JP5707626B2 - マイクロ波処理装置 - Google Patents
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Description
このマイクロ波処理装置では、遮断壁によりマイクロ波発振器を筐体の処理空間から遮断し、処理空間内の粒子状の汚染物質だけでなく、腐食性物質から発生する気体のマイクロ波発振器への逆流を防止することができ、また、遮断壁に付着した粒子状の汚染物質を、遮断壁の処理空間側の表面に高圧の気体を吹き付けることで洗浄して遮断壁の汚れを防止し、長期の連続使用を実現することができる、とされる。
一方で、遮断壁の処理対象空間側の表面に吹き付ける高圧の気体を、より大量にし、しかもより高圧且つ高速にして吹き付けることも考えられるが、ランニングコストが増大し好ましい改良とはいえない。
前記導波管内にマイクロ波透過性のフィルタが配設され、
前記導波管内における前記フィルタのマイクロ波発振器側に圧縮ガスを供給して、前記マイクロ波発振器と前記フィルタとの間を陽圧状態に維持し、前記フィルタを介して当該圧縮ガスを前記処理空間内に流通させるガス供給機構を備え、
前記導波管内における前記マイクロ波発振器と前記フィルタとの間に、マイクロ波透過性の照射窓が配設され、
前記ガス供給機構が、前記圧縮ガスを前記導波管内における前記照射窓と前記フィルタとの間の空間内に供給させ、
前記フィルタが、
マイクロ波吸収性の低いセラミック短繊維を押し固めた繊維構造体のアルミナ(Al 2 O 3 )を単体で焼成したセラミックスを主成分とする多孔体からなるセラミックフィルタ、又は、
マイクロ波吸収性の低いセラミック短繊維を押し固めた繊維構造体のシリカ(SiO 2 )を単体で焼成したセラミックスを主成分とする多孔体からなるセラミックフィルタ、又は、
マイクロ波吸収性の低いセラミック短繊維を押し固めた繊維構造体のアルミナ(Al 2 O 3 )及びシリカ(SiO 2 )を混合して焼成したセラミックスを主成分とする多孔体からなるセラミックフィルタ、又は、
テフロンフィルタである点にある。
従って、導波管内においては、フィルタを境界として、処理空間側の圧力に対してマイクロ波発振器側の圧力が陽圧に維持されることとなり、マイクロ波発振器側の圧縮ガスをフィルタを介して処理空間側に、常時、且つ、強制的に流動させることができる。これにより、処理空間における処理対象物の浮遊物やマイクロ波の照射で加熱された処理対象物から発生した凝縮性ガス等(以下、単に、処理対象物等という)が導波管内に侵入しようとしても、上記圧縮ガスの常時且つ強制的な流動によりその侵入を良好に防止でき、また、仮に導波管内に処理対象物等が侵入してもフィルタの近傍に到達することを良好に防止することができる。
また、仮に、フィルタの処理空間側の表面に処理対象物等が付着したとしても、上記圧縮ガスの常時且つ強制的な流動により、その処理対象物等を良好に剥離することができる。
なお、フィルタは、マイクロ波透過性であるので、処理空間内における処理対象物のマイクロ波の照射を阻害することはない。
さらに、ガス供給機構により供給される圧縮ガスは、導波管内においてマイクロ波発振器とフィルタとの間を陽圧状態に維持できる程度の流量及び圧力であれば充分であり、比較的簡便で、低コストな構成となる。
よって、処理空間に存在する処理対象物にマイクロ波を照射して処理を行う際、より効率よく処理を行えるとともに、処理対象物等がマイクロ波発振器側に侵入することを低コストで且つ確実に防止できる。
また、仮に、処理空間内の処理対象物等がフィルタを通過したとしても、照射窓によりマイクロ波発振器側に処理対象物等が侵入することを確実に防止することができる。なお、照射窓は、マイクロ波透過性であるので、処理空間内における処理対象物のマイクロ波の照射を阻害することはない。
例えば、マイクロ波発振器と照射窓との間の空間に、マイクロ波発振器から発振され導波管内を通過するマイクロ波を透過し、処理空間等から反射されてマイクロ波発振器側に戻ってくる反射マイクロ波を吸収するアイソレータが配設され、当該アイソレータに冷却水を利用した冷却機構が採用されている場合がある。この場合には、当該冷却機構によりマイクロ波発振器と照射窓との間の空間内に結露が発生する場合があり、この結露が照射窓のマイクロ波発振器側の表面に発生すると、マイクロ波により加熱されて高温となり、照射窓を破損する虞がある。しかしながら、このような場合でも、上述の通り、マイクロ波発振器と照射窓との間の空間内の結露が良好に防止されているので、照射窓の破損を良好に防止することができる。
マイクロ波処理装置50は、マイクロ波MWにより処理対象物を処理する装置であり、この処理対象物としては、気体、液体、固体が例示でき、例えば、飛灰、粉塵などの粉体(固体の一例)が例示できる。
また、マイクロ波処理装置50には、汚染された処理対象物を搬送し、当該処理対象物を筐体2の天部2aから導入口4を介して処理空間1内に導入する搬入機構5が接続されており、当該処理対象物の処理が終了した処理済の処理対象物を筐体2の底部2bから排出口6を介して処理空間1の外部に搬出する搬出機構7が接続されている。さらに、マイクロ波処理装置50の筐体2内の底部2bには、処理空間1の主処理領域1a付近に存在する処理対象物を攪拌し、また処理済の処理対象物を排出口6に案内可能なモータ8aにより駆動するロータリースクレーパ8bを備えた攪拌機構8が設けられている。なお、主処理領域1aは、処理空間1の底部から処理対象物が導入される高さの上面付近までの領域をいう。
したがって、マイクロ波処理装置50においては、搬入機構5から処理空間1に導入された処理対象物にマイクロ波MWを照射して処理した後、当該処理対象物を処理空間1から搬出機構7に排出することが可能に構成され、処理対象物の連続的な処理、或いはバッチ処理を実現可能に構成されている。
筐体2は、図1に示すように、概略円筒状の密閉容器で形成されており、内部に処理空間1を形成できるように構成されている。筐体2の側面部2cは、上部側面部2c1、中間側面部2c2、下部側面部2c3から構成されており、上部側面部2c1は、処理空間1内に照射されるマイクロ波MWが当該上部側面部2c1で反射して特定箇所に集中することがないよう、平断面形状が5角形程度以上の多角形に形成され、筐体2の鉛直面に対して数度〜20度程度傾斜するように形成される。なお、上部側面部2c1の平断面形状を、円筒形状に形成することもできる。下部側面部2c3は、ロータリースクレーパ8bを配設する関係上円筒形状に形成されている。中間側面部2c2は、上部側面部2c1と下部側面部2c3とをなだらかに接続するように構成されており、マイクロ波MWに対してアンテナとなる突起物が少ない構造とされている。筐体2は、例えば、鉄、アルミニウム、銅等の金属、ステンレス鋼、ジュラルミン等の合金で構成することができ、処理空間1内でマイクロ波MWを良好に反射し、処理対象物へのマイクロ波MWの照射を確実に行えるとともに、筐体2の外部にマイクロ波MWが漏出することを防止するように構成されている。
マイクロ波発振器31は、マイクロ波MWを発振可能に構成されるが、例えば、マグネトロン等を用いることができる。ここで、マイクロ波MWとは、周波数が300MHz〜3THz程度であり、波長が100μm〜1m程度の電磁波であり、例えば、950MHz、2.45GHz、5.8GHz程度の周波数が含まれる。処理空間1に照射されたマイクロ波MWは、処理空間1内に存在する処理対象物に照射され、処理対象物の分解処理を行うことができる。
このようなマイクロ波透過性で多孔体からなるセラミックスとしては、アルミナ(Al2O3)、シリカ(SiO2)等が例示でき、これらセラミックスを単体或いは複数種類混合して焼成したものを用いることができる。なお、これらセラミックスを主成分とするものであれば、マイクロ波吸収性の高いセラミックス等が若干程度含有していてもよい。また、セラミックフィルタ32は、処理空間1が非常に高温(例えば、350〜400℃程度)となることに加え、マイクロ波MWによる直接的な加熱或いは加熱された高温の処理対象物や当該処理対象物から発生した凝縮性ガス等(以下、処理対象物等という)が付着しても耐えることができるように、耐熱性が高いセラミックスを採用することが好ましい。
本実施形態では、多孔体からなるセラミックフィルタ32として、マイクロ波吸収性の低いセラミック短繊維を押し固めた繊維構造体のアルミナ(Al2O3)及びシリカ(SiO2)を、アルミナ(Al2O3)を44重量部、シリカ(SiO2)を54重量部の割合で混合し焼成したセラミックスを採用した。
これにより、マイクロ波発振器31から発振されたマイクロ波MWの反射マイクロ波はアイソレータ34で吸収され、マイクロ波発振器31の不具合の発生を防止できるとともに、石英ガラス33のマイクロ波発振器31側の表面33aに結露が発生することを良好に防止され、マイクロ波MWの照射による石英ガラス33の破損を良好に防止することができる。
従って、導波管30内においては、セラミックフィルタ32を境界として、処理空間1側の圧力に対してマイクロ波発振器31側(石英ガラス33とセラミックフィルタ32との間の空間)の圧力が陽圧に維持されることとなり、当該空間内の圧縮空気PAをセラミックフィルタ32を介して処理空間1側に、常時、且つ、強制的に流動させることができる。また、石英ガラス33とセラミックフィルタ32との間の空間を、マイクロ波発振器31とセラミックフィルタ32との間の空間に対して比較的小さな空間とすることができ、比較的小さな空間である石英ガラス33とセラミックフィルタ32との間の空間に、圧縮空気供給機構40により圧縮空気PAを連続的に供給するので、当該空間を陽圧状態に維持するための圧縮空気PAの量を、より少量にすることができ、低コスト化を実現することができる。
例えば、ごみ焼却炉(図示せず)から排出された一定量の飛灰を搬入機構5から導入口4を介して処理空間1内に導入し、導入後は当該導入口4を閉鎖する。この際には、排出口6を閉鎖し、ロータリースクレーパ8bを回転させ、処理空間1の主処理領域1aに落下した処理対象物が当該処理空間1内で出来るだけ均一に導入されるようにする。導入された飛灰には、筐体2の天部2aに設置されたマイクロ波発振器31からのマイクロ波MWが照射され、飛灰中の有機ハロゲン化合物等(有害物質)の分解処理が行われる。また、マイクロ波MWによる処理対象物の処理が進んで発生する凝縮性ガス等の排気ガスは、吸引ファンにより吸引され、フィルタ10を介して排気ガス排出管9から外部に排出される。
この際、飛灰や凝縮性ガス等の排気ガス等(以下、単に、処理対象物等という)は、処理空間1内を流動しており、一部はマイクロ波照射機構3の導波管30が接続される天板2aのマイクロ波通過口2d近傍にも接近する場合がある。
しかしながら、上述のとおり、処理空間1における処理対象物等が導波管30内に侵入しようとしても、上記圧縮空気PAの常時且つ強制的な流動によりその侵入を良好に防止でき、また、仮に導波管30内に処理対象物等が侵入してもセラミックフィルタ32の近傍に到達することを良好に防止することができる。
また、仮に、セラミックフィルタ32の処理空間1側の表面32aに処理対象物等が付着したとしても、上記圧縮空気PAの常時且つ強制的な流動により、その処理対象物等を良好に剥離することができる。
さらに、圧縮空気供給機構40により供給される圧縮空気PAは、導波管30内において石英ガラス33とセラミックフィルタ32との間を陽圧状態に維持できる程度の上述の流量及び圧力であれば充分であり、比較的簡便で、低コストな構成となる。
また、仮に、処理空間1内の処理対象物等がセラミックフィルタ32を通過したとしても、石英ガラス33によりマイクロ波発振器31側に処理対象物等が侵入することを確実に防止することができる。
上記動作が、バッチ処理における処理の1サイクルである。
(1)上記実施形態では、導波管30内に配設されるフィルタの一例として、マイクロ波透過性の多孔体からなるセラミックフィルタ32を用いた場合について説明したが、当該フィルタとしては、マイクロ波透過性で圧縮ガスをある程度通過させることができる構成あれば、その他のフィルタを採用することができる。例えば、マイクロ波透過性のガラス素材フィルタやテフロンフィルタを用いることができる。
また、上記実施形態では、マイクロ波処理装置50において、有機ハロゲン化合物等(有害物質)の分解処理を行う場合について説明したが、処理空間1内の処理対象物にマイクロ波MWを照射することにより行うことができる処理であれば、特に制限なく処理を行うことができる。
2 筐体
3 マイクロ波照射機構
30 導波管
31 マイクロ波発振器
32 セラミックフィルタ(フィルタ)
32a 処理空間側の表面(セラミックフィルタ)
33 石英ガラス(照射窓)
40 圧縮空気供給機構(ガス供給機構)
41 払落し機構
42 結露防止機構
50 マイクロ波処理装置
MW マイクロ波
PA 圧縮空気(圧縮ガス)
DA 乾燥空気(乾燥ガス)
CA 払落し空気(払落しガス)
Claims (3)
- 内部に処理対象物の処理空間を形成する筐体と、筒状の導波管を介して前記筐体に配設されるマイクロ波発振器とを備え、前記マイクロ波発振器から発振されて前記導波管内を通過したマイクロ波を前記処理空間内の前記処理対象物に照射して処理するマイクロ波処理装置であって、
前記導波管内にマイクロ波透過性のフィルタが配設され、
前記導波管内における前記フィルタのマイクロ波発振器側に圧縮ガスを供給して、前記マイクロ波発振器と前記フィルタとの間を陽圧状態に維持し、前記フィルタを介して当該圧縮ガスを前記処理空間内に流通させるガス供給機構を備え、
前記導波管内における前記マイクロ波発振器と前記フィルタとの間に、マイクロ波透過性の照射窓が配設され、
前記ガス供給機構が、前記圧縮ガスを前記導波管内における前記照射窓と前記フィルタとの間の空間内に供給させ、
前記フィルタが、
マイクロ波吸収性の低いセラミック短繊維を押し固めた繊維構造体のアルミナ(Al 2 O 3 )を単体で焼成したセラミックスを主成分とする多孔体からなるセラミックフィルタ、又は、
マイクロ波吸収性の低いセラミック短繊維を押し固めた繊維構造体のシリカ(SiO 2 )を単体で焼成したセラミックスを主成分とする多孔体からなるセラミックフィルタ、又は、
マイクロ波吸収性の低いセラミック短繊維を押し固めた繊維構造体のアルミナ(Al 2 O 3 )及びシリカ(SiO 2 )を混合して焼成したセラミックスを主成分とする多孔体からなるセラミックフィルタ、又は、
テフロンフィルタであるマイクロ波処理装置。 - 前記導波管内における前記フィルタの処理空間側の表面に向けて、払落しガスを噴射させる払落し機構を備えた請求項1に記載のマイクロ波処理装置。
- 前記導波管内における前記マイクロ波発振器と前記照射窓との間に、乾燥ガスを供給させる結露防止機構を備えた請求項2に記載のマイクロ波処理装置。
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