JP5723246B2 - 建設機械の安全装置 - Google Patents
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Description
このように、モーメントリミッタが搭載された建設機械においては、オペレータの操作を効率的にするために、実際の作業半径や吊り荷の荷重と共に限界作業範囲をモニタ画面に表示するようにした装置が知られている。
このような装置では、建設機械の実際の作業姿勢や荷重等が限界作業範囲に達した時点で、モニタ画面における該当する表示部の表示色が、例えば、黄色から赤色に変更され、オペレータは限界作業範囲に達したことを視認することができ、同時に、作業が禁止される。例えば、吊り荷荷重については、実際の荷重および限界荷重をモニタ画面に表示する共に、その負荷率を演算し、算出された負荷率が限界値に達した時点で巻取りドラムを停止するようにしている。
このようにすることにより、作業の安全性が確保され、かつ、作業の効率が向上する。
このように、吊り荷荷重の負荷率に関しては、状況に応じて変更することができず、また、周囲の人に警告を報知することができないため、オペレータに大きな負担を与えるものであった。
以下、図1〜図11を参照して本発明による建設機械の安全装置の第1の実施の形態について説明する。
図1は、本発明が適用されるタワークレーンの構成を示す外観側面図である。タワークレーンは、走行体111と、走行体111上に旋回可能に搭載される旋回体113と、旋回体113の先端部に回動可能に軸支されたブーム114およびブーム114の先端部に回動可能に軸支されたジブ115を有するフロントアタッチメント116とからなる。117はカウンタウエイトである。
旋回体113には主巻ドラム103aと、補巻ドラム103bと、第3ドラム103cが搭載されている。主巻ドラム103aを駆動すると主巻ロ一プ118が巻き取りまたは繰り出され、主巻ロープ118を介してブーム先端部から吊り下げられた主フック120が昇降する。補巻ドラム103bを駆動すると補巻ロープ119が巻き取りまたは繰り出され、補巻ロープ119を介してジブ先端部から吊り下げられた補フック121が昇降する。
旋回体113には操作室が備えられており、この操作室の屋根等、旋回体113の所定の箇所には青色または緑色(以下、代表して青色と記載する)、黄色、赤色に点灯する点灯部を有する3色燈10が取付けられている。
これにより負荷率の状態をクレーンの周囲にいる人(作業者)に知らせて危険を未然に防止するとともに、クレーンに作用する負荷が制限され、クレーンの転倒が防止される。すなわち、コントローラ50は過負荷防止装置(モーメントリミッタ)などの安全装置としての機能を有する。さらにコントローラ50では、以下のような画像表示処理を実行する。なお、以下では、補フック121を用いた作業を行う場合の処理を説明する。
まず、ステップS41で図9に示すような作業範囲設定画面400を表示する。図9において、設定画面には、吊り荷重、ブーム角度、ジブ角度、作業半径、ジブ高さ、揚程、および負荷率の設定値と現在値がそれぞれ表示されている。
なお、図9は、作業範囲の設定が完了し、設定値g1b〜g7bが設定された状態を示し、図6は、図9に図示された設定値g1b〜g7bが表示されたモーメントリミッタ画面を示している。
以上では補フック121を用いた作業を行う場合の処理について説明したが、主フック120を用いた作業を行う場合の処理についても基本的には同様である。この揚合、ディスプレイ7には、図5、6と異なり、主フック120に対応したイラストを表示する。
図13では、作業範囲制限OFF状態の場合を例としている。従って、負荷率の限界値g7aは100%である。また、図13においては、係数α=0.9を例としている。
作業範囲制限OFF状態であり、係数α=0.9であるので、3色燈10は、図12に示された3色燈10の点灯処理フロー(ステップS10)において、負荷率90%未満では青色(ステップS61)、負荷率90%以上100%未満では黄色(ステップS63)、負荷率100%以上では、赤色(ステップS62)の点灯部が点灯される。また、ドラム103a、103bの動作に関しては、図11に示された過負荷防止処理フローにおいて、負荷率90%未満ではドラム駆動を継続し(ステップS11)、負荷率90%以上100%未満では音声出力をする(ステップS16)と共にドラム駆動を継続し、負荷率100%以上では音声出力をする(ステップS17)と共にドラムを停止する処理が行われる。
このように、作業範囲制限OFF状態では、負荷率が100%に達すると3色燈10が赤色に点灯すると共にドラム103a、103bが停止する。
作業範囲制限ON状態であり、係数α=0.9、負荷率の設定値g7bは95%であるので、3色燈10は、図12に示された3色燈10の点灯処理フロー(ステップS21)において、負荷率85.5%(95%×0.9)未満では青色(ステップS65)、負荷率85.5%以上95%未満では黄色(ステップS67)、負荷率95%以上では赤色(ステップS66)の点灯部が点灯される。
このように、負荷率の設定値g7bが95%に設定されている場合、作業範囲制限ON状態では、負荷率が95%に達すると3色燈10が赤色に点灯すると共にドラム103a、103bが停止する。
作業範囲制限ON状態であり、係数α=0.85、負荷率の設定値g7bは95%であるので、3色燈10は、図12に示された3色燈10の点灯処理フロー(ステップS21)において、負荷率80.75%(95%×0.85)未満では青色(ステップS65)、負荷率80.75%以上95%未満では黄色(ステップS67)、負荷率95%以上では赤色(ステップS66)の点灯部が点灯される。
一般的には、負荷率が90%に達した時点で3色燈10を黄色に点灯させ、負荷率が100%に達した時点で3色燈の10の赤色を点灯させるようにすることが望ましい。
しかし、係数αおよび負荷率の設定値g7bは、上記の例に限られるものではなく、建設機械の種類や作業の内容に応じて、適切な値に設定することができる。
(1)作業範囲制限OFF状態
電源をONすると、ディスプレイ7に初期画面としてモーメントリミッタ画面200が表示され(ステップS1)、表示部211〜217に現在値f1〜f7が表示される。初期状態では、クレーンの仕様に応じた限界値gaが制限値gとしてセットされ(作業範囲制限OFF状態)、図5に示すように表示部221〜231にそれぞれ限界値g1a〜g7aが表示される。このとき、表示部211〜217は白色で表示されるのに対し、表示部221〜231は緑色で表示される(ステップS12)。また、画面上部には「作業範囲制限OFF」の文字245Aが表示される。これによりオペレータは、現在値fと制限値gとを明確に識別することができるとともに、制限値gとして限界値gaが選択されていることを即座に認識することができる。作業範囲制限OFF状態は「↑」キー5aが操作されるまで継続され、「↑」キー5aが操作されると作業範囲制限ON状態となる。
このため、建設機械の周囲にいる人(作業者)は、建設機械から遠ざかったり、建設機械への接近を回避したりする対応を図るので、オペレータの負担を軽減することができる。
作業範囲を任意に制限するときは、入力装置5のキー操作により作業範囲設定画面400に表示を切り換え、制限値gaの範囲内で設定値gbを設定した後、モーメントリミッタ画面200に表示を切り換える。この状態で「↑」キー5aを操作すると、設定値gbが制限値gとしてセットされ(作業範囲制限ON状態)、図6に示すように表示部221〜231にそれぞれ設定値g1b〜g7bが表示される。このとき、表示部221〜231は水色で表示され(ステップS22)、画面上部に「作業範囲制限ON」の文字245Bが表示される。これによりオペレータは、制限値gとして設定値gbが選択されていることを即座に認識することができる。作業範囲制限ON状態は「↓」キー5bが操作されるまで継続され、「↓」キー5bが操作されると作業範囲制限OFF状態となる。なお、設定値gbはEEPROM53に記憶しているので、電源をOFFしても設定値gbは保存され、電源ON後に再度、設定値gbを設定する必要はない。
このため、建設機械の周囲にいる人(作業者)は、建設機械から遠ざかったり、建設機械への接近を回避したりする対応を図るので、オペレータの負担を軽減することができる。
(1)負荷率を作業範囲設定の項目としたことにより、クレーン作業の現場において、負荷率として初期設定された、例えば、100%に到達する前に音声出力およびドラム停上させることができる。
(2)実際の負荷率の状況に対応して3色燈10の点灯色を変化するので、クレーンの周囲の人(作業者)が負荷率の状況を視認して回避行動をとることが可能となるため、オペレータの負担を軽減することができる。
・入力装置5のキー操作により作業範囲制限ON状態が選択されると設定値gbを制限値gに設定するとともに表示部221〜231に設定値gbを表示し、作業範囲制限OFF状態が選択されると限界値gaを制限値gに設定するとともに表示部221〜231に限界値gaを表示するようにした。すなわち、作業範囲制限ON/OFF状態に応じて設定値gbと限界値gaの一方を選択的に表示するようにした。これにより、画面表示が煩雑になることがなく、オペレータは即座にかつ正しく必要な情報を認識することができ、作業情報の誤認による誤操作を抑制することができる。
・表示部221〜231に限界値gaと設定値gbを異なる色で表示するようにしたので(ステップS12、ステップS22)、限界値gaと設定値gbを容易に識別することができる。
・作業範囲制限ON/OFF状態をそれぞれ文字245A、245Bでも表示するようにしたので、限界値gaと設定値gbをより一屈明確に区別することができる。
・現在値fと制限値gを異なる色で表示するようにしたので、現在値fと制限値gを容易に識別することができる。
・現在値fが制限値gに近づくと制限値を黄色表示に変更し、制限値gに達すると赤色表示に変更するようにした。すなわち現在値fの制限値gへの接近の度合に応じて表示部221〜231の色を変更するようにしたので、作業姿勢が制限値gに対してどの程度接近しているかを即座に把握することができる。
・上記の表示に加え、スピーカ8からの音声によっても現在値fの接近の度合を報知するようにしたので、オペレータはディスプレイ7を注視しなくても、現在の作業状態を把握することができる。
・入力装置5の矢印キー5a、5bの操作により作業範囲制限ON/OFF状態の設定を切り換えるとともに、この作業範囲制限状態に応じたディスプレイ7の画面に切り換えるので、切換操作が容易である。
図16は、本発明の第2の実施の形態に係り、3色燈の点灯処理を示すフローチャートである。
図16に示す3色燈の表示処理では、作業範囲制限OFF状態および作業範囲制限ON状態のいずれでも、3色燈10の点灯/消灯のしきい値となる制限値を一定の値に設定するものである。
以下、図16に図示された3色燈10の処理フローを説明するが、図16において、図4と同一の箇所には同一の符号を付す。
メイン電源がONされると、まず、ステップS2で負荷率の現在値f7を演算し、ステップS10で負荷率の限界値g7aを制限値g7にセットする。従って、仮に、負荷率に関する作業範囲の設定値g7bとして、初期状態の制限値g7aと異なる値が設定されていても、3色燈10の点灯処理においては、常に、負荷率の制限値は、初期状態の値にセットされる。
ステップS61では、負荷率の現在値f7が基準限界値より小さいことを示すために、3色燈10に青色を点灯させるための制御信号を出力する。ステップS63では、負荷率の現在値f7が基準限界値以上であることを示すために、3色燈10に黄色を点灯させるための制御信号を出力する。ステップS62では、負荷率の現在値f7が限界値g7aに達したことを示すために、3色燈10に赤色を点灯させるための制御信号を出力する。
図16に示された処理フローのステップS10において、負荷率の限界値g7a=100%がセットされる。このため、3色燈10は、図16に示された3色燈10の点灯処理フロー(ステップS11)において、負荷率85%未満では青色(ステップS61)、負荷率85%以上95%未満では黄色(ステップS63)の点灯部を点灯する。また、負荷率95%以上でも、負荷率の限界値g7a=100%には達していないのでステップS63の黄色の点灯部を点灯する処理を行う。
3色燈10の点灯色については、図16に示された処理フローは、作業範囲制限ON/OFFの切換えには関係しないので、作業範囲制限ON状態の場合と同じである。
ドラムの駆動に関しては、図11に示された過負荷防止処理フローおける作業範囲制限OFF状態の処理が実行される。このため、負荷率80.75%(95%×0.85)未満ではドラムを駆動(ステップS21)し、負荷率80.75%以上95%未満では音声出力をする(ステップS26)と共にドラム駆動を継続する。つまり、負荷率が95%未満ではドラム103a、103bは駆動される。そして、負荷率が95%以上になると、負荷率の設定値g7bとして設定された95%に達するので、音声出力をする(ステップS27)と共にドラム駆動を停止する(ステップS28)処理が行われる。
この結果は、音声出力の処理の際の負荷率は異なるが、3色燈10の点灯色およびドラムの駆動に関しては、作業範囲制限ON状態の場合と同じである。
また、第2の実施の形態においては、3色燈10が赤色を点灯する前に、ドラム103a、103bを停止するので、クレーンの周囲にいる人(作業者)に不安を与えることがないという特有な効果を奏する。
図18〜図22を参照して上述した各実施の形態の変形例1を説明する。
図18は、本発明における作業範囲設定処理の変形例を示すフローチャートである。
上記各実施の形態においては、作業範囲設定画面400で全ての作業範囲の項目を設定するようにした。図18に示す変形例では、オペレータにより選択された作業範囲の項目のみを設定する。以下では、上述した各実施の形態との相違点を主に説明する。
図23を参照して上述した各実施の形態の変形例2を説明する。
図23は、本発明における表示処理の変形例を示すフローチャートである。
上記各実施の形態では、キー操作により作業範囲制限ON/OFF状態を選択するとともに、その作業範囲制限状態に対応した制限値gaまたはgbを表示するようにしたが、変形例では、作業範囲制限状態に拘わらず制限値gbおよびgaを表示可能とする。以下では、上述した各実施の形態との相違点を主に説明する。なお、図4と同一の箇所には同一の符号を付す。
これにより作業範囲制限OFF状態であっても、表示部221〜231に設定値gbを表示することができる。なお、同様に、作業範囲制限ON状熊のときに、「→」キー5dの操作により制限値gaを表示するようにしてもよい。
3 荷重検出器
4 吊り金具高さ検出器
5 入力装置
5a〜5d 矢印キー
6 電磁比例弁
7 ディスプレイ
10 3色燈
50 コントローラ
200 モーメントリミッタ画面
400 作業範囲設定画面
500 項目選択画面
g1〜g6 制限値
g1a〜g7a 限界値
g1b〜g7b 設定値
Claims (4)
- 吊り荷作業を含む建設機械の複数の作業に関して、それぞれ、仕様に応じた第1の作業範囲の限界値、および吊り荷荷重の負荷率の限界値が記憶された第1の作業範囲記憶手段と、
オペレータの指令により、前記吊り荷作業を含む複数の作業に関して、それぞれ、前記第1の作業範囲の前記限界値内における第2の作業範囲の制限値、および前記負荷率の前記限界値内における制限値を設定および変更する作業範囲調整手段と、
前記建設機械の作業姿勢を検出する検出手段と、
作業情報、および前記第1の作業範囲および前記負荷率それぞれの前記限界値と、前記第2の作業範囲および前記負荷率それぞれの前記制限値とを表示するモニタ装置と、
前記モニタ装置に表示される前記第1の作業範囲および前記負荷率それぞれの前記限界値と、前記第2の作業範囲および前記負荷率それぞれの前記制限値とを選択的に切り換える操作部材と、
前記吊り荷作業を含む建設機械の作業に関して、それぞれの作業に関連する駆動部を駆動する駆動手段と、
前記検出手段による検出結果に基づいて吊り荷の実荷重および実際の吊り荷荷重の負荷率を求める負荷率演算手段と、
操作室の外部に設けられ、前記第1の作業範囲および前記負荷率それぞれの前記限界値、または前記第2の作業範囲および前記負荷率それぞれの前記制限値に対して所定の値に達した時点で、それぞれ異なる点灯色で点灯する複数の点灯部を有する点灯手段と、
前記モニタ装置に実際の作業情報、および前記第1の作業範囲および前記負荷率それぞれの前記限界値と、前記第2の作業範囲および前記負荷率それぞれの前記制限値とのうち、前記操作部材によって選択された一方を表示させると共に、前記負荷率が前記限界値または前記制限値に達した時点で、前記吊り荷作業の駆動手段を停止する制御手段とを備える建設機械の安全装置。 - 請求項1に記載の建設機械の安全装置において、前記点灯手段は3色燈であり、前記負荷率が、前記限界値または前記制限値に対して所定の値未満では青色または緑色、前記所定の値以上前記限界値または前記制限値未満では黄色、前記限界値または前記制限値以上では赤色を点灯することを特徴とする建設機械の安全装置。
- 請求項2に記載の建設機械の安全装置において、前記制御手段は、前記点灯手段が黄色を点灯している状態で、前記吊り荷作業の駆動手段を停止する手段を有することを特徴とする建設機械の安全装置。
- 請求項2または3に記載の建設機械の安全装置において、前記点灯手段は、前記負荷率が80〜90%に達した時点で黄色を点灯し、前記制御手段は、前記負荷率が90〜99%に達した時点で前記吊り荷作業の駆動手段を停止することを特徴とする建設機械の安全装置。
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