JP5702418B2 - モード変換器 - Google Patents

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Description

本発明は、モード変換器に係り、特にミリ波信号等による通信に用いられる導波路に用いて好適な技術に関する。
近年、ミリ波帯を利用した数G[bps]の高速大容量通信が提案され、その一部が実現されつつある。特に、60[GHz]帯で動作する無線通信機器は、より重要性を増している。国内においては、59[GHz]から66[GHz]までの広い周波数帯域を、特定省電力で利用可能であることから、民生分野への普及が期待されており、安価で小型のミリ波通信モジュールの実現が急務となっている。
特許文献1には、プリント基板による導波路(ポスト壁導波路アンテナ:PWA Post-wall Waveguide Antenna)を利用したミリ波モジュールが開示されている。特許文献1の図1〜図7に示すように、この技術は従来の導波路の側壁(金属壁)を、プリント基板のスルーホール群(ポスト群)で置き換えたものである。特許文献1の図1〜図7に示すように、無線通信IC(CMOS−IC)がPWAの上に実装されており、ワイヤボンドやバンプ接続などの方法で無線通信IC(特許文献1の明細書中では半導体チップ4と表記。以下同)から出力されたミリ波信号は、一旦、平面回路による伝送線路(マイクロストリップ、コプレーナ、ストリップ等の線路24と表記)を伝わり、平面回路・導波路変換構造(中心導体23=ピン)を経て、最終的には導波路構造部(導波路2)へと導かれる。特許文献1における中心導体(ピン)23は、プリント基板に貫通穴を形成し、貫通穴の内面に銅メッキを施すことにより形成されている。
一般的な高周波回路においては、回路Aと回路Bを接続する場合にインピーダンス整合が取られるように設計することが必要である。これは、回路Aから回路Bの接続点において信号を反射なく伝送させることを意味している。つまり、回路Aとしての平面回路・伝送線路から回路Bとしての導波路の接続点において、信号が反射することなく伝送させることが必要である。従来構造の場合、所定の周波数帯域において、ピンの長さを所定の値に調整することによって、反射損を抑制した信号伝送を実現してインピーダンス整合が取られている。
特開2011−109438号公報
近年、携帯電話等の携帯端末へモード変換器を搭載する要求が高まっており、それに伴いモード変換器そのものを小型化、薄型化したいという要求がある。例えば特許文献1のモード変換器を小型化、薄型化しようとすると、導波路が形成される基板を薄くする必要がある。しかし、基板を薄くすると、外力が作用した際に基板そのものが変形しやすくなる。そして、微細孔の内部に形成したピンに応力が加わり、ピンが微細孔の内面から剥離したり、ピン自体が破損したりする可能性があり、結果的に所望の高周波信号の注入がおこなえなくなるという問題があった。
本発明は以上のような点を考慮してなされたものであり、小型化、特に薄型化され、この薄型化に対応して曲げ耐性を有するモード変換器を提供することを目的とする。
本発明の請求項1に係るモード変換器は、フレキシブル基板と、
前記フレキシブル基板の一方の主面および他方の主面に形成された接地導体層と、
前記フレキシブル基板の一方の主面側に形成された接続部と、
前記フレキシブル基板の一方の主面から所望の深さまで形成された微細孔と、
前記微細孔の内部に充填された導体からなり前記接続部に接続されるピンと、
を少なくとも備えていることを特徴とする。
本発明によれば、フレキシブル基板と、前記フレキシブル基板の一方の主面および他方の主面に形成された接地導体層と、前記フレキシブル基板の一方の主面側に形成された接続部と、前記フレキシブル基板の一方の主面から所望の深さまで形成された微細孔と、前記微細孔の内部に充填された導体からなり前記接続部に接続されるピンと、を少なくとも備えていることにより、薄型化された導波路において外力等によりフレキシブル基板が変形した場合でも、微細孔内に充填された導体によってピンが形成されているため、フレキシブル基板の変形による応力耐性が向上する。これにより、フレキシブル基板が変形したとしても、ピンと微細孔内面との間に剥離が生じたり、ピン自体が破損したりする不具合を防止し、モード変換器における所望の高周波信号の注入を維持することができる。
本発明の請求項2に係るモード変換器は、前記フレキシブル基板の厚さが300μm以下であることを特徴とする。
本発明の請求項3に係るモード変換器は、前記導体が、多孔質体であることを特徴とする。
本発明の請求項4に係るモード変換器は、前記導体が、導電性ペーストを加熱処理することにより形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、外力によってフレキシブル基板が変形した場合でも、微細孔内に充填された導体によってピンが形成されているため、フレキシブル基板の変形による応力耐性が向上する。これにより、フレキシブル基板が変形したとしても、ピンと微細孔内面との間に剥離が生じたり、ピン自体が破損したりする不具合を防止し、モード変換器における所望の高周波信号の注入を維持することができる。
本発明に係るモード変換器の一実施形態における導波路を示す斜視図である。 本発明に係るモード変換器の一実施形態を示す正断面図である。 本発明に係るモード変換器の一実施形態を示す斜視図である。 本発明に係るモード変換器の一実施形態におけるGRDビアを示す正断面図である。 本発明に係るモード変換器の一実施形態における導体柱を示す模式平面図である。 本発明に係るモード変換器の一実施形態におけるピンの例を示す模式断面図である。 本発明に係るモード変換器の一実施形態における工程を示すための模式断面図である。 本発明に係るモード変換器の一実施形態におけるピンの他の例を示す模式断面図である。 本発明に係るモード変換器の一実施形態における導波路の他の例を示す模式平面図である。 本発明に係るモード変換器の一実施形態における導波路の他の例を示す斜視図である。 本発明に係るモード変換器の一実施形態における導波路の他の例を示す模式平面図である。 本発明に係るモード変換器の一実施形態における導波路の他の例を示す模式平面図である。 本発明に係るモード変換器の一実施形態における導波路の他の例を示す模式平面図である。 本発明に係るモード変換器の一実施形態における導体柱の他の例を示す模式断面図である。 本発明に係るモード変換器の一実施形態における導体柱の他の例を示す模式断面図である。 本発明に係るモード変換器の一実施形態におけるミリ波通信モジュールの例を示す模式正断面図である。 本発明に係るモード変換器の一実施形態におけるミリ波通信モジュールの他の例を示す模式側断面図である。 本発明に係るモード変換器の一実施形態におけるピンの他の例を示す斜視図である。 実験例としてシミュレーションをおこなったモード変換器を示す斜視図である。 実験例としてシミュレーションをおこなったモード変換器における平面回路を示す拡大斜視図である。 図20のモード変換器における周波数帯域をシミュレーションした結果を示すグラフである。 実験例としてシミュレーションをおこなったモード変換器における平面回路の他の例を示す拡大斜視図である。 図22のモード変換器における周波数帯域をシミュレーションした結果を示すグラフである。 本発明に係るモード変換器の一実施形態において製造したピンの縦断面を示す写真である。
以下、本発明に係るモード変換器の第1実施形態を図面に基づいて発明を説明する。なお、以下に示す実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために、例を挙げて説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明に用いる図面は、本発明の特徴を分かりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、本発明の特徴を分かりやすくするために、便宜上、省略した部分がある。
[モード変換器の構成]
本実施形態に係るモード変換器100の構成について、図1から図5を用いて説明する。図1は、モード変換器100を示す斜視図であり、図2は、モード変換器100を模式的に示した断面図であり、図3は、接続部を示す拡大斜視図、図4はGNDビアを示す断面図、図5は、反射部である導体柱114を模式的に示した模式平面図である。図において、符号100はモード変換器である。
本実施形態のモード変換器100は、図1,図2に示すように、基板(フレキシブル基板)101に設けられたピン(導体ピン)123を有する導波路110と、上基板(フレキシブル基板)124に設けられ高周波信号伝搬用の接続部となる伝送路(平面回路)122とを有し、これらの基板101と基板124とが貼り合わせられた構成とされている。
導波路110は、基板101の表裏面に設けられた接地導体層(導体膜)111,112と、これら接地導体層111,112間に立設された複数のポスト(柱)壁である導体柱114とで囲まれた領域であり、ピン123から放射される電磁波信号が伝搬する経路として機能する。導波路110の一端側には、接地導体層111、112や、導体柱114は配されておらず、電磁波信号が放射される開口部となっている。また、開口部と反対側が反射部110Aとなっている。
基板101は厚さ500μm程度、あるいは、300μm程度、200μm程度、100μm程度とすることができる。ここで「程度」とは、±50μmの厚み幅を持つことを意味する。基板101の構成材料としては、特に限定されるものではないが、可撓性を有するフレキシブル基板として、例えばポリイミド樹脂、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ガラスエポキシ樹脂、エポキシ樹脂にガラスクロス(繊維)を含んだ基板(FR4)などを用いることができ、例えば、液晶ポリマー(LCP)とすることができる。
接地導体層111,112は、基板101表裏面に設けられた銅薄膜等とされ、少なくともピン123の周辺領域をのぞいた基板101全面に設けられている。
導体柱114は、図1に示すように、接地導体層111,112と同材の導体からなる同一径寸法の円筒状とされており、それぞれの端部が接地導体層111と接地導体層112とに接続されている。複数の導体柱114は、導波路110を平面視して開口部に対応する部分である一辺をのぞいた略矩形となるように配列されている。この複数の導体柱114の配列は、ピン123から発振される高周波信号を反射して外部に漏洩しないように設定される。具体的には、隣り合う導体柱114が離間して配置された場合、その中心間距離Lは、図5に示すように、導体柱114の直径dの2倍よりも小さくなるよう設定される。つまり、導体柱114の再近接位置どうしの間隔Xは、導体柱114の直径dと同等かこれよりも小さくなるよう設定される。また、導体柱114の内部はいずれも導体で充填されていない。また、導体柱114を形成する円柱状の導体はいずれも接地導体層111,112よりも薄い導体膜からなっている。なお、導体柱114の内部は樹脂等の絶縁体で充填することや、なにも充填しないこともできる。
モード変換器100は、図1〜図3に示すように、基板101に内在するように接地導体層111に設けられた開口111aから導波路110内部に挿入されたピン123と、このピン123の外側基端部に接続されて接地導体膜111より外側に位置する平面回路(伝送路)122を有する。
接地導体層111には略均一厚さの上基板(基板)124が積層されて接着層124aを介して接着される。上基板124には、平面視してピン123と同じ位置に、上基板124を貫通する孔部γ内に貫通導体123Aが設けられている。貫通導体123Aの外側端部は、上基板124表面に位置するピン端子(接続部)123bとされ、伝送路122の一端側に接続されている。
上基板124は基板101と同様の材質からなり、例えばフレキシブル基板とされて、基板101の半分以下の厚み、つまり、ピン123の長さ程度の厚み以下の寸法とすることができる。
上基板124の外側表面上には、接続部としての伝送路122が形成されている。伝送路122は、すくなくとも接地導体層111の開口111aを跨ぐように設けられ一端側がピン端子123bを介してピン123に接続され、他端側が上基板124上のGSGパッド(高周波信号入力端子)125に接続されて、マイクロストリップラインとなっている。GSGパッド125の伝送路122に対する両外側には、図3に示すように、上基板124上の伝送路122の延在方向に直交する向き両外側位置となるように、GNDパッド126が離間して配置される。
GNDパッド126には、図3に示すように、その両外側位置にそれぞれGNDビア127が設けられ、GNDビア127は、貫通導体123Aと同様の構成とされている。GNDビア127は、図4に示すように、上基板124上の伝送路122の階層から、基板124表面の接地導体層111の階層まで接続するように設けられる。
ピン123は、図2に示すように、径寸法H1を有する柱状として、基板101内に内在し、先端123aが導体膜112と接触しない位置となるように、例えば、基板101の半分程度となるように長さ寸法H4が設定される。ピン123は、接地導体層111,112の面垂直方向に設けられる。ピン123の基端側には、図2、図3に示すように、接地導体層111と同階層である基板101表面に、導体膜111と同一材料からなるフランジ状のランド123cが周設される。平面視して円環状とされるランド123c表面外縁部は、接着層124aを介して上基板124に覆われている。ピン123の基端側は基板101外側にむけてピン123を延長した形状とされる貫通導体123Aを介して伝送路122に接続される。
伝送路122は、図3に示すように、接地導体層111と略平行である上基板124表面上に延在し、貫通導体123A外側端部位置においては、この貫通導体123Aよりも径寸法の大きなピン端子123bに接続されている。伝送路122は、ピン端子123bからGSGパッド(高周波信号入力端子)125まで直線状に延在するとともに、その幅寸法は、貫通導体123Aおよびピン123の径寸法と等しく設定することができる。伝送路122の幅寸法は、後述するように、入力インピーダンス整合部として適宜調整されることができる。
伝送路122には、上基板124上のGSGパッド(高周波信号入力端子)125に接続された側に、基板124表面において伝送路122と直交する方向に延在するように開放スタブ122bが設けられている。開放スタブ122bは、伝送路122の両側において、それぞれGNDパッド126と所定の離間状態を有するように設けられる。開放スタブ122bの幅寸法は、伝送路122の幅の半分程度とされている。
伝送路122は、また、伝送路122とGSGパッド(高周波信号入力端子)125とが接続される部分に、伝送路よりも幅細となる狭隘部122aが設けられる。
これら伝送路122、開放スタブ122b、狭隘部122aからなる平面回路は、入力インピーダンス整合部を構成する。ここでは、伝送路122の幅寸法および長さ寸法、開放スタブ122bの幅寸法および長さ(張り出し)寸法、開放スタブ122bにおけるGNDパッド126との離間形状、狭隘部122aの幅寸法および長さ寸法、貫通導体123Aの長さ寸法等を調整することで位相回転量、インダクタンスまたは容量を制御し、入力インピーダンスの整合を図る。
ピン123は少なくともその表面が接地導体層111と同様の導体から形成されることができ、本実施形態においては、その中心部分は、表面と同様かまたは異なる性質の導体で充填された構造とされる。具体的には、ピン123の表面が、メッキ法によって形成されたCu、Ag、Auなどの薄膜であり、円筒状のピン123の中心部分(内部)が、導電性ペーストを充填し、それを加熱・焼成した導体となっている。本発明のピン123の断面構造を観察した写真を図24に示す。
ピン123の中心部分(内部)は、図24の写真、および、図3で拡大された円内に模式的に示すように、導体内部に微小な空隙Vを多数含んだ多孔質体である。これは、後述するように、導電性ペーストを加熱処理して形成したことに起因するものである。
このように、微小な空隙Vを多数含んだ導体からなるピン123であると、フレキシブル基板101が変形したとしても、ピン123と微細孔α内面との間に剥離が生じたり、ピン123自体が破損したりする不具合を防止でき、レキシブル基板101の変形による応力耐性が向上するというメリットが生ずる。また、応力耐性を向上させるために、空隙Vの大きさ及び密度(配置)をピン123内部で好ましい状態に制御する。
図6は、他の実施形態におけるピン123の先端形状を示したものである。
ピン123は、図6(a)のように、先端123aが丸みを帯びた先丸形状であってもよい。あるいは、図6(b)のように、ピン先端123aの中央が鋭角的に尖った形状や、図6、(c)のように、ピン先端の周縁側が鋭角的に尖った形状であってもよい。図6(a)〜(c)のように尖った先端形状であれば、ピン先端123aと接地導体層112との距離の制御精度が緩和するので好ましい。特に、図6(b)(c)のように鋭角的に尖った先端形状であれば、ピン先端123aと接地導体層112との距離の制御精度がより緩和するので好ましい。結果として、製造上、インピーダンス整合しやすいという利点がある。
ピン123表面、導体柱114は、基板101の表面側から、チタン(Ti)またはクロム(Cr)からなる膜、銅(Cu)からなる膜を、順に積層した膜構成とすることができる。TiまたはCrからなる膜は、ミリ波帯の電磁波の表皮効果によって、基板との密着精度が損なわれない範囲において、薄いほど望ましい。例えば、Cuからなる膜が300nm以上である場合には、TiまたはCrからなる膜は40nm程度であることが望ましい。
伝送路122、開放スタブ122b、狭隘部122aなどの平面回路は、同様に、上基板124の表面側から、チタン(Ti)またはクロム(Cr)からなる膜、銅(Cu)からなる膜を、順に積層してなることができる。
接地導体層111および接地導体層112も基板101の表面側から、チタン(Ti)またはクロム(Cr)からなる膜、銅(Cu)からなる膜を、順に積層してなることができる。
これらは、いずれもミリ波帯の電磁波伝送に適した状態とされ、例えば、銅部分は後述するようにメッキ層とすることができる。なお、基板101表裏面の接地導体層111および接地導体層112、上基板124表面の伝送路122、開放スタブ122b、狭隘部122aなどの平面回路としては、基板101、上基板124に導体膜が形成された基材を利用することもできる。
[モード変換器の製造方法]
図1〜図5に示した導波路100の製造方法について、図7を用いて説明する。図7は、モード変換器の製造過程における基板の要部を、製造工程の順に、段階的に示した正断面図である。
[ポスト壁導波路構造]
まず、準備工程として、図7(a)に示すように、基材として基板101を用意する。例えば、基板101は厚み100μm〜500μm程度のフレキシブル基板とされる。ここで「程度」とは、±50μmの厚み幅を持つことを意味する。基板101の表裏面には銅薄膜からなる導電層111,112が形成されたものとされる。
接地導体層111,112の厚みは少なくともミリ波帯の表皮深さよりも厚いことが望ましい。60GHzで表皮深さが270nmなので、2μm程度とすれば十分である。
次いで、図7(b)に示すように、孔あけ工程として、基板101にレーザーアブレーションあるいはドリル等の加工手段により、凹部(キャビティ)α、孔部βを形成する。
凹部αは、ピン123の長さH4に対応する所望の深さ、かつ、径寸法H1に対応する太さまで形成される。孔部βは複数の導体柱114に対応して基板101を貫通するように形成され、かつ、孔部βは径寸法dを有するとともに、隣接する孔部βとの距離Xが直径dよりも小さくなるように形成される。
基板101をフレキシブル基板とした場合には、例えば、液晶ポリマー基板(LCP基板)に対して、レーザー強度が調整されたUV−YAGレーザー、COレーザー等でレーザーを照射することで凹部形状を形成する。
その結果、図7(b)に示すように、基板101に凹部α、孔部βが形成される。微細孔である凹部α、孔部βの孔径は、製造するモード変換器100の用途に応じて、10μm〜300μmの範囲で適宜設定することができる。
薄い基板を用いたモード変換器においては、導波路の厚みを薄くするほど、つまり、導波路が形成される基板を薄くするほど、ピン長さが伝送特性に影響する度合いが大きくなる。そのため、ピン長さをより一層精密に設計する必要がある。例えば、厚みが300μm以下の薄い導波路では、ピン長さを10μmレベルで制御する必要がある。
次いで、図7(c)に示すように、シード層およびメッキ層からなる導体層121a、導体層121bを、凹部α,孔部βの内部に形成する。シード層は例えばCr/Cu,Ti/Cuなどで厚みは10nm〜500nmとされ、スパッタリングで形成することができる。メッキ層は銅メッキとされる。銅メッキ層の厚みは少なくともミリ波帯の表皮深さよりも厚いことが望ましい。60GHzで表皮深さが270nmなので、導体層121a、導体層121bは、2μm程度の厚さとすれば十分である。このとき、導体層121a、導体層121bと同等の導体層を、基板101の表裏面の接地導体層111,112上に同時に形成してもよい。
次いで、図7(d)に示すように、凹部α周囲の開口111aに対応する領域をエッチングにより除去し、ランド123cを形成する。この際、開口111a以外にレジストを形成してエッチングすることで、レジストを除く導体層111の部分を除去し、開口111a、ランド123cを形成する。開口111a形成工程は、塩化第二鉄液、塩化第二銅液等の酸溶液を用いたウエットエッチングとすることができる。
次いで、充填工程として、図7(e)に示すように、ペースト状の導電性材料をスクリーン印刷等の手段で凹部α内に充填する。
まず、基板101全表面にシート状のカバーを貼付し、凹部αに対応する部分のみ除去し貫通孔を形成する。この状態で、基板101全面に導電性ペーストをスクリーン印刷により塗布して凹部α内にペーストを充填する。その後、シートを除去して、図7(e)に示すように、開口111aにはペーストを充填せずに凹部α内のみペーストを充填した状態とする。
カバーとしては、たとえばステンレス、アルミ合金からなるメタルマスクが用いられ、る。
貫通孔形成としては、孔部β形成と同様にメタルマスクにエネルギーを調整したレーザー加工等を用いることが可能である。
ペースト状の導電性材料としては、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、スズ(Sn)、ビスマス(Bi)等の導電体を含むものとされ、これ以外にフィラーとしてのフラックス等を含むこともできる。
なお、ペースト導体は、微細孔α内部に完全に充填されていなくともよいが、気密性を要求される場合などには、微細孔α内部に完全に充填されていることが望ましい。このように、ポスト壁導波路構造を形成する。
本発明のモード変換器のように小型化・薄型化しようとすると、必然的にピンも小さく形成する必要があり、そのためにはピンが形成される高アスペクト比の孔(微細孔)をさらに小さくする必要がある。しかしながら、小さな孔であるほどの内部に導体を形成することが困難となる。
本発明は、印刷法を用いて導電性ペースト微細孔の内部に充填しているため、微細孔の内奥まで導電性ペーストを充填することが可能となり、所望の長さのピンを安定的に形成することができる。
[上部伝送構造]
まず、準備工程として、図7(f)に示すように、基材として上基板124を用意する。上基板124は、基板101と同材のとされて、基板101の半分の厚みであるフレキシブル基板とされ、その表面には銅薄膜からなる導電層122Aが形成されたものとされる。
導体層122Aの厚みは少なくともミリ波帯の表皮深さよりも厚いことが望ましい。60GHzで表皮深さが270nmなので、2μm程度とすれば十分である。
次いで、図7(g)に示すように、上基板124表面に、伝送路122、開放スタブ122b、狭隘部122a、GNDパッド126、GSGパッド(高周波信号入力端子)125などの平面回路を形成する。この際,平面回路形状にパターニングしたレジストを形成し、これ以外の導電層122Aをエッチングにより除去することで、これらの平面回路を形成する。その後、レジストをレジスト剥離液により除去する。こさらに、CFガスや0ガスによるRIE(Reactive Ion Etching)プロセスを実施することもできる。
この際、入力インピーダンス整合をとるためにそれぞれの平面回路における各寸法をそれぞれ設定する。具体的には、伝送路122の幅寸法および長さ寸法、開放スタブ122bの幅寸法および長さ寸法、開放スタブ122bにおけるGNDパッド126との離間形状、狭隘部122aの幅寸法および長さ寸法、貫通導体123Aの長さ寸法を例示できる。なお、図においては、平面回路として、伝送路122のみを示してある。
次いで、図7(h)に示すように、上基板124裏面全体に、接着層124aを形成する。
接着層124aとしては、LCPフィルムあるいはポリイミドとされる基板124に対してエポキシ系やアクリル系の接着剤、あるいはLCPによる接着層が用いられる。
次いで、図7(i)に示すように、上基板124に、レーザーアブレーション等の加工手段により、孔部γを形成する。孔部γは、貫通導体123AおよびGNDビア127に対応するものとされ、形成位置、形成寸法が設定される。孔部γは、上基板124の表面(上側)では、伝送路122やGNDパッド126といった平面回路を貫通しないように、また、上基板124の裏面(下側)では、接着層124aを貫通して形成される。これらは、レーザー照射条件を設定することで調節する。
次いで、充填工程として、図7(j)に示すように、ペースト状の導電性材料をスクリーン印刷等の手段で孔部γ内に充填する。
この際、上基板124の全裏面にペースト状導電材料を塗布した後に、スキージ等で押圧して孔部γ内に充填する。この場合、たとえば印刷圧力0.25MPa〜0.5MPa
印刷速度5mm/sec〜30mm/secとすることができる。
なお、貫通導体123Aは、孔部γ内部に完全に充填されていなくともよいが、気密性を要求される場合などには、孔部γ内部に完全に充填されていることが望ましい。このように上部伝送構造を形成する。
次いで、図7(e)に示す基板101に形成されたポスト壁導波路構造と、図7(j)に示す上基板124に形成された上部伝送構造とを、凹部αと孔部γとを位置あわせして貼り合わせ、加熱加圧処理することで接着する。
基板101と上基板124とを貼り合わせる加熱加圧処理は、たとえば加熱温度180℃、圧力1MPa、加熱時間60minとすることができる。この加熱加圧処理は、接着層124aが接地導体層111表面に接着されるとともに、凹部αおよび孔部γ内に充填された導電性ペーストから形成される導体どうしが接続すればよく、平面回路が変形しない程度の処理条件とされる。
このような工程によって、モード変換器100を形成することができる。
本実施形態においては、基板101の厚さに対し半分程度の深さ寸法を有する微細孔(凹部)αをレーザーアブレーションによって形成し、この内部にペースト状の導体を充填するので、スパッタ、メッキなどで形成した場合に比べ、微細化した場合でも、ピン123長を正確に設定することができる。したがって、信号の反射が最小となるような励振ピン長を正確に実現することが可能となる。すなわち、無線通信ICから平面回路(伝送路)122を伝わってきたミリ波信号を損失なく効果的に伝送することが可能なモード変換器100を製造することができる。
また、導体ペーストを充填してピン123を形成したため、ピン123が外力が作用した場合でも電気的に変形せず、入力インピーダンス整合を容易に維持することができる。
また、インピーダンス整合状況は、ピン123の直径にも左右されると考えられるが、エッチング条件によりピン123となる凹部αの径を調整できるので、高い調整能力を有する。
また、本実施形態の導波路110は、複数の基板を積層することで形成され、積層界面のランド構造によってピン123の途中でビア−ビアの接続をおこなう従来技術に比べ、単一基板101内に内在したピン123を形成できるので、導波路110内部でピン123の途中におけるランド構造が必要なく、ピンの径の変化による信号反射の悪影響も低減させることが可能である。
本実施形態の製造方法によれば、ピン123と反射部110となる複数の導体柱114とを同時並行して形成することが可能なため、製造に必要なプロセス数を削減して工数を減らし、作業時間と製造コストを低減することが可能となる。
本実施形態の製造方法によれば、図7(e)に示す基板101に形成されたポスト壁導波路構造と、図7(j)に示す上基板124に形成された上部伝送構造とを、別々に形成しているため、ピン123の長さ等の調節をモード変換器100製造後にすることが可能となる。
本実施形態によれば、平面回路が上基板124表面、つまりモード変換器100の最表面に形成されており、モード変換器の外側から平面回路の形状調整(トリミング)を容易に行うことができる。例えば、ピン123を設計通りの長さで形成できず、所望の特性が得られなかったとしても、モード変換器100を製造後に平面回路をトリミングすることにより、伝送特性の調整を行うことができる。
本実施形態によれが、基板101および上基板124にフレキシブル基板を用いているので、軽量で低損失な導波路が実現できる。同時に、可撓性を有することで、多彩な利用が可能となる。
上述した実施形態においては、図2に示すように、励振ピン123の径寸法を基端部123bから先端部123aまで均一となるように設定したが、側面が角度を有するように先端部123aが基端部123bに比べて縮径するようにすることができる。この場合、凹部α内部における金属付着効果を向上させて、シード層および銅メッキの導体膜121a、の形成および導電ペースト充填によるピン123の形成における確実性を向上することができる。
また、本実施形態においては、入力インピーダンス整合部として、伝送線路122、開放スタブ122b、狭隘部122aからなる平面回路を図3に示すような構成としたが、他の構成とすることもできる。
なお、開放スタブ122bは、伝送路122の片側だけに同じ張り出し長さを有するように設けた場合には、伝送路122の線路長が長くしたのと同等の効果を有する。また、開放スタブ122bは、伝送路122の延在する中心軸に対して対称に設けることが好ましい。また、伝送路122の両側で非対称とすることもできる。このように開放スタブ122bの形状・配置は入力インピーダンスとしてきわめて大きな効果を奏する。
さらに、本実施形態においては、図1に示すように、導波路110を複数の導体柱114を有するものとしたが、図9に示すように、平面視矩形であり、モード変換器から電波放射される開口102に対向する後方壁となる辺は複数の導体柱114とし、また、ピン123から開口102に向かう方向に延在する2辺は、その方向に連続したスリット壁141とし、連続した孔β1を形成することもできる。このように後方壁となる辺を複数の導体柱140とすることにより、仮に、一部の導体柱において電気的にオープンとなる等の不具合が生じたとしても、残りの導体柱が接地導体層と接続されていれば、機能を維持することができる。また、側壁反射部をスリット壁141とすることにより、導体柱よりも電磁波の漏洩を、さらに効果的に防止することができる。
また、本実施形態では、図1に示すように、導波路110の開口102の外側位置に基板101がある構成としたが、図9に示すように、基板101の端にまでスリット壁141を形成することもできる。この場合、ピン123の後ろ側が複数の導体柱140から構成される導波路110であるため、基板101に長孔β1を形成した場合でも、基板101が分離してしまうことがない。
このような構成により、電磁波進行方向の側壁が連続壁になっているため、導体の配置
が不連続であることによる電磁波姿態の乱れを防止することができる。
また、このように長孔β1を形成した場合、図10に示すように、多数の円柱を平面視して重なるように連続して形成した長孔β1とすることもできる。
さらに、図11に示すように、矩形の導波路110のうち開口102以外の三辺を連続する長孔β2を形成してコ字状に連続するスリット壁142とするとともに開口102付近のみ離間した導体柱140を形成して導波路110が離間した状態とすることができる。
また、図12に示すように、矩形の導波路110のうち開口102以外の三辺にそれぞれ連続する孔β1,β3を形成し、対応したスリット壁141,143とするとともに、各辺の交わる部分には導体柱140を設けて、導波路110が離間した状態を形成することができる。
また、図13に示すように、矩形の導波路110のうち開口102以外の三辺にそれぞれ連続する長孔β1、β3を形成し、対応したスリット壁141、143とするとともに、各辺の交わる部分には導体柱140を設けて、反射部110が離間した状態を形成することができる。この場合、不連続部がポスト1個分のみであるため、この不連続部における電磁波の姿態の乱れを最小限に抑えることでき、且つ、図12に示した構造よりも機械的に安定した構造とすることができる。これらのように導波路110が離間して基板がモード変換器100となる導波路110内部側と外側で連続した状態を形成することで、基板101が分離してしまうことがない。
また、図13に示すように、開口102の外側に、反射部が広がった状態のスリット壁144設けることもできる。この場合、H面扇型ホーンアンテナを構成することができ、アンテナ利得を向上させることが可能となる。
これらのように、隙間のある導体柱114の一部をスリット壁141,142,143,144を有する構造とすることで、導波路100を形成する導体膜111,112間の導波路110の大部分をスリット壁141,142,143,144に置き換えることができる。これにより、従来よりも大幅に電磁波の漏洩を抑えることができ、アンテナの放射効率の向上や、導波路の放射損失の削減に貢献できる。また、スリット壁を採用することにより、すべてが導体柱114の場合よりも電流が流れる面積が大きくなるため、すべてのポスト壁114の場合に起こりうるポスト壁114と導体膜111,112の電気的非導通による伝送モードの乱れ・破綻とそのリスクを大幅に軽減することが可能となる。
上述した実施形態においては、図1、図2に示すように、導体柱114の径寸法を接地導体層111から裏面の接地導体層112まで均一となるように設定したが、図14に示すように、角度θ5を有するように表面101aから裏面101bに向かって縮径するようにすることができる。この場合、孔β内部における金属付着効果を向上させて、シード層、銅メッキの導体121aの形成を確実におこなうことが可能となる。この場合、微細孔β内部における金属付着効果を向上させて、シード層、銅メッキによる導体柱114の形成を確実におこなうことが可能となる。また、角度θ5を有することにより、微細孔α内部における金属付着効果を向上させて、シード層、銅メッキによる接地導体層111の形成を確実におこなうことが可能となる。
さらに、図15に示すように、角度θ6,角度θ7を有するように表面101aから裏面101bに向けて縮径してから拡径するようにすることができる。角度θ6、角度θ7を有することにより、微細孔α内部における金属付着効果を向上させて、シード層121a、銅めっきの接地導体層111の形成を確実におこなうことが可能となる。
本実施形態のモード変換器100は、図16に示すように、ミリ波通信モジュール用基板200とすることができる。
ミリ波通信モジュール用基板200は、モード変換器100と、モード変換器100の一例として上面側にフリップチップ接続された無線送受信機能素子を有する無線通信IC(半導体チップ)210を有している。ミリ波通信モジュール用基板200は、導波路100の形成された基板101表面に、GNDとなる接地導体層111および上基板124上の伝送路122が設けられるとともに、伝送路122と同階層とされる図示しない回路が設けられるとともに、伝送線路122終端のGSGパッド125と無線通信IC(半導体チップ)210の端子211が接続される。ミリ波等の高い周波数では、寄生インダクタンスの影響が非常に大きくなるため、ワイヤボンドよりもバンプによる短距離実装が望ましい。
本実施形態のモード変換器100は、また、図17に示すように、ミリ波通信モジュール用基板200Aとすることができる。
図17に示すミリ波通信モジュール用基板200Aが、図16に示すミリ波通信モジュール用基板200と異なる点は、ピン端子(接続部)123bがGSGパッド125とされており、このピン端子123bに無線通信IC(半導体チップ)210の端子211が接続される。
これ以外の対応する構成には同一の符号を付して説明を省略する。また、GNDビア127に接続されるGNDパッド126には、無線通信IC(半導体チップ)210の端子212が接続される。このように、伝送路122、開放スタブ122b、狭隘部122a等を有しない平面回路とすることもできる。ミリ波通信モジュール用基板200Aでも、は、端子211,212は、ミリ波等の高い周波数において、寄生インダクタンスの影響が非常に大きくなるため、ワイヤボンドよりもバンプによる短距離実装が望ましい。
また、本実施形態の励振ピン構造120は、図3に示すように、マイクロストリップラインとされたが、図18に示すように、コプレーナとすることもできる。この場合、PWAの上面GND層となる接地導体層111と同じ層に、信号線路132を形成する。
<実験例>
以下、本発明に係る実験例について説明する。
図19は、本発明に係るモード変換器により薄型化を実現したプリント基板ポスト壁導波路(PWW)のシミュレーションモデルである。このタイプでは、プリント基板ポスト壁導波路(PWW)100の開口をそれぞれ対向して配置した状態とした。信号入出力ポートはマイクロストリップ線路122端のポート125、ポート125となっており、ピン端子123bを通じてマイクロストリップの伝送モード(TEMモード)は導波路の伝送モードであるTE10モードに変換される。ピン123中心間の距離は10mmと設定した。
シミュレーションには3次元電磁界解析ソフトHFSSを用いた。基板101の厚みは、175μmに設定した。なお、高周波回路設計においては、反射係数は−15dB以下となることが望ましい。
図20は平面回路部分を拡大した斜視図である。図20に示すモデルでは、狭隘部122aは設けず、開放スタブ122bおよび、伝送路122と同等の幅寸法とされる接続部122Aを有する。
図21は、図20に示す幅広の接続部とされた平面回路を有するモード変換器に対応するシミュレーションモデルを用いたプリント基板ポスト壁導波路の反射係数のシミュレーション結果である。
ピンと後方ポスト壁110Aの距離の最適化を60GHzで行なった。なお、ピン123長は基板101の厚さの半分とし、上基板124の厚さはピン123長の2/3に対応する値とした。このマイクロ波回路では反射損が−15dBより低くなるように設計されることが望ましい。ピン123と後方ポスト壁110A間距離の最適化を、使用周波数60GHzに対応する波長λに対し、通常最適化で使用されるλ/4ではなく、基板101の薄型化に対応してλ/2として最適化した。
このグラフにおいて、S11<−15dBとなる周波数領域を帯域と定義する。
図21に示す結果から、ピン123と後方ポスト壁110A間距離の最適化を使用周波数60GHzで行なっているため、60GHz周辺の幅1GHz程度の帯域に渡って−115dBを下回っていることが分かる。即ち帯域は2GHz程度である。
しかしながら、60GHzの特定省電力無線通信に用いられる帯域幅は7GHz〜9GHzとなるので、この開放スタブ122bを伝送路122に設けただけの平面回路のモデルではこのアプリケーションの仕様を満たさないということになる。
これは専ら、図20に示す平面回路形状では、入力インピーダンス整合が十分に取れてないという理由に起因すると考えられる。
図22は、図20に示す平面回路形状に対して、伝送路122とGSGパッド(高周波信号入力端子)125との接続部分に狭隘部122aを設けたモデルである。
図23は、インピーダンス不整合の問題を、狭隘部122aとしてインピーダンス整合手段を加え、調整を行なった後のシミュレーション結果となる。
インピーダンス整合という作業を行なったため、帯域は5GHzまで、大幅に広帯域化されていることが分かる。これに加えて、伝送路122の幅寸法および長さ寸法、開放スタブ122bの幅寸法および長さ寸法、開放スタブ122bとGSGパッド(高周波信号入力端子)125との離間状態を調整することにより、57〜66GHzの範囲で各々設定されている世界各国の免許不要の60GHz帯域を十分に満たすことができる。
さらに、図22に示すモード変換器に対応するシミュレーションモデルにおいて、基板厚さを変化させてシミュレーションをおこない、同様にして、S11<−15dBとなる周波数領域を帯域として算出し、帯域幅が7GHz〜9GHzとなった場合を「優」、帯域幅が5GHz〜7GHzとなった場合を「良」、帯域幅が5GHz以下となった場合を「不良」と表記することにする。その結果、基板101厚さ、つまり、導波路110厚さが175μmのとき「優」、同250μmのとき「優」、同300μmのとき「良」、同400μmのとき「不良」、同500μmのとき「不良」、同550μmのとき「不良」となった。
この結果から、本発明は、導波路厚さが薄いときに十分な帯域を得ることが可能であることがわかる。
本発明は、ミリ波帯を利用した数Gbpsの高速大容量通信用のデバイスとして、広く適用することができる。
100・・・モード変換器、101・・・基板(フレキシブル基板)、
101a・・・表面、101b・・・裏面、111a・・・開口部、
110・・・導波路、111,112・・・接地導体層、114・・・導体柱、
120・・・励振ピン構造、122・・・平面回路(伝送路)、123・・・ピン、
123A・・・貫通導体、124・・・上基板(フレキシブル基板)、123b・・・ピン端子(接続部)、123c・・・ランド、125・・・GSGパッド(高周波信号入力端子)、
126・・・GNDパッド、127・・・GNDビア、

Claims (3)

  1. フレキシブル基板と、
    前記フレキシブル基板の一方の主面および他方の主面に形成された接地導体層と、
    前記フレキシブル基板の一方の主面側に形成された接続部と、
    前記フレキシブル基板の一方の主面から所望の深さまで形成された微細孔と、
    前記微細孔の内部に充填された導体からなり前記接続部に接続されるピンと、
    を少なくとも備え
    前記導体が、多孔質体であることを特徴とするモード変換器。
  2. 前記フレキシブル基板の厚さが300μm以下であることを特徴とする請求項1記載の
    モード変換器。
  3. 前記導体が、導電性ペーストを加熱処理することにより形成されていることを特徴とす
    る請求項1または2記載のモード変換器。
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