JP2004537968A - マスター骨形成転写因子:組成物および使用の方法 - Google Patents

マスター骨形成転写因子:組成物および使用の方法 Download PDF

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Abstract

骨芽細胞株によって選択的に発現される新規な遺伝子が、提供される。遺伝子の発現は、骨芽細胞株の細胞(前駆細胞を含む)に高度に制限される。骨形成を刺激するために、骨芽細胞中の新規な遺伝子に結合する薬剤を提供することによって、骨の形成を促進する方法がまた、提供される。 本発明は、骨芽細胞によって発現されることが見出された遺伝子を提供することによって、先行技術に内在していたこれらおよび他の欠点を克服することを追及した。このように、本発明は、骨芽細胞によって発現されかつ骨形成に必要とされる分子をコードする遺伝子(Osterixと称する)の同定に関する。従って、本発明は、一般的に、Osterixタンパク質またはOsterixポリペプチドをコードするDNAセグメントに関する。

Description

【0001】
(発明の背景)
政府は、国立保健研究所からの助成金交付番号HL41264−12に従って、本発明において権利を有する。
【0002】
(1.発明の分野)
本発明は、一般に、骨芽細胞および骨形成におけるその役割に関する。より詳細には、本発明は、骨形成に必要とされる骨芽細胞タンパク質をコードする遺伝子の同定および単離に関する。
【0003】
(2.関連技術の説明)
骨形成は、綿密に制御された発達プロセスであり、このプロセスは、初期の間葉濃縮領域を定義づけるモルフォゲン媒介性のパターン形成シグナルと、次ぐ、軟骨細胞および骨芽細胞を生成するための細胞特異的な分化プログラムの誘導とを含む。位置情報は、hox遺伝子発現の領域特異的パターンと共に、特定の形態形成領域内において細胞から放出される、ソニックヘッジホッグのような分子の勾配を介して伝達される。次いで、これらが、骨の形態形成タンパク質、ならびに軟骨細胞特異的な分化プログラムおよび骨芽細胞特異的な分化プログラムを開始させる関連分子の局在的な生成を調節する。分化は、所定の系統への間葉幹細胞の初期方向付けと、次ぐ、遺伝子発現の組織特異的パターンの誘導とを必要とする。骨芽細胞に特異的な遺伝子発現の制御に関するかなりの情報が、骨において選択的に発現するオステオカルシンのようなタンパク質をコードする遺伝子のプロモーター領域の分析からもたらされた。一般的な転写因子および組織特異的な転写因子の両方が、このプロモーターを制御する。同定された最初の骨芽細胞特異的転写因子であるOsf2/Cbfa1は、骨芽細胞系統において初期に発現され、そして骨芽細胞におけるその選択的発現のために必須のオステオカルシンプロモーター中の特定のDNA配列と相互作用する(Franceschi 1999)。Cbfa1は、破骨細胞分化のために必要とされる。
【0004】
骨粗鬆症において観察される骨塩密度(BMD)の減少は、一部、骨を形成する骨芽細胞の活性減少から生じる(Jackson 2000)。この細胞分化プロセスに関与する転写因子の同定は、骨粗鬆症についての処置プロトコルを開発するにおいて有益であった。他の転写因子も同様に、この分化プロセスに関与する可能性がある。骨粗鬆症のような骨疾患の処置において骨形成を増強するための薬剤開発のために、マスター転写(master transcription)を同定することは有益である。
【0005】
(発明の要旨)
本発明は、骨芽細胞によって発現されることが見出された遺伝子を提供することによって、先行技術に内在していたこれらおよび他の欠点を克服することを追及した。このように、本発明は、骨芽細胞によって発現されかつ骨形成に必要とされる分子をコードする遺伝子(Osterixと称する)の同定に関する。従って、本発明は、一般的に、Osterixタンパク質またはOsterixポリペプチドをコードするDNAセグメントに関する。従って、本発明は、Osterix遺伝子、ならびに、このような遺伝子を作製する方法および使用する方法を提供する。本発明はまた、Osterixに結合し、従ってOsterixの活性を調節する、他のタンパク質に関する。これらのタンパク質を同定する方法もまた記載する。
【0006】
本発明のDNAセグメントはさらに、単離された骨芽細胞遺伝子(この産物が、骨形成に必要とされる)を含むものとして特徴付けられ得る。
【0007】
本発明の好ましいDNAセグメントは、配列番号2からの連続アミノ酸配列を含む、Osterixタンパク質またはOsterixポリペプチドをコードする。あるいは、本発明のDNAセグメントは、配列番号1からの連続核酸配列を含むものとして規定付けられ得る。
【0008】
本発明のOsterixタンパク質またはOsterixポリペプチドは、代表的に、ジンクフィンガードメイン、およびプロリンリッチドメインを含むトランス活性化ドメインを含むものとして特徴付けられる。本発明のOsterixタンパク質は、骨芽細胞によって発現されるものとして、さらに特徴付けられ得る。本発明のOsterixタンパク質は、約46kDaのポリペプチドとして記載され得る。
【0009】
Osterixのジンクフィンガードメインは、配列番号2からの290位〜374位のアミノ酸配列を含むものとして特徴付けられ得る。これはさらに、配列番号4によって規定され得る。
【0010】
Osterixのトランス活性化ドメインは、配列番号2からの27位〜270位のアミノ酸配列を含むものとして特徴付けられ得る。これはさらに、配列番号5によって規定され得る。
【0011】
Osterixのプロリンリッチドメインは、配列番号2からの27位〜192位のアミノ酸配列を含むものとして特徴付けられ得る。これはさらに、配列番号6によって規定され得る。
【0012】
特定の実施形態では、本発明は、約428アミノ酸長のOsterixタンパク質をコードするOsterix遺伝子を提供する。好ましくは、Osterix遺伝子は、配列番号2のアミノ酸配列を有するOsterixタンパク質をコードする。
【0013】
他の好ましい実施形態では、本発明は、配列番号2からの連続アミノ酸配列を含む、Osterixタンパク質またはOsterixポリペプチドをコードするOsterix遺伝子を提供する。
【0014】
本発明のOsterix遺伝子は、好ましくは、cDNAであるが、ゲノムコピーは決して排除されない。Osterix遺伝子は、C2C12マウス細胞株、通常は、骨格筋細胞の前駆体(ATCC # CRL1772)から得られ得るが、他のOsterix遺伝子供給源は排除されない。
【0015】
本明細書中の以下で記載されるような、Osterix遺伝子の生物学的な機能的等価物および構造的等価物もまた、本発明の範囲内に含まれる。
【0016】
特定の好ましいOsterix遺伝子は、配列番号1の核酸配列を含む。しかし、これは決して限定ではなく、本発明の単なる一つの例示的実施形態である。他の多くのこのようなOsterix遺伝子を作製する方法および使用する方法に関する詳細な指針が、本明細書に含まれる。
【0017】
本発明の遺伝子はまた、他のタンパク質をコードする核酸配列に作動可能に連結され得る。これは一般的に、このような核酸構築物の発現の後に、融合タンパク質の生成を生ずる。N末端融合タンパク質およびC末端融合タンパク質の両方が意図される。
【0018】
実質的に任意のタンパク質コードDNA配列もしくはポリペプチドコードDNA配列、またはそれらの組み合わせが、Osterix配列に融合されて、融合タンパク質をコードし得る。これは、標的化ポリペプチド、治療タンパク質、組換え発現のためのタンパク質、1つ以上の標的化ポリペプチドが結合したタンパク質、タンパク質サブユニットなどをコードするDNA配列を含む。当業者は、所望される機能に依存して、融合Osterixタンパク質を得るために任意の配列を使用し得ることを理解する。
【0019】
本発明の別の実施形態は、一般的に、配列番号1の14個連続するヌクレオチドと同じ配列を有するかまたは配列番号1の14個連続するヌクレオチドに相補的である、少なくとも14個連続するヌクレオチドからなる配列領域を含む核酸セグメントとして特徴付けられる、核酸セグメントとして記載され得る。あるいは、本発明の核酸セグメントは、標準的なハイブリダイゼーション条件下で、配列番号1の核酸セグメントまたはその相補体にハイブリダイズする、14〜約10,000ヌクレオチド長の核酸セグメントとして特徴付けられ得る。
【0020】
好ましい核酸セグメントは、配列番号1からの少なくとも14個連続するヌクレオチドまたはその相補体の配列領域を含む。他の好ましい核酸セグメントは、配列番号1の核酸セグメントまたはその相補体にハイブリダイズするセグメントを含む。より好ましい実施形態では、このセグメントは、約25ヌクレオチド長である。あるいは、このセグメントは、約3キロベース対までの長さであり得る。
【0021】
本発明はさらに、Osterix cDNAの5’非翻訳領域(5’UTR)および3’UTR、ならびに、Osterixの隣接領域の5’隣接領域および3’隣接領域を含むDNAセグメントを含む。これらの5’UTRおよび3’UTRのゲノムDNA配列、ならびに、5’隣接配列および3’隣接配列は、Osterix遺伝子の骨芽細胞特異的な転写を調節するという点で重要である。5’隣接配列は、骨芽細胞において外来遺伝子の転写を標的化する際に、特に有用であり得ることが見出された。例えば、本発明者らは、Osterix遺伝子の単離されたプロモーターフラグメントを使用して、トランスジェニックマウスにおいてリポーター遺伝子(例えば、ルシフェラーゼ遺伝子)の転写を駆動する実験を意図する。他の細胞型においてではなく骨芽細胞においてOsterix遺伝子が発現することは、単離されたプロモーターフラグメントが、骨芽細胞特異的なプロモーターであることの指標として使用される。従って、本発明の一つの局面では、選択されたタンパク質をコードする異種遺伝子またはDNAセグメントに対して作動可能に連結された、Osterixの5’隣接領域を含むDNAセグメントを意図する。組織特異的な骨芽細胞プロモーターを使用して、骨芽細胞における遺伝子の標的化された発現を獲得し得る。
【0022】
本発明の別の局面は、一般的に、精製または実質的に精製されたOsterixタンパク質またはOsterixポリペプチドに関する。一般的に、「精製(された)」は、種々の他の成分を取り除くために分画に供されたタンパク質またはポリペプチドの組成物をいい、そしてこの組成物は、その発現された生物学的活性を実質的に保持している。用語「実質的に精製(された)」が使用される場合、この表示は、そのタンパク質またはペプチドが、組成物の主成分を形成する(例えば、組成物中のタンパク質の約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%以上を構成する)組成物をいう。特定の実施形態において、本発明のタンパク質またはポリペプチドは、第二のポリペプチド配列に作動可能に連結され得る。配列番号2からの連続配列を含む約5〜428アミノ酸長の精製または実質的に精製されたポリペプチドが本発明に包含されることもまた意図される。従って、例えば、本発明は、配列番号2の約5個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、55個、60個、65個、70個、75個、80個、85個、90個、95個、100個、110個、120個、130個、140個、150個、160個、170個、180個、190個、200個、210個、220個、230個、240個、250個、260個、270個、280個、290個、300個、310個、320個、330個、340個、350個、360個、370個、380個、390個、400個、410個、415個、420個から428個まで連続するアミノ酸配列のポリペプチドまたはタンパク質を意図する。中間の長さを有するポリペプチドもまた、有用であるとして意図される。さらに、Osterixタンパク質の特定の機能的領域をコードするポリペプチドもまた意図される。従って、配列番号2のアミノ酸番号290〜アミノ酸番号374のジンクフィンガードメインをコードする、配列番号2の約84個連続するアミノ酸を含むポリペプチド;配列番号2のアミノ酸番号27〜アミノ酸番号270のトランス活性化ドメインをコードする、配列番号2の約243個連続するアミノ酸を含むポリペプチド;および、配列番号2のアミノ酸番号27〜アミノ酸番号192のプロリンリッチドメインをコードする、配列番号2の約165個連続するアミノ酸を含むポリペプチドもまた意図される。いくつかのこのような好ましい配列はまた、配列番号4、配列番号5または配列番号6として規定され得る。
【0023】
組換えベクターおよびプラスミドは、本発明の別の重要な局面を形成する。このようなベクターにおいて、Osterix遺伝子は、プロモーター(一般的には、哺乳動物細胞またはヒト細胞において作動的なプロモーター)の転写制御下に位置付けられる。「〜の転写制御下に位置付けられる」とは、Osterix配列が、プロモーターから下流でありかつそのプロモーターの転写制御下に位置付けられ、その結果、哺乳動物宿主細胞またはヒト宿主細胞へのこのベクターの導入に際して、そのプロモーターが、哺乳動物宿主細胞またはヒト宿主細胞中において、コードされるOsterixタンパク質の発現を指示し得ることを意味する。
【0024】
従って、本発明の組換えベクターは、一般的に、プロモーターから下流に作動可能に位置付けられたOsterix遺伝子を含み、ここでこのプロモーターは、哺乳動物細胞またはヒト細胞において、Osterix遺伝子の発現を指示し得る。好ましくは、プロモーターは、Osterixの検出を可能にするに十分な量でのOsterixの発現を指示する。従って、このようなプロモーターは、哺乳動物細胞またはヒト細胞において「作動的」である。
【0025】
本発明に従う発現ベクターおよびプラスミドは、1つ以上の構成的プロモーター(例えば、転写を促進するにおいて一般的に活性であるウイルスプロモーターまたは哺乳動物遺伝子由来のプロモーター)を含み得る。構成的ウイルスプロモーターの例としては、レトロウイルスベクター由来のHSV、TK、RSV、LTRプロモーター配列、SV40およびCMVプロモーターが挙げられ、このうち、CMVプロモーターが、現在好ましい例である。構成的哺乳動物プロモーターの例としては、βアクチンプロモーターによって例示されるような、種々のハウスキーピング遺伝子プロモーターが挙げられる。他のプロモーターは、dectin−1、dectin−2、ヒトCD11c、F4/80、SM22、RSV、SV40、Ad MLP、βアクチン、MHCクラスIまたはMHCクラスIIプロモーターであり得る。
【0026】
誘導性プロモーターおよび/または調節エレメントもまた、本発明の発現ベクターにおける使用が意図される。適切な誘導性プロモーターの例としては、シトクロムP450遺伝子、熱ショックタンパク質遺伝子、メタロチオネイン遺伝子、ホルモン誘導性遺伝子(例えば、エストロゲン遺伝子プロモーター)などのような遺伝子由来のプロモーターが挙げられる。電離放射線への曝露に応答して活性化されるプロモーター(例えば、fos、junおよびegr−1)もまた意図される。
【0027】
組織特異的なプロモーターおよび/または調節エレメントもまた、特定の実施形態において有用である。本発明の発現ベクターにおいて使用され得るこのようなプロモーターの例としては、以下が挙げられる:結腸上皮細胞に特異的な肝臓脂肪酸結合(FAB)タンパク質遺伝子由来のプロモーター;ケラチノサイトに特異的なケラチン遺伝子由来のプロモーター;膵臓細胞に特異的なインスリン遺伝子由来のプロモーター;肝臓細胞に特異的な、トランスフィレチン(transphyretin)、α1−アンチトリプシン、プラスミノゲン活性化因子インヒビター1型(PAI−1)、アポリポタンパク質AIおよびLDLレセプター遺伝子由来のプロモーター;希突起膠細胞に特異的な、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)遺伝子由来のプロモーター;グリア細胞に特異的な、グリア繊維性酸性タンパク質(GFAP)遺伝子由来のプロモーター;眼に標的化するために特異的な、OPSIN由来のプロモーター;および、神経細胞に特異的である神経特異的エノラーゼ(NSE)プロモーター。
【0028】
発現ベクターおよびプラスミドの構築および使用は、当業者に周知である。従って、実質的に任意の哺乳動物細胞発現ベクターが、本明細書に開示される遺伝子と関連して使用され得る。
【0029】
好ましいベクターおよびプラスミドは、少なくとも1つのマルチクローニング部位を有して構築される。特定の実施形態では、発現ベクターは、プロモーターとOsterix遺伝子配列との間に作動可能に位置付けられたマルチクローニング部位を含む。このようなベクターは、他の実施形態におけるその使用に加えて、第二のタンパク質コードDNAセグメントをマルチクローニング部位にクローニングして、その結果、その第二のタンパク質コードDNAセグメントが、Osterix配列と連続しかつインフレームとなることによって、N末端融合タンパク質を作製するために使用され得る。
【0030】
他の実施形態では、発現ベクターは、発現可能なOsterix遺伝子配列から下流に作動可能に位置付けられたマルチクローニング部位を含み得る。これらのベクターは、その使用に加えて、第二のタンパク質コードDNAセグメントをマルチクローニング部位にクローニングして、その結果、その第二のタンパク質コードDNAセグメントが、Osterix配列と連続しかつインフレームとなることによって、C末端融合タンパク質を作製するにおいて有用である。
【0031】
第二のタンパク質またはRNAをコードする核酸セグメントも存在するベクターおよびプラスミドもまた、その核酸セグメント自体の性質とは無関係に、当然ながら、本発明によって包含される。
【0032】
第二のリポーター遺伝子が、本発明の発現ベクター中に含まれ得る。第二のリポーター遺伝子は、第二の転写単位中に含まれ得る。適切な第二のリポーター遺伝子としては、ネオマイシン、ハイグロマイシン、ピューロマイシン、ゼオシン、ミコフェノール酸、ヒスチジノールおよびメトトレキサートのような薬剤に対する耐性を付与する遺伝子が挙げられる。あるいは、リポーター遺伝子は、ルシフェラーゼまたは緑色蛍光タンパク質のような、容易に検出され得る遺伝子であり得る。
【0033】
発現ベクターはまた、IRESエレメント、ポリアデニル化シグナル、スプライスドナー/スプライスアクセプターシグナルなどのような他の核酸配列を含み得る。
【0034】
適切な発現ベクターの特定の例は、組換えアデノウイルス系、組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)系、または組換えレトロウイルス系を使用して、発現のために適合されたベクターである。他の中でも、ワクシニアウイルス、単純ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、および欠損性B型肝炎ウイルスもまた使用され得る。
【0035】
特定の実施形態では、発現ベクターまたはプラスミドは、配列番号1の核酸配列を有するOsterixリポーター遺伝子を含み得る。
【0036】
組換え宿主細胞は、本発明の別の局面を形成する。このような宿主細胞は、一般的に、少なくとも1コピーの単離されたOsterix遺伝子を含む。発現目的のために好ましい細胞は、原核生物宿主細胞または真核生物宿主細胞である。従って、細菌細胞、酵母細胞、真菌細胞、昆虫細胞、線虫細胞および植物細胞のような細胞もまた可能である。最も好ましくは、宿主細胞は、細菌宿主細胞である。好ましい細菌宿主細胞の例は、E.coliである。あるいは、好ましい真核生物宿主細胞の例は、骨芽細胞または間葉前駆細胞である。しかし、他の細胞型が、本発明の細胞型から排除されないことが理解される。
【0037】
特定の実施形態では、組換え宿主細胞は、好ましくは、細胞にOsterixを発現させるかまたはOsterixを発現するように刺激するのに有効な様式で、最も好ましくは、Osterixの検出を可能にするに十分な量で、Osterix遺伝子を組み込む。従って、組換え宿主細胞は、好ましくは、組換えベクターによって細胞中に導入されたOsterix遺伝子を含む。
【0038】
特定の実施形態では、組換え宿主細胞は、好ましくは、Osterixの検出を可能にするに十分な量で、コードされるOsterixタンパク質を生成するようにOsterix遺伝子を発現する。発現されるOsterixタンパク質またはOsterixポリペプチドは、好ましくは、配列番号2からの連続アミノ酸配列を含む。
【0039】
本発明の組換えOsterixタンパク質またはOsterixポリペプチドは、特定の実施形態において、組換え宿主細胞中においてOsterixタンパク質またはOsterixポリペプチドを発現させる工程、および総組換え宿主細胞成分中から、発現されたOsterixタンパク質またはOsterixポリペプチドを精製する工程によって、調製され得る。
【0040】
適切な組換え宿主細胞の例としては、以下が挙げられる;VERO細胞、HeLa細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株の細胞、COS細胞(例えば、例えば、COS−7)、ならびにW138、BHK、HepG2、3T3、RIN、MDCK、A549、PC12、K562および293細胞。
【0041】
哺乳動物から細胞を取り出し、そして限られた期間にわたってその細胞を培養した後に確立された一次細胞株の細胞もまた、本発明の細胞に含まれる。これらの細胞は、人為的に操作され得、そして、その細胞が元々取り出された同一宿主動物に戻され得る。Osterix遺伝子を含むこのような細胞は、その位置とは無関係に、本発明の範囲内に含まれる。
【0042】
当然ながら、組換え細胞はまた、遺伝子治療によって標的化され得るので、動物またはヒト被験体の身体内に位置付けられた細胞を含む。これらの細胞は、遺伝子が得られた様式(例えば、トランスフェクション、感染など)とは無関係に、少なくとも1コピーのOsterix遺伝子またはベクターを含むすべての細胞を含む。
【0043】
ある特定の実施形態では、配列番号1の核酸配列を含むOsterix遺伝子を含む組換え宿主細胞が意図される。
【0044】
Osterix遺伝子を使用する多くの方法は、本発明から獲得される。本発明から獲得されるより特定の方法は、抑制因子、または刺激因子または調節因子を同定する方法であり、この方法は、候補物質と共に、Osterixを発現するか、あるいは発現し得る細胞を混合する工程および候補物質がOsterixの発現を、抑制、刺激または調節するか否かを同定する工程を包含する。Osterixを発現する細胞は、組換えOsterixを発現するように遺伝子操作された細胞または骨芽細胞を含み得る。なお別の実施形態において、Osterix cDNAを含むトランスフェクト細胞は、Osterixの転写制御下にあるレポーター遺伝子と同時にトランスフェクトされ得る。従って、例えば、候補物質がOsterix発現を誘導または刺激する場合、Osterixによりその発現が制御されるレポーター遺伝子は、発現され、そして測定される。このレポーター遺伝子は、ルシフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質またはその発現が容易に検出される他の任意の遺伝子であり得る。
【0045】
従って、Osterix転写のエフェクターを同定する方法が提供され、この方法は、以下の工程を包含する:(i)Osterixを発現するベクターおよびOsterix発現を測定するレポーター遺伝子、ならびに(ii)候補物質を混合する工程、ならびにこのOsterixによるレポーター遺伝子の転写を変更する候補物質を同定する工程。Osterixを発現するベクターは、組換えOsterixを発現する遺伝子操作細胞において含まれ得る。
【0046】
エフェクターは、Osterixによる前駆細胞の骨芽細胞への細胞分化を、刺激または調節する物質である。
【0047】
本発明はまた、刺激因子を同定する方法を提供し、この方法は以下の工程を包含する:a)Osterixを発現する能力のある前駆細胞集団を含む組成物を混合する工程;b)候補物質とこの混合物をインキュベートする工程;c)前駆細胞の分化についてこの混合物を試験する工程;およびd)前駆細胞の骨芽細胞への分化を刺激する候補物質を同定する工程。いくつかの実施形態において、前駆細胞は、間葉前駆細胞であり得る。
【0048】
本発明はまた、抑制因子または刺激因子を同定する方法を提供し、この方法は以下の工程を包含する:(a)Osterixを発現する組換え細胞の集団を含む第1の組成物と骨芽細胞集団を含む第2の組成物とを混合する工程;(b)候補物質と共にこの混合物をインキュベートする工程;(c)骨芽細胞の活性化についてこの混合物を試験する工程;および(d)骨芽細胞の活性化を、抑制または刺激する候補物質を同定する工程。
【0049】
本発明は、さらに骨芽細胞において、Osterixに結合することによって、Osterixの活性を調節する因子を提供する。これらの因子は、骨形成のOserix媒介性の活性化を、抑制、刺激または調節し得る。従って、これらの因子は、骨粗鬆症、骨折修復の加速、骨組織再構築および他の骨障害のための治療に有効に使用され得る。より好ましい実施形態において、本発明のこれらの因子は、薬学的に受容可能な媒体において処方される。いくつかの実施形態において、これらの因子は、骨芽細胞において天然に存在するタンパク質であり得る。
【0050】
それゆえ、これらの因子(タンパク質)は、酵母ツーハイブリット法によって同定され得る。この因子はまた、骨芽細胞からOsterixを沈殿させるためにOsterix特異的抗体を使用し、それにより、Osterixに結合し、そして調節するいくつかの因子を共沈させることによって同定され得る。共沈された因子は、タンパク質配列決定または当業者に公知の他の方法により同定され得る。
【0051】
Osterix遺伝子、タンパク質、骨細胞の分化を活性化するか、または刺激するタンパク質と相互作用する因子は、以下のいくつかの骨障害の処置のために使用され得る:例えば、骨粗鬆症、グルココルチコイド誘導性骨粗鬆症、パジェット病、骨代謝回転の異常な増加、歯周病、歯の欠損、骨折、慢性関節リウマチ、補綴周囲の(periprosthetic)骨溶解、骨形成不全症、転移性骨疾患、悪性高カルシウム血症など。
【0052】
長年にわたる特許法上の習慣に従って、単語「a」および「an」は、本明細書(特許請求の範囲を含む)において単語と共に使用される場合、「1つ以上」を意味する。
【0053】
本発明の他の目的、特徴および利益は、以下に記載される説明から明らかとなる。しかしながら、本発明の精神および範囲内にある種々の変更および改変は、この詳細な説明から当業者に明らかなので、本発明の好ましい実施形態とは示されているものの詳細な説明および特定の実施例は、例示のみのために提供されることが理解されるべきである。
【0054】
(例示的な実施形態の説明)
(A.序論)
骨形成は、間葉細胞前駆体の、骨芽細胞への分化を含む複雑なプロセスである。骨芽細胞前駆体と骨芽細胞系列の細胞との相互作用は、骨芽細胞形成に欠くことができない。骨芽細胞特異的転写因子Cbfa1は、相当長い間、骨芽細胞の分化に必須であることが公知である。この分化経路を制御する他の転写因子もまた存在することが推測された。
【0055】
本発明者らは、骨芽細胞が、これまで未知の少なくとも1つの転写因子を、最初に骨芽細胞となった時点で特異的に発現することを示した。この遺伝子は、骨芽細胞分化の時点で新生骨において発現され、そしてまた、二次骨化中心において、より後にも発現され、このことは、その発現が、より成熟した骨芽細胞において維持されることを示す。本発明者らは、この遺伝子を不活化し、そしてこの遺伝子についてホモ接合性変異体であるマウスを作製した。これらのマウスは、骨を完全に欠く。従って、Osterixは、骨芽細胞分化を制御するマスター転写因子である。
【0056】
本発明者らは、この分子を、配列番号2に規定されるとおりの、428アミノ酸を含むと特徴付けした。さらに、この同定された分子は、ジンクフィンガードメインおよびプロリンリッチドメインを含むトランス活性化ドメインからなる。骨芽細胞および骨芽細胞の前駆細胞中の遺伝子発現の特殊化に起因して、本発明者らは、同定された428アミノ酸分子に「Osterix」との名称を付けた。
【0057】
Osterixのジンクフィンガードメインは、配列番号2のアミノ酸290〜374によって規定される、これまで記載された転写因子Sp−1、Sp−2、Sp−3およびSp−4中の類似のモチーフとの相同性を顕著に示す(図2Bを参照のこと)、3つのジンクフィンガーを含むとさらに特徴付けられ得る。しかし、この3つのジンクフィンガーを含むドメインの外側では、Osterixタンパク質は、これらの4つの転写因子とも、他のあらゆる転写因子とも、何の相同性も示さなかった。対照的に、Sp−1、Sp−2、Sp−3およびSp−4は、それらのジンクフィンガードメインの内側および外側の両方でかなりの相同性を示す。
【0058】
本発明者らは、マウスOsterixのカルボキシ末端に存在するペプチドを用いて抗Osterix抗体を作製した。この抗体は、BMP2処理C2C12細胞中に存在する約49kDaの移動度のポリペプチドを認識した。このポリペプチドは、マウスOsterix cDNAを発現するベクターを用いたCOS7細胞のトランスフェクション後に検出された組換えタンパク質と同じ移動度を有した(図3)。
【0059】
本明細書中以下で使用される場合、用語Osterixは、全長分子だけでなく、この分子のアイソフォーム、グリコシル化形態および非グリコシル化形態、ならびにOsterixファミリーの他のメンバーを含むと解釈されるものとする。異なるアイソフォームは、骨芽細胞調製物(例えば、BMP2処理C2C12株)の抽出物から、Osterixの異なるドメインに対するポリクローナル抗Osterix抗体またはモノクローナル抗体(MAb)を用いる免疫沈降によって精製され得る。異なるアイソフォームもまた、組換え形態で生成され得る。この目的のために、各アイソフォームをコードするcDNAは、細菌、酵母細胞、昆虫細胞または哺乳動物細胞において発現され、そして発現されたタンパク質は、Osterixに対する抗体を用いて精製される。
【0060】
本発明者らは、本明細書中に記載されるOsterixタンパク質および/またはOsterixポリペプチドが、骨形成を制御するために機能するだけでなく、特定の抗原(例えば、抗原の炭水化物部分またはペプチド部分)の効果的認識および取込みをも媒介してこのタンパク質を活性化し得、そして骨形成を刺激し得ることを意図する。さらに、本明細書中に記載されるタンパク質および/またはポリペプチドは、可溶性分子(例えば、サイトカイン、増殖因子、化学的メディエーター)のレセプターとして;骨芽細胞の移動を媒介するホーミング/接着/ローリング(rolling)レセプターとして;それによって骨芽細胞の機能を調節するシグナル伝達レセプターとして;および/またはそれによってそれらの機能を調節し得る骨芽細胞上のシグナル伝達レセプターリガンドとして役立ち得る。さらに、本発明のタンパク質および/またはポリペプチドは、Osterixをまた認識する、非骨芽細胞集団(例えば、軟骨細胞、例えば歯などにおける間葉細胞、または他の細胞型)へと活性化シグナルを伝達し得る。
【0061】
(B.OsterixについてのDNAセグメントおよびRNAセグメント)
(1.DNAセグメント)
本発明の重要な局面は、Osterixをコードする、単離されたDNAセグメントおよび組換えベクター、ならびにOsterixを発現するDNA技術の適用を通した組換え宿主細胞の作製および使用に関する。
【0062】
より詳細には、本発明は、他の哺乳動物ゲノムDNAセグメントまたは総染色体から単離された哺乳動物DNAセグメントに関する。本発明のOsterixDNAセグメントについての好ましい供給源は、ヒト遺伝子配列である。本発明のOsterix配列をクローニングする際に、確立された骨芽細胞株を有利に選択し得る。しかし、他の供給源(例えば、少なくともいくつかの骨芽細胞を含む、cDNAライブラリーまたはゲノムライブラリー)は同じ程度に適切である。特に、本発明のDNAセグメントは、C2C12(ATCC # CRL 1772)と名付けられた、BMP2処理マウス細胞株(これは通常、骨格筋細胞の先駆体である)から単離可能であることが見出されている。本発明のDNAセグメントは、組換え宿主細胞に組み込まれた場合、Osterix様活性またはOsterix様特性(例えば、本明細書中で以下で規定された)を組換え宿主細胞へと付与し得る。
【0063】
本明細書中で使用される場合、用語「DNAセグメント」とは、特定の種の、総ゲノムDNAおよび染色体を含まない、実質的に単離されたDNA分子をいう。それゆえ、OsterixをコードするDNAセグメントとは、比較的多数の骨芽細胞を含むことが既知の組織またはBMP2処理C2C12株の総ゲノムDNAからなお単離されたかまたは精製された、Osterixコード配列を含むDNAセグメントをいう。用語「DNAセグメント」に含まれるのは、DNAセグメントおよびこのようなセグメントのより小さなフラグメント、ならびにまた、組換えベクター(例えば、プラスミド、コスミド、ファージ、ウイルスなどを含む)である。
【0064】
同様に、単離または精製されたOsterix遺伝子を含むDNAセグメントとは、天然に存在する他の遺伝子またはタンパク質コード配列から実質的に単離されている、Osterixコード配列および特定の局面では調節配列を含む、DNAセグメントをいう。この局面では、用語「遺伝子」は、簡略化のために、ポリペプチドまたは機能的タンパク質をコードするDNAセグメントを言及するために用いられる。当業者によって理解されるように、この機能的用語は、タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドを発現するかまたは発現するように適用され得る、ゲノム配列、cDNA配列およびより小さな操作された遺伝子セグメントの両方を含む。
【0065】
「他のコード配列から実質的に単離された」とは、目的の遺伝子(この場合、Osterix)が、DNAセグメントのコード領域の重要な部分を形成することおよびこのDNAセグメントが天然に存在するコードDNAの大きな部分(例えば、大きな染色体フラグメントまたは他の機能的遺伝子もしくはcDNAコード領域)を含まないことを意味する。もちろん、これは、もともと単離されたDNAセグメントを言及し、そして後で人工的にこのセグメントに付加された遺伝子もコード領域も排除しない。
【0066】
特定の実施形態では、本発明は、配列番号2によるアミノ酸配列(ヒトまたは哺乳動物のOsterixに対応する)をそのアミノ酸配列内に含む、Osterixタンパク質またはOsterixポリペプチドをコードするDNA配列を組み込んだ、単離されたDNAセグメントおよび組換えベクターに関する。
【0067】
特定の実施形態では、本発明は、本質的に配列番号2に示すとおりのアミノ酸配列をそのアミノ酸配列内に含む、タンパク質またはポリペプチドをコードする単離されたDNAセグメントおよび組換えベクターに関する。もちろん、このDNAセグメントもしくはベクターが全長Osterixタンパク質をコードする場合、またはこれらがOsterixタンパク質を発現する際に使用されることが意図される場合、最も好ましい配列は、本質的に配列番号2に示すとおりの配列および(例えば、本明細書中に開示されるような、任意の適切なアッセイによって決定され得るような)骨芽細胞/骨芽細胞転写活性を保持するタンパク質コードする配列である。
【0068】
用語「本質的に配列番号2に示すとおりの配列」とは、この配列が、配列番号2の一部に実質的に対応し、そして配列番号2のアミノ酸に同一でないかまたは生物学的に機能的に等価でないアミノ酸が比較的少ないことを意味する。用語「生物学的に機能的に等価」は、当該分野で周知であり、そしてさらに本明細書中で詳細に定義される。従って、配列番号2のアミノ酸と同一であるかまたは機能的に等価な、約70%と約80%との間(またはより好ましくは約81%と約90%との間;またはさらにより好ましくは約91%と約99%との間)のアミノ酸を有する配列は、「本質的に配列番号2に示すとおり」である配列である。
【0069】
特定の他の実施形態では、本発明は、本質的に配列番号1に示すとおりの核酸配列をその配列内に含む、単離されたDNAセグメントおよび組換えベクターに関する。用語「本質的に配列番号1に示すとおり」は、上記と同じ意味で用いられ、そして核酸配列が配列番号1の一部に実質的に対応し、かつ配列番号1のコドンと同一でないかまたは機能的に等価でないコドンが比較的少ないことを意味する。さらに、骨芽細胞転写活性を示すタンパク質をコードするDNAセグメントが最も好ましい。用語「機能的に等価なコドン」は、同じアミノ酸をコードするコドン(例えば、アルギニンまたはセリンについての6個のコドン)を言及するように、そしてまた生物学的に等価なアミノ酸をコードするコドンを言及するように、本明細書中で用いられる。表1は、アミノ酸および各アミノ酸をコードするコドンを示す。
【0070】
【表1】
Figure 2004537968
高レベルのタンパク質産生が、骨芽細胞分化に関する基準を下げることによって達成され得ることは、特定の局面において、本発明の範囲内である。特定の実施形態において、活性を欠くタンパク質を産生することは、本発明の範囲内である。このようなタンパク質は、非常に高容量において、そのタンパク質に対する抗体を惹起するために有用であり得る。他の局面において、活性が所望であり、そして詳細な例は、骨芽細胞分化活性を維持するタンパク質および/またはポリペプチドを得るための好ましい方法を説明する。
【0071】
アミノ酸配列および核酸配列は、さらなるN末端アミノ酸またはC末端アミノ酸、あるいは5’配列または3’配列のようなさらなる残基を含み得、そしてその配列が上記の基準(タンパク質発現が考慮される場合、骨芽細胞分化活性の維持が挙げられる)に合う限り、依然として、本質的に、本明細書中に開示される配列の1つに記載されるようなものであることもまた、理解される。末端配列の付加は、例えば、コード領域の5’部分または3’部分のいずれかに隣接する種々の非コード配列を含み得るか、あるいは遺伝子内に生じることが既知である種々の内部配列(すなわち、イントロン)を含み得る核酸配列に特に適用される。
【0072】
イントロン領域または隣接領域を除いて、そして遺伝コードの縮重を入れて、約65%と約80%との間、またはより好ましくは、約80%と約90%との間;またはなおより好ましくは、約90%と約99%との間の、配列番号1のヌクレオチドと同一のヌクレオチドを有する配列は、「本質的に配列番号1に記載されるような」配列である。配列番号1に記載される配列と本質的に同じである配列はまた、比較的ストリンジェントな条件下で、配列番号1の相補体を含む核酸セグメントにハイブリダイズし得る配列として、機能的に定義され得る。適切な比較的ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、当業者に周知であり、そして本明細書中に明白に記載されており、例えば、比較的低い塩および/または高温の条件(例えば、高い選択性を必要とする適用に対して、50℃〜70℃の温度で、0.02M〜0.15M NaClによって提供されるような)のような条件である。このような比較的ストリンジェントな条件は、プローブとテンプレートまたは標的鎖との間の、もしあったとしてもほとんどないミスマッチを許容し、そしてOsterix遺伝子を単離するために特に適切である。
【0073】
例えば、マウス組織(例えば、骨芽細胞および二次骨形成中心)ならびに細胞株(例えば、C2C12株)におけるOsterix mRNAの発現は、高ストリンジェントな条件下(65℃で0.12M NaCl)で、ノーザンブロッティングにおいて、全長cDNAプローブ(すなわち、配列番号1)を用いて、容易に検出可能であった。同様に、Osterix mRNAは両方、RT−PCRTMによって検出可能であった。これらの結果は、マウスOsterix mRNAが、配列番号1のヌクレオチドと同一であるかまたはこのヌクレオチドを含むヌクレオチド配列(cDNAのプローブまたはプライマーのいずれかとして)を用いて検出可能であることを示す。Osterix抗体が転写研究に添加された場合、DNA結合は特異的に阻害された(図4Aおよび図4B)。組換えOsterixが、コンセンサスSP1オリゴヌクレオチドに結合することもまた、示された。アミノ酸残基27〜192の間のプロリンリッチセグメントは、強力な転写活性化活性を有した。従って、Osterixは、転写因子の原則的な特徴を示した。Osterixはさらに、核タンパク質であることが示された。
【0074】
戻し交配マウスから得られたゲノムDNAのパネルを使用して、マウスゲノムにおいて、Osterixに関する遺伝子をマッピングした。戻し交配した動物を、(C57BL/6J×M Spretus)マウスとJackson Laboratoryにより提供されたC57BL/6Jマウスとの間の交配から生成した。この遺伝子は、マウスの第15染色体に対して、ヒトにおける染色体12q13と相同領域にマッピングされることが示された(図8Aおよび図8B)。
【0075】
当然、本発明はまた、配列番号1に記載される配列と相補的であるか、または本質的に相補的である、DNAセグメントを包含する。「相補的な」核酸配列とは、標準的なワトソン−クリック相補規則に従って塩基対合し得る配列である。すなわち、より大きなプリンがより小さなピリミジンと常に塩基対合して、シトシンと対合したグアニン(G:C)、およびDNAの場合にはチミンと対合したアデニン(A:T)、またはRNAの場合にはウラシルと対合したアデニン(A:U)の組合せのみを形成する配列である。
【0076】
本明細書中において使用される場合、用語「相補的配列」とは、上記の同じヌクレオチド比較によって評価され得る場合、または本明細書中に記載される条件のような比較的ストリンジェントな条件下で、配列番号1の核酸セグメントにハイブリダイズし得ると定義される場合に、実質的に相補的である核酸配列を意味する。従って、これらの相補的配列は、その全長にわたって実質的に相補的であり、そして非常に少ない塩基ミスマッチを有する。例えば、6塩基長の核酸配列は、これらが1つのみのミスマッチを有して6つの位置のうちの5つでハイブリダイズする場合に、相補的であると称され得る。当然、「完全に相補的な」核酸配列とは、その全長にわたって完全に相補的であり、そして塩基ミスマッチを有さない、核酸配列である。等価なものは、転写活性を示す。これは、この核酸配列を非Osterix核酸配列から区別する1つの特徴である。
【0077】
アンチセンス構築物は、DNA分子(例えば、遺伝子またはcDNAであり、遺伝子のエキソンとイントロンとの両方、およびエキソン:イントロンの境界を含む)のコードセグメントに対して相補的なヌクレオチドを含む、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドである。アンチセンス分子は、所定の遺伝子または構築物の転写、翻訳またはこれらの両方を阻害するよう設計され、その結果、得られるタンパク質産物のレベルが低減または減少される。アンチセンスRNA構築物、またはこのようなアンチセンスRNAをコードするDNAを使用して、インビトロまたはインビボのいずれかで、宿主細胞において(例えば、ヒト被験体を含む宿主動物において)、遺伝子の転写または翻訳、あるいはその両方を阻害し得る。
【0078】
(2.ハイブリダイゼーションプローブ)
本発明の核酸セグメントは、コード配列自体の長さにかかわらず、他のDNA配列(例えば、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、さらなる制限酵素部位、マルチクローニング部位、他のコードセグメントなど)と組み合わせられ得、その結果、それらの全体の長さは、大いに変動し得る。従って、ほとんど任意の長さの核酸フラグメントが使用され得ることが意図され、全長は、好ましくは、調製の容易さ、および意図される組換えDNAプロトコルにおける用途によって制限される。Osterixタンパク質の発現を指向する際のそれらの用途に加えて、本明細書中に開示される核酸配列はまた、他の種々の用途を有する。例えば、これらはまた、核酸ハイブリダイゼーションの実施形態において、プローブまたはプライマーとしての有用性を有する。従って、配列番号1の14ヌクレオチド長の連続する配列と同じ配列を有するか、またはこの配列に相補的である、少なくとも14ヌクレオチド長の連続配列からなる配列領域を含む、核酸セグメントが、特定の有用性を見出すことが意図される。同一であるかまたは相補的である、より長い連続配列(例えば、約14、15、16、17、20、30、40、50、100、200、500、1000、1100、1200、1248、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900〜2950(全ての中間の長さを含む)のヌクレオチドの配列)、および約2.9kbの全長配列までさえもがまた、特定の実施形態において有用である。
【0079】
「中間の長さ」とは、この文脈において、示された範囲の間の任意の長さ(例えば、14、15、16、17、18、19、20など;21、22、23など;30、31、32など;50、51、52、53など;100、101、102、103など;150、151、152、153など;200〜500;500〜1,000;1,000〜2,000;2,000〜3,000;3,000〜5,000;5,000〜10,000の範囲にわたる全ての整数を含み、そして約12,001、12,002、13,001、13,002まで(これらの値を含む)などの配列)を意味することが、容易に理解される。
【0080】
このような核酸プローブがOsterixコード配列に特異的にハイブリダイズする能力は、これらが所定のサンプルにおける相補的配列の存在を検出する際に有用であることを可能にする。しかし、他の用途が予測され、これには、変異体種のプライマー、または他の遺伝構築物を調製する際の使用のためのプライマーの調製のための、配列情報の使用が挙げられる。
【0081】
配列番号1と同一であるかまたは相補的である、10、20、30、50、または100〜200もなどのヌクレオチドの連続したヌクレオチドストレッチからなる配列領域を有する核酸分子は、例えば、サザンブロッティングおよびノーザンブロッティングにおける使用のためのハイブリダイゼーションプローブとして、特に意図される。これは、Osterixの構造遺伝子または調節遺伝子が、組織および細胞の両方において分析されることを可能にする。本発明者らは、Osterixに対するヒトDNAを生成した。このヒトcDNAの推定アミノ酸配列は、マウス配列と95%同一である(図10)。本発明者らはまた、ヒトOsterixに対するゲノムDNAの配列を同定した。フラグメントの全サイズ、および相補的ストレッチのサイズは、最終的に、特定の核酸セグメントの意図される使用または適用に依存する。より小さなフラグメントは、一般に、ハイブリダイゼーションの実施形態において用途を見出し、ここで、連続する相補領域の長さは変動し得る(例えば、約10ヌクレオチドと約100ヌクレオチドとの間)が、検出することが望まれる相補的配列の長さに従って、約2.9kbまでのより大きな連続した相補的ストレッチが使用され得る。
【0082】
約10〜14ヌクレオチド長のハイブリダイゼーションプローブの使用は、安定かつ選択的な二重鎖分子の形成を可能にする。10塩基長より長いストレッチにわたる連続した相補的配列を有する分子が、一般に好ましいが、ハイブリッドの安定性および選択性を増加させ、それによって、得られる特異的ハイブリッド分子の質および程度を改善するためには、一般に、15〜20の連続したヌクレオチド、または望ましい場合にはなおより長いヌクレオチドの遺伝子相補的ストレッチを有する核酸分子を設計することが、好ましい。
【0083】
ハイブリダイゼーションプローブは、本明細書中に開示される配列のいずれかの任意の部分から選択され得る。必要とされることの全ては、配列番号1に記載の配列を再検討し、そしてプローブまたはプライマーとして利用することを望む約10ヌクレオチド長から全長配列まで(全長配列を含む)の配列の任意の連続した部分を選択することである。プローブ配列およびプライマー配列の選択は、種々の要因によって支配され得る。例えば、例のみとして、さらなるDNAを増幅するために、全配列の末端の近く由来のプライマー、または機能的ドメインをコードする配列の末端由来のプライマーを使用することを望み得る;DNA全体、またはジンクフィンガー領域、またはプロリンリッチ配列に対応するプローブを使用して、他の種由来のOsterix型遺伝子をクローニングし得るか、またはヒトを含む任意の種由来のさらなるOsterix様遺伝子もしくは相同遺伝子をクローニングし得る;そしてジンクフィンガーまたはプロリンリッチ配列を中心とした配列を有する、野生型および変異体のプローブまたはプライマーを使用して、OsterixについてDNAサンプルをスクリーニングし得る。さらに、異なるOsterixアイソフォーム周辺を中心とする配列を有するプローブまたはプライマーを使用し得る。
【0084】
配列番号1から連続した配列を含む核酸セグメントを選択および調製するプロセスは、代替的に、核酸フラグメントの調製として記載され得る。もちろん、フラグメントはまた、他の技術によって(例えば、機械的せん断によってかまたは制限酵素消化によって)得られ得る。小さな核酸セグメントまたはフラグメントは、自動化オリゴヌクレオチド合成機を使用して通常実施されるように、例えば、化学的手段によってフラグメントを直接合成することによって、容易に調製され得る。また、フラグメントは、核酸再生技術(例えば、米国特許第4,683,202号および米国特許第4,682,195号(各々が本明細書中に参考として援用される)のPCRTM技術)の適用によって、選択された配列を組換え産生のための組換えベクターに導入することによって、および分子生物学の当業者に一般的に公知の他の組換えDNA技術によって、得られ得る。
【0085】
従って、本発明のヌクレオチド配列は、それらがOsterix遺伝子またはcDNAの相補的ストレッチと二重鎖分子を選択的に形成する能力のために、使用され得る。予測される適用に依存して、種々の条件のハイブリダイゼーションを使用して、標的配列に対するプローブの種々の程度の選択性を達成することが望まれる。高い選択性を必要とする適用については、代表的に、ハイブリッドを形成するために、比較的ストリンジェントな条件を使用することが望まれる。例えば、比較的低い塩および/または高温の条件(例えば、50℃〜70℃の温度で、0.02M〜0.15M NaClによって提供されるような)が選択される。このような選択条件は、プローブとテンプレートまたは標的鎖との間の、もしあったとしてもほとんどないミスマッチを許容し、そしてOsterix遺伝子を単離するために特に適切である。
【0086】
もちろん、いくつかの適用(例えば、基礎をなすテンプレートにハイブリダイズした変異体プライマー鎖を使用して、変異体を調製することを望む適用、または関連する種由来のOsterixコード配列、機能的等価物などを単離することを求める適用)については、ヘテロ二重鎖の形成を可能にするために、より低いストリンジェントのハイブリダイゼーション条件が、代表的に、必要とされる。これらの状況において、20℃〜55℃の範囲にわたる温度で0.15M〜1.0Mの塩のような条件を使用することが望まれ得る。これによって、交差ハイブリダイズ種が、コントロールハイブリダイゼーションに対して陽性にハイブリダイズするシグナルとして、容易に同定され得る。実際に、本発明者らはまた、低ストリンジェンシーな条件下(1M NaCl、30〜45%ホルムアミド、10%硫酸デキストラン、37℃)で、マウスOsterixの配列(配列番号9)とヒトcDNAをサザンハイブリダイゼーションさせることによって、マウスOsterixに対するヒト等価物を検出し得た。いずれの場合においても、NaCl濃度を低下させることによって、または漸増量のホルムアミドの添加によって、条件はよりストリンジェントにされ得、これは、上昇した温度と同じ様式で、ハイブリッド二重鎖を不安定化させるよう働くことが、一般的に理解される。従って、ハイブリダイゼーション条件は容易に操作され得、従って、一般に、所望の結果に依存する、えり抜きの方法である。
【0087】
特定の実施形態において、ハイブリダイゼーションを決定するために、本発明の核酸配列を適切な手段(例えば、標識)と組み合わせて使用することは、有利である。広範な種々の適切な指示薬手段が、当該分野において公知であり、これには、蛍光リガンド、放射性リガンド、酵素リガンド、または検出可能なシグナルを与え得る他のリガンド(例えば、アビジン/ビオチン)が挙げられる。好ましい実施形態において、放射性試薬または他の環境的に望ましくない試薬の代わりに、蛍光標識または酵素タグ(例えば、ウレアーゼ、アルカリホスファターゼまたはペルオキシダーゼ)を使用することが、望ましいようである。酵素タグの場合には、ヒトの目によってかまたは分光測光的に可視の手段を提供して、相補的な核酸を含むサンプルとの特異的なハイブリダイゼーションを同定するために使用され得る比色定量指示薬基質が公知である。
【0088】
一般に、本明細書中に記載されるハイブリダイゼーションプローブは、溶液ハイブリダイゼーションおよび固相を使用する実施形態の両方における試薬として有用であることが、予測される。固相を含む実施形態において、試験DNA(またはRNA)が、選択されたマトリックスまたは表面に、吸着または他の様式で固定される。次いで、この固定された一本鎖核酸は、所望の条件下で、選択されたプローブとの特異的ハイブリダイゼーションに供される。選択される条件は、必要とされる特定の基準(例えば、G+C含有量、標的核酸の型、核酸の供給源、ハイブリダイゼーションプローブの大きさなどに依存する)に基づく特定の状況に依存する。非特異的に結合したプローブ分子を除去するための、ハイブリダイズした表面の洗浄に続いて、標識によって、特異的ハイブリダイゼーションが検出されるか、または定量さえされる。
【0089】
本発明は、配列番号1という特定の核酸配列および配列番号2という特定のアミノ酸配列に限定されないこともまた、理解される。従って、組換えベクターおよび単離されたDNAセグメントは、Osterixコード領域自体、基本的なコード領域における選択された変更もしくは改変を保有するコード領域を様々に含み得るか、またはこれらは、それにもかかわらずOsterixコード領域を含む、より大きなポリペプチドをコードし得るか、または改変体アミノ酸配列を有する、生物学的に機能が等価なタンパク質もしくはポリペプチドをコードし得る。
【0090】
本発明のDNAセグメントは、生物学的に機能が等価なOsterixタンパク質およびポリペプチドを包含する。このような配列は、核酸配列および従ってコードされるタンパク質に天然に存在することが公知である、コドンの縮重および機能的等価性の結果として生じ得る。あるいは、機能的に等価なタンパク質またはポリペプチドは、組換えDNA技術の適用を介して作製され得、ここで、タンパク質構造における変化は、交換されるアミノ酸の特性の考慮に基づいて、操作され得る。ヒトによって設計される変化は、部位特異的変異誘発技術の適用を介して導入されて、例えば、タンパク質の抗原性に改善を導入し得るか、または分子レベルで転写活性を試験するために、Osterix変異体を試験し得る。
【0091】
所望であればまた、例えば、Osterixコード領域が、例えば、精製または免疫検出の目的で、所望の機能を有する他のタンパク質またはポリペプチドと同じ発現ユニットにおいて整列している、融合タンパク質およびポリペプチドを調製し得る(例えば、それぞれアフィニティークロマトグラフィーによって精製され得るタンパク質、または酵素標識コード領域によって同定され得るタンパク質)。
【0092】
(3.組換えベクターおよびタンパク質発現)
組換えベクターは、本発明のさらなる重要な局面を形成する。特に有用なベクターは、DNAセグメントのコード部分(全長タンパク質をコードしていてもより小さなポリペプチドをコードしていても)がプロモーターの制御下におかれているベクターであることが意図される。プロモーターは、例えば骨芽細胞において、コードセグメントまたはエキソンの上流に位置する5’非コード配列を、例えば、組換えクローニングおよび/またはPCRTMの技術を、本明細書中に開示される組成物と組み合わせて使用して、単離することによって得られ得るような、Osterix遺伝子と天然に会合するプロモーターの形態であり得る(PCRTMの技術は、米国特許第4,683,202号および米国特許第4,682,195号(各々が本明細書中に参考として援用される)に開示されている)。
【0093】
(a.プロモーターおよびエンハンサー)
哺乳動物細胞においてタンパク質コード遺伝子の転写を制御するプロモーターおよびエンハンサーは、複数の遺伝エレメントを含む。細胞の機構(machinery)は、各エレメントにより運ばれる調節情報を収集および統合し得、異なる遺伝子が、異なる、しばしば複雑なパターンの転写調節を発展させることを可能にする。
【0094】
用語プロモーターは、本明細書において、RNAポリメラーゼIIのための開始部位の周囲にクラスター形成した転写制御モジュールの群をいうために使用される。プロモーターがどのように組織化されるかに関する判断の多くは、いくつかのウイルスプロモーター(HSVチミジンキナーゼ(tk)およびSV40初期転写ユニットのためのプロモーターが挙げられる)の分析に由来する。より最近の研究によって増加した、これらの研究は、プロモーターが、不連続な機能的モジュールを含み、各々のモジュールが、約7〜20bpのDNAからなり、そして転写アクチベータータンパク質のための1つ以上の認識部位を含むことを示した。各プロモーターにおける少なくとも1つのモジュールは、RNA合成のための開始部位の位置を決めるよう機能する。この最も知られた例は、TATAボックスであるが、TATAボックスを欠くいくつかのプロモーター(例えば、哺乳動物ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ遺伝子のためのプロモーターおよびSV40後期遺伝子のためのプロモーター)においては、開始部位自体に重なる不連続なエレメントが、開始の位置を固定することを補助する。
【0095】
さらなるプロモーターエレメントは、転写開始の頻度を制御する。近年、多数のプロモーターが、その開始部位から下流に機能的エレメントを含むことが示されているが、代表的には、これらのエレメントは、開始部位の30−110bp上流の領域に位置する。エレメント間の間隔は、フレキシブルであり、その結果、プロモーター機能は、エレメントがお互いに対して逆向きになった場合でも、または移動された場合でも、維持される。tkプロモーターにおいて、エレメント間の間隔は、活性が減少し始めるまで、50bp離れるまで、増加し得る。プロモーターに依存して、個々のエレメントは、転写を活性化するために、共同的に、または独立してのいずれかにおいて、機能し得るようである。
【0096】
エンハンサーは、最初は、DNAの同一分子上において、離れた場所に位置する、プロモーターからの転写を増加する遺伝エレメントであるとして検出された。離れた距離にわたって作用するこの能力は、原核生物転写調節の古典的研究において、ほとんど前例がない。
【0097】
その後の研究は、エンハンサー活性を有するDNAの領域は、プロモーターのように組織化されることを示した。すなわち、エンハンサー活性を有するDNA領域は、多数の個々のエレメントから構成され、エレメントの各々が、1つ以上の転写タンパク質と結合する。
【0098】
エンハンサーとプロモーターとの間の基本的な違いは、操作に関するものである。エンハンサー領域は全体として、かなり離れた転写を刺激し得なければならず;このことは、プロモーター領域またはその成分エレメントには、必ずしも当てはまらない。一方、プロモーターは、特定の部位において、特定の方向において、RNA合成の開始を指示する1つ以上のエレメントを有さなくてはならないが、他方エンハンサーは、これらの特異性を有さない。この操作に関する差異とは別に、エンハンサーとプロモーターは、非常に似通った実体を有する。これらは、細胞内の転写活性化という、同一の一般的な機能を有する。これらは、しばしば、重複し、そして連続し、しばしば、非常に類似するモジュール構成を有するようである。これらを考慮すると、これらの考察は、エンハンサーとプロモーターが、相同な実体であり、そしてこれら配列に結合した転写活性化タンパク質は、基本的に同一の方法において、細胞転写機構と相互作用し得ることを示唆する。
【0099】
本発明と共に使用され得るウイルスプロモーター、細胞プロモーター/エンハンサー、および誘導性プロモーター/エンハンサーのリストは、表2および3に示される。さらに、任意のプロモーター/エンハンサーの組み合わせ(Eukaryotic Promoter Data Base EPDBによる)もまた、Osterixまたはアンチセンス構築物の発現を駆動するために使用され得る。
【0100】
表2
代表的なプロモーター
【0101】
【表2】
Figure 2004537968
Figure 2004537968
Figure 2004537968
表3
エンハンサーおよびインデューサー
【0102】
【表3】
Figure 2004537968
Figure 2004537968
コード配列をプロモーターの制御下に置くために、タンパク質の転写リーディングフレームの転写開始部位の5’末端は、選択されたプロモーターの約1ヌクレオチド「下流」(すなわち、3’側)と約50ヌクレオチド「下流」との間に配置されることが、当該分野で理解されている。さらに、真核生物発現が意図される場合、代表的に、ポリアデニル部位がもとのクローン化セグメント内に含まれない場合、共輸送体タンパク質を含む転写単位に、適切なポリアデニル化部位(例えば、5’−AATAAA−3’)を組み込むことが所望される。代表的に、ポリA付加部位は、転写の終結の前のある位置で、タンパク質の終結部位の約30〜約2000ヌクレオチド「下流」に位置する。
【0103】
クローン化遺伝子およびそれらのプロモーターのインビボの発現を研究するための2つの基本的な手順がある。一過性の系において、目的の遺伝子は、培養された細胞の集団に導入され、そしてその活性は、数時間〜数日以内にアッセイされる。もとの一過性発現の研究は、キャプシド形成したSV40組換え体を利用した。わずかな細胞のみがこの組換え遺伝子を取込みそして発現するにすぎないが、異種遺伝子の転写が容易に検出され得る。あるいは、この組換え遺伝子のプロモーター(制御領域)が研究されている場合、このプロモーターおよびエンハンサーは、遺伝子のコード領域(例えば、単純ヘルペスチミジンキナーゼ(tk)、E.coliクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、またはルシフェラーゼ(Luc))でクローニングされ得る。このプロモーターの活性は、適切な遺伝子産物の存在についてアッセイすることによりモニターされ得る。
【0104】
クローン化遺伝子およびそれらの制御領域を研究するための第2の方法は、安定なトランスフェクションである。安定なトランスフェクションは、長期間連続培養物中のトランスフェクトされた遺伝子から中程度の発現レベルを得るために好ましい方法である。この方法において、組換えDNA分子は、ウイルス感染によって、DNA媒介遺伝子移入技術によって導入される。形質転換されていない細胞の集団の間の組換え体の安定なトランスフェクト体の同定は、表現型の変化を必要とする。通常、薬物選択マーカーの封入は、安定な形質転換体の発見および選択を助ける。標的配列および列挙されたプロモーター/エンハンサーの組み合わせのいずれかを含む発現カセットをサブクローニングするために適切なプラスミドは、当業者に周知である。この標的配列およびプロモーター/エンハンサーを含むようなプラスミドは、安定なトランスフェクションプロトコルまたは一過性トランスフェクション手順において使用され得る。
【0105】
他の実施形態において、特定の利点は、コードDNAセグメントを、組換え体、すなわち異種プロモーターの制御下に置くことにより得られることが意図される。本明細書中で使用する場合、組換え体または異種プロモーターは、その天然の環境でOsterix遺伝子と通常は会合していないプロモーターをいうことが意図される。このようなプロモーターとしては、CMV、SV40、RSV、LacZ、LTR、TK、POLHおよびMMTV、または通常は他の遺伝子と会合している他のプロモーター、および/または任意の他の細菌、ウイルス、真核生物もしくは哺乳動物細胞から単離されるプロモーターが挙げられ得る。当然、発現のために選択された、細胞型、生物体、またはさらには動物におけるDNAセグメントの発現を効率的に指示するプロモーターを用いることが重要である。タンパク質発現のためのプロモーターおよび細胞型の組み合わせの使用は、一般に、分子生物学の当業者に公知である。例えば、Sambrookら(1989)を参照のこと。用いられるプロモーターは、構成的であっても誘導性であってもよく、そして組換えタンパク質またはポリペプチドの大スケールの生成において有益であるのと同様に、適切な条件下で、導入されたDNAセグメントの高レベルな発現を指示するために使用され得る。高レベルの発現において使用するために意図される適切なプロモーター系としては、CMVおよびSV40が挙げられるが、これらに限定されない。
【0106】
(b.発現ベクター)
上記のように、組換えOsterixタンパク質およびポリペプチドを調製するための発現の実施形態と共に、より長いDNAセグメントがもっともしばしば使用され、Osterixタンパク質全体をコードするDNAセグメントが最も好ましいことが意図される。しかし、抗Osterix抗体を作製するために使用され得るのと同様に、Osterixポリペプチドまたはエピトープコア領域の発現を指示するより短いDNAセグメントの使用もまた、本発明の範囲内であることが理解される。
【0107】
約15〜約50アミノ酸長、より好ましくは約15〜約30アミノ酸長のポリペプチド抗原をコードするDNAセグメントは、特に有用であることが意図される。もちろん、これらのポリペプチドは、この範囲の任意の長さ(例えば、16、17、18、19または20アミノ酸長)であり得る。これは、約15アミノ酸長、約20アミノ酸長、約25アミノ酸長、約30アミノ酸長、約35アミノ酸長、約40アミノ酸長、約45アミノ酸長、または約50アミノ酸長における「約」の意味であり、1つの状況において、「約」は、記載された長さより1〜4アミノ酸長いかまたは短い範囲を意味し、14または15ほどの長さが最小の長さである。DNAセグメントをコードするポリペプチドは、一般に、約45〜約150、または約90ヌクレオチドまでのオーダーの最小コード長を有する。全長タンパク質をコードするDNAセグメントは、配列番号2に従うタンパク質について、約128ヌクレオチドのオーダーの最小コード長を有し得る。
【0108】
本発明のOsterixタンパク質またはポリペプチドの発現に戻ると、一旦、適切な(所望ならば、全長)クローンが得られると、それらがcDNAベースであるかゲノムであるかに関わらず、Osterixの組換え体調製のための発現系を調製することに進み得る。原核生物系または真核生物系における発現のためのDNAセグメントの操作は、組換え発現の当業者に一般に公知の技術によって、実施され得る。実質的に任意の発現系が、Osterixの発現に用いられ得ると考えられる。
【0109】
Osterixタンパク質をコードするDNAセグメントを用いる宿主細胞の形質転換は、活性なOsterixを得るために便利な手段を提供することが提案されている。しかし、別個の発現後の再構築はまた、確実に本発明の範囲内である。
【0110】
cDNA配列およびゲノム配列の両方が、真核生物発現のために適切である。なぜなら、宿主細胞は、一般に、ゲノム転写物をプロセシングして、タンパク質への翻訳のために機能的なmRNAを生じるからである。一般に、組換え遺伝子として、この遺伝子のcDNAバージョンを用いることが、より簡便であり得る。cDNAバージョンの使用は、遺伝子のサイズが一般にゲノム遺伝子(これは代表的には、cDNA遺伝子よりも大きな桁までである)よりはるかに小さく、そして標的細胞をトランスフェクトするために、ゲノム遺伝子よりも容易に用いられ得るという点で、利点を提供する。しかし、本発明者らは、所望の場合、特定の遺伝子のゲノムバージョンを用いる可能性を除外しない。
【0111】
さらに、例えば、遺伝子産物の別個の部分に対する抗体を作製するために、この遺伝子産物の配列全体が未知のままである場合でさえ、部分配列を発現することが可能である。本明細書中で記載されるように、コンピュータープログラムは、潜在的な免疫学的有意性を有する領域の選択を助けるために利用可能である。例えば、この分析を実施し得るソフトウェアは、例えば、MacVector(IBI,New Haven,CT)が商業的に容易に入手可能である。このソフトウェアは代表的に、タンパク質の表面上に特徴的に見出され、従って、抗原性決定因子として作用する可能性のある親水性配列を位置決めするための標準的なアルゴリズム(例えば、Kyte/DoolittleまたはHopp/Woods法)を使用する。
【0112】
多量のタンパク質またはポリペプチドの組換え産生において、このタンパク質を分析して、推定膜貫通配列を検出することが得策であり得る。このような配列は、代表的に、非常に疎水性であり、そして標準的な配列分析ソフトウェア(例えば、MacVector(IBI,New Haven,CT))の使用により容易に検出される。膜貫通タンパク質が、多くの発現系(特に、E.coli)において合成される場合、膜貫通配列の存在は、しばしば、有害である。なぜなら、これはそのタンパク質のネイティブのコンフォメーションへの再生が困難な不溶性凝集体の生成を生じるからである。膜貫通配列の欠失は、代表的に、残りの構造のコンフォメーションを有意には変更しない。
【0113】
さらに、膜貫通配列(その名が示す通り、膜内に包埋されている)は、接近不可能である。従って、これらの配列に対する抗体は、一般に、インビボ研究またはインサイチュ研究において有用である。発現のために使用される遺伝子からの膜貫通コード配列の欠失は、標準的な技術によって達成され得る。例えば、偶然配置された制限酵素部位が、所望の遺伝子フラグメントを切除するために使用され得るか、またはPCRTM型増幅が、この遺伝子の所望の部分のみを増幅するために使用され得る。
【0114】
本明細書中で使用する場合、用語「操作された」および「組換え」細胞は、外因性DNAセグメントまたは遺伝子(例えば、Osterixタンパク質またはポリペプチドをコードするcDNAまたは遺伝子)が導入された細胞をいうことが意図される。従って、操作された細胞は、組換え導入された外因性DNAセグメントまたは遺伝子を含まない天然に存在する細胞と区別可能である。従って、操作された細胞は、ヒトの手により導入された遺伝子を有する細胞である。組換え細胞は、導入されたcDNAまたはゲノム遺伝子を有する細胞を含み、そしてまた、特定の導入遺伝子とは天然では会合しないプロモーターに隣接して位置する遺伝子を含む。
【0115】
本発明に従って、組換えOsterixタンパク質またはポリペプチド(変異体であろうと野生型であろうと)を発現するために、1つ以上のプロモーターの制御下にあるOsterixタンパク質またはポリペプチドコード核酸セグメントを含む発現ベクターを調製する。コード配列をプロモーターの「制御下」に置くために、転写リーディングフレームの転写開始部位の5’末端を、一般に、選択されたプロモーターの約1ヌクレオチド下流(すなわち、3’側)と約50ヌクレオチド「下流」との間に配置する。「上流」プロモーターは、DNAの転写を刺激し、そしてコードされた組換えタンパク質の発現を促進する。これは、この状況において、「組換え発現」の意味である。
【0116】
種々の宿主発現系においてタンパク質またはポリペプチドの発現を達成するために、適切な核酸および転写/翻訳制御配列を含む発現ベクターを構築するための多くの標準的な技術が利用可能である。発現のために利用可能な細胞型としては、組換えバクテリオファージDNA発現ベクター、プラスミドDNA発現ベクターまたはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌(例えば、E.coliおよびB.subtilis)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0117】
原核生物宿主の特定の例は、E.coli株RR1、E.coli LE392、E.coli B、E.coli X 1776(ATCC No.31537)、およびE.coli W3110(F−、λ−、原栄養菌性の、ATCC No.273325);杆菌(例えば、Bacillus subtilis);ならびに他の腸内細菌(例えば、Salmonella typhimurium、Serratia marcescensおよび種々のPseudomonas種)である。
【0118】
一般に、レプリコンおよび宿主細胞と適合性の種から誘導される制御配列を含むプラスミドベクターは、これらの宿主と共に使用される。このベクターは、通常、複製起源、および形質転換細胞において表現型選択を提供し得るマーク配列を有する。例えば、E.coliは、しばしば、pBR322(E.coli亜種由来のプラスミド)を使用して形質転換される。pBR322は、アンピシリン耐性よびテトラサイクリン耐性についての遺伝子を含み、従って、形質転換細胞を同定するための手段を提供する。pBRプラスミド、または他の微生物プラスミドもしくはファージもまた、その独自のタンパク質を発現するために微生物により使用され得るプロモーターを含まなければならないか、またはこのようなプロモーターを含むように改変されなければならない。
【0119】
さらに、レプリコンおよび宿主微生物と適合性の制御配列を含むファージベクターは、これらの宿主と関連して、形質転換ベクターとして使用され得る。例えば、ファージλGEMTM−11は、宿主細胞(例えば、E.coli LE392)を形質転換するために使用され得る組換えファージベクターを作製する際に使用され得る。
【0120】
より後の精製および分離または切断のための、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)可溶縮合タンパク質の生成における使用のための、さらなる有用なベクターとしては、pINベクター(Inouyeら、1985);およびpGEXベクターが挙げられる。他の適切な縮合タンパク質は、β−ガラクトシダーゼを有する縮合タンパク質、ユビキチン、マンノース結合タンパク質(MBP)などである。
【0121】
組換えDNA構築において最も一般的に用いられるプロモーターとしては、β−ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)プロモーター系、ラクトースプロモーター系、およびトリプトファン(trp)プロモーター系が挙げられる。これらはもっとも一般的に用いられるが、他の微生物プロモーターが発見および利用されており、そして、それらのヌクレオチド配列に関連する詳細が公表されており、当業者が微生物プロモーターをプラスミドベクターと機能的に結合させることを可能にしている。
【0122】
細菌細胞(例えば、E.coli)における、組換えタンパク質生成に関連する以下の詳細は、一般的な組換えタンパク質生成についての例示的な情報から得られ、特定の組換え発現系に対するこれらの適応は、当業者に公知である。
【0123】
発現ベクターを含有する細菌細胞(例えば、E.coli)を、多くの適切な培地(例えば、LB)のうちのいずれかにおいて増殖する。この組換えタンパク質の発現は、例えば、培地にIPTGを添加することか、またはインキュベーションをより高温に切り換えることによって、誘導され得る。この細菌を、さらなる(一般に、2〜24時間の)期間にわたって培養した後、遠心分離によって細胞を収集し、そして洗浄して残渣の培地を除去する。
【0124】
次いで、この細菌細胞を、例えば、細胞ホモジナイザーにおける破壊によって溶解させ、そして遠心分離して、高密度な封入体および細胞膜を、可溶性細胞成分から分離する。この遠心分離は、この高密度な封入体が、緩衝液への糖(例えば、スクロース)の組み込み、および選択的な速度での遠心分離によって、選択的に富化される条件下で、行われ得る。
【0125】
組換えタンパク質が、多くの例における場合のように、封入体において発現される場合、この封入体は、混入宿主タンパク質のいくらかを除去するために、いくつかの溶液のうちのいずれかにおいて洗浄され得、次いで、高濃度の尿素(例えば、8M)か、または、還元剤(例えば、β−メルカプトエタノールまたはDTT(ジチオスレイトール))の存在下におけるグアニジン塩酸塩のようなカオトロピックな薬剤を含む溶液中に、可溶化され得る。
【0126】
いくつかの状況下では、タンパク質が、ネイティブなタンパク質のコンフォメーションとより密接に類似するコンフォメーションへの、リフォールディングプロセスを受けるのに適切な条件下で、数時間インキュベートすることが、有利であり得る。このような条件としては、一般に、低いタンパク質濃度(500μg/ml未満)、低い還元剤レベル、2M未満の尿素濃度、そしてしばしば、タンパク質分子内のジスルフィド結合の交換を容易にする、還元グルタチオンおよび酸化グルタチオンの混合物のような試薬の存在が挙げられる。
【0127】
このリフォールディングプロセスは、例えば、SDS−PAGEによってか、またはこのネイティブな分子に特異的な抗体(これは、このネイティブな分子またはより少量の組換えタンパク質で免疫された動物から得られ得る)を用いて、モニターされ得る。リフォールディングの後、このタンパク質は、さらに精製され得、そして、イオン交換樹脂およびゲル透過樹脂を含むいくつかの支持体のうちのいずれかにおけるか、あるいは種々の親和性カラムにおける、クロマトグラフィーによって、リフォールディング混合物から分離され得る。
【0128】
原核生物に加えて、真核微生物(例えば、酵母培養物)もまた、用いられ得る。Saccharomyces cerevisiae、または通常のパン酵母は、真核微生物の中でもっとも一般に用いられるが、他の多くの株が一般に利用可能である。Saccharomycesにおける発現のために、例えば、プラスミドYRp7が、一般に用いられる(Stinchcombら、1979;Kingsmanら、1979;Tschemperら、1980)。このプラスミドは、トリプトファン(例えば、ATCC番号44076またはPEP4−1)において増殖する能力を欠く、酵母の変異株に対する選択マーカーを提供する、trpl遺伝子をすでに含む(Jones、1977)。次いで、酵母宿主細胞ゲノムの特性としてのtrpl障害の存在は、トリプトファンの非存在下における増殖による、形質転換を検出するための有効な環境を提供する。
【0129】
酵母ベクターにおける適切なプロモーター配列としては、3−ホスホグリセレートキナーゼ(Hitzemanら、1980)または他の糖分解酵素(Hessら、1968;Hollandら、1978)(例えば、エノラーゼ、グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルベートデカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース−6−ホスフェートアイソメラーゼ、3−ホスホグリセラートムターゼ、ピルベートキナーゼ、トリオースホスフェートアイソメラーゼ、ホスホグルコースアイソメラーゼ、およびグルコキナーゼに対するプロモーターが挙げられる。適切な発現プラスミドを構築する際、これらの遺伝子と関連する終結配列をまた、発現ベクターの発現が望まれる配列の3’側に連結し、mRNAのポリアデニル化および終結を提供する。
【0130】
増殖条件によって制御される転写のさらなる利点を有する、他の適切なプロモーターとしては、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソシトクロムC、酸ホスファターゼ、窒素代謝に関連する分解酵素、ならびに上記のグリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、およびマルトース利用およびガラクトース利用を担う酵素に対するプロモーター領域が挙げられる。
【0131】
微生物に加えて、多細胞生物に由来する細胞の培養物もまた、宿主として用いられ得る。原則的に、脊椎動物培養物由来であろうと無脊椎動物培養物由来であろうと、任意のこのような細胞が働き得る。哺乳動物細胞に加えて、これらは、組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)に感染した昆虫細胞系;および組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV);タバコモザイクウイルス(TMV))に感染したか、または1つ以上のOsterixタンパク質またはポリペプチドコード配列を含む、組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換された植物細胞系を含む。
【0132】
有用な昆虫系において、Autograph californica核多面性ウイルス(AcNPV)をベクターとして用いて、外来遺伝子を発現する。このウイルスは、Spodoptera frugiperda細胞中で増殖する。このOsterixタンパク質またはポリペプチドコード配列を、ウイルスの非必須領域(例えば、多面性遺伝子)にクローン化し、そしてAcNPVプロモーター(例えば、多面性プロモーター)の制御下に配置する。このコード配列の首尾良い挿入は、多面性遺伝子の失活および非閉塞性組換えウイルス(すなわち、多面性遺伝子によってコードされるタンパク質性のコーティングを欠くウイルス)の生成を生じる。次いで、これらの組換えウイルスを用いて、挿入された遺伝子が発現される、Spodoptera frugiperda細胞を感染する(例えば、米国特許第4,215,051号(Smith))。
【0133】
有用な哺乳動物宿主細胞株の例は、VERO細胞およびHeLa細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株、W138、BHK、COS−7、293、HepG2、3T3、RINおよびMDCK細胞株である。さらに、挿入された配列の発現を調節するか、または所望の特定の様式で遺伝子産物を改変および処理する、宿主細胞菌株が選択され得る。タンパク質産物のこのような改変(例えば、グリコシル化)および処理(例えば、切断)は、このタンパク質の機能のために重要であり得る。
【0134】
異なる宿主細胞は、タンパク質の翻訳後の処理および改変に対する、特徴的かつ特異的な機構を有する。適切な細胞株または宿主系は、発現された外来の遺伝子の正確な改変および処理を保証するように選択され得る。このために、グリコシル化、細胞内輸送、高度な発現およびDNA複製のための細胞機構を有する、真核生物宿主細胞が、所望の場合、用いられ得、高度な発現を可能にする細胞が好ましい。
【0135】
哺乳動物のこのような細胞における使用のための発現ベクターは、本来、複製起点(必要に応じて)、任意の必要なリボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位を伴う、発現される遺伝子の正面に位置するプロモーター、および転写終止配列を含む。複製起点は、SV40または他のウイルス性(ポリオーマ、アデノ、VSV、BPV)供給源に由来し得るような、外来性の起源を含む、ベクターの構築物、または、宿主細胞染色体複製機構のいずれかから得られ得る。このベクターが、宿主細胞染色体内へ組み込まれる場合、後者がしばしば十分である。
【0136】
このプロモーターは、哺乳動物細胞のゲノム(例えば、メタロチオネインプロモーター)または哺乳動物ウイルス(例えば、アデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)に由来し得る。さらに、このようなコントロール配列が、宿主細胞系と適合性である場合、所望のOsterix遺伝子配列と通常結合するプロモーター配列またはコントロール配列を利用することもまた可能であり、そして所望であり得る。
【0137】
多くのウイルスベース発現系が利用され得、例えば、一般に用いられるプロモーターは、ポリオーマ、アデノウイルス2、そしてもっとも頻繁にはSimian Virus 40(SV40)に由来する。SV40ウイルスの初期プロモーターおよび後期プロモーターは、両方とも、同様にSV40ウイルスの複製起点を含むフラグメントとして、このウイルスから容易に得られるので、特に有用である。このウイルスの複製起点に位置するBglI部位に向かって、HindIII部位から伸長する、約250bpの配列が含まれる場合、より小さいSV40フラグメントまたはより大きいSV40フラグメントもまた用いられ得る。さらに、このようなコントロール配列が、宿主細胞系と適合性である場合、所望の遺伝子配列と通常結合するプロモーター配列またはコントロール配列を利用することもまた可能であり、そしてしばしば所望である。
【0138】
アデノウイルスが発現ベクターとして用いられる場合において、コード配列は、アデノウイルス転写/翻訳コントロール複合体(例えば、後期プロモーター配列および三部構成のリーダー配列)に連結され得る。次いで、このキメラ遺伝子は、インビトロかまたはインビボの組換えによって、アデノウイルスゲノムに挿入され得る。ウイルスのゲノムの非必須領域(例えば、領域E1またはE3)への挿入は、感染した宿主において生存可能であり、かつOsterixタンパク質を発現し得る、組換えウイルスを生じる。
【0139】
特定の開始シグナルもまた、Osterixコード配列の効率的な翻訳のために必要とされ得る。これらのシグナルは、ATG開始コドンおよび隣接するKosak配列を含む。外来性の翻訳コントロールシグナル(ATG開始コドンを含む)は、提供される必要がさらにあり得る。当業者は、容易にこのシグナルを決定し得、そして必要なシグナルを提供し得る。開始コドンは、全挿入物の翻訳を保証するために、所望のコード配列のリーディングフレームと、インフレーム(またはインフェーズ)でなければならないことは周知である。これらの外来性翻訳コントロールシグナルおよび開始コドンは、天然および合成の両方の、種々の起源であり得る。発現の効率は、適切な転写増強エレメント、転写ターミネーターの含有によって増強され得る(Bittnerら、1987)。
【0140】
真核生物の発現において、ポリアデニル化部位が本来のクローン化セグメント内に含まれなかった場合、代表的に、適切なポリアデニル化部位(例えば、5’−AATAAA−3’)を、転写単位に組み込むこともまた、所望である。代表的に、ポリA付加部位は、転写終止前の位置のタンパク質の、終止コドンの約30〜2000ヌクレオチド「下流」に位置する。
【0141】
長期間の、高収率の組換えOsterixタンパク質の生成のために、安定な発現が好ましい。例えば、Osterixタンパク質またはOsterixポリペプチドをコードする構築物を安定に発現する細胞株を、操作し得る。ウイルスの複製起点を含む発現ベクターを用いるよりもむしろ、適切な発現制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位など)および選択マーカーによって制御されるベクターを用いて、宿主細胞を形質転換し得る。外来DNAの導入の後、操作した細胞を、富化培地において1〜2日間増殖させ、次いで、選択培地に切り換える。組換えプラスミドにおける選択マーカーは、この選択に対する耐性を与え、そして、細胞がそれらの染色体内にプラスミドを安定に組み込み、そして増殖して、巣を形成するのを可能にし、次いで、この巣をクローン化し、そして細胞株に拡大する。
【0142】
多くの選択系が用いられ得、これらとして、それぞれtk細胞、hgprt細胞、またはaprt細胞における、単純疱疹ウイルスチミジンキナーゼ遺伝子(Wiglerら、1977)、ヒポキサンチン−グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(Szybalskaら、1962)およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(Lowryら、1980)が挙げられるが、これらに限定されない。代謝拮抗物質耐性もまた、メトトレキセートに対する耐性を与えるdhfr(Wiglerら、1980;O’Hareら、1981);ミコフェノール酸に対する耐性を与えるgpt(Mulliganら、1981);アミノグリコシドG−418に対する耐性を与えるneo(Colberre−Garapinら、1981);およびハイグロマイシンに対する耐性を与えるhygro(Santerreら、1984)に対する、選択の基礎として用いられ得る。
【0143】
本発明のOsterixは、「過剰発現」され得る(すなわち、骨芽細胞における天然の発現と比較してか、または組換え宿主細胞中の他のタンパク質の発現と比較してさえも、増大したレベルで発現される)ことを企図する。このような過剰発現は、放射標識化および/またはタンパク質精製を含む、種々の方法によって評価され得る。しかし、直接的な方法、例えば、SDS/PAGEおよびタンパク質染色またはウエスタンブロット、それに続く、定量分析(例えば、得られたゲルまたはブロットの濃度測定スキャニング)を含む方法が、好ましい。天然の骨芽細胞におけるレベルと比較した、組換えタンパク質または組換えポリペプチドのレベルの特異的な増大は、宿主細胞によって生成された他のタンパク質と比較した、その特定のタンパク質の相対的な豊富さであり、そして例えば、ゲル上で可視化されるので、過剰発現の指標である。
【0144】
組換え発現によって、Osterixタンパク質またはOsterixポリペプチドを生成するための、現在好ましい方法を、本明細書中に記載する。例えば、実施例5は、Osterixタンパク質またはOsterixポリペプチドが、E.coliにおける組換え発現によって得られ得ることを提供する。
【0145】
(C.Osterixタンパク質またはOsterixポリペプチド)
(1.Osterixタンパク質の精製)
本発明のさらなる局面は、Osterixタンパク質またはOsterixポリペプチドの精製に関し、そして特定の実施形態において、実質的な精製に関する。本明細書中で用いられる場合、用語「精製タンパク質」は、骨芽細胞、C2C12細胞、または、組換え宿主細胞から単離可能である、Osterix組成物(ここで、このOsterixは、天然に入手可能な状態と比較して(すなわち、この場合、骨芽細胞抽出物またはC2C12細胞抽出物内での、Osterixの純度と比較して)、任意の程度に精製される)をいうことを意図する。従って、精製Osterixタンパク質とはまた、インタクトな細胞においてOsterixタンパク質が天然に存在し得る環境から離れた、タンパク質をいう。
【0146】
本発明の精製Osterixタンパク質または精製Osterixポリペプチドは、一般にOsterix活性を有することを企図する。すなわち、これらは、骨芽細胞に導入された推定リガンドに結合する能力、ならびに骨芽細胞の分化および/または骨の形成を促進する能力を有する。
【0147】
一般に、「精製された」とは、分別に供されて、他の細胞成分のような、種々の非Osterix組成物が除去された、Osterix組成物をいう。タンパク質精製における使用に適する種々の技術は、当業者に周知である。これらとしては、例えば、硫酸アンモニウム、PEG、抗体などでの沈降、または熱変性、およびそれに続く遠心分離;クロマトグラフィー工程(例えば、イオン交換、ゲル濾過、逆相、ヒドロキシルアパタイト、レクチン親和性および他の親和性クロマトグラフィー工程);等電点電気泳動;ゲル電気泳動;ならびにこのような技術および他の技術の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書中に提示される特定の実施例は、抗Osterix抗体での免疫沈降を使用するOsterixの精製である。
【0148】
用語「実質的に精製された」が用いられる場合、この用語は、Osterixが、その組成物の主成分を形成する(例えば、組成物中のタンパク質の約50%またはそれ以上を構成する)、組成物をいう。好ましい実施形態において、実質的に精製されたタンパク質は、組成物中のタンパク質の60%よりも多くを構成する。
【0149】
「均一に精製された」ポリペプチドまたはタンパク質は、本発明において適用される場合、そのポリペプチドまたはタンパク質が、他のタンパク質および生物学的成分を実質的に含まない、純度のレベルを有することを意味する。例えば、精製ポリペプチドまたは精製タンパク質は、しばしば、分解性配列決定が首尾良く行われ得るほど十分に、他のタンパク質成分を含まない。
【0150】
Osterixタンパク質の精製の程度を数量化するための種々の方法は、本開示に鑑みて、当業者に公知である。これらとしては、例えば、活性画分の比活性を決定すること、または、画分内のポリペプチドの数をゲル電気泳動によって評価することが挙げられる。SDS/PAGE分析によって、画分内のポリペプチドの数を評価することは、しばしば、本発明の状況において(例えば、タンパク質純度を評価することにおいて)好ましい。
【0151】
Osterix画分の純度を評価するための好ましい方法は、この画分の比活性を計算し、それを開始骨芽細胞または開始C2C12の抽出物の比活性と比較し、そして従って、本明細書中で「〜倍精製数」によって評価される、純度の程度を計算することである。
【0152】
転写活性の量を表すために用いられる実際の単位は、もちろん、精製を行うために選択された特定のアッセイ技術に依存する。上で考察したように、本発明者らは、SDS−PAGEおよびウエスタンブロットを用いて、Osterixタンパク質の相対的な量を検査することを選択する。この目的のために、Osterixに対するポリクローナル抗体(これらの分子のいくつかのエピトープを認識する抗体)を用いることが好ましい。本発明者らは、現在、Osterixアッセイの合成ポリペプチドに対する、ウサギポリクローナル抗体を有し、この試験サンプルを、タンパク質濃度について検査し、SDS−PAGEによって分離し、そしてクーマシーブルーによって染色する。次いで、同時に泳動したさらなるSDS−PAGEゲルを、ポリクローナル抗体を用いてウエスタンブロットし、Osterixに対する推定バンドを同定する。次いで、Osterixタンパク質の量を、総タンパク質濃度に相対純度(これは、クーマシー染色SDS−PAGEゲルの濃度測定分析によって決定される)を乗じることによって計算する。例えば、1つの画分が1mg/mlのタンパク質および70%の純度のOsterixを含む場合、この画分は、0.7mg/mlのOsterixタンパク質を含むと計算される。このシステムの利点は、分解したOsterixの混入の問題を排除し得るように、Osterixのタンパク質プロフィールを、同時に試験し得ることである。
【0153】
より迅速かつ慣習的な分析のために、本発明者らは、ダブルサンドイッチELISAアッセイを用い、ここでELISAプレートを、Osterixに対するMAbで最初にコーティングし、試験サンプルと共にインキュベートし、そして最後に、Osterixに対するポリクローナル抗体とともにインキュベートする。この試験サンプルにおけるOsterixの量は、プレートに結合するポリクローナル抗体の量に基づいて決定される。
【0154】
Osterixの相対的なタンパク質の量は、必ずしも相対的な生物学的活性を表さないかもしれない。精製手順の間、Osterixタンパク質が分解および/または変性される場合、または、Osterixタンパク質の異なるアイソフォームが、異なる程度の生物学的活性を示す場合、このことは特に問題である。従って、相対的な生物学的活性を測定することが重要である。本発明者らは、骨芽細胞に結合する能力に基づいて、この生物学的活性を決定することを選択する。
【0155】
当該分野において一般に公知であるように、この比活性を決定するために、総タンパク質の1mgあたりの活性の単位数を計算する。精製手順において、開始材料(すなわち、組織抽出物)の比活性は、Osterixの天然の状態における比活性を表す。各工程において、Osterixはその天然の状態と比較して精製されているので、一般に、Osterixの比活性が、この値よりも上に増大すると予測する。好ましい実施形態において、Osterixの比活性を開始材料の比活性と比較し、そしてこれをX倍精製と表すことによって、所定のOsterix画分の純度の程度を評価することを企図する。活性または比活性の実際の単位に存在し得る任意の差異にも関わらず、阻害性画分の純度がこのように別の画分と比較され得るので、「〜倍精製」の使用は有利である。
【0156】
本発明のOsterixを、その天然の状態と比較して約10倍と約30倍との間まで、および好ましくは、約30倍と約100倍との間まで、さらにより好ましくは、約300倍まで精製することが意図される。
【0157】
本明細書中以下に開示される、好ましい精製方法は、いくつかの工程を含み、実質的に精製されたOsterixタンパク質を調製するための、本発明者らが現在知っている、最良の形態を表わす。この方法は、ウエスタンブロッティングによって評価したように、タンパク質またはポリペプチドの実質的な精製をさらなる特徴づけおよび使用に十分な収量でもたらすので、現在好ましい。このOsterixタンパク質またはポリペプチド精製の好ましい形態は、本明細書中以下に記載される順序での特定の精製工程の実施を含む。しかしながら、当該分野で一般的に公知なように、様々な精製工程を実施する順序は変更され得るかまたは、特定の工程は省略され得、そしてなおも、実質的に精製されたOsterixタンパク質またはポリペプチドの調製に適した方法となると考えられている。
【0158】
上述したように、特定の実施形態における使用には好ましいが、Osterixタンパク質またはポリペプチドが常にその最も精製された状態で提供されるべきであるという一般的な必要条件は存在しない。実際、実質的というほどには精製されていないタンパク質またはポリペプチドは、それでもなお、天然の状態と比較してOsterix活性が富化されており、特定の実施形態における有用性を有することが意図される。例えば、より低程度に精製されたOsterix調製物は、天然でOsterixと会合している分子を含み得る。そうであれば、これは、究極的に、細胞表面(例えば、補助レセプター)または細胞質中(例えば、シグナル伝達成分)でOsterixと会合する固有の分子の同定につながり得る。
【0159】
より低い程度の関連する精製を示す方法は、タンパク質産物の全回収、または発現したタンパク質の活性の維持における利点を有し得る。不活性産物もまた、特定の実施形態において(例えば、抗体作製において)有用性を有する。
【0160】
そのような実施形態に使用するための部分的に精製したOsterix画分は、骨芽細胞抽出物またはC2C12細胞抽出物を、記載される工程のひとつまたはその組合せに供することによって得られ得る。特定の工程を改善された等価物で置換することもまた、有用であると意図される。例えば、陽イオン交換カラムクロマトグラフィーを、HPLC装置を利用して実施することにより、低い圧力のクロマトグラフィーシステムを利用した同じ技術よりも高倍率の精製が一般的にもたらされることが認められる。
【0161】
しかしながら、ポリペプチドの移動は、異なる条件のSDS/PAGEで、(時々有意に)変化し得ることが、公知である(Capaldiら,1977,本明細書中に参考文献として援用)。従って、異なる電気泳動条件下において、これらの分子量が変化し得ることが認められる。
【0162】
(2.生物学的に機能的な等価物および構造的等価物)
上述したように、改変および変化は、Osterixの構造で作製され得、そして類似のまたは別の、所望する特性を有する分子をなおも獲得し得る。例えば、特定のアミノ酸で、構造体との相互作用的な結合能力の目に見えるほどの欠如を伴わずにタンパク質の構造内において他のアミノ酸を置換し得る。その構造体としては、例えば、抗体の抗原結合領域または基質分子上、レセプター上、もしくは骨芽細胞上の、結合部位が挙げられる。タンパク質の相互作用的な能力および性質が、タンパク質の生物学的機能的活性を決定するので、特定のアミノ酸配列の置換は、タンパク質配列(あるいは、もちろん、その基本となるDNAコード配列)において行われ得、そしてそれにも拘わらず同様の(アゴニストの)特性を有するタンパク質が得られ得る。同様に、同じ考慮を行って、相殺する(例えば、アンタゴニストの)特性を有するタンパク質またはポリペプチドを作製し得る。従って、本発明者らによって意図されることは、種々の変化が、Osterixタンパク質またはポリペプチド(または基本となるDNA)の配列において、それらの生物学的な有用性または活性の目に見えるほどの欠如を伴わずに行われ得るということである。
【0163】
機能的等価物に関して、生物学的に機能的な等価のタンパク質またはポリペプチドの定義において固有なのは、分子の定義された部分で作製され得る変化の数には制限があり、そしてなおも、分子は、受容可能なレベルの等価な生物学的活性を伴う分子をもたらし得るという概念であるということもまた、当業者に十分理解される。従って、生物学的に機能的な等価のポリペプチドは、特定の(ほとんどでも全てでもない)アミノ酸が置換され得るポリペプチドとして本明細書中に定義される。もちろん、異なる置換基を有する多数の別のタンパク質/ポリペプチドは、本発明に従って作製され得、そして使用され得る。
【0164】
また、特定の残基(例えば、活性部位における残基)がタンパク質またはポリペプチドの生物学的特性または構造的特性にとって特に重要であることが示される場合、そのような残基は、通常交換されないかもしれないことも十分に理解される。
【0165】
アミノ酸置換は、一般的にアミノ酸側鎖置換基の相対的な類似性(例えば、それらの疎水性、親水性、電荷、サイズなど)に基づく。アミノ酸側鎖置換基のサイズ、形状および型の分析は、アルギニン、リジンおよびヒスチジンが全て正に荷電した残基であること;アラニン、グリシンおよびセリン;ならびにフェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシン;が、生物学的機能等価物として本明細書中に定義されることを明らかにする。
【0166】
保存的な置換は、当該分野で周知であり、その例としては、アラニンのセリンへの変化;アルギニンのリジンへの変化;アスパラギンのグルタミンまたはヒスチジンへの変化;アスパラギン酸のグルタミン酸への変化;システインのセリンへの変化;グルタミンのアスパラギンへの変化;グルタミン酸のアスパラギン酸への変化;グリコーゲンのプロリンへの変化;ヒスチジンのアスパラギンまたはグルタミンへの変化;イソロイシンのロイシンまたはバリンへの変化;ロイシンのバリンまたはイソロイシンへの変化;リジンのアルギニン、グルタミン、またはグルタミン酸への変化;メチオニンのロイシンまたはイソロイシンへの変化;フェニルアラニンのチロシン、ロイシン、またはメチオニンへの変化;セリンのトレオニンへの変化;トレオニンのセリンへの変化;トリプトファンのチロシンへの変化;チロシンのトリプトファンまたはフェニルアラニンへの変化;およびバリンのイソロイシンまたはロイシンへの変化が挙げられる。
【0167】
このような変化の作製において、アミノ酸のヒドロパシー指数が考慮され得る。各アミノ酸は、それらの疎水性特性および電荷特性に基づくヒドロパシー指数を割り当てられており、これらは以下である:イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(−0.4);トレオニン(−0.7);セリン(−0.8);トリプトファン(−0.9);チロシン(−1.3);プロリン(−1.6);ヒスチジン(−3.2);グルタミン酸(−3.5);グルタミン(−3.5);アスパラギン酸(−3.5);アスパラギン(−3.5);リジン(−3.9);およびアルギニン(−4.5)。
【0168】
タンパク質に相互作用的な生物学的機能を与える際のアミノ酸のヒドロパシー指数の重要性は、一般的に当該分野で理解されている(KyteおよびDoolittle,1982,参考として本明細書中に援用)。特定のアミノ酸は、同様のヒドロパシー指数またはヒドロパシースコアを有する他のアミノ酸を置換し得、そしてなおも同様の生物学的活性を保持し得ることが公知である。ヒドロパシー指数に基づく変化の作製において、ヒドロパシー指標が±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、ヒドロパシー指標が±1以内であるアミノ酸の置換が特に好ましく、そしてヒドロパシー指標が±0.5以内であるアミノ酸の置換がさらにより特に好ましい。
【0169】
類似のアミノ酸の置換は、親水性に基づいて効果的に行われ得、特にそのようにして作製された生物学的に機能的な等価のタンパク質または生物学的に機能的な等価のポリペプチドは、(本発明の場合のように)免疫学的な実施形態における使用を意図されることもまた、当該分野で理解されている。参考として本明細書中に援用される米国特許第4,554,101号は、タンパク質の隣接アミノ酸の親水性によって支配されるようなタンパク質の最大の局所平均親水性が、タンパク質の免疫原性および抗原性(すなわち、タンパク質の生物学的特性)と関連することを述べている。
【0170】
米国特許第4,554,101号に詳述するように、以下の親水性の値は、アミノ酸残基に割り当てられている:アルギニン(+3.0);リジン(+3.0);アスパラギン酸(+3.0±1);グルタミン酸(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);トレオニン(−0.4);プロリン(−0.5±1);アラニン(−0.5);ヒスチジン(−0.5);システイン(−1.0);メチオニン(−1.3);バリン(−1.5);ロイシン(−1.8);イソロイシン(−1.8);チロシン(−2.3);フェニルアラニン(−2.5);トリプトファン(−3.4)。
【0171】
同様の親水性値に基づく変化の作製において、親水性値が±0.5以内のアミノ酸の置換がさらにより特に好ましい。
【0172】
議論は、アミノ酸の変化から生じる機能的に等価なポリペプチドに焦点をあてているが、これらの変化は、コードDNAの変化(遺伝コードが縮重すること、および2つ以上のコドンが同じアミノ酸をコードし得ることも考慮に入れる)によってもたらされ得ることが認められる。アミノ酸およびそれらのコドンの表を、そのような実施形態における使用のために、ならびに他の使用(例えば、プローブおよびプライマーの設計など)のために本明細書中に示す。
【0173】
Osterixの1つ以上の抗原決定基または「エピトープコア領域」に対応するポリペプチドもまた、調製され得る。そのようなポリペプチドは、少なくとも5または6アミノ酸残基長を一般的に有するべきであり、そして約35〜50残基などまでを含み得る。
【0174】
合成的なポリペプチドは、一般的に約35残基長であり、その長さは、自動化されたポリペプチド合成機(Applied Biosystems(Foster City,CA)から入手可能な合成機など)のほぼ上限の長さである。より長いポリペプチドもまた、(例えば、組換え手段によって)調製され得る。
【0175】
米国特許第4,554,101号(Hopp、参考として本明細書中に援用)は、親水性に基づいた、一次アミノ酸配列からのエピトープの同定および調製を教示する。Hoppに開示された方法により、当業者は、アミノ酸配列内からエピトープを同定し得る。
【0176】
多数の科学出版物はまた、アミノ酸配列の分析からの第2の構造の予測およびエピトープの同定に熱心である(ChouおよびFasman,1974a,b;1978a,b,1979)。任意のこれらは、所望される場合、米国特許第4,554,101号中でのHoppの教示を補足するために用いられ得る。
【0177】
さらに、コンピュータープログラムが、タンパク質の抗原性部分およびエピトープコア領域の予測を補助するために現在利用可能である。例としては、Jameson−Wolf解析(JamesonおよびWolf,1988;Wolfら,1988)に基づくプログラム、プログラムPepPlot(登録商標)(Brutlagら,1990;Weinbergerら,1985)、およびタンパク質の三次元構造予測のための他の新しいプログラム(FetrowおよびBryant,1993)が挙げられる。そのような解析を実行する能力のある市販のさらなるソフトウェアは、MacVector(IBI,New Haven,CT)と称される。
【0178】
さらなる実施形態において、ポリペプチドをコードする遺伝子の部分が組換え宿主中で発現され、そして免疫応答を惹起するそれらの能力について得られたタンパク質を試験するポリペプチドの主な抗原決定基は、経験的アプローチによって同定され得る。例えば、PCRTMは、タンパク質のC末端から徐々により長くなるフラグメントを欠いているある範囲のポリペプチドを調製するために用いられ得る。各々のこれらのポリペプチドの免疫活性は、免疫優性のポリペプチドのフラグメントまたはドメインを同定するために決定される。次いで少数のアミノ酸のみが各反復で除去されるさらなる研究において、ポリペプチドの抗原決定基の位置がより正確に決定されることが可能になる。
【0179】
一旦1つ以上のそのような解析が終了すると、1つ以上の抗原決定基の本質的特徴を少なくとも含有するポリペプチドが調製される。次いでそのポリペプチドは、ポリペプチドに対する抗血清の産生に使用される。これらの決定基をコードするミニ遺伝子または遺伝子融合体もまた、(例えば、PCRTMクローニング方法論を用いる)標準の方法によって構築され得、そして発現ベクター中に挿入され得る。
【0180】
ワクチン接種へのそのような小さいポリペプチドの使用は、ポリペプチドの(B型肝炎表面抗原、キーホールリンペットヘモシニアンまたはウシ血清アルブミンのような)免疫原性キャリアタンパク質への結合体化を典型的に必要とする。この結合体化を実施するための方法は、当該分野において周知である。
【0181】
本明細書中に記載されるペプチジル化合物に加えて、本発明者らはまた、他の立体的に類似の化合物がポリペプチド構造の重要な部分を模倣するために処方され得ることを意図する。ペプチド模倣物と称され得るそのような化合物は、本発明のポリペプチドと同じ方法で使用され得、従ってそれらもまた機能的な等価物である。
【0182】
タンパク質の二次構造のエレメントを模倣する特定の模倣物は、Johnsonら(1993)に記載される。ポリペプチド模倣物の使用の裏づけとなる、根底にある理論的根拠は、タンパク質のポリペプチドバックボーンが、(抗体と抗原との相互作用のような)分子相互作用を促進するような方法でアミノ酸側鎖を方向付けるために主に存在するということである。従って1つのポリペプチド模倣物が、天然の分子と同様の分子相互作用を可能にするために設計される。
【0183】
ポリペプチド模倣物概念のいくつかの成功した適用は、タンパク質内のβターンの模倣物に焦点をあてており、βターンは高度に抗原性であることが知られている。おそらく、ポリペプチド内のβターン構造は、本明細書中で議論したように、コンピューターベースのアルゴリズムによって予測され得る。一旦ターンの構成アミノ酸が決定されると、模倣物は、アミノ酸側鎖の必須エレメントの類似の空間的な配向性を達成するために構築され得る。
【0184】
さらなる構造的な等価物または模倣物の産生は、当業者に公知のモデリングおよび化学物質設計の技術によって達成され得る。レセプターモデリングの技術は、現在周知であり、そしてそのような方法によって骨芽細胞Osterixレセプターに結合する化学物質が設計され得、次いで合成され得る。全てのそのような立体的に同様な構築物は、本発明の範囲内に入ることが理解される。
【0185】
(3.Osterixに対する抗体の産生)
抗体の調製および特徴づけの手段は、当該分野で周知である(例えば、Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,1988;本明細書中で参考として援用を参照)。モノクローナル抗体(MAb)を産生するための方法は、ポリクローナル抗体を調製するための方法と同じ様にして一般的に始まる。手短に言えば、ポリクローナル抗体は、本発明に従って(用いる抗原組成物および抗原プロトコルに依存して、事前の免疫寛容化を伴うかまたは伴わないかのいずれかで)免疫原性組成物で動物を免疫し、そしてその免疫された動物から抗血清を回収することによって調製される。
【0186】
広範囲の動物種が、抗血清の産生のために用いられ得る。代表的に、抗抗血清の産生のために用いられる動物は、ウサギ、マウス、ラット、ハムスター、モルモットまたはヤギである。ウサギの血液の容積は相対的に大量であるため、ウサギが、ポリクローナル抗体の産生のための好ましい選択である。
【0187】
当該分野で周知のように、所定の組成物は、その免疫原性が変化し得る。従って、ペプチド免疫原またはポリペプチド免疫原をキャリアにカップリングすることによって達成され得るように、宿主の免疫系を追加免疫することが、しばしば必要である。例示的で好ましいキャリアは、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)およびウシ血清アルブミン(BSA)である。オボアルブミン、マウス血清アルブミンまたはウサギ血清アルブミンのような他のアルブミンもまた、キャリアとして用いられ得る。ポリペプチドをキャリアタンパク質に結合体化するための手段は当該分野で周知であり、グルタルアルデヒド、μ−マレイミドベンコイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、カルボジイミドおよびビス−ビアゾ化ベンジジンを含む。
【0188】
当該分野で周知のように、特定の免疫原組成物の免疫原性は、アジュバントとして知られている免疫応答の非特異的な刺激物の使用によって増強され得る。適切なアジュバントとしては、全ての受容可能な免疫刺激化合物(例えば、サイトカイン、トキシンまたは合成組成物)が挙げられる。
【0189】
使用され得るアジュバントとしては、IL−1、IL−2、IL−4、IL−7、IL−12、γ−インターフェロン、GMCSP、BCG、水酸化アルミニウム、MDP化合物(thur−MDPおよびnor−MDP、CGP(MTP−PE)、リピドA、およびモノホスホリルリピドA(MPL)など)が挙げられる。RIBIは、細菌から抽出した3つの成分であるMPL、トレハロースジミコレート(TDM)および細胞壁骨格(CWS)を2%のスクアレン/Tween 80エマルジョン中に含む。MHC抗原でさえも使用され得る。
【0190】
例示的に、しばしば好ましいアジュバントは、完全Freundアジュバント(殺傷されたMycobacterium tuberculosisを含む免疫応答の非特異的な刺激物)、不完全Freundアジュバントおよび水酸化アルミニウムアジュバントが挙げられる。
【0191】
ポリクローナル抗体の産生に用いられる免疫原組成物の量は、天然の免疫原の性質ならびに免疫に用いられる動物において変化する。多様な経路(皮下、筋肉内、皮内、静脈内および腹腔内)が、免疫原を投与するために用いられ得る。ポリクローナル抗体の産生は、免疫後の様々な時点における免疫化された動物の血液のサンプリングによってモニターされ得る。
【0192】
第2の追加免疫注入がまた、与えられ得る。追加免疫および力価測定の工程は、適切な力価が達成されるまで繰り返される。所望されるレベルの免疫原性が得られる場合、免疫化された動物は、採血され、単離され、保存された血清および/またはその動物が、モノクローナル抗体(MAb)の産生に用いられ得る。
【0193】
ウサギポリクローナル抗体の産生のために、動物は、耳の静脈から、あるいは心臓穿刺によって採血され得る。取り出された血液は、凝固され、次いで遠心分離されて細胞全体および血餅から血清成分を分離される。その血清は、そのまま多様な用途に使用され得るか、あるいは、抗体画分が周知の方法(固体マトリックスに結合された別の抗体もしくはポリペプチドを用いたアフィニティークロマトグラフィーエラー! リンクが正しくありません。によって、または、例えば、プロテインAクロマトグラフィーもしくはプロテインGクロマトグラフィーを用いることによって精製され得る所望の。
【0194】
MAbは、周知の技術(例えば、本明細書中で参考として援用される米国特許第4,196,265号に例示される技術)の使用によって容易に調製され得る。代表的に、この技術は、適切な動物を、選択された免疫原組成物(例えば、精製されたOsterixタンパク質または部分精製されたOsterixタンパク質、ポリペプチドまたはペプチド(または任意の骨芽細胞組成物(共通抗原への寛容化後に用いられる場合))によって免疫することを含む。その免疫化組成物は、抗体産生細胞を刺激するために有効な様式で投与される。
【0195】
MAbを産生するための方法は、ポリクローナル抗体を調製するための方法と同じ様にして一般的に始まる。マウスおよびラットのようなげっ歯動物は、好ましい動物であるが、ウサギ細胞、ヒツジ細胞、カエル細胞の使用もまた、可能である。ラットの使用は、特定の利点を提供し得る(Goding,1986,60〜61頁)が、マウスが好ましく、最も慣用的に使用されそしてより高い割合で安定な融合体を一般的に与えるため、BALB/cマウスが最も好ましい。本発明者らは、ラット中にマウスOsterixに対するMAbを産生した。マウス起源の分子を用いてマウスを免疫することは技術的に困難であるため、これが最初であった。これに対して、本発明者らは、ヒトOsterixに対するMAbの産生のためにマウスを選ぶ。
【0196】
動物は、一般的に上に記載したように抗原を注入される。抗原は、必要であれば、キーホールリンペットヘモシアニンのようなキャリア分子とカップリングされ得る。抗原は、Freundの完全アジュバントまたは不完全アジュバントのようなアジュバントと代表的に混合される。同じ抗原を用いる追加免疫注入は、約2週間の間隔で行われる。
【0197】
免疫に続き、抗体を産生する潜在能力を有する体細胞(特にBリンパ球(B細胞))が、MAb産生プロトコルに使用するために選択される。これらの細胞は、生検された脾臓、扁桃もしくはリンパ節から、または末梢分裂中の血サンプルから得られ得る。脾臓細胞および末梢血細胞が好ましく、前者は形質芽球段階にある抗体産生細胞の豊富な源であるからであり、後者は末梢血が入手しやすいからである。
【0198】
しばしば、動物のパネルを免疫し、そして最も高い抗体力価を有する動物の脾臓を取り出し、そして脾臓のリンパ球をシリンジを用いて脾臓をホモジナイズすることにより得る。代表的に、免疫したマウス由来の脾臓は、約5×10〜2×10のリンパ球を含む。
【0199】
免疫された動物由来の抗体産生Bリンパ球を、次に一般的に免疫された動物と同じ種の、不死の骨髄腫細胞の細胞と融合させる。ハイブリドーマを産生する融合手順での使用に適した骨髄腫細胞株は、好ましくは、非抗体産生性であり、高い融合効率を有し、そして酵素を欠乏しており、これによりこの細胞株は特定の選択培地で増殖できなくなり、このことが所望の融合細胞(ハイブリドーマ)のみの増殖を支持する。
【0200】
多数の骨髄腫細胞のうちの任意の1つは、当業者に公知である(Goding、pp.65〜66、1986;Campbell、pp.75〜83、1984)ので使用され得る。例えば、免疫した動物がマウスである場合、P3−X63/Ag8、X63−Ag8.653、NS1/1.Ag 4 1、Sp210−Ag14、FO、NSO/U、MPC−11、MPC11−X45−GTG 1.7およびS194/5XX0 Bulを使用し得る;ラットについては、R210.RCY3、Y3−Ag1.2.3、IR983Fおよび4B210を用い得る;そしてU−266、GM1500−GRG2、LICR−LON−HMy2およびUC729−6はすべて、ヒトの細胞融合と関連して有用である。
【0201】
ひとつの好ましいマウス骨髄腫細胞は、細胞株貯蔵所ナンバーGM3573を要求することによって、NIGMS Human Genetic Mutant cell Repositoryから容易に入手可能である、NS−1骨髄腫細胞株(P3−NS−1−Ag4−1とも名付けられている)である。使用され得る他のマウス骨髄腫細胞株は、8−アザグアニン抵抗性マウスのマウス骨髄腫SP2/0非産生性細胞株である。
【0202】
抗体産生脾臓またはリンパ節細胞と骨髄腫細胞のハイブリッドを生成する方法は、2:1の比率で体細胞と骨髄腫細胞を混合することを通常包含するが、細胞膜の融合を促進する因子(単数または複数)(化学的または電気的)の存在下で、比率は、それぞれ、約20:1から約1:1まで変わり得る。センダイウイルスを用いる融合方法は、KohlerおよびMilstein(1975;1976)によって記載されており、それらの方法は、ポリエチレングリコール(PEG)を用いる、例えばGefterら(1977)では37%PEGを用いる。電気的に誘導された融合方法の使用もまた適切である(Goding pp.71−74、1986)。
【0203】
融合手順は通常、約1×10−6〜1×10−8の低い頻度で生存可能なハイブリッドを産生する。しかし、問題を引き起こさない。なぜならば、生存可能な融合ハイブリッドは、選択培地で培養することによって親の融合していない細胞(特に、通常では、永久的に分裂をし続ける融合していない骨髄腫細胞)から区別されるからである。選択培地は一般的に、組織培養培地に核酸の新規合成を妨げる因子を含んだものである。模範的で好ましい因子は、アミノプテリン、メトトレキサート、およびアザセリンである。アミノプテリンおよびメトトレキサートは、プリンおよびピリミジンの両方の新規合成を妨げる、これに対してアザセリンはプリン合成のみを妨げる。アミノプテリンまたはメトトレキサートが使用される場合には、培地にヌクレオチドの原料としてヒポキサンチンおよびチミジンが補われている(HAT培地)。アザセリンが使用される場合には、培地にヒポキサンチンが補われている。
【0204】
好ましい選択培地は、HATである。ヌクレオチドのサルベージ経路を作動する能力のある細胞だけがHAT培地で生存し得る。骨髄腫細胞は、サルベージ経路の鍵となる酵素(たとえば、ヒポキサンチンホスホリボシル転移酵素(HPRT))を欠損しており、そしてそれらは生存することができない。B細胞はこの経路を作動し得るが、それらは培養中に限られた寿命を有し、一般的に約2週間以内に死ぬ。したがって、選択培地で生存し得る細胞だけが、骨髄腫およびB細胞から形成されたハイブリッドである。
【0205】
この培養は、特定のハイブリドーマが選択される集団を提供する。代表的に、ハイブリドーマの選択は、マイクロタイタ−のプレートで単一クローンの希釈により細胞培養し、それに続いて望ましい反応性について個々のクローンの上清(約2〜3週間後)を検査することによって実行される。そのアッセイは、感度がよく、早く、使用し易くあるべきである(例えばラジオイムノアッセイ、エンザイムイムノアッセイ、細胞毒性アッセイ、プラークアッセイ、ドットイムノバインディングアッセイなど)。
【0206】
選択されたハイブリドーマを次に、連続的に希釈し、そして個々の抗体産生細胞株にクローン化し、次にこれらのクローンは永久に増殖してMAbを提供し得る。その細胞株は、2つの基本的な方法でMAb産生のために利用され得る。
【0207】
ハイブリドーマのサンプルは、本来の融合(例えば、同系のマウス)のために体細胞および骨髄腫細胞を提供するために使用される型の細胞適合性の動物に注入され得る(しばしば腹腔内に)。必要に応じて、動物は、注入する前に炭化水素(特に、プリスタン(テトラメチルペンタデカン)のようなオイル)を用いてプライムされる。注入された動物は、融合した細胞ハイブリッドによって産生される特異的なモノクローナル抗体を分泌する腫瘍を発達させる。次いで、血清または腹水のような動物の体液を、穿刺し、高濃度でMAbを供給し得る。
【0208】
個々の細胞株はまた、インビトロで培養され得、MAbは自然に培養培地に分泌され、そこからMAbは高濃度で容易に得られ得る。
【0209】
他の実施形態では、MAbは、「ヒト化」MAbを含むキメラMAbである。このようなアプローチでは、キメラMAbを、マウス抗Osterix産生細胞由来のプロモーター配列、リーダー配列および可変領域配列ならびにヒト抗体遺伝子由来の定常領域エキソンを含む組換えDNAをクローン化することによって操作される。すなわち、マウスの相補的な決定領域(「CDR」)を、マウスIgの重V鎖および軽V鎖からヒトVドメインへと移す。これの後に、マウスの対応物のフレームワーク領域内のいくつかのヒト残基の置換が続き得る。
【0210】
このような組換え遺伝子によってコードされた抗体は、マウス−ヒトキメラである。その抗体の特異性は、マウスの配列に由来する可変領域によって決定される。定常領域によって決定されるそのアイソタイプは、ヒトDNAに由来している。これらのヒト化抗Osterix抗体は、インビボでの診断的および治療的な方法の使用に特に適している。組換えタンパク質としてヒト化MAbを産生するために、マウスの抗ヒトOsterixの軽鎖および重鎖の可変ドメインまたはマウスの抗ヒトOsterix MAbをコードするヌクレオチド配列を、まず初めにPCRTMによってクローン化し、そして次にヒトの軽鎖および重鎖の定常領域を含む発現ベクターに挿入する。これらの発現ベクターは、たくさんの研究者(Coら、1996;Coら、1992)によって日常的に使用されている。最も適切なヒトフレームワークの選択が必要とされ得ることを企図する。例えば、最小の位置のテンプレートを用いて抗体を設計することは、この目的に対する1つの方法である(Caoutoら、1995)。組換えタンパク質は、哺乳動物細胞(例えば、マウス骨髄腫細胞株S194)で産生され得、そして次にプロテインAセファロースカラムを用いて精製され得る。
【0211】
どちらかの手段によって産生されたMAbは、所望される場合、濾過、遠心分離、およびHPLCもしくはアフィニティークロマトグラフィーのような種々のクロマトグラフ法を用いてさらに精製され得る。本発明のモノクローナル抗体のフラグメントは、このようにして産生されたモノクローナル抗体から、ペプシンもしくはパパインのような酵素を用いた消化を含む方法、および/または化学的還元によるジスルフィド結合の切断によって、得られ得る。あるいは、本発明に包含されるモノクローナル抗体のフラグメントは、自動ペプチドシンセサイザーを用いて合成され得る。
【0212】
本発明のMAbは、たくさんの方法に有用である。例えば、MAbは、生体系中の骨芽細胞またはOsterixタンパク質を単離および/もしくは同定するため使用され得るか、またはそれらが使用され得る。
【0213】
分子クローニングアプローチを使用して、MAbを産生し得ることもまた企図される。このアプローチのために、コンビナトリアルイムノグロブリンのファージミドライブラリーを、免疫された動物の脾臓から単離されたRNAから調製し、そして適切な抗体を発現するファージミドを、抗原を発現する細胞およびコントロール細胞(例えば、正常対腫瘍細胞)を用いてパニングすることによって選択する。従来のハイブリドーマ技術に対するこのアプローチの利点は、約10倍多くの抗体が生産され得、そして一回でスクリーニングし得ること、および新しい特異性が、HおよびL鎖の組み合わせによって生じ、そのことが適切な抗体を見つけ出す機会をさらに増加させることである。
【0214】
Osterixタンパク質および/またはポリペプチドに対する自己抗体は、病理学的な条件下で、マウス、ならびに他の種(例えば、ヒト)で産生され得ることもまた企図される。例えば、このような自己抗体は、免疫不全の症状があるヒトの患者中に、検出できるレベルで存在し得る。自己抗体は、Osterixタンパク質またはポリペプチドを認識する関連の抗体を用いるELIZAによって検出され得る。ELIZAのプレートをまず初めに(ウサギ)抗Osterix抗体でコートし、そして次にOsterixの組換え形態またはネイティブな形態でコートする。これらのプレートは、テストサンプル(例えば、ヒト血清)とともにインキュベートされ、次に(ヒト)イムノグロブリンに対する抗体とともにインキュベートされる。あるいは、Osterixの組換え形態またはネイティブな形態は、ELIZAプレート上に直接的に固定化され得る。自己抗体の量を、プレートに結合する抗イムノグロブリン抗体の量を測ることによって決定する。Osterixに対する自己抗体を測るこのアッセイおよび他のアッセイは、診断的な目的で有用であり得る。
【0215】
(D.Osterix関連因子およびアッセイの開発)
本明細書中に記載されているOsterix関連因子は、たくさんの領域、例えばスクリーニングアッセイ、臨床的なサンプルでのOsterixの量および質のモニタリングまたは骨芽細胞に外来遺伝子の発現を標的化すること(全て本明細書中でさらに詳細に記載されている)に有用であることが企図される。本明細書中で使用される場合、用語「Osterix関連因子」とは、以下のものをいう:全長ならびに部分的なDNAセグメント;Osterixファミリーの他のメンバー;単離され精製されたネイティブなOsterixならび組換え的に産生されたOsterix;上記形態のいずれかに対して惹起された抗体;Osterixを過剰産生するように操作された細胞および動物。
【0216】
本明細書中に記載されているOsterix関連因子は、もちろん、さらに、Osterixの発現および/または機能を調節する分子を検索するために使用され得る(例えば、天然に存在するタンパク質、化学薬品、合成ペプチド、炭水化物、脂質、組換えタンパク質、細胞抽出物、および上清など)。これには、例えば、細胞でOsterixに結合してその活性を増強し、それによって骨産生を増強する分子を検索するための、Osterixトランスフェクタントの使用が含まれ得る。
【0217】
本発明の因子の他の企図される使用は、細胞分化を調節(例えば、間葉前駆細胞のような前駆細胞の分化を調節)して、骨芽細胞を形成することである。別の実施例では、Osterixプロモーターを導入することによって骨芽細胞株を樹立し得る。これは、骨芽細胞への細胞分化を促進するOsterix遺伝子の5’隣接領域を使用すること、または骨芽細胞特異的プロモーターにより促進された癌遺伝子(たとえば、c−myc)を使用することによって成し遂げられ得る。
【0218】
本明細書中で記載されているOsterix関連因子を使用して、インビトロでの抗体の産生を調節し得ることもまた企図される。
【0219】
(1.Osterix関連因子およびアッセイ)
以下の試薬は、本発明で「Osterix関連因子」として挙げられるものである:a)5’および3’の隣接領域を含む、OsterixのDNAセグメント、b)短縮転写物または変異した転写物を含むOsterixのセンス鎖またはアンチセンス鎖のRNAセグメント、c)短縮形態または変異した形態および生物学的な等価物を含む、Osterixのポリペプチドまたはタンパク質、d)Osterixに対するポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体、e)C2C12、およびOsterixを発現する他の細胞株、f)Osterixのポリペプチドまたはタンパク質を産生するために設計されたベクター、g)Osterixを発現するように操作された細胞株、h)遺伝子のOsterixファミリーの他のメンバーおよび上記の試薬を用いて同定され得るそれらの産物、ならびにi)上記の試薬を用いて同定され得るOsterixの関連するリガンド。
【0220】
Osterix関連試薬を使用する以下のアッセイはまた、本発明で「Osterix関連アッセイ」として挙げられるものである:a)サザンブロッティング、ゲノムPCRTM、コロニーおよびプラークハイブリダイゼーション、およびスロットブロッティングを含む、OsterixDNAを検出するアッセイ;b)ノーザンブロッティング、RT−PCRTM、インサイチュハイブリダイゼーション、プライマー伸長アッセイ、およびRNase保護アッセイを含む、OsterixRNAを検出するアッセイ;c)ELIZA、ウエスタンブロッティング、免疫沈降、ラジオイムノ吸収および競合アッセイ、ならびに免疫蛍光および免疫組織化学的染色を含む、Osterixのポリペプチドおよびタンパク質を検出するアッセイ;ならびにd)Osterix結合アッセイ、DCに誘導されたT細胞の活性化アッセイ、骨芽細胞接着アッセイ、およびOsterixの発現を調べるためのアッセイを含む、Osterix依存性の骨芽細胞の相互作用を調節する試薬を検索するアッセイ。これらのアッセイの詳細な方法論は、以下の項に記載される。
【0221】
(2.DNAレベルでのOsterixを調べるアッセイ)
Osterixのヌクレオチド(配列番号1)または有意な相同性を示す関連するヌクレオチドもしくはOsterixの部分を含む関連するヌクレオチドは、遺伝子のOsterixファミリーのメンバーを検出するためのプローブとして使用される。遺伝子のOsterixファミリーは、これらのプローブのすくなくともひとつを用いて検出可能である遺伝子として規定される。この目的のために、サザンブロッティング、PCRTM、コロニーおよびプラークハイブリダイゼーション、ならびにスロットブロットハイブリダイゼーションを含む標準的なアッセイは、これまでに記載されたように異なる程度のストリンジェンシーの種々の条件下で使用される。試験される検体には、細胞または組織から単離したcDNAライブラリー、ゲノムのDNA、cDNAおよびDNAフラグメントが挙げられる。これらのアッセイは、変異したOsterixDNAを選択的に検出するように修正され得る。この目的のためにサザンブロッティングまたはPCRTMは、変異したDNAセグメントの検出または増幅に使用される。次いで、これらのセグメントは、変異したヌクレオチドを同定するために配列決定される。あるいは、選択された制限酵素の組み合わせは、サザンブロッティングで分子の異質性を現すために使用される。さらに、これらのアッセイは、Osterixのヌクレオチド配列の種々のドメインまたは種々の部分を選択的に検出するように修正され得る。この目的のために、ヌクレオチド配列の異なった部分に対するプローブまたはプライマーを使用し得る。さらに洗練された方法は、点変異をスクリーニングするために使用され得る。例えば、PCRTM一本鎖コンフォメーション多型(PCRTM−SSCP)分析(Sarkarら、1995)を選び得ることが企図される。
【0222】
(3.RNAレベルでのOsterixを調べるアッセイ)
Osterixのヌクレオチド(配列番号1)または有意な相同性を示す関連するヌクレオチドまたはOsterixの部分を含む関連するヌクレオチドは、遺伝子のOsterixファミリーの転写物を検出するためのプローブとして使用される。この目的のために、ノーザンブロッティング、RT−PCRTM、インサイチュハイブリダイゼーション、プライマー伸長アッセイ、およびRNase保護アッセイを含む、標準的なアッセイは、これまでに記載されたような異なる程度のストリンジェンシーの種々の条件下で使用される。試験される検体としては、細胞または組織から単離された全RNAおよびmRNA、ならびに生きている動物または患者から得られた細胞および組織サンプル自体が挙げられる。これらのアッセイは、種々のドメインまたは種々のアイソフォームについての転写物を選択的に検出するように修正され得る。この目的のために、本発明者らは、ヌクレオチド配列の異なった部分に対してプローブまたはプライマーを使用する。実際に、本発明者らは、異なったプライマーセットのパネルを用いるRT−PCRTMによってOsterixのいくつかの短縮された転写物を同定することができた。これらの転写物は、代替のスプライシング機構によって産生されることが見出された。RT−PCRTMを用いる同様の方法は、他のスプライシングされた改変体および他の機構によって産生される他のアイソフォームでさえ同定するのに使用され得る。あるいは、ノーザンブロッティングは、種々のアイソフォームを選択的に検出することに使用され得る。この目的のために、オリゴヌクレオチドのプローブは、ヌクレオチド配列の異なった部分をそれぞれ網羅するように構成される。オリジナル配列から欠失されるヌクレオチドを規定するために、RNase保護アッセイを、使用し得る。変異したRNAの検出もまた、本発明に含まれている。この目的のために、骨芽細胞から単離したRNAは、ノーザンブロッティングまたはRT−PCRTMによって分析される。
【0223】
アッセイが、異なったRNA種を選択的に検出するように設計され得ることを更に企図する。RT−PCRTMを使用する同様の方法を使用して、スプライシングされた改変体および他の機構によって産生される他のアイソフォームでさえ同定し得る。あるいは、ノーザンブロッティングは、異なったアイソフォームを選択的に検出することに使用され得る。この目的のために、オリゴヌクレオチドのプローブは、各々がヌクレオチド配列の異なった部分を網羅するように構成されている。オリジナル配列から欠失されるヌクレオチドを規定するために、RNase保護アッセイは、使用され得る。
【0224】
(4.タンパク質またはポリペプチドレベルでのOsterixを調べるアッセイ)
Osterixに対する抗体は、Osterixタンパク質またはOsterixポリペプチドを検出するために使用され得る。この目的のために、ELIZA、ウエスタンブロッティング、免疫沈降、ラジオイムノ吸収およびラジオイムノ競合アッセイ、ならびに免疫蛍光および免疫組織化学的染色を含む標準のアッセイは、特異性および感受性の異なる程度の種々の条件下で使用される。試験される検体としては、生存可能な細胞、全体の細胞抽出物、および樹立された細胞株の異なる細胞成分画分、ならびに、生きている動物または患者から単離された細胞、組織、および体液が挙げられる。これらのアッセイは、Osterixポリペプチドまたはタンパク質の異なるエピトープ、ドメイン、またはアイソフォームを選択的に検出するように修正され得る。この目的のために、本発明者らは、異なるエピトープまたはドメインに対するMAbのパネルを開発しそして使用する。
【0225】
(5.Osterixの活性およびOsterix遺伝子の発現を調節する試薬を検索するためのアッセイ)
最終的に、上記で記載されたOsterix関連アッセイをまた使用して、Osterix依存性活性を調節する分子を検索し得、このアッセイは、候補となる物質とOsterix発現細胞を混合すること、およびこの候補となる物質がOsterixの発現を阻害/刺激するか否かを同定することを包含する。好ましくは、Osterix発現細胞は、骨芽細胞である。あるいは、Osterix発現細胞は、組換えOsterixを発現する操作された細胞を含み得る。
【0226】
第1のスクリーニングは、候補となる物質がOsterixの発現に影響するか否かを決定する。この目的のために、骨芽細胞発現細胞(たとえば、C2C12細胞、マウスの骨芽細胞、ヒトの骨芽細胞)は、個々にまたは組み合わせて、候補となる物質で処理され、そして次にmRNA、タンパク質、機能のレベルで増強されたOsterixの活性について試験される。あるいは、候補となる物質は、マウスのような生きている動物内に投与することによってインビボで試験され得る。この場合、骨芽細胞は、候補となる物質またはそれらの組み合わせを用いた処置後のマウスから単離され、そして再度、mRNA,タンパク質、および/または機能のレベルを測ることによって、増強されたOsterixの活性についてインビトロで試験される。これらのアッセイを行なう際に、Osterixの異なるアイソフォームの活性に対する、候補となる物質の効果をまた試験することが重要である。好ましい実施形態では、Osterixの発現を増強または刺激するこれらの因子は、薬学的に受容可能な媒体中で処方される。
【0227】
骨芽細胞におけるOsterixの活性を阻害する候補となる物質は、骨芽細胞の分化または骨の形成の阻害によって同定され得る。本発明はしたがって、骨芽細胞のOsterixが媒介する活性化を阻害する因子を提供する。好ましい実施形態において、本発明の因子は、薬学的に受容可能な媒体中で処方される。
【0228】
本発明は、さらに骨芽細胞を精製するための方法を提供する。好ましくは、この方法は以下の工程を包含する:
(a)固体支持体に連結されたOsterixのタンパク質またはポリペプチドを含む、固定されたOsterix組成物を調製する工程;
(b)前記固定したOsterix組成物を、骨芽細胞が前記のOsterixに結合することを可能にするのに有効な条件下で、骨芽細胞を含むと推測される試験組成物に接触させる工程;
(c)前記試験組成物から非結合成分を除去する工程;ならびに
(d)前記固定したOsterix組成物から結合した骨芽細胞を放出する工程。
【0229】
なおさらなる実施形態では、本発明は、骨芽細胞の相互作用を阻害/刺激する新規な化合物を同定する方法に関し、この化合物は「候補となる物質」と称され得る。このスクリーニング技術が、骨芽細胞の活性化を阻害/刺激する目的に役立つ任意の化合物の一般的な同定での有用性を証明することを企図される。骨芽細胞活性化の刺激は、骨粗鬆症、骨の骨折修復における骨の再構築などのような疾患での治療的用途を有する。
【0230】
この事項において有用な化合物は、決して抗体に制限されないことが、さらに企図される。実際に、これは、スクリーニングアッセイの適用を通じた同定のために最も有用な薬理学的化合物が、本質的に非ペプチジルであり、そして堅固な結合または他の化学的相互作用を通じた骨芽細胞の活性化プロセスを阻害することに役立つ事例であることを示し得る。
【0231】
候補分子は、Osterixの発現を抑制するか、または高める能力について、mRNAレベルまたはタンパク質レベルで骨芽細胞により試験され得る。この目的のために、骨芽細胞は、試験サンプルと共にインキュベートされ、次いで、Osterixの発現について、ノーザンブロッティング、RT−PCRTM、インサイチュハイブリダイゼーション、プライマー伸長アッセイ、および(RNAレベルでの)RNase保護アッセイによってか、またはELISA、ウエスタンブロッティング、免疫沈降、放射線免疫吸収アッセイおよび競合アッセイ、ならびに(タンパク質レベルでの)免疫蛍光染色および免疫組織化学染色によって試験される。
【0232】
候補物質は、その活性を高め、かつ骨の形成を刺激するOsterixと相互作用し得る、あらゆるタイプの物質であり得、一方で、候補物質を得るための一つの好ましい方法は、コンビナトリアル・ケミストリー技術を利用することによる方法である。このような技術は、当業者に周知であり、そしてVanHijfte Lら、1999およびFloyd C.D.ら、1999(本明細書中で参考として援用される)に記載される方法を包含する。
【0233】
(E.Osterixファミリーの他のメンバーおよびOsterixのリガンド)
(1.Osterixファミリーの他のメンバー)
Osterixと構造的特性または機能的特性を共有する他の分子が存在することが予想される。例えば、ヒトの等価物は、マウスにおいて本来発見された分子に対して同定されてきた。他の種におけるOsterix等価物、Osterixアイソフォーム、およびOsterixサブユニットを含むこれらの分子は、Osterixファミリーのメンバーとして表され、そして本発明に包含される。これは、Osterix関連試薬およびOsterix関連アッセイの有用性が、発明者がOsterixと構造的特性または機能的特性を共有する分子を同定することを可能にすることに起因する。
【0234】
Osterixのヒト等価物を同定するために、ゲノムPCRTMおよびRT−PCRTM増幅が、用いられ得る。これらの方法において、ヒトゲノムDNAまたはcDNAは、上記のようなマウスOsterixヌクレオチド/アミノ酸配列に基づいて設計されたプライマーセットを使用して、異なる程度のストリンジェンシーを用いる種々の条件下で、増幅される。PCRTM産物は、次いでクローン化され、そして配列決定される。それらが、ヌクレオチドまたはアミノ酸いずれかのレベルで、マウスOsterixに対して有意な相同性を示す場合、これらのPCRTM産物は、ヒト細胞から調製されたcDNAライブラリーから、関連するcDNAをクローン化するために用いられる。
【0235】
コロニーハイブリダイゼーションを行うために、ヒト骨芽細胞、または末梢血白血球、またはヒトゲノムDNAライブラリーから調製されたcDNAライブラリーは、マウスOsterix cDNA、またはこれらのcDNAの標的化された断片と、異なる程度のストリンジェンシーを用いる種々の条件下で、ハイブリダイズされる。あるいは、これらのライブラリーは、マウスOsterixおよびOsterixの配列に基づいて合成されたオリゴヌクレオチドと、ハイブリダイズされ得る。
【0236】
実際に、本発明者らは、サザンブロッティングによって、Osterixのヒト等価物を検出し得た。これらの結果は、マウスOsterixおよびヒトOsterixが、配列番号1のヌクレオチド配列を用いて検出し得るために十分高いヌクレオチド配列相同性を示すことを示す。これらの結果は、Osterixのヒト等価物が、マウス起源のcDNAプローブを用いて、検出可能であることを確証する。ヒトOsterixはまた、DNA配列のアライメントによって、マウスOsterixに対して、アミノ酸配列において95%の同一性を示した。
【0237】
ヒト骨芽細胞を認識する抗体は、多数の方法において有用であることが企図される。例えば、ヒト骨芽細胞を認識する抗体は、Osterixのヒト等価物を同定するために用いられ得る。より詳細には、関連するタンパク質は、免疫沈降によって精製され得、次いで配列決定され得る。ヒト等価物をコードしているcDNAは、次いでPCRTMおよび/またはPCRTM産物(アミノ酸配列から設計されたプライマーを用いて増幅される)もしくはオリゴヌクレオチドを使用するコロニーハイブリダイゼーションによってクローン化され得る。
【0238】
マウスOsterixの関連するリガンドは、Osterixのヒト等価物を同定するための分子プローブとして役立ち得る。より詳細には、マウスOsterixに対するリガンドの可溶性形態は、ヒト骨芽細胞に対するそれらの結合について、初めに試験される。それらが有意な結合を示す場合、発現cDNAクローニング方法が用いられ、ここで、(検出可能なOsterixを発現しない)非骨芽細胞株は、ヒト骨芽細胞から調製されたcDNAライブラリーを用いてトランスフェクトされる。可溶性リガンドを結合するトランスフェクト体(すなわち、発現しているOsterixのヒト等価物)は、FACSまたはパニングによって単離される。この手順は、Osterixのヒト等価物をコードするcDNAを同定するために反復される。
【0239】
Osterixと相互作用する他のポリペプチドは、酵母ツーハイブリッド系によって同定され得ることが、企図される。この酵母ツーハイブリッド系は、非常に有用で、そしてタンパク質:タンパク質相互作用を研究するために、当該分野において周知であり、そしてそれ故、Osterixと他のポリペプチドとの相互作用を決定するために、本明細書中で用いられる。この系のバリエーションは、相互作用するタンパク質をクローン化するための酵母ファージミド(Harperら、1993;Elledgeら、1991)またはプラスミド(Bartelら、1993a,b;FinleyおよびBrent、1994)cDNAライブラリーのスクリーニングに、および公知のタンパク質対の研究に利用可能である。
【0240】
このツーハイブリッド系は、タンパク質::タンパク質相互作用の指標として転写活性を利用する遺伝的方法である。これは、DNA結合ドメインおよび転写活性化ドメインから構成される多くの部位特異的転写活性化因子のモジュールの性質に依存する。このDNA結合ドメインは、活性化因子を、発現される特定の遺伝子に対して標的化するように作用し、そしてこの活性化ドメインは、転写が起こることを可能にするために転写機構の他のタンパク質と接触する。このツーハイブリッド系は、活性化因子の二つのドメインは、共有結合する必要がなく、そして任意の二つのタンパク質の相互作用によって接触され得るという観察に基づく。この系の適用は、以下の二つのハイブリッドが構築されることを必要とする:一つのタンパク質に融合した(Osterixの)DNA結合ドメイン、およびいくつかのタンパク質に融合した(Osterixの)転写活性化ドメイン。これらの二つのハイブリッドは、一つ以上のレポーター遺伝子を含む細胞中で発現される。Xタンパク質とYタンパク質が相互作用する場合、それらは、活性化ドメインをDNA結合ドメインと近接させることによって機能的活性化因子を作製する。これは、レポーター遺伝子の発現によって検出され得る。このアッセイは、通常酵母細胞中で行われてきたが、このアッセイは、哺乳類細胞中でも同様に働き、そして他の真核細胞中でも同様に適用可能である。Phizicky,E.M.およびS.Fields(1995)ProteinーProtein Interactions:Methods for detection and analysis.Microbiological Reviews.59:94−123,105を参照のこと。
【0241】
このツーハイブリッド系の成功は、多くの転写因子(例えば、GAL4)のDNA結合ドメインおよびポリメラーゼ活性化ドメインが、分離され得、次いで機能性を回復させるために再結合され得るという事実に起因する(Morinら、1993)。種々のレポーター遺伝子カセットの完全なコピーを有する酵母株は、異なる融合タンパク質をそれぞれ発現する、二つのプラスミドを用いて同時形質転換される。一つのプラスミドは、タンパク質「X」と(例えば、GAL4酵母転写活性化因子)のDNA結合ドメインとの間の融合物をコードし(BrentおよびPtashne、1985;MaおよびPtashne、1987;Keeganら、1986)、その一方で、その他のプラスミドは、タンパク質「Y」とGAL4のRNAポリメラーゼ活性化ドメインとの間の融合物をコードする(Keeganら、1986)。このプラスミドは、その調節領域がGAL4結合部位を含む、レポーター遺伝子(例えば、LacZ)を含む酵母株中に形質転換される。タンパク質Xとタンパク質Yが相互作用する場合、これらは、二つのGAL4構成成分を、転写を活性するために十分に近接させることによって、機能的GAL4転写活性化タンパク質を再構成する。いずれのハイブリッドタンパク質も、単独では、レポーター遺伝子(DNA結合ドメインハイブリッド)の転写を活性化することは不可能である、なぜならば、このハイブリッドタンパク質は、活性化機能および活性化ドメインハイブリッドを提供せず、GAL4結合部位に局在し得ないからである。二つの試験タンパク質の相互作用は、GAL4の機能を再構成し、そしてレポーター遺伝子の発現を生じる。このレポーター遺伝子カセットは、5’からそのTATAボックスへ向かってクローン化されたGAL4 DNA認識部位(JohnsonおよびDavis、1984;LorchおよびKornberg、1984)を含む、最小限のプロモーターから構成される。転写活性化は、β−ガラクトシダーゼの発現か、または転写産物に対する栄養要求性選択(例えば、URA3(ウラシル選択)またはHIS3(ヒスチジン選択))を可能にする特定の栄養素を欠いた最小培地上の形質転換体の増殖のいずれかを測定することによって評価される。Bartelら、1993a;Durfeeら、1993;FieldsおよびSternglantz、1994、および米国特許5,283,173号を参照のこと。本出願において引用されるこれら、および全ての参考文献は、本明細書中で参考として援用される。
【0242】
このツーハイブリッド系に加えて、他の方法(例えば、免疫共沈降、架橋、および、勾配またはクロマトグラフィーのカラムを通した同時精製)もまた、Osterixと相互作用するポリペプチドおよびタンパク質を同定するために用いられ得る。同時精製または共沈降されたタンパク質は、次いでタンパク質配列決定を含む、当該分野において公知の方法によって、同定され得る。
【0243】
Osterix cDNAを用いてトランスフェクトされた哺乳類細胞は、Osterixに結合するペプチドを同定するために用いられ得る。詳細には、ランダムペプチドディスプレイライブラリー(例えば、FliTrxTM)を発現するE.coliは、パニングによって、上記トランスフェクト体への結合物に対してスクリーニングされる。数回のスクリーニング後、陽性クローンが、配列決定される。次いで、完全長ポリペプチドが、ペプチド配列に基づいて合成されたオリゴヌクレオチド、またはPCRTMプライマーを利用する骨芽細胞cDNAライブラリーのコロニーハイブリダイゼーションによって同定される。
【0244】
代わりに、Osterixに対する関連するリガンドを単離するための生化学的アプローチでは、骨芽細胞株から調製された全細胞抽出物または膜画分が、可溶性Osterixと結合体化したアフィニティーカラム上にアプライされる。次いで、カラムに結合した分子(すなわち、推定上のリガンド)が、pHを変化させるか、またはEDTAもしくは糖質を用いて洗浄することによって溶離される。この溶離物は、従来のカラムクロマトグラフィーおよびHPLCによって精製され、次いでアミノ酸配列について試験される。これらのリガンドをコードしているcDNAは、示されたアミノ酸配列に基づいて合成されたオリゴヌクレオチド、またはPCRTMプライマーを利用する骨芽細胞cDNAライブラリーのコロニーハイブリダイゼーションによってクローン化される。
【0245】
(F.Osterix関連試薬およびアッセイの臨床的適用および準臨床的適用)
本明細書中に記載されるOsterix関連因子(すなわち、Osterixタンパク質またはポリペプチド、このようなタンパク質またはポリペプチドに対して惹起される抗体、Osterixの変異型形態、切断型形態、または伸長型形態、このような形態に対して惹起される抗体、Osterixを過剰産生または欠損するように操作された細胞、Osterixと相互作用するタンパク質、およびOsterix遺伝子発現を刺激、活性化、阻害、または調節する因子)は、骨の形成を促進するために用いられ得ることが、さらに企図される。すなわち、これらは、骨障害(例えば、骨粗しょう症、糖質コルチコイド誘導骨粗しょう症、パジェット病、異常に増進された骨の代謝回転、歯周病、歯の損失、骨折、慢性関節リウマチ、捕てつ周辺(periprosthetic)の骨溶解、骨形成不全、転移性骨疾患、悪性の高カルシウム血症など)の処置のために用いられ得る。
【0246】
(1.Osterix依存性骨芽細胞機能を調節する試薬についての検索のための薬理学的適用)
あるものは、候補物質が、骨芽細胞によるOsterixの発現に影響し得るか否かを決定するために、選択され得る。この目的のために、骨芽細胞調製物(例えば、C2C12細胞、マウス骨芽細胞、ヒト骨芽細胞)は、個別にか、または組み合わせでかのいずれかで候補分子を用いて処置され、次いでmRNAレベル、タンパク質レベル、および機能レベルでOsterixの発現について試験される。あるいは、これらの候補物質は、生きている動物に投与することによって、インビボで検査され得る。この場合、骨芽細胞は、処置後これらのマウスから単離され、次いで、mRNAレベル、タンパク質レベル、および機能レベルで、再度Osterix発現についてインビトロで試験される。これらのアッセイの実行において、Osterixの異なるアイソフォームの発現に対する候補物質の効果をまた試験することが、重要である。
【0247】
これらの実施形態において、本発明は、骨芽細胞活性化プロセスを刺激する候補物質の能力を決定するための方法に向けられ、この方法は、一般的に以下の工程を包含する:
(a)骨芽細胞(および必要な場合、関連する抗原)の集団を含む第二成分と、Osterixを発現する組換え細胞の集団を含む第一成分とを混合する工程;
(b)候補物質と混合物とをインキュベートする工程;
(c)増強された骨芽細胞活性について上記混合物を試験する工程;および
(d)骨芽細胞の活性化を阻害する候補物質を同定する工程。
【0248】
候補物質を同定するために、第1に骨芽細胞を活性化可能なOsterix組成物が獲得される。必然的に、添加された候補物質の非存在下でOsterix組成物の骨芽細胞活性能が測定されるか、もしくは決定される。次いで、Osterix組成物に候補物質が添加され、そして候補物質の存在下で骨芽細胞を活性化するOsterix組成物の能力が再決定される。その非存在下の能力に関連してOsterix組成物の骨芽細胞活性能を増大させる候補物質は、刺激能を有する候補物質を示す。
【0249】
この候補のスクリーニングアッセイは、準備および実行が全く複雑でなく、かつタンパク質活性およびポリペプチド活性を測定するための上記のアッセイに多くの点で関連する。従って、ネイティブの供給源もしくは組換え体の供給源のいずれかに由来のタンパク質もしくはポリペプチドの比較的精製された調製物を得た後、タンパク質がその骨芽細胞活性化機能を実行可能な好ましい条件下で、タンパク質調製物と候補物質とを混合することが所望される。この様式において、候補物質の存在下において骨芽細胞活性能を比較的増加させる候補物質の能力が測定され得る。
【0250】
当然、本発明の全てのスクリーニング方法は、有効な候補物質が見出され得ないという事実にもかかわらず、それら自身有用であることが理解される。なぜならば、Osterixアゴニストおよび/またはアンタゴニストが、存在しないことを知るためには実質的に有用であるからである。本発明は、これらを見出さない、このような候補についてのスクリーニングのための方法を提供する。
【0251】
候補分子は、Osterix依存骨芽細胞相互作用を増強し得る。この可能性を試験するために、試験サンプルは、骨芽細胞活性化アッセイ、Osterix結合アッセイ、または骨芽細胞接着アッセイに添加される。これらのアッセイの一つにおいてOsterixの機能を高めるサンプルは、付加的な特性を保有すると考えられる。
【0252】
任意の分子が、本発明の目的のための候補分子であり得る。候補分子は、周知の組み合わせの化学技術(例えば、本明細書中で参考として援用される、VanHijfte Lら、1999およびFloyd C.D.ら、1999において記載される技術)を用いて、最も効率的に設計および作成されることが想像される。
【0253】
(F.Osterixを用いる治療)
Osterixは、骨の形成に関与するので、骨障害(例えば、骨粗しょう症、糖質コルチコイド誘導骨粗しょう症、パジェット病、異常に増大した骨代謝、歯周病、歯の損失、骨折、慢性関節リウマチ、捕てつ周辺(periprosthetic)の骨溶解、骨形成不全、転移性骨疾患、悪性の高カルシウム血症など)の処置に有効に用いられ得る。
【0254】
(1.Osterixのタンパク質治療)
別の治療アプローチは、被験体に対するOsterixポリペプチド、活性断片、合成ペプチド、これらのミメティックまたはアナログの用意である。このタンパク質は、組換え体発現手段によって生成され得るか、または十分に小さい場合、自動ペプチド合成機によって生成され得る。処方は、投与の経路、および目的に基づいて選択され、リポソームの処方物および古典的な製剤を含むがこれらに限定されない。
(2.Osterixを用いた遺伝子ベースの治療)
本発明者らによって企図される治療の実施形態の1つは、骨形成に関与する事象における、分子レベルでの介入である。詳細には、本発明者らは、骨細胞または前駆細胞にOsterixポリペプチドを提供可能な発現構築物を、この骨細胞または前駆細胞に提供することを意図する。この配列は、ヒト遺伝子、マウス遺伝子、ラット遺伝子、ウサギ遺伝子、ネズミ遺伝子、霊長類遺伝子、およびイヌ遺伝子との間で相同なので、これらの核酸のいずれかは、同じか、または生化学的に等価なポリペプチドをコードする遺伝子配列改変体のいずれかとして、ヒト治療に用いられ得る。本明細書中で使用された発現ベクターおよび遺伝的要素の上記の長い考察は、この節において参考として援用される。特に好ましい発現ベクターは、ウイルスベクターである。
【0255】
当業者は、インビボ状態およびエキソビボ状態に対してどのように遺伝子送達を適用するか十分に知っている。ウイルスベクターに関して、一般的にウィルスベクターストックが調製される。ウイルスの種類およびその到達可能な力価に依存して、患者に対して、1〜100、10〜50、100〜1000、または1×10、1×10、1×10、1×10、1×10、1×10、1×1010、1×1011、または1×1012までの感染性粒子が送達される。同様の形態が、相対的な取り込み効率の比較によって、リポソームの処方物または他の非ウイルス処方物について推定され得る。薬学的に受容可能な組成物としての処方が、以下に考察される。
【0256】
種々の経路が、異なる疾患型について企図される。経路に関する以下の節は、可能な経路の広範な一覧を含む。異なる実施形態において、エキソビボ遺伝子治療が、企図される。エキソビボ実施形態において、患者由来の細胞は、除去され、そして少なくともいくらかの期間、体外で維持される。この期間の間、Osterix遺伝子は、これらの細胞に送達され、その後この細胞は、患者に再導入される。
【0257】
本発明のいくつかの実施形態において、被験体は、ウイルスベクターに曝露され、次いで被験体は、発現構築物ベースの毒性についてモニターされ、ここでこのような毒性は、特に、被験体に対して有害な状態を引き起こすことを含む。
【0258】
(3.薬剤的処方および送達)
本発明の好ましい実施形態において、Osterixポリペプチドをコードする発現構築物の送達による骨障害のための処置の方法が、企図される。骨障害(例えば、骨粗しょう症、糖質コルチコイド誘導骨粗しょう症、パジェット病、異常に増大した骨代謝、歯周病、歯の損失、骨折、慢性関節リウマチ、捕てつ周辺(periprosthetic)の骨溶解、骨形成不全、転移性骨疾患、悪性の高カルシウム血症など)が処置され得る。
【0259】
一般的に、薬剤的組成物の有効量は、疾患またはその症状の程度を検出可能にかつ、反復して、改善、減少、最小化、または制限するために十分な量と定義される。疾患の消失、根絶または治癒を含むより厳密な定義が適用し得る。
【0260】
((i)投与)
Osterixポリペプチドを発現する治療用発現構築物は、任意の経路によって投与され得、そして投与の経路は、病変の位置および性質と共に必然的に変化し、そして例えば、皮内の、経皮(transdermal)の、非経口の、静脈内の、筋肉内の、鼻腔内の、皮下の、経皮(percutaneous)の、潅流の、洗浄の、気管内の、腹腔内の、腫瘍内の、直接注射のおよび経口の投与ならびに処方を含む。処置レジメンは、同様に変化し得、そして疾患の進行、ならびに患者の健康および年齢にしばしば依存する。臨床医は、治療処方の公知の効力および毒性(ある場合)に基づいてこのような決断を下すのに最も適している。
【0261】
この処理は、種々の「単位用量」を含み得る。単位用量は、治療的組成物の予め決定された量を含むとして、定義される。投与されるべき量、ならびに特定の経路および特定の処方は、臨床に関わる当業者の範囲内である。単位用量は、単一注入として投与される必要はないが、1セットの期間にわたる連続注入を含み得る。本発明の単位用量は、ウイルス構成物に関するプラーク形成単位(pfu)に関して、簡便に記載され得る。単位用量は、10pfu、10pfu、10pfu、10pfu、10pfu、10pfu、10pfu、1010pfu、1011pfu、1012pfu、1013pfu、およびより高い値に及ぶ。あるいは、ウイルスの種類および達成可能な力価に依存して、1〜100、10〜50、100〜1000の感染性ウイスル性粒子(vp)、または、約1×10まで、約1×10まで、約1×10まで、約1×10まで、約1×10まで、約1×10まで、約1×1010まで、約1×1011まで、約1×1012まで、約1×1013まで、約1×1014まで、もしくは約1×1015までの感染性ウイルス性粒子(vp)、あるいは、より高い感染性ウイルス性粒子(vp)を、患者または患者の細胞へ送達する。
【0262】
核酸構築物の注入は、発現構築物が注入のために必要な特定のゲージの針を通過し得る限り、シリンジ、または液体の注入に使用される他の方法のいずれかによって、送達され得る。新規な針無し注入システムが、近年、記載されている(米国特許第5,846,233号)。このシステムは、溶液を保持するためのアンプルチェンバーを規定するノズル、およびこのノズルから投与部位へ溶液を押し出すためのエネルギーデバイスを有する。シリンジシステムもまた、遺伝子治療における使用について記載されており(米国特許第5,846,225号)、どの深さにおいても予め決定された溶液量を正確に複数回注入することを可能にする。
【0263】
遊離塩基としての活性化合物、または薬理学的に受容可能な塩の溶液を、ヒドロキシプロピルセルロースのような界面活性剤と適切に混合した水中にて調製し得る。分散物もまた、グリセロール中、液体ポリエチレングルコール中およびこれらの混合液中ならびに油中にて調製し得る。保存および使用の通常の条件下において、これらの調製物は、微生物の増殖を防ぐために、防腐剤を含有する。注入可能な使用に適した薬学的形態としては、滅菌水溶液または滅菌分散物、および注入可能な滅菌溶液または注入可能な滅菌分散物の即時調製物のための滅菌粉末が、挙げられる。(米国特許第5,466,468号、具体的には、本明細書中にその全体が参考として援用される)。全ての場合において、形態は、滅菌されなければならず、そして、容易な注入可能性(syringability)が存在する程度に、流動性でなければならない。形態は、製造および保存の条件下で安定でなければならず、そして、細菌および真菌のような微生物の汚染作用から、保護されなければならない。キャリアは、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコールなど)、これらの適切な混合物、および/または植物油を含有する溶媒または分散物媒体であり得る。適切な流動率は、例えば、レクチンのようなコーティングの使用、分散物の場合に必要とされる粒子サイズの維持、および界面活性剤の使用によって、維持され得る。微生物作用の予防は、種々の抗菌剤および抗真菌剤(例えば、パラベン、クロロブタノ−ル、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなど)によって、成し遂げられ得る。多くの場合、等張剤(例えば、糖または塩化ナトリウム)を含むことが、好ましい。注入可能な組成物の長期吸収は、吸収を遅延させる薬剤組成物(例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン)において使用することによって、成し遂げられ得る。
【0264】
水溶液での非経口投与のために、例えば、溶液は、必要ならば適切に緩衝化されるべきであり、そして、液体希釈剤は、十分な生理食塩水またはグルコースを用いて最初に等張にされるべきである。これらの特定の水溶液は、特に、静脈投与、筋内投与、皮下投与、腫瘍内投与および腹腔内投与に適する。この点について、使用され得る滅菌水溶性媒体は、本開示を考慮すると、当業者に公知である。例えば、ある投薬量は、1mlの等張NaCl溶液中に溶解され得、そして、1000mlの皮下注入流体に添加され得るか、または目的注入部位で注入され得るかのいずれかである(例えば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」第15版、1035〜1038頁および1570〜1580頁を参照のこと)。投薬量におけるいくつかの改変は、処置されている被験者の状態に依存して、必然的に起こる。投与の責任がある人は、いずれの事象においても、個々の被験者のために適切な用量を、決定する。さらに、ヒトへの投与に関しては、調製物は、FDA Office of Biologicsの標準によって要求される滅菌標準、発熱標準、一般的安全標準および純度標準を、満たすべきである。
【0265】
注入可能な滅菌溶液は、活性化合物を必要量で、適切な溶媒中に上記の種々の他の成分とともに組み込むことによって調製され、必要ならば、続いてろ過滅菌する。一般的に、基本分散媒体、および上記の成分からの必要とされる他の成分を含有する滅菌ビヒクルに、滅菌された種々の活性成分を組み込むことによって、分散物は調製される。注入可能な滅菌溶液の調製のための滅菌粉末の場合において、好ましい調製法は、活性成分および所望される任意のさらなる成分の粉末を、予めろ過滅菌したそれらの溶液から産出する、真空乾燥技術および凍結乾燥技術である。
【0266】
本明細書中で開示される組成物は、中性形態または塩形態で、処方され得る。薬学的に受容可能な塩としては、酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基とともに形成される)が挙げられ、この酸付加塩は、無機酸(例えば、塩酸またはリン酸)または酢酸、シュウ酸、タリル酸、マンデル酸などのような有機酸とともに形成される。遊離カルボキシル基とともに形成される塩はまた、無機塩基(例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウムまたは水酸化第二鉄)およびイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなどのような有機塩基から、誘導され得る。処方の際、溶液は、投薬処方と適合し得る様式で、および治療的に有効な量で、投与される。処方物は、種々の投薬形態(例えば、注入可能な溶液、薬物放出カプセルなど)において、容易に投与される。
【0267】
本明細書中で使用される場合、「キャリア」としては、いずれのおよび全ての溶媒、分散媒体、ビヒクル、コーティング剤、希釈剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸着遅延剤、緩衝液、キャリア溶液、懸濁液、コロイドなどが、挙げられる。薬学的な活性物質のための、このような媒体および薬剤の使用は、当該分野に周知である。従来の任意の媒体または薬剤が活性成分と適合し得ない範囲を除いて、治療的組成物中の媒体または薬剤の使用は、企図される。補足の活性成分もまた、組成物中に組み込まれ得る。
【0268】
句「薬学的に受容可能」または「薬理学的に受容可能」は、ヒトに投与された場合、アレルギー反応または類似した特異な反応を生成しない分子的実体および組成物をいう。活性成分としてタンパク質を含む水溶性組成物の調製は、当該分野において周知である。典型的には、このような組成物は、液体溶液または懸濁液のいずれかのような注入可能物として、調製される;注入前の液体中の溶液または懸濁液に適切な固体形態もまた、調製され得る。用語「接触させる」および「曝露させる」は、細胞に適用される場合、Osterixポリペプチドをコードする治療的構築物を標的細胞に送達するプロセスを記載するために、本明細書中で使用される。
【0269】
(H.ノックアウト動物およびノックアウト細胞、トランスジェニック動物およびトランスジェニック細胞)
Osterix遺伝子欠損細胞、Osterix遺伝子欠損細胞株、およびOsterix遺伝子欠損動物は、例えば、上記の同定アッセイに加えて、特異的調節因子(例えば、骨芽細胞遺伝子の発現および活性の刺激因子またはそのインヒビター)の同定の一部として、生成および利用され得る。従って、Osterix欠損細胞、Osterix欠損細胞株、およびOsterix欠損動物は、代表的な例として、頻繁に本明細書中で使用される。
【0270】
本明細書中で使用される場合、用語「Osterix欠損」は、対応する細胞、または正常な2つのOsterix遺伝子の野生型コピーを含む細胞を含む細胞株もしくは動物細胞よりも、低レベルの機能的Osterix活性を示す細胞、細胞株および/または動物をいう。好ましくは、「Osterix欠損」は、検出可能な機能的Osterix活性が存在しないことをいう。
【0271】
代表的なOsterix欠損動物または「ノックアウト」動物は、マウスOsterix欠損動物である。ノックアウト動物は、当業者に周知である。例えば、Horinouchiら、1995;およびOtterbachならびにStoffel、1995(これらの両方は、それらの全体が本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。さらなるOsterixノックアウト細胞、Osterixノックアウト細胞株およびOsterixノックアウト動物を生成するための技術は、以下に記載される。
【0272】
Osterix活性が欠損した細胞および細胞株は、当業者に周知である標準的技術を利用してOsterixノックアウト動物から、誘導され得る。このような動物は、培養においてアッセイ基質として使用され得る細胞株を誘導するために、用いられ得る。初代培養物が利用され得るが、連続細胞株の生成が、好ましい。トランスジェニック動物から連続細胞株を誘導するために使用され得る技術例については、Smallら,1985を参照のこと。細胞および細胞株の生成のためのこのような技術はまた、以下に記載されるトランスジェニック動物および遺伝子操作された動物に関連して、利用され得る。
【0273】
Osterix欠損細胞に関して、このような細胞としては、例えば、骨障害(例えば、骨粗鬆症)を示す患者から採取された細胞、および骨障害(例えば、骨粗鬆症)を示す患者に由来する細胞株が、挙げられ得る。さらなるOsterix欠損細胞およびOsterix欠損細胞株は、Osterix遺伝子配列にOsterix活性を破壊させる変異を導入するための、周知の組み換えDNA技術(例えば、部位特異的変異誘発)を使用して、生成され得る。
【0274】
Osterix欠損細胞およびOsterix欠損動物は、本発明中に記載されるOsterixヌクレオチド配列を使用して、生成され得る。このような動物としては、以下の任意の種が挙げられるが、これらに限定されない:マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ブタ、ミニブタ、および非ヒト霊長類(例えば、ヒヒ、リスザルおよびチンパンジー)。
【0275】
当該分野において公知である任意の技術を使用して、導入遺伝子(例えば、不活性化してある遺伝子配列)を、動物へ導入して、トランスジェニック動物のファウンダー系統を生成し得る。このような技術としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:前核のマイクロインジェクション(米国特許第4,873,191号);生殖細胞系統へのレトロウイルス媒体遺伝子移(Van der Puttenら、1985);胚性幹細胞への遺伝子ターゲティング(Thompsonら、1989);胚のエレクトロポレーション(Lo、1983);および精子媒体遺伝子移(Lavitranoら、 1989)など。このような技術の総説については、Gordon、1989(その全体が本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。
【0276】
上記に列挙されるように、標準的胚性幹細胞(ES)技術は、例えば、Osterixノックアウトの生成のために、利用され得る。ES細胞は、インビトロで培養される着床前の胚から、取得され得る(例えば、Evansら、1981;Bradleyら、1984;Gosslerら、1986;Robertsonら、1986;Woodら、1993参照のこと)。この導入されたES細胞は、その後、胚をコロニー化させ、そして、その結果生じたキメラ動物の生殖細胞系に寄与する(Jaenisch、1988)。
【0277】
Osterix遺伝子破壊を達成させるために、遺伝子ターゲティングを介する部位特異的不活性化の技術が、使用され得(Thomas,K.R.およびCapecchi,M.R.1987)、そしてFrohmanら、1989;Cappecchi、1989;Barribaultら、1989;Wagner、1990;およびBradleyら、1992中に、総説される。
【0278】
さらに、Osterix配列を連結させる標準的な技術(例えば、相同組み換え)は、所望される任意のOsterix遺伝子領域の不活性化または変更のために、利用され得る。多くの戦略は、相同組み換え率を検出または選択するために、利用され得る。例えば、PCRは、相同的な挿入のための形質転換体細胞プールのスクリーニング、続く個々のクローンのスクリーニングに、使用され得る(Kimら、1988;Kimら、1991)。あるいは、ポジティブ遺伝子選択アプローチが使用され得、ここで、相同的な挿入が起こった場合にのみ活性であるマーカー遺伝子が構築され、これらの組み換え体が直接選択されることを可能にする(Sedivyら、1989)。さらに、ポジティブ−ネガティブアプローチ(PNS)法が、利用され得る(Mansourら、1988;Capecchi、1989;Capecchi、1989)。PNS法を利用して、非相同組み換え体は、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV−TK)遺伝子を使用することによって、およびその非相同的な挿入に対してヘルペス薬物(例えば、ガンシクロビルまたはFIAU)を用いて選択することによって、選択され得る。このような逆の選択(counter−selection)によって、生存する形質転換体における相同組み換え体の数が、増大される。
【0279】
これらのような技術を介して生成されるES細胞は、非ヒト動物の生殖細胞系へ導入される場合、モザイクでない、すなわち、キメラでない子孫の生成を可能にする。このような子孫は、本明細書中で、ファウンダー動物と、いわれる。一旦、ファウンダー動物が生成されると、ファウンダー動物は、特定の動物のコロニーを生成するために、交配、同系交配、異系交配または異種交配され得る。
【0280】
上記の、Osterixノックアウトマウスの生成の例として、まず標準的技術が、マウスOsterix遺伝子配列の単離のために、利用され得る。このような配列は、以下で議論されるように、標準的分子技術、ならびにプローブおよび/またはPCRプライマーとしてのヒトOsterixヌクレオチド配列を利用することによって、慣用的に単離され得る。
【0281】
次いで、Osterix遺伝子の不活性な対立遺伝子は、胚性幹細胞(ES細胞)における相同組換えのための、ポジティブ選択およびネガティブ選択を併用する標準的手順を使用する標的化変異誘発によって、生成され得る。Osterixゲノムクローンは、例えば、129/svマウスゲノムライブラリーから単離され得、このゲノムライブラリーは、遺伝子ターゲティングのために使用されるES細胞と同遺伝子系である。第一コードエキソン(エキソン2)の欠損部位の5’側および3’側の両側に隣接する相同配列を含むヌル(null)ターゲティングベクターが構築され得、この第一コードエキソンは、翻訳開始コドン、および他の必須な遺伝子コード配列を含む。このベクターは、ポジティブ選択のための耐性マーカー(例えば、ネオマイシン耐性マーカー(Neo))、およびネガティブ選択のためのネガティブマーカー(例えば、チミジンキナーゼ(TK)マーカー)を、有する。以前に報告されたターゲティングベクターに類似するベクターが、利用され得、そのターゲティングベクターは、他の遺伝子(例えば、ニーマン−ピック病、NMDAレセプターおよび甲状腺ホルモンレセプター)に関するノックアウトマウスの生成のために、首尾よく使用される。
【0282】
簡単に述べると、ベクターDNAは、W9.5 ES細胞(雄性由来)に、エレクトロポレーションし得、次いで、そのW9.5 ES細胞は、Neo遺伝子を発現するトランスジェニックマウス由来のマウス胚性線維芽細胞の支持細胞層上で、培養および選択され得る。G418(350mg/ml;Neoを得るため)およびガンシクロビル(2 mM;TKを失うため)は、URO−D遺伝子にて相同組換えが起こった耐性ES細胞コロニーを選択するために、培養培地に添加され得る。組換え体は、サザンブロットハイブリダイゼーション分析によるES細胞コロニーからのゲノムDNAのスクリーニングによって、同定される。40の染色体の正常な相補体もまた有する、正確に標的化されたES細胞クローンは、変異を有するマウスを誘導するために、使用され得る。ES細胞は、交尾後3.5日目にて、C57BL/6Jマウスから得た胚盤胞へマイクロインジェクションされ得、そして、胚盤胞は、偽妊娠の雌性マウスへ再着床され、その雌性マウスは、乳母として働く。大部分がES細胞由来であるキメラ子孫は、C57BL/6J宿主胚盤胞由来の黒色の外被(black coat color)に対する高い割合のアグーチ色の外被(agouti coat color)(ES細胞の起源の129/sv系統の色)によって、同定される。雄性キメラ子孫は、C57BL/6J雌性と繁殖させることによる変異の生殖細胞系伝達について、試験される。これらの交配由来のアグーチ子孫は、変異についてヘテロ接合であることが予想され、このことは、サザンブロット分析によって確認される。これらのF1ヘテロ接合子孫は、表現型の分析のための3種の遺伝子型全て(野生型、ヘテロ接合変異体およびホモ接合変異体)の子孫を含むF2同腹子を生成するために、交配される。
【0283】
(1.トランスジェニック動物の作製法)
このように、本発明の特定の実施例は、Osterix遺伝子に関してノックアウトであり、ゆえに、Osterixが関連する骨障害についてモデルとして役立つトランスジェニックマウスを提供し、そして、Osterix遺伝子発現およびOsterix機能活性のインヒビターおよび刺激因子の両方を含む調節因子の同定のためのアッセイ系もまた、提供する。
【0284】
本発明の考察はトランスジェニックマウスを言及するが、マウスは、単に模範的なモデル動物であり、そして、モデル動物として慣習的に使用される他の任意の哺乳動物(例えば、ラット、モルモット、ウサギ、ネコ、イヌ、ブタなど)は、本明細書中に記載される技術を使用して生成され得る、ということが理解される。一般的な局面において、トランスジェニック動物は、導入遺伝子の発現を可能にする様式において、ゲノム中に所定の導入遺伝子を組込むことによって、生成される。本明細書中で使用される場合、用語「動物」および「非ヒト動物」は、ヒトを除く脊椎動物全てを含む。これらの用語はまた、胚段階および胎児段階を含む、発生の全段階における個々の動物を含む。「トランスジェニック動物」は、亜細胞レベルでの意図的な遺伝子操作によって、直接的または間接的に受け取られた遺伝情報を保有する1つ以上の細胞を含む、任意の動物である。遺伝的操作は、マイクロインジェクション、組換えウイルスを用いる感染、粒子ボンバードメントまたはエレクトロポレーションが挙げられるが、これらに限定されない、遺伝物質を細胞へ導入する任意の方法によって、行われ得る。この用語は、古典的な交雑育種またはインビトロ受精を含むことを意図せず、むしろ、1つ以上の細胞が組換えDNA分子を受け取る動物を含むことを意味する。この分子は、染色体内に組込まれ得るか、または染色体外で複製するDNAであり得る。遺伝情報は、レシピエントが属する動物種に対して外来であり得るか、個々のレシピエントに対してのみ外来であり得るか、または、そのレシピエントによって既に保持され、ネイティブな遺伝子よりも異なるレベルで、異なる時間で、もしくは異なる位置で発現される遺伝情報であり得る。
【0285】
トランスジェニック動物を生成する方法は、WagnerおよびHoppe(米国特許第4,873,191号;本明細書中に参考として援用される)によって、Brinsterら、1985(本明細書中にその全体が参考として援用される)によって、および「Manipulating the Mouse Embryo;A Laboratory Manual」第2版(Hogan、Beddington、CostantimiおよびLong編、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1994;本明細書中にその全体が参考として援用される)中に、一般的に記載される。
【0286】
典型的に、ゲノム配列に隣接される遺伝子は、マイクロインジェクションによって、受精卵に移される。マイクロインジェクションされた卵は、雌性宿主に移植され、そして子孫は、導入遺伝子の発現のために、スクリーニングされる。トランスジェニック動物は、爬虫類、両生類、鳥類、哺乳類および魚類が挙げられるが、これらに限定されない多くの動物由来の受精卵から、生成され得る。特に好ましい実施形態において、Osterixのノックアウトであるトランスジェニックマウスが、生成される。
【0287】
マイクロインジェクションのためのDNAクローンは,当該分野において既知である任意の方法によって、調製され得る。例えば、マイクロインジェクションのためのDNAクローンは、細菌性プラスミド配列の除去に適切な酵素を用いて切断され得、そしてDNAフラグメントは、標準的技術を使用してTBE緩衝液中にて1%アガロースゲル上で電気泳動され得る。このDNAバンドは、臭化エチジウムを用いた染色によって、可視化され、そして発現配列を含むバンドが、切り取られる。次いで、この切り取られたバンドは、0.3M酢酸ナトリウム(pH7.0)を含む透析バッグ中に配置される。DNAは、透析バッグに電気溶出され、1:1のフェノール:クロロホルム溶液を用いて抽出され、二倍容のエタノールによって沈澱される。このDNAは、1mlの低塩緩衝液(0.2M NaCl、20mM Tris(pH7.4)および1mM EDTA)中に再溶解され、そして、Elutip−DTMカラム上で精製される。このカラムを、先ず、3mlの高塩緩衝液(1M NaCl、20mM Tris(pH7.4)および1mM EDTA)を用いてプライムし、続いて、5mlの低塩緩衝液を用いて洗浄する。このDNA溶液を、DNAをカラムマトリクスに結合させるために、3回カラムを通過させる。3mlの低塩緩衝液で1回洗浄された後、このDNAを、0.4mlの高塩緩衝液を用いて溶出し、そして、二倍容のエタノールによって沈澱させる。DNA濃度は、UV分光光度計における260nmでの吸光度によって測定される。マイクロインジェクションのために、DNA濃度は、5mM Tris(pH7.4)および0.1mM EDTA中にて3μg/mlに、調整される。
【0288】
マイクロインジェクションのためのDNAの精製に関する他の方法は、Hoganら Manipulating the Mouse Embryo(Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY,1986)、Palmiterら Nature 300:611(1982);The Qiagenologist,Application Protocols,第3版(Qiagen,Inc.,Chatsworth,CA.出版)、およびSambrookら Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY,1989)中に、記載されている。
【0289】
雌性マウスは、例えば、妊馬血清ゴナドトロピン(PMSG;Sigma)の注入を使用し、続いて、48時間後、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG;Sigma)を注入することによって、過剰排卵を誘発させられる。雌は、hCG注入直後に、雄とともに配置される。hCG注入後21時間で、交尾した雌を、CO窒息または頸部脱臼によって屠殺し、そして、胚を、摘出した卵管から回収し、そして、0.5%ウシ血清アルブミン(BSA;Sigma)を含むダルベッコのリン酸緩衝化生理食塩水中に配置する。卵丘細胞の周囲は、ヒアルロニダーゼ(1mg/ml)を用いて、除去される。次いで、前核胚を、洗浄し、そして、注入時まで、5% CO、95%空気での湿気雰囲気を用いた37.5℃のインキュベーター中で、0.5% BSA(EBSS)を含むアールの平衡塩類溶液中に配置する。胚は、二細胞期で、着床され得る。
【0290】
25μgのSalI−直線化SGC標的化ベクターが、1×10個の胚性幹(ES)細胞にエレクトロポレーションされる。適切なインキュベート期間(例えば、36時間)の後、トランスフェクトされた細胞は、次いでG418およびFIAUを用いて選択される。G418−FIAU−耐性ESコロニーは、96−ウェルプレート内に取り上げられる(Ramirez−Solisら、1993)。ポジティブなESクローンは、C57BL/6胚盤胞に注射され、そして偽妊娠ICR雌性レシピエントに移入される。胚移植の時点で、この雌性レシピエントは、体重1g当たり0.015mlの2.5%アバーティン(avertin)の腹腔内注射によって麻酔される。卵管は、単一の正中背部切開によって露出される。次いで、体壁を通して、卵管の上に直接切開が行われる。次いで、卵巣嚢が時計工鉗子(watchmakers forcep)を用いて開裂される。移入される胚は、DPBS(ダルベッコリン酸緩衝化生理食塩水)中、および移入ピペットの先端内に配置される(約10個〜12個の胚)。このピペットの先端部は卵管漏斗に挿入され、そして胚が移入される。移入後、切開部は2本の縫合糸によって閉じられる。
【0291】
得られた雄性キメラは、雌性C57BL/6と交配される。生殖系列伝達は、表現型(例えば、毛色)を用いてスクリーニングされ得、そしてサザン分析によって確認され得る。
【0292】
上記のように、トランスジェニック動物およびそのような動物に由来する細胞株は、特定の試験実験における用途を見出し得る。この点で、オステリックス(Osterix)トランスジェニック動物および細胞株は、試験基質に対して曝露され得る。これらの試験物質は、骨芽細胞に細胞分化を誘導する能力についてスクリーニングされ得る。このような手順によって同定された化合物は、骨の障害(例えば、骨粗鬆症)の処置において有用である。従って、この同定された化合物は、骨の喪失の予防、処置、回復のために用いられ得る。
【0293】
(a.ES細胞)
ES細胞は、インビトロで培養された移植前の胚から得られる(Evansら、1981;Bradleyら、1984;Gosslerら、1986;Robertsonら(1986))。導入遺伝子は、当業者に周知の多くの手段を用いてES細胞に導入される。その後、形質転換されたES細胞は、非ヒト動物由来の胚盤胞と組み合わされ得る。その後、ES細胞は胚に定着し、そして得られるキメラ動物の生殖系列に寄与する(総説として、Jaenisch、1988を参照のこと)。
【0294】
一旦DNAが、例えば、エレクトロポレーションによって(Troneguzzoら、1988;Quilletら、1988;Machyら、1988)導入されると、当該分野において周知の従来の条件下で、細胞が培養される。これらの細胞(これらは、所望の遺伝子配列を含むDNA分子を受容している)の回収を容易にするために、検出可能なマーカー遺伝子配列を含む、第2の遺伝子配列と組み合わせて、所望の遺伝子配列を含むDNAを導入することが好ましい。本発明の目的のために、任意の遺伝子配列(細胞内におけるこれらの存在は、その細胞を認識することおよびクローン的に単離することを可能にする)が、検出可能な(選択)マーカー遺伝子配列として用いられ得る。レシピエント細胞において、この検出可能な(選択)マーカー遺伝子配列の存在は、PCR、放射標識化ヌクレオチドの検出、または検出可能なマーカー配列の発現を必要としない他の検出アッセイによって認識され得る。代表的には、この検出可能なマーカー遺伝子配列はレシピエント細胞内で発現され、そして選択表現型を生じる。選択マーカーは当業者に周知である。いくつかの例として、hprt遺伝子(Littlefield、1964)、neo遺伝子、単純疱疹ウイルスのtk(thyroidinc kinase)遺伝子(Giphart−Gasslerら、1989)、あるいは、アミノ酸アナログ、ヌクレオシドアナログまたは抗生物質に対する耐性を与える、他の遺伝子などが挙げられる。
【0295】
本発明に従って、任意のES細胞が用いられ得る。しかし、ES細胞の初代単離体を用いることが好ましい。このような単離体は、胚(例えば、Robertsonによって開示された(1989)CCE細胞株)から、またはCCE細胞株由来のES細胞のクローン性単離体(Schwartzbergら、1989)から直接的に得られ得る。このようなクローン性の単離は、Robertsonの方法(1987)に従って達成され得る。このようなクローン性増殖の目的は、動物内へ分化のために、より大きな有効性を有するES細胞を得ることである。クローン的に選択されたES細胞は、トランスジェニック動物の生成において、前駆体細胞株CCEの約10倍有効である。
【0296】
(b.相同組換え)
相同組換え(KollerおよびSmithies、1992)は、特定の位置への導入遺伝子の挿入に関する。この技術は、既存の遺伝子の正確な改変を可能にし、そして、前核注射またはウイルスベクターの使用によって生成されたトランスジェニック動物において観察される、位置効果および挿入性不活性化の問題を克服する。さらに、この技術は、特定の遺伝子の不活性化、ならびに、ある遺伝子と別の遺伝子との置換を可能にする。特定の実施形態において、このDNAセグメントは、オステリックスコード領域に隣接する、選択された2つのDNA領域を含み、それによって、非ヒト動物種のゲノムDNA内へのコード領域の相同組換えを指向する。
【0297】
従って、トランスジェニック構築物の好ましい送達方法は、相同組換えまたは「ノックアウト技術」の使用を含む。相同組換えは、アンチセンスのように、相補的配列と塩基対形成する核酸の傾向に依存する。この場合、塩基対形成は、鎖の破壊および修復が起こり得るように、2つの別個の核酸分子間の相互作用を容易にするために役立つ。換言すれば、この方法の「相同」の局面は、2つの相補的な配列を密接に近接させるための、配列の相同性に依存し、一方「組換え」の局面は、特定の結合の破壊および他の結合の形成によって、他の配列を置換する1つの相補的な配列を提供する。
【0298】
実施においては、相同組換えは以下のように用いられる。第一に、標的遺伝子が宿主細胞内に選択される。次いで、標的遺伝子に対する配列相同性は、標的遺伝子を不活性にするいくつかの変異(終止コドン、中断など)とともに、遺伝構築物に含まれる。この不活性化変異に隣接する相同的配列は、この変異体を「隣接する」といわれる。隣接とは、この文脈では、標的相同的配列が、変異の上流(5’)と下流(3’)との両方に位置することを単に意味する。これらの配列は、標的遺伝子の上流および下流のいくつかの配列に対応するべきである。次いで、この構築物は細胞に導入され、従って細胞配列とこの構築物との間の組換えを可能にする。
【0299】
実際問題として、この遺伝子構築物は、ビヒクルよりもはるかに正常に働き、遺伝子を妨害する。例えば、組換え体を選択し得ることは重要であり、従って、構築物内に選択マーカー遺伝子を含むことは一般的である。この遺伝子は、種々の生物静力学的薬物および生物致死性薬物に対する耐性を与えることによって、ゲノムDNA内にこの構築物を組み込んでいる細胞の選択を可能にする。さらに、細胞中で発現される異種遺伝子もまた、この構築物内に有利に含まれ得る。その配列は以下のようであり得る:
・・・ベクター・5’−隣接配列・異種遺伝子・選択マーカー遺伝子・隣接配列−3’・ベクター・・・
従って、この種の構築物を用いて、単一の組換え事象において、(i)内因性遺伝子を「ノックアウトする」こと、(ii)このような事象を同定するための選択マーカーを提供すること、および(iii)発現のための導入遺伝子を導入することが可能である。
【0300】
この相同組換えアプローチの別の改良点は、「ネガティブな」選択マーカーの使用を含む。このマーカーは、選択マーカーとは異なり、マーカーを発現する細胞の死を引き起こす。従って、このマーカーは、所望でない組換え事象を同定するために用いられる。選択マーカーを用いて相同組換え体を選択しようとする場合、初期のスクリーニング工程において、無作為で非配列特異的な事象から生成される組換え体から、適切な相同組換え体を同定することは難しい。これらの組換え体はまた、選択マーカー遺伝子を含み得、そして目的の異種タンパク質を発現し得るが、十中八九、所望の「ノックアウト」表現型を有さない。ネガティブな選択マーカーを、隣接領域の外部で構築物に結合することにより、ネガティブな選択マーカーを組み込む多くの無作為な組換え事象に対して選択し得る。ネガティブな選択マーカーは隣接配列の外部にあるので、相同組換えはこのマーカーを導入してはならない。ネガティブな選択を用いて相同組換えを富化するプロセスの例としては、胚性幹細胞または形質転換細胞株における標的遺伝子の破壊(Mortensen、1993;WillnowおよびHerz、1994)および組換えウイルス(例えばアデノウイルス)の生成(Imlerら、1995)が挙げられる。
【0301】
遺伝子標的化の頻度は、標的化のために用いられるDNAの起源に強く影響されるので、標的化される細胞に可能な限り類似な(同遺伝子型の)DNAを得ることは有益である。このことを達成する1つの方法は、シングルコロニー由来のゲノムDNAからの、長距離PCRによる目的の領域の単離による。長距離PCRを用いると、少量の開始DNAから、7〜12kbのフラグメントを単離することが可能である。
【0302】
遺伝子トラップは、本発明との使用に適する有用な技術である。遺伝子トラップとは、入ってくる導入遺伝子を活性化するための、染色体DNAに存在する内因性調節領域の利用をいう。導入遺伝子が無作為な位置に挿入する場合、この方法において、組換え遺伝子の発現は起こらないかまたは最小化される。しかし、相同組換えが生じる場合、この内因性調節領域は、入ってくる導入遺伝子と同格に配置され、このことは導入遺伝子の発現を生じる。
【0303】
(c.部位特異的組換え)
インテグラーゼファミリーのメンバーは、DNA認識配列に結合するタンパク質であり、そしてDNAの認識、対合、切断、鎖の伸長および再連結に関与する。現在、このインテグラーゼのファミリーは、共通の不変なHis−Arg−Tyr三つ組を有する、細菌、ファージおよび酵母に由来する、28種のタンパク質を含む(AbremskiおよびHoess、1992)。真核生物への適用のために最も広範に用いられる部位特異的組換え系のうちの4つとしては:バクテリオファージPl由来のCre−loxP(Austinら、1981);Saccharomyces cerevisiaeの2μプラスミド由来のFLP−FRT(Andrewsら、1985);Zygosaccharomyces rouxii由来のR−RS(MaeserおよびKahmann、1991)、および、バクテリオファージMu由来のgin−gix(Onouchiら、1995)が挙げられる。Cre−loxP系およびFLP−FRT系は、後者の2つの系よりも大きい程度、開発されている。R−RS系は、Cre−loxP系およびFLP−FRT系と同様に、タンパク質およびその認識部位のみを必要とする。Ginリコンビナーゼは、逆に配向する2つの組換え部位(gix)の間のDNA反転を選択的に媒介し、そして、3つのさらなる因子:ネガティブスーパーコイル、エンハンサー配列およびその結合タンパク質Fisの補助を必要とする。
【0304】
本発明は、Cre/Lox部位特異的組換え系(Sauer,1993,Gibco/BRL,Inc.,Gaithersburg,Md.を通じて入手可能である)を使用して、ゲノムから特定の遺伝子を取り出すことおよび特定の導入遺伝子構築物をゲノムから切除することを企図する。バクテリオファージPlから単離された、Cre(組換えを引き起こす)−lox P(交差(x)の遺伝子座)組換え系は、Cre酵素および両方のパートナー分子上のそのloxP認識部位のみを必要とする(SternbergおよびHamilton、1981)。loxP部位は、8bpのスペーサー領域(Creリコンビナーゼ(35kDaタンパク質)によって認識される)によって分離される、対称的な2つの13bpのタンパク質結合領域からなる。loxPについての核酸配列(Hoessら、1982)およびCreについての核酸配列(Sternbergら、1986)は公知である。2つのloxP部位が互いにシスである場合、切除反応が起こる;しかし、2つの部位が互いにトランスである場合、組込み事象が起こる。Creタンパク質は、部位特異的組換え事象を触媒する。この事象は、双方向性である(すなわち、CreはLoxP部位での配列の挿入を触媒するか、または2つのLoxP部位の間にある配列を切除する)。従って、挿入のための構築物がまた隣接LoxP部位を有する場合、Creタンパク質(またはCreタンパク質をコードするポリヌクレオチド)の、細胞への導入は、構築物DNAの除去を触媒する。この技術は、米国特許第4,959,317号(本明細書によって、参考としてその全体が援用される)において可能となっている。
【0305】
細菌における初期のインビボ研究は、リコンビナーゼを発現する細胞において、CreがloxP隣接DNAを染色体外に切除することを示した(Abremskiら、1983)。この系に関する主な疑問は、真核生物内での部位特異的組換えが細菌タンパク質によって促進され得るか否かであった。しかし、Sauer(1987)は、この系が、細菌における場合と同レベルの有効性で、S.cerevisiaeにおいてDNAを切除することを示した。
【0306】
Cre−loxP系、特にマウスにおけるES細胞系を用いたさらなる研究は、独自のトランスジェニック動物の産生のための切除反応の有用性を実証している。loxP隣接neo−tkカセットのCre媒介欠失の前に、相同組換えを用いて、ES細胞に変異を導入した。このストラテジーを、同一株において合計4回繰り返し、rep−3遺伝子座およびmMsh2遺伝子座の対立遺伝子(DNA不一致の修復に関与する遺伝子)の両方を変化させた(AbuinおよびBradley、1996)。同様に、35Sプロモーター/ルシフェラーゼ遺伝子/loxP/35Sプロモーター/hpt遺伝子/loxP(luchyg)からなる導入遺伝子を、タバコに導入した。それに続く、Creでの処理は、50%の効率でhyg遺伝子(luchyg)の欠失を引き起こす(DaleおよびOw、1991)。loxP隣接neo遺伝子で標的化されたIg軽鎖κ定常領域を有するトランスジェニックマウスを、Cre産生マウスと交配し、初期胚由来の選択マーカーを除去した(Laksoら、1996)。マーカーの除去のための、この一般的なアプローチは、調節基によって生じる問題、および、集団への新しい遺伝子の導入に関する消費者に起因する。
【0307】
本発明における使用のために企図される類似の系は、FLP/FRT系である。この系を用いて、FRT隣接neoカセットを有するマウスES細胞においてヒストン4遺伝子を標的化し、その後、FLP媒介組換えによってマーカーを欠失した。このFLPタンパク質は、FLPを駆動する誘導性プロモーターから、またはそのタンパク質自体を用いて得られ得る(Wigleyら、1994)。
【0308】
本発明はまた、ゲノムからの特定のトランスジェニック構築物の切除、ならびにゲノムからの特定の遺伝子の取り出しのための、組換え活性化遺伝子(RAG)1および組換え活性化遺伝子2の使用を企図する。RAG−1(GenBank登録番号M29475)およびRAG−2(GenBank登録番号M64796およびM33828)は、特定の組換えシグナル配列(RSS)を認識し、そして免疫グロブリンおよびT細胞レセプター遺伝子のアセンブリのために必要とされるV(D)J組換えを触媒する(Schatzら、1989;Oettingerら、1990;CumoおよびOettinger、1994)。非リンパ細胞におけるRAG−1タンパク質およびRAG−2タンパク質のトランスジェニック発現は、レポーター基質のV(D)J組換えを支持する(Oettingerら、1990)。本発明における使用のために、目的の形質転換構築物は、隣接RSSを含むように操作される。形質転換の後、RSSの内部である形質転換構築物は、形質転換細胞におけるRAG−1およびRAG−2の一過性の発現によって、ゲノムから欠失され得る。
【0309】
(実施例)
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を実証するために含まれる。以下の実施例に開示される技術が、本発明者によって発見された技術を、本発明の実施においてよく機能するように説明し、従って、その実施のための好ましい様式を構成すると考えられ得ることは、当業者に理解されるべきである。しかし、当業者は、本開示に鑑み、多くの変更が本発明の精神および範囲から逸脱することなく、開示される特定の実施形態においてなされ得、そして同様の結果または類似の結果をなお得ることを理解すべきである。
【0310】
以下は、実施例1〜実施例5において用いられた方法である。
【0311】
(材料および方法)
(細胞培養)マウス筋肉の筋芽細胞であるC2C12細胞、マウス胚の線維芽細胞であるC3H10T1/2クローン、COS−7細胞、BALB/3T3細胞、S194細胞およびPC12細胞を、American Type Culture Collectionから得た。C2C12細胞を、15%の胎仔ウシ血清(FBS)および抗生物質(100単位/ml ペニシリン)を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、Gibco BRL)において維持した。ヒト組換えBMP−2またはTGF−β1を用いてC2C12をインキュベートする場合、培地を、5%FBSおよび抗生物質を含むDMEMで置換した。C3H10T1/2細胞、COS−7細胞、BALB/3T3細胞、S194細胞およびPC12細胞を、10%FBSおよび抗生物質の存在下で、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中に維持した。
【0312】
(RNAの単離および分析)全RNAを、Trizol(Gibco BRL)を用いて細胞およびマウス組織から単離し、そしてポリ(A)+RNAを、製造業者の説明書に従って、Oligotex−dT30(Qiagen)で精製した。RNA発現の分析を、前述(Sambrookら、1989)のようにノーザンブロットによって行った。用いたプローブとして、オステリックスcDNA、マウスオステオカルシンcDNA、マウスOSF2/Cbfa1 cDNA、18S rRNA cDNAおよびヒトGAPDH cDNAの3’非翻訳配列を含むプローブが挙げられる。
【0313】
(cDNAクローニング)C2C12細胞を、15%のFBSを含むDMEM中で培養してコンフルーエンシーに到達させ、血清を5%にまで減少させ、そして、この細胞を、300ng/mlのBMP−2の存在下または欠如下において、さらに24時間増殖させた(Katagiriら、1994)。この細胞から、全RNAを抽出した。ポリ(A)+RNAをさらに精製した。個々の全RNAからcDNAを合成し、増幅し、そしてPCR−Select cDNA Subtraction Kit(Clontech)を製造業者の説明書に従って用いて、PCRによってサブトラクトした。サブトラクション後、cDNA産物をpCR2.1(Invitrogen)中に連結した。サブトラクトしたcDNAライブラリーを、Differential Screening Kit(Clontech)を用いた示差ハイブリダイゼーションによってさらにスクリーニングした。オステリックスの全長cDNAを単離するために、オステリックス特異cDNAプローブで、マウス頭蓋冠cDNAライブラリーをスクリーニングした。
【0314】
(5’−RACE)FirstChoice RLM−RACEキット(Ambion)を製造業者の説明書に従って用いて、5’−RACEを行った。
【0315】
(インサイチュハイブリダイゼーション)インサイチュハイブリダイゼーション分析のためのプローブを生成するために、本発明者らは、pBluescript KS(+)のEcoRI部位に3’非翻訳配列をコードする、オステリックスcDNAの563bpのEcoRIフラグメントをクローン化した。次いで、DNAをNotIで直線化し、そしてT3ポリメラーゼで転写し、センスRNAプローブを得たか、または、DNAをXhoIで直線化し、そしてT7ポリメラーゼで転写し、アンチセンスRNAプローブを得た。転写反応は、[35S]UTPを標識として含んだ。前記(Ausubelら、1995)のように、微量の改変体を用いてインサイチュハイブリダイゼーションを行った。スライドを8日間露光した。
【0316】
(プラスミド構築物)アミノ酸27〜428をコードするオステリックスcDNAのセグメントを、ベクターpcDNA3.1−5UT−Flag(Lefebvreら、1997)のBamH1部位およびXba1部位にクローン化し、哺乳類発現プラスミドpcDNAFlag−Osterixを産生した。
【0317】
(ゲルシフト分析)ゲルシフト分析のために、二本鎖オリゴヌクレオチドを、ポリヌクレオチドキナーゼおよび[[γ]−32P]ATPで標識化した。オステリックス発現ベクターでトランスフェクトされたCOS−7の抽出物とともに、室温で20分間、プローブオリゴヌクレオチド(20,000cpm)をインキュベートした。この反応生成物を、0.25 X TrisボレートEDTA緩衝液を含む4%ポリアクリルアミドゲル上で、4℃で泳動した。
【0318】
(トランスフェクション)転写活性化研究のために、オステリックスcDNAの種々のセグメントを、Gal4発現ベクターpSG424(SadowskiおよびPatshne、1989)のEcoRI部位とXbaI部位との間で、Gal4DNA結合ドメインを用いて、インフレームでクローン化した。COS−7細胞を、10%の胎仔仔ウシ血清を含むDMEM中で、8%CO中で増殖させた。1μgのGal4発現プラスミドを、5つのGal4DNA結合部位およびE1bプロモーターを含む、0.25μgのルシフェラーゼレポータープラスミド(LuoおよびSawadogo、1996)ならびに0.25μgのpSV−β−Gal(内部コントロールとして)とともに、細胞内にトランスフェクトした。この細胞を、Fugene6(Gibco BRL)でトランスフェクトし、そしてトランスフェクトの24時間後に回収した。ルシフェラーゼ活性およびβ−ガラクトシダーゼ活性を、記載されるように(Ausubelら、1995)測定した。組換えオステリックスタンパク質を得るために、Fugene6(Gibco BRL)を用いて、pcDNAFlag−OsterixをCOS−7細胞にトランスフェクトし、そしてトランスフェクトの24時間後に回収した。
【0319】
(抗オステリックス抗体の精製)オステリックスタンパク質のC末端に位置する14アミノ酸のペプチド(AHGGSPEQSNLLEI)でウサギを免疫化することによって、抗体を作製した。この抗体を、14アミノ酸のペプチドと結合した3M Emphaze Biosupport Medium AB1カラム(Pierce)上でアフィニティー精製し、そして低pHおよび高pHで溶出した。次いで、この抗体を、Tris緩衝化生理食塩水に対して透析した。
【0320】
(ウエスタンブロット) 細胞溶解産物を、以前に記載されたように調製し(Schreiberら、1989)、そしてウエスタンブロットを、ECLキット(Amersham)を用いて実施した。マウス抗FLAG M2抗体およびマウス抗Gal4 DNA結合ドメインを、それぞれSigmaおよびSanta Cruzから購入した。
【0321】
(染色体の位置決め) Osterixの染色体の位置を、Jackson Laboratoryから入手したマウス種間マッピングパネルに対するサザンハイブリダイゼーションにより決定した。パネルは、(C56BL/6J XSPRET/Ei)F1ハイブリッドメスマウスとSPRET/Eiオスマウスとの間の種間交雑からの、94の戻し交雑子孫由来のゲノムDNAで構成されていた(Roweら、1994)。HindIIIで消化した戻し交雑子孫由来のゲノムDNAサンプルを含む、サザンブロットメンブレンを0.5kbのDNAプローブとハイブリダイズさせた。制限フラグメント長多型の分布パターンを、分析のためにJackson Laboratoryへ提出した。
【0322】
(実施例1)
(骨芽細胞増強転写因子のためのcDNAのクローニング)
潜在的な骨芽細胞に特異的なタンパク質を同定するために、本発明者らは、サプレッション−サブトラクティブハイブリダイゼーション法を、ディファレンシャルハイブリダイゼーションスクリーニングと組合わせて使用した。15%のFBS含有のDMEMで構成されるC2C12細胞の増殖培地を、5%まで血清を低減し、そして細胞がコンフルーエンシーに達した時、細胞を、300ng/mlのBMP−2の存在下または非存在下において、さらに24時間の間増殖させた(Katagiriら、1994)。その後、両方の細胞からpoly(A)+RNAを調製し、第1鎖のcDNAへ逆転写した。第2鎖のcDNAの合成後、次いで、これらのcDNAプールを、PCR法に基づくサプレッション−サブトラクティブハイブリダイゼーションに使用した。この手順において、BMPの非存在下で増殖したC2C12細胞に対応するcDNAを、BMPの存在下で増殖したC2C12細胞に対応するcDNAから差し引いた。差し引いたcDNAライブラリーからランダムに選択した500個のクローンを、ディファレンシャルハイブリダイゼーションスクリーニングに用いた。28個のcDNAクローンを、選択した。それらは、BMP−2処理後のC2C12細胞から調製されたcDNAプローブにポジティブであるが、BMP−2で未処理のC2C12細胞に由来するcDNAプローブにネガティブであった。クローンのDNA配列を、Genbank検索において決定および試験した。12個のcDNAクローンは、ヒトまたはマウスにおいてすでに同定されたタンパク質に一致した。さらに、16個のcDNAクローンを、BMP2で未処理のC2C12細胞またはBMP2で処理したC2C12細胞のいずれかに由来するRNAを用いてノーザンハイブリダイゼーションで試験した。8個のcDNAクローンは、未処理のC2C12細胞由来のRNAに対するハイブリダイゼーションを示さず、そしてBMP−2処理したC2C12細胞由来のRNAと強いシグナルを示した。これらcDNAの1つは、BMP−2処理した細胞内で強く誘導される約3.0kbの主要な転写産物に対してハイブリダイズした(後述)。続いて、このcDNAクローンを、全長cDNAを同定するために使用し、全長cDNAの配列決定は、分子量が44.7kDaと予想される428個のアミノ酸のポリペプチドをコード化し得るATGコドンで開始する1284個のヌクレオチドのオープンリーディングフレームを示した(図2A)。5’RACE実験を、BMP−2処理したC2C12細胞内のmRNAの5’末端を同定するために実施した。さらなる71個のヌクレオチドを同定し、これは、図2Aに示されるcDNAクローンの配列の前に位置する。この配列は、さらなるインフレームのメチオニンコドンまたは終始コドンを含まず、マウスゲノムにおける図2Aの最も5’側の49個のヌクレオチドを直前に位置することもまた見出された。
【0323】
内因性のポリペプチドのサイズを試験するため、ポリペプチドのC末端に位置する14個のアミノ酸ペプチドに対する抗体を産生させ、そしてさらに精製した。精製した抗体は、BMP−2で処理したC2C12細胞由来の抽出物内に存在する46kDaのタンパク質を認識した。SDS−PAGEにおけるこのポリペプチドの移動度は、COS−7細胞内で発現される組換えポリペプチドの移動度と一致した(図3)。内因性のポリペプチドの予想される分子量は、推定アミノ酸配列から予想されるサイズと一致した。SDS−PAGEにおけるポリペプチドの移動度はまた、還元剤により影響されなかった。従って、図2Aによって示されるcDNAは、全長のポリペプチドをコード化する。
【0324】
アミノ酸配列は、カルボキシル末端において3つのC2H2型ジンクフィンガーモチーフの存在を予想させる。図2Bに示されるように、これらのジンクフィンガーは、Sp1、Sp3、およびSP4内に存在するジンクフィンガーと高度な相同性を有する。下位ではあるが重要な相同性はまた、他のタンパク質(例えば、Sp2、FKLF−2、BTEB−1、ならびにTGF−β誘導性の初期遺伝子のTIEG−1およびTIEG−2)のジンクフィンガー領域で見い出された。このタンパク質のアミノ末端の285個のアミノ酸は、転写活性化ドメインに特徴的なプロリン(14.7%)残基およびセリン残基(10.2%)が豊富なドメインを含む。ジンクフィンガードメインの上流は、核の局在化のために重要であることが示されているEGR−1における領域(Gashlerら、1993)と類似する塩基性アミノ酸のストレッチであった。従って、転写因子ドメインを有する新規なポリペプチドが、本明細書中において提供される。
【0325】
(実施例2)
(発現パターン)
インビボでこのRNAを発現する細胞型を同定するため、本発明者らは、種々の段階のマウス胚を用いて、そしてさらに新生仔マウスに由来する組織を用いて、インサイチュハイブリダイゼーションを実施した。代表的な例を、図1A、図1B、図1C、図1D、図1E、および図1Fに示す。胚発育の13.5日目に、転写産物を、軟骨細胞の分化を生じている間葉細胞内に検出した(図1A)。弱いシグナルをまた、指の間葉濃縮物(condensation)中に検出した。E14.5での発現を、上顎骨、下顎骨および前額骨の突起内における間葉細胞中に検出した。転写産物をまた、脊椎を含む他の骨格の成分中に検出した(図1B)。この段階で転写産物は、軟骨の周辺層に限定され、そしてより中心に位置する軟骨細胞には存在しない。小腸、肝臓、胸腺および肺は、ほとんどシグナルを示さなかった。E15.5での強い発現を、全ての初期の骨化中心の細胞内に見出した。弱い発現をまた、成長板軟骨の前肥大性帯域内に検出した(図1C)。上顎骨および下顎骨ならびに歯胚の間葉細胞(図1D)を形成するE16.5での細胞は、陽性のシグナルを示したのに対して、歯胚中でのメッケルの軟骨組織または歯胚の上皮組織においてほとんど発現が検出されなかった。発生からE17.5日目において、発現は、骨膜内および骨トラベキュラ(trabecules)に関連する細胞内で強かった(図1E)。生後13日目のマウスにおいて、発現を、二次骨化中心を形成している細胞内と同様に、骨トラベキュラ内に検出した(図1F)。全体的に、これらの結果は、インビボで、Osterix遺伝子は、膜性骨化または軟骨内骨化のどちらかにより形成される全ての骨の骨芽細胞内に発現することを示す。軟骨内骨化により形成される骨格成分において、Osterix遺伝子は、分化中の軟骨細胞内で最初に発現し、次いで、軟骨膜内および初期の骨芽細胞内で発現する。膜性骨化により形成される骨格成分において、それは、間葉細胞濃縮物内で最初に発現し、次いで、骨芽細胞内で発現する。Osterixはまた、軟骨内の骨の前肥大性軟骨細胞内で、低レベルで発現する。
【0326】
C2C12細胞へBMP−2を添加した後のどの時点でOsterixRNAが発現するかを決定するために、時間経過の調査を実施した。Osterix遺伝子の発現を、BMP−2の添加後3時間で検出し、12〜24時間で最高に達し、そして48時間後に減少するということを、ノーザンブロット分析は、明らかにした(図9B)。発現は、OSF2/Cbfa1(骨芽細胞の分化に重要な転写因子)の発現に対応し、そしてオステオカルシンmRNA(骨芽細胞の分化の分子マーカー)の発現を先行した。TGF−β1(TGF−βスーパーファミリーとは別のメンバー)がOsterix遺伝子を誘導するかを調査するために、本発明者らは、C2C12細胞をTGF−β1で処理した。BMP−2と同様にTGF−β1は、筋管の形成を阻害したが(図9A)、TGF−β1は、C2C12細胞内にオステオカルシンmRNAの発現を誘導しなかった(図9B)。TGF−β1は、Osterix mRNAの発現に関して影響を与えなかった(図9B)。Osterix RNAは、骨芽細胞株の、ROS17/2.8細胞内およびMC3T3−E1細胞内で発現し、十分に分化した軟骨細胞株である、ラットの軟骨肉腫細胞(RCS)内と同様であったが、Osterix RNAは、BALB/3T3繊維芽細胞、S194 B細胞またはPC12細胞内では発現されなかった(図9C)。新生仔マウスの種々の組織を分析した場合、Osterix RNAを、頭蓋冠内にのみ検出し、そして図9Cに列挙した他の組織内では検出されなかった。
【0327】
(実施例3)
(組換えOsterixタンパク質の生化学的特性付け)
C末端部分に位置する3つのジンクフィンガーモチーフ、ならびにSP1、SP3およびSP4内の類似のモチーフとのそれらの高度な配列相同性は、このポリペプチドがDNAへ結合し得ることを示した。組換えポリペプチド(アミノ酸17〜428)を、COS−7細胞へのOsterix発現ベクターのトランスフェクションによって産生した。トランスフェクト細胞からの抽出物を使用して、既に関連するジンクフィンガータンパク質に結合することが既に示されている、コンセンサスSp1結合部位を含む二本鎖オリゴヌクレオチドを用いて、ゲルシフトアッセイを実施した。特定のDNA−タンパク質複合体のレベルの増加が、抽出物の量の増加によって得られた(図4A)。特定の複合体の形成を、抗C末端Osterix抗体とのインキュベーションによって阻害した(図4B)。さらに、この阻害は、抗血清を産生するために使用される過剰なC末端ペプチドとのさらなるインキュベーションによって回復し、これによってこの複合体が、組換えOsterixおよび標識化したプローブで構成されることが示唆される。
【0328】
G/Cボックス(表4を参照のこと)を含有する異なる二本鎖オリゴヌクレオチドの結合能力をまた、試験した(図6Aおよび図6B)。この結果は、OsterixがCol1a1プロモーターおよびCol2a1プロモーター内のEKLFコンセンサス部位およびG/Cリッチ配列を含む、いくつかのG/Cリッチ配列に対して効率よく結合することを示した。変異を、結合配列をさらに描写するために、Col2a1部位中に導入した。この部位は、SP1結合についてのコンセンサス部位に非常に類似する。中央のG残基における変異は、プローブに対するOsterixの結合を無効にする。
【0329】
本発明者らはまた、Osterixが転写活性ドメインを含むかどうかを試験した。Osterixの種々のセグメントを、酵母転写因子Gal4のDNA結合ドメインとインフレームで融合し、そして融合ポリペプチドを、5つのGal4結合部位およびElb最小プロモーターを含むレポーター遺伝子とともにCOS−7細胞内で発現させた。Gal4 DNA結合ドメインを発現するプラスミドを、コントロールとしてトランスフェクトした。図7A、図7B、および図7Cは、残基27〜270を含むセグメントを示し、そして残基27〜192由来のより小さいプロリン/セリン−リッチなセグメントは、強力な転写の活性化機能を提供した。Gal4 DNA結合ドメインに融合した場合、全長タンパク質(1〜474)も、Osterixのジンクフィンガー領域(363〜474)もどちらも転写を活性する能力を有さなかった。本発明者らは、全長タンパク質が活性を欠損させたということを企図する。なぜなら、全長タンパク質は、レポーター遺伝子内のGal4結合部位に対してよりも、COS−7染色質内の内因性の標的部位に対する高い親和性を有したためである。あるいは、本発明者らは、ジンクフィンガー領域が活性化ドメインをマスクし得、またはプロリンリッチな領域の活性を抑制する別のドメインを含み得ることを企図する。
【0330】
(実施例4)
(Osterix遺伝子のマッピング)
マウスゲノムにおけるOsterix遺伝子の染色体位置を決定するため、Jackson Laboratoryから入手したDNAサンプルの種間マッピングパネルを分析した。このパネルは、(C57BL/63 X SPRET/Ei)F1ハイブリッドメスマウスとSPRET/Eiオスマウスとの間の種間交雑由来の、94の戻し交雑子孫のゲノムDNAから構成した。初めに、C57BL/6JのゲノムDNAとSPRET/EiのゲノムDNAとの間のHind IIIの制限フラグメント長多型を同定するため、0.3kbのHind III cDNAプローブを使用した。次いで、このプローブを、戻し交雑子孫のパネルの94のゲノムDNAサンプルのゲノムDNAとともに使用した。このパネルのハプロタイプを、他の既にマップされたマーカーと比較した。このマッピングの結果は、Osterix遺伝子がマウス第15染色体上のSca 8aとItga5との間に位置することを示す。これらの遺伝子の染色体の位置に基づいて、ヒトOSTERIX遺伝子について予測されるシンテニー領域は、染色体12q13である。ヒトの遺伝性の骨格疾患は、この領域にマップされなかった。
【0331】
【表4】
Figure 2004537968
Figure 2004537968
(実施例5)
(考察)
本発明は、ジンクフィンガータンパク質のSp/XKLFファミリーの新規なメンバーを提供し、これは、3つのカルボキシル末端のジンクフィンガーを含む。Osterixの3つの85残基のジンクフィンガードメインは、SPファミリーのドメインと近縁であり、そしてmBTEB−1のドメインとそれよりも幾分遠縁である。ジンクフィンガードメインの外側において、Genbankデータベースにおける他のタンパク質と配列相同性は存在しないが、アミノ末端部分は、特定の転写活性ドメインに代表的なプロリン残基およびセリン残基が豊富である。組換えOsterixは、近縁の転写因子Sp1の標的であるいくつかのG/Cリッチな結合部位に結合し得る。異種のDNA結合ドメインに融合するOsterixのプロリン/セリン−リッチな領域は、強力な転写活性化因子として機能し得る。これらのデータをまとめると、Osterixは、Sp1およびEKLFによって認識される部位と類似するG/Cリッチな部位のサブセットに結合し、そしてアミノ末端のプロリン/セリン−リッチなドメインを介して転写を活性化することが示される。
【0332】
Osterixは、骨芽細胞内に特異的に発現する新規な遺伝子を同定するためのスクリーニングにおいて単離した。このために、BMP−2での処理によって骨芽細胞内へ分化するマウス筋芽細胞のC2C12細胞株を、使用した。ディファレンシャルハイブリダイゼーションスクリーニングと組合わせた、PCRに基づくサブトラクション法を使用して、BMP−2で処理後に誘導されるが、未処理細胞では存在しないか、あるいは非常に低レベルで存在する、mRNAを同定した。Osterix mRNAにおける増加は、C2C12細胞へのBMP−2添加後、3時間で検出可能であり、そして12〜24時間後に最大となった。BMP−2によるOsterixの誘導の動態は、この系におけるBMP−2によるCbfa1の誘導の動態と本質的に一致し、そしてBMP−2によるosteocalcinの誘導を先行した。対照的に、C2C12細胞において骨芽細胞の表現型を誘導しないTGF−βは、Osterixの発現を誘導しなかった。TGF−β誘導性初期遺伝子(TIEG)と呼ばれる、推定上のジンクフィンガータンパク質の遺伝子は、BMP−2およびTGF−βの両方によって誘導された(Subramaniamら、1995)。TIEGの発現は、骨芽細胞の分化と関連づけられて報告されている。Osterixの発現の調節機構の詳細な分析は、骨芽細胞の分化におけるBMPのシグナル伝達に関わる分子的な経路の解明を可能にする。従って、本発明者は、BMPに誘導される骨芽細胞の分化におけるOsterixの機能的役割の開示のためのさらなる実験を企図する。
【0333】
胚発育の間のOsterix転写産物の発現パターンの分析は、軟骨細胞に分化している間葉細胞において発現を生じ;続いて、転写産物の検出は、主として肥大性帯域の周りの軟骨膜にシフトし、初期骨化中心内の骨トラベキュラとともに細胞内のE14.5辺りに開始することを示した。Osterixは、軟骨内骨化によって形成される骨格成分内、および膜性骨化によって形成される骨格成分内の両方の骨全体にわたって、全ての骨化中心内で発現される。さらに、生後、Osterix転写産物は、第2の骨化中心内に見出され、そして、全ての骨トラベキュラに関連する細胞内に見出され続ける。Osterix RNAは、骨化中心内よりも、より低いレベルで軟骨性骨の成長板の前肥大性(prechypertrophic)帯域内に発現される。全体として、最初に初期の軟骨形成の間、次いで骨芽細胞の分化の間、そして後の全ての骨芽細胞における、骨格形成におけるOsterixの発現のパターンは、Cbfa1の発現のパターンと非常に類似する。1つの違いは、Cbfa1と対照的に、Osterixが成長板の肥大性帯域内ではなく、前肥大性帯域内に発現されることである。従って、Osterixの発現のパターンは、骨芽細胞の分化の経路において転写因子としてのその役割と一致する。
【0334】
Osterixの機能をより理解するために、本発明者らは、現在マウス胚性幹細胞における相同的組換えによって対応する遺伝子を不活性化するための実験を実施している。これらの実験は、進行中であり、そして一般的な指針が本明細書の前述の項において提供される。
【0335】
本明細書中に開示および請求された全ての組成物および/または方法は、本開示に照らして過度の実験なしに、作製および実施され得る。本発明の組成物および方法は、好ましい実施形態に関して記載されているが、この組成物および方法は、本発明の概念、精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載された、組成物および/または方法ならびに方法の段階においてか、または連続した段階にバリエーションが適用され得ることは、当業者に明らかである。より詳細には、化学的および生理学的に関連する特定の薬剤が、本明細書中に記載された薬剤の代わりをし、同一の結果または類似の結果が達成されることは明らかである。当業者に明らかな、全てのこのような類似した代用および改変は、添付された特許請求の範囲によって規定される本発明の精神、範囲および概念内にあるとみなされる。
【0336】
(参考文献)
以下の参考文献は、本明細書に記載されるものを補足する例示的な手順または他の詳細が提供される範囲まで、本明細書中で特に参考として援用される。
【0337】
【表5】
Figure 2004537968
Figure 2004537968
Figure 2004537968

【図面の簡単な説明】
以下の図面は、本明細書の一部分を形成し、そして本発明の特定の局面をさらに実証するために含まれる。本発明は、本明細書中に提示される特定の実施形態の詳細な説明と組み合わせて、これらの図面の1つ以上を参照することによって、より良好に理解され得る。
【図1】
図1は、インサイチュハイブリダイゼーションにより検出される骨格細胞におけるOsterix mRNAの発現を示す。図1Aは、13.5d.p.c.でのマウス胚の後肢を示す。図1Bは、14.5d.p.c.でのマウス胚の矢状(sagital)切片を示し、前肢骨(fb)、下顎骨(mbl)、上顎骨(mxl)および椎骨(vtbr)の骨芽細胞におけるシグナルを示す。図1Cは、15.5d.p.c.でのマウス胚の後肢を示す。図1Dは、16.5d.p.c.でのマウス胚の上顎および下顎を示し、下顎骨および上顎骨の骨芽細胞におけるシグナルを示す。歯芽(tb)の間葉はまた、ポジティブシグナル(oc=口腔;mc=メッケル軟骨)を示した。図1Eは、17.5d.p.c.でのマウス胚の後肢を示す。図1Fは、13日齢のマウスの後肢を示し、第1および第2の骨化中心(soc)および成長プレートの前肥大領域(t=脛骨;f=線維;poc=第1の骨化中心;gp=成長プレート;bm=骨髄)におけるシグナルを示す。
【図2A】
図2Aは、マウスOsterixについてのcDNAのヌクレオチド配列およびマウスOsterixの推測アミノ酸配列を示す。
【図2B】
図2Bは、関連するジンクフィンガータンパク質の配列を伴うジンクフィンガードメイン内のアミノ酸配列の比較を示す。異なるこれらの関連する配列におけるアミノ酸は、ブラックボックスによって示される。ジンクフィンガーモチーフのシステイン残基およびヒスチジン残基は、アスタリスクによって示される。配列の右側の数字は、%同一性を示す。
【図3】
図3は、内因性Osterixタンパク質の同定を示す。COS7細胞を、Flagタグ化全長Osterixをコードする発現プラスミドでトランスフェクトした。コンフルエントのC2C12細胞を、BMP−2の存在下または非存在下で、5%FBSを含有するDMEMと共に、24時間インキュベートした。OsterixのC末端部分に対する抗体は、ウエスタンブロットにおいて、内因性Osterixタンパク質および組換えOsterixを認識した。
【図4】
図4は、OsterixのDNA結合活性を示す。図4Aは、COS−7細胞にトランスフェクトされた、Osterix cDNAを含む哺乳動物の発現ベクターおよびコントロールの空の発現ベクターを示す。細胞抽出物の増加量を、放射標識した2本鎖Sp1オリゴヌクレオチドと共にインキュベートし、そしてタンパク質−DNA複合体を、EMSAによって分析した。図4Bは、示されるように、抗Osterix抗体の存在下または非存在下およびエピトープペプチドの存在下または非存在下において、放射標識した2本鎖Sp1オリゴヌクレオチドと共にインキュベートした、発現プラスミドでトランスフェクトしたCOS−7細胞からの細胞抽出物を示す。タンパク質−DNA複合体は、EMSAにより分析した。アスタリスクはOsterix−DNA複合体を示す。
【図5】
図5は、胚発生の16.5日(E16.5)での野生型およびOsterix−/−変異体のマウス胚の組織学およびインサイチュハイブリダイゼーションを示す。図5A:頭蓋の上部の冠状断面;図5B:上顎および下顎を示す頭部の冠状断面;図5C:上腕骨の縦断面;図5D:腰部における椎骨の横断図。AB/HT:アルシアンブルーおよびヘマトキシリントレオシン(treocin)染色;Col/al:マウスproα1(I)コラーゲンRNAに対するプローブ;BSP:マウス骨シアロタンパク質(sialoprotein)RNAに対するプローブ;Cbfal:マウスCbfa1 RNAに対するプローブ。
【図6】
図6は、種々のオリゴヌクレオチドに対するOsterixの結合を示す。図6A.異なる野生型および変異体のプローブのオリゴヌクレオチド配列。図6B.示される32P標識化プローブを有するOsterix発現ベクターでトランスフェクトしたCOS−7細胞の溶解物のEMSA。
【図7】
図7は、転写活性化研究を示す。図7A.Osterix cDNAおよびタンパク質の構造。図7B.OsterixまたはOsterixのサブフラグメントを、BAL4 DNA結合ドメインとインフレームに融合した。対応するDNAを、SV40プロモーター/エンハンサー(pSG424)の制御下に配置し、Gal4結合部位の5つのコピーを含むルシフェラーゼレポータープラスミドと共にCOS−7細胞中に一過性にトランスフェクトした。図7C.トランスフェクトされた細胞におけるGal4融合ポリペプチドの発現。アスタリスクは、Osterix融合ポリペプチドを示す。
【図8】
図8Aおよび図8Bは、マウスOsterix遺伝子の染色体位置およびOsterix遺伝子についてのマッピングデータを示す。
【図9】
図9は、Osterix RNAの発現を示す。図9A.BMP−2で処理したC2C12細胞の表現型の変化。コンフルエントC2C12細胞を、BMP−2(300ng/ml)またはTGFb−1(25ng/ml)を含むか、または含まない5% FBSを含有するDMEMと共に、24時間インキュベートした。図9B.C2C12細胞における、Osterix、OSF2/Cbfa1およびosteocalcin mRNAの発現の時間経過。コンフルエントC2C12細胞を、BMP−2(300ng/ml)またはTGF−b1(25ng/ml)の存在下あるいは非存在下(コントロール)において、5% FBSを含有するDMEMと共に、示された時間インキュベートした。全RNA(10ug)を、Osterix cDNAプローブを用いるノーザンブロットによって分析した。フィルターを、ラットosteocalcinおよびマウスCbfa1 cDNAプローブで連続的に再びハイブリダイズさせた。mRNAの量を、GAPDHプローブを用いてフィルターを再ハイブリダイズさせることによって実証した。図9C.種々の細胞株および新生マウス組織におけるOsterix RNAの発現。
【図10】
図10は、ヒトOsterixおよびマウスOsterixのアミノ酸配列の比較を示す。

Claims (77)

  1. Osterixポリペプチドをコードするタンパク質コード領域を含む、DNAセグメント。
  2. 前記配列が、トランス活性化ドメインを含む、請求項1に記載のDNA。
  3. 前記トランス活性化ドメインが、配列番号2の27位と270位との間由来のアミノ酸配列を含む、請求項2に記載のDNAセグメント。
  4. 前記Osterixポリペプチドが、配列番号5の配列を有するとさらに規定される、請求項3に記載のDNAセグメント。
  5. 少なくとも1つのジンクフィンガードメインを含む、請求項1に記載のDNAセグメント。
  6. 前記ジンクフィンガードメインが、配列番号2の290位と374位との間由来のアミノ酸配列を含む、請求項5に記載のDNAセグメント。
  7. 前記Osterixポリペプチドが、配列番号4の配列を有するとさらに規定される、請求項6に記載のDNAセグメント。
  8. プロリンリッチドメインを含む、請求項1に記載のDNAセグメント。
  9. 前記プロリンリッチドメインが、配列番号2の27位と192位との間由来のアミノ酸配列を含む、請求項8に記載のDNAセグメント。
  10. 前記Osterixポリペプチドが、配列番号6の配列を有するとさらに規定される、請求項9に記載のDNAセグメント。
  11. 前記Osterixポリペプチドが、配列番号2の配列を有するとさらに規定される、請求項1に記載のDNAセグメント。
  12. 前記ジンクフィンガードメインが、転写因子Sp−1と77.6%の相同性である、請求項5に記載のDNAセグメント。
  13. 前記ジンクフィンガードメインが、転写因子Sp−2と69.4%の相同性である、請求項5に記載のDNAセグメント。
  14. 前記ジンクフィンガードメインが、転写因子Sp−3と77.8%の相同性である、請求項5に記載のDNAセグメント。
  15. 前記ジンクフィンガードメインが、転写因子Sp−4と77.8%の相同性である、請求項5に記載のDNAセグメント。
  16. 配列番号2由来の連続アミノ酸配列を含むOsterixポリペプチドをコードする、請求項1に記載のDNAセグメント。
  17. 前記DNAセグメントが、配列番号1由来の連続核酸配列を含む、請求項1に記載のDNAセグメント。
  18. 428アミノ酸長のOsterixタンパク質をコードする、請求項1に記載のDNAセグメント。
  19. 前記Osterixコード領域が、プロモーターの制御下で位置決めされる、請求項1に記載のDNAセグメント。
  20. 前記プロモーターが、組換えプロモーターである、請求項19に記載のDNAセグメント。
  21. 組換えベクターとしてさらに規定される、請求項19に記載のDNAセグメント。
  22. 請求項1に記載のDNAセグメントを含む、組換え宿主細胞。
  23. 原核生物の宿主細胞としてさらに規定される、請求項22に記載の組換え宿主細胞。
  24. 前記原核生物の宿主細胞が、細菌の宿主細胞である、請求項23に記載の組換え宿主細胞。
  25. 前記細菌の宿主細胞が、E.coliである、請求項24に記載の組換え宿主細胞。
  26. 真核生物の宿主細胞としてさらに規定される、請求項22に記載の組換え宿主細胞。
  27. 骨芽細胞としてさらに規定される、請求項26に記載の組換え宿主細胞。
  28. 前記骨芽細胞が、BMP2で処理したC2C12細胞である、請求項27に記載の組換え宿主細胞。
  29. 間葉前駆細胞としてさらに規定される、請求項26に記載の組換え宿主細胞。
  30. 請求項22に記載の組換え宿主細胞であって、前記DNAセグメントが、組換えベクターによって、該細胞中に導入され、該組換えベクターが、プロモーターの制御下で位置決めされたOsterixポリペプチドをコードするDNAセグメントを含む、組換え宿主細胞。
  31. 組換え宿主細胞中でOsterixポリペプチドを発現すること、および該発現されたOsterixポリペプチドを得ることによって調製された、組換えOsterixポリペプチド。
  32. 核酸セグメントであって、以下:
    a)配列番号1の少なくとも14個の連続ヌクレオチドと同一の配列を有するか、またはこの連続ヌクレオチドと相補性である、14のヌクレオチドからなる配列領域を含む、核酸セグメント;あるいは
    b)配列番号1の該核酸セグメントまたはその相補体に、標準的なハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする14〜10,000のヌクレオチド長の核酸セグメント、
    として特徴付けられる、核酸セグメント。
  33. 前記セグメントが、配列番号1由来の少なくとも14個の連続ヌクレオチドの配列領域またはその相補体を含む、請求項32に記載の核酸セグメント。
  34. 前記セグメントが、配列番号1由来の少なくとも17個の連続ヌクレオチドの配列領域またはその相補体を含む、請求項33に記載の核酸セグメント。
  35. 前記セグメントが、配列番号1由来の少なくとも20個の連続ヌクレオチドの配列領域またはその相補体を含む、請求項34に記載の核酸セグメント。
  36. 前記セグメントが、配列番号1由来の少なくとも25個の連続ヌクレオチドの配列領域またはその相補体を含む、請求項35に記載の核酸セグメント。
  37. 前記セグメントが、配列番号1由来の少なくとも30個の連続ヌクレオチドの配列領域またはその相補体を含む、請求項36に記載の核酸セグメント。
  38. 前記セグメントが、配列番号1由来の少なくとも35個の連続ヌクレオチドの配列領域またはその相補体を含む、請求項37に記載の核酸セグメント。
  39. 前記セグメントが、配列番号1由来の少なくとも40個の連続ヌクレオチドの配列領域またはその相補体を含む、請求項38に記載の核酸セグメント。
  40. 前記セグメントが、配列番号1の前記核酸セグメントまたはその相補体に、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする、請求項32に記載の核酸セグメント。
  41. 前記セグメントが、少なくとも17個のヌクレオチド長である、請求項40に記載の核酸セグメント。
  42. 前記セグメントが、少なくとも20個のヌクレオチド長である、請求項41に記載の核酸セグメント。
  43. 前記セグメントが、少なくとも25個のヌクレオチド長である、請求項42に記載の核酸セグメント。
  44. 前記セグメントが、少なくとも30個のヌクレオチド長である、請求項43に記載の核酸セグメント。
  45. 前記セグメントが、少なくとも35個のヌクレオチド長である、請求項44に記載の核酸セグメント。
  46. 前記セグメントが、少なくとも40個のヌクレオチド長である、請求項45に記載の核酸セグメント。
  47. 前記セグメントが、約3キロベースペアまでの長さである、請求項32に記載の核酸セグメント。
  48. 配列番号2の配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む発現カセットであって、該ポリヌクレオチドが、真核生物細胞中で作動可能なプロモーターの制御下にある、発現カセット。
  49. 前記プロモーターが、前記コード配列に対して異種である、請求項48に記載の発現カセット。
  50. 前記プロモーターが、組織特異的プロモーターである、請求項48に記載の発現カセット。
  51. 前記プロモーターが、誘導プロモーターである、請求項48に記載の発現カセット。
  52. 前記発現カセットが、ウイルスベクター中に含まれる、請求項48に記載の発現カセット。
  53. 前記ウイルスベクターが、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、およびヘルペスウイルスベクターからなる群から選択される、請求項52に記載の発現カセット。
  54. 前記発現カセットが、ポリアデニル化シグナルをさらに含む、請求項48に記載の発現カセット。
  55. 配列番号2の配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む発現カセットを含む、細胞であって、該ポリヌクレオチドが、真核生物細胞中で作動可能なプロモーターの制御下にあり、該プロモーターが、該ポリヌクレオチドに対して異種である、細胞。
  56. 患者の骨粗鬆症を処置する方法であって、該方法は、治療有効量の発現ベクターを部位に投与する工程を包含し、該発現ベクターは、プロモーターの転写制御下でOsterixポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含み、そして該Osterixポリペプチドの発現は、該骨粗鬆症の処置を生じる、方法。
  57. 前記プロモーターが、構成的なプロモーターである、請求項56に記載の方法。
  58. 前記プロモーターが、誘導プロモーターである、請求項56に記載の方法。
  59. 前記プロモーターが、非誘導プロモーターである、請求項56に記載の方法。
  60. 前記発現ベクターが、ウイルスベクターを含む、請求項56に記載の方法。
  61. 前記ウイルスベクターが、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、レトロウイルス、サイトメガロウイルス、およびアデノ随伴ウイルスからなる群から選択される、請求項60に記載の方法。
  62. 前記発現ベクターが、内視鏡的に、静脈内に、動脈内に、筋肉内に、病巣内に、経皮的に、または皮下に送達される、請求項56に記載の方法。
  63. 前記投与が、繰り返される、請求項56に記載の方法。
  64. 精製したOsterixポリペプチドを含む、組成物。
  65. 前記ポリペプチドが、単離されたOsterixジンクフィンガードメインを含む、請求項64に記載の組成物。
  66. 前記ポリペプチドが、単離されたOsterixトランス活性化ドメインを含む、請求項64に記載の組成物。
  67. 前記ポリペプチドが、単離されたOsterixプロリンリッチドメインを含む、請求項64に記載の組成物。
  68. 配列番号2由来の配列を含む、約5アミノ酸長と約20アミノ酸長との間の精製されたポリペプチド。
  69. Osterixと免疫学的に反応性である、抗体。
  70. Osterix転写のエフェクターを同定するための方法であって、該方法は、以下:
    (i)OsterixおよびOsterix発現を測定するレポーター遺伝子を発現する、ベクター、と(ii)候補物質とを混合する、工程、ならびに
    該Osterixによる該レポーター遺伝子の転写を変更する該候補物質を同定する、工程、
    を包含する、方法。
  71. 前記Osterixを発現するベクターが、組替えOsterixを発現する、操作された細胞を含む、請求項70に記載の方法。
  72. 前記レポーター遺伝子が、ルシフェラーゼ、または緑色蛍光タンパク質から選択される、請求項70に記載の方法。
  73. 前記エフェクターが、Osterixによる前駆細胞から骨芽細胞への細胞分化を刺激する、請求項70に記載の方法。
  74. 前記エフェクターが、Osterixによる前駆細胞から骨芽細胞への細胞分化を調節する、請求項70に記載の方法。
  75. 刺激因子を同定するための方法であって、該方法は、以下:
    a)Osterixを発現し得る一群の前駆細胞を含む組成物を混合する工程;
    b)該混合物を候補物質とともにインキュベートする工程;
    c)前駆細胞の分化について、該混合物を試験する工程;および
    d)前駆細胞から骨芽細胞への分化を刺激する、該候補物質を同定する工程、
    を包含する、方法。
  76. 前記前駆細胞が、間葉前駆細胞である、請求項75に記載の方法。
  77. 阻害因子または刺激因子を同定するための方法であって、該方法は、以下:
    a)Osterixを発現する一群の組換え細胞を含む、第1の組成物と一群を含む第2の組成物とを混合する工程;
    b)該混合物を候補物質とともにインキュベートする工程;
    c)骨芽細胞の活性について、該混合物を試験する工程;および
    d)骨芽細胞の活性を阻害または刺激する候補物質を同定する工程、
    を包含する、方法。
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