JP5702656B2 - 光路長の温度依存性が小さい酸化物材料 - Google Patents

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Description

本発明は、光通信用デバイス、光集積回路デバイス、特にエタロンフィルターに使用するのに好適な複合酸化物材料とその製造方法、ならびにこの複合酸化物材料を用いたエタロンフィルター基板および回折格子基板、光集積回路基板に関する。
光通信システムやそれに関連するレーザーシステムにおいては、高速で大量の信号を伝送するための方法として、波長分割多重方式がある。この波長分割多重方式では、できるだけ狭い波長差の信号を送信することで、一度に送信する情報量を多くすることができる。このため、異なるチャンネルの波長は、互いに非常に接近し、これら互いに接近した波長の信号を正しく送受信するためには、光通信に使用される信号の波長に対する特性が安定していることが必要である。この信号の波長の安定化、光出力の安定化および波長選択等の目的でエタロンフィルターが使用されている。エタロンフィルターは、光透過媒質からなる基板を有し、この基板の光入射面側と光出射面側の両面に反射膜を形成して通過光を反射させることにより、光信号を定在波化して通過帯域を制限し、複数光信号の波長多重を可能とし、所定の帯域内において光伝送を容易にするものである。このフィルターは光路長が波長の整数倍である光信号を選択的に定在波化するため、その性能は基板の光路長に大きく左右される。そのため安定した光出力を得るためには、エタロンフィルターの基板に用いられる材料は、光路長が一定であることが重要である。
ところが、これまでに知られている基板材料は、温度変化により光路長が変化するものであった。光路長が変化すると出力される光信号の波長も変化するため、狭い波長差の信号を送信する波長分割多重方式では用いることができない。
光路長および光路長の温度依存性は下記(式1)の温度係数(OPD)で表すことができる。
光路長 S=n・l
光路長温度係数(OPD)
(1/S)・(dS/dT)=CTE+(1/n)・(dn/dT)・・・(式1)
なお、ここで、lは光透過媒質の厚み、CTEは光透過媒質の線熱膨張係数、nは光透過媒質の屈折率、dn/dTは屈折率の温度係数である。
光路長の温度変化を防ぐために以下の方法がある。第一の方法は厳密な温度制御を行うことである。しかしながら、厳密な温度制御を行うためには温度制御ユニットなどを取り付ける必要があり、そのためデバイスサイズが大きくなる、コストがかかる、電力消費が必要といった問題がある。
第二の方法は屈折率の温度変化(dn/dT)を打ち消す方向に厚み変化を与えることである。材料に温度変化が与えられると、屈折率と厚さが変化し、屈折率と厚さの積で表される光路長(S=n・l)が変化する。そこで、正のdn/dTを持つ基板材料やその周囲に負のCTEを有する補正部材を貼ることで長さ変化を負にすることで、屈折率の温度変化を厚さ変化で相殺する方法が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3)。しかし、このような構成では、やはり部品点数の増加によるサイズおよびコストアップの問題がある。
第三の方法として正の光路長温度係数を持つ材料と負の光路長温度係数を持つ材料を張り合わせ、または混合する方法が提案されている。このような材料として、正の光路長温度係数を持つ酸化物ガラス材料に負の光路長温度係数を持つ酸化物単結晶材料を張り合わせた材料(例えば、特許文献4)や、正の光路長温度係数を持つ無機粒子を負の光路長温度係数を持つポリマーに分散させた材料(例えば、特許文献5、特許文献6、特許文献7)がある。しかし、このような材料は材料界面による反射および散乱が増加し、透過率が低下するという問題がある。
第四の方法として光路長の温度変化の比較的小さい材料を用いる方法がある。このような光路長温度係数が小さい材料として、石英ガラス、水晶、LiNbO、LiTaO、LiCaAlFなどが提案されている(例えば、特許文献8、特許文献9、特許文献10)。上記材料の中で光学的等方性を有する材料では、光路長温度係数の最も小さい石英ガラスでも6.2ppm/℃もあり、水晶やLiNbO、LiTaO、LiCaAlFは異方性のある材料であり、使用可能な方位が限定されるという問題がある。また、結晶軸によって光路長温度係数が正と負の値を持つ結晶材料を入射光に対して正と負の変化を打ち消す角度に傾け、実質的に光路長の温度変化の無い方位の基板を用いる方法がある(例えば、特許文献11)が、結晶軸の傾きを利用していることから偏光依存性が生じ、入射方向が制限されるという問題がある。
第五の方法として屈折率の温度変化の小さいエアーを基板としたエアーギャップ式エタロンフィルターも開発されている。エアーギャップ式では熱膨張のない/小さい部材でエアーギャップをなし、エアーギャップの両端面に反射膜を配置した構成となっているが、基板に固体材料を用いたソリッドエタロンに比べるとフィルターサイズが大きいという欠点がある。反射膜を形成した基板からなるソリッドエタロンは構成も容易で、サイズ・コスト的に優れているため、ソリッドエタロンフィルターに用いることができる光路長の温度変化が小さい材料が求められている。
特開2000−352633号公報 特開平9−257567号公報 特開2001−221914号公報 特開2005−10734号公報 特開2001−201601号公報 特開2006−193398号公報 WO2001/113963号公報 特開2004−226425号公報 特開2006−78914号公報 特開2006−78915号公報 特開2003−270434号公報
本発明の課題は、温度変化による光路長変化が0若しくは無視できるほどに小さく、光学異方性がない材料を得ることである。さらに、この材料をエタロンフィルターのように光路長の安定性が求められる部材に用いることで、厳密な温度制御が不要で、小型化が可能でありながらも、大量の光信号を安定的に処理できる光通信素子、光集積回路などの光デバイスを提供することをその目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意試験研究を重ねた結果、異なる光学的特性を有するペロブスカイト型(ABO)酸化物材料を用いて、Aサイト及び/又はBサイトに配置される成分の組み合わせ及び配合を調整することにより、光路長の温度依存性を任意に変化させることができることを見出し、本発明をするに至った。具体的には本発明は以下のようなものを提供する。
(1)−20〜80℃の温度範囲において、波長1553nmに対する光路長温度係数(OPD)の絶対値が6ppm/℃以下であることを特徴とするペロブスカイト型(ABO)酸化物材料。(ここで、OPDは屈折率nおよび線熱膨張係数CTEによって(1/n)×(dn/dT)+CTEと表される特性であり、AはNa、K、Rb、Cs、Ag、Ca、Sr、Ba、Zn、Pb、Y、Ln(ランタノイド)、Biから選ばれる1種以上、BはTi、Zr、Hf、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、V、Nb、Taから選ばれる1種以上の成分である)
(2)前記ペロブスカイト型(ABO)酸化物において、SrおよびLa、並びにTiおよびAl、を含むことを特徴とする(1)記載の酸化物材料。
(3)(Sr1−X,La)(Ti1−X,Al)O(0.04<X<0.80)であることを特徴とする(1)または(2)いずれか記載の酸化物材料。
(4)Na、K、Rb、Cs、Ag、Ca、Ba、Zn、Y、Ln(LnはLa以外のランタノイド)、Pb、およびBiから選ばれる1種以上の成分をドープした(3)記載の酸化物材料。
(5)Zr、Hf、Ga、In、Si、Ge、Sn、V、Nb、およびTaから選ばれる1種以上の成分をドープした(3)または(4)記載の酸化物材料。
(6)単結晶である(1)から(5)いずれか記載の酸化物材料。
(7)(1)から(6)いずれかに記載の酸化物材料を含むエタロンフィルター基板。
(8)(7)に記載のエタロンフィルター基板を含むソリッドエタロンフィルター。
(9)(1)から(6)いずれかに記載の酸化物材料を含む光集積回路基板。
(10)(1)から(6)いずれかに記載の酸化物材料を含む回折格子基板。
この発明によれば、光路長の温度変化が0若しくは無視できるほどに小さい材料を得ることができる。この材料を用いた素子もしくは部材を光通信フィルター、光集積回路基板などの光デバイスに利用すると、厳密な温度制御や厚み制御など、温度変化による材料の光路長変化を打ち消すための工夫や装備等が不要となるため、前記素子及び、当該素子を用いるデバイスを簡素化、小型化、低コスト化できる。また、この材料は屈折率が高く光学異方性が無いため、基板等の部材自体を小型化でき、使用方向が制限されず材料の加工が容易である。その結果、温度制御のための装備が不要で小型でありながらも温度安定性に優れ、大量の光信号を安定的に処理できる光通信素子、光集積回路などの光デバイスを提供することができる。
(Sr1−X,La)(Ti1−X,Al)O単結晶の組成と結晶構造の関係 (Sr1−X,La)(Ti1−X,Al)O単結晶の組成と屈折率の関係 (Sr1−X,La)(Ti1−X,Al)O単結晶の透過率 (Sr1−X,La)(Ti1−X,Al)O単結晶の組成と光路長の温度係数の関係 (Sr1−X,La)(Ti1−X,Al)O単結晶の組成と平均線熱膨張係数の関係
以下、本発明の実施形態を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
この発明による酸化物材料は、ペロブスカイト型(ABO)酸化物であって、−20〜80℃の温度範囲において、波長1553nmに対する光路長温度係数(OPD)の絶対値が6ppm/℃以下であることを特徴とする(ここで、OPDは屈折率nおよび線熱膨張係数CTEによって(1/n)×(dn/dT)+CTEと表される特性であり、AはNa、K、Rb、Cs、Ag、Ca、Sr、Ba、Zn、Pb、Y、Ln(ランタノイド)、Biから選ばれる1種以上、BはTi、Zr、Hf、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、V、Nb、Taから選ばれる1種以上の成分である)。本発明の酸化物材料について、光路長の温度係数、結晶系、および組成を上記のように限定した理由を以下に述べる。
まず光路長温度係数(OPD)についてであるが、例えば1553nmにおいて、その絶対値が6ppm/℃を越えると光通信用デバイスに極めて精密な温度制御が必要となるため、光路長温度係数の絶対値は、6ppm/℃以下であることが必要であり、特に5ppm/℃が好ましく、さらに100GHz以下の高速通信では温度制御を完全に不要とするには3ppm/℃以下であることが好ましい。
光路長温度係数(OPD)が低い波長範囲は1553nmに限定されるものでなく、1553nm波長において光路長温度係数が低い材料設計を行うことで、一般的に光通信波長に用いられる1260−1675nmの光通信波長範囲の波長に対しても光路長温度係数を低くできる。
ペロブスカイト型酸化物は主に誘電体として用いられているが、固溶やドープにより電磁波に対する特性が大きく変化することが知られており、紫外可視光赤外といった光に対しても固溶やドープにより特性を変化させることができる。また、同じ結晶構造の材料の中に屈折率および光路長の温度変化が正から負まで存在する数少ない材料であり、各々のサイトに多くの成分を含むことができる。そのため、異なる光学的特性を有するペロブスカイト型酸化物を用いて、Aサイト及び/又はBサイトに配置される成分の組み合わせ及び配合を調整することにより、屈折率とその温度依存性、線熱膨張係数、結晶系などを制御した材料設計が可能である。ここで、本発明に係るペロブスカイト型酸化物材料の結晶系としては、光学的異方性がない立方晶であることが好ましい。
ペロブスカイト型酸化物の中でもSrTiOは立方晶ペロブスカイト構造をとり、光学的等方性を有する材料であり、光路長温度係数は負の−10.5ppm/℃である。一方、LaAlOは擬立方晶である菱面体晶ペロブスカイト構造をとり、正の光路長温度係数を持っている。この2種類の酸化物を組み合わせた(Sr,La)(Ti,Al)O系複合酸化物は光路長の温度依存性を正から負に変化させることができ、実質的に光路長の温度係数がゼロの材料を得ることができる。
ここで、光路長温度係数(OPD)を制御するためには、前記複合酸化物のAサイトおよびBサイトに配置させる成分の割合は、(Sr1−X,La)(Ti1−X,Al)O(0.04<X<0.80)であることが好ましい。X≧0.80の範囲では、光路長温度係数は組成によって変化しないため、光路長温度係数を制御することが困難になる。また、光路長の低い材料を得るという面で、Xの上限は、0.8より小さいことが好ましく、0.60であることがより好ましく、0.45であることが最も好ましい。同じように、光路長の低い材料を得られるという理由で、Xの下限は0.04を超えることが好ましく、0.05であることがより好ましく、0.05を超えることが最も好ましい。
特に、Xが0.45を超えない場合、前記複合酸化物の立方晶から菱面体晶または正方晶への相転移温度が使用温度の下限である−20℃を下回るため、使用温度域である−20〜80℃における結晶構造が立方晶であり光学異方性が生じないため、Xは0.45を超えないことが最も好ましい。
屈折率が高いと材料の光路長が長くなるため、エタロンフィルター素子や光集積回路基板の薄板化、小型化ができるので、屈折率は高いほうがよく、例えば1553nm光に対する屈折率では2.1以上が良い。
結晶系が立方晶の場合、光学的に等方であり、使用方向に制限なく用いることができる。SrTiOは−160℃以上で、LaAlOは435℃以上で立方晶であり、(Sr1−X,La)(Ti1−X,Al)O複合酸化物はXの値が大きくなると立方晶を維持する温度範囲の最低温度が高くなるが、X=0.45で−20℃以上、X=0.5で室温(25℃)以上において立方晶となる。
本発明における酸化物材料は融点、結晶系、格子定数などの調整のため、Na、K、Rb、Cs、Ag、Ca、Ba、Zn、Y、La以外のランタノイド、Pb、Biのうちから1種または2種以上を合わせて添加することができる。これらは主にAサイトに置換固溶する成分であるが、他のサイトへの置換やサイト外への侵入固溶でもよい。
更に本発明における酸化物材料は、Zr、Hf、Ga、In、Si、Ge、Sn、V、Nb、Taのうちから1種または2種以上を合わせて添加することができる。これらは主にBサイトに置換固溶する成分であるが、他のサイトへの置換やサイト外への侵入固溶でもよい。また、光路長の温度特性や透過率を妨げない範囲で、この他の成分を含有しても良い。
本発明における酸化物材料は透明であることを特徴とし、透明/透光性セラミックスや単結晶の形態で使用することができる。特に粒界が存在せず、結晶方位も均一であることから、光散乱が少なく、高い透過率を持つことから単結晶であることがよい。
以下、本発明の酸化物材料の製造方法について説明する。この発明による酸化物材料の製造方法は、粉体又は焼結体又は溶融液より、FZ法、ベルヌーイ法、CZ法、EFG法、ブリッジマン法、μ−PD法、気相成長法など、既知の単結晶育成方法にて複合酸化物の単結晶として製造するか、真空焼結、加圧焼結、放電焼結などの製法により透光性セラミックスとして製造することができる。
一例としてFZ法を用いて単結晶を製造する場合について説明する。本発明の酸化物をFZ法にて製造する場合、(a)原料を準備する工程、(b)原料棒を準備する工程、(c)原料棒を加熱溶融し、対向配置した種結晶に単結晶を成長させる工程がある。
(a)原料を準備する工程は例えば以下の手段がある。
(1)出発原料を所望の割合となるように秤量する。
(2)秤量した原料を混合・粉砕する。
(3)混合物を仮焼する。
(4)仮焼粉を粉砕する。
原料には酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、各種アルコキシドなどの形態を用いることができる。混合・粉砕において純水またはアルコールなどの有機溶媒を加え、湿式粉砕とすることができ、ボールミルや遊星ミルなどを用いてもよい。原料混合粉を充分に反応させるために、(3)仮焼および(4)粉砕を数回繰り返して行う、仮焼中に雰囲気制御するなどの手法を単一あるいは組み合わせて用いることができ、特に原料に塩類を用いた場合は雰囲気をガスフローあるいは減圧とすることで原料の反応を促進し、効率的に原料仮焼粉を得ることできる。なお仮焼温度は1000℃以上が好ましく、仮焼時間は1時間以上が好ましい。
(b)原料棒を準備する工程は例えば以下の工程がある。
(1)原料を成形する。
(2)成形体を焼結する。
成形方法として一軸プレス、冷間静水圧プレス(CIP)、ホットプレス(HP)、熱間静水圧プレス(HIP)、押出し、射出、鋳込みなどを用いることができる。なお、ホットプレスおよび熱間静水圧プレスでは成形と焼結を同時に行うことができる。また、成形時の型にはゴム製、金属製、セラミックス製などを用いることができる。焼結温度は1500℃以上が好ましく、焼結時間は1時間以上が好ましい。
(c)原料棒を加熱溶融し、種結晶に単結晶を成長させる工程は例えば以下の工程がある。
(1)加熱部の両端に原料棒と種結晶を対向配置させる。
(2)原料棒の先端を加熱溶融させ、種結晶と接触させる。
(3)加熱溶融部(溶融帯)を原料棒側に移動させ、種結晶上に単結晶を育成する。
(4)原料棒と種結晶から育成した単結晶を離す。
原料棒と種結晶の固定には高融点金属線を用いることができ、特に酸化雰囲気の場合は白金ロジウム線が好ましい。
種結晶にはLaAlO単結晶若しくは焼結棒、原料と同組成の焼結棒、育成した(Sr,La)(Ti,Al)O系単結晶、またはSrTiO単結晶もしくは焼結棒を用いることができる。
SrTiO−LaAlO系では溶融帯の組成は原料棒及び育成単結晶とは異なるため、育成開始直後の単結晶組成は安定しないが、工程(1)の配置の際、原料棒と種結晶の間に、溶媒を配置することで、育成初期から所望の組成の単結晶を成長させうる。ここにおける溶媒とは育成中の溶融帯部の体積と同体積になる分量の溶媒組成物、あるいは原料棒と混合溶融すると溶融帯体積量の溶媒組成物となるよう計算された量のアルミン酸ストロンチウムであり、溶媒組成物とは単結晶組成よりAl及び/又はSrを多く含むセルフフラックスである。
単結晶育成中は原料棒及び/又は種結晶を回転させ攪拌することができ、加熱部に対する原料棒と種結晶の移動速度を変更することで原料棒と異なる太さの育成結晶を得ることも可能である。
物性調整のため、Na、K、Rb、Cs、Ag、Ca、Ba、Zn、Y、La以外のランタノイド、Pb、Bi、Zr、Hf、Ga、In、Si、Ge、Sn、V、Nb、Taなどを添加する場合は(a)原料粉を準備する工程及び/または(b)原料棒を準備する工程で添加することができる。
本発明の方法は上記に示した方法に限られるものではない。例えば原料棒は焼結体でなくてもよく、育成して得られた(Sr,La)(Ti,Al)O系単結晶を原料棒および種結晶に用いてFZ法により育成すると、より高品質な単結晶が得られやすくなる。
単結晶を製造する別の方法としてベルヌーイ法を用いる場合、(a)原料粉を準備する工程、(b)原料粉を火炎を通じて種結晶上に徐々に堆積させ単結晶を成長させる工程を含むことができる。(a)工程についてはFZ法で上述した手段などを用いることができ、(b)工程についてはベルヌーイ法における公知の手段を用いることができる。
単結晶を製造する別の方法としてCZ法を用いる場合、例えばセルフフラックスを用いるトップシードCZ法や二重坩堝CZ法などを選択することができる。CZ法は(a)原料およびフラックスを準備する工程、(b)原料およびフラックスを坩堝に投入し、加熱融液とする工程、(c)加熱融液に種結晶を接触させ、回転させながら結晶を引き上げる工程を含むことができる。(a)工程についてはFZ法で上述した手段を用いることができ、(b)及び(c)工程についてはCZ法における公知の手段を用いることができ、原料を供給しながら結晶を引き上げることもできる。
単結晶を製造する別の方法としてEFG法の場合、(a)原料を準備する工程、(b)原料を坩堝に投入し、加熱融液とする工程、(c)加熱融液に浸したダイにより吸い上げられた融液に種結晶を接触させ、結晶を引き上げる工程を含むことができる。(a)工程についてはFZ法で上述した手段を用いることができ、(b)及び(C)工程についてはEFG法における公知の手段を用いることができる。
単結晶を製造する別の方法としてブリッジマン法の場合、原料滴下ブリッジマン法などを用いることができ、(a)原料を準備する工程、(b)原料を坩堝に投入し、種結晶と接触させる工程、(c)原料と種結晶との接触部を加熱溶融し、原料を溶融させ、種結晶側から冷却しながら単結晶を成長させていく工程を含むことができる。(a)工程についてはFZ法で上述した手段を用いることができ、(b)工程についてはブリッジマン法における公知の手段を用いることができる。(b)工程で原料と種結晶の間にFZ法で記載した溶媒を配置してもよい。
単結晶を製造する別の方法として気相成長法の場合、(a)原料を準備する工程、(b)原料を成形・焼結させターゲットを準備する工程、(c)ターゲットを気化させ、基板上に積層させて単結晶を成長させる工程を含むことができる。(a)および(b)工程についてはFZ法で上述した手段を用いることができ、(c)工程については気相成長法における公知の手段を用いることができる。ターゲットは例えばSrTiOとLaAlOなど成分でわけたものを二個以上用いてもよい。
この発明による酸化物材料の製造方法において熱源には赤外線、カーボンヒーター、金属ヒーター、高周波などを用いることができ、必要に応じて予熱用ヒーターやアフターヒーターを用いてもよい。作製中の雰囲気は特に限定しないが、カーボンあるいは金属ヒーターを用いる場合には不活性雰囲気が好ましい。本発明の単結晶は、作製雰囲気により材料の透過率が低下することがあるが、得られた酸化物材料に対してアニール処理を行うことで、透過率を改善することもできる。アニール処理は酸化性雰囲気、1000℃以上が望ましい。
(実施例および比較例)
以下の手順で実施例および比較例を作製した。SrCO(高純度化学製、3N)、TiO(高純度化学製、4N)、La(高純度化学製、4N)又はLa(OH)(高純度化学製、4N)、Al(岩谷化学工業製、RA−40、4Nup)又はAl(OH)(高純度化学製、4N)の出発原料粉末を秤量し、エタノール中で混合した混合粉を大気雰囲気下1500℃で5時間仮焼後、エタノール中で湿式粉砕した。得られた仮焼粉を更に焼成および粉砕を行い、乾燥して原料粉とした。
得られた原料粉を細長いゴムチューブに充填し、静水圧で3t/cm、1分間加圧し、直径3−6mmの丸棒状に成形した。この成形体を大気中1500−1700℃で3−10時間焼結し、原料棒を得た。
得られた原料棒を用いて赤外線集光装置((株)クリスタルシステム製FZ−T−800H)にて結晶育成を行った。原料棒及び種結晶の設置には20%Rh−Pt線を用いた。種結晶は同組成の(Sr1−X,La)(Ti1−X,Al)O焼結体を用い、単結晶の組成、育成速度、育成雰囲気を表1に示した。攪拌は種結晶と原料棒を逆回転させることで行った。
育成した(Sr1−X,La)(Ti1−X,Al)O単結晶について、結晶構造はXRD(フィリップス製X’pert−MPD)、組成は電子プローブマイクロアナライザ(日本電子(株)製JXA−8200)、屈折率はメトリコン製プリズムカプラ2010、透過率は分光光度計((株)日立ハイテクノロジーズ製U−4100)、平均線熱膨張係数は熱膨張計(ブルカー製TD5030SA)にて−30〜70℃において測定し、光路長温度係数(OPD)については平行平面研磨した両端面の干渉光の温度による変化を−20〜80℃の範囲で測定する方法で評価した。結晶系、育成方位、OPD、1553nmにおける屈折率、平均線熱膨張係数を表2に示した。
図1に(Sr1−X,La)(Ti1−X,Al)O単結晶の組成と格子定数の関係を、図2に組成と屈折率の関係を示した。LaAlO量に応じて格子定数および屈折率が小さくなり、得られた単結晶試料においてLaAlOとSrTiOが固溶していることが確認できた。また、図3に実施例の透過率曲線を示したが、全て光通信に用いられる1260−1675nm範囲の波長に吸収がなく、本材料が光通信部材として利用可能であることが確認できた。
更に図4に(Sr1−X,La)(Ti1−X,Al)O単結晶の組成と1553nmに対する光路長の温度依存性の関係を示した。0<X<0.80の範囲において光路長の温度依存性を調整でき、Xが大きくなるにつれ、光路長温度依存性が正の方向に大きくなり、特に0.04<X≦0.60の範囲において光路長の温度係数の絶対値が小さくなることを見出した。一方、X=0〜0.04の比較例では光路長の温度依存性が負に大きく、X=0.81〜1.00の比較例では正に大きくなりすぎることがわかった。図5に−30〜70℃における(Sr1−X,La)(Ti1−X,Al)O単結晶の平均線熱膨張係数および室温(25℃)における試料の結晶系を示した。この図からX=0.5を境にXと平均線熱膨張の関係が異なることが確認できる。これは−30〜70℃の温度範囲においてX=0.5付近の組成で単結晶の相転移が起こっていることを示している。この結果と表2に示したXの値と結晶系の関係から、光学異方性が生じない立方晶(Cubic)の単結晶であるためにはX≦0.5であることがより好ましいことが分かる。特に、図5からX<0.45では平均線熱膨張係数測定における測定温度域の−30〜70℃より低い温度で相転移があるとわかり、エタロンフィルターの使用温度域である−20〜80℃において立方晶を維持することが容易に予測できる。
以上の実験結果が示すように、本発明の酸化物材料、特に酸化物単結晶材料は、光路長の温度係数が非常に小さく、光通信フィルター、光集積回路などの光デバイスに用いるエタロンフィルターの基板材料として好適であることが確認された。また、本発明に係る材料は屈折率が高いため基板そのものを薄型化でき、光学異方性が無いため材料の利用方向が制限されず加工自由度が高いものである。

Claims (5)

  1. −20〜80℃の温度範囲において、波長1553nmに対する光路長温度係数(OPD)の絶対値が6ppm/℃以下であることを特徴とする(Sr 1−X ,La )(Ti 1−X ,Al )O (0.04<X<0.80)で表されるペロブスカイト型酸化物材料を含むエタロンフィルター基板。(ここで、OPDは屈折率nおよび線熱膨張係数CTEによって(1/n)×(dn/dT)+CTEと表される特性である)
  2. Na、K、Rb、Cs、Ag、Ca、Ba、Zn、Y、Ln(LnはLa以外のランタノイド)、Pb、およびBiから選ばれる1種以上の成分をドープした前記ペロブスカイト型酸化物材料を含む請求項記載のエタロンフィルター基板
  3. Zr、Hf、Ga、In、Si、Ge、Sn、V、Nb、およびTaから選ばれる1種以上の成分をドープした前記ペロブスカイト型酸化物材料を含む請求項または記載のエタロンフィルター基板
  4. 単結晶である前記ペロブスカイト型酸化物材料を含む請求項1からいずれか記載のエタロンフィルター基板
  5. 請求項1から4いずれか記載のエタロンフィルター基板を含むソリッドエタロンフィルター。
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