JP5718593B2 - 高所作業車のエンジン制御装置 - Google Patents

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本発明は、高所作業車のエンジン制御装置に関する。
近年、作業機として作業台を備える高所作業車等の作業車について、作業機を駆動していない間エンジンを停止して省エネルギーを実現する技術や、作業機を安全に駆動する技術が開発されている。
例えば、特許文献1には、すべての操作レバーが中立位置になってから所定時間経過後にエンジンを停止させるエンジンアイドリングストップ装置が開示されている。加えて、エンジンの停止中にいずれかの操作レバーが操作されるとエンジンを再始動することも開示されている。
また、特許文献2には、すべての操作レバーを中立位置に戻した後に、フットスイッチをオンにすることによって操作レバーによる運転操作を可能にする安全運転制御装置が開示されている。
さらに、特許文献3には、すべての操作レバーが中立位置でアイドリング状態にし、所定時間アイドリング状態が続くとエンジンが停止し、停止後はキースイッチがオンにセットされた状態でエンジン始動スイッチが操作されるとエンジンを始動させるエンジン制御装置が開示されている。
特開2002−87799号公報 特公平3−71359号公報 特許3905447号公報
しかしながら、特許文献1のエンジンアイドリングストップ装置は、省エネルギーを実現できるものの、操作レバーの操作とエンジン始動が同時に実行されるため、作業機の起動に遅れが生じるという問題があった。
また、特許文献2の安全運転制御装置は、作業機が意に反して駆動するのを防止するものであって、エンジンを停止するものではないため、省エネルギーを実現することはできなかった。
さらに、特許文献3のエンジン制御装置は、エンジン始動に際してエンジン始動スイッチの操作が必要となるため、作業機を円滑に駆動することはできなかった。
そこで、本発明は、省エネルギーを実現しつつ作業台を円滑に駆動する高所作業車のエンジン制御装置を提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本発明の高所作業車のエンジン制御装置は、作業台を駆動する作業台駆動装置の操作内容に応じてエンジンを制御する高所作業車のエンジン制御装置であって、前記作業台駆動装置を操作する複数の操作レバーと、オンのときに前記作業台駆動装置の操作を可能にするとともにオフのときに前記作業台駆動装置の操作を不可能にする安全スイッチと、前記エンジンを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記エンジンが実際に稼働していないと判断した上で、前記複数の操作レバーがすべて中立位置にあり、かつ、前記安全スイッチがオンのときに、前記エンジンにエンジン始動信号を出力することを特徴とする。
このように、本発明の高所作業車のエンジン制御装置は、複数の操作レバーと安全スイッチと制御部とを備えており、制御部は、エンジンの停止中に、複数の操作レバーがすべて中立位置にあり、かつ、安全スイッチがオンのときに、エンジンにエンジン始動信号を出力する。
このため、すべての操作レバーが中立位置にある場合にのみ、エンジン始動されることで、作業台の不意の作動を防止できる。さらに、安全スイッチに連動してエンジンを始動させることで、エンジン始動後にレバー操作されることとなるため、作業台を円滑に作動できる。
実施例1の高所作業車の機械系の構成を説明する側面図である。 実施例1の高所作業車の制御系の構成を説明するブロック図である。 実施例1の高所作業車のエンジン制御装置の制御手順を説明するフローチャートである。 実施例2の高所作業車のエンジン制御装置の制御手順を説明するフローチャートである。 実施例3の高所作業車のエンジン制御装置の制御手順を説明するフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下では、実施例1,2でエンジン始動制御について説明し、実施例3でエンジン停止制御について説明する。
[機械系の構成]
まず、図1を用いて、本実施例の高所作業車のエンジン制御装置2を備える高所作業車1の機械系の構成について説明する。
本実施例の高所作業車1は、走行機能を有する車両の本体部分である車体10と、車体10の前方に取付けられた走行用キャビン11と、車体10に旋回自在に取り付けられた旋回台12と、旋回台12に立設されたブラケット13と、ブラケット13に取り付けられたブーム14と、車体10の四隅に設けられたアウトリガ16a〜16dと、を備えている。
この旋回台12は、旋回ベアリング機構によって車体10に相対的に回転(旋回)するもので、旋回モータ64(図2参照)を回転することによって旋回する。
また、ブーム14は、基端ブームと中間ブームと先端ブームとによって入れ子式に構成されており、内部の伸縮シリンダ63(図2参照)を伸縮することによって伸縮する。
さらに、基端ブームは、ブラケット13に水平に設置された支持軸に基端部が回動自在に取り付けられており、ブラケット13と基端ブームとの間に架け渡された起伏シリンダ62を伸縮することでブーム14全体が起伏する。
加えて、図示しないが、車体10には、ブーム14が全縮されてバケット15が走行用キャビン11上方に位置する格納姿勢にあることを検出するブーム格納検出器47が設置されている(図2参照)。
また、先端ブームの先端には、作業者が高所作業を行うために搭乗する作業台としてのバケット15が水平を維持した状態で左右に回動自在に取り付けられている。
このバケット15には、作業者がバケット15に搭乗した状態でブーム14の旋回・起伏・伸縮操作とバケット15のスイング操作ができるように上部操作盤31が設けられている。
上部操作盤31には、起伏操作レバー32、伸縮操作レバー33、旋回操作レバー34、スイング操作レバー(不図示)、エンジン始動・停止スイッチ35などが配置されている(図2参照)。さらに、バケット15の床には、安全スイッチとして足踏み式のフットスイッチ36が配置されている。
同様に、車体10の後部には下部操作盤41が設けられており、起伏操作レバー42、伸縮操作レバー43、旋回操作レバー44、アウトリガ張出・格納操作レバー(不図示)、ブーム自動格納スイッチ(不図示)、エンジン始動・停止スイッチ45、下部優先スイッチ46などが配置されている(図2参照)。
なお、特に図示しないが、ブーム14やアウトリガ16a,・・・,16dは、エンジンから動力を取出すPTO(Power Take Off)によって回転する油圧ポンプで発生される油圧によって駆動される。
[制御系の構成]
次に、図2を用いて、本実施例の高所作業車のエンジン制御装置2の制御系の構成について説明する。
本実施例の高所作業車のエンジン制御装置2の制御系は、上部コントローラ30と制御部としての下部コントローラ40とを備えており、それぞれに入力系統や出力系統が接続されている。なお、以下では、下部コントローラ40が制御部として機能する場合について説明するが、これに限定されるものではなく、上部コントローラ30が制御部として機能してもよいし、上部コントローラ30及び下部コントローラ40が協働して制御部として機能するものであってもよい。
この上部コントローラ30には、入力系統として上部操作盤31の起伏操作レバー32、伸縮操作レバー33、旋回操作レバー34、エンジン始動・停止スイッチ35が接続されるとともに、フットスイッチ36が接続される。
したがって、起伏操作レバー32から起伏操作信号、伸縮操作レバー33から伸縮操作信号、旋回操作レバー34から旋回操作信号、エンジン始動・停止スイッチ35からエンジン始動/停止信号、フットスイッチ36からフットスイッチ・オン/オフ信号が、それぞれ上部コントローラ30に入力される。そして、これらの信号は、下部コントローラ40に伝送される。
フットスイッチ36は、足で踏まれてオンのときに作業台駆動装置の操作を可能にするとともに、足で踏まれずにオフのときに作業台駆動装置の操作を不可能にする安全スイッチである。
なお、ここでは、安全スイッチとしてフットスイッチ36を用いる場合について説明するが、これに限定されるものではなく、下部優先スイッチ46、いわゆるデットマンスイッチ、イネーブルスイッチなど、操作のために操作レバーとは別の二重の条件を設定するものであれば本発明を適用できる。
また、制御部としての下部コントローラ40には、入力系統として下部操作盤41の起伏操作レバー42、伸縮操作レバー43、旋回操作レバー44、エンジン始動・停止スイッチ45、下部優先スイッチ46が接続されるとともに、ブーム格納検出器47とエンジン51も接続される。
したがって、起伏操作レバー42から起伏操作信号、伸縮操作レバー43から伸縮操作信号、旋回操作レバー44から旋回操作信号、エンジン始動・停止スイッチ45からエンジン始動/停止信号、下部優先スイッチ46から下部優先スイッチ・オン/オフ信号、ブーム格納検出器47からブーム格納信号、エンジン51からエンジン回転中信号が、それぞれ下部コントローラ40に入力される。
さらに、下部コントローラ40には、出力系統として起伏操作バルブ52、伸縮操作バルブ53、旋回操作バルブ54が接続されるとともに、エンジン51が接続される。
したがって、起伏操作バルブ52へ起伏駆動信号、伸縮操作バルブ53へ伸縮駆動信号、旋回操作バルブ54へ旋回駆動信号、エンジン51へエンジン始動信号及びエンジン停止信号が、それぞれ下部コントローラ40から出力される。
この起伏操作バルブ52には作業台駆動装置としての起伏シリンダ62、伸縮操作バルブ53には作業台駆動装置としての伸縮シリンダ63、旋回操作バルブ54には作業台駆動装置としての旋回モータ64、がそれぞれ接続されている。
したがって、起伏操作バルブ52によって起伏シリンダ62を伸縮してブーム14を起伏操作し、伸縮操作バルブ53によって伸縮シリンダ63を伸縮してブーム14を伸縮操作し、旋回操作バルブ54によって旋回モータ64を回転してブーム14を旋回操作する。さらに、エンジン始動信号又はエンジン停止信号によってエンジン51を始動又は停止する。
そして、本実施例の制御部としての下部コントローラ40は、複数の操作レバーとしての起伏操作レバー32、伸縮操作レバー33及び旋回操作レバー34、がすべて中立位置にあり、かつ、安全スイッチとしてのフットスイッチ36がオンのときに、エンジン51にエンジン始動信号を出力する。
同様に、制御部としての下部コントローラ40は、複数の操作レバーとしての起伏操作レバー42、伸縮操作レバー43及び旋回操作レバー44がすべて中立位置にあり、かつ、安全スイッチとしての下部優先スイッチ46がオンのときに、エンジン51にエンジン始動信号を出力する。
[制御手順]
次に、本実施例の高所作業車のエンジン制御装置2の制御部としての下部コントローラ40における始動時の制御手順について、図2,3を用いて説明する。
まず、バケット15に搭乗した作業者が足でフットスイッチ36を踏むことでフットスイッチ36がオンになる(ステップS1)。
つづいて、エンジン回転中信号がオフか否かを判定する(ステップS2)。ここでは、エンジン51が実際に稼動しているか否かを判定している。エンジン51が稼動している場合には(ステップS2のNO)、エンジン51を始動せずにステップS7へ移行する。
エンジン51が稼動していない場合には(ステップS2のYES)、すべての操作レバーが中立位置にあるか否かを判定する(ステップS3)。操作レバーのうち中立位置にないものがあれば(ステップS3のNO)、表示モニタに「操作レバーが中立でないためエンジン始動できません」と表示し、すべての操作レバーが中立位置になるまでステップS3の判定を繰り返して待つ。
すべての操作レバーが中立位置にある場合には(ステップS3のYES)、エンジン停止信号がオフか否かを判定する(ステップS4)。ここでは、エンジン始動・停止スイッチ35からエンジン停止信号の入力がないことを確認している。エンジン停止信号の入力がある場合には(ステップS4のNO)、表示モニタに「エンジン停止信号がオフでないためエンジン始動できません」と表示し、エンジン停止信号がオフになるまでステップS3,S4の判定を繰り返して待つ。
エンジン停止信号がオフの場合には(ステップS4のYES)、エンジン停止のエラーが無いかを判定する(ステップS5)。ここにおいて、エラーとしては、アンロードバルブと操作バルブの故障によって、操作していないのに機械が作動(暴走)することなどが想定される。その場合、エンジン停止信号が出力される。そして、エラーが有る場合には(ステップS5のNO)、表示モニタに「エンジン停止のエラーがあるためエンジン始動できません」と表示し、エラーが無くなるまでステップS3,S4,S5の判定を繰り返して待つ。
エラーが無い場合には(ステップS5のYES)、エンジン51を始動するエンジン始動信号を出力する(ステップS6)。
その後、いずれかの操作レバーが操作されると(ステップS7)、エンジン回転中信号がオンか否かを判定する(ステップS8)。エンジン回転中信号がオフの場合には(ステップS8のNO)、表示モニタに「エンジンが回転中でないため作動開始できません」と表示し、エンジン回転中信号がオンになるまでステップS8の判定を繰り返して待つ。
そして、エンジン回転中信号がオンの場合には(ステップS8のYES)、操作レバーの操作に基づいて、操作バルブを作動させて、ブーム14を駆動することとなる(ステップS9)。
[作用]
(非操作時の燃費向上作用)
まず、本実施例の高所作業車のエンジン制御装置2は、作業台駆動装置の操作をしていない非操作状態でエンジン51を停止し、作業台駆動装置の操作を開始する際にエンジン51を始動するアイドリングストップ機能を有している。このため、非操作状態における燃料の消費を抑制することができる。
(操作開始時の誤作動防止作用)
また、本実施例の高所作業車のエンジン制御装置2は、すべての操作レバーが中立位置にあることをエンジン51始動の条件としているため(ステップS3)、誤って操作レバーが中立位置から外れている場合に、作業台駆動装置の誤作動を防止できる。
(操作開始時の駆動の円滑化作用)
さらに、本実施例の高所作業車のエンジン制御装置2は、フットスイッチ36がオンになり、かつ、すべての操作レバーが中立位置にあれば、自動的にエンジン51が始動される(ステップS1〜S6)。
したがって、通常の手順に従いフットスイッチ36を足で踏んだ後に操作レバーを操作する時点では、すでにエンジン51を始動させるエンジン始動信号が出力されていることとなる。
(エンジン始動時の負荷低減作用)
そして、本実施例の高所作業車のエンジン制御装置2は、制御部としての下部コントローラ40は、エンジン51にエンジン始動信号を出力した後に、エンジン51からエンジン回転中信号の入力があれば、操作レバーによる作業台駆動装置の作動を可能とする(ステップS8,9,13)。このため、操作開始時にはすでにエンジン51が回転しており、エンジン51への作業台駆動装置からの負荷を確実に低減できる。
[効果]
次に、本実施例の高所作業車のエンジン制御装置2の効果を列挙して説明する。
(1)このように、本実施例の高所作業車のエンジン制御装置2は、複数の操作レバーとしての起伏操作レバー32、伸縮操作レバー33及び旋回操作レバー34と、安全スイッチとしてのフットスイッチ36と、制御部としての下部コントローラ40と、を備えており、下部コントローラ40は、複数の操作レバーがすべて中立位置にあり、かつ、フットスイッチ36がオンのときに、エンジン51にエンジン始動信号を出力する。
このため、すべての操作レバーが中立位置にある場合にのみ、エンジン51が始動されることで、バケット15の不意の作動を防止できる。さらに、フットスイッチ36に連動してエンジン51が始動されることで、エンジン始動後にレバー操作されることとなるため、バケット15を円滑に作動できる。
つまり、操作レバーのうち中立位置にないものがあればエンジン51は始動されないため、誤って操作レバーを倒した状態でエンジン51が始動されて不意にバケット15が作動してしまうことはない。
さらに、フットスイッチ36のオンをエンジン51の始動の条件とすることで、通常の手順どおりフットスイッチ36をオンにした後に操作レバーを操作した場合、作動開始時点でエンジン51が始動されている可能性が高くなり、バケット15を円滑に作動できる。
(2)また、制御部としての下部コントローラ40は、エンジン51にエンジン始動信号を出力した後に、エンジン51からエンジン回転中信号の入力があれば、操作レバーによる作業台駆動装置の作動を可能とすることで、操作開始時のエンジン51への負荷を低減し、エンジン停止を防止することができる。
つまり、作業台駆動装置の作動開始をエンジン回転中信号の入力まで待つことで、エンジン51自体の始動に必要なエネルギーと作業台駆動装置の可動に必要なエネルギーとが別のタイミングで作用するため、エンジン51にかかる負荷のピークが低減される。
さらに、エンジン回転中信号の入力を作動の条件として追加することで、操作レバーを操作して作動開始する時点では、確実にエンジン51が始動されていることとなる。
以下、図2,4を用いて、前記実施例とは異なり、操作開始時に設定した始動待機時間だけ待つ場合について説明する。なお、前記実施の形態で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
[構成]
本実施例の高所作業車のエンジン制御装置2を備える高所作業車1の機械系の構成及び制御系の構成は、実施例1の構成と同様であるから説明を省略する。
[制御手順]
次に、本実施例の高所作業車のエンジン制御装置2の制御部としての下部コントローラ40における始動時の制御手順について、図4を用いて説明する。
まず、ステップS21〜ステップS26までは、実施例1のステップS1〜ステップS6までと同様であるため説明を省略する。
その後、いずれかの操作レバーが操作されると(ステップS27)、エンジン始動信号出力から始動待機時間T秒だけ経過したか否かを判定する(ステップS28)。この始動待機時間T秒は、エンジン51の始動を待つためのタイマーの役割をするもので、エンジン51の始動までの標準的な時間などに基づいてあらかじめ設定される。
始動待機時間T秒を経過していない場合には(ステップS28のNO)、表示モニタに「エンジン始動信号出力からT秒経過していないため作動開始できません」と表示し、経過するまでステップS28の判定を繰り返して待つ。
一方、すでに始動待機時間T秒を経過している場合には(ステップS28のYES)、操作レバーの操作に基づいて、操作バルブを作動させて、ブーム14を駆動することとなる(ステップS29)。
[作用・効果]
(1)このように、本実施例の高所作業車のエンジン制御装置2において、制御部としての下部コントローラ40は、エンジン51にエンジン始動信号を出力した後に、設定した始動待機時間Tが経過すれば、操作レバーによる作業台駆動装置の作動を可能とすることで、操作開始時のエンジンへ51の負荷を低減し、エンジン停止を防止することができる。
すなわち、作業台駆動装置の作動開始を始動待機時間Tの経過まで待つことで、エンジン51自体の始動に必要なエネルギーと作業台駆動装置の可動に必要なエネルギーとが別のタイミングで作用するため、エンジン51にかかる負荷のピークが低減される。
なお、この他の構成および作用効果については、前記実施例と略同様であるため説明を省略する。
以下、図2,5を用いて、前記実施例とは異なり、停止時の制御内容について説明する。なお、前記実施の形態で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
[構成]
本実施例の高所作業車のエンジン制御装置2を備える高所作業車1の機械系の構成及び制御系の構成は、実施例1の構成と同様であるから説明を省略する。
[制御手順]
次に、本実施例の高所作業車のエンジン制御装置2の制御部としての下部コントローラ40における停止時の制御手順について、図5を用いて説明する。
まず、バケット15に搭乗した作業者が足で踏んでいたフットスイッチ36から足を上げて離すことでフットスイッチ36がオフになる(ステップS41)。
つづいて、エンジン回転中信号がオンか否かを判定する(ステップS42)。ここでは、無駄にエンジン停止信号を出力しないためにエンジン51が実際に稼動しているか否かを判定している。エンジン51が稼動していない場合には(ステップS42のNO)、エンジン51を停止せずに処理を終了する(ステップS46)。
エンジン51が稼動している場合には(ステップS42のYES)、ブーム格納信号はオフか否かを判定する(ステップS43)。ブーム格納信号がオンであれば(ステップS43のNO)、エンジン51を停止せずに処理を終了する(ステップS46)。
ブーム格納信号がオフの場合には(ステップS43のYES)、フットスイッチ36がオフになってから停止待機時間S秒だけ経過したか否かを判定する(ステップS44)。この停止待機時間S秒は、わずか数秒間フットスイッチ36から足を上げたことでエンジン51が頻繁に停止することを防止するためのタイマーの役割をするもので、作業性に基づいてあらかじめ設定される。
停止待機時間S秒を経過していない場合には(ステップS44のNO)、経過するまでステップS44の判定を繰り返して待つ。
一方、すでに停止待機時間S秒を経過している場合には(ステップS44のYES)、エンジン51を停止するとともに(ステップS45)、表示モニタに「フットスイッチオフからS秒経過したためエンジン停止します」と表示して(ステップS46)、処理を終了する(ステップS47)。
[作用]
(非操作時の燃費向上作用)
本実施例の高所作業車のエンジン制御装置2は、フットスイッチ36をオフにし、作業台駆動装置の操作をしていない非操作状態でエンジン51を停止するアイドリングストップ機能を有している。このため、非操作状態における燃料の消費を抑制することができる。
(作業台への搭乗前後のエンジン停止回避作用)
また、本実施例の高所作業車のエンジン制御装置2は、ブーム格納信号がオフになっていることをエンジン停止の条件としているため、バケット15へ作業者が搭乗する前後にエンジン51が停止することを防止できる。
これによって、PTOをオンにした後に作業者がバケット15に乗る前にアウトリガ16a〜16dの操作を可能にするとともに、作業者がバケット15から降りた後にPTOをオフにする前にアウトリガ16a〜16dの操作を可能にする。
[効果]
(1)このように、本実施例の高所作業車のエンジン制御装置2は、作業台駆動装置を操作する複数の操作レバーと、オンのときに作業台駆動装置の操作を可能にするとともにオフのときに作業台駆動装置の操作を不可能にする安全スイッチとしてのフットスイッチ36と、エンジン51を制御する制御部としての下部コントローラ40と、を備え、制御部としての下部コントローラ40は、エンジン51の回転中に、フットスイッチ36がオフになった後に、設定した停止待機時間Sが経過すれば、エンジン51にエンジン停止信号を出力する。
このため、停止待機時間Sの経過を待つことで作業性を維持しつつ、停止待機時間Sが経過すればエンジン51を停止することで非操作状態での燃料消費を抑制できる。
(2)加えて、制御部としての下部コントローラ40は、バケット15が格納位置にない場合にはエンジン停止信号を出力し、バケット15が格納位置にある場合にはエンジン停止信号を出力しない。
つまり、ブーム格納信号がオフでバケット15が格納位置にない場合にのみエンジン51を停止することで、バケット15へ作業者が搭乗する前後にエンジン51が停止することを防止して、アウトリガ16a〜16dの操作を可能にしている。
なお、この他の構成および作用効果については、前記実施例と略同様であるため説明を省略する。
以上、図面を参照して、本発明の実施例を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
例えば、前記実施例では、始動待機時間Tや停止待機時間Sはあらかじめ設定される場合について説明したが、これに限定されるものではなく、始動待機時間Tや停止待機時間Sは、作業内容や作業者の好みに応じて変更できるものであってもよい。
また、前記実施例では、複数の操作レバーとして上部操作盤31に配置された起伏操作レバー32、伸縮操作レバー33又は旋回操作レバー34を操作する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、複数の操作レバーとして下部操作盤41に配置された起伏操作レバー42、伸縮操作レバー43又は旋回操作レバー44を操作する場合にも本発明を適用できる。
さらに、前記実施例では、制御部として下部コントローラ40がエンジン51にエンジン始動信号を出力する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、制御部として上部コントローラ30がエンジン始動信号を出力し、下部コントローラ40を介してエンジン51に伝達してもよい。
そして、実施例1,2ではエンジン51の始動制御について説明し、実施例3ではエンジン51の停止制御について説明したが、これに限定されるものではなく、いずれか一方の制御だけでなく始動制御と停止制御の両方を備えることもできる。
1 高所作業車
12 旋回台
14 ブーム
15 バケット(作業台)
2 高所作業車のエンジン制御装置
32,42 起伏操作レバー(操作レバー)
33,43 伸縮操作レバー(操作レバー)
34,44 旋回操作レバー(操作レバー)
36 フットスイッチ(安全スイッチ)
40 下部コントローラ(制御部)
46 下部優先スイッチ(安全スイッチ)
62 起伏シリンダ(作業台駆動装置)
63 伸縮シリンダ(作業台駆動装置)
64 旋回モータ(作業台駆動装置)

Claims (5)

  1. 作業台を駆動する作業台駆動装置の操作内容に応じてエンジンを制御する高所作業車のエンジン制御装置であって、
    前記作業台駆動装置を操作する複数の操作レバーと、オンのときに前記作業台駆動装置の操作を可能にするとともにオフのときに前記作業台駆動装置の操作を不可能にする安全スイッチと、前記エンジンを制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記エンジンが実際に稼働していないと判断した上で、前記複数の操作レバーがすべて中立位置にあり、かつ、前記安全スイッチがオンのときに、前記エンジンにエンジン始動信号を出力することを特徴とする高所作業車のエンジン制御装置。
  2. 前記制御部は、前記エンジンに前記エンジン始動信号を出力した後に、前記エンジンからエンジン回転中信号の入力があれば、前記操作レバーによる前記作業台駆動装置の作動を可能とすることを特徴とする請求項1に記載の高所作業車のエンジン制御装置。
  3. 前記制御部は、前記エンジンに前記エンジン始動信号を出力した後に、設定した始動待機時間が経過すれば、前記操作レバーによる前記作業台駆動装置の作動を可能とすることを特徴とする請求項1に記載の高所作業車のエンジン制御装置。
  4. 前記制御部は、前記エンジンの回転中に、前記安全スイッチがオフになった後に、設定した停止待機時間が経過すれば、前記エンジンにエンジン停止信号を出力することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の高所作業車のエンジン制御装置。
  5. 前記制御部は、前記作業台が格納位置にない場合には前記エンジン停止信号を出力し、前記作業台が格納位置にある場合には前記エンジン停止信号を出力しないことを特徴とする請求項4に記載の高所作業車のエンジン制御装置。
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