JP5702178B2 - 空調機器洗浄方法 - Google Patents

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Description

本発明は、エアコン、空気清浄機、電気集塵機、ミストコレクター等の空調機器の内部を洗浄する洗浄方法に関する。詳しくは、空気を吸入口から吹出口へ流通させる連通路を備えてその連通路に設けられた空調機能部により空調を行う空調機器の、空調機能部及び連通路の少なくともいずれかの汚れ箇所に存在する汚れ物質を除去する空調機器洗浄方法に関する。
空調機器であるエアコンの内部を洗浄する洗浄方法が種々提案されている。例えば特許文献1,2に示す洗浄方法では、洗浄部分あるいはエアコン全体をカバー等で覆うとともに、洗浄液をエアコン内部に吹き付け、除去された汚れ物質と洗浄液とを汚水としてカバー等で受ける。
特許第2700860号公報 特許第3325259号公報
これらの特許文献に記載されたエアコン洗浄方法には、エアコンを設置した状態で内部の洗浄を行える利点がある。しかし、洗浄液をエアコン内部に吹き付けることから、除去された汚れ物質や洗浄液がエアコン外部へ飛び散らないようにエアコン全体をカバー等で覆って洗浄作業を行う必要があり、カバー等の覆いそのものやカバー等で回収した汚水(汚れ物質と洗浄液との混合液)の後処理も面倒である。また、汚れを取るための溶剤、水といった液体を洗浄媒体に使用できない場合(例えば空調機器が電気集塵機であるとき)もある。
本発明の課題は、洗浄媒体であるドライアイスパウダー及び圧縮空気には面倒な後処理を要せず、分離した汚れ物質の後処理が容易な空調機器洗浄方法を提供することにある。
課題を解決するための手段及び発明の効果
上記課題を解決するために、本発明は、空気を吸入口から吹出口へ流通させる連通路を備えてその連通路に設けられた空調機能部により空調を行う空調機器の、前記空調機能部及び連通路の少なくともいずれかの汚れ箇所に存在する汚れ物質を除去する空調機器洗浄方法であって、
前記吸入口と吹出口とのうちいずれか一方を洗浄のための供給口、他方を排出口とし、その排出口には、通気性を有しかつ汚れ物質の通過を阻止する臨時のフィルターを外側から被せて一時的に塞ぎ、
ドライアイスパウダーを圧縮空気とともにフィルター非装着状態の前記供給口からフィルター装着状態の前記排出口に向けて噴射することにより、ドライアイスパウダーの接触又は衝撃によって汚れ物質を汚れ箇所より分離し、その分離された汚れ物質は、少なくとも圧縮空気の流れに乗って前記排出口に設置された臨時のフィルターへ導かれて捕獲され、昇華していないドライアイスパウダーが存在する場合にはそのドライアイスパウダーとともにその臨時のフィルターで捕獲され、一方、少なくとも圧縮空気はその臨時のフィルターを通過して外部に排出され、
ドライアイスパウダー及び圧縮空気の噴射を停止した後、汚れ物質を捕獲した臨時のフィルターを前記排出口から取り外すことによって汚れ物質を前記空調機器から除去することを特徴とする。
上記空調機器洗浄方法では、吸入口又は吹出口を一時的に塞ぐように臨時のフィルターを設置し、ドライアイスパウダーを圧縮空気とともに噴射して汚れ物質を汚れ箇所より分離させ、分離した汚れ物質を臨時のフィルターで捕獲する。したがって、洗浄媒体であるドライアイスパウダーや圧縮空気には面倒な後処理を要せず、汚れ物質を捕獲した臨時のフィルターを空調機器から除去することにより後処理が終了するので、洗浄作業を効率的にかつ清潔に行える。具体的には、ほとんどのドライアイスパウダーは汚れ物質を汚れ箇所より分離する際に昇華して気体(二酸化炭素)になり、圧縮空気とともに臨時のフィルターを通過して外部に排出され、昇華していないドライアイスパウダーが存在する場合には汚れ物質とともにその臨時のフィルターで捕獲される。
しかも、洗浄媒体であるドライアイスパウダーは、汚れ箇所に噴射されるときには固体状態であるから、衝撃エネルギーにより汚れ物質を分離しやすく、昇華して気体(二酸化炭素)になればそのまま空中に放出できる。よって、ドライアイスパウダーは、電気集塵機のように液体を洗浄媒体に使用できない空調機器に対しても使用でき、洗浄媒体として汎用性が高い。
本発明において「空調機器」は、少なくとも、エアコン、空気清浄機、電気集塵機、ミストコレクターを含む。
・エアコンは、室内、工場内等の空気を吸入口から吹出口へ流通させる連通路を備え、その連通路に設けられた熱交換器用フィン等の空調機能部により、温度、湿度等の空調を行う。
・空気清浄機は、室内、工場内等の空気を吸入口から吹出口へ流通させる連通路を備え、その連通路には、集塵フィルター、送風ファンの羽根等の空調機能部が設けられ、空気中に浮遊する粉塵、花粉、ハウスダスト、オイルミスト等の微粒子を除去したり、ペットや室内環境から発する臭気を除去したりして空気を清浄にする。もちろん、煙草の煙を吸着するための空気清浄機も、本発明に係る洗浄方法の適用対象となる空調機器に含まれる。
・電気集塵機は、室内、工場内等の空気を吸入口から吹出口へ流通させる連通路を備え、その連通路には、−極の高電圧に荷電されたイオナイザ部(帯電部)のブレード、+極の電荷を有するコレクタ部(集塵部)のプレート等の空調機能部が設けられ、イオナイザ部のコロナ放電によって−極に帯電した粉塵、オイルミスト等の微粒子を+極のコレクタ部で吸着して捕集することにより空気を清浄にする。
・ミストコレクターは、特に工場内で汚染された空気を吸入口から吹出口へ流通させる連通路を備え、その連通路に設けられた各種方式の空調機能部により、汚染空気中に浮遊するオイルミスト、ヒューム、油分等を除去して空気を清浄にする。ミストコレクター(例えばオイルミストコレクター)の作動方式には、遠心分離方式、フィルター方式、電気集塵方式等多くの種別がある。なお、フィルター方式は上記した空気清浄機と同じ構造を有する場合があり、電気集塵方式は上記した電気集塵機と同じ構造を有する場合がある。
そのうち、「エアコン」は、エアーコンディショナー、クーラー、ヒーター等を総称するものであり、冷房専用機、冷暖房兼用機のいずれであるか、家庭用、業務用のいずれであるかを問わない。また、「エアコン」には、一体型とセパレートタイプとが含まれる。一体型は、窓型ルームエアコンのように、圧縮機、凝縮器、蒸発器が一体となったものである。一方、セパレートタイプは、圧縮機、室外熱交換器(冷房時には凝縮器、暖房時には蒸発器となる)が一体の室外機と、室内熱交換器(冷房時には蒸発器、暖房時には凝縮器となる)を内蔵する室内機とが冷媒配管で接続されたものである。セパレートタイプの場合の室内機設置形態は、壁掛け型、天井埋め込み型、天井吊下げ型、床置き型等のいずれでもよい。もちろん、自動車用エアコン、航空機用エアコン、電車用エアコンのように、乗り物(あるいは移動体)に搭載されるエアコンも、本発明に係る洗浄方法の適用対象となる空調機器に含まれる。
なお、エアコンの場合、上記連通路には、熱交換器(凝縮器又は蒸発器)のフィンが配置され、また、空気を吸い込む又は送り出す送風ファンの羽根や空気の吹き出し方向を調節する風向板等も配置され、空調機能部を構成している。したがって、これらの空調機能部の表面や、連通路の内壁面等に付着した汚れ物質が、ドライアイスパウダーの接触又は衝撃によって分離される。
また、吸入口と吹出口とのうち排出口であったものが洗浄のための新たな供給口、供給口であったものが新たな排出口となるように変更するとともに、その新たな排出口には、前回と同様に臨時のフィルターを外側から被せて一時的に塞ぎ、
ドライアイスパウダー及び圧縮空気は、フィルター非装着状態の新たな供給口からフィルター装着状態の新たな排出口に向けて連通路内を前回とは逆方向に噴射され、汚れ物質は新たな排出口に設置された臨時のフィルターで前回と同様に捕獲され、
ドライアイスパウダー及び圧縮空気の噴射を停止した後、汚れ物質を捕獲した臨時のフィルターを新たな排出口から取り外すことによって汚れ物質を空調機器から除去する。
このように、連通路の内部洗浄を吸入口側と吹出口側との双方向から実施することによって、連通路が途中で湾曲したり、断面形状が変化したりしている場合でも、ドライアイスパウダーが広く行き渡るようになって汚れ物質が汚れ箇所から分離されやすくなり、短時間で洗浄効果を挙げることができる。特にエアコンにあっては、連通路の途中に配置された熱交換器のフィン、送風ファンの羽根、風向板等の空調機能部に対し両方向からドライアイスパウダーを衝突させることによって、洗浄ムラが生じにくくなる。
ドライアイスパウダーはドライアイスブロックを切削することにより作られて噴射部に供給され、そのドライアイスパウダーが圧縮空気とともに噴射部から連通路へ噴射される。
洗浄媒体であるドライアイスパウダーは、予め作り置きしておくのではなく、実際に噴射するときに削り出されるので、作りたての細かく柔らかいドライアイスパウダーを噴射でき、質量が小さく衝突エネルギーが過大でないため、空調機能部の表面や、連通路の内壁面等の損傷を防止できる。
さらに、噴射部がドライアイスパウダー及び圧縮空気の噴射を開始するとき、ドライアイスブロックの切削が開始され、噴射部がドライアイスパウダー及び圧縮空気の噴射を停止するとき、ドライアイスブロックの切削が停止される。
このように必要なときに必要なだけドライアイスパウダーを提供することにより、必要以上のドライアイスパウダーが生じて滞留したり、洗浄に用いられる前に昇華してしまうといった無駄を防ぐことができる。
切削により作られたドライアイスパウダーはパウダーホースを介し噴射部に供給され、噴射部の噴射開始から制限時間が経過するまでは、ドライアイスパウダーの供給を停止した状態で圧縮空気を供給することにより、少なくともパウダーホースに残留するドライアイスパウダーを噴射部から排出して清浄化し、制限時間経過後に新たなドライアイスパウダーをパウダーホースに供給して噴射部へ導く。
これにより、噴射部の噴射開始時にパウダーホース内等が清浄化される。例えば洗浄作業を一時中断したときに、パウダーホース内等にドライアイスパウダーが残留していても、噴射部の噴射開始時に残留ドライアイスパウダーが清浄化された後に洗浄作業を実施できるので、結合した質量の大きな氷塊(パウダー塊)が空調機能部の表面や、連通路の内壁面等に衝突してそれらを損傷することを防止できる。
又は、切削により作られたドライアイスパウダーはパウダーホースを介し噴射部に供給され、噴射部の噴射停止から制限時間が経過するまでは、ドライアイスパウダーの供給を停止した状態で圧縮空気を供給し続けることにより、少なくともパウダーホースに残留するドライアイスパウダーを噴射部から排出して清浄化する。
これにより、噴射部の噴射停止時にパウダーホース内等が清浄化される。例えば洗浄作業を一時中断する場合には、パウダーホース内等に残留し相互に付着(氷結)して氷塊を形成しやすくなる(大粒化するおそれのある)ドライアイスパウダーは、噴射部の噴射停止時に清浄化されるので、結合した氷塊がホース内や噴射部内で詰まることが回避され、また、結合した質量の大きな氷塊(パウダー塊)が空調機能部の表面や、連通路の内壁面等に衝突してそれらを損傷することを防止できる。
また、ドライアイスブロックをモータによって正回転させつつ、そのドライアイスブロックに切削刃が食い込んで切削を行い、モータの逆回転に対してはドライアイスブロックに切削刃が食い込まず切削を行わないものであり、噴射部が噴射を開始するとき、モータをいったん逆回転させた後に正回転に転じて切削を開始させるものである。
噴射部の噴射停止によりドライアイスブロックの切削が停止するが、その後噴射部の噴射が再開されるときに、ドライアイスブロックをモータにより再起動してドライアイスパウダーを得るための切削を途中から再開することになる。ドライアイスブロックが切削の途中で停止した状態では、切削刃がドライアイスブロックに食い込んでそこに段が生じているのが普通である。この状態でモータを再起動すると、その段から切削を開始するための大きなトルクを必要とし、モータに過度の負担がかかりやすいが、モータをいったん逆転させて切削刃の刃先を段から離し、その後モータを正転させ切削刃に対し勢いをつけて上記段を衝突させることにより、モータに過度の負荷をかけないで切削を再開することができる。
さらには、モータの回転数を変更することにより、ドライアイスブロックから削り出されるドライアイスパウダーの粒度を変更することができる。
例えば、空調機能部の構成部材や連通路の壁部が薄くて強度が弱いものである場合、モータの回転数を上げることによりドライアイスパウダーの粒度を小さくしてパウダー質量を小さくすれば、噴射・衝突時の衝撃エネルギーも小さくなって、空調機能部の表面や連通路の内壁面の損傷を回避できる。逆に空調機能部の構成部材や連通路の壁部の強度が高く、落としにくい汚れを洗浄するような場合は、モータの回転数を下げパウダー粒度を大きくしてその質量を上げれば、衝突時のエネルギーが増大し、洗浄力を高めることができる。
本発明に係る空調機器洗浄方法の一実施例を示す概略説明図。 図1の要部を示す説明図。 図2に続く空調機器洗浄方法を示す説明図。 本発明の空調機器洗浄に用いるブラスト装置の一例を簡略に示す全体概略図。 図4の制御系統図。 図4の切削刃及びホッパの近傍を示す斜視図。 噴射ガンの作用を説明する概略図。 図4のブラスト装置の制御プログラムを示すフローチャート。 パウダーホース内のドライアイスパウダーの清浄化の工程を示す概略図。 図9に続く概略図。 清浄化の後、新たなドライアイスパウダーを供給する図10に続く概略図。 ドライアイスブロックをいったん逆転してから正転に転じて切削を再開する工程図。 本発明に係る空調機器洗浄方法の他の実施例を示す説明図。 本発明に係る空調機器洗浄方法のさらに他の実施例を示す説明図。 本発明に係る空調機器洗浄方法のさらに他の実施例を示す説明図。 本発明に係る空調機器洗浄方法のさらに他の実施例を示す説明図。
(実施例1)
以下、本発明の実施の形態につき図面に示す実施例を参照して説明する。図1は本発明に係る空調機器洗浄方法の一実施例を示す概略説明図であり、空調機器がエアコンの場合(エアコン洗浄)を表している。図1に示すエアコンACは、室内機100と室外機110とが冷媒配管120で接続された、冷暖房兼用のセパレートタイプである。室内機100は室内熱交換器101(冷房時には蒸発器、暖房時には凝縮器となる)を内蔵し、室外機110は圧縮機111と室外熱交換器112(冷房時には凝縮器、暖房時には蒸発器となる)とを内蔵する。なお、113は室外機110に設けられる、送風ファンとしてのプロペラファンである。
室内機100の上部には、調整すべき室内の空気を導入するための吸入口102が、前方に向かって開口している。室内機100の下部には、調整後の空気を室内に戻すための吹出口103が、前下方に向かって開口している。吸入口102から導入した空気を吹出口103へ流通させる連通路104が、横向きから下向きに方向変換するために湾曲して形成されている。この連通路104の内部には、室内熱交換器101のフィン101aが配置され、また、調整後の空気を室内に送り出す送風ファンとしてのクロスフローファン105の羽根105aや、空気の吹き出し方向を調節する風向板106等も配置されており、これらは空調機能部としての役割を担っている。なお、107は、吸入口102から空気を導入する際に塵埃を捕捉するためのエアコンフィルターである。
室内機100は横長の(紙面に直交する方向に長い)壁掛け型であって、ルームエアコンとも呼ばれる。室内機100に開口する吸入口102,吹出口103や、室内機100の内部に配置された連通路104,クロスフローファン105(羽根105a),風向板106,エアコンフィルター107は、いずれも横長に形成されている。また、室内熱交換器101には、紙面と平行に位置する多数のフィン101aが紙面と直交する方向に沿って並べられている。室内機100は、室内の空気を吸入口102から導入し、温度、湿度等を調整して吹出口103から室内に戻す動作を繰り返すことによって、連通路104の内壁面104a等に汚れ物質Cが付着する(図2参照)。特に、汚れ物質Cは、室内熱交換器101のフィン101a,クロスフローファン105の羽根105a,風向板106等の空調機能部に多く付着するので、定期的に内部を洗浄することが奨励されている。このように、この実施例においてエアコン洗浄の対象となるのは室内機100であり、室内機100が実質的な空調機器である。
図2は上記空調機器洗浄方法の要部を示す説明図である。図2に示すように、室内機100の吹出口103を洗浄のための供給口150、吸入口102を洗浄のための排出口151として利用する。排出口151(吸入口102)には、臨時のフィルター152を外側から被せて、エアコン洗浄を行う間一時的に塞ぐ。臨時のフィルター152は、上記した空調機能部の表面や連通路104の内壁面104a等に付着した汚れ物質Cの通過を阻止する程度に通気性を有しており、例えば目の粗さが0.1mm〜0.5mmのメッシュで構成する。なお、通常、エアコンフィルター107は室内機100に対して着脱自在であるから、取り外して別途洗浄するが、取り付けたまま空調機能部や連通路104等と同時に洗浄してもよい。
ブラスト装置1(図1参照)によって粒状に形成されたドライアイスパウダーPを、エアコンプレッサ9(図1参照)によって加圧された圧縮空気とともに供給口150から排出口151に向けて噴射する。ドライアイスパウダーPは、ドライアイスブロックB(図4参照)を切削し、パウダーホース8を介して噴射部としての噴射ガン7に供給されるとともに、圧縮空気は、エアコンプレッサ9からエアホース10を介して噴射ガン7に供給され、ドライアイスパウダーP及び圧縮空気は噴射ガン7から連通路104へ向けて噴射される。
ドライアイスパウダーPが、室内熱交換器101のフィン101a,クロスフローファン105の羽根105a,風向板106等の空調機能部の表面や、連通路104の内壁面104a等に接触したり、衝撃したりすることによって、汚れ物質Cはこれらの面の汚れ箇所から分離する。汚れ箇所から分離した汚れ物質Cは、圧縮空気(及びドライアイスパウダーP)の流れに乗って排出口151に設置された臨時のフィルター152へ導かれて捕獲される。ほとんどのドライアイスパウダーPは、汚れ物質Cを汚れ箇所より分離する際に昇華して気体(二酸化炭素)になり、圧縮空気とともに臨時のフィルター152を通過して外部に排出されるが、昇華していないドライアイスパウダーPが存在する場合には、汚れ物質Cとともにその臨時のフィルター152で捕獲される。また、圧縮空気は臨時のフィルター152を通過して外部に排出される。
噴射ガン7の操作により、ドライアイスパウダーP及び圧縮空気の噴射を停止した後、汚れ物質Cを捕獲した臨時のフィルター152を排出口151(吸入口102)から取り外すことによって、汚れ物質Cをエアコンから除去する。
次に、図3は図2に続く空調機器洗浄方法を示す説明図である。図3では、吸入口102と吹出口103とのうち、図2において排出口であったものが洗浄のための新たな供給口150’、供給口であったものが新たな排出口151’となるように変更する。新たな排出口151’には、図2と同様に臨時のフィルター152’を外側から被せて、図2に引き続いてエアコン洗浄を行う間一時的に塞ぐ。
ドライアイスパウダーP及び圧縮空気は、新たな供給口150’(吸入口102)から新たな排出口151’(吹出口103)に向けて連通路104内を図2とは逆方向に噴射される。したがって、室内熱交換器101のフィン101a,クロスフローファン105の羽根105a,風向板106等の空調機能部の表面や、連通路104の内壁面104a等の汚れ箇所に付着する汚れ物質Cは、新たな排出口151’に設置された臨時のフィルター152’へ図2と同様に導かれて捕獲される。噴射ガン7の操作により、ドライアイスパウダーP及び圧縮空気の噴射を停止した後、汚れ物質Cを捕獲した臨時のフィルター152’を新たな排出口151’(吹出口103)から取り外すことによって、汚れ物質Cをエアコンから除去する。
このように、洗浄媒体であるドライアイスパウダーPや圧縮空気には、汚水等の液体を回収したり無毒化したりするような面倒な後処理を要せず、汚れ物質Cを捕獲した臨時のフィルター152,152’をエアコン(室内機100)から除去(廃棄処分)することにより後処理が終了するので、洗浄作業を効率的にかつ清潔に行える。
さらに、連通路104の内部洗浄を吸入口102側と吹出口103側との双方向から実施することによって、湾曲形状の連通路104においても、汚れ物質Cが汚れ箇所から分離されやすくなり、短時間で洗浄効果を挙げることができる。特に、連通路104の途中に配置された室内熱交換器101のフィン101a,クロスフローファン105の羽根105a,風向板106等の空調機能部に対し両方向からドライアイスパウダーPを衝突させることによって、洗浄ムラが生じにくくなる。
なお、図2に示す洗浄操作をXとし、図3に示す洗浄操作をYとしたとき、X→Y→XやX→Y→X→Yのようにさらに洗浄操作回数を増やすことによって、洗浄効果を一層高めることができる。また、洗浄操作X,Yは、それ自体独立して単独で行ってもかなりの洗浄効果を期待できるから、本発明はXのみあるいはYのみの洗浄方法を含む。
上記したエアコン洗浄方法を始め、本発明の空調機器洗浄方法に用いられるブラスト装置について、図4〜図12によりさらに詳しく説明する。図4に示すブラスト装置1は、車輪2によって移動可能なフレーム3と、ドライアイスブロックBをホルダ4を介して回転させるモータ20と、ドライアイスブロックBの切削によって得られたドライアイスパウダーPを収容するホッパ6と、作業者によって把持されドライアイスパウダーPを圧縮空気とともに噴射する噴射ガン7と、その噴射ガン7とホッパ6を接続してホッパ6のドライアイスパウダーPを噴射ガン7に導くパウダーホース8と、加圧源としてのエアコンプレッサ9からの圧縮空気を噴射ガン7へ導くエアホース10と、噴射ガン7に設けられ圧縮空気とドライアイスパウダーPの噴射を開始及び停止するオンオフ操作部としてのオンオフレバー11及びノズルスイッチ12とを備える。
フレーム3は、ドライアイスブロックBを載置する載置部15を備え、この載置部15に形成されたスリット16から上側にやや突出するように切削刃17が設けられ、この切削刃17に押し付けるようにドライアイスブロックBが載置される。ホルダ4は、複数の針4aを備え、これらの針4aがドライアイスブロックBの上面に食い込んでそのブロックBに回転トルクを伝達する。ホルダ4は、駆動軸18及び減速機構19を介してモータ20に接続されている。モータ20は、電動モータ又はエアモータであり、その出力は減速機構19を介してホルダ4を回転させる駆動軸18とホルダ4を切削に従って下降させていくネジ軸21とに分配される。ネジ軸21は、減速機構19に保持されフレーム3の一部3aに設けられたナット22と螺合する。
ドライアイスブロックBは、例えば図6に示すように、角柱状のものでその底面が切削刃17に押し付けられ、載置部15に形成された回転摺動面23上をホルダ4の駆動軸18を中心に回転する。ホッパ6は、上部の開口6aから下部に向かって横断面が漸次小さくなる形状であればよく、この例では載置部15に形成されたスリット16を自身の開口6aの中央に包含するように、逆円錐状ろうと形態又はラッパ状形態(逆円錐状の周壁が中心線側へ凸となるように膨出する曲面形態)を備えて、その下部にパウダーホース8が連結されている。なお、ホッパ6の内周面に描かれた細線は、例えばラッパ状の形態の曲面を立体的にみせるためのもので、細線自体が特別の実体を示すものではない。図4において、ホルダ4は上昇端位置にある状態でドライアイスブロックBが載置部15に載置され、その後、ホルダ4、減速機構19及びモータ20が例えば作業者の力で下方に押し下げられると、ネジ軸21はそれに追従して回転しつつホルダ4の針4aがドライアイスブロックBの上面に突き刺さりこれを保持する。
モータ20の回転によりホルダ4を介してドライアイスブロックBが回転すると、切削刃17によりそのブロックBが切削されてドライアイスパウダーPが得られ、これが載置部15のスリット16を経てホッパ6に収容される。モータ20の駆動によりネジ軸21も回転し、切削の進行に従い、このネジ軸21の作用によりホルダ4は下方へ変位しホルダ4が切削刃17に接近する下限位置でモータ20は停止し、新たなドライアイスブロックBが載置部15に載せられることとなる。モータ20はコントローラ25に接続され、コントローラ25にはモータ20の回転数を変更することによりドライアイスパウダーPの粒度を変更するパウダー粒度変更操作部としての操作パネル26が接続され、この操作パネル26がフレーム3の適宜の位置に配置される。
操作パネル26は例えば複数段階に切り替えられることにより、モータ20の回転数ひいてはドライアイスブロックBの切削によって得られるドライアイスパウダーPの粒度を変更する。例えば、操作パネル26の目盛1にダイアルを合わせればモータ20の回転数が最も低速となり、それによりドライアイスブロックBと切削刃17との相対速度が小さくなって、粒子の大きなドライアイスパウダーPが生じ、逆にダイアルを目盛5に合わせてモータ20の回転速度を高めると、切削刃17とドライアイスブロックBとの相対速度が大きくなり、粒度が小さいパウダーPが得られる。
パウダーPの粒度が小さければその質量は小さく、よって噴射ガン(ノズル)7から被洗浄対象物である連通路104及び空調機能部(図1〜図3参照)に対してドライアイスパウダーPを圧縮空気とともに噴射する際の衝突エネルギーが小さく、ドライアイスパウダーPの粒度が大きければその質量が大きく、噴射による衝撃のエネルギーも大きくなる。したがって洗浄する対象物の強度や洗浄する目的に応じて操作パネル26によりドライアイスパウダーPの粒度を複数段階(図例では5段階)に、又は無段階・連続的に調節する。
加圧源としてのコンプレッサ9は、車輪29を備えてブラスト装置1に付随して移動できるものであり、このコンプレッサ9で生じた圧縮空気がコンプレッサホース30、電磁弁31を経てエアホース10へ供給され、そのホース10を経て噴射ガン7へ導かれる。噴射ガン7は作業者によって把持されるもので、そのオンオフレバー11を握ればそのガン7内に内蔵されたノズルスイッチ12がオンとなり、このレバー11を離せばノズルスイッチ12がオフとなる。
図5に示すように、ノズルスイッチ12は、モータ20、電磁弁31とともにコントローラ25に接続され、コントローラ25に対してオンオフ信号を供給する。コントローラ25は、CPU33、タイマ34、シーケンス回路35及び制御プログラム36を備え、例えばノズルスイッチ12からのオン信号を受けると電磁弁31を開いて圧縮空気をコンプレッサ9からノズルガン17へ導き、かつタイマ34による制限時間の計測の後、シーケンス回路35を介してモータ20を起動する。また、ノズルスイッチ12からオフ信号を受けると、コントローラ25はモータ20の停止や電磁弁31を閉じる指令信号を出力する。制御プログラム36はこのブラスト装置1の全体を制御する後述のプログラムをメモリに書き込んだものであり、CPU33によって実行される。
図7に示すように、噴射ガン7には、パウダーホース8とエアホース10が接続され、それらが合流して一つの噴出孔を形成する。噴射ガン7においてエアホース10から圧縮空気が高速で流れると、ベンチュリ効果によってパウダーホース8内の空気が吸引され、更にはホッパ6に存在するドライアイスパウダーPが吸引されて噴射ガン7へ供給され、このドライアイスパウダーPが圧縮空気に霧状に混合した状態で噴射ガン7の先端(ノズル)から噴射される。ホッパ6を逆円錐状ろうと形態ないしラッパ状形態とすることにより、上記ベンチュリ効果に伴い、ホッパ6の全周面からドライアイスパウダーPが均等かつスムーズにパウダーホース8を経て噴射ガン7へ導かれる。なお、エアコンプレッサ9の出力、ひいては圧縮空気の圧力は、例えば0.1MP(メガパスカル)〜0.7MP(1〜7kgf/cm2)くらいであり、細かく質量の小さいドライアイスパウダーPを使用することにより、0.1MP(1kgf/cm2)程度の低圧力でも洗浄等のためのパウダー噴射が可能である。これによりエアコンプレッサ9として、いわゆる小出力のベビーコンプレッサーの使用が可能となり、それによってブラスト装置1の移動に伴い移動する(例えばそれに引っ張られて移動する)軽量・小型の移動式エアコンプレッサをブラスト装置に付随させ、ブラスト装置1をエアコンプレッサ9とともに必要な場所に移動して、洗浄をはじめとする種々の用途に汎用的に用いることができる。
図12(d)に示すように、切削刃17はドライアイスブロックBの正方向の回転においてそのブロックBの底面に食い込み切削を行うが、図12(b)に示すように、反対方向の回転(逆転)の際には切削刃17がドライアイスブロックBに食い込まないように刃先の向きないし角度が設定されている。
次に、このブラスト装置1の全体の動作を図8に示す制御プログラムのフローチャートに基づいて説明する。S1において、電源がオンされるとコンプレッサ9が起動し、またS2においてドライアイスブロックBが載置部15の所定位置に載置が完了されたかどうかが判断される(例えば位置決めスイッチがオンになる)。そして、S3でホルダ4が下降してドライアイスブロックBの上面に押し付けられ、針部4aがそこに食い込んでそのブロックBを保持する。この工程は、例えば図1におけるネジ軸21をモータ20とは別に用意された専用のモータで回転してホルダ4を下降させることもできるし、あるいはモータではなくエアシリンダ等によりホルダ4を下降させることもできる。また、この例では作業者が減速機構19を介してホルダ4を手動で押し下げてドライアイスブロックBの上面に押し付けることができる。その状態で作業者が噴射ガン7のレバー11を握ってノズルスイッチ12がオンになると(S4)、S5で電磁弁(バルブ)31が開となり、コンプレッサ9で生じた圧縮空気が噴射ガン7へ送られる。
また、S6で図5のタイマ34により所定の制限時間(例えば2〜5秒程度)がセットされ、S7でタイムアップとなるまでその状態が続く。図8のプログラムの説明の順番では、最初の起動時の話となるが、例えばS13を経てS4によりノズルスイッチ12が再びオンになる(つまり、ドライアイスパウダーPの噴射が行われ、それがいったん停止して再び噴射が行われる場合を想定する)と、図9に示すように、ドライアイスブロックBの回転は停止していて切削していない状態にある。しかし電磁弁31が開状態にあるため、圧縮空気はエアホース10を経て噴射ガン7に導かれ、高速で噴射ガン7から噴出するため、前述のベンチュリ効果によりパウダーホース8内に残留するドライアイスパウダーPが噴射ガン7へ向かって吸引され、圧縮空気とともに噴出する。図10に示すように、パウダーホース8内に残留するドライアイスパウダーPがほぼホース8外へ排出された頃に制限時間が経過し(S7のタイムアップ)、図8のS8及びS9のモータ20の起動によるドライアイスブロックBの切削再開のステップとなる。
ここで、図12(a)に示すように、ドライアイスブロックBの切削が途中で停止した状態では、切削刃17がそのブロックBの底面に食い込んで段(段差)が生じている。このままモータ20を駆動して切削を開始すると、モータ20に大きな負荷がかかる。そこで、図12(a)、(b)に示すように、モータ20を所定の角度逆転させ(例えば360°以下の範囲で)、その後、同図(c)、(d)に示すように、モータ20を正転に転じて(d)に示すところから切削を開始すれば、この切削開始時に切削刃17とドライアイスブロックBの段差との間で相対速度が生じているため、切削の再開に伴う初期トルクを小さくすることができる。これが図8におけるS8及びS9のステップである。この切削の再開により、図11に示すように、新たに切削されたドライアイスパウダーPが清浄化された後のパウダーホース8を通過して噴射ガン7へ供給される。そしてノズルスイッチ12がオン状態を維持する間は、モータ20によるドライアイスブロックBの回転(正転)によりブロックBが切削され続け、それで得られたドライアイスパウダーPが噴射ガン7へ送られ、圧縮空気とともに被洗浄対象物である連通路104及び空調機能部へ噴射されることによって洗浄作業が行われる(図1〜図3参照)。
S10でノズルスイッチ12がオフになると、S11でモータ20が停止し、ドライアイスブロックBの切削は終わり、S12で電磁弁31が閉まり、噴射ガン7からの圧縮空気及びドライアイスパウダーPの噴射は停止する。S13で電源スイッチがオフにされればそれで終了するが、そうでなければS4に戻り、ノズルスイッチ12がオンになったかどうかが判断され、以下同様の工程を繰り返す。
図9から図11に示すように、噴射ガン7からの噴射が再開されるときに、パウダーホース8に残留するドライアイスパウダーPがパウダーホース8、さらには噴射ガン7から排出された後、新たに作成されたドライアイスパウダーPが噴射ガン7に供給されるから、パウダーホース8内に残留するパウダー同士が結合して氷塊を作り、それが詰りの原因となったり対象物を損傷させたりする不都合が解消される。
なお、図8におけるS6及びS7のステップ(A工程)をS11とS12の間に挿入することもできる。この場合は、噴射ガン7からの噴射が中断してノズルスイッチ12がオフとなったとき、S11でモータ20が停止し、それに伴いドライアイスブロックBの切削も停止する。その後、タイマ34によって制限時間がセットされ、その制限時間がタイムアップするまで図4の電磁弁31が開状態に保たれる。したがってその制限時間内はコンプレッサ9からの圧縮空気がエアホース10を経て噴射ガン7に供給され続ける。そのため図9及び図10に示すように、パウダーホース8内に残留するドライアイスパウダーPが、噴射停止後、制限時間内に噴射ガン7から外部へ排出されることとなる。
以上の説明においてコントローラ25及び図8に示す制御プログラム36中のS5〜S7が清浄化手段として機能し、また図8のS5〜S7は、その清浄化のためのパウダー供給制御部となる。また、S6及びS7のステップをS11とS12の間に挿入した場合は、前述のコントローラ25及びこれらのステップS11、S12が清浄化手段としてのパウダー供給制御部となる。また、同様に、コントローラ25と図8のS10、S11が切削停止制御部となり、S8、S9が切削再開制御部となる。また、図8の制御プログラムの説明は、本発明の空調機器洗浄方法の実施例ともなる。なお、図8において、S5の次のS6、S7と、S11の次のS6、S7を重複して設けることもでき、その場合は、噴射ガン7のオン時・オフ時の双方で清浄化処理が行われる。
(実施例2)
図13は、本発明に係る空調機器洗浄方法の他の実施例を示す説明図であり、空調機器である室内機の設置形態が天井埋め込み型又は天井吊下げ型のエアコンの場合(エアコン洗浄)を表している。図13に示す天井埋め込み型又は天井吊下げ型の室内機200には、中央部に位置する矩形状(図では正方形状)の吸入口202の周囲に複数(図では各辺に1個ずつ、計4個)の吹出口203が設けられ、吸入口202と各吹出口203とは内部においてそれぞれ連通路(図示を省略した)で接続されている。
したがって、図13(a)に示すように、室内機200の吸入口202を洗浄のための供給口250、複数の吹出口203を洗浄のための排出口251として利用する場合には、すべての排出口251(吹出口203)を覆うように臨時のフィルター252を設置して、ドライアイスパウダーP及び圧縮空気を供給口250(吸入口202)から噴射する。
他方、室内機200の複数の吹出口203を洗浄のための供給口250’、吸入口202を洗浄のための排出口251’として利用する場合には、二通りの洗浄形態が可能である。
(1)第一の洗浄形態
図13(b)に示すように、各吹出口203を洗浄のための供給口250’として一斉利用する洗浄形態では、排出口251’(吸入口202)に臨時のフィルター252’を設置して、ドライアイスパウダーP及び圧縮空気をすべての供給口250’(吹出口203)から同時に噴射する。
(2)第二の洗浄形態
図13(c)に示すように、各吹出口203を洗浄のための供給口250’として個別利用する洗浄形態では、ドライアイスパウダーP及び圧縮空気をいずれか1つの供給口250’(吹出口203)から噴射するので、排出口251’(吸入口202)と残りの3つの供給口250”(吹出口203)とを覆うように臨時のフィルター252”を設置する。これによって、供給口250’からドライアイスパウダーP及び圧縮空気を噴射したときに、排出口251’及び残りの供給口250”から飛び出す汚れ物質を臨時のフィルター252”で捕獲できる。そして、ドライアイスパウダーP及び圧縮空気を噴射する供給口250’を順次変更するにつれて、臨時のフィルター252”の設置位置(覆う範囲)も順次変更する。
(実施例3)
図14は、本発明に係る空調機器洗浄方法のさらに他の実施例を示す説明図であり、空調機器が空気清浄機の場合を表している。図14に示す空気清浄機300は、室内、工場内等の空気を横向きに開口する吸入口302から上向きに開口する吹出口303へ流通させる連通路304を備える。その連通路304には、流通する空気より粉塵等を捕集するために吸入口302の後方に配置された集塵フィルター307、送風ファンとしてのシロッコファン305の羽根305a等の空調機能部が設けられ、空気中に浮遊する粉塵、花粉、ハウスダスト、オイルミスト等の微粒子を除去したり、ペットや室内環境から発する臭気を除去したりして空気を清浄にする。
空気清浄機300の吹出口303を洗浄のための供給口350、吸入口302を洗浄のための排出口351として利用する。排出口351(吸入口302)には、臨時のフィルター352を外側から被せて、空気清浄機300の内部洗浄を行う間一時的に塞ぐ。なお、通常、集塵フィルター307は空気清浄機300に対して着脱自在であるから、取り外して別途洗浄するが、取り付けたまま他の空調機能部(シロッコファン305の羽根305a等)や連通路304等と同時に洗浄してもよい。
噴射ガン7(噴射部)により、ドライアイスパウダーPを圧縮空気とともに供給口350から連通路304へ向けて噴射する。ドライアイスパウダーPが、シロッコファン305の羽根305a等の空調機能部の表面や、連通路304の内壁面304a等に接触したり、衝撃したりすることによって、オイルミスト、粉塵等の汚れ物質Cはこれらの面の汚れ箇所から分離する。汚れ箇所から分離した汚れ物質Cは、圧縮空気(及びドライアイスパウダーP)の流れに乗って排出口351に設置された臨時のフィルター352へ導かれて捕獲される。ほとんどのドライアイスパウダーPは、汚れ物質Cを汚れ箇所より分離する際に昇華して気体(二酸化炭素)になり、圧縮空気とともに臨時のフィルター352を通過して外部に排出されるが、昇華していないドライアイスパウダーPが存在する場合には、汚れ物質Cとともにその臨時のフィルター352で捕獲される。また、圧縮空気は臨時のフィルター352を通過して外部に排出される。
噴射ガン7の操作により、ドライアイスパウダーP及び圧縮空気の噴射を停止した後、汚れ物質Cを捕獲した臨時のフィルター352を排出口351(吸入口302)から取り外すことによって、汚れ物質Cを空気清浄機300から除去する。次に、ドライアイスパウダーP及び圧縮空気が連通路304内を図14とは逆方向に流れるように噴射すると、図3(実施例1)と同様に、汚れ箇所から分離した汚れ物質Cは、吹出口303側に設置した臨時のフィルターで捕獲される。
(実施例4)
図15は、本発明に係る空調機器洗浄方法のさらに他の実施例を示す説明図であり、空調機器が電気集塵機の場合を表している。図15に示す電気集塵機400は、室内、工場内等の空気を、送風ダクトと連結される吸入口402から吸引ダクトと連結される吹出口403へ流通させる連通路404を備える。その連通路404には、−極の高電圧に荷電されたイオナイザ部405(帯電部)のブレード405a、+極の電荷を有するコレクタ部406(集塵部)のプレート406a等の空調機能部が設けられ、イオナイザ部405のコロナ放電によって−極に帯電した粉塵、オイルミスト等の微粒子を+極のコレクタ部406で吸着して捕集することにより空気を清浄にする。イオナイザ部405のブレード405aは、吸入口402に近い側において空気の流れと平行状に複数(図では3枚)配置され、コレクタ部406のプレート406aは、吹出口403に近い側において空気の流れと平行状に複数(図では5枚)配置されている。電気集塵機400には、コロナ放電のためのイオナイザ部405を始め、高電圧部品が多く使用されているために水分は厳禁されているから、液体を洗浄媒体として使用することはできない。なお、407は、吸入口402から吹出口403へ流通する空気から、比較的大きな粉塵等を予め捕集するために、吸入口402の直後に配置された集塵フィルターである。
電気集塵機400の吹出口403を洗浄のための供給口450、吸入口402を洗浄のための排出口451として利用する。排出口451(吸入口402)には、臨時のフィルター452を外側から被せて、電気集塵機400の内部洗浄を行う間一時的に塞ぐ。なお、通常、集塵フィルター407は電気集塵機400に対して着脱自在であるから、取り外して別途洗浄するが、取り付けたまま空調機能部や連通路404等と同時に洗浄してもよい。
噴射ガン7(噴射部)により、ドライアイスパウダーPを圧縮空気とともに供給口450から連通路404へ向けて噴射する。ドライアイスパウダーPが、イオナイザ部405のブレード405a、コレクタ部406のプレート406a等の空調機能部の表面や、連通路404の内壁面404a等に接触したり、衝撃したりすることによって、微粒子等の汚れ物質Cはこれらの面の汚れ箇所から分離する。汚れ箇所から分離した汚れ物質Cは、圧縮空気(及びドライアイスパウダーP)の流れに乗って排出口451に設置された臨時のフィルター452へ導かれて捕獲される。ほとんどのドライアイスパウダーPは、汚れ物質Cを汚れ箇所より分離する際に昇華して気体(二酸化炭素)になり、圧縮空気とともに臨時のフィルター452を通過して外部に排出されるが、昇華していないドライアイスパウダーPが存在する場合には、汚れ物質Cとともにその臨時のフィルター452で捕獲される。また、圧縮空気は臨時のフィルター452を通過して外部に排出される。
噴射ガン7の操作により、ドライアイスパウダーP及び圧縮空気の噴射を停止した後、汚れ物質Cを捕獲した臨時のフィルター452を排出口451(吸入口402)から取り外すことによって、汚れ物質Cを電気集塵機400から除去する。次に、ドライアイスパウダーP及び圧縮空気が連通路404内を図15とは逆方向に流れるように噴射すると、図3(実施例1)と同様に、汚れ箇所から分離した汚れ物質Cは、吹出口403側に設置した臨時のフィルターで捕獲される。
このように、洗浄媒体であるドライアイスパウダーは、汚れ箇所に噴射されるときには固体状態であるから、衝撃エネルギーにより汚れ物質を分離しやすく、昇華して気体(二酸化炭素)になればそのまま空中に放出できる。よって、ドライアイスパウダーは、電気集塵機400のように液体を洗浄媒体に使用できない空調機器に対しても安心して使用できる。
(実施例5)
図16は、本発明に係る空調機器洗浄方法のさらに他の実施例を示す説明図であり、空調機器が遠心分離方式のオイルミストコレクターの場合を表している。図16に示すオイルミストコレクター500は、特に工場内で汚染された空気を送風ダクトと連結される吸入口502から吸引ダクトと連結される吹出口503へ流通させる連通路504を備える。その連通路404には、ミスト捕集部505のモータ505bにより回転駆動されるミスト処理板505aや、モータ506bにより回転駆動される、送風ファンとしてのプロペラファン506の羽根506a等の空調機能部が設けられている。ミスト処理板505aはミスト捕集用の貫通小孔505c(又は凹部でもよい)を有し、空気の流れ方向に1又は複数(図では3枚)配置されている。空気中に浮遊するオイルミスト等は、ミスト捕集部505のミスト処理板505aで捕集され、液化するとともに回転により遠心分離されてオイル溜め504bに滴下し、それによって空気が清浄化される。
オイルミストコレクター500の吹出口503を洗浄のための供給口550、吸入口502を洗浄のための排出口551として利用する。排出口551(吸入口502)には、臨時のフィルター552を外側から被せて、オイルミストコレクター500の内部洗浄を行う間一時的に塞ぐ。
噴射ガン7(噴射部)により、ドライアイスパウダーPを圧縮空気とともに供給口550から連通路504へ向けて噴射する。ドライアイスパウダーPが、ミスト捕集部505のミスト処理板505a、プロペラファン506の羽根506a等の空調機能部の表面や、連通路504の内壁面504a等に接触したり、衝撃したりすることによって、オイルミスト等の汚れ物質Cはこれらの面の汚れ箇所から分離する。汚れ箇所から分離した汚れ物質Cは、圧縮空気(及びドライアイスパウダーP)の流れに乗って排出口551に設置された臨時のフィルター552へ導かれて捕獲される。ほとんどのドライアイスパウダーPは、汚れ物質Cを汚れ箇所より分離する際に昇華して気体(二酸化炭素)になり、圧縮空気とともに臨時のフィルター552を通過して外部に排出されるが、昇華していないドライアイスパウダーPが存在する場合には、汚れ物質Cとともにその臨時のフィルター552で捕獲される。また、圧縮空気は臨時のフィルター552を通過して外部に排出される。
噴射ガン7の操作により、ドライアイスパウダーP及び圧縮空気の噴射を停止した後、汚れ物質Cを捕獲した臨時のフィルター552を排出口551(吸入口502)から取り外すことによって、汚れ物質Cをオイルミストコレクター500から除去する。次に、ドライアイスパウダーP及び圧縮空気が連通路504内を図16とは逆方向に流れるように噴射すると、図3(実施例1)と同様に、汚れ箇所から分離した汚れ物質Cは、吹出口503側に設置した臨時のフィルターで捕獲される。
1 ブラスト装置
3 フレーム
4 ホルダ
6 ホッパ
7 噴射ガン(噴射部)
8 パウダーホース
9 エアコンプレッサ(加圧源)
10 エアホース
11 オンオフレバー
12 ノズルスイッチ(11+12=オンオフ制御部)
15 載置部
17 切削刃
20 モータ
21 ネジ軸
25 コントローラ
26 操作パネル(パウダー粒度変更操作部)
31 電磁弁
34 タイマ
36 制御プログラム
100 室内機(空調機器)
101 室内熱交換器
101a フィン(空調機能部)
102 吸入口
103 吹出口
104 連通路
104a 内壁面
105 クロスフローファン(送風ファン)
105a 羽根(空調機能部)
106 風向板(空調機能部)
107 エアコンフィルター
110 室外機
150,150’ 供給口
151,151’ 排出口
152,152’ フィルター
C 汚れ物質
P ドライアイスパウダー

Claims (8)

  1. 空気を吸入口から吹出口へ流通させる連通路を備えてその連通路に設けられた空調機能部により空調を行う空調機器の、前記空調機能部及び連通路の少なくともいずれかの汚れ箇所に存在する汚れ物質を除去する空調機器洗浄方法であって、
    前記吸入口と吹出口とのうちいずれか一方を洗浄のための供給口、他方を排出口とし、その排出口には、通気性を有しかつ汚れ物質の通過を阻止する臨時のフィルターを外側から被せて一時的に塞ぎ、
    ドライアイスパウダーを圧縮空気とともにフィルター非装着状態の前記供給口からフィルター装着状態の前記排出口に向けて噴射することにより、ドライアイスパウダーの接触又は衝撃によって汚れ物質を汚れ箇所より分離し、その分離された汚れ物質は、少なくとも圧縮空気の流れに乗って前記排出口に設置された臨時のフィルターへ導かれて捕獲され、昇華していないドライアイスパウダーが存在する場合にはそのドライアイスパウダーとともにその臨時のフィルターで捕獲され、一方、少なくとも圧縮空気はその臨時のフィルターを通過して外部に排出され、
    ドライアイスパウダー及び圧縮空気の噴射を停止した後、汚れ物質を捕獲した臨時のフィルターを前記排出口から取り外すことによって汚れ物質を前記空調機器から除去することを特徴とする空調機器洗浄方法。
  2. 前記吸入口と吹出口とのうち前記排出口であったものが洗浄のための新たな供給口、前記供給口であったものが新たな排出口となるように前回から変更するとともに、その新たな排出口には、前回と同様に臨時のフィルターを外側から被せて一時的に塞ぎ、
    ドライアイスパウダー及び圧縮空気は、フィルター非装着状態の新たな供給口からフィルター装着状態の新たな排出口に向けて前記連通路内を前回とは逆方向に噴射され、汚れ物質は新たな排出口に設置された臨時のフィルターで前回と同様に捕獲され、
    ドライアイスパウダー及び圧縮空気の噴射を停止した後、汚れ物質を捕獲した臨時のフィルターを新たな排出口から取り外すことによって汚れ物質を前記空調機器から除去する請求項1に記載の空調機器洗浄方法。
  3. ドライアイスパウダーはドライアイスブロックを切削することにより作られて噴射部に供給され、そのドライアイスパウダーが圧縮空気とともに前記噴射部から前記連通路へ噴射される請求項1又は2に記載の空調機器洗浄方法。
  4. 前記噴射部がドライアイスパウダー及び圧縮空気の噴射を開始するとき、ドライアイスブロックの切削が開始され、前記噴射部がドライアイスパウダー及び圧縮空気の噴射を停止するとき、ドライアイスブロックの切削が停止される請求項3に記載の空調機器洗浄方法。
  5. 切削により作られたドライアイスパウダーはパウダーホースを介し前記噴射部に供給され、
    前記噴射部の噴射開始から制限時間が経過するまでは、ドライアイスパウダーの供給を停止した状態で圧縮空気を供給することにより、少なくとも前記パウダーホースに残留するドライアイスパウダーを前記噴射部から排出して清浄化し、制限時間経過後に新たなドライアイスパウダーを前記パウダーホースに供給して前記噴射部へ導く請求項3又は4に記載の空調機器洗浄方法。
  6. 切削により作られたドライアイスパウダーはパウダーホースを介し前記噴射部に供給され、
    前記噴射部の噴射停止から制限時間が経過するまでは、ドライアイスパウダーの供給を停止した状態で圧縮空気を供給し続けることにより、少なくとも前記パウダーホースに残留するドライアイスパウダーを前記噴射部から排出して清浄化する請求項3又は4に記載の空調機器洗浄方法。
  7. ドライアイスブロックをモータによって正回転させつつ、そのドライアイスブロックに切削刃が食い込んで切削を行い、該モータの逆回転に対しては前記切削刃がドライアイスブロックに食い込まず切削を行わないものであり、前記噴射部が噴射を開始するとき、前記モータをいったん逆回転させた後に正回転に転じて切削を開始させるものである請求項3ないし6のいずれか1項に記載の空調機器洗浄方法。
  8. 前記モータの回転数を変更することにより、ドライアイスブロックから削り出されるドライアイスパウダーの粒度を変更する請求項7に記載の空調機器洗浄方法。
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