JP5710265B2 - 網膜変性疾患の治療のための栄養因子 - Google Patents

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Description

本発明は、網膜変性疾患の検出および治療の方法および組成物に関する。特に、本発明は、錐体の変性を防ぐことができるポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸分子、および前記ポリペプチドを認識する抗体に関する。
光受容器は、視覚に関与する、網膜神経細胞の特殊化したサブセットである。光受容器は、網膜の光感受性細胞である杆体および錐体からなる。それぞれの杆体および錐体は、外節と呼ばれる、光伝達機構を収容する特殊化した、精密な繊毛の構造をもつ。杆体は、特異的な光を吸収する視色素であるロドプシンを含有する。ヒトには、3つのクラスの錐体があり、これらは、明確に異なる視色素、すなわち、青錐体、緑錐体および赤錐体の色素の発現によって特徴付けられる。視色素タンパク質のそれぞれの型は、異なる波長の光を最大限に吸収するように調整されている。杆体のロドプシンは、(薄暗い所における)暗所視を媒介し、一方、錐体の色素は、(明るい所における)明所視に関与する。また、赤色、青色および緑色の色素は、ヒトにおける色覚の基礎もなす。杆体および錐体の中の視色素は、光に応答し、出力細胞、すなわち、杆体双極神経細胞中で活動電位を発生させ、次いで、これは、網膜神経節の神経細胞によって中継されて、視覚野において視覚刺激をもたらす。
ヒトにおいては、網膜のいくつかの疾患には、光受容器の進行性の変性、およびその結果として生じる光受容器の死滅が関与し、容赦なく失明に至る。遺伝性の網膜ジストロフィー(例えば、網膜変性疾患)、加齢黄斑変性およびその他の黄斑障害または網膜剥離等による光受容器の変性は全て、光受容器外節の進行性の萎縮および機能喪失によって特徴付けられる。さらに、網膜ジストロフィーを有する患者においては、光受容器の死滅または光受容器の機能喪失の結果、二次の網膜神経細胞(杆体双極細胞および水平細胞)の部分的な分化が生じ、それによって、光受容器が発生させる電気信号の伝播の全体的な効率が減少する。光受容器の変性に続発するグリアおよび色素の上皮が二次的に変化して、血管に変化が生じ、虚血および神経膠症に至る。
光受容器を、細胞の死滅から救出することおよび/または機能不全の(萎縮したもしくはジストロフィーの)光受容器の機能を修復することが可能である栄養因子が、そのような状態を治療するための有用な療法となり得る。例えば、文献WO02081513が、網膜変性疾患の治療のための杆体由来錐体生存因子(Rod−derived Cone Viability Factor)(RdCVF)の使用を記載している。また、チオレドキシン様6(Txnl6)、およびより最近になってヌクレオレドキシン(Nucleoredoxin)様(Nxnl1)と呼ばれるRdCVF遺伝子が、Q8VC33UniProtタンパク質をコードし、これは、チオレドキシンスーパーファミリーに対して限定的な類似性を示し、錐体光受容器に対して栄養活性を発揮する(LEVEILLARDら、Nat.Genet.vol.36(7)、755〜759頁、2004)。
しかし、依然として、網膜変性疾患の治療および診断を強化する錐体の光受容器の栄養因子をコードするさらなる遺伝子を同定する必要がある。
本発明は、配列番号3、4もしくは5に記載するアミノ酸配列を含むポリペプチド、またはその変異体に関し、前記変異体は、配列番号3、4または5に対して、少なくとも80%の同一性を示し、前記ポリペプチドまたは変異体は、錐体救出活性を示す。
また、本発明は、前記ポリペプチドまたは前記その変異体をコードする単離核酸分子にも関する。
また、本発明は、網膜変性疾患の治療にも関する。
クローン0073.09.37(配列番号1)の、錐体に富む培養物中の細胞生存率に対する効果を示すグラフである。このグラフは、3回の完全に独立した実験を合わせたものを示す。
定義:
本明細書で使用する場合、「本発明のポリペプチド」という用語は、配列番号3、4もしくは5に記載するアミノ酸配列を含むポリペプチド、またはその変異体を指し、前記変異体は、配列番号3、4または5に対して、少なくとも80%の同一性を示し、前記ポリペプチドまたは変異体は、錐体救出活性を示す。
本明細書で使用する場合、「本発明の核酸分子」という用語は、本発明のポリペプチドをコードする核酸分子を指す。
本明細書で使用する場合、「対立遺伝子変異体」という用語は、所与の座位に存在するヌクレオチド配列、または当該ヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドを指す。本明細書で使用する場合、「遺伝子」および「組換え遺伝子」という用語は、本発明のポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームを含む核酸分子を指す。
本明細書で使用する場合、「厳密な条件下でハイブリダイズする」という用語は、相互に少なくとも60%(65%、70%、好ましくは75%)同一であるヌクレオチド配列が典型的には、相互にハイブリダイズした状態で留まる、ハイブリダイゼーションおよび洗浄のための条件を説明することを意図する。そのような厳密な条件は、当業者には知られており、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons、N.Y.(1989)、6.3.1〜6.3.6に見い出すことができる。1つの非限定的な例では、厳密なハイブリダイゼーションの条件は、6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)を用いた、約45℃におけるハイブリダイゼーション、それに続く、0.1×SSC、0.2%SDS中、約68℃における1回または複数回の洗浄である。好ましい非限定的な例では、厳密なハイブリダイゼーションの条件は、6×SSC中、約45℃におけるハイブリダイゼーション、それに続く、0.2×SSC、0.1%SDS中、50〜65℃における1回または複数回の洗浄(すなわち、50℃、55℃、60℃または65℃における1回または複数回の洗浄)である。好ましくは、配列番号1、配列番号2の配列、またはそれらの相補体に厳密な条件下でハイブリダイズする、本発明の単離核酸分子は、天然に存在する核酸分子に対応する。
本明細書で使用する場合、「天然に存在する」核酸分子は、天然に存在するヌクレオチド配列を有する(例えば、天然のタンパク質をコードする)RNA分子またはDNA分子を指す。
「精製した」および「単離した」によって、ポリペプチドまたはヌクレオチド配列を指す場合には、指し示す分子が、その他の同一の型の生物学的巨大分子の実質的な非存在下において存在することを意味する。本明細書で使用する場合、「精製」という用語は好ましくは、少なくとも75重量%、より好ましくは、少なくとも85重量%、さらに好ましくは、少なくとも95重量%、最も好ましくは、少なくとも98重量%の、同一の型の生物学的巨大分子が存在することを意味する。特定のポリペプチドをコードする「単離」核酸分子は、対象のポリペプチドをコードしないその他の核酸分子を実質的に含有しない核酸分子を指す。しかし、この分子は、組成物の基本的な特徴に有害な影響を及ぼすことはない、いくつかの追加の塩基または部分を含むことができる。
2つのアミノ酸配列または核酸配列が、80%超、好ましくは85%超、好ましくは90%超で同一であるか、または約90%超、好ましくは95%超で類似する(機能的に同一である)場合に、それらのアミノ酸配列または核酸配列は、「実質的に相同である」かまたは「実質的に類似する」。2つのアミノ酸配列または2つの核酸の同一性の割合を決定するためには、それらの配列を、最適な比較のために整列させる(例えば、ギャップを第1のアミノ酸または核酸配列の中に導入して、第2のアミノ酸または核酸配列と最適に整列させることができる)。次いで、対応するアミノ酸の位置またはヌクレオチドの位置におけるアミノ酸残基またはヌクレオチドを比較する。第1の配列中のある位置が、第2の配列中の対応する位置と同じアミノ酸残基またはヌクレオチドによって占有されている場合には、これらの分子は、その位置において同一である。2つの配列間の同一性の割合は、これらの配列が共有する同一位置の数の関数である。1つの実施形態では、2つの配列は、同じ長さである。2つの配列間の同一性の割合の決定は、数学的アルゴリズムを使用して達成することができる。好ましくは、類似配列または相同配列を、例えば、GCG(Genetics Computer Group、Program Manual for the GCG Package、7版、Madison,Wisconsin)パイルアッププログラム(pileup program)、またはBLAST、FASTA等の配列比較アルゴリズムのうちのいずれかを使用する配列比較によって同定する。
「抗体」および「免疫グロブリン」という用語は、同じ意味を有し、本発明では区別なく使用する。抗体は、免疫グロブリン分子、および免疫グロブリン分子の免疫学的活性部分、すなわち、抗原に免疫特異的に結合する抗原結合部位を含有する分子を指す。したがって、抗体という用語は、全抗体分子のみならず、また、抗体断片、ならびに抗体および抗体断片の変異体(誘導体を含む)も包含する。天然の抗体中では、2本の重鎖が相互にジスルフィド結合によって連結しており、各重鎖は、ジスルフィド結合によって軽鎖に連結している。2つの型の軽鎖、すなわち、ラムダ(λ)およびカッパ(κ)がある。抗体分子の機能活性を決定する5つの主要な重鎖のクラス(またはアイソタイプ)、すなわち、IgM、IgD、IgG、IgAおよびIgEがある。各鎖は、明確に異なる配列のドメインを含有する。軽鎖は、2つのドメイン、すなわち、可変ドメイン(VL)および定常ドメイン(CL)を含む。重鎖は、4つのドメイン、すなわち、可変ドメイン(VH)および3つの定常ドメイン(CH1、CH2およびCH3、集合的にCHと呼ばれる)を含む。軽鎖(VL)および重鎖(VH)の両方の可変領域が、抗原に対する結合認識および特異性を決定する。軽鎖(CL)および重鎖(CH)の定常領域ドメインが、抗体鎖の結合、分泌、胎盤を通過する移動、補体結合およびFc受容体(FcR)への結合等の重要な生物学的特性を付与する。Fv断片は、免疫グロブリンのFab断片のN末端部分であり、1本の軽鎖の可変部分と1本の重鎖の可変部分とからなる。抗体の特異性は、抗体の結合部位と抗原決定基との間の構造的な相補性から生じる。抗体の結合部位は、主として超可変領域または相補性決定領域(CDR)に由来する残基から構成されている。時に、非超可変領域またはフレームワーク領域(FR)からの残基が、全体的なドメイン構造、したがって、結合部位に影響する。相補性決定領域(CDR)は、未変性免疫グロブリンの結合部位の天然のFv領域の結合親和性および特異性を一緒になって定義するアミノ酸配列を指す。免疫グロブリンの軽鎖および重鎖のそれぞれが、3つのCDRを有し、これらはそれぞれ、L−CDR1、L−CDR2、L−CDR3、およびH−CDR1、H−CDR2、H−CDR3と呼ばれる。したがって、抗原結合部位は、重鎖V領域および軽鎖V領域のうちのそれぞれからのCDRのセットを含む6つのCDRを含む。フレームワーク領域(FR)は、Kabatら(Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health、Bethesda,Md.、1991)によって定義されるように、CDR間に介在するアミノ酸配列、すなわち、単一の種の異なる免疫グロブリンの間で比較的保存されている免疫グロブリンの軽鎖可変領域および重鎖可変領域の部分を指す。本明細書で使用する場合、「ヒトのフレームワーク領域」は、天然に存在するヒト抗体のフレームワーク領域に対して実質的に(約85%以上、特に、90%、95%または100%の)同一性を示すフレームワーク領域である。
本明細書で使用する場合、「モノクローナル抗体」または「mAb」という用語は、特定の抗原に対して作られ、B細胞またはハイブリドーマの単一のクローンによって産生される単一アミノ酸組成の抗体分子を指す。
「キメラ抗体」という用語は、別の抗体、特に、ヒト抗体のCHドメインおよびCLドメインと結合している、非ヒト動物に由来する抗体のVHドメインおよびVLドメインを含む操作された抗体を指す。非ヒト動物として、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ等の任意の動物を使用することができる。
「ヒト化抗体」という用語は、フレームワーク領域または「相補性決定領域」(CDR)が、改変されて、親の免疫グロブリンのCDRと比較した場合、異なる特異性の、ドナーの免疫グロブリンからのCDRを含んでいる抗体を指す。好ましい実施形態では、マウスCDRを、ヒト抗体のフレームワーク領域内にグラフトして、「ヒト化抗体」を調製する。
「抗体断片」は、完全なままの抗体の一部、好ましくは、完全なままの抗体の抗原結合領域または可変領域を含む。抗体断片の例として、Fv、Fab、F(ab’)、Fab’、dsFv、scFv、sc(Fv)、抗体断片から形成されたダイアボディおよび多特異的抗体が挙げられる。
本明細書で使用する場合、「キメラタンパク質」または「融合タンパク質」は、異種のポリペプチド(すなわち、本発明と同じポリペプチド以外のポリペプチド)に動作可能に連結している本発明のポリペプチドの(好ましくは、生物学的に活性な)全部または一部を含む。融合タンパク質内部で、「動作可能に連結している」という用語は、本発明のポリペプチドと異種のポリペプチドとがインフレームで相互に融合していることを示すことを意図する。異種のポリペプチドを、本発明のポリペプチドのN末端またはC末端に融合させることができる。
本発明の文脈においては、「治療する」または「治療」という用語は、本明細書で使用する場合、そのような用語を適用する障害もしくは状態、またはそのような障害もしくは状態(例えば、網膜変性疾患)の1つもしくは複数の症状を、逆転させる、軽減する、その進行を阻害する、またはそれを予防することを意味する。
「網膜変性疾患」という用語は、錐体の変性に関連する全ての疾患を包含する。網膜変性疾患は、これらに限定されないが、網膜色素変性症、加齢黄斑変性、バルデ−ビードル症候群、バッセン−コーンツヴァイク症候群、ベスト病、脈絡膜欠如、脳回転状萎縮、レーバー先天黒内障、レフサム病、シュタルガルト病またはアッシャー症候群が挙げられる。
本発明によれば、「患者」または「それを必要とする患者」という用語は、網膜変性疾患を発症しているまたは発症する可能性が高いヒトまたは非ヒト哺乳動物を意図する。
「生物学的試料」という用語は、患者に由来する任意の生物学的試料を意味する。そのような試料の例として、体液、組織、細胞試料、臓器、生検等が挙げられる。好ましい生物学的試料は、全血、血清または血漿である。
本発明のポリペプチド:
本発明の1つの態様は、配列番号3、4もしくは5に記載するアミノ酸配列を含むポリペプチド、またはその変異体に関し、前記変異体は、配列番号3、4または5に対して、少なくとも80%の同一性を示し、前記ポリペプチドまたは変異体は、錐体救出活性を示す。
典型的には、ポリペプチドの錐体救出活性を示す能力を判定するためには、当業者は、判定しようとするポリペプチドを発現している細胞由来の馴化培地と共に錐体細胞をインキュベートすることができ、それに続いて、生存している錐体細胞の数を評価する。
典型的には、前記ポリペプチドは、配列番号3、配列番号4または配列番号5のアミノ酸配列からなり得る。
典型的には、前記本発明による変異体は、配列番号3、4または5に対して、少なくとも85%の同一性、好ましくは90もしくは95%、または99%の同一性を示す。
典型的には、本発明のポリペプチドは、800個未満のアミノ酸を有してよく、例えば、本発明によるポリペプチドは、700、600、500、400、300、200、100または80個未満のアミノ酸を有してよい。
1つの実施形態では、未変性のポリペプチドを、細胞または組織の供給源から、標準的なタンパク質精製の技法を使用する適切な精製スキームによって単離することができる。別の実施形態では、本発明のポリペプチドを、組換えDNAの技法によって産生させる。組換え発現の代わりに、本発明のポリペプチドを、標準的なペプチド合成の技法を使用して化学的に合成することもできる。
また、本発明は、キメラタンパク質または融合タンパク質も提供する。1つの有用な融合タンパク質は、本発明のポリペプチドがGST配列のC末端に融合している、GST融合タンパク質である。そのような融合タンパク質は、本発明の組換えポリペプチドの精製を促進することができる。
別の実施形態では、融合タンパク質が、異種のシグナル配列を、そのN−末端に含有する。例えば、本発明のポリペプチドの元のシグナル配列を除去し、別のタンパク質由来のシグナル配列で置換することができる。例えば、バキュロウイルス外被タンパク質のgp67の分泌配列を、異種のシグナル配列として使用することができる(Current Protocols in Molecular Biology、Ausubelら編、John Wiley & Sons、1992)。真核生物の異種のシグナル配列のその他の例として、メリチンの分泌配列およびヒト胎盤アルカリホスファターゼの分泌配列(Stratagene;La Jolla,Calif.)が挙げられる。さらに別の例では、有用な原核生物の異種のシグナル配列として、phoA分泌シグナル(Sambrookら、上記)およびプロテインA分泌シグナル(Pharmacia Biotech;Piscataway,N.J.)が挙げられる。
本発明のキメラタンパク質および融合タンパク質は、標準的な組換えDNAの技法によって産生させることができる。別の実施形態では、融合遺伝子を、自動化DNA合成機を含めた、従来の技法によって合成することができる。あるいは、遺伝子断片のPCR増幅を、アンカープライマーを使用して実施することもでき、これは、2つの連続した遺伝子断片間に相補的なオーバーハングを生じさせ、それに続いて、これらをアニールし、再度増幅して、キメラの遺伝子配列を生成することができる(例えば、Ausubelら、上記を参照されたい)。さらに、融合部分(例えば、GSTポリペプチド)をすでにコードしている多くの発現ベクターも、商業的に入手可能である。融合部分が本発明のポリペプチドにインフレームで連結するように、本発明のポリペプチドをコードする核酸を、そのような発現ベクター内にクローニングすることができる。
シグナル配列を使用して、目的の分泌タンパク質またはその他のタンパク質の分泌および単離を促進することができる。シグナル配列は典型的には、1つまたは複数の切断事象における分泌の間に、成熟タンパク質から通常切断される疎水性アミノ酸のコアによって特徴付けられる。そのようなシグナルペプチドは、成熟タンパク質が分泌経路を通過する際に、それらからのシグナル配列の切断を可能にするプロセシング部位を含有する。したがって、本発明は、シグナル配列を有する記載のポリペプチド、ならびにシグナル配列自体およびシグナル配列が存在しないポリペプチド(すなわち、切断産物)に関する。1つの実施形態では、本発明のシグナル配列をコードする核酸配列を、発現ベクター中で、目的のタンパク質、例として、通常であれば分泌されない、または別の場合として単離が困難であるタンパク質に動作可能に連結することができる。シグナル配列は、中に発現ベクターが形質転換されている真核生物の宿主等からのタンパク質の直接的な分泌を指揮し、シグナル配列は、続いてまたは同時に切断される。次いで、このタンパク質は、細胞外の培地から当技術分野で認識されている方法によって容易に精製することができる。あるいは、シグナル配列を、目的のタンパク質に、精製を促進する配列、例えばGSTドメインを使用して連結することもできる。
典型的には、本発明による変異体は、変異誘発、例えば、個別の点突然変異またはトランケーションによって生成することができる。
本発明のポリペプチドは、これらに限定されないが、グリコシル化(例えば、N連結型またはO連結型のグリコシル化)、ミリスチル化、パルミチル化、アセチル化およびリン酸化を含めた、翻訳後修飾を示すことができる(例えば、セリン/スレオニンまたはチロシン)。
本発明のポリペプチドは、本来当技術分野で知られている任意の技法、例として、これらに限定されないが、単独または組合せのいずれかでの、任意の化学的、生物学的、遺伝子的または酵素的な技法によって産生させることができる。
所望の配列のアミノ酸配列が分かっていれば、当業者であれば、前記ポリペプチドを、ポリペプチドの産生のための標準的な技法によって容易に産生することができる。例えば、これらを、周知の固相法を使用して、好ましくは、商業的に入手可能なペプチド合成装置(例として、Applied Biosystems、Foster City、Californiaによって作製されたもの)を使用し、製造元の指示に従って合成することができる。
あるいは、本発明のポリペプチドは、当技術分野では今では周知となっている組換えDNAの技法によって合成する。例えば、所望の(ポリ)ペプチドをコードするDNA配列を発現ベクター中に組み込み、そのようなベクターを、所望のポリペプチドを発現する適切な真核生物または原核生物の宿主中に導入して、これらの断片をDNA発現産物として得ることができ、後に、それらの宿主から、所望のペプチドを、周知の技法を使用して単離することができる。
本発明のポリペプチドを、単離した(例えば、精製した)形態として使用しても、または膜小胞または脂質小胞(例えば、リポソーム)として等、ベクター中に含有させてもよい。
本発明の核酸分子:
本発明の1つの態様は、本発明のポリペプチドをコードする単離核酸分子、ならびに本発明のポリペプチドをコードする核酸分子を同定するためのハイブリダイゼーションのプローブとして使用するのに十分な核酸分子、および核酸分子の増幅または突然変異のためのPCRプライマーとして使用するために適しているそのような核酸分子の断片に関する。
特定の実施形態では、本発明は、配列番号1または配列番号2に記載するヌクレオチド配列を有する単離核酸分子に関する。
本発明の核酸分子は、標準的な分子生物学の技法および本明細書に提供する配列情報を使用して単離することができる。本発明の核酸配列の全部または一部を、ハイブリダイゼーションのプローブとして使用し、本発明の核酸分子を、標準的なハイブリダイゼーションおよびクローニングの技法を使用して、(例えば、Sambrookら編、MolecularCloning:A Laboratory Manual、2版、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor,NY、1989の記載に従って)単離することができる。
本発明の核酸分子は、標準に従って、鋳型としてのcDNA、mRNAまたはゲノムDNA、および適切なオリゴヌクレオチドプライマーを使用して増幅することができる。
そのようにして増幅した核酸を、適切なベクター内にクローニングすること、およびDNA配列分析によって特徴付けることができる。さらに、本発明の核酸分子の全部または一部に対応するオリゴヌクレオチドを、標準的な合成の技法によって、例えば、自動化DNA合成機を使用して調製することができる。
別の好ましい実施形態では、本発明の単離核酸分子は、配列番号1または配列番号2のヌクレオチド配列の相補体である核酸分子を含む。所与のヌクレオチド配列に対して相補的である核酸分子は、所与のヌクレオチド配列にハイブリダイズし、それによって、安定な二本鎖を形成することができる程に所与のヌクレオチド配列に対して十分に相補的である核酸分子である。
さらに、本発明の核酸分子は、本発明のポリペプチドをコードする核酸配列の一部のみ、例えば、プローブもしくはプライマーとして使用することができる断片または本発明のポリペプチドの生物学的活性部分をコードする断片を含むことができる。1つの遺伝子のクローニングから決定されたヌクレオチド配列によって、例えば、その他の組織由来のその他の細胞型中の相同体、およびその他の哺乳動物由来の相同体の同定および/またはクローニングにおいて使用するために設計されるプローブおよびプライマーの生成が可能になる。こうしたプローブ/プライマーは典型的には、実質的に精製したオリゴヌクレオチドを含む。
1つの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、厳密な条件下で、配列番号1または配列番号2のセンス配列またはアンチセンス配列の少なくとも約12個、好ましくは、約25個、より好ましくは、約50、75、100、125、150、175、200、250、300、350または400個の連続したヌクレオチドとハイブリダイズするヌクレオチド配列領域を含む。
本発明の核酸分子の配列に基づいたプローブを使用して、転写物、または選択された核酸分子によってコードされるものと同じタンパク質分子をコードするゲノム配列を検出することができる。プローブは、それにつながっている標識基、例えば、放射性同位体、蛍光化合物、酵素または酵素の補助因子を含む。対象由来の細胞試料中のタンパク質をコードする核酸分子のレベルを測定する、例えば、mRNAレベルを検出することによってか、またはタンパク質をコードする遺伝子が突然変異もしくは欠失しているかどうかを決定することによって等、当該タンパク質を発現している細胞もしくは組織または当該タンパク質を発現していない細胞もしくは組織を同定するための診断試験キットの一部として、そのようなプローブを使用することができる。
本発明は、配列番号1、配列番号2のヌクレオチド配列とは、遺伝子コードの縮重によって異なり、こうして配列番号1、配列番号2のヌクレオチド配列によってコードされるものと同じタンパク質をコードする核酸分子もさらに包含する。
配列番号1または配列番号2のヌクレオチド配列に加えて、当業者であれば、アミノ酸配列の変化に至るDNA配列の多型が、集団(例えば、ヒト集団)内に存在する場合があることを理解するであろう。そのような遺伝子多型は、集団内の個体間に天然の対立遺伝子変異によって存在する場合がある。対立遺伝子は、所与の遺伝子座位において、二者択一的に存在する一群の遺伝子のうちの1つである。そのような天然の対立遺伝子変異は典型的には、所与の遺伝子のヌクレオチド配列において1〜5%の相違をもたらす場合がある。代わりの対立遺伝子を、いくつかの異なる個体の目的の遺伝子を配列決定することによって同定することができる。これは、ハイブリダイゼーションのプローブを使用して、多様な個体中の同じ遺伝子座位を同定することによって容易に実施することができる。ありとあらゆるそのようなヌクレオチド変異、および天然の対立遺伝子変異の結果であり、機能活性は変化させない、結果的に得られるアミノ酸の多型または変異も、本発明の範囲に属することを意図する。
1つの実施形態では、網膜変性疾患に関連する多型をマーカーとして使用して、前記疾患または障害を診断する。
さらに、その他の種由来の、本発明のタンパク質をコードする核酸分子(相同体)も、本発明の範囲に属することを意図し、これは、本明細書に記載するラットタンパク質由来のヌクレオチド配列とは異なるヌクレオチド配列を有する。
天然の対立遺伝子変異体に対応する核酸分子および本発明のcDNAの相同体を、本明細書に開示するヒト核酸分子に対するそれらの同一性に基づいて、ヒトcDNAまたはその一部をハイブリダイゼーションのプローブとして使用して、標準的なハイブリダイゼーションの技法に従って厳密なハイブリダイゼーション条件下で単離することができる。
したがって、別の実施形態では、本発明の単離核酸分子は、少なくとも100、200、300、400または500個の近接するヌクレオチドの長さであり、厳密な条件下で配列番号1もしくは配列番号2のヌクレオチド配列、好ましくはコード配列、またはその相補体を含む核酸分子にハイブリダイズする。
集団内に存在する場合がある本発明の配列の核酸分子の天然に存在する対立遺伝子変異体に加えて、当業者であれば、変化を突然変異によって導入し、それによって、タンパク質の生物学的活性を変化させることなく、コードされるタンパク質のアミノ酸配列を変化させることができることもさらに理解するであろう。例えば、ヌクレオチドの置換を行って、アミノ酸の置換を「非必須」のアミノ酸残基において生じさせることができる。「非必須」のアミノ酸残基は、生物学的活性を変化させることなく、野生型の配列から変化させることができる残基であり、一方、「必須」のアミノ酸残基は、生物学的活性のために必要である。例えば、種々の種の相同体間で保存されていないまたは半ばしか保存されていないアミノ酸残基は、活性のために非必須である場合があり、したがって、変化のための有望な標的となろう。あるいは、種々の種(例えば、マウスとヒト)の相同体間で保存されているアミノ酸残基は、活性のために必須である場合があり、したがって、変化のための有望な標的ではないであろう。
突然変異を、部位特異的変異誘発およびPCR媒介変異誘発等の標準的な技法によって導入することができる。好ましくは、保存的アミノ酸置換を1つまたは複数の予測される非必須のアミノ酸残基において行う。
「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置換される置換である。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーが、当技術分野では定義されている。これらのファミリーは、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、極性無電荷側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ−分枝側鎖を有するアミノ酸(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)、および芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含む。あるいは、突然変異を、全部または一部のコード配列に沿って、飽和変異誘発(saturation mutagenesis)によって等、無作為に導入することもでき、その結果得られた突然変異体を生物学的活性についてスクリーニングして、活性を保持する突然変異体を同定することもできる。
変異誘発に続いて、コードされるタンパク質を組換えによって発現させることができ、そのタンパク質の活性を決定することができる。
好ましい実施形態では、本発明の変異体である突然変異ポリペプチドを、錐体救出活性を示すその能力についてアッセイすることができる。
本発明は、アンチセンス核酸分子、すなわち、本発明のポリペプチドをコードするセンス核酸に対して相補性を示す、例えば、二重鎖cDNA分子のコード鎖に対して相補性を示すまたはmRNA配列に対して相補性を示す分子を包含する。アンチセンス核酸は、全コード鎖またはその一部のみ、例えば、タンパク質コード領域(またはオープンリーディングフレーム)の全部または一部に対して相補性を示す場合がある。アンチセンス核酸分子は、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列のコード鎖の非コード領域の全部または一部に対してアンチセンスであってよい。非コード領域(「5’および3’の非翻訳領域」)は、コード領域に隣接し、アミノ酸に翻訳されない5’および3’の配列である。
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45または50ヌクレオチド長以上であってよい。本発明のアンチセンス核酸は、化学合成および酵素によるライゲーション反応を使用し、当技術分野で知られている手順を使用して構築することができる。例えば、アンチセンス核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)を、天然に存在するヌクレオチドもしくは分子の生物学的安定性を増加させるためまたはアンチセンス核酸とセンス核酸との間で形成される二本鎖の物理的安定性を増加させるために設計された種々の改変ヌクレオチドを使用して化学的に合成することができ、例えば、ホスホロチオエート誘導体およびアクリジン置換ヌクレオチドを使用することができる。アンチセンス核酸を生成するために使用することができる改変ヌクレオチドの例として、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、ベータ−D−ガラクトシルキューオシン、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、ベータ−D−マンノシルキューオシン、5’−メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン(wybutoxosine)、シュードウラシル、キューオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5−メチル−2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w、および2,6−ジアミノプリンが挙げられる。あるいは、アンチセンス核酸は、中に核酸がアンチセンス方向に(すなわち、以下のサブセクションでさらに説明するが、挿入した核酸から転写されるRNAが目的の標的核酸に対してアンチセンス方向である)サブクローニングされている発現ベクターを使用して生物学的に産生することもできる。
組換え発現ベクターおよび宿主細胞:
本発明の別の態様は、本発明のポリペプチド(またはその一部)をコードする核酸を含有するベクター、好ましくは発現ベクターに関する。
本明細書で使用する場合、「ベクター」という用語は、連結されている別の核酸を運ぶことが可能である核酸分子を指す。1つの型のベクターが、「プラスミド」であり、これは、中に追加のDNAセグメントをライゲーションすることができる環状の二本鎖DNAのループを指す。別の型のベクターは、ウイルスベクターであり、追加のDNAセグメントを、ウイルスゲノム中にライゲーションすることができる。特定のベクターは、それらが導入されている宿主細胞中で自律的に複製することが可能である(例えば、細菌の複製開始点を有する細菌ベクターおよびエピソーム哺乳動物ベクター)。その他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞内へ導入すると、宿主細胞のゲノム内に組み込まれ、それによって、宿主ゲノムと一緒に複製される。さらに、特定のベクター、発現ベクターは、それらが動作可能に連結している遺伝子の発現を指揮することが可能である。一般に,組換えDNAの技法において有用な発現ベクターはしばしば、プラスミド(ベクター)の形態をとる。しかし、本発明は、ウイルスベクター(例えば、複製不完全レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス)等のその他の形態の発現ベクターを含むことを意図し、これらは、同等の機能を果たす。
本発明の組換え発現ベクターは、本発明の核酸を、宿主細胞中での核酸の発現のために適した形態で含む。このことは、組換え発現ベクターが、発現のために使用しようとする宿主細胞に基づいて選択される1つまたは複数の調節配列を含むことを意味し、こうした調節配列は、発現させようとする核酸配列に動作可能に連結している。組換え発現ベクター内部で、「動作可能に連結している」は、目的のヌクレオチド配列が(1つまたは複数の)調節配列に、(例えば、in vitro転写/翻訳系中かまたはベクターが宿主細胞内に導入されている場合には宿主細胞中での)ヌクレオチド配列の発現を可能にする様式で連結されていることを意味することを意図する。
「調節配列」という用語は、プロモーター、エンハンサーおよびその他の発現調節エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むことを意図する。そのような調節配列が、例えば、Goeddel、Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185、Academic Press、San Diego,Calif.(1990)に記載されている。調節配列は、多くの型の宿主細胞においてヌクレオチド配列の構成的発現を指揮するもの、および特定の宿主細胞においてのみヌクレオチド配列の発現を指揮するもの(例えば、組織特異的調節配列)を含む。当業者であれば、発現ベクターの設計は、形質転換しようとする宿主細胞の選択、所望するタンパク質発現レベル等の要因に依存し得ることを理解するであろう。本発明の発現ベクターを、宿主細胞内に導入し、それによって、本明細書に記載する核酸によってコードされる、融合タンパク質または融合ペプチドを含めた、タンパク質またはペプチドを産生させることができる。
本発明の組換え発現ベクターを、原核細胞(例えば、大腸菌)または真核細胞(例えば、(バキュロウイルス発現ベクターを使用する)昆虫細胞)、酵母細胞もしくは哺乳動物細胞)中での本発明のポリペプチドの発現のために設計することができる。適切な宿主細胞については、Goeddel、上記でさらに論じられている。あるいは、組換え発現ベクターを、in vitroにおいて、例えば、T7プロモーター調節配列およびT7ポリメラーゼを使用して転写および翻訳することもできる。
原核生物中でのタンパク質の発現は最も頻繁には、大腸菌中で、融合タンパク質または非融合タンパク質のいずれかの発現を指揮する構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターを含有するベクターを用いて実施される。融合ベクターは、いくつかのアミノ酸を、本明細書においてコードされるタンパク質、通常は組換えタンパク質のアミノ末端に付加する。そのような融合ベクターは典型的には、3つの目的、すなわち、1)組換えタンパク質の発現を増加させる目的;2)組換えタンパク質の溶解性を増加させる目的;および3)親和性による精製におけるリガンドとして作用することによって、組換えタンパク質の精製を補助する目的を果たす。しばしば、融合発現ベクターにおいては、タンパク質分解性切断部位を、融合部分と組換えタンパク質との接点に導入して、融合タンパク質の精製に続く、融合部分からの組換えタンパク質の分離を可能にする。そのような酵素、およびそれらの同族認識配列には、第Xa因子、トロンビンおよびエンテロキナーゼがある。典型的な融合発現ベクターとして、pGEX(Pharmacia Biotech Inc;Smith and Johnson(1988)Gene 67:31〜40)、pMAL(New England Biolabs、Beverly,Mass.)、およびpRIT5(Pharmacia、Piscataway,N.J.)が挙げられ、それぞれ、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合タンパク質、またはプロテインAを標的の組換えタンパク質に融合させる。
適切な誘導性の非融合、大腸菌発現ベクターの例として、pTrc(Amannら、(1988)Gene 69:301〜315)およびpET11d(Studierら、Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185、Academic Press、San Diego,Calif.(1990)60〜89)が挙げられる。pTrcベクターからの標的遺伝子の発現は、宿主のRNAポリメラーゼによるハイブリッドtrp−lac融合プロモーターからの転写を利用する。pET ldベクターからの標的遺伝子の発現は、同時発現されるウイルスRNAポリメラーゼ(T7gnl)によって媒介されるT7gnl0−lac融合プロモーターからの転写を利用する。このウイルスポリメラーゼは、宿主株のBL21(DE3)またはHMS174(DE3)によって、lacUV5プロモーターの転写制御下にあるT7gnl遺伝子を内部にもつ常在性プロファージから供給される。
大腸菌中での組換えタンパク質の発現を最大化するための1つの戦略が、組換えタンパク質のタンパク質分解性の切断能力が損なわれている宿主細菌中でタンパク質を発現させることである(Gottesman、Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185、Academic Press、San Diego,Calif.(1990)119〜128)。別の戦略は、発現ベクター内に挿入しようとする核酸の核酸配列を、各アミノ酸についての個々のコドンが大腸菌中で優先的に活用されるものに変えることである(Wadaら(1992)Nucleic Acids Res.20:2111〜2118)。本発明の核酸配列のそのような変更は、標準的なDNA合成の技法によって実施することができる。
別の実施形態では、発現ベクターは、酵母発現ベクターである。酵母、出芽酵母(S.cervisae)中での発現のためのベクターの例として、pYepSecl(Baldariら(1987)EMBO J.6:229〜234)、pMFa(KurjanおよびHerskowitz、(1982)Cell 30:933〜943)、pJRY88(Schultzら(1987)Gene 54:113〜123)、pYES2(Invitrogen Corporation、San Diego,Calif.)ならびにpPicZ(Invitrogen Corp、San Diego,Calif.)が挙げられる。
あるいは、発現ベクターは、バキュロウイルス発現ベクターである。培養昆虫細胞(例えば、Sf9細胞)中でのタンパク質発現のために利用可能であるバキュロウイルスベクターには、pAcシリーズ(Smithら(1983)Mol.Cell Biol.3:2156〜2165)およびpVLシリーズ(LucklowおよびSummers(1989)Virology 170:31〜39)がある。
さらに別の実施形態では、本発明の核酸を、哺乳動物細胞中で哺乳動物発現ベクターを使用して発現させる。哺乳動物発現ベクターの例として、pCDM8(Seed(1987)Nature 329:840)およびpMT2PC(Kaufmanら(1987)EMBO J.6:187〜195)が挙げられる。哺乳動物細胞中で使用する場合、発現ベクターの制御機能はしばしば、ウイルスの調節エレメントによってもたらされる。例えば、通常使用されるプロモーターは、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルスおよびサルウイルス40に由来する。原核細胞および真核細胞の両方のためのその他の適切な発現系については、Sambrookら、上記の16章および17章を参照されたい。
別の実施形態では、組換え哺乳動物発現ベクターは、核酸の発現を特定の細胞型において優先的に指揮することが可能である(例えば、組織特異的な調節エレメントを使用して、核酸を発現させる)。組織特異的な調節エレメントは、当技術分野で知られている。適切な組織特異的プロモーターの非限定的な例として、アルブミンプロモーター(肝臓特異的;Pinkertら(1987)Genes Dev.1:268〜277)、リンパ系に特異的なプロモーター(CalameおよびEaton(1988)Adv.Immunol.43:235〜275)、特に、T細胞受容体のプロモーター(WinotoおよびBaltimore(1989)EMBO J.8:729〜733)および免疫グロブリンのプロモーター(Banerjiら(1983)Cell 33:729〜740;QueenおよびBaltimore(1983)Cell 33:741−748)、神経細胞に特異的なプロモーター(例えば、神経細繊維プロモーター;ByrneおよびRuddle(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:5473〜5477)、膵臓に特異的なプロモーター(Edlundら(1985)Science 230:912〜916)、ならびに乳腺に特異的なプロモーター(例えば、乳清プロモーター;米国特許第4,873,316号および欧州出願公開第264,166号)が挙げられる。また、発生調節性プロモーター、例えば、マウスhoxプロモーター(KesselおよびGruss(1990)Science 249:374〜379)およびベータ−胎児タンパク質プロモーター(CampesおよびTilghman(1989)Genes Dev.3:537〜546)も包含される。
本発明は、発現ベクター内にアンチセンス方向にクローニングされた本発明のDNA分子を含む組換え発現ベクターもさらに提供する。すなわち、本発明のポリペプチドをコードするmRNAに対してアンチセンスであるRNA分子の発現を(DNA分子の転写によって)可能にする様式で、DNA分子が調節配列に動作可能に連結している。多様な細胞型中でアンチセンスRNA分子を連続的に発現させることを指揮する、アンチセンス方向にクローニングされた核酸に動作可能に連結される調節配列、例えば、ウイルスプロモーターおよび/もしくはエンハンサーを選んでもよく、またはアンチセンスRNAの構成的かつ組織特異的もしくは細胞型特異的な発現を指揮する調節配列を選んでもよい。アンチセンス発現ベクターは、アンチセンス核酸が高効率調節領域の制御下で産生される組換えのプラスミド、ファージミドまたは弱毒化ウイルスの形態をとることができ、それらの活性は、中にベクターが導入される細胞型によって決定することができる。アンチセンス遺伝子を使用する遺伝子の発現調節の論述については、Weintraubら(Reviews−Trends in Genetics、Vol.1(1)1986)を参照されたい。
本発明の別の態様は、中に本発明の組換え発現ベクターが導入されている宿主細胞に関する。
「宿主細胞」および「組換え宿主細胞」という用語は、本明細書では互換的に使用する。そのような用語は、特定の対象の細胞のみならず、そのような細胞の子孫または潜在的な子孫も指すことを理解されたい。特定の改変が後代に突然変異または環境的な影響のいずれかによって発生する場合があることから、そのような子孫は実際には、親細胞と同一でない場合があるが、それでも、本明細書で使用する場合には、この用語の範囲内に含まれる。
宿主細胞は、任意の原核細胞(例えば、大腸菌)であっても、または真核細胞(例えば、昆虫細胞、酵母細胞または哺乳動物細胞)であってもよい。
ベクターDNAを、原核細胞または真核細胞内に従来の形質転換またはトランスフェクションの技法によって導入することができる。本明細書で使用する場合、「形質転換」および「トランスフェクション」という用語は、外来核酸を宿主細胞内に導入するための、リン酸カルシウムもしくは塩化カルシウムによる共沈、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、リポフェクションまたはエレクトロポレーションを含めた、多様な、当技術分野で認識されている技法を指すことを意図する。宿主細胞を形質転換またはトランスフェクトするための適切な方法を、Sambrookら(上記)およびその他の実験室マニュアルに見い出すことができる。
哺乳動物細胞の安定なトランスフェクションのためには、使用する発現ベクターおよびトランスフェクションの技法にもよるが、ごく一部の細胞のみが、外来DNAをそれらのゲノム内に組み込むことができることが知られている。これらの組込体を同定および選択するためには、(例えば、抗生物質に対する耐性についての)選択マーカーをコードする遺伝子が一般に、宿主細胞内に目的の遺伝子と一緒に導入される。好ましい選択マーカーには、G418、ハイグロマイシンおよびメトトレキサート等の薬物に対する耐性を付与するものがある。導入核酸が安定にトランスフェクトされている細胞を、薬物による選択によって同定することができる(例えば、選択マーカー遺伝子を組み込んでいる細胞は生存し、一方、その他の細胞は死滅する)。
別の実施形態では、細胞、細胞系または微生物の内部の内在性遺伝子の発現の特徴を、対象とする内在性遺伝子にとっては異種のDNA調節エレメントを細胞、安定な細胞系またはクローニングされた微生物のゲノム内に挿入することによって改変することができ、その結果、挿入された調節エレメントは、内在性遺伝子と動作可能なように連結され、制御、調節または活性化を行う。例えば、通常「転写的にサイレント」である内在性遺伝子、すなわち、細胞系または微生物中で、通常であれば発現しないまたは非常に低いレベルでしか発現しない遺伝子を、その細胞系または微生物中で通常発現する遺伝子産物の発現を促すことが可能である調節エレメントを挿入することによって活性化することができる。あるいは、転写的にサイレントな内在性遺伝子を、細胞型を越えて働く広宿主域の調節エレメントを挿入することによって活性化することもできる。
異種の調節エレメントを、安定な細胞系またはクローニングされた微生物内に、標的相同組換え(targeted homologous recombination)等の技法を使用して挿入することができ、その結果、この調節エレメントは、内在性遺伝子と動作可能なように連結され、内在性遺伝子の発現を活性化する。これらの技法は、当業者にはよく知られており、例えば、Chappel、米国特許第5,272,071号;1991年5月16日公開のPCT公開第WO91/06667号に記載されている。
培養物中の原核生物または真核生物の宿主細胞等、本発明の宿主細胞を使用して、本発明のポリペプチドを産生することができる。したがって、本発明は、本発明のポリペプチドを、本発明の宿主細胞を使用して産生するための方法もさらに提供する。1つの実施形態では、この方法は、(中に本発明のポリペプチドをコードする組換え発現ベクターが導入されている)本発明の宿主細胞を、適切な培地中で培養するステップを含み、それによって、ポリペプチドが産生される。別の実施形態では、この方法は、培地または宿主細胞からポリペプチドを単離するステップをさらに含む。
また、本発明は、本発明によるポリペプチドを発現する組換え宿主細胞を産生するための方法にも関し、前記方法は、(i)in vitroまたはex vivoにおいて、上記の組換え核酸またはベクターをコンピテントな宿主細胞内に導入することと、(ii)in vitroまたはex vivoにおいて、得られた組換え宿主細胞を培養することと、(iii)場合により、前記ポリペプチドを発現および/または分泌する細胞を選択することとからなるステップを含む。そのような組換え宿主細胞を、これまでに記載したように、本発明によるポリペプチドを産生するために使用することができる。
本発明は、本発明によるポリペプチドを産生する方法にもさらに関し、この方法は、(i)本発明による形質転換宿主細胞を、前記ポリペプチドを発現させるために適している条件下で培養することと、(ii)発現したポリペプチドを回収することとからなるステップを含む。
また、本発明の宿主細胞を使用して、非ヒトトランスジェニック動物を産生することもできる。例えば、1つの実施形態では、本発明の宿主細胞は、中に本発明のポリペプチドをコードする配列が導入されている受精卵母細胞または胚性幹細胞である。次いで、そのような宿主細胞を使用して、それらのゲノム内に本発明のポリペプチドをコードする外来性の配列が導入されている非ヒトトランスジェニック動物、または本発明の配列のポリペプチドをコードする内在性の配列が変化している相同組換え動物を生み出すことができる。そのような動物は、ポリペプチドの機能および/または活性を研究するため、ならびにポリペプチド活性の調節物質を同定および/または評価するために有用である。
本明細書で使用する場合、「トランスジェニック動物」は、動物細胞のうちの1つまたは複数が導入遺伝子を含む非ヒト動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはラットまたはマウス等のげっ歯類である。
トランスジェニック動物のその他の例として、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ヤギ、ニワトリ、両生類等が挙げられる。導入遺伝子は、細胞のゲノム内に組み込まれる外来性のDNAであり、このゲノムからトランスジェニック動物が発生し、このDNAは成熟動物のゲノム中に留まり、それによって、トランスジェニック動物の1つまたは複数の細胞型または組織において、コードされる遺伝子産物の発現を指揮する。
本明細書で使用する場合、「相同組換え動物」は、動物の発生前に、内在性遺伝子と、動物細胞、例えば、動物の胚性細胞内に導入した外来性のDNA分子との間における相同組換えによって内在性遺伝子を変化させてある非ヒト動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはマウスである。
本発明のトランスジェニック動物は、本発明のポリペプチドをコードする核酸を受精卵母細胞の雄性前核内に、例えば、マイクロインジェクション、レトロウイルス感染によって導入し、この卵母細胞を偽妊娠雌里親動物中で発生させることによって生み出すことができる。また、イントロン配列およびポリアデニル化シグナルも、導入遺伝子内に含ませて、導入遺伝子の発現効率を向上させることができる。(1つまたは複数の)組織特異的調節配列を導入遺伝子に動作可能に連結して、特定の細胞に本発明のポリペプチドを発現させることができる。トランスジェニック動物、具体的にはマウス等の動物を胚操作およびマイクロインジェクションを介して生成するための方法が、当技術分野では通常化するに至っており、例えば、米国特許第4,736,866号および第4,870,009号、第4,873,191号、ならびにHogan、Manipulating the Mouse Embryo、(Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor,N.Y.、1986)に記載されている。類似の方法が、その他の遺伝子導入動物の産生のために使用される。トランスジェニック創始動物を、そのゲノム中の導入遺伝子の存在および/または動物の組織もしくは細胞中の導入遺伝子をコードするmRNAの発現に基づいて同定することができる。次いで、トランスジェニック創始動物を使用して、導入遺伝子を担持する追加の動物を繁殖させることができる。さらに、導入遺伝子を担持するトランスジェニック動物を、その他の導入遺伝子を担持するその他のトランスジェニック動物にさらに交配することもできる。
相同組換え動物を生み出すためには、中に欠失、付加または置換が導入され、それによって、遺伝子が変化、例えば、機能的に混乱する状態になっている、本発明のポリペプチドをコードする遺伝子の少なくとも一部を含有するベクターを調製する。好ましい実施形態では、相同組換えを行って、内在性遺伝子が機能的に混乱するようにベクターを設計する(すなわち、もはや、機能性タンパク質をコードしない;「ノックアウト」ベクターとも呼ばれる)。あるいは、相同組換えを行って、内在性遺伝子が突然変異するか、または別の場合には変化が生じるが内在性遺伝子は依然として機能性タンパク質をコードする(例えば、上流の調節領域を変化させ、それによって、内在性タンパク質の発現を変化させることができる)ようにベクターを設計することもできる。相同組換えベクター中では、遺伝子の変化させた部分の5’末端および3’末端に、遺伝子の追加の核酸を隣接させて、ベクターによって運ばれる外来性遺伝子と胚性幹細胞中の内在性遺伝子との間で相同組換えが生じるのを可能にする。追加の隣接する核酸配列は、内在性遺伝子との相同組換えが良好に生じるのに十分な長さである。典型的には、(5’末端および3’末端の両方において)数キロベースの隣接するDNAが、ベクター中に含まれる(相同組換えベクターの説明については、例えば、ThomasおよびCapecchi(1987)Cell 51:503を参照されたい)。ベクターを胚性幹細胞系内に(例えば、エレクトロポレーションによって)導入し、導入された遺伝子が内在性遺伝子と相同組換えされている細胞を選択する(例えば、Liら(1992)Cell 69:915を参照されたい)。次いで、選択した細胞を動物(例えば、マウス)の胚盤胞内に注入して、凝集キメラを形成する(例えば、Bradley、Teratocarcinomas and Embryonic Stem Cells:A Practical Approach、Robertson編(IRL、Oxford、1987)113〜152頁を参照されたい)。次いで、キメラ胚を適切な偽妊娠雌里親動物内に埋め込み、この胚を出産まで維持する。生殖細胞中に相同組換えされたDNAをもつ子孫を使用して、動物の全ての細胞が相同組換えされたDNAを導入遺伝子の生殖系列伝達によって含有する動物を繁殖させることができる。相同組換えベクターを構築するための方法および相同組換え動物が、Bradley(1991)Current Opinion in Biolfechnology 2:823〜829、ならびにPCT公開第WO90/11354号、第WO91/01140号、第WO92/0968号および第WO93/04169号にさらに記載されている。
別の実施形態では、導入遺伝子の調節された発現を可能にする選択された系を含有するトランスジェニック非ヒト動物を産生することができる。そのような系の1つの例が、バクテリオファージP1のcre/loxPリコンビナーゼ系である。cre/loxPリコンビナーゼ系の説明については、例えば、Laksoら(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:6232〜6236を参照されたい。リコンビナーゼ系の別の例が、出芽酵母のFLPリコンビナーゼ系である(O’Gormanら(1991)Science 251:1351〜1355)。cre/loxPリコンビナーゼ系を使用して、導入遺伝子の発現を調節する場合には、Creリコンビナーゼおよび選択されたタンパク質の両方をコードする導入遺伝子を含有する動物が必要である。そのような動物は、「ダブル」トランスジェニック動物の構築を通して、例えば、2種の遺伝子導入動物の交配によって提供することができる。すなわち、一方の動物は、選択されたタンパク質をコードする導入遺伝子を含有し、他方の動物は、リコンビナーゼをコードする導入遺伝子を含有する。
また、本明細書に記載する非ヒト遺伝子導入動物のクローンも、Wilmutら(1997)Nature 385:810〜813、ならびにPCT公開第WO97/07668号および第WO97/07669号に記載されている方法に従って産生することができる。
本発明のポリペプチドに選択的に結合する化合物の例が、抗体およびアプタマーである。
本発明の抗体:
したがって、1つの態様では、本発明は、実質的に精製された抗体またはそれらの断片、および非ヒト抗体またはそれらの断片を提供し、これらの抗体または断片は、本発明のポリペプチドに特異的に結合する。
種々の実施形態では、本発明の実質的に精製された抗体またはそれらの断片は、ヒト抗体、非ヒト抗体、キメラ抗体および/またはヒト化抗体であってよい。そのような非ヒト抗体は、ヤギ、マウス、ヒツジ、ウマ、ニワトリ、ウサギまたはラットの抗体であってよい。さらに、本発明の抗体は、ポリクローナル抗体であっても、またはモノクローナル抗体であってもよい。
さらに別の態様では、本発明は、モノクローナル抗体またはそれら断片を提供する。モノクローナル抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体および/または非ヒト抗体であってよい。
本発明による抗体は、これらに限定されないが、単独または組合せのいずれかでの、任意の化学的、生物学的、遺伝子的または酵素的な技法等、当技術分野で知られている任意の技法によって産生することができる。
ポリクローナル抗体は、適切な対象を、本発明のポリペプチドを免疫原として用いて免疫化することによって調製することができる。好ましいポリクローナル抗体組成物は、1つまたは複数の本発明のポリペプチドに対して作られた抗体について選択されている組成物である。特に好ましいポリクローナル抗体調製物は、1つまたは複数の本発明のポリペプチドに対して作られた抗体のみを含有する調製物である。特に好ましい免疫原組成物は、例えば、本発明のポリペプチドの組換え発現のための非ヒト宿主細胞を使用して作製した免疫原組成物等、その他のヒトタンパク質を含有しない組成物である。そのような様式では、この免疫原に対して産生させ、その結果得られた抗体組成物によって認識される1つまたは複数のヒトエピトープのみが、1つまたは複数の本発明のポリペプチドの部分として提示される。
免疫化された対象中の抗体価を、固定化ポリペプチドを使用する酵素結合免疫吸着測定アッセイ(ELISA)を用いて等、標準的な技法によって長時間にわたりモニターすることができる。所望により、抗体分子を、哺乳動物から(例えば、血液から)単離し、プロテインAクロマトグラフィー等の周知の技法によってさらに精製して、IgG画分を得ることができる。あるいは、本発明のタンパク質またはポリペプチドに対して特異的な抗体を、例えば、親和性クロマトグラフィーによる(例えば、部分的な精製)または精製のために選択することもできる。例えば、組換えにより発現させ、精製した(または部分的に精製した)本発明のタンパク質を、本明細書の記載に従って産生し、例えば、クロマトグラフィーのカラム等の固体の支持体に共有結合または非共有結合によってカップルさせる。次いで、このカラムを使用して、多数の異なるエピトープに対して作られた抗体を含有する試料から、本発明のタンパク質に対して特異的な抗体を親和性により精製し、それによって、実質的に精製された抗体組成物、すなわち、汚染抗体を実質的に含有しない抗体組成物を生成することができる。実質的に精製された抗体組成物とは、この文脈では、抗体試料が、本発明の所望のタンパク質またはポリペプチド上のエピトープ以外のエピトープに対して作られた汚染抗体を、多くてもわずか30%(乾燥重量として)、好ましくは、多くても20%、さらにより好ましくは、多くても10%含有し、最も好ましくは、試料の多くても5%(乾燥重量として)が、汚染抗体であることを意味する。精製された抗体組成物は、組成物中の少なくとも99%の抗体が、本発明の所望のタンパク質またはポリペプチドに対して作られていること意味する。
免疫化後の適切な時期、例えば、特定の抗体価が最も高いときに、抗体産生細胞を対象から得、モノクローナル抗体を、KohlerおよびMilstein(1975)Nature 256:495〜497によって最初に記載されたハイブリドーマの技法、ヒトB細胞ハイブリドーマの技法(Kozborら(1983)Immunol.Today 4:72)、EBV−ハイブリドーマの技法(Coleら(1985)、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、Alan R.Liss,Inc.、77〜96頁)、またはトリオーマの技法等、標準的な技法によって調製するために使用する。ハイブリドーマを産生するための技術は、よく知られている(一般に、Current Protocols in Immunology (1994)Coliganら(編)John Wiley & Sons,Inc.、New York,N.Y.を参照されたい)。ハイブリドーマ培養物の上清を、目的のポリペプチドに結合する抗体について、例えば、標準的なELISAアッセイを使用してスクリーニングすることによって、本発明のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞を検出する。
モノクローナル抗体分泌ハイブリドーマの調製に代わり、組換えコンビナトリアル免疫グロブリンライブラリー(例えば、抗体ファージディスプレイライブラリー)を目的のポリペプチドを用いてスクリーニングすることによって、本発明のポリペプチドに対して作られたモノクローナル抗体を同定および単離することもできる。ファージディスプレイライブラリーを生成およびスクリーニングするためのキットが、市販されている(例えば、Pharmacia Recombinant Phage Antibody System、カタログ番号27−9400−01;およびStratagene SurfZAP(商標)Phage Display Kit、カタログ番号240612)。さらに、抗体ディスプレイライブラリーを生成およびスクリーニングする場合に使用するために特に適している方法および試薬の例を、例えば、米国特許第5,223,409号;PCT公開第WO92/18619号;PCT公開第WO91/17271号;PCT公開第WO92/20791号;PCT公開第WO92/15679号;PCT公開第WO93/01288号;PCT公開第WO92/01047号;PCT公開第WO92/09690号;PCT公開第WO90/02809号;Fuchsら(1991)Bio/Technology 9:1370〜1372;Hay ら(1992)Hum.Antibod.Hybridomas 3:81〜85;Huseら(1989)Science 246:1275〜1281;Griffithsら(1993)EMBO J.12:725〜734に見い出すこともできる。
さらに、キメラ抗体およびヒト化モノクローナル抗体等の組換え抗体は、ヒト部分および非ヒト部分の両方を含み、これは、標準的な組換えDNAの技法を使用して作製することができ、本発明の範囲に属する。キメラ抗体は、マウスmAbに由来する可変領域およびヒト免疫グロブリン定常領域を有する分子等、異なる部分が異なる動物種に由来する分子である。(例えば、Cabillyら、米国特許第4,816,567号;およびBossら、米国特許第4,816397号を参照されたい。これらの全体が、参照により本明細書組み込まれている。)ヒト化抗体は、1つまたは複数の非ヒト種由来の相補性決定領域(CDR)およびヒト免疫グロブリン分子由来のフレームワーク領域を有する、非ヒト種由来の抗体分子である。(例えば、Queen、米国特許第5,585,089号を参照されたい。この全体が、参照により本明細書組み込まれている。)そのようなキメラ抗体およびヒト化モノクローナル抗体を、当技術分野で知られている組換えDNAの技法によって、例えば、PCT公開第WO87/02671号;欧州特許出願第184,187号;欧州特許出願第171,496号;欧州特許出願第173,494号;PCT公開第WO86/01533号;米国特許第4,816,567号;欧州特許出願第125,023号;Betterら(1988)Science 240:1041〜1043;Liuら(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:3439〜3443;Liuら(1987)J.Immunol.139:3521〜3526;Sunら(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:214〜218;Nishimuraら(1987)Canc.Res.47:999〜1005;Woodら(1985)Nature 314:446〜449;およびShawら(1988)J.Natl.Cancer Inst.80:1553〜1559;Morrison(1985)Science 229:1202〜1207;Oiら(1986)Bio/Techinuques 4:214;米国特許第5,225,539号;Jonesら(1986)Nature 321:552〜525;Verhoeyanら(1988)Science 239:1534;およびBeidlerら(1988)J.Immunol.141:4053〜4060に記載されている方法を使用して産生することができる。
完全ヒト抗体を、例えば、内在性免疫グロブリンの重鎖および軽鎖の遺伝子を発現することが不可能であるが、ヒトの重鎖および軽鎖の遺伝子を発現することはできるトランスジェニックマウスを使用して産生することができる。こうしたトランスジェニックマウスを、選択された抗原、例えば、本発明のポリペプチドの全部または一部を用いて、通常のやり方で免疫化する。この抗原に対して作られるモノクローナル抗体を、従来のハイブリドーマの技術を使用して得ることができる。遺伝子導入マウスがもつヒト免疫グロブリン導入遺伝子は、B細胞分化の間に再構成され、それに続いて、クラススイッチおよび体細胞突然変異を受ける。したがって、そのような技法を使用すれば、治療上有用なIgG抗体,IgA抗体およびIgE抗体を産生することが可能である。ヒト抗体を産生するためのこの技術の概説については、LonbergおよびHuszar(1995、Int.Rev.Immunol.13:65〜93)を参照されたい。ヒト抗体およびヒトモノクローナル抗体を産生するためのこの技術ならびにそのような抗体を産生するためのプロトコールの詳細な論述については、例えば、米国特許第5,625,126号;米国特許第5,633,425号;第5,569,825号;第5,661,016号;および第5,545,806号を参照されたい。さらに、Abgenix,Inc.(Fremont,Calif.)等の会社も、上記の技術に類似する技術を使用して、選択された抗原に対して作られたヒト抗体の提供に関与することができる。
本発明のポリペプチドに対して作られた任意の抗体(例えば、モノクローナル抗体)を使用して、親和性クロマトグラフィーまたは免疫沈降等の標準的な技法によって、ポリペプチドを単離することができる。さらに、ポリペプチドの存在量および発現パターンを評価するために、そのような抗体を使用して、(例えば、細胞可溶化液または細胞上清中の)タンパク質を検出することもできる。また、これらの抗体を診断において使用して、臨床試験手順の一部として、組織中のタンパク質レベルをモニターして、例えば、所与の治療計画の効能を決定することもできる。抗体を検出可能な物質にカップルさせることによって、検出を促進することができる。検出可能な物質の例として、種々の酵素、補欠分子族、蛍光材料、発光材料、生物発光材料および放射性材料が挙げられる。適切な酵素の例として、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータ−ガラクトシダーゼまたはアセチルコリンエステラーゼが挙げられる。適切な補欠分子族複合体の例として、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンが挙げられる。適切な蛍光材料の例として、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシルまたはフィコエリトリンが挙げられる。発光材料の例として、ルミノールが挙げられる。生物発光材料の例として、ルシフェラーゼ、ルシフェリンおよびエクオリンが挙げられる。適切な放射性材料の例として、125I、131I、35SまたはHが挙げられる。
本発明は、本発明の抗体の抗体断片を包含する。抗体断片の例として、Fv、Fab、F(ab’)2、Fab’、dsFv、scFv、sc(Fv)2、抗体断片から形成されたダイアボディおよび多特異的抗体が挙げられる。
「Fab」という用語は、約50,000の分子量および抗原結合活性を有する抗体断片を意味し、この場合、IgGを、プロテアーゼであるパパインを用いて処理することによって得られる断片のうち、H鎖のN末端側の約半分とL鎖全体とが、ジスルフィド結合を通して一緒に結合している。
「F(ab’)2」という用語は、約100,000の分子量および抗原結合活性を有する抗体断片を指し、これは、IgGを、プロテアーゼであるペプシンを用いて処理することによって得られる断片のうち、ヒンジ領域のジスルフィド結合を介して結合しているFabよりもわずかに大きい。
「Fab’」という用語は、約50,000の分子量および抗原結合活性を有する抗体断片を指し、これは、F(ab’)2のヒンジ領域のジスルフィド結合を切断することによって得られる。
単鎖Fv(「scFv」)ポリペプチドは、共有結合によって連結しているVH::VLのヘテロ二量体であり、これは通常、ペプチドをコードするリンカーによって連結されたVHおよびVLをコードする遺伝子を含む遺伝子融合から発現する。本発明のヒトscFv断片は、好ましくは、遺伝子組換えの技法を使用することによって、適切な立体構造に保たれるCDRを含む。「dsFv」は、ジスルフィド結合によって安定化されたVH::VLのヘテロ二量体である。二価のsc(Fv)2等、二価および多価の抗体断片を、一価のscFvの自発的な結合によって形成すること、または一価のscFvを、ペプチドリンカーによってカップルさせることによって生成することのいずれもが可能である。
「ダイアボディ」という用語は、2つの抗原結合部位を有する小型の抗体断片を指し、この断片は、同じポリペプチド鎖中で、軽鎖可変ドメイン(VL)に接続している重鎖可変ドメイン(VH)を含む(VH−VL)。同じ鎖上のこれら2つのドメイン間で対形成を可能にするには短過ぎるリンカーを使用することによって、これらのドメインは、別の鎖の相補的なドメインと対形成することを強いられ、2つの抗原結合部位を生み出す。
本発明のアプタマー:
別の実施形態では、本発明は、本発明のポリペプチドに対して作られたアプタマーに関する。
アプタマーは、分子認識の点で抗体の代替物となるクラスの分子である。アプタマーは、事実上、任意のクラスの標的分子を高い親和性および特異性で認識する能力を有するオリゴヌクレオチド配列またはオリゴペプチド配列である。Tuerk C.1997の記載に従って、ランダム配列ライブラリーのSystematic Evolution of Ligands by EXponential enrichment(SELEX)を通して、そのようなリガンドを単離することができる。ランダム配列ライブラリーは、DNAのコンビナトリアル化学合成によって得られる。このライブラリーの場合、各メンバーが、独特の配列の直鎖オリゴマーであるが、偶発的に化学修飾されている。このクラスの分子の考えられる修飾、使用および利点が、Jayasena S.D.、1999に総説されている。ペプチドアプタマーは、大腸菌チオレドキシンA等のプラットフォームタンパク質によって示される、立体構造的に制約を受けている抗体可変領域からなり、これは、コンビナトリアルライブラリーからツーハイブリッド法によって選択される(Colasら、1996)。
治療方法および医薬組成物:
本発明のポリペプチド、核酸分子、ベクター、宿主細胞、抗体およびアプタマーは、治療のために特に適切である場合がある。例えば、本発明のポリペプチド、核酸分子、ベクター、宿主細胞が、網膜変性疾患の治療のために適切であり得る。
典型的には、前記網膜変性疾患は、網膜色素変性症、加齢黄斑変性、バルデ−ビードル症候群、バッセン−コーンツヴァイク症候群、ベスト病、脈絡膜欠如、脳回転状萎縮、レーバー先天黒内障、レフサム病、シュタルガルト病またはアッシャー症候群からなる群から選択される。
好ましい実施形態では、前記変性疾患は、網膜色素変性症である。
1つの実施形態では、本発明は、網膜変性疾患を治療するための方法を提供し、この方法は、治療有効量の本発明のポリペプチドまたは核酸分子を、それを必要とする患者に投与するステップを含む。
「治療有効量」の本発明のポリペプチドまたは核酸分子によって、任意の医学的処置に適用できる妥当な利益/リスクの比で網膜変性疾患を治療するのに十分な量の核酸分子またはポリペプチドを意味する。しかし、本発明のポリペプチドまたは核酸分子および組成物の1日当たりの総使用量は、主治医によって適切な医学的判断の範囲内で決定されることを理解されたい。任意の特定の患者についての特異的な治療有効用量のレベルは、治療される障害および障害の重症度;利用される特定のポリペプチドの活性;利用される特定の組成物、患者の年齢、体重、全般的な健康状態、性別、食餌;投与の時期、投与経路、および利用される特定のポリペプチドの排泄速度;治療の持続期間;利用される特定のポリペプチドと組み合わせてかまたは同時に使用される薬物;ならびに医学分野でよく知られている同様の要因を含めた、多様な要因に依存する。例えば、化合物の用量を、所望の治療効果を達成するために必要なレベルよりも低いレベルから開始し、所望の効果が達成されるまで投与量を徐々に増加させることは、当技術分野の技術に十分属する。
本発明のポリペプチドまたは核酸分子は、薬学的に許容される添加剤、および場合により、生分解性ポリマー等の持続性放出性マトリックスと組み合わせて、治療用組成物を形成することができる。
「薬学的に」または「薬学的に許容される」は、必要に応じて、哺乳動物、特にヒトに投与した場合に、有害なアレルギー性反応またはその他の都合の悪い反応を発生させることのない分子実体および組成物を指す。薬学的に許容される担体または添加剤は、無毒性の固体、半固体または液体の充填剤、賦形剤、被包材料、または任意のタイプの製剤化補助剤を指す。
経口投与、舌下投与、皮下投与、筋肉内投与、静脈内投与、経皮投与、局所投与または直腸投与のための本発明の医薬組成物においては、有効成分を単独でかまたは別の有効成分と組み合わせて、従来の薬学的支援物質との混合物として単位投与剤形で、動物およびヒトに投与することができる。適切な単位投与剤形は、錠剤、ゲルカプセル剤、散剤、顆粒剤および経口用の懸濁剤または液剤等の経口投与剤形、舌下および頬側への投与剤形、エアゾール剤、インプラント、皮下、経皮、局所、腹腔内、筋肉内、静脈内、真皮下、経皮、くも膜下腔内および鼻腔内への投与剤形、ならびに直腸投与剤形を含む。
好ましくは、医薬組成物は、注射可能な製剤のための薬学的に許容される賦形剤を含有する。これらは、特に、等張、無菌の食塩水溶液(リン酸モノナトリウムもしくはリン酸ジナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムもしくは塩化マグネシウム等、またはそのような塩の混合物)であっても、あるいは場合により、滅菌した水または生理食塩水を添加すると、注射用液剤の構成が可能になる、乾燥状態の、特に凍結乾燥した組成物であってもよい。
注射用に適している医薬剤形は、無菌、水性の液剤または分散剤;ゴマ油、落花生油または水性プロピレングリコールを含む製剤;および無菌の注射用の液剤または分散剤を用時調製するための無菌の散剤を含む。全ての場合において、この剤形は、無菌でなければならず、シリンジへ容易に充填できる程度に流動性でなければならない。この剤形は、製造および保存の条件下で安定でなければならず、細菌および真菌等の微生物の汚染作用に対して保存されなければならない。
遊離の塩基または薬理学的に許容される塩としての本発明のポリペプチドまたは核酸分子の液剤は、水中で、ヒドロキシプロピルセルロース等の界面活性剤と適切に混合して調製することができる。また、分散剤も、グリセロール、液体ポリエチレングリコールおよびそれらの混合物中、ならびに油中で調製することができる。保存および使用の通常の条件下では、これらの調製物は、微生物の増殖を阻止するために、保存剤を含有する。
本発明のポリペプチドは、中性または塩の形態で組成物に製剤化することができる。薬学的に許容される塩には、(タンパク質の遊離のアミノ基と形成される)酸付加塩があり、これらは、例えば、塩酸もしくはリン酸等の無機酸、または酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸等の有機酸と形成される。また、遊離のカルボキシル基と形成される塩も、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウムまたは水酸化第二鉄等の無機塩基、およびイソプロピルアミン、トリエチルアミン、ヒスチジン、プロカイン等の有機塩基から誘導することができる。
また、担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール等)、それらの適切な混合物、ならびに植物油を含有する溶媒または分散媒体であってよい。適切な流動性を、例えば、レシチン等の被覆の使用、分散剤の場合には、必要な粒径の維持、および界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物の作用の阻止を、種々の抗細菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール等によってもたらすことができる。多くの場合、等張化剤、例えば、糖または塩化ナトリウムを含ませることが好ましい。注射用組成物の吸収の延長を、組成物中で、吸収を遅延させる物質、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを使用することによってもたらすことができる。
無菌の注射用液剤は、適切な溶媒中に必要量の活性ポリペプチドを上記で列挙した種々のその他の成分と共に組み込み、必要に応じてこれに続いて、ろ過滅菌することによって調製される。一般に分散剤は、種々の滅菌した有効成分を、塩基性分散媒体および上記で列挙した成分からの必要なその他の成分を含有する無菌の賦形剤内に組み込むことによって調製される。無菌の注射用液剤を調製するための無菌の散剤の場合、この調製物の好ましい調製方法は、有効成分に任意の所望の成分を追加して、あらかじめ無菌ろ過したそれらの溶液からの散剤をもたらす真空乾燥および凍結乾燥の技法である。
また、直接注入のためのより多くのまたはより高い濃度の液剤の調製も企図し、この場合、DMSOを溶媒として使用して、極度に迅速な浸透を起こし、高い濃度の活性剤を狭い領域に送達することを想定する。
製剤化したら、液剤を、投与製剤に適合する様式で、治療に有効である等の量で投与する。これらの製剤は、上記の注射用液剤の型等、多様な投与剤形で容易に投与されるが、また、薬物放出カプセル剤等も利用される。
水性液剤中での非経口投与のためには、例えば、この液剤を、必要であれば、適切に緩衝化すべきであり、最初に、液体の賦形剤を十分な食塩水またはグルコースを用いて等張化すべきである。これらの特定の水性液剤は、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与および腹腔内投与のために特に適している。これに関しては、当業者には、利用することができる無菌の水性媒体が本開示に照らせば分かるであろう。例えば、1投与量を1mlの等張NaCl溶液中に溶解させ、1000mlの皮下点滴療法用の液体への添加または予定されている注入部位への注入のいずれかを行うことができるであろう。投与量の何らかの変更が、治療される対象の状態に依存してやむを得ず必要となる。いずれの場合であっても、投与責任者が個々の対象にとって適切な用量を決定する。
このポリペプチドを治療用混合物内に製剤化して、1用量当たり等、約0.0001〜1.0ミリグラムを、または約0.001〜0.1ミリグラムを、または約0.1〜1.0もしくは約10ミリグラムさえをも含ませることができる。また、複数の用量も投与することができる。
静脈内または筋肉内への注射等の非経口投与のために製剤化されたポリペプチドに加えて、その他の薬学的に許容される剤形として、例えば、経口投与のための錠剤またはその他の固体の剤形;リポソーム製剤;時間放出カプセル剤;および現在使用されている任意のその他の剤形が挙げられる。
本発明のポリペプチド、核酸分子またはベクターは、薬学的に許容される眼科用ビヒクル中で送達することができ、それによって、このポリペプチドは、角膜領域、ならびに眼の内部領域、例えば、前眼房、後眼房、硝子体、眼房水、硝子体液、角膜、虹彩/毛様体、水晶体、脈絡膜/網膜、および強膜に浸透することができる。薬学的に許容される眼科用ビヒクルは、例えば、軟膏剤、植物油または被包材料であってよい。あるいは、本発明のポリペプチド、核酸分子またはベクターは、硝子体液、眼房水、(1つもしくは複数の)毛様体組織に直接注射してもよく、あるいは細胞および/または外眼筋にエレクトロポレーションの手段によって注入してもよい。
また、本発明のポリペプチド、核酸分子またはベクターは、錐体光受容器に対して栄養活性を発揮することが知られているその他の化合物と組み合わせることもできる。例えば、本発明のポリペプチドは、網膜色素変性症の治療のために、杆体由来錐体生存因子(RdCVF)と組み合わせることができる。RdCVF1およびRdCVF2のポリペプチドおよび遺伝子が、国際特許出願公開第WO02081513号および第WO2005/113586号、ならびにLEVEILLARDら、Nat.Genet.vol.36(7)、755〜759頁、2004およびChalmelら、BMC Molecular Biology、2007、8:74に記載されている。したがってまた、本発明は、本発明のポリペプチドまたは核酸分子からなる群から選択される第1の化合物と、RdCVFをコードする核酸配列またはRdCVF自体からなる群から選択される第2の化合物とを含む医薬組成物にも関する。
典型的にはまた、本発明は、網膜変性疾患を治療するための組成物にも関し、この組成物は、
a)本発明のポリペプチド、または本発明のポリペプチドをコードする単離核酸と、
b)杆体由来錐体生存因子(例えば、RdCVF1またはRdCVF2)と
を含む。
また、本発明は、網膜変性疾患を治療するためのキットにも関し、このキットは、
a)請求項1もしくは2に記載のポリペプチドまたはその変異体、あるいは請求項3または4に記載の単離核酸分子と、
b)杆体由来錐体生存因子(例えば、RdCVF1またはRdCVF2)と
を含む。
このキットの2つの構成成分は、患者に別個に投与することができる。
スクリーニング方法:
本発明は、調節物質、すなわち、本発明のポリペプチドに結合する、または、例えば、本発明のポリペプチドの発現もしくは活性に対して刺激をもたらす、候補となるまたは試験のための化合物または物質(例えば、ペプチド、ペプチド模倣薬、小型分子またはその他の薬物)を同定するための方法を提供する(本明細書では、「スクリーニング方法」とも呼ばれる)。
1つの実施形態では、本発明は、本発明のポリペプチドまたはその生物学的活性部分の活性を増加させる候補化合物または試験化合物をスクリーニングするためのアッセイを提供する。より具体的には、本発明は、本発明のポリペプチドの発現を刺激することができる候補または試験化合物をスクリーニングするためのアッセイを提供する。
候補化合物または試験化合物を、本発明のポリペプチドの発現を刺激するそれらの能力についてアッセイすることができる。例えば、レポーティング系アッセイ(reporting system assay)を使用して、本発明のポリペプチドの発現を測定することができる。そのために、本発明の宿主細胞を使用することができる。特定の実施形態では、ベクターが、本発明のポリペプチドおよび蛍光タンパク質を含む融合タンパク質をコードすることができる。当然のことながら、蛍光タンパク質、生物発光タンパク質またはリン光タンパク質は、オワンクラゲ(Aequorea Victoria)に由来するGFP、および増加しつつある数の、有用な特性を有するGFPの配列変異体を含む。また、このリストは、Discosomaに由来する赤色蛍光タンパク質(RFP);およびAnemoniaに由来するキンドリング蛍光タンパク質(KFP1)も含む。これらのタンパク質は全て、コアのアミノ酸残基の内部環化の結果として、非常に目立つ、効率的に発光する内部フルオロフォアを発生することが可能である自己触媒性酵素である。これらの蛍光タンパク質に共通する別の特色は、シグナルが安定であり、種に依存せず、シグナル発生のために基質または補助因子のいずれをも必要としないことである。(例えば、広域スペクトルUV光下における)目視観察による蛍光の直接的な検出を使用して、候補化合物または試験化合物の存在下または非存在下で産生する融合タンパク質の量を定量化することができる。
次いで、候補化合物または試験化合物を、錐体光受容器の変性を阻害するそれらの能力についてアッセイすることができる。(実施例中に記載するもの等の)当業者に知られている任意の適切なアッセイを使用して、そのような効果をモニターすることができる。
生物学的ライブラリー;空間的にアドレス可能な平行的な固相または溶液相のライブラリー;逆重畳積分を必要とする合成ライブラリー法;「1ビーズ1化合物」ライブラリー法;および親和性クロマトグラフィーによる選択を使用する合成ライブラリー法を含めた、当技術分野で知られているコンビナトリアルライブリーの方法における多数のアプローチのうちのいずれかを使用して、本発明の試験化合物を得ることができる。生物学的ライブラリーのアプローチは、ペプチドライブラリーに限定され、一方、その他の4つのアプローチは、ペプチドライブラリー、非ペプチドオリゴマーライブラリー、または小型分子化合物ライブラリーに適用できる。
本発明の診断方法:
また、本発明は、診断アッセイ、予知診断アッセイおよびモニタリングアッセイにも関する。
したがって、本発明の1つの態様は、生物学的試料(例えば、血液、血清、細胞、組織)の状況において、本発明のポリペプチドもしくは核酸の発現、および/または本発明のポリペプチドの活性を決定し、それによって、個体が本発明のポリペプチドの異常な発現または活性に関連する疾患もしくは障害(例えば、網膜変性疾患)に罹患しているか、または個体に障害を発症するリスクがあるかどうかを決定するための診断アッセイに関する。
また、本発明は、個体に本発明のポリペプチドの異常な発現または活性に関連する障害(例えば、網膜変性疾患)を発症するリスクがあるかどうかを決定するための予知診断(または予測)アッセイも提供する。例えば、本発明の遺伝子中の突然変異を、生物学的試料中でアッセイすることができる。そのようなアッセイを、予知診断または予測の目的で使用し、それによって、個体を、本発明のポリペプチドの異常な発現または活性によって特徴付けられる、またはそれに関連する障害を発症する前に予防的に治療することができる。
本発明のさらに別の態様は、臨床治験または治療において、物質(例えば、薬物またはその他の化合物)の、本発明のポリペプチドの発現または活性に対する影響をモニターすることに関する。
生物学的試料中の本発明のポリペプチドまたは核酸の有無を検出するための例示的な方法は、試験対象から生物学的試料を得るステップと、当該生物学的試料を、本発明のポリペプチドまたは核酸(例えば、mRNA、ゲノムDNA)を検出することが可能である化合物または物質と接触させるステップとを含み、それによって、当該生物学的試料中の本発明のポリペプチドまたは核酸の存在が検出される。本発明のポリペプチドをコードするmRNAまたはゲノムDNAを検出するための好ましい物質は、本発明のポリペプチドをコードするmRNAまたはゲノムDNAにハイブリダイズすることが可能である標識された核酸プローブである。この核酸プローブは、例えば、配列番号1もしくは配列番号2の核酸、またはその一部、例として、少なくとも15、30、50、100、250または500ヌクレオチド長であり、厳密な条件下で本発明のポリペプチドをコードするmRNAまたはゲノムDNAに特異的にハイブリダイズするのに十分であるオリゴヌクレオチドであってよい。本発明の診断アッセイにおいて使用するためのその他の適切なプローブが、本明細書に記載されている。
本発明のポリペプチドを検出するための好ましい物質は、本発明のポリペプチドに結合することが可能である抗体、好ましくは、検出可能な標識を有する抗体である。抗体は、上記の方法に従って調製することができる。
プローブまたは抗体に関する「標識された」という用語は、検出可能な物質をプローブまたは抗体にカップルさせる(すなわち、物理的に連結する)ことによって、プローブまたは抗体を直接的に標識すること、および直接的に標識されている別の試薬との反応性によって、プローブまたは抗体を間接的に標識することを包含することを意図する。間接的な標識の例として、蛍光標識されている二次抗体を使用して一次抗体を検出すること、およびDNAプローブを、蛍光標識ストレプトアビジンを用いて検出することができるように、DNAプローブを、ビオチンを用いて末端標識することが挙げられる。
「生物学的試料」という用語は、対象から単離した組織、細胞および生物学的液体、ならびに対象内に存在する組織、細胞および体液を含むことを意図する。
本発明の検出方法を使用して、in vitroおよびin vivoにおいて、生物学的試料中のmRNA、タンパク質またはゲノムDNAを検出することができる。例えば、mRNAを検出するためのin vitroにおける技法として、ノーザンハイブリダイゼーションおよびin situハイブリダイゼーションが挙げられる。本発明のポリペプチドを検出するためのin vitroにおける技法として、酵素結合免疫吸着測定アッセイ(ELISA)、ウエスタンブロット、免疫沈降および免疫蛍光が挙げられる。ゲノムDNAを検出するためのin vitroにおける技法として、サザンハイブリダイゼーションが挙げられる。さらに、本発明のポリペプチドを検出するためのin vivoにおける技法として、ポリペプチドに対して作られた標識抗体を対象内に導入することが挙げられる。例えば、対象中のその存在および場所を標準的な画像処理の技法によって検出することができる放射性マーカーを用いて、抗体を標識することができる。
1つの実施形態では、生物学的試料は、試験対象由来のタンパク質分子を含有する。あるいは、生物学的試料は、試験対象由来のmRNA分子または試験対象由来のゲノムDNA分子を含有することもできる。
別の実施形態では、この方法は、対照対象由来の対照の生物学的試料を得るステップと、当該対照試料を、本発明のポリペプチドまたは本発明のポリペプチドをコードするmRNAもしくはゲノムDNAを検出することが可能である化合物または物質と接触させるステップであって、それによって、当該生物学的試料中の当該ポリペプチドまたは当該ポリペプチドをコードするmRNAもしくはゲノムDNAの存在が検出されるステップと、当該対照試料中の当該ポリペプチドまたは当該ポリペプチドをコードするmRNAもしくはゲノムDNAの存在を、当該試験試料中の当該ポリペプチドまたは当該ポリペプチドをコードするmRNAもしくはゲノムDNAの存在と比較するステップとをさらに含む。
また、本発明は、生物学的試料(試験試料)中の本発明のポリペプチドまたは核酸の存在を検出するためのキットも包含する。そのようなキットを使用して、対象が本発明のポリペプチドの異常な発現に関連する障害(例えば、網膜変性疾患)に罹患しているか、または対象にそれを発症するリスクがあるかどうかを決定することができる。このキットは、例えば、生物学的試料中の当該ポリペプチドまたは当該ポリペプチドをコードするmRNAを検出することが可能である標識された化合物または物質、および試料中の当該ポリペプチドまたはmRNAの量を決定するための手段(例えば、当該ポリペプチドに結合する抗体、または当該ポリペプチドをコードするDNAもしくはmRNAに結合するオリゴヌクレオチドプローブ)を含むことができる。また、当該ポリペプチドまたは当該ポリペプチドをコードするmRNAの量が正常レベルを上回るまたは下回る場合には、試験対象が当該ポリペプチドの異常な発現に関連する障害に罹患しているか、または試験対象にそれを発症するリスクがあるかを観察するための指示も、キットは含むことができる。
このキットは、例えば、(1)本発明のポリペプチドに結合する、(例えば、固体の支持体につながっている)第1の抗体;および場合により、(2)ポリペプチドまたは第1の抗体のいずれかに結合し、検出可能な物質にコンジュゲートしている第2の異なる抗体を含むことができる。
このキットは、例えば、(1)本発明のポリペプチドをコードする核酸配列にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、例えば、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチド、または(2)本発明のポリペプチドをコードする核酸分子を増幅するために有用な一対のプライマーを含むことができる。
また、このキットは、例えば、緩衝化剤、保存剤またはタンパク質安定化剤も含むことができる。また、このキットは、検出可能な物質(例えば、酵素または基質)を検出するために必要な構成成分も含むことができる。また、このキットは、アッセイし、含有される試験試料と比較することができる対照試料または一連の対照試料も含有することができる。このキットの各構成成分は通常、個々の容器内に封入され、種々の容器全てが、試験対象が当該ポリペプチドの異常な発現に関連する障害に罹患しているか、または試験対象にそれを発症するリスクがあるかどうかを観察するための指示と一緒に単一の包装内に納められる。
本明細書に記載する方法は、診断アッセイまたは予知診断アッセイとしてさらに活用して、本発明のポリペプチドの異常な発現もしくは活性に関連する疾患もしくは障害(例えば、網膜変性疾患)を有する、またはそれを発症するリスクがある対象を同定することができる。例えば、先行の診断アッセイまたは以下のアッセイ等の本明細書に記載するアッセイを活用して、本発明のポリペプチドの異常な発現もしくは活性に関連する障害を有する、またはそれを発症するリスクがある対象を同定することができる。あるいは、予知診断アッセイを活用して、そのような疾患もしくは障害を有する、またはそれを発症するリスクがある対象を同定することもできる。
したがって、本発明は、対象から試験試料を得、本発明のポリペプチドまたは核酸(例えば、mRNA、ゲノムDNA)を検出する方法を提供し、当該ポリペプチドまたは核酸の存在によって、当該ポリペプチドの異常な発現もしくは活性に関連する疾患もしくは障害を有する、またはそれを発症するリスクがある対象について診断する。本明細書で使用する場合、「試験試料」は、目的の対象から得た生物学的試料を指す。例えば、試験試料は、生物学的な液体(例えば、血清)、細胞試料または組織であってよい。
さらに、本明細書に記載する予知診断アッセイを使用して、本発明のポリペプチドの異常な発現または活性に関連する疾患または障害(例えば、網膜変性疾患)を治療するための物質(例えば、アゴニスト、ポリペプチド、核酸、小型分子またはその他の薬物候補)を対象に投与してよいかどうかを決定することもできる。例えば、そのような方法を使用して、特定の物質またはクラスの物質(例えば、ポリペプチドの活性を増加させる型の物質)を用いて、対象を有効に治療することができるかどうかを決定することができる。したがって、本発明は、本発明のポリペプチドの異常な発現または活性に関連する障害のための物質を用いて、対象を有効に治療することができるかどうかを決定するための方法を提供し、この場合、試験試料を得、当該ポリペプチドまたは当該ポリペプチドをコードする核酸を検出する(例えば、当該ポリペプチドまたは核酸の不在によって、当該ポリペプチドの異常な発現または活性に関連する障害を治療するための物質を投与してよい対象について診断する)。
また、本発明の方法を使用して、本発明の遺伝子中の遺伝子の病変または突然変異を検出し、それによって、障害のある遺伝子を有する対象に本発明のポリペプチドの異常な発現または活性によって特徴付けられる障害(例えば、網膜変性疾患)についてのリスクがあるかどうかを決定することもできる。好ましい実施形態では、この方法は、本発明のポリペプチドをコードする遺伝子の完全性に影響を及ぼす変化、または本発明のポリペプチドをコードする遺伝子の異所性発現のうちの少なくとも1つによって特徴付けられる遺伝子の病変または突然変異の有無を、対象由来の細胞試料中において検出するステップを含む。例えば、1)遺伝子からの1つまたは複数のヌクレオチドの欠失;2)1つまたは複数のヌクレオチドの遺伝子への付加;3)遺伝子のうちの1つまたは複数のヌクレオチドの置換;4)遺伝子の染色体再構成;5)遺伝子のメッセンジャーRNA転写物レベルの変化;6)ゲノムDNAのメチル化パターン等の遺伝子の異常な修飾;7)遺伝子のメッセンジャーRNA転写物の非野生型スプライシングパターンの存在;8)遺伝子によってコードされるタンパク質の非野生型レベル;9)遺伝子の対立遺伝子の喪失;および10)遺伝子によってコードされるタンパク質の不適切な翻訳後修飾:のうちの少なくとも1つの存在を確かめることによって、そのような遺伝子の病変または突然変異を検出することができる。本明細書に記載するように、遺伝子の病変を検出するために使用することができる、当技術分野で知られている多数のアッセイの技法がある。
特定の実施形態では、病変の検出は、アンカーPCRもしくはRACE PCR等のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(例えば、米国特許第4,683,195号および第4,683,202号を参照されたい)における、またはライゲーション連鎖反応(LCR)(例えば、Landegranら(1988)Science 241:1077〜1080;およびNakazawaら(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:360〜364を参照されたい)におけるプローブ/プライマーの使用を含み、後者は、遺伝子中の点突然変異を検出するために特に有用である場合がある(例えば、Abravayaら(1995)Nucleic Acids Res.23:675〜682を参照されたい)。この方法は、患者から細胞試料を収集するステップと、試料細胞から核酸(例えば、ゲノムRNA、mRNAまたは両方)を単離するステップと、核酸試料を、選択された遺伝子と特異的にハイブリダイズする1つまたは複数のプライマーと、(当該遺伝子が存在する場合には)そのハイブリダイゼーションおよび増幅が生じるような条件下で接触させるステップと、増幅産物の有無を検出するか、または増幅産物のサイズを検出し、対照試料の長さと比較するステップとを含む。PCRおよび/またはLCRを、予備的な増幅ステップとして、本明細書に記載する突然変異を検出するために使用する技法のうちのいずれかと併せて使用することが望ましい場合があることが予測される。
代替の実施形態では、試料細胞から選択された遺伝子中の突然変異を、制限酵素の切断パターンの変化によって同定することができる。例えば、試料DNAおよび対照DNAを単離、(場合により)増幅し、1つまたは複数の制限エンドヌクレアーゼを用いて消化し、断片長サイズをゲル電気泳動によって決定し、比較する。試料DNAと対照DNAとの間の断片長サイズの差によって、試料DNA中の突然変異が示される。
さらに別の実施形態では、当技術分野で知られている多様な配列決定反応のうちのいずれかを使用して、選択された遺伝子を直接配列決定し、試料核酸の配列を対応する野生型(対照)の配列と比較することによって、突然変異を検出することができる。配列決定反応の例として、MaximおよびGilbertにより開発された技法((1977)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 74:560)、またはSangerにより開発された技法((1977)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 74:5463)に基づくものが挙げられる。また、診断アッセイを実施する場合には、質量分析による配列決定(例えば、PCT公開第WO94/16101号;Cohenら(1996)Adv.Chromatogr.36:127〜162;およびGriffinら(1993)Appl.Biochem.Biotechnol.38:147〜159を参照されたい)を含めた、多様な自動化配列決定手順のうちのいずれかを活用することができることも企図される((1995)Bio/Techiniques 19:448)。
その他の実施形態では、電気泳動移動度の変化を使用して、遺伝子中の突然変異を同定する。例えば、一本鎖高次構造多型分析(SSCP)を使用して、突然変異体と野生型核酸との間の電気泳動移動度の差を検出することができる(Oritaら(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:2766;また、Cotton(1993)Mutat.Res.285:125〜144;Hayashi(1992)Genet.Anal.Tech.Appl.9:73〜79も参照されたい)。試料および対照の核酸の一本鎖DNA断片を変性させ、再生させる。一本鎖核酸の二次構造が、配列に従って変化し、その結果生じる電気泳動移動度の変化によって、単一の塩基の変化でさえも検出することが可能になる。DNA断片は、標識してもよく、または標識されたプローブを用いて検出してもよい。アッセイの感度を、(DNAではなく)RNAを使用して増強することができ、この場合、二次構造の、配列変化に対する感受性が向上する。好ましい実施形態では、対象の方法は、ヘテロ二本鎖分析を活用して、二本鎖のヘテロ二本鎖分子を、電気泳動移動度の変化に基づいて分離する(Keenら(1991)Trends Genet.7:5)。
さらに別の実施形態では、変性剤の濃度勾配を含有するポリアクリルアミドゲル中の突然変異体または野生型の断片の動きを、変性剤濃度勾配ゲル電気泳動(DGGE)を使用してアッセイする(Myersら(1985)Nature 313:495)。DGGEを分析方法として使用する場合には、例えば、およそ40bpの高融点のGCに富むDNAの’GCクランプをPCRにより付加することによってDNAを改変して、DNAが完全には変性しないことを確実にする。さらなる実施形態では、変性勾配の代わりに温度勾配を使用して、対照DNAと試料DNAとの移動度の差を同定する(RosenbaumおよびReissner(1987)Biophys.Chem.265:12753)。
点突然変異を検出するためのその他の技法の例として、これらに限定されないが、選択的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション、選択的増幅または選択的プライマー伸長が挙げられる。例えば、既知の突然変異を中心に設けたオリゴヌクレオチドプライマーを調製し、次いで、完全な一致が存在する場合にのみハイブリダイゼーションが可能となる条件下で、標的DNAにハイブリダイズさせることができる(Saikiら(1986)Nature 324:163;Saikiら(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:6230)。そのような対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドをハイブリダイゼーション用の膜につなげて、標識された標的DNAとハイブリダイズさせる場合には、それらのオリゴヌクレオチドを、PCR増幅させた標的DNAにか、またはいくつかの異なる突然変異にハイブリダイズさせる。
あるいは、選択的PCR増幅に依存する対立遺伝子特異的増幅技術を、本発明と併せて使用することができる。特異的増幅のためのプライマーとして使用するオリゴヌクレオチドは、目的の突然変異を、分子の中心に担持してもよく(したがって、増幅は、示差的ハイブリダイゼーションに依存する)(Gibbsら(1989)Nucleic Acids Res.17:2437〜2448)、またはミスマッチがポリメラーゼによる伸長を、適切な条件下で阻止するもしくは低下させることができる場合には、1つのプライマーの3’最末端に担持してもよい(Prossner(1993)Tibtech 11:238)。さらに、突然変異領域中に新規な制限部位を導入して、切断に基づいて検出するようになすことが望ましい場合がある(Gaspariniら(1992)Mol.Cell Probes 6:1)。特定の実施形態ではまた、増幅のためのTaqリガーゼを使用して増幅を実施することが好ましい場合があることも予測される(Barany(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:189)。そのような場合、5’配列の3’末端に完全な一致がある場合にのみライゲーションが生じ、特定の部位における既知の突然変異の存在の検出が、増幅の有無を調べることによって可能になる。
本明細書に記載する方法は、例えば、少なくとも1つの本明細書に記載するプローブ核酸または抗体試薬を含むプレパッケージ型の診断キットを活用することによって実施することができ、これらは、例えば、臨床の場において好都合に使用して、本発明のポリペプチドをコードする遺伝子が関与する疾患もしくは病気の症状を呈する、またはそうした疾患もしくは病気の家族歴がある患者を診断することができる。
本発明を、以下の図および実施例に照らしてさらに例証する。
馴化培地
Cos−1細胞を、配列番号1に記載する核酸配列を含有するpcDNA3ベクターを用いて形質転換した。空のベクターを、負の対照として使用した。これは、ChenおよびOkayama、(1987)High−efficiency transformation of mammalian cells by plasmid DNA.Mol Cell Biol.、7、2745〜2752の方法を使用して実施した。次いで、それらのCos−1細胞に由来する馴化培地を、網膜変性モデルにおいて試験するまで、凍結保存した。
ニワトリ胚の網膜培養物
AdlerおよびHatlee[(1989)Science、243、391]からのプロトコールを採用した。ニワトリ胚の網膜(卵内で6日)を解離させ、単層培養に蒔いた。分化シグナルが存在しないこれらの培養条件下では、錐体が、細胞の60〜80%を占める。発明者らは、ビジニン(ニワトリ錐体マーカー、Genbankアクセッション番号M84729)に対するポリクローナル抗体をウサギに産生させ、発明者らの培養物中の錐体の割合が60〜80%であることを検証するに至った。発明者らのモデルの単純な環境(既知組成培地、細胞間の接触がないこと)は、この方法の簡便性および迅速性と共に、このモデルを、錐体の生存に関与する栄養因子を研究するための非常に適切な系にする。手短に述べると、前駆動物の制御分離株から得た胚由来の網膜を、卵内での6日間発生させた後に解体し、細胞を解離させ、低い密度(10細胞/cm)で蒔いた。10日間、細胞生存率(60〜80%の錐体)を、LIVE/DEADアッセイ(Molecular Probes、Eugene、米国)、すなわち、生存細胞および死滅細胞を定量化するアッセイを使用して追跡した。既知組成培地中での7日間の培養後には、生存細胞数が最初の細胞数の8%にまで減少する。トランスフェクトしたCOS1細胞に由来する馴化培地の存在下で実施する場合には、in vitroにおける7日間の後に生存細胞を数える。
ニワトリ前駆動物(657株、赤色ラベル)を、実験室から25kmの孵化施設において、この実験のための個別のコンパートメント中に維持した。自然に得られる受精卵を毎週収集し、孵化後、実験室中、17℃(これらの生物学的なゼロ)で維持した。毎日、5個の卵を、加湿チャンバー中で、20℃、24時間、次いで、37℃で136時間インキュベートし、卵の傾斜を間欠的に逆転させる。培養の日に、卵表面をMucocit−Aを用いて洗浄し、次いで、卵を割り、ニワトリ胚をPBS中に移す。(Essential Development Biology、SternおよびHolland編)中のHamburgerおよびHamilton(1951)に従って、目視比較により、各胚の発生の段階が第29段階であることを検証する。それらの胚のうち2つを選び、除核し、眼を、CO非依存性培地(Life technologies)中に移した。網膜を解体し、リンゲル緩衝液中に移し、2回洗浄した。網膜を小片に切断し、トリプシン溶液(0.25%w/v)を用いて37℃で20分間処理する。10%不活性化FCSを補った培地(M199、Life Technologies)を添加することによって、反応を停止する。細胞懸濁液を、25μlのデオキシリボヌクレアーゼI(1mg/ml、Sigma)中で数分間処理する。次いで、細胞懸濁液を、FCSを除去するために、合成培地(Chemical Defined Culture Media)[CDCM、等容積のDMEM培地およびM199培地(Life Technologies)および補充物質(5μg/mlインスリン;5μg/mlトランスフェリン;64nMプロゲステロン;0.1mMプトレシン;5ng/mlセレニウム;3mMタウリン;2.7μMシチジン5’−ジホスホエタノールアミン;5.2μMシチジン5’−ジホスホコリン、0.2μg/mlヒドロコルチゾン;30nM 3,3’−5−トリヨード−L−チロニン;1mMピルビン酸ナトリウム)を有するAB培地、0.3μMプロスタグランジンD2;0.1mg/mlリノール酸]中で2回洗浄する。トリパンブルーを用いて染色した細胞の濃度を、Mallassez細胞を用いて測定し、2つの播種密度(2および4×10細胞/cm)に対応する2つの濃度(5.6および1.12×10細胞/ml)を得る。
トランスフェクトしたCos−1細胞に由来する馴化培地を、氷上で解凍し、50μlを、100μg/mlポリ−L−リジン(Sigma)溶液を用いてコートされている、2つの96ウエル組織培養用処理済黒色プレート(Coming Costar)に移す。
機能アッセイ、LIVE/DEADアッセイ:機能アッセイは、in vitroにおける7日間のインキュベーション後に生存しているニワトリ網膜細胞の数に基づく。発明者らは、それぞれ、生存細胞および死滅細胞を染色する2つの蛍光発生染料(カルセインAMおよびエチジウム二量体)の使用に基づくLIVE/DEADアッセイキット(Molecular Probes、Eugene、USA)を使用した。生存している細胞は、基質(カルセインAM)をその蛍光産物に変換する代謝活性(ここでは、エステラーゼ活性)をプロセッシングし、520nmにおける発光が生じる。死滅細胞の膜透過性が変化し、エチジウム二量体によって核のDNAが染色され、635nmにおける発光が生じる。細胞が生存している場合:485nmにおける励起後の520nmにおける発光、または細胞が死滅している場合:520nmにおける励起後の635nmにおける発光。落射蛍光顕微鏡法を使用して、これらの2つの型の蛍光を発する細胞を別個に可視化することができる。in vitroにおける7日間の後に、細胞を、2.7μMカルセイン−AMおよび0.3mMエチジウム二量体と共に、暗所、室温で30分間インキュベートした。
画像収集および細胞計数:手短に述べると、プレートの各ウエルのデジタル化画像を得るために、画像収集が、各ウエルの自動焦点合わせ、2つの蛍光における自動化細胞計数、それに続く、専門的なソフトウエア、例えば、Metamorph(Universal Imaging Corporation、West Chester、米国)を使用する生データの処理からなった。発明者らは、水銀落射蛍光ランプが装備され、485nmおよび520nmの2つの励起フィルター、520nmおよび635nmの2つの発光フィルター、対物(×10)、コンピュータにより動くステージ(Multicontrol 2000、Martzauzer)、ならびにCCDカメラ(Cohu)を有する倒立顕微鏡(Nikon TE200)を使用した。
プレートを記録するために、プレートを可動ステージ上に位置付け、最初のウエル上に焦点を手作業で合わせ、この面を記録する(z起点)。死滅および生存の画像の閾値を、最初のウエルから設定する。白色光を使用して、最初のウエルの下部とコンピュータモニター上の画像の下部とを手作業で整列させ、次いで、最初のウエルの最右端とコンピュータスクリーン上の画像の右端とを整列させることによって、最初のウエルの中心を整え、これらの2つの位置を記録する。最初のウエルの中心を計算し、プレートの各ウエルの中心の位置を決める。発明者らは、開発プロセス中に、ウエルの縁部の細胞密度がわずかにより高いことを認めるに至り、縁部からの収集を排除した。誤解を招くいずれの結果も回避するためには、各ウエルからの画像が完全に中心に置かれることが重要である。設定したら、プレートの最初のスキャンによって、死滅細胞の記録を実行する。死滅細胞密度は、これらの条件下では変動がより少ない。アプリケーションによって、異なる焦点面における画像を収集し、最も明るい画像、すなわち、焦点がぴったり合っている画像を選ぶことによって、自動焦点合わせを実行する。このz位置を保存し、ステージが、プログラムされているx軸およびy軸の動きを実行し、全部で4つの画像を収集する。これらの画像が1つの画像に最構成されて、ウエル表面の2/3を表す。一連の焦点面からの画像は、制御のために保存される。ステージが、A1ウエルから開始してA12まで、次いで、B12ウエルからB1まで、C1からC12まで等、プレートの各ウエルについて、自動焦点合わせおよび4回の収集を実行する。最後のウエル(H1)を露出過度にするために、最後にステージがプレートの外側に移動する。死滅細胞のスキャンには、30分を要する。2回目のスキャン(生存細胞)を、フィルター交換後に実行する。この2回目のスキャンは、死滅スキャンからの各ウエルの記録されたz位置を使用している。死滅細胞についてと同様に、4つの画像を各ウエルから収集する。2回目のスキャンが終了する(22分)と、死滅および生存の再構成された画像が、ファイル中に保存され、このファイルは、日付を伴って自動的に名付けられる。細胞数(死滅および生存)が、あらかじめ設定されている形態計測パラメータを用いて自動的に数えられ(平均)、実験が正確であるかどうかを点検するために、コンピュータモニター上に表示される。生存細胞数が高過ぎないことを毎日点検することは重要である。ニワトリ網膜細胞は、高過ぎる密度で蒔くと、それら自体の生存因子を産生することによってより長く生存する可能性が非常に高まることを発明者らは観察するに至った。発明者らは、この効果の非存在下で細胞をスクリーニングした。第2のプレート(2倍の密度で蒔かれた細胞を用いた同じ実験)をスキャンする前に、発明者らは、第1のプレートからのログファイル名の終わりに「a」を付加する。各実験の画像をCDロム上に保存した。CDロム上に保存されている各実験の画像を使用し、Metamorphソフトウエアを使用して細胞数(生存および死滅)を数えた。
配列番号1に記載するcDNA配列を含有するベクターを用いてトランスフェクトしたCOS−1細胞に由来する馴化培地は、錐体に富む培養物中の細胞の生存率に対して、空のベクターと比較して正の効果を示した(図1)。この実験は、3回繰り返した。
オープンリーディングフレームの同定
配列番号1の生物情報学的分析から、配列番号2に記載する核酸配列が、オープンリーディングフレーム(ORF)に対応することが予測される。このORFは、配列番号3のポリペプチドをコードする。
配列番号3を使用して、BLAST検索を実施し、マウスゲノムおよびヒトゲノム中の相同配列の同定に至った。配列番号3に記載するラットポリペプチドの、マウスおよびヒトの相同分子種が、配列番号4および配列番号5にそれぞれ記載するポリペプチドである。
配列番号2のLive/deathアッセイ
COS−1細胞を、真核プロモーターの制御下にある配列番号2を運ぶ適切な発現ベクターを用いてトランスフェクトした。対照細胞を、空のベクターを用いてトランスフェクトした。これらの細胞を、配列番号2の発現に適した期間にわたりインキュベートした。それに続いて、配列番号2を用いてトランスフェクトしたCOS−1細胞に由来する馴化培地と共にインキュベートした生存錐体細胞の数、および対照COS−1細胞に由来する馴化培地と共にインキュベートした生存錐体細胞の数を、上記の方法に従って数える。配列番号2を発現している細胞に由来する馴化培地と共にインキュベートした細胞は、顕著により多くの生存細胞の量を示す。
したがって、配列番号1および配列番号2によってコードされるポリペプチドは、錐体救出活性を示すことが可能である。

Claims (16)

  1. 配列番号3、4または5に記載するアミノ酸配列を含む、錐体救出活性を示す100アミノ酸未満のポリペプチド。
  2. 配列番号3、配列番号4または配列番号5のアミノ酸配列からなる、請求項1に記載のポリペプチド。
  3. 請求項1または2に記載のポリペプチドをコードする単離核酸分子。
  4. 前記核酸分子のヌクレオチド配列が、配列番号1または配列番号2に記載するヌクレオチド配列中に存在する、請求項3に記載の単離核酸分子。
  5. 請求項3または4に記載の核酸を含むベクター。
  6. 請求項3もしくは4に記載の核酸または請求項5に記載のベクターによって形質転換されている宿主細胞。
  7. 前記宿主細胞が哺乳動物宿主細胞である、請求項6に記載の宿主細胞。
  8. 請求項1または2に記載のポリペプチドに選択的に結合する抗体。
  9. 試料中の請求項1または2に記載のポリペプチドの存在を検出するための方法であって、
    a)試料を、請求項1または2に記載のポリペプチドに選択的に結合する抗体と接触させるステップと、
    b)前記抗体が、試料中の前記ポリペプチドに結合するかどうかを決定するステップと
    を含む方法。
  10. 試料中の請求項3または4に記載の核酸分子の存在を検出するための方法であって、
    a)試料を、請求項3または4に記載の核酸分子に選択的にハイブリダイズする核酸プローブまたはプライマーと接触させるステップと、
    b)核酸プローブまたはプライマーが、試料中の前記核酸分子に結合するかどうかを決定するステップと
    を含む方法。
  11. 請求項3または4に記載の核酸分子に選択的にハイブリダイズする核酸プローブ又は核酸プライマーを含むキット。
  12. 網膜変性疾患を治療するための請求項1もしくは2に記載のポリペプチドあるいは請求項3または4に記載の単離核酸分子。
  13. 網膜変性疾患を治療するための組成物であって、
    a)請求項1もしくは2に記載のポリペプチドあるいは請求項3または4に記載の単離核酸分子と、
    b)RdCVF1およびRdCVF2からなる群から選択される杆体由来錐体生存因子と
    を含む組成物。
  14. 網膜変性疾患を治療するためのキットであって、
    a)請求項1もしくは2に記載のポリペプチドあるいは請求項3または4に記載の単離核酸分子と、
    b)RdCVF1およびRdCVF2からなる群から選択される杆体由来錐体生存因子と
    を含むキット。
  15. 前記網膜変性疾患が、網膜色素変性症、加齢黄斑変性、バルデ−ビードル症候群、バッセン−コーンツヴァイク症候群、ベスト病、脈絡膜欠如、脳回転状萎縮、レーバー先天黒内障、レフサム病、シュタルガルト病またはアッシャー症候群からなる群から選択される、請求項12に記載のポリペプチドまたは単離核酸分子、あるいは請求項13に記載の組成物、あるいは請求項14に記載のキット。
  16. 前記網膜変性疾患が網膜色素変性症である、請求項12に記載のポリペプチドまたは単離核酸分子、あるいは請求項13に記載の組成物、あるいは請求項14に記載のキット。
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