JP3964288B2 - 鉄骨鉄筋コンクリート建造物用基礎鋼構造体及び鉄骨鉄筋コンクリート建造物の建築方法 - Google Patents
鉄骨鉄筋コンクリート建造物用基礎鋼構造体及び鉄骨鉄筋コンクリート建造物の建築方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄骨鉄筋コンクリート工法建造物の造柱や造梁のコア材を構成する基礎鋼構造体及びこの基礎鋼構造体を用いた鉄骨鉄筋コンクリート建造物の建築方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンクリート建造物の施工法として、例えば鉄骨工法(S工法)、鉄筋コンクリート工法(RC工法)或いは鉄骨鉄筋コンクリート工法(以下、SRC工法と称する。SRC:Steel framed Reinforced Concrete工法)等が採用されている。例えば、SRC工法は、中層或いは高層のコンクリート建造物を建設する際に採用され、一般に図6に示したH形鋼からなる鉄骨材100が用いられる。鉄骨材100は、ウェブ101の両側端部に互いに平行に対峙して一対のフランジ部102a、102bが一体に形成されてなる。
【0003】
SRC工法は、図7に示すように鉄骨材100に対して例えば保持プレート115等を介して相互に所定の間隔を保持して複数本の主筋103を組み合わせるとともに、これら主筋103の外周部に相互に所定の間隔を保持して多数本のフープ筋材104を巻き付けて基礎鋼構造体105が構成され、この基礎鋼構造体105がコア材として用いられる。基礎鋼構造体105は、例えば基礎106やキャピタル上に立設される。
【0004】
SRC工法においては、基礎鋼構造体105に対して、その外周部を囲むようにして型枠107が設置される。型枠107は、所定の被り厚さのコンクリート部が形成されるように、基礎鋼構造体105に対して所定の間隔を保持して設置され、内部にキャビティ108を構成する。SRC工法においては、型枠107のキャビティ108内にコンクリートが打設され、適当な養生期間を経て脱型が行われることにより造柱が行われる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、SRC工法においては、造柱用基礎鋼構造体105に対して、梁用基礎鋼構造体が接続されてスラブ形成が行われる。造柱用基礎鋼構造体105には、このために図6に示すように鉄骨材100のフランジ部102a、102bに対してそれぞれ梁用の鉄骨材109a、109bが溶接や適宜のアングル等を介して接合される。なお、梁用鉄骨材109a、109bにも、主鉄筋材やフープ筋材104の組付が施される。SRC工法は、鉄骨材100と梁用鉄骨材109a、109bとがしっかりと溶接接合されることから、RC工法等と比較して耐剪断応力特性の向上が図られるようになる。
【0006】
一方、従来の造柱用基礎鋼構造体105においては、図6に示すように鉄骨材100のフランジ部102a、102b間に、例えば梁用鉄骨材109a、109bの接合部位に対応した位置に水平スチフナ110が接合されて補強が行わていた。したがって、造柱用基礎鋼構造体105においては、鉄骨材100や梁用鉄骨材109a、109bの加工工程とともに水平スチフナ110の溶接工程も必要となっていた。また、造柱用基礎鋼構造体105においては、同図に示すように鉄骨材100に対して左右の梁用鉄骨材109a、109bが高さ位置を異にして接合される場合に、それぞれに対応して水平スチフナ110を接合しなければならなかった。さらに、造柱用基礎鋼構造体105においては、上述したように鉄骨材100に水平スチフナ110を接合することによって、ウェブ101とフランジ部102a、102bとの間に構成される空間部がデッドスペースとなっていた。
【0007】
図8に示した鉄骨材120は、例えば住友金属工業株式会社製のSRC造柱用肉厚ウェブH形鋼「SM−TWH」である。この鉄骨材120は、ウェブ121を肉厚に形成して機械的強度の向上が図られた圧延H形鋼であり、梁用鉄骨材109a、109bの接合部位に対応するフランジ部122a、122b間に水平スチフナ110を不要として構造の簡易化や加工工数或いは溶接工数の削減等を図るといった特徴を有している。また、鉄骨材120は、水平スチフナ110を不要とすることによって軸方向の障害物が無くなり、コンクリートの打設が良好に行われるといった特徴を有している。
【0008】
しかしながら、かかる鉄骨材120を用いたSRC工法においても、従来と同様に現場において、鉄骨材120や梁用鉄骨材109a、109bの加工やこれらの溶接工程或いは主鉄筋材やフープ筋材、スタラップ材の組付工程が必要であった。鉄骨材120を用いたSRC工法も、上述した工程とともに型枠設置工程やコンクリート打設工程とがそれぞれ段取りよく行われなければならなかった。鉄骨材120を用いたSRC工法も、施工性を充分に改善するに至らず、高所における各作業に伴う安全性の確保や安定した品質特性等の問題が残っていた。
【0009】
本発明は、H形鋼からなる鉄骨材を用い、この鉄骨材に予め主鉄筋材を組み付けて構成し、工場生産化と現地搬入による据付化とを実現して施工性の改善と主鉄筋材等の高精度の組立化を図る鉄骨鉄筋コンクリート建造物用基礎鋼構造体及び鉄骨鉄筋コンクリート建造物の建築方法を提供することを目的に提案されたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成する本発明にかかる鉄骨鉄筋コンクリート建造物用基礎鋼構造体は、少なくとも鉄骨材と、多数個のガイド部材と、多数本の主鉄筋材とから構成される。鉄骨鉄筋コンクリート建造物用基礎鋼構造体は、鉄骨材としてウェブの両側端部に互いに平行に対峙するフランジ部が形成されたH形鋼が用いられる。鉄骨鉄筋コンクリート建造物用基礎鋼構造体は、少なくとも主梁部と、この主梁部の両端に折曲形成された支点部とからなる多数個のガイド部材が用いられ、このガイド部材が鉄骨材に対して、支点部が鉄骨材のウェブ又はフランジ部或いはウェブとフランジ部に長さ方向に対してそれぞれ所定の間隔を以って支持されることにより主梁部がウェブ又はフランジ部の主面と所定の対向間隔を保持されて組み付けられる。鉄骨鉄筋コンクリート建造物用基礎鋼構造体は、多数本の主鉄筋材が、ガイド部材の主梁部に相互に所定の間隔を保持されて取り付けられることにより、ウェブ或いはフランジ部の主面に対してそれぞれ所定の対向間隔を保持される。
【0011】
鉄骨鉄筋コンクリート建造物用基礎鋼構造体は、各ガイド部材が、支点部を鉄骨材のウェブ又はフランジ部或いはウェブとフランジ部に対して回動自在に支持されて組み付けられてなる。鉄骨鉄筋コンクリート建造物用基礎鋼構造体は、各ガイド部材が、支点部を介して、それぞれ鉄骨材に対して各主鉄筋材をウェブ又はフランジ部側に接近させた折り畳み状態と離間させた展開状態とに回動操作されることにより、主梁部を介して鉄骨材に対して主鉄筋材を接離自在とさせる。
【0012】
以上のように構成された本発明にかかる鉄骨鉄筋コンクリート建造物用基礎鋼構造体によれば、鉄骨材にウェブを横切る多数個のスチフナを不要とすることから、主鉄筋材が、ウェブ又はフランジ部に対してガイド部材を介して予め位置決めされて組み付けられた構成となる。したがって、鉄骨鉄筋コンクリート建造物用基礎鋼構造体によれば、各主鉄筋材の相互の間隔や鉄骨材のウェブやフランジ部に対する対向間隔が精密に規定されて構成されることから、現場において熟練を要せずに精密に組み立てられて所定箇所に設置される。鉄骨鉄筋コンクリート建造物用基礎鋼構造体によれば、現場における鉄骨材の加工工程や組立工程と、各主鉄筋材の組付工程とを統合することが可能となり施工効率の向上が図られるとともに、例えば高所における各作業に伴う安全性が確保され安定した品質特性が得られるようになる。
【0013】
また、鉄骨鉄筋コンクリート建造物用基礎鋼構造体によれば、ガイド部材を接近状態と直交状態とに回動操作することによって主梁部や支点部を介して各主鉄筋材が鉄骨材のウェブ又はフランジ部に対して接離する構成となる。鉄骨鉄筋コンクリート建造物用基礎鋼構造体によれば、工場において予め生産され、各ガイド部材を鉄骨材側に回転させて各主鉄筋材をウェブやフランジ部側に接近させたいわゆる折り畳み状態とすることが可能であることから、簡易な方法により工場から建設現場へと搬入することが可能とされる。鉄骨鉄筋コンクリート建造物用基礎鋼構造体によれば、現場において所定箇所に設置された状態で各ガイド部材を回転操作して各主鉄筋材をウェブやフランジ部から離間させるいわゆる展開状態とすることによって、各主鉄筋材の相互の間隔や鉄骨材のウェブやフランジ部に対する対向間隔が熟練を要せずに精密に組み立てが行われる。
【0014】
鉄骨鉄筋コンクリート建造物用基礎鋼構造体によれば、鉄骨材のウェブとフランジ部との間に長さ方向の全域に亘って邪魔の無い空間部が構成されることで、この空間部を利用して例えば各種の配管等の組付も可能とされるようになる。したがって、鉄骨鉄筋コンクリート建造物用基礎鋼構造体によれば、所定の鉄骨材に対して工場において予め各種の配管の組立も行われて建築現場へと搬入されることで施工効率の向上が図られるとともに空間効率の効率化を図ったコンクリート建造物の建築を可能とする。
【0015】
また、上述した目的を達成する本発明にかかる鉄骨鉄筋コンクリート建造物の建築方法は、ウェブの両側端部に互いに平行に対峙してフランジ部が形成されたH形鋼からなる鉄骨材が用いられて工場生産された基礎鋼構造体が用いられ、この基礎鋼構造体が建築現場に搬入されて据え付けが行われる。鉄骨鉄筋コンクリート建造物の建築方法は、少なくとも主梁部の両端に支点部を折曲形成してなる多数個のガイド部材を、支点部を鉄骨材のウェブ又はフランジ部或いはウェブとフランジ部に対して長さ方向にそれぞれ所定の間隔を以って回動自在に支持して主梁部とウェブ又はフランジ部とを所定の対向間隔に保持するように組み付ける工程と、各ガイド部材の主梁部に対して多数本の主鉄筋材を相互に所定の間隔を保持して取り付けてウェブ或いはフランジ部と所定の間隔が保持されるように取り付ける工程とを経て、基礎鋼構造体が工場生産される。鉄骨鉄筋コンクリート建造物の建築方法は、鉄骨材に対して各ガイド部材が支点部を介して主梁部をウェブ又はフランジ部側に回動されることによって、主梁部を介して各主鉄筋材をウェブ又はフランジ部側に寄せた状態で建築現場に搬入する工程と、鉄骨材の基端部を所定の土台に設置或いは既設の柱に接続する工程と、鉄骨材に対して各ガイド部材が支点部を介して主梁部をウェブ又はフランジ部から離間するように回動されて主梁部を介して各主鉄筋材がウェブ又はフランジ部と所定の間隔を以って対向される工程とを経て、基礎鋼構造体を据え付けする。
【0016】
以上の工程を有する本発明にかかる鉄骨鉄筋コンクリート建造物の建築方法によれば、工場生産されたH形鋼からなる鉄骨材とガイド部材と主鉄筋材とからなる基礎鋼構造体が現場搬入されて据え付けが行われることから、現場における鉄骨材の加工工程や組立工程と、各主鉄筋材の組付工程とが統合されることで施工効率の向上が図られるとともに、例えば高所における各作業に伴う安全性が確保されるようになる。鉄骨鉄筋コンクリート建造物の建築方法によれば、基礎鋼構造体が各ガイド部材を鉄骨材側に回動させて各主鉄筋材をウェブやフランジ部側に接近させたいわゆる折り畳み状態とすることが可能であることから、工場から建設現場への搬入を簡易に行うことが可能とされる。
【0017】
鉄骨鉄筋コンクリート建造物の建築方法によれば、基礎鋼構造体が現場において所定位置に設置された状態で各ガイド部材を回動操作して各主鉄筋材をウェブやフランジ部から離間させるいわゆる展開状態とされることにより、各主鉄筋材が相互の間隔や鉄骨材のウェブ或いはフランジ部に対する対向間隔が熟練を要せずに精密に組立られるようになる。鉄骨鉄筋コンクリート建造物の建築方法によれば、現場における鉄骨材の加工工程や組立工程或いは各主鉄筋材の組付工程とが統合されて基礎鋼構造体が簡易に組み立てられることから施工効率の向上が図られるとともに、例えば高所における各作業に伴う安全性が確保され安定した品質特性が得られるようになる。
【0018】
鉄骨鉄筋コンクリート建造物の建築方法によれば、スチフナを不要としてウェブとフランジ部との間に長さ方向の全域に亘って邪魔の無い空間部が構成される鉄骨材が用いられることで、この空間部を利用して所定の鉄骨材に対して工場において予め各種の配管等の組付が行われる。鉄骨鉄筋コンクリート建造物の建築方法によれば、配管等の組付を行った鉄骨材を工場から建築現場へと搬入して施工を行うことで、配管工程を簡易化して施工効率の向上が図られるとともに空間効率の効率化を図ったコンクリート建造物の建築を可能とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。実施の形態として示した基礎鋼構造体1(以下、構造体1と略称する。)は、SRC工法のコンクリート建造物の造柱用のコア材として用いられ、工場において建造物の仕様に応じて生産され、建築現場に搬入されて据え付けされる。構造体1は、図1乃至図3に示すように、ウェブ3の両側端部に長さ方向の全域に亘って平行に対峙する第1のフランジ部4と第2のフランジ部5とがそれぞれ一体に形成されたH形圧延鋼からなる鉄骨材2が用いられる。
【0020】
構造体1は、図1乃至図3に示すように、鉄骨材2に組み付けられる複数個の第1のガイド部材6及び第2のガイド部材7と、第1のガイド部材6に組み付けられる多数本の第1の主鉄筋材8と、第2のガイド部材7に組み付けられる多数個の第2の主鉄筋材9とを備えている。
【0021】
構造体1は、詳細を後述するように鉄骨体2に設けられて各第1のガイド部材6を回動自在に支持する第1の軸受ブラケット10と、各第2のガイド部材7を回動自在に支持する第2の軸受ブラケット11とを備えている。構造体1には、詳細を後述するように、各主鉄筋材8、9の外周部を周回して取り付けられる多数本のフープ鉄筋材12を備えている。なお、フープ鉄筋材12については、詳細を後述するようにそれぞれを固定しない状態で構造体1に組み合わせ、構造体1を据え付けた状態で所定位置へと移動して溶接等により固定して取り付けが行われる。
【0022】
SRC工法のコンクリート建造物においては、所定の強度を有する鉄骨材2が用いられるとともに、各主鉄筋材8、9やフープ鉄筋材12が鉄骨材2との取り合い、コンクリートの充填性、被り厚さ等の条件が規定されて組み付けられる。構造体1は、詳細を後述するように第1のガイド部材6と第2のガイド部材7を介して、鉄骨材2に対して第1の主鉄筋材8と第2の主鉄筋材9及びフープ鉄筋材12とがそれぞれ精密に位置決めして取り付けられた構造となっている。
【0023】
鉄骨材2には、ウェブ3の板厚Wがフランジ部4、5の板厚よりも大きい、上述した住友金属工業株式会社製のSRC造柱用肉厚ウェブH形鋼「SM−TWH」が用いられる。鉄骨材2は、例えばコンクリート建造物の1階分の高さよりもやや長尺とされ、図3に示すように梁用の鉄骨材13、14を取り付けるプレート15等の接続用金具が溶接されている。
【0024】
鉄骨材2には、第1のフランジ部4及び第2のフランジ部5の外側面に第1の軸受ブラケット10が溶接等によって取り付けられ、また第1のフランジ部4及び第2のフランジ部5の内側面に第2の軸受ブラケット11が溶接等によって取り付けられている。第1の軸受ブラケット10は、鉄骨材2に対して幅方向に離間してそれぞれ取り付けられた一対の軸受ブラケット10a、10bを1組として、図1に示すように長さ方向に対して所定の間隔を以って複数組が取り付けられている。第1の軸受ブラケット10は、詳細を省略するがそれぞれ側面方向に開口する支持孔を有しており、この支持孔に嵌合された第1のガイド部材6を回動自在に支持する。
【0025】
第1のガイド部材6は、それぞれ主梁部16と、この主梁部16の両端に直交して一体に折曲形成された一対の支点部17、18とからなり、各支点部17、18が互いに同一形状に形成されるとともに所定の長さ位置において主梁部16と対向するように直交して折曲形成されることによって略L字状を呈することにより、全体として略C字状を呈してなる。主梁部16は、軸長が第1のフランジ部4や第2のフランジ部5の幅よりも大きく形成されている。支点部17、18は、先端部の対向間隔が上述した一対の軸受ブラケット10a、10bの対向間隔とほぼ等しい。
【0026】
第1のガイド部材6は、図1及び図2に示すように支点部17、18の先端部をそれぞれ第1の軸受ブラケット10の支持孔に嵌合することによって、鉄骨材2の第1のフランジ部4及び第2のフランジ部5の外側面に回動自在に組み付けられる。なお、第1のガイド部材6は、支点部17、18が第1のフランジ部4或いは第2のフランジ部5に対して直交して主梁部16を水平状態とした位置で停止されるように、第1の軸受ブラケット10に回動自在に支持される。第1のガイド部材6は、上述したように第1の軸受ブラケット10が鉄骨材2に、長さ方向に対して所定の間隔を以って複数組が取り付けられていることによって、第1のフランジ部4及び第2のフランジ部5の外側面に長さ方向に対して所定の間隔を以って組み付けられる。
【0027】
第1のガイド部材6には、詳細を後述するように主梁部16に互いに所定の間隔を以って所定本数の第1の主鉄筋材8が取り付けられる。第1のガイド部材6は、第1の軸受ブラケット10に支点部17、18が回動自在に支持され、折り畳んだ状態と展開した状態とに回動操作することによって主梁部16が第1のフランジ部4又は第2のフランジ部5に対して接離される。したがって、第1のガイド部材6は、主梁部16を鉄骨材2から離間させた展開状態において、第1のフランジ部4又は第2のフランジ部5と第1の主鉄筋材8とが所定の対向間隔に保持されるようにする。
【0028】
第1のガイド部材6には、図1及び図2に示すように主梁部16の内側面に所定の外径と鉄骨材2と同等の長さを有する第1の主鉄筋材8が、例えば溶接等によって固定されて取り付けられている。第1の主鉄筋材8は、図2に示すように第1のガイド部材6の主梁部16に対してその両端位置と、これらから内側の所定間隔の位置に合計4本が取り付けられている。第1の主鉄筋材8は、具体的には鉄骨材2の第1のフランジ部4及び第2のフランジ部5からそれぞれ側方へと突出した位置に取り付けられている。勿論、第1の主鉄筋材8は、コンクリート建物の仕様に応じて第1のガイド部材6に取り付ける本数が適宜設定される。
【0029】
第2の軸受ブラケット11も、鉄骨材2に対して幅方向に離間して取り付けられた一対の軸受ブラケット11a、11bを1組として、図1に示すように長さ方向に対して所定の間隔を以って複数組が取り付けられている。各第2の軸受ブラケット11も、詳細を省略するがそれぞれ側面方向に開口する支持孔を有しており、この支持孔に後述する支点部20、21を嵌合することにより第2のガイド部材7を回動自在に支持する。
【0030】
第2のガイド部材7も、それぞれ主梁部19と、この主梁部19の両端に直交して一体に折曲形成された一対の支点部20、21とからなり、全体略コ状を呈している。第2のガイド部材7は、主梁部19がその軸長を鉄骨材2のウェブ3の幅よりもやや短くされるとともに、各支点部20、21が第1のフランジ部4或いは第2のフランジ部5のウェブ3からの突出量よりも大きくかつ先端部の対向間隔が上述した第2の軸受ブラケット11a、11bの対向間隔とほぼ等しく形成されている。
【0031】
第2のガイド部材7は、図1及び図2に示すように支点部20、21の先端を第2の軸受ブラケット11の支持孔にそれぞれ嵌合することによって、鉄骨材2の第1のフランジ部4及び第2のフランジ部5の内側面にウェブ3と対向して回動自在に組み付けられる。なお、第2のガイド部材7も、支点部20、21がウェブ3に対して直交して主梁部19を水平状態とした位置で停止されるように、第2の軸受ブラケット11に回動自在に支持される。
【0032】
第2のガイド部材7は、上述したように第2の軸受ブラケット11が鉄骨材2に、長さ方向に対して所定の間隔を以って複数組が取り付けられることによりウェブ3に沿って長さ方向に所定の間隔を以って組み付けられる。第2のガイド部材7は、主梁部19を鉄骨材2から離間させた展開状態において、図2に示すように主梁部19が第1のガイド部材6の支点部17或いは支点部18と同一軸線上に位置するように各支点部20、21の長さが規定されている。
【0033】
第2のガイド部材7には、詳細を後述するように主梁部19に互いに所定の間隔を以って所定本数の第2の主鉄筋材9が取り付けられる。第2のガイド部材7は、第2の軸受ブラケット11に支点部20、21が回動自在に支持され、折り畳んだ状態と展開した状態とに回動操作することによって主梁部19がウェブ3に対して接離される。したがって、第2のガイド部材7は、主梁部19を鉄骨材2から離間させるように回動操作された展開状態で、ウェブ3と第2の主鉄筋材9とが所定の対向間隔に保持されるようにする。
【0034】
第2のガイド部材7には、図1及び図2に示すように主梁部19の内側面に所定の外径と鉄骨材2と同等の長さを有する第2の主鉄筋材9が、例えば溶接等によって固定されて取り付けられている。第2の主鉄筋材9は、図2に示すように第2のガイド部材7の主梁部19に対してその両端位置に合計2本が取り付けられている。第2の主鉄筋材9は、第2のガイド部材7が展開された状態において、同図に示すように第1のガイド部材6の両端側に位置された第1の主鉄筋材8と同一軸線上に配置されて取り付けられている。
【0035】
なお、構造体1においては、鉄骨材2の第1のフランジ部4と第2のフランジ部5の外側面に第1のガイド部材6と第2のガイド部材7をそれぞれ回動自在に支持したが、かかる構成に限定されるものではないことは勿論である。構造体1は、必要に応じてウェブ3の表裏主面や第1のフランジ部4と第2のフランジ部5の内側面に第1のガイド部材6と第2のガイド部材7をそれぞれ回動自在に支持するようにしてもよい。
【0036】
以上のように構成された構造体1は、鉄骨材2に対して第1のガイド部材6と第2のガイド部材7とを展開した状態において、鉄骨材2の外周部に、第1の主鉄筋材8と第2の主鉄筋材9とが互いに所定の間隔に保持されるとともに所定の対向間隔を以って配置される。構造体1は、第1の主鉄筋材8及び第2の主鉄筋材9の外周部に互いに所定の間隔を以って図1及び図2に鎖線で示すようにフープ鉄筋材12が取り付けられる。
【0037】
フープ鉄筋材12は、構造体1を基礎に据え付けた状態において第1の主鉄筋材8及び第2の主鉄筋材9に対してそれぞれ所定の位置に溶接等によって固定される。フープ鉄筋材12は、後述するように構造体1の搬送時に第1の主鉄筋材8と第2の主鉄筋材9とが鉄骨材2側に接近させられることから、構造体1に固定されない状態で組み付けられる。フープ鉄筋材12は、図3に示すように各第1のガイド部材6や第2のガイド部材7間に配置されるべき所定本数が予め非固定状態で組み付けられる。なお、フープ鉄筋材12については、例えば構造体1を基礎に据え付ける際に、この基礎上に予め所定本数が重ね合わされて積み上げられており、順次所定の高さ位置まで移動させて第1の主鉄筋材8や第2の主鉄筋材9に固定するようにしてもよい。
【0038】
以上のように構成された構造体1は、ウェブ3を横切る多数個のスチフナを不要とする鉄骨材2が用いられ、ウェブ3或いは第1のフランジ部4や第2のフランジ部5に対してそれぞれ第1のガイド部材6及び第2のガイド部材7を介して通しの第1の主鉄筋材8と第2の主鉄筋材9とが予め精密に位置決めされて組み付けられている。構造体1は、第1の主鉄筋材8及び第2の主鉄筋材9が、相互の間隔や鉄骨材2のウェブ3或いは第1のフランジ部4や第2のフランジ部5との対向間隔が規定されて構成されている。
【0039】
したがって、構造体1は、従来のように建設現場において鉄骨工による鉄骨材2の据付け工程や熟練を要する鉄筋工による主鉄筋材やフープ鉄筋材の組付工程等を、熟練を要せず合理化が図られて所定箇所に実施することが可能であり、高精度の造柱を行うとともに工期の大幅な短縮を図るようにする。構造体1によれば、例えば高層階の造柱であっても、面倒かつ精密な鉄筋工程が不要となることで、高所における各作業に伴う安全性を確保しかつ安定した品質特性が得られるようにする。
【0040】
構造体1は、上述したように工場において生産されて建築現場へと搬入されて据え付けが行われる。構造体1の生産工程は、鉄骨材2に対して所定の加工を施した後に、第1のフランジ部4や第2のフランジ部5に対して第1の軸受ブラケット10や第2の軸受ブラケット11を溶接により固定する軸受ブラケット取付工程を有する。軸受ブラケット取付工程は、第1の軸受ブラケット10や第2の軸受ブラケット11を構造体1に対して高精度に固定する必要は無く、鉄骨材2に施す適宜の加工と同時に行うことが可能である。
【0041】
構造体1の生産工程は、第1の軸受ブラケット10及び第2の軸受ブラケット11に対してそれぞれ第1のガイド部材6と第2のガイド部材7とを組み付けるガイド部材組付工程を有する。ガイド部材組付工程においては、各第1のガイド部材6を支点部17、18を拡げて第1の軸受ブラケット10に対して組み合わせるとともに、各第2のガイド部材7を支点部20、21を拡げて第2の軸受ブラケット11に対して組み合わせることにより極めて簡易に行われる。
【0042】
構造体1の生産工程は、第1のガイド部材6と第2のガイド部材7とに対して第1の主鉄筋材8と第2の主鉄筋材9をそれぞれ取り付ける主鉄筋材取付工程を有する。主鉄筋材取付工程は、所定本数の第1の主鉄筋材8を各第1のガイド部材6に連通させて組み合せた後に、第1のガイド部材6の主梁部16に対して第1の主鉄筋材8を1本ずつ位置決めしながら溶接により固定することによって取り付ける。主鉄筋材取付工程は、同様にして第2のガイド部材7の主梁部19に対して第2の主鉄筋材9を位置決め固定する。
【0043】
構造体1の生産工程においては、上述した工程に限定されず例えば主鉄筋材取付工程を施した第1のガイド部材6と第1の主鉄筋材8の組立体及び第2のガイド部材7と第2の主鉄筋材9の組立体に対してそれぞれ第1の軸受ブラケット10と第2の軸受ブラケット11とを組み付けた後に、これらを鉄骨材2に取り付けるようにしてもよい。構造体1の生産工程においては、上述したようにウェブ3が肉厚に形成されて水平スチフナを不要とする鉄骨材2を用いることによって、ウェブ3と対向して配置される第2の主鉄筋材9を上述したようにいわゆる通し状態で予め取り付けることが可能とされる。
【0044】
上述した工場内における構造体1の生産工程は、1階分の長さを有する鉄骨材2を横に寝かせた状態で各工程が施されることから、取り扱いが簡易であるとともに安全性も確保されるようになる。また、構造体1の生産工程は、鉄骨材2に対して第1の主鉄筋材8と第2の主鉄筋材9とを精密に位置決めして組み付けることから、精度の高い構造体1の製作を可能とする。
【0045】
構造体1は、上述した工程を経て、工場から建設現場への搬送が行われる。構造体1の搬送工程においては、前工程として図1に矢印で示すように各第1のガイド部材6と第2のガイド部材7とをそれぞれ鉄骨材2側へと回動操作するガイド部材回動工程を有する。ガイド部材回動工程は、構造体1を全体として鉄骨材2よりもやや大きな外形状態まですぼめた状態とすることから、容積を低減してトラック等による搬送が容易に行われるようにする。また、ガイド部材回動工程は、構造体1が、鉄骨材2に対して第1の主鉄筋材8や第2の主鉄筋材9を接近させるとともに第1のガイド部材6や第2のガイド部材7に固定されていることから、搬送時等において過大な力が加えられた場合でも第1の主鉄筋材8や第2の主鉄筋材9がずれたり変形したりすることを抑制する。
【0046】
構造体1は、建築現場に搬入されると図3に示すように所定の型枠保持部材22に垂直状態で据え付けられる。構造体1の据付け工程は、従来一般に行われている場合と同様に、例えばクレーン等で構造体1を吊り上げた状態で基礎に設けたアンカー等に対して型枠保持部材22を介して鉄骨材2の基部を固定する。据付け工程においては、この状態で鉄骨材2に対して各第1のガイド部材6及び第2のガイド部材7の回動操作が行われる。構造体1は、第1のフランジ部4と第2のフランジ部5及びウェブ3の外周部に、第1の主鉄筋材8と第2の主鉄筋材9とが互いに所定の間隔に保持されるとともに所定の対向間隔を以って配置された状態となる。
【0047】
据付け工程においては、この状態で第1の主鉄筋材8や第2の主鉄筋材9を、型枠保持部材22側に設けた接続用鉄筋材に対して重ね継ぎ手を行う工程を有する。重ね継ぎ手工程においては、各第1のガイド部材6及び第2のガイド部材7を介して第1の主鉄筋材8と第2の主鉄筋材9とが位置決めされていることによって、接続用鉄筋材との重ね継ぎ手が容易にかつ正確に行われるようになる。据付け工程においては、さらに第1の主鉄筋材8と第2の主鉄筋材9とに対して各フープ鉄筋材12を長さ方向に対して順次位置決めしてそれぞれ溶接を施して固定するフープ鉄筋材の固定工程が施される。
【0048】
構造体1には、上述した工程を経て型枠保持部材22と組み合わされた状態において、図2に示すようにその外周部を取り囲んで型枠23が設置されて造柱が行われる。型枠23は、周知のように構造体1に対して所定の間隔を以ってせき板が組み立てられ、このせき板が支保工により保持されてなる。型枠23は、構造体1との間に造柱の外形を形成するキャビティ24を構成する。造柱工程は、型枠23のキャビティ24内にコンクリートを打設する工程と、所定期間の養生工程と、型枠23の解体工程等を有し、所定の造柱が行われる。
【0049】
上述した構造体1は、基礎上に設置される1階の造柱用のコア材への適用例を示したが、例えば2階以上の造柱用のコア材として適用する場合には、既に建設された1階天井部位に設置されたキャピタル上に据え付けられる。また、構造体1は、造柱用のコア材ばかりでなく、梁用のコア材としても適用されることは勿論である。構造体1は、梁用のコア材として用いた場合に、各第1のガイド部材6及び第2のガイド部材7を介して第1の主鉄筋材8と第2の主鉄筋材9とが位置決めされて組み合わされるとともに、スターラップ材が組み合わされる。
【0050】
ところで、構造体1は、スチフナを不要とする鉄骨材2を用いたことにより、第1のフランジ部4と第2のフランジ部5及びウェブ3との間に全長に亘って邪魔物が存在しない高さ方向の空間部が構成される。構造体1には、この空間部を利用して図2に示すように例えば各種の電気配管25が予め組み付けられる。配管25は、所定の加工を施した鉄骨材2に対して、例えば上述した軸受ブラケット取付工程に先行して図示しない適宜の取付金具等を介してウェブ3の主面上に固定される。
【0051】
構造体1は、従来デッドスペースとなる第1のフランジ部4と第2のフランジ部5及びウェブ3との間の空間部を利用して配管25を工場において組み付けることから、建築現場において配管作業を不要として工程の合理化を図るようにする。また、構造体1は、コンクリート建築物に対して、配管用スペースを不要とすることから、室内スペースの効率化が図られるようにする。
【0052】
構造体1においては、上述したように第1のガイド部材6或いは第2のガイド部材7に対して第1の主鉄筋材8或いは第2の主鉄筋材9を溶接により固定して取り付けるようにしたが、例えば図4に示すように組付金具30を用いてガイド部材31に対して主鉄筋材32の取り付けるようにしてもよい。すなわち、鉄骨材2には、フランジ部33(フランジ部4、5)の外側面に軸受ブラケット34(10、11)が溶接等によって固定されている。
【0053】
ガイド部材31は、支点部35の先端部が軸受ブラケット34に形成した支持孔36に嵌合されることによって、鉄骨材2に対して回動自在に組み付けられる。ガイド部材31には、展開状態においてフランジ部33に対して所定の対向間隔に保持される主梁部37に、軸方向に沿って複数箇所に組付金具30を位置決めして取り付けるための位置決め嵌合部38が形成されている。位置決め嵌合部38は、図4において小径部として示したが、かかる構成に限定されるものでは無く、所定の間隔を以って形成された一対の凸部等のように主梁部37に組み付けられる組付金具30を軸方向に位置決め保持する部位であればよい。位置決め嵌合部38は、予め主梁部37に軸方向に沿って複数箇所に形成されていることから、組付金具30を建築仕様に応じて適宜調整して取り付けることを可能とする。
【0054】
組付金具30は、例えばアルミ材等の金属材料や合成樹脂材によって一体に形成され、ガイド部材31側に組み合わされる第1のホルダ部39と、主鉄筋材32を組み付ける第2のホルダ部40と、これら第1のホルダ部39と第2のホルダ部40とを連結する連結部41とから構成される。第1のホルダ部39は、位置決め嵌合部38の外径及び軸長とほぼ等しい内径の第1の軸孔42と軸長を有する筒部からなる。第1のホルダ部39には、外周部の一部に開口幅が位置決め嵌合部38の外径よりも小幅とされて第1の軸孔42に連通する、第1の切欠き43が軸方向の全長に亘って形成されている。
【0055】
組付金具30は、第1のホルダ部39の切欠き43と対向する外周部に連結部41を介して第2のホルダ部40が一体に連設されてなる。第2のホルダ部40は、第1のホルダ部39の第1の軸孔42と直交するとともに、主鉄筋材32の外径とほぼ等しい内径の第2の軸孔44を有する筒部からなる。第2のホルダ部40には、連結部41と対向する外周部の一部に開口幅が主鉄筋材32の外径よりも小幅とされて第2の軸孔44に連通する、第2の切欠き45が軸方向の全長に亘って形成されている。
【0056】
以上のように構成された組付金具30は、第1の切欠き43をやや拡張しながら位置決め嵌合部38に押し込むワンタッチ操作によって、第1のホルダ部39がガイド部材31の主梁部37に対して軸方向に位置決めされて回動自在に組み付けられる。組付金具30は、ガイド部材31に対して所定個数が組み付けられる。
【0057】
組付金具30には、主鉄筋材32が、第2の切欠き45に押し込むワンタッチ操作によって第2の軸孔44に組み付けることが可能である。組付金具30は、主鉄筋材32をガイド部材31の主梁部37に対して軸方向に位置決めして直交した状態、換言すれば鉄骨材2のフランジ部33に対して所定の対向間隔を保持して平行状態に保持する。
【0058】
組付金具30は、上述したようにガイド部材31に対していわゆるワンタッチで組み付けられるとともに、主鉄筋材32をワンタッチで組み付けることを可能とすることで、組立工程を大幅に合理化するとともに鉄骨材2に対して主鉄筋材32をより精密に位置決めする。組付金具30は、第1のホルダ部39が主梁部37に回転自在な状態で組み付けられていることから、ガイド部材31を回動操作した際に主鉄筋材32をスムーズに移動させることを可能とする。なお、組付金具30は、必要に応じて第2の切欠き45の開口部位と主鉄筋材32との間にスポット溶接等を施すようにしてもよい。
【0059】
組付金具30は、第1のホルダ部39と第2のホルダ部40にそれぞれ第1の切欠き43と第2の切欠き45を形成したが、例えば第1のホルダ部39と第2のホルダ部40とを半割り構造により構成してボルトとナットとにより一体化するようにしてもよい。また、組付金具30は、第1のホルダ部39に対して軸方向に所定の間隔を以って離間する複数の第2のホルダ部40を一体に形成するようにしてもよい。
【0060】
上述した構造体1においては、鉄骨材2に対して第1のガイド部材6と第2のガイド部材7とを回動自在に組み付けるように構成したが、本発明はかかる構造体1に限定されるものでは無い。第2の実施の形態として図5に示した構造体50は、鉄骨材2に対して略左右対称形の第1のガイド部材51と第2のガイド部材52がそれぞれ組み付けられ、これら第1のガイド部材51と第2のガイド部材52に所定本数の主鉄筋材53a〜53lが取り付けられてなる。
【0061】
第1のガイド部材51は、第1のフランジ部4の第1の領域4aと第2のフランジ部5の第2の領域5bに設けられた支持用ブラケット54a、54bにそれぞれ両端部55a、55bが固定されるとともに、第1のフランジ部4とウェブ3の第2の領域3bと対向するようにして外周部に所定の間隔を以って延在するL字状の主梁部56が一体に形成されてなる。第1のガイド部材51には、第1のフランジ部4と対向する主梁部56の第1の領域56aに4本の主鉄筋材53a〜53dが取り付けられ、ウェブ3の第2の領域3bと対向する主梁部56の第2の領域56bに2本の主鉄筋材53e、53fが取り付けられてなる。
【0062】
また、第2のガイド部材52も、第1のフランジ部4の第1の領域4aと第2のフランジ部5の第2の領域5bに設けられた支持用ブラケット54a、54bにそれぞれ両端部57a、57bが固定されるとともに、第2のフランジ部5とウェブ3の第1の領域3aとに対向するようにして外周部に所定の間隔を以って延在するL字状の主梁部58が一体に形成されてなる。第2のガイド部材52には、第2のフランジ部5と対向する主梁部58の第1の領域58aに4本の主鉄筋材53g〜53jが取り付けられ、ウェブ3の第1の領域3aと対向する主梁部58の第2の領域58bに2本の主鉄筋材53k、53lが取り付けられてなる。
【0063】
以上のように構成された構造体50においても、水平スチフナを不要とする鉄骨材2が用いられて、この鉄骨材2に取り付けた第1のガイド部材51と第2のガイド部材52とを介して通しの主鉄筋材53が取り付けられる。構造体50においては、鉄骨材2に対して第1の主鉄筋材8と第2の主鉄筋材9とを精密に位置決めして組み付けることから、作業員の熟練を必要とせずに精度の高い鉄筋工程が施されて造柱を行うことが可能となる。
【0064】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、鉄骨鉄筋コンクリート建造物における柱や梁の基礎鋼構造体が、H形鋼からなる鉄骨材が用いられ、この鉄骨材に複数個のガイド部材をそれぞれ回動自在に組み付けるとともに各ガイド部材に多数個の主鉄筋材を取り付けて造柱や造梁用のコア材となる構造体を構成し、鉄骨材に対して各ガイド部材を折り畳んだ状態から展開した状態に回動することにより各主鉄筋材の相互の間隔や鉄骨材のウェブやフランジ部に対する対向間隔が規定され、現場において熟練を要せずに精密に組み立てることが可能となる。したがって、本発明によれば、現場における鉄骨材の加工工程や組立工程と、各主鉄筋材の組付工程とを統合することが可能となり施工効率が大幅に向上されて工期短縮が図られるようになる。また、本発明によれば、高所等における各作業に伴う安全性も確保されまた高品質の造柱や造梁が行われる。また、本発明によれば、ウェブとフランジ部との間に構成される空間部を利用して配管も行われるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる基礎鋼構造体の要部斜視図である。
【図2】 同基礎鋼構造体の設置状態の平面図である。
【図3】 同基礎鋼構造体の設置状態の要部斜視図である。
【図4】 組付金具を用いた基礎鋼構造体の要部分解斜視図である。
【図5】 他の基礎鋼構造体の設置状態の平面図である。
【図6】 従来の基礎鋼構造体に用いられるH形鋼の要部斜視図である。
【図7】 従来の基礎鋼構造体の設置状態の平面図である。
【図8】 肉厚ウェブのH形鋼の要部斜視図である。
【符号の説明】
1 基礎鋼構造体(構造体)、2 鉄骨材、3 ウェブ、4 第1のフランジ部、5 第2のフランジ部、6 第1のガイド部材、7 第2のガイド部材、8 第1の主鉄筋材、9 第2の主鉄筋材、10 第1の軸受ブラケット、11 第2の軸受ブラケット、12 フープ筋材、16 主梁部、17,18 支点部、19 主梁部、20,21 支点部、22 型枠保持部材、23 型枠、24 キャビティ、25 配管、30 組付金具、38 位置決め嵌合部、39 第1のホルダ部、40 第2のホルダ部、41 連結部、42 第1の軸孔、43 第1の切欠き、44 第2の軸孔、45 第2の切欠き
Claims (3)
- ウェブの両側端部に互いに平行に対峙してフランジ部が形成されたH形鋼からなる鉄骨材と、
少なくとも主梁部と、この主梁部の両端に折曲形成された支点部とからなり、上記支点部が上記鉄骨材の上記ウェブ又は上記フランジ部或いは上記ウェブと上記フランジ部に長さ方向に対してそれぞれ所定の間隔を以って支持されることにより上記主梁部が上記ウェブ又は上記フランジ部の主面と所定の対向間隔を保持されて組み付けられる多数個のガイド部材と、
上記ガイド部材の上記主梁部に相互に所定の間隔を保持されて取り付けられることにより上記ウェブ或いは上記フランジ部の主面に対してそれぞれ所定の対向間隔を保持される多数本の主鉄筋材とを備え、
上記各ガイド部材が、上記支点部を上記鉄骨材の上記ウェブ又は上記フランジ部或いは上記ウェブと上記フランジ部とに回動自在に支持され、上記鉄骨材に対して回動操作されることにより上記主梁部を介して上記鉄骨材に対して上記主鉄筋材を接離自在とさせることを特徴とする鉄骨鉄筋コンクリート建造物用基礎鋼構造体。 - 上記各ガイド部材の主梁部に、それぞれ軸方向に対して位置決めされて組み付けられた複数個の主鉄筋材組付金具を備え、
上記各主鉄筋材組付金具が、上記ガイド部材の主梁部を軸方向の第1の切欠きを介して第1の軸孔に押し込んで嵌合することにより回転自在に組み合わされる第1のホルダ部と、この第1のホルダ部と一体化されるとともに上記第1の軸孔に対して直交されかつ軸方向の第2の切欠きを介して上記主鉄筋材を押し込んで取り付ける第2の軸孔を有する第2のホルダ部とから構成されることを特徴とする請求項1に記載の鉄骨鉄筋コンクリート建造物用基礎鋼構造体。 - ウェブの両側端部に互いに平行に対峙してフランジ部が形成されたH形鋼からなる鉄骨材が用いられ、少なくとも主梁部の両端に支点部を折曲形成してなる多数個のガイド部材を上記支点部を上記鉄骨材の上記ウェブ又は上記フランジ部或いは上記ウェブと上記フランジ部に対して長さ方向にそれぞれ所定の間隔を以って回動自在に支持して上記主梁部と上記ウェブ又は上記フランジ部とを所定の対向間隔に保持するように組み付ける工程と、上記各ガイド部材の上記主梁部に対して多数本の主鉄筋材を相互に所定の間隔を保持して取り付けることにより上記ウェブ或いは上記フランジ部と所定の間隔に保持させる工程とを経て、基礎鋼構造体を生産する工程と、
上記鉄骨材に対して上記各ガイド部材が上記支点部を介して上記主梁部を上記ウェブ又は上記フランジ部側に回動操作されることによって上記主梁部を介して上記各主鉄筋材を上記ウェブ又は上記フランジ部側に接近させた折り畳み状態で建築現場に搬入する工程と、建築現場において上記鉄骨材の基端部を所定の箇所に設置する工程と、上記鉄骨材に対して上記各ガイド部材が上記支点部を介して上記主梁部を上記ウェブ又は上記フランジ部から離間するように回動操作されて上記主梁部を介して上記各主鉄筋材が上記ウェブ又は上記フランジ部と所定の間隔を以って対向される工程とを経て、上記基礎鋼構造体を据え付ける工程
とを有することを特徴とする鉄骨鉄筋コンクリート建造物の建築方法。
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