JP2005506042A - 細胞トランスポーターをコードするポリヌクレオチド、およびその使用方法 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
連邦政府助成研究に関する記述
米国政府は、国立保健研究所によって付与された助成番号第AG14532号および第AG16667号、ならびに国立科学財団によって付与された第9728737号に基づいて、本願発明において特定の権利を有する。
【0002】
技術分野
本出願は、概して、ポリヌクレオチド、そのようなポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドおよびタンパク質、ならびにポリヌクレオチド、ポリペプチド、およびタンパク質の使用方法、さらに詳細には、カルボン酸塩の細胞トランスポーター(cellular transporter)に関する。本発明は、カルボン酸塩の細胞トランスポーターに影響を及ぼす候補薬剤化合物をスクリーニングする方法、ならびに、肥満症、代謝維持異常(metabolic maintenance disorder)および老化現象の治療および診断のための方法および組成物に関する。さらに詳細には、本発明は、ヒトまたは動物における代謝産物の吸収、利用、および/または貯蔵に影響を及ぼす方法に関する。
【背景技術】
【0003】
肥満症は近代社会において非常に蔓延している慢性疾患であり、寿命の短縮、負の精神的発達、多嚢胞卵巣のような生殖疾患、感染症、静脈瘤および湿疹のような皮膚疾患、運動不耐性、糖尿病、インシュリン抵抗性、高血圧、高コレステロール血症、胆石症、変形性関節症、整形外科的損傷、血栓塞栓症、癌、および冠状動脈性心臓病等の多くの医療上の問題に関連する。肥満症に対する既存の治療法として、標準食および運動、超低カロリー食、行動療法、食欲抑制剤、発熱薬(thermogenic drug)、食物吸収阻害剤等を用いる薬物療法、ジョーワイアリング、ウエストコード、および風船のような機械装置、ならびに外科的手術が挙げられる。肥満症の高い罹患率およびその重篤な成り行きを鑑みて、肥満の人の体重を減らすのに潜在的に有用な治療法または薬剤は、そのような人の健康に非常に有益な効果を有するであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、重大な副作用を生じさせることなく肥満患者の全体重をその理想体重に向けて減らし;肥満患者が減った体重レベルを維持するのを助け;さらに一旦治療を始めると、動脈硬化症や多嚢胞卵巣のような肥満症の結果またはそれに続く疾患の進行を止めまたはその発症を防止する;治療法の必要性が依然としてある。
【0005】
それら疾患の結果の最も重要なものの1つは寿命の短縮である。カロリー制限(CR)は、哺乳動物において寿命を劇的に延ばすことが分かっている唯一の介入である。しかしながら、CRが寿命を延ばす一般的治療として受け入れられる見込みは無視できるほど低い。従って、重大な副作用を生じさせることなく寿命の延長をもたらす許容可能な治療法の必要性が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、配列番号1の配列;配列番号1の配列においてTがUでもあり得る配列;および配列番号1の配列に実質的に相補的な核酸配列;よりなる群から選択される単離ポリヌクレオチドを開示する。
【0007】
また、本明細書は、配列番号2に示されるアミノ酸配列;または配列番号2のアミノ酸配列において保存的アミノ酸置換を含む配列番号2の配列の変異配列であって、カルボン酸塩の細胞トランスポーターとして機能する能力を維持するアミノ酸配列;をコードする単離ポリヌクレオチドを開示する。本明細書はさらに、配列番号2の配列に対して全体で25%以上の同一性または全体で30%以上の類似性を有するポリペプチドであって、カルボン酸塩の細胞トランスポーターであるポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドを含む。
【0008】
さらに、本明細書は、配列番号2に示される配列、および配列番号2の配列において保存的アミノ酸置換を含む配列番号2の配列の変異配列を有するポリペプチド;ならびに配列番号2に示される配列に対して全体で25%以上の同一性または全体で30%以上の類似性を有するポリペプチド;を開示する。
【0009】
さらに、本明細書は、Indy遺伝子のDNAまたはRNAコピーを生成するのに有効な条件下で、ゲノムライブラリーを1以上のDNAプローブと接触させる工程;Indy遺伝子のコピーを生成させる工程;そのコピーを同定する工程;およびそのコピーを単離する工程;を含み、前記DNAプローブが配列番号1の配列の少なくとも14連続ヌクレオチドを含むことを特徴とする、Indy遺伝子を単離する方法を開示する。
【0010】
また、本明細書は、配列番号1の配列;配列番号1の配列においてTがUでもあり得る配列;および配列番号1の配列に完全に相補的である核酸配列;よりなる群から選択されるポリヌクレオチドを含む発現ベクターであって、前記ポリヌクレオチドが該ポリヌクレオチドの転写を誘導する制御配列に作動可能に結合していることを特徴とする発現ベクターを開示する。
【0011】
また、本明細書は、Indyポリヌクレオチドの転写を誘導する制御配列を含む発現ベクターで、宿主細胞を形質転換させる工程;前記宿主細胞においてポリヌクレオチドを発現させる工程;およびINDYポリペプチドを回収する工程;を含むことを特徴とする、INDYポリペプチドを作成する方法を開示する。
【0012】
さらに、本明細書は、試験物質を細胞とを接触させる工程;および試験物質の存在下または不在下においてポリペプチドによって輸送されたカルボン酸塩の量を検出する工程;を含み、試験物質の不在下での輸送と比較して試験物質の存在下で輸送が阻害される場合に、該試験物質が細胞トランスポーター阻害剤であることが示唆されることを特徴とする、配列番号2に示される配列に対して全体で25%以上の同一性または全体で30%以上の類似性を有するポリペプチドに対する試験物質の阻害活性を評価する方法を開示する。
【0013】
また、本明細書は、カルボン酸塩の細胞トランスポーターを発現させる第2核酸分子の発現を阻害するのに有効な量の第1核酸分子と、細胞または抽出物とを接触させる工程を含み、前記第1核酸分子が、少なくともIndy遺伝子の部分に実質的に相補的であり、かつアンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、三重螺旋形成分子、二本鎖干渉RNA(double stranded interfering RNA)、またはそれらの少なくとも1つを含む混合物であることを特徴とする、配列番号2に示される配列に対して全体で25%以上の同一性または30%以上の類似性を有するポリペプチドの細胞または抽出物中での濃度を減らす方法を提供する。
【0014】
さらに、本明細書は、カルボン酸塩の細胞トランスポーターの活性を阻害するのに有効な量のカルボン酸塩の細胞トランスポーター活性のアンタゴニストを生物に投与する工程を含むことを特徴とする、生物をカロリー制限する方法を開示する。また、本明細書は、カルボン酸塩の細胞トランスポーターの活性を阻害するのに有効な量のカルボン酸塩の細胞トランスポーター活性のアンタゴニストを生物に投与する工程を含むことを特徴とする、生物において寿命を延ばす方法を開示する。
【0015】
さらに、本明細書は、配列番号1の配列またはその活性断片をコードするベクターを、生物の体重を増やすのに有効な量で生物に投与する工程を含むことを特徴とする、生物を処置する方法を開示する。
【0016】
図1は、ショウジョウバエ Indyのヌクレオチド配列(配列番号1)を示す。「atg」開始コドンから「tag」終止コドンまでの完全長cDNAを示す。
【0017】
図2は、INDYポリペプチドの推定アミノ酸配列(配列番号2)を示す。
【0018】
図3は、全体で5つのP因子対立遺伝子の挿入部位を有するIndy遺伝子座のゲノム構成を示す。黒の囲みは保存調節配列を表す;灰色の囲みは保存ホッペル転位因子(conserved Hoppel transposable element)を表す;206、302、および159挿入系統におけるPlacW挿入部位がその挿入配向と共に示されている;さらに、92および265挿入系統におけるバーミンガム−2 P因子挿入(PBm)も示されている。
【0019】
図4は、Indy突然変異体における寿命の伸びを示す。3つの異なるIndy突然変異体およびエンハンサートラップ対照に関して、ヘテロ接合体性のオスの生存曲線を比較する。野生型カントン(Canton)−S系統に亘り全てのハエをヘテロ接合体として試験した。Indy突然変異体はIndy302(白丸)、Indy206(白丸)、およびIndy159(黒三角)である。対照(黒四角)は、カントン−Sに亘りヘテロ接合体として試験されたIndy302およびIndy206を作ったのと同じ突然変異誘発から生じた4つの他のエンハンサートラップ対照系統の1つである。同様の対照生存曲線が、Indy159を生じさせた突然変異誘発から生じた対照においても認められた。
【0020】
図5は、P因子除去に基づく寿命の伸びの復帰突然変異を示す。3つの異なるIndy突然変異体、Indy302からのP因子の正確な除去(復帰突然変異体)、およびエンハンサートラップ対照に関して、オスヘテロ接合体の生存曲線を示す。Indy突然変異体はIndy302(白丸)、Indy206(黒丸)、およびIndy159(黒三角)である。除去系統(復帰突然変異体−白四角)は、Indy302またはIndy206系統の何れかからP因子を動かすことによって得られたP因子の4つの正確な除去系統(配列確認済み)の1つである。対照(黒四角)は、カントン−Sに亘りヘテロ接合体として試験されたIndy302およびIndy206を作ったのと同じ突然変異誘発から生じた4つの他のエンハンストラップ対照系統の1つである。
【0021】
図6は、対照の多動系統(hyperkinetic line)(黒丸)、およびIndy206突然変異系統と交配させた多動系統(白四角)を示す。
【0022】
図7は、luckinbill Il6系統(三角)、対照として1085系統と交配させたLuckinbill Il−6系統(菱形)、対照としてwg系統と交配させたluckinbill Il6系統(四角)、およびIndy系統206と交配させたluckinbill Il6(丸)に関する生存曲線を示す。
【0023】
図8は、正常なハエ(四角)およびIndyヘテロ接合体性のハエ(三角および丸)に関して、老化の速度を示す。
【0024】
図9は、相同タンパク質とINDYとの整列を示す。INDYタンパク質(Genbank受託番号第AF217399号)に対して最も相同なタンパク質をBlastによって同定した。Indy−2は高い相同性を有するショウジョウバエ遺伝子(AE003728)である。SDCT1(AF058714)およびSDCT2(AF081825)はラットジカルボン酸ナトリウムコトランスポーターであり、hNaDc−1(U26209)はヒトジカルボン酸塩コトランスポーターである。四角は、INDYに対する同一性または類似性を指示する。
【0025】
図10は、ジカルボン酸ナトリウムコトランスポーターの構造の概略図を示す。モデルは、11の膜貫通ドメイン、細胞内アミノ酸末端ドメイン、およびカルボキシル末端細胞外ドメインを示す。
【0026】
図11は、成体のハエにおけるIndyの発現を示す。ホールマウントX−gal染色は、Indy遺伝子中にエンハンサートラップ挿入を担持する系統−Indy302、Indy206、およびIndy159−由来の細胞におけるβ−galの核局在化を示す。発現は、エノサイト(A、B)および内臓(C,D)において見られた。腹部(v)および背部(d)の腹節におけるエノサイトの低い染色が(A)において認められる。背部の正中線のエノサイトの高い染色が(B)において認められる。パネル(D)は、内臓の細胞内におけるX−gal染色を示す5μm切片を示す。ホールマウントX−gal染色の後、組織を6.25グルタールアルデヒド中において後固定(postfix)し、パラフィン包埋し、その後切片を作成した。A、B、およびCにおけるスケールバーは100μmである。(D)におけるスケールバーは10μmである。
【0027】
図12は、抗INDY抗体を用いたINDYの亜細胞局在化を示す。INDYは中腹上皮細胞、脂肪体細胞(fat body cell)、およびエノサイトの原形質膜に局在化する(パネルA、B、およびDにおいて濃く染色されている)。パネルCは、基底外側のタンパク質によるものと予測される染色を示す中腹の免疫蛍光画像である。濃い染色は、中腹の基底外側の面に局在化された、中腹の原形質膜(濃い染色)への抗体の局在化を示す。
【0028】
図13は、Indy mRNAまたはH2O対照を注入されたツメガエル卵母細胞による、NaClの存在下における[14C]コハク酸塩の取込みを示す。
【0029】
図14は、コハク酸塩、クエン酸塩、α−ケトグルタル酸塩、フマル酸塩、ピルビン酸塩、グルタミン酸塩、乳酸塩、または硫酸塩の存在下における、Indy mRNAを発現するツメガエル卵母細胞におけるコハク酸の取込みの阻害を示す。
【0030】
図15は、Indy mRNAを発現するツメガエル卵母細胞におけるコハク酸の取込みのカチオン依存性を示す。NaCl、KCl、LiCl、およびコリンClの存在下において、[14C]コハク酸塩の取込みを測定する。卵母細胞にH2Oが注入された対照は全くコハク酸の取込みを示さない。
【0031】
図16は、NaClまたはグルコン酸ナトリウム(NaGluco)の存在下での、H2OまたはIndy mRNAを注入されたツメガエル卵母細胞における[14C]コハク酸塩の取込みのpH−非依存性を示す。
【0032】
図17は、H2OまたはIndy mRNAを注入されたツメガエル卵母細胞における[14C]コハク酸塩の取込みのクエン酸塩阻害を示す。クエン酸塩を、10mM、1mM、および0.1mM濃度で添加する。
【0033】
図18は、H2OまたはIndy mRNAを注入されたツメガエル卵母細胞における[14C]コハク酸塩の取込みに対する、イオンチャンネル阻害剤の影響を示す。用いられる阻害剤は、10mMのp−アミノ馬尿酸(PAH)、1mMのフロレチン、および0.1mMの4,4'−ジイソチオシアノスチルベン−2,2'−ジスルホン酸(DIDS)である。
【0034】
図19は、高カロリー条件下における、正常メス(黒四角)と比較したIndyヘテロ接合体性メス(白四角)の産卵を示す。
【0035】
図20は、低カロリー条件下における、正常メス(黒四角)と比較したIndyヘテロ接合体性メス(白四角)の産卵を示す。
【0036】
図21は、標準カロリー食(丸)または低カロリー食(四角)を与えられた正常なハエにおける生存曲線を示す。
【0037】
図22は、標準カロリー食(丸)または低カロリー食(四角)を与えられたIndy/Indyヘテロ接合体性のハエにおける生存曲線を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
本発明は、キイロショウジョウバエにおける寿命の延長に関連する遺伝子であるIndy遺伝子の発見およびクローニングに基づくものである。この中で用いられている「遺伝子」の用語は、ポリペプチド鎖を産生するのに関連するDNA断片を意味し;コード領域に先行する領域およびそれに続く領域(リーダーおよびトレイラー)、ならびに個々のコード配列(エキソン)の間の介在配列(イントロン)を含む。Indy遺伝子は、例えばヒトおよびラット由来のようなジカルボン酸トランスポーターに類似性を有するポリペプチドをコードする。さらに詳細には、遺伝子における特定の突然変異がその突然変異を担持するハエの寿命を延ばすことの観察によって、Indyの同定がもたらされた。その発見の結果として、現在、より長い寿命を有するショウジョウバエ系統を同定および/または単離し、ならびにより長い寿命に寄与する物質を同定することが可能である。さらに、長寿に関連しかつ長寿に対する影響を有する遺伝子、ならびにそれら遺伝子によってコードされるタンパク質を単離することが可能である。
【0039】
あるハエ系統(すなわち系統206および302)が長い寿命を有することが観察されたとき、ショウジョウバエエンハンサー−トラップ系統の研究からIndy遺伝子が同定された。エンハンサー−トラップ系統における挿入部位に隣接するゲノムDNAを配列決定した。両方の挿入部位がIndyと称される同じ遺伝子中にあった。
【0040】
IndyのcDNA配列および推定アミノ酸配列をそれぞれ図1および図2に示す。Indy遺伝子のゲノム構成を図3に示す。例えばpGEM(Promega)またはpBluescript(Stratagene)ベクターまたはそれらの派生体の1つのような市販されている細菌発現プラスミド中に、IndyのリーディングフレームをコードするcDNAまたはその部分を組込むことができる。プラスミド中に組込まれたIndy cDNAを適切なRNAポリメラーゼで転写させ、Indy mRNAを産生する。Indy mRNAは、INDYポリペプチドのin vivoおよびin vitro産生において有用である。
【0041】
従って、1つの実施形態において、本明細書は、INDYポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチド配列を提供する。「単離核酸配列」は、それが由来する生物の天然ゲノム中においてそれが直接隣接するコード配列(5’末端の配列および3’末端の配列)のいずれとも直接隣接していないポリヌクレオチドを意味する。従って、その用語は、例えば、ベクター;自己複製プラスミドもしくはウイルス;または原核生物または真核生物のゲノムDNA;中に組込まれた組換えDNA、あるいは他の配列と独立した単独分子(例えばcDNA)として存在する組み換えDNA等を含む。「ポリヌクレオチド」または「核酸配列」は、少なくとも5塩基長のヌクレオチドから成る高分子形態を称する。ヌクレオチドは、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、または何れかのヌクレオチドの修飾形態であってもよい。限定はされないが、修飾として、天然塩基、糖、またはヌクレオシド(骨格)間の連鎖を、例えば5−メチルシトシンのような修飾塩基、例えば2'−メトキシおよび2'−フルオロ糖のような修飾糖、ならびにホスホロチオエートおよび燐酸メチルのような修飾骨格で置換することが挙げられる。
【0042】
ポリヌクレオチドは、DNA分子、cDNA分子、ゲノムDNA分子、またはRNA分子のいずれであってもよい。DNAまたはRNAとしてのポリヌクレオチドは、TがUでもあり得る配列を含む。ポリヌクレオチドは、配列番号1に示す配列に相補的であってよく、ここで相補的とは、2つのヌクレオチド間で正確に対をなす能力を称する。例えば、ポリヌクレオチドの特定位置におけるヌクレオチドが、DNAまたはRNA分子中の同じ位置におけるヌクレオチドと水素結合できる場合、そのポリヌクレオチドとDNAまたはRNA分子とはお互いにその位置で相補的である。各分子中の所望の工程に影響を及ぼすのために、お互いにハイブリダイズし得る分子によって十分な数の対応位置が占有されている場合に、ポリヌクレオチドとDNAまたはRNAとはお互いに実質的に相補的である。この中で用いられているバイブリダイゼーションは、相補ヌクレオチドまたはヌクレオチド塩基間での水素結合を意味し、ワトソン−クリックHoogsteenまたは逆Hoogsteen水素結合であって差し支えない。
【0043】
さらには、全てまたは一部のIndyをコードするポリヌクレオチドは、例えば寿命の延長のようなINDY活性を有するポリペプチドをコードする限り含まれる。そのようなポリヌクレオチドとして、天然の、合成の、および意図的に操作したDNA分子が挙げられる。例えば、Indyポリヌクレオチドは、分子生物学分野において公知である技術によって部位特異的突然変異誘発を受ける。20の天然アミノ酸が存在し、そのほとんどが2以上のコドンによって特定される。従って、ヌクレオチド配列によってコードされるINDYポリペプチドが機能的に未変化である限り、縮重ヌクレオチド配列が含まれる。また、Indy遺伝子のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列をコードするが、表現型の変化をもたらさないポリヌクレオチド配列も含まれる。
【0044】
Indyポリヌクレオチドは、1以上のアミノ酸残基の同一性または位置において天然のIndy形態と異なるポリペプチドであるポリペプチドアナログ、断片、または誘導体をコードし(ポリペプチドを特定する残基の全てより少ない残基を包含する欠失アナログ、1以上の特定残基が他の残基によって置換されている置換アナログ、および1以上のアミノ酸残基がポリペプチドの末端または中間部分に付加された付加アナログ)、かつ天然形態の一部または全ての特性を共有するポリヌクレオチドを含む。それら分子は、選択された非哺乳類宿主による発現に適したコドンの組込み;制限エンドヌクレアーゼ酵素による切断部位の準備;および容易に発現されるベクターの構築;を容易にさせる付加的な開始、末端、または介在DNA配列の準備を含む。
【0045】
Indyポリヌクレオチドは、タンパク質骨格への置換、挿入、または欠失を包含する、INDYポリペプチドまたは完全長タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む。様々な欠失、置換、および他の修飾に対して相同性の程度を指定することによって、関連するポリペプチドをINDYと整列させる。完全なポリペプチドまたはポリヌクレオチドに基づいて、あるいは隣接残基のサブセットに基づいて、相同性を特定することができる。同一性の割合(%)は、2つの配列を比較したときに一致するアミノ酸またはヌクレオチドの割合(%)である。類似性の割合(%)は、2つの配列を比較したときに化学的に類似するアミノ酸またはヌクレオチドの割合(%)である。INDYと相同ポリペプチドは、おそらく25%以上、好ましくは30%以上、さらに好ましくは35%以上、または最も好ましくは40%以上の同一性を有する。INDYと相同ポリペプチドは、おそらく30%以上、好ましくは35%以上、より好ましくは45%以上の類似性を有する。
【0046】
参照配列に対して100%未満の同一性を有するポリペプチド配列の場合、必ずしもそうではないが、非同一位置は、おそらく参照配列において保存的置換がなされているであろう。保存的置換は、通常、以下の群内での置換を含む:グリシンとアラニン;バリンと、イソロイシンと、ロイシン;アスパラギン酸とグルタミン酸;アスパラギンとグルタミン;セリンとトレオニン;リジンとアルギニン;ならびにフェニルアラニンとチロシン。
【0047】
特定ポリペプチドが特定の長さの参照ポリペプチドに対して特定割合の同一性を有するという場合、同一性の割合(%)は参照ペプチドに関連する。従って、100アミノ酸長の参照ポリペプチドに対して50%同一であるペプチドは、参照ポリペプチドの50アミノ酸の長さ部分に対して完全に同一である50アミノ酸ポリペプチドであってもよい。また、その全体の長さに亘り、参照ポリペプチドに対して50%同一である100アミノ酸長ポリペプチドであってもよい。もちろん、多くの他のポリペプチドが同じ基準を満たすであろう。
【0048】
ポリヌクレオチドは、配列番号1に示す配列、およびその配列に相補的な配列を含む。その配列がRNAである場合、配列番号1の配列におけるヌクレオチドTはUである。さらには、配列番号1の配列と実質的に同一であるポリヌクレオチド、または配列番号2の配列に実質的に同一であるタンパク質をコードするポリヌクレオチドも含まれる。「実質的に同一」の用語は、参照アミノ酸配列または核酸配列に対して85%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上同一である配列を有するポリペプチドまたはポリヌクレオチドを意味する。ポリペプチドに関して、参照ポリペプチド配列の長さは、通常、16アミノ酸以上、好ましくは20アミノ酸以上、さらに好ましくは35アミノ酸以上である。核酸に関して、参照核酸配列の長さは、通常、50ヌクレオチド以上、好ましくは60ヌクレオチド以上、より好ましくは75ヌクレオチド以上、さらに最も好ましくは110ヌクレオチド以上である。
【0049】
配列同一性および類似性は、配列分析ソフトウェア(例えばSequence Analysis Software Package of the Genetics Computer Group, University of Wisconsin Biotechnology Center, 1710 University Avenue, Madison, Wis. 53705)を用いて、その中で指定されている既定パラメーターを使って求めることができる。
【0050】
本明細書は、IndyポリヌクレオチドにハイブリダイズするDNAおよびcDNAも包含する。ハイブリダイゼーション法は当業者に周知である。ハイブリダイズ配列は、Indyポリヌクレオチドに対して選択的にハイブリダイズする約14ヌクレオチド長より長い核酸配列であってよい。
【0051】
核酸ハイブリダイゼーション反応において、特定レベルの厳しさを得るのに用いられる条件は、ハイブリダイズする核酸の性質に依存して変化するであろう。例えば、その核酸のハイブリダイズ領域の長さ、相補性の程度、ヌクレオチド配列の構成(例えばGC対AT含有量)、および核酸タイプ(例えば、RNA対DNA)がハイブリダイゼーション条件を選択するのに考慮され得る。追加の考慮点として、一方の核酸が例えば膜等に固相化されているか否かが挙げられる。
【0052】
例えばカラムへの捕獲または抗体の使用による精製を容易にするようなC−末端またはN−末端アミノ酸を付加するためのコード配列の付加のような、付加的配列を提供するようにIndyポリヌクレオチドを設計しても差し支えない。そのようなタグとして、例えば、ニッケルカラムでのポリペプチドの精製を可能にするヒスチジン−リッチタグが挙げられる。そのような遺伝子改変技術および適切な付加的配列は、分子生物学の分野で周知である。
【0053】
Indy mRNAの産生のためにIndyポリヌクレオチドを組み換えDNAベクター中に挿入してもよい。そのようなベクターをIndy mRNAのin vitroまたはin vivo産生に用いることができる。Indy mRNAのin vitro産生のために、配列番号1に示す配列を含むcDNAを、例えばSP6またはT7 RNAポリメラーゼの何れかのためのプロモーターを包含するプラスミド中に挿入する。そのプラスミドを制限エンドヌクレアーゼで切断し、mRNAのラン・オフ転写を可能にし、さらに適切なバッファー、リボヌクレオチド、およびポリメラーゼの添加によってRNAを産生させる。エタノール沈殿のような従来手段によってRNAを単離する。例えば、ツメガエル卵母細胞のような細胞に注入する前に、mRNAをキャッピングまたはポリアデニル化してもよい。
【0054】
Indyポリヌクレオチドを組換え発現ベクター中に挿入してもよい。「組換え発現ベクター」の用語は、Indy遺伝子配列の挿入または組込みによって操作された、プラスミド、ウイルス、または当業界で公知の他の手段を称する。「プラスミド」の用語は、本願明細書において、概して、当業者に良く知られた標準的命名法に従って、小文字のpから始まりおよび/または大文字および/または数字が続いて指定されている。本願明細書中に開示されているプラスミドは、市販されており、または無制限の基準で公的利用可能であり、または周知の公開された方法の日常的適用によって利用可能なプラスミドから構築可能である。多くのプラスミドおよび他のクローニングおよび発現ベクターが周知でありかつ容易に利用可能であり、あるいは当業者は、使用に適した多数の他のプラスミドを容易に構築することができる。それらベクターを適切な宿主細胞中に形質導入して、細胞輸送の生物活性を有するポリペプチドの産生のための宿主細胞ベクター系を形成することができる。適切な宿主として、例えば細菌のような微生物、酵母、昆虫または哺乳類生物、あるいは細胞株が挙げられる。
【0055】
カルボン酸塩の細胞トランスポーターをコードする核酸分子にその発現を可能にするように作動可能に結合した細菌、酵母、昆虫、両生類、または哺乳類細胞での核酸分子の発現に必要な調節要素をさらに包含する細菌、酵母、昆虫、両生類、または哺乳類細胞での発現に適合させたベクター中に、Indy遺伝子配列を挿入してもよい。「作動可能に結合」とは、記載されている成分がそれらの意図された態様で機能することを可能にするような関係で並んでいることを称する。コード配列に作動可能に結合した発現制御配列は、発現制御配列と相性の良い条件下でコード配列の発現が達成されるように結合している。本願明細書中において用いられているように、「発現制御配列」の用語は、それが作動可能に結合している核酸配列の発現を調節する核酸配列を称する。発現制御配列が核酸配列の転写および適切な場合には翻訳を制御および調節する場合に、発現制御配列は核酸配列に作動可能に結合している。従って、発現制御配列として、適切なプロモーター、エンハンサー、転写ターミネーター、タンパク質コード遺伝子の前にある開始コドン(すなわち、atg)、mRNAの適切な翻訳を可能にするその遺伝子の正確なリーディングフレームを維持するためのイントロン用のスプライシングシグナル、および終止コドンが挙げられる。「制御配列」の用語は、少なくとも、その存在が発現に影響を及ぼし得る成分を含むことが意図されており、さらには、例えばリーダー配列および融合パートナー配列のような、その存在が有利であるような付加的成分も含んでいてよい。発現制御配列はプロモーターを含んでいてよい。「プロモーター」の用語は、転写を誘導するのに十分な最小配列を意味する。プロモーター依存的遺伝子発現を、細胞タイプ特異的、組織特異的、または外部シグナルまたは物質により誘導可能になるように制御可能にするのに十分なそれらプロモーター要素も含まれ;そのような要素は、遺伝子の5'または3'領域に位置するであろう。構成性および誘導性のプロモーターの両方が含まれる(例えば、Bitter et al., Methods in Enzymology 153: 516-544, 1987を参照)。
【0056】
適切な細菌の例は大腸菌および枯草菌である。好ましい酵母ベクターはpRS426−Galである。適切な酵母の例は、サッカロミセスおよびピッチア(Pichia)である。適切な両生類細胞はツメガエル細胞である。昆虫細胞株に適したベクターとして、バキュロウイルスベクターが挙げられる。ラットまたはヒト細胞は好ましい哺乳類細胞である。
【0057】
組換えDNAによる宿主細胞の形質転換は、当業者に周知の従来技術によって実施される。「形質転換」の用語は、新しいDNA(すなわちその細胞にとって外因性であるDNA)の組込みの後、細胞中に誘導される永続的または一時的な遺伝変化を意味する。細胞が哺乳類細胞である場合、永続的遺伝変化は、通常、細胞ゲノム中へのDNAの導入によって達成される。「形質転換細胞」または「宿主細胞」は、組換えDNA技術によって、その細胞(またはその細胞の祖先)に本願発明のポリペプチド(すなわちINDYポリペプチド)またはその断片をコードするDNA分子が導入された細胞(例えば原核細胞または真核細胞)を意味する。
【0058】
宿主が例えば大腸菌のような原核細胞である場合、DNA取込みが可能であるコンピテント細胞を対数増殖期の後に回収し、続いて当業界で周知の方法によってCaCl2法によって処理することができる。あるいは、MgCl2またはRbClを用いてもよい。宿主細胞のプロトプラストを形成後またはエレクトロポレーションによって、形質転換を実施してもよい。
【0059】
宿主が真核細胞の場合、そのようなDNAでトランスフェクションする方法として、燐酸カルシウム共沈降、例えばマイクロインジェクション、エレクトロポレーション、リポソーム中に封入されたプラスミドの挿入、またはウイルスベクターのような従来の機械的方法が挙げられ、ならびに当業界で公知の他の方法を用いてもよい。本明細書のポリペプチドをコードするDNA配列、ならびに例えば単純ヘルペスチミジンキナーゼ遺伝子のような選択表現型をコードする第2の外来DNA分子で真核細胞を同時トランスフェクションさせてもよい。別の方法は、サルウイルス40(SV40)またはウシ乳頭腫ウイルスのような真核ウイルスベクターを用いて、一時的に真核細胞を感染させまたは形質転換させ、そのタンパク質を発現させる方法である(Eukaryotic Viral Vectors, Cold Spring Harbor Laboratory, Gluzman ed., 1982)。好ましくは、真核宿主を本願明細書中に記載されている宿主細胞として利用する。真核細胞は酵母細胞(例えばサッカロミセス・セレビシエ)またはヒト細胞等の哺乳類細胞であってよい。
【0060】
組換えウイルスまたは発現を誘導するウイルス要素を利用する哺乳類細胞系を設計してもよい。例えば、アデノウイルス発現ベクターを用いる場合、外来タンパク質をコードする核酸配列は、例えば後期プロモーターおよび3部分から成るリーダー配列(tripartile leader sequence)のようなアデノウイルス転写/翻訳制御複合体に連結していてもよい。次に、in vitroまたはin vivo組換えによってそのキメラ遺伝子をアデノウイルスゲノム中に挿入する。ウイルスゲノムの非必須領域(例えば領域E1またはE3)中への挿入は、生存能力を有しかつ感染宿主中においてINDYポリペプチドを発現できる組換えウイルスをもたらす(例えば、Logan&Shenk, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 81: 3655-3659, 1984)。
【0061】
長期間の組換えタンパク質の高収率での産生のために、安定な発現が好ましい。ウイルスの複製起点を包含する発現ベクターを用いないで、適切な発現制御要素(例えばプロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位等)によって制御されるINDY融合タンパク質、および選択マーカーをコードするcDNAで宿主細胞を形質転換させることができる。組換えプラスミド中の選択マーカーは選択に対して耐性を提供し、細胞がその染色体中にプラスミドを安定に一体化させ、かつ増殖してコロニーを形成することを可能にし、そのコロニー自体はクローングされて細胞株に拡大される。例えば、外来DNAの導入後、遺伝子組換え細胞を強化培地中で1から2日間増殖させ、その後選択培地に切り替える。多くの選択系を用いることができ、限定はされないが、単純ヘルペスチミジンキナーゼ(Wigler et al., Cell 11: 233, 1977)、ヒポキサンチン−グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Szybalska&Szybalski, Proc. Natl. Sci. U.S.A. 48: 2026, 1962)、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowy et al., Cell 22: 817, 1980)遺伝子を、それぞれtk、hgprtまたはaprt細胞において用いることができる。
【0062】
トランスポーター遺伝子を発現させる公知の方法は、ツメガエル卵母細胞系での発現である。例えばpGEM(Promega)またはpBluescript(Stratagen)ベクターあるいはそれらの派生体の1つのような市販されている細菌発現プラスミド中に、IndyのオープンリーディングフレームをコードするcDNAまたはその部分を組込むことができる。細菌(例えば大腸菌)細胞中においてその発現プラスミドを増殖させた後、標準的方法によってDNAを精製する。次に、例えばSP6またはT7 RNAポリメラーゼを用いる転写のような標準的プロトコルに従って、プラスミドDNA中に組込まれたトランスポーター配列をin vitroで転写させる。そのようにして調製されたRNAをツメガエル卵母細胞に注入すると、そこで翻訳され、かつ得られたトランスポーターポリペプチドは原形質膜に組込まれる。電気生理学的方法、生化学的方法、薬理学的方法、および関連する方法によって、それらトランスポーターの機能的特性を調べることができる。
【0063】
上記のIndy配列に加えて、当業界で周知の分子生物学的技術によって、過度の実験無しに、完全長のIndy cDNA、同じ種に存在する遺伝子配列またはパラログ、あるいは他の種に存在するIndy遺伝子のオーソログを容易に同定することができる。Indyのオーソログの同定は、薬剤設計に用いるためのヒトにより密接に関連するモデル動物系を開発するのに有用となるであろう。「ホモログ」は、対象配列に対して高い割合の配列関連性を有するポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列を称するのに当業界で用いられる総称である。そのような関連性は、前述したように比較されるべき配列間での同一性および/または類似性の程度を特定することによって定量化することができる。この総称の中に、別の種におけるポリヌクレオチドまたはポリペプチドの機能的等価物であるポリヌクレオチドまたはポリペプチドを意味する「オーソログ」の用語、および同じ種内で考えられた場合に機能的に類似する配列を意味する「パラログ」の用語が含まれる。
【0064】
例えばIndy遺伝子のような寿命の延長に寄与することが分かっている他の遺伝子に相同的なDNAの単離によって、寿命の延長または老化に寄与する遺伝子を単離することができる。当業界で周知のプロトコルを用いて、関心生物由来の遺伝子ライブラリーを調べることができる。遺伝子ライブラリーは、好ましくは哺乳類遺伝子ライブラリーであり、より好ましくはヒト遺伝子ライブラリーである。ハイブリダイゼーションによって相同遺伝子を単離することができる。例えば、Indy遺伝子を含む標識DNA断片を用いて、求められる相同性の程度に依存して、高い、中くらいの、または低い、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、細胞DNA関心生物由来の細胞DNAを調べる(例えば、Sambrook et al., Eds., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989, or Ausubel, F.M. et al., eds. Current Protocols in Molecular Biology, 1994に教示されている)。プローブにハイブリダイズしたDNAを単離し、相補性分析を実施して、そのDNAが長寿に寄与する遺伝子を含むことを確認する。高ストリンジェントな条件下で、突然変異Indy遺伝子を含むDNAに、関心生物由来のDNAをハイブリダイズさせてよい。好ましいIndy DNAプローブは、配列番号1の配列の14連続ヌクレオチド以上の長さである。
【0065】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって相同遺伝子を見つけることもできる(Sakai et al., Science 230: 1350-4, 1985; and Sakai et al., Science 239: 487-91, 1988)。Indy遺伝子の領域を含む合成オリゴヌクレオチドプライマーを用いることができる。本願明細書中で用いられている「オリゴヌクレオチド」の用語は、2以上、好ましくは3以上、最も好ましくは約10以上のデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドを含む分子として定義される。さらに、本願明細書中で用いられている「オリゴヌクレオチド」の用語は、約100未満、より好ましくは約80未満、最も好ましくは約50未満のデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドを含む。オリゴヌクレオチドの正確なサイズは、最終的な機能またはそのオリゴヌクレオチドの用途等の多くの因子に依存するであろう。例えば適切な配列のクローニングおよび制限、および例えばリン酸トリエステル法(Narang et al., Meth. Enzymol. 68: 90-99, 1979);ホスホジエステル法(Brown et al., Method Enzymol. 68: 109-151, 1979);ジエチルホスホアミダイト法(Beaucage et al., Tetrahedron Lett. 22: 1895-1862, 1981);トリエステル法(Matteucci et al., J. Am. Chem. Soc. 103: 3185-3191, 1981);または自動合成法;および固相支持法(米国特許第4,458,066号)のような方法による直接的化学合成等の、任意の適切な方法によってオリゴヌクレオチドを調製することができる。
【0066】
この中で用いられている「プライマー」の用語は、プライマー伸長が開始されまたは可能であるような条件下に置かれた場合に、合成の開始点として働き得るオリゴヌクレオチドを称する。核酸鎖に相補的であるプライマー伸長産物の合成は、適切な温度において、適切なバッファー中にヌクレオシド3リン酸およびポリメラーゼが存在すると開始する。プライマーの用語は、特に合成されるべきターゲット領域の一方または両方の末端に関する情報にいくらかの曖昧さがあるいような場合には、1以上のプライマーを称してもよい。例えば、核酸配列がタンパク質配列から推定された場合、そのタンパク質配列をコードする核酸を合成するために作られるプライマーは、実際に、遺伝コードの縮重に基づく全ての可能性のあるコドン変化を表す配列を含むプライマーオリゴヌクレオチドの集まりである。その集まりの中の1以上のプライマーは、ターゲット配列の末端に相同的であろう。同様に、ある集団において「保存」領域が顕著なレベルの多形性を示す場合、隣接配列を増幅させるプライマーの混合物を調製してもよい。例えば、配列番号2に示されるアミノ酸配列に基づいて、プライマーを合成することができ、さらに遺伝コードの縮重に基づいて設計してもよい。
【0067】
1つの実施形態では、突然変異を包含するIndy遺伝子の領域を含む合成オリゴヌクレオチドプライマーを用いる。あるいは、本方法または上記の任意の方法によって単離された遺伝子のような老化または長寿に寄与する任意の遺伝子の後に、オリゴヌクレオチドをパターン化させてもよい。そのオリゴヌクレオチドをPCRにおいて用いて、関心生物由来のゲノムDNAの試料から複数コピーの関心DNAを作る。次にPCRで増殖されたDNAを単離し、さらに相補性分析を実施して、そのDNAが老化または長寿に寄与する機能的遺伝子を含むことを確認する。それら方法を用いて一旦遺伝子が単離されると、次に標準的方法を用いてその遺伝子によってコードされるタンパク質を単離することができる。
【0068】
また、コンピューター化されたデータベースサーチによって相同遺伝子を見つけ、Indyに相同的な領域を含む遺伝子または他の相同遺伝子を同定することができる。配列分析ソフトウェアは、様々な欠失、置換、および他の修飾に関して相同性の程度を評価することによって、類似配列を適合させる。相同配列または同一配列は、特定の比較ウィンドウに亘り最大の一致が得られるように整列させた場合に、特定割合(%)の同じアミノ酸残基またはヌクレオチドを有する。比較ウィンドウは、20から600までのヌクレオチドまたはアミノ酸であってよい。有用なプログラムはBLASTである(Atschul et al., Nucl. Acids Res. 25: 3389-3402, 1977; Atschul et al., J. Mol. Biol. 215: 403-410に記載されている)。
【0069】
別の実施形態において、ポリヌクレオチドは、ヒトジカルボン酸ナトリウムコトランスポーター(hNaDC−1、受託番号U26209)、ラットジカルボン酸ナトリウムコトランスポーター(SDCT2、受託番号AF081825)、ウサギジカルボン酸ナトリウムコトランスポーター(NaDC−1、受託番号U12186)、およびマウスジカルボン酸ナトリウムコトランスポーター(mNaDC−1、受託番号AF201903)に実質的に相同性を有する配列をコードする。
【0070】
本出願において記載されかつ請求されているポリヌクレオチドは、それらが提供するポリペプチドのアミノ酸配列に関する情報のため、および様々な組換え技術によるポリペプチドの大規模合成の産物として有用である。ポリヌクレオチドは、新規なクローニングおよび発現ベクター、形質転換およびトランスフェクトされた原核および真核宿主細胞、ならびにポリペプチドおよび関連産物の発現が可能であるそのような宿主細胞の培養増殖の新規かつ有用な方法を作成するのに有用である。
【0071】
Indy遺伝子は、図2に示されている配列(配列番号2:genBank受託番号AE003519)を有するポリペプチドまたはタンパク質をコードしており、その配列は、ショウジョウバエ遺伝子(受託番号AF217399)、ヒトジカルボン酸ナトリウムコトランスポーター(hNaDC−1、受託番号U26209)、およびラットジカルボン酸ナトリウムコトランスポーター(SDCT2、受託番号AF081825、およびSDCT1、受託番号AF058714)に実質的に相同性を有する。Indy遺伝子産物および哺乳類における細胞トランスポーターのファミリーは、寿命および代謝制御を決めるのに関連する新規なクラスの遺伝子産物を特定するように思われる。
【0072】
従って、別の実施形態では、配列番号2の配列に相同的である実質的に純水なポリペプチドを提供する。「実質的に純水なポリペプチド」とは、天然において付随する成分から分離されたINDYポリペプチドである。通常、天然において関連するタンパク質および天然有機分子の60重量%以上が含まれていない場合、そのポリペプチドは実質的に純水である。好ましくは、その調製物は、75重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに最も好ましくは99重量%のINDYポリペプチドの純度である。実質的に純水なINDYポリペプチドは、例えば、天然供給源(例えば昆虫細胞)から抽出することによって;INDYポリペプチドをコードする組換え核酸の発現によって;またはタンパク質の化学合成によって;得ることができる。例えばカラムクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、またはHPLC分析による方法のような、任意の適切な方法によって純度を測定することができる。
【0073】
例えば部位特異的突然変異誘発またはアラニン−スキャニング(Cunningham and Wells, Science244: 1081-1085, 1989; Bass et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 4498-4502, 1991)のような当業界で公知の方法に従って、INDYポリペプチドの機能に必須のアミノ酸を同定することができる。後者の技術において、分子中の異なる残基に単一アラニン突然変異を導入し、生物活性(例えばリガンド結合およびシグナル伝達)に関して得られた突然変異分子を試験して、その分子の活性に重要であるアミノ酸残基を同定する。核磁気共鳴、結晶学または光親和性標識のような技術によって特定される結晶構造の解析によって、リガンド−タンパク質相互作用部位も特定できる(例えば、de Vos et al., Science 255: 306-312, 1992; Smith et al., J. Mol. Biol. 224: 899-904, 1992; Wlodaver et al., FEBS Lett. 309: 59-64, 1992)。関連タンパク質との相同性の分析から、必須であるアミノ酸を推測することもできる。
【0074】
突然変異誘発およびスクリーニングの公知の方法を用いて、複数アミノ酸置換物を作り、試験することができる(例えば、Reidhaar-Olson and Sauer, Science 241: 53-57, 1988; Bowie and Sauer, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 2152-2156, 1989に記載されている)。簡単に説明すると、それらの著者は、ポリペプチドにおける2以上の位置を同時にランダム化し、機能的ポリペプチドを選択し、さらにその突然変異ポリペプチドの配列を決定して、各位置で許容される置換のスペクトルを特定する。使用できる他の方法として、ファージディスプレイ(例えば、Lowman et al., Biochem. 30: 10832-10837, 1991; Ladner et al., 米国特許第5,223,409号明細書; Huse, 国際公開第92/06204号パンフレット)、および領域特異的突然変異誘発(Derbyshire et al., Gene 46: 145, 1986; Ner et al., DNA 7: 127, 1988)が挙げられる。
【0075】
上記の突然変異誘発法を、高性能スクリーニング法と組み合わせて、宿主細胞中のクローン突然変異タンパク質の活性を特定することができる。活性タンパク質またはその部分(例えばリガンド結合断片)をコードする突然変異DNA分子を宿主細胞から回収し、さらに近代的な装置を用いて迅速に配列決定することができる。それら方法は、関心ポリペプチド中の個々のアミノ酸残基の重要性の迅速な特定を可能にし、さらに未知の構造のポリペプチドに適用することができる。
【0076】
上記の方法を用いて、当業者は、配列番号2の配列またはその対立遺伝子変異体に実質的に相同でありかつ野生型ポリペチドの特性を維持する様々なポリペプチドを調製することができる。
【0077】
本願明細書中において記載されかつ請求されている、「配列番号2によって特定されるポリペプチド」の語は、全ての対立遺伝子変異体およびそのポリペプチドの種のオーソログを含む。配列を形成するアミノ酸がαアミノ酸である場合、L−光学異性体またはD−光学異性体の何れも用いることができるが、L−異性体が好ましい。この中で用いられている「ポリペプチド」は、例えば糖タンパク質のような修飾配列を含み、さらに天然のポリペプチドまたはタンパク質、ならびに両方の配座が同じまたは実質的に同じアミノ酸配列を有するが異なる三次元構造を有するような少なくとも2つの異なる配座で生じる組換えによってまたは合成によって作られたポリペプチドまたはタンパク質を対象とすることが特に意図されている。「断片」とは、天然タンパク質の部分である。断片は、天然タンパク質と同じまたは実質的に同じアミノ酸配列を有していてよい。
【0078】
抗体の作成のため、診断法における試薬として、寿命および体重の調節に関連する他の遺伝子産物の同定のため、寿命の延長または体重管理において用いることができる化合物のスクリーニングのための試薬として、さらには寿命の延長または体重異常の治療に有用な薬剤治療としてのような、様々な用途のために、INDYポリペプチド、および成熟、切断、または欠失形態を含むペプチド断片を調製することができる。
【0079】
本明細書はIndy遺伝子産物に対して機能的に等価であるタンパク質も含み、限定はされないが、例えば寿命の延長およびカロリー制限のような得られるIndyの生物学的効果、または適切な細胞タイプにIndy等価物が存在する場合における表現型の変化を含む、任意の多くの基準によって等価であることを判断する。そのような機能的に等価であるINDYタンパク質は、記載のIndyヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列内にアミノ酸残基の付加または置換を含むが、それらはサイレント変化をもたらし、従って、機能的に等価である遺伝子産物を産生する。アミノ酸置換は、関連する残基の極性、電荷、溶解性、疎水性、親水性、および/または両親媒性の性質における類似性に基づいてなされる。例えば、非極性(疎水性)アミノ酸として、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、およびメチオニンが挙げられ;極性の中性アミノ酸として、グリシン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、およびグルタミンが挙げられ;正電荷を持つ(塩基性)アミノ酸として、アルギニン、リジン、およびヒスチジンが挙げられ;さらに負電荷を持つ(酸性)アミノ酸として、アスパラギン酸およびグルタミン酸が挙げられる。
【0080】
別の実施形態は、INDYまたはINDYの保存変異体またはINDYの断片の1以上のエピトープを特異的に認識する抗体を含む。そのような抗体は、ポリクロナール抗体、モノクロナール抗体、ヒト化またはキメラ抗体、抗イディオタイプ抗体、一本鎖抗体、Fab断片、Fab発現ライブラリーから産生された断片、および上記のもののエピトープ結合断片の何れであってもよい。
【0081】
INDYポリペプチドに結合する抗体は、免疫物質としての関心ペプチドを含む無傷のポリペプチドまたは断片から調製することができる。好ましいINDYポリペプチド断片は、配列番号2の配列の15−30連続アミノ酸である。ポリクロナール抗体の調製は分子生物学の分野で周知であり;例えば、Production of Polyclonal Antisera in Immunochemical Processes(Manson, ed.), pages 1-5(Humana Press 1992) and Coligan et al., Production of Polyclonal Antisera in Rabbits, Rats, Mice and Hamsters in Current Protocols in Immunology, section 2.4.1(1992)を参照。モノクロナール抗体の調製も当業界で周知である;例えば、Harlow et al., Antibodies: A Laboratory Manual, page 726(Cold Spring Harbor Pub. 1988)を参照。簡単に説明すると、マウスまたはウサギに抗原を含む組成物を注射し、血清試料を採取することによって抗体産生の存在を確認し、脾臓を取り出しBリンパ球を得て、リンパ球を骨髄腫細胞と融合させてハイブリドーマを作り、そのハイブリドーマをクローニングし、抗原に対する抗体を産生する陽性クローンを選択し、さらにハイブリドーマ培養液から抗体を単離することによって、モノクロナール抗体を得ることができる。当業界で周知の技術によって、ハイブリドーマ培養液からモノクロナール抗体を単離および精製することができる。
【0082】
治療的に有用な抗INDY抗体は、「ヒト化」モノクロナール抗体に由来するであろう。マウス免疫グロブリンの重および軽可変鎖からのマウス相補性決定領域をヒト可変ドメインに移し、マウス対応物の枠組み構造領域中にヒト残基での置換を行うことによって、ヒト化モノクロナール抗体を作成する。ヒト化モノクロナール抗体由来の抗体成分の使用は、マウス定常領域の免疫原性に関連する潜在的問題を未然に防ぐ。ヒト化モノクロナール抗体を作る技術は、Jone et al., Nature 321: 522, 1986 and Singer et al., J. Immunol. 150: 2844, 1993に記載されている。抗体はコンビナトリアル免疫グロブリンライブラリーから単離されたヒト抗体断片由来であってもよい(例えば、Barbas et al., Methods: A Companion to Methods in Enzymology 2, 119, 1991)。
【0083】
さらには、適切な抗原特異性を有するマウス抗体分子の遺伝子を、適切な生物学的特異性を有するヒト抗体分子の遺伝子と一緒にスプライシングすることによって、キメラ抗体を得ることができる(例えば、Takeda et al., Nature 314: 544-546, 1985を参照)。キメラ抗体は、異なる部分が異なる動物種に由来する抗体である。
【0084】
抗イディオタイプ技術を用いて、エピトープを模倣するモノクロナール抗体を作ることができる。第1モノクロナール抗体に対して作られた抗イディオタイプモノクロナール抗体は、第1モノクロナール抗体が結合するエピトープの「影像(image)」である超過変領域中の結合ドメインを有するであろう。あるいは、一本鎖抗体を作成するのに用いられる技術を用いて、Indy遺伝子産物に対する一本鎖抗体を作成することができる(例えば米国特許第4,946,778号に記載されている)。アミノ酸架橋を介してFv領域の重鎖および軽鎖断片を連結して一本鎖ポリペプチドをもたらすことによって、一本鎖抗体を形成する。
【0085】
当業界で周知の技術によって、特異的エピトープを認識する抗体断片を作成することができる。そのような断片として、タンパク質分解消化によって作られるFab断片、およびジスルフィド架橋を還元することによって作られるFab断片が挙げられる。
【0086】
免疫治療で用いられる場合、INDYに結合するモノクロナール抗体、その断片またはそれらの両方を治療物質で標識しても標識しなくてもよい。当業界で周知の技術によってそれら物質をモノクロナール抗体に直接または間接的に結合させることができ、そのような物質として、薬剤、放射性同位体、レクチン、および毒素のような物質が挙げられる。
【0087】
モノクロナール抗体を単独で用いても、あるいは上記のような治療物質と組み合わせて用いてもよい。好ましい組合せは、INDYに結合するモノクロナール抗体、免疫調節剤、および他の生物反応修飾物質を含む。モノクロナール抗体投与の用量範囲は、寿命の変化または体重の変化の何れかの所望の効果をもたらすのに十分大きなものである。その用量は、年齢、状態、性、および治療すべき状態の程度によって変化するものであり、当業者は容易に特定することができる。用量は約0.1mg/kgから約2000mg/kgまでであろう。静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、腔内、または経皮に、単独でまたはエフェクター細胞と一緒に、モノクロナール抗体を投与することができる。
【0088】
非経口投与用の調製物として、滅菌した水溶液または非水溶液、懸濁液、およびエマルジョンが挙げられる。非水溶媒の例として、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、例えばオリーブ油のような植物油、および例えばオレイン酸エチルのような注射可能な有機エステルが挙げられる。水性担体として、水、アルコール/水溶液、エマルジョンまたは懸濁液が挙げられ、生理食塩水および緩衝媒体を含む。非経口用媒体として、塩化ナトリウム溶液、リンガーデキストロース、デキストロースと塩化ナトリウム、電解質補充薬等が挙げられる。例えば、抗菌薬、酸化防止剤、キレート剤、および不活性ガス等のような防腐剤および他の添加剤を加えてもよい。
【0089】
Indyのヒトホモログは、通常、消化管、腎臓、肝臓、脳、および他の臓器において発現されており、薬理学的に容易に標的化することができる。Indy遺伝子の発見の新規性は、Indy突然変異体が遺伝的にカロリー制限され、それによって、それら変異体が正常に食べ、高レベルの身体活動および生殖状態を維持するが、寿命の延長によって利益を受けることが可能であるという事実にある。Indy突然変異動物の発見は、化学的介入を提供するように適切な治療物質を設計するためのターゲットを同定した。そのような薬剤は、INDYタンパク質による主要な代謝物の取込みを潜在的に遮断し、さらに適切な用量で、カロリー制限を介して寿命延長の利益をもたらす。そのようなINDYベースの物質は、理想体重の制御に潜在的な利益を有するであろう。INDYタンパク質は利用しやすいターゲット(例えば、代謝物を吸収、利用および/または貯蔵するのに主要な役割を有する)であるため、低い吸収/毒性効果を有し、かつヒトの一部の栄養摂取の非侵襲的かつ制御された張り込みにおいて潜在的に最大の影響を与えるように、そのようなINDY−薬剤を設計することができる。INDY機能を遮断する未発見の天然物質もあるであろう。
【0090】
理論に関係なく、Indy遺伝子は、クレブス回路すなわちクエン酸回路の主要な中間体を輸送する細胞トランスポーターをコードする。輸送される中間体として、有機カルボン酸塩、より詳細には、例えばコハク酸塩、α−ケトグルタール酸塩、およびフマル酸塩のような2から約10、より好ましくは4から約6の炭素原子を有する置換および非置換ジカルボン酸塩;ならびに例えばクエン酸塩のような3から約10、好ましくは4から約6の炭素原子を有する置換および非置換トリカルボン酸塩が挙げられる。適切な置換として、限定はされないが、水酸基、カルボニル基、スルフヒドリル基等が挙げられる。不飽和が存在していてもよい。INDYの好ましい基質はコハク酸塩である。イオン化形態の酸に言及しているが、プロトン化酸または別の共役形態も実際に輸送され得ることを理解すべきである。
【0091】
実験証拠は、クレブス回路中間体の他のトランスポーター(例えばジカルボン酸ナトリウムコトランスポーター)と違って、INDYはその基質を輸送するのに一価カチオンを必要としないと考えられる。従って、INDYはこの中で「トランスポーター」と称される。しかしながら、この用語は、例えば二価カチオンのような実際にカルボン酸塩と一緒に他の部分を同時輸送するIndy遺伝子産物の任意の形態を排除しない。
【0092】
それによって代謝異常、肥満、老化現象が改善され得る方法および組成物について以下に記載する。それら状態の一部は、少なくとも部分的に、過剰レベルのIndy遺伝子産物によって、あるいは異常なまたは過剰な活性を表す遺伝子産物の存在によってもたらされる。従って、そのような遺伝子産物のレベルおよび/または活性の低下は、例えば高血糖、糖尿病、および慢性肥満において症状の改善をもたらすであろう。様々な技術を利用して、そのようなターゲット遺伝子および/またはタンパク質の発現、合成、または活性を阻害することができる。例えば、阻害活性を示す化合物および高分子を本願発明に従って使用して、代謝異常、肥満、または老化現象を改善することができる。そのような分子として、限定はされないが、小さな有機分子、ペプチド、抗体、アンチセンス、リボゾーム分子、三重螺旋分子等が挙げられる。
【0093】
以下の測定法は、モジュレーター、すなわちINDYポリペプチドに結合し、例えばIndy発現またはINDY活性に対して促進または阻害効果を有し、あるいはあるいはINDY基質の発現または活性に対して促進または阻害効果を有する候補物質または試験化合物または物質(例えば、ペプチド、ペプチド模倣物、小さな分子または他の薬剤)を同定するための方法(この中で「スクリーニング法」としても称される)を提供する。そのような化合物は、INDY機能のアゴニストまたはアンタゴニストとなり得る。
【0094】
従って、本明細書中の1つの実施形態は、大きなライブラリーの化合物から、代謝維持に影響を及ぼしおよび/または細胞死を覆しまたは阻害する治療活性を有し、それによって寿命を延ばす潜在的に治療的有用性を示すと思われる低分子薬剤候補物質を同定する方法を含む。有効な阻害活性を有する小さな有機分子およびペプチドをde novo設計し、測定法またはスクリーニングによって同定し、または2つの技術の組合せによって得ることができる。非タンパク質薬剤設計は、コンピューターグラフィックモデリングを用いて、細胞トランスポーターに結合し得る非ペプチド有機分子を設計することによって実施できる。Lam et al., Science 263: 380, 1994に記載のようにモデリングのための核磁気共鳴(NMR)データも当業界で公知であり、トランスポーターのX−線結晶構造研究からの情報を用いる。
【0095】
分子ライブラリーを作成し、特定ターゲットに対するリガンドとして作用する分子を選択し(例えばタンパク質機能測定法を用いて)、さらに選択されたリガンドを同定することによって、小さな分子も開発することができる。例えば、Kohl et al., Science 260: 1934, 1993を参照。小さな分子またはオリゴマー生体分子のコンビナトリアルライブラリーを構築およびスクリーニングして、所定の受容体タンパク質に特異的に結合する分子を同定する技術が知られている。適切なオリゴマーとして、ペプチド、オリゴヌクレオチド、カルボン酸塩、非オリゴヌクレオチド(例えば、ホスホロチオエート型オリゴヌクレオチド;Chem. and Engineering News, page 20, 7 Feb. 1994を参照)および非ペプチドポリマー(例えば「ペプトイド」;Simon et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89 9367, 1992を参照)が挙げられる。米国特許第5,270,170号(Schatz); Scott and Smith, Science 249: 386-390, 1990; Devlin et al., Science 249: 404-406, 1990; Edgington, BI0/Technology, 11: 285, 1993を参照。ライブラリーは、固相支持体上または溶液中において合成し、あるいはバクテリオファージウイルスの表面上で発現させる(ファージディスプレイライブラリー)ことができる。
【0096】
コンビナトリアルライブラリーをスクリーニングするのに当業者に公知のスクリーニング法を用いて、活性分子を同定することができる。例えば、トランスポーターアゴニストまたはアンタゴニストとの接触によって栄養の能動的取込みを増やす(または減らす)ことについてモニターすることができる。
【0097】
1つの実施形態において、INDYタンパク質またはポリペプチドあるいはそれらの生物活性部分の基質である候補物質または試験化合物をスクリーニングするための測定法を提供する。別の実施形態では、INDYタンパク質またはポリペプチドあるいはそれらの生物活性部分に結合しまたはそれらの活性を変調させる(例えばINDYがリガンドと相互作用する能力を変調させる)候補物質または試験化合物をスクリーニングする方法を提供する。
【0098】
分子ライブラリーの合成方法の例は、例えば、当業界において、DeWitt et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 90: 6909, 1993; Erb. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91: 11422, 1994; Zuckermann et al., J. Med. Chem. 37: 2678, 1994; Cho et al., Science 261: 1303, 1993; Carrell et al., Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33: 2059, 1994; Carell et al., Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33: 2061, 1994; and in Gallop et sl., J. Med. Chem. 37: 1233, 1994に記載されている。
【0099】
化合物のライブラリーは、溶液中に存在していてもよいし(例えばHoughten, Biotechniques 13: 412-421, 1992)、あるいはビーズ(Lam, Nature 354: 82-84, 1991)、チップ(Fodor, Nature 364: 555-556, 1993)、細菌(Ladner 米国特許第5,223,409号)、芽胞(Ladner米国特許第5,223,409号)、プラスミド(Cull et al., Proc Natl Acad Sci USA 89: 1865-1869, 1992)、またはファージ(Scott and Smith, Science 249: 386-390, 1990);(Devlin, Science 249; 404-406, 1990); (Cwirla et al., Proc. Natl. Acad. Sci U.S.A. 87: 6378-6382, 1990);(Felici, J. Mol. Biol. 222: 301-310, 1991); (Ladner supra.)上に存在していてもよい。
【0100】
候補INDY相互作用分子は、多くの化学的クラスを含む。それらは、有機分子、好ましくは50から2,500ダルトンの分子量を有する小さな有機分子であってよい。候補分子は、例えばカルボニル基、ヒドロキシル基、およびカルボキシル基のような、タンパク質との構造的相互作用、特に水素結合に必要な官能基を含む。候補分子は、上記の基で置換された、環状炭素または複素環式構造、および芳香族または多芳香族構造を含んでいていてもよい。
【0101】
合成分子をスクリーニングして所望の活性を有する分子を選択する他の技術、および選択された活性分子が同定されるようにライブラリーのメンバーを標識する他の技術も公知である(米国特許第5,283,173号;Fields et al.;相互作用に関してペプチドをスクリーニングするために遺伝子操作したサッカロミセス・セレビシエを用いる)。この中で用いられている「コンビナトリアルライブラリー」の用語は、特定ターゲットに対するリガンドとしての活性について同時にスクリーニングされ得る異なる配列の様々なオリゴマー生体分子の集合を称する。コンビナトリアルライブラリーは、「形状ライブラリー(shape library)」、すなわち、潜在的なリガンドであるランダム断片の集合としても称される。分子の形状とは、ファンデルワールス力、疎水性、静電力、および動力のような他の分子との相互作用を決定する分子の特徴を称する。
【0102】
核酸分子も受容体タンパク質のリガンドとして作用するであろう。例えば、Edgington, BIO/Technology 11: 285, 1993を参照。米国特許第5,270,163号(Gold and Tuerk)は、ランダム配列を含むRNA分子のライブラリーからターゲット分子に特異的に結合する分子を選択することによって所定のターゲット分子に対する核酸リガンドを同定する方法について記載する。特定ペプチドと免疫学的に交差反応するRNA分子のin vitro選択の方法は、Tsai, Kenan and Keene, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 8864, 1992;およびTsai and Keene, J. Immunology 150: 1137, 1993に記載されている。その方法において、ペプチドに対して生じた抗血清を用いて、RNA分子のライブラリーからRNA分子を選択し;選択されたRNA分子とペプチドとが抗体結合に関して競合し;そのRNAエピトープが抗体−抗原相互作用の特異的阻害剤として機能することを示唆する。
【0103】
ターゲット遺伝子タンパク質に対して特異的でありかつその活性を妨害する抗体を用いて、ターゲット遺伝子機能を阻害することができる。標準的技術を用いて、そのようなタンパク質自体またはそのタンパク質の部分に相当するペプチドに対する抗体を作成することができる。そのような抗体として、限定はされないが、ポリクロナール抗体、モノクロナール抗体、Fab断片、一本鎖抗体、キメラ抗体等が挙げられる。抗体の断片が用いられる場合、ターゲットタンパク質の結合ドメインに結合する最小阻害断片が好ましい。例えば、ターゲット遺伝子タンパク質に結合する抗体の可変領域のドメインに相当するアミノ酸配列を有するペプチドを用いてもよい。そのようなペプチドは、化学的に合成しても、または当業界で周知の方法を用いて組換えDNA技術によって作成してもよい(例えば、Sambrook et al., Eds., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed., Cold Spring Harbor Loboratory Press, 1989; Ausubel, F.M.et al., eds. Current Protocols in Molecular Biology, 1994を参照)。
【0104】
あるいは、細胞内ターゲット遺伝子エピトープに結合する一本鎖中和抗体を投与してもよい。例えばMarasco et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 7889-7893, 1993に記載のような技術を利用して、ターゲット細胞群内において一本鎖抗体をコードするヌクレオチド配列を発現させることによって、そのような一本鎖抗体を投与することができる。
【0105】
INDYと相互作用する細胞タンパク質に関する測定法も含まれる。タンパク質−タンパク質相互作用を検出するのに適した任意の方法を用いることができる。用いることができる従来の方法として、例えば、共免疫沈降、交差反応、および勾配またはクロマトグラフィーカラムによる共精製が挙げられる。それら測定法において、Indyは完全長タンパク質であっても活性断片であってもよい。追加の方法として、INDYと相互作用するタンパク質をコードする遺伝子の同時同定を可能にするそれらの方法が含まれる。それら方は、例えば、標識INDYタンパク質、INDY断片、またはINDY融合タンパク質を用いて、発現ライブラリーを調べることを含む。
【0106】
in vivoでタンパク質−タンパク質相互作用を検出する1つの方法は、ツーハイブリッド系である(例えば、Chien et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 9578-9582, 1991を参照)。簡単に説明すると、ツーハイブリッド系は、2つのハイブリッドタンパク質をコードするように構築されたプラスミドを利用する:一方のプラスミドは、INDYポリぺプチドをコードするIndyヌクレオチド配列に融合した転写アクチベータータンパク質のDNA結合ドメインをコードするヌクレオチドを包含し;もう一方のプラスミドは、cDNAライブラリーからプラスミド中に組換えられた未知タンパク質をコードするcDNAに融合した転写アクチベータータンパク質の活性化ドメインをコードするヌクレオチドを包含する。その調節領域がアクチベーターの結合部位を含む例えばlacZのようなレポーター遺伝子を包含する酵母株に、DNA結合ドメイン融合プラスミドおよびcDNA融合タンパク質ライブラリープラスミドを形質導入する。それぞれのハイブリッドタンパク質はDNA結合ドメインまたはアクチベータードメインのいずれかを欠いているため、いずれかのハイブリッドタンパク質単独では、レポーター遺伝子の翻訳を活性化させることはできない。しかしながら、2つのハイブリッドタンパク質の相互作用は機能的アクチベータータンパク質を再構築し、レポーター遺伝子産物の測定法によって検出されるレポーター遺伝子の活性化をもたらす。アクチベーター活性を再構築するコロニーを精製し、レポーター遺伝子活性を担うライブラリープラスミドを単離および配列決定する。次に、DNA配列を用いて、ライブラリープラスミドによってコードされるタンパク質を同定する。
【0107】
INDYと相互作用する高分子をIndy結合パートナーと称する。Indy結合パートナーは、INDY機能の調節に関連していると思われる。従って、INDYとその結合パートナーとの間の相互作用を妨害する化合物を同定することが可能である。Indyとその結合パートナーとの相互作用を妨害する化合物を同定するのに用いられる測定系の基本的原理は、複合体形成をもたらす条件下で、INDYまたはINDY断片およびその結合パートナーとを含有する反応混合物を調製することである。阻害活性について試験する試験化合物の存在下または不在下で反応混合物を調製する。INDY/結合パートナー複合体形成の前またはその後に、試験化合物を添加して差し支えない。対照において複合体が形成されるが、試験化合物を含む場合には複合体が形成されないことによって、その試験化合物が複合体形成を妨害することを確認する。測定法は、固相または液相の何れでも実施できる。
【0108】
別の実施形態では、測定法は細胞ベースの測定法であり、細胞発現INDYと試験化合物とを接触させ、その試験化合物がINDYの活性を変調(例えば促進または阻害)する能力を特定する工程を含む。試験化合物がINDY活性を変調する能力の特定は、例えば、INDYが試験分子と結合または相互作用する能力を特定することによって、あるいは試験化合物がINDYのトランスポーター機能を促進または阻害する能力を特定することによって達成できる。細胞ベースの系を用いてINDYを阻害する化合物を同定してもよい。そのような細胞は、例えばIndy遺伝子を発現する細胞株のような、組換え細胞であっても非組換え細胞であってもよい。好ましい系は、Indy mRNAを包含するツメガエル卵母細胞、およびIndyを発現する酵母細胞である。そのような系を利用する際に、体重異常を改善しまたは寿命を延ばすことが推測される化合物に細胞を曝す。細胞を曝した後、例えばIndy遺伝子またはINDYタンパク質の発現に関して細胞を測定する。あるいは、例えば体重異常または寿命延長に類似するような表現型について細胞を測定する。INDYのトランスポーター機能の阻害について細胞を測定してもよい。
【0109】
細胞ベースの測定法において使用するのに好ましい細胞は、Indy mRNAを包含するツメガエル卵母細胞を含む。そのようなツメガエル卵母細胞は、INDYポリペプチドを発現すると考えられ、INDYのトランスポーター機能について研究するのに用いることができる。INDYポリペプチドを発現するツメガエル卵母細胞は、INDY機能の変化について試験化合物をスクリーニングするのに有用である。クレブス回路中間体の輸送を増加または減少させる化合物をその系で同定することができる。
【0110】
細胞ベースの測定法において好ましい別の細胞は、Indy遺伝子を包含するベクターで形質転換した酵母細胞を含む。Indyを発現する酵母細胞の1つの使用は、その酵母を突然変異させ、INDYポリペプチドが正常に機能している場合にのみ生存するような酵母をスクリーニングするやり方である。人工的致死スクリーニングは、Holtzman et al., J. Cell Bio. 122: 635-644, 1993に記載されている。生存のためにIndy機能を必要とする酵母を用いて、Indy活性を阻害することに関して試験化合物をスクリーニングすることができる。酵母生存性を低下させる試験化合物は、この系においてINDYの阻害剤であろう。
【0111】
さらに別の実施形態では、測定法は細胞を含まない測定法であり、INDYタンパク質またはその生物活性部分を試験化合物と接触させ、試験化合物がINDYタンパク質またはその生物活性部分と結合する能力を特定する。試験化合物のINDYタンパク質への結合性は、上記のように直接的または間接的に特定することができる。好ましい実施形態において、測定法は、INDYタンパク質またはその生物活性部分とINDYに結合する公知化合物とを接触させて測定混合物を形成し、その測定混合物を試験化合物と接触させ、さらに試験化合物がINDYタンパク質と相互作用する能力を特定する各工程を含み、試験化合物がINDYタンパク質と相互作用する能力を特定する工程は、公知化合物と比較して試験化合物が選択的にINDYまたはその生物活性部分に結合する能力を特定することを含む。
【0112】
細胞を含まない測定法は、可溶性および/または膜結合形態のタンパク質の両方の使用に適合できる。膜結合形態のタンパク質が用いられる細胞を含まない測定法の場合、膜結合形態のタンパク質が溶液中に維持されるように、可溶化剤を利用することが望ましいであろう。そのような可溶化剤として、n−オクチルグルコシド、n−ドデシルグルコシド、n−ドデシルマルトシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、デカノイル−N−メチルグルカミド、TritonX−100、TritonX−114、Thesit、イソトリデシルポリ(エチレングリコールエーテル)n、3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルフェート(CHAPS)、3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルフェート(CHAPSO)、またはN−ドデシル,N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルフェートのような非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0113】
上記測定法の1以上の実施形態において、INDYまたはそのターゲット分子の何れかを固相化して、一方または両方のタンパク質の非複合体形成形態から複合体の分離を容易にし、ならびに測定法の自動化に対応することが望ましいであろう。反応物質を入れるのに適した任意の容器中において、試験化合物のINDYタンパク質への結合、または候補化合物の存在下および不在下でのINDYタンパク質とターゲット分子との相互作用を達成することができる。そのような容器の例として、マイクロタイタープレート、試験管、およびマイクロ遠心チューブが挙げられる。1つの実施形態において、一方または両方のタンパク質がマトリックスに結合するのを可能にするドメインを付加する融合タンパク質を提供することができる。例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ/INDY融合タンパク質またはグルタチオン−S−トランスフェラーゼ/ターゲット融合タンパク質を、グルタチオンセファロースビーズ(Sigma Chemical, St. Louis, Mo)またはグルタチオン派生マイクロタイタープレートに吸着させ、そのビーズまたはプレートを、試験化合物、あるいは試験化合物および非吸着ターゲットタンパク質またはINDYタンパク質の何れかと混合し、複合体形成をもたらす条件下(例えば塩およびpHに関して生理的条件下)でその混合物をインキュベートする。インキュベーションの後、ビーズまたはマイクロタイタープレートのウェルを洗浄して、任意の非結合成分を除去し、ビーズの場合にはマトリックスを固相化し、例えば上記のように、直接的または間接的に複合体を特定する。あるいは、複合体をマトリックスから可溶化させ、標準的技術を用いてINDY結合または活性のレベルを特定してもよい。
【0114】
本発明のスクリーニング法において、タンパク質をマトリックスに固相化する他の技術を用いてもよい。例えば、ビオチンとストレプトアビジンとの共役を利用してINDYタンパク質またはINDYターゲット分子の何れかを固相化することができる。当業界で周知の技術(例えばビオチン化キット;Pierce Chemicals, Rockford, III)を用いて、ビオチン−NHS(N−ヒドロキシ−スクシニミド)からビオチン化INDYタンパク質またはターゲット分子を調製し、ストレプトアビジンコート96穴プレート(Pierce Chemical)のウェルに固相化することができる。あるいは、INDYタンパク質またはターゲット分子と反応するがINDYタンパク質のそのターゲット分子との結合を妨害しない抗体をプレートのウェルに結合させ、抗体結合によって非結合ターゲットINDYタンパク質をウェルに捕獲させる。GST−固相化複合体に関して上述したような方法に加えて、そのような複合体を検出する方法として、INDYタンパク質またはターゲット分子と反応性である抗体を用いる複合体の免疫学的検出、ならびにINDYタンパク質またはターゲット分子に関連する酵素活性を検出することに基づく酵素測定法が挙げられる。
【0115】
細胞ベースの系において、トランスジェニック非ヒト生物を用いてもよい。トランスジェニック動物は、異種DNA配列が、その動物の生殖細胞中の染色体に一体化された動物である。トランスジェニック動物は、その体細胞の染色体に一体化された導入遺伝子も有するであろう。限定はされないが、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ブタ、マイクロブタ、ヤギ、および例えばヒヒ、サル、チンパンジーのような非ヒト霊長類等の任意の種の動物を用いて、INDYトランスジェニック動物を作成することができる。
【0116】
本明細書は、Indyを過剰発現するトランスジェニック動物、好ましくはマウスを作成する方法に関するものであり、その方法は、初期の胚の細胞に、適切なプロモーターと共に少なくとも配列番号2の配列をコードするポリヌクレオチド配列を含む断片のいくつかのコピーを導入する工程を含む。当業界で公知の技術を用いて、Indy導入遺伝子を動物に導入し、動物の初代系列を作成することができる。そのような技術として、限定はされないが、前核マイクロインジェクション(米国特許第4,873,191号明細書);生殖細胞系へのレトロウイルス介在遺伝子導入(Thompson et al., Cell 56: 313-321, 1989);胚のエレクトロポレーション(Lo, Mol. Cell Biol. 3: 1803-1814, 1983);および精子介在遺伝子導入(Lavitrano, et al., Cell 57: 717-723, 1989);等が挙げられる。そのような技術のレビューのため、Gordon, Intl. Rev. Cytol. 115: 171-229, 1989を参照。
【0117】
Indy遺伝子における突然変異(「ノックアウト」突然変異)を有するトランスジェニック動物を作るために、胚肝細胞における相同組換えによる遺伝子ターゲティングを行ってもよい。そのようないわゆる「ノックアウト」動物中にはIndy遺伝子の不活性化または遺伝子発現の変化が存在し、それによってその動物がIndy遺伝子の機能を調べるのに有用となり、自然的、化学的または照射による突然変異誘発では容易に利用できないようなヒト疾患の動物モデルを提供することができる。
【0118】
特に有用なトランスジェニック動物は、Indyホモログが破壊またはノックアウトされている動物である。マウスゲノムの分析は、ハエのIndy遺伝子(NaDC−1)に対して非常に高い相同性を有する1つの遺伝子のみを示す。特に有用なトランスジェニックマウスは、Cre−loxP系を用いてmNaDC−1遺伝子のエキソン5から12を破壊してmNaDC−1の機能的に無効な対立遺伝子が得られたマウスである。このIndy突然変異のマウスモデルは、寿命延長におけるIndy突然変異およびカロリ−制限の役割を理解し、さらに哺乳類におけるカロリー制限を模倣できる薬剤介入の開発に向けた一歩として働く。
【0119】
例えばマウスのようなトランスジェニック動物を、体重異常または寿命の延長の治療に用いることができる薬剤、医薬、治療および介入方法を同定するための試験基材として用いてもよい。例えば、肥満のような体重異常の態様を覆す任意の処置が、ヒト体重異常治療上の処置の候補として考えられる。
【0120】
別の実施形態において、体重異常の処置または寿命の延長は、Indy遺伝子発現を変調させることを含む。Indy遺伝子発現を変調させる物質で細胞または対象を処置してもよい。そのような物質は、Indy遺伝子に実質的に相補的である核酸分子であってよい。そのような試みとして、アンチセンス、リボザイム、三重螺旋、および二本鎖干渉RNAのようなオリゴヌクレオチド−ベースの治療法が挙げられる。
【0121】
変異ターゲット遺伝子の活性を低下させまたは阻害するようにオリゴヌクレオチドを設計することができる。そのような分子を作成および使用する技術は当業者に周知である。アンチセンスRNAおよびDNA分子は、ターゲットmRNAにハイブリダイズしさらにタンパク質翻訳を妨げることによって、mRNAの翻訳を直接的に遮断するように作用する。アンチセンスDNAに関して、例えば関心ターゲット遺伝子ヌクレオチド配列の−10と+10領域の間のような翻訳開始部位由来のオリゴデオキシリボヌクレオチドが好ましい。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、好ましくは10から50ヌクレオチド長であり、より好ましくは15から30ヌクレオチド長である。アンチセンス化合物は、完全Indy mRNAまたはその断片に対応するアンチセンス分子である。
【0122】
リボザイムは、RNAの特異的切断を触媒できる酵素的RNA分子である。リボザイム作用の機序は、リボザイム分子の相補ターゲットRNAへの配列特異的ハイブリダイゼーション、およびそれに続く内ヌクレオチド結合分解性の切断(endonucleolytic cleavage)を含む。リボザイム分子の組成物は、ターゲット遺伝子mRNAに相補的である1以上の配列を含み、さらにmRNA切断を担う周知の触媒配列(例えば米国特許第5,093,246号に開示されている)を含む。ターゲット遺伝子タンパク質をコードするRNA配列のうち、ヌクレオチド結合分解性の切断を特異的かつ効率的に触媒する遺伝子操作ハンマーヘッド型モチーフリボザイム分子も本明細書の範囲内に含まれる。配列GUA、GUU、およびGUCを含むリボザイム切断部位に関して関心分子を走査することによって、任意の潜在的RNAターゲット内の特異的リボザイム切断部位を最初に同定する。それが同定されると、切断部位を含むターゲット遺伝子の領域に対応する15から20リボヌクレオチドの間の短いRNA配列を、例えば二次構造のような推定構造特性(そのオリゴヌクレオチド配列を不適切にするかもしれない)に関して評価するであろう。リボヌクレアーゼプロテクションアッセイを用いて、相補オリゴヌクレオチドとハイブリダイズしやすさを試験することによって、候補配列の適切さを評価してもよい。
【0123】
転写阻害のために三重螺旋形態で用いられる核酸分子は、一本鎖でありかつデオキシリボヌクレオチドから構成されなければならない。それらオリゴヌクレオチドの塩基組成は、通常二本鎖の一方の鎖に存在するプリンまたはピリミジンの相当な長さを必要とするフーグスティーン型塩基対規則によって三重螺旋形成を促進させるように設計される。ヌクレオチド配列は、得られた三重螺旋の3つの関連する鎖を越えてTATおよびCGC三塩基をもたらすピリミジンベースの配列であろう。ピリミジンに富む分子は、平行な配向で二本鎖の内の一本の鎖のプリンに富む領域に相補的な塩基を提供する。さらには、例えば、ある長さのG残基を含むような、プリンに富む核酸分子を選択してもよい。それら分子は、GC塩基対に富むDNA二重鎖を有する三重螺旋を形成し、その際、大部分のプリン残基がターゲット二本鎖の内の一本の鎖に位置し、三重体中の3つの鎖を越えてGGC三塩基がもたらされる。
【0124】
あるいは、三重螺旋形成を標的とする潜在的配列は、「スイッチバック(switchback)」核酸分子を作ることによって増やすことができる。最初に二本鎖の内の一方の鎖と塩基対を形成し、その後もう一方の鎖と塩基対を形成し、二本鎖のうちの一方の鎖に存在すべき相当な長さのプリンまたはピリミジンの必要性を排除するように、交互に5’−3’、3’−5’態様でスイッチバック分子を合成する。
【0125】
二本鎖干渉RNA分子も有用である:例えば、Fire et al., Nature 391: 860-11, 1988を参照。そのような分子は、ターゲット遺伝子の発現を妨害する。例えば、二本鎖RNA分子をターゲット細胞または生物に投与して、ターゲット遺伝子の発現およびそれによって遺伝子産物の活性を阻害することができる。そのような二本鎖RNA分子は、何れかの鎖単独よりも、遺伝子発現の阻害においてより効果的であろう。
【0126】
この中に記載のアンチセンス、リボザイム、三重螺旋および/または二本鎖干渉RNA分子は、正常および変異ターゲット遺伝子対立遺伝子によって産生されたmRNAの転写(三重螺旋)および/または翻訳(アンチセンス、リボザイム、二本鎖干渉RNA)を低下または阻害することができる。実質的に正常レベルのターゲット遺伝子活性を維持するのが望ましい場合には、アンチセンス、リボザイム、または三重螺旋処置の何れが利用されるかに影響を受けやすい配列を含まない遺伝子療法によって、正常な活性を表すターゲット遺伝子ポリペプチドをコードおよび発現する核酸分子を細胞に導入してもよい。あるいは、不可欠なレベルの細胞または組織ターゲット遺伝子活性を維持するために、正常ターゲット遺伝子タンパク質を細胞または組織に共投与するのが好ましいであろう。
【0127】
DNAおよびRNA分子の合成に関して当業界で公知の任意の方法によって、アンチセンスRNAおよびDNA、リボザイム、および三重螺旋分子を調製することができる。それら方法として、例えば固相ホスホアミダイト化学合成のようなオリゴデオキシリボヌクレオチドおよびオリゴリボヌクレオチドを化学的に合成する技術が挙げられる。あるいは、アンチセンスRNA分子をコードするDNA配列のin vitroおよびin vivo転写によって、RNA分子を作成してもよい。例えばT7またはSP6ポリメラーゼプロモーターのような適切なRNAポリメラーゼプロモーターを包含する広範囲のベクター中に、そのようなDNA配列を組込ませることができる。あるいは、用いられるプロモーターに依存して構成性または誘導性にアンチセンスRNAを合成するアンチセンスcDNA構築体を、細胞株に安定に導入してもよい。細胞内安定性および半減期を高める手段として、DNA分子に対して様々な周知の修飾を導入してもよい。可能な修飾として、限定はされないが、その分子の5’および/または3’末端のリボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドのフランキング配列の付加、あるいはオリゴデオキシリボヌクレオチド骨格内におけるホスホジエステラーゼ結合ではなくホスホロチオエートまたは2’O−メチルの使用が挙げられる。
【0128】
細胞を候補化合物と接触させ、細胞内でのIndy mRNAまたはタンパク質の発現を特定する方法において、Indy発現の変調を同定する。候補化合物の存在下でのIndy mRNAまたはタンパク質の発現レベルを、候補化合物の不在下でのmRNAまたはタンパク質の発現レベルと比較する。次に、その比較に基づいて、Indy発現のモジュレーターとして、候補化合物を同定することができる。例えば、Indy mRNAまたはタンパク質の発現が、候補化合物の不在下よりも存在下において高い場合には、その候補化合物はIndy mRNAまたはタンパク質発現の促進物質(stimulater)として同定される。あるいは、Indy mRNAまたはタンパク質の発現が、候補化合物の不在下よりも存在下において低い場合には、その候補化合物はIndy mRNAまたはタンパク質発現の阻害剤として同定される。
【0129】
例えばキメラウイルスまたはコロイド分散系のような組換え発現ベクターを用いて、あるいは注射によって、アンチセンス、三重螺旋物質、リボザイム、二本鎖干渉RNA等の輸送を達成することができる。有用なウイルスベクターとして、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、および/または例えばレトロウイルスのようなRNAウイルスが挙げられる。レトロウイルスは、例えばモロニーマウス白血病ウイルスまたはラウス肉腫ウイルスのような、マウスまたは鳥類のレトロウイルスの派生体であってよい。遺伝子導入細胞を同定および作成できるように、それらベクターの全てに選択マーカーの遺伝子を導入または組込ませてよい。アンチセンスオリゴヌクレオチドを包含するレトロウイルスベクターのターゲト特異的輸送を可能にするためにレトロウイルスゲノム中に挿入され得る特定ヌクレオチド配列を、当業者は特定することができる。
【0130】
別のポリヌクレオチドの輸送系は、コロイド分散系である。コロイド分散系として、高分子複合体、ナノカプセル、マイクロスフェア−、ビーズ、および油中水型エマルジョン、ミセル、混合ミセルおよびリポソーム等の脂質ベース系が挙げられる。好ましいコロイド輸送系は、in vivoまたはin vitro輸送媒体として有用な人工膜小胞であるリポソームである。リポソームの組成は、通常、ステロイド、特にコレステロールと配合したリン脂質の組合せである。
【0131】
Indy遺伝子が発現不足(underexpressed)になると、特に代謝異常または他の異常を生じさせるであろう。あるいは、Indy遺伝子産物の活性が低下すると、病徴の発生につながるであろう。そのような場合に細胞トランスポーターアゴニストを用いて、ヒトおよび動物の両方において、治療理由で栄養摂取を高めることができる。治療用途として、限定はされないが、未熟児、新生児、および老人の成長速度、体重増加、および生存率を高めること;短腸症候群の患者または腸の外科席切除を受けた患者における総栄養摂取を高めること;ならびに、拒食症および過食症のような摂食障害の患者、後天性免疫不全症候群または他の慢性免疫不全症候群の患者、ダウン症候群の個体、および火傷患者または他の重篤な外傷患者の栄養状態を改善すること;等が挙げられる。
【0132】
病徴が改善されるレベルまでIndy遺伝子活性レベルを高め得る方法は、例えば、存在するIndy遺伝子のレベルを高めることによってまたは存在する遺伝子産物のレベルを高めることによって、遺伝子活性のレベルを高めることも含む。
【0133】
例えば、代謝不均衡症状を改善するのに十分なレベルで、そのような症状を示す患者にターゲット遺伝子タンパク質を投与することができる。当業者は、有効で毒性のない用量の正常ターゲット遺伝子タンパク質の濃度をどのように特定するかを容易に理解するであろう。さらには、病徴を示す患者に、その病徴が改善されるようなターゲット遺伝子タンパク質レベルをもたらすのに十分な濃度で、ターゲット遺伝子タンパク質をコードするRNA配列を直接投与してもよい。例えば、リポソーム投与のような、化合物の細胞内投与を達成するのに有効な方法によって、投与を行うことができる。例えば、上述したような組換え技術によってRNA分子を作成することができる。
【0134】
さらには、遺伝子補充療法によって患者を治療してもよい。細胞にDNAを導入する例えばリポソームのような他の粒子に加えて、限定はされないが、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、およびレトロウイルスベクター等のベクターを用いて、ターゲット遺伝子機能を有する正常ターゲット遺伝子タンパク質の産生をもたらす正常ターゲット遺伝子またはその遺伝子の部分1以上のコピーを、細胞に挿入することができる。さらには、ヒト細胞に、正常ターゲト遺伝子配列を導入するために、上述されたような技術を用いてもよい。
【0135】
次に、正常ターゲット遺伝子を発現させる遺伝子配列を包含する細胞、好ましくは自己細胞を、代謝病症の改善をもたらすことができる部位で、患者に導入または再導入することができる。そのような細胞補充技術は、例えば、ターゲット遺伝子産物が分泌性の細胞外遺伝子産物である場合に好ましいであろう。
【0136】
ターゲット遺伝子タンパク質が細胞外タンパク質または膜貫通型タンパク質であるような場合、ペプチド投与に適している以下に記載の任意の投与技術を用いて、阻害ターゲット遺伝子抗体をその作用部位に効率的に投与することができる。
【0137】
ターゲット遺伝子の発現、合成および/または活性を阻害する同定化合物を治療的有効量で患者に投与して、肥満、代謝異常、または老化現象を治療または改善することができる。治療的有効量とは、肥満、代謝異常、または老化現象の改善をもたらすのに十分な化合物の量を称する。
【0138】
そのような化合物の毒性と治療効果は、例えばLD50(集団の50%が死亡する用量)およびED50(集団の50%において治療的効果を示す用量)のような、培養細胞または実験動物における標準的な製薬手段によって容易に特定することができる。毒性である用量と治療効果を示す用量の比が治療指数であり、LD50/ED50比として表すことができる。大きな治療指数を示す化合物が好ましい。毒性の副作用を示す化合物を用いてもよいが、非感染細胞への潜在的傷害を最小にし、それによって副作用を減らすために、罹患組織部位にそのような化合物を標的化するような輸送系を設計するように配慮すべきである。ヒトで用いる用量範囲を特定するために、細胞培養測定法および動物実験から得られたデータを用いることができる。そのような化合物の用量は、おそらく、ほとんどまたは全く毒性の無い、ED50を含む循環濃度の範囲内であろう。その用量は、用いられる剤形および利用される投与経路に依存して、上記範囲内で変動して差し支えない。本発明の方法で用いられる任意化合物に関して、治療的有効量は、最初は細胞培養測定法から推定することができる。細胞培養で特定したIC50(すなわち症状の最大阻害の半分を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度を達成するように、動物モデルにおいて用量を特定することができる。そのような情報を用いて、ヒトにおいて有用な用量をさらに正確に特定することができる。例えば高性能液体クロマトグラフィーによって、血漿レベルを測定することができる。
【0139】
1以上の生理的許容担体または賦形剤を用いて、従来の方法で薬剤組成物を作成することができる。従って、化合物、ならびにそれらの生理的に許容される塩および溶媒和物を、吸入(口または鼻の何れかを介して)、経口、口腔内、非経口、または直腸投与によって投与するために製剤化することができる。
【0140】
経口投与に関して、薬剤組成物は、例えば結合剤(例えば予めゼラチン状にしたトウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例えば、ラクトース、微結晶性セルロースまたはリン酸水素カルシウム);潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ);崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプンまたはグリコール酸デンプンナトリウム);あるいは湿潤剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム)のような、薬剤的に許容される賦形剤を用いて、従来手段によって調製された例えば錠剤またはカプセル等の形態にして差し支えない。当業界で周知の方法によって錠剤をコーティングしてもよい。経口投与用の液体製剤は、例えば、溶液、シロップ、または懸濁液の形態であってよく、あるいは使用前に水または他の適切な媒体で構成するための乾燥製品として存在してもよい。そのような液体製剤は、例えば懸濁化剤(例えばレシチンまたはアカシア);非水性媒体(例えばアーモンドオイル、油性エステル、エチルアルコール、または分留植物油);および防腐剤(例えばメチルまたはプロピル−p−ヒドロキシベンゾエートあるいはソルビン酸)のような薬剤的に許容される添加剤を用いて、従来手段によって調製することができる。そのような製剤は、適切な場合には、緩衝塩、香味料、着色剤、および甘味剤を含んでいてもよい。
【0141】
経口投与用製剤は、活性化合物の制御放出をもたらすように適切に製剤化することができる。例えば、口腔内投与に関して、組成物は、従来の方法で調製された錠剤またはトローチ剤の形態であってよい。吸入投与に関して、本発明に基づいて使用するための化合物は、通常、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の適切なガスのような適切な高圧ガスを用いて、加圧パックまたはネブライザーからエアゾールスプレイの形態で輸送される。加圧エアゾールの場合、用量単位は、定量を輸送するようにバルブを調製することによって特定することができる。化合物と例えばラクトースまたはデンプンのような適切な粉末基剤との粉末混合物を含む、吸入器において使用するための例えばゼラチン等のカプセルおよびカートリッジを作成してもよい。例えば、ボーラス注射または持続注入のような注射による非経口投与用に化合物を製剤化してもよい。注射用製剤は、防腐剤を添加された例えばアンプルまたは多用量容器中に、単位剤形で存在していてもよい。組成物は、油性または水性媒体中の懸濁液、溶液、またはエマルジョンのような形態であってよく、例えば懸濁化剤、安定化剤および/または分散剤のような成形剤(formulatory agent)を含有していてもよい。あるいは、活性成分は、例えば滅菌した発熱物質を含まない水のような適切な媒体で、使用前に構成するための粉末形態であってもよい。また、例えばカカオバターまたは他のグリセリンのような従来の座剤の基剤を含む坐剤または保持浣腸剤のような直腸組成物に化合物を製剤化してもよい。前述した製剤に加えて、デポー製剤として化合物を製剤化してもよい。そのような長期間作用する製剤を移植(例えば皮下または筋肉内)あるいは筋肉内注射によって投与することができる。従って、例えば、適切な高分子材料もしくは疎水性材料(例えば許容される油中のエマルジョン)、またはイオン交換樹脂を用いて、あるいは、例えば少し溶けにくい塩のような少し溶けにくい誘導体として、化合物を製剤化することができる。
【0142】
Indy遺伝子の発見は、体重増加および寿命延長の制御のための治療ターゲットを提供する。細胞トランスポーターに対するINDYの類似性およびINDYの局在性は、INDYがカロリー制限を介して働くことを示唆する。後生動物における寿命延長に関連するこれまでの他の遺伝子と異なり、Indyは中間代謝に直接関連するように思われ、従って、新規なクラスの長寿遺伝子を意味する。
【0143】
Indyおよびそのホモログが寿命延長およびカロリー制限の生物学的事象を調節することが現在仮定されているが、本明細書の全ての実施形態は上記のようにIndy遺伝子の突然変異からの任意の遺伝子産物および/または遺伝子産物の欠損に同様に当てはまる。
【0144】
本明細書において挙げられている全ての引例は、参照によってその全てが組込まれる。以下の非限定的実施例によって本発明を説明する。
【実施例1】
【0145】
Indy突然変異体の同定
寿命延長を有するショウジョウバエ系統を同定するため、エンハンサー−トラップ系統について試験した。エンハンサー−トラップショウジョウバエ系統は、P因子が挿入されている系統である。ショウジョウバエP因子は、広範囲の遺伝子をショウジョウバエ生殖細胞系に導入するためのベクターを提供するトランスポゾンである。トランスポゾンは、異なる遺伝子座間でのそれ自身の転位を促進させるDNA要素である。野生型ショウジョウバエP因子は、2.9kb長であり、トランスポザーゼの遺伝子を含んでいてよく、転位を促進させる遺伝子である。エンハンサー−トラップP因子は、それ自身を動かすことはできないが、別の供給源からのトランスポザーゼの存在を必要とする。エンハンサー−トラップP因子は、約10kbの修飾P因子であり、P因子の長い末端様反復(long terminal like repeats)のようなDNA配列、細菌lazZの遺伝子、ハエに色素性眼をもたらすホワイトミニ遺伝子(white minigene)、プラスミドレスキューのための領域、複製起点、およびアンピシリン耐性を包含する。P因子は、それ自体で転写を誘導するには不十分であるが、エンハンサーを含有するショウジョウバエゲノムの領域中に挿入されると転写され得る、最小プロモーター領域を包含する。P因子はlacZ遺伝子を包含するため、標準的β−ガラクトシダーゼ測定法を用いて、レポーター遺伝子の活性を測定することができる。従って、P因子は若干ランダムにショウジョウバエ生殖細胞件中に挿入され、遺伝子発現を妨害し、本質的に特定発現型に関して測定できる突然変異体になる。用いられるショウジョウバエエンハンサー系統は、Boynton and Tully, Genetics 131: 655-72, 1992に記載されている。
【0146】
長寿ショウジョウバエ突然変異体の探索において、2つのハエ系統206および302が平均寿命のほぼ倍増(37日から70日)、および最大寿命における50%増加を示した。対照の平均25℃寿命は37日であり、一方Indy206、Indy302、およびIndy159の平均寿命は、それぞれ71、69、および69日であった。Indy206、Indy302、Indy159は、それぞれ92%、87%、および87%平均寿命が延びた。それらIndy突然変異体の1%最大寿命の延長は45%より大きかった。18℃で、Indy突然変異によってもたらされた平均寿命の延長は100%に近いが、1%最大寿命の延長は50%近くである。ハエは、加湿温度調製環境チャンバー中において25℃で保持され、新鮮な食物バイアルに移され、2から3日ごとに生存について採点した。各生存曲線は、300匹を越えるオスのハエからのデータを示す。総数で5430匹のオスおよび雌のIndyヘテロ接合体のハエを試験した。
【0147】
寿命の延長は、1コピーのみのエンハンサー−トラップ染色体および1コピーの正常Indy遺伝子を有するハエである、ヘテロ接合体においてのみ生じた。染色体in situハイブリダイゼーションは、206および302系統の両方において、P因子が同じ細胞遺伝子位置に挿入されていることを示した。206および302細胞株における挿入部位に隣接するゲノムDNAがプラスミドレスキューによって得られ、かつ配列決定された。206および302エンハンサートラップ細胞株における挿入部位は、お互いから5753塩基対の位置であり、Indyと称される同じ遺伝子中にあった(脈が有る)。Indy cDNAは配列番号1の配列である。
【実施例2】
【0148】
Indy遺伝子の同定
Indyの染色体位置に関する情報を用いて、他の研究室由来のIndy遺伝子における付加的突然変異を同定した。Indyと同じ細胞遺伝子位置にP因子挿入を有するいくつかの候補系統を調べた。206系統の挿入部位から734塩基対の位置にP因子が挿入された3番目のエンハンサートラップ系統である159ハエ系統が同定された。ヘテロ接合体として、その159ハエ系統は、他のIndy挿入類似の寿命の延長を示した(図4)。Indy遺伝子座の部位特異的突然変異誘発によって、さらに2つのIndyへのP因子挿入が得られた。10,000の突然変異誘発された第3染色体のポリメラーゼ連鎖反応ベースのスクリーニングにおいて、2つの新たなIndy遺伝子座への挿入が同定された。92または265対立遺伝子の何れかに関してヘテロ接合体性であるハエは、元の所定の突然変異体に類似の寿命の延長を示した。Indy cDNAの受託番号はAF217399であり、フライベース(flybase)番号はCG3979である。
【0149】
5つすべてのP因子対立遺伝子を有するIndy遺伝子座のゲノム構成を図3に示す。Indy転写単位の構成を、「atg」開始コドンおよび「tag」終止コドンを示唆して示す。黒塗りの囲みは、Indy遺伝子の転写開始部位の5’に見られる保存AntCおよびFas1ヌクレオチド配列を表し、それは遺伝子発現の調節に関連すると考えられる。AntCは、Antennapedia遺伝子の5’領域に高レベルの相同性を有する。Fas1は、Fasiculin1遺伝子の5’領域に高レベルの配列相同性を有する。灰色の長方形は、Indy遺伝子の最初のイントロンに認められる保存hoppel転位因子の配列である。Hoppelは、ショウジョウバエにおける別のタイプの転位因子であり、この転位因子は、野生型のハエにおけるIndy遺伝子の第1イントロンにおいて認められる。初代のエンハンサートラップ系統をPlacW302、PlacW206、およびPlacW159として示す。挿入の配向は、黒の矢によって5’から3’を指示されている。初代系統のうちの2つの系統(206および159)は、コード領域の直ぐ上流にある第1イントロンにHoppel因子の挿入を有する。三番目の初代Indyストック(302)は、転写開始部位の直ぐ上流にその挿入を有する。部位特異的突然変異誘発によって作られたIndy突然変異体は、Birmingham−2 P因子挿入体PBm92およびPBm265として指示される。
【0150】
IndyにおけるP因子挿入が寿命延長をもたらすことを確認するため、206および302系統からP因子を再移動させかつ削除した。配列分析によって正確な削除を担持することが示された4つの独立系統のハエは、正常な寿命に戻った(図5)。削除系統と同じ遺伝子背景を経験した同時に単離された非削除対照系統は長寿のままであった。
【実施例3】
【0151】
Indy突然変異が寿命にプラス効果を有することの確認
Indy突然変異体の寿命の延長が、野生型Canton−Sストックに蓄積した特徴付けされていない有害な突然変異のレスキューによるものである可能性を排除するために、Indy突然変異を、Canton−Sストックと識別可能ないくつかの異なる遺伝的背景に交配させた。試験したストックは、何れも25から30年以上前に他の研究室のストックから単離された、多動(Hyperkinetic)ストック、振動(Shaker)ストック、および急死(drop dead)ストックを含む。長寿命のLuckinbill実験室選択系統も試験した。多動ストック、振動ストック、および急死ストックに関して、平均寿命は40−80%延びた(図6)。Luckinbill系統に関して寿命はさらに15%延びた(図7)。それらデータは、Indy突然変異が寿命を延ばす機序が、突然変異のプラス効果によるものであり、単に有害な突然変異をレスキューすることによるものではないことを示唆する。実験室選択長寿系統に関して寿命の延長が少なかったことは、Indyが寿命を延ばす働きをする機序が、実験室選択によって既に部分的に最適化された生理的系を意味するというさらなる証拠を提供する。
【0152】
老化速度の変化に関わらず、寿命を延ばすことができる。増殖温度の低下およびカロリー制限のような処理は、老化速度を遅くする。ほとんどの特徴づけされた長寿のショウジョウバエ変異体において、老化過程は老化速度の変化無しに単に遅延する。しかしながら、Indyヘテロ接合体性変異体は、老化速度の有意な低下を示す(図8)。従って、Indyは、単に老化過程の開始の遅延ではなく、老化速度の変化を示す最初の長寿ショウジョウバエ変異体である。
【実施例4】
【0153】
Indy遺伝子産物の特徴づけ
Indy遺伝子のゲノム配列およびcDNA配列は、ヒト、マウス、およびラットの腎臓のジカルボン酸ナトリウムコトランスポーターに対して34%同一性および50%類似性を有する572アミノ酸タンパク質(配列番号2)を予測させた(図9)。Indyポリペプチドの受託番号はAE003519である。哺乳類ジカルボン酸塩コトランスポーターは、例えばコハク酸塩、クエン酸塩、およびα−ケトグルタル酸塩のような、ジ−およびトリ−カルボン酸クレブス回路中間体の摂取および再摂取を担う膜タンパク質である。ジカルボン酸塩コトランスポーターの概略図を図10に示す。それらは、小腸、大腸、および胎盤の刷子縁細胞;肝臓の中心静脈近傍の細胞の基底外側膜;ならびに腎臓の近位尿細管および脳の上皮細胞等の広範囲の組織において認められる。ジカルボン酸塩コトランスポーターは、哺乳類の胎盤および脳においても認められる。
【実施例5】
【0154】
Indy遺伝子産物の局在化
P因子挿入は、Indy遺伝子メッセージの局在化を可能にするレポータータンパク質β−ガラクトシダーゼ(β−gal)をコードする。β−galの発現をX−gal染色によって可視化した。P因子は3つの系統においてお互いにほぼ6.5kb離れているが、Indyは、206、302、および159エンハンサートラップ系統において同一パターンの発現を有している。成体のハエでは、Indyは、脂肪体、中腸、および扁桃細胞において発現されている(図11)。それら臓器は、ショウジョウバエにおける中間代謝、吸収、および代謝貯蔵の主要部位であると考えられる。脂肪体は、脂肪、グリコーゲン、およびタンパク質の代謝および貯蔵に関連し、脊椎動物における肝臓と最もよく比較される。Indyは、平均棍;食道および後腸の前噴門(procardia)および限定領域等の消化管の部分;ならびに脚の基底部においても低レベルで発現されている。それらは、グリコーゲンの貯蔵部位として同定されている領域である。最後に、Indyは触覚の第3分節の細胞サブセットにおいて発現された。
【0155】
抗INDY抗体を用いる染色によって、INDYの局在化も実施した。2つのINDYペプチドを用いて、ウサギにおいて抗体を作成した:(181−197)EPQ YQI VGG NKK NNE DEおよび(281−298)RPK SKE AQE VQR GRE GAD VA
免疫原性ペプチドを合成し、2匹のニュージーランドホワイトウサギに注射した。続いて、我々の2週間プロトコルに従って、追加免疫および採血を行う。我々は、5mgのペプチドを得て、予備採血し、2匹のウサギの各々からほぼ80mlの粗血清を得て、ELISA滴定データを取得した。西洋わさびペロキシダーゼ(HRP)に結合した抗ウサギ第2抗体を用いてINDY染色を可視化し、さらにDABと反応させてINDY染色を茶色の沈降物として可視化した(図12)。抗体の使用は、INDYタンパク質の位置が主にそれが発現されている細胞の原形質膜であることを示した。より詳細には、中腸において、INDYは上皮組織の基底外側部分、およびおそらく尖端領域で顕著に発現されている。
【実施例6】
【0156】
Indyの生物学的機能
INDYがトランスポーターであることを確認するため、Indy mRNAをアフリカツメガエル卵母細胞に注入した。アフリカツメガエル由来のV期およびVI期卵母細胞を解剖およびデフォリキュレート(defoliculate)した。単離1日後に、25−50ngのIndy mRNAを卵母細胞に注入した。6から7日後、栄養物取込みを測定した。50mg/ml硫酸ゲンタマイシン、2.5mMピルビン酸ナトリウム、および5%熱非働化馬血清を含有するバルト溶液(Barth's solution)中において18℃で卵母細胞を維持した(Coady et al., Arch. Biochem. Biophys. 283: 130-134, 1990; Pajor and Wright, J. Biol. Chem 26: 3557-3560, 1992)。
【0157】
Pajor, J. Biol. Chem. 270: 5779-5785, 1995に記載のように、輸送測定を実施した。卵母細胞の群を、最初にコリンバッファーで洗浄して血清を除去した。バッファーAに含まれる0.4mlの[14C]コハク酸塩または[14C]クエン酸塩を添加して輸送を開始させた。バッファーAは、100mM NaCl、2mM KCl、1mM MgCl2、および10mM HEPES−Tris(pH7.5)を含む。バッファーBは、NaClを100mM塩化コリンで置き換えたことを除いてバッファーAと同じである。他のカチオン置換実験では、ナトリウムを等モル量の他のカチオン(その塩化物塩として)で置き換えた。輸送時間の完了時に、4mlの氷冷バッファーBで4回洗浄することによって栄養物取込みを停止させた。卵母細胞によって取り込まれた[14C]の量を計測するため、各卵母細胞を0.5mlの10%SDSに溶解させ、シンチレーションカウンターで[14C]を測定した。
【0158】
Indy mRNAをツメガエル卵母細胞に注入すると、対照のH2Oを注入した卵母細胞と比較して100倍以上の[14C]コハク酸塩の取込みの増加が観察された(図13)。このクエン酸塩輸送の増加は、ラット腎臓トランスポーターのようなジカルボン酸ナトリウムコトランスポーターに関して観察されたものに匹敵する。
【0159】
ジカルボン酸コトランスポーターの研究は、ジ−およびトリ−カルボン酸に対する広範囲の特異性およびモノカルボン酸の排除を示唆した。Indyの輸送特異性は、[14C]コハク酸塩の取込みを阻害する様々な化合物の能力として特定された。試験阻害剤を、約100倍過剰な阻害剤の量である1mMの濃度で阻害剤を添加した。図14に示すように、コハク酸塩、クエン酸塩、α−ケトグルタル酸塩、およびフマル酸塩は、ほぼ100%コハク酸塩の取込みを阻害する。ピルビン酸塩、グルタミン酸塩、乳酸塩、または硫酸塩によるコハク酸塩輸送の阻害はほとんど無かった。
【0160】
研究されたジカルボン酸ナトリウムコトランスポーターの1つの特徴は、輸送のカチオン依存性である。ウサギ腎臓のジカルボン酸ナトリウムコトランスポーターにおけるコハク酸塩輸送は、カチオン、好ましくはナトリウムに依存する(Pajor et al., J. Biol. Chem. 273: 18923-18929, 1998)。リチウムはナトリウムの不在下で輸送を支持することができるが、ナトリウムの存在下では阻害剤となる。リチウムが、コトランスポーターにおける3つの仮定されたナトリウム結合部位のうちの1つに対して高い親和性を有することが推測される。リチウムとは対照的に、コリンはコハク酸塩輸送の強力な阻害剤であり、ウサギの腎臓のジカルボン酸コトランスポーターがカチオン共輸送を必要とする真のトランスポーターであることを示唆する。従って、Indyのカチオン特異性について調べた。ジカルボン酸塩コトランスポーターとは対照的に、Indyは、ナトリウム、リチウム、およびコリンの存在下で類似の輸送を示す(図15)。この結果は、Indyがコトランスポーターではなくトランスポーターであることを強く示唆する。従って、Indyは、新しいクラスのカチオン非依存的ジカルボン酸塩トランスポーターを意味するであろう。
【0161】
コハク酸塩輸送のpH依存性も特定した。ジカルボン酸ナトリウムコトランスポーターと同様に、INDYによるコハク酸塩輸送は、pHに対するほんの僅かな依存性を示し、コトランスポーターとしてプロトンを用いているとは思われない(図16)。
【0162】
一定量の[14C]コハク酸塩および増加濃度のクエン酸塩をINDY発現卵母細胞に添加することによって、コハク酸塩およびクエン酸塩に対するINDYの相対的親和性を特定した。図17に示すように、10mMでクエン酸塩は完全にコハク酸塩取込みを阻害し、1mMでクエン酸塩は約90%コハク酸塩取込みを阻害し、さらに0.1Mでクエン酸塩は約50%コハク酸塩取込みを阻害する。
【0163】
INDYをさらに特徴づけするため、輸送の阻害剤をIndy卵母細胞系に添加した。P−アミノ馬尿酸(PAH)は輸送機序を研究するのに用いられる参照化合物である。4,4'−ジイソチオシアノスチルベン−2,2'−ジスルホン酸(DIDS)はチャンネルの特異的阻害剤である。フロレチンは、プロテインキナーゼCを遮断することが分かっているチャンネル阻害剤である。PAHとフロレチンの両方がコハク酸塩輸送に全く影響を有しないが、DIDSはコハク酸輸送を80%阻害する(図18)。フロレチンは、ラットジカルボン酸ナトリウムコトランスポーターにおけるナトリウム依存的輸送での流入および流出の両方を阻害することが分かっているため、フロレチンによる阻害の欠損は興味深い(Chen et al., J. Biol. Chem. 273: 20972-20981, 1998)。フロレチンはINDYを阻害しないため、このことは、INDYが新しいクラスのジカルボン酸塩トランスポーターを意味することをさらに示唆する。
【実施例7】
【0164】
繁殖力および身体活動に対するIndyの効果
繁殖力の減退または身体活動の低下は、ハエにおける寿命の延長につながる。Indy長寿へテロ接合体性オスおよびメスを対照と比較して、繁殖力および生殖能力において正常またはより優れていることが分かった。卵産生によって測定したメスの繁殖力を図19に示す。飛行、求愛、摂食行動、および負の走地性の定性的観察は、若年期の間には、Indy長寿のオスおよびメスと正常寿命の対照の間で有意な差を示さなかった。違いは晩年に生じ、行動および運動機能の身体測定がIndy長寿動物では高レベルに維持されたが、正常寿命の対照では維持されなかった。例えば、ハエにおける老化の1つの生理的主要管理点は、メスの不妊の始まりである。Indyヘテロ接合体性長寿メスは、対照のハエよりも平均で40%長く生存可能な成体子孫を産生し続ける(23.2日対16.5日)。これは、繁殖期間の真の延長であり、実験室選択長寿系統において認められるような若年期の間の繁殖力の代償性遅延には関係ない。C.エレガンス時計変異体の場合のように、Indy長寿変異動物における発育事象の速度またはタイミングの変化はなかった。25℃での卵から成体までの期間は、正常対照と同じであった(9から10日)。代謝速度に関する研究も、Indy長寿変異体が対照と同じ代謝速度を有することを示し、Indy突然変異体における寿命の延長が、代謝速度の減速によるものではないことを示唆する。
【実施例8】
【0165】
Indyのカロリー制限との関係
Indyがカロリー制限機序を介して作用することが提案されている。正常な高カロリー給餌条件下で、Indyヘテロ接合体性メスの卵産生は、正常なメスに匹敵する(図19)。しかしながら、低カロリー条件下では、Indyヘテロ接合体性メスの卵産生は、正常なメスよりも有意に少ない(図20)。この結果は、Indyメスがすでにカロリー制限されており、食餌によってさらにカロリーを制限することによって、繁殖力に対する有害な影響が観察されることを強く示唆する。
【0166】
Indy長寿効果とカロリー制限との間の関係に関するさらなる証拠が、Indy突然変異ハエに対するカロリー制限の影響において認められた。正常なハエにおいて、カロリー制限は寿命を延ばす(図21)。Indy/Indy突然変異ホモ接合体性ハエでは、カロリー制限は寿命を短縮させる(図22)。この結果は、Indyホモ接合体性突然変異ハエにおけるさらなるカロリー制限(例えば食餌を介する)が、寿命を短縮させることを示唆する。従って、Indy突然変異体はハエをカロリー制限することによって作用し、ヘテロ接合体(Indy/正常)ハエでは、そのレベルのカロリー制限が寿命の延長をもたらすと考えられる。
【実施例9】
【0167】
酵母におけるIndyの発現
標準の分子生物学的技術を用いて、Indy cDNAをpRS426−Galに連結させた。次に、標準的プロトコルを用いて、Indy−pRS426−Galプラスミドで酵母細胞を形質転換させた。
【0168】
好ましい実施形態が示されかつ記載されているが、本発明の精神および範囲を逸脱することなくそれらに様々な修飾および置換を行うことができる。従って、本発明は、例示として記載されており、限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0169】
【図1】図1は、ショウジョウバエ Indyのヌクレオチド配列(配列番号1)を示す。
【図2】図2は、INDYポリペプチドの推定アミノ酸配列(配列番号2)を示す。
【図3】図3は、全体で5つのP因子対立遺伝子の挿入部位を有するIndy遺伝子座のゲノム構成を示す。
【図4】図4は、Indy突然変異体における寿命延長を示す。
【図5】図5は、P因子除去に基づく寿命延長の復帰突然変異を示す。
【図6】図6は、対照の多動系統(hyperkinetic line)(黒丸)、およびIndy206突然変異系統と交配させた多動系統(白四角)を示す。
【図7】図7は、luckinbill Il6系統(三角)、対照として1085系統と交配させたLuckinbill Il6系統(菱形)、対照としてwg系統と交配させたluckinbill Il6系統(四角)、およびIndy系統206と交配させたluckinbill Il6(丸)に関する生存曲線を示す。
【図8】図8は、正常なハエ(四角)およびIndyヘテロ接合体性のハエ(三角および丸)に関して、老化の速度を示す。
【図9】図9は、相同タンパク質とINDYとの整列を示す。
【図10】図10は、ジカルボン酸ナトリウムコトランスポーターの構造の概略図を示す。
【図11】図11は、成体のハエにおけるIndyの発現を示す。
【図12】図12は、抗INDY抗体を用いたINDYの亜細胞局在化を示す。
【図13】図13は、Indy mRNAまたはH2O対照を注入されたツメガエル卵母細胞による、NaClの存在下における[14C]コハク酸塩の取込みを示す。
【図14】図14は、コハク酸塩、クエン酸塩、α−ケトグルタル酸塩、フマル酸塩、ピルビン酸塩、グルタミン酸塩、乳酸塩、または硫酸塩の存在下における、Indy mRNAを発現するツメガエル卵母細胞におけるコハク酸の取込みの阻害を示す。
【図15】図15は、Indy mRNAを発現するツメガエル卵母細胞におけるコハク酸の取込みのカチオン依存性を示す。
【図16】図16は、NaClまたはグルコン酸ナトリウム(NaGluco)の存在下での、H2OまたはIndy mRNAを注入されたツメガエル卵母細胞における[14C]コハク酸塩の取込みのpH−非依存性を示す。
【図17】図17は、H2OまたはIndy mRNAを注入されたツメガエル卵母細胞における[14C]コハク酸塩の取込みのクエン酸塩阻害を示す。
【図18】図18は、H2OまたはIndy mRNAを注入されたツメガエル卵母細胞における[14C]コハク酸塩の取込みに対するイオンチャンネル阻害剤の影響を示す。
【図19】図19は、高カロリー条件下における、正常メス(黒四角)と比較したIndyヘテロ接合体性メス(白四角)の産卵を示す。
【図20】図20は、低カロリー条件下における、正常メス(黒四角)と比較したIndyヘテロ接合体性メス(白四角)の産卵を示す。
【図21】図21は、標準カロリー食(丸)または低カロリー食(四角)を与えられた正常なハエにおける生存曲線を示す。
【図22】図22は、標準カロリー食(丸)または低カロリー食(四角)を与えられたIndy/Indyヘテロ接合体性のハエにおける生存曲線を示す。
Claims (50)
- 配列番号1の配列;配列番号1の配列においてTがUでもあり得る配列;および配列番号1の配列に相補的な核酸配列;よりなる群から選択される単離ポリヌクレオチド。
- ポリデオキシリボヌクレオチドまたはポリリボヌクレオチドであることを特徴とする請求項1記載のポリヌクレオチド。
- ショウジョウバエ由来であることを特徴とする請求項1記載のポリヌクレオチド。
- Indy mRNAであることを特徴とする請求項1記載のポリヌクレオチド。
- 請求項4記載のmRNAを含む細胞。
- ツメガエル卵母細胞であることを特徴とする請求項5記載の細胞。
- 配列番号1の配列;配列番号1の配列においてTがUでもあり得る配列;および配列番号1の配列に相補的な核酸配列;よりなる群から選択されるポリヌクレオチドを含み、かつ該ポリヌクレオチドが該ポリヌクレオチドの転写を誘導する制御配列に作動可能に結合していることを特徴とする発現ベクター。
- 細菌または酵母発現ベクターであることを特徴とする請求項7記載の発現ベクター。
- pRS426−Galを含むことを特徴とする請求項8記載の発現ベクター。
- 両生類または昆虫発現ベクターであることを特徴とする請求項7記載の発現ベクター。
- 哺乳類発現ベクターであることを特徴とする請求項7記載の発現ベクター。
- 請求項7記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
- 配列番号1の配列、配列番号1の配列においてTがUでもあり得る配列、および配列番号1の配列に相補的な核酸配列よりなる群から選択されるポリヌクレオチドを含み、かつ該ポリヌクレオチドが該ポリヌクレオチドの転写を誘導する制御配列に作動可能に結合している発現ベクターで、宿主細胞を形質転換させ;
前記ポリヌクレオチドを宿主細胞で発現させ;さらに
Indyポリペプチドを回収する;各工程を含むことを特徴とする、Indyポリペプチドを作成する方法。 - 配列番号2に示すアミノ酸配列;または配列番号2の配列の保存的アミノ酸置換を含む配列番号2の配列の変異配列であってカルボン酸塩の細胞トランスポーターとして機能する能力を維持する変異配列;をコードする単離ポリヌクレオチド。
- 配列番号2の配列に対して30%以上の全体の同一性、または45%以上の全体の類似性を有するポリペプチドをコードすることを特徴とする請求項14記載の単離ポリヌクレオチド。
- 前記ポリペプチドがカルボン酸塩のトランスポーターであることを特徴とする請求項15記載の単離ポリヌクレオチド。
- 前記カルボン酸塩が、2から8炭素原子および2以上のカルボン酸基を有することを特徴とする請求項14記載のポリヌクレオチド。
- 前記カルボン酸塩が、コハク酸塩、α−ケトグルタル酸塩、フマル酸塩、またはクエン酸塩のうちの1以上であることを特徴とする請求項17記載のポリヌクレオチド。
- 配列番号2の配列;または配列番号2の配列の保存的アミノ酸置換を含む配列番号2の配列の変異配列であってカルボン酸塩の細胞トランスポーターとして機能する能力を維持する変異配列;から成るポリペプチドに結合するポリクロナールまたはモノクロナール抗体。
- 配列番号2の配列の約15から約30連続アミノ酸を含むポリペプチドを動物に注射することによって作成されることを特徴とする請求項19記載の抗体。
- 前記ポリペプチドが、配列番号2の配列のアミノ酸181−197を含むことを特徴とする請求項20記載の抗体。
- 前記ポリペプチドが、配列番号2の配列のアミノ酸281−298を含むことを特徴とする請求項20記載の抗体。
- Indy遺伝子のDNAまたはRNAコピーを生成するのに有効な条件下で、配列番号1の配列の14以上の連続ヌクレオチドを含む1以上のDNAプローブと、ゲノムライブラリーとを接触させ;
Indy遺伝子のコピーを生成させ;さらに
前記コピーを単離する;各工程を含むことを特徴とする、Indy遺伝子を単離する方法。 - 前記Indy遺伝子が、カルボン酸塩の細胞トランスポーターとしてin vivoで活性を有するポリペプチドをコードすることを特徴とする請求項23記載の方法。
- 高ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、前記DNAプローブと前記ゲノムライブラリーとを接触させることを特徴とする請求項23記載の方法。
- 前記Indy遺伝子のコピーが、PCRによって生成されることを特徴とする請求項23記載の方法。
- 前記ゲノムライブラリーが、哺乳類ゲノムライブラリーであることを特徴とする請求項23記載の方法。
- 前記ライブラリーが、ヒトゲノムライブラリーであることを特徴とする請求項23記載の方法。
- 請求項23記載の方法によって単離されたIndy遺伝子。
- 試験物質とポリペプチドとを接触させ;さらに
前記試験物質の存在下または不在下で前記ポリペプチドによって輸送されたカルボン酸塩の量を検出する;各工程を含み、
試験物質の不在下での輸送と比較して試験物質の存在下で輸送が阻害される場合に、該試験物質が細胞トランスポーター阻害剤であることが示唆されることを特徴とする、配列番号2の配列に対して25%以上の全体の同一性または30%以上の全体の類似性を有するポリペプチドに対する試験物質の阻害活性を評価する方法 - 前記ポリペプチドが配列番号2の配列を含むことを特徴とする請求項30記載の方法。
- 前記ポリペプチドが、Indy mRNAを含むツメガエル卵母細胞において発現されていることを特徴とする請求項30記載の方法。
- カルボン酸塩の細胞トランスポーターを発現させる第2核酸分子の発現を阻害するのに有効な量の、該第2核酸分子の少なくとも部分に実質的に相補的である第1核酸分子と、細胞または抽出物とを接触させる工程を含むことを特徴とする、配列番号2の配列に対して25%以上の全体の同一性または30%以上の全体の類似性を有するポリペプチドの細胞または抽出物中での濃度を減らす方法。
- 前記ポリペプチドが配列番号2の配列を含むことを特徴とする請求項33記載の方法。
- 前記第1核酸分子が、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、三重螺旋形成分子、二本鎖干渉RNA、またはそれらの少なくとも1つを含む混合物であることを特徴とする請求項33記載の方法。
- 前記第1核酸分子が、薬剤的に許容される担体または希釈剤をさらに含むことを特徴とする請求項33記載の方法。
- カルボン酸塩の細胞トランスポーター活性を阻害するのに有効な量のカルボン酸塩の細胞トランスポーター活性のアンタゴニストを、生物に投与する工程を含むことを特徴とする、生物をカロリー制限する方法。
- 前記カルボン酸塩が、ジカルボン酸、トリカルボン酸、またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項37記載の方法。
- 前記カルボン酸塩が、コハク酸塩、α−ケトグルタル酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項37記載の方法。
- 前記トランスポーターが、カチオン依存性トランスポーターであることを特徴とする請求項37記載の方法。
- 前記アンタゴニストが、Indy遺伝子配列の少なくとも部分、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、三重螺旋形成分子、二本鎖干渉RNA、抗Indy抗体、またはそれらの少なくとも1つを含む混合物であることを特徴とする請求項37記載の方法。
- 配列番号2の配列を含む実質的に純水なポリペプチド。
- カルボン酸塩の細胞トランスポーター活性を阻害するのに有効な量のカルボン酸塩の細胞トランスポーター活性のアンタゴニストを、生物に投与する工程を含むことを特徴とする、生物において寿命を延ばす方法。
- 前記カルボン酸塩が、ジカルボン酸、トリカルボン酸、またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項43記載の方法。
- 前記カルボン酸塩が、コハク酸塩、α−ケトグルタル酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項44記載の方法。
- 前記トランスポーターが、カチオン依存性トランスポーターであることを特徴とする請求項45記載の方法。
- 前記アンタゴニストが、Indy遺伝子配列の少なくとも部分、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、三重螺旋形成分子、二本鎖干渉RNA、抗Indy抗体、またはそれらの少なくとも1つを含む混合物であることを特徴とする請求項43記載の方法。
- 配列番号1の配列またはその活性断片を含むベクターを、生物の体重を増加させるのに有効な量で生物に投与する工程を含むことを特徴とする、生物を処置する方法。
- 機能的mNADC−1タンパク質の発現を妨げるmNADC−1遺伝子における破壊を含むゲノムを有しており、カロリー制限、体重減少、または寿命延長の表現型を有することを特徴とするトランスジェニックマウス。
- 配列番号1の配列;配列番号1の配列においてTがUでもあり得る配列;および配列番号1の配列に相補的な核酸配列;よりなる群から選択されるポリヌクレオチドによってコードされる実質的に純水なポリペプチド。
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