JP5705819B2 - 塩基性アミノ酸含有容器詰め飲料 - Google Patents

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本発明は、加熱殺菌される容器詰め飲料、例えば、コーヒー、紅茶、並びに穀物茶等の飲料について、塩基性アミノ酸を用いてアルカリ金属塩の使用量を低減することにより、内容物の風味を良好とする技術に関する。
近年、飲料、特にコーヒー豆から抽出されるコーヒー飲料、茶葉から抽出される紅茶飲料、穀物から抽出される穀物茶飲料は、家庭や喫茶店等においてそのまま供される他、一方では工業的に生産された、缶やペットボトルなどの密封容器入り飲料製品として多数販売されており、その需要は急速に拡大してきた。このようないわゆる密封容器入り飲料製品は、家庭や喫茶店等におけるようにコーヒー豆、茶葉や穀物から抽出してすぐに飲用に供されるものとは異なり、製造から消費者の飲用に至るまでの流通及び保存のために一定の期間を要することは避けられないため、加熱殺菌が施される。その結果、密封容器入り飲料はこの加熱殺菌により品質の劣化が生じ、常温での流通及び保存のための期間や、ホット販売、缶ウォーマー、自動販売機においては、高温にしかも長期間貯蔵される場合があり、なお更風味や品質の劣化が促進される。そのうち代表的な劣化としては、pHの低下があり、一定以上pHが低下すると意図しない酸味を感じるようになり好ましくない。
このため、容器詰め飲料、特にブラックコーヒー、紅茶、穀物茶などのいわゆる中性飲料では、加熱殺菌や保存中のpH低下によって生じる酸味を緩和するために、このpH低下を見越して、通常、アルカリ金属塩、例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、リン酸のナトリウム塩やカリウム塩などが用いられ、中でもコストや取り扱いやすさの面で、炭酸水素ナトリウムを処方する場合が多い。
しかし、炭酸水素ナトリウムなどのナトリウム塩を一定以上含有させると、ナトリウム塩由来のぬめりを伴う「塩味(えんみ)」を生じ、これは「容器詰め飲料らしい味」の要因のひとつであると推察される。これを回避するために、カリウム塩やカルシウム塩を利用する試みがあるが、カリウム塩は渋みを伴う収斂味や、カルシウム塩は苦味と硬水様の飲みづらさを有するなど、それぞれ特有の味を有しており、これらアルカリ金属塩及びそれに由来する味を低減する若しくは無くす方法が望まれていた。
現在までに、容器詰め飲料製品に関連する種々の問題を回避する目的で、容器詰め飲料製品に塩基性アミノ酸を添加することが行なわれている。
例えば、特許文献1は、乳入りコーヒー飲料に塩基性アミノ酸を添加して加熱殺菌することにより、乳分混合時および加熱殺菌後の沈殿物の発生を防止することを記載している。
特許文献2は、コーヒー飲料に塩基性アミノ酸を含有させることにより、風味が良好で長期保存が可能なコーヒー飲料が提供されることを記載している。
さらに特許文献3は、コーヒー飲料、特に乳入りコーヒー飲料にL-ヒスチジン塩酸塩を添加することにより、レトルト臭やイモ臭などの異風味を改善し、且つ、風味豊かなコーヒー飲料を提供できることを記載している。
日本国特許第3702176号 特開2007-166940号公報 特開2005-137266号公報
本発明は、加熱殺菌や流通及び保存のための期間において生じるpH低下による酸味を緩和しつつ、容器詰め飲料に用いられてきたナトリウム塩由来のぬめりを伴う「塩味(えんみ)」や、カリウム塩やカルシウム塩の有する特有の味が解消された、容器詰め飲料を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明者らは鋭意検討した結果、加熱殺菌される容器詰め飲料、例えばコーヒー、紅茶、並びに穀物茶等の飲料について、塩基性アミノ酸を用いてアルカリ金属塩の使用量を低減することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は次の特徴を包含する。
(1) 内容物が少なくとも1種の塩基性アミノ酸を含む塩基を含み、その際、塩基性アミノ酸の含有量は該塩基の存在下で加熱殺菌した後の内容物pHが5.3〜7.5になるような量であり、かつ塩基性アミノ酸は遊離形態のものであることを特徴とする、容器詰め紅茶又は穀物茶飲料。
(2) 塩基性アミノ酸はヒスチジン及び/又はアルギニンである、上記(1)に記載の容器詰め紅茶又は穀物茶飲料。
(3) 塩基性アミノ酸はヒスチジンである、上記(1)に記載の容器詰め紅茶又は穀物茶飲料。
(4) 前記塩基はアルカリ金属塩をさらに含む、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の容器詰め紅茶又は穀物茶飲料。
(5) 内容物において、アルカリ金属塩の量が内容物100重量部に対して0.10重量部以下であり、かつ、塩基性アミノ酸の量が内容物100重量部に対して0.010〜0.10重量部である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の容器詰め紅茶又は穀物茶飲料。
(6) 容器詰め飲料の内容物を調製するステップと、少なくとも1種の塩基性アミノ酸を含む塩基を該内容物に添加するステップと、内容物を加熱殺菌するステップとを含み、その際、塩基性アミノ酸の添加量は該塩基の存在下で加熱殺菌した後の内容物pHが5.3〜7.5になるような量であり、かつ塩基性アミノ酸は遊離形態のものであることを特徴とする、容器詰め紅茶又は穀物茶飲料の製造方法。
(7) 容器詰め飲料の内容物を調製するステップと、少なくとも1種の塩基性アミノ酸を含む塩基を該内容物に添加するステップと、内容物を加熱殺菌するステップとを含み、その際、塩基性アミノ酸の添加量は該塩基の存在下で加熱殺菌した後の内容物pHが5.3〜7.5になるような量であり、かつ塩基性アミノ酸は遊離形態のものであることを特徴とする、容器詰め紅茶又は穀物茶飲料の塩味又は異味を低減する方法。
本発明によれば、加熱殺菌や流通及び保存のための期間において生じるpH低下による酸味を緩和しつつ、容器詰め飲料に用いられてきたナトリウム塩由来のぬめりを伴う「塩味(えんみ)」や、カリウム塩やカルシウム塩の有する特有の味が解消された、新規な容器詰め飲料が提供される。
本明細書で使用する容器詰め飲料とは、製造後に保存のための加熱殺菌処理を要し、かつ、飲用時の内容物のpHが中性付近に維持される飲料をいう。飲用時の内容物の具体的なpH範囲は、飲料の種類に応じて変化する場合があり、例えば容器詰めコーヒー飲料では5.0〜5.7であり、容器詰め紅茶又は穀物茶では5.0〜7.5である。このような容器詰め飲料は、一般的に、飲用時に内容物が適切な中性付近のpHを保つように、加熱殺菌処理及びその後の長期保存に起因するpH低下を見越して、製造時にアルカリ金属塩を添加するということが行なわれている。
本発明は、pH低下による酸味及びナトリウム塩由来のぬめりを伴う「塩味(えんみ)」や、カリウム塩やカルシウム塩の有する特有の味が改善された容器詰め飲料(以下、単に本発明の容器詰め飲料という)に関する。
本発明の容器詰め飲料は、少なくとも1種の塩基性アミノ酸を含む塩基を含んでおり、その際、塩基性アミノ酸の含有量が該塩基の存在下で加熱殺菌した後の内容物pHが所定範囲になるような量であり、かつ塩基性アミノ酸が遊離形態のものであることを特徴とする。本発明において、遊離形態の塩基性アミノ酸は、アルカリ金属塩と同様、飲用時の内容物のpHを調整する目的で使用することができるため、その使用によりアルカリ金属塩の添加量を低減するか又はアルカリ金属塩に代用することができ、それによりナトリウム塩由来のぬめりを伴う「塩味(えんみ)」や、カリウム塩やカルシウム塩の有する特有の味を低減することができる。
また塩基性アミノ酸を使用することによる追加の利点として、以下を挙げることができる。高pHでの加熱殺菌処理は、飲料の香気に寄与する成分(例えば2-furfurylthiol、methional、3-mercapto-3-methyl-butyl formateなど)の消失の原因となる。塩基性アミノ酸(例えばヒスチジン)の使用により、アルカリ金属塩を使用する場合に比較して加熱殺菌前のpHを低くすることができるため、香気成分の消失を軽減することができる。
本発明において、加熱殺菌後の内容物pHの所定範囲は、本発明の目的を達成するために必要な塩基性アミノ酸の量を間接的に示すものであり、適用される容器詰め飲料の種類に応じて変化する。具体的に、加熱殺菌後の内容物のpH値は、容器詰め飲料がコーヒーである場合には、pH 5.3〜5.7、好ましくはpH 5.3〜5.5であり、その他の中性飲料、例えば紅茶又は穀物茶である場合には、pH 5.3〜7.5、好ましくはpH 5.3〜6.5である。また、加熱殺菌後の内容物のpHの上限値は、内容物中の香気成分を適切に維持するための上限値として規定したものであり、pHの下限値は、加熱殺菌や流通及び保存のための期間にpHが低下しても意図しない酸味を生じない下限値として規定したものである。
本発明で使用する塩基性アミノ酸は、塩基性アミノ酸であれば特に制限されず、必須アミノ酸及び非必須アミノ酸のいずれから選択されたものであってもよい。また本発明において、塩基性アミノ酸の1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明に使用することが好ましい塩基性アミノ酸として、例えば、ヒスチジン、アルギニン、GABA、シトルリン、リジンなどを挙げることができる。塩基性アミノ酸としてヒスチジンを用いることが最も好ましい。
本発明の容器詰め飲料は、アルカリ金属塩をさらに含むことができる。塩基性アミノ酸はアルカリ金属塩に比較して一般的には高コストであるため、両者を併用することで、塩基性アミノ酸の使用によるコスト増を抑制することができる。ただし、アルカリ金属塩の使用量は、ナトリウム塩由来のぬめりを伴う「塩味(えんみ)」や、カリウム塩やカルシウム塩の有する特有の味が飲用時に許容可能であるようなものとする点に留意すべきである。そのような量は、容器詰め飲料の種類に応じて変化する場合があるが、一般的には内容物100重量部に対し、0.10重量部以下、好ましくは0.080重量部以下である。
本発明で使用することができるアルカリ金属塩は、飲料のpH調製に使用することができるものであれば制限されず、例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、リン酸のナトリウム塩又はカリウム塩、クエン酸のナトリウム塩(クエン酸二水素ナトリウム、クエン酸水素二ナトリウム、クエン酸三ナトリウムなど)、乳酸カルシウムなどを挙げることができる。
本発明は、製造後に保存のための加熱殺菌処理を要し、かつ、飲用時の内容物のpHが中性付近(例えば5.0〜7.5)に維持される飲料であれば、如何なる飲料に適用することもできる。そのような飲料として、これに限定されるものではないが、例えばコーヒー、紅茶、穀物茶などを挙げることができる。本発明は、好ましくはコーヒー、特にブラックコーヒーに適用される。
本発明で使用されるコーヒー豆は、通常のコーヒー原料として使用できるものであれば、その品種は特に制限はない。例えば本発明の製造方法に使用することができるコーヒー豆としては例えば、ブラジル、コロンビア、タンザニア、モカ、キリマンジェロ、マンデリン、ブルーマウンテン等が挙げられる。コーヒー豆種としては、例えばアラビカ種、ロブスタ種などを挙げることができ、複数のコーヒー豆品種をブレンドして用いてもよい。また本発明で使用するコーヒー豆の焙煎度及び粉砕粒度も特に制限されない。
本発明の容器詰め飲料は、内容物の加熱殺菌前に、少なくとも1種の適切な量の塩基性アミノ酸及び任意のアルカリ金属塩(例えば炭酸水素ナトリウム)を含む塩基を、該内容物に添加することを除き、飲料の種類に応じて当業者に慣用の方法で製造することができる。
例えば、本発明の容器詰め飲料が容器詰めブラックコーヒーである場合には、定法に従って焙煎、粉砕されたコーヒー豆を水や温水などを用いてコーヒー抽出液を取得し、これに塩基性アミノ酸及び任意のアルカリ金属塩を添加・混合し、加熱殺菌すればよい。このほか、コーヒー抽出物や香料、甘味料など通常用いられる原料も必要に応じて使用できる。
こうして製造される容器詰め飲料は、塩基性アミノ酸の添加に起因して飲用時のpHが飲料の種類に応じて適切な中性付近の範囲に維持されており、かつ、ナトリウム塩由来のぬめりを伴う「塩味(えんみ)」や、カリウム塩やカルシウム塩の有する特有の味が低減されているものである。言い換えれば、上記容器詰め飲料の製造方法は、容器詰め飲料における塩味や異味を低減する方法ということもできる。
本発明の容器詰め飲料は、飲用時の内容物において、アルカリ金属塩の量が内容物100重量部に対して0.10重量部以下であり、かつ、塩基性アミノ酸の添加によりpHが飲料の種類に応じて適切な中性範囲に維持されているあらゆる飲料を包含する。
例えば容器詰め飲料がコーヒー、特にブラックコーヒーである場合には、本発明の容器詰め飲料として、内容物において、アルカリ金属塩の量が内容物100重量部に対して0.10重量部以下であり、かつ、塩基性アミノ酸の量が内容物100重量部に対して0.020〜0.20重量部である容器詰めブラックコーヒーを例示することができる。
また容器詰め飲料が紅茶又は穀物茶である場合には、本発明の容器詰め飲料として、内容物において、アルカリ金属塩の量が0.10重量部以下であり、かつ、塩基性アミノ酸の量が内容物100重量部に対して0.010〜0.10重量部である容器詰め紅茶又は穀物茶を例示することができる。
また内容物中の塩基性アミノ酸の量は、例えばアミノ酸自動分析法(ニンヒドリン法)やHPLCによって測定することができる。
以下、本発明を実施例により詳細に記載するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
1) アミノ酸の種類による効果の違いの検証
コーヒー焙煎豆300gを粉砕機で粉砕し沸騰水によりドリップ方式を用いておよそ3000gの抽出液を得た。この抽出液を用いて、炭酸水素ナトリウムを1.8g加え、さらにアルギニン、ヒスチジン、GABA又はシトルリンを1.8g添加し、6000gになるように加水した。121℃で5分間殺菌処理した(実施例1〜4)。
コーヒー焙煎豆300gを粉砕機で粉砕し沸騰水によりドリップ方式を用いておよそ3000gの抽出液を得た。この抽出液を用いて、炭酸水素ナトリウムを1.8g加え、6000gになるように加水した。これを121℃で5分間殺菌処理した(比較例1)。
コーヒー焙煎豆300gを粉砕機で粉砕し沸騰水によりドリップ方式を用いておよそ3000gの抽出液を得た。この抽出液を用いて、炭酸水素ナトリウムを3.6g加え、6000gになるように加水した。これを121℃で5分間殺菌処理した(比較例2)。
各実施例及び比較例において、調合時及び製品時のpHは、それぞれ殺菌処理前及び殺菌処理後の時点で測定したpH値を示している。その結果を下記表1に示す。
Figure 0005705819
ヒスチジン、アルギニンにおいてpHの調整効果が高かった。ヒスチジンは炭酸水素ナトリウムと比較して調合時pHを0.1程度低く設定できることが分かる。アルギニンは、調合時から製品時へのpH変化が大きかった。
一方、GABA、シトルリンは調合、製品ともpHに影響をほとんど与えなかった。
2) 調合pH、製品pHの調整と香味への影響
コーヒー焙煎豆300gを粉砕機で粉砕し沸騰水によりドリップ方式を用いておよそ3000gの抽出液を得た。この抽出液を用いて、炭酸水素ナトリウムを3.6g加え、さらに殺菌後のpHがそれぞれ5.3、5.5、5.7、5.9となるようにヒスチジン又はアルギニンの添加量を調整して添加し、6000gになるように加水した。これを121℃5分間相当のレトルト殺菌処理をした(実施例5、6)。
コーヒー焙煎豆300gを粉砕機で粉砕し沸騰水によりドリップ方式を用いておよそ3000gの抽出液を得た。この抽出液を用いて、炭酸水素ナトリウムを殺菌後のpHがそれぞれ5.3、5.5、5.7、5.9となるように添加量を調整して添加し、6000gになるように加水した。これを121℃5分間相当のレトルト殺菌処理をした(比較例3)。
上記サンプルを用いて官能評価を行った。結果を殺菌後pHに基づいて下表2にまとめた。なお、表中の括弧内の数値は殺菌前pHを示している。
Figure 0005705819
以上から、ヒスチジン及びアルギニン置換では殺菌後pHがそれぞれ5.5付近及び5.7付近から香り立ちに影響がでたが、炭酸水素ナトリウムでは、アミノ酸置換よりも低い殺菌後pHで香り立ちに影響が出た。
また、炭酸水素ナトリウムでpHを調整した場合には、塩味やヌメリが強かった。アルギニンは、塩味は感じないものの、アルギニン特有のうまみを伴った苦味が濃度依存的に感じられるようになった。ヒスチジンは炭酸水素ナトリウムのような塩味もアルギニンのような苦味もなく、良好な香味であった。
3) GC-MS分析
上記2)の官能評価結果を受けて、GC-MS分析でコーヒーの香気成分への影響を確認することとした。日本食品科学工学会誌Vol45、No2、108〜113ページの熊沢氏(小川香料(株)素材研究所)の論文を参考にpH依存変化が大きい5物質中、試薬として入手可能であった、2-furfuryltiolとmethionalを分析対象とし、内部標準としてmethyl undecanoateを1ppb添加したコーヒーサンプルについて分析を行った。分析対象の分子式、分子量及び香気特徴を下記表3に示す。
Figure 0005705819
GC-MSの条件は以下の通りであった: GC-MSはAgilent社製5973型、オートサンプラーはGERSTEL社多機能オートサンプラー(MPS2)を使用した。ガスクロマトグラムのカラムはJ&W社製DB-WX(内径0.25mm×長さ60m×膜厚0.25μm)を使用し、キャリアガスはHeガスを0.9ml/minで流した。カラムオーブンは35℃2min保持後、5℃/minで240℃まで昇温後、ポストランとして240℃20min保持した。SPMEファイバーはスペルコ社製50/30μm DVB/Carboxen/PDMS stable Flexを使用した。SPMEファイバーへの吸着条件はIncubation Temp.65℃、Extraction Time 40min、Dessorption Time 660s。分析結果を下記表4に示す。
Figure 0005705819
2FT、METとも殺菌後pHが高くなると濃度が低くなる傾向が見られた。殺菌後pH5.7前後が香気成分を維持するための上限と考えられる。この結果は、官能評価において殺菌後pH5.7付近から香り立ちが弱くなっていく傾向が見られたこととよく一致していた。
ヒスチジン、アルギニン、及び炭酸水素ナトリウム間の香気成分量の差異については、殺菌前pHが高くなる傾向がある炭酸水素ナトリウム及びアルギニンが、ヒスチジンより少なくなっていることが分かる。
香味はヒスチジン、アルギニンはpH5.7付近から、炭酸水素ナトリウムはpH5.5付近から香り立ちが弱くなっており、GC-MS分析結果と非常によく一致していた。
4) ストレートティーの試作と評価
紅茶葉50gに熱水を加えて抽出し、1500gの抽出液を得た。この抽出液にグラニュー糖 250g、L-アスコルビン酸 2.4g、ヒスチジン 2.4gを添加後、6000gになるように加水した。これに121℃で5分間相当のUHT殺菌処理をし、容器に充填した(実施例7)。
紅茶葉50gに熱水を加えて抽出し、1500gの抽出液を得た。この抽出液にグラニュー糖 250g、L-アスコルビン酸 2.4g、炭酸水素Na 1.2gを添加後、6000gになるように加水した。これに121℃で5分間相当のUHT殺菌処理をし、容器に充填した(比較例4)。
実施例7及び比較例4の組成、及び香味評価を下記表5に示す。
Figure 0005705819
いずれもコーヒーほどのpH変化が起きなかったが、ヒスチジンによるpH調整が十分に出来ていることがわかる。香り立ちについては、コーヒーほど顕著ではないが、改善傾向が見られた。
5) 穀物茶の試作と評価
穀類ミックス(はと麦、玄米、大麦、ハブ茶、とうもろこし)120gに熱水を加えて抽出し、1000gの抽出液を得た。この抽出液にL-アスコルビン酸3.0g、炭酸水素ナトリウム 1.0g、ヒスチジン1.0gを添加後、6000gになるように加水した。これに121℃で5分間相当のUHT殺菌処理をし、容器に充填した(実施例8)。
穀類ミックス(はと麦、玄米、大麦、ハブ茶、とうもろこし)120gに熱水を加えて抽出し、1000gの抽出液を得た。この抽出液にL-アスコルビン酸3.0g、炭酸水素ナトリウム 2.0gを添加後、6000gになるように加水した。これに121℃で5分間相当のUHT殺菌処理をし、容器に充填した(比較例5)。
実施例8及び比較例5の組成、及び香味評価を下記表6に示す。
Figure 0005705819
ヒスチジン置換はやや製品pHが低くなった。香りは紅茶よりもロースト香が中心という意味ではコーヒーに近いためか、pHが低いヒスチジン置換のほうがより強く残った。アミノ酸置換により炭酸水素Naによる塩味、ヌメリが低減した。

Claims (7)

  1. 内容物が少なくとも1種の塩基性アミノ酸を含む塩基を含み、その際、塩基性アミノ酸の含有量は該塩基の存在下で加熱殺菌した後の内容物pHが5.3〜7.5になるような量かつ内容物100重量部に対して0.010〜0.10重量部であり、かつ塩基性アミノ酸は遊離形態のものであることを特徴とする、容器詰め紅茶又は穀物茶飲料。
  2. 塩基性アミノ酸はヒスチジン及び/又はアルギニンである、請求項1記載の容器詰め紅茶又は穀物茶飲料。
  3. 塩基性アミノ酸はヒスチジンである、請求項1記載の容器詰め紅茶又は穀物茶飲料。
  4. 前記塩基はアルカリ金属塩をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の容器詰め紅茶又は穀物茶飲料。
  5. 内容物において、アルカリ金属塩の量が内容物100重量部に対して0.10重量部以下であ、請求項1〜4のいずれか1項に記載の容器詰め紅茶又は穀物茶飲料。
  6. 容器詰め飲料の内容物を調製するステップと、少なくとも1種の塩基性アミノ酸を含む塩基を該内容物に添加するステップと、内容物を加熱殺菌するステップとを含み、その際、塩基性アミノ酸の添加量は該塩基の存在下で加熱殺菌した後の内容物pHが5.3〜7.5になるような量かつ内容物100重量部に対して0.010〜0.10重量部であり、かつ塩基性アミノ酸は遊離形態のものであることを特徴とする、容器詰め紅茶又は穀物茶飲料の製造方法。
  7. 容器詰め飲料の内容物を調製するステップと、少なくとも1種の塩基性アミノ酸を含む塩基を該内容物に添加するステップと、内容物を加熱殺菌するステップとを含み、その際、塩基性アミノ酸の添加量は該塩基の存在下で加熱殺菌した後の内容物pHが5.3〜7.5になるような量かつ内容物100重量部に対して0.010〜0.10重量部であり、かつ塩基性アミノ酸は遊離形態のものであることを特徴とする、容器詰め紅茶又は穀物茶飲料の塩味又は異味を低減する方法。
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