JP5709693B2 - モータ制御装置 - Google Patents
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Description
また、ロータの反転および回転速度の変化が頻繁に起こる位置サーボ制御を行う場合、従来の方法ではロータの急変に対して安定した角度検出が困難であるという課題があった。そのため、ロータの回転位置を検出に推定できず、ブラシレスモータを効率よくスムーズに回転させることが難しかった。
図1に示すモータ制御装置1は、ブラシレスDCモータ(BLDCM)を駆動制御する装置である。このブラシレスモータ5は、U相、V相およびW相の巻線が巻回されたステータ6と、ステータ6に近接した位置にあって磁気的結合関係を保ち、回転自在に支持されたロータ7と、ロータ7の回転位置(磁極位置)を検知するホールIC8U,8V,8Wが設置されている。これらホールIC8U,8V,8Wは、ホール素子が組み込まれた集積回路(IC)から構成され、ロータ7と一体的に回転する磁極位置検出用マグネットの磁極を検出して、磁極の極性に対応した回転位置信号を出力する。なお、ホールIC8U,8V,8Wは機械角でπ/3rad、また、磁極数4のため電気角で2π/3radずつ離れて配置される。以後、角度は全て電気角、角速度は全て電気角速度、1回転は電気角で2πradに相当する角度を表す。
図2に示すように、制御部3は、パターン情報保持部11と、I/F2からホールIC8U,8V,8Wの回転位置信号が入力されるパターン変換部12と、ロータ7の断続角度を算出する断続角度算出部13と、ロータ7の回転方向を検出する回転方向検出部14と、サンプル時間あたりのロータ7の角速度を算出する角速度算出部15と、乗算部16と、角速度を補正する角速度積算制限部17と、断続角度と角速度から連続角度を算出する連続角度算出部18と、連続角度を補正するオフセット角度補正部19とから構成される。
なお、制御部3の各部は、所定のサンプル時間(例えば0.001sec)毎に1回ずつ動作する。
例えば、図4のサンプル時間T1では、回転位置信号UがH、回転位置信号VがL、回転位置信号WがHとなっているので、図3のパターン情報によればパターン番号は1となる。サンプル時間T2では、回転位置信号U,V,Wの組み合わせがHLLとなっているので、パターン番号2となる。このようにロータ7が連続して正方向に回転していれば、時間と共にパターン番号が1〜6の昇順に変化し、途中で反転して逆回転するとパターン番号も6〜1の降順に変化する。また、パターン番号は1〜6の整数しかとらず、6から増加する場合は1に変化しさらに増加を続ける場合は1→6を繰り返し循環する。一方、1から減少する場合は6に変化しさらに減少を続ける場合は6→1を繰り返し循環する。
そして、回転方向検出部14から断続角度算出部13へ、正回転なら1、逆回転なら0を出力する。また、回転方向検出部14から乗算部16へ、正回転なら1、逆回転なら−1を出力する。
即ち、本実施の形態1の例では、ロータ7が1回転する電気角2πradをパターン番号の最大値である6で除したπ/3radが基準角度になる。
正回転の場合、断続角度=(パターン番号−1)・π/3で計算されるので、図5(a)のように、パターン番号1→2の間の断続角度は0(および2π)、パターン番号2→3の間π/3、パターン番号3→4の間2π/3、パターン番号4→5の間π、パターン番号5→6の間4π/3、パターン番号6→1の間5π/3となる。
一方、逆回転の場合、断続角度=(パターン番号)・π/3で計算されるので、図5(b)のように、パターン番号6→5の間の断続角度は2π、パターン番号5→4の間5π/3、パターン番号4→3の間4π/3、パターン番号3→2の間π、パターン番号2→1の間2π/3、パターン番号1→6の間π/3となる。
(サンプル時間あたりの角速度)=2π×(サンプル時間)/(パルス周期)・・(1)
角速度算出部15の詳細は後述する。
上記の角速度(rad/sample)が、サンプル時間で変化したロータ7の角度に相当する。
なお、オフセット角度として、ロータ7の実際の初期位置ずれを、オフセット角度補正部19に設定しておく。
図6は、角速度算出部15の内部構成を示すブロック図である。角速度算出部15は、I/F2から入力される回転位置信号U,V,Wのうちの1つの信号を選択して出力する信号切替部21と、その信号の立ち上りを検出する立ち上り検出部22と、立ち上りから次の立ち上りまでの時間間隔をカウントする時間間隔計測部23と、時間間隔を適正範囲内に制限する時間間隔補正部24と、時間間隔を角速度に変換する角速度変換部25とから構成される。角速度変換部25が変換したサンプル時間あたりの角速度は、上述の連続角度算出部18に出力されることになる。
なお、この角速度算出部15においても、各部は所定のサンプル時間(例えば0.001sec)毎に1回ずつ動作する。
よって、カウント値は、回転位置信号Uの立ち上りエッジから次の立ち上りエッジまで、パルス1周期の時間間隔を表し、ロータ7の回転速度が遅いほどカウント値が大きくなる。
なお、適正範囲の上限値と下限値は予め時間間隔補正部24に設定しておくこととし、ここでは下限値を0とし、時間間隔がマイナス値にならないようにする。また、上限値は、ブラシレスモータ5を起動させるために必要な最低回転速度に相当する時間間隔の値とする。ブラシレスモータ5の起動時にはロータ7の回転速度が0で回転位置信号Uのパルスが発生しないため、この間に時間間隔計測部23でカウントアップが延々続くとオーバーフローしたり、ロータ7を回転させるために必要な励磁電流が流れなくなったりする。これを防止するために、上限値によってロータ7の最低回転速度を担保し、低回転時でも確実にトルクを生じさせる。
例えば、正回転の期間P3において、パターン番号1が決定されたサンプル時間に、断続角度算出部13が断続角度0rad=(1−1)・π/3を算出する。続いて連続角度算出部18が、この断続角度0radに、時間間隔C2に基づいて算出されたサンプル時間あたりのプラスの角速度c2を積算していくので、角度が連続的に大きくなっていく。そのまま連続角度を計算していき、あるサンプル時間でパターン番号2が決定されると、断続角度算出部13が断続角度π/3rad=(2−1)・π/3を算出する。そして連続角度算出部18がサンプル時間毎に、この断続角度2π/3に角速度c2を積算していき、連続角度を求める。
ただし、ロータ7の回転速度が遅く、次のパターン番号になかなか変化しないため、角速度c2の積算値が−π/3以下になって連続角度が4π/3rad以下にならないように、角速度積算制限部17が角速度c2の出力制限を行う。これにより、パターン番号5の途中で連続角度が一定となる(図7(a)の矢印d,e)。
このように、断続角度を連続角度に補間するために用いる角速度は、前回の時間間隔から求めた値のため、ロータ7の回転速度が急激に変化する場合には連続角度と実際の角度に多少のずれが生じているが、期間P9以降のように、ロータ7の回転速度が一定で安定している状態では連続角度が実測の角度に良く追従している。
また、回転方向が反転するブラシレスモータ5にモータ制御装置1を適用した場合、逆回転から正回転に移行したあとの連続角度の追従が遅れる傾向があるので、反転を伴わず連続して同じ方向に回転を行うブラシレスモータ5の角度検出により適している。
図8は、本実施の形態2に係る制御部3aの構成を示すブロック図である。また、図9は、本実施の形態2に係る角速度算出部15aの内部構成を示すブロック図である。図8および図9において、図2および図6と同一または相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。
上記実施の形態1では、回転位置信号Uの立ち上りまたは立ち下りエッジ検出のタイミングで角速度を更新する構成にして、反転を伴わずに連続回転を行うブラシレスモータに対して有利であることを示した。これに対し、サーボ制御を行うモータでは反転および回転速度の変化が頻繁に起こるため、応答性をさらに向上させることが望ましい。そこで、本実施の形態2では角速度の更新に回転位置信号U,V,Wを使用して、応答性を高める構成にする。
図9に示すように、角速度算出部15aは、パターン遷移検出部30と、時間間隔計測部23aと、時間間隔補正部24と、角速度変換部25aとから構成されている。パターン遷移検出部30は、パターン変換部12aから入力されるパターン番号の遷移を検出して、検出の都度、時間間隔計測部23aに通知する。時間間隔計測部23aは、パターン遷移検出部30からパターン番号変化検出の通知を受けるとカウントを開始し、サンプル時間毎にカウント値をカウントアップしていく。そして、次のパターン番号変化検出の通知を受けると、そのときのカウント値を時間間隔補正部24へ出力し、カウント値をリセットして再びカウントアップを開始する。
よって、カウント値は、3つのホールIC8U,8V,8Wがそれぞれ出力した回転位置信号U,V,Wの値の組み合わせが変化する時間間隔を表し、ロータ7の回転速度が遅いほどカウント値が大きくなる。
図11は、本実施の形態3に係る制御部3bの構成を示すブロック図である。また、図12は、本実施の形態3に係る角速度算出部15bおよび安定性評価部40の内部構成を示すブロック図である。図11および図12において、図2および図6と同一または相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。
本実施の形態3では、上記実施の形態1の制御部3について、ロータ7の回転数が安定している場合に回転位置信号U,V,Wにばらつきがあってもスムーズな角度出力を得ることができる構成にして、ブラシレスモータ5のトルクリップルを改善する。
図12に示すように、角速度算出部15bにおいて、立ち上り検出部22bは、回転位置信号Uの立ち上りエッジ(または立ち下りエッジ)の検出タイミングを表す立ち上り信号を安定性評価部40および安定時連続角度算出部41に出力する。また、時間間隔計測部23bは安定性評価部40へ、サンプル時間毎のカウント値を出力する。
なお、なまし計算はこれ以外の方法で行ってもよく、フィルタ処理であってもよい。
本来、ホールIC8U,8V,8Wは電気角で2π/3radずつの等間隔に配置されるが、この例では互いにずれた位置に配置されたことにより図14(c)〜図14(e)のように回転位置信号U,V,Wの位相もπ/3radずつの等間隔のずれになっておらず、位相ずれが生じている状態である。ただし、位相ずれは定常であり、ロータ7の回転速度は安定している。従って、安定性評価部40は安定している状態と判定する。なお、ホールIC8U,8V,8Wの配置ずれ以外にも、上述したような例えばホールIC8U,8V,8Wの感度、ロータ7側マグネットの着磁などによるばらつきの影響によっても、位相ずれが生じる。
また、回転位置信号U,V,Wの値の組み合わせが変化する時間間隔が等間隔でないため、時間間隔の長いパターン番号では断続角度に角速度を積算していく途中で積算値がπ/3radを超えてしまい、角速度積算制限部17により値の制限を受けることになる(図14(b)の矢印l)。さらに、時間間隔の短いパターン番号では断続角度にサンプル時間あたりの角速度を積算していく途中で次のパターン番号に変化してしまい、次の断続角度へと急激に値が変化してしまうことになる(図14(b)の矢印m)。
このように、ロータ7の回転速度が安定していても、回転位置信号U,V,Wの波形がばらついていると、オフセット角度補正部19が出力する連続角度が実際の角度からずれ、トルクリップルの原因となり得る。
そして、本実施の形態3では、安定時連続角度算出部41が回転位置信号Uの立ち上りから次の立ち上りまでの期間、0radからサンプル時間毎に角速度を積算していくので、実線で示す連続角度の傾きが実際の角度の傾きに一致する。ただし、位相ずれが生じているので、回転位置信号Uの立ち上りにあわせた連続角度のリセットのタイミングが実際の角度の0radになるタイミングからずれるが(図14(a)の矢印n)、ロータ7が安定的に回転している最中であればブラシレスモータ5の動作に影響はなく、トルクリップルなく高精度に駆動制御することができる。
また、モータ制御装置1は、ブラシレスモータ5が有するホールICの数、ロータ側マグネットの磁極数などの構成に応じて、適宜、制御部3のロジックを変更すればよい。
Claims (6)
- ロータの回転方向に沿って配置され当該ロータの回転位置に応じた回転位置信号を出力する複数の位置検出部を有し正逆回転するブラシレスモータを駆動制御する制御部を備えたモータ制御装置であって、
前記制御部は、
前記ロータが電気角で1回転する間に取り得る前記回転位置信号の値の組み合わせ毎に設定されたパターン番号を記憶しているパターン情報保持部と、
前記複数の位置検出部がそれぞれ出力する前記回転位置信号を入力に用いて、当該入力された回転位置信号の値の組み合わせに対応するパターン番号を、前記パターン情報保持部を参照して決定するパターン変換部と、
前記ロータが1回転する電気角を前記回転位置信号の値の組み合わせ数で除した基準角度を、前記パターン変換部の決定した前記パターン番号に乗じて、前記ロータの断続的な角度を算出する断続角度算出部と、
前記入力された回転位置信号に基づいて、前記回転位置信号の値の組み合わせが変化する時間間隔より短いサンプル時間で変化した前記ロータの角度を算出する角速度算出部と、
前記サンプル時間毎に、前記断続角度算出部の算出した前記断続的な角度に前記角速度算出部の算出した前記サンプル時間で変化した前記ロータの角度を積算していき、前記断続的な角度を補間した連続的な角度を算出する連続角度算出部と、
前記パターン変換部の決定したパターン番号の増減に応じて前記ロータの回転方向を検出する回転方向検出部を備え、
前記断続角度算出部は、前記回転方向検出部で逆回転を検出した場合、前記パターン番号に基準角度を乗じた値を断続的な角度とし、正回転を検出した場合、当該断続的な角度より前記基準角度小さい値を断続的な角度とし、
前記連続角度算出部は、前記回転方向検出部で正回転を検出した場合、前記角速度算出部の算出した角度のプラス値を積算していき、逆回転を検出した場合、前記角速度算出部の算出した角度のマイナス値を積算していくことを特徴とするモータ制御装置。 - 前記角速度算出部は、回転位置信号の値の組み合わせが変化する時間間隔を計測する時間間隔計測部を備え、前記基準角度を前記時間間隔計測部の計測した前記時間間隔で除して、前記サンプル時間で変化した前記ロータの角度を算出することを特徴とする請求項1記載のモータ制御装置。
- 前記角速度算出部は、前記ブラシレスモータが連続して同じ方向に回転している間に前記複数の位置検出部のうちのいずれか1つの位置検出部が出力した回転位置信号の値の立ち上りから次の立ち上りまでの時間間隔または立ち下りから次の立ち下りまでの時間間隔を計測する時間間隔計測部を備え、前記ロータが1回転する電気角を前記時間間隔計測部の計測した前記時間間隔で除して、前記サンプル時間で変化した前記ロータの角度を算出することを特徴とする請求項1記載のモータ制御装置。
- 前記ロータの回転速度が安定しているか否かを判定する安定性評価部と、
前記角速度算出部の算出した、前記サンプル時間で変化した前記ロータの角度を、前記複数の位置検出部のうちのいずれか1つの位置検出部が出力した回転位置信号の値の立ち上りから次の立ち上りまでの期間または立ち下りから次の立ち下りまでの期間サンプル時間毎に積算していき、連続的な角度を算出する安定時連続角度算出部と、
前記安定性評価部で安定していると判定した場合は前記安定時連続角度算出部に切り替え、安定していないと判定した場合は前記連続角度算出部に切り替える出力切替部とを備えることを特徴とする請求項3記載のモータ制御装置。 - 前記安定性評価部は、前記時間間隔計測部の計測する時間間隔のサンプル時間あたりの変化量に基づいて、安定性を判定することを特徴とする請求項4記載のモータ制御装置。
- 前記角速度算出部は、前記ブラシレスモータの起動が可能な最低回転速度に相当する時間間隔の上限値を設け、前記時間間隔計測部の計測する時間間隔を当該上限値に制限する時間間隔補正部を備えることを特徴とする請求項2または請求項3記載のモータ制御装置。
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