JP5706731B2 - 柱部材の接続構造および塔状構造物の構築方法 - Google Patents

柱部材の接続構造および塔状構造物の構築方法 Download PDF

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本発明は、柱部材の接続構造および塔状構造物の構築方法に関する。
アンテナを設置するための電波塔等、複数の柱部材を上下方向に連結することにより塔状構造物を構築する場合がある。
このような柱部材同士の接続部は、図4に示すように、柱部材110の端部に一体に形成された円形のフランジ120を、上下に隣り合う他方の柱部材110のフランジ120と重ね合わせた状態で、両フランジ120,120を挿通するボルトB,B,…により締着することにより行うのが一般的である(例えば特許文献1参照)。
特開2008−13951号公報
ところが、前記従来の柱部材の接続構造は、柱部材110の建て方精度を調整する機能を備えるものではないため、柱部材110の製作および施工を高精度に行う必要があった。
その一方、遠心成型による柱部材の製作では、一般的に1/300程度の誤差が発生する可能性があるといわれている。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、建て方精度の調整を簡易に行うことができる柱部材の接続構造および塔状構造物の構築方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明に係る柱部材の接続構造は、上下方向で突き合わされた柱部材同士を接合する柱部材の接続構造において、上側の柱部材の下端部に設けられた上鋼管と、下側の柱部材の上端部に設けられた下鋼管と、前記上鋼管と前記下鋼管との突合せ面全面に当接したレベル調整プレートと、前記上鋼管と前記下鋼管とを連結するスプライスプレートと、を備え、前記レベル調整プレートは、一方の面が他方の面に対して傾斜した形状を有しており、前記上鋼管の外側面には、上下方向に沿って延在する複数の上ガセットプレートが周方向に間隔をあけて設けられており、前記下鋼管の外側面には、上下方向に沿って延在する複数の下ガセットプレートが周方向に間隔をあけて設けられており、上下に隣り合う前記上ガセットプレートおよび前記下ガセットプレートが、一対の前記スプライスプレートによって把持されていることを特徴としている。
かかる柱部材の接続構造によれば、柱部材同士を突き合わせる際に、製作精度や施工方精度に起因する角度ずれが生じていたとしても、レベル調整プレートにより角度ずれが調整されて、高精度に施工することができる。
レベル調整プレートには、柱部材の突合せ面と隙間がほとんど形成されることなく接触しているため、信頼性が高い。
また、ガセットプレートとスプライスプレートとを摩擦接合することで、軸方向で柱部材同士を接合するため、接続部における各部材(ガセットプレート、スプライスプレート、ボルトなど)への負担が小さく、従来のフランジによる接続構造と比較して鋼材量の低減化が可能となる。
また、ガセットプレートおよびスプライスプレートは上下方向に沿って延在するため、軸方向に沿って配設される長尺物の設置の妨げとなることがない。
また、本発明の塔状構造物の構築方法は、下側の柱部材を立設する第一工程と、前記下側の柱部材の上端面に、レベル調整プレートを配置する第二工程と、前記レベル調整プレートの上面に上側の柱部材を配置するとともに当該上側の柱部材を前記下側の柱部材に接続する第三工程と、を備える塔状構造物の構築方法であって、前記レベル調整プレートは、一方の面が他方の面に対して傾斜しているとともに前記柱部材の端面全面が当接可能な平面形状を有しており、前記第二工程では、前記レベル調整プレートを前記下側の柱部材の上端面の上において、回転させることにより当該レベル調整プレートの上面水平になるように設置し、前記第三工程では、前記上側の柱部材の外側面に設けられた上ガセットプレートと前記下側の柱部材の外側面に設けられた下ガセットプレートとを一対のスプライスプレートを利用して摩擦接合することによって前記上側の柱部材と前記下側の柱部材とを連結することを特徴としている。
かかる塔状構造物の構築方法によれば、下側の柱部材に建て方精度のずれが生じていたとしても、レベル調整プレートにより簡易にずれを調整し、上側の柱部材の施工を高精度に行うことができる。
本発明の柱部材の接続構造および塔状構造物の構築方法によれば、塔状の構造物を構築する際の建て方精度を簡易に調整することができる。
(a)は実施の形態に係る柱部材の接続構造を示す側面図、(b)は(a)のX1−X1断面図である。 レベル調整プレートを示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)および(d)は(b)の変形例である。 (a)〜(c)は塔状構造物の構築方法の各施工段階を示す側面図である。 (a)は従来の柱部材の接続構造を示す側面図、(b)は(a)のX2−X2断面図である。
本実施の形態に係る柱部材の接続構造1は、図1の(a)に示すように、上下方向で突き合わされた上側の柱部材(以下、単に「上柱部材」という)10および下側の柱部材(以下、単に「下柱部材」という)20を接合するものである。
上柱部材10および下柱部材20は、突合せ面にレベル調整プレート30が介設された状態で、連結部材40を介して接続されている。
上柱部材10は、図1の(a)および(b)に示すように、コンクリート部分である本体部11と、上鋼管12とを備えて構成された円柱状のプレキャスト部材である。
本体部11の中心部には軸方向に貫通する中空部13が形成されている。なお、中空部13は、必ずしも形成されている必要はない。
本体部11の構成は限定されるものではなく、例えば、鉄筋コンクリートであってもよいし、プレストレスコンクリートであってもよい。
上柱部材10(本体部11)の下端部には、上鋼管12が配設されている。
上鋼管12は、本体部11の下端部の外周囲を覆うように配設されている。なお、上鋼管12は、円形断面であって、外径が本体部11の外径と同じ大きさである。本体部11の下端部は縮径されていて、この縮径部分が上鋼管12内に挿入された状態となっている。
上鋼管12の外側面には、上下方向(軸方向)に沿って延在する複数(本実施形態では4枚)の上ガセットプレート14,14,…が設けられている。複数の上ガセットプレート14,14,…は、周方向に対して等間隔で配設されている。
上ガセットプレート14は、複数のボルト孔14a,14a,…(図3の(c)参照)が形成された鋼板からなり上鋼管12の外側面に溶接接合されている。なお、上ガセットプレート14の形成方法は限定されるものではなく、例えば、押出成型等により上鋼管12と一体に形成してもよい。
ボルト孔14aは、後記するボルトBのボルト径よりも大きな内径を有して形成されていて、角度調整により上ガセットプレート14が連結部材40に対して傾斜していたとしても、ボルトBを挿通できるようになっている。なお、ボルト孔14aは、長穴であってもよい。
なお、上ガセットプレート14の枚数および配置は限定されるものではなく、必要とされる設計剛性および設計耐力に応じて適宜増減させればよい。また、上ガセットプレート14の板厚やボルト孔14aの数も適宜設定すればよい。
下柱部材20は、図1に示すように、コンクリート部分である本体部21と、下鋼管22とを備えて構成された円柱状のプレキャスト部材である。
本体部21の中心部には、軸方向で貫通する中空部23が形成されている。なお、中空部23は、必ずしも形成されている必要はない。
本体部21の構成は限定されるものではなく、例えば、鉄筋コンクリートであってもよいし、プレストレストコンクリートであってもよい。
下柱部材20(本体部21)の上端部には、下鋼管22が配設されている。
下鋼管22は、本体部21の上端部の外周囲を覆うように配設されている。なお、下鋼管22は、円形断面であって、外径が本体部21の外径と同じ大きさである。本体部21の下端部は縮径されていて、この縮径部分が下鋼管22内に挿入された状態となっている。
下鋼管22の外側面には、上下方向(軸方向)に沿って延在する複数(本実施形態では4枚)の下ガセットプレート24,24,…が設けられている。複数の下ガセットプレート24,24,…は、周方向に対して等間隔で配設されている。
下ガセットプレート24は、複数のボルト孔24a,24a,…(図3の(a)参照)が形成された鋼板であり、下鋼管22の外側面に溶接接合されている。なお、下ガセットプレート24の形成方法は限定されるものではなく、例えば、押出成型等により上鋼管22と一体に形成してもよい。
ボルト孔24aは、後記するボルトBのボルト径よりも大きな内径を有して形成されていて、角度調整により下ガセットプレート24が連結部材40に対して傾斜していたとしても、ボルトBを挿通できるようになっている。なお、ボルト孔24aは長穴であってもよい。
なお、下ガセットプレート24の数および配置は、上ガセットプレート14に応じて設定する。つまり、下ガセットプレート24の数は、上ガセットプレート14と同数であり、周方向に対して等間隔となるように配置されている。また、下ガセットプレート24の板厚やボルト孔24aの数等は、適宜設定すればよい。
上柱部材および下柱部材(以下、単に「柱部材10,20」と称する場合がある)は、遠心成形により形成されている。
柱部材10,20の形成は、上ガセットプレート14が固着された上鋼管12を型枠の一端部にセットするとともに、下ガセットプレート24が固着された下鋼管22を型枠の他端部にセットして、所定の配筋を行った後、型枠内にコンクリートを打設して遠心成形することにより行う。なお、柱部材10,20は、必ずしも上鋼管12および下鋼管22の両方を備える必要はない。
レベル調整プレート30は、所定の厚みを有した鋼板であって、柱部材10,20の突合せ面全面が当接可能となるように、図2の(a)に示すように、柱部材10,20の外形と同等の平面形状(円形)を有している。
本実施形態では、レベル調整プレート30の中央部に、柱部材10,20の中空部13,23と同形状の貫通孔31が形成されている。
レベル調整プレート30は、図2の(b)〜(d)に示すように、下柱部材20の上端面に載置した状態で、レベル調整プレート30の上面が水平となるように、その厚さ(t〜t)が調整されている。つまり、レベル調整プレート30として、上下面が平行となったもの(図2の(a)参照)の他、上下面の一方の面(図2では下柱部材20側の面)が他方の面(図2では上柱部材10側の面)に対して傾斜したもの(図2の(c)、(d)参照)が使用されている。
本実施形態では、レベル調整プレート30に、施工時に吊持することが可能となるように、揚重用の係止孔32,32,32を形成しておく。なお、係止孔32は、必要に応じて形成すればよく、必ずしも形成する必要はない。
連結部材40は、図1の(a)および(b)に示すように、上下に隣り合う上ガセットプレート14および下ガセットプレート24を把持する一対のスプライスプレート41,41により構成されている。
スプライスプレート41は、ガセットプレート14,24のボルト孔14a,24aの位置に応じて、複数のボルト孔(図示せず)が形成された鋼板である。
一対のスプライスプレート41は、上下に隣り合う上ガセットプレート14および下ガセットプレート24を挟んだ状態で、ボルトBにより締着されることで、上下の柱部材10,20を連結している。すなわち、スプライスプレート41の上半部は上ガセットプレート14にあてがわれ、スプライスプレート41の下半部は下ガセットプレート24にあてがわれる。
以下、本実施形態の塔状構造物の構築方法について説明する。
塔状構造物の構築方法では、まず、図3の(a)に示すように、図示しない基礎または既存の柱部材の上端面に下柱部材20を立設する(第一工程)。
下柱部材20の立設は、柱軸がなるべく垂直になるように行う。
次に、図3の(b)に示すように、立設された下柱部材20の上端面にレベル調整プレート30を配置する(第二工程)。
なお、本実施形態では、上面に対する下面の傾斜角度(0°も含む)が異なる複数種のレベル調整プレート30,30,…を予め製造しておく。
まず、下柱部材20の上端面の水平度等を計測し、この下柱部材20の建て方精度に応じたレベル調整プレート30を複数のレベル調整プレート30の中から選定し、このレベル調整プレート30を下柱部材20の上面に配置する。
つまり、図3の(a)に示すように、下柱部材20の製造精度や建て方精度により、下柱部材20の上端面が水平線HLに対して傾斜している場合には、上下面の一方の面が他方の面に対して傾斜しているレベル調整プレート30(図2の(c)または(d))を選んで配置する。一方、下柱部材20の上端面が水平線HLと略平行する場合は、上面と下面が平行に形成されたレベル調整プレート30(図2の(b)参照)を配置すればよい。
下柱部材20の上面にレベル調整プレート30を配置したら、図3の(b)に示すように、レベル調整プレート30の上面が水平線HLと平行になるように、レベル調整プレート30を下柱部材20の軸心を中心に回転させる。
次に、図3の(c)に示すように、水平面を呈するレベル調整プレート30の上面に上柱部材10を立設する(第三工程)。
上柱部材10をレベル調整プレート30の上面に配置したら、上下に隣り合う上ガセットプレート14および下ガセットプレート24を一対のスプライスプレート41,41により挟むとともにボルトB,B,…を締着することで、上柱部材10と下柱部材20とを連結する(図1の(a)参照)。
以下、第二工程、第三工程を繰り返すことにより、所望の高さの塔状構造物を構築する。
本実施形態の柱部材の接合構造によれば、下柱部材が製造精度または建て方精度により傾斜していたとしても、レベル調整プレート30により傾斜を打ち消すことができるため、高品質に塔状構造物を構築することができる。
レベル調整プレート30は、上下の柱部材10,20と隙間が形成されることなく略全面的に接触しているため、上下の柱部材10,20間で軸力が伝達される。また、接合部において変形やゆるみが生じる可能性が低く、信頼性の高い接合構造が構築さえる。
レベル調整プレート30を下柱部材20の上面で回転させることで、簡易に角度調整(誤差修正)をすることができる。
また、上下方向に沿って形成されたガセットプレート14,24をスプライスプレート41,41により把持することで接合するため、接合部が上下方向に沿って配設される長尺物(例えば、はしごや電線等)の設置の妨げとなることがない。
スプライスプレート41,41による摩擦接合で上柱部材10と下柱部材20を接合するため、部分的に応力が集中することが抑制され、信頼性が高い。
また、上下のガセットプレート14,24と一対のスプライスプレート41,41により曲げ耐力を確保しているため、高性能の塔状構造物が構築される。
ボルト接合による乾式接合なため、充填材等の硬化を待つことなく、ボルトの締め付けが完了すれば次の作業工程を実施することができ、施工性に優れている。
また、既設部材を組み合わせて構築するため、施工性に優れている。
以上、本発明について、好適な実施形態について説明した。しかし、本発明は、前述の各実施形態に限られず、前記の各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能であることはいうまでもない。
レベル調整プレートの形状(平面形状や厚み)は限定されるものではなく、柱部材の形状に応じて適宜形成すればよい。
レベル調整プレートは、上側の柱部材や下側の柱部材に対して固定していてもよい。
柱部材同士の接合は、ガセットプレートとスプライスプレートを利用したものに限定されるものではない。
また、上鋼管および下鋼管を覆うカバー部材を配置してもよいし、当該カバー部材はスプライスプレートと一体に形成されていてもよい。
1 柱部材の接続構造
10 上側の柱部材
12 上鋼管
14 上ガセットプレート
20 下側の柱部材
22 下鋼管
24 下ガセットプレート
30 レベル調整プレート
40 連結部材
41 スプライスプレート

Claims (2)

  1. 上下方向で突き合わされた柱部材同士を接合する柱部材の接続構造において、
    上側の柱部材の下端部に設けられた上鋼管と、
    下側の柱部材の上端部に設けられた下鋼管と、
    前記上鋼管と前記下鋼管との突合せ面全面に当接したレベル調整プレートと、
    前記上鋼管と前記下鋼管とを連結するスプライスプレートと、を備え、
    前記レベル調整プレートは、一方の面が他方の面に対して傾斜した形状を有しており、
    前記上鋼管の外側面には、上下方向に沿って延在する複数の上ガセットプレートが周方向に間隔をあけて設けられており、
    前記下鋼管の外側面には、上下方向に沿って延在する複数の下ガセットプレートが周方向に間隔をあけて設けられており、
    上下に隣り合う前記上ガセットプレートおよび前記下ガセットプレートが、一対の前記スプライスプレートによって把持されていることを特徴とする、柱部材の接続構造。
  2. 下側の柱部材を立設する第一工程と、
    前記下側の柱部材の上端面に、レベル調整プレートを配置する第二工程と、
    前記レベル調整プレートの上面に上側の柱部材を配置するとともに当該上側の柱部材を前記下側の柱部材に接続する第三工程と、を備える塔状構造物の構築方法であって、
    前記レベル調整プレートは、一方の面が他方の面に対して傾斜しているとともに前記柱部材の端面全面が当接可能な平面形状を有しており、
    前記第二工程では、前記レベル調整プレートを前記下側の柱部材の上端面の上において、回転させることにより当該レベル調整プレートの上面水平になるように設置し、
    前記第三工程では、前記上側の柱部材の外側面に設けられた上ガセットプレートと前記下側の柱部材の外側面に設けられた下ガセットプレートとを一対のスプライスプレートを利用して摩擦接合することによって前記上側の柱部材と前記下側の柱部材とを連結することを特徴とする、塔状構造物の構築方法。
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