JP5702418B2 - モード変換器 - Google Patents
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Description
前記フレキシブル基板の一方の主面および他方の主面に形成された接地導体層と、
前記フレキシブル基板の一方の主面側に形成された接続部と、
前記フレキシブル基板の一方の主面から所望の深さまで形成された微細孔と、
前記微細孔の内部に充填された導体からなり前記接続部に接続されるピンと、
を少なくとも備えていることを特徴とする。
本実施形態に係るモード変換器100の構成について、図1から図5を用いて説明する。図1は、モード変換器100を示す斜視図であり、図2は、モード変換器100を模式的に示した断面図であり、図3は、接続部を示す拡大斜視図、図4はGNDビアを示す断面図、図5は、反射部である導体柱114を模式的に示した模式平面図である。図において、符号100はモード変換器である。
導体柱114は、図1に示すように、接地導体層111,112と同材の導体からなる同一径寸法の円筒状とされており、それぞれの端部が接地導体層111と接地導体層112とに接続されている。複数の導体柱114は、導波路110を平面視して開口部に対応する部分である一辺をのぞいた略矩形となるように配列されている。この複数の導体柱114の配列は、ピン123から発振される高周波信号を反射して外部に漏洩しないように設定される。具体的には、隣り合う導体柱114が離間して配置された場合、その中心間距離Lは、図5に示すように、導体柱114の直径dの2倍よりも小さくなるよう設定される。つまり、導体柱114の再近接位置どうしの間隔Xは、導体柱114の直径dと同等かこれよりも小さくなるよう設定される。また、導体柱114の内部はいずれも導体で充填されていない。また、導体柱114を形成する円柱状の導体はいずれも接地導体層111,112よりも薄い導体膜からなっている。なお、導体柱114の内部は樹脂等の絶縁体で充填することや、なにも充填しないこともできる。
上基板124は基板101と同様の材質からなり、例えばフレキシブル基板とされて、基板101の半分以下の厚み、つまり、ピン123の長さ程度の厚み以下の寸法とすることができる。
伝送路122は、また、伝送路122とGSGパッド(高周波信号入力端子)125とが接続される部分に、伝送路よりも幅細となる狭隘部122aが設けられる。
ピン123の中心部分(内部)は、図24の写真、および、図3で拡大された円内に模式的に示すように、導体内部に微小な空隙Vを多数含んだ多孔質体である。これは、後述するように、導電性ペーストを加熱処理して形成したことに起因するものである。
このように、微小な空隙Vを多数含んだ導体からなるピン123であると、フレキシブル基板101が変形したとしても、ピン123と微細孔α内面との間に剥離が生じたり、ピン123自体が破損したりする不具合を防止でき、レキシブル基板101の変形による応力耐性が向上するというメリットが生ずる。また、応力耐性を向上させるために、空隙Vの大きさ及び密度(配置)をピン123内部で好ましい状態に制御する。
ピン123は、図6(a)のように、先端123aが丸みを帯びた先丸形状であってもよい。あるいは、図6(b)のように、ピン先端123aの中央が鋭角的に尖った形状や、図6、(c)のように、ピン先端の周縁側が鋭角的に尖った形状であってもよい。図6(a)〜(c)のように尖った先端形状であれば、ピン先端123aと接地導体層112との距離の制御精度が緩和するので好ましい。特に、図6(b)(c)のように鋭角的に尖った先端形状であれば、ピン先端123aと接地導体層112との距離の制御精度がより緩和するので好ましい。結果として、製造上、インピーダンス整合しやすいという利点がある。
伝送路122、開放スタブ122b、狭隘部122aなどの平面回路は、同様に、上基板124の表面側から、チタン(Ti)またはクロム(Cr)からなる膜、銅(Cu)からなる膜を、順に積層してなることができる。
接地導体層111および接地導体層112も基板101の表面側から、チタン(Ti)またはクロム(Cr)からなる膜、銅(Cu)からなる膜を、順に積層してなることができる。
図1〜図5に示した導波路100の製造方法について、図7を用いて説明する。図7は、モード変換器の製造過程における基板の要部を、製造工程の順に、段階的に示した正断面図である。
まず、準備工程として、図7(a)に示すように、基材として基板101を用意する。例えば、基板101は厚み100μm〜500μm程度のフレキシブル基板とされる。ここで「程度」とは、±50μmの厚み幅を持つことを意味する。基板101の表裏面には銅薄膜からなる導電層111,112が形成されたものとされる。
接地導体層111,112の厚みは少なくともミリ波帯の表皮深さよりも厚いことが望ましい。60GHzで表皮深さが270nmなので、2μm程度とすれば十分である。
凹部αは、ピン123の長さH4に対応する所望の深さ、かつ、径寸法H1に対応する太さまで形成される。孔部βは複数の導体柱114に対応して基板101を貫通するように形成され、かつ、孔部βは径寸法dを有するとともに、隣接する孔部βとの距離Xが直径dよりも小さくなるように形成される。
薄い基板を用いたモード変換器においては、導波路の厚みを薄くするほど、つまり、導波路が形成される基板を薄くするほど、ピン長さが伝送特性に影響する度合いが大きくなる。そのため、ピン長さをより一層精密に設計する必要がある。例えば、厚みが300μm以下の薄い導波路では、ピン長さを10μmレベルで制御する必要がある。
まず、基板101全表面にシート状のカバーを貼付し、凹部αに対応する部分のみ除去し貫通孔を形成する。この状態で、基板101全面に導電性ペーストをスクリーン印刷により塗布して凹部α内にペーストを充填する。その後、シートを除去して、図7(e)に示すように、開口111aにはペーストを充填せずに凹部α内のみペーストを充填した状態とする。
カバーとしては、たとえばステンレス、アルミ合金からなるメタルマスクが用いられ、る。
貫通孔形成としては、孔部β形成と同様にメタルマスクにエネルギーを調整したレーザー加工等を用いることが可能である。
なお、ペースト導体は、微細孔α内部に完全に充填されていなくともよいが、気密性を要求される場合などには、微細孔α内部に完全に充填されていることが望ましい。このように、ポスト壁導波路構造を形成する。
本発明のモード変換器のように小型化・薄型化しようとすると、必然的にピンも小さく形成する必要があり、そのためにはピンが形成される高アスペクト比の孔(微細孔)をさらに小さくする必要がある。しかしながら、小さな孔であるほどの内部に導体を形成することが困難となる。
本発明は、印刷法を用いて導電性ペースト微細孔の内部に充填しているため、微細孔の内奥まで導電性ペーストを充填することが可能となり、所望の長さのピンを安定的に形成することができる。
まず、準備工程として、図7(f)に示すように、基材として上基板124を用意する。上基板124は、基板101と同材のとされて、基板101の半分の厚みであるフレキシブル基板とされ、その表面には銅薄膜からなる導電層122Aが形成されたものとされる。
導体層122Aの厚みは少なくともミリ波帯の表皮深さよりも厚いことが望ましい。60GHzで表皮深さが270nmなので、2μm程度とすれば十分である。
この際、入力インピーダンス整合をとるためにそれぞれの平面回路における各寸法をそれぞれ設定する。具体的には、伝送路122の幅寸法および長さ寸法、開放スタブ122bの幅寸法および長さ寸法、開放スタブ122bにおけるGNDパッド126との離間形状、狭隘部122aの幅寸法および長さ寸法、貫通導体123Aの長さ寸法を例示できる。なお、図においては、平面回路として、伝送路122のみを示してある。
接着層124aとしては、LCPフィルムあるいはポリイミドとされる基板124に対してエポキシ系やアクリル系の接着剤、あるいはLCPによる接着層が用いられる。
この際、上基板124の全裏面にペースト状導電材料を塗布した後に、スキージ等で押圧して孔部γ内に充填する。この場合、たとえば印刷圧力0.25MPa〜0.5MPa
印刷速度5mm/sec〜30mm/secとすることができる。
なお、貫通導体123Aは、孔部γ内部に完全に充填されていなくともよいが、気密性を要求される場合などには、孔部γ内部に完全に充填されていることが望ましい。このように上部伝送構造を形成する。
基板101と上基板124とを貼り合わせる加熱加圧処理は、たとえば加熱温度180℃、圧力1MPa、加熱時間60minとすることができる。この加熱加圧処理は、接着層124aが接地導体層111表面に接着されるとともに、凹部αおよび孔部γ内に充填された導電性ペーストから形成される導体どうしが接続すればよく、平面回路が変形しない程度の処理条件とされる。
また、導体ペーストを充填してピン123を形成したため、ピン123が外力が作用した場合でも電気的に変形せず、入力インピーダンス整合を容易に維持することができる。
なお、開放スタブ122bは、伝送路122の片側だけに同じ張り出し長さを有するように設けた場合には、伝送路122の線路長が長くしたのと同等の効果を有する。また、開放スタブ122bは、伝送路122の延在する中心軸に対して対称に設けることが好ましい。また、伝送路122の両側で非対称とすることもできる。このように開放スタブ122bの形状・配置は入力インピーダンスとしてきわめて大きな効果を奏する。
このような構成により、電磁波進行方向の側壁が連続壁になっているため、導体の配置
が不連続であることによる電磁波姿態の乱れを防止することができる。
また、図12に示すように、矩形の導波路110のうち開口102以外の三辺にそれぞれ連続する孔β1,β3を形成し、対応したスリット壁141,143とするとともに、各辺の交わる部分には導体柱140を設けて、導波路110が離間した状態を形成することができる。
また、図13に示すように、矩形の導波路110のうち開口102以外の三辺にそれぞれ連続する長孔β1、β3を形成し、対応したスリット壁141、143とするとともに、各辺の交わる部分には導体柱140を設けて、反射部110が離間した状態を形成することができる。この場合、不連続部がポスト1個分のみであるため、この不連続部における電磁波の姿態の乱れを最小限に抑えることでき、且つ、図12に示した構造よりも機械的に安定した構造とすることができる。これらのように導波路110が離間して基板がモード変換器100となる導波路110内部側と外側で連続した状態を形成することで、基板101が分離してしまうことがない。
ミリ波通信モジュール用基板200は、モード変換器100と、モード変換器100の一例として上面側にフリップチップ接続された無線送受信機能素子を有する無線通信IC(半導体チップ)210を有している。ミリ波通信モジュール用基板200は、導波路100の形成された基板101表面に、GNDとなる接地導体層111および上基板124上の伝送路122が設けられるとともに、伝送路122と同階層とされる図示しない回路が設けられるとともに、伝送線路122終端のGSGパッド125と無線通信IC(半導体チップ)210の端子211が接続される。ミリ波等の高い周波数では、寄生インダクタンスの影響が非常に大きくなるため、ワイヤボンドよりもバンプによる短距離実装が望ましい。
図17に示すミリ波通信モジュール用基板200Aが、図16に示すミリ波通信モジュール用基板200と異なる点は、ピン端子(接続部)123bがGSGパッド125とされており、このピン端子123bに無線通信IC(半導体チップ)210の端子211が接続される。
これ以外の対応する構成には同一の符号を付して説明を省略する。また、GNDビア127に接続されるGNDパッド126には、無線通信IC(半導体チップ)210の端子212が接続される。このように、伝送路122、開放スタブ122b、狭隘部122a等を有しない平面回路とすることもできる。ミリ波通信モジュール用基板200Aでも、は、端子211,212は、ミリ波等の高い周波数において、寄生インダクタンスの影響が非常に大きくなるため、ワイヤボンドよりもバンプによる短距離実装が望ましい。
以下、本発明に係る実験例について説明する。
ピンと後方ポスト壁110Aの距離の最適化を60GHzで行なった。なお、ピン123長は基板101の厚さの半分とし、上基板124の厚さはピン123長の2/3に対応する値とした。このマイクロ波回路では反射損が−15dBより低くなるように設計されることが望ましい。ピン123と後方ポスト壁110A間距離の最適化を、使用周波数60GHzに対応する波長λに対し、通常最適化で使用されるλ/4ではなく、基板101の薄型化に対応してλ/2として最適化した。
図21に示す結果から、ピン123と後方ポスト壁110A間距離の最適化を使用周波数60GHzで行なっているため、60GHz周辺の幅1GHz程度の帯域に渡って−115dBを下回っていることが分かる。即ち帯域は2GHz程度である。
これは専ら、図20に示す平面回路形状では、入力インピーダンス整合が十分に取れてないという理由に起因すると考えられる。
図23は、インピーダンス不整合の問題を、狭隘部122aとしてインピーダンス整合手段を加え、調整を行なった後のシミュレーション結果となる。
インピーダンス整合という作業を行なったため、帯域は5GHzまで、大幅に広帯域化されていることが分かる。これに加えて、伝送路122の幅寸法および長さ寸法、開放スタブ122bの幅寸法および長さ寸法、開放スタブ122bとGSGパッド(高周波信号入力端子)125との離間状態を調整することにより、57〜66GHzの範囲で各々設定されている世界各国の免許不要の60GHz帯域を十分に満たすことができる。
この結果から、本発明は、導波路厚さが薄いときに十分な帯域を得ることが可能であることがわかる。
101a・・・表面、101b・・・裏面、111a・・・開口部、
110・・・導波路、111,112・・・接地導体層、114・・・導体柱、
120・・・励振ピン構造、122・・・平面回路(伝送路)、123・・・ピン、
123A・・・貫通導体、124・・・上基板(フレキシブル基板)、123b・・・ピン端子(接続部)、123c・・・ランド、125・・・GSGパッド(高周波信号入力端子)、
126・・・GNDパッド、127・・・GNDビア、
Claims (3)
- フレキシブル基板と、
前記フレキシブル基板の一方の主面および他方の主面に形成された接地導体層と、
前記フレキシブル基板の一方の主面側に形成された接続部と、
前記フレキシブル基板の一方の主面から所望の深さまで形成された微細孔と、
前記微細孔の内部に充填された導体からなり前記接続部に接続されるピンと、
を少なくとも備え、
前記導体が、多孔質体であることを特徴とするモード変換器。 - 前記フレキシブル基板の厚さが300μm以下であることを特徴とする請求項1記載の
モード変換器。 - 前記導体が、導電性ペーストを加熱処理することにより形成されていることを特徴とす
る請求項1または2記載のモード変換器。
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