JP7400854B2 - 静電チャック部材、静電チャック装置、および静電チャック部材の製造方法 - Google Patents

静電チャック部材、静電チャック装置、および静電チャック部材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、静電チャック部材、静電チャック装置、および静電チャック部材の製造方法に関する。
半導体製造工程では、真空環境下で半導体ウエハを保持する静電チャック装置が用いられている。静電チャック装置は、載置面に半導体ウエハ等の板状試料を載置し、板状試料と電極層との間に静電気力を発生させて、板状試料を吸着固定する。近年、静電チャック装置の高機能化に伴い、静電チャック部材の内部に、静電吸着用以外の様々な電極層が埋め込まれたものが開発されている。特許文献1には、4枚の板体と、当該板体の間に配置される3つの電極層を有する電極内蔵型サセプタが開示されている。特許文献1において、それぞれの電極には、板体を貫通して延びる給電用端子が接続されている。
特開2004-55608号公報
従来構造では、電極層に接続される給電部は、複数の板体を跨いで延びる。従来構造で、給電部と電極層とをホットプレスなどの加圧を伴う手段で一体的に接合しようとすると、給電部とが重なる部分で板体に大きな圧力がかかり、板体の絶縁性が低下する虞があった。これにより、静電チャック部材の信頼性が損なわれる虞があった。
本発明は、信頼性が高い静電チャック部材、静電チャック装置、および静電チャック部材の製造方法を提供することを目的の一つとする。
本発明の1つの態様の静電チャック部材は、試料を搭載する載置面と前記載置面の反対側に位置する下面とが設けられ、厚さ方向に積層され互いに接合された第1板体、第2板体、および第3板体と、前記第1板体と前記第2板体との間に位置する、第1電極層と、前記第2板体と前記第3板体との間に位置する給電部接合層と、前記第2板体に埋め込まれ、前記第1電極層と前記給電部接合層とを繋ぐ柱状の第1給電部と、前記第3板体に埋め込まれ、前記給電部接合層から前記下面側に延びる柱状の第2給電部と、を備え、前記第1電極層と前記第2給電部は、前記第1給電部、および前記給電部接合層を介して、電気的に接続されており、前記第1電極層、前記給電部接合層、前記第1給電部、前記第2給電部は、絶縁性物質と導電性物質の複合焼結体である。
上記の静電チャック部材において、前記第2給電部は、前記第1給電部と前記給電部接合層を挟んで対向して配置される構成としてもよい。
上記の静電チャック部材において、前記第2板体と前記第3板体との間に位置する、第2電極層と、前記第3板体に埋め込まれ前記第2電極層から前記下面側に延びる柱状の第3給電部と、を備える構成としてもよい。
上記の静電チャック部材において、前記第1板体と前記第2板体との間であって前記第1電極層とは異なる位置に配置される第1絶縁性接合層、又は、前記第2板体と前記第3板体との間であって前記第2電極層および前記給電部接合層とは異なる位置に配置される第2絶縁性接合層のうち、少なくとも一方を備え、前記第1絶縁性接合層、および前記第2絶縁性接合層は、前記第1板体、前記第2板体、および前記第3板体とは、異なる材料からなる構成としてもよい。
上記の静電チャック部材において、前記第1給電部の外周面と前記第2板体との間の隙間、および前記第2給電部の外周面と前記第3板体との間の境界は、緻密に接合されている構成としてもよい。
本発明の1つの態様の静電チャック装置は、上記の静電チャック部材と、前記静電チャック部材を前記載置面の反対側から支持するベース部材と、を備える。
本発明の1つの態様の静電チャック部材の製造方法は、第1板体、第2板体、および第3板体を焼結する板体焼結工程と、第1給電部と第2給電部と第3給電部とを焼結する給電部焼結工程と接合焼結工程と、を備え、前記接合焼結工程は、前記第1板体と、前記第2板体と、前記第3板体と、前記第2板体の第1貫通孔に挿入される第1給電部と、前記第3板体の第2貫通孔に挿入される前記第2給電部と、前記第3板体の第3貫通孔に挿入される前記第3給電部と、前記第1板体と前記第2板体との間に配置される第1電極層と、前記第2板体と前記第3板体との間に配置される第2電極層と、前記第1給電部と前記第2給電部の間に配置される給電部接合層と、を焼結することで相互に接合して一体化する工程である。
本発明の1つの態様によれば、信頼性が高い静電チャック部材、静電チャック装置、および静電チャック部材の製造方法が提供される。
図1は、一実施形態の静電チャック装置を示す断面模式図である。 図2は、一実施形態の第3給電部と端子部材の接続部の断面模式図である。 図3は、変形例1の第3給電部と端子部材の接続部の断面模式図である。 図4は、変形例2の第3給電部と端子部材の接続部の断面模式図である。 図5は、一実施形態の静電チャック部材の製造方法を示す断面模式図である。 図6は、端子部材をロウ付けした実施例1のサンプル給電部の周囲の超音波探傷試験の撮像写真である。 図7は、端子部材をロウ付けした実施例2のサンプルの給電部の周囲の超音波探傷試験の撮像写真である。
以下、本発明の静電チャック装置の各実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法比率を適宜異ならせて表示する場合がある。
また、各図には、Z軸を図示する。本明細書において、Z軸は載置面と直交するする方向である。また、載置面10sが向く方向を+Z方向、および上側とする。本明細書では、載置面10sを上側に向けた姿勢を基に、上下方向を規定して各部を説明するが、静電チャック装置1の使用時の姿勢は、この方向に制限されない。
<静電チャック装置>
図1は、本実施形態の静電チャック装置1を示す断面模式図である。
静電チャック装置1は、ウエハ(試料)Wを搭載する載置面10sが設けられる静電チャック部材2と、静電チャック部材2を載置面10sの反対側から支持するベース部材3と、静電チャック部材2に電圧を付与する端子部材35と、を備える。なお、静電チャック部材2の上面の外周部には、ウエハWを囲むフォーカスリングが配置されていてもよい。
<静電チャック部材>
静電チャック部材2は、円盤状である。静電チャック部材2は、基体10に設けられる載置面10sでウエハWを吸着する。
以下の説明において、上下方向(Z軸方向)を静電チャック部材2、およびの厚さ方向と呼ぶ場合がある。すなわち、静電チャック部材2、および基体10は、載置面10sに直交する方向を厚さ方向とする。
(基体)
基体10は、平面視で円形の板状である。基体10には、ウエハWが載置される載置面10sと載置面10sの反対側に位置する下面10tと、が設けられる。載置面10sには、例えば複数の突起部(図示略)が所定の間隔で形成されている。載置面10sは、複数の突起部の先端部でウエハWを支持する。
基体10は、板体11(第1板体(板体)11a、第2板体(板体)11b、第3板体(板体)11c)と、第1電極層(導電層)13と、第2電極層(導電層)14と、給電部接合層(導電層)15と、給電部30(第1給電部(給電部)31、第2給電部(給電部)32、第3給電部(給電部)33)と、絶縁性接合層16(第1絶縁性接合層(絶縁層)16d、第2絶縁性接合層(絶縁層)16e)とからなる。
第1板体11a、第2板体11b、および第3板体11cは、載置面10sに沿って延びる板状である。第1板体11a、第2板体11b、および第3板体11cは、上側から下側に向かってこの順で厚さ方向に積層される。
第1絶縁性接合層16dおよび第1電極層13は、第1板体11aと第2板体11bとの間であって第1電極層13とは異なる位置に配置され、第1絶縁性接合層16dは第1電極層13の外周部に配置される。
第1板体11aと第2板体11bとは、第1絶縁性接合層16dおよび第1電極層13を介して接合される。
同様に、第2絶縁性接合層16e、第2電極層14および給電部接合層15は、第2板体11bと第3板体11cとの間に配置される。給電部接合層15は第2電極層14の内側に配置される。第2絶縁性接合層16eは第2電極層14の外周部および給電部接合層15と第2電極層14の間に配置される。すなわち、第2絶縁性接合層16eは、第2板体11bと第3板体11cとの間であって第2電極層14および給電部接合層15とは異なる位置に配置される。第2板体11bと第3板体11cとは、第2絶縁性接合層16e、第2電極層14および給電部接合層15を介して接合される。
第1給電部31は第2板体11bに設けた第1貫通孔12aに設置され、第2板体11b、第1電極層13および給電部接合層15と接合される。第2給電部32は第3板体11cに設けた第2貫通孔12bに設置され、第3板体11c、および給電部接合層15と接合される。第3給電部33は第3板体11cに設けた第3貫通孔12cに設置され、第3板体11c、および給第2電極層14と接合される。
基体10は、第1板体11a、第2板体11b、および第3板体11cが、互いに接合されているセラミックス接合体である。基体10に予め焼結された第1板体11a、第2板体11b、および第3板体11cを接合して用いることで、板体11の焼結過程における収縮や変形の影響を少なくして基体10を作ることができ、寸法精度や耐電圧が良好なものが得られる。特に、基体10が焼結による変形がなく接合して作られるため、板体11と電極層13、14および(または)、板体11と給電部30の境界が平坦に構成されるため、静電チャックとして使用した際の電界集中に起因する、放電や絶縁破壊を防ぐことできる。なお、基体10は、第1絶縁性接合層16d、および第2絶縁性接合層16eを有していなくてもよい。この場合、第1板体11aと第2板体11bとは、直接的に接合される。
(板体)
第1板体11a、第2板体11b、および第3板体11cは、機械的に十分な強度を有し、かつ腐食性ガスおよびそのプラズマに対する耐久性を有するセラミックス焼結体からなる。板体11を構成する材料としては、機械的な強度を有し、しかも腐食性ガスおよびそのプラズマに対する耐久性を有するセラミックスが好適に用いられる。
第1板体11a、第2板体11bおよび第3板体11cの厚さは静電チャックを使用する目的や使用する条件などにより適宜選定することができるが、一般的には第1板体11aの厚さは0.3mm以上0.8mm以下のものが用いられる。第2板体(板体)11bの厚さは1mm以上10mm以下であることが好ましく、2mm以上8mm以下であることがより好ましい。第3板体11c厚さは1mm以上10mm以下であることが好ましく、2mm以上8mm以下であることがより好ましい。
第1板体11a、第2板体11b、および第3板体11cを構成するセラミックスとしては、例えば、酸化アルミニウム(Al)焼結体、窒化アルミニウム(AlN)焼結体、酸化アルミニウム(Al)-炭化ケイ素(SiC)複合焼結体、サファイア基板(Al単結晶)などが好適に用いられ、半導体製造装置への汚染を防ぐためにアルミニウム(Al)およびケイ素(Si)以外の金属不純物および焼結助剤の含有量が0.1%以下であることが好ましい。
特に、高温での誘電特性、高耐食性、耐プラズマ性、耐熱性の観点から、第1板体11a、第2板体11b、第3板体11cの主成分は、酸化アルミニウム(Al)であることが好ましい。
なお、本発明におけるセラミックスとは無機材料からなる固体を示し、単結晶体や非晶質体もセラミックスに含む。第1板体11a、第2板体11b、および第3板体11cを構成するセラミックスとして単結晶や非晶質体からなる基板を用いた場合においても、基体10を作る際に、第1板体11a、第2板体11b、および第3板体11cに予め焼結した焼結体を用いる場合と同様に、収縮して変形することを防ぐという効果を得ることが出来る。すなわち、単結晶や非晶質体からなる板体11を用いた場合においても、板体11を他の部位(絶縁性接合層16、電極層13、14、および給電部30)と接合する際に大きく収縮して変形することがない。このため、板体11と他の部位との境界を平坦に構成することができ、電界集中に起因する、放電や絶縁破壊を防ぐことできる。
第1板体11a、第2板体11b、および第3板体11cの主成分を酸化アルミニウムとすることで、板体11同士の接合温度を高くすることができる。さらに、第1板体11a、第2板体11b、および第3板体11cを酸化アルミニウムと炭化ケイ素との複合焼結体とすることで、板体11同士の接合温度を高くしても板体11の粒径が過大に大きくなることを防ぐことができるため板体11の耐電圧性と耐プラズマ性を両立することができ、第1板体11aの誘電率を大きくすることができ、静電チャックとして使用した場合の吸着力を高くすることができる。
第1板体11a、第2板体11b、第3板体11c、の主成分である絶縁性物質(例えば、酸化アルミニウム)の平均一次粒子径は、10μm以下であることが好ましく、4.0μm以下であることがより好ましい。基体10を構成する絶縁性物質の平均一次粒子径を10μm以下とすることで、板体11の耐プラズマ性を向上することができ、機械的強度が十分高いものとなり、欠け(チッピング)が生じ難くなる。
なお、常圧焼結によって板体11を製造した場合、板体11の密度を98%以上とし、電極層13、14が接合された基体10を作製すると、板体11の主成分の平均一次粒径は10μmを超える。基体10の平均一次粒径を10μm以下とするために、板体11はホットプレスやHIP(熱間等方加圧装置)などを用いて加圧しながら焼結を行う必要がある。
また、耐電圧の観点から、第1板体11a、第2板体11b、および第3板体11cの主成分の平均一次粒径は、0.5μm以上であることが好ましい。すなわち、板体11の主成分の平均一次粒径は、0.5μm以上10μm以下(より好ましくは、4.0μm以下)であることが好ましい。
なお、第1板体11a、第2板体11b、および第3板体11cの主成分の平均一次粒子径の測定方法は、次の通りである。日本電子社製の電解放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)で、基体10の厚さ方向の切断面を観察し、インターセプト法により主成分である絶縁性物質200個の粒子径の平均を平均一次粒子径とする。なお、サンプルの切断面は、回転する円盤状の砥石を用いてサンプルを厚さ方向に切断した面を鏡面研磨およびサーマルエッチングすることで形成する。また、各評価において、サンプルの切断方法は同様である。
第1板体11a、第2板体11b、および第3板体11cは、相対密度が98%以上であることが好ましい。前記各層の相対密度を98%以上とすることで、耐プラズマ性や耐電圧性を十分に高めることができる。なお、相対密度は、アルキメデス法を用いてみかけ密度を測定し、理論密度との比により求めてもよく、また、鏡面加工をした断面を走査電子顕微鏡や光学顕微鏡などで観察し気孔率を測定することで求めてもよい。
なお、加圧しながら焼結を行うことで、第1板体11a、第2板体11b、および第3板体11cとして難焼結性の材料や酸化アルミニウムと炭化ケイ素との複合焼結体を用いる場合など、常圧焼結では相対密度が98%以上することができない材料を用いる場合においても前記各板体11と絶縁性接合層16との相対密度を98%以上とすることができる。
第1板体11a、第2板体11b、および第3板体11cの耐電圧は8kV/mm以上であることが好ましく、12kV/mm以上であることがより好ましく、15kV/mm以上であることが最も好ましい。なお、第1板体11a、第2板体11b、第3板体11c、第1絶縁性接合層16d、および第2絶縁性接合層16eを構成する材料は、主成分が同一であれば、その他の材料の種類、および構成比率が互いに異なっていても、耐電圧を高めるという上述の効果を得ることができる。
(絶縁性接合層)
第1絶縁性接合層16d、および第2絶縁性接合層16eは、機械的に十分な強度を有し、かつ腐食性ガスおよびそのプラズマに対する耐久性を有する焼結体からなる。
第1絶縁性接合層16dと、第2絶縁性接合層16eの厚さは200μm以下とすることが好ましく、120μm以下とすることがより好ましい。第1絶縁性接合層16dと、第2絶縁性接合層16eの厚さを200μm以下とすることで基体10の外周面がプラズマに晒された際の耐電圧の低下を防ぐことができる。
第1絶縁性接合層16dおよび第2絶縁性接合層16eの耐電圧は、8kV/mm以上であることが好ましく、12kV/mm以上であることがより好ましく、15kV/mm以上であることが最も好ましい。第1絶縁性接合層16dと、第2絶縁性接合層16eの幅は静電チャックとして使用した場合の耐電圧が確保できる範囲で狭い方が好ましく、0.5mm以上2mm以下の値が好適に用いられる。なお、基体10に予め焼結された第1板体11a、第2板体11b、および第3板体11cを接合して用いることで、接合する際の収縮量が小さくなるため、第1絶縁性接合層16dと、第2絶縁性接合層16eの幅のばらつきを小さくすることができ、第1絶縁性接合層16dと、第2絶縁性接合層16eの幅を1mm以下とした場合においても信頼性の高い静電チャックとすることができる。
第1絶縁性接合層16d、および第2絶縁性接合層16eを構成する誘電体材料としては、機械的な強度を有し、しかも腐食性ガスおよびそのプラズマに対する耐久性を有するセラミックスが好適に用いられる。第1絶縁性接合層16d、および第2絶縁性接合層16eを構成するセラミックスとしては、例えば、酸化アルミニウム(Al)焼結体、窒化アルミニウム(AlN)焼結体、酸化アルミニウム(Al)-炭化ケイ素(SiC)複合焼結体などが好適に用いられる。
さらに、第1絶縁性接合層16d、および第2絶縁性接合層16eを構成する材料には板体11どうしの接合を良好に行うことができる材料を使用することが好ましい。接合を良好に行うためには、第1板体11a、第2板体11b、第3板体11cと主成分が同一であり、第1板体11a、第2板体11b、第3板体11cとは配合や粒径が異なる材料を使用することが好ましく、焼結性の高い材料を使用することが好ましい。
本実施形態において、絶縁性接合層16(第1絶縁性接合層16d、および第2絶縁性接合層16e)は、板体11(第1板体11a、第2板体11b、および第3板体11c)とは、異なる材料からなる。この構成によれば、板体11と絶縁性接合層16との接合を良好に行うことができる。特に、板体11と絶縁性接合層16とは、主成分が同種の材料であり、かつ粒径が異なることが最も好ましい。この場合には、板体11と絶縁性接合層16との接合をさらに良好に行うことができる。
なお、ここで、「異なる材料」とは、構成する材料の組成が異なる場合のみならず、構成する材料の組成が同じであっても、粒径が異なる場合も含む概念である。
焼結性の高い材料としては、第1板体11a、第2板体11b、第3板体11cの主成分に用いている材料のみで構成される材料や、第1板体11a、第2板体11b、第3板体11cの主成分に用いている材料に焼結助剤を添加した材料を用いることができる。第1板体11a、第2板体11b、第3板体11cとして酸化アルミニウムと炭化ケイ素との複合焼結体を使用した場合は、第1絶縁性接合層16d、および第2絶縁性接合層16eを構成する材料を酸化アルミニウム焼結体とすることが好ましい。第1絶縁性接合層16d、および第2絶縁性接合層16eを構成する材料を酸化アルミニウム焼結体とすることで接合を良好におこなうことができ、第1板体11a、第2板体11b、第3板体11cの耐電圧性、耐プラズマ性と第1絶縁性接合層16d、および第2絶縁性接合層16eの耐電圧性を両立することができる。
また、耐電圧の観点から、第1絶縁性接合層16d、および第2絶縁性接合層16eの主成分の平均一次粒径は、0.5μm以上であることが好ましい。第1絶縁性接合層16d、および第2絶縁性接合層16eの主成分の平均一次粒径は前述した板体11の主成分の平均一次粒径と同様の方法で測定することができる。
第1絶縁性接合層16d、および第2絶縁性接合層16eは、相対密度が98%以上であることが好ましい。前記各層の相対密度を98%以上とすることで、耐プラズマ性や耐電圧性を十分に高めることができる。第1絶縁性接合層16d、および第2絶縁性接合層16eの密度は前述した板体11の主成分の平均一次粒径と同様の方法で測定することができる。
(電極層、および給電部接合層)
第1電極層13、第2電極層14、および給電部接合層15は、それぞれ載置面10sに沿って層状に延びる。第1電極層13は、第1板体11aと第2板体11bとの間に位置し、それぞれの接している面が接合している。したがって、第1電極層13は、第1絶縁性接合層16dと同一平面上に配置される。第1絶縁性接合層16dは、基体10の外縁に沿って円環状に配置される。第1電極層13は、厚さ方向から見て第1絶縁性接合層16dの内側に配置される。
なお、第1絶縁性接合層16dを設けずに第1板体11aと第2板体11bを接合する場合は第1板体11a又は(および)第2板体11bに凹部を設けて第1電極層13を設置する。
第2電極層14、および給電部接合層15は、第2板体11bと第3板体11cとの間に位置し、それぞれ接する面が接合している。したがって、第2電極層14、および給電部接合層15は、第1電極層13の下側に配置される。また、第2電極層14、および給電部接合層15は、第2絶縁性接合層16eと同一平面上に配置される。第2絶縁性接合層16eは、基体10の外縁に沿って円環状に配置される外縁部分16eaと、厚さ方向からみて外縁部分16eaの内側で、第2電極層14と給電部接合層15とを区画する区画部分16ebと、を有する。第2電極層14、および給電部接合層15は、第2絶縁性接合層16eの外縁部分16eaの内側に配置される。給電部接合層15は、平面視で円形である。給電部接合層15は、平面視で第2絶縁性接合層16eの区画部分16ebに囲まれる。また、給電部接合層15は、第2絶縁性接合層16eの区画部分16ebを介して、第2電極層14に囲まれる。
なお、第2絶縁性接合層16eを設けずに第2板体11bと第3板体11cを接合する場合は第2板体11b又は(および)第3板体11cに凹部を設けて第2電極層14および給電部接合層15を設置する。
本実施形態の第1電極層13は、電圧を印加されることで、基体10の載置面10sにウエハWを保持する静電吸着力を生じさせる吸着電極である。一方で、本実施形態の第2電極層14は、RF(Radio Frequency、高周波)電極である。この場合、第2電極層14は、電圧が付与されることで、板状試料上にプラズマを生成する。第1電極層13および第2電極層14のうち何れか一方は、電流が流されることで発熱するヒータ電極として機能するものであってもよい。すなわち、第1電極層13、および第2電極層14は、静電吸着電極、ヒータ電極、およびRF電極の何れかとして機能すればよい。また、静電チャック部材には、第1電極層13、および第2電極層14に加えて、静電吸着電極、ヒータ電極、およびRF電極の何れかとして機能する電極層を、別途有していてもよい。
給電部接合層15は、電圧の付与によって特別な機能を発揮するものではない。本実施形態の給電部接合層15は、後述する第1給電部31と第2給電部32とを中継するために設けられる。
第1電極層13、第2電極層14、および給電部接合層15の厚さは3μm以上200μm以下とすることが好ましく、10μm以上120μm以下とすることがより好ましい。第1電極層13、第2電極層14、および給電部接合層15の厚さを3μm以上とすることで第1電極層13、第2電極層14、および給電部接合層15の電気抵抗を十分に低くすることができる。なお、第1絶縁性接合層16dを設ける場合には第1絶縁性接合層16dと第1電極層13は同一の厚さとする。第2絶縁性接合層16eを設ける場合には第2絶縁性接合層16eと第2電極層14、および給電部接合層15は同一の厚さとする。これらが同一の厚さでない場合、接合する際に、板体11に応力が加わり、板体11が変形する問題や、板体11の耐電圧が悪化する問題が生じる。
第1電極層13、第2電極層14、および給電部接合層15は、絶縁性物質と導電性物質の複合焼結体である。第1電極層13、第2電極層14、および給電部接合層15に含まれる絶縁性物質は、絶縁性のセラミックスであることが好ましく、例えば、酸化アルミニウム(Al)、酸化ケイ素(SiO)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ケイ素(Si)、酸化イットリウム(III)(Y)、イットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)およびSmAlOからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
これらの中で、第1電極層13、第2電極層14、および給電部接合層15に含まれる絶縁性物質は、第1板体11a、第2板体11b、第3板体11cの主成分と同材料(例えば、酸化アルミニウム)であることが好ましい。すなわち、第1電極層13、第2電極層14、および給電部接合層15は、第1板体11a、第2板体11b、第3板体11cの主成分と同材料を含むことが好ましい。第1電極層13、第2電極層14、および給電部接合層15に板体11の主成分と同材料を含ませることで焼結時に、板体11との境界部分で第1板体11a、第2板体11b、第3板体11cの主成分と第1電極層13、第2電極層14、および給電部接合層15に含まれる主成分を良好に焼結することができる。これにより、第1電極層13、第2電極層14、および給電部接合層15と第1板体11a、第2板体11b、第3板体11cとの接合強度を高めることができる。また、第1電極層13、第2電極層14、および給電部接合層15と第1板体11a第2板体11b、第3板体11cとの熱膨張差を小さくすることができるため、基体10の温度が上昇した場合の熱膨張差による破損を少なくすることができる。
第1電極層13、第2電極層14、および給電部接合層15に含まれる導電性物質は、炭化モリブデン(MoC)、炭化ニオブ(NbC)、モリブデン(Mo)、炭化タングステン(WC)、タングステン(W)、炭化タンタル(TaC)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ルテニウム(Ru)、炭化ケイ素(SiC)、カーボンブラック、カーボンナノチューブおよびカーボンナノファイバーからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
第1電極層13、第2電極層14、および給電部接合層15における絶縁性物質と導電性物質の含有量の比(配合比)は、用途に応じて適宜調整される。第1電極層13、第2電極層14、および給電部接合層15における絶縁性物質と導電性物質の含有量の比は、導電性物質の含有量が20体積%以上80体積%以下であることが好ましく、23体積%以上60体積%以下であることがより好ましく、25体積%以上50体積%以下であることがより好ましい。導電性物質の含有量を20体積%以上とすることで、第1電極層13、第2電極層14、および給電部接合層15に導電性を持たすことができる。また、導電性物質の含有量を80体積%以下とすることで、基体10との熱膨張差が小さくなり、基体10と給電部30とを良好に接合することができる。
なお、第1電極層13、第2電極層14、および給電部接合層15を構成する複合材料は、材料の種類、および構成比率が互いに異なっていてもよい。
第1電極層13、第2電極層14、および給電部接合層15は、相対密度が96%以上であることが好ましく、98%以上であることがより好ましい。相対密度を前記の値にすることで第1電極層13、第2電極層14、および給電部接合層15の電気抵抗を低くすることができ、隣接する板体11との接合強度を高くすることができる。また、相対密度を高くすることで、第1電極層13、第2電極層14、および給電部接合層15に導電性を持たせるための導電性物質の含有量が少なくなるため、導電性物質の含有量を減らすことが可能となり、基体10との熱膨張差が小さくなり、基体10と給電部30とを良好に接合することができる。
また、第1電極層13、第2電極層14、および給電部接合層15の相対密度は第1絶縁性接合層16d、および第2絶縁性接合層16eの相対密度よりも小さい値にすることが好ましい 。第1電極層13、第2電極層14、および給電部接合層15の相対密度を第1絶縁性接合層16d、および第2絶縁性接合層16eの相対密度よりも小さい値にすることで、ホットプレスにより接合した際に、第1電極層13、第2電極層14に接する第1板体11aおよび第2板体11bに加わる応力を小さくすることができ、第1絶縁性接合層16d、および第2絶縁性接合層16eに加わる応力を絶縁性接合層16の面内で均一に加えることができるため、第1板体11a、第2板体11b、第3板体11c、第1絶縁性接合層16d、および第2絶縁性接合層16eの耐電圧を良好に保つことができる。
第1電極層13、第2電極層14、および給電部接合層15の相対密度は第1電極層13、第2電極層14、および給電部接合層15の鏡面加工をした断面を走査電子顕微鏡や光学顕微鏡などで観察し、気孔率を測定することから求めることができる。
なお、加圧しながら焼結を行うことで、第1電極層13、第2電極層14、および給電部接合層15として難焼結性の材料や酸化アルミニウムと導電性材料の複合焼結体を用いる場合など、常圧焼結では相対密度が98%以上することができない場合においても基体10の相対密度を98%以上とすることができる。
(給電部)
第1給電部31、第2給電部32、および第3給電部33は、基体10の厚さ方向に沿って柱状に延びる。本実施形態の第1給電部31、第2給電部32、および第3給電部33は、円柱状であることが好ましい。給電部30を円柱状にすることで給電部30に電流を流す際の電流の分布が給電部30の垂直方向で一定になるため、給電部30内での発熱を抑制できる。また、給電部30側面の凹凸を少なくすることで、電界集中による放電を防ぐことができる。
第1給電部31、第2給電部32、および第3給電部33の外径は、2mm以上であることが好ましい。第1給電部31、第2給電部32、および第3給電部33の外径を2mm以上とすることで、電気抵抗を抑制することができ、第1電極層13、および第2電極層14への電力供給効率を高めることができる。また、電気抵抗を抑制することで、通電時の第1給電部31、第2給電部32、および第3給電部33の発熱を抑制することができ、静電チャック部材2の均熱性を高めることができる。加えて、第1給電部31、第2給電部32、および第3給電部33の直径を2mm以上とすることで、供給電圧として高周波数の交流電圧を供給する場合であっても、表皮効果による電気抵抗の増加および発熱を十分に抑制でき、静電チャックとして使用すすることが可能となる。また、同様の理由から第1給電部31、第2給電部32、および第3給電部33の外径は、3mm以上であることがより好ましく、4mm以上であることがさらに好ましい。
第1給電部31、第2給電部32、および第3給電部33の長さはそれぞれ配置される板体11の厚さと同一となるが、長すぎるとホットプレスにより接合する際に損傷を生じる場合があるため、10mm以下とすることが好ましく、6mm以下とすることがより好ましい。
本実施形態において、第1給電部31および第2給電部32には、同じ電流が流れる。したがって、第1給電部31の外径と第2給電部32の外径とは互いに等しいことが好ましい。また、第1給電部31および第2給電部32と、第3給電部33とでは、供給対象の電極層13、14が異なるため、流れる電流も異なる。第1給電部31および第2給電部32の外径と、第3給電部33の外径とは、接続される電極層13、14の種類に応じて適切に設定される。
なお、第1給電部31、第2給電部32、および第3給電部33の断面形状は、厳密な意味での円形である必要はない。例えば、第1給電部31、第2給電部32、および第3給電部33の断面形状は、楕円形状、多角形状であってもよい。この場合、円換算直径(第3給電部33の面積と等しい面積の円の直径)が2mm以上(好ましくは3mm以上、より好ましくは4mm以上)であればよい。
第1給電部31は、第2板体11bに嵌め込まれ、第2板体11bと、第1電極層13および給電部接合層15と接合される。これにより、第1給電部31は、第1電極層13と給電部接合層15とを繋ぐ。第1給電部31は、基体10の厚さ方向から見て給電部接合層15と重なる位置に配置される。
給電部接合層15の外径は、第1給電部31と第2給電部32の接合面と重なっていればよい。給電部接合層15の外径は、第1給電部31および第2給電部32の外径と同じでもよく、第1給電部31および第2給電部32の外径よりも大きくしても良い。給電部接合層15の外径を、第1給電部31および第2給電部32の外径よりも大きくする場合、給電部接合層15の外径は、第1給電部31および第2給電部32の外径よりも、好ましくは0mm以上5mm以下、より好ましくは0.5mm以上3mm以下、大きい値とされる。給電部接合層15の外径を大きくすることで第1給電部31と第2給電部32との接合の信頼性が向上する。
第2給電部32は、第3板体11cに嵌め込まれ、第3板体11cおよび給電部接合層15に接合される。第2給電部32は、給電部接合層15から基体10の下面10t側に延びる。第2給電部32は、基体10の厚さ方向から見て給電部接合層15、および第1給電部31と重なる位置に配置されることが好ましい。第2給電部32は、第1給電部31と給電部接合層15を挟んで対向して配置される。第2給電部32を基体10の厚さ方向から見て給電部接合層15、および第1給電部31と重なる位置に配置することで、第1電極層13に電圧を印加する際の損失を減らすことができる。これにより、基体10を静電チャックとして使用した場合の第1給電部31および第2給電部32に起因する均熱性の悪化を防ぐことができる。
なお、基体10において第1電極層13を設置する場所と、基体10の下面10t側において端子部材35を接続する場所が異なる場合は第1給電部31と第2給電部32が異なる位置にあっても給電部接合層15を介して第1給電部31と第2給電部32が電気的に接続されていればよい。
第1給電部31、および第2給電部32は、第1電極層13に外部から電圧を付与するために設けられる。本実施形態の第1電極層13は吸着電極であるため、第1給電部31と第2給電部32の数、配置等は、単極型の静電チャックとするか、または双極型の静電チャックとするかにより決定される。ただし、第1給電部31と第2給電部32とは、同数だけ設けられる。また、第1給電部31と第2給電部32との接続部分に設けられる給電部接合層15は、第1給電部31、および第2給電部32と同数だけ設けられる。
第3給電部33は、第3板体11cに嵌め込まれ、第3板体11cおよび第2電極層14に接合される。第3給電部33は、第2電極層14から基体10の下面10t側に延びる。第3給電部33は、第2電極層14に外部から電流を供給するために設けられたものである。第3給電部33の数、配置等は、電極を使用する目的に応じて決定される。
第1給電部31、第2給電部32、および第3給電部33は、絶縁性物質と導電性物質の複合焼結体である。
第1給電部31、第2給電部32、および第3給電部33に含まれる絶縁性物質は、第1電極層13、第2電極層14、および給電部接合層15に含まれる絶縁性物質と同様である。すなわち、第1給電部31、第2給電部32、および第3給電部33は、に含まれる絶縁性物質は、絶縁性のセラミックスであることが好ましく、例えば、酸化アルミニウム(Al)、酸化ケイ素(SiO)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ケイ素(Si)、酸化イットリウム(III)(Y)、イットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)およびSmAlOからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
これらの中で、第1給電部31、第2給電部32、および第3給電部33に含まれる絶縁性物質は、第1板体11a、第2板体11b、第3板体11cの主成分と同材料(例えば、酸化アルミニウム)であることが好ましい。すなわち、第1給電部31、第2給電部32、および第3給電部33は、第1板体11a、第2板体11b、第3板体11cの主成分と同材料を含むことが好ましい。第1給電部31、第2給電部32、および第3給電部33に基体10の主成分と同材料を含ませることで焼結時に、板体11との境界部分で第1給電部31、第2給電部32、および第3給電部33と基体10との主成分同士を焼結させることができる。これにより、第1給電部31、第2給電部32、および第3給電部33と基体10との接合強度を高めることができる。
また、第1給電部31、第2給電部32、および第3給電部33に含まれる導電性物質は、第1電極層13、第2電極層14、および給電部接合層15に含まれる導電性物質と同様である。すなわち、第1給電部31、第2給電部32、および第3給電部33に含まれる導電性物質は、炭化モリブデン(MoC)、モリブデン(Mo)、炭化タングステン(WC)、タングステン(W)、炭化タンタル(TaC)、炭化ニオブ(NbC)、ニオブ(Nb)、ルテニウム(Ru)タンタル(Ta)、炭化ケイ素(SiC)、カーボンブラック、カーボンナノチューブおよびカーボンナノファイバーからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
第1給電部31、第2給電部32、および第3給電部33における絶縁性物質と導電性物質の含有量の比(配合比)は、用途に応じて適宜調整される。第1給電部31、第2給電部32、および第3給電部33における絶縁性物質と導電性物質の含有量の比は、導電性物質の含有量が20体積%以上80体積%以下であることが好ましく、23体積%以上60体積%以下であることがより好ましく、25体積%以上50体積%以下であることがより好ましい。導電性物質の含有量を20体積%以上とすることで、第1電極層13、第2電極層14、および給電部接合層15に導電性を持たすことができる。また、導電性物質の含有量を80体積%以下とすることで、基体10との熱膨張差が小さくなり、基体10および給電部30と良好に接合することができる。
なお、第1給電部31、第2給電部32、および第3給電部33を構成する複合材料は、材料の種類、および構成比率が互いに異なっていてもよい。
第1給電部31、第2給電部32、および第3給電部33の密度は96%以上であることが好ましく、98%以上であることがより好ましい。第1給電部31、第2給電部32、および第3給電部33の密度を前記の値にすることで、導電性物質の材料を少なくした場合においても給電部30の抵抗を低くすることが可能となり、基体10の主成分と同一である絶縁性物質の含有量を増やすことが可能となり、基体10と給電部30を良好に接合することができる。また、第1給電部31、第2給電部32、および第3給電部33の密度を前記の値にすることで、給電部30の放熱性を高めることができ、給電部30と基体10との温度の差を小さくすることができる。
給電部30は、板体11および電極層13、14と一体的に接合されていることが好ましい。なお、一体的に接合されているとは、板体11となる焼結体と給電部30となる焼結体とが、直接、または電極層13、14を介して互いに、接合している状態を示す。給電部30を一体的に接合せず、板体11となる成形体と給電部30となる成形体とを同時に焼結して一体とした場合においては、板体11と給電部30の間に焼結時の収縮量が場所により異なるため、給電部30が柱状になりづらい問題や、板体11と給電部30の間に凹凸ができる問題や、給電部30の密度が低くなる問題、給電部30の板体11と同じ主成分の割合を大きくできず、給電部30と板体11との接合強度が低くなる、などの問題が生じる。また、前記の理由により、給電部30の太さ(外径)は1mm程度のものしか作製することができない。
接合した際に給電部30の外周面と板体11とは、緻密に接合していることが好ましい。本実施形態において、緻密に接合、とは給電部30と板体11との境界に隙間が少なく接合している状態を示す。給電部30と板体11の間が緻密に接合していることで、給電部30の周囲において接合時の応力を一様とすることができ、給電部30と電極層13、14と間の接合を均一、かつ十分に行うことができる。これにより、給電部30と端子部材35とを接合する際の、給電部30と電極層13、14の間の電気抵抗の増加を防ぐことができる。
なお、給電部30の外周面と板体11との境界が緻密に接合しているかどうかは、超音波探傷試験機を用いて確認することができる。本発明において「緻密に接合しているか否か」は、給電部30と板体11の間が給電部30の周囲の50%以上接合しているかで判断する。より具体的には、超音波探傷試験機で、発信(超音波)周波数を50MHz、焦点距離を40mmとし、水中にて、フォーカスを給電部30の下面に合わせて測定する。さらに、給電部30の周囲において、給電部30の外周から1mmの範囲に、給電部30と板体11との間の空隙に起因する反射波が確認される領域が全周の50%以下であるかどうか、を判定する。反射波が確認される領域が全周の50%以下である場合に、「緻密に接合している」と判断する。
なお、超音波探傷試験機を用いて前記の測定条件で、給電部30の外周から1mmの範囲に、給電部30と板体11との間の空隙に起因する反射波が確認できる領域は全周の30%以下であることがより好ましく、全周の10%以下であることがよりさらに好ましい。反射波が確認される領域が全周の10%以下である場合は、さらに緻密に接合していると判断することができる。
第1給電部31、第2給電部32、および第3給電部33は、予め複合焼結体として、各板体11a、11b、11cに設けられる孔に挿入し、加圧焼結することで接合する。加圧焼結して給電部30と板体11とを接合することで、給電部30の側面の凹凸を無くすことができ、給電部30に電流を流す際の電流の分布が給電部30の垂直方向で一定になるため、給電部30内での発熱を抑制できる。また、給電部30側面の凹凸を少なくすることで、電界集中による放電を防ぐことができる。また、予め加圧焼結した材料を用いることで、給電部30の密度を高くすることができる。一方、給電部30となる成形体と板体11となる成形体が一体化した成形体を作った後に焼結させる方法では、給電部30となる成形体と板体11となる成形体の成形体密度を揃えた場合であっても、焼結過程において、収縮の速度が異なるため、前述の効果が得られないことに加え、焼結時に破損する問題や、接合や緻密化が不十分になる問題が生じる。そのため給電部30の外径は1mm以下のものしか用いることができない。
本実施形態によれば、第1給電部31、第2給電部32、第3給電部33は、板体11と同様に複合焼結体からなる。これにより、第1給電部31を第2板体11bに接合する際の第1給電部31の収縮量を、第2板体11bの収縮量と略同一とすることができる。また、第2給電部32、および第3給電部33を第3板体11cに接合する際の第2給電部32、および第3給電部33の収縮量を、第3板体11cの収縮量と略同一とすることができる。さらに、第1給電部31と第2給電部32とを、給電部接合層15を介して接合しているため、基体10の面内において加圧しながら焼結して接合する際のホットプレスによって加圧する方向に対する収縮が基体10の面内で略同一となる。このため、ホットプレスによって接合する際において第1給電部31および第2給電部32から第1電極層13、給電部接合層15および第1板体11aに付与する応力が局所的に高まり過ぎたり低くなり過ぎたりすることを抑制できる。
ホットプレス時の第1電極層13と第1給電部31との間の応力が高まり過ぎると、第1板体11aの第1給電部31の直上の領域の組織に損傷が生じて第1板体11aの耐電圧が低下する虞がある。一方で、ホットプレス時の第1電極層13と第1給電部31との間の応力が低すぎると第1電極層13と第1給電部31との間の密着性が低下し、第1電極層13と第1給電部31との間の電気抵抗が高まる虞がある。すなわち、本実施形態によれば、第1給電部31をホットプレスによって接合する際の基体10の収縮を基体10の面内で略同一とすることで、第1電極層13形成後の第1板体11aの耐電圧を確保しつつ、第1電極層13と第1給電部31との間の電気抵抗を低減できる。このような構成を有するために、本実施形態によれば第1板体11aの耐電圧を高くすることができる。
なお、第1板体11aの第1給電部31上部における耐電圧は、8kV/mm以上であることが好ましく、12kV/mm以上であることがより好ましく、15kV/mm以上であることが最も好ましい。第1板体11aの第1給電部31上部における耐電圧を8kV/mm以上とすることすることで、静電チャック部材2の信頼性を高めることができる。
同様に、本実施形態によれば、ホットプレスによって接合する際に、第3給電部33から、第2電極層14および第2給電部32から給電部接合層15に付与する応力が局所的に高まり過ぎたり低くなり過ぎたりすることを抑制できる。このため、第3給電部33直上領域で第2板体11bの耐電圧が低下することを抑制しつつ、給電部接合層15と第1給電部31および第2給電部32との間の電気抵抗、並びに第2電極層14と第3給電部33との間の電気抵抗を低減できる。このような構成を有するために、第1給電部31と給電部接合層15との間の電気抵抗、第2給電部32と給電部接合層15との間の電気抵抗、および第2電極層14と第3給電部33との間の電気抵抗を小さくすることができる。
第2給電部32と第1電極層13との間の電気抵抗、および第3給電部33と第2電極層14との間の電気抵抗は10MΩ以下であることが好ましく、10Ω以下であることがより好ましく、1Ω以下であることがより好ましく、0.5Ω以下であることがより好ましい。給電部30と電極層13、14との間の電気抵抗を10MΩ以下とすることで静電チャックとして試料を吸着させることができる。10Ω以下とすることで、試料を吸着させる際の応答性を向上することができ、1Ω以下とすることで抵抗に起因する発熱により均熱性が悪化することをより防ぐことができ、電極層13、14への給電効率を高めることができる。0.5Ω以下であれば、電極層13、14、給電部30、および端子部材35において、各部材の間の接合部の電気抵抗が、各部材自体の電気抵抗と同等以下と判断できるため、接合部に起因する発熱や電流の損失を考慮する必要がなくなる効果が得られる。
本実施形態の静電チャック部材2によれば、第1電極層13に繋がる給電部30が、第2板体11bと第3板体11cとの間を貫いて延びるのではない。本実施形態において、第1電極層13に繋がる給電部30は、第2板体11bと第3板体11cとの間の給電部接合層15を介して2つの給電部30(第1給電部31および第2給電部32)を接続させて構成される。第2板体11bと第3板体11cとを貫く1つの給電部30を設ける場合、このような給電部30は板体11と一体的に接合することが難しい。この場合、給電部30を第1電極層13と接合する必要が生じるが、接合時に基体10に厚さ方向の応力を付与すると、給電部30の直上の領域で第1板体11aに負荷がかかり、第1板体11aの耐電圧の低下が懸念される。また応力により、給電部30が破損する虞がある。本実施形態によれば、第1電極層13に繋がる給電部30が、第1給電部31と第2給電部32とに分割されている。また、基体10の接合面内における垂直方向の収縮量が均一になっている。このため、第1給電部31を第2板体11bと一体的に接合させ、第2給電部32を第3板体11cと一体定に接合させることができる。結果的に、第1板体11aに損傷を生じさせることなく第1給電部31と第1電極層13とを安定的に接合することができる。また、第1給電部31と第2板体11bとの境界、第2給電部32と第3板体11cとの境界、第3給電部33と第3板体11cとの境界を緻密に接合させることで、電気抵抗を低減することができ、第2給電部32および第3給電部33と端子部材35を接続した後においても電気抵抗を小さくすることができる。
(端子部材)
端子部材35は、基体10の下側に配置される。端子部材35を構成する材料は、銅(Cu)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ニオブ(Nb)、金(Au)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)などの金属やこれらを主成分とした合金が好適に用いられる。
基体10の下面10tには、第2給電部32の下端面(端面)32tおよび第3給電部33の下端面(端面)33tが配置される。端子部材35は、第2給電部32の下端面32t、および第3給電部33の下端面33tにそれぞれ接続される。端子部材35と第2給電部32の接続構造については、図2を基に、後段においてより詳細に説明する。
端子部材35は、少なくとも上端部が、上下方向に延びる円柱状の部材である。端子部材35は、ベース部材3、および基体10の一部を厚さ方向に貫通する端子用貫通孔3hの内部に挿入されている。端子部材35の外周側には、絶縁性を有する端子用碍子23が設けられる。端子用碍子23は、金属製のベース部材3と端子部材35とを絶縁する。端子部材35は、外部の電源21に接続されている。なお、端子部材35と外部の電源21とは電気的に接続されていればよく、間に他の部材が接続されていても良い。端子部材35の上下方向の長さはベース部材3の下面まで達していなくても良く、この場合は端子部材35の下面側に他の導電性を持つ部材を接続する。
(ベース部材)
ベース部材3は、静電チャック部材2を下側から支持する。ベース部材3は、平面視で円板状の金属部材である。ベース部材3を構成する材料は、熱伝導性、導電性、加工性に優れた金属、またはこれらの金属を含む複合材であれば特に制限されるものではない。ベース部材3を構成する材料としては、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ステンレス鋼(SUS)、チタン(Ti)等の金属やこれらを主成分とした合金、これらの金属とセラミックスの複合材料等が好適に用いられる。ベース部材3を構成する材料は、熱伝導性、導電性、加工性の観点からアルミニウム合金が好ましい。ベース部材3における少なくともプラズマに曝される面は、アルマイト処理またはポリイミド系樹脂による樹脂コーティングが施されていることが好ましい。また、ベース部材3の全面が、前記のアルマイト処理または樹脂コーティングが施されていることがより好ましい。ベース部材3にアルマイト処理または樹脂コーティングを施すことにより、ベース部材3の耐プラズマ性が向上するとともに、異常放電が防止される。したがって、ベース部材3の耐プラズマ安定性が向上し、また、ベース部材3の表面傷の発生も防止することができる。
ベース部材3の躯体は、プラズマ発生用内部電極としても機能をも有する。ベース部材3の躯体は、図示略の整合器を介して外部の高周波電源22に接続されている。
ベース部材3は、接着剤によって静電チャック部材2に固定されている。すなわち、静電チャック部材2とベース部材3との間には、静電チャック部材2とベース部材3とを互いに接着する接着層55が設けられる。接着層55の内部には、静電チャック部材2を加熱するヒータが埋め込まれていてもよい。
<給電部と端子部材との接続構造>
図2は、本実施形態の第3給電部33と端子部材35の接続部の断面模式図である。なお、第2給電部32と端子部材35の接続部についても、図2と同様の構造を有する。第2給電部32と端子部材35との接続部については、図示および説明を省略する。
基体10の下面10tには、第3給電部33の下端面33tが露出する。第3給電部33の下端面33tには、凹部33aが設けられる。本実施形態の下端面33tは、下側から見て円形である。また、凹部33aは、下端面33tの中央に配置される円形である。凹部33aの深さは、第3板体11cの板厚の1/2以下である。したがって、凹部33aの底面33bは、基体10の下面10tと第2電極層14との間の1/2の位置より下面10t側に位置する。
本実施形態の端子部材35は、少なくとも上端部が円柱状である。端子部材35の上端部の外径は、凹部33aの内径より若干小さい。端子部材35の上端部は、凹部33aの内側に配置される。端子部材35の上端部と、凹部33aの底面33bとは、ロウ付けによって接続される。すなわち、第3給電部33と端子部材35とは、ロウ付け部5においてロウ付け接続される。ロウ付け部5は、端子部材35の上端面35aと凹部33a底面33bとの間に設けられる。さらに、ロウ付け部5は、端子部材35の上端部近傍の外周面35bと、凹部33aの内周面33cとの間にも、広がって設けられていてもよい。すなわち、ロウ付け部5は、凹部33aの内部に配置される。
ロウ付け部5を構成するロウ材としては、インジウム、アルミニウム、金、銀、銅、チタン、ニッケルおよびこれらの合金などの従来公知のものを採用できる。
上述したように、本実施形態の第3給電部33の外径は、2mm以上(より好ましくは4mm以上)とされる。このため、第3給電部33と端子部材35との接続部の断面積を広く確保し易く、接続部の電気抵抗を抑制することができる。これにより、第3給電部33と端子部材35の間の電気抵抗(すなわち、ロウ付け部5の電気抵抗)を1Ω以下とすることができ、第2電極層14に対する給電効率を高めることができる。また、同様に、第2給電部32の外径も、2mm以上(より好ましくは4mm以上)であるため、第2給電部32と端子部材35との間の電気抵抗(すなわち、ロウ付け部5の電気抵抗)も1Ω以下とすることができ、第1電極層13に対する給電効率を高めることができる。
給電部30と端子部材35との間はロウ剤により給電部30の面積の50%以上が接合されていることが好ましく、80%以上接合されていることがより好ましい。給電部30と端子部材35との間が、ロウ剤により端子部材35の面積の50%以上が接合されているかは、超音波探傷試験機により確認でき、超音波探傷試験機で、発信(超音波)周波数を50MHz、焦点距離を40mmとし、水中にて、フォーカスを端子部材35の下面に合わせて測定することで確認できる。前記測定で給電部30の下面に空隙に起因する反射波が確認されない領域を接合されている領域と判断できる。給電部30と端子部材35との間はロウ剤により給電部30の面積の50%以上が接合されていることで。端子部材35の接合強度を高くすることができ、端子部材35と給電部30との間の電気抵抗を低くすることができる。
上述したように、凹部33aの深さは、第3板体11cの板厚の1/2以下である。このため、ロウ付け部5は、基体10の下面10tと第2電極層14との間の1/2の位置より下面10t側に位置する。本実施形態によれば、凹部33aを十分に浅くすることで、ロウ付け部5近傍で静電チャック部材2の熱容量が低下することや熱伝達が悪化することを抑制することができる。結果的に、静電チャック部材2の均熱性を高めることができる。
さらに、凹部33aの底面33bの深さ(基体10の下面10tとの垂直方向の距離)は0mm以上2mm以下であることが好ましく、0mm以上1mm以下であることがより好ましく、0.05mm以上0.5mm以下であることがより好ましい。凹部33aの底面33bの深さを前記の値とすることで、凹部33aに起因する均熱性の悪化をさらに防ぐことができる。また、凹部33aの深さを0.05mm以上とすることで給電部30と端子部材35との接合を良好に行うことが可能となり、接続部に起因する放電を防ぐことができる。
なお、均熱性は、静電チャックとして使用して基体10上面を一定の温度に保った際に、基体10上面において、給電部30の上部に位置する温度と、他の部位の温度との差が、2℃以下であることがより好ましく、1℃以下であることが最も好ましい。
なお、本実施形態では第2給電部32と第3給電部33の両方にロウ付けにより端子を接合する場合を説明したが、静電チャックの使用温度が低い場合などは、少なくとも、一方の端子部材35がロウ付けされていてもよく、他方の端子部材35は導電性接着剤による接着など、他の方法で接着してもよい。この場合においても第2給電部32に接続する端子部材35と、第3給電部33に接続する端子部材35の両方が、第2電極層14よりも下側に位置することが好ましく、すべての凹部33aの深さが前記の値以下となっていることがより好ましい。
本実施形態の第3給電部33は、第3板体11cと一体的に接合される。このため、第3給電部33の外周面33dと第3板体11cとの間に隙間が形成され難く、ロウ付け時にロウ材が第3給電部33の外周面33dと基体10との間に侵入し難い。第3給電部33の外周面33dと基体10との間にロウ材が配置されると熱膨張率の差などに起因して第3給電部33に熱応力が付与され、第3給電部33に損傷が生じる虞がある。本実施形態によれば、第3給電部33を第3板体11cと一体的に接合することで第3板体11cとの間に隙間が生じることを抑制し、第3給電部33の信頼性を高めることができる。
また、第3給電部33の外周面33dと第3板体11cとの間に隙間が設けられると、ホットプレスによって加圧しながら第2電極層14を焼結する際に、第3給電部33が隙間側に変形してしまい、第3給電部33と第2電極層14との間の圧力が低減して密着性が低下する。これにより、形成される第2電極層14と第3給電部33との接合強度が低下するのみならず、電気抵抗が高まる虞がある。
本実施形態によれば、第3給電部33の外周面33dを基体10との間の隙間の形成が抑制されているため、第2電極層14の成形時に、第2電極層14と第3給電部33との境界に十分に大きな圧力を付与することができ、第3給電部33と第2電極層14との間の接合強度を高め、電気抵抗の増加を抑制できる。
本実施形態によれば、第2給電部32の外周面32dと第3板体11cとの境界が緻密に接合されることで、第2給電部32と給電部接合層15との間の接合強度を高め、電気抵抗を低減する。また、第1給電部31の外周面31dと第2板体11bとの境界に隙間が形成されることを抑制することで、第1給電部31と給電部接合層15、および第1電極層13との間の接合強度を高め、電気抵抗を低減する。
本実施形態によれば、第3給電部33の外周面33dと第3板体11cとの境界は、緻密に接合することで、ロウ付け時に第3給電部33の外周面33dと第3板体11cとの間にロウ材が侵入することを十分に抑制でき、さらにホットプレスによる第2電極層14の形成時の第3給電部33との密着性を高めることができる。
本実施形態によれば、ロウ付け部5が凹部33aの内部に配置される。このため、ロウ付け部5が基体10の下面10tに対し下側に突出しない。このため、基体10の下側に配置されるベース部材3の上面とロウ付け部5との干渉を抑制できる。また、組み付け工程時にロウ付け部5に負荷が加わることを抑制することができる。また、ロウ付け部5とベース部材3との間の放電を抑制することができる。
本実施形態のロウ付け部5は、凹部33aの内周面33cに囲まれるため、ロウ付け時にロウ材が凹部33aの外側にはみ出し難い。このため、第3給電部33と基体10との境界に隙間がある場合であっても、この隙間にロウ材が流入し難く、第3給電部33の信頼性を高めることができる。
<給電部と端子部材との接続構造の変形例1>
図3は、上述の実施形態に採用可能な、変形例1の第3給電部133と端子部材135の接続部の断面模式図である。
なお、上述の実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。また、本変形例の構成は、上述の実施形態において、第2給電部32と端子部材135との接続部に採用してもよい。
本変形例において、基体110の下面110tには、凹部111gが設けられる。凹部111gは、下側から見て円形である。凹部111gの深さは、第3板体111cの板厚の1/2以下である。したがって、凹部111gの底面111fは、基体110の下面110tと第2電極層14との間の1/2の位置より下面110t側に位置する。
第3給電部133は、凹部111gの底面111fに露出する。第3給電部133の下端面133tは、底面111fの中央に配置される。本実施形態の端子部材135は、円柱状である。端子部材135の外径は、凹部111gの内径より小さい。端子部材135の上端部は、厚さ方向から見て凹部111gの内側に配置される。
端子部材135の上端部と、第3給電部133の下端面133tとは、ロウ付けによって接続されてロウ付け部105が形成される。ロウ付け部105は、凹部111gの内部に配置される。
上述したように、凹部111gの深さは、第3板体111cの板厚の1/2以下である。このため、ロウ付け部105は、基体110の下面110tと第2電極層14との間の1/2の位置より下面110t側に位置する。本変形例によれば、凹部111gを十分に浅くすることで、ロウ付け部105近傍で静電チャック部材102の熱容量が低下することを抑制することができる。結果的に、静電チャック部材102の均熱性を高めることができる。
本変形例において、端子部材135の外径を給電部133と略同一か、給電部133よりも大きくすることもできる。端子部材135の外径を給電部133と略同一か、給電部133よりも大きくすることで、給電部133の下面における電流の分布を均一にすることができ、給電部133の発熱に伴う均熱性の悪化を防ぐことができる。また、ロウ付け部105の外径を大きくすることで給電部133と端子部材135との接合強度を高くすることができる。
また、本変形例において、ロウ付け部105が端子部材135と板体11の境界上部に位置する場合があるが、外周面32dと基体110との境界を緻密に接合しているため、ロウ付による電気抵抗の増加を抑制することができる。
本実施形態によれば、ロウ付け部105が凹部111gの内部に配置されるため、ロウ付け部105が基体110の下面110tに対し下側に突出しない。また、組み付け工程時にロウ付け部105に負荷が加わることを抑制することができる。このため、基体110の下側に配置されるベース部材3の上面とロウ付け部105との干渉を抑制できる。また、ロウ付け部105とベース部材3との間の放電を抑制することができる。
<給電部と端子部材との接続構造の変形例2>
図4は、上述の実施形態に採用可能な、変形例2の第3給電部233と端子部材235の接続部の断面模式図である。本変形例の接続部は、基体210の下面210tに凹部が設けられない点が、上記変形例1と異なる。
なお、上述の実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。また、本変形例の構成は、上述の実施形態において、第2給電部32と端子部材235との接続部に採用してもよい。
本変形例において、第3給電部233は、基体210の下面210tに露出する。端子部材235の上端部と、第3給電部233の下端面233tとは、ロウ付けによって接続されてロウ付け部205が形成される。したがって、本実施形態のロウ付け部205は、基体210の下面210tと第2電極層14との間の1/2の位置より下面210t側に位置する。本変形例によれば、基体210の下面にも第3給電部233の下面にも凹部が設けられないため、ロウ付け部205近傍で静電チャック部材202の熱容量が低下することを抑制することができる。結果的に、静電チャック部材202の均熱性を高めることができる。
<静電チャック部材の製造方法>
次に、本実施形態の静電チャック部材2の製造方法について図1などを基に説明する。本実施形態の静電チャック部材2の製造方法は、板体焼結工程と給電部焼結工程、加工工程、スクリーン印刷工程、接合焼結工程とロウ付け工程とを有する。
板体焼結工程、給電部焼結工程、行う順番は、何れの順序で行ってもよく、また同時に行ってもよい。加工工程は板体焼結工程および第給電部焼結工程の後に行われる。スクリーン印刷工程は加工工程の後に行われる。接合焼結工程はスクリーン印刷工程の後に行われる。ロウ付け工程は接合焼結工程の後に行われる。
なお、以下の説明では、第1板体11a、第2板体11b、第3板体11cの形成材料が酸化アルミニウム-炭化ケイ素(Al-SiC)複合焼結体、第1絶縁性接合層16d、および第2絶縁性接合層16eが酸化アルミニウム焼結体、第1電極層13、第2電極層14、給電部接合層15、第1給電部31、第2給電部32、および第3給電部33形成材料が酸化アルミニウム-炭化タンタル(Al-TaC)複合焼結体であることとする。
(板体焼結工程)
板体焼結工程は、第1板体11a、第2板体11b、第3板体11cとなるセラミックス板を焼結する工程である。板体焼結工程では、炭化ケイ素粉末および酸化アルミニウム粉末を含む混合粉末を円盤状に成形し、その後、ホットプレス装置を用いて、例えば1500℃~2000℃の温度、非酸化性雰囲気、好ましくは不活性雰囲気下にて圧力1Mpa~50MPaの温度で所定時間、加圧しながら焼結することにより、第1板体11a、第2板体11b、第3板体11cとなる複合焼結体を得る。
(給電部焼結工程)
給電部焼結工程は、第1給電部31、第2給電部32、第3給電部33となる導電性焼結体を焼結する工程である。給電部焼結工程では、酸化アルミニウム粉末および炭化タンタルを含む混合粉末を円盤状に成形し、その後、ホットプレス装置を用いて、例えば1500℃~2000℃の温度、非酸化性雰囲気、好ましくは不活性雰囲気下にて、圧力1Mpa~50MPaの温度で所定時間、加圧しながら焼結することにより、第1給電部31、第2給電部32、第3給電部33となる複合導電性焼結体を得る。
(加工工程)
加工工程は、1板体11a、第2板体11b、第3板体11cとなる複合焼結体を所望の形状の円盤状に加工する円盤加工手順と、第2板体11bに第1貫通孔12aを、第3板体11cに第2貫通孔12b、および第3貫通孔12cを設ける穿孔手順と、第1給電部31、第2給電部32、第3給電部33を所望の形状とする給電部加工手順と、を有する。
円盤加工手順および給電部加工手順はダイヤモンドの砥粒などを用いた加工機やレーザー加工機などの一般的なセラミックス用の加工機で焼結体を円盤状、円筒状に加工する手順である。
穿孔手順は、円盤加工手順の後に行われる。穿孔手順は、ダイヤモンドドリルによる穴あけ加工、レーザー加工法、放電加工法、超音波加工法等により第1貫通孔12a、第2貫通孔12b、第3貫通孔12cを形成する手順である。
加工工程において、第1貫通孔12aと第1給電部31との境界、第2貫通孔12bと第2給電部32との境界、および第3貫通孔12cと第3給電部33との境界は、第3貫通孔12cの直径を給電部30の直径よりも0.03mm以上0.1mm未満大きい値とすることで間隔を設けておくことが好ましい。
加工工程後(スクリーン印刷工程前)の貫通孔12a、12b、12cの直径を加工工程後の給電部30の直径よりも0.03mm以上とすることで、接合焼結工程において加圧する際に、板体および給電部30が破損することを防ぐことができる。
また、加工工程後の貫通孔12a、12b、12cの直径を加工工程後の給電部30の直径よりも0.1mm未満とすることで、焼結接合工程後の貫通孔12a、12b、12cと給電部30の境界を緻密に接合することができ、貫通孔12a、12b、12cと給電部30の境界における超音波探傷試験で給電部30周囲の反射波が確認される領域を50%以下とすることが容易となる。
なお、加工工程後の貫通孔12a、12b、12cの直径および給電部30の直径の差は、給電部30の直径や厚さ、スクリーン印刷工程および焼結接合工程の条件や使用する加工機の精度などにより最適な値が異なるため、焼結接合工程後の貫通孔12a、12b、12cと給電部30の境界における超音波探傷試験で給電部30周囲の反射波が確認される領域が全周の50%以下となるように適宜選定すればよい。
(スクリーン印刷工程)
スクリーン印刷工程は、絶縁性接合層16を形成するための絶縁層用ペースト16dA、16eA、電極層13、14および給電部接合層15を形成するための導電層用ペースト(電極層用ペースト13A、14A、給電部接合層用ペースト15A)をスクリーン印刷により塗布して層状に形成した後、ペーストに含まれる溶媒を乾燥して揮発させる工程である(図5参照)。絶縁層用ペースト16dA、16eAは絶縁層の原材料粉末と溶媒からなり接合焼結工程により絶縁性接合層16となる。導電層用ペースト13A、14A、15Aは電極層13、14および給電部接合層15の原材料粉末と溶媒からなり接合焼結工程により電極層13、14または給電部接合層15となる。なお以下は電極層用ペースト13A、14Aと給電部接合層用ペースト15Aとに、同じペースト(導電層用ペースト13A、14A、15A)を用いる場合を説明するが、電極層用ペースト13A、14Aと給電部接合層用ペースト15Aは異なる材料を用いても良い。
ペーストに用いる溶媒は沸点150℃~250℃程度であり、乾燥後の残留物の少ない溶媒を用いることが好ましい。ペーストには粉末の分散性を向上させるためにシランカップリング材や界面活性剤などの分散剤などを添加してもよく、スクリーン印刷を乾燥した後に粉末が飛散しないようにバインダなどを添加しても良く、市販のスクリーン印刷用の溶媒を用いても良い。
第1給電部31を第1貫通孔12aに挿入した第2板体11bの第1板体11a側の表面に第1絶縁性接合層16dとなる絶縁層用ペースト16dA、16eAおよび第1電極層13となる導電層用ペースト13A、14A、15Aをスクリーン印刷により印刷して所望の形状、厚さに塗布する。絶縁層用ペースト16dA、16eAと導電層用ペースト13A、14A、15Aは、接触しないように塗布することが好ましい。
スクリーン印刷後の乾燥は溶媒が揮発する温度であればよいが、100~300℃の温度で、真空中で乾燥することが好ましい。
乾燥後の絶縁層用ペースト16dA、16eAと導電層用ペースト13A、14A、15Aの厚さは、5μm以上500μm以下とすることが好ましく、10μm以上250μm以下とすることがより好ましい。厚さを5μm以上とすることで板体11同士の接合強度を確保することができ、電極層13、14および給電部接合層15の抵抗を低くすることができる。一方、500μmより大きいと、基体10の外周部に露出する絶縁層が多くなり、基体10の耐プラズマ性が低下するため500μm以下とすることが好ましい。
また、乾燥後の導電層用ペースト13A、14A、15Aを、乾燥後の絶縁層用ペースト16dA、16eAよりも厚くすることで、電極層13、14および給電部接合層15と給電部30の導通を確実に確保できる。しかしながら、乾燥後の導電層用ペースト13A、14A、15Aが、乾燥後の絶縁層用ペースト16dA、16eAよりも薄い場合であっても、厚さが近い場合であれば比較的良好な導通を確保できる。また、乾燥後の導電層用ペースト13A、14A、15Aを厚くし過ぎると、絶縁性接合層16と板体11との境界に隙間が生じやすくなり、基体10の耐電圧が低下する虞がある。また、本実施形態では、乾燥後の導電層用ペースト13A、14A、15Aの厚さを、乾燥後の絶縁層用ペースト16dA、16eAよりも厚さに対して、90%以上120%以下とすることが好ましく、95%以上110%以下とすることがより好まし、100%以上110%以下とすることがよりさらに好ましい。
乾燥後の各ペーストの成形体密度について考察する。乾燥後の成形体密度は、焼結により完全に緻密化した後の密度に対する密度の比率であり、百分率で表される。乾燥後のペーストの成形体密度は、乾燥後のペーストの厚さと重量から求めることができる。
ここでは、乾燥後の導電層用ペースト13A、14A、15Aの成形体密度を第1成形体密度P13と呼ぶ。また、乾燥後の絶縁層用ペースト16dA、16eAの成形体密度を第2成形体密度P16と呼ぶ。
本実施形態において、第1成形体密度P13は、第2成形体密度P16以下の値とすることが好ましい(P13≦P16)。さらに、第1成形体密度P13と第2成形体密度P16との差分は、0%以上20%以下とすることが好ましく(0%≦ P16-P13 ≦20%)、0.5%以上10%以下とすることがさらに好ましい(0.5%≦ P16-P13 ≦10%)。
一般的に、成形体密度が大きければ大きいほど(すなわち、成形体密度が100%に近づくほど)、焼結時の収縮量は小さくなる。このため、第1成形体密度P13を、第2成形体密度P2よりも大きくしてしまうと(P13>P16)、接合焼結工程において、導電層用ペースト13A、14A、15Aの収縮量が、絶縁層用ペースト16dA、16eAの収縮量よりも小さくなる。この場合に、導電層用ペースト13A、14A、15Aの乾燥後の厚さを、絶縁層用ペースト16dA、16eAの乾燥後の厚さ以上とすると、接合焼結後において電極層13、14および給電部接合層15の方が、絶縁性接合層16よりも厚くなってしまう。結果的に、接合焼結時に給電部30上の板体11に加わる応力が大きくなり、板体11の耐電圧が悪化し、さらに絶縁性接合層16に加わる応力が小さくなり、絶縁層の耐電圧も悪化してしまう。
一方で、第1成形体密度P13が第2成形体密度P16以下の値の場合であっても、その差分が大き過ぎる(例えば20%超)と、接合焼結後において、電極層13、14および給電部接合層15が、絶縁性接合層16よりも薄くなり過ぎて給電部30との間の電気抵抗が悪化する虞がある。
第1成形体密度P13と第2成形体密度P16との差分を、上述した範囲とすることで、焼結接合工程で絶縁性接合層16を十分に緻密化させ耐電圧を高め、電極層13、14および給電部接合層15と板体11および給電部30の接合を良好に行い電気抵抗を低下させ、さらに給電部30上の板体11の耐電圧を良好に保つことができる。
一般的に、成形体密度は、成形する粉末の粒度分布が狭いほど低くなり、粒度分布が広い粉末では成形体密度が高くなる。そのため、単一の絶縁性粉末を用いている絶縁層用ペースト16dA、16eAよりも、絶縁性粉末と導電性粉末を混合している導電層用ペースト13A、14A、15Aの方が、粒度分布が広くなるため、成形体密度が高くなる。そのため、導電層用ペースト13A、14A、15Aに用いる絶縁性粉末と導電性粉末の粒径を近い値のものを用いることで、乾燥後の導電層用ペースト13A、14A、15Aの成形体密度を小さくすることができる。その他の乾燥後の導電層用ペースト13A、14A、15Aの成形体密度を小さくする方法としては、導電層用ペースト13A、14A、15Aに用いる粉末に、嵩密度の低い粉末を用いる方法、嵩密度の低い粉末を添加する方法なども可能である。嵩密度の低い粉末としては結晶相がγ型の酸化アルミニウム粉末などが好適に用いられ、絶縁性粉末として結晶相がα型の酸化アルミニウム粉末とγ型の酸化アルミニウム粉末とを混合して用いることが好ましい。γ型の酸化アルミニウム粉末であれば、凝集性が強く、嵩密度が低いため、α型の酸化アルミニウム粉末に添加して使用した場合においても、ペーストの成形体密度を低くする効果が得られる。なお、γ型の酸化アルミニウム粉末は、接合焼結工程で加熱されることで相転移し、α型の酸化アルミニウム粉末となる。また、絶縁層用ペースト16dA、16eAに用いる絶縁性の粉末としては粒径の小さい粉末を用いることが好ましい。粒径が小さい粉末は粒径の大きい粉末よりも焼結時の活性が高いため、絶縁層用ペースト16dA、16eAに用いる絶縁性粉末の粒径を小さくすることで、接合焼結工程において、基体10と絶縁性接合層16を接合した後の耐電圧を高くすることができる。
なお、スクリーン印刷工程では、第2板体11bに絶縁層用ペースト16dA、および導電層用ペースト13Aを、塗布してもよく、第1板体11aに塗布してもよい。また、第3板体11cに絶縁層用ペースト16eA、および導電層用ペースト14A、15Aを、塗布してもよく、これらを第2板体11bに塗布してもよい。
(接合焼結工程)
図5に示すように、接合焼結手順は、第1板体11a、第2板体11bを、および第3板体11cを、ペーストを塗布した面を挟んで重ね合わせ、高温、高圧下にてホットプレスして接合一体化する手順である。
より具体的には、本実施形態の接合焼結工程は、第1板体11aと、第2板体11bと、第3板体11cと、第2板体11bの第1貫通孔12aに挿入される第1給電部31と、第3板体11cの第2貫通孔12bに挿入される第2給電部32と、第3板体11cの第3貫通孔12cに挿入される第3給電部33と、第1板体11aと第2板体11bとの間に配置される第1電極層13と、第2板体11bと第3板体11cとの間に配置される第2電極層14と、第1給電部31と第2給電部32の間に配置される給電部接合層15と、を接合して一体化する工程である。
接合焼結手順では、第1板体11a、第2板体11b、および第3板体11cを、厚さ方向に1MPa~50MPaで加圧しながら、1400℃~1900℃の温度、非酸化性雰囲気、好ましくは不活性雰囲気にて所定時間焼結する。ホットプレス手順により、絶縁層用ペースト16dAが第1絶縁性接合層16dとなって第1板体11aと第2板体11bとが接合一体化されるとともに、導電層用ペースト13Aが焼結されて第1電極層13が形成され、絶縁層用ペースト16eAが焼結して第2絶縁性接合層16eとなり、導電層用ペースト14Aが焼結して第2電極層14となり、導電層用ペースト15Aが焼結して給電部接合層15が形成され、焼結に伴って接合一体化される。第1給電部31は、第1電極層13、給電部接合層15、および第2板体11bと、接合一体化される。第2給電部32は、給電部接合層15、第3板体11cと接合一体化される。第3給電部33は、第2電極層14、および第3板体11cと接合一体化される。なお、給電部30と板体11との境界は緻密に接合することが好ましい。
なお、本実施形態では、第1板体11a、第2板体11b、および第3板体11cを厚さ方向に積層して同時接合する場合について説明した。第1板体11a、第2板体11b、および第3板体11cを厚さ方向に積層して同時接合することで第1板体11a、第2板体11b、および第3板体11cがホットプレスにより加圧しながら熱処理される回数が同一になる。
例えば、第1板体11a、第2板体11bとの接合を行った後に、第2板体11bと第3板体11cとの接合を行う場合では第1板体11aおよび第2板体11bは接合焼結工程が2回行われ、第3板体11cは接合焼結工程が1回行われる。この場合、第1板体11a、第2板体11b、第1絶縁性接合層16d、第1電極層13、第1給電部31は過剰な熱処理が行われ、主成分の粒径が増大する虞がある他、第1板体11aおよび第2板体11bと第3板体11cの主成分の粒径が異なってしまい、基体10の耐久性が悪化する虞がある。しかしながら、板体11に加える熱履歴を適切に設定して板体11を構成する部材の主成分の粒径が接合焼結工程を1回行った場合と同様になるようにすれば、第1板体11a、第2板体11bとの接合と、第2板体11bと第3板体11cとの接合を別々の工程で行っても良い。第1板体11a、第2板体11bとの接合と、第2板体11bと第3板体11cとの接合を別々に行うことで、板体11の厚さの寸法精度を向上することができる。
なお、接合焼結工程を2回行った場合に、第1板体11aおよび第2板体11bと第3板体11cの主成分の粒径を略同一にするためには、第1板体11a、第2板体11b、第3板体11cの形成材料に酸化アルミニウム-炭化ケイ素(Al-SiC)複合焼結体などの焼結に伴う粒成長が少ない材料を使用することが好ましい。
(ロウ付け工程)
ロウ付け工程は、図2に示すように、第3給電部33の下端面33tに端子部材35を接続する工程である。また、図2においての図示およびここでの説明を省略するが、第2給電部32の下端面32tにも、第3給電部33と同様の手順で端子部材35を接続する(図1参照)。
ロウ付け工程では、まず第3給電部33の下端面33tに凹部33aを形成する。さらに、凹部33aの底面33bにロウ剤を塗布し、第3給電部33と重ね合わせて熱処理することで第3給電部33の下端面33tと第3給電部33の上端部をロウ付けする。この熱処理時にロウ剤が溶融して塗布した位置から広がるが、ロウ剤は、第3給電部33の下端面33tの凹部33aの内側に留まる。この工程を経ることで、第3給電部33(および第2給電部32)と端子部材35の間にロウ付け部5が形成される。
静電チャック部材2は、以上の工程を経ることで製造される。また、製造された静電チャック部材2は、端子用碍子23を設けたベース部材3に搭載される。これにより、静電チャック装置1が製造される。
(サンプルの作製)
各サンプルの静電チャック部材は、後段に特記する以外の工程を除いて、上述の製造方法に記載した通りの工程を経て作製した。作製される基体の直径は300mm、第1板体の厚さは0.4mm、第2板体の厚さは5mm、第3板体の厚さは5mmとなるように作製した。第1絶縁性接合層16dおよび第2絶縁性接合層16eの幅は1mmとした。
上述の板体焼結工程において、第1板体、第2板体、第3板体は、90体積%の酸化アルミニウム粉末と、10体積%の炭化ケイ素粉末との混合粉末を成形、焼結して作製される。また、給電部焼結工程において、第1給電部31、第2給電部、第3給電部となる導電性焼結体は、65体積%の酸化アルミニウム粉末と、35体積%の炭化モリブデン粉末との混合粉末を成形、焼結して作製される。
加工工程において、第1給電部、第2給電部、および第3給電部の外径は4mm、長さは5mmとした。
スクリーン印刷工程においてはペーストの塗布厚さは、導電層用ペースト、絶縁層用ペーストともに乾燥後の厚さが80μmとなるように塗布した。
接合焼結工程は、導電層用ペースト、および絶縁層用ペーストを塗布し、第1給電部、第2給電部および第3給電部を挿入し、第1板体、第2板体、および第3板体を積層して、アルゴン雰囲気下、熱処理温度を1700℃、圧力を10MPaとして加熱しながら焼結して接合一体化した。
端子部材の外径は6mmとし、給電部下面の周囲に直径6.5mm、深さ0.5mmの凹部を設け、凹部体で給電部と端子部材をロウ付けした。
また、各サンプルの詳細な構成については、後段の表1に記載した。表1中の各サンプルのパラメータについて説明する。
(ホットプレスの回数)
表1において、「ホットプレスの回数」とは、接合焼結工程において、ホットプレスを行った回数を表す。ホットプレスの回数が1回である場合、導電層用ペースト、および絶縁層用ペーストを塗布した状態で、第1板体、第1給電部を挿入した第2板体、および第2給電部と第3給電部を挿入した第3板体を積層して厚さ方向に加圧した。ホットプレス回数が2回である場合、第1板体と第1給電部を挿入した第2板体を1回目のホットプレスで接合した後、次いでおよび第2給電部と第3給電部を挿入した第3板体を2回目のホットプレスで接合した。
(給電部接合層)
表1において、「給電部接合層」とは、給電部接合層の有無を示す。給電部接合層が「あり」の場合、第1給電部と第2給電部との間に給電部接合層を設けて接合され、第2給電部と第1給電部および第1電極層が電気的に接続される。給電部接合層が「なし」の場合、比較例1は、第1給電部と第2給電部に連通する給電部を第2板体および第3板体に挿入して接合焼結した。比較例2は、接合焼結工程後に、基体の下面から第1給電部まで達する凹部を設けたため、給電部接合層の位置する場所は研削され、凹部の内側となった。比較例3は、第1給電部と第2給電部との間に給電部接合層を設けずに第1給電部と第2給電部を直接接合した。
(接合前隙間)
加工工程において第1貫通孔12aと第1給電部31との境界、第2貫通孔12bと第2給電部32との境界、および第3貫通孔12cと第3給電部との隙間(接合前隙間)を変えたサンプルを作製した。貫通孔と給電部の直径の差は、表1における実施例1,3,4および比較例2では貫通孔が給電部よりも0.05mm大きい値とし、実施例2および比較例1においては貫通孔が給電部よりも0.1mm大きい値とした。
(ペースト配合)
スクリーン印刷工程においては、表1のペースト配合を[A]とした場合は、導電層用ペーストとしては、平均粒径が1μm、嵩密度(タップ密度)が1.4g/cm3、結晶相がα型である酸化アルミニウムと、嵩密度(タップ密度)が0.2g/cm3、結晶相がγ型である酸化アルミニウム粉末と平均粒径が1μmの炭化モリブデン粉末を、スクリーン印刷用の溶媒に分散させたペースト(導電層用ペースト)を用いた。α型の酸化アルミニウム粉末とγ型の酸化アルミニウム粉末はγ型の酸化アルミニウム粉末が3%となるようにα型の酸化アルミニウム粉末と混合して、混合酸化アルミニウム粉末として用いた。導電層用ペースト、および給電部絶縁層用ペーストにおける混合酸化アルミニウム粉末の含有量を65体積%とし、炭化モリブデン粉末の含有量を35体積%とした。
スクリーン印刷工程においては、表1のペースト配合を[B]とした場合は、導電層用ペーストとしては、平均粒径が0.1μm、嵩密度(タップ密度)が1.0g/cm3、結晶相がα型である酸化アルミニウムと、平均粒径が1μmの炭化モリブデン粉末を、スクリーン印刷用の溶媒に分散させたペースト(導電層用ペースト)を用いた。導電層用ペースト、および給電部絶縁層用ペーストにおける混合酸化アルミニウム粉末の含有量を65体積%とし、炭化モリブデン粉末の含有量を35体積%とした。
また、絶縁層用ペーストとしては、[A]、[B]ともに平均粒径が0.1μm、嵩密度(タップ密度)が1.0g/cm3、結晶相がα型の酸化アルミニウム粉末をスクリーン印刷用の溶媒に分散させたペースト(絶縁層用ペースト)を用いた。
(給電部の構造)
表1の「給電部の構造」において、各サンプルの上段の欄には、第2電極層に繋がる給電部の構造が記載され、下段には第1電極層に繋がる給電部の構造が記載されている。上段に「第3給電部」と記載されたサンプルでは、上述の実施形態と同様に第3板体に一体的に接合される第3給電部が設けられる、第3給電部の下面に端子部材が接続ロウ付けされる。同様に、下段に「第1、第2給電部」と記載されたサンプルでは、上述の実施形態と同様に、第2板体に第1給電部が設けられ、第3板体に第2給電部が設けられ、これらが給電部接合層によって接続される構造を有し、第2給電部の下面に端子部材がロウ付けされる。下段に「第1給電部」と記載されたサンプルでは、基体の下面から第1給電部に達する凹部を設け、凹部内にて第1給電部の下面に端子が接続ロウ付けされる。
表1中の「給電部の構造」の上段に「※1」と記載されるサンプルは、第2板体と第3板体に設けられた貫通孔を連通する1つの給電部(第1給電部と第2給電部とを一体化したものに相当)を、第2板体、および第3板体に設けられた貫通孔に挿入した状態で、第1電極層を焼結するホットプレスを行ったものである。したがって、「※1」のサンプルでは、第2板体および第3板体を貫通する1本の給電部が、第1電極層から基体の下面側に延びており、第2板体および第3板体を貫通する給電部の下面に端子が接続ロウ付けされる。
(接合後隙間)
表1において、「接合後隙間」とは、第1給電部、第2給電部、および第3給電部の外周面と基体との境界の隙間を意味する。第1給電部、第2給電部、および第3給電部の外周面と基体との境界が緻密に接合している場合は隙間を「なし」とした。給電部と板体との境界が緻密に接合しているかどうかは、超音波探傷試験機を用いて判断した。給電部の外周から1mmの範囲に、給電部と板体との間の空隙に起因する反射波が確認される領域が全周の50%以下であるかどうかで判断し、給電部の外周から1mmの範囲に、反射波が確認できる領域が20%以下である場合に境界を緻密に接合されていると判断し、隙間を「なし」とした。超音波探傷試験機の測定条件は発信(超音波)周波数を50MHz、焦点距離を40mmとし、水中にて、フォーカスを給電部の下面に合わせて測定した。
(給電部と電極層の間の電気抵抗)
表1に示す「給電部-電極層間電気抵抗」は、端子部材をロウ付けにより取り付ける前のサンプルを用い、基体の上面から電極層まで達する貫通孔を設けて電極層を露出させ、露出させ、電極層と給電部下面との間の電気抵抗を測定した。電極層を露出する際には給電部の位置と重ならない位置とし、給電部から10mm離れた位置とした。
給電部-電極層間電気抵抗が10Ω以上10MΩ未満である場合は、静電吸着させるための電極としては使用可能であるが、RF電極として用いる場合やヒータ電極として用いる場合には電流に伴う発熱が大きくなる場合がある。給電部-電極層間電気抵抗が10MΩ以上であると、静電吸着させるための電極として使用する場合においても、吸着をさせる応答性が悪化するため使用することができない。
給電部-電極層間電気抵抗が10Ω以下、より好ましくは1Ω以下であれば、電極層を静電吸着させるために用いる場合、RF電極として用いる場合、ヒータ電極として用いる場合の何れにおいても好適に使用することができる。給電部-電極層間電気抵抗が0.5Ω以下であれば、電極層、給電部、および端子部材において、各部材の間の接合部の電気抵抗が、各部材自体の電気抵抗と同等以下と判断できるため、接合部に起因する発熱や電流の損失を考慮する必要がなくなる効果が得られる。
(耐電圧)
耐電圧試験は基体上部と側面に導電性ペーストを塗布し、基体下面に接続した全ての端子部材と導電性ペーストの間に直流電圧を印加することで行った。印加する電圧は8kVから1kV/mm刻みで、各電圧で1分間保持しながら増加させ、電流値が100nA/cm2を超えた場合には測定を終了して直前の電圧を耐電圧値とした。
(均熱性)
表1に示す「均熱性」は、各サンプルの静電チャック部材の載置面における均熱性を表している。均熱性の測定は、電気抵抗および耐電圧を測定したサンプルと同様のサンプルを作製して用い、測定するサンプルに端子部材、ベース部材を取り付けて静電チャック装置として行った。
均熱性は、それぞれのサンプルを赤外線ヒータ付きの真空チャンバー内に配置して評価した。各サンプルの載置面には、温度測定用の熱電対を取り付ける。熱電対の取り付け位置は、第3給電部の直上中心と、第3給電部の直上中心から30mm離れており、第1給電部の真上中心、および基体の外周部から30mm以上離れた個所としている。測定の手順は、真空ポンプで、真空チャンバー内を0.1Pa以下に真空引きし、赤外線ヒータによって入熱量が50kW/mとし、静電チャック装置のベース部材に冷媒を流し、基体上面の温度が70℃となるように、各サンプルの静電チャック部材を所定時間だけ加熱し、2か所の熱電対によってそれぞれ温度差を測定した。
Figure 0007400854000001
表1において、比較例1のサンプルでは、給電部を、第2板体および第3板体に設けられた貫通孔に挿入した状態で、ホットプレスを行う。そのため、接合焼結工程において、垂直方向での給電部上での収縮が給電部接合層や絶縁性接合層を塗布した場所よりも小さく、給電部の直上で第1板体に負荷がかかり、給電部上において、第1板体の耐電圧が低下したと考えられる。
これに対して、実施例1のサンプルでは、接合焼結工程において、垂直方向での給電部上での収縮と給電部接合層や絶縁性接合層を塗布した場所の収縮が同一であるため、給電部の直上で第1板体に過剰に負荷がかかることが無いため、良好な耐電圧特性が得られたと考えられる。
実施例1のサンプルは実施例2のサンプルに比べて給電部と電極層の間の抵抗値が小さくなっている。実施例1のサンプルは実施例2のサンプルに比べて給電部と板体に設けた貫通孔の間の隙間が小さく、実施例1のサンプルは接合焼結後の隙間が確認されない。板体と給電部の隙間を無くすことで、給電部接合層および給電部上の電極層に適切に応力をかけることができ、抵抗値が小さくなったと考えられる。一方、隙間がある場合は応力が分散されて小さくなるため抵抗値が高くなると考えられる。
実施例1のサンプルは実施例3のサンプルに比べて耐電圧値が高くなっている。実施例1のサンプルは導電層用ペーストに用いる絶縁性粒子に導電性粒子と粒径の近い粒子と嵩密度の小さい粉末の混合粉末を用いて、乾燥した後の導電層の成形体密度を、乾燥した後の絶縁層の成形体密度に近づけている。
そのため、接合焼結後の厚さは導電層と絶縁層で略同一となり、導電層および絶縁層に加わる応力が適切となり、良好な耐電圧特性が得られたと考えられる。一方、実施例3のサンプルは導電層用ペーストに用いる導電性粒子と絶縁性粒子の粒径が大きく異なる。粒度分布が広いほど空間に対する充填率を高くなりやすいため、スクリーン印刷を行い乾燥した後の導電層の成形体密度は、絶縁層よりも高くなる。成形体密度が高いほど焼結時の収縮は小さくなるため、接合焼結後の厚さは導電層の方が厚くなる。
そのため、第1板体に過剰に負荷がかかり、絶縁層に加わる応力が小さくなり、耐電圧特性が実施例1に比べて低くなったと考えられる。
なお、確認のため実施例1と実施例3のサンプルについて給電部接合層と給電部接合層周囲の絶縁性接合層の断面を鏡面加工したサンプルを作製し、SEM観察を行って気孔率を確認した。気孔率から求めた実施例1では絶縁性接合層の密度は、98.9%、給電部接合層の密度は97.9%であった。一方、実施例3では縁性接合層の密度は、98.2%であり、給電部接合層の密度は98.6%であった。このことからも、実施例3では給電部上に応力が集中していることが示唆させる。
比較例2は第2給電部および給電部接合層を設けずに作製し、第1給電部に達する凹部を基体に設けて端子を接続する部位を設けた以外は実施例と同様である。この場合、凹部を設けているため、凹部付近での熱伝達が悪化して均熱性が悪化する問題が生じた。
実施例4、実施例5、比較例3のサンプルは接合焼結工程をホットプレスの回数を2回使用して行ったものである。実施例4のサンプルは実施例1と同様の結果が得られ、実施例5のサンプルは実施例2のサンプルと同様の結果が得られた。
比較例3のサンプルは実施例4のサンプルと給電部接合層を設けなかった以外は同一の条件で作製しているが、比較例3のサンプルは給電部と電極層の間の抵抗値が高くなり、静電チャックとしては使用できなかった。比較例3のサンプルでは第2給電部と第3板体の境界に隙間があるため、第2給電部と第1電極層の間にかかる応力が小さくなったと考えられる。
次に、実施例1、実施例2のサンプルについて、ロウ付けにより直径6mmの端子部材を取り付け、給電部―電極層間抵抗と同様の方法で測定した。端子部材と電極層の間の抵抗値は実施例1で0.5Ω以下であり、実施例2では10MΩであった。実施例2のサンプルでは給電部と基体の境界に隙間があるため、ロウ付け時に隙間にロウ剤が侵入するなどして、給電部との接合面が劣化したため、抵抗値が高くなったと考えられる。図6は、実施例1のサンプルに端子部材をロウ付けしたサンプルの給電部の周囲の超音波探傷試験の撮像写真であり、図7は、実施例2のサンプルに端子部材をロウ付けしたサンプルの給電部の周囲の超音波探傷試験の撮像写真である。図6、図7の撮像写真において中央の灰色の円形の領域が給電部である。図7に示す比較例1の撮像写真では、給電部の周囲の全周に渡って白色円弧の筋状に現れる隙間が撮影されている。一方で、図6に示す実施例4のサンプルでは、このような隙間が表れていないことがわかる。
以上に、本発明の様々な実施形態を説明したが、各実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
例えば、上述の実施形態では、第1板体と第2板体との間に第1絶縁性接合層が設けられ、第2板体と第3板体との間に第2絶縁性接合層が設けられる場合について説明した。しかしながら、第1絶縁性接合層、および第2絶縁性接合層は、何れか一方、又は両方を省略することもできる。また、端子部材を給電部にロウ付けによる取り付けせず、導電性接着剤などの他の方法で取り付ける場合においても本発明を利用することができる。
1…静電チャック装置
2,102,202…静電チャック部材
3…ベース部材
5,105,205…ロウ付け部
10,110,210…基体
10s…載置面
10t,110t,210t…下面
11…板体
11a…第1板体(板体、セラミックス板)
11b…第2板体(板体、セラミックス板)
11c,111c…第3板体(板体、セラミックス板)
12a…貫通孔
12a…第1貫通孔
12b…第2貫通孔
12c…第3貫通孔
13…第1電極層
14…第2電極層
15…給電部接合層
16…絶縁性接合層
16d…第1絶縁性接合層
16e…第2絶縁性接合層
30…給電部
31…第1給電部(給電部)
32…第2給電部(給電部)
33,133,233…第3給電部(給電部)
33a,111g…凹部
33b,111f…底面
35,135,235…端子部材
W…ウエハ(試料)

Claims (7)

  1. 試料を搭載する載置面と前記載置面の反対側に位置する下面とが設けられ、厚さ方向に積層され互いに接合された第1板体、第2板体、および第3板体と、
    前記第1板体と前記第2板体との間に位置する、第1電極層と、
    前記第2板体と前記第3板体との間に位置する給電部接合層と、
    前記第2板体に埋め込まれ、前記第1電極層と前記給電部接合層とを繋ぐ柱状の第1給電部と、
    前記第3板体に埋め込まれ、前記給電部接合層から前記下面側に延びる柱状の第2給電部と、を備え、
    前記第1電極層と前記第2給電部は、前記第1給電部、および前記給電部接合層を介して、電気的に接続されており、
    前記第1電極層、前記給電部接合層、前記第1給電部、前記第2給電部は、絶縁性物質と導電性物質の複合焼結体である、
    静電チャック部材。
  2. 前記第2給電部は、前記第1給電部と前記給電部接合層を挟んで対向して配置される、請求項1に記載の静電チャック部材。
  3. 前記第2板体と前記第3板体との間に位置する、第2電極層と、
    前記第3板体に埋め込まれ前記第2電極層から前記下面側に延びる柱状の第3給電部と、を備える、
    請求項1又は2に記載の静電チャック部材。
  4. 前記第1板体と前記第2板体との間であって前記第1電極層とは異なる位置に配置される第1絶縁性接合層、又は、前記第2板体と前記第3板体との間であって前記第2電極層および前記給電部接合層とは異なる位置に配置される第2絶縁性接合層のうち、少なくとも一方を備え、
    前記第1絶縁性接合層、および前記第2絶縁性接合層は、前記第1板体、前記第2板体、および前記第3板体とは、異なる材料からなる、
    請求項3に記載の静電チャック部材。
  5. 前記第1給電部の外周面と前記第2板体との境界、および前記第2給電部の外周面と前記第3板体との境界は、緻密に接合されている、
    請求項3又は4に記載の静電チャック部材。
  6. 請求項1~5の何れか一項に記載の静電チャック部材と、
    前記静電チャック部材を前記載置面の反対側から支持するベース部材と、を備える、静電チャック装置。
  7. 第1板体、第2板体、および第3板体を焼結する板体焼結工程と、
    第1給電部と第2給電部と第3給電部とを焼結する給電部焼結工程と、
    接合焼結工程と、を備え、
    前記接合焼結工程は、
    前記第1板体と、
    前記第2板体と、
    前記第3板体と、
    前記第2板体の第1貫通孔に挿入される第1給電部と、
    前記第3板体の第2貫通孔に挿入される前記第2給電部と、
    前記第3板体の第3貫通孔に挿入される前記第3給電部と、
    前記第1板体と前記第2板体との間に配置される第1電極層と、
    前記第2板体と前記第3板体との間に配置される第2電極層と、
    前記第1給電部と前記第2給電部の間に配置される給電部接合層と、を焼結することで相互に接合して一体化する工程である、
    静電チャック部材の製造方法。
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