JP5722958B2 - 離型装置 - Google Patents

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本発明は、型開き時に成形品を離型させる離型装置に関する。
鋳造加工装置においては、鋳造品を金型から離型させるための押出ピンが設けられる。ここで、鋳造品は、キャビティで固化した溶湯からなる製品部と、例えば、湯口からキャビティに至るランナで固化した溶湯からなる方案部とを有する。特許文献1においては、製品部と方案部をバランスよく離型させるべく、方案部を押し出す押出ピンを含む押し出し機構が提案されている。
鋳造加工装置は、位置決め固定された固定型と、該固定型に対して接近又は離間する可動型と、これら固定型及び可動型とともにキャビティを形成する摺動型とを備えることが一般的である。特許文献1記載の押し出し機構は、この中の可動型に設けられ、固定型側に向かって鋳造品を押圧するものである。
特開2007−83273号公報
鋳造品が多面体である場合、該鋳造品の離型抵抗は面によって相違する。すなわち、ある面の離型抵抗は大であり、別のある面の離型抵抗は小である。
このような場合、押出ピンは、離型抵抗が大きな面を押し出し可能となるように配設することが望ましい。例えば、摺動型に臨む面の離型抵抗が大きなときには、摺動型に押出ピンを設けることが好ましい。
しかしながら、摺動型のキャビティに臨む面は、略全てが成形面である。固定型や可動型には、例えば、互いが当接する面(型合わせ面)等にリターンピンを設ける余地があるが、摺動型にはそのようなスペースがない。
以上のように、摺動型に押出ピンを設けることが好ましい場合であっても、実際にはそのようにすることは困難である。
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、摺動型に対してコンパクトに設けることが可能な離型装置を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明は、固定型、可動型及び摺動型を備える金型成形装置に設けられ、型開き時に成形品を離型させる離型装置であって、
前記摺動型に貫通形成された挿通孔に通され、成形品に押圧力を付与する押出ピンと、
前記押出ピンを支持する支持盤と、
前記摺動型に設けられ、該摺動型が変位することに追従して変位する前記支持盤を案内する案内部材と、
前記支持盤と前記案内部材とで挟持され、前記押出ピンを前記成形品に指向して弾発付勢するための弾発部材と、
型締めの際に前記摺動型が所定距離で変位したとき、前記支持盤が変位することを規制するストッパと、
を備えることを特徴とする。
このように構成された離型装置が組み込まれた摺動型では、型開きの際に摺動型が後退するとき、弾発部材によって支持盤及び押出ピンの位置が保たれる。このため、後退する摺動型から押出ピンが突出することになる。この突出した押出ピンが成形品を押圧することにより、成形品の摺動型からの離型が促進される。
しかも、この離型装置は、案内部材と弾発部材を介して摺動型に支持盤をフローティング支持することで、簡素に且つコンパクトに構成することができる。すなわち、本発明によれば、離型装置の小型化を図りながら、成形品の離型を容易にすることができる。
前記ストッパは、例えば、型締めの際に前記摺動型が進入する固定型又は可動型に設けられたサイドキーで構成するようにしてもよい。この場合、既存の部材をストッパとして機能させることができるので、ストッパを新たに設ける必要がない。このため、離型装置を一層簡素に構成することができる。
なお、離型装置を組み入れる金型成形装置の好適な例としては、成形品(鋳造品)の離型抵抗が大きな鋳造加工装置を挙げることができるが、該離型装置は、離型抵抗が小さな金型成形装置であっても適用することが可能である。すなわち、例えば、射出成形装置や鍛造加工装置等であってもよい。
本発明によれば、型開きの際に摺動型が後退するとき、弾発部材によって支持盤及び押出ピンの位置が保たれる。すなわち、押出ピンが変位しない状態で摺動型が後退する。その結果として、後退する摺動型から押出ピンが突出し、この突出した押出ピンが成形品を押圧する。この押圧により、成形品の摺動型からの離型が促進される。
しかも、案内部材と弾発部材を介して摺動型に支持盤をフローティング支持するという簡素な構成により、該離型装置をコンパクトに構成することが可能となる。
本実施の形態に係る離型装置が組み込まれた摺動型の概略縦断面図である。 図1に続き、摺動型と、前記離型装置を構成する支持盤とが型締め方向(矢印X1方向)に変位した状態を示す概略縦断面図である。 図2に続き、前記支持盤がサイドキー(ストッパ)によって堰止されるとともに、前記摺動型が前進端に到達した状態を示す概略縦断面図である。 図3から型開きが行われる最中、前記離型装置を構成する押出ピンで鋳造品(成形品)が押圧された状態を示す概略縦断面図である。 型開きが進行し、前記押出ピンが鋳造品から離間した状態を示す概略縦断面図である。
以下、本発明に係る離型装置につき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係る離型装置10が組み込まれた摺動型12の概略縦断面図である。この摺動型12は、金型成形装置(図示せず)を構成する可動型14と固定型(図示せず)とともにキャビティ16を形成する。
摺動型12には、油圧シリンダ18のロッド20が連結される。油圧シリンダ18が付勢されてロッド20が図1中の矢印X1方向に前進動作することに伴い、型締めがなされる。一方、型開きを行う際には、ロッド20は図1中の矢印X2方向に後退動作する。
離型装置10は、摺動型12の型開き側(背面側)に設けられる支持盤22を有する。該支持盤22の略中心部には、前記ロッド20を通すための切欠が形成される。
この支持盤22に形成された有底の圧入穴24には、押出ピン26が圧入される。換言すれば、押出ピン26は、圧入穴24に圧入されることで支持盤22に支持されている。押出ピン26は、例えば、正三角形の頂点位置となるように3本設けられる。図1には、その中の2本が示されている。
押出ピン26は、摺動型12に貫通形成された挿通孔28に通され、型締めがなされている途中では、摺動型12の先端面からキャビティ16側に向かって突出している。
摺動型12の背面側にはネジ穴30が形成され、該ネジ穴30には、案内部材32のスペーサ部34の先端に突出形成されたネジ部36が螺合される。この螺合により、案内部材32が摺動型12の背面側に設けられる。
スペーサ部34の長手方向寸法は、摺動型12と支持盤22との離間距離に相当する。従って、スペーサ部34の長手方向寸法が相違するものに交換することにより、摺動型12と支持盤22との離間距離を種々変更することができる。これにより、押出ピン26の突出長さを変更することが可能である。
スペーサ部34には、該スペーサ部34に比して小径の案内ロッド部38が連なる。案内ロッド部38は、支持盤22に形成された挿入孔40に通され、支持盤22の背面側に突出している。
案内ロッド部38の先端には、案内ロッド部38に比して大径な頭部42が設けられる。案内ロッド部38はコイルスプリング44(弾発部材)の中空部に通されており、該コイルスプリング44の一端部は頭部42に着座する。また、他端部は支持盤22に着座している。支持盤22は、このコイルスプリング44により、可動型14側に弾発付勢されている。
摺動型12が進入する可動型14には、2個のサイドキー46が設けられている。後述するように、サイドキー46は、支持盤22のそれ以上の前進を阻止するストッパとして機能する。
本実施の形態に係る離型装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に、その作用効果について説明する。
型締めを行う際には、例えば、前記固定型に対して可動型14を接近させ、互いの型合わせ面同士を当接させる。次に、油圧シリンダ18を付勢してロッド20を図1中の矢印X1方向(型締め方向)に前進させ、これにより、摺動型12を前進させる。
上記したように、摺動型12の背面側には、ネジ穴30にネジ部36が螺合されることで案内部材32が設けられている。従って、案内部材32は、摺動型12に追従して変位する。
ここで、案内部材32の案内ロッド部38が通されたコイルスプリング44は、該案内部材32の頭部42と支持盤22に挟まれている。このため、案内部材32が変位するとコイルスプリング44も変位し、その結果、支持盤22がコイルスプリング44によって押圧され、案内部材32に案内されながら変位する。すなわち、支持盤22が摺動型12に追従して変位する。
摺動型12が所定距離だけ変位すると、図2に示すように、支持盤22がサイドキー46に当接する。この当接により支持盤22が堰止され、結局、支持盤22のそれ以上の前進(変位)が阻止される。
その一方で、ロッド20の前進動作が継続される。このため、摺動型12及び案内部材32が一層変位する。この際、案内ロッド部38が挿入孔40内を摺動するとともに、前進する頭部42によってコイルスプリング44が圧縮される。また、押出ピン26が挿通孔28内を摺動する。
最終的に、図3に示すように摺動型12が前進端に位置し、これによりキャビティ16が形成される。この際、押出ピン26の先端面は、摺動型12の成形面に対して略面一となる。
次に、このキャビティ16に溶湯50が導入されて鋳造が行われる。型締めが維持された状態で溶湯50が冷却固化することにより、成形品としての鋳造品52が得られる。鋳造品52は、キャビティ16の形状に対応する形状の成形部を有する。なお、本実施の形態において、鋳造品52の離型抵抗は、可動型14の成形面に臨む面よりも、摺動型12の成形面に臨む面の方が大きい。
次に、鋳造品52を取り出すべく型開きが行われる。すなわち、摺動型12を矢印X2方向(型開き方向)に変位させるべく、油圧シリンダ18の作用下にロッド20が矢印X2方向に向かって後退する。この後退の際、コイルスプリング44が伸張し、これにより、支持盤22がサイドキー46に当接した状態が維持される。このため、押出ピン26が変位することもない。すなわち、摺動型12のみが押出ピン26に対して相対的に後退し、その結果、図4に示すように、押出ピン26の先端が摺動型12の成形面から突出する。突出した押出ピン26の先端は、鋳造品52を押圧する。
摺動型12に臨む側の面の離型抵抗が可動型14の成形面に臨む面に比して大きい場合、押出ピン26が存在しないときには、鋳造品52が摺動型12に付着して追従変位することがある。このように離型抵抗が大きな場合であっても、摺動型12の成形面から押出ピン26が突出するため、図4及び図5に示すように、鋳造品52を摺動型12から容易に離型させることができる。
このように、本実施の形態に係る離型装置10によれば、摺動型12の成形面に臨む面の離型抵抗が大きな鋳造品52であっても、摺動型12から離型させることが容易である。しかも、該離型装置10は、摺動型12に設けられる程度にコンパクトである。すなわち、小型化を図りながら鋳造品52の離型を容易にすることが可能である。
伸張したコイルスプリング44により、支持盤22がスペーサ部34に当接する。該支持盤22は、その後、図5に示すように、摺動型12の型開き動作に伴って一体的に後退する。これに追従して、押出ピン26が摺動型12に対して相対的に後退する。
本発明は、上記した実施の形態に特に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、金型成形装置は、溶融樹脂から樹脂成形品を得る射出成形装置であってもよい。又は、鍛造加工装置であってもよい。
また、この実施の形態では、可動型14に進入する摺動型12に離型装置10を設けた場合を例示しているが、固定型に進入する摺動型に離型装置10を設けるようにしてもよいことは勿論である。
10…離型装置 12…摺動型
14…可動型 16…キャビティ
18…油圧シリンダ 20…ロッド
22…支持盤 26…押出ピン
32…案内部材 34…スペーサ部
38…案内ロッド部 42…頭部
44…コイルスプリング 46…サイドキー
50…溶湯 52…鋳造品

Claims (3)

  1. 固定型、可動型及び摺動型を備える金型成形装置に設けられ、型開き時に成形品を離型させる離型装置であって、
    前記摺動型に貫通形成された挿通孔に通され、成形品に押圧力を付与する押出ピンと、
    前記押出ピンを支持する支持盤と、
    前記摺動型に設けられ、該摺動型が変位することに追従して変位する前記支持盤を案内する案内部材と、
    前記支持盤と前記案内部材とで挟持され、前記押出ピンを前記成形品に指向して弾発付勢するための弾発部材と、
    型締めの際に前記摺動型が所定距離で変位したとき、前記支持盤が変位することを規制するストッパと、
    を備えることを特徴とする離型装置。
  2. 請求項1記載の離型装置において、前記ストッパが、型締めの際に前記摺動型が進入する固定型又は可動型に設けられたサイドキーであることを特徴とする離型装置。
  3. 請求項1又は2記載の離型装置において、鋳造加工装置に設けられて鋳造品を離型させるものであることを特徴とする離型装置。
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