JP5711045B2 - 縫製装置 - Google Patents
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Description
その場合、二枚のカーテン地の端縁部同士を縫着することになるが、その縫製作業には、縁かがり縫い目を縫い代に沿って平行に形成する二本針オーバーロックミシンやインターロックミシン等のロックミシンが使用されていた(例えば、特許文献1参照)。
このため、長尺の作業台に生地を二枚重ねた状態で載置し、作業台の端縁部から縫い代を突き出した状態で、作業台の端縁部に沿ってロックミシンを搬送させながら縫製を行う縫製装置が従来から使用されていた。
このような縫製装置を使用して、生地の縫い代となる端縁部に対して交差する模様や柄が存在する生地同士を縫い合わせる場合、二枚の生地を重ね合わせる際に、縫い代に沿って模様が合致するように下布に対して上布をずらして位置調節を行う必要がある。
しかしながら、作業台の上面がなめらかであるのに対して、生地同士は摩擦が生じやすいことから、上記のように上布だけを縫い代に沿って動かそうとしても下布も一緒に移動してしまい、かかる調整作業が非常に煩雑であると共に、模様や柄がきれいに合致するように縫い合わせること自体が非常に困難なものとなっていた。
二枚の生地を互いの一端部で直線状の縫い目でつなぎ合わせるための縫製装置であって、
前記つなぎ合わせる端部をその端縁部から突き出した状態で前記二枚の生地が重ねて載置される作業台と、
前記二枚の生地とをつなぎ合わせるために縫いを行う二本針オーバーロックミシン又はインターロックミシンからなるロックミシンと、
前記作業台の端縁部に沿って前記ロックミシンを搬送する搬送機構と、
前記作業台に載置された一枚目の生地の仮押さえを行う後クランプ機構とを備え、
前記後クランプ機構は、前記作業台と同じ高さで前記作業台の端縁部の前側に配置される下板と、前記下板の上方から前記一枚目の生地の突き出された端部を保持するクランプ部材と、前記下板及び前記クランプ部材を前記ロックミシンの搬送領域から退避させる退避機構とを備えることを特徴とする。
前記後クランプ機構は、前記下板を前記作業台の端縁部に対して前後移動させるアクチュエータを備えると共に、前記退避機構の上方退避の際に前記アクチュエータによる前記下板の後退移動を行うことを特徴とする。
前記ロックミシンを搭載し搬送するミシン搭載板上で前記ロックミシンに対する搬送方向下流側に隣接して設けられ、前記一枚目の生地の縫い開始側の端部を保持する開始位置保持機構と、
前記作業台の端縁部に隣接し且つ前記開始位置保持機構に対して前記ロックミシンの縫製時の搬送方向下流側に設けられ、前記一枚目の生地の縫い終了側の端部を保持すると共に、前記作業台の端縁部に沿って前記ロックミシンの縫製時の搬送方向下流側に向かって移動して前記一枚目の生地の縫い終了側の端部のみを運搬する生地運搬機構とを備えることを特徴とする。
また、後クランプ機構は、下板及びクランプ部材を退避させる退避機構を備えるので、縫製時には、ロックミシンの搬送を妨げない。
アクチュエータが下板を作業台から後退移動させるので、生地運搬機構と下板との干渉の防止することが可能となる。
以下、発明の実施形態である縫製装置10について図1から図13に基づいて説明を行います。この縫製装置10は、大判の二枚の生地(具体例としてはカーテン地C)の直線状の端部同士を縫い合わせてつなぎ合わせの縫製を行うのに好適な縫製装置を例示するものである。
また、水平方向であって、X軸方向に直交する方向を「Y軸方向」とし、図1において作業台30に対してインターロックミシン40が位置する方向を「Y軸正方向」、その逆方向を「Y軸逆方向」と定義する。
また、鉛直上下方向を「Z軸方向」又は「上下方向」と定義する。
基台20は、Y−Z平面に沿った二枚の側板21,21と、二枚の側板21,21の間に掛け渡された支柱22,23と、支柱23に設けられた脚部24,24,24とから主に構成されている。
この作業台30も基台20の側板21,21の間に掛け渡されており、その両端部がそれぞれの側板21,21に固定支持されている。また、かかる支持状態において、作業台30の生地載置面31は、水平となるように支持されている。
図3はインターロックミシン40の縫い針41,42の周囲を示す斜視図であり、図4(A)はインターロックミシン40の布押さえ43の平面図、図4(B)は針板44の平面図である。
インターロックミシン40は、周知のものとほぼ同様の構成を有し、その一部のみについて縫製装置10による縫製に好適な加工が施されている。従って、ここでは、インターロックミシンとして周知の構成については言及せず、主として、その特徴的に部分についてのみ説明を行うものとする。
そして、インターロックミシン40は、アーム45により上下に回動可能に支持された布押さえ43を縫い針41,42の下方に備え、さらにその下側であってミシンベッドの上面には針板44が配置されている。
図4(A)に示すように、布押さえ43は、作業台30側の側端部43aが直線状に形成されると共に作業台30の端縁部32に近接対向するように配置されている。係る配置は、搬送機構50により搬送される際も維持される。
そして、図4(A)に示す符号H1,H2は、それぞれ縫い針41,42の針落ち位置を示すものであり、図示のように、二重環縫いを行う縫い針41の針落ち位置H1は、布押さえ43の作業台30側の側端部43aの際に位置している。即ち、従来のインターロックミシンの布押さえは、二重環縫いを行う縫い針41の針落ち位置H1からY軸逆方向により膨らんだ形状に形成されているが、このインターロックミシン40の布押さえ43は、二重環縫いを行う縫い針41の針落ち位置H1が布押さえ43の作業台30側の側端部43aに位置するように、作業台30側の膨らみは全て除去された形状となっている。
これにより、作業台30の端縁部32を、二重環縫いを行う縫い針41の針落ち位置H1に極力近づけることを可能としている。作業台30の端縁部32から二重環縫いを行う縫い針41の針落ち位置H1までの距離は、5[mm]以内であり、搬送時に干渉を生じない範囲でより近接させることが望ましい。
なお、図4(A)に示す符号H3は、縁かがり縫いを行う際のカーテン地C1,C2の端部における縫い代の余剰部分を切除するメス46のメス落ち位置を示している。
図4(B)に示す符号H4,H5は、それぞれ縫い針41,42の針落ち位置を示すものであり、図示のように、二重環縫いを行う縫い針41の針落ち位置H4は、針板44の作業台30側の側端部44aの際に位置している。即ち、従来のインターロックミシンの針板は、二重環縫いを行う縫い針41の針落ち位置H4よりもY軸逆方向側には、もう一条、送り歯が覗く開口部が形成されていたが、このインターロックミシン40の針板44は、二重環縫いを行う縫い針41の針落ち位置H4が針板44の作業台30側の側端部44aに位置するように、送り歯が覗く開口部が一つ除去された形状となっている。
また、図4(B)に示す符号47,48は、針板44の下側に配置される第一と第二の送り歯を示しているが、これらの送り歯47,48も一条分の送り歯が削除されてスリム化されている。
これらにより、作業台30の端縁部32を、二重環縫いを行う縫い針41の針落ち位置H4に極力近づけることを可能としている。当然、作業台30の端縁部32から二重環縫いを行う縫い針41の針落ち位置H4までの距離も5[mm]以内であり、搬送時に干渉を生じない範囲でより近接させることが望ましい。
図1及び図2では、インターロックミシン40のX軸正方向側に後クランプ機構70が配置された状態が図示されているが、後クランプ機構70は上方に退避させることが可能となっている。
図5は後クランプ機構70を退避状態とした場合の搬送機構50及びインターロックミシン40の斜視図である。
図示のように、基台20は、後クランプ機構70の下側にミシン支持板25を備えている。そして,搬送機構50は、ミシン支持板25の上面にX軸方向に沿った状態で装備された二本のスライドレール51,51と、スライドガイド52,52を介してスライドレール51に沿って滑動可能なミシン搭載板53とを備えている。
さらに、ミシン搭載板53の上面にはインターロックミシン40及びその縫製の駆動源となるミシンモータ49とが搭載されており、搬送機構50は、トルク伝達機構540を介して、ミシンモータ49の出力トルクを利用して、縫製時にインターロックミシン40をX軸正方向に向かって搬送を行うことを可能としている。
即ち、トルク伝達機構540は、ミシンモータ49の出力軸に装備された一体型の大小の主動プーリ541,542と、主動プーリ542からタイミングベルトを介してトルクが伝達される従動プーリ543と、従動プーリ543の回転を所定の減速比で減速する減速器544と、減速器544介して従動プーリ543からのトルクが付与される第一の中間プーリ545と、第一の中間プーリ545からタイミングベルトを介してトルクが伝達される第二の中間プーリ546と、制御装置の制御に従って第二の中間プーリ546から下流側へのトルク伝達の接続と切断とを切り替え可能なクラッチ装置547と、クラッチ装置547を介してトルクが付与されるピニオンギア548とを備えている。
そして、このピニオンギア548は、ミシン支持板25の上面においてスライドレール51に並んでX軸方向に沿って装備されたラックギア56に噛合している。
また、前述した主動プーリ541は、タイミングベルトを介してインターロックミシン40の動力入力プーリ40aに縫製を行うためのトルクを入力する。
また、インターロックミシン40の縫製動作速度と搬送機構50によるX軸正方向への搬送動作速度とは、いずれもミシンモータ49の回転数に比例するので、インターロックミシン40の縫製動作速度と搬送機構50によるX軸正方向への搬送動作速度も比例関係となる。つまり、インターロックミシン40の一針ごとの搬送距離,即ち、縫いピッチは、ミシンモータ49の回転数に拘わらず、常に一定とすることができる。具体的には、搬送機構50は、一針毎に3[mm]の縫いピッチとなるように調整されている。
即ち、図示しないベルト送り機構は、ミシンモータ49とは別に駆動源となるモータを備えており、縫製時におけるX軸正方向へのインターロックミシン40の搬送はミシンモータ49を駆動源として行い、縫製終了後のホームポジションへのインターロックミシン40の復帰動作は、ミシンモータ49とは別のモータを駆動源として行うようになっている。
図6は手前クランプ機構60の平面図、図7(A)は一部切り欠いた側面図、図7(B)は一つのクランプ板61の周囲の構成を示した拡大平面図,図8は退避機構65の動作説明図である。
手前クランプ機構60は、複数のクランプ部材611を並列させた状態で一体的に備える複数のクランプ板61と、各クランプ板61をX軸方向に沿って並んだ状態で保持する支柱62と、支柱62に対する各クランプ板61の昇降動作を付与する昇降機構63と、全てのクランプ板61と支柱62と昇降機構63とを作業台30から上方に退避させる退避機構65とを備えている。
各クランプ板61は、複数(例えば、34枚)がX軸方向に並んだ状態で支柱62に支持されており、当該支持状態において、各クランプ板61の九つのクランプ部材611もX軸方向に並んだ状態となる。また、個々のクランプ部材611自体は、その長手方向がY軸方向に沿った状態であって、先端部がY軸正方向に向けられた状態となる。
そして、各クランプ部材611の先端部には、摩擦係数の高い樹脂等からなる滑り止めが装備されており、当該各先端部が作業台30の生地載置面31上のカーテン地C1,C2を上方から押さえつけることが可能となっている。
また、退避機構65による下降状態且つ各クランプ板61が昇降機構63による下降状態にある場合おいて、各クランプ部材611は、いずれもその先端位置が、作業台30の端縁部32と同じ位置で並ぶように配置されている。即ち、各クランプ部材611は、作業台30の端縁部32の際の位置でカーテン地C1,C2を保持することが可能となっている。
なお、作業台30の端縁部32は、前述したように、インターロックミシン40の二重環縫いを行う縫い針41の針落ち位置H1に対して5[mm]以内の範囲まで近接配置されていることから、各クランプ部材611の先端部も同様に、二重環縫いを行う縫い針41の針落ち位置H1に対して5[mm]以内の範囲まで近接した状態となる。
そして、エアシリンダ634はプランジャが下方に向けられると共に当該プランジャの先端部が保持体633に連結されている。つまり、エアシリンダ634のプランジャが突出するように作動すると、クランプ板61は下降する。このとき、クランプ板61の各クランプ部材611は、その先端部に向かうにつれて下降するように幾分勾配が形成されており、エアシリンダ634の作動により、その先端部が作業台30のカーテン地C1,C2を圧接保持するようになっている。
このように、一つおきではあるが、個々にクランプ板61を下降させることができるので、X軸方向に長いカーテン地C1,C2を一つのクランプ板61の保持範囲ごとに位置合わせをクランプすることができ、位置合わせ作業の作業性を向上することができる。
なお、全ての昇降機構63について、作動スイッチ635を設けても良いことはもちろんである。
退避機構65は、側板21の内側面において、上端部側を支点としてX軸周りに揺動可能に支持された長方形状の揺動板651と、当該揺動板651の内側面において当該揺動板651の長手方向に沿って装備されたガイドレール652と、ガイドレール652に対して図示しないスライドガイドを介して滑動可能であって支柱62の一端部を保持するスライド板653と、揺動板651の上端部近傍に設けられた主動プーリ654と、揺動板651の下端部近傍に設けられた従動プーリ655と、これらのプーリ654,655の間に掛け渡されたタイミングベルト656と、揺動板651の下端部をY軸方向に沿って前後移動するように揺動を付与するアクチュエータとしてのエアシリンダ657とを備えている。
なお、側板21の反対側の面には、主動プーリ654にトルク付与を行うための駆動装置が設けられている。かかる駆動装置は、例えば、モータを使用しても良いが、その動作の瞬発製を考慮して、例えば、エアシリンダやソレノイドのような直動型のアクチュエータをベルト機構を介して回転運動に変換して主動プーリ654に付与するものが採用されている。
これにより、インターロックミシン40のアーム部が縫い針41よりも作業台30側に突出する形状の場合でも、下降するクランプ部材611がミシンのアーム部と干渉することを回避でき、なおかつ、各クランプ部材611の先端部を縫い針41の近傍までに前進移動させることが可能となる。
図9は後クランプ機構70の側面図、図10は一つのクランプ板71の周囲の構成を示した拡大平面図である。
前述した手前クランプ機構60は、縫製時にカーテン地C1,C2を保持してズレのない縫製を行うためのものであるが、この後クランプ機構70は、作業台30にカーテン地C1とC2との相互の位置合わせを行う際に、下側のカーテン地C1のみを保持して位置合わせ作業をやりやすくすることで作業性の向上及び縫い品質の向上を図るものであり、その用途は異なっている。
下板75は、X軸方向に長尺の長方形の平板部751と、平板部751のY軸正方向側の端部から立設されたX−Z平面に沿った立板部752を備えている。
下板75は、平板部751が支柱76の底面と摺接し、支柱76によってY軸方向に沿って滑動可能に支持されている。下板75の平板部751は、その上面高さが作業台30の生地載置面31と同じ高さに設定されており、平板部751のY軸逆方向の端部が作業台30の端縁部32に近接するまで前進させた状態で、カーテン地C1とC2の縫い代側の端部を乗せることができ、その状態で、カーテン地C1とC2の位置合わせ作業を行うことが想定されている。
また、天板部722には、X軸方向に並んで昇降機構73が設けられ、当該昇降機構73によってクランプ板71が支持されている。
なお、この定規72及び昇降機構73がクランプ部材711の支持機構に相当する。
また、各ラックギア741はその先端部が定規72に連結されており、ハンドル744を回転操作することにより、ピニオンギア742を介してラックギア741及び定規72をY軸方向に任意に移動させることが可能となっている。これにより、定規72の底板部721の先端面がY軸方向に任意に移動し、カーテン地C1,C2の先端位置即ち縫い代の長さを任意に設定することが可能となっている。
各クランプ板71は、複数(例えば、15枚)がX軸方向に並んだ状態で定規72に支持されており、当該支持状態において、各クランプ板71の九つのクランプ部材711もX軸方向に並んだ状態となる。また、個々のクランプ部材711自体は、その長手方向がY軸方向に沿った状態であって、先端部がY軸逆方向に向けられた状態となる。即ち、各クランプ部材711は、前述した手前クランプ機構60のクランプ部材611と先端部同士を互いに向かい合わせに突き合わせた状態となる。
また、図2に示すように、クランプ板71はクランプ板61に比べてX軸方向にまばらに配置されるが、これは、クランプ部材711の機能が、位置合わせの際にカーテン地C1をC2に対して仮止めするためのものであることから、全長に渡って隙間なく位置ズレを防止する要求が高くないためである。
また、各クランプ部材711は、いずれもその先端位置が、作業台30の端縁部32から幾分離れてY軸方向における同位置で並ぶように配置されている。これは、後述する生地運搬機構90が、各クランプ部材711と作業台30の端縁部32との間を通過することを妨げないようにするためである。
そして、エアシリンダ734はプランジャが下方に向けられると共に当該プランジャの先端部が保持体733に連結されている。つまり、作動スイッチ731が押されてエアシリンダ734のプランジャが突出するように作動すると、クランプ板71は下降する。このとき、クランプ板71の各クランプ部材711は、その先端部が低位置となるようにクランク状に形成されており、エアシリンダ734の作動により、その先端部が下板75の平板部751の上面でカーテン地C1を圧接保持するようになっている。
第一のエアシリンダ771は第二のエアシリンダ772に比してストロークが大きく、第二のエアシリンダ772のプランジャが突出しない状態で下板75を最前進位置と最後退位置とに切り替えることができる。
第二のエアシリンダ772は、第一のエアシリンダ771よりもストロークが小さいが第一のエアシリンダ771よりも作動圧が高圧となっている。これにより、第一のエアシリンダ771が下板75を最前進位置とする状態において、第二のエアシリンダ772が作動することで下板75を押し戻して、最前進位置よりも後退した中間位置に合わせることが可能となっている。
下板75における中間位置P3は、下板75の先端部が作業台30の端縁部32に対して所定幅の隙間を生じる位置である。これは生地搬送を行う生地搬送機構90を使用する場合のポジションであり、その隙間は生地搬送機構90が通過可能な幅となっている。
下板75における最後退位置P2は、下板75の先端部が各クランプ部材711の先端部よりも後退した位置である。これは、後クランプ機構70において、カーテン地C1の先端部を仮止めしてカーテン地C2の位置調節作業を行った後、縫製を行うために、後クランプ機構70を上方に退避させる場合に、下板75の先端部がカーテン地C1を上方に捲り上げないようにするポジションである。
退避機構78は、制御装置の制御に従って、回転軸にトルクが付与され、ピニオンギアが回転してラックギア782を介して支柱76が上方に引き上げられることで、後クランプ機構70の全体をインターロックミシン40の搬送領域外に退避させる。
開始位置決め機構80は、図5に示すように、ミシン搭載板53の上面において、インターロックミシン40に対する搬送方向下流側に隣接して設けられている。
この開始位置決め機構80は、一枚目のカーテン地C1の縫い開始側の端部を保持する一対の把持部材81,82と、上側の把持部材82を下降させてカーテン地C1の把持圧を付与するアクチュエータとしてのエアシリンダ83とから主に構成される。
図12は生地運搬機構90の斜視図である。
生地運搬機構90は、図5及び図12に示すように、インターロックミシン40を搬送するための作業台30に近い方のスライドレール51を利用してX軸方向に滑動を行い、カーテン地C1の縫製の終端部側を搬送方向下流側に運搬するようになっている。
この生地運搬機構90は、スライドレール51に対して滑動可能なスライドガイド91と、スライドガイド91から上方に立設された支柱92と、支柱92の上端部に固定支持された第一の把持部材93と、第一の把持部材93から立設された二本の支軸95に沿って上下動可能な第二の把持部材94と、第二の把持部材94に対して第一の把持部材93側への把持圧を付与するアクチュエータとしてのエアシリンダ99と、エアシリンダ99を手動操作で作動させる作動スイッチ96と、支柱92の下端部に連結され、X軸方向に沿った移動動作を付与する搬送ベルト97と、搬送ベルト97の搬送を行う図示しないベルト搬送機構と、各把持部材93,94の搬送方向下流側への移動を実行させる移動開始スイッチ98とを備えている。
なお、上記第一の把持部材93は作業台30の端縁部32に対して隙間なく接しており、また、その上面が生地載置面31と同じ高さとなるように設定されている。
そして、移動開始スイッチ98を操作すると、生地運搬機構90が搬送方向下流側に移動を開始し、カーテン地C1の終端部を自動的に運搬する。なお、生地運搬機構90のベルト搬送機構は、その動作トルクを任意に設定することができ、カーテン地C1の品質に応じて例えば、延びやすい生地であれば、弱いトルクで搬送して延びの発生を回避するなど、適切な生地運搬を行うことができるようになっている。
上記構成からなる縫製装置10において、柄合わせを行う必要があるカーテン地C1,C2をつなぎ合わせる縫製を行う場合の動作を図13の動作説明図によって説明する。
まず、制御装置に対して、柄合わせモードの実行を入力すると、手前クランプ機構60は上方への退避状態を維持し、後クランプ機構70は非退避状態とされる。
そして、後クランプ機構70の下板75は最前進位置となるよう制御される。
この状態で、定規72を適正な縫い代となる位置に調節し、作業台30の生地載置面31に手作業でカーテン地C1を乗せる。
さらに、カーテン地C1の縫い代側の端部を定規72の先端に突き当てて、縫い代を正確に調節する(図13(A))。
さらに、カーテン地C2の縫い代側の端部をカーテン地C1に重ね合わせる(図13(C))。
そして、手前クランプ機構60が退避位置から下降して待機する。
この状態で、X軸方向における片側から順番に、カーテン地C2をカーテン地C1に対してX軸方向に沿って位置調節し(図13(D))、一つのクランプ板61の保持幅について位置合わせが終わる毎に、対応する作動スイッチ635を操作し、クランプ板61を一枚ずつ下降させてクランプする(図13(E))。最終的に個々のクランプ板61によるクランプが終わると、一括的な操作スイッチにより、残りのクランプ板61によりクランプを全て実行する。
そして、退避機構78により、後クランプ機構70は上方に退避される。
その後、ミシンモータ49の駆動により、インターロックミシン40が縫製を行いつつ、搬送され、カーテン地C1,C2の柄を合わせつつ縫い合わせ縫製が行われる。
上記縫製装置10では、インターロックミシン40の布押さえ43を作業台30の端縁部32に隣接する配置として、縫い針41が布押さえ43の側端部43aで針落ちを行う構成とすることから、布押さえ43に干渉することなく、針落ち位置H1に作業台30の端縁部32を近接配置することができる。
そして、クランプ部材611の先端部を作業台30の端縁部32と同じ位置まで延出することにより、二重環縫いを行う縫い針41の針落ち位置H1により近い位置でクランプ部材611がカーテン地C1,C2を保持することから、上下の生地が縫製によるズレを生じることなく縫い合わせられ、柄や模様があるカーテン地C1,C2についても、ずれを生じることなくつなぎ合わせの縫製を行うことが可能となる。
さらに、縫製装置10の搬送機構50はインターロックミシン40のミシンモータ49のトルクにより縫製時のミシン搬送を行うので、毎針の搬送による移動量(縫いピッチ)の均一化を図るための同期をより容易にとることが可能となる。これにより、同期精度を高めるためのサーボ機構等の高価な構成を不要とし、低コストで縫い品質の向上を図ることが可能となる。
また、後クランプ機構70では、退避機構78による後クランプ機構70全体の上方退避の際に、予めエアシリンダ771による下板75の最後退位置への後退移動を行うので、下板75の先端部よりカーテン地C1がめくりあげられることを防止することが可能となる。
また、生地運搬機構90の動作時には、エアシリンダ771,772が下板75を中間位置に移動させるので、生地運搬機構90と下板75との干渉の防止することが可能となる。
その場合、二本針の内の作業台側の縫い針の針落ちが、布押さえ43における作業台側の側端部に対して行われるように当該布押さえを形成することが要求される。また、同様に、作業台側の縫い針の針落ちが、針板44における作業台側の側端部に対して行われるように、針板44及び送り歯を形成することが要求される。
30 作業台
31 生地載置面
32 端縁部
40 インターロックミシン
41 二重環縫いを行う縫い針(作業台側の縫い針)
43 布押さえ
43a 側端部
44 針板
44a 側端部
49 ミシンモータ
50 搬送機構
60 手前クランプ機構
611 クランプ部材
63 昇降機構
65 退避機構
634 エアシリンダ(アクチュエータ)
657 エアシリンダ(アクチュエータ)
70 後クランプ機構
711 クランプ部材
72 定規
73 昇降機構
75 下板
77 下板位置切り替え機構
78 退避機構
734 エアシリンダ(アクチュエータ)
771,772 エアシリンダ(アクチュエータ)
80 開始位置保持機構
90 生地運搬機構
83 エアシリンダ(アクチュエータ)
99 エアシリンダ(アクチュエータ)
C1 カーテン地
C1,C2 カーテン地(生地)
H1,H2 針落ち位置
P1 最前進位置
P2 最後退位置
P3 中間位置
Claims (5)
- 二枚の生地を互いの一端部で直線状の縫い目でつなぎ合わせるための縫製装置であって、
前記つなぎ合わせる端部をその端縁部から突き出した状態で前記二枚の生地が重ねて載置される作業台と、
前記二枚の生地とをつなぎ合わせるために縫いを行う二本針オーバーロックミシン又はインターロックミシンからなるロックミシンと、
前記作業台の端縁部に沿って前記ロックミシンを搬送する搬送機構と、
前記作業台に載置された一枚目の生地の仮押さえを行う後クランプ機構とを備え、
前記後クランプ機構は、前記作業台と同じ高さで前記作業台の端縁部の前側に配置される下板と、前記下板の上方から前記一枚目の生地の突き出された端部を保持するクランプ部材と、前記下板及び前記クランプ部材を前記ロックミシンの搬送領域から退避させる退避機構とを備えることを特徴とする縫製装置。 - 前記退避機構は、前記下板及び前記クランプ部材を上方に退避移動を行い、
前記後クランプ機構は、前記下板を前記作業台の端縁部に対して前後移動させるアクチュエータを備えると共に、前記退避機構の上方退避の際に前記アクチュエータによる前記下板の後退移動を行うことを特徴とする請求項1記載の縫製装置。 - 前記ロックミシンを搭載し搬送するミシン搭載板上で前記ロックミシンに対する搬送方向下流側に隣接して設けられ、前記一枚目の生地の縫い開始側の端部を保持する開始位置保持機構と、
前記作業台の端縁部に隣接し且つ前記開始位置保持機構に対して前記ロックミシンの縫製時の搬送方向下流側に設けられ、前記一枚目の生地の縫い終了側の端部を保持すると共に、前記作業台の端縁部に沿って前記ロックミシンの縫製時の搬送方向下流側に向かって移動して前記一枚目の生地の縫い終了側の端部のみを運搬する生地運搬機構とを備えることを特徴とする請求項1又は2記載の縫製装置。 - 前記後クランプ機構は、前記下板を前記作業台の端縁部に対して前後移動させるアクチュエータにより、前記生地運搬機構が前記作業台の端縁部に沿って移動する際に前記下板を前記作業台から後退移動させて前記生地運搬機構の通過する隙間を形成することを特徴とする請求項3記載の縫製装置。
- 前後クランプ機構は、前記生地の突き出された端部の先端を突き当てる定規と、前記定規を前記作業台の端縁部に対する接離方向に任意に位置決めする位置決め機構とを備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の縫製装置。
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