以下に、本発明の実施形態に係る高周波信号線路及びその製造方法について図面を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
(高周波信号線路の構成)
以下に、本発明の第1の実施形態に係る高周波信号線路の構成について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る高周波信号線路10の外観斜視図である。図2は、図1の高周波信号線路10の誘電体素体12の分解図である。図3は、図1のA−Aにおける断面構造図である。図4は、図1のB−Bにおける断面構造図である。以下では、高周波信号線路10の積層方向をz軸方向と定義する。また、高周波信号線路10の長手方向をx軸方向と定義し、x軸方向及びz軸方向に直交する方向をy軸方向と定義する。
高周波信号線路10は、例えば、携帯電話等の電子機器内において、2つの高周波回路を接続するために用いられるフラットケーブルである。高周波信号線路10は、図1及び図2に示すように、誘電体素体12、外部端子16a〜16d、信号線20、基準グランド導体22、補助グランド導体24、ビアホール導体b1〜b4,B1〜B4及びコネクタ100a,100bを備えている。
誘電体素体12は、図1に示すように、z軸方向から平面視したときに、x軸方向に延在する可撓性を有する板状部材であり、線路部12a、接続部12b,12cを含んでいる。誘電体素体12は、図2に示すように、保護層14、誘電体シート18a,18b及び保護層15がz軸方向の正方向側から負方向側へとこの順に積層されて構成されている積層体である。以下では、誘電体素体12のz軸方向の正方向側の主面を表面と称し、誘電体素体12のz軸方向の負方向側の主面を裏面と称す。
線路部12aは、図1に示すように、x軸方向に延在している。接続部12b,12cはそれぞれ、線路部12aのx軸方向の負方向側の端部及びx軸方向の正方向側の端部に接続されており、矩形状をなしている。接続部12b,12cのy軸方向の幅は、線路部12aのy軸方向の幅よりも大きい。
誘電体シート18a,18bは、図2に示すように、z軸方向から平面視したときに、x軸方向に延在しており、誘電体素体12と同じ形状をなしている。誘電体シート18a,18bは、ポリイミドや液晶ポリマー等の可撓性を有する熱可塑性樹脂により構成されている。以下では、誘電体シート18a,18bのz軸方向の正方向側の主面を表面と称し、誘電体シート18a,18bのz軸方向の負方向側の主面を裏面と称す。
誘電体シート18aの厚さT1は、図3及び図4に示すように、誘電体シート18bの厚さT2と略等しい。誘電体シート18a,18bの積層後において、厚さT1,T2は、例えば、50μm〜300μmである。本実施形態では、厚さT1は100μmである。
また、誘電体シート18aは、図2に示すように、線路部18a−a及び接続部18a−b,18a−cにより構成されている。誘電体シート18bは、線路部18b−a及び接続部18b−b,18b−cにより構成されている。線路部18a−a,18b−aは、線路部12aを構成している。接続部18a−b,18b−bは、接続部12bを構成している。接続部18a−c,18b−cは、接続部12cを構成している。
信号線20は、図2に示すように、高周波信号が伝送され、誘電体素体12に設けられている針金状の導体である。針金状の導体は、いわゆる同軸ケーブルの芯線のような線状部材である。針金状の導体の断面形状は、一定の曲率を有している。本実施形態では、信号線20は、誘電体シート18aと誘電体シート18bとの間に設けられており、x軸方向に延在している。また、信号線20の断面形状は、図3及び図4に示すように円形である。
信号線20のx軸方向の負方向側の端部は、図2に示すように、接続部18a−bと接続部18b−bとの間から外部に露出している。信号線20のx軸方向の正方向側の端部は、図2に示すように、接続部18a−cと接続部18b−cとの間から外部に露出している。信号線20は、銅等の比抵抗の小さな金属材料により作製されている。また、信号線20は、誘電体シート18a,18bに挟まれており、誘電体シート18a,18b上に形成されていない。よって、信号線20は、誘電体シート18a,18bに強く固着していない。強く固着していないとは、高周波信号線路10が曲げられたときに、信号線20と誘電体シート18a,18bとの間で滑りが発生する程度に信号線20と誘電体シート18a,18bとが接触していることを意味する。
基準グランド導体22は、図2に示すように、信号線20よりもz軸方向の正方向側に設けられているベタ状の導体層である。より詳細には、基準グランド導体22は、誘電体シート18aの表面に形成され、誘電体シート18aを介して信号線20と対向している。基準グランド導体22には、信号線20と重なる位置には開口が設けられていない。基準グランド導体22は、銀や銅を主成分とする比抵抗の小さな金属材料により作製されている。ここで、基準グランド導体22が誘電体シート18aの表面に形成されているとは、誘電体シート18aの表面にめっきにより形成された金属箔がパターニングされて基準グランド導体22が形成されていることや、誘電体シート18aの表面に張り付けられた金属箔がパターニングされて基準グランド導体22が形成されていることを指す。また、基準グランド導体22の表面には平滑化が施されるので、図3及び図4に示すように、基準グランド導体22が誘電体シート18aに接している面の表面粗さは基準グランド導体22が誘電体シート18aに接していない面の表面粗さよりも大きくなる。
また、基準グランド導体22は、図2に示すように、線路部22a及び端子部22b,22cにより構成されている。線路部22aは、線路部18a−aの表面に設けられ、x軸方向に沿って延在している。端子部22bは、線路部18a−bの表面に設けられ、矩形状の環をなしている。端子部22bは、線路部22aのx軸方向の負方向側の端部に接続されている。端子部22cは、接続部18a−cの表面に設けられ、矩形状の環をなしている。端子部22cは、線路部22aのx軸方向の正方向側の端部に接続されている。
補助グランド導体24は、図2に示すように、信号線20よりもz軸方向の負方向側に設けられているベタ状の導体層である。より詳細には、補助グランド導体24は、誘電体シート18bの裏面に形成され、誘電体シート18bを介して信号線20と対向している。補助グランド導体24には、信号線20と重なる位置には開口が設けられていない。補助グランド導体24は、銀や銅を主成分とする比抵抗の小さな金属材料により作製されている。ここで、補助グランド導体24が誘電体シート18bの裏面に形成されているとは、誘電体シート18bの裏面にめっきにより形成された金属箔がパターニングされて補助グランド導体24が形成されていることや、誘電体シート18bの裏面に張り付けられた金属箔がパターニングされて補助グランド導体24が形成されていることを指す。また、補助グランド導体24の表面には平滑化が施されるので、図3及び図4に示すように、補助グランド導体24が誘電体シート18bに接している面の表面粗さは補助グランド導体24が誘電体シート18bに接していない面の表面粗さよりも大きくなる。
また、補助グランド導体24は、図2に示すように、線路部24a及び端子部24b,24cにより構成されている。線路部24aは、線路部18b−aの裏面に設けられ、x軸方向に沿って延在している。端子部24bは、線路部18b−bの裏面に設けられ、矩形状の環をなしている。端子部24bは、線路部24aのx軸方向の負方向側の端部に接続されている。端子部24cは、接続部18b−cの裏面に設けられ、矩形状の環をなしている。端子部24cは、線路部24aのx軸方向の正方向側の端部に接続されている。
外部端子16aは、図2に示すように、接続部18a−bの表面上の中央に形成されている矩形状の導体である。よって、外部端子16aは、z軸方向から平面視したときに、信号線20と重なっている。外部端子16bは、図2に示すように、接続部18a−cの表面上の中央に形成されている矩形状の導体である。よって、外部端子16bは、z軸方向から平面視したときに、信号線20と重なっている。外部端子16cは、図2に示すように、接続部18b−bの裏面上の中央に形成されている矩形状の導体である。よって、外部端子16cは、z軸方向から平面視したときに、信号線20と重なっている。外部端子16dは、図2に示すように、接続部18b−cの裏面上の中央に形成されている矩形状の導体である。よって、外部端子16dは、z軸方向から平面視したときに、信号線20と重なっている。
外部端子16a〜16dは、銀や銅を主成分とする比抵抗の小さな金属材料により作製されている。また、外部端子16a,16bの表面には、Ni/Auめっきが施されている。ここで、外部端子16a,16bが誘電体シート18aの表面に形成されているとは、誘電体シート18aの表面にめっきにより形成された金属箔がパターニングされて外部端子16a,16bが形成されていることや、誘電体シート18aの表面に張り付けられた金属箔がパターニングされて外部端子16a,16bが形成されていることを指す。また、外部端子16a,16bの表面には平滑化が施されるので、外部端子16a,16bが誘電体シート18aに接している面の表面粗さは外部端子16a,16bが誘電体シート18aに接していない面の表面粗さよりも大きくなる。同様に、外部端子16c,16dが誘電体シート18bの裏面に形成されているとは、誘電体シート18bの裏面にめっきにより形成された金属箔がパターニングされて外部端子16c,16dが形成されていることや、誘電体シート18bの裏面に張り付けられた金属箔がパターニングされて外部端子16c,16dが形成されていることを指す。また、外部端子16c,16dの裏面には平滑化が施されるので、外部端子16c,16dが誘電体シート18bに接している面の表面粗さは外部端子16c,16dが誘電体シート18bに接していない面の表面粗さよりも大きくなる。
以上のように、信号線20は、基準グランド導体22及び補助グランド導体24によってz軸方向の両側から挟まれている。すなわち、信号線20、基準グランド導体22及び補助グランド導体24は、トリプレート型のストリップライン構造をなしている。また、信号線20と基準グランド導体22との間隔(z軸方向における距離)は、図4に示すように誘電体シート18aの厚さT1と略等しく、例えば、50μm〜300μmである。本実施形態では、信号線20と基準グランド導体22との間隔は、100μmである。また、信号線20と補助グランド導体24との間隔(z軸方向における距離)は、図4に示すように誘電体シート18bの厚さT2と略等しく、例えば、50μm〜300μmである。本実施形態では、信号線20と補助グランド導体24との間隔は、100μmである。
ビアホール導体b1は、図2に示すように、誘電体シート18aの接続部18a−bをz軸方向に貫通しており、外部端子16aと信号線20とを接続している。ビアホール導体b2は、図2に示すように、誘電体シート18aの接続部18a−cをz軸方向に貫通しており、外部端子16bと信号線20とを接続している。これにより、信号線20は、外部端子16a,16b間に接続されている。ビアホール導体b1,b2は、誘電体シート18aに形成された貫通孔内にすず及び銀を主成分とする金属材料が充填されることによって形成されている。
ビアホール導体b3は、図2に示すように、誘電体シート18bの接続部18b−bをz軸方向に貫通しており、外部端子16cと信号線20とを接続している。ビアホール導体b4は、図2に示すように、誘電体シート18bの接続部18b−cをz軸方向に貫通しており、外部端子16dと信号線20とを接続している。ビアホール導体b3,b4は、誘電体シート18bに形成された貫通孔内にすず及び銀を主成分とする金属材料が充填されることによって形成されている。
複数のビアホール導体B1は、図2及び図3に示すように、信号線20よりもy軸方向の正方向側において線路部18a−aをz軸方向に貫通しており、x軸方向に一列に等間隔に並んでいる。複数のビアホール導体B2は、図2及び図3に示すように、信号線20よりもy軸方向の正方向側において線路部18b−aをz軸方向に貫通しており、x軸方向に一列に等間隔に並んでいる。ビアホール導体B1とビアホール導体B2とは、互いに接続されることによって一本のビアホール導体を構成している。ビアホール導体B1のz軸方向の正方向側の端部は、基準グランド導体22に接続されており、ビアホール導体B2のz軸方向の負方向側の端部は、補助グランド導体24に接続されている。これにより、ビアホール導体B1,B2は、基準グランド導体22と補助グランド導体24とを接続している。ビアホール導体B1,B2は、誘電体シート18a,18bに形成された貫通孔内にすず及び銀を主成分とする金属材料が充填されることによって形成されている。
複数のビアホール導体B3は、図2及び図3に示すように、信号線20よりもy軸方向の負方向側において線路部18a−aをz軸方向に貫通しており、x軸方向に一列に等間隔に並んでいる。複数のビアホール導体B4は、図2及び図3に示すように、信号線20よりもy軸方向の負方向側において線路部18b−aをz軸方向に貫通しており、x軸方向に一列に等間隔に並んでいる。ビアホール導体B3とビアホール導体B4とは、互いに接続されることによって一本のビアホール導体を構成している。ビアホール導体B3のz軸方向の正方向側の端部は、基準グランド導体22に接続されており、ビアホール導体B4のz軸方向の負方向側の端部は、補助グランド導体24に接続されている。これにより、ビアホール導体B3,B4は、基準グランド導体22と補助グランド導体24とを接続している。ビアホール導体B3,B4は、誘電体シート18a,18bに形成された貫通孔内にすず及び銀を主成分とする金属材料が充填されることによって形成されている。
保護層14は、誘電体シート18aの表面の略全面を覆っている絶縁膜である。これにより、保護層14は、基準グランド導体22を覆っている。保護層14は、例えば、レジスト材等の可撓性樹脂からなる。
また、保護層14は、図2に示すように、線路部14a及び接続部14b,14cにより構成されている。線路部14aは、線路部18a−aの表面の全面を覆うことにより、線路部22aを覆っている。
接続部14bは、線路部14aのx軸方向の負方向側の端部に接続されており、接続部18a−bの表面を覆っている。ただし、接続部14bには、開口Ha〜Hdが設けられている。開口Haは、接続部14bの中央に設けられている矩形状の開口である。外部端子16aは、開口Haを介して外部に露出している。また、開口Hbは、開口Haよりもy軸方向の正方向側に設けられている矩形状の開口である。開口Hcは、開口Haよりもx軸方向の負方向側に設けられている矩形状の開口である。開口Hdは、開口Haよりもy軸方向の負方向側に設けられている矩形状の開口である。端子部22bは、開口Hb〜Hdを介して外部に露出することにより、外部端子として機能する。
接続部14cは、線路部14aのx軸方向の正方向側の端部に接続されており、接続部18a−cの表面を覆っている。ただし、接続部14cには、開口He〜Hhが設けられている。開口Heは、接続部14cの中央に設けられている矩形状の開口である。外部端子16bは、開口Heを介して外部に露出している。また、開口Hfは、開口Heよりもy軸方向の正方向側に設けられている矩形状の開口である。開口Hgは、開口Heよりもx軸方向の正方向側に設けられている矩形状の開口である。開口Hhは、開口Heよりもy軸方向の負方向側に設けられている矩形状の開口である。端子部22cは、開口Hf〜Hhを介して外部に露出することにより、外部端子として機能する。
保護層15は、誘電体シート18bの裏面の略全面を覆っている絶縁膜である。これにより、保護層15は、補助グランド導体24を覆っている。保護層15は、例えば、レジスト材等の可撓性樹脂からなる。
コネクタ100a,100bはそれぞれ、図1に示すように、接続部12b,12cの表面上に実装される。コネクタ100a,100bの構成は同じであるので、以下にコネクタ100bの構成を例に挙げて説明する。図5は、高周波信号線路10のコネクタ100bの外観斜視図である。図6は、高周波信号線路10のコネクタ100bの断面構造図である。
コネクタ100bは、図1、図5及び図6に示すように、コネクタ本体102、外部端子104,106、中心導体108及び外部導体110により構成されている。コネクタ本体102は、矩形状の板部材に円筒部材が連結された形状をなしており、樹脂等の絶縁材料により作製されている。
外部端子104は、コネクタ本体102の板部材のz軸方向の負方向側の面において、外部端子16bと対向する位置に設けられている。外部端子106は、コネクタ本体102の板部材のz軸方向の負方向側の面において、開口Hf〜Hhを介して露出している端子部22cに対応する位置に設けられている。
中心導体108は、コネクタ本体102の円筒部材の中心に設けられており、外部端子104と接続されている。中心導体108は、高周波信号が入力又は出力する信号端子である。外部導体110は、コネクタ本体102の円筒部材の内周面に設けられており、外部端子106と接続されている。外部導体110は、接地電位に保たれるグランド端子である。
以上のように構成されたコネクタ100bは、図5及び図6に示すように、外部端子104が外部端子16bと接続され、外部端子106が端子部22cと接続されるように、接続部12cの表面上に実装される。これにより、信号線20は、中心導体108に電気的に接続されている。また、基準グランド導体22及び補助グランド導体24は、外部導体110に電気的に接続されている。
高周波信号線路10は、以下に説明するように用いられる。図7は、高周波信号線路10が用いられた電子機器200をy軸方向から平面視した図である。図8は、高周波信号線路10が用いられた電子機器200をz軸方向から平面視した図である。
電子機器200は、高周波信号線路10、回路基板202a,202b、レセプタクル204a,204b、バッテリーパック(金属体)206及び筐体210を備えている。
回路基板202aには、例えば、アンテナを含む送信回路又は受信回路が設けられている。回路基板202bには、例えば、給電回路が設けられている。バッテリーパック206は、例えば、リチウムイオン2次電池であり、その表面が金属カバーにより覆われた構造を有している。回路基板202a、バッテリーパック206及び回路基板202bは、x軸方向の負方向側から正方向側へとこの順に並んでいる。
レセプタクル204a,204bはそれぞれ、回路基板202a,202bのz軸方向の負方向側の主面上に設けられている。レセプタクル204a,204bにはそれぞれ、コネクタ100a,100bが接続される。これにより、コネクタ100a,100bの中心導体108には、回路基板202a,202b間を伝送される例えば2GHzの周波数を有する高周波信号がレセプタクル204a,204bを介して印加される。また、コネクタ100a,100bの外部導体110には、回路基板202a,202b及びレセプタクル204a,204bを介して、グランド電位に保たれる。これにより、高周波信号線路10は、回路基板202a,202b間を接続している。
ここで、誘電体素体12の表面(より正確には、保護層14)は、バッテリーパック206に対して接触している。そして、誘電体素体12とバッテリーパック206とは、接着剤等により固定されている。
(高周波信号線路の製造方法)
以下に、高周波信号線路10の製造方法について図面を参照しながら説明する。図9は、マザーシート118a,118bに基準グランド導体22及び補助グランド導体24を形成する工程の説明図である。図10は、マザーシート118a、信号線20及びマザーシート118bの斜視図である。図11は、マザーシート118a,118bを圧着する工程の説明図である。図12及び図13は、マザーシート118a,118bを圧着する工程におけるビアホール導体b1,b3及び信号線20の断面構造図である。
まず、一方の主面の全面に銅箔が形成された熱可塑性樹脂からなるマザーシート118a,118bを準備する。マザーシート118a,118bとは、誘電体シート18a,18bにカットされる前の大判のシートである。マザーシート118a,118bの銅箔の表面は、例えば、防錆のための亜鉛鍍金が施されることにより、平滑化されている。銅箔の厚さは、10μm〜20μmである。
次に、以下に説明するフォトリソグラフィ工程により、図2及び図10に示す外部端子16a,16b及び基準グランド導体22をマザーシート118aの表面に形成する。
まず、マザーシート118aにレジストパターンを形成する。マザーシート118aは、図9に示すように、供給ローラ300に巻かれたロール状をなしている。そして、マザーシート118aは、供給ローラ300により送り出されながら、巻き取りローラ302により巻き取られる。供給ローラ300と巻き取りローラ302との間には、搬送ローラ304、印刷装置308及び搬送ローラ306がこの順に並ぶように配置されている。搬送ローラ304,306は、マザーシート118aを搬送する。印刷装置308は、マザーシート118aの銅箔上に、図10に示す外部端子16a,16b及び基準グランド導体22と同じ形状のレジストを印刷する。図10に示すように、基準グランド導体22は、マザーシート118aにマトリクス状に配置された状態で形成されるので、レジストも、基準グランド導体22と同様に、マザーシート118aにマトリクス状に配置された状態で形成される。これにより、レジストが印刷されたマザーシート118aは、巻き取りローラ302に巻き取られてロール状をなすようになる。
次に、マザーシート118aの銅箔にエッチング処理を施す。巻き取りローラ302に巻き取られたマザーシート118aを、図9に示すように、供給ローラ310として用いる。そして、供給ローラ310に巻かれたマザーシート118aであって、銅箔(導体膜)が形成されたマザーシート118aを巻き取りローラ312によって巻き取りながら、供給ローラ310と巻き取りローラ312との間で銅箔にパターニングを施すことによって、図10に示すように外部端子16a,16b及び基準グランド導体22をマザーシート118aに形成する。
具体的には、マザーシート118aは、供給ローラ310により送り出されながら、巻き取りローラ312により巻き取られる。供給ローラ310と巻き取りローラ312との間には、搬送ローラ314、エッチング装置317及び搬送ローラ316がこの順に並ぶように配置されている。搬送ローラ314,316は、マザーシート118aを搬送する。エッチング装置317は、銅箔に対してエッチング処理液を吹き付け、レジストにより覆われていない部分の銅箔を除去した後、レジスト除去液を吹き付けて、レジストを除去する。これにより、図10に示すように、外部端子16a,16b及び基準グランド導体22がマザーシート118aの表面に形成される。外部端子16a,16b及び基準グランド導体22が形成されたマザーシート118aは、巻き取りローラ312に巻き取られてロール状をなすようになる。
次に、フォトリソグラフィ工程により、図2及び図10に示す外部端子16c,16d及び補助グランド導体24をマザーシート118bの裏面に形成する。外部端子16c,16d及び補助グランド導体24の形成工程は、外部端子16a,16b及び基準グランド導体22の形成工程と同じであるので説明を省略する。
次に、巻き取りローラ312に巻き取られたマザーシート118a,118bを送り出しながら、マザーシート118a,118bのビアホール導体b1〜b4,B1〜B4が形成される位置に対して、レーザービームを照射して、貫通孔を形成する。この際、マザーシート118aには裏面側からレーザービームを照射する。これにより、マザーシート118aに形成された貫通孔は、z軸方向の負方向側に行くにしたがって直径が大きくなる円錐台状をなすようになる。なお、パンチによって貫通孔を形成してもよい。マザーシート118bには表面側からレーザービームを照射する。これにより、マザーシート118bに形成された貫通孔は、z軸方向の正方向側に行くにしたがって直径が大きくなる円錐台状をなすようになる。なお、パンチによって貫通孔を形成してもよい。更に、マザーシート118a,118bに形成した貫通孔に対して、バインダを含む溶剤中にすず粉末及び銀粉末を含む金属粉末を分散させた導電性ペーストを充填する。これにより、図12に示すように、ビアホール導体b1,b2,B1,B3(ビアホール導体B1,B3は図示せず)は、z軸方向の負方向側に行くにしたがって直径が大きくなる円錐台状をなしている。そして、ビアホール導体b1,b2のz軸方向の負方向側の端部の直径は、信号線20の直径よりも大きくなる。また、図12に示すように、ビアホール導体b3,b4,B2,B4(ビアホール導体B2,B4は図示せず)は、z軸方向の正方向側に行くにしたがって直径が大きくなる円錐台状をなしている。そして、ビアホール導体b3,b4のz軸方向の正方向側の端部の直径は、信号線20の直径よりも大きくなる。そして、マザーシート118a,118bをそれぞれ巻き取りローラ319,322に巻き取る。
次に、図11に示すように、巻き取りローラ319,322からマザーシート118a,118bを送り出し、巻き取りローラ320から信号線20を送り出す。信号線20は、例えば銅を細長く引き延ばして針金状(線状)にしたものである。この際、マザーシート118aとマザーシート118bとの間に信号線20が位置するように、これらを重ねる。更に、マザーシート118a,118bを圧着ローラ324によって圧着する。この際、圧着ローラ324は、マザーシート118a,118bに対して加熱処理も行う。これにより、マザーシート118a,118bを軟化させて圧着・一体化するとともに、貫通孔に充填された導電性ペーストを溶融・固化して、図2に示すビアホール導体b1〜b4,B1〜B4を形成する。この際、図13に示すように、信号線20とビアホール導体b1〜b4との界面には、すず及び銅を含む合金相400が形成されている。すなわち、針金状の信号線20とビアホール導体b1〜b4とは、信号線20を構成する金属とビアホール導体b1〜b4を構成する金属との合金相を介して接続される。
次に、樹脂(レジスト)ペーストを塗布することにより、マザーシート118aの表面及びマザーシート118bの裏面のそれぞれに保護層14,15を形成する。更に、マザーシート118aの表面上にコネクタ100a,100bを実装する。
最後に、マザーシート118a,118bに打ち抜き加工を施すことによって、図1に示す高周波信号線路10を得る。
(効果)
以上のように構成された高周波信号線路10及びその製造方法によれば、挿入損失を低減しつつ、誘電体シート18a,18bの損傷を抑制できる。より詳細には、高周波信号線路10及びその製造方法では、針金状の信号線20を誘電体シート18a,18bにより挟んでいる。これにより、誘電体シート18a,18bに信号線20をエッチング工程により形成する必要がない。よって、挿入損失の低減のために信号線20の直径(厚みや幅)を大きくしても、より強い酸性を有するエッチング液を用いる必要がない。その結果、信号線20の形成工程において、誘電体シート18a,18bに損傷が発生することが抑制される。
また、高周波信号線路10及びその製造方法によれば、高周波信号線路10を容易に曲げることが可能となる。より詳細には、特許文献1に記載の信号線路では、信号線は、平面導体として絶縁シート上に形成されている。そのため、信号線は、絶縁シートに固着している。また、信号線は絶縁シートに比べて伸び縮みしにくい。そのため、信号線路を曲げたときに、外周側に位置する絶縁シートに信号線が形成されている場合には、外周側に位置する絶縁シートが信号線によって伸びることが妨げられる。一方、信号線路を曲げたときに、内周側に位置する絶縁シートに信号線が形成されている場合には、内周側に位置する絶縁シートが信号線によって縮むことが妨げられる。その結果、特許文献1に記載の信号線路では、信号線路を曲げることが困難となってしまう。
一方、高周波信号線路10及びその製造方法では、針金状の信号線20を誘電体シート18a,18bにより挟んでいる。よって、信号線20は、誘電体シート18a,18bに強く固着していない。そのため、高周波信号線路10が曲げられたときに、信号線20と誘電体シート18a,18bとの間で滑りが発生する。したがって、高周波信号線路10が曲げられた際に、誘電体シート18a,18bが信号線20によって伸び縮みすることが妨げられにくい。その結果、高周波信号線路10及びその製造方法によれば、高周波信号線路10を容易に曲げることが可能となる。
また、高周波信号線路10では、信号線20とビアホール導体b1〜b4との界面には、すず及び銅を含む合金相400が形成されている。そのため、信号線20とビアホール導体b1〜b4とは、物理的に接触しているだけではなく、一体化されている。これにより、信号線20とビアホール導体b1〜b4との接続部分における抵抗値が低減される。その結果、高周波信号線路10の挿入損失が低減される。
(第1の変形例)
以下に、第1の変形例に係る高周波信号線路の構成について図面を参照しながら説明する。図14は、第1の変形例に係る高周波信号線路10aの誘電体素体12の分解図である。図15は、高周波信号線路10aのA−Aにおける断面構造図である。高周波信号線路10aの外観斜視図については、図1を援用する。
高周波信号線路10aは、補助グランド導体24の構造、外部端子16c,16dの有無及びビアホール導体b3,b4の有無において高周波信号線路10と相違する。より詳細には、高周波信号線路10aでは、補助グランド導体24の接続部24b,24cは、ベタ状の四角形をなしている。そのため、図14及び図15に示すように、外部端子16c,16d及びビアホール導体b3,b4は設けられていない。
以上のように構成された高周波信号線路10aによれば、高周波信号線路10と同様に、挿入損失を低減しつつ、誘電体シート18a,18bの損傷を抑制できる。
また、高周波信号線路10aによれば、高周波信号線路10と同様に、高周波信号線路10aを容易に曲げることが可能となる。
また、高周波信号線路10aでは、高周波信号線路10と同様に、挿入損失が低減される。
また、高周波信号線路10aでは、接続部24b,24cがベタ状をなしているので、信号線20から外部に不要輻射が放射されることが抑制される。また、信号線20が電子機器の金属筐体等と電磁界結合することが抑制されるので、高周波信号線路10aの特性インピーダンスが所定の特性インピーダンスから変動することが抑制される。
(第2の変形例)
以下に、第2の変形例に係る高周波信号線路の構成について図面を参照しながら説明する。図16は、第2の変形例に係る高周波信号線路10bの誘電体素体12の分解図である。図17は、図1のB−Bにおける断面構造図である。高周波信号線路10bの外観斜視図については、図1を援用する。
高周波信号線路10bは、補助グランド導体24に開口30が設けられている点において、高周波信号線路10と相違する。より詳細には、補助グランド導体24の線路部24aには、図16に示すように、x軸方向に沿って並び、かつ、長方形状をなす複数の開口30が設けられている。これにより、線路部24aは、梯子状をなしている。また、補助グランド導体24において、隣り合う開口30に挟まれた部分をブリッジ部60と呼ぶ。ブリッジ部60は、y軸方向に延在している。複数の開口30及び複数のブリッジ部60とは、z軸方向から平面視したときに、信号線20に交互に重なっている。そして、本実施形態では、信号線20は、開口30及びブリッジ部60のy軸方向の中央をx軸方向に横切っている。
また、図17に示すように、補助グランド導体24と信号線20とのz軸方向における距離は、基準グランド導体22と信号線20とのz軸方向における距離よりも小さい。具体的には、信号線20と基準グランド導体22との間隔(z軸方向における距離)は、図17に示すように誘電体シート18aの厚さT1と略等しく、例えば、50μm〜300μmである。本実施形態では、信号線20と基準グランド導体22との間隔は、100μmである。一方、信号線20と補助グランド導体24との間隔(z軸方向における距離)は、図17に示すように誘電体シート18bの厚さT2と略等しく、例えば、10μm〜100μmである。本実施形態では、信号線20と補助グランド導体24との間隔は、50μmである。
以上のように構成された高周波信号線路10bでは、信号線20の特性インピーダンスは、インピーダンスZ1とインピーダンスZ2との間を周期的に変動する。より詳細には、信号線20において開口30と重なっている区間A1では、信号線20と補助グランド導体24との間に相対的に小さな容量が形成される。そのため、区間A1における信号線20の特性インピーダンスは、相対的に高いインピーダンスZ1となる。
一方、信号線20においてブリッジ部60と重なっている区間A2では、信号線20と補助グランド導体24との間に相対的に大きな容量が形成される。そのため、区間A2における信号線20の特性インピーダンスは、相対的に低いインピーダンスZ2となる。そして、区間A1と区間A2とは、x軸方向に交互に並んでいる。よって、信号線20の特性インピーダンスは、インピーダンスZ1とインピーダンスZ2との間を周期的に変動する。インピーダンスZ1は、例えば、55Ωであり、インピーダンスZ2は、例えば、45Ωである。そして、高周波信号線路10b全体の平均の特性インピーダンスは、例えば、50Ωである。
以上のように構成された高周波信号線路10bによれば、高周波信号線路10と同様に、挿入損失を低減しつつ、誘電体シート18a,18bの損傷を抑制できる。
また、高周波信号線路10bによれば、複数の開口30を有しており、その部分は導体が形成されていないことから高周波信号線路10と比較して高周波信号線路10bをさらに容易に曲げることが可能となる。
また、高周波信号線路10bでは、高周波信号線路10と同様に、挿入損失が低減される。
また、高周波信号線路10bによれば、薄型化を図ることができる。より詳細には、高周波信号線路10bでは、区間A1において、信号線20は、z軸方向から平面視したときに、補助グランド導体24と重なっていない。そのため、信号線20と補助グランド導体24との間に容量が形成されにくい。したがって、信号線20と補助グランド導体24とのz軸方向における距離を小さくしても、信号線20と補助グランド導体24との間に形成される容量が大きくなり過ぎない。よって、高周波信号線路10bの特性インピーダンスが所定の特性インピーダンス(例えば、50Ω)からずれにくい。その結果、高周波信号線路10bによれば、高周波信号線路10bの特性インピーダンスを所定の特性インピーダンスに維持しつつ、薄型化を図ることが可能である。
また、高周波信号線路10bによれば、高周波信号線路10bがバッテリーパック206のような金属体に貼り付けられた場合に、高周波信号線路10bの特性インピーダンスが変動することが抑制される。より詳細には、高周波信号線路10bは、信号線20とバッテリーパック206との間にベタ状の基準グランド導体22が位置するように、バッテリーパック206に貼り付けられる。これにより、信号線20とバッテリーパック206とが開口を介して対向しなくなり、信号線20とバッテリーパック206との間に容量が形成されることが抑制される。その結果、高周波信号線路10bがバッテリーパック206に貼り付けられることによって、高周波信号線路10bの特性インピーダンスが低下することが抑制される。
(第3の変形例)
以下に、第3の変形例に係る高周波信号線路の構成について図面を参照しながら説明する。図18は、第3の変形例に係る高周波信号線路10cの誘電体素体12の分解図である。図19は、高周波信号線路10cのB−Bにおける断面構造図である。高周波信号線路10cの外観斜視図については、図1を援用する。
高周波信号線路10cは、グランド導体40,42が設けられている点において高周波信号線路10と相違する。より詳細には、グランド導体40は、誘電体シート18bの線路部18b−aの表面に設けられ、z軸方向から平面視したときに、信号線20よりもy軸方向の正方向側においてx軸方向に延在している。また、グランド導体40には、ビアホール導体B1,B2が接続されている。これにより、グランド導体40は接地電位に保たれている。
グランド導体42は、誘電体シート18bの線路部18b−aの表面に設けられ、z軸方向から平面視したときに、信号線20よりもy軸方向の負方向側においてx軸方向に延在している。また、グランド導体42には、ビアホール導体B3,B4が接続されている。これにより、グランド導体42は接地電位に保たれている。
以上のように、信号線20は、z軸方向から平面視したときに、グランド導体40とグランド導体42とにy軸方向の両側から挟まれている。すなわち、信号線20とグランド導体40,42は、コプレナー構造をなしている。
以上のように構成された高周波信号線路10cによれば、高周波信号線路10と同様に、挿入損失を低減しつつ、誘電体シート18a,18bの損傷を抑制できる。
また、高周波信号線路10cによれば、高周波信号線路10と同様に、高周波信号線路10cを容易に曲げることが可能となる。
また、高周波信号線路10cでは、高周波信号線路10と同様に、挿入損失が低減される。
また、高周波信号線路10cでは、信号線20のy軸方向の両側にグランド導体40,42が設けられているので、信号線20からy軸方向の両側に不要輻射が放射されることが抑制される。
(第4の変形例)
以下に、第4の変形例に係る高周波信号線路の構成について図面を参照しながら説明する。図20は、第4の変形例に係る高周波信号線路10dの誘電体素体12の分解図である。図21は、高周波信号線路10dのB−Bにおける断面構造図である。高周波信号線路10dの外観斜視図については、図1を援用する。
高周波信号線路10dは、グランド線44,46が設けられている点において高周波信号線路10と相違する。より詳細には、グランド線44は、図20に示すように、誘電体シート18aと誘電体シート18bとの間に設けられており、z軸方向から平面視したときに、信号線20よりもy軸方向の正方向側においてx軸方向に延在している針金状の導体である。また、グランド線44には、図21に示すように、ビアホール導体B1,B2が接続されている。これにより、グランド線44は接地電位に保たれている。
グランド線46は、図20に示すように、誘電体シート18aと誘電体シート18bとの間に設けられており、z軸方向から平面視したときに、信号線20よりもy軸方向の負方向側においてx軸方向に延在している針金状の導体である。また、グランド線46には、図21に示すように、ビアホール導体B3,B4が接続されている。これにより、グランド線46は接地電位に保たれている。また、グランド線44,46の断面形状は円形である。
以上のように、信号線20は、z軸方向から平面視したときに、グランド線44とグランド線46とにy軸方向の両側から挟まれている。すなわち、信号線20とグランド線44,46は、コプレナー構造をなしている。
以上のように構成された高周波信号線路10dによれば、高周波信号線路10と同様に、挿入損失を低減しつつ、誘電体シート18a,18bの損傷を抑制できる。
また、高周波信号線路10dによれば、高周波信号線路10と同様に、高周波信号線路10dを容易に曲げることが可能となる。
また、高周波信号線路10dでは、高周波信号線路10と同様に、挿入損失が低減される。
また、高周波信号線路10dでは、信号線20のy軸方向の両側にグランド線44,46が設けられているので、信号線20からy軸方向の両側に不要輻射が放射されることが抑制される。
(第2の実施形態)
以下に、第2の実施形態に係る高周波信号線路10の製造方法の変形例について図面を参照しながら説明する。図22ないし図25は、高周波信号線路10の製造時の斜視図である。
まず、一方の主面の全面に銅箔が形成された熱可塑性樹脂からなるマザーシート118a,118bを準備する。マザーシート118a,118bとは、誘電体シート18a,18bにカットされる前の大判のシートである。マザーシート118a,118bの銅箔の表面は、例えば、防錆のための亜鉛鍍金が施されることにより、平滑化されている。銅箔の厚さは、10μm〜20μmである。
次に、フォトリソグラフィ工程により、図22に示す外部端子16a,16b及び基準グランド導体22をマザーシート118aの表面に形成する。また、フォトリソグラフィ工程により、図23に示す外部端子16c,16d及び補助グランド導体24をマザーシート118bの裏面に形成する。なお、マザーシート118a,118bに外部端子16a〜16d、基準グランド導体22及び補助グランド導体24を形成する工程は、一般的な工程であるのでこれ以上の説明を省略する。なお、本実施形態では、マザーシート118a,118bをローラに巻き取らない。
次に、マザーシート118a,118bのビアホール導体b1〜b4,B1〜B4が形成される位置に対して、レーザービームを照射して、貫通孔を形成する。この際、マザーシート118aには裏面側からレーザービームを照射する。これにより、マザーシート118aに形成された貫通孔は、z軸方向の負方向側に行くにしたがって直径が大きくなる円錐台状をなすようになる。マザーシート118bには表面側からレーザービームを照射する。これにより、マザーシート118bに形成された貫通孔は、z軸方向の正方向側に行くにしたがって直径が大きくなる円錐台状をなすようになる。なお、パンチによって貫通孔を形成してもよい。更に、マザーシート118a,118bに形成した貫通孔に対して、バインダを含む溶剤中にすず粉末及び銀粉末を含む金属粉末を分散させた導電性ペーストを充填する。これにより、図12に示すように、ビアホール導体b1,b2,B1,B3(ビアホール導体B1,B3は図示せず)は、z軸方向の負方向側に行くにしたがって直径が大きくなる円錐台状をなしている。そして、ビアホール導体b1,b2のz軸方向の負方向側の端部の直径は、信号線20の直径よりも大きくなる。また、図12に示すように、ビアホール導体b3,b4,B2,B4(ビアホール導体B2,B4は図示せず)は、z軸方向の正方向側に行くにしたがって直径が大きくなる円錐台状をなしている。そして、ビアホール導体b3,b4のz軸方向の正方向側の端部の直径は、信号線20の直径よりも大きくなる。
次に、図24に示すように、マザーシート118b上の各補助グランド導体24上に信号線20をセットする。なお、x軸方向に隣り合う補助グランド導体24に対して1本の信号線20がセットされてもよい。
次に、図25に示すように、マザーシート118aをマザーシート118b及び信号線20上にセットし、圧着する。この際、マザーシート118a,118bに対して加熱処理も行う。これにより、マザーシート118a,118bを軟化させて圧着・一体化するとともに、貫通孔に充填された導電性ペーストを溶融・固化して、図2に示すビアホール導体b1〜b4,B1〜B4を形成する。この際、図13に示すように、信号線20とビアホール導体b1〜b4の界面には、すず、銀及び銅からなる合金相400が形成されている。
次に、樹脂(レジスト)ペーストを塗布することにより、マザーシート118aの表面及びマザーシート118bの裏面のそれぞれに保護層14,15を形成する。更に、マザーシート118aの表面上にコネクタ100a,100bを実装する。
最後に、マザーシート118a,118bに打ち抜き加工を施すことによって、図1に示す高周波信号線路10を得る。
以上のような高周波信号線路10の製造方法によれば、マザーシート118a,118b及び信号線20がローラに巻きつけられない。そのため、高周波信号線路10の製造時に信号線20が引っ張られることがない。その結果、高周波信号線路10において、信号線20に断線が発生することが抑制される。
(その他の実施形態)
本発明に係る高周波信号線路及びその製造方法は、高周波信号線路10,10a〜10d及びその製造方法に限らず、その要旨の範囲内において変更可能である。図26は、その他の実施形態に係る高周波信号線路10eの断面構造図である。図26に示すように、信号線20の断面形状は、誘電体素体12のy軸方向の径がx軸方向の径よりも小さい楕円形状であってもよい。
保護層14,15は、スクリーン印刷によって形成されているが、フォトリソグラフィ工程によって形成されてもよい。
なお、高周波信号線路10,10a〜10eにおいて、コネクタ100a,100bが実装されていなくてもよい。この場合、高周波信号線路10,10a〜10eの端部と回路基板とがはんだによって接続される。なお、高周波信号線路10,10a〜10eの一方の端部のみにコネクタ100aが実装されてもよい。
なお、ビアホール導体の代わりに、スルーホール導体が用いられてもよい。スルーホール導体とは、誘電体素体12に設けられた貫通孔の内周面にめっきにより導体を形成した層間接続部である。
また、信号線20及びグランド線44,46の断面は、円形であるとしたが、正方形形状又は長方形形状であってもよいし、多角形状であってもよい。また、信号線20及びグランド線44,46の断面は、楕円形状であってもよい。
また、線路部12aのy軸方向の幅は均一であるが、線路部12aの一部にy軸方向の幅が小さい領域が設けられていてもよいし、線路部12aの一部にy軸方向の幅が大きい領域が設けられていてもよい。これにより、線路部12aにおいて、曲げやすい部分や曲げにくい部分を形成することができる。
また、コネクタ100a,100bは、高周波信号線路10の表面に実装されているが、高周波信号線路10の裏面に実装されていてもよい。また、コネクタ100aが高周波信号線路10の表面に実装され、コネクタ100bが高周波信号線路10の裏面に実装されてもよい。
また、高周波信号線路10では、1本の信号線20が設けられているが、複数の信号線20が設けられていてもよい。2本の信号線20が設けられている場合には、差動伝送線路を構成することが可能である。
なお、合金相400は、すず及び銅を含むものとしたが、必ずしもこれらの合金である必要はない。例えば、ビアホール導体b1〜b4が銀からなる場合には、合金相400は、銀と銅との合金である。また、ビアホール導体b1〜b4がすずからなる場合には、合金相400は、すずと銅との合金である。
なお、高周波信号線路10,10a〜10eは、アンテナフロントエンドモジュールなどRF回路基板における高周波信号線路として用いられてもよい。
なお、高周波信号線路10,10a〜10eの構成を組み合わせてもよい。