以下に、本願に係る広告システムおよび広告効果判定方法の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る広告システムおよび広告効果判定方法が限定されるものではない。また、以下においては、データベースをDBと表記する。
〔1.第1の実施形態〕
〔1.1. 広告システム〕
図1Aは、第1の実施形態に係る広告システムの構成を示す図である。図1Aに示すように、第1の実施形態に係る広告システム1は、無線LAN(Local Area Network)アクセスポイント31、32と、デジタルサイネージ4と、広告配信管理装置5とを備える。
無線LANアクセスポイント31、32および広告配信管理装置5は、通信ネットワーク7を介して相互に通信可能に接続される。通信ネットワーク7は、例えば、インターネットなどのWAN(Wide Area Network)である。また、デジタルサイネージ4は無線LANアクセスポイント31を介して通信ネットワーク7に接続される。
無線LANアクセスポイント31、32は、例えば、商業や医業などのサービスを提供する商業空間を無線LAN通信エリア61、62(以下、AP通信エリア61、62と記載する)とする。商業空間としては、例えば、小売店、飲食店、美容院・理容院、病院、ホテル、複合レジャー施設などの店舗の他、コンサートやスポーツなどが行われるイベント会場などがある。ここでは、無線LANアクセスポイント31、32は、小売店や飲食店などの店舗に設置されているものとして説明する。
デジタルサイネージ4は、無線LANアクセスポイント31のAP通信エリア61内に配置され、広告コンテンツを表示する。デジタルサイネージ4に表示される広告コンテンツは、無線LANアクセスポイント32の設置場所に対応する広告コンテンツである。これにより、無線LANアクセスポイント31の設置店舗を送客側店舗とし、無線LANアクセスポイント32の設置店舗を集客側店舗とする広告サービスを提供することができる。
広告配信管理装置5は、集客側店舗の端末装置8から送信される広告コンテンツを無線LANアクセスポイント32および通信ネットワーク7経由で取得し、取得した広告コンテンツを通信ネットワーク7および無線LANアクセスポイント31を介してデジタルサイネージ4へ送信する。
広告配信管理装置5は、無線LANアクセスポイント31、32から送信される無線端末2の情報を取得し、取得した情報に基づいてデジタルサイネージ4に表示させた広告コンテンツによる広告効果を判定する。以下、図1Bを参照して、第1の実施形態に係る広告システム1による広告効果判定方法の一例について説明する。図1Bは、第1の実施形態に係る広告効果判定方法の説明図である。
図1Bに示すように、広告配信管理装置5は、送客側店舗に設置された無線LANアクセスポイント31のAP通信エリア61内に配置されたデジタルサイネージ4へ広告コンテンツを送信する(ステップS1)。デジタルサイネージ4へ送信される広告コンテンツは、無線LANアクセスポイント32が設置された集客側店舗に関する広告を含む情報である。
デジタルサイネージ4は、広告配信管理装置5から広告コンテンツを取得すると、かかる広告コンテンツを表示する(ステップS2)。無線LANアクセスポイント31は、デジタルサイネージ4に広告コンテンツが表示されている状態で、AP通信エリア61に進入した無線端末2から無線信号を取得すると(ステップS3)、無線端末2の情報を含む検出情報を広告配信管理装置5へ送信する(ステップS4)。
広告配信管理装置5は、無線LANアクセスポイント31から検出情報を受信すると、広告コンテンツに関連付けて検出情報を記憶する(ステップS5)。これにより、デジタルサイネージ4に表示された広告コンテンツを視認した可能性のあるユーザの無線端末2と広告コンテンツを関連付けることができる。
その後、無線端末2のユーザが集客側店舗へ移動してAP通信エリア62に進入すると、無線LANアクセスポイント32は、無線端末2から無線信号を取得し(ステップS6)、無線端末2の情報を含む検出情報を広告配信管理装置5へ送信する(ステップS7)。
広告配信管理装置5は、無線LANアクセスポイント32から検出情報を受信すると、無線端末2のユーザが広告コンテンツによって集客側店舗へ誘導されたと判定し、広告コンテンツによる送客結果の情報を更新する(ステップS8)。例えば、広告配信管理装置5は、広告コンテンツによって集客側店舗へ誘導されたと判定する度に広告コンテンツに対応する送客カウント値をインクリメントする。これにより、広告コンテンツによって集客側店舗へ誘導された無線端末2のユーザの数を把握することができる。
広告配信管理装置5は、デジタルサイネージ4への広告コンテンツの表示が終了すると、広告コンテンツの広告料を決定する(ステップS9)。広告料は、デジタルサイネージ4への広告コンテンツの表示に対する対価であり、集客側店舗側が広告システム1のサービス運営者(以下、広告サービス運営者と記載する)側へ広告料を支払う。広告サービス運営者は、集客側店舗側から広告料を取得すると、送客側店舗に対して、アフィリエイト(affiliate)料として広告料の一部(例えば、広告料に対して一定割合の金額)を支払う。
このように、第1の実施形態に係る広告システム1は、送客側店舗に設置された無線LANアクセスポイント31のAP通信エリア61に進入した後、集客側店舗に設置された無線LANアクセスポイント32のAP通信エリア62に進入した無線端末2を検出した場合に、広告コンテンツによる送客結果の情報を更新する。そのため、デジタルサイネージ4によって表示させた広告コンテンツの広告効果を迅速かつ適切に判定することができる。
なお、広告配信管理装置5は、AP通信エリア61のうちデジタルサイネージ4を視認する可能性が高いデジタルサイネージ4前方の所定範囲にある場合に、無線端末2と広告コンテンツを関連付けるようにしてもよい。このようにすることで広告コンテンツの広告効果をより精度よく判定することができる。広告配信管理装置5は、デジタルサイネージ4前方の所定範囲に無線端末2が進入したか否かを、無線LANアクセスポイント31が検出する無線端末2の無線信号の電波強度により判断することができる。
以下、上述した広告システムについて、具体的構成および具体的処理の内容について図面を参照して説明する。
〔1.2.広告システム1の具体例〕
図2を用いて、第1の実施形態に係る広告システム1の具体例について説明する。図2は、第1の実施形態に係る広告システム1の具体的構成の一例を示す図である。
図2に示すように、広告システム1は、無線LANアクセスポイント31〜3m(以下、無線LANアクセスポイント3と総称する場合がある)と、デジタルサイネージ41〜4m(以下、デジタルサイネージ4と総称する場合がある)と、広告配信管理装置5とを有する。無線LANアクセスポイント3および広告配信管理装置5は、通信ネットワーク7を介して相互に通信可能に接続される。通信ネットワーク7は、例えば、インターネットなどのWAN(Wide Area Network)であり、例えば、ウェブサーバ9なども接続される。
無線LANアクセスポイント3は、デジタルサイネージ4の設置場所に対応して設けられる。図2に示す例では、例えば、無線LANアクセスポイント31は、デジタルサイネージ41の設置場所に対応して設けられ、無線LANアクセスポイント31のAP通信エリア61にデジタルサイネージ41が含まれる。また、無線LANアクセスポイント3mは、デジタルサイネージ4mの設置場所に対応して設けられ、無線LANアクセスポイント3mのAP通信エリア6mにデジタルサイネージ4mが含まれる。なお、AP通信エリア61〜6mを以下、AP通信エリア6と総称する場合がある。
なお、図2に示す例では、各無線LANアクセスポイント3のAP通信エリア6にデジタルサイネージ4が設置され、無線LANアクセスポイント3は送客側無線LAN通信手段および集客側無線LAN通信手段として機能するが、一部のAP通信エリア6にデジタルサイネージ4を配置しなくてもよい。この場合、AP通信エリア6にデジタルサイネージ4を配置していない無線LANアクセスポイント3は集客側無線LAN通信手段として機能する。
デジタルサイネージ4は、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイなどのディスプレイやプロジェクタを備える。かかるデジタルサイネージ4は、無線/有線LAN通信機能を有しており、例えば、無線LAN経由の場合には、それぞれ無線LANアクセスポイント3を介して広告配信管理装置5から広告コンテンツを受信して表示することができる。また、デジタルサイネージ4は、有線LAN経由で無線LANアクセスポイント3や他のネットワークを介して広告配信管理装置5から広告コンテンツを受信して表示することもできる。なお、例えば、デジタルサイネージ4の設置場所である店舗の面積が大きい場合、一つの店舗内に複数の無線LANアクセスポイント3を設置することもできる。
無線端末21〜2n(以下、無線端末2と総称する場合がある)は、例えば、無線LAN通信機能を搭載した端末装置であり、例えば、スマートフォン、タブレットPC(Personal computer)、ゲーム機などである。かかる無線端末2は、無線LANアクセスポイント3のAP通信エリア6内では、無線LANアクセスポイント3経由でウェブサーバ9にアクセスが可能である。
以下、広告システム1を構成する無線LANアクセスポイント3および広告配信管理装置5について、さらに詳細に説明する。
〔1.3.無線LANアクセスポイント3の構成〕
まず、無線LANアクセスポイント3の構成について具体的に説明する。図2に示すように、無線LANアクセスポイント3は、無線LAN通信部21と、通信部22と、制御部23とを有する。
無線LAN通信部21は、デジタルサイネージ4の設置場所を含む領域がそのAP通信エリア6となるように設置される。かかる無線LAN通信部21は、無線LAN通信を行う通信インタフェースであり、無線LAN通信機能を搭載した無線端末2との間で情報の送受信を行う。なお、無線LANとして、例えば、IEEE802.11によって規定される無線LANなどがあるが、かかる規格の無線LANに限定されるものではない。
通信部22は、通信ネットワーク7に接続され、通信ネットワーク7を介して通信ネットワーク側装置(例えば、広告配信管理装置5やウェブサーバ9)との間で情報の送受信を行う。かかる通信部22は、通信ネットワーク7との接続を有線または無線で行う。
制御部23は、情報中継処理を行う中継部25と、無線端末2の検出処理を行う検出部26を備えており、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部23の内部構成は、かかる構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。
中継部25は、例えば、無線端末2から無線LAN通信部21を介して取得した情報を通信部22から通信ネットワーク側装置へ送信し、また、通信ネットワーク側装置から通信部22を介して取得した情報を無線LAN通信部21から無線端末2へ送信する。
なお、無線LANアクセスポイント3から通信ネットワーク側装置への情報送信は、例えば、無線LANアクセスポイント3に割り当てられる通信ネットワーク7のアドレスを送信元アドレスとし、通信ネットワーク側装置に割り当てられる通信ネットワーク7のアドレスを送信先アドレスとしたパケット通信により行われる。通信ネットワーク7のアドレスは、例えば、通信部22に割り当てられるアドレスであり、例えば、IPアドレスである。
検出部26は、無線端末2から送信される無線パケットを無線LAN通信部21を介して取得することで、無線端末2の存在を検出する。図3Aおよび図3Bは、無線LANアクセスポイント3と無線端末2との間のセッション確立のシーケンス例を示す図である。
図3Aに示す例では、無線端末2から周期的にプローブ要求と呼ばれる無線パケットがブロードキャストなどによって送信されており、検出部26は、かかる無線パケットを無線LAN通信部21経由で取得することで、無線端末2の存在を検出する。
プローブ要求にはBSSID(Basic Service Set Identifier)が含まれており、検出部26は、無線LAN通信部21のBSSIDと一致する場合に、プローブ応答を無線端末2へ送信する。プローブ応答を受信した無線端末2は、自動通信の設定がされている場合、通信中状態へ移行する。
通信中状態への移行は、図3Aに示すように、アソシエーション要求とアソシエーション応答によりセッションを確立することによって行われ、その後、無線端末2と無線LAN通信部21との間で、データフレームやコントロールフレームの送受信が行われて通信中状態になる。
また、検出部26は、周期的に無線パケットが送信されない無線端末2に対して、例えば、図3Bに示すように、ビーコンと呼ばれる無線パケットを無線LAN通信部21を介してブロードキャストし、かかるビーコンに対するアソシエーション要求を受信することで、無線端末2の存在を検出する。アソシエーション要求を受信した検出部26は、アソシエーション応答を無線端末2へ送信することによってセッションを確立し、無線端末2と無線LAN通信部21との間を通信中状態にする。
検出部26は、通信中状態へ移行すると、その後、通信中状態が解除されるまで繰り返し無線パケットを受信しており、無線端末2の存在を検出している状態である。なお、無線端末2から切断要求があった場合や、無線端末2と無線LAN通信部21との間で無線パケットを送受信できなくなった場合に、通信中状態が解除される。
検出部26は、例えば無線端末2を検出したと判定すると、検出情報を通信部22を介して広告配信管理装置5へ送信する。具体的には、検出部26は、無線端末2から送信される無線パケットに含まれる端末IDを抽出し、さらに電波強度を検出する。
端末IDは、例えば、無線端末2の無線LAN通信部のMACアドレス(Media Access Control address)であり、無線パケットに付加されて無線端末2から送信される。また、端末IDは、無線端末2に固有の識別情報であればよく、例えば、無線端末2が閲覧したウェブサイトのURLの情報を所定のハッシュ関数で演算して求めたハッシュ値などであってもよい。
電波強度は、無線LANアクセスポイント3で受信される無線信号の電波強度である。なお、電波強度は、無線端末2において取得された電波受信強度(RSSI:Received Signal Strength Indication)であってもよい。この場合、電波強度の情報を含む無線信号が無線端末2から無線LANアクセスポイント3へ送信される。
検出部26は、無線端末2の端末ID、電波強度、検出時刻およびAP−IDを含む情報を検出情報として、周期的(例えば、1秒周期)に広告配信管理装置5へ送信する。AP−IDとしては、例えば、通信部22に割り当てられる通信ネットワーク7のネットワークアドレスを用いることができる。また、検出時刻は、無線端末2の存在を検出した時刻であるが、検出情報を送信する時刻を検出時刻とすることもできる。
〔1.4.広告配信管理装置5の構成〕
次に、実施形態に係る広告配信管理装置5の具体的構成について説明する。図2に示すように、広告配信管理装置5は、通信部30と、記憶部31と、制御部32とを有する。さらに、記憶部31は、広告情報DB41と、AP情報DB42とを有し、制御部32は、配信部51と、取得部52と、更新部53と、決定部54とを有する。
通信部30は、NIC(Network Interface Card)等のインタフェースである。制御部32は、通信部30および通信ネットワーク7を介して、無線LANアクセスポイント3や、無線LANアクセスポイント3を介した無線端末2やデジタルサイネージ4との間で各種の情報を送受信する。
広告情報DB41およびAP情報DB42は、例えば、ハードディスク、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、光ディスク等の記憶装置である。なお、広告情報DB41およびAP情報DB42を一つのDBとしてもよい。また、広告情報DB41およびAP情報DB42に記憶される各種のIDは、「A1」や「D1」などの符号を用いて説明するが、説明の便宜上区別するために付した符号であり、かかる符号に限定される趣旨ではない。
制御部32は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。また、制御部32は、CPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)によって内部の記憶装置に記憶されたプログラムがRAMを作業領域として実行されることで、配信部51、取得部52、更新部53および決定部54として機能する。なお、制御部32の構成は、かかる構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。
〔1.4.1.配信部51〕
配信部51は、広告情報DB41に記憶されたDS情報テーブルに基づいて広告コンテンツをデジタルサイネージ4へ送信する。DS情報テーブルには、各デジタルサイネージ4に対する広告コンテンツの表示スケジュールが設定される。
図4は、広告情報DB41に記憶されたDS情報テーブルの一例を示す図である。図4に示すように、DS情報テーブルは、「DS−ID」毎に、「画面サイズ」、「AP−ID」、「広告表示時間」および「広告ID」が関連付けられた情報である。
「DS−ID」は、デジタルサイネージ4の識別情報である。なお、デジタルサイネージ4が通信ネットワーク7に直接接続されている場合には、DS−IDとして、デジタルサイネージ4に割り当てられる通信ネットワーク7のネットワークアドレスを用いることができる。
「画面サイズ」は、デジタルサイネージ4によって表示される画像のサイズである。例えば、デジタルサイネージ4がディスプレイである場合、ディスプレイの画面サイズであり、また、デジタルサイネージ4がプロジェクタである場合、プロジェクタが投影する画像のサイズである。
「AP−ID」は、デジタルサイネージ4に対応して設置される無線LANアクセスポイント3の識別情報であり、例えば、無線LANアクセスポイント3の通信部22に割り当てられる通信ネットワーク7のネットワークアドレスである。
「広告表示時間」は、デジタルサイネージ4に広告コンテンツを表示する時間であり、かかる広告表示時間に対応して「広告ID」が設定される。「広告ID」は広告コンテンツの識別情報である。例えば、広告コンテンツのデータを所定のハッシュ関数に入力して求められるハッシュ値を広告IDとしてもよい。
図4に示す例では、例えば、DS−ID「D1」のデジタルサイネージ4には、2月1日の12時30分から12時35分の間の時間に対して広告ID「O3」が設定され、12時35分から12時45分の間の時間に対して広告ID「O2」が設定されている。
配信部51は、2月1日の12時30分になる前に広告ID「O3」の広告コンテンツを広告情報DB41から読み出してDS−ID「D1」のデジタルサイネージ4へ送信し、12時35分になる前に広告ID「O2」の広告コンテンツを広告情報DB41から読み出してDS−ID「D1」のデジタルサイネージ4へ送信する。
デジタルサイネージ4が無線LANアクセスポイント3経由で通信ネットワーク7に接続されている場合、配信部51は、宛先となるDS−IDと広告コンテンツを含む広告情報を無線LANアクセスポイント3へ送信する。これにより、無線LANアクセスポイント3からデジタルサイネージ4へ広告コンテンツが転送される。また、デジタルサイネージ4が通信ネットワーク7に直接接続されている場合、配信部51は、DS−IDを宛先として通信ネットワーク7へ送信する。これにより、デジタルサイネージ4へ広告コンテンツが送信される。
配信部51は、広告情報DB41からの広告コンテンツの読み出しを広告情報テーブルに基づいて行う。図5は、広告情報DB41に記憶された広告情報テーブルの一例を示す図である。図5に示すように、広告情報テーブルは、「広告ID」毎に、「広告情報」、「注文内容」、「表示済み回数」、「集客側AP−ID」および「送客カウント値」が関連付けられた情報である。
「広告ID」は、DS情報テーブルに設定される「広告ID」と同一のIDである。「広告情報」は、デジタルサイネージ4に表示するための広告コンテンツの情報であり、広告コンテンツとして、静止画データ、動画データ、アニメーションデータなどがある。なお、広告情報テーブルに設定される広告情報は、広告コンテンツのデータそのものであるが、広告情報DB41における広告コンテンツの格納位置を示す情報であってもよい。
「注文内容」は、広告主によって設定される広告コンテンツの表示条件を示す情報であり、「表示回数」の条件と、「表示時間」の条件とが設定される。「表示回数」は、広告コンテンツを表示する回数であり、「表示時間」は広告コンテンツの1回あたりの表示時間である。「表示済み回数」は、広告コンテンツをデジタルサイネージ4に表示した回数である。
例えば、広告ID「O1」の広告コンテンツは、注文内容として表示回数が1000(回)、表示時間が5分であり、表示済み回数が832(回)である。また、広告ID「O2」の広告コンテンツは、注文内容として表示回数が2000(回)、表示時間が10分であり、表示済み回数が1192(回)である。
「集客側AP−ID」は、広告コンテンツの広告対象となる商業空間に設置された無線LANアクセスポイント3のAP−IDである。例えば、広告ID「O1」の広告コンテンツは、AP−ID「A1」の無線LANアクセスポイント3の設置場所を広告対象としている。
「送客カウント値」は、広告コンテンツの広告効果を示す情報であり、送客カウント値が大きいほど広告コンテンツによる広告効果が高いことを意味する。かかる送客カウント値は、更新部53によってカウントアップされる。
〔1.4.2.取得部52〕
取得部52は、無線LANアクセスポイント3から送信される検出情報を取得する。取得部52は、無線LANアクセスポイント3から検出情報を取得すると、検出情報に含まれる端末ID、電波強度、検出時刻およびAP−IDに基づき、AP情報DB42の検出情報データを更新する。
図6は、AP情報DB42に記憶される検出情報データの一例を示す図である。図6に示すように、検出情報データは、「AP−ID」毎に、「端末ID」、「検出時刻」および「電波強度」が関連付けられた情報である。
「AP−ID」は、無線LANアクセスポイント3の識別情報であり、無線LANアクセスポイント3毎に割り当てられる情報である。
「端末ID」は、関連付けられた無線LANアクセスポイント3のAP通信エリア6内に存在する無線端末2の端末IDである。例えば、図6に示す例では、AP−ID「A1」の無線LANアクセスポイント3のAP通信エリア6内に、端末ID「T1」、「T2」の無線端末2などが存在していることを示している。
「電波強度」は、AP通信エリア6内に存在する無線端末2の電波強度の情報である。図6に示すように、検出情報データには検出時刻毎の電波強度の情報が設定される。なお、図6に示す例では、電波強度を0〜10の範囲で強度が高いほど値が大きくなる強度レベルで表しているが、その他の単位(例えば、dBm)で設定することもできる。
〔1.4.3.更新部53〕
更新部53は、検出情報データ、DS情報テーブルおよび広告情報テーブルに基づき、送客側通信エリアに進入した後に集客側通信エリアに進入した無線端末2を検出し、送客カウント値を更新する。
具体的には、更新部53は、検出情報データおよびDS情報テーブルに基づき、送客側通信エリアに進入した無線端末2を検出する。送客側通信エリアは、広告コンテンツのデジタルサイネージ4に対応付けられた無線LANアクセスポイント3のAP通信エリア6である。
また、更新部53は、検出情報データおよび広告情報テーブルに基づき、集客側通信エリアに進入した無線端末2を検出する。集客側通信エリアは、広告コンテンツの広告対象となる商業空間に設置された無線LANアクセスポイント3のAP通信エリア6である。
そして、更新部53は、広告コンテンツ単位で、送客側通信エリアに進入した後に集客側通信エリアに進入した無線端末2(以下、送客判定候補端末と記載する場合がある)を検出する。更新部53は、検出した送客判定候補端末がカウント判定テーブルに設定されたカウント条件を満たすか否かを判定し、判定結果に応じて、広告コンテンツ単位で、送客カウント値を更新する。
図7は、広告情報DB41に記憶されるカウント判定テーブルの一例を示す図である。図7に示すように、カウント判定テーブルは、「画面サイズ」毎に、「電波強度閾値」および「滞在時間閾値」が関連付けられた情報である。
「画面サイズ」は、デジタルサイネージ4の画面サイズである。「電波強度閾値」は、送客側の無線LANアクセスポイント3で受信される無線端末2からの無線信号の電波強度の閾値であり、「滞在時間閾値」は、送客側通信エリアでの無線端末2の滞在時間の閾値である。
更新部53は、送客側のデジタルサイネージ4の画面サイズに対応するカウント条件をカウント判定テーブルから読み出し、送客判定候補端末の送客側通信エリアでの電波強度や滞在時間がカウント条件を満たす場合に、広告コンテンツに対応するカウント値をインクリメントする。
ここで、DS情報テーブルが図4に示す状態であり、広告情報テーブルが図5に示す状態であり、検出情報テーブルが図6に示す状態であるとする。この場合、更新部53は、広告ID「O1」の広告コンテンツに関する送客カウント値の更新を以下のように行う。
図4のDS情報テーブルに示すように、広告ID「O1」の広告コンテンツは、2月1日の10時40分〜10時45分の期間においては、DS−ID「D2」のデジタルサイネージ4に表示される。したがって、更新部53は、2月1日の10時40分〜45分の期間において、AP−ID「A2」に対応するAP通信エリア6が広告ID「O1」に対応する送客側通信エリアであると判定する。
また、図5の広告情報テーブルに示すように、広告ID「O1」は、集客側AP−ID「A1」に対応しており、広告ID「O1」の広告コンテンツの広告対象は、AP−ID「A1」の無線LANアクセスポイント3の商業空間である。したがって、更新部53は、AP−ID「A1」に対応するAP通信エリア6が広告ID「O1」に対応する集客側通信エリアであると判定する。
図6の検出情報データに示すように、端末ID「T1」の無線端末21は2月1日の10時43分16秒〜10時44分30秒の間にAP−ID「A2」の無線LANアクセスポイント3のAP通信エリアに進入している。したがって、更新部53は、広告ID「O1」に対応する送客側通信エリアに端末ID「T1」の無線端末21が進入したと判定する。
また、図6の検出情報データに示すように、端末ID「T1」の無線端末21は2月1日の12時26分11秒にAP−ID「A1」の無線LANアクセスポイント3のAP通信エリア6に進入している。したがって、更新部53は、広告ID「O1」に対応する集客側通信エリアに端末ID「T1」の無線端末21が進入したと判定する。
端末ID「T1」の無線端末21は、送客側通信エリアへ進入した後に集客側通信エリアへ進入していることから、更新部53は、広告ID「O1」の広告コンテンツに関し、端末ID「T1」の無線端末21が送客判定候補端末であると判定する。
次に、更新部53は、検出した送客判定候補端末がカウント判定テーブルに設定されたカウント条件を満たすか否かを判定し、判定結果に応じて、広告コンテンツ単位で、送客カウント値を更新する。2月1日の10時40分〜10時45分の期間において、広告ID「O1」の広告コンテンツを表示したデジタルサイネージ4はDS−ID「D2」のデジタルサイネージ4である。そして、図4に示すように、DS−ID「D2」のデジタルサイネージ4の画面サイズは、50インチである。
図7に示すカウント判定テーブルにおいて、50インチは、50インチ以上70インチ未満に含まれることから、更新部53は、電波強度閾値が「6」であり、滞在時間閾値が「8秒」であると判定する。したがって、更新部53は、検出情報テーブルに基づき、送客側通信エリア内において、送客判定候補端末の電波強度が6以上の状態が8秒以上続いたか否かを判定する。
送客側通信エリア内において、送客判定候補端末の電波強度が6以上の状態が8秒以上続いている場合、更新部53は、広告情報テーブルにおいて、広告ID「O1」に対応する「送客カウント値」を「1」だけインクリメントする。
図5に示す例では、例えば、広告ID「O1」に関し、送客側の無線LANアクセスポイント3のAP通信エリア6内に進入した後に集客側の無線LANアクセスポイント3のAP通信エリア6に進入した無線端末2を検出した回数が5031(回)であることを示している。
このように、更新部53は、送客側通信エリアに進入した後に集客側通信エリアに進入した無線端末2を検出し、送客カウント値を更新する。広告コンテンツが表示される送客側通信エリアに進入した後に集客側通信エリアに進入した無線端末2のユーザは、広告コンテンツによって集客側通信エリアへ誘導されたと推定できることから、送客カウント値に基づき広告コンテンツによる広告効果を迅速かつ適切に判定することができる。
また、デジタルサイネージ4の画面サイズによって電波強度閾値や滞在時間閾値を変更することから、デジタルサイネージ4を視認した可能性がより高い無線端末2を送客カウント値の更新対象とすることで、広告コンテンツによる広告効果をより精度よく判定することができる。なお、更新部53は、電波強度閾値および滞在時間閾値の両方を送客カウント値の更新条件とするのではなく、いずれか一方をカウント値の更新条件とすることもできる。また、送客側の無線LANアクセスポイント3のAP通信エリアを調整してデジタルサイネージ4の近傍のみをAP通信エリアとしてもよく、この場合、電波強度閾値および滞在時間閾値を用いなくてもよい。
また、更新部53は、広告コンテンツに音情報が含まれているか否かで、電波強度閾値や滞在時間閾値を変更することもできる。広告コンテンツに音情報が含まれている場合、デジタルサイネージ4は内部に設けられたスピーカから音情報に対応する音(音楽や音声など)を出力する。
例えば、更新部53は、広告コンテンツに音情報が含まれている場合には、カウント判定テーブルに設定された電波強度閾値および滞在時間閾値のいずれか一方または両方に所定の係数Ka(<1)を乗算して求めた新たな閾値をカウント条件とすることもできる。また、更新部53は、広告コンテンツに音情報が含まれていない場合に、カウント判定テーブルに設定された電波強度閾値および滞在時間閾値のいずれか一方または両方に所定の係数Kb(>1)を乗算して求めた新たな閾値をカウント条件とすることもできる。
さらに、更新部53は、広告コンテンツに含まれる音情報の種類、音量、周波数などに応じてさらに電波強度閾値および滞在時間閾値のいずれか一方または両方を変更することもできる。
また、更新部53は、さらに、集客側通信エリアに進入した無線端末2の電波強度や滞在時間が所定閾値以上である場合に限り、送客カウント値を更新することもできる。このようにすることで、集客側通信エリアの商業空間で商品やサービスを購入した可能性が高い無線端末2のユーザを抽出することができ、広告コンテンツによる広告効果をより精度よく判定することができる。なお、この場合、更新部53は、さらに、集客側通信エリアに進入した無線端末2の電波強度および滞在時間のいずれか一方が所定閾値以上である場合に、送客カウント値を更新することもできる。
また、更新部53は、広告情報テーブルにおいて、各広告コンテンツに対して複数種類の送客カウント値を設定することができる。例えば、更新部53は、電波強度閾値や滞在時間閾値を複数段階に分け、各段階のカウント条件に基づいて各段階に対応する送客カウント値を更新する。例えば、更新部53は、電波強度閾値や滞在時間閾値が第1閾値以上第2閾値未満である場合に、第1送客カウント値を更新し、電波強度閾値や滞在時間閾値が第2閾値以上である場合に、第2送客カウント値を更新する。このように複数の送客カウント値を設けることにより、送客側通信エリアにおける無線端末2の状態に基づいた送客効果を更新することができ、広告コンテンツによる広告効果をより適切に判定することができる。
〔1.4.4.決定部54〕
決定部54は、広告コンテンツ単位で、広告コンテンツのデジタルサイネージ4への表示に対する対価の額である広告料を決定する。具体的には、決定部54は、広告コンテンツのデジタルサイネージ4への表示が終了した場合、広告情報テーブルに設定された送客カウント値に基づき、広告コンテンツの広告料を決定する。
決定部54は、第1決定モードおよび第2決定モードのいずれかによって広告コンテンツの広告料を決定する。決定モードは、広告コンテンツ毎に設定される。広告コンテンツをいずれの決定モードに設定するかは例えば広告主の選択によって設定される。
決定部54は、第1決定モードが設定された広告コンテンツに対しては、送客カウント値に所定値を乗算した結果を広告料とする。例えば、広告ID「O1」の広告コンテンツに関し、送客カウント値が10000であり、所定値が10である場合、決定部54は、広告ID「O1」の広告コンテンツの広告料を10万円(=10000×10)と決定する。
決定部54は、第2決定モードが設定された広告コンテンツに対しては、送客カウント値に所定値を乗算した値と、表示回数と表示時間との乗算値に係数Kを乗算した値とを加算した値を広告料とする。例えば、広告ID「O1」の広告コンテンツに関し、送客カウント値が10000であり、所定値が5であり、係数Kが10であるとする。この場合、決定部54は、広告ID「O1」の広告コンテンツの広告料を10万円(=10000×5+1000×5×10)と決定する。
決定部54は、広告コンテンツの広告料を決定した後、決定した広告料の情報が設定された決済情報を決済サーバ(図示せず)へ送信し、決済処理を行うことができる。
〔1.5.広告システム1の処理フロー〕
次に、実施形態に係る広告システム1による情報処理の手順について図8および図9を参照して説明する。
〔1.5.1.無線LANアクセスポイント3の処理フロー〕
まず、実施形態に係る無線LANアクセスポイント3の情報処理について、図8を参照して説明する。図8は、無線LANアクセスポイント3における情報処理のフローチャートである。かかる動作は、無線LANアクセスポイント3の制御部23によって繰り返し実行される処理である。
図8に示すように、無線LANアクセスポイント3の制御部23は、無線LAN通信部21を介して無線端末2を検出したか否かを判定する(ステップS20)。かかる処理において、無線端末2を検出したと判定すると(ステップS20;Yes)、通信部22を介して無線端末2の端末IDやAP−IDなどを含む検出情報を、広告配信管理装置5へ送信する(ステップS21)。
無線端末2を検出していないと判定した場合(ステップS20;No)、または、ステップS21の処理が終了した場合、制御部23は、通信ネットワーク7に接続されたサーバ装置(例えば、ウェブサーバ9)から通信部22を介して情報を受信したか否かを判定する(ステップS22)。サーバ装置から情報を受信したと判定すると(ステップS22;Yes)、制御部23は、受信した情報をこの情報の宛先となる無線端末2へ転送する(ステップS23)。
情報を受信していないと判定した場合(ステップS22;No)、または、ステップS23の処理が終了した場合、制御部23は、無線端末2からサーバ装置に対する要求があるか否かを判定する(ステップS24)。無線端末2からサーバ装置に対する要求があると判定すると(ステップS24;Yes)、制御部23は、無線端末2からサーバ装置に対する要求を、通信部22を介してサーバ装置に転送する(ステップS25)。
無線端末2からサーバ側装置に対する要求がないと判定された場合(ステップS24;No)、または、ステップS25の処理が終了した場合、制御部23は情報処理を終了する。
〔1.5.2.広告配信管理装置5の処理フロー〕
次に、広告配信管理装置5の処理について説明する。図9は、広告配信管理装置5における情報処理のフローチャートである。かかる動作は、広告配信管理装置5の制御部32によって繰り返し実行される処理である。
図9に示すように、制御部32は、DS情報テーブルに基づき、広告コンテンツのデジタルサイネージ4への送信タイミングが到来したか否かを判定すると(ステップS30)。送信タイミングが到来したと判定する(ステップS30;Yes)、制御部32は、送信タイミングが到来した広告コンテンツを広告情報DB41から読み出して通信ネットワーク7を介してデジタルサイネージ4へ送信する(ステップS31)。
送信タイミングが到来していないと判定した場合(ステップS30;No)、または、ステップS31の処理が終了した場合、制御部32は、通信部30を介して無線LANアクセスポイント3からの検出情報を取得したか否かを判定する(ステップS32)。検出情報を取得した場合(ステップS32;Yes)、制御部32は、検出情報テーブルを更新する(ステップS33)。
ステップS33の処理が終了した場合、制御部32は、無線端末2が集客側通信エリアに新たに進入したか否かを判定する(ステップS34)。無線端末2が集客側通信エリアに新たに進入したと判定すると(ステップS34;Yes)、制御部32は、集客側通信エリアに新たに進入した無線端末2が過去に進入したAP通信エリア6を判定する(ステップS35)。
そして、制御部32は、集客側通信エリアに新たに進入した無線端末2が過去に進入したAP通信エリア6に送客側通信エリアが含まれるか否かを判定する(ステップS36)。AP通信エリア6に送客側通信エリアが含まれると判定した場合(ステップS36;Yes)、制御部32は、集客側通信エリアに新たに進入した無線端末2を送客対象候補端末とする。そして、制御部32は、送客側通信エリアにおける送客対象候補端末の電波強度および滞在時間がカウント判定テーブルに設定されたカウント条件を満たすか否かを判定する(ステップS37)。
送客対象候補端末の電波強度および滞在時間がカウント条件を満たすと判定すると(ステップS37;Yes)、制御部32は、広告情報テーブルにおいて、送客対象候補端末に対応する送客カウント値をインクリメントして広告情報テーブルを更新する(ステップS38)。
検出情報を取得していないと判定した場合(ステップS32;No)、無線端末2が集客側通信エリアに新たに進入していないと判定した場合(ステップS34;No)、AP通信エリア6に送客側通信エリアが含まれていないと判定した場合(ステップS36;No)、ステップS37において、送客対象候補端末の電波強度および滞在時間がカウント条件を満たさないと判定した場合(ステップS37;No)、または、ステップS38の処理が終了した場合、制御部32は情報処理を終了する。
以上のように、第1の実施形態に係る広告システム1は、無線LANアクセスポイント3によって検出された情報に基づき、送客側通信エリアに進入した後に送客側通信エリアに進入した無線端末2を検出し、かかる検出結果に基づき、広告コンテンツによる送客結果の情報を更新する。これにより、広告コンテンツによる広告効果を迅速かつ適切に判定することができる。
〔2.第2の実施形態〕
〔2.1. 広告システムの構成〕
次に、第2の実施形態に係る広告システムについて説明する。第2の実施形態に係る広告システムは、送客側通信エリアにおいて無線LANアクセスポイントから無線端末に対して広告IDを送信し、集客側通信エリアにおいて、無線端末から広告IDを取得することで、広告コンテンツによる送客結果の情報を更新する。なお、以下において、第1の実施形態に係る広告システム1の構成と同様の機能を有する部位については、同一符号を付して説明を省略する。
図10は、第2の実施形態に係る広告システムの構成を示す図である。図10に示すように、第2の実施形態に係る広告システム1Aは、無線端末2A1〜2An(以下、無線端末2Aと総称する場合がある)と、無線LANアクセスポイント3A1〜3Am(以下、無線LANアクセスポイント3Aと総称する場合がある)と、デジタルサイネージ41〜4mと、広告配信管理装置5Aとを備える。
無線端末2Aは、通信部60と、表示部61と、記憶部62と、制御部63とを有する。通信部60は、無線LAN通信機能を有しており、無線LANアクセスポイント3Aとの間で情報の送受信を行う。
記憶部62は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置である。かかる記憶部62は各種プログラムや設定データなどが記憶される。記憶部62に記憶されるプログラムは、例えば、OS、広告配信管理装置5Aから取得された専用アプリケーションプログラム(以下、専用アプリと記載する)などである。
制御部63は、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現される。また、制御部63は、例えば、CPUやMPU等によって、記憶部62に記憶されているプログラムが図示しない内部RAMを作業領域として実行されることにより後述する情報処理の機能や作用を実現または実行する。
制御部63は、送客側通信エリアの無線LANアクセスポイント3Aから周期的(例えば、1秒周期)に送信される広告関連情報を、通信部60を介して取得し、記憶部62に記憶し、さらに、広告関連情報を含む無線信号の電波強度を検出し、広告関連情報に関連付けて記憶部62に記憶する。無線LANアクセスポイント3Aから送信される広告関連情報には、広告ID、集客側AP−IDおよび時刻情報が含まれる。
また、制御部63は、集客側通信エリアに進入した場合に、記憶部62に記憶している広告関連情報に電波強度を追加した端末情報を通信部60を介して無線LANアクセスポイント3Aへ送信する。集客側通信エリアの無線LANアクセスポイント3Aは、対応するデジタルサイネージ4がある場合には自装置のAP−IDと広告関連情報を無線端末2Aへ送信し、対応するデジタルサイネージ4がない場合には自装置のAP−IDを無線端末2Aへ送信する。制御部63は、無線LANアクセスポイント3Aから送信されるAP−IDが、記憶部62に記憶している広告関連情報に含まれる集客側AP−IDと一致する場合に、集客側通信エリアに進入したと判定する。
なお、無線LANアクセスポイント3Aは、自装置のAP−IDに代えて、自装置のAP−LIDを含む無線信号を無線端末2Aへ送信するようにしてもよい。AP−LIDは、例えば、無線LANアクセスポイント3Aの無線LAN通信部21のMACアドレスである。
無線LANアクセスポイント3Aは、無線LAN通信部21と、通信部22と、制御部23Aとを有する。制御部23Aは、中継部25と、検出部26Aと、設定部27を備える。
検出部26Aは、無線端末2Aから送信される端末情報を無線LAN通信部21を介して取得し、かかる端末情報を広告配信管理装置5Aへ転送する。
設定部27は、デジタルサイネージ4で表示される広告コンテンツの広告ID、集客側AP−IDおよび広告表示時間を含む情報(以下、表示広告情報と記載する)を広告配信管理装置5Aから取得し、内部に記憶する。設定部27は、表示広告情報の広告表示時間に基づき、デジタルサイネージ4で表示される広告コンテンツを判定し、かかる広告コンテンツの広告IDおよび集客側AP−IDを含む広告関連情報を周期的に無線LAN通信部21から送信させる。これにより、集客側AP通信エリアに進入した無線端末2Aに広告関連情報を送信することができる。また、設定部27は、広告関連情報を無線LAN通信部21からビーコンやプローブ応答などに付加して送信するようにしてもよい。
広告配信管理装置5Aは、通信部30と、記憶部31と、制御部32Aとを備える。制御部32Aは、配信部51Aと、取得部52Aと、更新部53Aと、決定部54とを備える。
配信部51Aは、配信部51と同様に、広告情報DB41に記憶されたDS情報テーブルに基づいて広告コンテンツをデジタルサイネージ4へ送信する。さらに、配信部51Aは、DS情報テーブルに基づいてデジタルサイネージ4に表示させる広告コンテンツの広告IDと広告表示時間とを抽出し、さらに、広告情報テーブルに基づいてデジタルサイネージ4に表示させる広告コンテンツの広告IDに対応する集客側AP−IDを抽出する。そして、配信部51Aは、抽出した広告ID、広告表示時間および集客側AP−IDを含む表示広告情報をデジタルサイネージ4に対応する無線LANアクセスポイント3Aへ送信する。
例えば、DS情報テーブルが図4に示す状態である場合、DS−ID「D1」のデジタルサイネージ4には、2月1日の12時35分から12時45分の間に広告ID「O2」の広告コンテンツが表示される。この場合、配信部51Aは、DS−ID「D1」に対応するAP−ID「A1」の無線LANアクセスポイント3Aに対して、広告ID「O2」の情報と、広告表示時間「2月1日の12時35分〜12時45分」の情報とを抽出する。
また、広告情報テーブルが図5に示す状態である場合、広告ID「O2」に集客側AP−ID「A2」が対応しており、配信部51Aは、集客側AP−ID「A2」を抽出する。配信部51Aは、抽出した広告ID「O2」、広告表示時間「2月1日の12時35分〜12時45分」および集客側AP−ID「A2」を含む表示広告情報をAP−ID「A1」の無線LANアクセスポイント3Aへ送信する。
取得部52Aは、無線LANアクセスポイント3Aから送信される端末情報を取得する。取得部52Aは、無線LANアクセスポイント3Aから送信される端末情報を取得すると、端末情報をAP情報DB42に記憶する。
更新部53Aは、AP情報DB42に記憶されている端末情報に基づき、送客側通信エリアに進入した後に集客側通信エリアに進入した無線端末2Aを検出し、送客カウント値を更新する。
端末情報は、送客側通信エリアに進入した後に集客側通信エリアに進入した無線端末2Aから送信されるものであり、端末情報を送信した無線端末2Aは、送客判定候補端末である。更新部53Aは、送客判定候補端末から送信される端末情報に基づき、送客判定候補端末の送客側通信エリアでの電波強度や滞在時間が、カウント判定テーブル(図7参照)に設定されたカウント条件を満たすか否かを判定する。
かかる処理において、更新部53Aは、送客側通信エリアに設置されたデジタルサイネージ4の画面サイズに対応するカウント条件をカウント判定テーブルから読み出す。そして、更新部53Aは、送客判定候補端末から送信される端末情報に含まれる電波強度や時刻情報に基づき、更新部53の処理と同様の処理により、送客判定候補端末の送客側通信エリアでの電波強度や滞在時間が、カウント条件を満たすか否かを判定する。更新部53Aは、送客判定候補端末の送客側通信エリアでの電波強度や滞在時間がカウント条件を満たす場合に、広告コンテンツに対応するカウント値をインクリメントする。
図11は、第2の実施形態に係る広告システム1Aによる広告効果判定方法の説明図である。図11に示すように、広告配信管理装置5Aは、送客側店舗に設置された無線LANアクセスポイント3A1のAP通信エリア61内に配置されたデジタルサイネージ4へ広告コンテンツを送信する(ステップS40)。デジタルサイネージ4へ送信される広告コンテンツは、無線LANアクセスポイント3A2が設置された集客側店舗に関する広告を含む情報である。
さらに、広告配信管理装置5Aは、送客側店舗に設置された無線LANアクセスポイント3A1に対し、デジタルサイネージ4へ送信した広告コンテンツの広告ID、広告表示時間および集客側AP−IDの情報を含む表示広告情報を送信する(ステップS41)。
デジタルサイネージ4は、広告配信管理装置5Aから広告コンテンツを取得すると、かかる広告コンテンツを表示する(ステップS42)。また、無線LANアクセスポイント3A1は、広告配信管理装置5Aから表示広告情報の情報を取得すると、内部の記憶部に表示広告情報の情報を記憶する(ステップS43)。
無線LANアクセスポイント3A1は、デジタルサイネージ4に広告コンテンツが表示されている状態で、表示広告情報に基づき、広告IDおよび広告表示時間を含む広告関連情報を周期的に無線LAN通信部21から出力する(ステップS44)。これにより、無線端末2Aは、AP通信エリア61に進入すると広告関連情報を取得することができる。
無線端末2Aは、無線LANアクセスポイント3A1から広告関連情報を受信すると、かかる広告関連情報を記憶する(ステップS45)。これにより、無線端末2Aは、送客側通信エリア内のデジタルサイネージ4に表示された広告コンテンツの広告IDを含む情報を記憶することができる。
その後、無線端末2Aのユーザが集客側店舗へ移動してAP通信エリア62に進入すると、無線LANアクセスポイント3A2は、無線端末2Aから端末情報を取得し(ステップS46)、取得した端末情報を広告配信管理装置5Aへ送信する(ステップS47)。
広告配信管理装置5Aは、無線LANアクセスポイント3A2から端末情報を受信すると、無線端末2Aのユーザが広告コンテンツによって集客側店舗へ誘導されたと判定し、広告コンテンツによる送客結果の情報を更新する(ステップS48)。例えば、広告配信管理装置5Aは、広告コンテンツによって集客側店舗へ誘導されたと判定する度に広告コンテンツに対応する送客カウント値をインクリメントする。その後、広告配信管理装置5Aは、図1Bに示すステップS9の処理と同様に、デジタルサイネージ4への広告コンテンツの表示が終了すると、広告コンテンツの広告料を決定する(ステップS49)。
このように、第2の実施形態に係る広告システム1Aは、第1の実施形態に係る広告システム1とは異なり、無線端末2Aが進入した送客側通信エリア内のデジタルサイネージ4で表示されている広告コンテンツの広告IDおよび集客側AP−IDを含む広告関連情報を無線端末2Aが取得して記憶する。これにより、広告配信管理装置5Aで検出情報を取得して管理するなどの必要がなく、広告配信管理装置5Aの処理負荷を軽減することができる。
〔2.2.広告システム1の処理フロー〕
次に、第2の実施形態に係る広告システム1Aによる情報処理の手順について図12〜図14を参照して説明する。
まず、無線端末2Aの情報処理について、図12を参照して説明する。図12は、無線端末2Aにおける情報処理のフローチャートである。かかる動作は、無線端末2Aの制御部63によって繰り返し実行される処理であり、専用アプリによる処理である。
図12に示すように、無線端末2Aの制御部63は、送客側通信エリアの無線LANアクセスポイント(AP)3Aから広告関連情報を取得したか否かを判定する(ステップS50)。かかる処理において、広告関連情報を取得したと判定すると(ステップS50;Yes)、制御部63は、取得した広告関連情報を記憶部62に記憶する(ステップS51)。
広告関連情報を取得していないと判定した場合(ステップS50;No)、または、ステップS51の処理が終了した場合、制御部63は、集客側通信エリアの無線LANアクセスポイント3AのAP−IDを取得したか否かを判定する(ステップS52)。集客側通信エリアの無線LANアクセスポイント3AのAP−IDを取得したと判定すると(ステップS52;Yes)、制御部63は、送客側通信エリアの無線LANアクセスポイント3Aから取得した広告関連情報を含む情報を端末情報として無線LANアクセスポイント3Aへ送信する(ステップS53)。
送客側通信エリアの無線LANアクセスポイント3AのAP−IDを取得していないと判定した場合(ステップS52;No)、または、ステップS53の処理が終了した場合、情報処理を終了する。
次に、無線LANアクセスポイント3Aの情報処理について、図13を参照して説明する。図13は、無線LANアクセスポイント3Aにおける情報処理のフローチャートである。かかる動作は、無線LANアクセスポイント3Aの制御部23Aによって繰り返し実行される処理である。なお、図13のステップS66〜S69の処理は、図8のステップS22〜S25の処理と同じであり、以下においては説明を省略する。
図13に示すように、無線LANアクセスポイント3Aの制御部23Aは、通信部22を介して広告配信管理装置5Aからデジタルサイネージ4で表示される広告コンテンツの広告IDおよび広告表示時間を含む表示広告情報を取得したか否かを判定する(ステップS60)。表示広告情報を取得したと判定すると(ステップS60;Yes)、制御部23Aは、表示広告情報を記憶する(ステップS61)。
表示広告情報を取得していないと判定した場合(ステップS60;No)、または、ステップS61の処理が終了した場合、制御部23Aは、広告関連情報の送信タイミングになったか否かを判定する(ステップS62)。広告関連情報の送信タイミングになったと判定すると(ステップS62;Yes)、制御部23Aは、広告関連情報を無線端末2Aへ送信する(ステップS63)。
広告関連情報の送信タイミングになっていないと判定した場合(ステップS62;No)、または、ステップS63の処理が終了した場合、無線LAN通信部21を介して無線端末2Aから端末情報を取得したか否かを判定する(ステップS64)。かかる処理において、端末情報を取得したと判定すると(ステップS64;Yes)、取得した端末情報を、広告配信管理装置5Aへ転送する(ステップS65)。その後、ステップS66以降の処理を行う。
次に、広告配信管理装置5Aの処理について説明する。図14は、広告配信管理装置5Aにおける情報処理のフローチャートである。かかる動作は、広告配信管理装置5Aの制御部32Aによって繰り返し実行される処理である。
図14に示すように、制御部32Aは、DS情報テーブルに基づき、広告コンテンツのデジタルサイネージ4への送信タイミングが到来したか否かを判定すると(ステップS70)。送信タイミングが到来したと判定する(ステップS70;Yes)、制御部32Aは、ステップS71の処理およびステップS72の処理を実行する。
ステップS71の処理では、制御部32Aは、送信タイミングが到来した広告コンテンツを広告情報DB41から読み出して通信ネットワーク7を介して広告コンテンツをデジタルサイネージ4へ送信する。また、ステップS72の処理では、制御部32Aは、ステップS71で送信した広告コンテンツの広告IDを含む表示広告情報をデジタルサイネージ4に対応する無線LANアクセスポイント3Aへ送信する。
送信タイミングが到来していないと判定した場合(ステップS70;No)、または、ステップS72の処理が終了した場合、制御部32Aは、通信部30を介して無線LANアクセスポイント3Aから無線端末2Aの端末情報を取得したか否かを判定する(ステップS73)。無線端末2Aの端末情報を取得したと判定した場合(ステップS73;Yes)、制御部32Aは、端末情報に対応する無線端末2Aを送客対象候補端末とする。そして、制御部32Aは、送客側通信エリアにおける送客対象候補端末の電波強度および滞在時間がカウント判定テーブルに設定されたカウント条件を満たすか否かを判定する(ステップS74)。
送客対象候補端末の電波強度および滞在時間がカウント条件を満たすと判定すると(ステップS74;Yes)、制御部32Aは、広告情報テーブルにおいて、送客対象候補端末に対応する送客カウント値をインクリメントして広告情報テーブルを更新する(ステップS75)。なお、無線端末2Aの端末情報を取得していないと判定した場合(ステップS73;No)、送客対象候補端末の電波強度および滞在時間がカウント条件を満たさないと判定した場合(ステップS74;No)、または、ステップS75の処理が終了した場合、制御部32Aの情報処理を終了する。
以上のように、第2の実施形態に係る広告システム1Aは、送客側通信エリアのデジタルサイネージ4で表示されている広告コンテンツに関する情報を無線端末2Aへ記憶させる。そして、広告配信管理装置5Aは、無線端末2Aが集客側通信エリアへ進入した場合に、広告コンテンツに関する情報を含む端末情報を無線LANアクセスポイント3Aを介して無線端末2Aから取得する。広告配信管理装置5Aは、無線端末2Aの端末情報に基づき、送客側通信エリアに進入した後に送客側通信エリアに進入した無線端末2Aを検出することができ、かかる検出結果に基づき、広告コンテンツによる送客結果の情報を更新する。これにより、広告コンテンツによる広告効果を迅速かつ適切に判定することができる。
なお、上述した第2の実施形態では、制御部32Aにおいて、端末情報に対応する無線端末2Aを送客対象候補端末とし、送客側通信エリアにおける送客対象候補端末の電波強度および滞在時間がカウント条件を満たすか否かを判定したが、かかる処理を無線端末2Aで行うようにしてもよい。例えば、制御部32Aは、カウント判定テーブルから対応するカウント条件を取得して無線LANアクセスポイント3Aへ送信し、無線LANアクセスポイント3Aが無線端末2Aへカウント条件の情報を送信する。無線端末2Aの制御部63は、無線LANアクセスポイント3Aから取得したカウント条件と端末情報とに基づいて、送客カウント値のインクリメント対象となるか否かを判定する。送客カウント値のインクリメント対象となると判定すると、無線端末2Aの制御部63は、インクリメント要求を無線LANアクセスポイント3Aへ送信し、無線LANアクセスポイント3Aから広告配信管理装置5Aへ転送される。広告配信管理装置5Aは、インクリメント要求を受信すると、かかるインクリメント要求に対応する送客カウント値をインクリメントする。
また、上述した第2の実施形態では、無線端末2Aが送客対象候補端末であるか否かを無線端末2Aの制御部63が判定したが、無線LANアクセスポイント3Aの制御部23Aが判定してもよい。この場合、広告配信管理装置5Aの制御部32Aは、広告IDに加え、集客側AP−ID(図5参照)を無線LANアクセスポイント3Aへ送信する。無線端末2Aは、AP通信エリア6に進入すると端末情報を送信する。無線LANアクセスポイント3Aの制御部23Aは、無線端末2Aから端末情報を取得すると、端末情報に含まれるAP−IDが広告配信管理装置5Aから取得した集客側AP−IDが一致する場合に、無線端末2Aからの端末情報を広告配信管理装置5Aへ送信する。
また、上述した第2の実施形態では、無線端末2Aが送客対象候補端末であるか否かを無線端末2Aの制御部63が判定したが、広告配信管理装置5Aの制御部32Aが判定してもよい。この場合、無線端末2Aは、AP通信エリア6に進入すると端末情報を送信する。無線LANアクセスポイント3Aの制御部23Aは、無線端末2Aから端末情報を取得すると、無線端末2Aからの端末情報に自装置のAP−IDを付加して広告配信管理装置5Aへ送信する。広告配信管理装置5Aの制御部32Aは、無線LANアクセスポイント3Aから送信される情報に基づき、制御部32と同様の判定方法によって、無線端末2Aが送客対象候補端末であるか否かを判定する。
〔3.変形例〕
上述した実施形態では、一つの広告コンテンツがデジタルサイネージ4に表示されている間に無線端末2(2A)がAP通信エリア6へ進入および退出する例を説明したが、無線端末2(2A)がAP通信エリア6へ進入し退出する間に、複数の広告コンテンツがデジタルサイネージ4に表示される場合には、それぞれの広告コンテンツに対する送客カウント値の更新処理が行われる。なお、この場合、更新部53(53A)は、電波強度や滞在時間に応じて複数の広告コンテンツのうち一つの送客カウント値の更新処理を行うようにしてよい。例えば、更新部53(53A)は、電波強度が強い方や滞在時間が長い方の広告コンテンツの送客カウント値の更新処理を行う。
また、更新部53(53A)は、1以上の送客側通信エリアに進入した後、集客側通信エリアに進入した無線端末2(2A)がある場合に、広告コンテンツの送客カウント値の更新処理を行うが、かかる処理に限定されない。例えば、制御部32(32A)は、複数の送客側通信エリアに進入した後、同一集客側通信エリアに進入した無線端末2(2A)がある場合、例えば、進入した送客側通信エリアの数に応じて広告コンテンツの送客カウント値をインクリメントすることができる。
また、更新部53(53A)は、送客側通信エリアに進入した後、集客側通信エリアに進入した無線端末2(2A)がある場合に、広告コンテンツの送客カウント値の更新処理を行うが、無線端末2(2A)が送客側通信エリアに進入する以前に集客側通信エリアへ進入した回数または進入頻度が所定閾値以上である場合、広告コンテンツの送客カウント値の更新処理を行わないようにもできる。
また、上述した実施形態では、配信部51(51A)は、DS情報テーブルに設定された情報に基づいて広告コンテンツをデジタルサイネージ4へ送信するようにしたが、その他の情報に基づいて広告コンテンツを送信するデジタルサイネージ4を選択することができる。
例えば、配信部51(51A)は、送客カウント値に応じて広告コンテンツを送信するデジタルサイネージ4を選択することができる。例えば、配信部51(51A)は、広告コンテンツのデジタルサイネージ4への表示を開始する初期段階では、複数のデジタルサイネージ4へ広告コンテンツを送信し、その後、送客カウント値の更新に貢献した送客側通信エリアのデジタルサイネージ4に絞って広告コンテンツを送信する。例えば、配信部51(51A)は、送客カウント値の更新に貢献した割合が高い所定数のデジタルサイネージ4を判定し、これらのデジタルサイネージ4に対して広告コンテンツを送信する。
また、配信部51(51A)は、AP通信エリア6の商業空間の種別(例えば、販売商品など)に基づいて、広告コンテンツを送信するデジタルサイネージ4を選択することができる。例えば、広告コンテンツの種別に対応する種別の商業空間に設置されたデジタルサイネージ4へ広告コンテンツを送信する。また、配信部51(51A)は、AP通信エリア6に存在する無線端末2(2A)のユーザ情報に基づき、広告コンテンツを送信するデジタルサイネージ4を選択することもできる。
また、上述の実施形態では、更新部53(53A)は、送客側通信エリアに進入した後、集客側通信エリアに進入した無線端末2(2A)がある場合に、広告コンテンツの送客カウント値の更新処理を行うが、送客側通信エリアに進入してから集客側通信エリアに進入するまで時間が所定時間以上である場合には、送客カウント値の更新処理を行わないようにもできる。例えば、更新部53(53A)は、送客側通信エリアに進入してから集客側通信エリアに進入するまで時間が1週間以上である場合には、送客カウント値の更新処理を行わない。
〔4.効果〕
上述してきたように、実施形態に係る広告システム1、1Aは、広告コンテンツが表示されるデジタルサイネージ4に対応する位置に設置された無線LANアクセスポイント3、3A(送客側無線LAN通信手段の一例)と、広告コンテンツの広告対象となる商業空間に設置された無線LANアクセスポイント3、3A(集客側無線LAN通信手段の一例)とを備える。そして、更新部53、53A(送客結果更新手段の一例)が、送客側通信エリアに進入した後、集客側通信エリアに進入した無線端末2、2Aを検出した場合に、広告コンテンツの送客カウント値(広告コンテンツによる送客結果の一例)を更新する。
広告コンテンツが表示される送客側通信エリアに進入した後に集客側通信エリアに進入した無線端末2、2Aのユーザは広告コンテンツによって集客側通信エリアへ誘導されたと推定できることから、上記構成により、送客カウント値に基づき広告コンテンツによる広告効果を迅速かつ適切に判定することができる。
また、取得部52(送客側情報取得手段の一例)が、送客側通信エリアに進入した無線端末2の情報を取得し、記憶部31(送客情報記憶手段の一例)が、取得部52によって取得された無線端末2の情報を記憶し、取得部52(集客側情報取得手段の一例)が、集客側通信エリアに進入した無線端末2の情報を取得し、更新部53が、取得部52(集客側情報取得手段の一例)によって取得された無線端末2の情報が記憶部31に記憶されている場合、広告コンテンツの送客カウント値を更新する。
上記構成により、無線端末2において送客側通信エリアに進入したことや集客側通信エリアに進入したことを把握することなく、広告コンテンツの送客カウント値を更新することができることから、無線端末2での処理負荷を軽減することができる。
また、記憶部31(送客情報記憶手段の一例)が、取得部52(送客側情報取得手段の一例)によって検出された無線端末2の情報を、デジタルサイネージ4に表示されている広告コンテンツの情報に関連付けて記憶し、更新部53(送客結果更新手段の一例)が、取得部52(集客側情報取得手段の一例)によって取得された無線端末2の情報が記憶部31(送客情報記憶手段の一例)に記憶されている場合に、無線端末2の情報に関連付けられた広告コンテンツの送客カウント値を更新する。
上記構成により、送客側通信エリアに進入した後に集客側通信エリアに進入した無線端末2がある場合に、送客カウント値の更新を容易かつ精度よく行うことができる。
また、無線端末2の情報は、当該無線端末2に固有の識別情報であり、取得部52(送客側情報取得手段の一例)が、送客側通信エリアに進入した無線端末2から当該無線端末2に固有の識別情報を取得し、取得部52(集客側情報取得手段の一例)が、集客側通信エリアに進入した無線端末2からこの無線端末2に固有の識別情報を取得する。
上記構成により、無線端末2を適切に識別することができ、これにより精度よく送客カウント値の更新を行うことができる。
また、配信部51A(送客情報送信手段の一例)が、送客側通信エリアに進入した無線端末2へ広告コンテンツの識別情報を送信し、取得部52A(送客情報取得手段の一例)が、集客側通信エリアに進入した無線端末2Aから広告コンテンツの識別情報を取得し、更新部53A(送客結果更新手段の一例)が、取得部52A(送客情報取得手段の一例)により情報を取得した無線端末2Aから広告コンテンツの識別情報を取得した場合に、この広告コンテンツの送客カウント値を更新する。
上記構成により、広告配信管理装置5Aで検出情報を取得して管理するなどの必要がなく、広告配信管理装置5Aの処理負荷を軽減することができる。
また、更新部53、53A(送客結果更新手段の一例)が、送客側通信エリアに進入した後、集客側通信エリアに進入した無線端末2、2Aの送客側通信エリアにおける電波強度および/または滞在時間が所定のカウント条件を満たす場合に、広告コンテンツの送客カウント値を更新する。
上記構成により、デジタルサイネージ4を視認した可能性がより高い無線端末2(2A)を送客カウント値の更新対象とすることができ、これにより、広告コンテンツによる広告効果をより精度よく判定することができる。
また、決定部54(決定手段の一例)が、送客カウント値に基づき、広告コンテンツのデジタルサイネージ4への表示に対する対価の額を決定する。
上記構成により、広告コンテンツによる広告効果に即した適切な広告料の設定を行うことができる。
〔5.その他〕
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
また、上述した広告配信管理装置5(5A)は、複数のサーバコンピュータで実現してもよく、また、機能によっては外部のプラットフォーム等をAPI(Application Programming Interface)やネットワークコンピューティングなどで呼び出して実現するなど、構成は柔軟に変更できる。また、上述した広告配信管理装置5(5A)の機能の一部を無線LANアクセスポイント3(3A)で実現するようにしてもよい。