JP5723218B2 - ループアンテナ - Google Patents
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Description
図1の参照により、第1実施形態にかかるループアンテナの構成を説明する。誘電体基板101の一の面上(上面)に導体の円形ループ素子(以下、単に「ループ素子」という)102が配置され、一の面に対して反対側の面である他の面上(下面)に導体の円形無給電素子(以下、単に「無給電素子」という)103が配置されている。無給電素子103のxy平面における中心点とループ素子102のxy平面における中心点とを結ぶ線は略同心で、誘電体基板101の面に対して垂直になるように、無給電素子103とループ素子102とが配置されている。なお、無給電素子103のxy平面における中心点とループ素子102のxy平面における中心点とを結ぶ線は同心にした方がよいが、多少ずれてもよく、本発明が適用できるずれ量は、ループ素子の半径、幅、材質等により異なる。ループ素子102の給電部104が配置されている位置に対して、対向する位置(180°ずれた位置)に無給電素子103は開口部105を有する。半径(r)は、ループ素子102のループ半径を示し、幅(WL)は、ループ素子102のループ幅を示す。角度(Φ)は、無給電素子103の開口部105の開き角であり、幅(Wp)は無給電素子103の幅を示す。厚さ(t)は誘電体基板101の厚さを示す。
誘電体基板101は、一例としてガラスエポキシを用いることが可能であり、比誘電率を4.4とする。また、ループアンテナの周波数として、IEEE802.11b/gの周波数帯域である2.4〜2.5GHzを所望の周波数帯域とする。
図2は、特性インピーダンスが50Ωの高周波回路に入力インピーダンスが75Ωのループ素子を接続し、無給電素子を配置しない場合の反射特性のシミュレーション結果である。リターンロス:−9.5dBは電圧定在波比(VSWR:Voltage Standing Wave Ratio)が「2」であることと等価である。これは入力された電力のおよそ90%がアンテナに供給されることを示している。本実施形態においては、ループアンテナとして良好な特性をもつための指標として、電圧定在波比(VSWR)の値「2」(リターンロス:−9.5dB)以下を設定する。図2のように、特性インピーダンスが50Ωの高周波回路に入力インピーダンスが75Ωのループ素子を接続し、無給電素子を配置しない場合は、電圧定在波比(VSWR)の値2(リターンロス:−9.5dB)を上回っており、反射特性が良好ではないことが判る。
第3のステップでは、無給電素子103の開口部105の開き角(Φ)と、無給電素子103の幅(Wp)と、を決定する。図3は、特性インピーダンスが50Ωの高周波回路に入力インピーダンスが75Ωのループ素子を接続し、無給電素子を配置した場合の反射特性のシミュレーション結果である。図3では、第1のステップ、第2のステップで決定したように、ループ半径(r)=17mm、幅(WL)=1mmのループ素子を用いている。誘電体基板101の厚さ(t)=1mmとし、暫定的に無給電素子103の幅(Wp)=3mmとし、開き角(Φ)を変化させたときのループアンテナの反射特性のシミュレーション結果を図3(a)に示す。図3(a)より、開き角Φを増加させると(開口部を狭くすると)、共振周波数が低くなることがわかる。図3(a)に示したリターンロス:−9.5dBは電圧定在波比(VSWR:Voltage Standing Wave Ratio)が「2」であることと等価である。これは入力された電力のおよそ90%がアンテナに供給されることを示している。本実施形態においては、ループアンテナとして良好な特性をもつための指標として、電圧定在波比(VSWR)の値「2」(リターンロス:−9.5dB)以下を設定する。以下、ループアンテナの電圧定在波比(VSWR)の値は「2」以下で調整するものとして説明する。
本実施形態では、異なる誘電体材料としてテフロン(登録商標)を用いた例を説明する。ループアンテナの構成は第1実施形態の図1と同様である。テフロンは第1実施形態の誘電体基板101で使用したガラスエポキシと比較して低誘電率材料であり、シミュレーションにおいては比誘電率を2.1として計算している。また、無線通信に使用する周波数帯域は、第1実施形態と同様に2.4〜2.5GHzとする。第1実施形態で説明したのと同様のパラメータの設定方法で設計すると、誘電体基板101の厚さ(t)=1mmのとき、ループ素子102のループ半径(r)=18.5mmとなる。ここで、テフロンの場合のループ半径がガラスエポキシのループ半径より大きいのはテフロンの誘電率がガラスエポキシの誘電率より低いためである。また、このとき、ループ幅(WL)=1mm、無給電素子の幅(Wp)=3mmとなる。図6(a)に無給電素子103の開き角を変化させたときの反射特性のシミュレーション結果を示す。図6(a)より、開き角Φが334°、335°では、2.4GHzにおいてリターンロスが−9.5dBになる。開き角Φが340°であれば、所望の周波数帯域(2.4〜2.5GHz帯域)においてリターンロスが−9.5dBを下回る。無線通信に使用する周波数帯域でリターンロスが−9.5dB以下となる良好な反射特性が得られる開き角は340°〜359°となる。開き角Φが350°のとき、所望の周波数帯域(2.4〜2.5GHz帯域)で最も反射特性が良好なため、開き角Φ350°は、最適な開き角Φであることがわかる。最適な開き角=350°における放射指向特性を図6(b)に示す。図5(a)に示した放射指向特性と図6(b)に示した放射指向特性とは相似形であり、異なる誘電体材料を誘電体基板101に用いた場合においても、放射指向特性を変えずに良好な反射特性のループアンテナを設計することが可能である。
本実施形態では、無線通信に使用する周波数帯域を第1実施形態の周波数とは異なる周波数を用いる例を説明する。本実施形態では、無線通信に使用する周波数帯域として、IEEE802.11aの周波数帯域である5.15〜5.35GHz、5.47〜5.725GHzを所望の周波数帯域の例として説明する。ループアンテナの構成は第1実施形態の図1と同様である。誘電体基板101は第1実施形態と同様にガラスエポキシとする。第1実施形態で説明したのと同様の設計手法でループアンテナのパラメータ設計をすると、誘電体基板101の厚さ(t)=1mmのとき、ループ素子102の半径(r)=7.5mmとなる。このとき、無線通信に使用する周波数帯域の中心周波数は約5.5GHzであるので、5.5GHzより500MHz程度低い周波数(約5.0GHz)で共振するループ素子102の半径として、(r)=7.5mmを決定する。このとき、ループ幅(WL)=1mm、無給電素子の幅(Wp)=3mmとなる。図7(a)に開き角を変化させたときの反射特性のシミュレーション結果を示す。図7(a)より、開き角Φが286°の場合は、5.15gHZにおいてリターンロスが−9.5dBになり、開き角Φが306°の場合は、5.75GHzにおいてリターンロスが−9.5dBを上回っている。無線通信に使用する周波数帯域でリターンロスが−9.5dB以下となる良好な反射特性が得られる開き角は287°〜305°となる。
第1実施形態〜第3実施形態で示した例では、ループアンテナを構成するループ素子102および無給電素子103は円形である場合を説明したが、本発明の趣旨は、この例に限定されずに、多角形としてもよい。本実施形態では、ループ素子および無給電素子が正八角形である場合のループアンテナを示す。図8(a)の参照により、第4実施形態にかかるループアンテナの構成を説明する。誘電体基板801の一の面上(上面)に導体の正八角形ループ素子802が配置され、一の面に対して反対側の面である他の面上(下面)に導体の正八角形無給電素子803が配置される(図8(a)の8a、8b)。正八角形無給電素子803の中心点と正八角形ループ素子802の中心点とを結ぶ線は略同心であり、誘電体基板801に対して垂直になるように、正八角形無給電素子803と正八角形ループ素子802とが配置されている。なお、正八角形無給電素子803の中心点と正八角形ループ素子802の中心点とを結ぶ線は同心であることが望ましいが、多少ずれてもよい。
また、本発明ループアンテナのパラメータを設計する手法は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
Claims (6)
- 誘電体基板の一の面上に配置され、給電部が設けられたループ素子と、
前記誘電体基板の一の面に対して反対側の面である他の面上において、前記ループ素子と略同心の位置に配置され、前記給電部が設けられている位置に対向する位置に前記ループ素子の半周より小さな開口部が形成された無給電素子と、を有し、
前記ループ素子の半径は、前記無給電素子が前記誘電体基板の前記他の面上に配置されていない状態のループアンテナが、当該無給電素子が前記誘電体基板の前記他の面上に配置されている状態のループアンテナによる無線通信で使用される周波数帯域の中心周波数よりも5%乃至10%低い周波数で共振するように決定されることを特徴とするループアンテナ。 - 前記ループアンテナによる無線通信で使用される周波数帯域内の周波数で前記ループアンテナが共振するように前記ループ素子の幅は決定されることを特徴とする請求項1に記載のループアンテナ。
- 前記ループ素子の幅と、前記無給電素子の幅と、の比は1:3であることを特徴とする請求項2に記載のループアンテナ。
- 前記ループ素子および前記無給電素子は導体で形成されることを特徴とする請求項1に記載のループアンテナ。
- 前記無給電素子の開口部は、ループアンテナの使用周波数において電圧定在波比が2以下になる開口量であることを特徴とする請求項1に記載のループアンテナ。
- 前記ループ素子の長さは前記ループアンテナに前記無給電素子が無い場合の使用周波数より低い周波数で共振する長さであることを特徴とする請求項1に記載のループアンテナ。
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