本出願は2008年4月30日に出願された米国継続出願No.61/126,066に対して優先権を主張する。該文献の全体を参照により本明細書に援用する。
本出願は、製品の液化、焼成、及び洗浄等の工業的プロセスに用いるαアミラーゼに関する。具体的には本出願は高温で用いたときに改善された活性を有し、及び/又はデンプンの分解に改善されたパフォーマンスを示すキメラαアミラーゼに関する。
デンプンを用いる多くの工業的プロセスにとって、高温で機能することができ、デンプンを素早く分解して粘度を下げることができるアミロ分解性酵素が望まれている。そのような酵素は当業者に知られている。例えば、バチルスリケニフォルミス由来のAmyLαアミラーゼ及びバチルスステアロセレモフィリス由来のAmySαアミラーゼがある。これらは高温でデンプンを液化する。追加的なカルシウムの不存在下でAmyLとAmySの変異体はAmySアミラーゼよりも高い熱安定性を有し、従って、グルコース及びフルクトース(例えば、HFCS)の生産には好適である。AmyS及びAmyS変異体はAmyL及びAmyL変異体よりも高温でのコーンスターチに対する特異性が高いので、エタノール生産に好適である。従って、AmySは基質の粘度低下の組成物速度がより高く、デンプン液化工程において好ましい。しかしながら、AmySはAmyLに又はその変異体よりもプロセスの最後に最終粘度高くなるという触媒活性上の好ましくない性質を有する。高い最終粘度は熱安定性が低くなる傾向にあり、即ち、AmySは液化工程の高温により早く失活してしまう。
酵素の熱安定性を高める方法が研究されている。AmyQ(バチルスアミロリケファシエンスアミラーゼ)の熱安定性はSuzukiら(1989)(J.Biol.Chem.264:18933)に示されているように、R176−Gly177(番号はAmyQのアミノ酸配列に対応する)の2つのアミノ酸の欠失により高められる。これらのアミノ酸残基はAmyLにはない。AmySタイプアミラーゼの熱安定性はIgarashiら1998(Biochem.Biophys.Res.Comm.248:772)が示すように、ループ(F178−A184)からR179とG181の2つのアミノ酸残基をけん引減力剤質させて高めることができる。しかしながら、この欠失を有する成熟AmyS酵素は親酵素よりも高温に置けるコーンスターチ加水分解の特異活性が低い。Shiau(2003)(Appl.Environ.Micro.69:2383)により示されているようにAmySアミラーゼの1つの主な利点が否定されている。
前述のように、当業者において、追加的なカルシウムの不存在下で、野生型AmyLアミラーゼはAmySアミラーゼよりも熱安定性があることが知られている。バチスルアミロリケファシエンス由来のAmyQはAmyS及びAmyLに対して高い同一性を有し、AmyS又はAmyLよりも熱安定性がないこともしられている。Suzukiら(1989)はAmyL−AmyQ由来ハイブリッドを生成したが、AmyL酵素のN末端部分に高い安定性を必要としていた。
本明細書において、好ましくはAmyl及びAmySαアミラーゼ由来のキメラポリペプチドを開示する。この新規なキメラポリペプチドはAmyLタイプアミラーゼより高いも熱安定性とAmySタイプアミラーゼよりも高い特異活性とを1つの酵素で提供できる点において有効である。
従って、本発明の明細書において、例えば、液化工程の高温下で粘性を低下する点において、変更された性能を提供する、改善されたアミラーゼ酵素を提供する。このキメラアミラーゼはAmySタイプアミラーゼにおいて、通常観察されるものに対して、改善された特異活性又は液化工程において、ピーク粘度の早い提言を提供する能力を有する。更に、このキメラαアミラーゼは好適な熱安定性を有し、従って、AmyLタイプアミラーゼで通常見られるよりも低い最終粘度を提供できる。改善された熱安定性を有するポリペプチド、高められた特異活性を有する熱安定アミラーゼ、及びこのポリペプチド及び酵素を含む相同体、並びにこの新規な酵素又は相同体を用いる方法が提供される。発現ベクター、及びキメラアミラーゼを発現する宿主細胞を含むキメラ酵素をコードする核酸配列も提供する。
このキメラαアミラーゼは単一のキメラ酵素が2つの別々の酵素に由来する多くの利点を提供する。製造者の製造に対する利点、及び消費者の経済的な利点は本明細書の決めたアミラーゼの能力により提供される。
このキメラαアミラーゼは特にエタノール生成プロセス及び、シロップ生成等の液化工程、又は発酵、物品の洗浄(例えば、洗濯、食器洗浄)焼成、又は布のデサイジング等の高温で行われるデンプン分解プロセスに好適である。この酵素は相対的に熱安定性であり、pH、カルシウムイオン濃度、及び酸化還元状態の幅広い範囲に渡って良好な活性を有する。
1つの側面において、アミノ末端ドメイン及びカルボキシ末端ドメインを含むキメラポリペプチドが提供される、アミノ末端ドメインはAmyLアミラーゼの180以上の連続するアミノ酸残基を含む。好ましくは、このアミノ末端部分はAmyLアミラーゼのN末端部分を含む。キメラポリペプチドのカルボキシ末端部分はAmySアミラーゼのカルボキシ末端を含む。このキメラポリペプチドは約480乃至515アミノ酸残基の全体長さを有する。本明細書で開示されるこのキメラポリペプチドはAmyLアミラーゼ又はAmySアミラーゼのいずれか一方の、あるいは他の既知のポリペプチドの一次アミノ酸配列を有しない。このキメラポリペプチドが少なくともAmySアミラーゼに対して高められた熱安定性を有する。AmyLに等しいか又はこれより好適な熱安定性は幾つかの態様で観察されている。
他の側面において、熱安定性キメラαアミラーゼを提供する。このキメラアミラーゼはN末端部分とC末端部分を有する。N末端部分はAmyLアミラーゼのN末端部分由来の連続的なアミノ酸配列を含む。このキメラアミラーゼのC末端部分はAmySアミラーゼのC末端部分由来のαアミラーゼの連続的なアミノ酸配列を含む。このキメラαアミラーゼは通常AmyLアミラーゼのものよりも高い特異活性を有する。このキメラアミラーゼAmySアミラーゼよりも95℃における熱安定性が高い。キメラアミラーゼの一次アミノ酸配列は約475乃至520アミノ酸残基長である。
1つ以上のキメラポリペプチド又は前述の熱安定性キメラαアミラーゼ、又はこれらの組み合わせを含む組成物も提供される。この相同体は1つ以上の追加的なポリペプチド又は酵素を更に含んでいてもよい。この組成物を含む凍結乾燥された食品グレードの組成物も提供される。
他の側面において、前述のキメラポリペプチド又は熱安定性αアミラーゼをコードするポリヌクレオチド、このポリヌクレオチドを含むベクター、及びこのベクター又はポリヌクレオチドを含む宿主細胞も提供される。他の態様において、このポリヌクレオチドは配列番号1乃至17のいずれかの配列に少なくとも95%同一であって、配列番号1又は2の配列を有さないポリペプチドをコードする。
このキメラポリペプチド、熱安定性αアミラーゼを製造及び用いる方法、及び本明細書に記載する組成物も提供される。本明細書に記載の使用法は1つ以上の追加的なアミラーゼをそこに含む1つ以上の追加的な酵素の可能性を意図する。1つの側面において、キメラポリペプチド又は熱安定性αアミラーゼを含む組成物を製造する方法が提供される。この方法はバチルスリケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、 バチルススブチリス(B.subtilis)、及びバチルスステアロエセレモフィリス(B.stearothermophilus)からなる群より選択される宿主細胞を発酵のために用いることを含み。この発酵において、(a)約480乃至515アミノ酸残基の長さを有し、AmyLアミラーゼのN末端部分の約180以上の連続するアミノ酸残基を含むアミノ末端ドメインを含むキメラポリペプチド、及びカルボキシ末端ドメインはAmySアミラーゼのカルボキシ末端部分を含む、又は約475乃至520アミノ酸残基の熱安定性アαアミラーゼであって、AmyLアミラーゼのN末端部分由来の連続的なアミノ酸残基及びAmySアミラーゼのC末端部分由来の連続的なアミノ酸残配列を含むC末端を含む。このキメラαアミラーゼはAmyLアミラーゼよりも高い特異活性を有し、AmySよりも95℃において高い熱安定性を有する。この方法は発現されたタンパク質を少なくとも部分的に精製して組成物を製造する工程も含む。
デンプンスラリーを液化するための方法も提供され、この方法は、デンプンを含むスタリーを製造する工程、液化のための許容可能な温度にスラリーを加熱する工程、このスラリーに本発明のキメラポリペプチド又は熱安定性キメラαアミラーゼの1つ以上を含む組成物を添加する工程、又はこれらの組み合わせを含む。このスラリーを組成物と一緒にデンプンスラリーを液化するのに充分な時間インキュベートする工程もこの方法に含まれる。この方法は燃料アルコールの生成するための一部としても用いることができる。
好ましくないデンプン残渣を除去するための表面洗浄方法も提供される。この方法は除去すべきデンプン残渣を有する表面を提供する工程、この表面に本発明のキメラポリペプチド、熱安定性キメラαアミラーゼ、又はこれらの組み合わせを含む組成物を十分な時間及び温度で接触させ、デンプン残渣を除去する工程を含む。
デンプン又はデンプン誘導体を含むコーティングをされた布製品を処理する方法も含む。この方法は布製品を本発明のキメラαアミラーゼと、コーティングを除去するのに充分な時間と条件下で、接触させる工程を含む。
デンプンスラリーの液化を促進するためのキットも提供される。このキットは(a)約480乃至515アミノ酸残渣長を有し、AmyLのN末端部分の180以上の連続的なアミノ酸残基及びAmySアミラーゼのカルボキシ末端部分を含むカルボキシ末端ドメインを含み、前記キメラポリペプチドが少なくともAmyS対照よりも高い熱安定性を有する、キメラポリペプチド、又は(c)約475乃至520アミノ酸残基長を有し、AmyLアミラーゼのN末端部分由来の連続的なアミノ酸配列を含むN末端部分及びAmySアミラーゼのC末端部分由来の連続的なアミノ酸配列を含むC末端部分を含む、熱安定性キメラαアミラーゼの少なくとも1つを含む。前記キメラαアミラーゼはAmyLアミラーゼよりも高い特異活性を有し、95℃においてAmySアミラーゼよりも高い熱安定性を有する。このキットはデンプンスラリーの液化でキットを使用するための使用説明書も含む。
図1は各種ハイブリッド及びアミラーゼの発現のために用いるプラスミドの概略図である。このプラスミドの構成要素は、Bla、アンピシリン/カルベニシリン耐性マーカーをコードしているベータラクタマーゼ遺伝子、AprEプロモーター領域、バチルススブチリスAprEシグナル配列、ハイブリッド186、ハイブリッド186のような所望の遺伝子をコードしている領域;LAT Term:バチルスリケニフォルミス由来天然アミラーゼLAT(熱安定性リケニフォルミスアミラーゼ)ターミネーター;CAT:クロラムフェニコール抗生物質耐性のクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子、ORI:E.coliの複製起源を含む。このプラスミドはバチルスの複製の起源を含まない。
図2は対照であるAmyL対照と、95℃での熱安定性におけるキメラαアミラーゼの能力を示す。このキメラαアミラーゼはAmyL由来のアミノ末端部分及びAmySのカルボキシ末端部分を含む。試験されたキメラは、186、187、200、202、228、249、254、及び259を含む。この3桁の数は、本明細書においてキメラαアミラーゼの名前として用いて、AmyL配列の最後のアミノ酸残基の位置を示しており、残りの部分はAmyS配列である。用いた対照酵素(「AmyS対照」(配列番号3))はR179−G180(WO2005/111203に開示)の欠失を有する変異体AmySである。この酵素は所望の温度で維持され(95℃)、サンプルをアッセイのために定期的に採取した。このアッセイ条件はpH5.6、50mMマレイン酸緩衝液、2.6mMCaCl2、及び50mMNaClを含む。このグラフはMEGAZUME CERALPHA合成オリゴサッカライド基質を用いて、x軸に示す時間(分)に対する、y示軸に示す残存活性(パーセンテージとして)を示す。インキュベーション条件及びアッセイの詳細は方法論で説明する。
図3は95℃において追加的なキメラαアミラーゼの熱安定性を示す。このグラフは図2で示すように、x軸に示す時間(分)に対する、y示軸に示す残存活性(パーセンテージとして)を示す。反応条件は図1に示すものと同じである。試験されたキメラは200SB、202SB、及び228SBである。「SB」とはS18D及びS188T変異の導入により精製された安定性塩架橋を示す。対照はAmyS対照(配列番号3)である。
図4は95℃における追加的なキメラαアミラーゼの熱安定性を示す。このグラフは図2及び3と同様である。反応条件は図2及び3と同様である。試験されたサンプルはAmyS対象、及びキメラ249SB、254SB、及び259SBである。
図5は75℃における幾つかのキメラαアミラーゼの特異活性を示す。このDNS還元糖検出アッセイは以下で説明する(方法の段落)。この方法はAmyL及びAmyS対照アミラーゼとの比較においてキメラ186、228、及び228SBに対する反応速度を決定する。特異活性はこの反応において、酵素1mg当たりが1秒間に精製するグルコース(mg)として報告される。試験された3つのキメラ酵素は高められた温度、75℃において、AmyL酵素よりも高い特異活性を示した。
各種ハイブリッドアミラーゼを有するインキュベーションでコーン粉基質の粘土の変化を示している。ハイブリッド186、202SB、228SB、及び228をトルク読みができるEUROSTAR/IKA Labortechnik control−visc P7電子オーバーヘッドスターラーで測定した。
図7A−Eは配列番号1乃至17のアミノ酸配列を示す。アミノ酸ラベル:全てのハイブリッドアミノ酸配列について、AmyL配列はプレーンテキストで示す、AmySは太字で示す。塩架橋配列は下線で示す。
図8A−Iは配列番号18乃至34で示す核酸配列を示す。核酸配列ラベル:全てのハイブリッド核酸配列について、AmyLはプレーンテキストで示す、AmySは太字で示す。塩架橋配列は下線で示す。
発明の詳細な説明
キメラαアミラーゼは従来の利用可能なαアミラーゼに対して有利な効果を提供する。このキメラαアミラーゼはAmyLアミラーゼのN末端部分及びAmySアミラーゼ由来のC末端部分を含む。このキメラαアミラーゼはAmySアミラーゼに対して改善された熱安定性を有し、AmyLアミラーゼに対して改善された特異活性又はピーク粘土を低下させる能力を有する。従って、これらの性質により、このキメラポリペプチド及び熱安定性アミラーゼはアルコール等の発酵生成物、特にエタノールの製造等の、高温デンプン液化に用いることができる。これらはAmyLアミラーゼ単独で用いたときよりも、ピーク粘度が低くなり、AmySを単独で用いたときよりも最終粘度が低くなる。本発明のキメラ酵素はベーキング等の他の高温プロセスにおいて、デンプン、アミロース、アミロペクチン又は他のαアミラーゼの基質の分解又は除去のほかに、デンプンベースのサイジグ剤を除去するための布製品処理、又はクリーニング/洗浄プロセスに有用である。本発明のキメラ酵素は、それぞれ又は1つ以上の酵素と組み合わせて、例えば、ブレンドとして用いることもできる。好ましくは、用いた他の酵素はキメラαアミラーゼに用いるものと同じ又は類似の反応条件下で活性である。本発明は特定の経済的及びプロセス利点(長所)のほかに、最終利用者に更なる利便性を提供する。必要とされるコファクターの他に、pH、温度、イオン強度等のプロセス条件はαアミラーゼ及び存在する他の酵素に活性を与えるためにコントロールされる。そのようなプロセス条件は、費用及び時間の係るバッチプロセスよりもむしろ、連続又は準連続工程を使用すると促進する。キメラαアミラーゼの特定の態様において、提供される他の特徴は高められた特異活性、及びデンプンスラリーのピーク粘度又は最終粘度の低減能力はAmyL及びAmyS酵素のいずれかよりも優れている。
A.定義及び略語
この詳細な説明に従って、以下の略語及び定義を当てはめる。本明細書において、「1つの」(「a」、「an」)、及び「この」(「the」)で示される単数は、別に定義されていない限り複数も含む。従って、例えば、「(1つの)酵素」はそのような酵素の複数も含み、「この製剤」は1つ以上の製剤及び当業者に均等であると理解されているものを含む。
数値について用いる「約」の語は表記の値の10%前後の数値範囲を含むことを意図している。他の態様において、「約」の語は表記の値の5%より多い又は値を含むことを意図している。当業者は「約」の語がアミノ酸残渣又はベースペア、又はアミノ酸残渣のポリペプチドの長さ、又はベースペアにおけるポリヌクレオチドの長さに用いられたときは、この値のみを意図することは理解されている。
特に定義しない限り、本明細書で用いられている技術的及び科学的用語は当業者により理解されているものと同じ意味を有する。以下で用語を説明する。
1.1定義
「アミラーゼ」はデンプン、アミロース、アミロペクチン等の分解を触媒することができる酵素を意味する。通常、αアミラーゼ(EC3.2.1.1;α―D−(1→4)−グルカングルカノヒドロラーゼ)は3つ以上のα―D−(1→4)様グルコース単位を含むポリサッカライドにおいて、α―D−(1→4)O−グリコシド結合を切断する末端作用酵素として定義される。このαアミラーゼはα−構造から還元基を放出する。それらはデンプン、グリコゲンに作用し、ランダムにポリ−及び/又はオリゴサッカライドを放出する。対照的に、エキソ作用タイプアミロ限界酵素は連続的に非還元末端から基質分子を切断する。このグルカン1,4−αマルトヒドロラーゼ(マルトジェニックαアミラーゼ;EC3.2.1.133)は最終生成物としてαマルトースを生成する。一方、βアミラーゼ(EC3.2.1.2)はβマルトースを生成する。βアミラーゼ、αグルコシダーゼ(EC3.2.1.20;α−D−グルコシダーゼグルコヒドロラーゼ)、グルコアミラーゼ(EC3.2.1.3;α−D−(1→4)−グルカングルコヒドロラーゼ)、及び、生成特異アミラーゼはそれらの個々基質由来の特異長さのマルト-オリゴサッカライドを生成できる。グルコアミラーゼはアミロース及びアミロペクチン分子の非還元末端からグルコシル残渣を放出する。α1,4−結合よりも低い速度ではあるがグルコアミラーゼはα1,6−及びα1,3−結合の加水分解を触媒する。
「キメラポリペプチド」又は「キメラ」は1つ以上のポリペプチドからタンパク質の連続的な配列を意味する。キメラポリペプチド又はαアミラーゼは1つ以上の他の分子由来の1つ以上のタンパク質、領域又はドメインに結合している1つの分子由来のタンパク質、領域、又はドメインを含んでいるという点でキメラであるといえる。例として、キメラポリペプチド又はキメラαアミラーゼは他のαアミラーゼの1つのペプチドに対する配列に結合する成熟αアミラーゼに対する配列を含む。当業者は、キメラポリペプチド及びαアミラーゼはこのタンパク質配列が結合したものである必要がなく、むしろ対応する配列をコードしているポリヌクレオチドは他のアミラーゼから作られた実際の又は想定される融合タンパク質として、同じアミノ酸配列を含むキメラポリペプチド又はαアミラーゼの発現に基づき用いられることを理解している。従って、例えば、キメラαアミラーゼ又はキメラポリペプチドは第一アミラーゼのアミノ末端部分及び第二アミラーゼのカルボキシ末端部分を含むことができる。あるいは、このキメラポリペプチド又はαアミラーゼは同じ配列のタンパク質をコードしているポリヌクレオチドから発現させることもできる。キメラαアミラーゼの場合、αアミラーゼの触媒活性は得られた分子において存在していなければならない。本明細書において「キメラ分子」は、ポリヌクレオチド又はポリペプチドであり、自然発生しないものである。野生型αアミラーゼは自然発生するものである。キメラアミラーゼは成熟タンパク質のアミノ酸残基即ち、シグナル配列を有しない活性分子の一次アミノ酸配列、における野生型αアミラーゼとは異なる。
酵素に関して用いる「活性」は「触媒活性」であり、活性速度、活性の量、又は特定の活性等の酵素活性の利用可能な測定値を含む。触媒活性は特定のキメラ結合の加水分解等の特定の化学反応を触媒する能力を意味する。当業者は酵素の触媒活性は他の遅い触媒反応の速度を促進するのみであることを理解するだろう。酵素は触媒としてのみ作用するので、反応自体を生成又は破壊することはない。当業者は全てのタンパク質が触媒活性を有しているわけではないことを理解している。「特異活性」の語は総タンパク質又は酵素の単位当りの酵素活性の測定値である。従って、特異活性は単位重量(例えば、グラム当り、又はミリグラム当り)又は容量単位(例えば、ml当り)の酵素により現される。更に、特異活性は酵素の生成の測定を含み、精製度(例えば、活性の標準が知られている)の表示、又は組成物への利用可能度を提供することができる。
「変異体」(variant)の語はポリペプチド又核酸を意味する。この「変異体」の語は「変異体(mutant)」と同じ意味で用いられる。変異体はアミノ酸又は核酸配列における1つ以上の位置において、挿入、置換、欠失、トランスバーション、トランケーション、及び/又はインバーションを含む。例えば、変異体配列は過酷条件、例えば、50℃及び0.2XSSC(1×SSC=0.15MNaCl、0.015Mクエン酸ナトリウム、pH7.0)で本明細書に開示されている核酸配列にハイブリダイズすることができる配列を意図する。より具体的には、変異体の語は高度に過酷な条件、例えば、65℃及び0.1XSSCで本明細書に開示されている核酸配列にハイブリダイズすることができる配列を意図する。各種態様において、変異体は本明細書で開示する配列に少なくとも60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、又は更に99%同一である。
本明細書において、「発現」の語はポリペプチドが遺伝子又は人工的な配列の核酸配列に基づいて生成される工程を意味する。このプロセスは転写及び翻訳の両方を含む。「発現生成物」の語は、in vivo又はin vitroにおいて翻訳により生成するタンパク質を意味する。同様に、遺伝子が発現された場合、遺伝子生成物(通常、タンパク質、ときにはRNA)が、この遺伝子を含む宿主細胞等の細胞内で生成される。
「微生物」の語は、本明細書において任意のバクテリア、酵母、又は糸状菌を含む。
タンパク質又は核酸配列について用いる「単離された」の語は、この配列が少なくとも実質的に少なくとも1つの他の成分を含まない配列を意味する。この配列は自然発生に関連する及び自然に見られるものである。核酸配列の態様において、「単離により」は遺伝子配列から単離されたことを意味する。
「精製された」の語は、例えば、少なくとも約90%精製された、少なくとも95%精製された、又は少なくとも98%精製された、精製状態にあることを意味する。「部分的に精製された」の語は、タンパク質又は核酸が本明細書に用いられるように「精製された」精製度のより低い程度を意味する。
「熱安定性」の語は高温に曝された後に酵素が測定可能な活性を有していることを意味する。αアミラーゼ等の酵素の熱安定性の1つの測定は半減期(t1/2)である。これは酵素活性の半分が効力を失うまでを意味する。この半減期の値は定義された条件下で残余アミラーゼ活性を測定することにより計算される。幾つかの態様において、熱安定性の他の測定は、所望の温度で、特定の曝された時間の後で、残余活性のパーゼンテージとして、測定及び表現され、これはより有用で実際的である。他の態様において、熱安定性は融点として、又はTm、(即ち、Fは折り畳みタンパク質、Uは折り畳まれていないタンパク質)として、F<=>Uからの繊維の中間地点を現す。Tmを上昇させる任意の変異を熱安定変異という。「より高い熱安定性」又は「高められた熱安定性」は本明細書において互換的に使用される。Tm又はt1/2を高める任意の変異は関連するポリペプチド又は酵素の熱安定性を高める。幾つかのケースにおいて、Tm又はt1/2を決定するよりも、安定性の測定が用いられる。折り畳まれたタンパク質と折り畳まれていないタンパク質は不可逆的であるから、Tmは常に正確に決定できるとは限らない。そのようなケースにおいて、安定性はTx、即ち、xパーセントのタンパク質が特定の時間の後に機能を保有していることで表す。もし、特定の製品において、用いる酵素が1時間たっても活性を有していることが必要であるならば、必要とされる温度における60分後に残っている活性が許容可能であるかを確かめる、60分間のTxにより酵素を比較することが有効である。不可逆的変性が問題となる場合、例えば、温度、pH、又は酸化物、界面活性剤、又はキレート剤の存在下を考慮した上で酵素を後で適用する。
通常、所望の時間、所望の温度に酵素を曝した後で、この酵素を、温度を含む標準的なアッセイ条件下で評価する。熱安定性酵素は熱活性酵素でもある。即ち、それらは高温でアッセイされた場合に活性を有する。本明細書に用いるように、熱安定酵素は高温において熱変性に対して耐性があり、活性を有している。
「熱安定キメラαアミラーゼ」はキメラが由来する少なくとも1つのアミラーゼに関する熱安定性が高められているキメラαアミラーゼである。この熱安定性キメラアミラーゼはキメラの由来となる熱安定性小のさいアミラーゼより熱安定性が大きく、熱安定性を有しするキメラの由来となる高い熱安定性を有しているアミラーゼと同じ熱安定性を有している。
「pH範囲」の語は、酸性から塩基性条件から触媒活性を保持することができる酵素の能力を意味している。野生型αアミラーゼにける通常のプロセスは5以上のpH全域を含む。「pH安定」の語は、幅広いpH、例えば、1、2、3、4、5、又はそれ以上のpH単位の範囲で測定可能な活性を保持している酵素の能力を意味する。pH安定性に加えて、本発明のキメラαアミラーゼはpH最適性も提供する、これは、温度、時間、基質条件、及びカルシウムイオン、及び維持されている場合には、カルシウムイオン濃度において、活性が特定のpH又はpH範囲で最大になることである。
本明細書において、「アミノ酸配列」の語は「ポリペプチド」及び/又は「タンパク質」と同じ意味で用いる。幾つかの例において、「アミノ酸配列」は「ペプチド」と同じ意味である。幾つかの態様において、「アミノ酸配列」の語は「酵素」と同じである。他のケースにおいて、文脈上明らかな場合は、「アミノ酸配列」はアミノ酸の鎖の実際の配列(一次配列)又はポリペプチドの骨格における残基を意味する。例えば、本明細書で提供される配列リストは幾つかのポリペプチドに対するアミノ酸配列又はポリペプチドのドメインを提供する。
本明細書において、「核酸配列」又は「ヌクレオチド配列」の語は変異体、相同体、フラグメント、及びそれらの誘導体のオリグヌクレオチド配列又はポリヌクレオチド配列(「ポリヌクレオチド」)に関する。このポリヌクレオチド配列はゲノム、合成、又は組換えオリジンのものでよく、1本鎖又は2本鎖でもよく、センス又はアンチセンスストランドが存在していてもいなくてもよい。本明細書において、「核酸配列」の語は、ゲノムDNA、cDMA、合成DNA、及びRNAを含む。ポリペプチドと一緒に、「核酸配列」の語も核酸の実際の配列又はポリヌクレオチド骨格に沿った塩基、即ち、一次配列について用いる。
「相同体」は問題のアミノ酸配列及び問題の核酸配列に特定の同一性又は「相同性」を有するもの全体を意味する。通常、相同体は問題のアミノ酸配列と同じ活性部位残基を含む。相同体はαアミラーゼ活性も有しているが、問題のタンパク質とは異なる酵素の性質を有する。「相同配列」の語は他の配列と少なくとも約80%、85%、90%、95%、又は99%同一なパーセンテージを有するポリヌクレオチド又はポリペプチドである。
「同一性パーセント」又は「配列同一性パーセント」は、例えば、2つのポリペプチド配列を配列させたときに、問題の配列又はタンパク質における塩基又はアミノ酸配列の所与の割合が正確に参照により本明細書に援用する配列又はタンパク質に存在するのと同じ塩基又は残渣であることを意味する。参照配列に対して問題の配列中に置換、欠失、又は挿入があった場合、アミノ酸配列は類似しているが、「同じ」ではない。タンパク質については、配列同一性のパーセンテージは翻訳後修飾に関連して類似の状態にある配列間を測定することが好ましい。通常、所望のタンパク質の「成熟配列」、即ち、シグナル配列を除去する処理の後に残っている配列、が参照タンパク質の成熟配列と比較される。他の例において、問題ポリペプチドの前駆体配列は参照配列の前駆体と比較される。
本明細書において、「ハイブリダイゼーション」の語は塩基ペアリングにより相補鎖に結合する核酸の鎖、あるいはポリメラーゼチェーンリアクション(PCR)技術において行われる増幅のプロセスを意味する。キメラαアミラーゼをコードしている核酸は1本鎖、又は二本鎖DNA、又はRNA、RNA/DNAヘテロディユプレックス、又はRNA/DNAコポリマーとして存在している。本明細書において、「コポリマー」の語は、リボヌクレオチド又はデオキシリボヌクレオチドの両方を含む1本鎖核酸ストランドを意味する。この核酸配列にコードされているαアミラーゼは、発現される微生物内のネイティブタンパク質の翻訳に用いるのに好ましいコドンを含むように、核酸を調節することによって、特定の微生物における発現を高めるように、「最適化」される。
本明細書において、「合成」化合物は化学的又は酵素的合成により生成される。合成化合物は、キメラαアミラーゼ、好ましくは発現のために選択された宿主細胞微生物のコドン使用を最適化したもの、を含むがこれらに限定されない。合成ポリペプチド又は核酸配列はin vitro転写又は翻訳、又はPCR等のin vitro技術を用いて調製される。
本明細書において、「軽質転換された細胞」の語は、組換えDNA技術を用いて軽質転換された、バクテリア及び糸状菌細胞の両方を含む。形質転換技術は通常、細胞へ1つ以上のヌクレオチド配列を挿入することにより行う。この挿入されたヌクレオチド配列は、異種のヌクレオチド配列、即ち、軽質転換される細胞において天然には存在しない配列である。
「作動可能に結合」の語は意図する成分が、それらの意図する方法においてそれらを機能させるような関係にあることを意味する。例えば、調節配列は、この調節配列を適合する条件下でコード配列の発現がなされたとき、作動可能に結合しているといえる。
本明細書において、「生物学的に活性」の語は同じ程度ではないにせよ、自然発生配列と同様の構造、調節、又は生物学的機能を有する配列を意味する。例えば、生物学的に活性な配列は測定可能なαアミラーゼ活性を有するポリペプチドである。
「遺伝毒性」はin vitro又はin vivo研究において「遺伝毒性がある」とされたものを含むポリペプチド、アミラーゼ、又は組成物等の化合物の性質を意味する。「遺伝毒性」とは、その変化が誘発されたメカニズムに関わりなく、遺伝的物質において任意の有害な変化が起こることを意味する。他のデータの不存在における、遺伝毒性化合物は通常、ヒトに対して危険であると示唆されている、種間伝搬性発がん性物質であると、管理団体又は研究者に通常予測されているものを含む。従って、そのような化合物は長い期間の発がん性研究は必要ない。しかしながら、もしそのような化合物が慢性的にヒトに投与されたら、(1年までの)慢性毒性試験をして、早期の腫瘍化効果を検出する必要がある。in vitro又はin vivo試験を組み合わせたアプローチは遺伝毒性の試験に用いられる。このようなアプローチは化合物に対する遺伝毒性がネガティブリザルトとなるように設計されていることが好ましい。化合物の遺伝毒性の評価は好ましくは関連する項目を調査することが好ましい。そのような評価は、好ましくは、in vitro又はin vivo試験の両方の観察結果、固有の値、及び限界を総合的に考慮して行わなければならない。遺伝毒性におけるアッセイのいずれか1つのポジティブな結果は、この試験化合物がヒトに対して有害な遺伝毒性を持つことを示すとは限らない。遺伝毒性は「ICH Guideline on Specific Aspects of Regulatory Genotoxicity Tests」に記載のような、公式ガイドラインの従って評価されることが好ましい。FDAのCenter for Food Safety and Applied Nutrition(58 FR 16536,March 29,1993)により提供された遺伝毒性試験のガイドラインも本明細書における遺伝毒性の決定に利用することができる。
本明細書において、「デンプン」の語は植物の複合ポリサッカライド炭水化物からなる物資ルを意味する。デンプンは通常式(C6H10O5)xを有するアミロース及びアミロペクチンである。この式において、Xは任意の整数である。「顆粒デンプン」の語は、生の、即ち、調理されていないデンプン、例えば、ゼラチン化されていないデンプンである。「デンプン誘導体」の語は、例えば、食品処理、又は他の使用のために、修飾された性質を提供するために物理的又は化学的に処理された任意の修飾デンプンを意味する。そのような変更はゲル化性質、デンプン又はそれらのスラリーの乾燥デンプンの流体、色、透明性、スラリー又はペーストの安定性等の性質の変更を含む。例えば、菓子類の製造に用いる場合、スラリー又はペーストの粘度を低めるために酸処理をして、酸修飾されたデンプンを用いる。エーテル及びエステル等のデンプンの化学的誘導体はお湯の中で低いゼラチン化性質を示し、酸又はアルキルに対する安定性が高い(「抑制」デンプン)。デンプン誘導体の例としては、デキストリンローストデンプン、酸処理デンプン、アルカリ処理デンプン、分岐デンプン、酸化デンプン、酵素処理デンプン、リン酸一デンプン、リン酸2デンプン、リン酸化2デンプンリン酸、アセチル化2デンプンリン酸、酢酸デンプン、アジピン酸アセチル化2デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、リン酸ヒドロキシプロピル2スターチ、及びオクテニルスクシネート2デンプンナトリウム、並び前述の特定の塩又は酸又は脂肪酸エステルを含む。
本明細書において、「糖化」の語はデンプンをグルコースに酵素的に転換することを意味する。
「液化」の語はゼラチン化されたデンプンが加水分解されて低分子可溶性デキストリンになる転換工程を意味する。「重合度」の語は所与のポリサッカライドの無水ヒドログルコピラノースの数を意味する。DP2はマルトース及びスクロースの2糖を意味する。本明細書において「比較可能な液化プロセス」の語は液化のために処理された対照を意味する、この液化工程は制御された条件下、例えば、温度、pH、カルシウムイオン濃度、及び基質濃度等の条件下で行われる。比較可能な液化工程は酵素における違いを除いて可能な限り制御することにより、デンプンを液化するためのそれらの能力において異なる酵素又は酵素ブレンドを比較することを意味する。本明細書において、「促進された液化」又は「液化工程の促進」の語は例えば、液化工程をより効率的に、より経済的に、又は簡単にするような、デンプンスラリーの液化における任意の程度の改善を意味する。この語は必要とされる酵素の数又は量、デンプンスラリーのピーク粘度又は最終粘度の低減、デンプン分解の速度又は程度を高める、又は任意の特定のDPフラグメントの生成、又はデキストリンの限定を含む。液化の促進は、正味の必要とされるエネルギー量を減らすこと、用いる基質の改善、カルシウムイオン濃度又はカルシウムイオンにおける許容範囲等の他の条件の改善、別のデンプン源を用いる能力(例えば、基質)、タイプ又は濃度、好適なpHレベルの操作能力又は範囲、得られた生成物の品質等を含む。
本明細書において、「乾燥固形含量(ds)」の語は、乾燥重量ベースでのスラリーにおける固形分の総量を意味する。乾燥固形含量及び乾燥重量ベースは総乾燥物質の重量のパーセンテージとして問題の物質の重量として表される。「スラリー」の語は液体、通常、水又は同様の溶媒に含まれる不溶性固形分を含む混合物を意味する。デンプン又は小麦粉(フラワー)は、水ベースの溶液に懸濁させてアミラーゼの試験又は液化工程のためのスラリーを形成する。
「DE」又は「デキストロース当量」の語は、総炭水化物のフラクションとして、還元糖のパーゼンテージとして定義される。
本明細書において、「発酵」又は「発酵プロセス」の語は有機基質を分解すること、及び他の基質に再構築することを意味する。そのような工程は、「工業的発酵」、「生物学的発酵」、又は「食品発酵」を含む。「工業的発酵」は高いオキシジェネート及び後期生育成条件を意味する。一方、「生物学的発酵」は通常厳格には嫌気性プロセスを意味する。炭水化物基質は工業的発酵プロセスの大部分においてエネルギー源として必要とされ、各種医薬品及び前駆体、及び食品成分を生成する。しかしながら、発酵物は本明細書において、酸素限定、酸素消費、又は完全な嫌気性工程であるアルコール、例えば、エタノール、燃料生成のための、の精製に用いる。バイオ燃料、例えば、炭水化物基質の発酵により得られるエタノールは、有用な再生可能燃料である。「食品の発酵」はアルコール飲料(例えば、ビール、ワイン)、パン、及び他の発酵食品を製造するための発酵工程である。好適な食品発酵は炭水化物基質からのアルコール又は食品酸を生成するものである。
「食品処理剤」の語は食品又は食品成分の概観又は使用能力を高めるための加工剤として基質に用いるものであり、清澄剤、着色剤、触媒、凝集剤、充填剤、結晶抑制剤等を含む。食品加工助剤は通常、米国食品医薬品局(FDA)、オーストラリアニュージランド食品基準局(Food Standards Australia New Zealand)又は欧州経済共同体等の管理団体により定義されている。米国において、食品に添加された食品成分が直接ヒトに与える影響に関する身体的又は技術的希望を説明しているC.F.R.§§170.3(o)、実施例21参照。この定義は本明細書にも適用される。「加工助剤」の語は「A Comprehensive Survey of Industry on the Use of Food Chemicals Generally Recognized as Safe」(September 1972)と命名された規約においてDFAに報告された全米科学アガデミー(National Academy of Sciences)/米国学術研究会議(National Research Council)の食品工業調査(National Survey of Food Industries)での用語であり、参照により本明細書に援用する。このレポートのコピーはthe National Technical Information Service (NTIS),5285 Port Royal Rd.,Springfield,VA 22161又はthe National Archives and Records Administration(NARA)から入手できる。本発明の目的のために、「安定化した構造」は環境的因子を含まない、むしろ、一次又はより高次の配列内の又は配列となる化学的構造であり、タンパク質の安定性を変更するものである。
「ヘリックスキャッピング」の語は当業者に知られており、本明細書定義されている安定化手段である。「ヘリックスキャッピングモチーフ」はタンパク質及びペプチドにおけるヘリックスの末端で又はその近くで見られる特定の水素結合又は疎水性相互作用の特定のパターンを含む安定化構造である。そのようなモチーフのコンセンサス配列パターンは、単純な分子モールディングの由来と一緒になって、ヘリックス末端のつまみを形成するのに用いられてきた。例えば、Aurora及びRose,「Helix capping」,Protein Science,7(l):21−38(1998,Cold Spring Harbor Laboratory Press)参照。Presta及びRose, 「Helix signals in proteins」も参照。
「塩架橋」の語はポリペプチドの一次配列において反対にチャージしているアミノ酸残基(例えば、Asp−Arg)の間の水素結合を意味する。塩架橋はお互いにチャージが6乃至8オングストローム以下にあるときにタンパク質の安定性に寄与する。従って、チャージされた残基は提供された一次アミノ酸配列において幅広く分布しており、折り畳まれたときに、このチャージされた残基はこのチャージの相互作用に対して必要とされる距離に来る。塩架橋は通常他の塩架橋と組み合わされたときによりよく機能する。従って、チャージ残基の配列、タンパク質+、−、+、―はこの構造におけるお互いからの距離のある1つ又は2つのチャージされた残基よりもよく機能する。例えば、好極限性タンパク質、即ち、熱安定タンパク質等の極限的条件由来のタンパク質、は多くの塩架橋を有している。導入された塩架橋が折り畳まれたタンパク質において自由度を限定する場合、導入された残渣がよりよく機能していることになる。
B.略語
別に定義しない限り、以下の略語を用いる。
AmyL:バチルスリケニフォルミス(Bacillus licheniformisαアミラーゼ
AmyQ:バチルスアミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)αアミラーゼ
AmyS:バチルスステアロセレモフィリス(Bacillus stearothermophilus)αアミラーゼ
AAU:アルファアミラーゼ単位
ATCC:アメリカンタイプカルチャーコレクション
cDNA:相補DNA
C.F.R.:連邦規制基準
CFU:コロニー形成単位
DE:デキストロース当量
DEAE:ジエチルアミノエタノール
DNA:デオキシリボ核酸
DNS:3,5−ニジトロサリチル酸
DPn:nサブユニットを有する重合度の程度
ds:乾燥固形分
EC:酵素分類についての酵素委員会
EEC:欧州経済共同体
EDTA:エチレンジアミン四酢酸
EGTA:エチレングリコール四酢酸
FDA:食品医薬品局
FAO:食糧農業機関
GLP:医薬品安全性試験実施基準
GMP:適正製造基準
GRAS:一般に安全と認められる(食品)、安全食品認定
HFCS:フルクトース高含量コーンシロップ
HPLC:高圧液体クロマトグラフィー
HS:多糖類(DPn、n>3)
JECFA:FAO/WHO合同食品添加物専門家会議Kb:キロベース
kJ:キロジュール
LAT:バチルスリケニフォルミス(B.licheniformis)αアミラーゼ
LU:液化単位
mRNA:メッセンジャーリボヌクレオチド
mg:ミリグラム
mL:ミリリットル
mt:メートルトン(1000kg)
N:ノルマル(Normal)
NTIS:技術情報局
PCR:ポリメラーゼチェーンリアクション
PEG:ポリエチレングリコール
ppm:百万分率
RO:逆浸透
RT−PCR:逆転写ポリメラーゼチェーンリアクション
SB:塩架橋
SDS−PAGE:ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動
SGA:高品質穀物アミラーゼ(Superior Grain Amylase)
SKBU/gds:乾燥固形分1グラム当たりのαアミラーゼ単位。αアミラーゼ1単位は1XSSC、0.15M NaCl、0.015Mクエン酸ナトリウム、pH7.0でのアッセイ条件において、1時間に1.0gの限界デキストリン基質をデキストリン化する。
WHO:世界保健機構
w/v:重量/容量
w/w:重量/重量
μg:マイクログラム
μL:マイクロリットル
C.キメラαアミラーゼ
第一の側面において、約480−515アミノ酸残基のキメラポリペプチドを提供する。このキメラポリペプチドはAmyLアミラーゼのN末端部分の約180以上の連続的なアミノ酸残基を含むアミノ末端ドメインと、AmySアミラーゼのカルボキシ末端部分を含むカルボキシドメインとを含む。このキメラポリペプチドはAmyLアミラーゼ又はAmySアミラーゼのいずれかの1次アミノ酸配列を有してはいない。しかしながら、このキメラポリペプチドは少なくともAmySアミラーゼと比較して高められた熱安定性を有している。
既知のアミラーゼ配列は本明細書で開示するキメラポリペプチド又は熱安定性キメラアミラーゼに包含されない。例えば、SajediらのJ.Biochem.MoI.Biol.40:315−324(2006)に開示されているものは含まない。本発明の出願の1年以上前のヨーロピアンモレキュラーバイオロジーラボラトリー(EMBL)又は全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)の公のデーターベースにおいて提供されているαアミラーゼも本発明のキメラポリスペプチド又は熱安定性アミラーゼの配列としては除外される。1つの態様において、このキメラポリペプチド又は熱安定性アミラーゼは、Van Der Laan及びAehleによる米国特許第6,939,703号、Svendsenらの米国特許6,143,708号又はBisgard−Frantzenらの米国特許第5,830,837号に記載されているような任意の他の既知のαアミラーゼの配列を有していない。
このキメラポリペプチドは通常、αアミラーゼの触媒活性を含む。一般的に、αアミラーゼはデンプンのアミロース及び/又はアミロペクチン等の基質のランダムα−1,4結合に作用して、それらをデキストリンに転換する。そのような工程において、αアミラーゼは粘度を低下させ、デキストロース当量(DE)を高める。このαアミラーゼ酵素は、従って、好ましくは通常シロップの製造のためのスラリー又は複合炭水化物の発酵前のスラリー中の液化に用いられる。それらはデンプン除去、例えば、洗浄工程、並びに焼成、及び他にも応用される。
このキメラポリペプチドはAmyL又はAmyS等の他のαアミラーゼに対して変更された特徴を示す。そのような性質は変更された安定性、pH範囲、酸化安定性、及び熱安定性を含む。特に。各種態様において、このキメラポリペプチドは高温においてより好ましい安定性(即ち、70乃至120℃)を示す。これらはカルシウム要求、カルシウムイオン濃度の変化、及び/又は活性に対する極限pH条件(即ち、pH4.0乃至6.0、又はpH8.0乃至11.0)での耐性が高い等の有利な性質を有する。
多くの既知の熱安定性アミラーゼは約55℃乃至約80℃、又はそれ以上の温度でデンプンを分解することができる。本発明のキメラポリペプチドは95℃まで又はそれ以上の温度に曝された後のαアミラーゼ活性を有している。従って、本発明のキメラポリペプチド及び熱安定性キメラアミラーゼは高温での液化、並びに調理、焼成等の高い温度を用いる又は必要とする工程に用いるのに有利である。
1つの態様において、このキメラポリペプチドはAmyLアミラーゼに対して、N末端ドメインにおいて少なくとも1つの置換されたアミノ酸残基、即ち、このキメラのN末端部分の連続しているアミノ酸に対応するキメラの部分はAmyLアミラーゼのN末端部分において見られる配列に対して置換を有する。そのような置換は好ましくは安定化構造、又はポリペプチドの熱安定性を高める安定化構造の少なくとも一部分を提供するのに役立っている。タンパク質の熱安定性に関する各種安定化構造は当業者に知られている。任意の構造はキメラポリペプチドの各種態様に充分である。前述のように、「安定化構造」の語はタンパク質をより安定にする、特に前述のように定義された熱安定性を有するように、作る、1次、2次、3次、又は4次構造である。
本明細書における安定化構造は1次又はより高次の配列ないにある、又はを形成し、タンパク質の安定化を変更する化学構造を形成する1つ以上の安定化変異により形成される。
タンパク質は折り畳み状態及び折り畳まれていない状態の間で変化する。安定化構造は折り畳まれたタンパク質及び折り畳まれていないタンパク質の間で平衡シフトし、折り畳まれた状態に向かう(即ち、平衡において左へシフトする:折り畳まれたタンパク質<―――>折り畳まれていないタンパク質)。より左へ平衡シフトするには、即ち、タンパク質をより安定にする、にはどうしたらいいのかということは当業者に知られている。折り畳まれている形態を不安定化させ、及び/又は折り畳まれた形態を安定化する修飾は、安定化構造と同じ様に好ましい。特定のタンパク質において、どの構造が安定化するかを決定する方法は当業者に知られている。安定化構造を追加する1つのアプローチは既に使われている同じタンパク質ファミリーのより安定なメンバーにあるアミノ酸残基をその位置で使用することを含む。従って、異なる起源由来のタンパク質の複数の配列アラインメントの研究は有用である。
前述のヘリックスキャッピンググルコースは当業者に知られおり、本発明に有用な安定化構造を生成するための1つである。ヘリックスキャッピングモチーフはタンパク質及び/又はペプチドにおけるヘリックス末端において、又はその近くで見られる、水素結合及び/又は疎水性相互作用の特定のパターンを含む安定化構造である。ヘリックスキャピングルコースは2次構造のコンフォメーションをスーパー2次構造へ結合している橋であると考えられる。αヘリックスにおいて、初めの4つの>H−N水素結合を欠いている。替わりに、前述の基は代替的な水素結合パートナーにより、しばしばキャップされる。別々のモチーフがいくつかはヘリックスN末端に及びほかではC末端に前述のモチーフのコンセンサス配列パターンは一緒になって単純な分子モールディングを形成し、ヘリックスター未ネーションに対するつまみ(thumb)の有用なルールを形成するために使用されてきた。例えば、Aurora 及びRose,「Helix capping」Protein Science,7(1):21−38(1998,Cold Spring Harbor Laboratory Press)参照。Presta及びRose,「Helix signals in proteins」Science,240:1632−1641(1988)も参照。
高められたエピトープ安定性(タンパク質Gly→X又はX→Proの置換による、Xは任意のアミノ酸残基である)は安定構造を生成するための、手段の1つである。他の手段としては1つ以上のジスルフィド結合の追加、三構造内のキャビティーを満たすこと、特に、エントロピー性安定化、タンパク質Gly→Ala、1つ以上の塩架橋の追加、特に表面の塩架橋、内部水分子(例えば、Ala→Ser)の排除、水素結合の改善、ヘリカルプロテイン又はドメインにおけるヘリックス構造の改善(例えば、「ヘリックスの程度」)、ストランドを形成するドメインにおけるストランド構造の改善(例えば、「ストランドの程度」)を含む。好ましくは、安定化された構造は1つ以上の表面アミノ酸残基の導入された、置換又は変異によりもたらされる。しかしながら、より高いレベルのタンパク質構造内に埋もれている又は折り畳まれたタンパク質内部にある、アミノ酸残基の置換又は変異も安定に有用である。前述の及び当業者に知られている安定化構造は1つ以上の安定化ポイント(「安定化変異」)を用いた既知のタンパク質配列へ合理的に取り込むことができる。
一般的に安定化構造は折り畳まれているタンパク質に対する折畳まれたタンパク質のギブス(Gibbs)自由エネルギーの減少(△G)を提供する(それゆえ、折り畳まれたタンパク質と折り畳まれていないタンパク質との間の熱力学的平行が折り畳み状態へとシフトする)。本明細書における安定化された構造はエネルギーを構造へ提供し、又は壊すための相当量のエネルギーを必要とする。例えば、エントロピー性安定化は崩壊させるのに約2乃至5kJ/M必要とし、一方ヘリックスキャッピングは約1−8kJ/M(平均4kJ/M)の範囲を必要とする。水素結合は1乃至6kJ/M提供し、疎水性相互作用はそのような相互作用の各Åについて約100J/M提供する。塩架橋は5kJ/Mまでを提供することができ、システイン架橋(即ち、ジスルフィド結合)は−10乃至10kJ/M提供する。
1つの態様において、安定化構造は少なくとも部分的に置換アミノ酸残基による塩架橋形態である。本明細書で定義するように、塩架橋はポペプチドの1次配列において、正電化のアミノ酸残基の間の水素結合を含む。折り畳まれたポリペプチドにおいて、それぞれが6乃至8Å又はそれ以下の距離である、残基チャージを有する、塩架橋が好ましい。従って、架橋された残基は提供された1次アミノ酸配列において幅広く分離されて、折り畳まれた時、この荷電残基が荷電の相互作用について必要とされる位置に来る。塩架橋は他の塩架橋と組み合わせてよりよく機能する。例えば、+、−、+、−の荷電残基の配列は、この構造においてそれぞれが離れている1つは2つのみが荷電されたものよりもよりよく機能する。好ましくは、それゆえ、1つ以上の架橋が導入される。幾つかの本発明のポリペプチド及びアミラーゼは多くの塩架橋を有する。1つの態様において、導入された塩架橋を含むアミノ酸残基は折り畳まれたタンパク質において、限られた自由しか有していない。
1つの態様において、置換されたアミノ酸残基はAmyLアミラーゼの187位に対応する。特定の態様において、Asp及びThr残基がAmyLアミラーゼにおける連続してSer残基(即ち、Ser、Ser)についてキメラポリペプチドにおいて、置換される。(Asp190及びThr191はAmySにおける同じ起源位置である。)驚くべきことに、その様な置換、例えば、S187D−S188T置換的(代替的に)、本明細書で提供されるAmyL−AmySハイブリッド又はポリペプチドにおいて、キメラポリペプチドの安定性を高める。本明細書で提供する実施例において、より詳細に説明するように、他の研究者は、明らかに、任意のS187D置換は、例えば、AmyLタイプ配列では熱安定性損失又は減少する結果となることを報告している。他の酸性残基等の他の置換は特定のAmyLアミラーゼにもともと存在する他の残基についてキメラにおいて置換される。1つの態様において、AmyLアミラーゼは配列番号1のアミノ酸配列で定義されるN末端の連続するアミノ酸配列を有する。このAmyアミラーゼは他の態様において、配列2のアミノ酸配列を有する。他の好適な態様において、このAmyL及びAmySは、それぞれ配列番号1及び2で定義される配列を有する。
本明細書で定義されるキメラポリペプチドは各種態様において、配列番号1乃至17のいずれかに対して少なくとも約95%の配列同一性を有する。この配列同一性にかかわらず、当業者は本明細書で提供されるキメラポリペプチドは配列番号1又は2のアミノ酸配列しか有しないことを理解するだろう。1つの態様において、このキメラポリペプチドは配列番号1乃至17の1つに少なくとも約95%の配列同一性を有する及び特にAmyLアミラーゼにおける187位において、Ser残基についてキメラポリペプチドにおいて、Asp残基に置換される(番号はAmyLにおけるアミノ酸配列に対応する)。
前述のように、本明細書で提供されるキメラポリペプチドは好ましくはαアミラーゼの触媒活性を含む。このアミラーゼは好ましくは95℃で約20分、30分、40分、50分、又は60分あるいはそれ以上の時間インキュベーションした後に、少なくとも約50%その活性を維持している。1つの態様において、このキメラポリペプチドは、95℃で60分間あるいは75分、80分、85分、又はそれ以上インキュベーションした後に少なくとも約50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、又はそれ以上の活性を維持している。1つの態様において、活性において低下があるとすれば、95℃で90分間インキュベーションした後でさえ、部分的にキメラ配列が得られたもの由来のAmyLアミラーゼにおいて、対応する減少よりも大きくはない。従って、幾つかの態様において、その時間について、有意な又は合理的な活性のロスはない。
1つの態様において、提供されるキメラポリペプチドは少なくとも部分的にアミノ末端部分を提供するAmyLアミラーゼよりも高い特異活性を有する。
他の側面において熱安定キメラαアミラーゼが提供される。このキメラアミラーゼは前述のキメラポリペプチドと共通する性質を有する。この熱安定性キメラアミラーゼはAmyLのN末端部分由来の連続するアミノ酸配列を含むN末端部分及びAmySアミラーゼのC末端部分由来の連続的なアミノ酸配列を含むC末端部分を有する。この熱安定キメラアミラーゼはAmyLアミラーゼよりも高い特異活性及びAmySアミラーゼ高い熱安定性を有する。この熱安定アミラーゼは約475−520残基長である1次アミノ酸配列を有する。この熱安定アミラーゼは約475乃至520残基長である1次アミノ酸配列を有する。
この熱安定性キメラアミラーゼは多くの適用利点又は状態における利点を有する。例えば、1つの態様において、この熱安定性アミラーゼはデンプンスラリーの液化工程において、用いた時に、AmySアミラーゼが比較可能な液化工程においてするようなデンプンスラリーのピーク粘度を減少させる。この熱安定キメラアミラーゼはAmylアミラーゼが比較可能な液化工程においてするような、デンプンスラリーの最終粘度を減らす。本発明の目的のために、「比較可能な液化工程」はこの工程が制御された条件で行われる、例えば、この液化工程は、温度、pH、カルシウムイオン濃度、及び基質濃度の特定の条件を含むことを意味する。
熱安定性は、本明細書において、しばしば95℃でインキュベーションした後に、アミラーゼが活性を維持している時間として表される。1つの態様において、このキメラアミラーゼは約30分、40分、50分、又は60分又はそれ以上、95℃でインキュベーションした後、少なくとも50%その活性を保持している。他の態様において、約60分又はそれ以上の間95℃でインキュベーションした後に少なくとも、約60%、70%、又は更に80%その活性を保持している。
1つの態様において、AmyLアミラーゼは配列番号1の配列を有する。AmySは配列番号2の配列を有する。このキメラアミラーゼは配列番号1乃至17のいずれかに少なくとも約95%配列同一性を有するが、配列番号1又は2は含まない。
このキメラアミラーゼは更に、AmyLアミラーゼに対応するN末端ドメイン中に、少なくとも1つの置換されたアミノ酸残基を少なくとも含み、それにより、このポリペプチドの熱安定性を高める安定化構造の少なくとも一部を提供する。安定化された構造はキメラポリペプチドについて、議論され、この議論は等しく熱安定性キメラアミラーゼにあてはまる。この安定化構造は、好ましくは、塩架橋形態であり、少なくとも部分的に置換アミノ酸残基によるものであり、前で議論されたとおりである。このキメラポリペプチドに関して、置換されたアミノ酸残基はAmyL又はAmySにおける187位又は188位の1つ又は両方に対応し、より具体的には、1つのSer残基について、キメラポリペプチドでは1つのAsp残基及び/又は1つのThr残基に置換されており、又はAmyLアミラーゼにおける2つの連続するSer残基について、Asp及びThr残基の両方が置換されている。
D.キメラアミラーゼを含む組成物
αアミラーゼの触媒活性を有する1つ以上のキメラポリペプチド又は熱安定性キメラアミラーゼを含む各種組成物も提供される。この組成物は、例えば、キメラαアミラーゼを含む、酵素濃縮物、酵素ブレンド、精製酵素、部分的に精製された酵素生成物、食品添加物、及び洗浄製品を含む。
前述の組成物は各種用途に用いる。この組成物は、1つ以上のキメラポリペプチド又はアミラーゼ、又は他のアミラーゼ、又はこれらの組合せを含む。この組成物は高度に精製されていてもよいし、部分的にのみ精製されていてもよい。それらは、特定の態様において、活性の単位により標準化される。この組成物は各種濃度及び精製度の液体、ゲル、ケーキ、準固形又は固形を含む各種物理的形態で提供される。この組成物は、最終組成物において、測定可能な活性を維持するように、各種物理的形態で提供される。従って、この組成物は凍結乾燥、濃縮、凍結、スプレー乾燥、又は各種既知の又は有用な手段で処理される。この組成物は特定の市販製品についての標準的なサイズ又は製品パッケージで提供される。
1つの態様において、この組成物は本明細書で開示又は開示されるキメラアミラーゼを含む。以下の1つ以上を含む組成物が提供される:
(a)前述のキメラポリペプチドであって、約480乃至515アミノ酸残基長を有し、AmyLのN末端部分の約180以上の連続するアミノ酸残基を含むアミノ末端ドメイン及びAmySアミラーゼのカルボキシ末端部分を含むカルボキシ末端ドメインを有し、少なくともAmySアミラーゼよりも、高い熱安定性を有する、キメラポリペプチド;
(b)約475乃至502アミノ酸残基長の熱安定性キメラαアミラーゼであって、AmyLアミラーゼのN末端部分からの連続するアミノ酸配列を含むN末端部分及びAmySアミラーゼのC末端部分からの連続的なアミノ酸配列を含むC末端ドメインを含み、前述のキメラアミラーゼはAmyLアミラーゼよりも特異活性が高く、95℃における熱安定性がAmySアミラーゼよりも高い、熱安定性キメラアミラーゼ、及び
(c)(a)のキメラポリペプチドと(b)の熱安定キメラアミラーゼの組合せ。
前述の組成物は1つ以上の追加的なポリペプチドを更に含んでいてもよい。当業者は前記1つ以上の追加的なポリペプチドは任意の既知の酵素活性を含むことができることを理解するだろう。従って、任意の各種追加的な酵素を追加して、組成物に更なる用途又は便利性を提供することができる。各種態様において、この追加的な酵素は1つ以上のバクテリアβアミラーゼ、即ち、BBA、糸状菌のαアミラーゼ、例えば、Clarase(商標)L、又はグルコアミラーゼ、イソメラーゼ、ヘミセルラーゼ、リパーゼ、フォスフォリパーゼ、及びクチナーゼを含む。前述の任意の1つ以上の酵素を組み合わせて含む本発明の1つ以上のキメラαアミラーゼを含む組成物も本発明における使用に意図される。前述のように、糸状菌タンパク質は、例えば、アスペルギルスニガー(A.niger)、アスペルギルスアワモリ(A.awamori)、アスペルギルスオリザエ(A.oryzae)等のアスペルギルス(Aspergillus)種;ムコールミエヘイ(M.miehei等のムコール(Mucor)種;リゾプス(Rhizopus)種等から得られた任意のタンパク質分解酵素を含む。βアミラーゼ(E.C.3.2.1.2)は、エキソ作用型マルトース分解酵素であり、1,4−αグルコシド結合をアミロペクチン及び関連グルコースポリマーへ分解する、それゆえ、マルトースを放出する。βアミラーゼは各種植物及び微生物から単離されている。Fogartyら、PROGRESS IN INDUSTRIAL MICROBIOLOGY,Vol.15,pp112−115(1979)参照。これらのβアミラーゼは40℃乃至65℃の範囲の至適温度を有し、4.5乃至約7.0の範囲の至適pHを有する。意図されるβアミラーゼは大麦由来βアミラーゼ、Spezyme(商標)BBA(ジェネンコーインターナショナルインク)、及びNovozyme(商標)WBA(ノボザイムA/S)を含むがこれらに限定されない。
1つの態様において、この組成物は食品添加物として、又は食品処理に用いるために好適な加工助剤として、調製又は製剤化される。本発明のキメラポリペプチド又は熱安定性キメラアミラーゼを含む、食品グレード凍結乾燥組成物も提供される。そのような組成物は、調理、焼成、製品、並びにDPの観点で、デンプン性質を変更する必要がある任意の高温処理製品に有用である。
食品添加剤として用いるために、又は食品処理に用いるために、調製し又は製剤化したとき、この組成物は特定の管理基準に適合するか、この基準をクリアなければならない。これらの要求性は組成物の調製における当業者のガイドラインとして、提供されている。従って、管理基準は各国において、異なっているけれども、一般的に組成物は金属含量が一般的に非常に低く、鉛及びヒ素が非常に少ないことを当業者は理解するだろう。具体的に、総金属含量は約40ppmを超えないように、より好ましくは約30ppm未満である。この組成物の鉛含量は約10ppmを超えない、及びより好ましくは5又は3ppm未満である。この組成物のヒ素含量は約3ppm未満である。この組成物は標準的方法で試験した後、マイコトキシン及び抗菌含量もネガティブである。
この組成物はそれらの微生物含量の点からも、クリーンである。好ましくは、食品添加物として又は食品加工助剤としての使用を意図した時に、最低でも、GMP又はGLPスタンダードの下で製造される。特に、(微生物の)総含量は、組成物1グラム当たり、40CFUを超えない。より好ましくは、大腸菌の量は、グラム当たり約30CFUを超えてはいけない。更に、この組成物は、標準的な微生物検査方法により測定される。サルモネラ又はシゲラが検出されない。キメラアミラーゼが宿主細胞で生成される場合、この組成物は1グラム当たり1CFU未満の微生物数である。
更に、この組成物は毒性等の点で、安全基準を満足している。1つの態様において、この組成物は好適なin vitroアッセイにおいて、遺伝毒性を示さない。この組成物は動物において研究されている、急性及び/又は準慢性な毒性効果を示す。
食品添加物又は食品加工助剤の目的のために、この生成物は好ましくは、多くの市販にしようされている食品酵素についての基準を満たしている。従って、GMPは生産工程を通じて用いられ、FDA又は国際的機関、例えば、Food Chemicals Codex(第四版,1996)、the Joint FAO/WHO Expert Committee on Food Additives(JECFA)、the Compendium of Food Additives Specifications,Vol.1, Annex 1 Addendum9 (2001)により確立された食品酵素についての必要性及び明細に見合うようにする。例えば、キメラアミラーゼを含む組成物は、フェドバッチ発酵等の例えば、安全であると一般的に考えられている微生物におけるsubrgedフェドバッチ発酵、又は、例えば、食品グレード酵素調製の生成物の目的に長い歴史を有するプロセスを用いて生成する。
本発明の目的のために、好適な微生物は例えば、バチルスステアロエセレモフィリス(B.stearothermophilus)、バチルススブチリス(B.subtilis)、バチルスリケニフォルミス(B.licheniformis)、バチルスブレビス(B.brevis)、及びバチルスアミロリケファシエンス(B.amyloliquefaciens)を含むバチルス由来のグラム陽性バクテリアを含む。バチルスコアギュランス(B.coagulans)、バチルスサーキュランス(B.circulans)、バチルスレンタス(B.lautus)、バチルスツリンギエンシス(B.thuringiensis)、及びバチルスアカロフィリス(B.alkalophilus)を含む他の微生物も有用である。本発明の組成物の幾つかの生成物に有用な他のグラム陽性バクテリアはストレプトマイセスリビダンス(Streptomyces lividans)及びストレプトマイセスムリナス(S.murinus)を含む。エシェリケアコリ(Escherichia coli)又はシュードモナス種(Pseudomonas)を含むグラム陰性バクテリアも本発明で提供される特定の組成物を提供するために用いる。
テキスタイル、紙、グラス、プラスチック、金属、キャンバス、磁器等の非デンプン(従って、基質ではない)から、酵素の基質の除去を提供するのに有用なキメラポリペプチド及び熱安定性キメラアミラーゼを含む組成物を提供する。前述の物質は洗浄工程又はクリーニング工程の間にしばしば除去される。1つの態様において、この組成物は1つ以上の、石鹸、洗剤、酸化剤、又はキレートを含む。1つの態様において、組成物は洗濯用洗剤として用い、他の態様において、食器用洗剤である。本明細書におけるこれらの及び他の目的のためのこの組成物はゲルとして製剤化してもよい。このような各種ゲルは当業者に知られており、消費者又は使用者に使用しやすい形態に加えて、例えば、除去する基質に作用する酵素に対する接触時間を条件における利益を提供する。洗剤、石鹸、酸化剤、及び/又はキレートのほかに標準的な洗剤の包含は、このαアミラーゼ活性が幾分最終使用におけるのみならず、好ましくはより濃縮された又は製品自体を作り出す極限状態において、耐えうるものであることを必要とする。
E.キメラアミラーゼの特徴付け
本明細書で提供されるキメラポリペプチド及び熱安定性アミラーゼ等のタンパク質及び酵素は当分野で知られている各種方法及び技術により特徴付けることができる。核酸及び/又は一次ポリペプチド配列決定は本明細書で定義されるアミラーゼの比較及び解析に有用な手段である。特異活性の決定は酵素の特徴付けに頻繁に用いられている。これらの二次構造はモデリング及び/又は物理的結晶化も有用である。特異活性の決定は酵素の特徴付けに頻繁に用いられている。基質、温度、pH、カルシウム濃度、及び他の因子の各種条件下での酵素活性は本分野の当業者に知られている標準的方法を用いて評価することができ、アミラーゼをアッセイする既知の技術に基づく新しいアッセイの設計により、評価することができる。特定の条件下でのVmax又はKm等の動態定数の動的性質を本発明で定義されるキメラアミラーゼの特徴づけに有用である。安定性又は圧政のための至適pHを決定するための方法は、当業者に知られており、このキメラポリペプチド及び/又は熱安定性アミラーゼの貯蔵の間の最大活性のためのカルシウムイオン濃度及び最大安定性のための条件を決定するための方法でもある。
宿主細胞中でこのキメラポリペプチド及び熱安定性アミラーゼの発現の特徴付けは、例えば、このキメラポリペプチド及び酵素を作ることのプロセスのコマーシャルポテンシャルを決定することにおいて、有用な特徴づけである。宿主細胞において、このキメラポリペプチド及び熱安定性キメラαアミラーゼの発現を高めるために、発現されたタンパク質の量、対応するmPNAの存在又は量、又は酵素活性(例えば、基質から生成物への転換のモニタリングにより)を測定することができる。好適なアッセイは、好適なラベルされたハイブリダイズプローブを用いたノザン及びサザンブロッティング、RT−PCR(逆転写ポリメラーゼチェーンリアクション)及び in situハイブリダイゼーションを含む。特定の宿主細胞で生成されたキメラポリペプチド及び熱安定性キメラαアミラーゼの発現の測定、発現速度、又は最大回収率は、本明細書で提供されるキメラポリペプチド及び熱安定性αアミラーゼの発現に関する特徴付けの有用な例である。
熱安定性及び特異活性に関して、キメラポリペプチド及び熱安定性αアミラーゼは修飾された性質を有していることから、特定の態様において、AmyL又はAmySアミラーゼ等のアミラーゼと比較して、それらは酸化、界面活性剤、又はキレート剤に対して修飾された安定性を有している。従って、そのような性質も提供するキメラポリペプチド及び熱安定性キメラαアミラーゼを試験してより有用なαアミラーゼを見つけることは有用である。例えば、酸化、界面活性剤、キレート剤、又は更には石鹸に対してまで、高められた安定性は、洗浄、食器洗浄、テキスタイルデザイン、又はシミ除去等の洗浄プロセスのための組成物において有用である。当業者は、洗剤のための安定性又はタンパク質異性に関する酵素の特徴付けは、洗剤を含む所望の条件にポリペプチドを曝し、その後所定の条件下で活性を評価することにより、又は洗剤を含む所望の条件下で活性を評価することにより行うことができることを理解している。前者は過酷な条件に対するポリペプチドの安定性についての情報を提供する。後者は過酷な条件下での触媒活性を有する酵素の能力に関する情報を提供する。
本明細書のキメラポリペプチド及び熱安定性キメラαアミラーゼはAmyL又はAmySアミラーゼに対して所与の温度において延長された半減期を有する。各種態様において、半減期は約55℃−約95℃以上、特に約80℃以上の高温で、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%以上高められる。前述のように、キメラが由来する特定のAmyS由来のαアミラーゼに対して95℃以上で高められた安定性を有するキメラポリペプチド及び熱安定性アミラーゼが特に有用である。
1つの態様において、本発明のキメラポリペプチド及び熱安定性キメラαアミラーゼはAmyLタイプ又はAmySアミラーゼ等のそのキメラが由来するアミラーゼと同じpH安定性を有する。他の態様において、このキメラポリペプチド及び熱安定性アミラーゼpHの変化に対して安定な範囲が幅広く、至適pH範囲又は安定なpH範囲がこの酵素の最終製品の目的に応じて好ましい範囲にシフトしている。例えば、1つの態様において、このキメラポリペプチド及び熱安定性アミラーゼは約pH4.5乃至約pH10.5において、デンプンを分解することができる。このキメラポリペプチド及び熱安定性アミラーゼは同一の条件下でAmyL又はAmySに対してより長い半減期又はより高い活性(アッセイによる)を有する。このキメラαアミラーゼポリペプチドは同一pH条件下で、約10%、20%、30%、40%、50%、60&、70%、80%、90%、100%、200%又はより長い半減期を有する。他の態様において、AmyL又はAmySと比較して同一pH条件下でより高い特異活性を有する。本発明のこのキメラポリペプチド及びαアミラーゼは本明細書で列挙する好適な性質の任意の組合せを有する。
F.キメラαアミラーゼをコードしているポリヌクレオチド
幾つかの側面の1つにおいて、本明細書で説明するキメラポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドを提供する。このエンコードされたポリヌクレオチドは、自然発生ポリヌクレオチドではないので、このポリペプチドは人工的に、例えば、部位指定変異誘発及びスクリーニングプログラムを通じて生成される。具体的には、このポリヌクレオチドは以下のいずれかをコードする:
(a)前述のキメラポリペプチドであって、約480乃至515アミノ酸残基長を有し、AmyLのN末端部分の約180以上の連続するアミノ酸残基を含むアミノ末端ドメイン及びAmySアミラーゼのカルボキシ末端部分を含むカルボキシ末端ドメインを有し、少なくともAmySアミラーゼよりも、高い熱安定性を有する、キメラポリペプチド、
(b)約475乃至502アミノ酸残基長の熱安定性キメラαアミラーゼであって、AmyLアミラーゼのN末端部分からの連続するアミノ酸配列を含むN末端部分及びAmySアミラーゼのC末端部分からの連続的なアミノ酸配列を含むC末端ドメインを含み、前述のキメラアミラーゼはAmyLアミラーゼよりも特異活性が高く、95℃における熱安定性がAmySアミラーゼよりも高い、熱安定性キメラアミラーゼ。
1つの態様において、このポリヌクレオチドは列番号1乃至17のいずれかの配列に少なくとも約95%の配列同一性を有している。各種態様において、エンコードされたポリペプチドは配列番号1乃至17のいずれかに少なくとも約90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有する。しかしながら、このポリペプチドは配列番号1又は2のいずれかに一致する配列を有さない。
本発明に好適なポリペプチドは配列番号18乃至34として列挙されている配列において例示される、これらは配列番号1乃至17のいずれかのアミノ酸配列を有するポリペプチドをそれぞれコードしている。当業者が理解しているように、ポリヌクレオチドの間で考えられる変更はエンコードされるアミノ酸配列に有意な変化を伴わずに可能である。特に、実質的なコドンバリエーションは遺伝子コドンにおける冗長性により(例えば、「ウェッブル」)及び異なる勇気例えば、幾つかの態様において、の間のコドン使用優先性から、相当なコドンバリエーションが可能である。従って、各種態様において、本明細書において有用なポリヌクレオチドは配列番号18乃至34のポリヌクレオチドに60%同一な配列を有する。より好適には、ポリヌクレオチドは配列番号18乃至34に対して65、70、又は80%の配列同一性を有する。80%以上の配列同一性、例えば、85%又は90%も本明細書において好ましい。同様に、配列番号18乃至34の配列に少なくとも約90、91、92、93、94、95、96、97、98、又は99%配列同一性を有するポリヌクレオチドも本発明に有用である。ポリペプチドの全ての前述のディスカッションは配列番号1又は2に完全に同一な配列を有するケースはない、又は配列番号18又は19のいずれかの配列に100%同一なポリヌクレオチドのケースはないという条件が適用される。当業者は、配列番号18又は19に100%同一な配列を有する新規なキメラアミラーゼ、ポリヌクレオチドの構築又は生成に有用であることを理解するだろうが、しかしながら、これらのポリヌクレオチドは本発明の新規キメラアミラーゼをコードしないことを理解するだろう。
1つの態様において、このポリヌクレオチドはゲノムDANであり、他の態様において、cDNAである。ゲノムコドンの崩壊により本明細書で開示される複数のポリヌクレオチドは同じポリペプチドをコードすることができる。ポリヌクレオチドは本明細書で開示されるキメラポリペプチド又は熱安定性αアミラーゼをコードするmRNAを含む。
1つの好適な態様において、キメラポリペプチド又はαアミラーゼをコードしているポリヌクレオチドは微生物又は植物由来宿主細胞においてこのキメラポリペプチドの発現について最適化される。このことは宿主細胞中でコドン使用に好適なポリヌクレオチド組成物を適用することにより行われる。コドン使用を最適化する技術は当業者に知られている。各種微生物に対するコドン使用テーブルはバイオテクノロジーのテキスト又は実践マニュアル等の標準リソースにおいて利用可能である。
このキメラポリペプチド及びアミラーゼをコードしているポリヌクレオチドを含むベクターも提供される。ポリヌクレオチドを維持し、ポリヌクレオチドの量を生成し、ポリヌクレオチド配列を挿入し、又はin vitro又は宿主細胞においてポリヌクレオチドを発言するためのベクターも本明細書で意図する。好適なベクターの例は、例えば、Sambrookら、Molecular CLONING:A LABORATORY MANUAL,第3版,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York(2001)等の標準的なバイオテクノロジーマニュアル及びテキストにおいて、提供されている。
1つの態様において、好適なベクターは宿主細胞、特にバクテリア細胞又は植物細胞等の有機体細胞、においてコードされたポリペプチドの発現に有用である。発現ベクターはこのキメラαアミラーゼの一次的な発現、例えば、スケールアップする前の触媒性質及び他の性質を確定するために用いられる。発現ベクターは好ましくは、安定な発現、例えば、宿主細胞染色体への組み込みにより又は自己複製ポリヌクレオチド配列の安定な取り込みにより、好適に適用される。1つの態様において、DNA構築物であるポリベクターはキメラポリペプチド又はキメラαアミラーゼをコードしている配列に作動可能に結合している調節配列を含む発現ベクターにより宿主細胞を形質転換する。
現在のところ好適なベクターはpBR322及びpUC18等のpUCベクター、及びそれらの特定の修飾体及び誘導体を含む。そのようなベクターは微生物システムにおいて用いる一般的に良く知られたベクターである。1つの態様において、このベクターはバチルススブチリスへの組み込みに適したpBR322誘導体であり、pUC18からのマルチスクリーニング部位を含み、バチルス配列のいくつかに有用である。例えば、Ferrariら,J.Bacteriology,154:1513−1515参照。参照により本明細書に援用する。
キメラαアミラーゼのハイブリッド発現の格子区におけるpHJ101tの使用は本明細書で開示している(例えば、以下の方法、実施例を参照)。ベクター骨格の修飾は部位指定変異誘発を促進するために用いることができ、例えば、塩架橋等を使うキメラを生成することができる。
キメラポリペプチド又はこのアミラーゼをコードしているポリヌクレオチドを含むベクターを含む、酵母、糸状菌、又はバクテリア細胞を含む微生物細胞も提供される。1つの態様において、このベクターは、宿主細胞においてコードされたポリペプチドの発現に好適である。他の態様において、植物細胞が提供され、この細胞は植物発現ベクターを含む。各種宿主細胞で発現のためのベクターは当業者に知られており、プロモーター等を必要とする調節配列を含み、エンコードされたポリヌクレオチドの発現を促進することが理解されている。バチルスを用いるときの例示的なプロモーターはAmyL、AmyQ,AmyM、AmySniおけるアミラーゼ遺伝子、並びに、バチルススブチリスにおけるxylA及びxylB遺伝子を含む。1つの態様において、発現ベクターはコードされたポリペプチドを発現又は共発現するための構造的又誘発性のいずれかの強力プロモーターを含む。他の態様において、ポリヌクレオチドは発現されたポリペプチドを細胞外又は宿主細胞内の特定の区域へ運び、生成、単離、又は精製(宿主細胞からポリペプチド)を促進するための配列を含む。例えば、このポリヌクレオチドは、このキメラポリヌクレオチド又はαアミラーゼがバチルスリケニフォルミス由来シグナルポリペプチド等の末端へ結合された異種ポリペプチドで初めに精製され、バクテリアやから発言されたタンパク質の分泌を促進するような1つ以上の配列を含むことができる。このポリヌクレオチドは、この決めたアミラーゼがはじめに「精製配列」、即ち、発現されたタンパク質の精製を促進するための配列、で精製されるような、配列を含んでいてもよい。ここで、精製配列は精製工程の間に切断又は除去される。
宿主細胞が植物の場合、1つの態様において、この植物はデンプン生成に用いられる作物である。キメラポリペプチド又はαアミラーゼはこの植物において過剰生産される。このキメラポリペプチド又はアミラーゼはこの植物で過剰発現され、例えば、種のようなデンプン貯蔵に用いられる植物の部分に区画化される。従って、この植物は収穫され、このデンプンは単離され、このキメラαアミラーゼ活性がデンプンとともに生成される。この態様は植物がアルコール発酵に用いられる、特に燃料エタノール等の場合特に有用である。
1つの態様において、宿主細胞は食品加工助剤又は食品添加物の生成に利用可能な有機体由来である。現在のところ、バチルスリケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルススブチリス(Bacillus subtilis)、又はバチルスステアロセレモフィリス(Bacillus stearothermophilus)由来の宿主細胞が好適である。バチルスにおいて自己複製のためのベクターを含むバクテリア細胞に用いるための好適なプラスミドは、当業者に知られている。本明細書における例示的な1つの態様において、この宿主細胞はコンンピテンシー遺伝子を制御しているキシロース誘発プロモーターを含むバチルススブチリスSC6.1である。従って、この細胞は、キシロースの存在において、ポリヌクレオチド、ベクター、及び本明細書における他の構築物のように、DNAに結合し、又は取り込むのに適している。
キメラポリペプチド及びαアミラーゼの生成方法及び使用方法
キメラポリペプチド及び熱安定性キメラαアミラーゼを製造する方法及び/又は使用する方法の全部はキメラポリペプチド及び熱安定性アミラーゼ、及び本明細書で提供される組成物の関する文脈において前述のように、任意の分類、又はタイプ、又は活性の1つ以上の他の酵素に関係する。キメラアミラーゼポリペプチドが本明細書の開示の他の側面に関して提供される。1つの態様において、提供される方法は前述の少なくとも1つの決めたポリペプチド又は熱安定性αアミラーゼを生成する。この方法は、バチルスリケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルススブチリス(B.subtilis)、及びバチルスステアロセレモフィリス(B.stearothermophilus)からなる群より選択される宿主細胞をタンパク質を発現する発酵プロセスに用いる。このタンパク質は以下のいずれかを含む。
(a)前述のキメラポリペプチドであって、約480乃至515アミノ酸残基長を有し、AmyLのN末端部分の約180以上の連続するアミノ酸残基を含むアミノ末端ドメイン及びAmySアミラーゼのカルボキシ末端部分を含むカルボキシ末端ドメインをゆうし、少なくともAmySアミラーゼよりも、高い熱安定性を有する、キメラポリペプチド、
(b)約475乃至502アミノ酸残基長の熱安定性キメラαアミラーゼであって、AmyLアミラーゼのN末端部分からの連続するアミノ酸配列を含むN末端部分及びAmySアミラーゼのC末端部分からの連続的なアミノ酸配列を含むC末端ドメインを含み、前述のキメラアミラーゼはAmyLアミラーゼよりも特異活性が高く、95℃における熱安定性がAmySアミラーゼよりも高い、熱安定性キメラアミラーゼ。タンパク質が発現した後、この方法は少なくとも部分的に精製する工程を提供する。それ故、組成物を生成する。
この発酵プロセスは任意のタイプでよいが、水面下でのフェドバッチ発酵等のフェドバッチ発酵プロセスが好ましい。この方法は特定の態様において、キメラポリペプチドを精製して、in vitroアッセイにおいて遺伝毒性を示さず、動物試験において、急性及び準慢性投与における毒性を示さない、精製組成物を製造する工程を更に含む。前述の組成物は食品加工助剤として、いくつかの態様において、食品添加剤として有用である。
この方法は40ppm未満の重金属含量、5ppm未満のヒ素、10ppm未満の鉛、5x104未満の生菌(CFU/g)、30未満のコリフォーム(CFU/g)、サルモネラ、マイコトキシン、又は標準試験で抗生物質活性を有さない、精製された又は部分的に精製された組成物を製造する。
各種態様において、この方法は1つ以上のαアミラーゼ活性を含む部分的に精製された又は精製された組成物を製造するために有用であり、幾つかの態様において、この組成物は少なくとも1つの酵素活性を有する。
キメラαアミラーゼを含む組成物を用いた方法も提供される。複合炭水化物を液化する方法は具体的に提供される。デンプンを含むスラリーを生成する工程、このスラリーを液化のために許容可能な温度にまで加熱する工程、このスラリーを以下の1つ以上の組成物に添加する工程:
(a)前述のキメラポリペプチドであって、約480乃至515アミノ酸残基長を有し、AmyLのN末端部分の約180以上の連続するアミノ酸残基を含むアミノ末端ドメイン及びAmySアミラーゼのカルボキシ末端部分を含むカルボキシ末端ドメインを有し、少なくともAmySアミラーゼよりも、高い熱安定性を有する、キメラポリペプチド、
(b)約475乃至502アミノ酸残基長の熱安定性キメラαアミラーゼであって、AmyLアミラーゼのN末端部分からの連続するアミノ酸配列を含むN末端部分及びAmySアミラーゼのC末端部分からの連続的なアミノ酸配列を含むC末端ドメインを含み、前述のキメラアミラーゼはAmyLアミラーゼよりも特異活性が高く、95℃における熱安定性がAmySアミラーゼよりも高い、熱安定性キメラアミラーゼ、又は(c)これらの任意の組合せ、及び
このスラリーを組成物と一緒にデンプンスラリーを液化するのに充分な温度及び/又は時間インキュベートする工程を含む。
本明細書において、「液化」の語はあらゆる基質結合が切断されることを意図しておらず、むしろ、最終粘度において測定可能な粘度の原料、スラリーのDEの増加、又は還元基、デキストリン、又はαマルトース単位の他の測定により示されるような、複合炭化水素が少なくとも部分的に加水分解されることを意味する。
特許請求の範囲の方法の1つの態様において、この基質はデンプン、又アミロース又はアミロペクチンを含む炭水化物である。この方法は、好ましくは、乾燥重量ベースで約15乃至40%デンプンを含むスラリーを用いる。このスラリーは1つの態様において乾燥重量ベースで約20乃至40%のデンプンを含み、他の態様において、約30乃至36又は37.5%のデンプンを含む。デンプン含量が低いと、経済的には好ましくない。最大粘度及び混合のために必要とされるパワー等の変更された因子が、このスラリーに用いるデンプンの最大量を限定する。当業者はデンプンスラリーの製造において実際に考慮しなければならないことを理解している。
1つの態様において、組成物の添加はAmySアミラーゼを比較可能な液化に転化した場合と同様なスラリーのピーク粘度の低下を示す、更に、比較可能な液化工程にAmyLアミラーゼを添加したのと同様にスラリーの最終粘度を低下させる。
液化方法の温度は室温から100℃までの間で変化することができるが、好ましくは、50℃から95℃の範囲である。1つの態様において、この温度は少なくとも約80℃乃至約100℃である。液化は経時的に複雑な温度曲線を示し、例えば、この反応は低い温度で開始し、所望の最終温度まで既知の方法で温度を高めると高まる。この温度は特定の時間が経つと減少し、又は粘度、DE、又は他の液化測定値に関して所望の最終ポイントに到達すると減少する。当業者はこの方法は特定の温度を特定の期間維持している必要はなく、酵素活性が所与の条件下で機能できる温度を提供すればよいことを理解している。活性に影響を与える他の条件は、pH、カルシウムイオン濃度のほかに、1つ以上の界面活性剤、酸化剤、又はキレート剤の有無を含む。
1つの態様において、液化は発酵の一部である。幾つかの態様において、発酵は食品、食品添加物、燃料、又は燃料添加物を製造するのに用いる。好適な態様において、発酵はアルコール等の燃料又は燃料添加物であり、好ましくは、エタノール又は他の低級アルコールである(例えば、C6−8未満)。
他の態様において、スラリーの最大(又はピーク)粘度はAmySを少なくとも単独で用いた場合より低くすることができる。各種態様において、最終粘度はAmyL単独で用いた場合と同じ粘度であり、このプロセスの間に最大粘度が2倍、3倍、5倍、10倍、15倍、18倍、20倍、21倍、22倍、24倍、25倍、26倍、27倍、28倍、20倍、又は30倍低くなる。当業者は粘度がより低められると、デンプンがより液化され、デキストリンがより多く生成される(又は得られた液化デンプンのDEが高い)ことを理解している。
他の側面はキメラポリペプチド、アミラーゼ及び本明細書で提供される組成物と追加的な酵素を液化に用いその後スラリーを処理する使用方法を意図する。従って、2つ以上のαアミラーゼが本明細書で議論されている他の酵素と一緒にも用いることができる。例えば、第三の酵素は他のアミラーゼ、例えば、酵母αアミラーゼ、又はバチルスαアミラーゼ又は非バチルスαアミラーゼのいずれかでよい。液化工程の間の高められた加水分解活性による改善された液化は基質処理工程の効率を高める(例えば、WO98/22613参照)。例えば、得られたスラリーは糖化工程の間のグルコアミラーゼについて低くなる。
βアミラーゼ等の追加的な酵素は本発明のポリペプチド、アミラーゼ、又は組成物と一緒に用いることができる。本明細書において、好適なβアミラーゼは大麦由来Spezyme(商標)BBA1500、Spezyme(商標)DBA、Optimalt(商標)ME、Optimalt(商標)BBA(ジェネンコーインターナショナルインク)、及びNovozym(商標)WBA(ノボザイムA/S)を含むがこれらに限定されない。
この組成物に用いる他の酵素はグルコアミラーゼ(EC3.2.1.3)である。グルコアミラーゼは微生物又は植物由来でよい。例えば、グルコアミラーゼは糸状菌又はバクテリア由来でよい。例示的なバクテリアグルコアミラーゼはアスペルギルスグルコアミラーゼ、特に、アスペルギルスニガーG1又はG2グルコアミラーゼ(Boelら(1984),EMBO J.3(5):1097−1102)又はそれらの変異体、WO92/00381及びWO00/04136に記載のようなそれらの変異体、アスペルギルスアワモリ(A.awamori)グルコアミラーゼ(WO84/02921);アスペルギルスオリザエ(A.oryzae)グルコアミラーゼ(Agric.Biol.Chem.(1991),55(4):941−949)、又はこれらの変異体又はフラグメントを含むがこれらに限定されない。グルコアミラーゼは有利には、0.5グルコアミラーゼ活性単位(AGU/g)DS(即ち、乾燥固形1グラムあたりのグルコアミラーゼ活性)を超えない、又は未満の量で存在する。このグルコアミラーゼは、アスペルギルス(Aspergillus)株、タラロマイセス(Talaromyces)株、パチキトスポラ(Pachykytospora)株、又はトラメテス(Trametes)株でよく、例示的な例としては、アスペルギルスニガー(Aspergillus niger)、タラロマイセスエメルソニ(Talaromyces emersonii)、トラメテスシンギュラタ(Trametes cingulata)、又はパチキトスポラパピレース(Pachykytospora papyrace)がある。1つの態様において、このプロセスはWO98/22613に記載のタイプの炭水化物結合含むドメインの使用を含む。
他の意図されるアスペルギルスグルコアミラーゼ変異体は熱安定性を高める変異体を含む;G137A及びG139A(Chenら、(1996),Prot.Eng.9:499−505);D257E及びD293E/Q(Chenら、(1995),Prot.Eng.8:575−582);N182(Chenら、(1994),Biochem.J.301:275−281);ジスルフィド結合,A246C(Fierobeら、(1996),Biochemistry,35:8698−8704);及びA435及びS436の位置におけるSerの導入(Liら、(1997)Protein Eng.10:1199−1204)。他の意図するグルコアミラーゼはタラロマイセス(Talaromyces)グルコアミラーゼであり、特にタラロマイセスエメリソニ(T.emersonii)(WO99/28448)、タラロマイセスレイセッタンス(T.leycettanus)(U.S.Patent No.RE32,153)、タラロマイセスヂュポンチ(T.duponti)、タラロマイセセルモフィリス(T.thermophilus)(米国特許第4,587,215号)由来のものを含む。意図するグルコアミラーゼはクロストリジウム(Clostridiu)株のもの、特にクロストリジウムセルモアミロイティカム(C.thermoamylolyticum)(EP135138)及びクロストリジウムセルモヒドロスルフリカム(C.thermohydrosulfuricum)(WO86/01831)を含む。好適なグルコアミラーゼはアスペルギルスオリザエ(Aspergillus oryzae)であり、特にWO00/04136に対して50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%又は更に90%の配列同一性を有するグルコアミラーゼを含む。AMG200L;AMG300L;SAN(商標)SUPER及びAMG(商標)E(ノボザイム);OPTIDEX(商標)300(ジェネンコーインターナショナルインク);AMIGASE(商標)及びAMIGASE(商標)PLUS(DSM);G―ZYMEtG900(Enzyme Bio−Systems);及びG−ZYME(商標)G990ZR(アスペルギルスニガー(A.niger)グルコアミラーゼ及び僅かなプロテアーゼを含有)等のグルコアミラーゼも好適である。グルコアミラーゼは0.02−2.0AGU/gDS又は0.1−1.0AGU/gDS、例えば、0.2AGU/gDSの量で用いられる。
任意に添加することができる他の酵素は、イソメラーゼ(EC3.2.1.68)又はプルラナーゼ(EC3.2.1.41)等の脱分岐酵素である。イソメラーゼはアミロペクチンにおけるα―1,6−Dグルコシド分岐結合及びβ限界デキストリンを加水分解し、プルランには作用できないこと、及びα限界デキストリンには限られた作用しか及ぼさないことから、プルラナーゼとは区別されている。脱分岐酵素は当業者に良く知られた酵素において添加することができる。
本明細書で提供するポリペプチド、アミラーゼ、及び組成物は焼成プロセスにもちいることができる。これらは単独で又は他の酵素と組合せて任意の各種工程に用いることができる。これらは他のアミラーゼ、例えば、防腐アミラーゼ又は防腐遅延アミラーゼと一緒に添加することができる(即ち、焼成生成物の食感)。防腐剤アミラーゼの量は小麦粉1kgあたり0.01乃至10mg酵素タンパク質、例えば、0.5mg/kgdsである。本発明のキメラポリペプチド、アミラーゼ、及び組成物と一緒に用いることができる追加的な防腐アミラーゼはエンドアミラーゼ、例えば、バチルス由来のバクテリアエンドアミラーゼである。この追加的なアミラーゼはマルトジェニックαアミラーゼ(EC3.2.1.133)、例えば、1つの態様においてバチルス由来である。Novamyl(商標)はバチスルステアロセレモフィリス(B.stearothermophilus)株NCIB11837由来の代表的なマルトジェニックαアミラーゼであり、Christophersenら,Starch50:39−45(1997)に開示されている。防腐エンドアミラーゼはバチスルリケニフォルミス(B.licheniformis)又はバチルスアミロリケファシエンス(B.amyloliquefaciens)等のバチルス由来バクテリアαアミラーゼを含む。この防腐アミラーゼはダイズ等の植物源、又はバチルス等のバクテリア源等のβアミラーゼのようなエキソアミラーゼでもよい。
フォスフォリパーゼはパッケージ製品に関する特定の態様において本明細書に記載のキメラポリペプチド、アミラーゼ、及び組成物に添加される。このフォスフォリパーゼはリン脂質から脂肪酸を除去してリソフィスフォリピッドを形成するA1又はA2活性、即ち、トリグリセリド基質における活性を有する。それはリパーゼ活性、即ち、トリグリセリド基質に対す活性を有していてもいなくてもよい。このフォスフォリパーゼは通常、30乃至90℃の、例えば、30乃至70℃の範囲の至適温度を有する。添加したフォスフォリパーゼは動物由来、例えば、胃、例えば、牛、又は豚の胃、ヘビ毒、ハチ毒でよい。代替的に、このフォスフォリパーゼは微生物由来、例えば、糸状菌、酵母又はバクテリアである。フォスフォリパーゼの例示的な源はアスペルギルス(Aspergillus),アスペルギルスニガー(A.niger);ジクトステリウム(Dictyostelium),ジクトステリウムジスコディエウム(D.discoideum);ムコール(Mucor),ムコールジャバニクス(M.javanicus),ムコールムセウド(M.mucedo),ムコールスブチリシムス(M.subtilissimus);ニューロスポラ(Neurospora),ニューロスポラクラッサ(N.crassa);リゾムコール(Rhizomucor),リゾムコールプシラス(R.pusillus);リゾプス(Rhizopus),リゾプスアルヒザス(R.arrhizus),リゾプスジャポニクス(R.japonicus),リジプスストロニファー(R.stolonifer);スクレロティニア(Sclerotinia),スクレロティニアリベルティアナ(S.libertiana);トリコフィトン(Trichophyton),トリコフィトンルブラム(T.rubrum);フェトゼリニア(Whetzelinia),フェトゼリニアスクレチオラム(W.sclerotiorum);バチルス(Bacillus),バチルスメガテリウム(B.megaterium),バチルススブチリス(B.subtilis);シトロバクター(Citrobacter),シトロバクターフレウニディ(C.freundii);エンテロバクター(Enterobacter),エンテロバクターアエロゲネス(E.aerogenes),エンテロバクタークロアカエ(E.cloacae);エドワードシエラ(Edwardsiella),エドワードシエラターダ(E.tarda);エツウィニア(Etwinia),エツウィニアヘルビコラ(E.herbicola);エシェリキア(Escherichia),エシェリキアコリ(E.coli);クレブシエラ(Klebsiella),クレブシエラプエウモニアエ(K.pneumoniae);プロテウス(Proteus),プロテウスブルガリス(P.vulgaris);プロビデンシア(Providencia),プロビデンシアスチュアルティ(P.stuartii);サルモネラ(Salmonella),サルモネラチフムリウム(S.typhimurium);セラシア(Serratia),セラシアリケファシエンス(S.liquefasciens),セラシアマルセスセンス(S.marcescens);シゲラ(Shigella),シゲラフレックスネリ(S.flexneri);ストレプトマイセス(Streptomyces),ストレプトマイセスバイオラセオルバー(S.violeceoruber);エルニシア(Yersinia),エルニシアエンテロコリチカ(Y.enterocolitica);フサリウム(Fusarium),フサリウムオキシスポラム(F.oxysporum),(例えば、DSM2672)を含む。
このフォスフォリパーゼは焼成の後、特に初めの24時間の後の最初の期間の間のパンの柔軟化を改善する量で添加される。フォスフォリパーゼの量は通常小麦粉1kg当り0.01乃至10mgの酵素タンパク質、例えば、0.1乃至5mg/kgの範囲である。フォスフォリパーゼ活性は通常小麦粉1kg当り約20乃至1000リパーゼ単位(LU)の範囲である。ここにおいて、リパーゼ単位は30℃、pH7.0においてアラビアガムを乳液として及びトリブチリンを基質としたときに、1分当り1マイクロモルのブチルさんを放出するのに必要とされる量であると定義される。
任意で、追加的な酵素は防腐アミラーゼ及びフォスフォリパーゼと一緒に用いられる。追加的な酵素はアミログルコシダーゼ、βアミラーゼ、シクロデキストリン、グルカノトランスフェラーゼ等の第二アミラーゼでよい。追加的な酵素はペプチドでよく、特に、エキソペプチドでよく、トランスグルタミナーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、特にキシラナーゼ等のペントサナーゼ、プロテアーゼ、プロテインジスルフィドイソメラーゼ、例えば、WO95/00636に記載のプロテインジスルフィドイソメラーゼ、例えば、グリコシルトランスフェラーゼ、分岐酵素(1,4−α―グルカン分岐酵素)、4−α−グルカノトランスフェラーゼ(デキストリングリコシルトランスフェラーゼ)、又はオキシドリダクターゼ、例えば、ペルオキシダーゼ、又はカルボキシヒドレートオキシダーゼでよい。追加的な酵素は、任意の源でよく、例としては、哺乳類及び植物、及び得に微生物(バクテリア、酵母又は糸状菌)源でよく、当業者が従来用いている技術により得られる。
このキシラナーゼは通常、アスペルギルス(Aspergillus)等の株、特にアスペルギルスアキュレンタス(A.aculeatus),アスペルギルスニガー(A.niger)(WO91/19782),アスペルギルスアワモリ(A.awamori)(例えば、WO91/18977),又はアスペルギルスツビエンシス(A.tubigensis)(例えば、WO92/01793)、トリコデルマ株、例えば、トリコデルマレーシ;フミコーラ、例えば、フミコーラインソレンス(H.insolens)(例えば、WO92/17573)である。Pentopan(商標)及びNovozym384(商標)はトリコデルマレーシ由来の市販されているキシラナーゼ調整生成物である。このアミログルコシダーゼはアスペルギルスノガー(A.niger)グルコシダーゼ(AMG(商標))等である。他の有用なアミラーゼ製品はGrindamyl(商標)A1000又はA5000(Grindsted Products,デンマークより入手可能)及びAmylase(商標)イータ又はAmylase(商標)P(Gist−Brocades,オランダより入手可能)を含む。このグルコースオキシダーゼは糸状菌グルコースオキシダーゼ、特にアスペルギルスニガー(Aspergillus niger)グルコースオキシダーゼ(Gluzyme(商標)等の)でよい。例示的なプロテアーゼはNeutrase(商標)である。例示的なリパーゼはエルロモナス(Thermomyces)(Humicola),リゾムコール(Rhizomucor),カンジダ(Candida),アスペルギルス(Aspergillus),リゾプス(Rhizopus),又はシュードモナス(Pseudomonas),特にセルロマイセスラングニオサス(Thermomyces lanuginosus)(フミコーララングイノーサ)(Humicola lanuginosa)由来,リゾムコールミエヘイ(Rhizomucor miehei),カンジダアンタルクチカ(Candida antarctica),アスペルギルスニガー(Aspergillus niger),リゾプスデレマー(Rhizopus delemar)又はリゾプスアルヒザス(Rhizopus arrhizus),又はシュードモナスセパチカ(Pseudomonas cepacia)の株由来である。特定の態様において、このリパーゼは例えば、WO88/02775に記載のカンジダアンタルクチカ(Candida antarctica)由来のリパーゼA又はリパーゼBでよい。このリパーゼはEP238,023に記載のようにリゾムコールミエヘイ(Rhizomucor miehei)由来でよい、EP305,216に記載のフミコーララングイノーサ(Humicola lanuginosa)、EP214,761及びWO89/01032に記載のシュードモナスセパチカ(Pseudomonas cepacia)である。
表面から望まれない又は好ましくないデンプン残渣を除去する表面洗浄方法を提供する。この方法は、除去すべきデンプン残渣を含む表面を提供する工程、1つ以上のキメラポリペプチド又はαアミラーゼを含む組成物と表面をデンプン残渣の除去をするのに充分な温度及び条件下で、接触させる工程を含む。この表面は任意の物質でよく、例えば、布製品である。例えば、カウンタートップ又はワーク表面又は常に又は定期的に洗浄しなければならない任意のタイプの市販の管でもよい。
1つの態様において、この組成物は少なくとも1つの他の酵素、例えば、1つ以上のプロテアーゼ、リパーゼ、追加的なアミラーゼ、又はこれらの組合せを含む。他の態様において、残渣のすすぎ又はバルク除去工程が接触工程の前に行われる。そのような工程は洗浄プロセスからバルクデンプンを除去して、酵素を残りの残渣及び除去するのが難しい基質に作用させて除去する。この洗浄方法は、任意の温度で行うことができ、好ましくは、接触工程は少なくとも50乃至100℃で行われる。1つの態様において、この方法は表面を滅菌する工程を含み、残渣を取り除いた後に表面を蒸気処理する。この組成物は幾つかの態様において、更に、少なくとも1つの洗剤、酸化剤、又はこれらの組合せを含む。
幾つかの態様において、この組成物は1つ以上の追加的な酵素を含む、一方、この組成物は任意の有用な酵素活性を含み、以下の態様は特定の利点を提供する。
この組成物は2,6−β−D−フルクタンヒドロラーゼ、1つ以上のαアミラーゼ、及びプロテアーゼ等の、リパーゼ、クチナーゼ、カルボヒドロラーゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼ、マンナーゼ、アラビナーゼ、ガラクタナーゼ、キシラナーゼ、オキシダーゼ、ラッカーゼ、及び/又はこれらの組合せ等の1つ以上の他の洗浄酵素を含んでいても良い。一般的に選択される酵素の性質は好ましくは選択された洗剤(例えば、至適pH、他の酵素及び非酵素との適合性等)に適合しており、酵素は好ましくは効果的な量で提供される。
任意の源からのプロテアーゼは本発明の使用に好適であり、動物、植物、又は微生物を含む。化学修飾された又は加工された酵素も好適である。このプロアーゼは既知の任意のタイプの活性又は活性部位、例えば、使用条件に依存してセリン、メタロ、又はアルカリ、又は酸タイププロテアーゼのエキソ、又はエンドタンパク質分解活性を有する。アルカリプロテアーゼは特定の態様において、トリプシン様プロテアーゼである。アルカリプロテアーゼの例としてはスブチリシン、特にバチルス株(Bacillus)由来のもの,例えば、subtilisin Novo,subtilisin Carlsberg,subtilisin 309 (例えば、米国特許第6,287,841号参照),subtilisin 147及びsubtilisin 168(例えば、WO89/06279参照)がある。トリプシン様プロテアーゼの例としては、例示的なトリプシン様プロテアーゼはトリプシン(例えば、ブタ、又はウシ由来)、及びフサリウム(Fusarium)プロテアーゼ(例えば、WO89/06270及びWO94/25583参照)がある。有用なプロテアーゼの例はWO92/19729及びWO998/20115に記載の変異体を含むがこれらに限定されない。好適な市販のプロテアーゼ酵素はAlcalase(商標),Savinase(商標),Primase(商標),Duralase(商標),Esperase(商標),及びKannase(商標)(Novo Nordisk AJS); Maxatase(商標),Maxacal(商標),Maxapem(商標),Properase(商標),Purafect(商標),Purafect OxP(商標),FN2(商標)及びFN3(商標)(ジェネンコーインターナショナルインク)を含む。
任意のタイプのリパーゼは本明細書の組成物と組み合わせて用いられる。例示的なリパーゼはバクテリア又は糸状菌のものを含む。化学修飾された及び加工された酵素も本明細書において有用である。有用なリパーゼの例としては、フミコーラ(Humicola)(セルモマイセス(Thermomyces)と同疑語)由来のリパーゼ,例えば、フミコーララングイノーサ(H.lanuginosa)(T.lanuginosus)(例えば、EP258068及びEP305216参照)及びフミコーラインソレンス(H.insolens)(例えば、WO96/13580参照);シュードモナス(Pseudomonas)リパーセ(例えば、シュードモナスアカリゲネス(P.alcaligenes)又はシュードモナスプセウドアルカリジェネス(P.pseudoalcaligenes)由来;例えば、EP218272参照),シュードモナスセパチカ(P.cepacia)(例えば、EP331376参照),シュードモナススツゼリ(P.stutzeri)(例えば、GB1,372,034参照),シュードモナスフルオレセンス(P.fluorescens),シュードモナス(Pseudomonas)株SD705(例えば、WO95/06720及びWO96/27002参照),シュードモナスビスコンシエンシス(P.wisconsinensis)(例えば、WO96/12012参照);バチルス(Bacillus)リパーゼ(例えば、バチルススブチリス(B.subtilis)由来;例えば、Dartoisら、Biochemica Biophysica Acta,1131:253−360(1993)参照),バチスルステアロセレモリフィス(B.stearothermophilus)(例えば、JP64/744992参照)又はバチルスプミラス(B.pumilus)(例えば、WO91/16422参照)を含む。製剤において用いられる追加的なリパーゼ変異体は例えば、WO92/05249,WO94/01541,WO95/35381,WO96/00292,WO95/30744,WO94/25578,WO95/14783,WO95/22615,WO97/04079,WO97/07202,EP407225,及びEP260105に記載のものを含む。幾つかの市販の利用可能なリパーゼ酵素はLipolase(商標)及びLipolase(商標)ウルトラ(ノボザイムA/S)を含む。
本明細書に有用なポリエステラーゼは、WO01/34899(ジェネンコーインターナショナルインク)及びWO01/14629(ジェネンコーインターナショナルインク)に記載のものを含み、本明細書に開示されている他の酵素と組み合わせて用いることができる。
この組成物はDuramyl(商標),Termamyl(商標),Fungamyl(商標)及びBAN(商標)(ノボノルディクスA/S),並びにRapidase(商標),及びPurastar(商標)(ジェネンコーインターナショナルインク)等の市販の利用可能なアミラーゼを含むがこれらに限定されない他のαアミラーゼと組み合わせて用いることができる。
バクテリア又は糸状菌由来等の任意のタイプのセルラーゼ又は有機体はこの組成物に添加し、又は一緒に用いることができるし、この酵素を化学的に修飾又は加工することができる。好適なセルラーゼはバチルス(Bacillus),シュードモナス(Pseudomonas),フミコーラ(Humicola),フサリウム(Fusarium),シエラビア(Thielavia),及びアクレモニウム(Acremonium)由来のセルラーゼを含む。例えば、糸状菌セルラーゼは米国特許第4,435,307号;米国特許第5,648,263号;米国特許第5,691,178号;米国特許第5,776,757号;及びWO89/09259に記載のフミコーラインソレンス(Humicola insolens),ミセリオフィソーラ サーモフィラ(Myceliophthora thermophila)及びフサリウムオキソスポラム(Fusarium oxysporum)由来のセルラーゼを含む。例示的なセルラーゼは布製品色処理に有用である。そのようセルラーゼの例としては、例えば、EP0495257;EP531372;WO99/25846(ジェネンコーインターナショナルインク),WO96/34108(ジェネンコーインターナショナルインク),WO96/11262;WO96/29397;及びWO98/08940がある。他の例としては、WO94/07998;WO98/12307;WO95/24471;PCT/DK98/00299;EP531315;米国特許第5,457,046号;米国特許第5,686,593号;及び米国特許第5,763,254号に記載のものがある。市販の利用可能セルラーゼはCelluzyme(商標)及びCarezyme(商標)(ノボノルディクスA/S); Clazinase(商標)及びPuradax(商標)HA(ジェネンコーインターナショナルインク);及びKAC−500(B)(商標)(花王コーポレーション)を含む。
ペルオキシダーゼ及びオキシダーゼは本明細書の組成物に好適に用いることができ、植物の酵素、バクテリア又は糸状菌の酵素を含む。化学的に修飾された及びエンジニア酵素も本明細書のために好適である。有用なペルオキシダーゼの例としては、コプリナス(Coprinus)由来のペルオキシダーゼ、例えば、WO93/24618,WO95/10602,及びWO98/15257に記載のコプリナスシネレウス(C.cinereus)及びこれらの変異体を含む。市販の利用可能なペルオキシダーゼは例えば、Guardzyme(商標)(ノボノルディクスA/S)を含む。
本明細書に記載のキメラαアミラーゼを用いる不織布を処理する方法も提供される。ファブリック等の不織布物質をアミラーゼで処理する方法は当業者に知られている。提供される方法はテキスタイル又はファブリック等の織布の感触及び/又は外観を改善することができる。この方法はキメラポリペプチド又は熱安定性αアミラーゼを含む液体とこの織布を接触させる工程とを含む。1つの態様において、この織布はファブリック又はテキスタイルである。他の態様において、織布は圧力下で液体を処理する。この液体は通常水溶液である。
この方法はウェービングプロセス、例えば、ファブリック又はテキスタイルのウェービング(毛羽立ち)の間又はそのあとに適用される。代替的に、この方法はデサイジング工程の間、又はこの織布物質を更に加工する1つ以上の追加工程の間に用いられる。この方法は、多くの物質に対するそのようなファブリック及びテキスタイル等のウェービングプロセスの間、この物質(例えば、糸)を考慮される機械的引張に曝すことから有用である。ウェービングプロセスの前に、特に商業的織機において、織られる物質は、引張強度を高め及び破れを防止するために、デンプン又はデンプン誘導体を含む「サイジング剤」でコートされている。このキメラポリペプチド及び熱安定性アミラーゼは、サイジングデンプン又はデンプン誘導体を除去するために、ウェービングの間又はあとに適用される。
本明細書のキメラポリペプチド及びキメラαアミラーゼは単独又は界面活性剤及び/又はデサイジング酵素等の他のデサイジング化学試薬と一緒に用いて、コットン及び/又はコットン含有ファブリックのファブリック等の織布物質のデサイジングに用いる。
本明細書のキメラポリペプチド及びαアミラーゼは、布製品のための酵素的最終加工工程、例えば、デニムジーンズの製造において、も用いられる。アミロ分解性酵素の作用はファブリックに柔軟性を提供し、コットンを続く酵素的最終工程に適用可能とする(例えば、ストーンウォッシュ製品)。
デンプンスラリーを液化し、表面からデンプン残渣を洗浄し、デンプン又はデンプン誘導体を含むコーティングを除去するための織布物質を処理するための前述の方法を実施するキットも提供される。このキットは対応する方法を実施するための仕様書を少なくとも1つの本明細書のキメラポリペプチド又はキメラαアミラーゼ、又は組成物を含む。
本明細書で引用する文献は全てのプロセスについて、全てのプロセスのために参照により本明細書に援用する。本明細書の実施例はさらに、特定のキメラαアミラーゼの側面の説明及び例示しするものであり、これらを限定するものではない。
実施例
方法
ハイブリッド株構築物
全てのキメラポリペプチド配列はDNA2.0からの完全長合成遺伝子としてオーダーされた。全てのプラスミドはEcoRI及びBamHI制限エンドヌクレアーゼで消化された。この遺伝子フラグメントは製造仕様書に従って、キアゲンゲル抽出キットを用いて抽出した。同様に、バチルススブチリス(B.subtilis)統合ベクター、pJH101tはEcoRI及びBamHI制限エンドヌクレアーゼで消化した。アガロースゲル分離に続いて、5kbまでのアガロースゲル骨格バンドを抽出し、キアゲンゲルキットで洗浄した。このプラスミドpJHIOtはpBR32プラスミドの誘導体であり、任意でE.coliから単離されたものであり、pUC18マルチクローニング部位で、置き換えたEcoRI/Hindlllフラグメントであり、このHindlll/BamHIフラグメントはバチルスアミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)アルカリプロテアーゼ(ctpr)遺伝子ターミネーター配列である、及びPvuII部位においてクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)遺伝子(blund)における天然バチルスプラスミドpC194HpaII/Sau3aも含んでいる(Ferrari,FA,Nguyen A,Lang D,及びHoch JA(1983)Construction and Properties of an Integrable Plasmid for Bacillus subtilis J. Bacteriology,154:1513−1515)。
全てのキメラ遺伝子はDNA結合キット、タカラ(Takara)(Madison,WI)より入手可能のDNAリゲーションキットを用いてEcoRI−Hindlll部位において、pJH101tへ結合する。5μLの結合混合物は製元のプロトコールに従って、インビトロジェントップ10E.coliキメラコンピテント細胞へ形質転換した。LA+50ppmカルベニシリンプラントを形質転換の選択に用いた。
形質転換は、もし2.2kbまでのバンドが存在したら、これはベクターがハイブリッド遺伝子を含むことを意味しており、キメラ遺伝子がキアゲンミニプレップキットを用いてクローンからプラスミドNDAを抽出することにより調節された。最終検査のために、このミニプレップDNAは抽出され、以下の配列を用いてSequwthch(Mountain View, CA)により配列決定された。
Fred550−F5’aaccgcggttgaagtcgatccc3’(配列番号35
Fred610−R5’cccggaaaatgaaaatgtgtcc3’(配列番号36)
Ethyl1130−F5’cgcacgttaatgaccaatactc3’(配列番号37)
Ethyl1190−R5’gcttggccgggctcggtgtcat3’(配列番号38)
この構築物はpJH101−AprFr186Et、pJH101−AprFr18Et等と命名され、コードするキメラアミラーゼを名前に含む(図1参照)。キメラ構築物を有するプラスミドDNAは5乃至10μLのプラスミドを200μLのコンピテント細胞に添加し、1時間250rpmで37℃でインキュベートして、バチルススブチリスSC6.1コンピテント細胞(BG3594comKとも言われる,ジェノタイプ:DaprE,DnprE,degUHy32,oppA,DspoIIE3501,amyE:: xylRPxylAcomK−phleo)へ形質転換された。このSC6.1バチルス細胞はキシロース誘発プロモーターの下に置かれて、キシロースがDNA結合及び取り込みについてコンピテンシーを誘発するのに用いられる、コンピテンシー遺伝子(comK)を有する。この形質転換反応はLA+5ppmクロラムフェニコール+1%不溶性デンプン上で平板培養され、37℃で一晩インキュベートした。
コロニーの回りのアガーにおける透明部分(又はハロ)を示す形質転換体を選択し、AL+25ppmクロラムフェニコール+1%不溶性スターチ上でストリーキングにより選択及び増幅される。コロニーの回りのアガーにおけるハロの発酵はアガー培地において不溶性デンプンを分解するアミラーゼ酵素を製造する形質転換された細胞の能力を反映している。このプレートは37℃で一晩インキュベートした。アガーハロを有するコロニーは、選択され浸透フラスコで育成した。タンパク質発現の目的のために、新しいシングルコロニーを5mlLB+25ppmクロラムフェニコール及び37℃で250rpmで6乃至8時間接種した。この予備培養物の3μLを250mlのフラスコへ添加して、25pp、クロラムフェニコール及び5mMCaCl2を添加した培養培地(以下で説明する)の30mlで満たした。このしんとうフラスコを37℃で60乃至65時間、250rpmでインキュベートした。培養はコニカルチューブで20分間5000rpmで延伸分離により収穫した。この培養上清は、組換えアミラーゼが豊富であり、アッセイに用いた。
培養培地は尿素を主要な窒素源とし、グルコースを主要な炭素源とし、細胞育成のための1%ソイトンを含む、MOPs緩衝液に基づいたエンリッチセミデファインである。
塩架橋変異を有する決めた構築物のために、このオリジナル骨格ベクターpJH101−AprFr200Et(及び202,228,249,254,259)をストラタジェンクイックチェンジ(Stratagene QuikChange)部位指定変異誘発キットを用いた部位指定変異誘発反応のためのテンプレートとして用いた。50ngのテンプレートDNAを以下のプライマーに基づいて用いた:
SS187DT−200etc fwd 5’−gcttgggattgggaagttgacacagaaaacggcaactatg−3’
(配列番号39)
SS187DT−200etc rev 5’−catagttgccgttttctgtgtcaacttcccaatcccaagc−3’
(配列番号40)
サーモサイクラー条件は1X95℃、1分;18X95℃、50分;60℃50秒;86℃、8.5分;1x68℃、7分、及び4℃で維持する。PCRに続いて、1μLのDpmlの添加のあと、全ての反応物を37℃で一晩インキュベートした。1.5μLの消化された反応(物)を製造元の仕様書に従って、ンビトロジェンオンショットE.coliケミカルコンピテント細胞へ形質転換した。この反応物をLA+50ppmクロラムフェニコール状で平板培養した。配列決定のためのプラスミドDNAを抽出するために、製造元の仕様書に従って、形質転換体をキアゲンミニプレップキットを用いて抽出した。プラスミドDNAを以下にあげた配列決定するプライマーを用いて配列決定した(Mountain View、CA)。
Fred550−F 5’aaccgcggttgaagtcgatccc3’(配列番号35)
Fred610−R 5’cccggaaaatgaaaatgtgtcc3’(配列番号36)
Ethyl 1130−F 5’cgcacgttaatgaccaatactc3’(配列番号37)
Ethyl 1190−F 5’gcttggccgggctcggtgtcat3’(配列番号38)
どの配列が正しい配列であるかを決定した後に、10μLのプラスミドDNAを100μLの凍結バチルススブチリスSC6.1コンピテント細胞へ形質転換した。
酵素低熱安定性アッセイ
このアッセイにおいて、アミラーゼの熱安定性をPCRサーモサイクラーを用いて決定した。アミラーゼの活性は95℃等の所定のセット温度のインキュベート後に、60分等の標準的なインターバルでサンプルを採取して、所与の温度におけるインキュベートカーブを作成した。その各採取ポイントにおいて、110μLサンプルを薄い壁PCRチューブ内に入れ、チューブをシールした後にサーモサイクラーにおいて4分間25℃で維持した。この温度を例えば、95℃に上げた。タイミングは標的温度に達したときに開始した。適した時間インターバル全般にわたって、チューブを除去して、氷上に置いた。このサンプルを以下で説明するメガザイムアッセイを用いてアルファアミラーゼ残余活性についてアッセイした。
メガザイムセラルファアッセイ
このアッセイはメガザイムエンドαアミラーゼキットK−CERA08/05(AOAC法2002.1)(メガザイムインターナショナル、アイルランド)の公式な方法の変法である。試薬バイアルは、非還元エンドブロックp−ニトロフェニルマルトヘパトシド(BPNPG7、54.5mg)及び熱安定性アルファグルコシダーゼ(pH6.0、125U)この基質を含む。各アッセイのために、1つのバイアルの全体の含量を蒸留水の10.0mlに溶解した。30mlアッセイ緩衝液(50mMりんご酸Na、2.6mMCaCl2、50mMNaCl、0.002%トライトンX−100、pH6.7)をこのバイアル溶液に添加して、10mlアリコートを使用前まで凍結させた。緩衝液中の0.97ml基質溶液をキュベット(好ましくはマスクしたもの)へ添加した。このキュベットをホルダー中に置き、ブランク読みを得た。10μL酵素サンプルをキュベットに添加して、アッセイを開始した。1分当りの吸光度を400nm又は410nmで測定し、この値を希釈及びタンパク質濃度について補正した。残余活性%をAmyS対照を100%としてモニタリングした後、各キメラ酵素について報告した。
DNA還元糖アッセイによる特異活性評価
このアッセイにおいて、非キメラ酵素に対するキメラ酵素の相対的な特異活性を以下で説明するDNA還元糖アッセイ法を用いて、ジャガイモデンプン基質からのグルコースの放出を測定することにより、決定した。
用いた試薬は;
緩衝液:200mM酢酸ナトリウム+2.5mMCaCl2及び0.002%Tween20
DNS溶液:
8gNaOHを300mlの水に溶解し、5gの3乃至5ジニトロサリチル酸をこの溶液に添加し、溶解し、必要に応じて加熱する。150g酒石酸カリウムナトリウムをこの溶液に添加して、総量を500mLにした。
基質:
4%のデンプン基質溶液(100mlの水に5.33gポテト基質を溶解)。ワーキング基質溶液のために、1部の緩衝液を3部のデンプン溶液に添加した。基質溶液は毎日新たに調製した。
方法:110μLの基質のアリコートを200μLのPCRチューブに添加した。このチューブをPRCサイクラーに置いた。プログラムをはじめに数分間4℃にこのチューブを維持することによって開始した。この時間の間に、0.002%Tween20を含む緩衝液で希釈し、このチューブに入れた。このチューブをすばやく混合して、なるべく早くサーモサイクラーをなるべく早く95℃の温度に到達させ、0タイム時点で、10μLの1%NaOHを追加して停止した。各タイムポイントにおいて、1つの反応チューブを除去し、10μLの1%NaOHで急冷した。全ての反応が終了したら、32.5μLの各反応混合物を75μLの水を含む他の200μLPCRチューブに入れた。100μLのDNA溶液を各チューブに添加して、内容物を混合した。このチューブを99℃で5分間PCRサーモサイクラー中でインキュベートした。インキュベートの後、このチューブを冷却して、150μLの各反応混合物をマイクロタイタープレートを置いた。吸光度を543nmで測定した。グルコースをスタンダードとして用いた。この特異活性の値を酵素1mg当りが1秒間に放出するグルコース(mg)で表す。
4)粘度測定アッセイ(ガラスクッカー/ビスコメーター法)
このアッセイにおいて、アミラーゼによるpH8.5におけるコーンスターチの粘度減少をガラスクッカー/ビスコメーターで測定した。コーンスターチ基質スラリーは蒸留水中に36%以上の乾燥固形分コーンフラワーを用いて新たに調製した。このスラリーを1時間60℃でラージプラスチックビーカー中で予備インキュベートした。粘度の測定のために、この反応管を反応管の周りにコートされたオイルバスで110℃に加熱した。このスラリーを反応管に注ぎ、100rpmの回転速度で撹拌した。希釈されたアルファアミラーゼ酵素サンプルに直接添加し、このスラリーを1.33U/gDSにした。熱コートをこの反応管から除去し、実験の継続期間の間85℃に維持した。EUROSTAR/IKA Labortechnik control−vise P7電子オーバーヘッドスターラーを用いて所期温度及び粘度を測定した。トルクの読みは初めの10分は30秒ごとで、その後各4分毎で、62分の間測定した。
実施例1
AmyL及びAmyS配列からの新規なキメラアミラーゼの製造
AmyL及びAmySのキメラを作り、AmyLタイプアミラーゼ(AmyL及びそれらの変異体)をAmySタイプ酵素(AmyS及びそれらの変異体)へ結合した。理想的には、得られたキメラ酵素は各種酵素の最も良い性質、タンパク質AmyLタイプの類似の熱安定性と高温に置ける基質に対するAmySタイプの酵素の高い特異活性を合わせて有しているだろう。そのような酵素はエタノール生成等のデンプン液化に好適である。
それから得られた触媒活性は粘度低減の初期達成及び最終粘度に達成するのに理想的であるので、キメラ分子のシリーズはAmyL及びAmySから構築された(配列番号4乃至17)。このキメラはAmyL(配列番号1)由来のN末端部分をAmyS(配列番号2)由来のC末端部分を含む。このキメラN末端部分AmyLの成熟ポリペプチド配列(配列番号1)のN末端からの最小186アミノ残基及びその様なアミノ酸残基の約260の最大を含む。このキメラの残りの部分(AmyLの成熟ポリペプチド配列のC末端由来アミノ酸残基を含む。AmyS(配列番号2)のC末端由来の297−253の最小値も含む。このキメラのC末端は全て成熟AmyS配列(配列番号2)の対応する484−486の位置のK−T−Tアミノ酸残基を含む。このキメラは通常、AmyL誘導配列の最後の残基に通常命名されている。前述の方法及び図1、クローニングプロセスの説明についての構築物を参照。以下のキメラαアミラーゼを実施例として用いた。
第一世代キメラは186,187,200,202,228,249,254,及び259を含む。
第二世代キメラは200SB,202SB,及び228SBを含む。
第三世代キメラは249SB,254SB,及び259SBを含む。
実施例2
AmyL及びAmyS酵素由来の第一キメラαアミラーゼの熱安定性スクリーニング
第一世代キメラは一重酵素変異体からなる。この変異体のキメラアミラーゼのN末端部分はAmyL由来であり、C末端部分はAmyS由来である。熱安定性についてのスクリーニングされたキメラアミラーゼは186、187、200、203、228、249、254、及び259である。このキメラアミラーゼは経時的を通じて95℃でアッセイされた。サンプルを指示された時間で採取し、活性を測定した。各キメラについて、活性パーセントを変異体の番号に対してプロットした。酵素は2.6mMCaCl2及び50mMでNaClでpH6.5にした50mMリンゴ酸緩衝液である。アッセイ条件は前述の方法のセクションで説明したものを用いた。各酵素について残余活性を95℃でインキュベートしていない酵素の活性のパーセンテージとして計算した。コントロール酵素はAmySコントロール(配列番号3)である。
結論及び考察
結果を図2に示す。AmyL及びAmySの熱安定性について知られているもの又は信じられていることに基づいて、一部位交差での予想はAmyL由来のアミノ酸残基の数が多くなると、キメラの熱安定性が大きくなるということである。しかしながら、図2からわかるように、AmyL由来のアミノ酸残基の数が最も低いキメラアミラーゼが最も熱安定性があるというおどろくべき事実が発見された。興味深いことに、AmyL由来の初めの187残基を含むキメラアミラーゼは187位におけるたった一つのアミノ酸残基の違いにのみにも関わらず、熱安定性が高くなかった。
実施例3
AmyL及びAmyS酵素由来の第二世代キメラαアミラーゼの熱安定性スクリーニング:安定化構造の取込
実施例2からの安定性データは試験されたキメラαアミラーゼの中で、AmyL配列の初めの186アミノ酸残基だけを含むキメラが高い熱安定性を示し、その一方で187キメラを含む。他のキメラαアミラーゼは熱安定性がないことを示した。この187キメラは187においてのみ186キメラとは異なる。このデータは187位におけるSer残基をAsp残基で置換すると、187キメラの熱安定性を欠失させることを示しており、Amyl由来の186以上のアミノ酸残基を含むアミラーゼのそれぞれのキメラの熱安定性がないことに直接関係する。
他の研究はAmyL由来アミラーゼ残基における変異体S187Dはアミラーゼの熱安定性を減らすことを報告していることを考慮すると驚くべきことである。例えば、Van Der Laan及びAehleの米国特許第6,939,703号はA187D変異体は特定のアッセイ条件下で高い特異活性を有するけれども、S187Dアミラーゼは試験された全てのカルシウムイオン濃度域において、バチルスリケニフォルミス野生型アミラーゼよりも、93℃に及び決半減期が短いことを開示している。Svendsonらの米国特許第6,143,708号はバチルスリケニフォルミスアミラーゼのS187D変異体が高い特異活性を有しているけれども、カルシウムイオン濃度全般に渡り、pH4.5又は6.2のいずれかにおいて、70℃における熱安定性が相当減少していることをしめしている。
本明細書の主題であるキメラアミラーゼとの関連で、187位のSerをAspへ置換すると、熱安定性が高くなるということは完全に予想外のことである。この仮説を試験するために、S187D及びS188Tの変異を第一世代キメラのスクリーニングにおいて、熱安定性ではない、多くのキメラαアミラーゼへ導入した。試験されたキメラαアミラーゼは200SB、202SB、及び228Bを含む。実施例2と同様に、95℃に置ける各キメラ酵素の熱安定性はAmyS対象のものと比較された。残余活性のアッセイ及び計算は実施例2と同様に行った。
結果及び考察
キメラ分子の第一セットについての熱安定性スクリーニングの結果を図3に示す。おどろくべきことに、2つのアミノ酸残基の置換はキメラの熱安定性を改善した。特定の理論に拘束されることを意図しないけれども、S187D及びS188T変異は活性部位又は酵素の全体三次構造を安定させる塩架橋を形成するのを助け、それゆえ熱安定性が高くなるようだ。一方、他に関するS187D変異体はAmyLアミノ酸配列は熱に対して安定化されているけれども、本明細書のキメラアミラーゼに関しては、S178D変異タンパク質幾つかのに存在するAsp残基は分子のAmyS部分からの1つ以上のアミノ酸残基と相互作用して、その結果熱安定性が増す。従って、例えば、AmyL配列由来の200、202、及び208残基を有するキメラアミラーゼは塩架橋又は他の安定化構造が含まれているので、良い熱安定性を提供する。
実施例4
AmyL及びAmyS酵素由来の第三世代キメラαアミラーゼの熱安定性スクリーニング
より長いAmyl配列を有する塩架橋安定化キメラの取込
第一及び代に世代キメラにおける実施例2及び3からの観察に基づいて、より長いAmyL部分及び付随してより少ないAmyS配列を有するキメラが生成された。キメラはAmyL由来のN末端部分における259までのアミノ酸残基で調製され、キメラアミラーゼが高い熱安定性及び高い得意酵素活性の両方を有するように製造された。
試験されたキメラαアミラーゼは240SB、254SB、及び259Sbであった。各キメラ酵素の熱安定性は95℃で試験され、前述の実施例のように、AmyS対象と比較した。残余活性のアッセイと計算も前述の実施例と同様に行われた。
結果及び考察
キメラアミラーゼの第二セットについての熱安定性スクリーニングの結果を図4に示す。この図に示されるように、キメラアミラーゼのそれぞれは試験条件下で優れた熱安定性を示した。これらの第三世代キメラ酵素は良好な熱安定性を示さなかった第一世代酵素よりも30乃至40%以上のAmyL配列を有し、特にAmyL及びAmySの両方の好適な性質を有するキメラを作ることができる。これらの酵素は、デンプン分解、HFCS生成、でサイジング、及びクリーニング等の熱安定性アミラーゼが近年用いられている全ての製品に有用である。それらの高められた特異活性及び高い熱安定性に依存して、デンプンスラリーの最終粘度だけでなく、低いピーク粘度を提供するので、デンプンの液化工程に特に有用である。
実施例5
AmyL及びAmyS酵素由来のキメラαアミラーゼの特異活性
特異活性のために試験されたキメラαアミラーゼは186、228、228SBである。この評価はAmyLタンパク質(配列番号1)及びAmyS対照(配列番号3)を含む。5つの酵素の特異活性をポテトデンプンを基質として決定し、DNS還元糖アッセイで関連する反応速度を測定した。
結果及び考察
特異活性を比較した結果を酵素1mg/mlが1秒間に生成スルグルコースmg/mlとして図5に示した。これらの3つのキメラアミラーゼは高温においてAmyLアミラーゼと比較したときに、有意に高い特異活性を示した。
実施例6
ハイブリッドアミラーゼを用いた粘土変化
この実施例においていくつかのキメラアミラーゼについて、粘土計における粘度低減を測定するために行った。これらのキメラアミラーゼは186、228、202SB、及び228SB及びAmyS(配列番号3)であり、pH5.8で前述のトルク読みができるEUROSTAR/IKA Labortechnik Control−Vise P7 電子オーバーヘッドスターラーを用いた粘土測定法にて行った。
結果及び考察
図6は全粒コーン基質の粘度低下が試験されたアミラーゼキメラのいくつかについて、観察されたことを示している。タンパク質安定性で見られた結果と一致して(図2)、ハイブリッド186は最終粘度においてAmyS対照に匹敵する性能を示した。キメラ228は高温に置ける熱安定性が良好でなかった(図2)ことと一致して粘度低下を示さなかった。塩架橋キメラ202SB及び228SBの両方はこのアッセイにおいて粘度低下を示した。塩架橋キメラ228SBのケースにおいて、ピーク粘度はAmyS対照と同じであり、最終粘度はAmyS対象に見られるものよりも低かった(図6)。この事は明らかに、性能における利点を示している。
このキメラαアミラーゼ及びこれらのキメラアミラーゼを生成及び用いる方法において、当業者は本発明の範囲及び精神を逸脱せずに変更可能であることを理解している。従って、そのようなバリエーション及び変更は添付の特許請求の範囲に含まれている。