JP5725605B2 - 軽度認知障害を処置するためのフェノチアジン化合物 - Google Patents

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Description

本発明は、概して軽度認知障害(MCI)の処置において使用するための方法及び物質に関する。
軽度認知障害(MCI)は、「認知症を伴わない認知障害」、又はCINDと呼ばれる広範な病型の小集団である。
CINDの潜在的原因は数多く、うつ病、アルコール/薬物摂取、精神疾患、せん妄、精神遅滞、血管性要因、パーキンソン病、てんかん、多発性硬化症、社会的要因及び感覚障害が挙げられる。
MCI被験体は、認知症になってはいないが、例えばアルツハイマー病(AD)のような認知症を発症する危険性がある(Larieu, S. et al. (2002) Incidence and outcome of mild cognitive impairment in a population-based prospective cohort. Neurology, 59: 1594-1599; Bennett, D.A. et al. (2002) Natural history of mild cognitive impairment in older persons. Neurology, 59: 198-205. In fact it has been estimated that 10% of those with MCI convert to AD (Bruscoli and Lovestone (2004), Is MCI really just early dementia? A systematic review of conversion studies. Int Psychogeriat. 16:2, 129-140)。
MCIは、FDAにより有効な処置対象であると認定されている(FDA (2001)
http://www.fda.gov/ohrms/dockets/ac/01/slides/3724s1_6_grundman/)。
このことは、MCIに関する多数の臨床試験の出現をもたらした(例えば、Thal et al., (2005), A randomized double-blind study of Rofecoxib in patients with Mild Cognitive Impairment, Neuropsychopharm, 30: 1204-1215)。
MCI又はMCIの症状を軽減するために、MCI用の代替の処置モダリティを提供することが、当該技術分野に貢献することは明らかである。
本発明者らによってここに、ジアミノフェノチアジン(DAPTZ)化合物が、AD型の任意の基本的な病理学の存在とは独立に、認知障害の症状軽減を提供するために使用できることが、予想外にも見出された。空間的参照記憶の向上が、若年と高齢のマウスを、及びまた正常なマウスとスコポラミン処置されたマウスを比較するモデルにおいて実証された。
これは、現存のMCI処置に対する代替の処置モダリティを提示するものである。
ジアミノフェノチアジン化合物の以前の用途
ジアミノフェノチアジンは、タウタンパク質の凝集を阻害し、PHFの構築を乱してPHFコアのタンパク質分解安定性を逆行させることが以前から示されている(WO96/30766, F Hoffman-La Rocheを参照)。そのような化合物については、AD及びレビー小体病を含む様々な疾患の治療及び予防のための使用が開示されていた。
さらに、WO02/055720(The University Court of the University of Aberdeen)は、ジアミノフェノチアジンの還元形を、様々なタンパク質凝集疾患の処置に特に使用することを述べているが、その開示は主にタウオパチーに関するものである。
上記とは対照的に、本発明は、特にMCIの処置に関する。
いくつかの研究において、薬物(例えばメチルチオニニウム塩化物(MTC)、メチレンブルーとしても知られる)が、ミトコンドリア呼吸の増強により媒介可能な記憶に対して効果があることが望ましいことを提唱している(例えば、Callaway et al., 2002; Callaway et al., 2004; Riha et al., 2005)。しかしながら、これらのうちのいずれも、MCIの対症療法におけるMTCの使用を開示するものはない。
Martinez et al. ("Methylene blue alters retention of inhibitory avoidance responses". Physiol Psychol 1978, 6:387-390)は、MTCの作用を、一試行の阻害回避ステップスルータスクにおいて調査している。該著者らは、メチレンブルーは、健忘作用(すなわち、健忘症を引き起こす)及び記憶増強効果の両方を有することを、論文の概念的枠組みにおいて結論付けている。該著者らは、異なる用量にて異なる効果が見られ、トレーニング前の高用量においては健忘作用、そしてトレーニング後の低用量においては学習増強効果が見られると主張している。この論文の重要な結論は、ペントースリン酸経路の操作が、記憶保存プロセスの調節に働き得ることである。
Callaway et al. ("Methylene blue restores spatial memory retention impaired by an inhibitor of cytochrome oxidase in rats". Neurosci. Lett. 2002, 332:83-86)は、ミトコンドリア阻害薬(アジ化ナトリウム)により誘発される行動障害を、MBが矯正したことを提唱した。しかしながら、技術開示を客観的に再検討すると、以下が示される:アジ化ナトリウムにより生じた学習欠陥をMBが矯正したエビデンスはない;及び、学習に対する作用はないのに記憶に対する選択的作用が存在することを示唆するデータの解釈は、実験計画の欠陥に鑑みて、もっともらしくない。具体的には、その実験計画は、トレーニング段階中の嗅覚的手がかりの検出から実験のプローブ段階中の異なるタスクまでのタスクの変化を管理していなかった。
上記にも関わらず、該著者らは「この研究の結果は、ミトコンドリア機能不全を伴う神経変性障害における記憶保持困難の臨床転帰に、MBが積極的な影響を及ぼす可能性を有することを示唆する」という推論を提起している。しかしながら、データ及び該著者らのいずれも、ミトコンドリア機能不全のない状況下において、MBの使用が向知性薬として作用し得ることを示唆していない。
Gonzalez-Lima F 及び Bruchey AK ("Extinction memory improvement by the metabolic enhancer methylene blue". Learning and Memory, 2004 11(5):633-640)は、消退後のMTC投与を調査し、MTCが、失われた条件反応の保持を増強できるかどうかを決定した。該著者らは、以下の推論を導く:「ヒトにおいて消退行動療法と併せておこなうMBの投与は、条件性恐怖又は他の外傷性記憶の消退の保持を推進する有用な治療的薬剤となり得る」。すなわち、該著者らはある特定の状況における健忘性作用を達成するための、MTCに的を絞った使用を主唱しているのである。
Callaway et al. ("Methylene blue improves brain oxidative metabolism and memory retention in rats Pharmacol". Biochem. Behav. 2004, 77:175-181)は、Callaway et al. (2002)と同じ行動パラダイムを用いた。しかしながら、論文の技術的内容を客観的に再検討すると、他の障害を持たない動物においてMBが学習を向上させたというエビデンスは明らかにならなかった。学習に対する作用はないのに記憶に対する選択的作用が存在することを示唆するデータの解釈は、実験計画の欠陥に鑑みて、もっともらしくない。具体的には、実験計画は、トレーニング段階中の嗅覚的手がかりの検出から実験のプローブ段階中の異なるタスクまでのタスクの変化を管理していなかった。したがって、MBが他の障害を持たない動物において記憶を向上させたというエビデンスはない。該著者らは、また、1mg/kg用量の単回投与の、1時間又は2時間後ではなく、24時間後に脳細胞におけるチトクロムオキシダーゼc活性が上昇したこと、ならびに、インビトロでチトクロムc及び脳細胞の調製に導入されたMBが、チトクロムcの酸化を増大させたということを示した。しかし、実施例3で考察したように、MBの脳レベルは投与後1〜4時間で最大となり、したがって、MBがMBの特定のチトクロムオキシダーゼ効果を1時間又は2時間ではなく24時間後において産生すると議論することは、もっともらしくない。これらの知見より、該著者らは「記憶保持におけるMBの作用機序は、チトクロムcの酸化の促進に関連している可能性がある」という推論を導く。
Riha et al. ("Memory facilitation by methylene blue: Dose-dependent effect on behaviour and brain oxygen consumption". Eur. J. Pharmacol. 2005, 511:151-158)は、1〜4mg/kgのMBで処置されたラットは、生理食塩水で処置したラットと歩行運動又は摂食行動において変わりなかったが、4mg/kgの投与は、行動習慣及び対象記憶認知を向上させたことを報告している。しかしながら、技術的開示を客観的に再検討すると、歩行運動に対する非特異的作用とは異なり行動習慣に対する特異的作用が存在するという主張を支持するものではなかった。さらにこの結果は、見慣れた対象の付近における調査の減少によって判断されるように、生理食塩水による処置と比較して、MBが見慣れた対象の検出を促進するということを実証するものではなかった。したがって、他の障害を持たないラットにおいて記憶を円滑化したというエビデンスはない。彼らはまた、低濃度のMBは、インビトロ及びインビボ投与の24時間後において脳の酸素消費量を増加させたが、投与後1時間又は2時間後においてはそのようなことはなかったことを報告している。これより、彼らは「脳の酸素消費量を増加させるメチレンブルーの投与は、記憶保持を円滑にする」と結論づけた。これより、彼らは次の推論を導いた:「我々の知見に基づくと、脳の酸化的代謝が低下しているヒト、例えばアルツハイマー病及び血管性認知症を有する個体における記憶促進剤としても、メチレンブルーが有用である可能性がある」。
Wrubel et al. (2007) ("Methylene blue facilitates the extinction of fear in an animal model of susceptibility of learned helplessness." Neurobiol. Learn. Mem. 2007, 87: 209-217)は、雌先天性無力症ラットにおける条件性恐怖消退に対するメチレンブルーの効果を試験した。該著者らは、消退取得の最中に投与された場合、メチレンブルーは記憶保持の消退を促進しないということを見出した。つまり、MBは消退の習得に対する効果を有さない。それにも関わらず、該著者らは以前の外傷性刺激の忘却をMBが促進したと報告している。彼らは、「メチレンブルーは、擬似体験療法の補助として恐怖消退を円滑にし得る」という推論を引き出している。つまり、著者らは、ある特定の状況における健忘性作用を達成するための、MTCの使用を再び主張しているのである。
Callaway et al. (2002)、Riha et al. (2005)及びCallaway et al. (2004)は、以下の一般的機序を述べるのに際してほぼ同じ様式の言葉を用いている:「記憶を向上するための伝統的な薬理的処置は特異的シナプス伝達物質に照準を合わせる一方、メチレンブルーのような代謝促進剤は、ミトコンドリア酸化的代謝を標的とすることにより、特定の神経伝達系の調整に付随する副作用を産生することなく全体的な脳のエネルギー産生及び記憶保持を向上させ得る」(Callaway et al., 2002)。したがって、彼らがメチレンブルーの使用を示唆する臨床症状は、リー病及びアルツハイマー病としてより具体的に列挙される「ミトコンドリア機能不全に付随する神経変性障害」(Callaway et al., 2002)、又は「アルツハイマー病及び血管性認知症を有する個体など、脳の酸化的代謝が低下しているヒト」(Riha et al., 2005)である。
列挙されたいずれの研究も、MTCがMCIの処置において症候的に使用できるという推論を引き出すものではなく、またその推論を引き出す根拠を与えるものでもなかった。
しかしながら、以下の実施例において、タウ病状、神経変異性障害、血管性認知症、酸素消費不全の疾患又はミトコンドリア欠損が存在しない別々の認知障害モデル(高齢の野生型マウスを含む)においてジアミノフェノチアジン(例えば、MTC)の使用が実証された。このことは、上記の状況における公知の先行技術の効果を考慮すると、全く予測することができない。具体的には、ジアミノフェノチアジン(例えば、MTC)は、見込みがないミトコンドリア機能不全、脳の低下した酸化的代謝又は血管機能障害の状況において記憶を向上することが示されている。
本発明
この予期されない発見は、したがって、(上述のように)新規な処置が著しく必要とされている、MCIの症状軽減の提供を示唆するものである。
したがって、本発明は様々な態様において以下を提供する:
i)患者におけるMCIの処置のための医薬の調製(又は製造方法)におけるDAPTZ化合物の使用。該医薬は、DAPTZ化合物を活性成分として又は活性成分の1種として含むように調製又は製造される。
ii)有効量のDAPTZ化合物を投与することを含む、患者におけるMCIを処置する方法。
iii)有効量のDAPTZ化合物を投与することを含む、患者におけるMCIの処置のためにDAPTZ化合物を使用するための方法。
以下に好ましいDAPTZ化合物をより詳細に述べる。
有効量の投与は、患者に利益、例えば健忘症状の寛解をもたらすものである。
ジアミノフェノチジンは、単独で、又は他の処置と組み合わされて、同時にもしくは連続して投与され得る。
興味深いことに、以下の実施例におけるMTCの作用は、一定期間内での向上に特異的であり、一定期間記憶促進に対しても傾向があったため、DAPTZ化合物による記憶障害の回復は、コリン系に対する作用を介するものではないと考えられている。したがって、処置は非コリン性機序を介して利益を提供するようなものであり得る。同様に、処置は非タウ凝集阻害機序を介して利益を提供するようなものであり得る。興味深いことに、薬剤を個別に投与した場合に、MTCは、リバスチグミンより良い治療指数を示しただけでなく、リバスチグミン及びMTCの両方を有効量未満の投与で同時投与すると、学習欠損及びスコポラミンに誘発された記憶障害の回復において相乗的に作用した。したがって、ChEI療法と組み合わせる場合、MTCの効果は増幅されるようであり、これは、この組み合わせ療法が症状の寛解だけでなく神経細胞の代謝にも有益に寄与し得、それにより薬剤の投与をより少なくすることができ、副作用の危険性を最小限にし得るという事実を支持するものである。
MCIの対症療法のためのMTCのようなDAPTZ化合物の、コリン作動性薬剤(例えば、アセチルコリンの作用を増強するか、又は模倣するもの)との組み合わせによる使用は、本発明の一態様である。
したがって、1つの態様において、処置は場合により1種以上の他の薬剤、例えば1種以上のコリンエステラーゼ阻害剤(例えばドネペジル(Aricept(商標)としても知られる)、リバスチグミン(Exelon(商標)としても知られる)、ガランタミン(Reminyl(商標)としても知られる)、NMDA受容体アンタゴニスト(例えばメマンチン(Ebixa(商標)、Namenda(商標)としても知られる)、ムスカリン受容体アゴニスト、及び/又はβ−アミロイドの生成促進につながるアミロイド前駆体タンパク質プロセッシングの阻害剤との組み合わせであり得る。
MCIの評価及び診断
MCIの概念の本質に対する議論が未だに文献でなされているが(Gauthier S. et al., Mild Cognitive Impairment, Lancet, 2006; 367: 1262-1270; Petersen RC et al. Neuropathological features of amnestic mild cognitive impairment. Arch Neurol 2006; 63: 665-672を参照)、MCIは有効な疾患標的であるとFDAにより認識されている。MCIは、認知症の診断に対する臨床基準を満たさないが、軽度の認知障害を有するものとして定義されている。
MCI徴候の代表的な基準は、以下に列挙される特性を含む。
A.患者は、正常でも認知症でもない。
B.対象認識試験(記憶の二次試験)に関連して、時間経過と共に客観的に測定される低下及び/又は自己及び又は情報提供者による主観的な低下の報告で示される認知の悪化のエビデンスがある。
C.日常生活の活動は維持され、複雑な道具的機能は損なわれていないか、又は最小限に損なわれている。
(Winblad, B. et al. (2004) Mild cognitive impairment - beyond controversies, towards a concensus: report of the International Working Group on Mild Cognitive Impairment. J. Intern. Med. 256: 240-246も参照のこと。)
上記で用いられる用語「認知症」は、米国精神医学会(American Psychiatric Association):精神障害の診断と統計の手引き(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)、第4版、Washington, D.C., 1994 ("DSM-IV")において定義されるように、広義において精神病状を指す。DSM-IVは、「認知症」を、記憶障害を含む複数の認知欠損で特徴付けられるものとして定義し、様々な認知症を、推定される原因にしたがって列挙している。DSM-IVは、そのような認知症及び随伴する精神障害の診断、分類及び処置において一般に受け入れられている基準を規定している。
MCIは、「健忘症」であり得る。
1つの好ましい定義において、健忘性MCIを有する個人は、一般的な認知指標については対照患者に対して0.5以内の標準偏差を有し、そしてまた記憶性能については対照患者に対して1.5低い標準偏差を有する。客観的に確認された記憶の低下は、いずれの個人がMCIを有するかを決定する上で有用である。
「MCI−非健忘症」又は「MCI−他」は、年齢及び教育に関して補正された平均より標準偏差で1.5より大きく下回る認知領域が2つ以上あるものとして定義され得る。
好ましい患者群
当該患者は、通常MCIと診断される者であるが、ADとは診断されない(つまり、認知症を示さない)者である。患者は、上述のように症状軽減という利益を受ける。
患者は、例えば、45、50又は55歳以上の年齢であり得る。
患者は、(i)ブラークステージ、(ii)MMSEスコアについて以下の基準の1つ又は全てを満たすものであり得る。
(i)ブラークステージ
ブラークステージのスキームにおいては、疾患の進行は7つのステージに分けられる(ブラークステージ0(以降「BST 0」又は「B 0」と表す)〜ブラークステージ6(「BST 6」又は「B 6」))。このシステムは、ADにおいて特徴的な神経原線維病理の神経解剖学的進行に基づくものである(Braak and Braak (Neuropathological stageing of Alzheimer-related changes. Acta Neuropathol (Berl). 1991;82(4):239-59)。
神経原線維の劣化を評価する方法は、WO02/075318に開示されている。
1つの態様において、本発明の方法によって処置することが望ましいMCI患者群は、BST 3以下、BST 2以下、より好ましくは1以下、より好ましくは0である。好ましい患者群は、臨床的認知症の可能性が比較的低く、そしてADの初期ステージを呈する可能性が比較的低いが、それにも関わらずMCIを煩う者である。
(ii)MMSEスコア
患者は、ある時点における、MCIの安定的な又は減退しつつある特徴的な認知機能障害(さらなる関連の臨床的特色と共に)を示し得る。
ミニメンタルステート検査(MMSE)は、簡便かつ迅速な認知機能の類別を管理する方法として提案されている標準化された試験である(Folstein MF, Folstein SE & McHugh PR. ‘Mini-mental state’. A practical method for grading the cognitive state of patients for the clinician. Journal of Psychiatric Research 1975 12 189-198)。MMSEは、高齢及び精神病患者における認知症に起因する認知不全の検出において最も広く用いられる認知スクリーニング手段である(Tombaugh TN & McIntyre NJ. The mini-mental state examination: a comprehensive review. Journal of the American Geriatric Society 1992 40 922-935)。MMSEは、配向性、記憶、注意力及び言語機能を評価する。
本発明が好ましく用いられ得る患者は、MMSEが、24、25、26、27、28又は29以下、より好ましくはMMSEが24、25又は26以下、最も好ましくはMMSEが24又は25以下の者であり得る。
利益及び処置
患者「を処置する」又は「に利益をもたらす」とは、病状の改善を意味し、例えば寛解、緩解、症状の減少、及び変性又は減退の速度低下のような任意の客観的及び主観的パラメータを含む。
症状の処置又は改善は、客観的又は主観的パラメータに基づくものであってもよく、神経精神的試験及び/又は精神医学的評価の結果、例えば、軽度の記憶喪失又は障害の軽減、及び/又は他の軽度の認知欠損の軽減を示す記憶タスク試験の成績向上を含む。
製品及びキット
別の態様において、本発明はMCIを煩う患者におけるMCIの処置のための薬剤製品であって、該薬剤製品が、MCIの処置用であることを表示するラベルが貼られているか又はそのラベルを伴う容器を含み、該容器が、それぞれ少なくとも1種以上の薬学的に許容し得る賦形剤、及び活性成分としての、単離され純粋である、本明細書に記載のものから選択されるDAPTZ化合物を含む1以上の投与単位を含有している、薬剤製品である。
本発明はさらに、DAPTZ化合物、ならびに適応症、用量及びMCIの処置のためのMTC投与スケジュールを教示する取扱い説明書を含む、ヒトにおいてMCIを処置するためのキットを提供する。
ジアミノフェノチアジン(DAPTZ)化合物
本発明は、以下の式の一つを有する特定のジアミノフェノチアジン化合物及びその類似体、ならびにその薬学的に許容しうる塩、水和物及び溶媒和物(以降「ジアミノフェノチアジン」又は「ジアミノフェノチアジン化合物」として総称される)に関する。

式(1)は、還元型の化合物を表し、他方、式(2)、(3)及び(4)は、それぞれ酸化型の化合物を表す。
一つの実施態様において、化合物は、式(1)で示される化合物、ならびにその薬学的に許容し得る塩、水和物及び溶媒和物から選択される。
一つの実施態様において、化合物は、式(2)又は(3)で示される化合物、ならびにその薬学的に許容し得る塩、水和物及び溶媒和物から選択される。
一つの実施態様において、化合物は、式(4)で示される化合物、ならびにその薬学的に許容し得る塩、水和物及び溶媒和物から選択される。
上記の構造はそれぞれ、数ある等価な共鳴構造の1つに過ぎず、これらは全てその代表的な構造によって包含されるものとする。例えば、構造(4)は、以下に示される数ある等価な共鳴構造の1つに過ぎず、これらは全て構造(4)によって包含されるものとする:
炭素環原子の置換基
上記の式のそれぞれにおいて、R、R、R、R、R及びRのそれぞれは、独立に:
−H;
−F;−Cl;−Br;−I;
−OH;−OR;
−SH;−SR;
−NO
−C(=O)R;
−C(=O)OH;−C(=O)OR;
−C(=O)NH;−C(=O)NHR;−C(=O)NR;−C(=O)NRN1N2
−NH;−NHR;−NR;−NRN1N2
−NHC(=O)H;−NRC(=O)H;−NHC(=O)R;−NRC(=O)R;
−R
から選択され、
ここで、各Rは、独立に:
非置換の脂肪族C1〜6アルキル;置換された脂肪族C1〜6アルキル;
非置換の脂肪族C2〜6アルケニル;置換された脂肪族C2〜6アルケニル;
非置換のC3〜6シクロアルキル;置換されたC3〜6シクロアルキル;
非置換のC6〜10カルボアリール;置換されたC6〜10カルボアリール;
非置換のC5〜10ヘテロアリール;置換されたC5〜10ヘテロアリール;
非置換のC6〜10カルボアリール−C1〜4アルキル;置換されたC6〜10カルボアリール−C1〜4アルキル
から選択され、
ここで、基−NRN1N2のそれぞれにおいて、独立に、RN1とRN2は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、3〜7個の環原子を有する環を形成する。
N1とRN2が、それらが結合している窒素原子と一緒になって3〜7個の環原子を有する環を形成する、基−NRN1N2の例には、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、ピロリル、及び置換された形態、例えばN−メチルピペラジノのようなN−置換体が含まれる。
一つの実施態様において、R、R、R、R、R及びRのそれぞれは、独立に:
−H;
−F;−Cl;−Br;−I;
−OH;−OR;
−C(=O)OH;−C(=O)OR;
−R
から選択される。
一つの実施態様において、R、R、R、R、R及びRのそれぞれは、独立に:
−H;
−R
から選択される。
一つの実施態様において、各Rは、独立に:
非置換の脂肪族C1〜6アルキル;置換された脂肪族C1〜6アルキル;
非置換の脂肪族C2〜6アルケニル;置換された脂肪族C2〜6アルケニル;
非置換のC3〜6シクロアルキル;置換されたC3〜6シクロアルキル
から選択される。
一つの実施態様において、各Rは、独立に:
非置換の脂肪族C1〜6アルキル;置換された脂肪族C1〜6アルキル
から選択される。
一つの実施態様において、各Rは、独立に:−Me、−Et、−nPr及び−iPrから選択される。
一つの実施態様において、各Rは、独立に:−Me及び−Etから選択される。
一つの実施態様において、C1〜6アルキル基は、C1〜4アルキル基である。
一つの実施態様において、C2〜6アルケニル基は、C2〜4アルケニル基である。
一つの実施態様において、C3〜6シクロアルキル基は、C3〜4シクロアルキル基である。
非置換の脂肪族C1〜6アルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソ−ペンチル、tert−ペンチル、ネオ−ペンチル、ヘキシル、イソ−ヘキシル等が含まれる。
非置換の脂肪族C2〜6アルケニル基の例には、プロペン−1−イル、プロペン−2−イル、ブテン−1−イル、ブテン−2−イル、ブテン−3−イル等が含まれる。
非置換のC3〜6シクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロプロピル−メチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が含まれる。
一つの実施態様において、C6〜10カルボアリール基は、Cカルボアリール基である。
一つの実施態様において、C5〜10ヘテロアリール基は、C5〜6ヘテロアリール基である。
一つの実施態様において、C6〜10カルボアリール−C1〜4アルキル基は、Cカルボアリール−C1〜2アルキル基である。
非置換のC6〜10カルボアリール基の例には、フェニル、ナフチルが含まれる。
非置換のC5〜10ヘテロアリール基の例には、ピロリル、チエニル、フリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニルが含まれる。
非置換のC6〜10カルボアリール−C1〜4アルキル基の例には、ベンジル、フェニルエチルが含まれる。
一つの実施態様において、任意の置換基(例えば、脂肪族C1〜6アルキル、脂肪族C1〜6アルケニル、C3〜6シクロアルキル、C6〜10カルボアリール、C5〜10ヘテロアリール、C6〜10カルボアリール−C1〜4アルキル上の)は、独立に:
−F;−Cl;−Br;−I;
−OH;−OR’;
−SH;−SR’;
−NO
−C(=O)R’;
−C(=O)OH;−C(=O)OR’;
−C(=O)NH;−C(=O)NHR’;−C(=O)NR’;−C(=O)NR’N1R’N2
−NH;−NHR’;−NR’;−NR’N1R’N2
−NHC(=O)H;−N’RC(=O)H;−NHC(=O)’R;−N’RC(=O)’R;
−R’
から選択され、
ここで、各R’は、独立に:
非置換の脂肪族C1〜6アルキル;置換された脂肪族C1〜6アルキル;
非置換の脂肪族C2〜6アルケニル;置換された脂肪族C2〜6アルケニル;
非置換のC3〜6シクロアルキル;置換されたC3〜6シクロアルキル;
非置換のC6〜10カルボアリール;置換されたC6〜10カルボアリール;
非置換のC5〜10ヘテロアリール;置換されたC5〜10ヘテロアリール;
非置換のC6〜10カルボアリール−C1〜4アルキル;置換されたC6〜10カルボアリール−C1〜4アルキル
から選択され、
ここで、基−NR’N1R’N2のそれぞれにおいて、独立に、R’N1とR’N2は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、3〜7個の環原子を有する環を形成する。
一つの実施態様において、任意の置換基(例えば、脂肪族C1〜6アルキル、脂肪族C1〜6アルケニル、C3〜6シクロアルキル、C6〜10カルボアリール、C5〜10ヘテロアリール、C6〜10カルボアリール−C1〜4アルキル上の)は、独立に:
−F;−Cl;−Br;−I;
−OH;−OR;
−C(=O)OH;−C(=O)OR’;
−R’
から選択される。
一つの実施態様において、任意の置換基(例えば、脂肪族C1〜6アルキル、脂肪族C1〜6アルケニル、C3〜6シクロアルキル、C6〜10カルボアリール、C5〜10ヘテロアリール、C6〜10カルボアリール−C1〜4アルキル上の)は、上記に定義した通りであり、ただし、各R’は、独立に
非置換の脂肪族C1〜6アルキル;
非置換の脂肪族C2〜6アルケニル;
非置換のC3〜6シクロアルキル;
非置換のC6〜10カルボアリール;
非置換のC5〜10ヘテロアリール;
非置換のC6〜10カルボアリール−C1〜4アルキル
から選択される。
一つの実施態様において、任意の置換基(例えば、脂肪族C1〜6アルキル、脂肪族C1〜6アルケニル、C3〜6シクロアルキル、C6〜10カルボアリール、C5〜10ヘテロアリール、C6〜10カルボアリール−C1〜4アルキル上の)は、上記に定義した通りであり、ただし、各R’は、独立に:
非置換の脂肪族C1〜6アルキル;
非置換の脂肪族C2〜6アルケニル;
非置換のC3〜6シクロアルキル
から選択される。
一つの実施態様において、任意の置換基(例えば、脂肪族C1〜6アルキル、脂肪族C1〜6アルケニル、C3〜6シクロアルキル、C6〜10カルボアリール、C5〜10ヘテロアリール、C6〜10カルボアリール−C1〜4アルキル上の)は、上記に定義した通りであり、ただし、各R’は、独立に:
非置換の脂肪族C1〜6アルキル;置換された脂肪族C1〜6アルキル
から選択される。
一つの実施態様において、任意の置換基(例えば、脂肪族C1〜6アルキル、脂肪族C1〜6アルケニル、C3〜6シクロアルキル、C6〜10カルボアリール、C5〜10ヘテロアリール、C6〜10カルボアリール−C1〜4アルキル上の)は、上記に定義した通りであり、ただし、各R’は、独立に:−Me、−Et、−nPr及び−iPrから選択される。
一つの実施態様において、任意の置換基(例えば、脂肪族C1〜6アルキル、脂肪族C1〜6アルケニル、C3〜6シクロアルキル、C6〜10カルボアリール、C5〜10ヘテロアリール、C6〜10カルボアリール−C1〜4アルキル上の)は、上記に定義した通りであり、ただし、各R’は、独立に:−Me及び−Etから選択される。
一つの実施態様において、R、R、R、R、R及びRのそれぞれは、独立に:−H、−Me、−Et、−nPr及び−iPrから選択される。
一つの実施態様において、R、R、R、R、R及びRのそれぞれは、独立に:−H、−Me及び−Etから選択される。
一つの実施態様において、R、R、R、R、R及びRのそれぞれは、独立に:−H及び−Meから選択される。
一つの実施態様において、R、R、R、R、R及びRのうちの4つ以外は、全て−Hである。
一つの実施態様において、R、R、R、R、R及びRのうちの2つ以外は、全て−Hである。
一つの実施態様において、R、R、R、R、R及びRのうちの1つ以外は、全て−Hである。
一つの実施態様において、R、R、R、R、R及びRのそれぞれは、−Hである。
アミノ基
上記の式のそれぞれにおいて、基−NR3NA3NBのそれぞれにおいて、存在する場合には、R3NAとR3NBのそれぞれは、独立に、−H、又は上記でRについて定義したとおりであるか;あるいはR3NAとR3NBは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、3〜7個の環原子を有する環を形成する。
例えば、一つの実施態様において、基−NR3NA3NBのそれぞれにおいて、存在する場合には、R3NAとR3NBのそれぞれは、独立に、上記でRについて定義したとおりであるか;あるいはR3NAとR3NBは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、3〜7個の環原子を有する環を形成する。
例えば、一つの実施態様において、各基−NR3NA3NBのそれぞれにおいて、存在する場合には、R3NA及びR3NBのそれぞれは、独立に:
−H;
非置換の脂肪族C1〜6アルキル;置換された脂肪族C1〜6アルキル;
非置換の脂肪族C2〜6アルケニル;置換された脂肪族C2〜6アルケニル;
非置換のC3〜6シクロアルキル;置換されたC3〜6シクロアルキル;
非置換のC6〜10カルボアリール;置換されたC6〜10カルボアリール;
非置換のC5〜10ヘテロアリール;置換されたC5〜10ヘテロアリール;
非置換のC6〜10カルボアリール−C1〜4アルキル;置換されたC6〜10カルボアリール−C1〜4アルキル
から選択されるか、あるいは、
3NAとR3NBは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、3〜7個の環原子を有する環を形成する。
例えば、一つの実施態様において、基−NR3NA3NBのそれぞれにおいて、存在する場合には、R3NA及びR3NBのそれぞれは、独立に:
非置換の脂肪族C1〜6アルキル;置換された脂肪族C1〜6アルキル;
非置換の脂肪族C2〜6アルケニル;置換された脂肪族C2〜6アルケニル;
非置換のC3〜6シクロアルキル;置換されたC3〜6シクロアルキル;
非置換のC6〜10カルボアリール;置換されたC6〜10カルボアリール;
非置換のC5〜10ヘテロアリール;置換されたC5〜10ヘテロアリール;
非置換のC6〜10カルボアリール−C1〜4アルキル;置換されたC6〜10カルボアリール−C1〜4アルキル
から選択されるか、あるいは、
3NAとR3NBは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、3〜7個の環原子を有する環を形成する。
別の例として、一つの実施態様において、基−NR3NA3NBのそれぞれにおいて、存在する場合には、R3NA及びR3NBのそれぞれは、独立に:
−H;
非置換の脂肪族C1〜6アルキル;置換された脂肪族C1〜6アルキル;
非置換の脂肪族C2〜6アルケニル;置換された脂肪族C2〜6アルケニル;
非置換のC3〜6シクロアルキル;置換されたC3〜6シクロアルキル
から選択されるか、あるいは、
3NAとR3NBは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、3〜7個の環原子を有する環を形成する。
別の例として、一つの実施態様において、基−NR3NA3NBのそれぞれにおいて、存在する場合には、R3NA及びR3NBのそれぞれは、独立に:
非置換の脂肪族C1〜6アルキル;置換された脂肪族C1〜6アルキル;
非置換の脂肪族C2〜6アルケニル;置換された脂肪族C2〜6アルケニル;
非置換のC3〜6シクロアルキル;置換されたC3〜6シクロアルキル
から選択されるか、あるいは、
3NAとR3NBは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、3〜7個の環原子を有する環を形成する。
別の例として、一つの実施態様において、基−NR3NA3NBのそれぞれにおいて、存在する場合には、R3NA及びR3NBのそれぞれは、独立に:
−H;
非置換の脂肪族C1〜6アルキル;
非置換の脂肪族C2〜6アルケニル
非置換のC3〜6シクロアルキルから選択されるか、あるいは、
3NAとR3NBは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、3〜7個の環原子を有する環を形成する。
別の例として、一つの実施態様において、基−NR3NA3NBのそれぞれにおいて、存在する場合には、R3NA及びR3NBのそれぞれは、独立に:
非置換の脂肪族C1〜6アルキル;
非置換の脂肪族C2〜6アルケニル;
非置換のC3〜6シクロアルキル;
から選択されるか、あるいは、
3NAとR3NBは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、3〜7個の環原子を有する環を形成する。
別の例として、一つの実施態様において、基−NR3NA3NBのそれぞれにおいて、存在する場合には、R3NAとR3NBのそれぞれは、独立に:−H、−Me、−Et、−nPr及び−iPrから選択される。
別の例として、一つの実施態様において、基−NR3NA3NBのそれぞれにおいて、存在する場合には、R3NAとR3NBのそれぞれは、独立に:−H、−Me及び−Et(例えば、−NR3NA3NBは、−NH、−NHMe、−NMe、−NHEt、−NEt又は−NMeEtである)から選択される。
別の例として、一つの実施態様において、基−NR3NA3NBのそれぞれにおいて、存在する場合には、R3NA及びR3NBのそれぞれは、独立に:−H及び−Me(例えば、−NR3NA3NBは、−NH、−NHMe又は−NMeである)から選択される。
正確な類似性を持って、上記の式のそれぞれにおいて、基−NR7NA7NBのそれぞれにおいて、存在する場合には、R7NA及びR7NBのそれぞれは、独立に:−H又は上記でRについて定義したとおりであるか;あるいはR7NAとR7NBは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、3〜7個の環原子を有する環を形成する。
例えば、一つの実施態様において、基−NR3NA3NBのそれぞれにおいて、存在する場合には、R7NA及びR7NBのそれぞれは、独立に、上記でRについて定義したとおりであるか;あるいはR7NAとR7NBは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、3〜7個の環原子を有する環を形成する。
一つの実施態様において、−NR3NA3NB及び−NR7NA7NBは、もし共に存在する場合には、同一である。
一つの実施態様において、−NR3NA3NB及び−NR7NA7NBは、もし共に存在する場合には、異なっている。
上記の式のそれぞれにおいて、基=NR3NCのそれぞれにおいて、存在する場合には、R3NCは、独立に、−H、又は上記でRについて定義したとおりである。
例えば、一つの実施態様において、基=NR3NCのそれぞれにおいて、存在する場合には、R3NCは、独立に、上記でRについて定義したとおりである。
例えば、一つの実施態様において、基=NR3NCのそれぞれにおいて、存在する場合には、R3NCは、独立に:
−H;
非置換の脂肪族C1〜6アルキル;置換された脂肪族C1〜6アルキル;
非置換の脂肪族C2〜6アルケニル;置換された脂肪族C2〜6アルケニル;
非置換のC3〜6シクロアルキル;置換されたC3〜6シクロアルキル;
非置換のC6〜10カルボアリール;置換されたC6〜10カルボアリール;
非置換のC5〜10ヘテロアリール;置換されたC5〜10ヘテロアリール;
非置換のC6〜10カルボアリール−C1〜4アルキル;置換されたC6〜10カルボアリール−C1〜4アルキル
から選択される。
例えば、一つの実施態様において、基=NR3NCのそれぞれにおいて、存在する場合には、R3NCは、独立に:
非置換の脂肪族C1〜6アルキル;置換された脂肪族C1〜6アルキル;
非置換の脂肪族C2〜6アルケニル;置換された脂肪族C2〜6アルケニル;
非置換のC3〜6シクロアルキル;置換されたC3〜6シクロアルキル;
非置換のC6〜10カルボアリール;置換されたC6〜10カルボアリール;
非置換のC5〜10ヘテロアリール;置換されたC5〜10ヘテロアリール;
非置換のC6〜10カルボアリール−C1〜4アルキル;置換されたC6〜10カルボアリール−C1〜4アルキル
から選択される。
別の例として、一つの実施態様において、基=NR3NCのそれぞれにおいて、存在する場合には、R3NCは、独立に:
−H;
非置換の脂肪族C1〜6アルキル;置換された脂肪族C1〜6アルキル;
非置換の脂肪族C2〜6アルケニル;置換された脂肪族C2〜6アルケニル;
非置換のC3〜6シクロアルキル;置換されたC3〜6シクロアルキル
から選択される。
別の例として、一つの実施態様において、基=NR3NCのそれぞれにおいて、存在する場合には、R3NCは、独立に:
非置換の脂肪族C1〜6アルキル;置換された脂肪族C1〜6アルキル;
非置換の脂肪族C2〜6アルケニル;置換された脂肪族C2〜6アルケニル;
非置換のC3〜6シクロアルキル;置換されたC3〜6シクロアルキル
から選択される。
別の例として、一つの実施態様において、基=NR3NCのそれぞれにおいて、存在する場合には、R3NCは、独立に:
−H;
非置換の脂肪族C1〜6アルキル;
非置換の脂肪族C2〜6アルケニル;
非置換のC3〜6シクロアルキル
から選択される。
別の例として、一つの実施態様において、基=NR3NCのそれぞれにおいて、存在する場合には、R3NCは、独立に:
非置換の脂肪族C1〜6アルキル;
非置換の脂肪族C2〜6アルケニル;
非置換のC3〜6シクロアルキル
から選択される。
別の例として、一つの実施態様において、基=NR3NCのそれぞれにおいて、存在する場合には、R3NCは、独立に:−H、−Me、−Et、−nPr及び−iPrから選択される。
別の例として、一つの実施態様において、基=NR3NCのそれぞれにおいて、存在する場合には、R3NCは、独立に:−H、−Me及び−Et(例えば、=NR3NCは、=NH、=NMe又は=NEtである)から選択される。
別の例として、一つの実施態様において、基=NR3NCのそれぞれにおいて、存在する場合には、R3NCは、独立に:−H及び−Me(例えば、=NR3NCは、=NH又は=NMeである)から選択される。
正確な類似性を持って、上記の式のそれぞれにおいて、基=NR7NCのそれぞれにおいて、存在する場合には、R7NCは、独立に、上記でR3NCについて定義したとおりである。
窒素環原子置換基
さらに、正確な類似性をもって、上記の式のそれぞれにおいて、RN10は、存在する場合には、独立に、上記でR3NC(又はR7NC)について定義したとおりである。
例えば、一つの実施態様において、RN10は、存在する場合には、独立に:−H及び非置換の脂肪族C1〜6アルキルから選択される。
例えば、一つの実施態様において、RN10は、存在する場合には、独立に:−H、−Me及び−Etから選択される。
例えば、一つの実施態様において、RN10は、存在する場合には、独立に:−H及び−Meから選択される。
例えば、一つの実施態様において、RN10は、存在する場合には、独立に、−Hである。
カウンターイオン
は、存在する場合には、電気的中性を達成するための1つ以上のアニオンカウンターイオンである。
好適なアニオンカウンターイオンの例は、見出し「塩」のもとで述べられている。
一つの実施態様において、Xは、独立に、ハロゲンアニオン(すなわち、ハライド)である。
一つの実施態様において、Xは、独立に、Cl、Br又はIである。
一つの実施態様において、Xは、独立に、Clである。
一つの実施態様において、Xは、独立に、NO である。
組み合わせ
上記の実施態様の有望な組み合わせは全て、本明細書中に各組み合わせが個別かつ明白に記述されているかのように開示されている。
異性体
特定の化合物は、1つ以上の具体的な幾何学的、光学的、鏡像異性的、ジアステレオ異性的、エピマー的、アトロプ的、立体異性的、互変異性的、立体配座的又はアノマー的形態で存在し得る。その例には、シス及びトランス体;E及びZ体;c、t及びr体;エンド及びエキソ体;R、S及びメソ体;D及びL体;d及びl体;(+)及び(−)体;ケト、エノール及びエノラート体;シン及びアンチ体;シンクリナル及びアンチクリナル体;α及びβ体;アキシャル及びエカトリアル体;ボート、椅子、ねじれ、エンベロープ、半椅子型;ならびにこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されず、以降総称して「異性体」(又は「異性型」)と呼ばれる。
ここで、互変異性型について以下に述べる場合を除いては、特に本明細書で使用される用語「異性体」からは、構造的(又は構成的)異性体(例えば、単に空間における原子の位置ではなく、むしろ、原子間の結合が異なる異性体)が具体的に除かれることに留意すべきである。例えば、メトキシ基の言及は、−OCHは、その構造異性体であるヒドロキシメチル基、−CHOHに言及するものであるとは解釈されない。同様に、オルト−クロロフェニルの言及は、その構造異性体であるメタ−クロロフェニルに言及するものであるとは解釈されない。しかしながら、構造の集合の言及は、その集合に該当する構造異性体も含み得る(例えば、C1〜7アルキルは、n−プロピル及びイソ−プロピルを含み、ブチルは、n−、イソ−及びtert−ブチルを含み、メトキシフェニルは、オルト−、メタ−及びパラ−メトキシフェニルを含む)。
上記の排除は、互変異性型については関係せず、例えば次の互変異性型の対:ケト/エノール(以下に図解される)、イミン/エナミン、アミド/イミドアルコール、アミジン/アミジン、ニトロソ/オキシム、チオケトン/エンチオール、N−ニトロソ/ヒドロキシアゾ及びニトロ/アシ−ニトロに見られる、ケト、エノール及びエノラート型などについては関係しない。
用語「異性体」には、1つ以上の同位体置換がされた化合物が具体的に含まれていることに留意すべきである。例えば、Hは、H、H(D)及びH(T)を含む任意の同位体であってもよく;Cは、11C、12C、13C及び14Cを含む任意の同位体であってもよく;Oは、16O及び18Oを含む任意の同位体であってもよい;及び同等のものである。
他にことわりのない限り、特定の化合物の言及は、そのような異性体の全てを含み、その(完全な又は部分的な)ラセミ混合物及び他の混合物を含む。そのような異性体の製造方法(例えば、不斉合成)及び分離(例えば、分別結晶及びクロマトグラフィーの手法)は、当該技術分野において公知であるか、あるいはここで教示される方法又は公知の方法を、公知のように適合させることにより容易に得ることができる。

化合物の対応する塩、例えば薬学的に許容し得る塩を製造、精製及び/又は扱うことが便利又は望ましいことがある。薬学的に許容し得る塩の例は、Berge et al., 1977, "Pharmaceutically Acceptable Salts," J. Pharm. Sci., Vol. 66, pp. 1-19に述べられている。
例えば、化合物がアニオン性である場合、またはアニオン性であり得る官能基(例えば、−COOHは、−COOであり得る)を有している場合、塩は、好適なカチオンと形成され得る。好適な無機カチオンには、Na及びKのようなアルカリ金属イオン、Ca2+及びMg2+のようなアルカリ土類カチオン、及びAl3+のような他のカチオンが含まれるが、これらに限定されない。好適な有機カチオンの例には、アンモニウムイオン(すなわち、NH )及び置換されたアンモニウムイオン(例えば、NH、NH 、NHR 、NR )が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの好適な置換アンモニウムイオンの例には、エチルアミン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン、ベンジルアミン、フェニルベンジルアミン、コリン、メグルミン及びトロメタミンから、ならびにアミノ酸、例えばリジン及びアルギニンから誘導されるものが含まれる。第4級アンモニウムイオンの例は、N(CH である。
化合物がカチオン性である場合、又はカチオン性であり得る官能基(例えば、−NHは−NH であり得る)を有している場合、塩は、好適なアニオンと形成され得る。好適な無機アニオンの例には、以下の無機酸:塩化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、リン酸及び亜リン酸から誘導されるものが含まれるが、これらに限定されない。
好適な有機アニオンの例には、以下の有機酸:2−アセチルオキシ安息香酸(acetyoxybenzoic)、酢酸、アスコルビン酸、アスパルギン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、ケイ皮酸、クエン酸、エデト酸、エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルケプトン酸(glucheptonic)、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヒドロキシマレイン酸、ヒドロキシナフタレンカルボン酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオ酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、粘液酸、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、フェニルスルホン酸、プロピオン酸、ピルビン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、酒石酸、トルエンスルホン酸及び吉草酸から誘導されるものが含まれるが、これらに限定されない。好適なポリマー有機アニオンの例には、以下のポリマー酸:タンニン酸及びカルボキシメチルセルロースから誘導されるものが含まれるが、これらに限定されない。
化合物は、混合塩の形態でも提供され得る(すなわち、塩又は別の塩と組み合わされる化合物)。例えば、メチル−チオニニウム塩化物塩化亜鉛混合塩(MTZ)は、メチル−チオニニウム塩化物(MTC)、塩化物、及び別の塩である、塩化亜鉛の混合塩である。そのような混合塩は、用語「及びその薬学的に許容し得る塩」に包含されることが意図されている。
他に断りのない限り、特定の化合物の引用は、その塩の形態も含む。
水和物及び溶媒和物
活性化合物の対応する溶媒和物を製造、精製及び/又は扱うことが便利又は望ましいことがある。本明細書で使用される用語「溶媒和物」は、従来の意味においては溶質(例えば、化合物及び化合物の塩)と、溶媒との錯体を指す。溶媒が水である場合、溶媒和物は好都合には水和物と称され得、例えば一水和物、二水和物、三水和物などである。
他に断りのない限り、特定の化合物の引用は、その溶媒和物の形態も含む。
いくつかの好ましい実施例
いくつかの好ましいジアミノフェノチアジンには、以下、ならびにその薬学的に許容し得る塩、水和物及び溶媒和物が含まれる。



一つの実施態様において、ジアミノフェノチアジンは、MTC、ETC、DEMTC、DEETC、チオニン及びトロニウム塩化物(トルイジンブルーOとしても知られる)及び上記の化合物Qから選択される。化合物Qは、2006年3月29日に出願された米国特許仮出願第60/786,690号、表題「3,7-Diamino-10H-Phenothiazine Salts and Their Use」(Wischik et al.−WO2007/110627として公開)に基づく同時係属出願に記載されているように製造することができる。
用量単位、ならびに化合物の配合及び投与
本明細書に記載されている化合物、組成物又は医薬の投与は、好ましくは「治療上有効な量」においてであり、したがって上述のように個人に対して利益を示すのに十分である。
医薬に関して、実際の投与量、ならびに投与の速度及び経時変化は処置されるMCIの性質及び重篤性に依存する。例えば用量の決定等の処置の指示は、一般の医療従事者及び他の医師の責任の範疇にあり、典型的には処置される障害、患者個人の病状、送達の場所、投与方法及び医療従事者に周知の他の要因を考慮するものである。
本発明のフェノチアジンの例は、当該技術分野において既知であり、標準的なテキスト(例えばMerck Manual, Houben-Weyl, Beilstein E III/IV 27, 1214 ff, J. Heterocycl. Chem 21, 613 (1984)等)中で引用されている方法によって製造することができる。上記の式で示される化合物、その薬学的に許容し得る塩、又は与えられたアッセイで定義される物性を有することが見出された他の化合物が、毒性に関するさらなる試験の後で医薬として使用されるであろう(例えば医薬製剤の形態で)。
広範な医学的適応における従前のメチレンブルーの薬学的使用が記載されており、これにはメトヘモグロビン血症の処置及び躁うつ病の予防が含まれ(Naylor (1986) Biol. Psychiatry 21, 915-920)、そしてCNS浸透とこれに続く全身投与が記載されている(Muller (1992) Acta Anat., 144, 39-44)。アズールA及びBの産生は、メチレンブルーの通常の代謝的分解の産物として起こる(Di Santo and Wagner (1972a) J. Pharm. Sci. 61, 598-602; Di Santo and Wagner (1972b) J. Pharm. Sci. 61 1086-1094)。医薬品の投与は、例えば、経口的(例えば錠剤、コートされた錠剤、ドラジェ、硬及び軟ゼラチンカプセル、液剤、乳剤又は懸濁剤の形態で)、経鼻的に(例えば点鼻薬の形態で)又は直腸的に(例えば坐剤の形態で)など、非経口的に実行できる。しかしながら、投与は非経口的に、例えば筋肉内に又は静脈内に(例えば、注射剤の形態で)実行することもできる。
組成物は、上述の成分に追加して、薬学的に許容し得る賦形剤、保存剤、可溶化剤、増粘物質、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色剤、香味料、浸透圧の変化させるための塩、緩衝剤又はコーティング剤を含んでもよい。そのような材料は、非毒性であって、活性物質の有効性を妨げないものであるべきである。担体又は他の材料の詳細な性質は、投与経路に依存し得る。技法及び手順の例は、"Remington's Pharmaceutical Sciences", 16th edition, Osol, A. (ed.), 1980に見出される。
組成物が医薬組成物に配合される場合においては、その投与は、経口的に(例えば粉末、錠剤、コートされた錠剤、ドラジェ、硬及び軟ゼラチンカプセル、液剤、乳剤又は懸濁剤の形態で)、経鼻的に(例えば点鼻薬の形態で)又は直腸的に(例えば坐剤の形態で)など、非経口的に実行できる。しかしながら、投与は非経口的に、例えば筋肉内に、静脈内に、皮膚に、皮下に又は腹腔内に(例えば、注射剤の剤形で)に実行することもできる。
したがって、例えば、医薬組成物が錠剤の形態である場合には、個体担体、例えばゼラチン又は佐剤を含み得る。錠剤、コートされた錠剤、ドラジェ及び硬ゼラチンカプセルの製造において、活性成分及びその薬学的に許容し得る酸付加塩は、薬学的に不活性な、無機及び有機賦形剤と共に加工され得る。例えば、ラクトース、トウモロコシ、デンプン又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩等が、そのような錠剤、ドラジェ及び硬ゼラチンカプセル用の賦形剤として使用できる。軟ゼラチンカプセルに好適な賦形剤は、例えば植物油、ワックス、脂肪、半固体及び液体ポリオール等である。組成物が液体の医薬配合物の形態である場合、それは水、石油、動物又は植物油、鉱物油又は合成油のような液体の担体を一般的に含む。生理食塩水、デキストロース又は他のサッカリド溶液、あるいはエチレングリコール、プロピレングリコール又はポリエチレングリコールのようなグリコールも含まれ得る。液剤及びシロップの製造用の他の好適な賦形剤は、例えば、水、ポリオール、サッカロース、転化糖、グルコース、トレハロース等である。注射剤に好適な賦形剤は、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセロール、植物油等である。静脈内、皮膚又は皮下注射、あるいは脳へのカテーテル内注入のためには、活性成分は、パイロジェンを含まず、好適なpH、等張性及び安定性を有する、非経口的に許容可能な水溶液の形態である。当該技術分野に関連した当業者は、例えば塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、乳酸リンゲル注射液などの等張性媒体を用いる好適な液剤を調製できるであろう。保存剤、安定剤、緩衝剤及び/又は他の添加剤も、必要に応じて含まれてもよい。
本明細書の化合物の、リガンドとしての使用は、類似の担体又は組成物を利用し得る。
したがって、ジアミノフェノチアジン(例えばMTC)がヒト又は動物の身体の処置又は治療の方法に用いられる本発明の態様において、その方法は、好ましくは有効量のジアミノフェノチアジンを経口的に投与することを伴う。
好ましくは、医薬は経口投与に適応するようにされており、好ましくは固形製剤である。
好ましくは、製剤は経口的投与される。好ましくは、1日の総投与量は400、300、200又は100mg以下である。これは例えば、10、20、30、40、50、60、60、80、90、100、110、120又は130mg t.i.d.(一日三回)の投与単位からなるものであってもよい。
あるいは、10、20、30、40、50、60、60、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190又は200mg b.i.d.(一日二回)の投与単位からなるものであってもよい。
好ましくは、処置は少なくとも2、3又は4週間継続される。
これらの投与量に関する説明書は、文書の形態で、本発明の薬剤製品の容器上又はその中に含まれ得る。
投与が静脈内である場合、ジアミノフェノチアジンがMTCではないことが好ましい。
本明細書中でなされる任意の相互参照の開示は、当業者が本開示を補足するのに必要とされることを考慮して、本発明に具体的に組み込まれる。
以下、非制限的な図及び実施例を参照し、本発明をさらに記載する。これらの観点から当業者は、本発明の他の実施態様を思いつくであろう。
本明細書に引用される全ての引例の開示は、当業者が本発明を実施することを考慮して、相互参照により本発明に具体的に組み込まれる。
空間的参照記憶タスクにおける薬剤の効果。縦軸は、全ての薬剤群に対する1日当たりの経路長(6回の試行の平均値±標準誤差)を表す。 プールの外面積10%において費やした時間の割合として表現される、接触走性に対する薬剤の効果;1日の平均値±標準誤差。 水迷路中での動物の水泳速度に対する薬剤の効果。平均値±標準誤差。 水迷路タスクの学習段階にある動物の水泳状況の生存プロット。縦軸は、異なる処置群に関する経路長(すなわち、泳いだ距離)に対して、依然として泳ぎ手でいる確率(すなわち、プラットホームを見つけていない)を示す。 処置後の効果をCox比例障害分析により決定されるパラメータを用いて標準化すると、残余分配は、経路長が予測された基礎的指数関数に非常に近いことを示した。 グラフ中、経路長を表す評価基準が、各処置群について日数に対してプロットされる。全体としての処置の違い(日数に対する平均)が、「平均」という見出しの上に示される。特定の処置群間の違いに対応するp値が与えられる。 逃避潜時を表す評価基準が、各処置群について日数に対してプロットされる。全体としての処置の違い(日数に対する平均)が、「平均」という見出しの上に示される。特定の処置群間の違いに対応するp値が与えられる。 プラットホームを取り除いた後に4分の1領域(target quadrant)で費やした時間の割合。4日目及び5日目は、それぞれ学習段階の完了後1.5時間及び24時間での能力を表す。処置群間の違いの統計的有意性を示すp値及び25%の可能性レベルが、日ごと及び全日数の両方に関して、日数に対する平均について示される(「平均」)。 下記に基づく複合的パラメータである、計算された「局所化」:以前のプラットホームの位置への訪問回数;プラットホームの直径の2倍の面積として定義される周辺領域への訪問回数;この周辺領域中にいる時間;及び4分の1領域中にいる時間。4日目は、学習段階の完了後1.5時間での能力を表す。5日目は、学習段階の完了後24時間での能力を表す。処置群間の違いの統計的有意性を示すp値及び25%の可能性レベルが、日ごと及び全日数の両方に関して、日数に対する平均について示される(「平均」)。 プラットホーム領域に到達するのに要する時間及びプラットホームの直径の2倍の面積として定義される領域に到達するのに要する時間に基づく複合的パラメータである、計算された「逃避潜時」。4日目は、学習段階の完了後1.5時間での能力を表す。5日目は、学習段階の完了後24時間での能力を表す。処置群間の違いの統計的有意性を示すp値及び25%の可能性レベルが、日ごと及び全日数の両方に関して、日数に対する平均について示される(「平均」)。 4日目(学習段階の完了後1.5時間)と5日目(学習段階の完了後24時間)に接触走性ゾーン(プール領域の外側10%として定義される)で費やした時間の割合。処置群間の違いの統計的有意性を示すp値が、日ごと及び全日数の両方に関して、日数に対する平均について示される(「平均」)。接触走性行動が少ない動物ほど不安が少ない。 経路長(cm)、逃避潜時(秒)、速さ(cm/s)及び接触走性(ゾーン中で費やした時間の割合)の、齢(月齢)による全体を通した変化。データは、実験の学習段階の4日間について平均化され、プラットホームに到達しないマウスの経路長における天井効果を排除している。標準誤差バーが与えられる。 経路長(cm)、逃避潜時(秒)、速さ(cm/s)及び接触走性(ゾーン中で費やした時間の割合)の平均値の、齢(月齢)による1日毎の変化。実験の学習段階の4日間について平均化され、プラットホームに到達しないマウスの経路長における天井効果を排除している。標準誤差バーが与えられる。 水迷路タスクの学習段階にある動物の水泳状況の生存プロット。縦軸は、異なる処置群における経路長(すなわち、泳いだ距離)に対して、依然として泳ぎ手でいる確率(すなわち、プラットホームを見つけていない)を示す。 Cox比例障害分析により決定されるパラメータを用いて処置後の効果を標準化すると、残余分配は、経路長は予測された基礎的指数関数に非常に近いことを示した。 グラフ中、経路長を表す評価基準が、各処置群について齢に対して日ごと及び全日数の平均ごとにプロットされる。特定の処置群間の違いに対応するp値が与えられる。 グラフ中、逃避潜時を表す評価基準が、各処置群について齢に対して日ごと及び全日数の平均ごとにプロットされる。特定の処置群間の違いに対応するp値が与えられる。 プラットホームを取り除いた後に4分の1領域で費やした時間の割合。4日目及び5日目は、各齢群(2.5、6及び13ヶ月)に対して示され、それぞれ学習段階の完了後1.5時間及び24時間での成果を表す。処置群間の違いの統計的有意性を示すp値及び25%の可能性レベルが示される。 異なる齢及び処置群におけるマウスの代表的な水泳経路(Tは、4分の1領域を特定する)。 下記に基づく複合的パラメータである、計算された「局所化」:以前のプラットホームの位置への訪問回数;プラットホームの直径の2倍の面積として定義される周辺領域への訪問回数;この周辺領域中にいる時間;及び4分の1領域中にいる時間。2つの評価時刻(学習段階の完了後1.5時間及び24時間)が、各齢群(2.5、6及び13ヶ月)に関して示される。与えられるp値は、日ごとの違いの処置群間の統計的有意性を示す。 対照と比較した有効用量より少ない薬剤同時投与。図は、下記評価基準に関して4つの群の比較を示す:経路長(A及びB);経路長の減少(C);水泳速度(D);接触走性(E);及び空間記憶(F)。
実施例
実施例1−MTC及びスコポラミンの、認知における効果
1)研究の目的及び背景
目的は、MTCが、ムスカリンアンタゴニストであるスコポラミンの急性注入により誘発される認知欠損を、逆行させることが可能かどうかを調べることである。スコポラミン誘発性記憶障害は、MCI又は認知症に見出され得るような健忘症を模倣するのに広く用いられる。
スコポラミン誘発性記憶障害
中枢ムスカリン受容体の薬理的遮断は、学習及び想起を検証する様々なタスクを行う広範な動物モデルにおいて、短期間の健忘症様の応答を産生する(Flood, T. and A. Cherkin, Scopolamine effects on memory retention on mice: A model of dementia? Behav. Neurol. Biol. 45 (1981), pp. 169-184)。スコポラミンは、タスク訓練の直前に投与された場合において特に効果的である。
モーリス水迷路
げっ歯類の作業記憶の評価において最も広く実施されるパラダイムの1つが、モリス水迷路空間通行タスクである(Morris, R. Development of a water-maze procedure for studying spatial learning in rat. J. Neurosci. Methods 11 (1984), pp. 47-60)。
スコポラミンの低用量投与は、タスク能力を効果的に妨げることが示された。スコポラミンの迷路能力に対する効果は、古典的(中枢−作用性の)ムスカリン受容体アゴニスト、特にアセチルコリンエステラーゼの阻害剤の投与により逆行させることができる(Shannon, H.E. and Peters S. C. A comparison of effects of cholinergic and dopaminergic agents on scopolamine-induced hyperactivity in mice. J. Pharmacol. Exp. Ther. 255 (1990), pp. 549-553)。
2)材料及び方法
試験化合物
生理食塩水(0.9%NaCl)、MTC(Simpsons, UK)、スコポラミン臭化水素酸塩、Sigmaから購入した非特異的ムスカリンアンタゴニスト、及びポジティブコントロールとして用いられる酒石酸リバスチグミンからなる媒体中に、以下の試験化合物を調製した。
リバスチグミンは、NovartisよりExelon(登録商標)として販売されているアセチルコリンエステラーゼ阻害剤である。ドネペジル、ガランタミン及びラバスチグミンは、短期間における有効性が中程度であり、対症的であり、そして患者の小集団においてしか明白でないものの、アルツハイマー病の処置に関して多くの国で承認されている同様の阻害剤である。
雌、3〜4月齢NMRIマウスを、Harlan, UKより入手した。
マウスを群毎に収容し(ケージ当たり7〜9匹)、明かりを7am〜7pmの間保ち、実験は明期に実施した。マウスは全部で82匹であり、そのうち12匹は、水迷路試験中の旋回行動のために研究から除外した。これらは6つの群に分けられ、以下のように薬剤の投与を受けた。
動物は2回の注射を受け、すなわち1回目(生理食塩水又はスコポラミン)を試験の35分前に、そして2回目(生理食塩水、リバスチグミン、又はMTCの2つの異なる用量のうちの1つ)を1回目の注射の5分後に受け、MTCが常に試験の30分前に注射されるようにした。薬剤の注射量は動物の体重30g当たり0.2mlであり、これらは腹腔内に注射された。用量は、前述の通りであった。
行動の試験を、モーリス水迷路空間通行タスク(Morris, 1984)を用いて行った。水迷路は、水面下1cmに水浸されたプラットホームが唯一の回避手段となっている、水が満たされたプール(直径1.5m、20±2℃)からなる。マウスを、4つの基本サイト(南、西、北及び東)から、プールの壁に向けて、ランダムな様式で放し、したがってマウスは、周りの手がかり(distal cue)を用いる空間的マッピングの方法により正確なプラットホームの位置についての空間的知識を獲得しなくてはならなかった。
各動物に一日当たり6回の試行を行わせ、最長60秒間泳がせ、プラットホーム上に30秒間滞在させた。動物が割り当てられた時間(60秒)中にプラットホームを見つけなかった場合、試験者によってプラットホームまで導かれた。試行間のインターバルは10〜20分であった。動物に4日間連続して訓練を受けさせ、訓練後約1.5及び24時間プローブ試行(プール中にプラットホームがない状況での60秒間の自由な水泳)を行わせ、短期及び長期の記憶をそれぞれ試験した。動物の行動は、頭上のカメラで記録し、データをPCに送信してオンライン保存及び分析(EthoVision basic version 3.0.8. Noldus Information Technology, Netherlands)を行った。ソフトウエアを、以下のように設定した:プール領域、直径150cm(240ピクセル);接触走性ゾーン、直径141cm(プール領域の外側10%、225ピクセル);プラットホーム、直径12cm(19ピクセル)及びカウンター領域、直径24cm(38ピクセル)。
3)結果
学習段階の結果は、従来のもの及び先端的なものの2つの分析方法で提示される。従来の分析は、行動神経薬理学の分野で一般的に実践されている統計的方法に従い、正規分布の最小二乗直線回帰分析が適切であるという仮定に基づいた分散分析(ANOVA)を利用するものである。先端的分析は、データに内在する性質に基づいてモデルを作り、そして対応の統計的比較を実施するものである。概して同様な結論に至るが、先端的分析の方法の方が統計的により強固である。
3.1−学習段階−従来の分析
4日間の訓練にわたる水泳経路長を各群ごとの1日の平均としてプールし、結果を図1に示す。
スコポラミンと、続けて生理食塩水で処置したマウスは、タスクを学習せず、水泳経路長は4日間かけても減少せず、これにより薬剤で誘発される学習障害が裏付けられ、スコポラミン群に関しては日数による効果(F(3,33)=2.004;p=0.1325)がなかった。薬剤による処置及び日数をファクターとして用いる2方向ANOVAによる分析は、薬剤に関して(F(5,192)=9.305;p<0.0001)の全体的な効果をもたらした。この効果は、主に[生理食塩水+スコポラミン]群によるものである。なぜならば、分析からこの群を除外すると、全ての群が優れた学習カーブを提示し、強力な日数による効果(F(3,159)=36.97;p<0.0001)を示し、薬剤の効果を示さない(F<1)ことが裏付けられたためである。これは、MTC及びリバスチグミンの両方が、スコポラミンにより誘発される学習欠損を逆行させたことを示す。さらに、Callaway et al. (2004)の知見とは矛盾するが、MTC(4mg/kg)は、単独で与えられた場合、すなわち他の障害を持たない動物に与えられた場合、この空間参照記憶パラダイムに対する効果を有さなかった。
MTCの投与2つは、両方共、スコポラミンにより誘発される学習欠損を完全に逆行させた(1mg/kg(F(1,66)=13.65;p=0.0013);4mg/kg(F(1,63)=22.18;p=0.0001)[生理食塩水+スコポラミン]群に対する値)。リバスチグミンもまた、スコポラミンにより誘発される学習欠損を完全に逆行させた(F(1,63)=17.55;p=0.0004)。
マウスが壁を好む(接触走性)行動が、図2に描かれている。接触走性は、一般に不安の指標として捉えられ、プールの外側10%で費やした時間の割合として定義される。通常、訓練の初日においては、動物にタスクの経験がなく、プールの端に沿って逃げようとする自然な傾向を有するため、接触走性が高くなる。
薬剤処置及び日数を因子とした接触走性データの2方向ANOVA分析は、薬剤(F(5,192)=5.954;p=0.0001)及び日数(F(3,192)=51.70;p<0.0001)の主要な効果を明らかにした。[スコポラミン+生理食塩水]で処置された群は、全ての訓練段階において最も高い接触走性活動を示し、これは、時間とともに減少することはなかった。対照的に、他の全ての群において、接触走性の減少が日数とともに見られた。したがって、MTC及びリバスチグミンの両方が、スコポラミンの不安誘発効果を逆行させた。
マウスの速さを分析すると、薬剤(F(5,192)=4.438;p=0.0016)及び日数(F(3,192)=6.261;p=0.0004)の効果が見出された(図3)。これは主に、訓練日の最後の2日にかけて速さが減少した[スコポラミン+リバスチグミン]群によるものである。これは、しかしながら、この空間タスクを学習し、行う能力には影響を及ぼさなかった。全ての他の群が、同様の水泳速度を示した(F<1.4)。
3.2−学習段階−先端的分析
全ての動物及び処置から得た経路長のデータを、水泳距離が生存パラメータの変数であると考えられている生存分析パラダイムを用いて分析した。つまり動物は、プラットホームに到達するまでは泳ぎ手の状態で「生存している」と考えられる。この生存プロットの結果は図4に示されている。見て分かるように、動物が依然として泳ぎ手である可能性は、水泳距離が1500cmを超えて増加するにつれて約20%にまで減少する。つまり動物は、泳いだ距離が増大するほどプラットホームを見つける可能性が高くなる。
処置の効果は、Cox比例障害法を用いて形式的にモデル化することができる。図5に示されるように、ひとたび処置の効果が水泳生存可能性を変化させることにより説明されると、残余分配は基礎的指数関数のそれに非常に近くなる。経路長データの基礎的分配が指数関数的であるという事実は、次のような行動解釈を有する。任意の所与の動物は、プラットホームがどこにあるのかという空間的手がかりを認識するまでは、ランダムに泳ぐようである。ひとたび動物がこの手がかりを認識すると、それはプラットホームへ真っ直ぐに泳ぐ。データを標準化するために必要なCox比例障害分析から決定されたパラメータの違いは、いかなる所与のモーメントにおいても動物は水迷路の問題を解決するのに必要な手がかりを認識し得るという可能性に影響を与える種々の処置に関連した違いを反映する。
データの基礎的指数関数的分配を認識し、経路長の対数変換により統計的分析を行って処置の違いを決定した。これらは、各日及び日数の平均について、処置条件の違いに対応するp値と共に図6にプロットされている。見て分かるように、全ての処置が、スコポラミンにより誘発される学習欠損を4日目までに逆行させる効果を有する。特に、リバスチグミン及びMTCは、両方とも欠損を逆行させ、動物の能力レベルを対照と区別できないほどにまで戻した。したがって、MTCは、スコポラミン学習欠損を逆行させる上で少なくともリバスチグミンと等価である。しかしながら、図6のプロットを見て分かるように、MTCが生理食塩水で処置されたマウスにおいて学習を向上させたというエビデンスはない。したがって、Callaway et al. (2004)とは矛盾するが、MTCは、他の障害を持たないマウスにおいては、学習が向上しない。
図7に示すように、プラットホームを探すための逃避潜時の分析において本質的に同一のパターンが見られる。
3.3 記憶試験
全体として、4日目(すなわち、1.5時間で試験された記憶)及び5日目(すなわち、24時間で試験された記憶)のプローブ試験における行動は、以下に記載されるパラメータに関して本質的に同様であった。したがって結論は、個々の日毎の比較が全てのプロットで示されてはいるものの、蓄積された4日目と5日目のデータに基づくものである。
分析した主要なパラメータは、実験の学習段階においてプラットホームが位置していた4分の1領域中で動物が費やした時間の割合である。図8に分析の結果を示す。統計的分析に用いられたモデルは、線形混合効果モデルであり、処置、日間相互作用及び被検体毎の多様性(すなわち、いくつかのマウスは、処置による群分けによらず、記憶タスクにおいて潜在的に異なった行動をとる可能性がある)を考慮した。スコポラミン処置をしたマウスは、偶然より優れた行動をとることはなかった(すなわち、4分の1領域で費やす時間は25%より有意な違いがなかった)。リバスチグミン処置は、スコポラミン欠損を逆行させなかった。これとは対照的に、1mg/kg及び4mg/kgの用量のMTCは、スコポラミンにより発生した記憶欠陥を逆行させ、動物の能力レベルを生理食塩水処置した対照と区別できないほどにまで戻した。MTC単独では、生理食塩水処置した対照マウスと比較して、記憶に対する識別可能な効果がなかった。
複合的パラメータである「局在化」を、下記に基づいて計算した:プラットホームが位置する領域への訪問回数;プラットホームの直径の2倍の領域として定義される周辺領域への訪問回数;の周辺領域における時間;及び4分の1領域における時間。これらのパラメータは、プラットホームが学習段階より存在するものとして期待される領域での動物の探索行動の空間的正確性を全てが反映するという点において原則として同様である。図9に結果を示す。1mg/kg及び4mg/kgの用量のMTCは、スコポラミンに対して有意な違いを示した。したがって、MTCの効果はスコポラミン欠損を逆行させるものである一方で、リバスチグミンは欠損を逆行させることが出来なかった。MTC単独では、生理食塩水処置した対照マウスと比較して、空間的正確性に対する識別可能な効果がなかった。
さらに用いられたパラメータは、「逃避潜時」であった。これは、プラットーホーム領域までの逃避潜時及びプラットホームの直径の2倍の領域として定義される周辺領域への逃避潜時に基づいた、計算による複合的パラメータである。短い逃避潜時は、時間領域における正確性を反映し、そして実験の学習段階より存在するものとして期待される領域に到達するまでに動物が費やす時間を査定する。図10に結果を示す。日数について平均すると、[スコポラミン+MTC]と、スコポラミン単独もしくは[スコポラミン+リバスチグミン]のいずれかとの間には、非常に著しい違いがある。生理食塩水処置された動物に比較して、スコポラミンにより産生される欠損は統計的有意性に至らなかったが、MTCは欠損を有意に改善することができた。リバスチグミンは、全ての欠損に対して効果を有さなかった。MTC単独では、生理食塩水処置した対照動物と比較して、時間的正確性に対する識別可能な効果がなかった。
実験の記憶段階において、接触走性も検討した。接触走性ゾーン(プール領域の外側10%と定義される)で費やした時間は、不安の評価基準である。図11から分かるように、生理食塩水処置された対照と比較して、スコポラミンは接触走性を増加させた(ただし、この違いはあまり著しいものではなかった)。しかしながら、「スコポラミン+MTC」およびMTC単独での処置は、スコポラミン処置された群と比較して接触走性行動を有意に減少させた。リバスチグミンで処置されたマウスは、スコポラミン又は生理食塩水のいずれかにより処置されたものより有意に異なることはなかった。
4.実施例1からの結論
結果より、学習欠陥は、スコポラミンのコリン作動性阻害剤でマウスを処置することによって産生できるということが裏付けられる。予期したように、神経終末で役立つアセチルコリンを多く生成するアセチルコリンエステラーゼ阻害剤であるリバスチグミンは、スコポラミンにより産生される学習欠損を逆行させることができる。リバスチグミンは、アルツハイマー病及び関連の認知症の処置において使用されるアセチルコリンエステラーゼ阻害剤に関して広く用いられる薬剤のクラスの1つである。リバスチグミン及び関連の薬剤は、MCIの対症療法においても使用することができ、この病状においてかなり重要な有益性を産生できる(例えば、Feldman, H.H., Ferris, S., Winblad, B., Sfikas, N., Mancione, L., He, Y., Tekin, S., Burns, A., Cummings, J., del Ser, T., Inzitari, D., Orgogozo, J.-M., Sauer, H., Scheltens, P., Scarpini, E., Herrmann, N., Farlow, M., Potkin, S., Charles, H.C., Fox, N.C. & Lane, R. (2007) Effect of rivastigmine on delay to diagnosis of Alzheimer's disease from mild cognitive impairment: the InDDEx study. Lancet Neurology 6, 501-512; Grundman, M., Petersen, R.C., Ferris, S.H., Thomas, R.G., Aisen, P.S., Bennett, D.A., Foster, N.L., Jack, C.R., Jr, Galasko, D.R., Doody, R., Kaye, J., Sano, M., Mohs, R., Gauthier, S., Kim, H.T., Jin, S., Schultz, A.N., Schafer, K., Mulnard, R., van Dyck, C.H., Mintzer, J., Zamrini, E.Y., Cahn-Weiner, D. & Thal, L.J. (2004)を参照)。軽度認知障害は、臨床試験においてアルツハイマー病及び通常の加齢とは区別することができる。
リバスチグミンは、学習欠損を逆行させたものの、これは動物の記憶において識別可能な痕跡を何ら残さなかった。これは、様々な範囲のパラメータに着目する実験の記憶段階の分析において見られる。4分の1領域にいる時間である特定のパラメータは、スコポラミン単独又はリバスチグミンによる処置後のいずれにおいても、偶然より予期される25%と異なるものではなかった。同様の結果が、より広い複合的パラメータであり、プラットホームが予期される領域の探索における動物の行動の空間的正確性を測定する「局在化」を用いた場合においても見られた。リバスチグミンは、スコポラミンにより産生される空間的正確性の損失を逆行させることはなかった。同様に、リバスチグミンは、複合的パラメータ「逃避潜時」により測定されたように、時間的正確性の損失を逆行させることもなかった。しかしながら、接触走性行動により決定されるように、リバスチグミンが、スコポラミン処置されたマウスにおいて何らかの沈静化影響を有し得ることが示唆された。
リバスチグミンのスコポラミン−誘発学習欠損を逆行させる能力は、コリン作動性活性の増進がタスクの学習段階における注意力の向上をもたらすという、広く支持されている考えに概して一致している。すなわち、スコポラミン障害性マウスの方が、タスクの学習段階において学習の手がかりをよりうまく活用でき、そしてこの向上は日ごとに持続し、それについては、スコポラミンにより破壊されてしまったものが、リバスチグミン処置後に日ごと好転する回復のエビデンスがある。しかしながら、このリバスチグミンの学習に対する効果は、記憶に対する効果として特に試験した場合には、明らかな形跡を残さない。プラットホームの位置に関する記憶のエビデンスは、広範な手段のいずれをもってしても、学習の完了後1.5時間及び24時間のいずれにおいても検出されなかった。したがって、リバスチグミンは、タスクの習得段階における操作上又はパフォーマンス記憶を向上するものの、短期又は長期記憶のいずれも増強することはない。
MTCは、スコポラミン−誘発欠損を逆行させる能力が対照と比べて識別不能であったという点において、実験の学習段階においてパフォーマンスを回復するのと同等の能力を有した。MTCとリバスチグミンとの間の顕著な違いは、実験の記憶段階においてのみ現れた。ここで、広範なパラメータにおいて記憶回復のエビデンスが見られた。具体的には、1mg/kg又は4mg/kgのいずれかによる処置後の4分の1領域での滞在時間は、偶然のレベル、すなわち25%より有意に高かった。より広い局在化パラメータは、スコポラミン処置された動物の対照のパフォーマンスレベルまでの回復も示した。同様に、時間的正確性により測定されるパフォーマンスの回復が見られた。最後に、MTCは、スコポラミンによって産生された接触走性ゾーンから回避する能力の重篤な障害の、完全な逆転を産生した。
したがって、MTCは、コリン作動性薬剤であるリバスチグミンと比べて、スコポラミンにより誘発される欠損を逆行させる能力が実質的に優れている。実験の学習段階における操作上のパフォーマンスに関しては概して同様であるものの、リバスチグミンとMTCの質的な違いが、実験の記憶段階において現れる。リバスチグミンが、測定したパラメータのいずれにおいても学習したタスクの記憶回復のエビデンスを産生しなかった一方で、MTCは、記憶回復のエビデンスを示した。1mg/kg又は4mg/kgでのMTCの投与の間には違いがなかったという点で、MTCの効果は用量には依存していなかった。実験の学習段階の完了後1.5時間及び24時間の両方において記憶回復のエビデンスが実証できたことから、時間についても有意な違いはなかった。
より多い用量のリバスチグミンにおいてさえも(データは示されていない)、スコポラミンの健忘症効果を逆行させることが出来なかったため、得られた結果を考慮して、MTCがコリン作動性機序を介して作用することは考えにくい。したがって、MTCは質的に異なる機序を介してスコポラミンの健忘症効果を逆行させる。この機序の特性は、分かっていない。健忘症MCIに見られる欠損は主に記憶領域にあり、したがってMTCは、MCI、特に健忘症型のMCIの対症療法における候補となる。
リバスチグミンは、すでにMCIの対症療法において使用されている。本明細書における結果に基づくと、リバスチグミンの潜在的利益は、記憶ではなくタスク習得の際の注意力に対する効果に大きく依存し、したがって、タスク習得の最中及び記憶において実証され得る効果を有するMTCのような薬剤が、健忘症MCIの処置において、リバスチグミン及び他のコリン作動性−増強性薬剤に対して優れた効果を有することが期待される。
最近の国際的見解の総意は、健忘症及び非健忘症のMCIの2つの型を形成した(Winblad, B., Palmer, K., Kivipelto, M., Jelic, V., Fratiglioni, L., Wahlund, L.O., Nordberg, A., Backman, L., Albert, M., Almkvist, O., Arai, H., Basun, H., Blennow, K., deLeon, M., De Carli, C., Erkinjuntti, T., Giacobini, E., Graff, C., Hardy, J., Jack, C., Jorm, A., Ritchie, K., van Duijn, C., Visser, P. & Petersen, R.C. (2004) Mild cognitive impairment - beyond controversies, towards a consensus: report of the International Working Group on Mild Cognitive Impairment. Journal of Internal Medicine 256, 240-246)。非認知ドメインにおける操作性欠損は、非健忘症型のMCIに特徴的な特性であるため、MTCは、非健忘症型のMCIの有力な対症療法となることが期待される。具体的には、MTCは、スコポラミンにより誘発される接触走性(一般には不安症の徴候として捉えられている)に対して強力な効果を発揮する。リバスチグミンは、しかしながら、この作用を有意に発揮しなかった。したがって、MTCは不安症及びMCIの他の非認知的要素、例えば無感情、引きこもり、信頼及び決断能力の喪失、ならびに一般的な社会的関与に対して有利な効果を有し得る。
実施例2−若齢及び老齢NMRIマウスの水迷路学習におけるMTCの効果
1)研究の目的及び背景
この研究は、3つの異なる月齢、2〜3、6及び13月齢のNMRIマウスにおける、空間参照学習及び記憶水迷路タスクにおける認知パフォーマンスに対するMTCの効果を評価するために計画された。
2)方法
MTC(Simpsons, UK.)を水に溶解した。2〜3、6及び13月齢の雌NMRIマウスを、水迷路タスクにおいて異常な水泳行動を示した動物を除いた後に、グループ分けした。MTC(1mg/kg)を腹腔内(i.p.)に5mg/kgで与えた。研究の終わりにおける動物の数は、以下の通りであった。
モーリス水迷路空間通行タスク(Morris, 1984)を用いて行動試験を行った[実施例1に記載したように]。マウスは初めに、処置及び参照記憶訓練の前に水迷路に慣らさせた。マウスは、毎日のセッションの1回目の試行30分前にMTC又は媒体で処置した。訓練の終わりにプローブ試行を行う、短期及び長期記憶(それぞれ1.5時間及び24時間)を評価した。
3. 結果
3.1−学習段階−従来の分析
図12及び13は、生理食塩水又はMTC(1mg/kg)で処置した2〜3、6及び13月齢のマウスに関して、経路長、逃避潜時、速さ及び接触走性を、日数に亘って、及び日数について平均して示している。老齢マウスは、参照記憶水迷路タスクの習得において機能が損なわれていた。対照(生理食塩水処置)マウスのデータのみを、3つの月齢群について検討したところ、13月齢マウスは、2〜3月齢マウスと比べてタスクにおいて機能が損なわれていた。月齢が高いマウスほど全ての日数に亘ってより長い経路長であった。6月齢マウスの回避経路長は、2〜3又は13月齢マウスのいずれとも違いがなかった。
MTC処置された13月齢マウスは、生理食塩水処置された13月齢マウスより有意に短い経路長を有した。2〜3月齢のMTC及び生理食塩水処置されたマウスとの間にも、2つのMTC処置された群との間にも、回避経路長についての有意の違いはなかった。13月齢の生理食塩水処置された群は、訓練日数に亘って向上(経路長の削減)することができず、他の群は参照記憶水迷路タスクを習得した。1回目の試行で同じ経路長のレベルから始めた全ての群は、違いがなかった。
水泳速度のパラメータは、2つの月齢群間における運動パフォーマンスを評価すること、及びMTCによる処置がタスクに運動効果をもたらしたか否かを判断することを可能にした。老齢NMRIマウスは、常に若年マウスより水泳が遅く、そしてこの特質は、処置に依存するものではなかった。
13月齢マウスにおいて、MTCによる処置は水泳速度を変化させることはなかったが、しかし、2〜3月齢マウスにおいては、MTCで処置されたマウスは、後の訓練セッションにおいて同月齢の対照より水泳が遅かった。
全てのマウスにおいて、訓練の初期においては壁を好む行動(接触走性)が明らかであったが、全ての群が一連の訓練セッションに伴って段階的減少を示した。
学習段階−先端的分析
実施例1のように、年齢に関連した変化を、経路長、逃避潜時、速度及び接触走性のパラメータにより、生理食塩水又は1mg/kgのMTCで処置した動物を比較して調べた。これらを図12にまとめている。未分析の手段(means)を調べると、加齢に伴う一般的な低下が、4つの全てのパラメータにおいて見られた。MTCの処置による有益な効果は、13月齢マウスにおいてのみ見られ、しかもこれは経路長及び逃避潜時についてのみであった。接触走性の場合には、MTCは2〜3月齢及び6月齢においては悪化を引き起こし、そして13月齢においては有益性がなかった。
図13に、日毎の変化をプロットする。若年マウスは、1日目〜4日目において老齢マウスより向上した。MTCが老齢マウスにおいて日毎の変化を向上させるということが示唆されているものの、MTCがなんらかの系統的な影響を学習に与えるかどうかは明らかではない。
実施例1に見られるように、経路長及び逃避潜時のデータを、生存モデルを用いて分析した。前述のように、生存分析は、経路長に対する「泳ぎ手」の状態で生存する確率を計算する。図14に経路長データの生存プロットを示す。生理食塩水処置された13月齢マウスは、1500cmを泳いだ後においてでさえも、プラットホームを見つける確率は56%にしか達しなかった。データを正規化して、処置による違いを除去すると、残った分布は指数関数に非常に近かった(図15を参照)。若年マウスにおいては、低い経路長値において、比較的より高い確率が見られた。これは、次のように解釈できる。老齢マウスは、空間的手がかりを検出するまでランダムに泳ぎ、その後はプラットホームへ真っ直ぐに泳ぐ。若年マウスは、かなり早期に手がかりを認識する傾向があり、そしてしたがって、初期期間において、プラットホームへ真っ直ぐに泳ぐ前のランダムな水泳に費やす時間が少なくなる。
生存カーブを、Cox比例障害評価を用いてパラメータ化した。これらは、図16にlog経路長倍数として示される。生理食塩水処置された動物において加齢による強い効果が見られる。若年マウスにおいてはMTCの効果は見られない。13月齢マウスにおけるMTCの効果は、実質的には全体の経路長を減少させ、老齢マウスのパフォーマンスを6月齢マウスに見られるものパフォーマンスのレベルにまで戻すことである。全体の違いは、統計的有意性に達する(p=0.074)。同様の分析を、逃避潜時データについても行った。逃避潜時に関する結果は、本質的には経路長のものと同一であった(図17)。図16及び17から分かるように、この効果は、13月齢マウスにおいて4日目に経路長及び逃避潜時の両方に関して統計的有意性に達する(それぞれ0.059及び0.085のp値)。
3.2 記憶試験
実施例1のように、学習段階の完了後1.5時間(「4日目」)又は学習段階の完了後24時間(「5日目」)のいずれかに動物を試験した。
分析した第一のパラメータは、4分の1領域で費やした時間である。これは、4日目及び5日目についてMTCによる処置の有無に関して図18に示されている。実施例1のように、統計的分析は線形混合効果モデルを用い、処置及び日数の相互関係ならびに対象毎のばらつきを考慮した(すなわち、いくつかのマウスは、潜在的に処置のグループ分けとは関係なく記憶タスクにおいてより優れた機能を示し得る)。
図18に見られるように、生理食塩水処置された2〜3月齢及び6月齢のマウスは、1.5時間でプラットホームの位置を思い出すことができた。24時間時点においては、4分の1領域にいる時間は、偶然のレベル(25%)より有意に異なるものではなかった。実施例1において24時間で思い出したエビデンスがあったため、これは、想起出来ないためではなさそうである。むしろこれは、4分の1領域中で1.5時間プラットホームの提示がなかったことに起因する、4分の1領域中での探索行動の消滅を反映し得る。若年動物は、もはやかつての4分の1領域であった所にプラットホームはないということを、より効率的に学習し、そしてそれにしたがって探索戦略を修正し得る。2〜3月齢マウスについては、1.5時間ではMTCの効果はない(すなわち、生理食塩水群と同様、彼らは実際に4分の1領域中で25%以上の時間を費やす)。6月齢マウスについては、MTCはこの時点において想起の機能障害を産生するようである。
生理食塩水処置された13月齢マウスは、1.5時間及び24時間の両方において完全な機能不全を示す。MTCによる処置は、1.5時間において想起を回復させる。この実験からは、MTCが24時間において想起を回復させしそこなったのか、又は生理食塩水処置された2〜3月齢及び6月齢マウスと比較して、MTCが13月齢マウスにおいてより効率的に消滅を産生したのかを決定することは不可能である。図19に示される代表的な水泳経路は、MTC処置後の13月齢マウスにおいて水泳経路の方向性が完全に復帰したことを示している。
図20に示されるように、局在性分析を行った。実施例1のように、「局在性」は、下記から計算される、探索の空間的正確性を反映する複合的パラメータである:以前のプラットホームの位置への訪問回数;プラットホームの直径の2倍の面積として定義される周辺領域への訪問回数;この周辺領域中にいる時間;及び4分の1領域中にいる時間。図20から分かるように、13月齢マウスについては、MTCにより1.5時間のプローブ時間において局在性が有意に向上した。他に有意な違いはないが、方向性MTCは6月齢マウスについて1.5時間においての局在性を損なうようである。
逃避潜時についての同様の分析は、MTCの著しい効果を明らかにすることはなかった。
4.実施例2からの結論
本研究は、NMRIマウスにおける加齢性の空間学習障害を実証した。これは、経路長及び逃避潜時の両方のデータから実証され得た。水迷路参照記憶タスクにおいては、13月齢マウスはそのタスクを習得することができなかった。さらに、これらのマウスは4日目の学習の完了後1.5時間においてタスク想起のエビデンスを示さなかった。したがって、13月齢までに、NMRIマウスは有意な認知欠損を示す。加齢に伴う、非認知的パラメータである接触走性の悪化に関するエビデンスも、いくつかある。これは不安の尺度と見なされる。しかしながら、分析において対象間のばらつきが処置の効果を上回ったため、Cox比例障害パラメータ化によりこの一式のデータに適合するモデルを確立することは出来なかった。
実施例1のデータに見られるように、MTCは2〜3月齢及び6月齢動物において認知機能向上のエビデンスを示さなかった。特に、経路長又は逃避潜時のCox比例障害パラメータ化においては向上がなかった。接触走性データの分析は不確定であった。同様に、MTCは実験の記憶段階において1.5時間及び24時間のいずれにおいても向上のエビデンスを産生しなかった。これらの知見は、したがって、MTCが先在障害の非存在下において記憶機能を向上出来るというCallaway et al. (2004)及びRiha et al. (2005)の主張を確認し得ないという点において実施例1の知見を繰り返すものである。
実際にMTCは、6月齢動物について、1.5時間において4分の1領域中にいる時間及び局在化により測定される記憶パフォーマンスを損なった。このパターンは、記憶に対してMTCが全く効果を有さなかった2〜3月齢について見られるものと相当異なる。データ中には、MTCが4日目及び5日目における局在化パラメータにより測定される学習を損なったという示唆もある。したがって、MTCは、成体マウスにおいて学習及び記憶の両方を損なうことが出来る。
MTCの最も特筆すべき効果は、実験の記憶段階においてパフォーマンスの向上を産生することである。これは、特に4分の1領域中にいる時間の分析において見ることができた。13月齢においては、生理食塩水処置された動物は全く無能であり、学習の完了後わずか1.5時間において試験した場合には4分の1領域の識別能の習得についてのエビデンスを示さなかった。MTC処置後、4分の1領域中にいる時間は、2〜3月齢において見られるパフォーマンスと識別できなかった。同じように、複合的パラメータの局在化は、生理食塩水処置された2〜3月齢動物のプローブ試行1.5時間におけるパフォーマンスの回復で見られたように、本質的に完全なパフォーマンスの回復を示した。同様に、習得段階において、MTCの有益な効果は、13月齢マウスについては経路長及び逃避潜時のパラメータにおいて4日目に有意性に達した。
これらの動物において13月齢で見られた加齢性欠陥は、ヒトにおけるMCI及び加齢性認知衰退のモデルとして捉えることができる。本モデルにおけるMTCの認知機能を回復させる能力は、MTCが加齢性認知衰退及びMCI症候群の処置において治療的に有用であり得ることを示している。
実施例3:全般的結論
実施例1に示されるように、MTCは、スコポラミン誘発欠損モデルにおいて実験の学習段階及び記憶段階の両方においてパフォーマンスを回復できる。さらに、MTCは、スコポラミンによって産生された接触走性ゾーンから回避する能力の重篤な障害の、完全な逆行を産生した。
実施例2に示されるように、MTCは、実験の記憶段階においてパフォーマンスの向上を産生することが出来た。これらの動物において13月齢で見られた加齢性欠損は、ヒトにおけるMCI及び加齢性認知衰退のモデルとして捉えることができる。
これらのモデルにおけるMTCの認知機能を回復させる能力は、MTCが加齢性認知衰退及びMCI症候群の処置において治療的に有用であり得ることを示している。
しかしながら、実施例1及び実施例2の両方において、MTCは非障害性動物の認知機能における向上のエビデンスを示さなかった。
列挙されている2つの研究(Callaway et al., 2004; Riha et al., 2005)には、他の障害を持たない動物において記憶固定を向上できると主張されている。すなわち、他の障害を持たない動物は、MTCで処置することによって、通常予期される記憶より良くなると主張されている。
本知見は、したがって、MTCが先在障害の非存在下において記憶機能を向上出来るというCallaway et al. (2004)及びRiha et al. (2005)の主張を確認し得ない。すなわち、提唱された用量(つまり、1mg/kg及び4mg/kg)でMTCで繰り返し処置しても、空間的参照記憶の高度に検証された行動パラダイム、すなわちモーリス水迷路において、他の障害を持たない動物に学習及び記憶の増強を産生しなかった。
さらに、実施例2には、特定の状況においてMTCで繰り返し処置すると、他の障害を持たない動物において学習を損ない得ることが示されている。したがって、MTCが潜在的及び普遍的な記憶向上性能を有するという理由から、列挙されている研究は、記憶障害の処置の根拠を提供するものであると受け入れることが出来ない。
これらの先行研究については、さらなる曖昧性がある。例えば、該著者らが、MTCの効果は具体的に記憶固定に限定されるものであり学習には及ばないと論ずるように、MTCは学習を増強させるために使用できるというという提案に対して、彼らは示唆することはなくそして実際には具体的に反論している。しかしながら、記載の実験で長期に亘る時間的経過において繰り返し薬剤が投与されていることから、提案されている記憶固定効果は、学習の過程でも起こっているに違いないと期待されている。
さらに、提案されている記憶効果を産生するのに必要な投与のタイミングに関する矛盾がある。具体的には、MTCは訓練前に与えた場合には明らかに効果を有さず、訓練後に与えた場合にのみ効果を有した。しかしながら、そのような投与が記憶の増強が必要とされる時以降のみに限定されるのであれば、薬剤がどのようにして記憶障害の処置のための有用性を有し得るのかと整合させるのは難しい。この状況設定は、特定の訓練体制の意味においてのみ、例えば擬似体験療法の補助としての条件性恐怖の消滅においてのみ予想できるものである。列挙された研究により実施可能となる教示からは、MTCが、投与のタイミングに言及せずに、より一般的に学習及び記憶を増強するのに使用できるということは期待できない。
したがって、これらの先行の研究は、MTC、又は本明細書に開示されている任意のジアミノフェノチアジン化合物が、特定の神経伝達系以外の機序により、具体的にはミトコンドリア代謝の増強を介して学習及び記憶を増強し得る薬剤であるか否かを確実に教示するものではない。これらはさらに、MTCが、訓練タスクに関して特定の時間に与えられ、そしてある特定の用量で与えられること以外に、より一般的な有用性を有し得るか否かについての教示もしていない。
これに反して、実施例1には、MTCがミトコンドリアエネルギー代謝とは関連しないモデルにおける学習及び記憶の欠陥を修正し得ることが示されている。したがって、MTCの効果がミトコンドリアエネルギー代謝における欠陥の修正になんら関係がないとは受け入れられない。さらに、MTCの潜在的有用性は、ミトコンドリアエネルギー代謝の存在又は非存在によって制限又は限定されるものではない。むしろ、MTCは、実証可能な欠陥が、欠陥の原因となっている機序についての任意の推定に関わらず、いかなるようにであっても産生される場合においては、学習及び記憶に対して有益な効果を実証し得る。
実施例4:MTCとChEIの併用療法
上記のように、DAPTZ化合物を介するMCIの処置は、コリン系への作用を介して作用するものではないと考えられている。
ChEI治療とともに、DAPTZ化合物の有用性を実証するために、さらなる実験を行った。
材料及び方法(薬剤、行動療法機器及び試験手順)は、一般に上記の実施例に記載したとおりであった。
実験計画は、次のとおりであった:
本研究は、8回の追試により行った。これらにおいて、複数処置群が存在し、各群の動物数は少なかった。明確性のために、本発明者らは、分析を3つの部門に分けた。
実験1では、スコポラミン誘発認知欠損を逆行させるためのリバスチグミンの異なる用量についての効力と用量−応答関係を確定した;
実験2では、MTCがスコポラミンにより誘発される認知欠損を効果的に逆行させたかどうか、及びその用量を裏付けた;ならびに
実験3では、有効量未満用量のリバスチグミンとMTCの共投与による、スコポラミン効果を逆行させる効果を試験した。
実験1及び2からのデータは、一部上記の実施例1に記載されているものに基づくが、実験3で使用されるモデルとの比較を容易にするために再度設定し、再分析する。
動物を、表4−1に要約したように処置群の1つに無作為に割り当てた。対象は、最初の腹腔内注射を試験の35分前に受け、この注射は生理食塩水又はスコポラミンのいずれかからなり、そして5分後に、続けて2回目及び/又はいくつかの群においては3回目の、媒体、リバスチグミン及び/又はMTCの腹腔内注射を受けた。
MTCを、スコポラミンの5分後、そして試験の30分前に注射した。スコポラミンのタイミング及び用量は、処置逆行前にムスカリン性ACh受容体の薬理学的占有を可能とするように、その薬物動態に基づいて選択した。
スコポラミンは、腹腔内注射後20〜40分間のTmaxを有している(Kim et al., 2006; Janas et al., 2005)。本発明者らの研究室での初期実験により、MTCに関する最大脳中濃度として腹腔内注射後30〜60分間と確立された(未発表データ)。MTCを、コリン作動性崩壊の先在性病状に対する逆行剤として作用させる意図でスコポラミンの後で注射した。薬剤の投与後、行動試験までの間、動物をそのホームケージ中に保管した。
知覚性副作用はない(Robinson et al., 2004)が、腹腔内注射をした場合には空間的記憶欠損を誘発することが知られている(Steckler and Holsboer, 2001; Noda et al., 1991; Roloff et al., 2007)低用量のスコポラミン(0.5mg/kg)を使用し、そしてリバスチグミンを前述(Bejar et al., 1999)のように0.5mg/kgで与えた。MTCの活性用量は、文献(Callaway et al., 2004, 上記)及びインビトロにおけるタウ凝集の逆行効率(Wischik et al., 1996)に基づくものである。使用するマウスの数を削減するために、副作用プロファイリングは、最も高く有効でかつ安全な用量のMTC(4mg/kg)及びリバスチグミン(0.125mg/kg)で、生理食塩水処置のマウスについてのみ行った。スコポラミン処置を行わない場合における、0.5及び0.25mg/kg用量のリバスチグミンによる初期の研究は、マウスにおける重度の副作用(運動協調性の問題、運動失調、短いけいれん症状)のために中断した。
データ分析は、以下のとおりであった:
学習習得の行動データを、従来の統計(Graph Pad Prism version 4.01)により、処置を被験体間の要因とし、そして日数/試行を被験体内の要因とする、要因反復測定分散分析(ANOVA)を用いて分析し、その後、選択された群間での計画的比較を行った。プローブ試行データを、1要因ANOVAにより分析し、そして適切な事後試験(Bonferroniの多重比較試験又はNewman Keuls)を実施して有意な主効果又は相互作用の原因を決定した。両側について分析を行い、帰無仮説が5%の確率水準(p<0.05)で認められた。簡潔にするため、文章中には信頼差の条件のみを記述した。
結果:
実験1: リバスチグミンは、スコポラミン誘発空間学習欠損を逆行させる
学習習得
リバスチグミンを、0.1〜0.5mg/kgの用量範囲で投与し、スコポラミン誘発認知障害を逆行させる有効性を確立した。さらに、0.125mg/kgの用量を生理食塩水の後に投与し、薬剤の副作用プロファイリングを行った。水泳経路長の分析(データ明示せず)により、処置の主効果(F(6,207)=7.408;p<0.0001)、1日全体での効果(F(3,207)=25.6;p<0.001)が明らかになったが、相互作用はなかった(F<1)。試行1で達したパフォーマンスについても分析し、薬剤処置の1日全体での効果が見出されたが(p=0.0067)、事後分析により処置群のいずれもが対照とは変わらないことが示された。
このことは、スコポラミン処置により訓練期間に亘って学習が損なわれ、そしてリバスチグミンがこの欠損を逆行させることができるという見解を明確に支持する。個別の群に対するさらなる計画的比較は、この逆行についての用量相関性の所見を支持した。0.5及び0.125mg/kg用量のリバスチグミンは、学習欠損を完全に逆行させ(スコポラミンに比較してF’s>2.5;p<0.05、生理食塩水との違いなし)、これに対して0.1mg/kgのリバスチグミンは有効ではなかった(スコポラミンとの違いなし、生理食塩水と比べてF(3,63)=9.6;p=0.003)。
奇妙なことに、経時変化がスコポラミン(F(3,60)=5.2;p=0.035)及び生理食塩水(F(3,63)=4.9;p=0.039)のいずれとも異なったので、0.25mg/kg群における逆行は部分的でしかなかった。しかしながら、個々のパフォーマンスの厳密な検討により、これはおそらく、学習を全く示さなかった群中の1体の動物に起因するものであろうことが明らかになった。この固体を省くと、このリバスチグミン用量による完全な逆行を裏付けた。
最後に、リバスチグミン単独では、本タスクにおいて空間学習は変化しなかった。同様の結果が1及び4日目間の全体としての学習において見られた。これは、経路長の全体としての減少として表され、そして、スコポラミン群(t=1.2)及び0.25mg/kgリバスチグミン+スコポラミン群(t=2.1;p=0.07)は別として、全ての群において有意な向上を示した(t値>2.3;p値<0.05)。上記で特定した同じマウスは、後者の群においてもまた、外れ値であった。興味深いことに、0.1mg/kgリバスチグミンで処置された動物は、日毎のパフォーマンス全体については逆行がなかったにも関わらず、実質的に全体としての向上を提示した。これは主に、この群の1日目における学習の出来が悪かったことに起因するものである。水泳速度もまた、薬剤処置の関数として変化させた(F(6,207)=8.395;p<0.0001)。対照と比べて、低用量のリバスチグミン(0.125mg/kg単独で、又は0.1mg/kgをスコポラミンと併せて)は、対照より有意に異なった(F値>7;p値<0.02)。水泳速度と比較して、接触走性に対する薬剤処置の主な効果(F(6,207)=4.059;p=0.0015)は、主としてスコポラミン単独の群に起因するものであり、この群は対照とは異なった(F(3,69)=9.2;p=0.006)。他の全ての群において、壁を好む行動は1日目の高い割合から始まったが、これは次第に減少し、対照と変わらなかった。
空間記憶
短期記憶を、最後の訓練から1.5時間後に4分の1領域で費やした時間(データ表示せず)として記録した。空間的バイアスを、対照及びスコポラミン+リバスチグミン0.125mg/kg処置マウス(偶然の25%に対するp値<0.5)について確立し、他の全ての群はこの優先性を示さなかった。対照との比較により、スコポラミン群ならびにスコポラミン+リバスチグミン0.5mg/kg及び0.25mg/kg(p値<0.05;スチューデントt-検定(Student’s t-test))における記憶欠損が裏付けられた。
実験2: MTCは、スコポラミン誘発認知欠損を、用量相関的に逆行させる
習得学習
実施例1で上述したように、水泳経路長の分析は、薬剤処置の全体としての効果(F(7,240)=6.531;p<0.0001)、1日での効果(F(3,240)=32;p<0.0001)及び相互作用(F(21,240)=1.7;p=0.03)を明らかにした。試行1を別途分析したが、群間の違いは見出されなかった(データ非表示)。計画的群比較は、対照と比較して、スコポラミン処置されたマウスにおいて学習欠損があることを裏付けた(F(3,69)=24;p<0.0001)。MTCは、この学習欠損を用量相関的に逆行させた:4及び1mg/kgのMTCは、完全な逆行を達成し(スコポラミン単独群と比べてF値>13.6;p値<0.002、生理食塩水と比べて有意性なし);0.5mg/kgは、部分的逆行を産生し(スコポラミンと比べてF(1,60)=4.8;p=0.04、生理食塩水と比べてF(1,63)=4.6;p=0.04);0.25及び0.15mg/kgは、スコポラミン欠損を逆行させることが出来なかった(スコポラミンについては有意性なし、生理食塩水と比べてF値>8;p値<0.01)。
MTC4mg/kgもまた、生理食塩水と一緒に投与したが、通常の習得学習に影響を与えなかった。数日に亘る水泳経路の減少として計算される全体としての学習が、このデータを裏付けた。
スコポラミン群及びスコポラミン+MTC 0.15mg/kg及び0.25mg/kg群においては、全体としての向上がなかった一方で、全ての他の処置群(スコポラミン及び高用量のMTC)は信頼性のある学習を示した(全てのt値>2.2;p値<0.05)。水泳速度は、群間で変わらなかった(p>0.05)。対照的に、接触走性はスコポラミン群において高かったが、用量と無関係に、MTC処置によって逆行した。
全体としての要因分析は、処置の主要な効果(F(7,243)=3.9;p=0.001)、1日での効果(F(3,243)=60;p<0.0001)及び日数と処置の相互作用(F(21,243)=2.096;p=0.0042)を裏付けた。スコポラミン群だけが生理食塩水群(F(1,69)=9.2;p=0.006)と比較して低下したが、全ての他の群はそうではなかった。
空間記憶
空間短期記憶を、訓練の1.5時間後におけるプローブ試行の手段により評価した。習得学習に関しては、対照及びスコポラミンと組み合わせた2つの高用量MTCが、記憶形成を後押し、マウスは確かに4分の1領域において偶然より長い時間を費やした(t値>2.3;p値<0.05)。スコポラミン単独及び低用量MTCは有効ではなかった。
実験3: リバスチグミン及びMTCの有効用量未満での共投与
実験1及び2において確立したように、リバスチグミン及びMTCは、スコポラミンにより誘発される認知障害を用量相関的に逆行させた。インビボにおけるMTCの作用機序は、リバスチグミンとは異なるため、本発明者らは両方の化合物の有効量未満の投与は、相加的に、又は相乗的にさえ作用し得、欠損の完全な逆行に至るものと理由付けた。リバスチグミン及びMTCの用量は、それぞれ0.1mg/kg及び0.15mg/kgであった。
習得学習
評価基準である経路長の4つの群の比較(図21A及びB)は、全体としての処置の効果(F(3,132)=15.52;p<0.0001)、1日目は(F(3,132)=22;p<0.0001)、そしてこれらの要因の相互作用(F(9,132)=2.3;p=0.02)を明らかにした。
リバスタグミンとMTCの組み合わせ処置は、スコポラミンにより誘発される空間学習欠損を有意に向上し(処置を要因とした分析においてF値>4、p値<0.09)、そして対照では習得が遅いように見受けられたものの、これは確かではなかった(処置を要因とした分析においてF値<4、p値>0.05)。同様に、リバスチグミン及び併せて投与されたMTCは、対照を有意に向上することはなく、これは該2つの薬剤の組み合わせは健常な動物を向上させなかったことを示唆するものである。節減(1日目から4日目における経路長の減少、図21C)として計算すると、スコポラミン単独群のみが向上しなかった一方で、全ての他の処置は実に空間タスクを学習した(t値>3.4;p<0.005)。水泳速度(図21)がいかなる薬剤投与にも影響されなかった一方で、組み合わせ治療はスコポラミン依存性の接触走性の増加を完全に逆行させた(図21E)(処置を要因とした全体としての分析においてF値>4;p値<0.0031、スコポラミン対生理食塩水においてF(1,69)=9.2;p=0.006、全ての他の群は生理食塩水と変わらなかった)。
空間記憶
リバスチグミン及びMTCは、スコポラミンにより誘発される記憶欠損も逆行させた(スコポラミンと比較してt=2.5;p=0.02、生理食塩水に対しては有意性なし)が、組み合わせ投与は、健常な空間記憶そのものを変化させなかった(図21F)。スコポラミン処置マウス以外の全ての群は、空間的バイアスを提示し(t値>2.7;p値<0.02)、これは学習欠損の逆行は、短期記憶にも変換されたことを裏付けた。
実施例4の考察
スコポラミンは、加齢及び認知症に特徴的なムスカリン性減退を模倣するために動物モデルにおいて広く使用されている(Drachman and Leavitt, 1974)。
上記実施例に記載したように、MTCは、本発明者らのスコポラミンモデルの認知欠損において、用量依存性の逆行を提供する。有効用量未満のリバスチグミンと併せて有効用量未満で投与された場合においても有効であったので、これは組み合わせ治療において有用であり得ることを示唆するものである。これによりMTCは、向知性薬剤及びMCIの有望な処置用となる。結果の詳細な概略を表4−1に示す。
MTC及びリバスチグミンは、水迷路タスクにおいてスコポラミンにより誘発される認知欠損を特異的に逆行させる
空間作動及び短期記憶は、コリン作動性伝達の封鎖に特に敏感であり(Buxton et al., 1994; Han et al., 2000; Ballard and McAllister, 1999)、情報の一時的な記憶が出来なくなる。これは、本発明者らのタスクにおいて、スコポラミン処置マウスが知覚性フィルタリング及び亢進された不安症に起因する高レベルの接触走性を常に示したという点から容易に自明であった(Smythe et al., 1996)。さらに、プールの端から離れるように泳ぐことは、手続き記憶ならびに、実に、線条体のコリン作動性活性化を必要とする(Blokland, 1998)。これは、スコポラミン処置マウスにおいて損なわれているようであり、そして特に空間的訓練の早期ステージにおいて関連性がある。したがって、リバスチグミン及びMTCの両方が、短期手続き記憶の逆行の初期に作用し、隠れたプラットホームの位置を学習する動物の能力を回復させることを本発明者らは提言する。水泳速度に違いがなかったため、スコポラミンにより誘発される非特異的運動効果は観察されず、そして本発明者らは、低用量のスコポラミンに関する視覚的障害を事前に除いていた(Robinson et al., 2004)。
低用量でのリバスチグミンは、スコポラミン誘発空間的短期記憶欠損を容易に逆行させた(Bejar et al., 1999;本研究)。この効果は用量依存性であり、空間学習の完全な回復には>0.125mg/kg用量の急性型投与を必要とし、そしてこれはNMRIマウスにおけるそのような効果を初めて実証するものであり、低濃度においては慢性型の処置が効率的であり得る。本発明者らのデータは、ChEIは注意力を増強し(van der Zee and Luiten, 1999;本明細書中の接触走性の低減)、不安症を低減し(Lindner et al., 2006)、そして手続き学習又は認知機能、すなわち短期記憶にいくらか影響するという解釈を提唱するものである。
本発明者らの以前の研究は、ムスカリン性活性は、これらのパラメータ全てに関して重要であること(von Linstow Roloff et al. 2007)、そして時間をかけた実験計画の変更という手段によって分離可能であることを示唆する。ここで、本発明者らは、薬剤処置の正味の効果にしか興味がなかった。リバスチグミン誘発認知向上が接触走性の低減と同時に起こったということは、手続き学習及び空間認知は強く関連しており(Micheau et al., 2004)、そして実に全てが海馬皮質系中のコリン作動性活動により制御されうることを意味する(Niewiadomska et al., 2008)。
手続き学習の標準化が認知欠損の逆行に至るのか否か、又はその逆であるのかは、未調査のままである。しかしながら、高用量のChEIによるコリン作動系の過刺激が、前臨床モデル及びヒト両方の記憶形成において、有害であることが観察されている(Bejar et al., 1999; Milivojevic et al., 2001, Beglinger et al., 2004, 2005; Van Dam et al., 2005)ことは、以前の報告に合致しており、これは恐らくM2ムスカリン性自己受容体の過剰刺激が原因である(Braida et al., 1996)。これにより、認知症のChEI処置における狭い治療濃度域、及び場合によっては短期持続性の効果が説明される。
MTC
リバスチグミンとは対照的に、MTCは異なる薬理学的及び精神的プロファイルを提示し、そして、安全であり、そして最大4mg/kgまたはそれ以上(表示せず)の用量においてさえも、観察可能な副作用がないことが判明した。これは、より広い治療濃度域を提供するものであり、そして連続的な投与計画においてより安全であることも判明し得る。学習と記憶形成についての用量−応答関係は、線形的であり、約4mg/kgで飽和した。これは、コリンエステラーゼ阻害(Pfaffendorf et al., 1997)、抗酸化作用、抗タウ凝集、NOS阻害及びCOX活性化(Salaris et al., 1991; Martin et al., 1985; Mayer et al., 1993a, b; Volke et al., 1999; Callaway et al., 2004, supra; Wischik et al., 1996)を含むMTCの異なる物性に由来するものであり得る。あらゆる形態の認知症及び神経変性疾患において、これらのメカニズムは機能しなくなり、したがってMTCは、これらの処置における新規な向知性薬となることが判明し得る。実際に、スコポラミンは、遊離ラジカルの産生(Fan et al., 2005)及び脳の酸化ストレスの増大(El-Sherbiny et al., 2003)を引き起こすことができる。結果として、例えばアクテオシド(Callicarpa dichotoma, Lee et al., 2006からの抽出物)、酸性オリゴ糖糖鎖(Fan et al., 2005)、アスコルビン酸(de Angelis and Furlan, 1995; Parle and Dhingra, 2003)及びオロキシリンA(Kim et al., 2007)などのいくつかの抗酸化剤は、スコポラミン誘発認知欠損を逆行させた。
この実験はしたがって、MTCは低コリン作動性の被験体における記憶形成も増強させることを示すものである。COX活性は、認知症(Gonzalez-Lima et al., 1997; Kish et al., 1992; Valla et al., 2001)及び海馬中のコリン作動性緊張の減少を伴う海馬采脳弓を切除したラット(Krugel et al., 2001)において低下する。さらに、COXはChEI投与後に有意に減少し(Ito et al., 1989)、これはMTCとリバスチグミンの間の薬理学的相違のいくつかを説明している。増強されたCOX活性の結果は、増強されたグルコース代謝、すなわちATP産生である。
したがってMTCは、グルコースの投与がスコポラミンモデルにおいて認知を増強させることが出来るという知見と一致して、その普遍的な脳グルコースの増強及びATP生成に起因し、より広範な向知性薬である可能性がある(Parsons and Gold, 1992; Micheau et al., 1995; Parkes and White, 2000)。
全体として、MTCは、一般に処方されているChEIとは異なる薬理学的プロファイルと共に存在し、そして神経変性疾患における認知障害の処置のための新規な取り組みを提供し得る。
MTCとリバスチグミンの共投与
2種以上の薬剤を有効用量未満で組み合わせることにより、有害な効果をより少なくすると当時に、相加的又は相乗的な治療的成果を導き得る。
リバスチグミンとMTCの組み合わせにおいて、本発明者らは、各構成成分が自身の効力を超えて最終的な効果に貢献した場合に相乗的な逆を観察した。本発明者らは、スコポラミン誘発欠損の完全な逆を、遅発的に(2日間の訓練後)観察した一方で、両方の薬剤の等用量による付加的効果は部分的逆行(リバスチグミン)に至るのみであったか、又は逆行しなかった(MTC)。しかしながら、学習の時間相関的正規化は、リバスチグミン及びMTCを認識的有効用量で個別に投与した場合においても起こり、組み合わせた薬剤の効果の影響ではあり得ない。ここで重要な点は、リバスチグミンとMTCの相乗性は、これらの異なる細胞作用から生ずるものであるかもしれないということである。低用量のリバスチグミンがコリン作動性緊張の正常化に貢献し得る一方で、MTCは、タスク依存的に活性化される神経に対して栄養とエネルギーをより全体的に提供することができる。そうであれば、より長期の組み合わせ治療において有益な成果を期待することができる。MTC共処置は、また、リバスチグミンの治療濃度域を広くしつつ、毒性を低下させ得る。




実施例5:認知障害の処置におけるDAPTZ化合物の有効性のさらなるエビデンス
前述の実施例は、障害のあるマウスの学習及び記憶に基づくあらゆるモデルにおいて、認知機能を迅速に回復させるMTCの効力に関係していた。これらは、タウ病理、神経変異性障害、血管性認知症、酸素消費障害性の疾患又はミトコンドリア欠損が存在しない老齢野生型マウスを含んでいた。
これは、MTCが、認知低下の機序又は正確な診断に関係なく、加齢性の認知低下およびMCI症候群の処置において治療学的に有用であり得ることを表している。
この知見は、フェーズ2における、MTC単独療法の、24週間に亘る調査で、用量範囲知見、プラセボ制御した治験の二重盲検により確証されている。本研究は、この治療が、軽度又は中程度のADにおいて認知低下を遅延させたかどうかを決定することを目指したものである(一次成果評価基準としてADAS−cog変化を用いた)。
しかしながら本研究は、FDG−PET(フルオロでオキシグルコースポジトロン放出断層撮影)及び99TcHMPAO−SPECT(ヘキサメチル−プロピレン−アミン−オキシム単一光子放出断層撮影)も、二次成果評価基準として実施した。神経機能(及びそれ故に認知パフォーマンス)は血流及びグルコースの利用と密接に結びついていることが知られており、それぞれSPECT及びPETにより測定できる。
これらの画像処理方法は、認知障害の処置で使用するための医薬の有効性の評価に特に有用であることが示されている(2007年11月5日に提出された米国仮出願第60/996,177号(Wischik)を参照されたい。この内容は参照により明確に本明細書に組み込まれる)。
重要なことに、本研究は、治療的有効性に対するベースライン分子イメージング診断の影響の分析を可能にするために階層化されている(すなわち、より多くの「アルツハイマー病様」対より多くの血管様の特徴の存在)。本研究において、これらの異なる基本的病理間での処置の効果の違いについてのエビデンスはなかった。むしろDAPTZ治療は、Braakステージ、危険因子及び厳密に定義された診断サブタイプに関わらず、老齢人口における神経原線維変性の遅延又は停止に有用であり得ることが示唆された。
本研究の結果は、次のように要約される:
ベースライン階層変数及び代替有効性マーカーの両方として、分子脳イメージングが試行に含まれていた。SPECTコホートには、ベースライン時及び視察4(visit 4)時(18週)の両方においてMTCによる処置に対する応答としてのイメージを有する138の被験体があり、PETコホートには、対になるイメージを有する20の被験体があった。
診断的に用いた場合、SPECT及びPETの両方において、特徴的な両側頭頭頂欠陥を明らかにした。しかしながら、これらの画像診断の作用の基本的な生理学的機序は異なっている。SPECTは、静脈内注射後の「初回通過」で得られる脳の血流イメージを報告するものである。PETは、注射3時間後の期間におけるグルコースの取り込みに関するイメージを報告するものである。両方とも、神経機能を異なった方式で報告している。SPECTは、短い時間経過における局所的血流に依存し、したがって、神経の酸素需要は脳の血流と強く結びついているため、神経機能の非直接的な手法を提供する。PETは、代謝機能をより直接的に測定するが、長い時間経過におけるグルコースの取り込みを集積する。
SPECTの結果
SPECTデータを分析すると、全ての用量において、MTCは、未処置ADにおいて6ヶ月の期間に亘って客観的に測定することができる、特徴的に罹患した新皮質領域のかん流の低下を防ぐことが示された。プラセボ及び活性処置された被験体間の違いは、関心領域(「ROI」)及び統計的パラメトリックマッピング(「SPM」)分析の両方において大きな有意差があった。ベースライン時にCDR軽症であり、60mg tid(1日3回)のMTC処置を受けた被験体において灌流の向上の示唆もあったが、この向上(すなわち、ゼロからのスコアの変化)は統計的差異に達しなかったものの、プラセボに対する違いはほとんどの脳領域において非常に顕著であった。
PETの結果
プラセボ処置された被験体の任意の脳領域において、グルコース取り込みの低下は統計的差異に達しなかった。
しかしながら、対照的に、MTC処置された被験体においては、ベースラインイメージから視察4(visit 4)時(18週)での2回目のPETスキャンにかけて、グルコース取り込みが有意に増加した領域があった(頭部全体に亘って多重比較に対して補正されている)。この増加は、左側頭葉内側部(海馬及び内嗅皮質)において見られた。データを再分析し、変化は側頭葉内側部のみにおいて予期されるものと想定すると(すなわち、多数の比較における少ない容積の修正)、FDG取り込みの増加はMTL構造において左右相称に顕著であった。
考察
そしてPETデータは、MTCによる処置が、その最も強力な代謝効果を側頭葉内側部(MTL)構造において発揮することを示している。これは、グルコース取り込みの増強によって測定されるように、機能活性における対応の増加を産生するものと期待されている。統計的に有意な効果が、そんなにも少ない症例数において実証できるという事実は、効果の大きさがデータの固有変数に対して大きいことを示唆しており、そして効果が強固であり、そして容易により相次ぐ大きな症例で実証されるという期待に至らせるものである。
SPECTスキャン灌流の変化がMTL構造においても実証できるか否かを決定するためには、さらなる分析が必要である。SPECTスキャンはより低い分解能を有するが、画像の再構築と登録が行われている平面を変えることによって、対応するMTL血流変化があるか否かを決定することが可能であり得る。以下においてさらに考察するように、2つのイメージ様式は、異なる機序の分子イメージ作用に依存しているため、同じ結果をもたらさないこともある。
灰白質の局所的損失(MRIにより測定される)、灌流の損失(SPECTにより測定される)及び特定ドメインにおける認知機能の損失の関係は、複雑である。認知の減退と脳血流量の減退との間には強い相関関係があり、これは特に前頭葉にみられ、側頭葉では幾分弱い(Brown et al., 1996)。さらに、疾患の進行に伴い、後方から前側にかけて広がっている灌流欠陥があることが一般的に認識されている。
しかしながら、伝統的にそれらの脳領域に局在化されている、灌流が減少した領域と、特定の認知機能の損失が見られた領域との間には、単純化された関係はない。さらに、MRIにより測定される萎縮症の領域と、SPECT灌流欠陥との間にも単純化された関係はない。したがって、発症した区域では、脳血流量の減少より容積の減少のほうが一般に多い。そして実際に、MCI/中程度ADにおいては、いかなる脳血流量の対応する損失もないまま、容積の減少が(例えば海馬において)起こり得る(Ibanez et al., 1998)。長期的な研究においてMatsuda et al. (2002)は、局所的萎縮症と血流減少区域との間には不一致があることを見出した。提供された解釈は、新皮質において観察された血流の低減は、遠隔(例えば、嗅内における)の病変により部分的に説明されるということ、そして第二に、例えば嗅内皮質のような主要ダメージ領域では、軸索の損失が、残りの神経線維の出芽を誘発し、失われた結合を置き換え、そしてシナプス性活動を保持し、したがって血流を保持することである。
これらの潜在的複雑性とは関係なく、MTL構造が、MTC治療に対して代謝的に高応答性であるという本発見は、重要な知見である。
MTL構造内での選択的な代謝増強を実証することができるという本エビデンスは、試行を行って、代替エンドポイントとしてのPETの使用が主要な役割担うMCIにおける有効性を証明する、可能性を高くするものである。
Brown DRP, Hunter R, Wyper DJ, Patterson J, Kelly RC, Montaldi D, et al. Longitudinal changes in cognitive function and regional cerebral function in Alzheimer's disease: A SPECT blood flow study. J Psychiatr Res 1996; 30: 109-26.
Matsuda H, Kitayama N, Ohnishi T, Asada T, Nakano S, Sakamoto S, et al. Longitudinal evaluation of both morphologic and functional changes in the same individuals with Alzheimer's disease. J Nuc Med 2002; 43: 304-11.
Ibanez, V., Pietrini, P., Alexander, G.E. et al. (1998) Regional glucose metabolic abnormalities are not the result of atrophy in Alzheimer's disease. Neurology 50, 1585-1593)

Claims (23)

  1. 軽度認知障害(MCI)を煩う患者におけるMCIの処置用のジアミノフェノチアジン化合物を含む治療用組成物であって、
    該患者が、MMSE 25、26、27、28又は29のミニメンタルステート検査スコアを有し、かつアルツハイマー病と診断されておらず、
    該化合物が、
    下記式(1)〜(4):

    [式中、
    、R、R、R、R及びRのそれぞれは、独立に:
    −H;
    −F;−Cl;−Br;−I;
    −OH;−OR;
    −SH;−SR;
    −NO
    −C(=O)R;
    −C(=O)OH;−C(=O)OR;
    −C(=O)NH;−C(=O)NHR;−C(=O)NR;−C(=O)NRN1N2
    −NH;−NHR;−NR;−NRN1N2
    −NHC(=O)H;−NRC(=O)H;−NHC(=O)R;−NRC(=O)R;
    −R
    から選択され、
    ここで、各Rは、独立に:
    非置換の脂肪族C1〜6アルキル;置換された脂肪族C1〜6アルキル;
    非置換の脂肪族C2〜6アルケニル;置換された脂肪族C2〜6アルケニル;
    非置換のC3〜6シクロアルキル;置換されたC3〜6シクロアルキル;
    非置換のC6〜10カルボアリール;置換されたC6〜10カルボアリール;
    非置換のC5〜10ヘテロアリール;置換されたC5〜10ヘテロアリール;
    非置換のC6〜10カルボアリール−C1〜4アルキル;置換されたC6〜10カルボアリール−C1〜4アルキル
    から選択され;
    ここで、基−NRN1N2のそれぞれにおいて、独立に、RN1とRN2は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、3〜7個の環原子を有する環を形成し;
    そしてここで、基−NR3NA3NBのそれぞれにおいて、存在する場合には、R3NA及びR3NBのそれぞれは、独立に:
    −H;
    非置換の脂肪族C1〜6アルキル;置換された脂肪族C1〜6アルキル;
    非置換の脂肪族C2〜6アルケニル;置換された脂肪族C2〜6アルケニル;
    非置換のC3〜6シクロアルキル;置換されたC3〜6シクロアルキル;
    非置換のC6〜10カルボアリール;置換されたC6〜10カルボアリール;
    非置換のC5〜10ヘテロアリール;置換されたC5〜10ヘテロアリール;
    非置換のC6〜10カルボアリール−C1〜4アルキル;置換されたC6〜10カルボアリール−C1〜4アルキル
    から選択されるか;あるいは、
    3NAとR3NBは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、3〜7個の環原子を有する環を形成し;
    そしてここで、基=NR3NCのそれぞれにおいて、存在する場合には、R3NCは、独立に:
    −H;
    非置換の脂肪族C1〜6アルキル;置換された脂肪族C1〜6アルキル;
    非置換の脂肪族C2〜6アルケニル;置換された脂肪族C2〜6アルケニル;
    非置換のC3〜6シクロアルキル;置換されたC3〜6シクロアルキル;
    非置換のC6〜10カルボアリール;置換されたC6〜10カルボアリール;
    非置換のC5〜10ヘテロアリール;置換されたC5〜10ヘテロアリール;
    非置換のC6〜10カルボアリール−C1〜4アルキル;置換されたC6〜10カルボアリール−C1〜4アルキル
    から選択され;
    そしてここで、基−NR7NA7NBのそれぞれにおいて、存在する場合には、R7NA及びR7NBのそれぞれは、独立に:
    −H;
    非置換の脂肪族C1〜6アルキル;置換された脂肪族C1〜6アルキル;
    非置換の脂肪族C2〜6アルケニル;置換された脂肪族C2〜6アルケニル;
    非置換のC3〜6シクロアルキル;置換されたC3〜6シクロアルキル;
    非置換のC6〜10カルボアリール;置換されたC6〜10カルボアリール;
    非置換のC5〜10ヘテロアリール;置換されたC5〜10ヘテロアリール;
    非置換のC6〜10カルボアリール−C1〜4アルキル;置換されたC6〜10カルボアリール−C1〜4アルキル
    から選択されるか;あるいは、
    7NAとR7NBは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、3〜7個の環原子を有する環を形成し、
    そしてここで、基=NR7NCのそれぞれにおいて、存在する場合には、R7NCは、独立に:
    −H;
    非置換の脂肪族C1〜6アルキル;置換された脂肪族C1〜6アルキル;
    非置換の脂肪族C2〜6アルケニル;置換された脂肪族C2〜6アルケニル;
    非置換のC3〜6シクロアルキル;置換されたC3〜6シクロアルキル;
    非置換のC6〜10カルボアリール;置換されたC6〜10カルボアリール;
    非置換のC5〜10ヘテロアリール;置換されたC5〜10ヘテロアリール;
    非置換のC6〜10カルボアリール−C1〜4アルキル;置換されたC6〜10カルボアリール−C1〜4アルキル
    から選択され;
    そしてここで、RN10は、存在する場合には、独立に:
    −H;
    非置換の脂肪族C1〜6アルキル;置換された脂肪族C1〜6アルキル;
    非置換の脂肪族C2〜6アルケニル;置換された脂肪族C2〜6アルケニル;
    非置換のC3〜6シクロアルキル;置換されたC3〜6シクロアルキル;
    非置換のC6〜10カルボアリール;置換されたC6〜10カルボアリール;
    非置換のC5〜10ヘテロアリール;置換されたC5〜10ヘテロアリール;
    非置換のC6〜10カルボアリール−C1〜4アルキル;置換されたC6〜10カルボアリール−C1〜4アルキル
    から選択され;
    そしてここで、Xは、存在する場合には、電気的中性を得るための1つ以上のアニオン性カウンターイオンである]で示される化合物、
    ならびにその薬理学的に許容し得る塩、混合塩、水和物及び溶媒和物から選択される、治療用組成物。
  2. 、R、R、R、R及びRのそれぞれが、独立に:
    −H;
    −R
    から選択される、請求項1記載の治療用組成物。
  3. 各Rが、独立に:
    非置換の脂肪族C1〜6アルキル;置換された脂肪族C1〜6アルキル
    から選択される、請求項1または2記載の治療用組成物。
  4. R上の置換基が、存在する場合には、独立に:
    −F;−Cl;−Br;−I;
    −OH;−OR’;
    −C(=O)OH;−C(=O)OR’;
    −R’
    から選択される、請求項1〜3のいずれか一項記載の治療用組成物であって、ここで各R’が、独立に:
    非置換の脂肪族C1〜6アルキル;
    非置換の脂肪族C2〜6アルケニル;
    非置換のC3〜6シクロアルキル;
    非置換のC6〜10カルボアリール;
    非置換のC5〜10ヘテロアリール;
    非置換のC6〜10カルボアリール−C1〜4アルキル
    から選択される、治療用組成物。
  5. 、R、R、R、R及びRのそれぞれが、独立に:−H、−Me、−Et、−nPr及び−iPrから選択される、請求項1記載の治療用組成物。
  6. 、R、R、R、R及びRのそれぞれが、独立に:−H及び−Meから選択される、請求項1記載の治療用組成物。
  7. 、R、R、R、R及びRのそれぞれが、−Hである、請求項1記載の治療用組成物。
  8. 基−NR3NA3NBのそれぞれにおいて、存在する場合には、R3NA及びR3NBのそれぞれは、独立に:−H、−Me、−Et、−nPr及び−iPrから選択される、請求項1〜7のいずれか一項記載の治療用組成物。
  9. 基−NR3NA3NBのそれぞれにおいて、存在する場合には、R3NA及びR3NBのそれぞれは、独立に:−H及び−Meから選択される、請求項1〜7のいずれか一項記載の治療用組成物。
  10. 基=NR3NCのそれぞれにおいて、存在する場合には、R3NCは、独立に:−H、−Me、−Et、−nPr、−iPrから選択される、請求項1〜7のいずれか一項記載の治療用組成物。
  11. 基=NR3NCのそれぞれにおいて、存在する場合には、R3NCは独立に:−H及び−Meから選択される、請求項1〜10のいずれか一項記載の治療用組成物。
  12. 基−NR7NA7NBのそれぞれにおいて、存在する場合には、R7NA及びR7NBのそれぞれは、独立に:−H、−Me、−Et、−nPr及び−iPrから選択される、請求項1〜11のいずれか一項記載の治療用組成物。
  13. 基−NR7NA7NBのそれぞれにおいて、存在する場合には、R7NAとR7NBのそれぞれは、独立に:−H及び−Meから選択される、請求項1〜11のいずれか一項記載の治療用組成物。
  14. 基=NR7NCのそれぞれにおいて、存在する場合には、R7NCは、独立に:−H、−Me、−Et、−nPr及び−iPrから選択される、請求項1〜11のいずれか一項記載の治療用組成物。
  15. 基=NR7NCのそれぞれにおいて、存在する場合には、R7NCは、独立に:−H及び−Meから選択される、請求項1〜11のいずれか一項記載の治療用組成物。
  16. N10が、存在する場合には、独立に:−H、−Me及び−Etから選択される、請求項1〜15のいずれか一項記載の治療用組成物。
  17. N10が、存在する場合には、独立に、−Hである、請求項1〜15のいずれか一項記載の治療用組成物。
  18. が、存在する場合には、電気的中性を得るための1つ以上のアニオン性カウンターイオンであり、場合により、Cl、Br又はIから選択される、請求項1〜17のいずれか一項記載の治療用組成物。
  19. 化合物が、以下の化合物、ならびにその薬学的に許容し得る塩、混合塩、水和物及び溶媒和物から選択される、請求項1記載の治療用組成物。



  20. アセチルコリンの作用を、増強、若しくは模倣するコリン作動性薬剤、又はコリンエステラーゼ阻害剤をさらに含む、請求項1〜19のいずれか一項記載の治療用組成物。
  21. MCIが健忘症であり、処置が健忘症の症状の寛解による症状軽減のためのものである、請求項1〜20のいずれか一項記載の治療用組成物。
  22. 軽度認知障害(MCI)を煩う患者であって、MMSE 25、26、27、28又は29のミニメンタルステート検査スコアを有し、かつアルツハイマー病と診断されていない患者におけるMCIの処置用の医薬の製造における請求項1〜19のいずれか一項に定義した通りのジアミノフェノチアジン化合物の使用。
  23. 前記処置が、ジアミノフェノチアジン化合物を、アセチルコリンの作用を増強、若しくは模倣するコリン作動性薬剤、又はコリンエステラーゼ阻害剤と組み合わせて用いることを含む、請求項22に記載の使用。
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