JP5719128B2 - 水防工法及び堤防 - Google Patents

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Description

本発明は、土嚢に代えて、ハニカム状3次元立体セル構造体の複数のブロックを積み重ねることによる、作業が簡単で、強度に優れ、繰り返し利用が可能な、新規水防工法に関する。
日本は、国土の約70%が山地で、急斜面が多く、川は他の国に比べると海に注ぐまでの距離が短く急流である。また、大雨も多く、短時間に川などの水が増えて、洪水などの水害が頻発している。
そこで、水害が起きそうになると、各県は市町村に連絡し、地域の水防団などが、現場にかけつけて、水害を防ぐために、水防活動が行われている。尚、本明細書中、水防とは、洪水などの危険があるとき、被害を軽くしたり、地域の安全を守ったりすることをいう。
このような水防活動の拠点となるのが、例えば、河川防災ステーションであり、水防倉庫が備え付けられている。河川防災ステーションには、水防活動に必要な土砂などが置いてあり、水防活動の支援ができるようになっている。また、水防倉庫とは、洪水が起きたときに、被害を防ぐための様々な道具などをしまっておく場所である。また、普段から万が一に備え、各地で水防演習などの訓練が行われている。水防演習とは、一般には、洪水が起こったときのために、堤防を守ったり、住民を助けたりする訓練を行うことである。
水害を食い止めるために河川等の堤防に緊急で行う作業である水防工法の種類には、一般に以下の4つがある。
第一は、積土嚢工(つみどのうこう)であり、これは、洪水で、川の水が増えても、堤防から水が溢れないように、土嚢(袋に土砂を積めたもの)を積み重ねる工法であり、一般には、堤体の上に土嚢が約1mの高さまで積み重ねられる。
第二は、月の輪工(つきのわこう)であり、これは、堤防に穴が開いて水が吹出したときに、半円状に土嚢を積み重ね、水を貯めて水に力を弱め、穴が広がるのを防ぐ工法である。
第三は、シート張り工(ばりこう)であり、堤防が崩れ始めたときにシートを張って、堤防に水が滲み通って崩れるのを防ぐ工法である。
第四は、木流し工(きながしこう)であり、葉の多い木に重しを付けて、急な流れで堤防が削られるのを防ぐ工法である。
前記した積土嚢工や月の輪工においては、短時間に多数の土嚢を積み重ねて土嚢による堤防を完成することができるかが、水防活動の成否を分けることに繋がることになる。
以下の特許文献1と2には、土砂の代わりに、水膨潤性吸水性樹脂とともにベントナイトからなる内容物を充填した土嚢が開示されている。これは、洪水時における地下施設入り口からの水の流入、河川の堤防決壊、大雨による家屋の浸水、トンネル工事における突発液な湧水等の水災害時に、従来より、水や土砂の流入を防ぐための応急的な処置として土嚢が使用されている状況下、土嚢は、透水性の袋の中に土砂を詰め、水の流入域から水が溢れ出る部分へ投入されるが、災害地の劣悪な条件の環境下で人力により袋に土砂を充填する作業が必要であり、多数の人力を確保しなければならず、また、多量の土砂を調達しなければならず、災害地で短時間に大量の土嚢を作ることが極めて困難であるという問題に鑑みて、提案されたものである。
しかしながら、一般に水膨潤性吸水性樹脂は高価であり、膨大な数の土嚢を必要とする状況下では、経済的に不利である。
本願出願人が実際に実験し確認したところ、例えば、約2.7mの幅で約90cmの高さの堤防を水防団員2人で作る場合、一般には、約300袋の土嚢を積み重ねなければならず、土嚢1袋の積み重ねに約1分、約300袋では約300分間、すなわち約5時間も要し、緊急を要する水防工法としては改善の余地がある。また、5時間にも及ぶ水防団員による連続作業は肉体疲労が甚だしいものであった。
このように、土嚢に代えて、強度があり、かつ美観に優れる堤防を、短時間で、簡単な作業で作ることができる水防工法の必要性が未だ存在する。
特開2003−201709号公報 特開2009−41201号公報 特開平2−229303号公報 特許第2825897号公報
本発明が解決しようとする課題は、土嚢に代えて、ハニカム状3次元立体セル構造体の複数のブロックを積み重ねることによる、作業が簡単で、強度に優れ、繰り返し利用が可能な、新規水防工法を提供することである。
発明者らは、鋭意検討し、実験を重ねた結果、以下の技術的手段により、上記課題を解決することができることを見出し、本願発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりのものである。
[1]以下の工程:
(1)幅方向に並設された複数の長辺状の樹脂又は繊維シートを互い所定の間隔で繰り返し部分的に接合し、これを前記幅方向と直交する方向に展張することによってハニカム状のセルを形成するハニカム状3次元立体セル構造体の複数のブロックを、折り畳まれた状態で、用意し、
(2)土砂を用意し、
(3)前記ハニカム状3次元立体セル構造体の第1のブロックを、補助枠を用いて展張しつつ所定の設置箇所に敷設し、
(4)該展張されたセル構造体の各セル内に、前記土砂を充填し、前記補助枠を外し、次いで転圧し、
(5)前記ハニカム状3次元立体セル構造体の第1のブロックの上に、ハニカム状3次元立体セル構造体の第2のブロックを、補助枠を用いて展張しつつ敷設し、そして
(6)ハニカム状3次元立体セル構造体の所望の数のブロックの前記土砂の充填・転圧が完了するまで、工程(4)及び(5)を繰り返して、所望の段数のハニカム状3次元立体セル構造体のブロックを積み重ね、ここで、積み重ねられた全てのブロックの長辺状の樹脂又は繊維シートの水が流入する側には孔が開いていない、
(7)水害が去った後、前記積み重ねた構築物を解体し、
(8)使用した前記ハニカム状3次元立体セル構造体の複数のブロックを、折り畳み、そして
(9)次回の使用に備えて保管する、
を含む水防工法。
[2]前記土砂は、ベントナイトを重量比で2〜5%混合した土砂である、前記[1]に記載の水防工法。
[3]前記ハニカム状3次元立体セル構造体の各ブロックは、縦3〜5個、横7〜10個のセルを有し、そして展張後の大きさは、縦700〜1000mm、横2500〜3000mm×長辺状の樹脂又は繊維シートの高さ100〜200mmである、前記[1]又は[2]に記載の水防工法。
[4]前記ハニカム状3次元立体セル構造体の各ブロックにおいて、河川に面する側の長辺状の樹脂又は繊維シートには孔が開いていない、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の水防工法。
[5]前記工程(3)において、ハニカム状3次元立体セル構造体の第1のブロックを、所定の設置箇所に敷設するに先立って、該所定の設置箇所の上に、仕切り板を河川の流れに並行するよう配置して所定の深さまで埋め込み、その後、横方向に並んだセルの一列が該仕切り板を跨ぐように、前記第1のブロックを敷設するか、又は防水シートを敷き、その上に前記ハニカム状3次元立体セル構造体を配置し、さらに、仕切り板を、河川の流れに並行し、かつ横方向に並んだセルの一列を跨ぐように配置した後、土砂を充填し、転圧して前記第1のブロックを敷設する、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の水防工法。
[6]前記土砂の充填・転圧が完了したハニカム状3次元立体セル構造体のブロックの上に、不織布を敷設し、その上に新たな段のブロックを敷設する、[1]〜[5]のいずれかに記載の水防工法。
[7]前記[1]〜[6]のいずれかに記載の水防工法により構築された堤防。
本発明に係る水防工法は、土嚢に代えて、ハニカム状3次元立体セル構造体の複数のブロックを積み重ねることによる、作業が簡単で、強度に優れ、繰り返し利用が可能な水防工法である。本水防工法は、災害地の劣悪な条件の環境下で人力により袋に土砂を充填する作業が必要であり、多数の人力を確保し、また、災害地で短時間に大量の土嚢を作ることが極めて困難であるという従来技術の問題点を回避することができる。また、本水防工法は、高価な水膨潤性吸水性樹脂は使用しないため、経済的に有利である。
本発明の水防工法に使用するハニカム状3次元立体セル構造体のブロックの一例の概略図。 補助枠を用いて展張した状態のハニカム状3次元立体セル構造体ブロック。 折り畳んだ状態で現場に搬入されたハニカム状3次元立体セル構造体ブロックの図面に代わる写真。 ハニカム状3次元立体セル構造体ブロックのセル内への土砂充填後の人力による転圧作業を説明する図面に代わる写真。 ハニカム状3次元立体セル構造体ブロックのセル内への土砂充填後の小型転圧機による転圧作業を説明する図面に代わる写真。 土嚢に代えて、ハニカム状3次元立体セル構造体ブロックのセル内へ土砂を充填・転圧して構築した6段の堤防。 ハニカム状3次元立体セル構造体の第1のブロックを、所定の設置箇所に敷設するに先立って、該所定の設置箇所の上に、仕切り板を河川の流れに並行するよう配置して、その後、縦3個のセルの内の中央の列にある横8個のセルが該仕切り板を跨ぐように、第1のブロックを敷設した状態を示す概要図。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、以下の工程:
(1)幅方向に並設された複数の長辺状の樹脂又は繊維シートを互い所定の間隔で繰り返し部分的に接合し、これを前記幅方向と直交する方向に展張することによってハニカム状のセルを形成するハニカム状3次元立体セル構造体の複数のブロックを用意し(図1参照)、
(2)土砂を用意し、
(3)前記ハニカム状3次元立体セル構造体の第1のブロックを、補助枠を用いて展張しつつ所定の設置箇所に敷設し(図2参照)、
(4)該展張されたセル構造体の各セル内に、前記土砂を充填し、前記補助枠を外し、次いで転圧し(図4、図5参照)、
(5)前記ハニカム状3次元立体セル構造体の第1のブロックの上に、ハニカム状3次元立体セル構造体の第2のブロックを、補助枠を用いて展張しつつ敷設し、そして
(6)ハニカム状3次元立体セル構造体の所望の数のブロックの前記土砂の充填・転圧が完了するまで、工程(4)及び(5)を繰り返して、所望の段数のハニカム状3次元立体セル構造体のブロックを積み重ねる(図6参照)、
を含む水防工法に関する。
幅方向に並設された複数の長辺状の樹脂又は繊維シートを互い所定の間隔で繰り返し部分的に接合し、これを前記幅方向と直交する方向に展張することによってハニカム状のセルを形成するハニカム状3次元立体セル構造体とは、一般に、土木建築等の分野で、道路の路盤材、歩道の基礎材、仮設道路や擁壁等の土木用途の地盤補強材として、重荷重の支持や浸食防止等のために使用されている特許文献3、4に開示されるような、ハニカム状3次元立体セル構造体であることができるが、これに限定されるものではない(図1参照)。
かかるセル構造体は、一般には、ブロック毎に折り畳んで現場に搬入され(図3参照)、施工地表面上で展張され、ブロック同士を連結し、形成された各セルに砕石、土壌等の充填材を充填され、場合により積層されて盛土壁面等が構築される。
尚、水害が去った後には、本発明に係る水防工法構築物は解体され、使用したハニカム状3次元立体セル構造体ブロックは連結を解かれ、搬入時と同様に、折り畳まれ、次回の使用に備え、例えば、水防倉庫に戻され、保管される。すなわち、多数回の使用が可能である点で、ハニカム状3次元立体セル構造体自体が高価であったとしても、使い捨て土嚢に比較して、必ずしも経済的に不利であるとはいえない。
前記したように、セル構造体には、一般には、砕石、土壌等の充填材を充填され、場合により積層されて盛土壁面等が構築されるが、本発明に係る水防工法において、土嚢に代えて使用するため、透水性が低いことが要求され、充填材としては、目の粗い砕石ではなく、ベントナイトを重量比で2〜5%、好ましくは2〜3%混合した土砂を使用することができる。土砂やベントナイトは、ハニカム状3次元立体セル構造体と同様に、水防倉庫に保管されることができる。また、現場で発生した土砂にベントナイトを混合して使用してもよい。
特許文献1及び2に記載されるように、ベントナイトは、天然に産出する無機系の粘土であり、人体に無害であり、低価格で大量に入手可能であり、粘土鉱物モンモリロナイトを主成分とするものであって、吸水し膨潤する性質を備えている。種類は問わないが、ナトリウムベントナイト、カルシウムベントナイト、炭酸ナトリウムやシュウ酸ナトリウムなどによる活性ベントナイトなどが好ましい。ベントナイトは、吸水性樹脂ほどではないが、吸水し膨潤し、ゼリー状になり、増粘し、かつ、セル内面への付着性を発揮し、セル内膨潤物への粘性付与やセル目詰まり状態の形成を促進し、セル充填物が積層などにより押圧されても、セル外部からの水を吸収し膨潤したセル充填物の漏出を防止する。かかる効果は、ベントナイトが重量比で2〜5%混合した土砂を使用することで発揮される。
本発明に係る水防工法に使用するハニカム状3次元立体セル構造体のブロックは、好ましくは、縦3〜5個、横7〜10個のセルを有し、そして展張後の大きさは、縦700〜1000mm、横2500〜3000mm×長辺状の樹脂又は繊維シートの高さ略100〜200mmである(図1、図2参照)。かかる大きさであれば、人力による敷設作業が容易となる。これよりも大きいと、取扱いにかなりの力を要し、また、これよりも小さいと一度に構築できる堤防の大きさが小さくなり、全体としての堤防構築速度が低下する。かかる大きさのブロックを使用する場合、構築される堤防の効果および安定性の観点から、積み上げる段数は6〜7段とすることが好ましい。
所望の長さ(横方向)の堤防を構築するためには、前記ブロックを複数、隣接して敷設し、必要により隣接するブロック同士を連結具等を用いて連結すればよい。複数のブロックの敷設の仕方により、線状、半円状の堤防を構築することができる。
また、ハニカム状3次元立体セル構造体のブロックにおいて、好ましくは、河川に面する側(水が流入する側)の長辺状の樹脂又は繊維シートには孔が開いていない(図1参照)。尚、図4〜図6においては、孔の開いたシートの段と孔の開いていないシートの段が交互に積層されている。本発明に係る水防工法に使用するハニカム状3次元立体セル構造体は、幅方向に並設された複数の長辺状の樹脂又は繊維シートを互い所定の間隔で繰り返し部分的に接合されているが、かかる長辺状の樹脂又は繊維シートには、一般には、セル内に充填された土砂が押圧され、滲み出した水を排水するための多数の孔が開けられている。しかしながら、本発明に係る水防工法においては、土嚢に代えて使用するため、水が流入する側の水の急な流れで、かかる多数の孔から水が侵入し、セル内の土砂が浸食されるおそれがあるため、河川に面する側(水が流入する側)の長辺状の樹脂又は繊維シートには孔が開いていないことが好ましい。
尚、河川に面する側(水が流入する側)以外の長辺状の樹脂又は繊維シートには孔が開いていても、前記したベントナイトの作用により、セル充填物が積層などにより押圧されても、セル外部からの水を吸収し膨潤したセル充填物の漏出は防止される。
本発明に係る水防工法においては、前記工程(3)において、ハニカム状3次元立体セル構造体の第1のブロックを、所定の設置箇所に敷設するに先立って、該所定の設置箇所の上に、仕切り板を河川の流れに並行するよう配置して所定の深さまで埋め込み、その後、横方向に並んだセルの一列が該仕切り板を跨ぐように、第1のブロックを敷設するか、又は、防水シートを敷き、その上に前記ハニカム状3次元立体セル構造体を配置し、さらに、仕切り板を、河川の流れに並行し、かつ横方向に並んだセルの一列を跨ぐように配置した後、土砂を充填し、転圧して前記第1のブロックを敷設することが、好ましい。図7は、かかる仕切り板が、第1ブロックの下に堤体地表面に所定の深さまで埋め込まれたことを示している。
設置地盤面が柔らかい場合は、仕切り板を地中に埋め込むことが可能だが、均一な位置(高さ方向)を保ちながら設置するのは難しい。また、地盤面が固く、仕切り板を埋め込めない場合もある。この場合、防水シートを敷き、さらに、仕切り板を設置することで、第1ブロック下部からの不所望の水の通過を防止することができるため、好ましい。
仕切り板は、前記ハニカム状3次元立体セル構造体のブロックの縦方向に並んだセルの数の範囲で、任意の枚数とすることができる。
また、ハニカム状3次元立体セル構造体のブロックを鉛直に積み重ねていくと、該ブロック内に詰める土の容量や締固め具合の差により、上下段の表面部分においてわずかな段差が生じる。このことが本発明の水防工法に重要な問題を引き起こす原因にはならないが、下段のブロックに比べて上段のブロックが飛び出して設置された場合、上段のハニカム状3次元立体セル構造体の表面下端隙間から土が漏れ出してしまう。
このような漏れ出しを防ぐため、本発明の水防工法を実施する際に、土砂の充填・転圧が完了したハニカム状3次元立体セル構造体のブロックの上に、不織布を敷設し、その上に新たな段のブロックを設置することができる。このことにより、土の漏れ出しを防止し、より確実な積み立て作業を行うことが可能となる。
前記したように、本願出願人が実際に実験し確認したところ、例えば、約2.7mの幅で約90cmの高さの堤防を水防団員2人で作る場合、一般には、約300袋の土嚢を積み重ねなければならず、土嚢1袋の積み重ねに約1分、約300袋で約300分間、すなわち約5時間も要することが判明した。これは、緊急を要する水防工法としては改善の余地があり、また、5時間にも亘る水防団員による連続作業は肉体疲労が甚だしいものであった。
これに反し、ハニカム状3次元立体セル構造体のブロックとして、縦3個×横8個のセルを有し、そして展張後の大きさは、縦略800mm×横略2700mm×長辺状の樹脂又は繊維シートの高さ略150mmであるものを用いて、本発明に係る水防工法を実際に実施した結果、水防団員2人で、約1時間で、前記土嚢堤防に匹敵する6段の堤防を構築することができた。さらに、該堤防は、強度があり、かつ美観に優れる堤防であった(図6参照)。これは、土嚢を使用する場合に比較して約5倍の時間短縮を意味する。
すなわち、本発明に係る水防工法の、単位作業員数、単位時間における、堤防構築速度が、従来技術の土嚢を使用した工法に比較して約5倍という著しく効率の良い実現可能な工法であることを意味しており、水害発生時の緊急性を要する水防工法として、本発明に係る水防工法は、格別顕著に優れたものであるといえる。
本発明に係る水防工法は、ハニカム状3次元立体セル構造体の複数のブロックを積み重ねることによる、作業が簡単で、強度に優れ、繰り返し利用が可能な水防工法であるため、土嚢に代えて好適に利用可能な水防工法である。
1 ハニカム状3次元立体セル構造体ブロック
2 補助枠
3 仕切り板

Claims (7)

  1. 以下の工程:
    (1)幅方向に並設された複数の長辺状の樹脂又は繊維シートを互い所定の間隔で繰り返し部分的に接合し、これを前記幅方向と直交する方向に展張することによってハニカム状のセルを形成するハニカム状3次元立体セル構造体の複数のブロックを、折り畳まれた状態で、用意し、
    (2)土砂を用意し、
    (3)前記ハニカム状3次元立体セル構造体の第1のブロックを、補助枠を用いて展張しつつ所定の設置箇所に敷設し、
    (4)該展張されたセル構造体の各セル内に、前記土砂を充填し、前記補助枠を外し、次いで転圧し、
    (5)前記ハニカム状3次元立体セル構造体の第1のブロックの上に、ハニカム状3次元立体セル構造体の第2のブロックを、補助枠を用いて展張しつつ敷設し、そして
    (6)ハニカム状3次元立体セル構造体の所望の数のブロックの前記土砂の充填・転圧が完了するまで、工程(4)及び(5)を繰り返して、所望の段数のハニカム状3次元立体セル構造体のブロックを積み重ね、ここで、積み重ねられた全てのブロックの長辺状の樹脂又は繊維シートの水が流入する側には孔が開いていない、
    (7)水害が去った後、前記積み重ねた構築物を解体し、
    (8)使用した前記ハニカム状3次元立体セル構造体の複数のブロックを、折り畳み、そして
    (9)次回の使用に備えて保管する、
    を含む水防工法。
  2. 前記土砂は、ベントナイトを重量比で2〜5%混合した土砂である、請求項1に記載の水防工法。
  3. 前記ハニカム状3次元立体セル構造体の各ブロックは、縦3〜5個、横7〜10個のセルを有し、そして展張後の大きさは、縦700〜1000mm、横2500〜3000mm、長辺状の樹脂又は繊維シートの高さ略100〜200mmである、請求項1又は2に記載の水防工法。
  4. 前記ハニカム状3次元立体セル構造体の各ブロックにおいて、河川に面する側の長辺状の樹脂又は繊維シートには孔が開いていない、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水防工法。
  5. 前記工程(3)において、ハニカム状3次元立体セル構造体の第1のブロックを、所定の設置箇所に敷設するに先立って、該所定の設置箇所の上に、仕切り板を河川の流れに並行するよう配置して所定の深さまで埋め込み、その後、横方向に並んだセルの一列が該仕切り板を跨ぐように、前記第1のブロックを敷設するか、又は防水シートを敷き、その上に前記ハニカム状3次元立体セル構造体のブロックを配置した後、仕切り板を、河川の流れに並行し、かつ横方向に並んだセルの一列を跨ぐように配置する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水防工法。
  6. 前記土砂の充填・転圧が完了したハニカム状3次元立体セル構造体のブロックの上に、不織布を敷設し、その上に新たな段のブロックを敷設する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の水防工法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の水防工法により構築された堤防。
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