JP5707975B2 - 加熱炉の操炉方法 - Google Patents

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本発明は、加熱炉の燃料として、複数種類の燃料ガスを混合した混合ガスを使用している場合に、その加熱炉の最大負荷を上げたり、負荷が低い場合の制御性を向上させたり、省エネルギーを図ったりする加熱炉の操炉方法に関するものである。
複数種類の燃料ガスを混合した混合ガスを燃料として加熱炉に使用する場合、従来は、例えば図5に示すように、加熱炉1内に混合ガス供給路2と空気供給路3から混合ガスと空気を供給し、混合ガスを空気と混ぜて図示しないバーナーで燃焼させて加熱炉1内の炉温を高めるとともに、加熱炉1内で測定した炉温Tと混合ガス供給路2に設けたオリフィス流量計4で測定した混合ガス流量Vfとに基づき、混合ガス供給路2に設けた制御弁5を炉温制御器6で作動させて炉温を制御し、さらに、加熱炉1から煙突7に至る排ガス通路8内で測定した排ガス中のO濃度と空気供給路3に設けたオリフィス流量計9で測定した空気流量Vaと上記混合ガス流量Vfとに基づき、空気供給路3に設けた制御弁10を空気比制御器11で作動させて混合ガスの空気比を制御している。
すなわち例えば、目標炉温を高く設定すれば、実炉温Tとの差に応じて炉温制御器6から混合ガス流量の制御弁5を開く指令が出る。但し、制御弁5が全開になればそれ以上の混合ガスは流れない。また、燃焼を安定化させるために、混合ガスの流量に応じた空気量がその混合ガスの理論空気比(混合ガス1mを理論的に完全燃焼させる空気量)から計算して、一定比率倍されて、空気比制御器11から空気流量の制御弁10を開く指令が出る。但しこれも、制御弁10が全開になればそれ以上の空気は流れない。従って、混合ガス流量の上限が上がると、空気流量の上限が燃焼可能上限となる。
このように、現状の空気比制御方法は、燃料ガスとしての混合ガス流量と燃焼用空気流量との比率を制御しており、それらの流量制御は多数の炉では、図6に示すように、オリフィス流量計で測定した圧力ΔPと密度ρとからベルヌーイの定理により流速Vを求め、オリフィス流量計の流路断面積とその流速Vとから流量を求めて、所望の流量になるように制御弁を操作している。このため、例えば理論空気比が低下して必要空気量が減少したことに気づかない場合には、高空気比燃焼となり、エネルギー効率が低下する。また、例えば燃料ガス密度が増大して実質ガス流量が減少し、必要空気量が減少したことに気づかない場合にも、高空気比燃焼となり、エネルギー効率が低下する。
このような加熱炉の操炉に際し、従来は、混合ガスの性状が大きく変化しないよう、ある決めた指標が一定になるように混合比を制御するのが一般的であり(例えば特許文献1参照)、ある決めた指標としては例えば、混合ガスの理論空気比Aoを混合ガスのガス密度ρの平方根で割った値(Ao/√ρ)や、混合ガスの発熱量Qoを混合ガスのガス密度ρの平方根で割った値(Qo/√ρ)が用いられる。
ここで、混合ガスの理論空気比Aoを混合ガスのガス密度ρの平方根で割った値(Ao/√ρ)を一定とする制御の場合は、混合前の各燃料ガスの性状が変化しても、その性状変化に応じた物性値で、混合ガスの理論空気比Aoを混合ガスのガス密度ρの平方根で割った値(Ao/√ρ)が一定になるように混合しておけば、プロセス側の消費設備において、設定した空気比での制御に影響が出ないため、安定した燃焼を期待することができる。但し、燃料ガスの発熱量が変化する可能性があるため、安定した操業条件下でもガス流量が変化することがあり、これには操業上の炉温制御等で対応することになる。
また、混合ガスの発熱量Qoを混合ガスのガス密度ρの平方根で割った値(Qo/√ρ)を一定とする制御の場合は、混合前の各燃料ガスの性状が変化しても、その性状変化に応じた物性値で、混合ガスの発熱量Qoを混合ガスのガス密度ρの平方根で割った値(Qo/√ρ)が一定になるように混合しておけば、プロセス側の消費設備において、燃焼熱の変動が出ないため、炉温等の変動影響が出ない安定した操業を期待することができる。但し、燃焼空気比が設定から変化する可能性があるため、図5に示すように、排ガス中のO濃度によるフィードバック制御と併用することが望ましい。
特開2005−249260号公報
しかしながら上述した、混合ガスの理論空気比Aoを混合ガスのガス密度ρの平方根で割った値(Ao/√ρ)や、混合ガスの発熱量Qoを混合ガスのガス密度ρの平方根で割った値(Qo/√ρ)は何れも、ガスの発熱量および操業中の実際の燃焼空気比の変動を抑制したいために選択している指標である。このため、通常の操業範囲では特別な問題はないが、大きな加熱負荷をかけたい場合の限界や、ミニマム燃焼状態で炉温を維持したい場合の制御性に問題があった。
本発明は、前記課題を解決するため、加熱炉の最大負荷を上げたり、負荷が低い場合の制御性を向上させたりするとともに、省エネルギーを図ることのできる加熱炉の操炉方法を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成する本発明の加熱炉の操炉方法は、2種類以上のガスを混合した混合ガスを燃料として使用して加熱炉を操業するに際し、
加熱炉の負荷要求に応じて、加熱炉の定格仕様を超える要求負荷に対しては要求負荷に応じて混合ガスの発熱量を基準発熱量よりも増加させ、加熱炉の定格仕様の所定割合よりも低い要求負荷に対しては要求負荷に応じて混合ガスの発熱量を基準発熱量よりも減少させるように予め定めた関数に基づき目標発熱量を計算し
その目標発熱量から、加熱炉の操業実績から求めた回帰式により、混合ガスの理論空気比を混合ガスのガス密度の平方根で割った値の目標値を求め、
混合ガスの理論空気比を混合ガスのガス密度の平方根で割った値をその目標値とするための2種類以上のガスの混合流量比を、各ガスの密度および理論空気比と、混合ガスの理論空気比を混合ガスのガス密度の平方根で割った値の目標値とから算出し、
その算出した2種類以上のガスの混合流量比により混合ガスの燃料成分を変更するとともに、
前記混合ガスの変更した燃料成分に応じた係数を加熱炉の燃焼空気量制御系に伝送することで、適正な燃焼空気比を確保することを特徴とするものである。
すなわち例えば、通常の最大燃焼負荷を超えた範囲まで燃焼負荷を高めたい場合に、従来は投入する混合ガス量を増加させてゆくことになるが、制御弁が全開になる状態が限界となり、それ以上の混合ガスを投入するために混合ガスの元圧を上昇させるしかなく、元圧を上昇させることとすると、大きな設備投資が必要となり、ガス供給のための動力エネルギーも増加する。これに対し本発明の加熱炉の操炉方法により、混合ガスの単位発熱量を例えば10%増加させれば、圧力損失をほとんど変えずに流量を10%増加させたことに相当し、ガス供給のための無駄な動力エネルギーの増加なく、燃焼負荷を高めることができる。
また例えば、ミニマム燃焼で炉温を維持したい場合に、従来は投入する混合ガス量を減少させてゆくことになるが、例えば最大流量の10%相当まで混合ガスの流量を低減させようとすると、図6に示す如き通常使用されているオリフィス流量計と制御弁との組み合わせでは、測定圧力損失が1/100となってしまい、安定的に流量の制御および測定ができる範囲の限界付近となってしまう。よって、さらに低減したい場合には、少流量用の流量計および制御弁を追加するか、またはバーナーを何本か間引き(閉止)するとともに制御弁の開度を固定して操業する方法が採られるが、設備や制御ソフトウェアにコストが嵩み、しかも安定した操業状態とはいえない。これに対し本発明の加熱炉の操炉方法により、混合ガスの単位発熱量を減少させれば、混合ガスの流量をオリフィス流量計で安定的に流量の制御および測定ができる範囲まで増やして、コストが嵩むことなく安定した操業状態とすることができる。
さらに、本発明の加熱炉の操炉方法においては、前記混合ガスの変化させた燃料成分に応じた係数を加熱炉の燃焼空気量制御系に伝送することで、適正な燃焼空気比を確保する。
このようにすることで、大きな加熱負荷をかけたい場合やミニマム燃焼状態で炉温を維持したい場合でも、適正な燃焼空気比を確保してエネルギー効率を高く維持することができる。
なお、本発明の加熱炉の操炉方法においては、燃焼排ガス中のO濃度の測定結果に基づき、燃焼排ガス中のO濃度が目標とするO濃度となるように燃焼空気量をフィードバック制御することで、適正な燃焼空気比を確保することとすると好ましい。
このようにすれば、燃焼空気比が設定から変化した場合でも、燃焼排ガス中のO濃度に基づき、適正な燃焼空気比を確保してエネルギー効率を高く維持することができる。
本発明の加熱炉の操炉方法の一実施例を適用した加熱炉の炉温および燃焼制御システムを示す構成図である。 上記実施例の加熱炉の操炉方法における混合ガスの性状を定める関数の例としての加熱炉の要求負荷と混合ガス基準発熱量に対する変更後発熱量の比との関係を例示する相関図である。 上記実施例の加熱炉の操炉方法における混合ガスの発熱量とAo/√ρとの関係を例示する相関図である。 本発明の加熱炉の操炉方法の他の一実施例を適用した加熱炉の炉温および燃焼制御システムを示す構成図である。 従来の加熱炉の炉温および燃焼制御システムを例示する構成図である。 上記従来の加熱炉の炉温および燃焼制御システムに用いられるオリフィス流量計と制御弁との組み合わせを示す説明図である。
以下、この発明の実施の形態を図面に基づく実施例によって詳細に説明する。ここに、図1は、本発明の加熱炉の操炉方法の一実施例を適用した加熱炉の炉温および燃焼制御システムを示す構成図であり、図1中、図5に示す従来の加熱炉の炉温および燃焼制御システムにおけると同様の部分はそれと同一の符号にて示す。
すなわち、この加熱炉1も、複数種類の燃料ガスを混合した混合ガスを燃料として使用するものであり、ここにおける加熱炉の炉温および燃焼制御システムでも、加熱炉1内に混合ガス供給路2と空気供給路3から混合ガスと空気を供給し、混合ガスを空気と混ぜて図示しないバーナーで燃焼させて加熱炉1内の炉温を高めるとともに、加熱炉1内で測定した炉温Tと混合ガス供給路2に設けたオリフィス流量計4で測定した混合ガス流量Vfとに基づき、混合ガス供給路2に設けた制御弁5を、通常のコンピューターで構成した炉温制御器6で作動させて炉温を制御し、さらに、加熱炉1から煙突7に至る排ガス通路8内で測定した排ガス中のO濃度と空気供給路3に設けたオリフィス流量計9で測定した空気流量Vaと上記混合ガス流量Vfとに基づき、空気供給路3に設けた制御弁10を、通常のコンピューターで構成した空気比制御器11で作動させて混合ガスの燃焼空気比を制御している。
一方、ここにおける加熱炉の炉温および燃焼制御システムでは、COG供給路12から供給された燃料ガスとしてのコークス炉ガス(COG)とBFG供給路13から供給されたもう一種類の燃料ガスとしての高炉ガス(BFG)とを混合ガスブロワー14で混合して混合ガス供給路2に圧送しており、BFG供給路13に設けた制御弁15の開度と、上記混合ガス流量Vfとを、通常のコンピューターで構成した燃料ガス混合比率制御器16に入力し、その制御弁15の開度と混合ガス流量Vfとに基づき燃料ガス混合比率制御器16で、この実施例の加熱炉の操炉方法により後述の如くして混合ガスの発熱量を燃焼負荷に応じて補正してコークス炉ガス(COG)と高炉ガス(BFG)との混合比を求めて、その混合比を実現するように、COG供給路12に設けた制御弁17を燃料ガス混合比率制御器16で作動させている。
さらにここにおける加熱炉の炉温および燃焼制御システムでは、燃料ガス混合比率制御器16で混合比を変化させた混合ガスの理論空気比Aoを混合ガスのガス密度ρの平方根で割った値(Ao/√ρ)も空気比制御器11に入力し、空気比制御器11で、上記フィードバックされる排ガス中のO濃度と、上記空気流量Vaと、上記混合ガス流量Vfとに加えて、その値Ao/√ρにも基づいて、後述の如く空気供給路3に設けた制御弁10を作動させて混合ガスの燃焼空気比を制御している。
具体的には、この実施例の操炉方法では、2種類のガスであるコークス炉ガス(COG)と高炉ガス(BFG)とを混合した混合ガスを燃料として使用して加熱炉1を操業するに際し、その混合ガスの燃料成分を加熱炉1の負荷要求に応じて、図2,3に例示する如き予め定めた関数に基づき、燃料ガス混合比率制御器16で変更している。
すなわちこの実施例の操炉方法では、以下の(1)〜(6)の工程を実施する。
(1) 先ず操業条件に基づき加熱炉1全体の使用燃料ガス量を求め、その使用燃料ガス量から加熱炉1全体の定格仕様(100%)に対する要求負荷の比率を算出する。
(2) その要求負荷の比率から、予め実験により好ましいことを確認して設定した図2のグラフに示す相関を持つ関数により、目標とする燃料ガス基準発熱量に対する変更後の発熱量の比(目標発熱量比)を算出する。
(3) その目標発熱量比に燃料ガス基準発熱量を乗じて目標発熱量(混合ガスの目標発熱量に相当)を算出する。
(4) その目標発熱量から、予め加熱炉の操業実績の蓄積から求めた図3のグラフに示す相関を持つ関数(回帰式)により、混合ガスの理論空気比Aoを混合ガスのガス密度ρの平方根で割った値(Ao/√ρ)の目標値を算出する。
(5) 下記の式から、Ao/√ρを上記目標値とするための、2種類のガスであるコークス炉ガス(COG)と高炉ガス(BFG)との混合流量比RC/Bを算出する。
(6) その混合流量比RC/Bを用いて、燃料ガス混合比率制御器16でコークス炉ガス(COG)と高炉ガス(BFG)との混合流量を制御し、高炉ガス(BFG)1mN/Hに対してRC/Bの比率に相当する流量のコークス炉ガス(COG)を混合する。
ここで、混合流量比RC/Bを算出するに際しては、入力データとして、高炉ガス(BFG)の密度:Bρ、高炉ガス(BFG)の理論空気比BAo、コークス炉ガス(COG)の密度:Cρ、コークス炉ガス(COG)の理論空気比CAo、および混合ガスのAo/√ρの目標値MAoIを用い、次式(1)により算出する。
Figure 0005707975
である。
この式(1)は、以下の如くして導出される。なお、RC/Bは一変数として扱う。
(1) コークス炉ガス(COG)と高炉ガス(BFG)との混合ガスの理論空気比MAoは、
Figure 0005707975
(2) コークス炉ガス(COG)と高炉ガス(BFG)との混合ガスの密度Mρは、
Figure 0005707975
(3) コークス炉ガス(COG)と高炉ガス(BFG)との混合ガスのAo/√ρの目標値MAoIは、式(2)および式(3)から、
Figure 0005707975
(4) 式(4)をRC/Bについて展開するために式(4)の右辺の分母を両辺に乗じて両辺を2乗すると、
Figure 0005707975
(5) 式(5)の両辺に(RC/B+1)を乗ずると、
Figure 0005707975
(6) 式(6)の両辺をそれぞれ展開すると、
Figure 0005707975
(7) 式(7)の右辺を左辺へ移項してRC/Bに関する2次方程式に纏めると、
Figure 0005707975
式(8)の各係数をa,b,cとすると、次式(9)となる。
Figure 0005707975
このRC/Bに関する2次方程式(9)の解の公式が、式(1)である。
この実施例の操炉方法では、上記のように混合ガスの物性値を意図的に変更するので、プロセス側の空気比制御器11へ物性値変更後の混合ガスのAo/√ρの情報を伝送して、燃焼空気比制御に反映させている。すなわち、空気比制御器11は、混合ガス流量Vf(実測値)から燃焼空気量設定値を、燃焼空気量設定値=混合ガス流量Vf×Ao×設定空気比により求める。
ここで、Aoは、理論空気比(燃料単位量を完全燃焼させるのに必要な理論空気量の、燃料に対する比率)であり、設定空気比は、実際の操業における燃料に対する燃焼空気の量の、理論空気量に対する比率(通常1.05〜1.2程度)である。
次に、空気比制御器11は、物性値変更後の最新の混合ガスのAo/√ρから、基準混合ガスのAo/√ρに対する比率kを補正係数として算出する。そして、先の燃焼空気量設定値Vaにこの補正係数kを乗じて補正後の燃焼空気量設定値を求め、その補正後の燃焼空気量設定値を実現するように、空気流量Va(実測値)を確認しながら制御弁10を作動させる。空気比制御器11はまた、上記排ガス中のO濃度も評価して、O濃度が高すぎる場合は供給空気流量を減少させ、O濃度が低すぎる場合は供給空気流量を増加させるようにフィードバック制御する。
従って、この実施例の加熱炉の操炉方法によれば、例えば、通常の最大燃焼負荷を超えた範囲まで燃焼負荷を高めたい場合に、混合ガスの単位発熱量を例えば10%増加させることで、圧力損失をほとんど変えずに流量を10%増加させたことに相当し、ガス供給のための無駄な動力エネルギーの増加なく、燃焼負荷を高めることができる。
また例えば、ミニマム燃焼で炉温を維持したい場合に、混合ガスの単位発熱量を減少させることで、混合ガスの流量をオリフィス流量計で安定的に流量の制御および測定ができる範囲まで増やして、コストが嵩むことなく安定した操業状態とすることができる。
さらに、この実施例の加熱炉の操炉方法によれば、混合ガスの変化させた燃料成分に応じたAo/√ρを燃料ガス混合比率制御器16から空気比制御器11に伝送することで、適正な燃焼空気比を確保しているので、大きな加熱負荷をかけたい場合やミニマム燃焼状態で炉温を維持したい場合でも、適正な燃焼空気比を確保してエネルギー効率を高く維持することができる。
さらに、この実施例の加熱炉の操炉方法によれば、燃焼排ガス中のO濃度の測定結果に基づき、燃焼排ガス中のO濃度が目標とするO濃度となるように空気比制御器11で燃焼空気量をフィードバック制御することで、適正な燃焼空気比を確保しているので、燃焼空気比が設定から変化した場合でも、燃焼排ガス中のO濃度に基づき、適正な燃焼空気比を確保してエネルギー効率を高く維持することができる。
なお、この実施例の加熱炉の操炉方法を実際に、操業条件を装入側(予熱帯)炉温900℃とした、オールリジェネバーナーシステムを備えた加熱炉に適用したところ、定格仕様を100%とした場合の最大燃焼負荷を、従来方法では110%まで(配管圧力損失や流量計レンジにもよる)であったのに対しこの実施例の方法では130%まで(混合ガスの基準発熱量にもよる)高められた。また定格仕様を100%とした場合の最小燃焼負荷を、従来方法では15%まで(制御弁圧力損失や流量計レンジにもよる)であったのに対しこの実施例の方法では10%まで(配管圧力損失や流量計レンジにもよる)低められた。従って、前述した本発明の効果が確認できた。
図4は、本発明の加熱炉の操炉方法の他の一実施例を適用した加熱炉の炉温および燃焼制御システムを示す構成図であり、図示のようにこの加熱炉の炉温および燃焼制御システムは、図1に示す加熱炉の炉温および燃焼制御システムと同様の構成を備えているため、図4中、図1に示す加熱炉の炉温および燃焼制御システムにおけると同様の部分はそれと同一の符号にて示す。この加熱炉の炉温および燃焼制御システムは、図1に示す加熱炉の炉温および燃焼制御システムとは、3種類の燃料ガスを混合して混合ガスとする点のみ異なっているので、以下では主にその異なっている点について説明する。
すなわち、ここにおける加熱炉の炉温および燃焼制御システムでは、COG供給路12から供給された燃料ガスとしてのコークス炉ガス(COG)と、BFG供給路13から供給されたもう一種類の燃料ガスとしての高炉ガス(BFG)と、LDG供給路18から供給されたさらにもう一種類の燃料ガスとしてのLDガス(LDG)とを混合ガスブロワー14で混合して混合ガス供給路2に圧送しており、BFG供給路13に設けた制御弁15の開度と、LDG供給路18に設けた制御弁19の開度と、上記混合ガス流量Vfとを、通常のコンピューターで構成した燃料ガス混合比率制御器16に入力し、それらの制御弁15,19の開度と混合ガス流量Vfとに基づき燃料ガス混合比率制御器16で、この実施例の加熱炉の操炉方法により先の実施例と同様にして混合ガスの発熱量を燃焼負荷に応じて補正してコークス炉ガス(COG)と高炉ガス(BFG)との混合比RC/Bおよびコークス炉ガス(COG)とLDガス(LDG)との混合比RC/Lを求めて、コークス炉ガス流量がそれらの混合比のそれぞれを実現するガス流量の合計となるように、COG供給路12に設けた制御弁17を燃料ガス混合比率制御器16で作動させている。
さらにここにおける加熱炉の炉温および燃焼制御システムでは、燃料ガス混合比率制御器16で3種類の燃料ガスの混合比を変化させた混合ガスの理論空気比Aoを混合ガスのガス密度ρの平方根で割った値(Ao/√ρ)も燃料ガス混合比率制御器16から空気比制御器11に入力し、空気比制御器11で、上記フィードバックされる排ガス中のO濃度と、上記空気流量Vaと、上記混合ガス流量Vfとに加えて、その値Ao/√ρにも基づいて、後述の如く空気供給路3に設けた制御弁10を作動させて混合ガスの燃焼空気比を制御している。
この実施例の加熱炉の操炉方法によっても、先の実施例と同様の作用効果を奏することができる。
以上、実施例に基づき説明したが、本発明は上述の例に限定されるものでなく、例えば、本発明の方法を適用し得る燃料ガスの種類は上述のものに限られず必要に応じて適宜変更することができ、その種類数も4種類以上とすることもできる。
また、混合ガスの燃料成分を加熱炉の負荷要求に応じて変更する関数も、上述のものに限られず必要に応じて適宜変更することができる。
かくして本発明の加熱炉の操炉方法によれば、例えば、通常の最大燃焼負荷を超えた範囲まで燃焼負荷を高めたい場合に、混合ガスの単位発熱量を増加させることで、圧力損失をほとんど変えずに流量を増加させたことに相当し、ガス供給のための無駄な動力エネルギーの増加なく、燃焼負荷を高めることができる。また例えば、ミニマム燃焼で炉温を維持したい場合に、混合ガスの単位発熱量を減少させることで、混合ガスの流量をオリフィス流量計で安定的に流量の制御および測定ができる範囲まで増やして、コストが嵩むことなく安定した操業状態とすることができる。
1 加熱炉
2 混合ガス供給路
3 空気供給路
4 オリフィス流量計
5 制御弁
6 炉温制御器
7 煙突
8 排ガス通路
9 オリフィス流量計
10 制御弁
11 空気比制御器
12 COG供給路
13 BFG供給路
14 混合ガスブロワー
15 制御弁
16 燃料ガス混合比率制御器
17 制御弁
18 LDG供給路
19 制御弁

Claims (2)

  1. 2種類以上のガスを混合した混合ガスを燃料として使用して加熱炉を操業するに際し、
    加熱炉の負荷要求に応じて、加熱炉の定格仕様を超える要求負荷に対しては要求負荷に応じて混合ガスの発熱量を基準発熱量よりも増加させ、加熱炉の定格仕様の所定割合よりも低い要求負荷に対しては要求負荷に応じて混合ガスの発熱量を基準発熱量よりも減少させるように予め定めた関数に基づき目標発熱量を計算し
    その目標発熱量から、加熱炉の操業実績から求めた回帰式により、混合ガスの理論空気比を混合ガスのガス密度の平方根で割った値の目標値を求め、
    混合ガスの理論空気比を混合ガスのガス密度の平方根で割った値をその目標値とするための2種類以上のガスの混合流量比を、各ガスの密度および理論空気比と、混合ガスの理論空気比を混合ガスのガス密度の平方根で割った値の目標値とから算出し、
    その算出した2種類以上のガスの混合流量比により混合ガスの燃料成分を変更するとともに、
    前記混合ガスの変更した燃料成分に応じた係数を加熱炉の燃焼空気量制御系に伝送することで、適正な燃焼空気比を確保することを特徴とする加熱炉の操業方法。
  2. 燃焼排ガス中のO濃度の測定結果に基づき、燃焼排ガス中のO濃度が目標とするO濃度となるように燃焼空気量をフィードバック制御することで、適正な燃焼空気比を確保することを特徴とする請求項1記載の加熱炉の操炉方法。
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