のバラツキが生じる理由である。よって高線速
時に光ファイバ裸線のコート径を安定させるには、光フ
ァイバ裸線3の入線温度を安定領域内に調整することが
特に必要とされる。本発明は、光ファイバ裸線3の入線
温度を、以上説明した安定領域内に調整するものであ
る。
【0024】冷却装置24に導入される冷却ガスにおい
ては、可変流量の冷却ガスの熱伝達率が固定流量の冷却
ガスの熱伝達率よりも低くなるようにし、可変流量の冷
却ガスと固定流量の冷却ガスとを上記冷却装置24に別
々に導入し、このときの可変流量の冷却ガスの導入位置
を固定流量の冷却ガスの導入位置よりも下方にするのが
好ましい。これは、以下のような理由による。
【0025】熱伝達率の高い冷却ガスは冷却能力が大き
いため、わずかな流量変化によって冷却筒24aの冷却
力の程度が大きく変わってしまう。よって、光ファイバ
裸線3の大まかな冷却に対しては支配的で適している
が、微妙な調節をするのには向かない。この点、熱伝達
率の低い冷却ガスは、冷却力が弱いためわずかな流量変
化において冷却筒24aの冷却の程度が大きく変わるこ
とがない。よって、大まかな冷却に対しては非支配的で
不適だが、光ファイバ裸線3の入線温度の微調整には適
している。また、熱伝達率の高い冷却ガスを可変流量と
した場合には、実際の紡糸工程において、光ファイバ裸
線3の線ブレや、パスラインの変動が起こる等の不都合
が生じることがある。よって、熱伝達率の高い冷却ガス
を固定流量として光ファイバ裸線3の大まかな冷却に用
い、熱伝達率の低い冷却ガスを可変流量として光ファイ
バ裸線3の冷却の微調整に用いるのがよい。
【0026】そして、冷却能力の高いものを上方にし
て、先に光ファイバ裸線3を短時間である程度まで冷却
し、その後に冷却能力の低いものでその温度を微調整し
た方が冷却効率が上がってよい。よって、この場合固定
流量の冷却ガスの方が可変流量の冷却ガスよりも冷却能
力が大きいのだから、可変流量の冷却ガスの導入位置を
固定流量の冷却ガスの導入位置よりも下方にするのがよ
い。
【0027】また、固定流量と可変流量の冷却ガスは、
それぞれ、違った種類の冷却ガスを混合して用いたとし
ても、上述の条件を満たしていれば構わない。冷却ガス
として具体的には、ヘリウム(14.22)、窒素
(2.40)、アルゴン(1.63)、塩素(0.7
9)、ネオン(4.65)、水素(16.82)、酸素
(2.45)等が挙げられ、これらの安全性、取り扱い
性、冷却効率、コスト等を考慮して用いられる。()内
は0℃での熱伝達率(10-2W/mK)を示す。
【0028】このような光ファイバ裸線3の冷却方法
は、おもに、光ファイバ裸線3のプライマリ被覆層のコ
ート径制御に用いられるが、この冷却方法をセカンダリ
被覆層のコート径制御に用いてもよい。また、冷却装置
24と樹脂塗布装置5との間に、温度センサを設置し、
光ファイバ裸線3の入線温度を測定して、適切な入線温
度に制御されているかを確認するようにしても構わな
い。
【0029】光ファイバ裸線3のプライマリ被覆層およ
びセカンダリ被覆層の形成方法は、特に限定されるもの
ではない。また、被覆層の樹脂としては紫外線硬化型樹
脂が好適に用いられる。そして、プライマリ被覆層のコ
ート径(プライマリ径)は190μm、セカンダリ被覆
層のコート径(セカンダリ径)は250μmとなるよう
に形成される。
【0030】このような光ファイバ素線9の製造方法に
よれば、光ファイバ裸線3の線速による安定領域を考慮
にいれ、光ファイバ裸線3の入線温度を適切に変動させ
ることができるものであるので、光ファイバ裸線3に安
定したコート径を与えることができ、側圧特性にすぐれ
た光ファイバ素線9を得ることができる。この効果は、
特に光ファイバ裸線3の高線速時において十分に発揮さ
れる。また、この光ファイバ素線9の製造方法において
は、冷却装置24に導入される冷却ガスの総流量は従来
の混合比可変方式のものに比べて少なくてすむことか
ら、特に高線速時の光ファイバ裸線3の線ブレを防止で
きる。
【0031】次に、本発明の光ファイバ素線9の製造装
置について図1を用いて説明する。この光ファイバ素線
9の製造装置は、光ファイバ母材1から光ファイバ裸線
3を溶融紡糸する紡糸炉2と、溶融紡糸された光ファイ
バ裸線3を冷却する冷却装置24と、冷却された光ファ
イバ裸線3にプライマリ被覆層となる樹脂を塗布する樹
脂塗布装置5と、この樹脂を硬化する硬化装置6と、セ
カンダリ被覆層となる樹脂を塗布する樹脂塗布装置7
と、この樹脂を硬化する硬化装置8とからなるものであ
る。この製造装置が従来のものと違うのは、冷却装置2
4である。
【0032】上記冷却装置24としては、図2に示すよ
うな構造のものが例としてあげられる。この冷却装置2
4が上述の図14に示す従来の冷却装置4と違うところ
は、冷却ガスの導入口23、23・・・が複数あり、排
出口12が設けられていないところである。冷却ガスの
導入口23、23・・・は、冷却装置24の冷却筒24
aの上部、中央部、下部のいずれに設けてもよく、これ
らのを任意に選択して用いることができる。これらの導
入口23、23・・・は、全て冷却ガスの導入に用いら
れるものであり、排出には用いられない。よって、使用
されない導入口23は閉じられ、冷却ガスの排出口とは
ならない。図2に示したものは導入口23を3箇所設け
たものであるが、これに限定されるものではない。
【0033】冷却装置24の冷却筒24aの内径および
長さは、冷却効率や対象とする紡糸線速によって選択さ
れる。冷却筒24aの内径は、一般に冷却筒24aの内
径が細ければ冷却効率は向上するが作業性は低下し、逆
に太ければ冷却効率は低下するが作業効率は向上する。
これらを考慮して、冷却筒24aの内径はφ5〜25m
mが適当とされる。また、冷却筒24aの長さは、一般
に長ければ冷却効率は向上するが光ファイバ裸線のパス
ラインの中心に冷却筒24aを設置すること(位置合わ
せ)が困難になる。逆に、冷却筒24aの長さが短くな
ると冷却効率は低下するが位置合わせは用意となる。こ
れらを考慮して、冷却筒24aの長さは0.3〜1.5
mが適当とされる。一般に、高線速時の冷却筒24aは
複数が連結管等で連結されて用いられる。この連結数
は、対象とする紡糸線速により任意に変えることができ
る。
【0034】また、光ファイバ素線9の製造装置は、光
ファイバ裸線3のコート径と光ファイバ裸線3の紡糸線
速に応じて冷却ガスの流量を調整し、光ファイバ裸線3
の入線温度を安定領域の温度範囲内に制御する制御手段
を有する。この制御手段は、上記導入口23、23・・
・にそれぞれ連接され冷却ガスの流量を調整する流量調
節装置22、22・・・と、これらの流量調節装置2
2、22・・・に接続するとともに、外径測定装置20
と巻取り装置10内に設けられた図示しない紡糸線速測
定器に接続する制御装置21より構成される。
【0035】上記流量調節装置22は、制御装置21か
らの信号により冷却ガスの流量を調整し、導入口23、
23・・・から冷却筒24a内に冷却ガスを導入する。
これらの流量調節装置22としては、市販の流量計や、
MFM(マスフロメーター)等が用いられる。また、可
変流量の冷却ガスの流量調節装置22としては、MFC
(マスフロコントローラ)等が用いられる。
【0036】上記制御装置21には、外径測定装置20
より測定された光ファイバ裸線3のコート径が常にフィ
ードバックされる。また、紡糸線速測定器において測定
された光ファイバ裸線3の紡糸線速が常にフィードバッ
クされる。これらのフィードバックされた信号により、
制御装置21においては、その条件下において、光ファ
イバ裸線3の入線温度が安定領域内となるように、つま
り光ファイバ裸線3のコート径が一定となるように冷却
ガスの流量条件が設定され、この信号は流量調節装置2
2、22・・・に送られる。前記流量条件は、予め制御
装置21に入力されている。例えば、外径測定装置20
により送られてきた光ファイバ裸線3のコート径は、予
め設定されたコート径の中心値とのズレ値が0となるよ
うに、中心線速での冷却ガスの流量条件が設定される。
このとき、制御装置21と流量調節装置22が一体化さ
れていても構わない。
【0037】また、冷却装置24としては、可変流量の
冷却ガスの導入口23と、固定流量の冷却ガスの導入口
23とが別に設けられ、可変流量の冷却ガスの導入口2
3が固定流量の冷却ガスの導入口23よりも下方に設け
られていることが好ましい。これは、上述の光ファイバ
素線9の製造方法での説明にあるように、冷却ガスは可
変流量のものと固定流量のものとに分けて導入し、その
熱伝達率を可変流量のものの方が固定流量のものよりも
低くなるようにして、可変流量の冷却ガスを固定流量の
冷却ガスよりも下方から導入した方が冷却装置24の冷
却効率を向上させることができるためである。
【0038】また、このように、熱伝達率の高いつまり
冷却能力の高い固定流量の冷却ガスを冷却装置24の上
方に導入するものであれば、冷却装置24内の冷却筒2
4aのスパンを短くすることができる。よって、光ファ
イバ裸線3の中心線速を同一とするならば、固定流量の
冷却ガスの導入口23を下方にするものよりも、冷却装
置の上方にしたもののほうが冷却装置24をコンパクト
に設計できる。また、冷却筒24aのスパンを同一とす
るならば、固定流量の冷却ガスの導入口を冷却装置の下
方にしたものよりも、冷却装置の上方にしたもののほう
が紡糸線速を高速化することができる。つまり、いずれ
にせよ冷却装置24の冷却効率を高めることができる。
【0039】上述の冷却装置24は、おもに、光ファイ
バ裸線3のプライマリ被覆層形成前の冷却に用いられる
が、この冷却装置24を用いてセカンダリ被覆層形成の
コート径制御も行ってよい。この場合は、プライマリ被
覆層の硬化装置6と、セカンダリ被覆層を形成する樹脂
塗布装置7との間に、上述の流量調節装置22を備えた
冷却装置24と同様のものを設置し、プライマリ被覆層
のコート径制御と同様にして冷却ガスの流量制御を行
う。
【0040】また、冷却装置24と樹脂塗布装置5との
間に、温度センサを設置し、光ファイバ裸線3の入線温
度を測定して、適切な入線温度に制御されているかを確
認する手段を設けても構わない。
【0041】光ファイバ裸線3の被覆層形成時に使用さ
れる樹脂塗布装置5、7としては、通常用いられるもの
を用い特に限定されるものではない。硬化装置6、8に
ついても同様である。
【0042】このように光ファイバ素線9の製造装置に
よれば、冷却装置24を用いたものであるので、光ファ
イバ裸線3の入線温度を適切に変動させることができ、
光ファイバ裸線3に安定したコート径を与えることがで
きる。また、冷却装置24には冷却ガスの排出口がな
く、少なくとも2カ所以上の冷却ガスの導入口23、2
3・・・を有するものを用いているので、特に高線速時
にエアーの巻き込みによる光ファイバ裸線3の入線温度
の変動がない。さらに、固定流量の冷却ガスの熱伝達率
が可変流量の冷却ガスの熱伝達率よりも高く、可変流量
の冷却ガスの導入口23が上記固定流量の冷却ガスの導
入口23よりも下方に位置するようになっているので、
冷却装置24の冷却効率を高めることができ、低コスト
化を計ることができる。
【0043】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いて説明する。 〈低線速時における光ファイバ素線の製造〉 (実施例1)本発明の光ファイバ素線9の製造方法によ
って、シングルモード光ファイバ素線(SM光ファイバ
素線)を製造した。まず、紡糸炉2より光ファイバ母材
1から、外径φ125μm、MFD(モードフィールド
径)が9.2μm、λc(カットオフ波長)が1.2μ
mの光ファイバ裸線3を溶融紡糸した。ついで、この光
ファイバ裸線3を冷却装置24にて冷却した。この冷却
装置24としては、図2に示す構造のもので、冷却筒2
4aが内径φ16mm、外径φ45mm、長さが80c
mである一筒式のものを用いた。冷却ガスとしては、ヘ
リウム(He)3.0l/min、窒素(N2)1.2l
/minを固定流量として中央部の導入口23より導入
し、窒素(N2)を可変流量として下部の導入口23よ
り導入した。この可変流量の窒素の流量は、制御装置2
1に接続された流量調節装置22によって調整した。こ
のときの中心線速は、50m/minの低線速で、その
中心線速時の可変流量の窒素の流量を1.0l/min
とした。ついで冷却した光ファイバ裸線3に、ウレタン
=アクリレート系紫外線硬化型樹脂を塗布し硬化してプ
ライマリ被覆層を、次に同様にしてセカンダリ被覆層を
形成し、プライマリ径190μm、セカンダリ径250
μmの実施例1の光ファイバ素線9を製造した。
【0044】(比較例1)冷却装置24における冷却ガ
スの流入方法を下記のように変えた以外は、実施例1と
同様にして比較例1の光ファイバ素線を製造した。冷却
ガスとしてHeとN2を混合して用い、中心線速時の流
量がHe=2.5l/min、N2=2.5l/min
とし、その流量を総流量は一定にして、紡糸線速の変動
に応じてそれぞれ0〜5l/minの範囲で変化させ、
中央部の導入口23から導入した。(混合比一定方式)
【0045】(比較例2)冷却装置24における冷却ガ
スの流入方法を下記のように変えた以外は、実施例1と
同様にして比較例2の光ファイバ素線を製造した。冷却
ガスとしてHeとN2を用い、その流量がHe=5.0
l/min、N2=2.8l/minとなるように固定
し、冷却筒24a中央部の導入口23から導入した。
(一定流量方式)
【0046】〈中線速時における光ファイバ素線の製
造〉 (実施例2)冷却装置24における冷却条件を下記のよ
うに変え、中心線速を400m/min(中線速)にし
た以外は、実施例1と同様にして実施例2の光ファイバ
素線を製造した。冷却装置24として、実施例1に用い
た構造の冷却筒24aを3筒連結させた3筒連結方式の
ものを用いた。(以下、冷却筒24aを複数用いる場合
には、その冷却筒24aを紡糸炉2に近い順に、1筒
目、2筒目・・・と呼ぶこととする。)また、冷却ガス
としては、ヘリウム(He)5.0l/min、窒素
(N2)1.2l/minを固定流量として1筒目の中央
部の導入口23より導入し、N2を可変流量として2筒
目の上部の導入口23より導入した。このときの中心線
速時の可変流量の窒素の流量を1.0l/minとし
た。
【0047】(比較例3)冷却装置24における冷却ガ
スの流入方法を下記のように変えた以外は、実施例1と
同様にして比較例3の光ファイバ素線を製造した。冷却
ガスとしてHeとN2を混合して用い、中心線速時の流
量がHe=5.0l/min、N2=5.0l/min
とし、その流量を総流量は一定にして、紡糸線速の変動
に応じてそれぞれ0〜10l/minの範囲で変化さ
せ、1筒目の中央部の導入口23から導入した。(混合
比一定方式)
【0048】(比較例4)冷却装置24における冷却ガ
スの流入方法を下記のように変えた以外は、実施例1と
同様にして比較例4の光ファイバ素線を製造した。冷却
ガスとしてHeとN2を用い、その流量がHe=10.
0l/min、N2=1.8l/minとなるように固
定して、1筒目の中央部の導入口23から導入した。
(一定流量方式)
【0049】〈高線速時における光ファイバ素線の製
造〉 (実施例3)冷却装置24における冷却装置24におけ
る冷却条件を下記のように変え、中心線速を1400m
/min(高線速)にした以外は、実施例1と同様にし
て実施例3の光ファイバ素線を製造した。冷却装置24
として、内径φ12mm、外径φ55mm、長さが90
cmである冷却筒24aを5筒連結した5筒連結方式の
ものを用い、冷却ガスとしては、ヘリウム(He)7.
0l/min、窒素(N2)2.4l/minを固定流量
として1筒目の中央部の導入口23より導入し、窒素
(N2)を可変流量として2筒目の上部の導入口23よ
り導入した。このときの中心線速時の可変流量の窒素の
流量を1.8l/minとした。
【0050】(比較例5)冷却装置24における冷却ガ
スの流入方法を下記のように変えた以外は、実施例1と
同様にして比較例5の光ファイバ素線を製造した。冷却
ガスとしてHeとN2を混合して用い、中心線速時の流
量がHe=10.0l/min、N2=10.0l/m
inとし、その流量を総流量は一定にして、紡糸線速の
変動に応じてそれぞれ0〜20l/minの範囲で変化
させ、1筒目の中央部の導入口23から導入した。(混
合比一定方式)
【0051】(比較例6)冷却装置24における冷却ガ
スの流入方法を下記のように変えた以外は、実施例1と
同様にして比較例6の光ファイバ素線を製造した。冷却
ガスとしてHeとN2を用い、その流量がHe=15.
0l/min、N2=9.3l/minとなるように固
定して、1筒目の中央部の導入口23より導入した。
(一定流量方式)
【0052】光ファイバ裸線3の紡糸線速におけるコー
ト径(プライマリ径)を測定し、低線速時の実施例1、
比較例1、2の結果を図7に、中線速時の実施例2と比
較例3、4の結果を図8に、高線速時の実施例3と比較
例5、6の結果を図9にそれぞれ示した。
【0053】これらの結果から、実施例1〜3において
は、どの線速時においても、光ファイバ裸線3のコート
径は安定しており、一定に維持されていることがわか
る。これに対して、混合比可変式の比較例1、3、5に
おいては、低線速時には、光ファイバ裸線3のコート径
は、安定に保たれているものの、線速が早くなるにした
がってコート径の乱れが生じているのがわかる。特に、
高線速時には、泡の混入やコート径のバラツキが生じて
しまっている。また、一定流量方式の比較例2、4、6
においては、線速が上がるにしたがってコート径が変動
してしまっていることがわかる。
【0054】(実施例4)冷却装置24における冷却装
置24における冷却ガスの条件を下記のように変え、中
心線速を1300m/min(高線速)にした以外は、
実施例3と同様にして実施例4の光ファイバ素線を製造
した。冷却ガスとしては、ヘリウム(He)6.7l/
min、窒素(N2)1.9l/minを固定流量として
1筒目の中央部の導入口23より導入し、窒素(N2
を可変流量として2筒目の上部の導入口23より導入し
た。このときの中心線速時の可変流量の窒素の流量を
1.8l/minとした。このとき、使用していない導
入口23は全て閉鎖した。(排出口なし)
【0055】(比較例7)冷却装置24の1筒目の上
部、1筒目の下部、2筒目の中央部、2筒目の下部の導
入口23を開口し、冷却ガスの排出口とした以外は、実
施例4と同様にして比較例7の光ファイバ素線を製造し
た。(排出口あり)
【0056】(比較例8)冷却装置24における冷却ガ
スの流入方法を下記のように変えた以外は、実施例4と
同様にして比較例8の光ファイバ素線を製造した。2筒
目の上部の導入管23に導入される冷却ガスとして、実
施例4のN2に変えて熱伝達率の比較的高いHeを用い
た。中心線束時はHe=5.0l/minとなるように
した。(可変流量として熱伝達率の高いものを用いた場
合)
【0057】実施例4、比較例7、8において光ファイ
バ裸線の紡糸線速の変化における光ファイバ裸線3のコ
ート径(プライマリ径)を測定し、それぞれ図10、1
1、12に結果を示した。この結果から、実施例4にお
いては、紡糸線速変動しても、光ファイバ裸線のコート
径は安定した値を保っていることがわかる。これに対し
て、比較例7、8においては、光ファイバ裸線のコート
径に乱れが生じていることがわかる。この理由として、
比較例7においては、冷却筒24aに排出口があるた
め、エアーの巻き込みが発生し、その巻き込み量が常時
変動することから光ファイバ裸線3の入線温度が安定し
なかったと考えられる。また、比較例8においては、可
変流量として用いた冷却ガスの熱伝達率が高かったた
め、冷却筒24a内の冷却条件の微調節がきかずに定ま
らなかったため、光ファイバ裸線の入線温度をうまく調
整することができなかったと考えられる。
【0058】上述の実施例1〜4および比較例1〜8よ
り、実施例の光ファイバ素線の製造方法においては、ど
のような光ファイバ裸線の紡糸線速においても安定した
光フコート径を得ることができることがわかる。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように本発明の光ファイバ
素線の製造方法においては、光ファイバ母材から溶融紡
糸された光ファイバ裸線を冷却装置にて冷却し、ついで
この光ファイバ裸線上に樹脂を塗布し、硬化して順次プ
ライマリ被覆層、セカンダリ被覆層を形成する光ファイ
バ素線の製造方法において、熱伝達率の異なる少なくと
も2種以上の冷却ガスを、流量を固定したものと、流量
を可変としたものとに分けて上記冷却装置に導入するも
のであるので、光ファイバ裸線の入線温度を調整するこ
とができ、光ファイバ裸線に安定したコート径を与える
ことができる。
【0060】また、本発明は上記冷却ガスの可変流量
と、冷却後の光ファイバ裸線の温度を、光ファイバ裸線
のコート径と光ファイバ裸線の紡糸線速に応じて調整す
るものであるので、光ファイバ裸線の紡糸線速が変動し
た場合にも、光ファイバ裸線に安定しコート径を与える
ことができる。また、本発明は冷却後の光ファイバ裸線
の温度を、光ファイバ裸線の安定領域内の温度に制御す
るものであるので、特に高線速時においても、光ファイ
バ裸線の被覆層への泡の混入や、コート径のばらつきが
生じることがなく、光ファイバ裸線に安定したコート径
を与えることができる。
【0061】また、本発明は可変流量の冷却ガスの熱伝
達率が固定流量の冷却ガスの熱伝達率よりも低くなるよ
うにし、また可変流量の冷却ガスと固定流量の冷却ガス
とを上記冷却装置に別々に導入し、このときの可変流量
の冷却ガスの導入位置を固定流量の冷却ガスの導入位置
よりも下方にするものであるので、冷却装置の冷却効率
を向上させることができ、光ファイバ裸線の入線温度の
微調整が容易にできるものであるので、光ファイバ裸線
に安定したコート径を与えることができる。また、混合
比可変方式に比べ、高線速時の冷却ガスの絶対量が少な
くてすむことから、光ファイバ裸線の線ブレを低減する
ことができる。
【0062】本発明の光ファイバ素線の製造装置は、光
ファイバ母材から光ファイバ裸線を溶融紡糸する紡糸炉
と、溶融紡糸された光ファイバ裸線を冷却する冷却装置
と、冷却された光ファイバ裸線に被覆層となる樹脂を塗
布する樹脂塗布装置と、この樹脂を硬化する硬化装置と
からなり、前記冷却装置が光ファイバ裸線を挿通すると
ともに冷却ガスを流入する冷却筒を有し、該冷却筒に
は、冷却ガスの排出口は設けられず、冷却ガスの導入口
が少なくとも2つ以上設けられており、これらの導入口
には冷却ガスの流量を調整する流量調節装置がそれぞれ
連接されているものであるので、光ファイバ素線を製造
する際には、冷却ガスの導入が容易であり、エアーの巻
き込みが低減されるので、光ファイバ裸線の入線温度は
容易に調整が可能であり安定する。よって、光ファイバ
裸線に安定したコート径を与えることができる。
【0063】また、本発明の光ファイバ素線の製造装置
は、光ファイバ裸線のコート径と光ファイバ裸線の紡糸
線速に応じて冷却ガスの流量を調整し、光ファイバ裸線
の入線温度を安定領域内の温度に制御する制御手段を有
するものであるので、この製造装置を光ファイバ素線の
製造に用いた場合、紡糸線速に応じて光ファイバ裸線の
入線温度を自在に調整することができ、光ファイバ裸線
に安定したコート径を与えることができる。
【0064】また、本発明の光ファイバ素線の製造装置
における冷却装置は、可変流量の冷却ガスの導入口と、
固定流量の冷却ガスの導入口とが別に設けられ、可変流
量の冷却ガスの導入口が固定流量の冷却ガスの導入口よ
りも下方に設けられているので、冷却効率が高く、光フ
ァイバ裸線の入線温度を容易に微調整することができ、
光ファイバ素線に安定したコート径を与えることができ
る。
【0065】上述のように本発明によれば、光ファイバ
裸線に安定したコート径を与えることができるので、側
圧特性にばらつきのない良好な光ファイバ素線を得るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の光ファイバ素線の製造工程の一例を
示す概略構成図である。
【図2】 本発明に用いられる冷却装置の一例を示した
概略断面図である。
【図3】 光ファイバ裸線の紡糸線速と入線温度との関
係を示したグラフである。
【図4】 光ファイバ裸線の紡糸線速とコート径との関
係を示したグラフである。
【図5】 光ファイバ裸線の紡糸線速と入線温度との関
係を示したグラフである。
【図6】 光ファイバ裸線の紡糸線速と入線温度との関
係を示したグラフである。
【図7】 実施例1、比較例1、2における光ファイバ
裸線の紡糸線速とコート径との関係を示したグラフであ
る。
【図8】 実施例2、比較例3、4における光ファイバ
裸線の紡糸線速とコート径との関係を示したグラフであ
る。
【図9】 実施例3、比較例5、6における光ファイバ
裸線の紡糸線速とコート径との関係を示したグラフであ
る。
【図10】 実施例4における光ファイバ裸線の紡糸線
速とコート径との関係を示したグラフである。
【図11】 比較例7における光ファイバ裸線の紡糸線
速とコート径との関係を示したグラフである。
【図12】 比較例8における光ファイバ裸線の紡糸線
速とコート径との関係を示したグラフである。
【図13】 従来の光ファイバ素線の製造工程の一例を
示した概略構成図である。
【図14】 従来の光ファイバ素線の製造に用いられる
冷却装置の一例を示した概略断面図である。
【符号の説明】
1…光ファイバ母材、 2…紡糸炉、 3…光ファイバ
裸線、5、7…樹脂塗布装置、 6、8…硬化装置、9
…光ファイバ素線、10…巻取り装置、24…冷却装
置、 24a…冷却筒、 24b…循環水筒 20…外径測定装置、 21…制御装置、 22…流量
調節装置 23…導入口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−153541(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C03B 37/027 C03B 37/12

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光ファイバ母材から溶融紡糸された光フ
    ァイバ裸線を冷却装置にて冷却し、ついでこの光ファイ
    バ裸線上に樹脂を塗布し、硬化して順次プライマリ被覆
    層、セカンダリ被覆層を形成する光ファイバ素線の製造
    方法において、 熱伝達率の異なる少なくとも2種以上の冷却ガスを、
    量を固定したものと、流量を可変としたものとに分けて
    上記冷却装置に導入することを特徴とする光ファイバ素
    線の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記冷却ガスの可変流量と、冷却後の光
    ファイバ裸線の温度を、樹脂塗布後の光ファイバ裸線の
    外径と光ファイバ裸線の紡糸線速に応じて調整すること
    を特徴とする請求項1記載の光ファイバ素線の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 冷却後の光ファイバ裸線の温度を、樹脂
    塗布後の光ファイバ裸線に安定した外径を与える温度領
    域内に制御することを特徴とする請求項1または2のい
    ずれかに記載の光ファイバ素線の製造方法。
  4. 【請求項4】 可変流量の冷却ガスの熱伝達率が固定流
    量の冷却ガスの熱伝達率よりも低くなるようにし、また
    可変流量の冷却ガスと固定流量の冷却ガスとを上記冷却
    装置に別々に導入し、このときの可変流量の冷却ガスの
    導入位置を固定流量の冷却ガスの導入位置よりも下方に
    することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記
    載の光ファイバ素線の製造方法。
  5. 【請求項5】 光ファイバ母材から光ファイバ裸線を溶
    融紡糸する紡糸炉と、溶融紡糸された光ファイバ裸線を
    冷却する冷却装置と、冷却された光ファイバ裸線に被覆
    層となる樹脂を塗布する樹脂塗布装置と、この樹脂を硬
    化する硬化装置とからなる光ファイバ素線の製造装置に
    おいて、 上記冷却装置が光ファイバ裸線を挿通するとともに冷却
    ガスを流入する冷却筒を有し、該冷却筒には、冷却ガス
    の排出口は設けられず、冷却ガスの導入口が少なくとも
    2つ以上設けられており、これらの導入口には冷却ガス
    の流量を調整する流量調節装置がそれぞれ連接されてい
    ることを特徴とする光ファイバ素線の製造装置。
  6. 【請求項6】 樹脂塗布後の光ファイバ裸線の外径と光
    ファイバ裸線の紡糸線速とに応じて冷却ガスの流量を調
    整し、冷却後の光ファイバ裸線の温度を、樹脂塗布後の
    光ファイバ裸線に安定した外径を与える温度領域内に制
    御する制御手段を有することを特徴とする請求項5記載
    の光ファイバ素線の製造装置。
  7. 【請求項7】 可変流量の冷却ガスの導入口と、固定流
    量の冷却ガスの導入口とが別に設けられ、可変流量の冷
    却ガスの導入口が固定流量の冷却ガスの導入口よりも下
    方に設けられていることを特徴とする請求項5または6
    のいずれかに記載の光ファイバ素線の製造装置。
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