JP5728257B2 - ビトリファイド砥石の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、砥粒を、ガラス質部材からなる結合剤により結合してなるビトリファイド砥石の製造方法に関する。
研削砥石は、砥粒を結合剤で保持結合し、気孔を内包する構造の砥石であり、結合剤にビトリファイド・ボンドを使用する物が、ビトリファイド砥石と呼ばれる。気孔は切粉排出のために必須である。
ビトリファイド砥石の製造技術が各種提案されている(例えば、特許文献1(図2)参照。)。
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図8は従来のビトリファイド砥石の製造フロー図であり、砥粒にビトリファイド結合剤と成形助剤と気孔形成剤とを混ぜ、撹拌し(P1)、成形し(P2)、乾燥し(P3)、焼成し(P4)、仕上げる(P5)。そして、検査を経て(P6)、ビトリファイド砥石を得る。
切粉排出のために必要な気孔を増加しようとして、気孔形成剤を増量するとビトリファイド結合剤の結合力が低下し、砥石の寿命に影響が出る。
気孔形成剤を少なくすると強度は高まるが、気孔率が低下し、切粉の排出に影響が出る。
そこで、気孔率を向上しながら砥粒周りの結合性を高めることができるビトリファイド砥石の製造方法が求められる。
特開2007−152484公報
本発明は、気孔率を向上しながら砥粒周りの結合性を高めることができるビトリファイド砥石の製造方法を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明は、砥粒を、ガラス質部材からなる結合剤により結合してなるビトリファイド砥石の製造方法において、
前記結合剤として、前記砥粒よりも平均径が小さな第1ガラス質部材と、前記砥粒よりも平均径が同じ若しくは大きな第2ガラス質部材とを用いると共に、
前記砥粒に接着剤を塗布する工程と、前記接着剤を介して前記砥粒の周りに前記第1ガラス質部材を接着する工程と、前記第1ガラス質部材が付着された砥粒と前記第2ガラス質部材を混合する工程を含むことを特徴とする。
請求項に係る発明は、請求項1記載のビトリファイド砥石の製造方法において、炉内を窒素ガス雰囲気に保ちながら窒化処理と焼成とを同時に行う工程を含むことを特徴とする。
請求項1に係る発明では、小径の第1ガラス質部材が先に融解し砥粒を包み込み接着面積を確保する。大径の第2ガラス質部材は隙間を確保しながら融解し結合作用を発揮する。
したがって、本発明によれば、気孔率を向上しながら砥粒周りの結合性を高めることができるビトリファイド砥石が製造される。
加えて、請求項に係る発明では、接着剤で第1ガラス質部材を砥粒に接着するようにした。第1ガラス質部材を均一にむら無く砥粒の周りに接着することができる。
請求項に係る発明では、ビトリファイド砥石の製造方法において、窒化処理と焼成とを同時に行う。
第1・第2ガラス質部材に含まれる窒化されやすい成分、例えばSiが、窒素と反応し、窒化物(例えば、Si)となる。窒化物は強度向上に寄与するため、砥石の寿命が延びる。
本発明に係る準備工程を説明する図である。 接着剤塗布工程を説明する図である。 第1ガラス質部材が付着された砥粒の模式図である。 混合物の断面模式図である。 圧粉成形体の断面模式図である。 ビトリファイド砥石の断面模式図である。 ビトリファイド砥石の製造フロー図である。 従来のビトリファイド砥石の製造フロー図である。
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、砥粒11と第1ガラス質部材12と第2ガラス質部材13とを準備する。
砥粒11は、例えば、平均径D1が170μmである。
第1ガラス質部材12は、例えば、平均径D2が10〜20μmの硼珪酸ガラスである。
第2ガラス質部材13は、例えば、平均径D3が170〜180μmの硼珪酸ガラスである。
したがって、本発明では、結合剤として、砥粒11よりも平均径が小さな第1ガラス質部材12と、砥粒11よりも平均径が同じ若しくは大きな第2ガラス質部材13とを用いる。
出来上がった砥石において、砥粒11が36〜47体積%、第1・第2ガラス質部材12、13の合計が25〜35体積%、残部が気孔となるように、材料を準備する。
次に、図2に示すように、砥粒11に接着剤14を塗布する。塗布方法は任意であるが、塗布膜厚が均一であることが望まれる。
次に、図3に示すように、砥粒11の周りに第1ガラス質部材12を、原則として1層だけ接合する。そうなるように、接着剤14の膜厚及び種類が決められる。
第1ガラス質部材12が付着された砥粒15と、図1で準備した第2ガラス質部材13とを混合する。
図4に示すような混合物16を得ることができる。
この混合物16を圧粉プレスにて圧縮し、圧粉成形体を得る。
図5に示すように、圧粉成形体17は、第1ガラス質部材12に第2ガラス質部材13が接し、第2ガラス質部材13同士が密着するが、第1ガラス質部材12と第2ガラス質部材13の間に、粒径差に起因して、隙間18が残る。
圧粉成形体17を気密構造の焼成炉に入れる。焼成炉内を真空引きし、次に窒素ガスを吹き込み、窒素ガス雰囲気を維持しつつ、焼成温度まで加熱する。すると、小径の第1ガラス質部材12が先に、融解し、砥粒11と第2ガラス質部材13とを接合する。第2ガラス質部材13は、隙間18を残しつつ、融解し、砥粒11同士の結合作用を発揮する。
結果、図6に示すような内部構造のビトリファイド砥石20を得ることができる。
このビトリファイド砥石20は、十分に大きな多数の気孔21を有し、溶融第1ガラス質部材と溶融第2ガラス質部材からなる溶融結合剤22で強固に結合されている。
ビトリファイド砥石20は、気孔率を向上しながら砥粒周りの結合性を高めることができる砥石である。
窒素ガス雰囲気で焼成したことにより、第1・第2ガラス質部材に含まれる窒化されやすい成分、例えばSiが、窒素と反応し、窒化物(例えば、Si)となる。窒化物は強度向上に寄与するため、砥石の寿命が延びる。
また、気孔21は非酸化性ガスである窒素ガスで満たされている。
仮に、気孔21に空気が満たされていると、この空気に含まれる酸素と溶融結合剤22に含まれる物質とが結びつき脆い酸化物を生成することが考えられる。
本実施例によれば、気孔21は非酸化性ガスである窒素ガスで満たされているため酸化の心配がない。
以上に述べたビトリファイド砥石の製造方法を、フロー図に基づいて再度説明する。
図7に示すように、砥粒と第1ガラス質部材と第2ガラス質部材とを準備する(ST01)。砥粒に接着剤を塗布し(ST02)、そこへ第1ガラス質部材をまぶす。これで、砥粒の周りに第1ガラス質部材を接合させることができる(ST03)。第1ガラス質部材が付着された砥粒と第2ガラス質部材とを十分に混合し(ST04)、次に圧粉成形体を得る(ST05)。圧粉成形体を窒素ガス雰囲気で焼成することにより、ビトリファイド砥石を得る(ST06)。
尚、実施例では、ビトリファイド結合剤を硼珪酸ガラスとしたが、ビトリファイド結合剤はセラミックス粉でもよく、種類は問わない。
本発明は、砥粒をガラス質部材で結合してなるビトリファイド砥石に好適である。
11…砥粒、12…第1ガラス質部材、13…第2ガラス質部材、14…接着剤、15…第1ガラス質部材が付着された砥粒、20…ビトリファイド砥石、21…気孔、D1…砥粒の平均径、D2…第1ガラス質部材の平均径、D3…第2ガラス質部材の平均径。

Claims (2)

  1. 砥粒を、ガラス質部材からなる結合剤により結合してなるビトリファイド砥石の製造方法において、
    前記結合剤として、前記砥粒よりも平均径が小さな第1ガラス質部材と、前記砥粒よりも平均径が同じ若しくは大きな第2ガラス質部材とを用いると共に、
    前記砥粒に接着剤を塗布する工程と、前記接着剤を介して前記砥粒の周りに前記第1ガラス質部材を接着する工程と、前記第1ガラス質部材が付着された砥粒と前記第2ガラス質部材を混合する工程を含むことを特徴とするビトリファイド砥石の製造方法。
  2. 請求項1記載のビトリファイド砥石の製造方法において、
    炉内を窒素ガス雰囲気に保ちながら窒化処理と焼成とを同時に行う工程を含むことを特徴とするビトリファイド砥石の製造方法。
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