JP5719128B2 - 水防工法及び堤防 - Google Patents
水防工法及び堤防 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5719128B2 JP5719128B2 JP2010169225A JP2010169225A JP5719128B2 JP 5719128 B2 JP5719128 B2 JP 5719128B2 JP 2010169225 A JP2010169225 A JP 2010169225A JP 2010169225 A JP2010169225 A JP 2010169225A JP 5719128 B2 JP5719128 B2 JP 5719128B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- honeycomb
- dimensional
- block
- cell structure
- shaped
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Revetment (AREA)
Description
そこで、水害が起きそうになると、各県は市町村に連絡し、地域の水防団などが、現場にかけつけて、水害を防ぐために、水防活動が行われている。尚、本明細書中、水防とは、洪水などの危険があるとき、被害を軽くしたり、地域の安全を守ったりすることをいう。
第一は、積土嚢工(つみどのうこう)であり、これは、洪水で、川の水が増えても、堤防から水が溢れないように、土嚢(袋に土砂を積めたもの)を積み重ねる工法であり、一般には、堤体の上に土嚢が約1mの高さまで積み重ねられる。
第二は、月の輪工(つきのわこう)であり、これは、堤防に穴が開いて水が吹き出したときに、半円状に土嚢を積み重ね、水を貯めて水に力を弱め、穴が広がるのを防ぐ工法である。
第三は、シート張り工(ばりこう)であり、堤防が崩れ始めたときにシートを張って、堤防に水が滲み通って崩れるのを防ぐ工法である。
第四は、木流し工(きながしこう)であり、葉の多い木に重しを付けて、急な流れで堤防が削られるのを防ぐ工法である。
しかしながら、一般に水膨潤性吸水性樹脂は高価であり、膨大な数の土嚢を必要とする状況下では、経済的に不利である。
このように、土嚢に代えて、強度があり、かつ美観に優れる堤防を、短時間で、簡単な作業で作ることができる水防工法の必要性が未だ存在する。
すなわち、本発明は以下のとおりのものである。
(1)幅方向に並設された複数の長辺状の樹脂又は繊維シートを互い所定の間隔で繰り返し部分的に接合し、これを前記幅方向と直交する方向に展張することによってハニカム状のセルを形成するハニカム状3次元立体セル構造体の複数のブロックを、折り畳まれた状態で、用意し、
(2)土砂を用意し、
(3)前記ハニカム状3次元立体セル構造体の第1のブロックを、補助枠を用いて展張しつつ所定の設置箇所に敷設し、
(4)該展張されたセル構造体の各セル内に、前記土砂を充填し、前記補助枠を外し、次いで転圧し、
(5)前記ハニカム状3次元立体セル構造体の第1のブロックの上に、ハニカム状3次元立体セル構造体の第2のブロックを、補助枠を用いて展張しつつ敷設し、そして
(6)ハニカム状3次元立体セル構造体の所望の数のブロックの前記土砂の充填・転圧が完了するまで、工程(4)及び(5)を繰り返して、所望の段数のハニカム状3次元立体セル構造体のブロックを積み重ね、ここで、積み重ねられた全てのブロックの長辺状の樹脂又は繊維シートの水が流入する側には孔が開いていない、
(7)水害が去った後、前記積み重ねた構築物を解体し、
(8)使用した前記ハニカム状3次元立体セル構造体の複数のブロックを、折り畳み、そして
(9)次回の使用に備えて保管する、
を含む水防工法。
本発明は、以下の工程:
(1)幅方向に並設された複数の長辺状の樹脂又は繊維シートを互い所定の間隔で繰り返し部分的に接合し、これを前記幅方向と直交する方向に展張することによってハニカム状のセルを形成するハニカム状3次元立体セル構造体の複数のブロックを用意し(図1参照)、
(2)土砂を用意し、
(3)前記ハニカム状3次元立体セル構造体の第1のブロックを、補助枠を用いて展張しつつ所定の設置箇所に敷設し(図2参照)、
(4)該展張されたセル構造体の各セル内に、前記土砂を充填し、前記補助枠を外し、次いで転圧し(図4、図5参照)、
(5)前記ハニカム状3次元立体セル構造体の第1のブロックの上に、ハニカム状3次元立体セル構造体の第2のブロックを、補助枠を用いて展張しつつ敷設し、そして
(6)ハニカム状3次元立体セル構造体の所望の数のブロックの前記土砂の充填・転圧が完了するまで、工程(4)及び(5)を繰り返して、所望の段数のハニカム状3次元立体セル構造体のブロックを積み重ねる(図6参照)、
を含む水防工法に関する。
尚、水害が去った後には、本発明に係る水防工法構築物は解体され、使用したハニカム状3次元立体セル構造体ブロックは連結を解かれ、搬入時と同様に、折り畳まれ、次回の使用に備え、例えば、水防倉庫に戻され、保管される。すなわち、多数回の使用が可能である点で、ハニカム状3次元立体セル構造体自体が高価であったとしても、使い捨て土嚢に比較して、必ずしも経済的に不利であるとはいえない。
特許文献1及び2に記載されるように、ベントナイトは、天然に産出する無機系の粘土であり、人体に無害であり、低価格で大量に入手可能であり、粘土鉱物モンモリロナイトを主成分とするものであって、吸水し膨潤する性質を備えている。種類は問わないが、ナトリウムベントナイト、カルシウムベントナイト、炭酸ナトリウムやシュウ酸ナトリウムなどによる活性ベントナイトなどが好ましい。ベントナイトは、吸水性樹脂ほどではないが、吸水し膨潤し、ゼリー状になり、増粘し、かつ、セル内面への付着性を発揮し、セル内膨潤物への粘性付与やセル目詰まり状態の形成を促進し、セル充填物が積層などにより押圧されても、セル外部からの水を吸収し膨潤したセル充填物の漏出を防止する。かかる効果は、ベントナイトが重量比で2〜5%混合した土砂を使用することで発揮される。
所望の長さ(横方向)の堤防を構築するためには、前記ブロックを複数、隣接して敷設し、必要により隣接するブロック同士を連結具等を用いて連結すればよい。複数のブロックの敷設の仕方により、線状、半円状の堤防を構築することができる。
尚、河川に面する側(水が流入する側)以外の長辺状の樹脂又は繊維シートには孔が開いていても、前記したベントナイトの作用により、セル充填物が積層などにより押圧されても、セル外部からの水を吸収し膨潤したセル充填物の漏出は防止される。
設置地盤面が柔らかい場合は、仕切り板を地中に埋め込むことが可能だが、均一な位置(高さ方向)を保ちながら設置するのは難しい。また、地盤面が固く、仕切り板を埋め込めない場合もある。この場合、防水シートを敷き、さらに、仕切り板を設置することで、第1ブロック下部からの不所望の水の通過を防止することができるため、好ましい。
仕切り板は、前記ハニカム状3次元立体セル構造体のブロックの縦方向に並んだセルの数の範囲で、任意の枚数とすることができる。
このような漏れ出しを防ぐため、本発明の水防工法を実施する際に、土砂の充填・転圧が完了したハニカム状3次元立体セル構造体のブロックの上に、不織布を敷設し、その上に新たな段のブロックを設置することができる。このことにより、土の漏れ出しを防止し、より確実な積み立て作業を行うことが可能となる。
これに反し、ハニカム状3次元立体セル構造体のブロックとして、縦3個×横8個のセルを有し、そして展張後の大きさは、縦略800mm×横略2700mm×長辺状の樹脂又は繊維シートの高さ略150mmであるものを用いて、本発明に係る水防工法を実際に実施した結果、水防団員2人で、約1時間で、前記土嚢堤防に匹敵する6段の堤防を構築することができた。さらに、該堤防は、強度があり、かつ美観に優れる堤防であった(図6参照)。これは、土嚢を使用する場合に比較して約5倍の時間短縮を意味する。
すなわち、本発明に係る水防工法の、単位作業員数、単位時間における、堤防構築速度が、従来技術の土嚢を使用した工法に比較して約5倍という著しく効率の良い実現可能な工法であることを意味しており、水害発生時の緊急性を要する水防工法として、本発明に係る水防工法は、格別顕著に優れたものであるといえる。
2 補助枠
3 仕切り板
Claims (7)
- 以下の工程:
(1)幅方向に並設された複数の長辺状の樹脂又は繊維シートを互い所定の間隔で繰り返し部分的に接合し、これを前記幅方向と直交する方向に展張することによってハニカム状のセルを形成するハニカム状3次元立体セル構造体の複数のブロックを、折り畳まれた状態で、用意し、
(2)土砂を用意し、
(3)前記ハニカム状3次元立体セル構造体の第1のブロックを、補助枠を用いて展張しつつ所定の設置箇所に敷設し、
(4)該展張されたセル構造体の各セル内に、前記土砂を充填し、前記補助枠を外し、次いで転圧し、
(5)前記ハニカム状3次元立体セル構造体の第1のブロックの上に、ハニカム状3次元立体セル構造体の第2のブロックを、補助枠を用いて展張しつつ敷設し、そして
(6)ハニカム状3次元立体セル構造体の所望の数のブロックの前記土砂の充填・転圧が完了するまで、工程(4)及び(5)を繰り返して、所望の段数のハニカム状3次元立体セル構造体のブロックを積み重ね、ここで、積み重ねられた全てのブロックの長辺状の樹脂又は繊維シートの水が流入する側には孔が開いていない、
(7)水害が去った後、前記積み重ねた構築物を解体し、
(8)使用した前記ハニカム状3次元立体セル構造体の複数のブロックを、折り畳み、そして
(9)次回の使用に備えて保管する、
を含む水防工法。 - 前記土砂は、ベントナイトを重量比で2〜5%混合した土砂である、請求項1に記載の水防工法。
- 前記ハニカム状3次元立体セル構造体の各ブロックは、縦3〜5個、横7〜10個のセルを有し、そして展張後の大きさは、縦700〜1000mm、横2500〜3000mm、長辺状の樹脂又は繊維シートの高さ略100〜200mmである、請求項1又は2に記載の水防工法。
- 前記ハニカム状3次元立体セル構造体の各ブロックにおいて、河川に面する側の長辺状の樹脂又は繊維シートには孔が開いていない、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水防工法。
- 前記工程(3)において、ハニカム状3次元立体セル構造体の第1のブロックを、所定の設置箇所に敷設するに先立って、該所定の設置箇所の上に、仕切り板を河川の流れに並行するよう配置して所定の深さまで埋め込み、その後、横方向に並んだセルの一列が該仕切り板を跨ぐように、前記第1のブロックを敷設するか、又は防水シートを敷き、その上に前記ハニカム状3次元立体セル構造体のブロックを配置した後、仕切り板を、河川の流れに並行し、かつ横方向に並んだセルの一列を跨ぐように配置する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水防工法。
- 前記土砂の充填・転圧が完了したハニカム状3次元立体セル構造体のブロックの上に、不織布を敷設し、その上に新たな段のブロックを敷設する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の水防工法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の水防工法により構築された堤防。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010169225A JP5719128B2 (ja) | 2010-07-28 | 2010-07-28 | 水防工法及び堤防 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010169225A JP5719128B2 (ja) | 2010-07-28 | 2010-07-28 | 水防工法及び堤防 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2012031573A JP2012031573A (ja) | 2012-02-16 |
JP5719128B2 true JP5719128B2 (ja) | 2015-05-13 |
Family
ID=45845298
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2010169225A Active JP5719128B2 (ja) | 2010-07-28 | 2010-07-28 | 水防工法及び堤防 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5719128B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5939635B2 (ja) * | 2012-10-31 | 2016-06-22 | 公益財団法人鉄道総合技術研究所 | ハニカム構造体と面状補強材による盛土補強土工法による防潮堤防の構築方法 |
JP5684866B2 (ja) * | 2012-11-22 | 2015-03-18 | 公益財団法人鉄道総合技術研究所 | 構造体の施工方法および構造体の施工構造 |
JP6338837B2 (ja) * | 2013-09-24 | 2018-06-06 | 前田工繊株式会社 | 海岸堤防 |
JP2016102313A (ja) * | 2014-11-27 | 2016-06-02 | 旭化成ジオテック株式会社 | 擁壁構造体及びその構築工法 |
JP6598610B2 (ja) * | 2015-09-14 | 2019-10-30 | 旭化成アドバンス株式会社 | 法面凍上抑制構造体および法面凍上抑制工法 |
JP6598611B2 (ja) * | 2015-09-14 | 2019-10-30 | 旭化成アドバンス株式会社 | 法面凍上抑制構造体および法面凍上抑制工法 |
Family Cites Families (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6375207A (ja) * | 1986-09-18 | 1988-04-05 | Nkk Corp | 簡易堤体 |
US4778309A (en) * | 1987-03-30 | 1988-10-18 | Presto Products, Incorporated | Stackable grid material for soil confinement |
EP0378309A1 (en) * | 1989-01-11 | 1990-07-18 | Reynolds Consumer Products, Inc. | Vented cell material for confinement of concrete and earth materials |
US4965097A (en) * | 1989-01-11 | 1990-10-23 | Reynolds Consumer Products, Inc. | Texturized cell material for confinement of concrete and earth materials |
JPH08189002A (ja) * | 1994-12-30 | 1996-07-23 | Railway Technical Res Inst | 道床補強用構造体および補強工法 |
JP4782648B2 (ja) * | 2006-09-22 | 2011-09-28 | 東京インキ株式会社 | 擁壁 |
JP5232530B2 (ja) * | 2008-05-23 | 2013-07-10 | 東京インキ株式会社 | 小口止め型枠 |
-
2010
- 2010-07-28 JP JP2010169225A patent/JP5719128B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2012031573A (ja) | 2012-02-16 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5719128B2 (ja) | 水防工法及び堤防 | |
KR100902327B1 (ko) | 지오튜브를 이용한 제방축조 및 매립공법 | |
JP4972754B2 (ja) | 耐震貯水堤防とその設置工法 | |
US9783944B2 (en) | Berm or levee expansion system and method | |
AU2016221315B2 (en) | A retaining wall method of precast block to prevent landslide | |
US9644334B2 (en) | Methods of and systems for controlling water flow, breaking water waves and reducing surface erosion along rivers, streams, waterways and coastal regions | |
US10538889B2 (en) | Berm or levee expansion system and method | |
US8011855B2 (en) | Roadway-levee | |
CN2851347Y (zh) | 新型加筋土结构护岸挡墙 | |
JP5650063B2 (ja) | 盛土構造物および盛土構造物の構築方法 | |
JP2013112966A (ja) | ハニカム状3次元立体セル構造体を上下に積層した法面保護構造体 | |
US10240310B2 (en) | Berm or levee expansion system and method | |
JP2016102313A (ja) | 擁壁構造体及びその構築工法 | |
JP6049382B2 (ja) | 耐震耐越流堤体構造 | |
JP5702645B2 (ja) | 壁体構造の構築方法およびその方法により構築される壁体構造 | |
RU2228479C1 (ru) | Способ армирования слабых грунтов оснований и откосов (варианты) и георешетка для его осуществления | |
CN105507205A (zh) | 一种利用土工充灌袋及门型钢架建造的临时性防洪壁垒 | |
JP2016156147A (ja) | 剛な一体壁面工を持つ高剛性ジオシンセティック補強土擁壁工による巨大津波に対抗する海岸用土構造物の構築工法 | |
CN112854131A (zh) | 一种水源保护区生态护岸及其施工方法 | |
RU123018U1 (ru) | Временное водоограждающее сооружение (варианты) | |
KR101404471B1 (ko) | 제체 시공시 부력 및 수압에 의한 부상방지 및 억지 기능이 있는 저면, 필터 용 매트와 그 시공방법 | |
JPH11350505A (ja) | 石材擁壁 | |
Breteler et al. | Alternative revetments | |
KR102536278B1 (ko) | 제방 지수구조 및 그 시공방법 | |
CN214940281U (zh) | 一种钢筋石笼和黏土编织袋复合围堰 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20130607 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20140124 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20140715 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20140912 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20150317 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20150320 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5719128 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |