以下、多層基板としてのヒータプレートを含むヒータを例に取って本開示の実施形態について説明する。以下で参照する図面は、説明の便宜上の模式的なものである。従って、細部は省略されていることがあり、また、寸法比率は必ずしも現実のものとは一致していない。また、ヒータは、各図に示されていない周知の構成要素をさらに備えていても構わない。
以下の説明において、各部材の材料について主成分と言うとき、主成分は、例えば、その材料の50質量%以上又は80質量%以上を占める成分である。また、各部材の形状について円形又は多角形等と表現するとき、特に断りが無い限り、厳密に円形又は多角形である必要は無い。例えば、多角形の角部は面取りされていてよいし、外縁に比較的小さな突部又は凹部等が形成されていてよい。
[実施形態]
(ヒータシステム)
図1は、実施形態に係るヒータ1の構成を示す模式的な分解斜視図である。図2は、図1のヒータ1を含むヒータシステム101の構成を示す模式図である。図2において、ヒータ1については、図1のII-II線断面図が示されている。図1は、ヒータ1の構造を示すために便宜的にヒータ1を分解して示しており、実際の完成後のヒータ1は、図1の分解斜視図のように分解可能である必要はない。
これらの図には、便宜上、ヒータ1に固定的な直交座標系XYZを付す。+Z方向は、例えば、鉛直上方である。ただし、ヒータ1は、必ずしも+Z方向を上方として利用される必要はない。以下では、便宜上、+Z方向が実際の上方であるものとして、上面及び下面等の用語を用いることがある。また、特に断りがない限り、単に平面視という場合、Z方向に見ることを指すものとする。
ヒータシステム101は、ヒータ1と、ヒータ1に電力を供給する電力供給部3(図2)と、電力供給部3を制御する制御部5(図2)と、を有している。ヒータ1と電力供給部3とは配線部材7(図2)によって接続されている。なお、配線部材7は、ヒータ1の一部と捉えられても構わない。また、ヒータシステム101は、上記に挙げた構成の他、例えば、ヒータ1に気体及び/又は液体を供給する流体供給部を有していてもよい。
(ヒータ)
ヒータ1は、例えば、概略板状(図示の例では円盤状)のヒータプレート9(符号は図2。多層基板の一例)と、ヒータプレート9から下方へ延びているパイプ11とを有している。
ヒータプレート9は、その上面13aに加熱対象物の一例としてのウェハWf(図2)が載置され(重ねられ)、ウェハWfの加熱に直接に寄与する。パイプ11は、例えば、ヒータプレート9の支持及び配線部材7の保護に寄与する。なお、ヒータプレート9のみがヒータと捉えられても構わない。
(ヒータプレート)
ヒータプレート9の上面13a及び下面13bは、例えば、概ね平面である。ヒータプレート9の平面形状及び各種の寸法は、加熱対象物の形状及び寸法等を考慮して適宜に設定されてよい。例えば、平面形状は、円形(図示の例)又は多角形(例えば矩形)である。寸法の一例を示すと、直径は20cm以上35cm以下、厚さは4mm以上30mm以下である。
ヒータプレート9は、例えば、絶縁性の基体13(符号は図2)と、基体13に埋設されている2つの第1抵抗発熱体15A及び第2抵抗発熱体15B(第1導体及び第2導体の一例)と、これら発熱体に電力を供給するための端子17とを備えている。なお、以下では、第1抵抗発熱体15A及び第2抵抗発熱体15Bを単に「抵抗発熱体15」といい、両者を区別しないことがある。抵抗発熱体15に電流が流れることによって、ジュールの法則に従って熱が発生し、ひいては、基体13の上面13aに載置されているウェハWfが加熱される。
(基体)
基体13の外形は、ヒータプレート9の外形を構成している。従って、上述のヒータプレート9の形状及び寸法に係る説明は、そのまま基体13の外形及び寸法の説明と捉えられてよい。基体13の材料は、例えば、セラミックである。セラミックは、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、酸化アルミニウム(Al2O3、アルミナ)、炭化珪素(SiC)、及び窒化珪素(Si3N4)等を主成分とする焼結体である。
図1では、基体13は、第1絶縁層19A~第5絶縁層19E(以下、単に絶縁層19といい、これらを区別しないことがある。)によって構成されている。なお、基体13は、絶縁層19となる材料(例えばセラミックグリーンシート)が積層されて作製されてもよいし、そのような方法とは異なる方法によって作製され、完成後に抵抗発熱体15等の存在によって概念的に複数の絶縁層19によって構成されていると捉えることができるだけであってもよい。
(抵抗発熱体)
抵抗発熱体15は、基体13の上面13a及び下面13bに沿って(例えば平行に)延びている。また、抵抗発熱体15は、平面視において、例えば、基体13の概ね全面に亘って延びている。図1では、第1抵抗発熱体15Aは、第2絶縁層19Bと第3絶縁層19Cとの間に位置している。第2抵抗発熱体15Bは、第3絶縁層19Cと第4絶縁層19Dとの間に位置している。換言すれば、2つの抵抗発熱体15は、互いに積層的に配置されており、第2抵抗発熱体15Bは、第1抵抗発熱体15Aに対して下面13b側に位置している。
平面視における各抵抗発熱体15の具体的なパターン(経路)は適宜なものとされてよい。例えば、各抵抗発熱体15は、その一端から他端まで自己に対して交差することなく延びている。また、図示の例では、抵抗発熱体15は、ヒータプレート9を2分割した各領域において、円周方向に往復するように(ミアンダ状に)延びている。この他、例えば、抵抗発熱体15は、渦巻状に延びていたり、一の半径方向において直線状に往復するように延びていたりしてよい。
平面視におけるパターン及び位置に関して、2つの抵抗発熱体15の相対関係は適宜なものとされてよい。例えば、両者は、互いに同一のパターンであってもよいし、互いに異なるパターンであってもよい。また、両者は、互いに重なっていてもよいし、互い重なっていなくてもよい。図示の例では、一方の抵抗発熱体15が他方の抵抗発熱体15の隙間の全部又は大半(例えば6割以上又は8割以上)に位置する(例えば隙間の全部又は大半を塞ぐ)関係となるパターンとされている。具体的には、両者は、概ね同一のパターンとされつつ、その位置が若干ずれている。
抵抗発熱体15を局部的に見たときの形状も適宜なものとされてよい。例えば、抵抗発熱体15は、上面13a及び下面13bに平行な層状導体であってもよいし、上記の経路を軸として巻かれたコイル状(スプリング状)であってもよいし、メッシュ状に形成されているものであってもよい。各種の形状における寸法も適宜に設定されてよい。また、この局部的に見たときの形状は、2つの抵抗発熱体15同士で互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。本実施形態の説明では、図2に示しているように、いずれの抵抗発熱体15も上面13aに平行な層状導体である場合を例に取る。
2つの抵抗発熱体15の材料は、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。本実施形態の説明では、両者が互いに同一である場合を例に取る。抵抗発熱体15の材料は、電流が流れることによって熱を生じる導体(例えば金属)である。また、抵抗発熱体15の材料は、導電ペーストを焼成して得られるものであってもよい。換言すれば、抵抗発熱体15の材料は、金属に加えて、ガラス粉末及び/又はセラミック粉末等の無機絶縁物を含むものであってもよい。
抵抗発熱体15の主成分となる導体(金属)の種類は、適宜に選択されてよく、例えば、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、プラチナ(Pt)若しくはインジウム(In)又はこれらを主成分とする合金である。抵抗発熱体15が導電ペーストの焼成によって作製される場合の抵抗発熱体15の材料の組成の一例を挙げると、当該材料は、91質量%以上94質量%以下のWと、1質量%以下のY2O3と、1質量%以上3質量%以下のAlNと、4質量%以上7質量%以下のAl2O3と含む。
(端子)
端子17は、例えば、各抵抗発熱体15の長さ方向両端に接続されている。また、図示の例では、1対の端子17が2つの抵抗発熱体15に対して共通に接続されている。別の観点では、2つの抵抗発熱体15は並列に接続されている。ただし、上記は、端子17と抵抗発熱体15との接続の一例に過ぎない。例えば、1つの抵抗発熱体15に電力を供給する3以上の端子17が設けられてもよい。また、抵抗発熱体15毎に1以上の端子17が設けられるなど、2つの抵抗発熱体15に対して別々に端子17が設けられてもよい。後述するように、抵抗発熱体15は、接続導体によって互いに接続されるから、2つの抵抗発熱体15のうち、一方に対してのみ端子17が接続されていてもよい。また、2つの抵抗発熱体15は、一部又は全部が直列に接続されていてもよい。
端子17は、例えば、基体13の厚みのうち、第1抵抗発熱体15Aから下面13bまでの厚み(第3絶縁層19C~第5絶縁層19E)を貫通している。そして、端子17は、2つの抵抗発熱体15に接続されているとともに基体13の外部へ露出している。これにより、ヒータプレート9の外部から抵抗発熱体15へ電力を供給可能になっている。端子17(抵抗発熱体15の両端)は、例えば、ヒータプレート9の中央側に位置している。なお、端子17と抵抗発熱体15との接続に関して上述した種々の態様から理解されるように、端子17は、基体13の厚みのうち第2抵抗発熱体15Bから下面13bまでの厚みのみを貫通するなど、図示以外の種々の態様とされてよい。
(パイプ)
パイプ11は、上下(軸方向両側)が開口している中空状である。別の観点では、パイプ11は、上下に貫通する空間11sを有している。パイプ11の横断面(軸方向に直交する断面)及び縦断面(軸方向に平行な断面。図2に示す断面)の形状は適宜に設定されてよい。図示の例では、パイプ11は、軸方向の位置に対して径が一定の円筒形状である。もちろん、パイプ11は、高さ方向の位置によって径が異なっていてもよい。また、パイプ11の寸法の具体的な値は適宜に設定されてよい。特に図示しないが、パイプ11には、気体又は液体が流れる流路が形成されていてもよい。
パイプ11は、セラミック等の絶縁材料から構成されていてもよいし、金属(導電材料)から構成されていてもよい。セラミックの具体的な材料としては、例えば、基体13の説明で挙げたもの(AlN等)が利用されてよい。また、パイプ11の材料は、基体13の材料と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
基体13とパイプ11との固定は、適宜な方法によってなされてよい。例えば、両者は、両者の間に介在する接着剤(不図示)によって固定されてもよいし、両者の間に接着剤を介在させずに、固相接合によって固定されてもよいし、ボルト及びナット(いずれも不図示)を利用して機械的に固定されてもよい。
(配線部材)
配線部材7は、パイプ11の空間11s内に挿通されている。平面透視において、ヒータプレート9のうち空間11s内に露出する領域では、複数の端子17が基体13から露出している。そして、配線部材7は、その一端が複数の端子17に接続されている。
複数の配線部材7は、可撓性の電線であってもよいし、可撓性を有さないロッド状のものであってもよいし、これらの組み合わせであってもよい。また、複数の可撓性の電線は、纏められて1本のケーブルのようになっていてもよいし、纏められていなくてもよい。
配線部材7と端子17との接続も適宜なものとされてよい。例えば、両者は、導電性の接合材によって接合されてよい。また、例えば、両者は、一方に雄ねじが形成され、他方に雌ねじが形成されることにより、螺合されていてもよい。
(導体層同士の接続)
図3(a)は、図2の領域IIIaを拡大して示す断面図である。
本実施形態では、2つの抵抗発熱体15同士は、基体13内に位置している接続導体21(図2では図示省略)によって互いに電気的に接続されている。この接続は、種々の位置で、及び/又は種々の目的でなされてよい。例えば、図1及び図2に例示したように、2つの抵抗発熱体15が並列接続されている態様において、2つの抵抗発熱体15のパターン(経路)の中途位置同士が接続されてよい。この場合、例えば、抵抗発熱体15の電位を安定化させたり、抵抗発熱体15の一部に断線が生じていても導通を維持したりすることができる。また、例えば、1対の端子17を第2抵抗発熱体15Bの両端のみに接続し、この1対の端子17から少しずれた位置にて第2抵抗発熱体15Bの両端付近と第1抵抗発熱体15Aの両端付近とを接続してよい。この場合、例えば、1対の端子17は、第1抵抗発熱体15Aの位置まで基体13を貫通しなくてもよく、設計の自由度が向上する。
接続導体21は、例えば、少なくとも一方の抵抗発熱体15(図示の例では双方)を貫通している。換言すれば、接続導体21は、第1抵抗発熱体15Aに接続されている部分に着目すると、第1抵抗発熱体15Aよりも下面13b側から第1抵抗発熱体15Aよりも上面13a側へ亘っている。同様に、接続導体21は、第2抵抗発熱体15Bに接続されている部分に着目すると、第2抵抗発熱体15Bよりも上面13a側から第2抵抗発熱体15Bよりも下面13b側へ亘っている。そして、接続導体21は、その側面において2つの抵抗発熱体15に接続(接合及び/又は当接)されている。
接続導体21の上端(上面13a側の端部)は、上記のように第1抵抗発熱体15Aよりも上面13a側に位置しつつも、上面13aまでは到達しておらず、基体13内に位置している。この上端は、他の導体には接続されていない。ここでいう他の導体は、例えば、抵抗発熱体15のように電流が流れることが意図されている配線又は電極であり、単なる接合用の導体は意味しない。すなわち、接続導体21の上端は、電気回路の観点において開放端となっている。接続導体21の上端について述べたが、本実施形態では、接続導体21の下端についても同様である。すなわち、接続導体21の下端は、基体13内に位置しているとともに電気的(回路的)に開放端を構成している。
接続導体21の形状及び各種の寸法等は適宜に設定されてよい。例えば、接続導体21は、概略、Z方向(2つの抵抗発熱体15の対向方向)の長さがXY平面に平行な方向(上面13aに平行な方向)における長さ(径)よりも長い軸状(柱状)である。ただし、接続導体21は、径が長さよりも長い形状であってもよい。接続導体21のXY平面に平行な横断面の形状及び大きさは、Z方向において一定であってもよいし(図示の例)、一定でなくてもよい。また、当該横断面の形状は、円形又は多角形等の適宜な形状とされてよい。
また、例えば、接続導体21が第1抵抗発熱体15Aよりも上方へ突出する突出量は、例えば、第1抵抗発熱体15Aの厚さよりも小さくてもよいし、同等でもよいし、大きくてもよい。下方への突出量も同様である。接続導体21の抵抗発熱体15の幅方向における幅(円柱状の接続導体21においては直径)は、抵抗発熱体15の幅よりも小さくてもよいし、同等でもよいし、大きくてもよい。例えば、接続導体21の直径は、抵抗発熱体15の幅よりも小さく、接続導体21は、平面視においてその全周に亘って抵抗発熱体15と接している。ただし、接続導体21は、平面視において側面の一部のみが抵抗発熱体15に接していてもよい。
(接続導体の具体的構成)
図3(b)は、図3(a)の領域IIIbの拡大図である。
接続導体21は、その芯材となる導電部材23と、導電部材23の表面の少なくとも一部を覆っている導電性の被覆部25とを有している。導電部材23及び被覆部25は、互いに異なる材料によって構成されている。
導電部材23は、接続導体21の体積の大部分を占めてよい。例えば、導電部材23の体積は、接続導体21の体積の6割以上、7割以上又は8割以上を占めてよい。また、例えば、導電部材23の径(XY平面に平行な方向)は、接続導体21の径の6割以上、7割以上又は8割以上を占めてよい。また、例えば、導電部材23の長さ(Z方向)は、接続導体21の長さの6割以上、7割以上又は8割以上を占めてよい。
また、別の観点では、導電部材23は、例えば、第1抵抗発熱体15Aと第2抵抗発熱体15Bとの距離以上の長さを有している。当該距離は、抵抗発熱体15のうちの、後述する主部15aにおける距離(別の観点では最短距離)であってもよいし、後述する傾斜部15bにおける距離(別の観点では抵抗発熱体15の接続導体21との接続位置における距離)であってもよい。そして、導電部材23の上端は、第1抵抗発熱体15Aよりも上方に位置しており、また、導電部材23の下端は、第2抵抗発熱体15Bよりも下方に位置している。ただし、特に図示しないが、導電部材23の上端は、第1抵抗発熱体15Aの位置から下方に位置していてもよいし、導電部材23の下端は、第2抵抗発熱体15Bの位置から上方に位置していてもよい。
導電部材23は、中実の部材であってもよいし(図示の例)、中空の部材であってもよい。導電部材23が中空の部材である場合において、導電部材23は、一方端又は両端が開放された形状であってもよいし、両端が閉じられた形状であってもよい。換言すれば、導電部材23の内部は、密閉されていてもよいし、密閉されていなくてもよい。密閉されていない場合においては、導電部材23の内部は、被覆部25と同一の材料が充填されていてもよいし、真空状態とされていてもよいし、気体が封入されていてもよい。また、導電部材23の内部には、絶縁体が配置されていてもよい。
上記のように、導電部材23は、接続導体21の大部分を構成する部材とされてよいことから、上述した接続導体21の形状及び寸法に係る説明は、導電部材23の形状及び寸法に援用可能である。確認的に記載すると、例えば、導電部材23は、概略、Z方向の長さがXY平面における径よりも長い軸状(柱状)である。ただし、導電部材23は、径が長さよりも長い形状であってもよい。導電部材23のXY平面に平行な横断面の形状及び大きさは、Z方向において一定であってもよいし(図示の例)、一定でなくてもよい。また、当該横断面の形状は、円形又は多角形等の適宜な形状とされてよい。
導電部材23が第1抵抗発熱体15Aよりも上方へ突出する突出量は、例えば、第1抵抗発熱体15Aの厚さよりも小さくてもよいし、同等でもよいし、大きくてもよい。下方への突出量も同様である。導電部材23の抵抗発熱体15の幅方向における幅(円柱状の導電部材23においては直径)は、抵抗発熱体15の幅よりも小さくてもよいし、同等でもよいし、大きくてもよい。例えば、導電部材23の直径は、抵抗発熱体15の幅よりも小さく、接続導体21は、平面視においてその全周に亘って直接に、又は被覆部25を介して間接に抵抗発熱体15と接続されている。ただし、接続導体21は、平面視において側面の一部のみが抵抗発熱体15に接続されていてもよい。
導電部材23は、各種の金属(純金属又は合金)によって構成されてよい。その主成分は、抵抗発熱体15の主成分と同一であってもよいし、異なっていてもよい。例えば、導電部材23の材料は、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、プラチナ(Pt)若しくはインジウム(In)又はこれらを主成分とする合金である。
また、導電部材23は、例えば、後述する製造方法の観点からは、金属バルク材(金属の塊)から構成されている。換言すれば、導電部材23は、導電ペーストが生のセラミック(基体13)と同時焼成されることによって作製されたものではない。従って、例えば、導電部材23は、導電ペーストからなる導体とは異なり、セラミック粉末及び/又はガラス粉末(無機絶縁物)を含んでいない。導電部材23の製造方法は適宜なものとされてよい。例えば、導電部材23は、粉末冶金又は鋳造によって作製されてよい。
被覆部25は、上述のように導電部材23の表面の少なくとも一部を覆っている。後述する種々の変形例からも理解されるように、被覆部25は、導電部材23の表面のうちの適宜な位置を覆ってよい。本実施形態では、被覆部25は、導電部材23の表面の全体を覆っている。すなわち、被覆部25は、導電部材23の側面(Z方向に平行な軸回りの外周面)の全体を覆っているとともに、導電部材23の両側の端面(Z方向に面する面)の全体を覆っている。そして、被覆部25は、導電部材23と抵抗発熱体15との間に介在して両者を接続(別の観点では接合)している。
被覆部25の、導電部材23の表面からの厚さは適宜に設定されてよい。例えば、被覆部25は、図示の例のように、膜又は層として概念できる厚さであってもよいし(面積に対して十分に薄くてもよいし)、図示の例とは異なり、そのように概念できない厚さを有していてもよい。被覆部25の厚さは、その全体に亘って概ね一定であってもよいし、部位毎に互いに異なっていてもよい。例えば、被覆部25の厚さは、導電部材23の側面を覆う部分と導電部材23の端面を覆う部分とで異なっていてもよいし(いずれが相対的に厚くてもよい)、XY平面に平行な方向の一方側の側面を覆う部分と他方側の側面を覆う部分とで異なっていてもよい。被覆部25の厚さは、抵抗発熱体15の厚さよりも薄くてもよいし、同等でもよいし、厚くてもよい。
被覆部25は、各種の金属によって構成されてよい。その主成分は、抵抗発熱体15の主成分及び/又は導電部材23の主成分と同一であってもよいし、異なっていてもよい。例えば、被覆部25の主成分は、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、プラチナ(Pt)若しくはインジウム(In)又はこれらを主成分とする合金である。被覆部25の材料の組成の一例を挙げると、当該材料は、93質量%以上96質量%以下のタングステン(W)と、4質量%以上7質量%以下のAl2O3を含む。
また、被覆部25は、例えば、後述する製造方法の観点からは、導電ペーストが生のセラミック(基体13)と同時焼成されることによって作製されてよい。換言すれば、被覆部25は、無機絶縁物等を含むものであってもよい。これらは、導電ペーストに当初から含まれるものであってもよいし、基体13の材料に由来するものであってもよい。具体例を挙げると、基体13の主成分として窒化アルミニウム(AlN)を用い、その焼結助剤としてY2O3を用いた場合においては、被覆部25には、Alの化合物(AlN及び/又はAl2O3)、Yの化合物(Y2O3)及び/又はAlとYの化合物(Y3Al5O12)などが20体積%以上含まれる。この場合、別の観点では、基体13(例えばその焼結助剤)と、被覆部25に含まれる金属化合物とは、互いに同じ金属元素(例えばY)を含む。
被覆部25となる導電ペーストの組成の一例を示す。導電ペーストは、例えば、93質量%以上96質量%以下のタングステン(W)と、4質量%以上7質量%以下のAl2O3を含む。WとAl2O3の質量を合計100質量部としたとき、導電ペーストは、アセトン20質量部以上50質量部以下、有機バインダ10質量部以上15質量部以下を含む。アセトンは、ペーストの粘度を調整するため可変であり、また、製造過程で蒸発して一部が無くなる。
(導電部材及び被覆部の材料の相違)
上記のように、導電部材23は、例えば、金属バルク材によって作製されており、被覆部25は、基体13と同時焼成される導電ペーストによって作製されている。この相違に起因して、両者の材料は、種々の相違点が存在している。別の観点では、各材料の種々の特徴から、金属バルク材によって作製されていること、又は導電ペーストによって作製されていることを特定することができる。以下では、金属バルク材(導電部材23)が粉末冶金によって作製されている態様を例に取り、導電部材23及び被覆部25の材料の種々の相違点を挙げる。
(粒径)
図4は、図3(b)の領域IVの拡大断面図である。なお、ヒータプレート9の鏡面加工された断面をSEM(Scanning Electron Microscope)によって撮像することによって、この断面図と同様の写真を得ることができる。
導電部材23は、金属からなる複数の第1結晶粒27を含んでおり、この複数の第1結晶粒27が互いに接していることによって構成されている。また、被覆部25は、金属からなる複数の第2結晶粒29を含んでおり、この複数の第2結晶粒29が互いに接していることによって構成されている。そして、第1結晶粒27の径(例えば円相当径。以下、特に断りが無い限り、同様。第2結晶粒29についても、また、粒径若しくは結晶粒径という場合も同様。)は、第2結晶粒29の径よりも大きい。
このような差が生じる理由は、以下のとおりである。導電部材23は、粉末冶金によって作製されていることから、焼結によって金属粉末の緻密化及び粒成長が進み、粒径が相対的に大きくなる。一方、被覆部25は、導電ペーストが生のセラミック(基体13)と同時焼成されて作製されていることから、金属粉末が焼結しにくい。その結果、金属粉末の粒径は、出発原料の段階の金属粉末の粒径と同等、又は当該粒径から若干粒成長した程度となり、相対的に小さくなる。
導電部材23内に微細な第1結晶粒27が存在したり、被覆部25内に特異的に大きい第2結晶粒29が存在したりして、一部の第1結晶粒27の径が一部の第2結晶粒29の径よりも小さい場合もあり得る。本実施形態の説明において、第1結晶粒27の径が第2結晶粒29の径よりも大きいという場合は、特に断りが無い限りは、代表値に関して、前者が後者に対して大きいことを指すものとする。代表値は、例えば、平均値、中央値又は最頻値であり、これらは個数基準であってもよいし、又は面積基準であってもよい。
第1結晶粒27の径が第2結晶粒29の径よりも大きいことは、図4に例示するように両者の差が大きい場合においては、図4のような断面写真の目視によって特定されてよい。また、後に例示する測定方法によって第1結晶粒27及び第2結晶粒29の径を測定して両者を比較してもよい。
第1結晶粒27及び第2結晶粒29それぞれの具体的な粒径は、適宜な大きさとされてよい。一例を挙げると、複数の第1結晶粒27の粒径は、円相当径の代表値(既述)が25μm以上120μm以下、又は30μm以上60μm以下である。一方、複数の第2結晶粒29の粒径は、円相当径の代表値が20μm以下又は5μm以下である。
粒径の測定は、適宜な方法とされてよい。例えば、まず、ヒータプレート9を切断し、切断面をダイヤモンド砥粒等の研磨剤を用いて鏡面に加工する。次に、SEMを用いて前記の鏡面を観察し、反射電子像の写真を撮影する。このときの倍率は、結晶粒径の代表値を得るのに十分な数(例えば30個以上)の第1結晶粒27及び第2結晶粒29が撮像されるものとする。第1結晶粒27の粒径の測定用の倍率と、第2結晶粒29の粒径の測定用の倍率とは異なっていてよい。次に、この写真(画像)について、画像解析ソフト「A像くん」(登録商標、旭化成エンジニアリング(株)製)の粒子抽出及び粒子解析という手法を適用して画像解析を行なう。これにより、結晶粒の粒径について種々の代表値を得ることができる。
(金属の含有割合)
導電部材23の金属の含有割合は、被覆部25の金属の含有割合よりも大きい。これは、既に述べたように、被覆部25には、導電ペーストに含まれていた無機絶縁物、及び/又は基体13の材料に由来する無機絶縁物が含まれることからである。無機絶縁物の具体例については既に述べた。導電部材23の金属の含有割合が被覆部25の金属の含有割合よりも大きいことは、図4のような断面写真の目視によって特定されてもよいし、後に例示する測定方法によって第1結晶粒27及び第2結晶粒29における金属の含有割合を測定することによって特定されてもよい。
導電部材23及び被覆部25それぞれにおける金属の含有割合は、適宜な大きさとされてよい。一例を挙げると、導電部材23における金属の含有割合は、図4のような断面において90面積%以上又は95面積%以上である。この値は、後述する気孔の面積%を考慮したものであってもよいし、考慮しないものであってもよい。被覆部25における金属の含有割合は、図4のような断面において60面積%以上80面積%以下である。この値は、例えば、後述する気孔の面積%を考慮しない(気孔の面積を分母に含めない)場合の値である。上記に例示した面積%の値は、体積%に適用されてもよい。
金属の含有割合の測定は、適宜な方法とされてよい。例えば、まず、粒径の測定で説明したように、SEMを用いてヒータプレート9の断面の鏡面の画像を得る。この画像において、金属の断面が現れている領域を黒く塗りつぶす。なお、画像における色相と金属(元素の種類)との対応関係は、EDS(Energy dispersive X-ray spectrometry)及び/又はEPMA(Electron Probe Micro Analyzer)等を用いた回析によって特定されてよい。そして、前述の「A像くん」の解析条件において、粒子の明度を「暗」とし、2値化の方法を「自動」とし、「シェーディング」を「有」とし、「A像くん」の粒子解析という手法を適用する。これにより、金属の面積比率を求めることができる。なお、このように得られた面積%は、体積%と捉えられても構わない。
ここで、被覆部25における金属の含有割合は、抵抗発熱体15における金属の含有割合よりも小さくてもよいし、同等でもよいし、大きくてもよい。例えば、被覆部25における金属の含有割合は、抵抗発熱体15における金属の含有割合に比較して、1面積%以上又は2面積%以上の差で大きくてよい。この面積%の値は、体積%に適用されてもよい。
(気孔率)
導電部材23における気孔率は、被覆部25における気孔率よりも小さい。これは、既に述べたように、導電部材23は、焼結によって緻密化が進む一方で、被覆部25は、焼結しにくく、ひいては、緻密化が進みにくいことからである。導電部材23における気孔率が被覆部25における気孔率よりも小さいことは、図4のような断面写真の目視によって特定されてもよいし、後に例示する測定方法によって気孔率を測定することによって特定されてもよい。
導電部材23及び被覆部25それぞれにおける気孔率は、適宜な大きさとされてよい。一例を挙げると、導電部材23における気孔率は、図4のような断面において5面積%以下である。被覆部25における気孔率は、図4のような断面において10面積%以上又は15面積%以下である。これらの面積%の値は、体積%に適用されてもよい。
気孔率の測定は、適宜な方法とされてよい。例えば、上記の金属の含有割合の測定方法において、金属の断面が現れている領域を黒く塗りつぶすことに代えて、気孔が現れている領域を黒く塗りつぶす。これにより、気孔の面積%を得ることができる。この面積%は、体積%と捉えられても構わない。
(接続導体付近における抵抗発熱体の形状)
図3(b)に戻って、抵抗発熱体15は、接続導体21に接続されている部分が基体13の上面13aに対して傾斜していてもよい。別の観点では、抵抗発熱体15は、概ね同一平面内に位置しており、抵抗発熱体15の大部分(例えば8割以上)を占めている主部15aと、主部15aに対して傾斜しており、接続導体21に接続されている傾斜部15bとを有していてよい。
傾斜部15bは、主部15aに対して、上面13a側及び下面13b側のいずれに傾斜してもよい。また、抵抗発熱体15が基体13の厚みの中央よりもZ方向の一方側にずれているときに、当該抵抗発熱体15の傾斜部15bは、前記一方側に傾斜していてもよいし、他方側に傾斜していてもよい。また、2つの抵抗発熱体15の傾斜部15bが傾斜する方向は、互いに同一であってもよいし、互いに逆であってもよい。図示の例では、第1抵抗発熱体15Aの傾斜部15bは、上面13a側に傾斜しており、第2抵抗発熱体15Bの傾斜部15bは、下面13b側に傾斜している。
傾斜部15bは、曲面状であってもよいし(図示の例)、平面状であってもよい。前者の場合、例えば、傾斜部15bは、接続導体21に近づくほど傾斜角が大きくなるように湾曲している。傾斜部15bの傾斜角及び長さ(例えば上面13aに平行な方向の長さ)は適宜な大きさとされてよい。例えば、傾斜部15bの傾斜角は、図3(b)のような断面写真において目視によって確認できる大きさである。また、例えば、傾斜部15bの上面13a(主部15a)に対する傾斜角は、最大値又は平均値が5°以上30°以下である。
(ヒータプレートの製造方法)
図5は、ヒータプレート9の製造方法の手順の一例を示すフローチャートである。また、図6(a)~図6(d)は、製造途中のヒータプレート9の一部を示す、図3(b)に相当する断面図である。各部材の材質及び形状等は、製造過程の進行に伴って変化する。ただし、説明の便宜上、材質及び形状等の変化の前後で同一の符号を用いる。
ステップST1では、焼成前の第1絶縁層19A~第5絶縁層19E(セラミックグリーンシート)を準備する(図6(a)参照)。
図示の例では、理解を容易にするために、ステップST2の前に全てのセラミックグリーンシートが準備されるものとしている。実際には、一部のセラミックグリーンシートは、ステップST2の後に作製されても構わない。他のステップについても同様に、実際には、各ステップの全部又は各ステップの一部は、図5を参照して説明される順序よりも前又は後に行われてよい。
ステップST2では、焼成前の第2絶縁層19B~第4絶縁層19Dと、焼成前の第1抵抗発熱体15A及び第2抵抗発熱体15B(第1導電ペースト層及び第2導電ペースト層)の積層体(第1積層体)を得る(図6(a)参照)。具体的には、例えば、第2絶縁層19Bの下面、又は第3絶縁層19Cの上面に第1抵抗発熱体15Aとなる第1導電ペースト層を配置し、第3絶縁層19Cの下面、又は第4絶縁層19Dの上面に第2抵抗発熱体15Bとなる第2導電ペースト層を配置し、第2絶縁層19B~第4絶縁層19Dを積層する。
ステップST3では、ステップST2で得た焼成前の第1積層体(第2絶縁層19B~第4絶縁層19D)に、接続導体21が配置される穴13hを形成する(図6(a)参照)。穴13hは、例えば、貫通孔である。なお、穴13hは、積層前に各セラミックグリーンシートに対して形成されてもよい。
ステップST4では、図6(b)に示すように、導電部材23(金属バルク材)及び焼成前の被覆部25(導電ペースト)を穴13hに配置する。具体的には、例えば、まず、導電部材23を穴13hに配置する。次に、導電部材23と穴13hとの隙間に被覆部25となる導電ペーストを充填する。ただし、上記とは逆に、導電ペーストを穴13h内に配置した後に導電部材23を穴13hに挿入してもよい。また、導電部材23の周囲に被覆部25となる導電ペーストを配置し、これを穴13hに配置してもよい。穴13hは、導電ペーストが隙間なく充填されてもよいし、一部(上端、下端、穴13hの内面付近及び/又は導電部材23の外面付近)に隙間が存在してもよい。
図6(b)に例示しているように、ステップST5に先立って、穴13hの両端の開口のうち一方は、焼成前の第1絶縁層19A又は第5絶縁層19E(図示の例では後者)によって塞がれてよい。そして、導電部材23及び導電ペースト(被覆部25)は、他方の開口から穴13h内に配置されてよい。ただし、穴13hの一方の開口が絶縁層19以外の部材によって塞がれた状態で導電部材23及び導電ペーストを配置するなど、図示とは異なる態様とされてもよい。
ステップST5では、図6(c)に示すように、穴13hの両端の開口のうち塞がれていなかったものを残りの焼成前の絶縁層(図示の例では第1絶縁層19A)によって塞ぐ。これにより、焼成前の第1絶縁層19A~第5絶縁層19Eからなる第2積層体が得られる。この際、矢印で示すように、適宜に積層方向に適宜に加圧がなされてよい。
ステップST6では、図6(d)に示すように、上記の第2積層体(生の基体13)を焼成する。焼成に伴って、基体13及び導電ペースト(抵抗発熱体15等)は、厚み方向及び平面方向に収縮する。一方、導電部材23は、金属バルク材であることから、そのような収縮を生じない。その結果、基体13(及び導電ペースト)は、導電部材23の周囲においては収縮量が減じられる。より詳細には、例えば、第3絶縁層19Cの厚み方向の収縮量は、導電部材23の周囲において低減される。その結果、第3絶縁層19Cを挟んで対向する2つの抵抗発熱体15は、導電部材23に近づくほど、互いの距離が長くなる。ひいては、傾斜部15bが形成される。
以上のとおり、本実施形態では、多層基板(ヒータプレート9)は、絶縁性の基体13と、第1導体(第1抵抗発熱体15A)と、第2導体(第2抵抗発熱体15B)と、接続導体21とを有している。基体13は、第1面(上面13a)及びその背面の第2面(下面13b)を有している。第1抵抗発熱体15Aは、基体13内にて上面13aに沿っている。第2抵抗発熱体15Bは、基体13内、かつ第1抵抗発熱体15Aに対して下面13b側にて上面13aに沿っている。接続導体21は、基体13内にて第1抵抗発熱体15Aと第2抵抗発熱体15Bとを接続している。また、接続導体21は、第1抵抗発熱体15Aよりも下面13b側から第1抵抗発熱体15Aよりも上面13a側へ亘っていることにより当該接続導体21の側面にて第1抵抗発熱体15Aに接続されている。接続導体21の上面13a側の端部は、基体13内に位置している。また、当該端部は、電流が流れる他の導体に接続されていない。
ここで、例えば、本実施形態とは異なり、接続導体21の上面と第1抵抗発熱体15Aの下面とを接続し、接続導体21の下面と第2抵抗発熱体15Bの上面とを接続する場合、接続導体21の上下の長さの製造誤差、及び2つの抵抗発熱体15の距離の製造誤差を小さくしなければならない。しかし、本実施形態では、そのような必要性が低減される。また、例えば、ヒータプレート9の温度が変化して接続導体21と基体13との間で熱膨張差が生じる場合、接続導体21は、一般には、基体13の厚み方向に長い形状であることから、基体13の厚み方向において熱膨張差が大きくなりやすい。ひいては、接続導体21と抵抗発熱体15との相対位置が基体13の厚み方向にずれやすい。しかし、接続導体21の側面が抵抗発熱体15と接続されていることにより、上記のような位置ずれが生じても、両者の接続が維持される。これらのことから、例えば、接続導体21と抵抗発熱体15との接続の信頼性が向上し、ひいては、第1抵抗発熱体15Aと第2抵抗発熱体15Bとの接続の信頼性が向上する。また、例えば、接続導体21の上端が第1抵抗発熱体15Aよりも上方に位置していることよって、前記上端は第1抵抗発熱体15Aから離れる。一方、接続導体21の上下方向への膨張に起因して生じるZ方向における応力は、接続導体21の上端から基体13へ伝わりやすい。従って、Z方向における応力が基体13に加えられる位置が抵抗発熱体15から離れ、抵抗発熱体15付近において基体13等に意図していない変形が生じる蓋然性が低減される。
また、本実施形態では、接続導体21は、導電部材23と、被覆部25とを有している。導電部材23は、第1抵抗発熱体15Aと第2抵抗発熱体15Bとの距離以上の長さを有している。被覆部25は、導電部材23を構成する材料とは異なる導電性の材料からなり、導電部材23の表面の少なくとも一部に接している。
この場合、例えば、接続導体21の内部と外部とで材料が異なることを利用して、種々の効果を得ることができる。例えば、導電部材23は電気抵抗の低減の観点において有利な材料としつつ、被覆部25は、抵抗発熱体15との接合強度の向上及び/又は熱膨張差(熱応力)の緩和の観点において有利な材料とすることができる。また、例えば、導電部材23を金属バルク材によって作製し、被覆部25を導電ペーストによって作製することができる。
上記のように、金属バルク材及び導電ペーストを用いる場合においては、例えば、基体13の焼成に伴う収縮によって導電部材23を確実に基体13に保持するとともに導電部材23と抵抗発熱体15とを確実に当接させることができる。加えて、例えば、被覆部25によって導電部材23と抵抗発熱体15の隙間を埋めて、かつ接合することができるので、導電部材23と抵抗発熱体15との接続の信頼性を向上させることができる。
また、本実施形態では、導電部材23は、互いに接触している導電性の複数の第1結晶粒27を有している。被覆部25は、互いに接触している導電性の複数の第2結晶粒29を有している。複数の第1結晶粒27の平均結晶粒径(例えば、円相当径の平均値)は、複数の第2結晶粒29の平均結晶粒径よりも大きい。
この場合、例えば、導電部材23において抵抗値を低減し、ひいては、接続導体21における意図していない発熱を低減することができる。なお、第1結晶粒27の平均結晶粒径が第2結晶粒29の平均結晶粒径よりも大きいことは、導電部材23が金属バルク材によって作製され、被覆部25が導電ペーストによって作製されたことの証拠の一つとなり得る。
また、本実施形態では、被覆部25の金属の含有割合が導電部材23の金属の含有割合よりも低い。
この場合、例えば、被覆部25の熱膨張係数は、金属の含有割合が高い場合に比較して、基体13の熱膨張係数に近くなる。その結果、接続導体21と基体13との熱膨張差が低減され、ひいては、基体13に加えられる熱応力が低減される。その結果、例えば、基体13にクラックが発生する蓋然性が低減される。なお、被覆部25における金属の含有割合が導電部材23における金属の含有割合よりも低いことは、導電部材23が金属バルク材によって作製され、被覆部25が導電ペーストによって作製されたことの証拠の一つとなり得る。
また、本実施形態では、被覆部25の気孔率が導電部材23の気孔率よりも高い。
この場合、例えば、被覆部25の弾性率は、気孔率が低い場合に比較して低くなる。ひいては、接続導体21と基体13との間の熱膨張差に起因して生じる熱応力が低減される。その結果、例えば、基体13にクラックが発生する蓋然性が低減される。なお、被覆部25における気孔率が導電部材23における気孔率よりも低いことは、導電部材23が金属バルク材によって作製され、被覆部25が導電ペーストによって作製されたことの証拠の一つとなり得る。
また、本実施形態では、導電部材23及び被覆部25は、互いに同一種類の金属を主成分として含んでいる。
この場合、例えば、導電部材23と被覆部25との接合強度が向上する。その結果、2つの抵抗発熱体15の接続の信頼性が向上する。
また、本実施形態では、第1抵抗発熱体15Aは、層状導体であり、主部15aと、傾斜部15bとを有している。主部15aは、上面13aに沿っている。傾斜部15bは、接続導体21に近い側が上面13a側又は下面13b側(本実施形態では上面13a側)に位置するように主部15aに対して傾斜しているとともに接続導体21に接続されている。
この場合、例えば、接続導体21と基体13との熱膨張差によって第1抵抗発熱体15Aが変形したときに、第1抵抗発熱体15Aは、変形前から傾斜していることから、変形によって生じる熱分布の変化が緩和される。なお、傾斜部15bが形成されていることは、接続導体21が金属バルク材(導電部材23)を含んで作製されたことの証拠の一つとなり得る。
また、本実施形態では、第1抵抗発熱体15Aにおいて、傾斜部15bは、接続導体21に近い側が上面13a側に位置するように主部15aに対して傾斜している。第2抵抗発熱体15Bにおいて、傾斜部15bは、接続導体21に近い側が下面13b側に位置するように主部15aに対して傾斜している。
この場合、例えば、基体13の厚み方向における接続導体21の熱膨張によって2つの抵抗発熱体15が互いに離反する方向に変形しても、抵抗発熱体15は、変形前から傾斜していることから、変形によって生じる熱分布の変化が緩和される。接続導体21付近において2つの抵抗発熱体15は、互いに離反する方向に変形する蓋然性が高いことから、熱分布の変化を緩和できる蓋然性が高い。
本実施形態では、上記のような多層基板(ヒータプレート9)は、ヒータシステム101に適用されている。ヒータシステム101は、ヒータプレート9と、第1抵抗発熱体15A及び第2抵抗発熱体15Bに電気的に接続されている電力供給部3と、を有している。
この場合、例えば、発熱量は、抵抗発熱体15に供給された電力によって規定されることから、接続導体21の接続の信頼性が向上し、電力供給部3から抵抗発熱体15へ至る経路の抵抗値が安定することによって、発熱量が安定する。
また、本実施形態では、ヒータプレート9の製造方法は、第1積層ステップ(ST2)と、穴形成ステップ(ST3)と、導体配置ステップ(ST4)と、第2積層ステップ(ST5)と、焼成ステップ(ST6)と、を有している。第1積層ステップでは、複数のセラミックグリーンシート(第2絶縁層19B~第3絶縁層19C)と、第1抵抗発熱体15Aとなる第1導電ペースト層と、第2抵抗発熱体15Bとなる第2導電ペースト層とを積層して第1積層体を得る。第1積層体における複数のセラミックグリーンシートは、基体13のうち少なくとも第1抵抗発熱体15Aよりも上面13a側の位置から第2抵抗発熱体15Bの位置までの部分(第2絶縁層19B及び第3絶縁層19C)となるものである。穴形成ステップでは、第1導電ペースト層(15A)よりも上面13a側の位置から第2導電ペースト層(15B)の位置まで亘っているとともに、第1積層体(19B~19D)の上面13a側の面及び下面13b側の面の少なくとも一方(実施形態では双方)に開口している穴13hを第1積層体に形成する。なお、第5絶縁層19Eを第1積層体の一部とみなし、凹部としての穴13hが形成されると捉えてもよい。導体配置ステップでは、接続導体21となる、金属バルク材(23)及び導電ペースト(25)の少なくとも一方(実施形態では双方)を穴に13hに配置する。第2積層ステップでは、穴13hの開口を塞ぐようにセラミックグリーンシート(第1絶縁層19A)を第1積層体(第2絶縁層19B~第4絶縁層19D)に重ねて第2積層体を得る。焼成ステップでは、第2積層体を焼成する。
従って、例えば、従来の多層基板の製造方法に類似した製造方法によって、接続導体21の側面と第1抵抗発熱体15Aとを接続する本実施形態の構成を実現することができる。また、金属バルク材(23)及び導電ペースト(25)を穴13hに配置して、導電部材23及び被覆部25を有する接続導体21を作製することによって、上述した種々の効果を得ることができる。
[変形例]
接続導体21及びその周辺の構成の変形例について以下に述べる。以下の説明では、基本的に、実施形態との相違点についてのみ述べる。従って、特に言及がない事項については、実施形態と同様とされてよい。また、実施形態の構成と対応する構成については、実施形態の構成と差異があっても、便宜上、実施形態の構成に付した符号と同一の符号を付すことがある。
(第1変形例)
図7(a)は、第1変形例に係る構成を示す、図3(b)に相当する図である。
この変形例では、導電部材23は、少なくとも一方の端部側(図示の例では下端側)ほど細くなる形状(テーパ状)とされている。換言すれば、導電部材23は、第1部位23aと、第1部位23aの径(別の観点では横断面の面積)よりも径が小さい第2部位23bとを有している。第1部位23aは、例えば、導電部材23のうち、上面13aから下面13bへの方向(Z方向)の中央部分を含む部分である。第2部位23bは、導電部材23のうちZ方向の端部を含む部分である。
第1部位23aにおいて、導電部材23の径は、Z方向において一定であってもよいし、第2部位23b側ほど小さくなっていてもよい(図示の例)。第2部位23bは、例えば、端部側ほど径が小さくなっている。ただし、第2部位23bの径は、図示の例とは異なり、第1部位23aの径よりも小さいことを条件として、Z方向に一定であってもよい。第1部位23aと第2部位23bとの径の差、両者のそれぞれのZ方向の長さ、各部位がテーパ状である場合のテーパ面の傾斜角等は適宜に設定されてよい。
また、この変形例では、被覆部25のうち導電部材23の側面を覆う部分の厚さが変化している。具体的には、例えば、上記のように導電部材23の径が端部側(-Z側)ほど小さくなっているのに対して、穴13hの径はZ方向において概ね一定である。そして導電部材23の径が-Z側ほど小さくなっている分だけ、被覆部25は、-Z側ほど厚くなっている。図7(a)では、導電部材23の側面のうち+Z側の領域を覆う被覆部25が描かれていない。これは、被覆部25が相対的に薄いために図示が省略されているだけと捉えられてもよいし、実際に被覆部25が設けられていないと捉えられてもよい。
このように、導電部材23が第1部位23a及び当該第1部位23aの径よりも径が小さい第2部位23bを有する形状であると、例えば、導電部材23のZ方向の位置によって、導電部材23(及び被覆部25)の熱膨張量を調整することができる。従って、例えば、抵抗発熱体15の近くにおいては導電部材23の体積を小さくし(及び被覆部25の体積を大きくし)、熱応力を低減し、接続の信頼性を向上させることができる。また、製造方法の観点からは、端部側が細くなっていることによって、導電部材23を穴13hへ挿入することが容易化される。単に第2部位23bが第1部位23aよりも径が小さいだけでなく、第2部位23bが端部側(下面13b側)ほど径が小さくなる形状を有している場合においては、上記の種々の効果が向上する。
(第2変形例)
図7(b)は、第2変形例に係る構成を示す、図3(b)に相当する図である。
この変形例では、被覆部25は、導電部材23の側面の全部又は大部分(例えば8割以上)を覆っておらず、導電部材23の端面のみを覆っている。又は、被覆部25において、導電部材23の端面を覆っている部分は、導電部材23の側面を覆っている部分に比較して、十分に厚い。例えば、前者は後者の2倍以上、5倍以上又は10倍以上である。図示の例では、導電部材23の両端において、被覆部25が設けられ、又は被覆部25が厚くされている。ただし、一端においてのみ、被覆部25が設けられ、又は被覆部25が厚くされていてもよい。
既に述べたように、接続導体21の長さ(Z方向)が接続導体21の径(XY平面に平行な方向)よりも長い場合においては、Z方向において接続導体21と基体13との間の熱膨張差が大きくなりやすい。そして、接続導体21の端面においてのみ被覆部25を設け、又は端面において被覆部25を厚くすることによって、被覆部25による熱応力の緩和の効果をZ方向において大きくすることができる。別の観点では、被覆部25の総量を低減することができる。
(第3変形例)
図8(a)は、第3変形例に係る構成を示す、図3(b)に相当する図である。
この変形例では、接続導体21と基体13との間に空隙31が構成されている。空隙31は、例えば、密閉されている。空隙31は、真空状態とされ、又は気体が存在している。真空状態は、実際には、大気圧よりも低い圧力の状態である。気体は、例えば、空気又は不活性ガス(例えば窒素)である。
空隙31は、具体的には、接続導体21に対して上面13a側及び下面13b側の少なくとも一方(図示の例では双方)に位置している。空隙31の形状及び大きさは適宜に設定されてよい。このような空隙31は、例えば、穴13hの容積に対して金属バルク材(導電部材23)及び導電ペースト(被覆部25)の体積を小さくすることによって形成できる。
このように空隙31が形成されていると、例えば、接続導体21の熱膨張によって大きな応力が基体13に加えられる蓋然性が低減され、ひいては、基体13にクラックが生じる蓋然性が低減される。特に、空隙31が接続導体21の上面13a側及び下面13b側の少なくとも一方に位置している場合においては、既に述べたように接続導体21はZ方向において熱膨張量が大きくなりやすいから、上記の効果が向上する。
(第4及び第5変形例)
図8(b)は、第4変形例に係る構成を示す、図3(b)に相当する図である。図8(c)は、第5変形例に係る構成を示す、図3(b)に相当する図である。
第4変形例は、第3変形例の空隙31を第1変形例(図7(a))に適用したものである。第5変形例は、第3変形例の空隙31を第2変形例(図7(b))に適用したものである。これらの変形例においても、第3変形例と同様の効果が奏される。ここで、第1変形例及び第2変形例は、被覆部25の体積が導電部材23のZ方向の一方側又は両側において相対的に大きく確保されることによって、導電部材23のZ方向における熱膨張に起因する熱応力を緩和しやすい構成である。このような構成に空隙31が組み合わされることによって、基体13に加えられる応力を低減する効果が向上する。
(第6変形例)
図9(a)は、第6変形例に係る構成を示す、図3(b)に相当する図である。
図9(a)では、接続導体221には、導電部材23及び被覆部25の区別が示されていない。接続導体221は、図示そのままに、金属バルク材のみ、又は導電ペーストのみから構成されていると捉えられてもよいし、導電部材23及び被覆部25の図示が省略されているだけと捉えられてもよい。ただし、後者の場合において、導電部材23の形状は、例えば、接続導体221の形状と概ね同様の形状(接続導体221の形状を一回り小さくした形状)であるものとする。後述する第7変形例(図9(b))についても同様である。
この変形例では、接続導体221は、断面視において台形状に構成されている。すなわち、接続導体221の側面は、台形の脚を構成しており、接続導体221の上面及び下面は、台形の上底及び下底を構成している。図示の例では、上底(相対的に短い底)が上面13a側に、下底が下面13b側に位置しているが、上底及び下底の位置関係は図示とは逆であってもよい。そして、接続導体221(又は導電部材23)は、台形の脚において、抵抗発熱体15と接続されている。
別の観点では、接続導体221(穴13h)は、基体13の厚さ方向に対して傾斜する傾斜面を有している。そして、接続導体221は、上記の傾斜面において抵抗発熱体15と接続されている。傾斜面の傾斜角は適宜に設定されてよい。図示の例では、2つの抵抗発熱体15の双方が傾斜面において接続導体221(導電部材23)と接続されている。図示の例とは異なり、一方の抵抗発熱体15のみが傾斜面において接続導体221と接続されていてもよい。
このような構成は、例えば、接続導体221(又は導電部材23)として、断面視で台形状の金属バルク材を用いることによって実現することができる。穴13hは、例えば、焼結に伴う収縮の際に、その内面が金属バルク材の外面に密着することによって図示の形状になる。ただし、穴13hは、接続導体221となる導体が配置される前から図示の形状又はこれに類似する形状にされてもよい。この場合には、接続導体221として導電ペーストのみを用いることも可能である。
この変形例においては、例えば、接続導体221(又は導電部材23)として、図示の形状の金属バルク材を用いると、基体13の、焼結によって平面方向(XY平面)に収縮する力を台形の脚に沿って上底側へ向けることができる。その結果、抵抗発熱体15の傾斜部15bは、上底側に傾斜しやすくなる。すなわち、傾斜部15bの傾斜方向を制御しやすくなる。また、例えば、抵抗発熱体15は、平面方向において接続導体21側へ移動しつつ台形の脚に沿って上底側へ移動するから、図示のように、台形の脚に対する接触面積が増加する。これにより、接続の信頼性が向上する。また、例えば、接続導体221がZ方向に熱膨張したときに、その力をXY方向へ逃がしやすくなる。当該効果は、接続導体221が導電ペーストのみから構成される場合にも生じる。
(第7変形例)
図9(b)は、第7変形例に係る構成を示す、図9(a)と同様の図である。
上記の第6変形例に係る説明から理解されるように、第6変形例で述べた効果は、接続導体が断面視において台形状の態様だけでなく、接続導体が抵抗発熱体15との接続位置において傾斜面を有している種々の態様において奏される。そして、第7変形例では、接続導体321は、台形状ではなく、六角形状とされている。2つの抵抗発熱体15の傾斜部は、第6変形例とは異なり、互いに逆向きに傾斜している。
以上の実施形態及び変形例において、ヒータプレート9は多層基板の一例である。上面13a及び下面13bは、一方が第1面の一例であり、他方が第2面の一例である。第1抵抗発熱体15A及び第2抵抗発熱体15Bは、一方が第1導体の一例であり、他方が第2導体の一例である。第1抵抗発熱体15A及び第2抵抗発熱体15Bの一方において、主部15a及び傾斜部15bは第1主部及び第1傾斜部の一例である。第1抵抗発熱体15A及び第2抵抗発熱体15Bの他方において、主部15a及び傾斜部15bは第2主部及び第2傾斜部の一例である。焼成前の絶縁層19は、セラミックグリーンシートの一例である。焼成前の第1抵抗発熱体15A及び第2抵抗発熱体15Bは、第1導電ペースト層及び第2導電ペースト層の一例である。導電部材23は金属バルク材の一例である。焼成前の被覆部25は導電ペーストの一例である。
本開示に係る技術は、以上の実施形態及び変形例に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
上述した実施形態及び各種の変形例は適宜に組み合わされてよい。例えば、図7(b)に示した、導電部材23の端面に被覆部25が設けられる、又は導電部材23の端面において被覆部25が厚くされる構成は、図9(a)及び図9(b)の形状と組み合わされてよい。また、例えば、図8(a)~図8(c)に示した空隙31も図9(a)及び図9(b)の形状と組み合わされてよい。
実施形態では、多層基板として、加熱機能を有するヒータプレートを例に取った。ただし、多層基板は、他の機能を有するものであってもよい。例えば、多層基板は、静電チャック、又はプラズマ発生用電極部材であってもよいし、これら及びヒータの2つ以上の組み合わせとして機能するものであってもよい。さらに、多層基板は、回路基板であっても構わない。
別の観点では、第1導体及び第2導体は、実施形態では加熱用の抵抗発熱体であったが、他の用途の導体であってよく、例えば、静電チャック用の電極、又はプラズマ発生用の電極であってもよい。多層基板は、これらの電極及び抵抗発熱体の1つ、又は2以上の組み合わせを有していてもよい。第1導体及び第2導体は、例えば、全体として、基体(13)の上面に沿って広がっている(上方に面している)といえる形状を有している導体とされてよい。また、例えば、平面視において第1導体全体又は第2導体全体を囲む最小の円形又は矩形を仮定したときに、当該円形又は矩形により囲まれた領域は、基体の上面の6割以上又は8割以上を占めてよい。
また、第1導体及び第2導体は、抵抗発熱体又は電極のように多層基板の機能を直接に担う導体でなくてもよく、例えば、配線であっても構わない。従って、例えば、接続導体は、抵抗発熱体と、抵抗発熱体よりも下面側に位置している層状導体からなる配線とを接続するものであってもよい。この場合、ヒータは、2層以上の抵抗発熱体を有するものではなく、抵抗発熱体を1層のみ有するものであってもよい。
実施形態では、導電部材は、第1導体と第2導体との距離(2つの抵抗発熱体15の距離)以上の長さとされた。ただし、導電部材は、上記距離よりも短くてもよい。また、接続導体は、その側面において第1導体及び第2導体の双方と接続されていなくてもよい。すなわち、接続導体は、その側面において第1導体と接続されている一方で、その端面において第2導体と接続されていてもよい。基体の材料は、セラミックに限定されず、例えば、樹脂であってもよい。