以下、図を参照しながら、この発明によるシステム、装置、方法の一実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態においては、例えば、事業所内に形成されるボタン電話システムであって、IP(Internet Protocol)網を通じて電話通信を行うことができるIP電話システムに、この発明を適用した場合を例にして説明する。
[第1の実施の形態]
[第1の実施の形態の電話システムの概要]
図1は、第1の実施の形態の電話システムの概要を説明するための図である。図1に示すように、第1の実施の形態の電話システムにおいては、SIPサーバ1に対し、有線LAN2を通じてドック装置4(1)、4(2)、…が接続される。そして、各ドック装置4(1)、4(2)、…に対しては、各携帯電話端末5(1)、5(2)…が対応するように有線接続される。
なお、この第1の実施の形態において、ドック装置4(1)、4(2)、…のそれぞれと、携帯電話端末5(1)、5(2)、…のそれぞれとは、USB(Universal Serial Bus)ケーブル8(1)、8(2)、…によって有線接続される。また、SIPサーバ1に対しては、図1に示したように、有線LAN2を通じて、通常のIP電話端末3(1)、…等の通信端末も接続できるようにされている。
SIPサーバ1は、図1に示したように、IP網6と電話網7とに接続され、通信路(通信回線)を接続する端末間のアドレス解決をするものである。つまり、SIPサーバ1は、レジストラ・サーバ機能とプロキシ・サーバ機能とを備え、これらの機能を用いることによって、LAN2に接続された電話システム内の機器との間や、LAN2に接続された機器とIP網6や電話網7に接続された機器との間に、通信路を接続することができるようにするものである。そして、この実施の形態においては、SIPサーバ1に対して、図1に示したように、例えば、「192.168.1.1」となるIPアドレスが割り当てられている。
また、IP網6は、IP(Internet Protocol)を用いて通信を行うネットワークを意味し、具体的にはインターネットである。また、電話網7は、アナログ方式の公衆交換電話網(PSTN(Public Switched Telephone Network))、デジタル回線網(ISDN(Integrated Services Digital Network))、3G回線などと呼ばれる第3世代の高速携帯電話ネットワーク(携帯電話網)などを含むものである。
ドック装置4(1)、4(2)、…のそれぞれは、これらに接続される携帯電話端末5(1)、5(2)、…に対して充電を行う機能を有する。さらに、ドック装置4(1)、4(2)、…のそれぞれは、これらに携帯電話端末5(1)、5(2)、…が接続されることにより、当該携帯電話端末5(1)、5(2)、…をSIPサーバ1の配下の電話端末とするように機能する。このため、ドック装置4(1)、4(2)、…のそれぞれのメモリには、図1のドック装置4(1)、4(2)の下側に示したように、自機に接続された携帯電話端末をSIPサーバ1の配下の電話端末とするための内線登録データ(内線情報)が予め設定されている。
図1に示したように、この第1の実施の形態において、ドック装置4(1)に設定される内線登録データは、内線番号「2010」、IPアドレス「192.168.1.10」、ポート番号「5060」というものである。また、ドック装置4(2)に設定される内線登録データは、内線番号「2011」、IPアドレス「192.168.1.20」、ポート番号「5060」というものである。また、ドック装置4(1)、4(2)のそれぞれは、SIPサーバ1と自機に接続された携帯電話端末5(1)、5(2)との間で送受する信号を処理する機能をも有する。
携帯電話端末5(1)、5(2)、…のそれぞれは、上述したように、ドック装置4(1)、4(2)、…に接続されたときには、これらを通じて、SIPサーバ1の配下の電話端末として機能することができるものである。そして、携帯電話端末5(1)、5(2)、…のそれぞれは、これらが単体で用いられるときには、携帯電話網(3G回線)を通じて通信路(通信回線)を接続して通話を行うことができるものである。また、携帯電話端末5(1)、5(2)、…のそれぞれは、これらが単体で用いられるときには、携帯電話網を通じてインターネットに接続し、Webページを閲覧したり、種々の情報のダウンロードやアップロードを行ったり、また、電子メールの送信、受信を行ったりすることもできるものである。
このように、この第1の実施の形態の電話システムは、SIPサーバ1に対してLAN接続されるドック装置4(1)、4(2)、…に対して、携帯電話端末5(1)、5(2)、…が有線接続されて構成される。そして、ドック装置4(1)、4(2)、…に接続された携帯電話端末5(1)、5(2)、…は、上述もしたように、SIPサーバ1の配下の電話端末(内線携帯端末)として機能することができるようにされる。
このとき、各携帯電話端末5(1)、5(2)、…のそれぞれにおいては、携帯電話端末で携帯電話通信をするために必要な情報であって携帯電話端末毎に異なる自機が有する識別用情報の使用を禁止する。当該識別用情報は、通常は携帯電話端末のそれぞれ毎に用いられるSIMカード(Subscriber Identity Module Card)に記録されているSIMカード情報である。
このように、ドック装置4(1)、(2)、…に接続された携帯電話端末5(1)、5(2)、…のそれぞれは、識別用情報(SIMカード情報)の使用が禁止される。これにより、当該携帯電話端末5(1)、5(2)、…のそれぞれは、携帯電話網を通じて通信を行うことができないようにされ、専らSIPサーバ1の配下の電話端末(内線電話端末)として機能するようにされる。
なお、この第1の実施の形態において、ドック装置4(1)、4(2)、…のそれぞれは、基本的に同様に構成されるものである。このため、以下においては特に区別して示す場合を除き、LAN2に接続されるドック装置4(1)、4(2)、…を総称して、ドック装置4という。また、携帯電話端末5(1)、5(2)、…のそれぞれもまた、その基本的な構成は同様のものである。このため、以下においては特に区別して示す場合を除き、携帯電話端末5(1)、5(2)、…を総称して、携帯電話端末5という。また、USBケーブル8(1)、8(2)、…についても、特に区別して示す場合を除き、USBケーブル8と総称する。以下、この第1の実施の形態の電話システムを構成する各機器について具体的に説明する。
[SIPサーバ1の構成例]
まず、第1の実施の形態の電話システムのSIPサーバ1について説明する。図2は、SIPサーバ1の構成例を説明するためのブロック図である。図2に示すように、SIPサーバ1は、IP網6への接続端子101と、IP網インターフェース(以下、IP網I/Fと略称する。)102と、パケット分解/生成部103とを備えている。また、SIPサーバ1は、電話網インターフェース(以下、電話網I/Fと略称する。)104と、電話網7への接続端子105と、アドレス管理データベース(以下、アドレス管理DBと略称する。)106とを備えている。さらに、SIPサーバ1は、LANインターフェース(以下、LANI/Fと略称する。)107と、LAN2への接続端子108と、制御部110とを備えている。
制御部110は、この実施の形態のSIPサーバ1の各部を制御するものであり、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)111、ROM(Read Only Memory)112、RAM(Random Access Memory)113がシステムバス114を通じて接続されて構成されたマイクロコンピュータである。ここで、CPU111は、ROM112に記憶保持されているプログラムを実行することにより、各部を制御するための制御信号を生成して各部に供給したり、各部からの情報を処理したりするものである。ROM112は、上述のように、CPU111で実行される種々のプログラムや処理に必要となる種々のデータを記憶保持しているものである。
また、RAM113は、処理の途中結果を一時記憶するなど、主に、作業領域として用いられるものである。なお、図示しないが、例えば、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)やフラッシュメモリーなどのいわゆる不揮発性メモリを備え、電源が落とされても保持しておくべきデータ、例えば、種々の設定パラメータや機能アップのために提供された新たなプログラムなどについても記憶保持することができるようにされている。
接続端子101は、IP網6への接続端部を構成するものである。IP網I/F102は、IP網6を通じて供給されるパケットを受け付けて、これを自機において処理可能な形式のパケットに変換して制御部110に供給する。また、IP網I/F102は、制御部110を通じて供給される送信すべきパケットを送信用の形式のパケットに変換して、これをIP網6に送出する。
接続端子105は電話網7への接続端部を構成するものである。電話網I/F104は、電話網7を通じて供給されるデータを受け付けて、これを自機において処理可能な形式のデータに変換して制御部110に供給する。また、電話網I/F104は、制御部110を通じて供給される送信すべきデータを送信用の形式のデータに変換して、これを電話網7に送出する。
接続端子108はLAN2への接続端部を構成するものである。LANI/F107は、LAN2を通じて供給されるパケットを受け付けて、これを自機において処理可能な形式のパケットに変換して制御部110に供給する。また、LANI/F107は、制御部110を通じて供給される送信すべきパケットを送信用の形式のパケットに変換して、これをLAN2に送出する。
パケット分解/生成部103は、パケットの分解や生成を行うものである。具体的には、LAN2を通じてSIPサーバ1に対して接続される電話端末(IP電話端末)等からの電話網7に接続された端末装置に送信すべきパケットは、接続端子108、LANI/F107を通じて制御部110に受け付けられる。当該パケットは、制御部110からパケット分解/生成部103に供給され、ここでパケット分解された後に、電話網I/F104、接続端子105を通じて電話網7に送出され、目的とする相手先に送信するようにされる。
また、電話網7に接続された端末装置からのLAN2を通じてSIPサーバ1に接続される配下の電話端末等へのデータは、接続端子105、電話網I/F104を通じて制御部110に受け付けられる。当該データは、制御部110からパケット分解/生成部103に供給され、ここで所定の形式のパケットとされた後に、LANI/F107、接続端子108を通じて、LAN2に送出されて目的とする電話端末に送信するようにされる。
なお、IP網6に接続された端末と、SIPサーバ1にLAN2を通じて接続される電話端末等との間では、パケットが送受される。このため、パケット分解/生成部103において、パケットの分解や生成は行われることはなく、IP網I/F102、LANI/F107において、データ形式が整えられてそのまま送受するようにされる。同様に、SIPサーバ1にLAN2を通じて接続される電話端末等の機器間においても、パケットが送受されるため、パケット分解/生成部103において、パケットの分解や生成は行われることはなく、LANI/F107を通じてパケットが送受するようにされる。
そして、アドレス管理DB106は、レジストラ・サーバ機能を実現するために、IP網6やLAN2に接続され、このSIPサーバ1を通じて呼び出す可能性のある端末装置についてのアドレス情報を記憶保持するものである。具体的には、SIPサーバ1の制御部110は、IP網I/F102やLANI/F107を通じて、これらに接続されている種々の端末装置からの登録要求(レジスタ・リクエスト)を受信する。この場合に、制御部110は、受信した要求に含まれるアドレス情報等を抽出する。そして、制御部110は、抽出したアドレス情報等をアドレス管理DB106に登録したり、抽出したアドレス情報等を用いてアドレス管理DB106の登録情報を更新したりする。
このようにして、アドレス管理DB106に登録されて管理される情報が参照され、自機にLAN2を通じて接続される電話端末などから要求のあった通信先を確実に特定する。そして、その特定した相手先に送信すべき情報(パケットデータ)を転送するようにするプロキシ・サーバとしての機能をSIPサーバ1が実現するようにしている。また、アドレス管理DB106に登録されて管理される情報は、自機にLAN2を通じて接続される電話端末などへの着信の判別などにも用いられる。
図3は、アドレス管理DB106に形成される管理情報(データベース)の構成例について説明するための図である。SIPサーバ1のアドレス管理DB106は、IP網6に接続された他のIP電話システムの端末装置のアドレス情報の他、当該SIPサーバ1にLAN接続された電話端末などについてのアドレス情報をも管理することができるものである。
この実施の形態のSIPサーバ1のアドレス管理DB106では、図3に示したように、SIPサーバ1にLAN接続された電話端末については、内線番号、IPアドレス、ポート番号、その他の種々の情報(内線登録データ(内線情報))を登録して管理することができるようにされる。ここで、内線番号とIPアドレスとは、SIPサーバ1の配下の当該電話端末に対して予め割り当てられるようにされたものである。また、ポート番号は、SIPサーバ1と当該電話端末との間において、情報の送受に用いるポートを特定する情報であり、当該情報も予め決められたものである。その他の情報として、例えば、URI(Uniform Resource Identifier)やMAC(Media Access Control)アドレス等についても登録して管理することもできるようにされる。
また、この実施の形態のSIPサーバ1のアドレス管理DB106において管理されるIP網6に接続された端末装置についての管理情報は、当該端末装置から送信されてくるURI(SIP URI)と、IPアドレスである。この他、MACアドレス等の送信されてくる他の情報を管理することも可能である。
そして、この実施の形態の電話システムにおけるSIPサーバ1の配下の電話端末からIP網6に接続された端末装置に対する発信要求(発呼要求)をSIPサーバ1が受け付けたとする。この場合、SIPサーバ1の制御部110は、自己のアドレス管理DB106の管理情報に基づいて、目的とする相手先の端末装置を特定し、この特定した端末装置に対して、メッセージの転送を行う。
同様に、この実施の形態の電話システムにおけるSIPサーバ1の配下の電話端末から当該SIPサーバ1にLAN接続されている当該SIPサーバ1の配下の他の電話端末に対する発信要求(発呼要求)をSIPサーバ1が受け付けたとする。この場合、SIPサーバ1の制御部110は、自己のアドレス管理DB106の管理情報に基づいて、目的とする相手先の電話端末を特定し、この特定した電話端末に対して、メッセージの転送を行う。
また、IP網6や電話網7を通じて、自機にLANに接続されている電話端末に対する着信要求(外線着信)をSIPサーバ1が受け付けたとする。この場合、SIPサーバ1の制御部110は、送信されてきたメッセージを受け付けて、これを自システム内に送出する。なお、外線着信であっても、例えば個別着信(着信先のIP電話端末を特定した着信)や、SIPサーバ1にLAN接続された電話端末の内線の発着信の場合には、SIPサーバ1は相手先を特定して着信を通知する。すなわち、この場合、SIPサーバ1の制御部110は、自己のアドレス管理DB106の管理情報に基づいて、目的とする自配下の相手先の電話端末を特定し、この特定した自配下の電話端末に対して、メッセージの転送を行う。
また、発信に際して、IP電話番号が用いられる場合には、図1には図示しなかったが、IP網6に接続されているゲートウェイやDNS(Domain Name System)が利用されて、IP電話番号からURIなどが検索されて用いられることになる。相手先から、この実施の形態の電話システムのSIPサーバ1の配下の電話端末に対して、IP電話番号を用いて電話をかける場合においても同様に、IP網6に接続されているゲートウェイやDNSが利用されて、IP電話番号からURIなどが検索されて用いられることになる。
また、制御部110は、IP網I/F102、電話網I/F104、LANI/F107を通じて、使用中の通信回線や空いている通信回線を把握し、適切に回線交換を行うこともできるようにしている。また、制御部110は、把握した通信回線の使用状態等に応じて、LAN2を通じて接続される電話端末毎に供給すべきLED等の点灯、消灯を制御するための制御情報を形成する。当該制御情報は、LANI/F107、接続端子108を通じてLAN2に送出され、各電話端末等に送信される。
このように、この実施の形態のSIPサーバ1は、パケット分解/生成部103やアドレス管理DB106を備え、SIPサーバ1が接続される種々のネットワークに接続される端末間のメッセージの中継を行うことができるものである。したがって、この実施の形態のSIPサーバ1は、外線−内線間の接続や内線間の接続を行ったり、通信回線の使用状況を配下の無線通信端末に通知したりすることができるものである。
そして、上述もしたように、この実施の形態においては、SIPサーバ1に接続されたドック装置4に対して携帯電話端末5がUSBケーブル8を通じて接続されると、当該ドック装置4に接続された携帯電話端末5が、SIPサーバ1の配下の電話端末となる。この場合、ドック装置4は、SIPサーバ1に対して、内線登録データ(内線番号、IPアドレス、ポート番号)を提供し、自機に接続された携帯電話端末5をSIPサーバ1の配下の電話端末として登録する。
これにより、SIPサーバ1においては、アドレス管理DB106において、図3を用いて説明したように、当該ドック装置4からの内線登録データが管理される。すなわち、ドック装置4に接続された携帯電話端末5が、SIPサーバ1の配下の電話端末としてSIPサーバ1において管理することができるようにされる。
また、詳しくは後述もするが、ドック装置4は、当該内線登録データを自機に接続された携帯電話端末5にも提供し、登録するようにする。このようにして、ドック装置4が、SIPサーバ1と自機に接続された携帯電話端末5とに内線登録データを提供して登録するようにすることによって、ドック装置4に接続された携帯電話端末5をSIPサーバ1の配下の内線電話端末として機能するようにしている。
なお、当該ドック装置4に接続されていた当該携帯電話端末5が切り離されると、当該ドック装置4は、SIPサーバ1に対して当該携帯電話端末5を配下の電話端末から離脱させるようにする要求を提供する。この場合、SIPサーバ1においては、アドレス管理DB106から当該ドック装置4の内線登録データが抹消され、当該携帯電話端末5は、SIPサーバ1の配下から離脱するようにされる。
また、図2において、パケット分解/生成部103は、独立した回路部分として示しているが、これに限るものではない。パケット分解/生成部103は、制御部110において実行されるプログラムにより、制御部110の機能として実現することももちろん可能である。
[ドック装置4の構成例]
次に、第1の実施の形態の電話システムで用いられるドック装置4の構成について説明する。図4は、第1の実施の形態の電話システムのドック装置4の構成例を説明するためのブロック図である。
第1の実施の形態のドック装置4は、図4に示すように、LAN接続端子401、LANI/F402、外部端子411、外部インターフェース(以下、外部I/Fと略称する。)412、充電電流供給部413、ACコンセント414、接続端末登録メモリ421、端末登録離脱処理部422、内線情報提供処理部423、送受信信号処理部424、ID管理メモリ425、制御部430を備えている。制御部430は、この実施の形態のドック装置4の各部を制御するものであり、CPU431、ROM432、RAM433、EEPROM434が、CPUバス435を通じて接続されて構成されたマイクロコンピュータである。
CPU431は、ROM432に記憶保持されているプログラムを読み出して実行し、各部に供給する制御信号を形成してこれを各部に供給したり、また、各部から供給されるデータを処理したりするものである。ROM432は、上述のように、CPU431で実行される種々のプログラムや処理に必要になる各種のデータが記憶保持されたものである。また、RAM433は、処理の途中結果を一時記憶するなど、主に作業領域として用いられるものである。
また、EEPROM434は、電源が落とされても保持しておくべきデータ、例えば、種々の設定パラメータや機能アップのために提供された新たなプログラムなどについても記憶保持することができるようにされている。なお、EEPROM434は、ドック装置4に対して予め設定される内線番号、IPアドレス、ポート番号などからなる図1に示した内線登録データ(内線情報)についても記憶保持している。
LAN接続端子401は、LAN2への接続端部を構成するものである。LANI/F402は、LAN2を通じて供給されるパケットを受け付けて、これを自機において処理可能な形式のパケットに変換して制御部430に供給する。また、LANI/F402は、制御部430を通じて供給される送信すべきパケットを送信用の形式のパケットに変換して、これをLAN2に送出する。
外部端子411は、外部機器である携帯電話端末5との接続端部を構成するものであり、データ端子と充電端子とを有するものである。このため、図4に示したように、外部端子411には、外部I/F412と、充電電流供給部413とが接続されている。外部端子411に携帯電話端末5などの外部機器が接続されると、外部I/F412は、当該携帯電話端末5との間で接続時の信号のやり取りをすることにより、携帯電話端末5が接続されたことを検知し、制御部430に通知する。これにより、制御部430は、外部端子411を通じて自機に携帯電話端末5が接続されたことを認識することができる。
また、外部I/F412は、外部端子411を通じて供給される携帯電話端末5からのデータを受け付けて、これを自機において処理可能な形式のデータに変換して制御部430に供給する。また、外部I/F412は、外部端子411に接続された携帯電話端末5に供給する制御部430からのデータを出力用の所定の形式のデータに変換して、これを外部端子411を通じて出力する。
充電電流供給部413は、ACコンセント414から送られてくる商用交流電圧から直流の充電電流を生成する。そして、充電電流供給部413は、外部I/F412からの携帯電話端末5がドック装置4に接続されたことの検知通知に基づく制御部430の制御により駆動状態に制御されて、充電電流を、外部端子を通じて携帯電話端末5に供給するようにする。
そして、この実施の形態において、ドック装置4の外部端子411、外部I/F412、充電電流供給部413からなる部分は、USB(Universal Serial Bus)規格に準拠したものである。すなわち、この実施の形態において、ドック装置4の外部端子411はUSB端子である。
接続端末登録メモリ421は、外部端子411を通じて当該ドック装置4に対して接続可能な携帯電話端末5の端末識別情報と接続状態を示す情報とを記憶保持するものである。この接続端末登録メモリ421の登録情報に基づいたチェックにより、当該ドック装置4に対して予め決められた携帯電話端末だけの接続を可能し、部外者の携帯電話端末がドック装置4に接続されて当該電話システムを通じて通話が行われることを防止することができるようにしている。
図5は、接続端末登録メモリ421において管理される情報の例を説明するための図である。図5に示すように、接続端末登録メモリ421には、No.(シーケンスナンバー)、接続状況、登録端末、電話番号、キャリア(契約電話会社(契約事業者))が登録するようにされる。No.は登録順に割り振られるシーケンス番号である。接続状況は、ドック装置4に対して、どの携帯電話端末が接続され、どの携帯電話端末が接続されていないのかを示す情報である。
また、登録端末は、当該電話システムにおいて各携帯電話端末5を識別するために用いられる情報であり、例えば、各携帯電話端末のMAC(Media Access Control)アドレスなどが用いられる。なお、登録端末を示す情報としては、接続可能な携帯電話端末を特定可能な情報であればよく、例えば、各携帯電話端末に登録されるユーザ名等であってもよい。また、電話番号は、各携帯電話端末5に割り当てられた電話番号であり、キャリアは当該携帯電話端末を携帯電話網に接続して通信を行えるようにするサービスを提供する携帯電話会社(事業者)の名称である。
これらの情報の内、登録端末、電話番号、キャリアの各情報(端末識別情報)は、例えば、この実施の形態の電話システムの管理者によって、当該電話システムを利用することができるユーザの携帯電話端末5の情報が予め登録するようにされる。また、接続状況は、ドック装置4への携帯電話端末5の実際の接続状況に応じて、ドック装置4において更新する情報である。
そして、図5に示した例の場合には、当該ドック装置4には、端末A〜端末Jまでの異なる10台の携帯電話端末5が接続可能なものとして予め登録されている場合を示している。また、図5に示した例の場合には、端末A〜端末Jの内、端末Aが、現在、当該ドック装置4に接続されていることを示している。
そして、端末登録離脱処理部422は、当該ドック装置4に対して携帯電話端末5が接続された場合に、当該携帯電話端末5をSIPサーバ1に対して配下の電話端末として登録する処理を行う。また、端末登録離脱処理部422は、当該ドック装置4に接続された携帯電話端末5が離脱するようにされた場合に、SIPサーバ1の配下の電話端末として登録した当該携帯電話端末5をSIPサーバ1の配下から離脱させるようにする処理を行う。
具体的に、外部端子411に携帯電話端末5が接続されたことを、外部I/F412を通じて制御部430が検知し、当該携帯電話端末5から提供される端末識別情報と同じ端末識別情報が接続端末登録メモリ421に登録されていると判別したとする。この場合に、制御部430が、端末登録離脱処理部422を制御して、当該ドック装置4に接続された携帯電話端末5が、SIPサーバ1の配下の電話端末となるようにするための登録処理を行う。
すなわち、端末登録離脱処理部422は、制御部430の制御に応じて、SIPサーバ1への登録要求を形成し、これを制御部430、LANI/F402、LAN接続端子401を通じて、SIPサーバ1に送信するようにする。ここで、登録要求は、当該要求が登録要求であることを示す情報と、図3を用いて説明したように、内線登録データ(内線番号、IPアドレス、ポート番号)を含むものである。SIPサーバ1では、ドック装置4からの登録要求に基づいて、要求元の電話端末についての内線番号、IPアドレス、ポート番号がアドレス管理DB106に登録される。このようにして、当該ドック装置4に接続された携帯電話端末5が、SIPサーバ1の配下の電話端末となるようにされる。
また、端末登録離脱処理部422は、外部端子411に接続された携帯電話端末5が、当該外部端子411から離脱したことを外部I/F412を通じて制御部430が検知した場合に、離脱処理を行う。この場合、端末登録離脱処理部422は、制御部430の制御に応じて、SIPサーバ1への離脱要求を形成し、これを制御部430、LANI/F402、LAN接続端子401を通じて、SIPサーバ1に送信するようにする。ここで離脱要求は、当該要求が離脱要求であることを示す情報と、例えば、内線登録データを含むものである。SIPサーバ1では、ドック装置4からの離脱要求に基づいて、要求元の電話端末についての内線登録データをアドレス管理DB106から削除する。これにより、当該ドック装置4に接続された携帯電話端末5が、SIPサーバ1の配下から離脱するようにされる。
内線情報提供処理部423は、当該ドック装置4に接続された携帯電話端末5に対して、当該携帯電話端末5がSIPサーバ1の配下の電話端末となるための情報である内線登録データ(内線情報)を提供する処理を行う。すなわち、当該ドック装置4に携帯電話端末5が接続され、これが制御部430において検知されると、制御部430が内線情報提供を制御して、内線情報提供処理部423を機能させる。この場合、内線情報提供処理部423は、制御部430を通じてEEPROM434に格納されている内線登録データを読み出し、これを携帯電話端末5に供給する形式のデータに変換する。そして、内線情報提供処理部423は、変換した内線登録データを制御部430、外部I/F412、外部端子411を通じて携帯電話端末5に供給する。これにより、当該携帯電話端末5に対して内線登録データが提供されて、登録されることになる。
このように、ドック装置4の端末登録離脱処理部422と内線情報提供処理部423とが機能して、内線登録データ(内線情報)をSIPサーバ1とドック装置4に接続された携帯電話端末5とに供給する。これによって、ドック装置4に接続された携帯電話端末5が、SIPサーバ1の配下の電話端末(内線電話)として機能することができるようにされる。
送受信信号処理部424は、SIPサーバ1と外部端子411に接続される携帯電話端末5との間において送受される種々の信号を処理する。具体的に、SIPサーバ1からドック装置4に接続された携帯電話端末5に対する信号(データ)は、LAN接続端子401、LANI/F402を通じて受け付けられ、制御部430を介して、送受信信号処理部424に供給される。送受信信号処理部424は、SIPサーバ1からの信号をパケット分解するなどして、携帯電話端末5に供給する形式の信号に変換し、制御部430、外部I/F412、外部端子411を通じて携帯電話端末5に提供する。
また、ドック装置4に接続された携帯電話端末5からSIPサーバ1への信号(データ)は、外部端子411、外部I/F412を通じて受け付けられ、制御部430を通じて送受信信号処理部424に供給される。送受信信号処理部424は、携帯電話端末5からの信号からSIPサーバ1に供給する形式のパケットを形成し、これを制御部430、LANI/F402、LAN接続端子401を通じてSIPサーバ1に供給する。ここで、SIPサーバ1とドック装置4に接続された携帯電話端末5との間で送受される信号は、種々の制御信号の他、通信路を接続した後に送受される通話音声をも含むものである。
ID管理メモリ425は、各携帯電話端末が保持し、ドック装置4に接続された携帯電話端末5から提供される識別用情報を記憶保持するためのものである。識別用情報は、上述もしたように、携帯電話端末で携帯電話通信をするために必要な情報であって携帯電話端末毎に異なるものであり、例えば、SIMカードに記憶されているSIMカード情報である。
図6は、ID管理メモリ425に記憶保持されるデータの例を説明するための図である。図6に示すように、ID管理メモリ425には、SIMカードの識別情報(カードID)と、使用端末、電話番号、キャリア(携帯電話事業者)、残額、のそれぞれが記録される。また、使用端末の情報としては、そのSIMカードのSIMカード情報を使用していた携帯電話端末5の識別情報、この例では例えば携帯電話端末のMACアドレス(図6では、MAC−Aと記載)が記録される。
また、電話番号、キャリア、残額の情報としては、SIMカード情報に含まれる加入者電話番号、携帯電話事業者、通信料金の決済に関する情報が記録される。残額が「card」と記録されているときには、通信料金の決済はクレジットカードによることを意味している。なお、残額が「2300」のように数値で記録されている場合もある。この様な場合には、通信料金の決済はプリペイドによるもので、残額としてその数値分(2300円)残っていることを意味するものとなる。
このように、この第1の実施の形態のドック装置4においては、自機に接続された携帯電話端末5において使用されていた識別用情報であるSIMカードの情報と携帯電話端末5のMACアドレス(使用端末を識別する情報)を、ID管理メモリ425において管理できるようにしている。これにより、ドック装置4に接続された携帯電話端末5においては、利用していた識別用情報をメモリから消去することにより、携帯電話網を通じた通信ができないようにして、携帯電話端末としての機能を停止させることができるようにしている。なお、携帯電話端末5の詳細については後述する。また、携帯電話端末としての機能を停止とは、主に携帯電話網を通じての通信をできないようにすることを意味するが、広くは、携帯電話端末5が単独で実現する機能を停止させることを意味する。
このように、この第1の実施の形態のドック装置4は、自機に接続された携帯電話端末5をSIPサーバ1の配下の電話端末とするように機能する。そして、ドック装置4に接続された携帯電話端末5は、SIPサーバ1とドック装置4とを通じて、LAN2に接続された他の電話端末やIP網6や電話網7に接続された電話端末との間で通話を行うことができるようにしている。また、ドック装置4は、自機に接続された携帯電話端末5が、自機から切り離された場合には、SIPサーバ1の配下の電話端末とした当該携帯電話端末5を、SIPサーバ1の配下から離脱させることもできるものである。
なお、図4において、二重線で示した端末登録離脱処理部422と、内線情報提供処理部423と、送受信信号処理部424とは、それぞれ独立した回路部分として示しているが、制御部430において実行されるプログラムにより、制御部430の機能として実現することももちろん可能である。また、内線登録データ(内線情報)を記憶保持する専用のメモリを設けたり、接続端末登録メモリ421やID管理メモリ425の機能をEEPROM434などの既存のメモリや記憶装置に持たせたりすることも可能である。
[携帯電話端末5の構成例]
次に、この第1の実施の形態の電話システムで用いられる携帯電話端末5の構成について説明する。図7は、この第1の実施の形態の電話システムの携帯電話端末5の構成例を説明するためのブロック図である。
図7に示すように、この実施の形態の携帯電話端末5は、無線通信処理系として、送受信アンテナ501、電話通信部502、送受信信号処理部503、通話音声処理部504を備えている。通話音声処理部504には、受話アンプ505を通じて受話器(スピーカ)506が接続され、また、送話器(マイクロホン)507が、送話アンプ508を通じて接続されている。
また、携帯電話端末5は、携帯電話端末として機能するために必要な識別用情報であるSIMカード情報を記憶保持するSIMカード情報メモリ510を備えている。また、携帯電話端末5は、ドック装置4に接続された場合に、SIPサーバ1の配下の電話端末として機能するための部分として、メッセージ処理部511と、内線情報管理部512と、通話音声変換部513とを備えている。
また、携帯電話端末5は、ユーザインターフェースを構成する部分として、操作入力部521、操作入力I/F522、ディスプレイコントローラ523、ディスプレイ524、リンガ525を備えている。ディスプレイ524は、この例では、LCD(Liquid Crystal Display)である。この他、有機ELディスプレイ(organic electroluminescence display)などのいわゆる薄型の表示素子を用いることもできる。なお、図示しないが、携帯電話端末5には、着信などを通知するためのバイブレータなども設けられている。さらに、携帯電話端末5は、外部端子531、外部I/F532、充電回路533、バッテリ534を備えると共に、携帯電話端末5の各部を制御する制御部540を備えている。
制御部540は、CPU541、ROM542、RAM543、EEPROM544が、CPUバス545を通じて接続されて形成されたマイクロコンピュータである。CPU541は、ROM542に記憶されているプログラムを読み出して実行し、各部に供給する制御信号を形成して、これを各部に供給したり、各部から送信されてくるデータを受け付けて、これに応じた処理を実行したりする。ROM542は、CPU541において実行されるプログラムや処理に必要になる種々のデータが予め記録されたものである。
また、RAM543は、処理の途中結果を一時記憶するなど、主に作業領域として用いられるものである。また、EEPROM544は、いわゆる不揮発性メモリであり、携帯電話端末5の電源を落としても保持しておくべきデータ等が記憶保持される。EEPROM544には、例えば、種々の設定パラメータ、アプリケーションプログラムや機能アップのための追加プログラム、電話帳データなどが記憶保持される。
そして、送受信アンテナ501は、携帯電話網との間でデータを送受する端部である。電話通信部502は、携帯電話網の基地局を通じて相手と通信をするためのものである。送受信信号処理部503は、制御部540の制御の下、電話通信部502を通じて受信した通信情報を解析して、呼制御メッセージや通話信号をデコードし、制御部540に供給すると共に、電話通信部502を通じて送信する送信信号を生成する。
通話音声処理部504は、制御部540の制御の下、送受信信号処理部503からの受話音声情報を、デジタル信号からアナログ信号に変換し、受話アンプ505に供給する。受話アンプ505に供給された受話音声信号は、ここで増幅された後に受話器506に供給されて音響再生される。通話音声処理部504は、また、送話器507で収音され、送話アンプ508で増幅された送話音声信号を、アナログ信号からデジタル信号に変換して、制御部540の制御の下、送受信信号処理部503に供給する。そして、上述したように、送受信信号処理部503は、通話音声処理部504からのデジタル化された送話音声信号から送信する送信信号を生成し、これを電話通信部502に供給して送信するようにする。
操作入力部521は、数字キー、オフフックキー、オンフックキー、その他の各種のファンクションキー等が設けられ、ユーザからの操作入力を受け付ける部分である。操作入力部521を通じて受け付けられたユーザからの操作入力は、操作入力I/F522において電気信号に変換されて、制御部540に通知される。これにより、制御部540が操作入力I/F522からの信号に応じて各部を制御し、ユーザの指示に応じた処理を行うことができるようにされる。
ディスプレイコントローラ523は、制御部540の制御に応じてディスプレイ524に情報を表示するための表示用信号を形成し、これをディスプレイ524に供給する。これによりディスプレイ524には、種々の情報が表示される。例えば、着信時においては、発信元の電話番号や名前、発信時においては、例えばEEPROM544の電話帳DBに登録されている電話帳データ等が表示される。
この他、待ち受け時においては、所定の待ち受け画面をディスプレイ524に表示したり、各種のエラーメッセージやガイダンスメッセージなども表示したりすることもできるようにされる。なお、電話帳DBは、よく電話を掛けたり、よく電話が掛かってきたりする相手先の電話番号、名前、住所、電子メールアドレス等の情報を多数、記憶保持することができるものである。
外部端子531は、外部機器であるドック装置4との接続端部を構成するものであり、データ端子と充電端子とを有するものである。このため、図6に示したように、外部端子531には、外部I/F532と、充電回路533とが接続されている。
外部I/F532は、外部端子531を通じて接続されたドック装置4との間でデータを送受するためのものである。外部端子531にドック装置4が接続されると、外部I/F532は、当該ドック装置4との間で接続時の信号のやり取りをすることにより、ドック装置4に接続されたことを検知し、制御部540に通知する。これにより、制御部540は、外部端子531を通じて自機がドック装置4に接続されたことを認識することができる。
また、外部I/F532は、外部端子531を通じて供給されるドック装置4からのデータを受け付けて、これを自機において処理可能な形式のデータに変換して制御部540に供給する。また、外部I/F532は、外部端子531に接続されたドック装置4に供給する制御部540からのデータを出力用の所定の形式のデータに変換して、これを外部端子531を通じて出力する。
充電回路533は、外部端子531の充電端子を通じてドック装置4から送られてくる充電電流からバッテリに供給する電流を生成する。そして、充電回路533は、外部I/F532からのドック装置4に接続されたことの検知通知に基づく制御部540の制御により駆動状態に制御されて、充電用に生成した電流をバッテリ534に供給する。これにより携帯電話端末5のバッテリ534の充電が行われる。
なお、この実施の形態において、携帯電話端末5の外部端子531、外部I/F532、充電回路533からなる部分は、USB(Universal Serial Bus)規格に準拠したものである。すなわち、この実施の形態において、携帯電話端末5の外部端子531はUSB端子である。
そして、この実施の形態の携帯電話端末5は、外部端子531を通じてドック装置4に接続された場合には、SIPサーバ1の配下の電話端末となるようにされる。この場合、SIMカード情報メモリ510の情報の使用を禁止すると共に、メッセージ処理部511、内線情報管理部512、通話音声変換部513が機能する。
詳しくは後述もするが、当該携帯電話端末5がドック装置4に接続されると、制御部540が、SIMカード情報メモリ510の識別用情報(SIMカード情報)等の必要な情報をドック装置4に送信する。この後、制御部540は、SIMカード情報メモリ510からSIMカード情報を消去する。これにより、識別用情報であるSIMカード情報が携帯電話端末5において使用できなくなるので、携帯電話端末5は携帯電話網を通じた通信が行えなくなる。このように、この実施の形態の携帯電話端末5には、SIMカード自体は搭載されず、SIMカードの情報がSIMカード情報メモリ510に記録されている場合に携帯電話端末として機能することができるものである。
そして、メッセージ処理部511は、制御部540の制御の下、携帯電話端末5が外部端子531を通じてドック装置4に対して接続された場合に、ドック装置4との間で送受されるメッセージ(要求、指示、通知、応答等)を処理する。具体的に、メッセージ処理部511は、外部端子531を通じて接続されたドック装置4からのメッセージ情報を受け付け、これを制御部540において利用できるようにして制御部540に供給する。これにより、制御部540は、ドック装置4からのメッセージに対応した処理を行うことができるようにされる。
また、メッセージ処理部511は、自機からドック装置4に対して提供するメッセージを形成し、これを制御部540、外部I/F532、外部端子531を通じて、ドック装置4に供給する。ここで、自機からドック装置4に提供するメッセージとしては、例えば、操作入力部521を通じて受け付けたユーザからの指示に応じて提供する必要が生じメッセージや、ドック装置4から提供されたメッセージに対応して提供する必要が生じたメッセージなどである。
また、内線情報管理部512は、ドック装置4から提供される内線管理データ(内線情報)を受け付けて、これを内線情報管理部512が備えるメモリ、あるいは、EEPROM544に格納して利用できるように管理する。これにより、自機から発信する場合には、メッセージ処理部511が、当該内線管理データを発信元情報として用いて発信メッセージを形成し、これをドック装置4を通じてSIPサーバ1に送信するようにして発信することができるようにされる。また、当該内線管理データに基づいて、制御部540は、自機への着信を判別し、自機への着信が発生した場合に、これを報知し、ユーザ操作に応じて応答することができるようにされる。
通話音声変換部513は、SIPサーバ1とドック装置4とを通じて、相手先と自機(携帯電話端末5)との間で送受する通話音声を処理する。具体的には、SIPサーバ1及びドック装置4を通じて提供されるIP網6や電話網7に接続された相手先の電話端末からの通話音声は、外部端子531、外部I/F532、制御部540を通じて通話音声変換部513に供給される。通話音声変換部513は、供給された相手先の通話音声データから通話音声処理部504に供給する形式の音声データを形成し、これを制御部540を通じて通話音声処理部504に供給する。これにより、通話の相手先からの音声データが、通話音声処理部504でアナログ音声信号に変換され、受話アンプ505を通じて受話器506に供給されて音響再生される。
また、通話音声変換部513は、送話器507を通じて集音され、送話アンプ508及び通話音声処理部504で処理された自機のユーザからの通話音声データを、ドック装置4に対して供給する形式の音声データに変換する。ここで変換された自機のユーザからの音声データは、制御部540、外部I/F532、外部端子531を通じてドック装置4に供給され、ドック装置4からSIPサーバ1を通じて通話の相手先に送信するようにされる。このように、通話音声変換部513の機能により、ドック装置4を通じて、携帯電話端末5が内線電話端末として機能し、SIPサーバ1を通じて通信路を接続している相手先との間で通話を行うことができるようにされる。
なお、上述もしたが、ドック装置4は、予め接続端末登録メモリ421に予め登録された端末識別情報に合致する携帯電話端末5の接続だけを許可するようにされている。このため、制御部540の機能により、自機の端末情報(MACアドレス)と識別用情報(SIMカード情報)をドック装置4に提供し、認証を取ることができるようにされる。
そして、携帯電話端末5は、ドック装置4において接続が許可されると、当該ドック装置4を通じて、SIPサーバ1の配下の電話端末となる。このため、ドック装置4に対して接続されると、制御部540の制御の下、メッセージ処理部511、内線情報管理部512、通話音声変換部513が適宜機能するようにされる。これにより、ドック装置4に接続された携帯電話端末5は、SIPサーバ1の配下の電話端末として機能し、通信の相手先と通話を行うことができるようにされる。
なお、図6において、二重線で示したメッセージ処理部511と、内線情報管理部512と、通話音声変換部513とは、それぞれ独立した回路部分として示しているが、これに限るものではない。メッセージ処理部511、内線情報管理部512、通話音声変換部513のそれぞれは、制御部540において実行されるプログラムにより、制御部540の機能として実現することももちろん可能である。
[携帯電話端末5の電話システムへの接続から離脱までの処理1]
図8は、この第1の実施の形態の電話システムにおける携帯電話端末5の電話システムへの接続から離脱までの処理について説明するためのシーケンス図である。上述もしたように、この第1の実施の形態の電話システムにおいては、ドック装置4の外部端子(USB端子)411と携帯電話端末5の外部端子531とがUSBケーブル8によって有線接続される。
そして、携帯電話端末5の制御部540は、外部端子411及び外部I/F532を通じてドック装置4と通信を行うことにより、自機がドック装置4に接続されたことを検知することができる(ステップS1)。同様に、ドック装置4の制御部430は、外部端子411及び外部I/F412を通じて携帯電話端末5と通信を行うことにより、自機に携帯電話端末5が接続されたことを検知することができる(ステップS2)。
この場合、ドック装置4の制御部430は、まず、自機に接続された携帯電話端末5に対して、識別用情報の提供を要求する(ステップS3)。ここで、識別用情報は、SIMカード情報であるカードID、電話番号、キャリア、残額の各情報と、当該携帯電話端末5のMACアドレス(端末情報(端末ID))からなるものである。当該識別用情報の提供要求は、外部I/F412及ぶ外部端子411を通じて携帯電話端末5に送信される。
携帯電話端末5の制御部540は、識別用情報の提供要求を受信すると、自機の識別用情報をドック装置4に提供する処理を実行する(ステップS4)。ステップS4において携帯電話端末5の制御部540は、SIMカード情報メモリ510からSIMカード情報を、また、例えばROM542からMACアドレスを読み出し、これらを識別用情報としてドック装置4に提供(送信)する。なお、識別用情報は、制御部540、外部I/F532及び外部端子531を通じて、ドック装置4に送信される。
このように、ドック装置4と携帯電話端末5との間の種々の信号の送受は、ドック装置4の外部端子411と携帯電話端末5の外部端子531とを接続するUSBケーブル8を通じて行われる。
そして、ドック装置4は、携帯電話端末5からの識別用情報のMACアドレスに基づいて、接続端末登録メモリ421の情報を参照し、当該携帯電話端末5は自機に接続可能なものか否かを判別し、接続可能なものであれば各メモリの更新処理を行う(ステップS5)。この場合、ドック装置4の制御部430は、接続端末登録メモリ421の対応する携帯電話端末の情報の接続状況の欄に当該携帯電話端末5が「接続中」であることを示す情報を更新する。さらに、ステップS5においてドック装置4の制御部430は、携帯電話端末5からの識別情報を、図6を用いて説明したように、ID管理メモリ425に登録(更新)する。
一方、携帯電話端末5においては、制御部540が、SIMカード情報メモリ510に記憶していた識別用情報(SIMカード情報)を消去し、当該識別用情報を解放(使用不能に)する(ステップS6)。これにより、携帯電話端末5は、携帯電話網を通じての通信ができないようにされる。なお、ステップS6の処理は、例えば、ドック装置4からの識別用情報の登録完了通知を受けた後に行うようにしてもよい。
また、ステップS5において、自機に接続された携帯電話端末5は、自機に接続できないものであるとドック装置4の制御部430が判別したとする。この場合、ドック装置4の制御部430は、例えば、接続不能であることを通知するメッセージを形成し、これを当該携帯電話端末5に送信して、当該ステップS5以降の処理を行わないようにする。これにより、ドック装置4に対して予め接続が許可されていない携帯電話端末は、ドック装置4を通じて当該電話システムに対して接続することができないようにされる。
そして、ドック装置4の端末登録離脱処理部422が機能し、EEPROM434に保持している内線登録データ(内線情報)である内線番号、IPアドレス、ポート番号などの情報を、SIPサーバ1に送信し、内線情報の登録処理を行うようにする(ステップS7)。内線登録データは、LANI/F402及びLAN接続端子401を通じて、LAN2に送出され、SIPサーバ1に送信される。
SIPサーバ1は、当該内線登録データを接続端子101およびIP網I/F102を通じて受け付けると、制御部110が、アドレス管理DB106に登録する処理を行う(ステップS8)。当該登録処理が完了すると、SIPサーバ1の制御部110は、ドック装置4宛ての登録応答(登録完了通知)を形成し、これをIP網I/F102及び接続端子101を通じてLAN2に送出し、ドック装置4に送信する(ステップS9)。これにより、ドック装置4は、SIPサーバ1において、適切に内線登録データの登録が行われたことを認識することができる。
このように、SIPサーバ1とドック装置4との間の種々の信号の送受は、SIPサーバ1の接続端子101とドック装置4のLAN接続端子401を接続するLAN2を通じて行われる。
そして、ドック装置4の内線情報提供処理部423が機能し、SIPサーバ1に提供した内線登録データ(内線情報)を、携帯電話端末5に供給する形式のデータに変換し、これを自機に接続された携帯電話端末5にも提供する(ステップS10)。携帯電話端末5の制御部540は、ドック装置4からの内線登録データを受け付けると、これを内線情報管理部512に供給する。内線情報管理部512は、提供された内線登録データ(内線情報)を自己が備えるメモリに、あるいは、EEPROM544に登録する(ステップS11)。
なお、ステップS11においては、制御部540が、ディスプレイコントローラ523を制御し、ディスプレイ524の表示画面に、自機がSIPサーバ1の配下の電話端末になったことを示す情報を表示する処理も行われる。具体的には、受信電界強度やバッテリ残量の表示に替えて、例えば、「内線番号2010」や「内線電話」などといった表示を行うことにより、携帯電話端末5が電話システムの内線電話として機能する状態になったことをユーザに対して通知するようにされる。
このように、携帯電話端末5をドック装置4に接続することにより、当該携帯電話端末5は、携帯電話網を通じての通信は行うことができないようにされ、SIPサーバ1の配下の電話端末として機能するようにされる(ステップS12)。そして、当該携帯電話端末5は、ドック装置4及びSIPサーバ1を通じて、LAN2に接続された他の通信端末や、IP網6や電話網7に接続された他の通信端末との間に通信路を接続し、通話を行うことができるようにされる。この場合、携帯電話端末としての機能は識別用情報が解放されることにより不能にされるので、携帯電話網を通じて自機宛て電話がかかってくることもないようにされる。したがって、当該電話システムに接続されている携帯電話端末5は、携帯電話網に比べて通信コストが安価な通信網を通じての通話ができるようにされる。
この後、ドック装置4に接続された携帯電話端末5が、外部に持ち出すようにされたとする。すなわち、ドック装置4と携帯電話端末5とを接続していたUSBケーブル8が取り外されたとする。この場合、携帯電話端末5においては、外部端子531及び外部I/F532を通じてデータの送受を行うことができなくなるので、ドック装置4からの離脱を検知することができる(ステップS13)。
そして、携帯電話端末5の制御部540は、自機の内線電話として機能している状態を解除し、元の携帯電話端末として機能する状態に戻るようにする(ステップS14)。具体的には、メッセージ処理部511、内線情報管理部512、通話音声変換部513の機能を停止させ、携帯電話端末として機能させるようにする。ただし、識別用情報であるSIMカード情報は、ドック装置4に提供した後に、SIMカード情報メモリ510から削除したので、識別用情報なし状態の携帯電話端末となり、このままでは、携帯電話網を通じた通信もできない状態とされる(ステップS15)。
一方、ドック装置4の制御部430もまた、外部端子411及び外部I/F412を通じて携帯電話端末5とデータの送受を行うことができなくなるので、自機に接続された携帯電話端末5の離脱を検知することができる(ステップS16)。この場合、ドック装置4の端末登録離脱処理部422は、SIPサーバ1に対して内線登録データを含む、SIPサーバ1からの離脱要求を形成し、これをSIPサーバ1に提供する(ステップS17)。
そして、当該離脱要求の提供を受けたSIPサーバ1の制御部110は、自己のアドレス管理DB106から、対応する内線登録データを消去する離脱処理を実行する(ステップS18)。この後、SIPサーバ1の制御部110は、当該ドック装置4宛ての離脱完了通知を形成し、これを当該ドック装置4に提供する(ステップS19)。
ドック装置4の制御部430は、SIPサーバ1からの離脱完了通知を受信すると、接続端末登録メモリ421において、最新に自機に接続されていた携帯電話端末5に関する情報の接続状況の欄を、未接続を示す情報に更新する(ステップS20)。これにより、ドック装置4に接続されていた携帯電話端末5をSIPサーバ1の配下の電話端末とするための情報は、SIPサーバ1、ドック装置4から消去するようにされ、当該携帯電話端末5の当該電話システムからの離脱が完了する。
[ドック装置4から携帯電話端末5への識別用情報の復帰処理]
ところで、図8を用いて説明したように、ドック装置4に接続された携帯電話端末5がドック装置4から切り離される場合に、識別用情報の返却を受けないと、携帯電話網を通じて通信を行うことが可能な携帯電話端末に復帰することができない。そこで、識別用情報の返却を受けなかった携帯電話端末5が、ドック装置4から識別用情報の返却を受けるようにする場合の処理について説明する。図9は、識別用情報のドック装置4から携帯電話端末5への復旧処理を説明するためのシーケンス図である。
自機の識別用情報の返却を受けずにドック装置4から離脱した携帯電話端末5を、携帯電話網を通じて通信を行うことができるようにするために、再度、当該携帯電話端末5が接続されていたドック装置4に対してUSBケーブル8を通じて有線接続する。これにより、図8において示したステップS1〜ステップS3までの処理が同様に行われることになる。
ドック装置4に再接続された当該携帯電話端末5は、識別用情報を有していないので、識別用情報をドック装置4に対して提供することはできない。この場合に、携帯電話端末5は、ユーザからの識別用情報要求(識別用情報の変換要求)を行うようにするための操作入力を受け付けるようにする(ステップS21)。
ステップS21において、識別用情報要求操作を受け付けた携帯電話端末5の制御部540は、自機のMACアドレス(端末識別情報)を含む識別用情報(SIMカード情報)の返還要求を形成し、これをドック装置4に送信する(ステップS22)。識別用情報の返還要求を受信したドック装置4は、当該返還要求に含まれるMACアドレスに基づいて、ID管理メモリ425の情報を参照し、ID管理メモリ425に保持している識別用情報は、当該携帯電話端末5から提供されたものか否かの確認処理を行う(ステップS23)。
ステップS23の確認処理において、ID管理メモリ425に保持している識別用情報は、当該携帯電話端末5から提供されたものであることが確認できたとする。この場合、ドック装置4の制御部430は、当該識別用情報を自機に接続された携帯電話端末5に提供(返還)し、ID管理メモリ425から当該識別用情報を消去する処理を行う(ステップS24)。なお、ID管理メモリ425からの当該識別用情報の消去は、携帯電話端末5からの識別用情報の受信応答が来た場合など、確認が取れた場合に消去するようにしてもよい。
携帯電話端末5は、ドック装置4から識別用情報の提供(返却)を受けると、制御部540が、SIMカード情報メモリ510に当該識別用情報を登録する(ステップS25)。この後、ドック装置4と携帯電話端末5とのUSB接続が解除されると(切り離されると)、携帯電話端末5はドック装置4から切り離されたことを検知する(ステップS26)。同様に、ドック装置4においても、携帯電話端末5が切り離されたことを検知する(ステップS27)。
そして、当該携帯電話端末5は、メッセージ処理部511、内線情報管理部512、通話音声変換部513の機能を停止させ、SIMカード情報メモリ510の識別用情報を用いた通常の携帯電話端末として動作するように制御される(ステップS28)。これにより、当該携帯電話端末5は、通常の携帯電話端末に復帰し、携帯電話網を通じての通信を行うことができるようにされる。また、ドック装置4は、携帯電話端末5の接続待ち状態に遷移する。
このように、識別用情報の返却を受けずにドック装置4から離脱した携帯電話端末5は、再度、当該ドック装置4に有線接続して、識別用情報の返却を受けることにより、携帯電話網を通じて通信が可能な通常の携帯電話端末に復帰することができるようにされる。
なお、図8に示したシーケンス図において、ステップS13及びステップS16の前段に、図9に示したステップS21〜ステップS25の処理を行うようにすることもできる。この場合には、携帯電話端末5は、自機の端末識別情報の返却をドック装置4から受けた後にドック装置4から離脱することができる。したがって、携帯電話端末5は、ドック装置4からの離脱後、即座に携帯電話網を通じて通信を行うことが可能な携帯電話端末に復帰することができる。この場合、図8に示したステップS15の状態に代わり、図9においてステップS28の状態となり、ドック装置4からの離脱後即座に携帯電話端末5は携帯電話網を通じて通信が可能な通常の携帯電話端末に復帰することができるようにされる。
[携帯電話端末5の電話システムへの接続から離脱までの処理2]
図8を用いて説明した処理の場合、識別用情報をドック装置4から携帯電話端末5に返却しない状態で、携帯電話端末5をドック装置4から離脱させることができる。このため、携帯電話端末5がドック装置4から離脱後において、通常の携帯電話端末として機能するためには、図9を用いて説明したように、識別用情報の返却処理が必要になる。そこで、識別用情報は、あくまでも携帯電話端末5側で管理することによって、ドック装置4から携帯電話端末5への識別用情報の返却を不要にしたものが、図10を用いて以下に説明する処理である。
図10は、この第1の実施の形態の電話システムにおける携帯電話端末5の電話システムへの接続から離脱までの処理の変形例(携帯電話端末5の電話システムへの接続から離脱までの処理2)について説明するためのシーケンス図である。図8と図10とを比較すると分かるように、ステップS3A〜ステップS6Aの処理と、ステップS15Aの処理とが異なる点を除けば、それ以外の処理は同様に行われる。このため、図10に示した処理において、図8に示した処理と同様に行われる部分には、同じ参照符号(ステップ番号)を付し、その部分の詳細な説明は重複するので省略する。
図10に示した処理の場合、携帯電話端末5でのステップS1の処理、及びドック装置4でのステップS2の処理の後、ドック装置4は、携帯電話端末5に対して端末情報(端末ID)の提供を要求する(ステップS3A)。端末情報は、携帯電話端末5を一意に特定可能な情報であり、この第1の実施の形態においては携帯電話端末5のMACアドレスである。
携帯電話端末5の制御部540は、ドック装置4からの端末情報の提供要求を受信すると、ROM542からMACアドレスを読み出し、これをドック装置4に提供する(ステップS4A)。ドック装置4の制御部430は、携帯電話端末5からの端末情報(MACアドレス)に基づいて、接続端末登録メモリ421を参照し、当該携帯電話端末5は自機に接続可能なものか否かを判別する。そして、接続可能なものであれば接続端末登録メモリ421の更新処理を行う(ステップS5A)。このステップS5Aの処理は、制御部430が、接続端末登録メモリ421の対応する携帯電話端末の情報の接続状況の欄に当該携帯電話端末5が「接続中」であることを示す情報を更新するものである。
また、携帯電話端末5においては、制御部540が、SIMカード情報メモリ510に記憶していた識別用情報(SIMカード情報)の使用を禁止するようにする(ステップS6A)。このステップS6Aの処理は、種々の方法を用いて行うことができる。例えば、制御部540は、SIMカード情報メモリ510の識別用情報を、EEPROM544などの別のメモリに移動させ、SIMカード情報メモリ510からは削除することにより、当該識別用情報の使用を禁止することができる。
また、SIMカード情報メモリ510に記憶保持されている識別用情報に、使用停止フラグを設け、これをオンにする。そして、携帯電話端末5の制御部540において実行されるプログラムでは、使用不可フラグがオンにされた識別用情報の使用をできないようにプログラムを作成しておく。これにより、識別用情報の使用不可フラグがオンにされている間においては、当該識別用情報の使用を停止(禁止)することができる。もちろん、この他にも、識別用情報を携帯電話端末5から消去することなく、使用を禁止し、必要に応じて使用を再開できる種々の方法を用いることが可能である。
この後、ドック装置4、SIPサーバ1、携帯電話端末5では、図10において、ステップS7〜ステップS12の各処理が順次に行われる。これにより、携帯電話端末5は、ドック装置4を通じてSIPサーバ1に接続され、SIPサーバ1の配下の電話端末として機能することができるようにされる。
そして、ドック装置4に接続された携帯電話端末5が、外部に持ち出すようにされたとする。すなわち、ドック装置4と携帯電話端末5とを接続していたUSBケーブル8が取り外されたとする。この場合、携帯電話端末5においては、図8を用いて説明した場合と同様に、ステップS13、ステップS14の処理が行われ、最後に、上述したようにステップS6Aにおいて使用を停止させていた識別用情報の使用を再開させる(ステップS15A)。
このステップS15Aの処理は、上述したように、SIMカード情報メモリ510の識別情報を他のメモリに移動させることにより使用を禁止していた場合には、当該識別情報をSIMカード情報メモリ510に戻す処理となる。また、SIMカード情報メモリ510の識別用情報に使用停止フラグを設け、これをオンにすることにより、当該識別用情報の使用を停止するようにしている場合には、当該識別用情報の使用停止フラグをオフにする処理となる。
なお、ドック装置4におけるステップS16、ステップS17、ステップS20の処理と、SIPサーバ1におけるステップS18、ステップS19の処理は、図8に示した対応する処理と同様に行われる。
このように、この図10を用いて説明した処理の場合には、SIMカードの情報である識別用情報は、あくまでも携帯電話端末5側で管理され、ドック装置4側で管理されることはない。これにより、ドック装置4を通じてSIPサーバ1の配下の電話端末となった携帯電話端末5が、当該ドック装置4から切り離されても、ドック装置4と関わりなく、独自に携帯電話網を通じた通信が可能な元の携帯電話端末に復帰することができる。すなわち、図8を用いて説明した処理の場合のように、識別用情報を持たない状態の携帯電話端末となることがないようにされる。
[第1の実施の形態の効果]
このように、この第1の実施の形態の電話システムの場合には、ドック装置4に対して携帯電話端末5を有線接続することにより、携帯電話端末5をSIPサーバ1の配下の電話端末(内線電話端末)として機能させることができる。そして、ドック装置4に接続された携帯電話端末5においては、自機の識別用情報(SIMカード情報)を使用できないようにするので、ドック装置4への接続中においては、携帯電話網を通じて通信ができないようにされ、SIPサーバ1の配下の電話端末としてのみ機能することができるようにされる。
したがって、携帯電話端末5をSIPサーバ1の配下の内線電話端末として利用可能な電話システムを簡単かつ適切に構成することができる。また、SIPサーバ1においても、当該携帯電話端末5を適切に管理することができるようにされる。すなわち、どの携帯電話端末5がSIPサーバ1の配下の電話端末となっているかを確実に管理することが出来るようにされる。したがって、SIPサーバ1の配下から離脱した携帯電話端末5を、いつまでも自機の配下の電話端末として管理するなどといった不都合も生じさない。
[第2の実施の形態]
[第2の実施の形態の電話システムの概要]
図11は、第2の実施の形態の電話システムの概要を説明するための図である。図11において、図1を用いて上述した第1の実施の形態の電話システムと同様に構成される部分には、同じ参照符号を付し、その部分の詳細な説明は重複するので省略する。そして、図11に示すように、この第2に実施の形態の電話システムにおいては、ドック装置4A(1)、4A(2)、…のそれぞれに対して、携帯電話端末5A(1)、5A(2)、…が対応して無線接続される点が、上述した第1の実施の形態の電話システムとは異なる。
図11に示すように、ドック装置4A(1)、4A(2)、…のそれぞれは、上述した第1の実施の形態のドック装置4の場合と同様に、端末登録データが予め設定されているものである。そして、この第2の実施の形態の電話システムにおいても、ドック装置4A(1)、4A(2)、…を通じて、携帯電話端末5A(1)、5A(2)、…が、SIPサーバ1の配下の電話端末として機能することができるようにしている。
なお、この第2の実施の形態において、ドック装置4A(1)、4A(2)、…のそれぞれは、基本的に同様に構成されるものである。このため、以下においては特に区別して示す場合を除き、LAN2に接続されるドック装置4A(1)、4A(2)、…を総称して、ドック装置4Aという。また、携帯電話端末5A(1)、5A(2)、…のそれぞれもまた、その基本的な構成は同様のものである。このため、以下においては特に区別して示す場合を除き、携帯電話端末5A(1)、5A(2)、…を総称して、携帯電話端末5Aという。
また、この第2の実施の形態において、ドック装置4A(1)、4A(2)、…のそれぞれと、対応する携帯電話端末5A(1)、5A(2)、…とは、例えば、IEEE802.11a、同802.11b/g規格、あるいは、その後継規格の無線LANによって接続可能にされている。以下に、第1の実施の形態の電話システムとは異なる部分である、ドック装置4Aと携帯電話端末5Aについて具体的に説明する。
[ドック装置4Aの構成例]
まず、第2の実施の形態の電話システムで用いられるドック装置4Aの構成について説明する。図12は、第2の実施の形態の電話システムのドック装置4Aの構成例を説明するためのブロック図である。図12において、図4を用いて説明した第1の実施の形態のドック装置4と同様に構成される部分には同じ参照符号を付し、その部分の説明については重複するので省略する。
そして、図12と図4とを比較すると分かるように、この第2の実施の形態のドック装置4Aは、無線LAN用の送受信アンテナ451と、無線LANインターフェース(以下、無線LANI/Fと略称する。)452とを備えている。この点が、第1の実施の形態のドック装置4と大きく異なる点である。
送受信アンテナ451は、無線LANへの接続端部を構成する。無線LANI/F452は、送受信アンテナ451を通じて受信したデータを自機において処理可能な形式のデータに変換し、これを制御部430に供給する。また、無線LANI/F452は、制御部430を通じて供給される無線LANを通じて送信すべきデータを、無線LANに送出する形式のデータに変換し、これを送受信アンテナ451を通じて無線LANに送出し、目的とする相手先に送信するようにする。これら送受信アンテナ451と無線LANI/F452とにより、後述する携帯電話端末5Aとの無線接続を可能にしている。
なお、この第2の実施の形態のドック装置4Aは、有線LAN2を通じて接続されるSIPサーバ1と、無線LANを通じて接続される携帯電話端末5Aとの間で送受される種々のデータを中継する。この場合、SIPサーバ1とドック装置4Aとの間と、ドック装置4Aと携帯電話端末5Aとの間とは、いずれもLANにより接続され、パケット化されたデータが送受される。このため、この第2の実施の形態のドック装置4Aの場合には、パケット分解やパケット生成などを行って、相手先に送信するデータを形成する必要はないので、第1の実施の形態のドック装置4が備えていた送受信信号処理部424は備えない構成となっている。
また、この第2の実施の形態のドック装置4Aの場合には、充電端子441、接続検出部442、充電電流供給部443、ACコンセント444を備え、充電端子に接続された携帯電話端末5Aに対して充電を行う機能をも備えている。これは、ドック装置4Aと後述する携帯電話端末5Aとの間におけるデータの送受は無線LANを通じて行われるので、データの送受とは別個に充電だけを行える構成を有するようにしたものである。
[携帯電話端末5Aの構成例]
次に、この第2の実施の形態の電話システムで用いられる携帯電話端末5Aの構成について説明する。図13は、この第2の実施の形態の電話システムの携帯電話端末5Aの構成例を説明するためのブロック図である。図13において、図7を用いて説明した第1の実施の形態の携帯電話端末5と同様に構成される部分には同じ参照符号を付し、その部分の説明については重複するので省略する。
そして、図13と図7とを比較すると分かるように、この第2の実施の形態の携帯電話端末5Aは、無線LAN用の送受信アンテナ561と、無線LAN通信部562とを備えている。この点が、第1の実施の形態の携帯電話端末5と大きく異なる点である。
送受信アンテナ561は、無線LANへの接続端部を構成する。無線LAN通信部562は、送受信アンテナ561を通じて受信したデータを自機において処理可能な形式のデータに変換し、これを制御部540に供給する。また、無線LAN通信部562は、制御部540を通じて供給される無線LANを通じて送信すべきデータを、無線LANに送出する形式のデータに変換し、これを送受信アンテナ561を通じて無線LANに送出し、目的とする相手先に送信するようにする。これら送受信アンテナ561と無線LAN通信部562とにより、上述したドック装置4Aとの無線接続を可能にしている。
そして、この第2の実施の形態の携帯電話端末5Aにおいては、送受信アンテナ561及び無線LAN通信部562を通じて、ドック装置4Aと無線接続されている場合には、詳しくは後述もするが携帯電話網を通じての通信機能は停止される。そして、SIPサーバ1の配下の電話端末として、送受信アンテナ561及び無線LAN通信部562を通じた通話ができるようにされる。
この場合、送受信アンテナ561、無線LAN通信部562を通じて受信したデータは、制御部540を通じて送受信信号処理部503に供給され、ここで制御信号(制御メッセージ)や通話信号がデコードされる。そして、デコードされた制御信号は制御部540に供給されて自機の制御等に使用され、デコードされた通話信号は制御部540を通じて通話音声処理部504に供給されて、受話アンプ505を通じて受話器506に供給されて放音される。
また、送話器507により集音されたユーザの音声は、送話アンプ508を通じて通話音声処理部504に供給され、アナログ音声信号をデジタル音声信号に変換する。ここで変換されたデジタル音声信号は、制御部540を通じて送受信信号処理部503に供給され、ここで送信用信号(パケットデータ)に変換される。この送信用信号が、制御部540を通じて、無線LAN通信部562に供給され、ここで無線LANに送出する信号に変換されて、送受信アンテナ561を通じて無線LANに送出され、ドック装置4Aに送信される。
なお、この第2の実施の形態の携帯電話端末5Aからドック装置4Aに送信する種々の制御信号等についても、制御部540→送受信信号処理部503→制御部540→無線LAN通信部562の順に処理されて、ドック装置4Aに送信される。
このように、この第2の実施の形態の携帯電話端末5Aにおいては、無線LAN用の送受信アンテナ561及び無線LAN通信部562を通じて送受する信号については、制御部540、送受信信号処理部503、通話音声処理部504を通じて処理することができるようにしている。このため、第1の実施の形態の携帯電話端末5が備えていたメッセージ処理部511、通話音声変換部513は備えない構成となっている。
また、この第2の実施の形態の携帯電話端末5Aの場合には、充電端子551、接続検出部552、充電回路553、バッテリ554を備え、充電端子551を通じてドック装置4Aから充電電流の供給を受けて、バッテリ554に充電を行う機能をも備えている。これは、ドック装置4Aの場合と同様に、携帯電話端末5Aとドック装置4Aとの間におけるデータの送受は無線LANを通じて行われるので、データの送受とは別個に充電だけを行える構成を有するようにしたものである。
[携帯電話端末5Aの電話システムへの接続から離脱までの処理1]
図14は、この第2の実施の形態の電話システムにおける携帯電話端末5Aの電話システムへの接続から離脱までの処理について説明するためのシーケンス図である。図14において、図8に示した第1の実施の形態の携帯電話端末5の電話システムへの接続から離脱までの処理1と同様に行われる処理には同じ参照符号(ステップ番号)を付し、その部分の説明は重複するので省略する。
そして、図14と図8とを比較すると分かるように、図14におけるステップS31〜ステップS34までの処理と、ステップS41、ステップS42の処理が、第1の実施の形態の電話システムにおける処理とは異なっている。これは、この第2の実施の形態の電話システムの場合には、ドック装置4Aと携帯電話端末5Aとは無線接続されることによる。
すなわち、ステップS31、ステップS32においては、携帯電話端末5Aとドック装置4Aとが、無線によるコネクション処理(所定の無線LAN接続シーケンス)を行うことにより、無線接続を行うようにする。具体的には、ドック装置4Aから定期的に送出されるビーコン信号を携帯電話端末5Aがサーチするようにし、検出できた場合に携帯電話端末5Aがドック装置4Aに接続の許可を要求するようにする。
ドック装置4Aは、携帯電話端末5Aが接続可能なものである場合には、無線接続を許可を示す応答を携帯電話端末5Aに送信する(ステップS33)。これにより、携帯電話端末5Aが、ドック装置4Aに対して無線接続され、この第2の実施の形態の電話システムの実質的に圏内の機器となる(ステップS34)。この後、図8を用いて説明したように、ステップS3〜ステップS12の処理により、携帯電話端末5Aが、ドック装置4Aを通じてSIPサーバ1の配下の電話端末となるようにされる。
この後、携帯電話端末5Aが持ち出されるようにされたとする。この場合、携帯電話端末5Aは、ドック装置4Aとの間で無線LANを通じての通信ができなくなる。携帯電話端末5Aは、ドック装置4Aからのビーコン信号等を受信できなくなることにより、自機がドック装置4Aから離脱したことを検知することができる(ステップS41)。この場合に、ステップS41において、携帯電話端末5Aは、内線電話状態を解除し、元の携帯電話端末としてフックするようにする。
すなわち、ステップS41において、携帯電話端末5Aの制御部540は、無線LAN通信部562を制御して、ドック装置4Aのビーコン信号のサーチ処理に戻るようにすると共に、電話通信部502を通じての通信を行えるようにする。この場合、図8を用いて説明したように、携帯電話端末5Aは、自機の識別用情報をドック装置4Aに提供した後に消去したまま、その返却を受けていないので、識別用情報がなしの状態となる。すなわち、携帯電話端末5は、SIPサーバ1の配下から離脱したが、携帯電話端末として携帯電話網を通じた通信ができない状態となる。
一方、ドック装置4Aにおいても、無線接続されていた携帯電話端末5Aと無線通信できない状態となるので、当該状態が一定時間継続することにより、携帯電話端末5Aが離脱したと検知し、携帯電話端末5AのSIPサーバ1の配下からの離脱処理を開始させる(ステップS42)。
このように、この図14に示し処理は、ドック装置4Aと携帯電話端末5Aとが無線接続される点を除き、図8に示した第1の実施の形態の電話システムの処理と同様の処理が行われることになる。
[ドック装置4Aから携帯電話端末5Aへの識別用情報の復帰処理]
そして、この第2の実施の形態の電話システムにおいて、携帯電話端末5Aが、携帯電話網を通じて通信が可能な携帯電話端末に復帰ためには、図15の識別用情報の復帰処理を行うようにする。図15は、この第2の実施の形態の電話システムにおけるドック装置4Aから携帯電話端末5Aへの識別用情報の復帰処理を説明するためのシーケンス図である。
図15において、ステップS31〜ステップS34の処理は、図14を用いて説明したステップS31〜ステップS34の処理と同様に行われる。すなわち、携帯電話端末5Aを、再度、ドック装置4Aと無線可能なエリアに位置させ、ドック装置4Aと携帯電話端末5Aとの間を無線接続する。この後、図9を用いて説明したステップS21〜ステップS25の処理を実行することにより、携帯電話端末5Aからドック装置4Aに提供した識別用情報の返却を受ける。
この後、図14を用いて説明したステップS41、ステップS42の処理を実行する。すなわち、携帯電話端末5Aをドック装置4Aの圏外に持ち出すことによって、無線接続を解除する。この後、携帯電話端末5Aは、無線LAN通信部562をビーコン信号のサーチ処理を行うように制御し、電話通信部502を通じて通信を行うように制御することにより、携帯電話網を通じて通信が可能な携帯電話端末に復帰する(ステップS43)。
このように、この第2の実施の形態の電話システムにおいても、図15に示したドック装置4Aから携帯電話端末5Aへの識別用情報の復帰処理を行うことにより、携帯電話端末5は携帯電話網を通じて通信が可能な携帯電話端末に復帰することができる。
なお、この第2の実施の形態の電話システムにおいても、図14に示したシーケンス図において、ステップS41及びステップS42の前段に、図15に示したステップS21〜ステップS25の処理を行うようにすることもできる。この場合には、携帯電話端末5Aは、自機の端末識別情報の返却をドック装置4Aから受けた後にドック装置4Aから離脱することができる。したがって、携帯電話端末5Aは、ドック装置4Aからの離脱後、即座に携帯電話網を通じて通信を行うことが可能な携帯電話端末に復帰することができる。この場合、図14に示したステップS15の状態に代わり、図15においてステップS43の状態となり、ドック装置4からの離脱後即座に携帯電話端末5Aは通常の携帯電話端末に復帰することができるようにされる。
[携帯電話端末5Aの電話システムへの接続から離脱までの処理2]
そして、この第2の実施の形態の電話システムの場合にも、第1の実施の形態の電話システムの場合と同様に、識別用情報は、飽くまでも携帯電話端末5A側で管理することによって、ドック装置4Aから携帯電話端末5への識別用情報の返却を不要にすることもできる。図16は、この第2の実施の形態の電話システムにおいて、ドック装置4Aから携帯電話端末5への識別用情報の返却を不要にした携帯電話端末5Aの電話システムへの接続から離脱までの処理2を説明するためのシーケンス図である。
図16に示したシーケンス図において、ステップS31〜ステップS34までの処理は、図14を用いて説明したステップS31〜ステップS34までの処理と同様に行われる。すなわち、携帯電話端末5Aとドック装置4Aとが相互に無線通信を行って、無線接続を確立する処理が行われる。この後に行われるステップS3A〜ステップS6Aまでの処理は、図10を用いて説明したステップS3A〜ステップS6Aまでの処理と同様に行われる。すなわち、携帯電話端末5Aからドック装置4Aへは、識別用情報は提供することなく、端末情報(携帯電話端末5AのMACアドレス)だけを提供し、ドック装置4Aにおいて、自機に無線接続された携帯電話端末5Aを認識し、管理できるようにする。
そして、図16に示したステップS7〜ステップS12までの処理は、図8、図9、図14に示したステップS7〜ステップS12までの処理と同様に行われる処理である。すなわち、ドック装置4Aが、SIPサーバ1と携帯電話端末5Aとに内線登録データ(内線情報)を提供して登録することにより、携帯電話端末5AをSIPサーバ1の配下の電話端末端末として機能できるようにする。
このようにして、この第2の実施の形態の携帯電話端末5Aは、識別用情報を自機に保持したまま、ドック装置4Aを通じて、自機をSIPサーバ1の配下の電話端末として登録するようにされる。そして、携帯電話端末5Aは、ドック装置4Aを通じて、SIPサーバ1の配下の電話端末として機能することができるようにされる。
この後、携帯電話端末5Aが持ち出され、この電話システムから離脱するようにされたとする。この場合、ステップS41、ステップS42の処理は、図14を用いて説明したステップS41、ステップS42の処理と同様に行われる。すなわち、携帯電話端末5Aにおいては、無線接続されたドック装置4Aからの離脱を検知すると、自機の内線電話状態を解除するようにする。また、ドック装置4Aにおいては、無線接続された携帯電話端末5Aの離脱を検知すると、携帯電話端末5AをSIPサーバ1の配下から離脱させる処理を開始させる。
そして、携帯電話端末5Aでは、ステップS41の処理の後、ステップS15Aの処理を実行する。当該ステップS15Aの処理は、図10に示したステップS15Aの処理と同様の処理であり、自機において使用を停止(禁止)していた識別用情報の使用を再開するようにし、携帯電話網を通じての通信を行えるようにする。すなわち、携帯電話端末5Aは、携帯電話網を通じて通信を行う通常の携帯電話端末に復帰する。
また、図16において、ステップS18〜ステップS20までの処理は、図8、図10、図14に示したステップS18〜ステップS20までの処理と同様に行われる処理であり、SIPサーバ1の配下から携帯電話端末5Aを離脱させる処理が行われることになる。
このように、この第2の実施の形態の電話システムの場合にも、携帯電話端末5A側において、識別用情報を保持、管理するようにする。そして、携帯電話端末5Aは、無線接続されたドック装置4Aからの離脱後即座に、携帯電話端末5Aが単独で携帯電話網を通じて通信が可能な通常の携帯電話端末に復帰することができるようにされる。
[第2の実施の形態の効果]
このように、この第2の実施の形態の電話システムの場合には、ドック装置4Aに対して携帯電話端末5Aを無線接続することにより、携帯電話端末5AをSIPサーバ1の配下の電話端末(内線電話端末)として機能させることができる。そして、上述した第1の実施の形態の電話システムの場合の効果と同様の効果を奏することができる。
[第3の実施の形態]
図17は、第3の実施の形態の電話システムの概要を説明するための図である。図17において、図1、図11を用いて上述した第1、第2の実施の形態の電話システムと同様に構成される部分には、同じ参照符号を付し、その部分の詳細な説明は重複するので省略する。
なお、図17に示すように、この第3の実施の形態の電話システムは、第1の実施の形態の場合と同様に、有線接続されるドック装置4と携帯電話端末5とを用いて構成することができる。また、第3の実施の形態の電話システムは、第2の実施の形態の場合と同様に、無線接続されるドック装置4Aと携帯電話端末5Aとを用いて構成することもできる。さらに、第3の実施の形態の電話システムは、有線接続されるドック装置4と携帯電話端末5と、無線接続されるドック装置4Aと携帯電話端末5Aとを混在させて構成することも可能である。
そして、図17に示すように、ドック装置4、4Aには、上述した第1、第2の実施の形態のドック装置4、4Aの場合と同様に、端末登録データが予め設定されている。そして、この第3の実施の形態の電話システムにおいても、ドック装置4、4Aを通じて、携帯電話端末5、5Aが、SIPサーバ1の配下の電話端末として機能することができるようにしている。
さらに、この第3の実施の形態の電話システムの場合には、LAN2に接続された管理サーバ9を新たに設け、この管理サーバ9において、複数の識別用情報(SIMカード情報)を一元管理するようにしている。すなわち、上述した第1、第2の実施の形態においては、携帯電話端末5、5Aが接続されたドック装置4、4AのID管理メモリ425において管理するようにしていた識別用情報を、管理サーバ9において管理する。この場合、管理サーバ9は、ドック装置4、4Aを通じてSIPサーバ1の配下の電話端末となる全ての携帯電話端末5、5Aの識別用情報を管理し、携帯電話端末5、5Aが識別用情報の交換を行うこともできるようにしている。
つまり、各携帯電話会社(携帯電話サービスを提供する事業者)や携帯電話端末メーカーにおいては、携帯電話端末側のいわゆるSIMロックを解除し、1つの携帯電話端末において、種々のSIMカードの利用をできるようにすることが検討されている。このような背景の下、この第3の実施の形態の電話システムにおいては、ドック装置4、4Aに接続された携帯電話端末5、5Aが、ドック装置4、4Aから離脱する場合に、目的とする携帯電話会社の識別用情報の提供を受けることができるようにしている。
このようにすることによって、例えば、出張などで地方に行く場合に、当該地方においてより携帯電話網が整備された携帯電話会社の識別用情報を用いるようにし、出張先においてより良好に携帯電話端末を通じた通信を行えるようにすることができる。また、携帯電話端末を通じて通信を行うことが多い相手先が利用している携帯電話会社の識別用情報を用いるようにすることによって、通信コストを安価にするサービスの提供を受けるようにするなどのことができるようにされる。
なお、以下においては、説明を簡単にするため、第1の実施の形態の電話システムの場合と同様に、有線接続されるドック装置4と携帯電話端末5とを用いて電話システムを構成した場合を例にして説明する。このため、必要に応じて、図4、図7の各装置のブロック図をも参照しながらこの第3の実施の形態の電話システムについて説明する。
[管理サーバ9の構成例]
この第3の実施の形態の電話システムで用いられる管理サーバ9の構成について説明する。図18は、この第3の実施の形態の管理サーバ9の構成例を示すブロック図である。この例の管理サーバ9は、マイクロコンピュータを搭載して構成されており、システムバス900に対して、CPU901、ROM902、RAM903、LAN用インターフェース(以下、LAN用I/Fと略称する。)905、LAN用接続端子906、LAN用送受信部907、カードインターフェース(以下、カードI/Fと略称する。)9081〜908n、カード管理テーブルメモリ909、端末管理テーブルメモリ910、表示情報生成部911、のそれぞれが接続されている。
CPU901は、ROM902に記憶されているプログラムに従って、RAM903をワークエリアとして用いることにより、以下に説明するような管理サーバ9が実行する種々の処理を、ソフトウエア処理として実行する。すなわち、CPU901、ROM902、RAM903がマイクロコンピュータを構成し、この管理サーバ9の制御部として機能するようにされている。
LAN用送受信部907は、CPU901の制御の下、LAN用I/F905を通じて受信したデータをデコードおよび解析して、システムバス900に送出すると共に、LAN2に送出すべき送信データを生成し、LAN用I/F905に渡すようにする。その送信データには、管理サーバの識別情報が含められる。
カードインターフェース9081〜908nのそれぞれは、管理サーバ9のn個のSIMカードの装填が可能なSIMカード装填部内に設けられているカード用コネクタ9121〜912nに接続されている。管理サーバ9のSIMカード装填部にSIMカードが装填されると、SIMカードの接点端子とカード用コネクタ9121〜912nの接点端子とが電気的に接続され、カードインターフェース9081〜908nのそれぞれを通じて、SIMカードからSIMカード情報を読み出すことができる。
カード管理テーブルメモリ909には、管理サーバ9のSIMカード装填部に装填されているSIMカードの全てについての管理情報が記録されているカード管理テーブルの情報が記憶されている。カード管理テーブルに記録される管理情報の例を図19に示す。
すなわち、図19の例においては、カード管理テーブルには、SIMカードの識別情報(カードID)と、使用状況、使用端末、電話番号、キャリア(携帯電話事業者)、残額、のそれぞれが記録される。
使用状況の情報としては、そのSIMカードのSIMカード情報が携帯電話端末5に渡されて「使用中」であるか、「未使用」であるか、あるいはSIMカード情報が携帯電話端末5に渡されてはいるが「使用待機」の状態であるか、のいずれかが記録される。
使用端末の情報としては、そのSIMカードのSIMカード情報を使用中または使用待機の状態である携帯電話端末5の識別情報、この例では携帯電話端末のMACアドレス(図19では、MAC−AやMAC−Bと記載。)が記録される。携帯電話端末5の識別情報を、以下、端末IDと称することとする。
電話番号、キャリア、残額の情報としては、SIMカード情報に含まれる加入者電話番号、携帯電話事業者、通信料金の決済に関する情報が記録される。残額が「card」と記録されているときには、通信料金の決済はクレジットカードによることを意味している。また、残額が「2300」のように数値で記録されているときには、通信料金の決済はプリペイドによるもので、残額としてその数値分(2300円)残っていることを意味している。
端末管理テーブルメモリ910には、管理サーバ9に登録された携帯電話端末5の端末情報(MACアドレスや製造番号)やその他の携帯電話端末に関する情報からなる管理情報を記録した端末管理テーブルの情報が記憶されている。携帯電話端末5がドック装置4とUSBケーブル8で接続(以下、USB接続という)されると、その携帯電話端末5から端末情報が管理サーバ9に送られ、未登録であれば、管理サーバ9に登録される。端末管理テーブルに記録される管理情報の例を図20に示す。
すなわち、図20の例においては、端末管理テーブルには、携帯電話端末5のMACアドレス(端末ID)と、製造番号と、機種コードと、使用可能SIMカードと、ドック装置4の識別情報(以下、ドックIDという)とが管理情報として記録される。
機種コードおよび使用可能SIMカードの情報は、管理サーバ9が例えばSIPサーバ1及びIP網6を通じて、Webページから取得する。すなわち、この実施形態では、携帯電話端末の製造会社は、Webページに、自社が製造した携帯電話端末の製造番号やMACアドレスに対応して、その機種コードと、使用可能なSIMカードの情報とを掲載するものとする。管理サーバ9は、図示は省略するが、各製造会社の前記WebページのURL(Uniform Resource Locator)を記憶している。
そして、管理サーバ9は、受信した携帯電話端末5のMACアドレスに含まれるカンパニーコードから当該携帯電話端末の製造会社を判別する。そして、管理サーバ9は、判別した製造会社のWebページのURLを読み出して、SIPサーバ1及びIP網6を通じて当該Webページにアクセスする。さらに、管理サーバ9は、当該Webページに携帯電話端末5のMACアドレスと製造番号とを検索子として送り、その検索結果として、当該Webページから、携帯電話端末の機種コードと使用可能なSIMカードの情報とを取得する。そして、取得した携帯電話端末5の機種コードと使用可能なSIMカードの情報とを、端末管理テーブルに登録する。
また、ドックIDは、携帯電話端末5をドック装置4にUSBケーブル8を通じて接続したときに、ドック装置4から提供を受けて端末管理テーブルに記録される。そして、管理サーバ9は、携帯電話端末5とドック装置4とのUSB接続が解除されたときには、ドック装置4からの通知に応じて、そのドックIDの記録を消去する。
表示情報生成部911は、カード管理テーブルメモリ909に記憶されているカード管理テーブルの表示用情報(図19参照)を、カード管理テーブルの管理情報が更新される度に生成する。管理サーバ9は、生成したカード管理テーブルの表示用情報を、ドック装置4にUSBケーブル8を通じて接続されている携帯電話端末5の全てに送信することができるようにしている。
なお、LAN用送受信部907と、表示情報生成部911は、CPU901によるソフトウエア処理として構成することもできる。
[第3の実施の形態の電話システムの処理]
次に、この第3の実施の形態の電話システムにおいて行われる携帯電話端末5の電話システムへの接続から離脱までの処理について説明する。図21〜図23に示すシーケンス図は、この第3の実施の形態の電話システムにおいて行われる携帯電話端末5の電話システムへの接続から離脱までの処理を説明するためのシーケンス図である。なお、図21〜図23に示すシーケンス図においても、図8に示したシーケンス図の場合と同様に行われる処理には、同じ参照符号(ステップ番号)を付し、その部分の詳細な説明については省略する。
まず、図21において、ステップS1〜ステップS4までの処理は、図8を用いて説明したステップS1〜ステップS4の処理と同様に行われる処理である。すなわち、ドック装置4に対して携帯電話端末5がUSB接続され、当該接続が携帯電話端末5とドック装置4とのそれぞれにおいて検出される(ステップS1、ステップS2)。そして、ドック装置4からの要求に応じて(ステップS3)、携帯電話端末5がSIMカード情報メモリ510に記憶保持している識別用情報(SIMカード情報)とROM542に記憶されているMACアドレスとを読み出して、ドック装置4に提供する(ステップS4)。
そして、ドック装置4においては、ステップS5Bの処理により、携帯電話端末5からのMACアドレスに基づいて、当該携帯電話端末5が自機に接続可能なものか否かを判別する。そして、接続可能なものであると判別したときには、ドック装置4は、接続端末登録メモリ421の対応する携帯電話端末に関する情報の接続状態を示す情報を「接続中」を示す情報に更新する(ステップS5B)。なお、ステップS5Bの処理において接続不能であると判別したときには、その旨が携帯電話端末5に通知され、ステップS5B以降の処理が行わないようにされる。
一方、携帯電話端末5においては、ステップS6の処理により、SIMカード情報メモリ510に記憶されている識別用情報(SIMカード情報)を消去して、当該識別用情報の使用ができないようにする(ステップS6)。
そして、この第3の実施の形態の電話システムにおいては、ドック装置4に接続された携帯電話端末5の識別用情報(SIMカード情報)を、管理サーバ9において一括管理する。このため、ドック装置4は、自機にUSB接続された携帯電話端末5からの識別用情報とMACアドレスと自機のドックIDを含む管理サーバ9宛ての登録要求を形成し、これを管理サーバ9に送信する(ステップS51)。ドック装置4は、形成した当該登録要求をLANI/F402及びLAN接続端子401を通じてLAN2に送出し、管理サーバ9に送信する。
管理サーバ9は、LAN用接続端子906及びLAN用I/F905を通じて、ドック装置4を介して送信されてくる携帯電話端末5からの識別用情報の登録要求を受信する。そして、管理サーバ9のCPU901は、当該登録要求に含まれる識別用情報に基づいて、カード管理テーブルメモリ909のカード管理テーブルを更新する(ステップS52)。このステップS52においては、識別用情報がドック装置4を通じて管理サーバ9に返却された状態となるので、カード管理テーブルメモリ909の該当するカード管理テーブル情報の使用状況の欄が例えば「使用中」から「未使用」示す情報に更新される。また、管理サーバ9においては、端末管理テーブルメモリ910の該当する端末管理テーブル情報のドックIDも更新される。これにより、管理サーバ9においては、どの識別用情報(SIMカード情報)が使用可能か、また、どの携帯電話端末5がどのドック装置4を通じて電話システムに接続されているかを把握することができるようにされる。
この後、ステップS7〜ステップS12までの処理が、図8に示したステップS7〜ステップS12の処理と同様に行われ、携帯電話端末5が、ドック装置4を通じてSIPサーバ1の配下の電話端末となるようにされる。すなわち、ドック装置4により、当該ドック装置4が保持する内線情報を、SIPサーバ1と自機に接続された携帯電話端末5とに登録し(ステップS7〜ステップS11)、当該携帯電話端末5をSIPサーバ1の配下の電話端末とする(ステップS12)。これにより、ドック装置4に接続された携帯電話端末5は、SIPサーバ1及びドック装置4を通じて電話通信を行うことができるようにされる。
そして、ドック装置4に対してUSB接続されている携帯電話端末5のユーザが、外出するために当該携帯電話端末5を持ち出す必要が生じたとする。この場合、当該ユーザは、図22の右上端部に示すように、当該携帯電話端末5の操作入力部521を通じて識別用情報の要求操作(提供を要求する操作)を行う(ステップS53)。当該要求操作を受け付けた携帯電話端末5の制御部540は、識別用情報要求を形成し、これをUSBケーブル8を通じてドック装置4に送信する(ステップS54)。ドック装置4は、携帯電話端末5からの当該識別用情報要求をLAN2に送出し、管理サーバ9に転送する。
管理サーバ9は、当該識別用情報要求を受信すると、上述もしたように、表示情報生成部911が機能し、カード管理テーブルの表示用情報を形成し、これをドック装置4を介して要求元の当該携帯電話端末5に送信する(ステップS55)。当該携帯電話端末5では、管理サーバ9からのカード管理テーブルの表示用情報を受信すると、制御部540及びディスプレイコントローラ523が機能し、当該表示用情報をディスプレイ524に表示する(ステップS56)。
ユーザは、ディスプレイ524に表示されたカード管理テーブルの表示用情報を確認し、自機に提供を受ける識別用情報の選択操作を携帯電話端末5の操作入力部521を通じて入力する(ステップS57)。当該選択操作を受け付けた携帯電話端末5の制御部540は、識別用情報の選択情報を形成し、これをUSBケーブル8を通じてドック装置4に送信する(ステップS58)。ドック装置4は、当該携帯電話端末5からの当該選択情報に基づいて、目的とする識別用情報の使用許諾要求を形成し、これをLAN2に送出し、管理サーバ9に送信する(ステップS59)。
管理サーバ9のCPU901は、ドック装置4からの識別用情報の使用許諾要求を受信すると、カード管理テーブルメモリ909と端末管理テーブルメモリ910の情報を確認し、使用許諾が求められた識別用情報が使用許諾できるものか否かを判別する。そして、使用許諾が求められた識別用情報が使用許諾できるものである場合には、使用許諾が求められた識別用情報を、LAN2を通じて要求元の携帯電話端末5に対して送信する(ステップS60)。これにより、当該識別用情報がドック装置4を通じて要求元の携帯電話端末5に対して送信(提供)される。
なお、携帯電話端末5から要求された識別用情報が、当該要求元の携帯電話端末5においては使用できないものであるなど、提供することができないものである場合には、要求された識別用情報の提供が不能であることを通知する処理を行う。具体的には、要求された識別用情報が提供できないことを通知するメッセージを形成し、これを要求元の携帯電話端末5に送信して、別の識別用情報を選択するように促す処理を行うことになる。
この後、この第3の実施の形態の電話システムの場合、図23に示す処理に移り、当該選択情報の送信元の携帯電話端末5が、管理サーバ9から提供された識別用情報をSIMカード情報メモリ510に書き込む(ステップS61)。そして、当該携帯電話端末5の制御部540は、書き込み完了通知を形成し、これを外部I/F532、外部端子531、USBケーブル8を通じて管理サーバ9に送信するようにする(ステップS62)。これにより、当該完了通知がドック装置4を通じて上述もしたようにLAN2に送出され、管理サーバ9に対して送信される。
書き込み完了通知を受信した管理サーバ9は、当該書き込み完了通知に基づいて、ステップS60において携帯電話端末5に提供した識別用情報についてのカード管理テーブルメモリ909の該当データの使用状況欄を、「未使用」から「使用中」に更新する(ステップS63)。
そして、携帯電話端末5のユーザは、自機とドック装置4とのUSB接続を切断(解除)する(ステップS64)。これにより、当該携帯電話端末5の制御部540は、外部端子531及び外部I/F532を通じてドック装置4と通信できなくなるので、自機がドック装置4から切断されたことを検知することができる。そして、当該携帯電話端末5の制御部540は、内線電話状態を解除し、ステップS61においてSIMカード情報メモリ510に書き込んだ識別用情報を用いて、携帯電話網を通じて通信を行うことが可能な通常の携帯電話端末に復帰する(ステップS65)。
同様に、ドック装置4の制御部430は、外部端子411及び外部I/F412を通じて携帯電話端末5と通信できなくなるので、自機から携帯電話端末5が切断された(離脱するようにされた)ことを検知することができる(ステップS66)。この場合、ドック装置4の端末登録離脱処理部422は、制御部430の制御の下、自機が保持する内線登録データやドックIDを含む携帯電話端末5の離脱通知を形成し、これをSIPサーバ1と管理サーバ9に対して提供する(ステップS67)。
これにより、SIPサーバ1においては、アドレス管理DB106から該当する内線登録データを削除し、当該ドック装置4に接続されていた携帯電話端末5を自機の配下から離脱させる(ステップS68)。そして、SIPサーバ1は、離脱完了通知をドック装置4に送信する(ステップS69)。
一方、管理サーバ9においては、ドック装置4からのドックIDに基づいて、端末管理テーブルメモリ910の該当データのドックIDの欄を消去する(ステップS70)。これにより、管理サーバ9において、当該ドックIDにより特定されるドック装置4に対して接続されていることが管理されていた携帯電話端末が、ドック装置4から離脱した状態になったことが管理するようにされる。そして、端末管理テーブルメモリ910の更新完了通知を形成し、これをドック装置4に提供する(ステップS71)。
これにより、SIPサーバ1及び管理サーバ9において、ドック装置4に接続されていた携帯電話端末5がドック装置4から切り離され、当該電話システムから離脱したことが把握される。そして、当該ドック装置4は、携帯電話端末5の接続待ちとなるようにされる。
なお、この第3の実施の形態においては、ドック装置4と携帯電話端末5とが有線接続される場合を例にして説明したが、これに限るものではない。ドック装置4Aと携帯電話端末5Aとが無線接続されるようにした場合にも、同様に処理することができるようにされる。
[第3の実施の形態の効果]
このように、この第3の実施の形態の電話システムの場合には、管理サーバ9が、ドック装置4に接続可能な携帯電話端末5が使用可能な識別用情報(SIMカード情報)を複数管理することができるようにされる。そして、携帯電話端末5がドック装置4に接続された場合には、当該携帯電話端末5は当該ドック装置4を通じてSIPサーバ1の配下の電話端末としてのみ機能することができるようにされる。
そして、当該携帯電話端末5がドック装置4から離脱する場合には、管理サーバ9が管理している複数の識別用情報の中から当該携帯電話端末5のユーザが選択した識別用情報の提供を受けて、携帯電話網を通じて通信が可能な携帯電話端末に復帰することができる。したがって、使用場所や通信の相手先などに応じて、適切な識別用情報(SIMカード情報)の提供を受けて、これを用いるようにすることができるようにされる。
また、この第3の実施の形態の電話システムの場合においても、上述した第1、第2の電話システムの場合と同様の効果を奏することができることはいうまでもない。
[この発明の方法、プログラム]
なお、上述した実施の形態において、図8〜図10、図14〜図16、図21〜図23のシーケンス図を用いて説明した電話システムの処理が、この発明による方法が適用されて実現されたものである。また、図8〜図10、図14〜図16、図21〜図23のシーケンス図を用いて説明したドック装置4で実行すべき処理を実行するようにするプログラムを形成し、これをドック装置4の制御部430で実行するようにドック装置4に搭載することにより、この発明のドック装置を実現することができる。同様に、図8〜図10、図14〜図16、図21〜図23のシーケンス図を用いて説明した携帯電話端末5で実行すべき処理を実行するプログラムを形成し、これを携帯電話端末5の制御部540で実行するように携帯電話端末5に搭載することにより、この発明の携帯電話端末を実現することができる。
[実施の形態の装置や回路部と、請求項の装置や手段との対応]
また、上述した実施の形態からも明らかなように、SIPサーバ1が交換装置としての機能を実現し、ドック装置4がドック装置としての機能を実現し、携帯電話端末5が携帯端末としての機能を実現している。
そして、ドック装置4のLAN接続端子401が第1の接続端部としての機能を実現し、外部端子411が第2の接続端部としての機能を実現している。また、ドック装置4のEEPROM434が内線情報記憶手段としての機能を実現し、ドック装置4の端末登録離脱処理部422が端末登録処理手段としての機能を実現している。また、ドック装置4の内線情報提供処理部423が、内線情報提供手段としての機能を実現し、送受信信号処理部424が信号処理手段としての機能を実現している。また、制御部430が外部I/F412と協働して受付手段としての機能を実現し、ドック装置4のID管理メモリ425が携帯電話端末識別用情報記憶手段としての機能を実現し、ドック装置4の主に端末登録離脱処理部422が携帯電話端末識別用情報提供手段としての機能を実現している。
また、携帯電話端末5の外部端子531が外部装置用接続端部としての機能を実現し、主に制御部540が、制御手段、使用禁止手段、使用再開手段、識別用情報提供手段、識別用情報消去手段としての機能を実現している。また、携帯電話端末5の内線情報管理部512が内線情報管理手段としての機能を実現し、SIMカード情報メモリ510が識別用情報記憶手段としての機能を実現している。
[その他]
また、上述した実施の形態においては、IP電話システムにこの発明を適用した場合を例にして説明したが、これに限るものではない。SIPサーバ1の代わりに主装置を用いて構成するボタン電話システムにもこの発明を適用することができる。
また、上述した実施の形態においては、ドック装置4Aと携帯電話端末5Aとは無線LANにより接続する場合を例にして説明したが、これに限るものではない。ドック装置と携帯電話端末とは、例えば、ブルートゥース(Bluetooth)規格などの種々の近距離無線通信インターフェースやIrDA(Infrared Data Association)規格の赤外線による光無線データ通信インターフェースなどにより接続することも可能である。
また、携帯電話端末5としては、従来の携帯電話端末の他、スマートホンなどと呼ばれる高機能携帯電話端末を用いることもできる。すなわち、携帯電話網を通じて通信を行うことが可能な機能を備えた種々の通信機器を、上述した実施の形態の携帯電話端末5として利用することができる。
また、携帯電話端末5の操作入力部521は、表示画面に表示される表示情報と当該表示画面に貼付されるタッチパネルとにより実現されるいわゆるソフトウェアキーボードの構成とされる場合もある。