JP5704626B2 - クリップ型コネクタ - Google Patents

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Description

本発明は、コネクタ内に基板を挿入した後に、基板に対する接続端子の接触圧が発生する、クリップ型コネクタに関する。
この種の技術として、特許文献1は、フレキシブルプリント基板を挿入可能な開口を有するベースと、略T字形状の操作片が突設された接続端子と、操作片の操作受け部を駆動可能な操作レバーと、を備えた表面実装タイプのコネクタを開示している。このコネクタにフレキシブルプリント基板を接続するには、ベースの開口にフレキシブルプリント基板を奥まで挿入し、操作レバーを操作する。すると、略T字形状の操作片が傾き、フレキシブルプリント基板に対する接続端子の接触圧が発生するようになっている。
また、特許文献2は、偏平電線を抵抗少なく挿抜できるようにした、いわゆるゼロインサーションフォース(ZIF)構造のコネクタを開示している。このZIF構造のコネクタは、偏平電線が挿抜される空間を有するケースと、ケースに保持され、偏平電線の端子部に接触可能な可撓片を有するコンタクトと、を備え、ケースとコンタクトとが偏平電線の長手方向に沿って相対的にスライド可能とされており、ケースとコンタクトとの相対的なスライド動作に応じて、上記の空間に挿入される偏平電線の端子部に可撓片が圧接される状態と、上記端子部から可撓片が離れて偏平電線の挿抜を許容する状態と、に切り替わるようになっている。このコネクタに偏平電線を接続するには、ケースの空間に偏平電線を奥まで挿入し、ケースをコンタクトに対して相対的にスライドさせる。すると、偏平電線に対するコンタクトの接触圧が発生するようになっている。
また、特許文献3は、FPCが挿入される凹部を設ける平板状のハウジングと、このハウジングの凹部に配列されて前記FPCに接続する複数のコンタクトと、板クリップと、バックフリップ型のレバーと、を備えるFPC用コネクタを開示している。上記板クリップは、一方の帯板片が前記FPCを前記複数のコンタクトに付勢し、他方の帯板片が前記ハウジングの底面に係止し、これらの帯板片の基端部同士を結合した断面U字状に形成されている。上記のバックフリップ型のレバーは、上記一方の帯板片の先端部を開閉可能な機能を有している。このFPC用コネクタにFPCを接続するには、ハウジングの凹部にFPCを奥まで挿入し、上記のレバーを操作する。すると、上記一方の帯板片によってFPCがコンタクトに向かって付勢され、もって、FPCに対するコンタクトの接触圧が発生するようになっている。
特開2009−266667号公報 特開平11−162584号公報 特開2009−187741号公報
上記特許文献1のコネクタでは、フレキシブルプリント基板をベースの開口に挿入後、フレキシブルプリント基板に対する接続端子の接触圧を発生させるために操作レバーを操作する必要があり煩雑である。特許文献2及び3についても同様の煩雑さがある。
本願発明の目的は、基板をコネクタ内に挿入するだけで、基板に対する接続端子の接触圧を発生させることができる、クリップ型コネクタを提供することにある。
本願発明の観点によれば、以下のように構成される、クリップ型コネクタが提供される。即ち、クリップ型コネクタは、基板を挿入可能な開口を有するハウジングと、前記ハウジングに支持され、前記ハウジングの上記開口に挿入された前記基板の表面に向かって付勢される接続端子と、前記ハウジングの上記開口に収容される可動片と、を備え、
前記可動片は、前記ハウジングの上記開口に前記基板を挿入する際に前記基板によって押し込まれることで、前記基板の表面から離れる方向へ前記接続端子を変位させる第1の制御位置から、前記基板の表面に対する前記接続端子の接触を許容する第2の制御位置へと切り替えられ、
前記ハウジングは、
固定部と、
この固定部に対して相対変位可能であって前記接続端子が取り付けられる可動部と、
前記固定部と前記可動部との間に設けられ、前記可動部を前記基板の表面に向かって付勢する第1の付勢手段と、を備えて構成され、
前記可動片を前記基板に向かって付勢することで、前記可動片を前記第2の制御位置から前記第1の制御位置へと切り替えることが可能な第2の付勢手段と、
前記第2の付勢手段による上記の付勢を許容し禁止することが可能な付勢制御手段と、を備え、
前記第2の付勢手段は、
前記可動片に当接する押圧部と、前記ハウジングの外部に露出する操作部と、前記押圧部と前記操作部との間に配置されて前記押圧部を回転自在にする軸部と、を有するレバーと、
前記軸部を中心に回動する前記押圧部を前記基板に向かって付勢するバネと、を備え、
前記付勢制御手段は、回転自在なロックレバーであり、前記操作部を引っ掛けて前記レバーの回転を禁止し、回転により前記操作部の引っ掛けを解除して前記レバーの回転を許容する。

本願発明によれば、前記基板を前記ハウジングの上記開口に挿入するだけで、前記基板の表面に対する前記接続端子の接触圧を発生させることができる。
本願発明の第一実施形態に係るクリップ型コネクタの断面図 本願発明の第二実施形態に係るクリップ型コネクタの斜視図 図2の3−3線矢視断面図 図2の4−4線矢視断面図 本願発明の第三実施形態に係るクリップ型コネクタの断面図 図5の部分拡大図
<第一実施形態>
以下、図1を参照しつつ、本願発明の第一実施形態に係るクリップ型コネクタを説明する。本実施形態において、クリップ型コネクタ100は、ハウジング1と、コンタクトピン2(接続端子)と、基板挿抜用支柱3(可動片)と、を備えて構成されている。
ハウジング1は、基板Sを挿入可能な開口4を有する。基板Sとしては、例えば、PCIカードなどのドーターボードが挙げられる。
コンタクトピン2は、ハウジング1に支持され、クリップ型コネクタ100の上記開口4に挿入された基板Sの表面Tに向かって付勢されている。
基板挿抜用支柱3は、ハウジング1の上記開口4に収容されている。
以上の構成で、基板挿抜用支柱3は、ハウジング1の上記開口4に基板Sを挿入する際に基板挿抜用支柱3によって押し込まれることで、開口制御位置5(第1の制御位置)から閉塞制御位置6(第2の制御位置)へと切り替えられるようになっている。
基板挿抜用支柱3が開口制御位置5にあるとき、基板挿抜用支柱3は、基板Sの表面Tから離れる方向へコンタクトピン2を変位させる。一方、基板挿抜用支柱3が閉塞制御位置6にあるとき、基板挿抜用支柱3は、基板Sの表面Tに対するコンタクトピン2の接触を許容する。
以上に説明したクリップ型コネクタ100は、以下のように作動する。
図1(a)は、クリップ型コネクタ100に基板Sが実装されていない状態を示す。図1(b)は、クリップ型コネクタ100に基板Sが実装されている状態を示す。
(基板未実装時)
基板未実装時では、図1(a)に示すように、基板挿抜用支柱3は開口制御位置5に位置している。従って、コンタクトピン2は、基板挿抜用支柱3によって、基板Sの表面Tから離れる方向へ変位しており、問題なく、基板Sをハウジング1の開口4に挿入可能な状態となっている。
(基板実装時)
この状態で、クリップ型コネクタ100に基板Sを実装するには、先ず、ハウジング1の開口4に基板Sを基板挿抜用支柱3に突き当たるまで挿入する。次に、基板Sを図1の下向きに押し下げる。すると、基板挿抜用支柱3は、基板Sによって押し込まれるかたちで、開口制御位置5から閉塞制御位置6へと切り替えられる。図1(b)に示すように、基板挿抜用支柱3が閉塞制御位置6に至ると、基板Sの表面Tに対するコンタクトピン2の接触が許容される。換言すれば、基板挿抜用支柱3が閉塞制御位置6に至ると、コンタクトピン2が基板Sの表面Tに対して接触する。このとき、コンタクトピン2は基板Sの表面Tに向かって付勢されているので、コンタクトピン2と基板Sとの接触は単なる接触ではなく、所定の接触圧を伴った接触となる。ところで、基板Sの表面Tには、略示のPad7(基板側端子)が予め形成されている。Pad7は、基板Sの表面Tに実装された各種のドライバICなどに接続されている。そして、上記のコンタクトピン2が基板Sの表面T上に形成されたPad7に対して所定の接触圧で接触することで、クリップ型コネクタ100に対する基板Sの実装が完成する。
(まとめ)
(1)以上説明したように本実施形態においてクリップ型コネクタ100は、基板Sを挿入可能な開口4を有するハウジング1と、ハウジング1に支持され、ハウジング1の上記開口4に挿入された基板Sの表面Tに向かって付勢されるコンタクトピン2と、ハウジング1の上記開口4に収容される基板挿抜用支柱3と、を備えている。基板挿抜用支柱3は、ハウジング1の上記開口4に基板Sを挿入する際に基板挿抜用支柱3によって押し込まれることで、基板Sの表面Tから離れる方向へコンタクトピン2を変位させる開口制御位置5から、基板Sの表面Tに対するコンタクトピン2の接触を許容する閉塞制御位置6へと切り替えられる。以上の構成によれば、基板Sをハウジング1の上記開口4に挿入するだけで、基板Sの表面Tに対するコンタクトピン2の接触圧を発生させることができる。
一方、特許文献1に開示の技術では、基板をベースに挿入しただけでは、上記の接触圧が一切発生せず、操作レバーを押し倒す作業が必要となる。従って、基板挿入時に基板を把持している作業員は、把持の対象を基板から操作レバーに切り替える必要があり煩雑である。この点、上記実施形態に係るクリップ型コネクタ100を用いれば、作業員は、把持の対象を切り替える必要がなく、基板Sの実装が完了するまでずっと基板Sだけを把持していれば足りるので、基板実装作業が上記特許文献1に開示のものと比較して遥かに楽である。特許文献2及び3についても同様のことが言える。
<第二実施形態>
次に、図2〜4を参照しつつ、本願発明の第二実施形態に係るクリップ型コネクタ100を説明する。本実施形態に係るクリップ型コネクタ100は、図1を参照して説明した第一実施形態に係るクリップ型コネクタ100の構成・作動をすべて含んでいる。上記第一実施形態の構成要素と対応する構成要素については原則として同一の符号を付すこととする。上記第一実施形態と相違する点を中心に説明し、重複する説明については適宜、割愛する。
先ず、図2に示すように、「A方向」と「B方向」、「C方向」を定義する。「A方向」は、クリップ型コネクタ100に対して基板Sを抜き挿しする方向である。「B方向」は、多数のコンタクトピン2が並んでいる方向である。「C方向」は、上記「A方向」に対しても「B方向」に対しても直交する方向である。
(ハウジング1)
さて、本実施形態に係るハウジング1は、図3(a)に示すように、固定部8と、この固定部8に対して相対変位可能な上側壁部9(可動部)と、固定部8と上側壁部9との間に設けられるねじりコイルバネ10(第1の付勢手段)と、を備えて構成されている。
固定部8は、例えばメインボードなどに対して接触固定されるものであって、底部11と、底部11をC方向で挟んで設けられる一対の下側壁部12と、上記底部11及び下側壁部12をB方向で挟んで設けられる一対のレバー支持部13と、から構成されている。本実施形態において底部11と下側壁部12、レバー支持部13は合成樹脂で一体成型により形成されいる。
上側壁部9は、底部11と下側壁部12をA方向に挟んで反対側であって、下側壁部12に対して略フラットとなるように形成されている。上側壁部9と下側壁部12は、略示の蝶番14によって連結されており、もって、上側壁部9は下側壁部12に対して相対的に変位可能、詳しくは回転変位可能となっている。この上側壁部9には、多数のコンタクトピン2が取り付けられている。各コンタクトピン2は、上側壁部9の内面9aと、上面9bと、に跨るように取り付けられている。ここで、上側壁部9の内面9aとは、対を成す他の上側壁部9と対向する面を意味する。また、上面9bとは、上側壁部9が有する面のうち下側壁部12から最も遠い位置にある面を意味する。
ねじりコイルバネ10は、図3に示すように、固定部8と上側壁部9との間に設けられ、上側壁部9を基板Sの表面Tに向かって付勢する。
この構成で、ハウジング1の上述した開口4は、固定部8の底部11と下側壁部12、レバー支持部13、上側壁部9による区画により形成されている。
(コンタクトピン2)
本実施形態に係るコンタクトピン2は、例えば図3(a)に示すように、上側壁部9の内面9aと上面9bとに跨るように形成されている。詳しくは、コンタクトピン2は、上面9bに形成された凹部9cに挿入される先端部2aと、上面9bに沿って延びる上面部2bと、内面9aに沿って下方に延びる内面部2cと、固定部8を貫通する埋没部2dと、底部11の下面11aから突き出るコネクタ取付部2eと、から構成されている。この構成で、コンタクトピン2のコネクタ取付部2eをメインボードの取付孔に挿入し、コネクタ取付部2eをメインボードに対して半田付けすることで、クリップ型コネクタ100をメインボードに対して所望の姿勢で強力に取り付けることができるようになっている。また、本実施形態では、上面部2bと内面部2cとの境界近傍部であるコーナー部2fが、例えば図3(b)に示すように、基板Sの表面Tに形成されたPad7に対して接触することとなっている。
(基板挿抜用支柱3)
前述の基板挿抜用支柱3は、図2に示すように、B方向に沿って長尺かつ略円柱状に形成されている。この基板挿抜用支柱3は、ハウジング1の上記開口4に収容されている。基板挿抜用支柱3は、図3(a)の開口制御位置5と、図3(b)の閉塞制御位置6と、の間で行き来することができるようになっている。開口制御位置5は、図3(a)に示すように少なくとも底部11と蝶番14をA方向に挟んで反対側に存在する。閉塞制御位置6は、図3(b)に示すように蝶番14に対して底部11とA方向に同じ側に存在する。
従って、基板挿抜用支柱3が開口制御位置5に位置するときは、二点鎖線で示す基板Sの表面Tから離れる方向へコンタクトピン2と上側壁部9とを一緒に大きく変位させる。このとき、一対のコンタクトピン2のコーナー部2f間の距離は、基板Sの厚みよりも大きくなっており、もって、基板Sをハウジング1の開口4内にスムーズに挿入することができるようになっている。一方で、基板挿抜用支柱3が閉塞制御位置6に位置するときは、基板Sの表面Tに形成されたPad7に対するコンタクトピン2のコーナー部2fの接触が許容される。
なお、図3(b)において、基板Sの表面Tに形成されたPad7に対するコンタクトピン2のコーナー部2fの接触圧は、ねじりコイルバネ10の巻き数やヤング率、巻き径などによって適宜、調整すればよい。
本実施形態に係るクリップ型コネクタ100は、図2に示すように、L字型レバーユニット15(第2の付勢手段)と、ロックレバー16(付勢制御手段)と、を更に備えている。
(L字型レバーユニット15)
L字型レバーユニット15は、基板挿抜用支柱3を基板Sに向かって付勢して、基板挿抜用支柱3を閉塞制御位置6から開口制御位置5へと切り替えることが可能なものである。L字型レバーユニット15は、図4(a)に示すように、L字型レバー17と、ねじりコイルバネ18と、から構成されている。L字型レバー17は、レバー支持部13に形成されたレバー挿入孔19に挿入される押圧部20と、この押圧部20の長手方向に対して直交する方向に延びる操作部21と、から構成されている。また、押圧部20には、レバー挿入孔19の内面に形成された軸受孔22に挿入される軸部23が形成されている。本実施形態において押圧部20と操作部21と軸部23は合成樹脂で一体成型により形成されている。そして、軸部23が上記の軸受孔22に挿入されることで、L字型レバー17は、図4(a)及び(b)に示すように、軸部23を中心に回転できるようになっている。ねじりコイルバネ18は、例えば図4(a)において、L字型レバー17を反時計回りに軸部23を中心として付勢する。詳しくは、ねじりコイルバネ18は、ねじりコイルバネ10(図3(b)を併せて参照。)のトルクに対抗するかたちで、基板挿抜用支柱3を閉塞制御位置6から開口制御位置5へと切り替えるのに十分なトルクを発生できるように設計されている。本実施形態において押圧部20の先端部20aには湾曲面20bが形成されている。この湾曲面20bの存在により、L字型レバー17の押圧部20と、基板挿抜用支柱3と、の間のスムーズな接触が実現されている。即ち、基板挿抜用支柱3はL字型レバー17の押圧部20を押し下げやすく、L字型レバー17の押圧部20は基板挿抜用支柱3を押し上げやすくなっている。
(ロックレバー16)
ロックレバー16は、L字型レバーユニット15による上記の付勢を許容し禁止することが可能なものである。ロックレバー16は、L字状に折り曲げられた金属棒によって形成されている。即ち、ロックレバー16は、レバー支持部13に接続されるベース24と、ベース24の長手方向に対して直交する方向に延びるアーム25と、を有する。そして、ロックレバー16は、ベース24まわりに回転自在となるようにレバー支持部13に対して取り付けられている。このロックレバー16は、図4(a)に示すようにアーム25がA方向に沿った位置となる付勢許容状態と、図4(b)に示すようにアーム25が図4(a)の状態から90度、回転させられた付勢禁止状態と、の間で切り替え可能に構成されている。図2において、付勢許容状態にあるロックレバー16を実線で、付勢禁止状態にあるロックレバー16を二点鎖線で、それぞれ示す。図4(a)に示すようにロックレバー16が付勢許容状態にあるときは、ロックレバー16は、L字型レバーユニット15による上記の付勢を許容する。一方で、図4(b)に示すようにロックレバー16が付勢禁止状態にあるときは、ロックレバー16は、L字型レバーユニット15による上記の付勢を禁止する。
次に、本実施形態に係るクリップ型コネクタ100の作動を説明する。図2及び図3(a)、図4(a)は、クリップ型コネクタ100に基板Sが実装されていない状態を示す。図3(b)及び図4(b)は、クリップ型コネクタ100に基板Sが実装されている状態を示す。
(基板未実装時)
上記第一実施形態での説明と重複する説明は適宜割愛する。基板未実装時では、図4(a)に示すように、ロックレバー16は、付勢許容状態に切り替わっている。L字型レバーユニット15のL字型レバー17は、軸部23まわりに所定角度だけ反時計回りに回転した状態となっている。上記所定角度は、L字型レバー17の押圧部20と、レバー支持部13のレバー挿入孔19の周縁と、の干渉によって実現されている。L字型レバー17の押圧部20の先端部20aは基板挿抜用支柱3に対して接触している。基板挿抜用支柱3は、L字型レバー17の押圧部20によって押し上げられて、開口制御位置5に位置する状態となっている。
(基板実装時)
同じく、上記第一実施形態での説明と重複する説明は適宜割愛する。基板挿抜用支柱3が開口制御位置5から閉塞制御位置6へと切り替えられると、図3(b)に示すように、一対の上側壁部9はねじりコイルバネ10の作用によって基板S側へ倒れこみ、基板Sの表面Tに形成されたPad7に対してコンタクトピン2のコーナー部2fが接触する。また、基板挿抜用支柱3が開口制御位置5から閉塞制御位置6へと切り替えられる際、基板挿抜用支柱3は、L字型レバー17の押圧部20の先端部20aの湾曲面20bを介して、図4(b)に示すようにL字型レバー17を時計回りに回転させる。そして、L字型レバー17の操作部21がレバー支持部13に対して突き当たったら、ロックレバー16のアーム25をベース24まわりに90度、回転させ、ロックレバー16を付勢許容状態から付勢禁止状態へと切り替える。すると、ねじりコイルバネ18の自己弾性復元力によってL字型レバー17が押圧部20の先端部20aの湾曲面20bを介して基板挿抜用支柱3を押し上げようとする力が無力化される。この結果、ハウジング1の開口4に挿入され、一対の上側壁部9によって挟持されている基板Sは、基板挿抜用支柱3によって押し上げられるような突き上げ力を受けることがない。
(基板取外時)
次に、基板Sをクリップ型コネクタ100から取り外すには、先ず、ロックレバー16を付勢禁止状態から付勢許容状態へと切り替える。すると、ねじりコイルバネ18の自己弾性復元力によってL字型レバー17が押圧部20の先端部20aの湾曲面20bを介して基板挿抜用支柱3を押し上げようとする力が復活し、図4(a)に示すように、基板挿抜用支柱3が閉塞制御位置6から開口制御位置5へと切り替えられる。この結果、図3(a)に示すように一対の上側壁部9が相互に遠ざかり、基板Sは一対の上側壁部9によって挟持された状態から解放される。このとき、基板挿抜用支柱3の上昇移動に伴って基板Sは二点鎖線で示すように僅かに持ち上げられる。後は、基板Sを把持してクリップ型コネクタ100からそのまま抜き取ればよい。
(まとめ)
(2)以上説明したように本実施形態においてクリップ型コネクタ100は、以下のように構成されている。即ち、ハウジング1は、固定部8と、この固定部8に対して相対変位可能であってコンタクトピン2が取り付けられる上側壁部9と、固定部8と上側壁部9との間に設けられ、上側壁部9を基板Sの表面Tに向かって付勢するねじりコイルバネ10と、を備えて構成されている。以上の構成によれば、コンタクトピン2の上記付勢力をコンタクトピン2の自己弾性復元力によって実現する構成(例えば特許文献2を参照。)と比較して、コンタクトピン2の上記付勢力の多様なバリエーションを容易に実現することができる。端的に言えば、特許文献2の構成と比較して、コンタクトピン2の上記付勢力を微調整し易い。
(3)クリップ型コネクタ100は、更に、基板挿抜用支柱3を基板Sに向かって付勢して、基板挿抜用支柱3を閉塞制御位置6から開口制御位置5へと切り替えることが可能なL字型レバーユニット15と、L字型レバーユニット15による上記の付勢を許容し禁止することが可能なロックレバー16と、を更に備える。以上の構成において、基板Sをハウジング1から抜き取るに際し、L字型レバーユニット15の作用によって基板挿抜用支柱3が閉塞制御位置6から開口制御位置5へと切り替えられる。これにより、基板Sの表面Tに対するコンタクトピン2の接触圧が消失し、もって、難なく基板Sをハウジング1から抜き取ることができる。一方で、基板Sをクリップ型コネクタ100に実装している間は、L字型レバーユニット15による上記の付勢をロックレバー16によって禁止することができるので、クリップ型コネクタ100に対する基板Sの実装を問題なく維持することができる。
(4)また、基板挿抜用支柱3は略円柱状に形成されている。以上の構成によれば、開口制御位置5と、閉塞制御位置6と、の間のスムーズな切り替えを実現することができる。
<第三実施形態>
次に、図5及び図6を参照しつつ、本願発明の第三実施形態に係るクリップ型コネクタ100を説明する。本実施形態に係るクリップ型コネクタ100は、図2〜4を参照して説明した第二実施形態に係るクリップ型コネクタ100の構成・作動をすべて含んでいる。上記第二実施形態の構成要素と対応する構成要素については原則として同一の符号を付すこととする。上記第二実施形態と相違する点を中心に説明し、重複する説明については適宜、割愛する。
本実施形態においてコンタクトピン2には、基板Sに形成されたVIAホール26に対して挿入可能な先細りの円錐部2gが形成されている。この円錐部2gは、図5(a)に示すように、コンタクトピン2の上面部2bと内面部2cとの間に形成されている。各円錐部2gは、ハウジング1の開口4に挿入される基板Sの表面Tに対して垂直に突き出るように形成されている。一方、基板Sに形成されるVIAホール26は、基板Sを貫通する貫通孔であって、円筒状に形成されている。クリップ型コネクタ100に対して基板Sを実装する際は、図5(b)に示すように、コンタクトピン2の円錐部2gが基板SのVIAホール26内に挿入されるようになっている。
本実施形態では、図6(a)及び(b)に示すように、コンタクトピン2の円錐部2gの高さ方向半分の位置における径dは、基板SのVIAホール26の径Dと等しくなるように設定されている。これにより、コンタクトピン2の円錐部2gと、VIAホール26のメッキ部と、の間の十分な接触面積が確保されるようになっている。
なお、クリップ型コネクタではない従来のカードエッジコネクタは、Pad面積が少なくとも3.5mm必要であった。これに対し、本実施形態のクリップ型コネクタ100では、クリップ型である故、Pad面積を従来のカードエッジコネクタに比べて小さくすることができる。更に、上述したVIAホール26と円錐部2gとの組み合わせを採用すれば、基板S側に必要となるPad面積が(本願発明者の試作品によれば)例えば0.19625mm程度に小さくすることができる。従って、この面積縮小効果によりピンピッチ(接続端子のピッチ)を縮小でき、もって、一層の多ピン化を実現することができるようになっている。
(まとめ)
(5)以上説明したように本実施形態において、コンタクトピン2には、基板Sに形成されたVIAホール26に挿入可能な先細りの円錐部2gが形成されている。以上の構成によれば、コンタクトピン2が基板Sの表面Tに対して接触する際に円錐部2gがVIAホール26へ挿入される。このとき、円錐部2gとVIAホール26との間で自動調心機能が発揮される。従って、いわゆるピン位置の制御が緩和されることになる。「ピン位置の制御」とは、基板をコネクタに実装した際に、コネクタ側の接続端子と、基板上に形成された金属Padと、の位置合わせに関する制御を意味する。
以上に本願発明の好適な実施形態を説明したが、以下、補足説明する。
即ち、上記各実施形態に係るクリップ型コネクタ100を採用することで、一般的なカードエッジコネクタと同様に、通常のオスメスコネクタが必要となるコネクタと比較して、片方のコネクタだけで接続が実現するので、この点、原価低減につながっている。
また、一般的なカードエッジコネクタでは、挿入の際に、基板上に形成されたPadと、コネクタ側の接続端子と、の間で擦れが起こるので、基板上のPadを例えば金などの機械的強度に優れた金属で形成する必要がある。これに対し、上記各実施形態に係るクリップ型コネクタ100を採用すると、クリップ型である故、上記の擦れは原理的に起こらない。従って、機械的強度に必ずしも優れていない金属で上記Padを形成でき、この点、更なる原価低減が実現されている。
上記の各実施形態は、例えば以下のように変更することができる。
即ち、上記各実施形態において、コンタクトピン2は、例えば図1、図2、図3(a)及び(b)、図5(a)及び(b)に示すように、基板Sを挟んで両側に設けることとしたが、これに代えて、コンタクトピン2を基板Sの片側だけに設けることとしてもよい。
上記各実施形態では、例えば図3(a)に示すように、固定部8の下側壁部12と、上側壁部9と、は蝶番14によって連結されているとしたが、これに代えて、固定部8と上側壁部9とを一体形成した上で、蝶番14に相当する位置に薄肉部を設けることで、固定部8に対する上側壁部9の相対変位を実現するようにしてもよい。
1 ハウジング
2 コンタクトピン(接続端子)
3 基板挿抜用支柱(可動片)
4 開口
5 開口制御位置(第1の制御位置)
6 閉塞制御位置(第2の制御位置)

Claims (3)

  1. 基板を挿入可能な開口を有するハウジングと、
    前記ハウジングに支持され、前記ハウジングの上記開口に挿入された前記基板の表面に向かって付勢される接続端子と、
    前記ハウジングの上記開口に収容される可動片と、
    を備え、
    前記可動片は、前記ハウジングの上記開口に前記基板を挿入する際に前記基板によって押し込まれることで、前記基板の表面から離れる方向へ前記接続端子を変位させる第1の制御位置から、前記基板の表面に対する前記接続端子の接触を許容する第2の制御位置へと切り替えられ、
    前記ハウジングは、
    固定部と、
    この固定部に対して相対変位可能であって前記接続端子が取り付けられる可動部と、
    前記固定部と前記可動部との間に設けられ、前記可動部を前記基板の表面に向かって付勢する第1の付勢手段と、を備えて構成され、
    前記可動片を前記基板に向かって付勢することで、前記可動片を前記第2の制御位置から前記第1の制御位置へと切り替えることが可能な第2の付勢手段と、
    前記第2の付勢手段による上記の付勢を許容し禁止することが可能な付勢制御手段と、を備え、
    前記第2の付勢手段は、
    前記可動片に当接する押圧部と、前記ハウジングの外部に露出する操作部と、前記押圧部と前記操作部との間に配置されて前記押圧部を回転自在にする軸部と、を有するレバーと、
    前記軸部を中心に回動する前記押圧部を前記基板に向かって付勢するバネと、を備え、
    前記付勢制御手段は、回転自在なロックレバーであり、前記操作部を引っ掛けて前記レバーの回転を禁止し、回転により前記操作部の引っ掛けを解除して前記レバーの回転を許容する、
    クリップ型コネクタ。
  2. 請求項1に記載のクリップ型コネクタであって、
    前記可動片は略円柱状に形成されている、
    クリップ型コネクタ。
  3. 請求項1又は2に記載のクリップ型コネクタであって、
    前記接続端子には、前記基板に形成されたVIAホールに挿入可能な先細りの円錐部が形成されている、
    クリップ型コネクタ。
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