JP5700310B2 - 超音波探触子の異常診断方法 - Google Patents

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Description

本発明は、一定の方向に沿って配列された複数の振動子を具備する超音波探触子の異常を適切に診断する方法に関する。
一定の方向に沿って配列された複数の振動子を具備し、各振動子が互いに固定されている超音波探触子(以下、適宜、アレイ型超音波探触子という)を用いて探傷を行う場合、アレイ型超音波探触子が具備するn個(n≧2)の振動子のうち、m個(n>m≧1)の振動子を選択し、該選択振動子から被検査材に向けて超音波を送信し、該選択振動子で被検査材からのエコーを受信する。そして、選択振動子を構成する各振動子で受信したエコーを合成し、この合成波形を用いて被検査材を探傷する。この動作は、選択振動子を順次切り替えて繰り返される。このため、各振動子の相対感度を適正に評価し、エコー信号の増幅度である探傷感度を適切に調整することが重要である。具体的には、各振動子で同一の人工きずからのエコーを受信した場合に、各振動子で同等のエコー強度が得られるような探傷感度に調整することが重要である。
このアレイ型超音波探触子の性能評価方法は、現状では特にJIS規格等で規定されていない。このため、非特許文献1に記載の一振動子水浸垂直探触子の性能評価方法に関するJIS規格に準拠して性能を評価するのが一般的である。具体的には、非特許文献1の7.1項に記載の平板試験片の表面エコーを用いた周波数応答性の評価方法、7.3項に記載の平板試験片の表面エコーを用いた相対感度の評価方法、さらには、8.5.1項に記載のφ4mm鋼球又はφ2.5mm鋼線を用いたビーム形状及び距離振幅特性の評価方法などを用いることになる。
また、前述のように、アレイ型超音波探触子を用いて探傷を行う場合には、選択振動子を順次切り替える。すなわち、アレイ型超音波探触子を用いた探傷では、いわば各選択振動子毎に探傷を行うことになる。このため、アレイ型超音波探触子の異常診断方法として、各選択振動子毎に所定の人工きずを探傷し、得られた合成波形の強度が許容値以下に低下していなければ、アレイ型超音波探触子に振動子の故障等の異常が生じていないと判断する方法も実施されている。
JIS Z2350「超音波探触子の性能測定方法」
しかしながら、本発明者らは、上述のJIS規格に準拠した性能評価方法では、アレイ型超音波探触子の性能評価を適切に行うことが困難であるという問題を認識していた。具体的には、平板試験片の表面エコーを用いる方法では、後述のように各振動子の相対感度を適正に評価すること、ひいては探傷感度を適切に調整することは困難である。また、φ4mm鋼球又はφ2.5mm鋼線を用いる方法では、後述のように各振動子の相対感度の評価、探傷感度の調整は可能であるものの、その評価・調整の作業が繁雑過ぎる。このため、特に、アレイ型超音波探触子を検査ラインに取り付けた状態では作業を行うことが実質的に困難である。さらに、本発明者らは、上述の異常診断方法のように合成波形の強度の低下を監視するだけでは、アレイ型超音波探触子の異常を十分に検知できないという問題も認識していた。
上述した問題は、アレイ型超音波探触子に限らず、一振動子の探触子が複数配列された超音波探触子など、一定の方向に沿って配列された複数の振動子を具備する超音波探触子にも生じ得る問題である。
本発明は、以上に説明した従来技術の問題点を解決するべくなされたものであり、一定の方向に沿って配列された複数の振動子を具備する超音波探触子の異常を適切に診断する方法、とりわけ前記超音波探触子を検査ラインに取り付けた状態であっても適用できる方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、一定の方向に沿って配列された複数の振動子を具備する超音波探触子の異常を適切に診断する方法について鋭意検討した結果、選択振動子を構成する何れかの振動子に送信や受信などの機能が喪失する故障が生じた場合、選択振動子を構成する各振動子で受信した測定対象からのエコーの合成波形の強度の低下よりも、測定対象に対する有効ビーム幅の低下の方が先に生じるということを見出した。ここで、有効ビーム幅とは、選択振動子を振動子の配列方向に沿って相対的に走査した場合に、測定対象から得られるエコーの合成波形の強度のプロファイルにおいて、合成波形の強度が所定の強度(例えば、最大強度を0dBとしたときに−6dB)以上となる範囲の長さを意味する。
図1に示すように、超音波探触子100を振動子11の配列方向と直交する方向に相対的に走査して探傷を行う場合(図1(a)は管状体を探傷する場合、図1(b)は板状体を探傷する場合を示す)、上記の有効ビーム幅が過度に低下すると、一の選択振動子S1の有効ビーム幅と、これに隣り合う次の選択振動子S2の有効ビーム幅とが重複しなくなり、重複しない部分が未探傷領域となって、きずを見逃すおそれがある。選択振動子S2と、これに隣り合う選択振動子S3についても同様である。
本発明者らは、この有効ビーム幅の低下が、前述のようにエコーの合成波形の強度の低下よりも先に生じるため、エコーの合成波形の強度の低下を監視していたのでは十分に予見できないことを見出した。従って、各選択振動子を構成する振動子の故障などの異常を適切に診断するには、この有効ビーム幅が所定のしきい値以下であるかどうかを判断することが重要であることに想到した。本発明者らは、以上の知見に基づき本発明を完成した。
すなわち、前記課題を解決するため、本発明は、一定の方向に沿って配列されたn個(n2)の振動子を具備する超音波探触子の異常を診断する方法であって、以下の第1〜第4ステップを含むことを特徴とする。
(1)第1ステップ
前記n個の振動子のうち、m個(n>m≧)の振動子を選択し、該選択振動子から測定対象に向けて超音波を送信し、前記選択振動子で前記測定対象からのエコーを受信する。
(2)第2ステップ
前記選択振動子を前記測定対象に対して前記振動子の配列方向に沿って相対的に走査し、前記選択振動子の前記測定対象に対する有効ビーム幅を算出する。
(3)第3ステップ
前記選択振動子を順次切り替えて前記第1ステップ及び前記第2ステップを交互に繰り返す。
(4)第4ステップ
前記第3ステップにより得られた各選択振動子の有効ビーム幅の何れかが所定のしきい値以下である場合に、当該所定のしきい値以下の有効ビーム幅である選択振動子に異常が生じていると判断する。
斯かる発明によれば、超音波探触子の異常を適切に診断することが可能である。
本発明によれば、一定の方向に沿って配列された複数の振動子を具備する超音波探触子の異常を適切に診断することが可能である。とりわけ超音波探触子を検査ラインに取り付けた状態であっても、異常の診断が可能である。
図1は、アレイ型超音波探触子を振動子の配列方向と直交する方向に相対的に走査して探傷を行う状況を示す。 図2は、アレイ型超音波探触子を用いて斜角探傷を行うときに必要となった探傷感度補正量の一例を示す。 図3は、アレイ型超音波探触子を用いて板状体及び管状体の表面エコーを受信するときに必要となった探傷感度補正量の一例を示す。 図4は、アレイ型超音波探触子を用いてφ4mm鋼球からのエコーを受信するときに必要となった探傷感度補正量の一例を示す。 図5は、アレイ型超音波探触子を用いて板状体及び管状体の底面エコーを受信するときに必要となった探傷感度補正量の一例を示す。 図6は、有効ビーム幅の意味を説明する説明図である。 図7は、選択振動子を構成する振動子の故障の割合と、選択振動子で受信したエコー強度及び選択振動子の有効ビーム幅との関係の一例を示すグラフである。 図8は、選択振動子の有効ビーム幅の実測値と数値計算による計算値とを比較した結果の一例を示すグラフである。
以下、添付図面を適宜参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。
<超音波探触子の探傷感度調整方法>
本実施形態に係る探傷感度調整方法は、アレイ型超音波探触子の探傷感度(エコー信号の増幅度)を調整する方法である。
図2は、アレイ型超音波探触子を用いて斜角探傷を行うときに必要となった探傷感度補正量の一例を示す。図2(a)は斜角探傷の概要を説明する説明図を、図2(b)は各振動子に必要となった探傷感度補正量を示す。
具体的には、図2(a)に示すように、互いに略平行な表面及び底面を有する板状体P1の底面及び表面にそれぞれノッチF1、F2を設けた。この板状体P1の表面に対して、振動子11(♯1〜♯8の8個)の配列方向が傾くようにアレイ型超音波探触子100を対向配置した。そして、各振動子♯1〜♯8毎に板状体P1の表面に向けて超音波を送信し、各振動子♯1〜♯8毎にノッチF1、F2からのエコーを受信した。この際、各振動子♯1〜♯8でノッチF1、F2からのエコーを受信できるように、板状体P1を図2の左右方向に走査した。
図2(b)の縦軸である探傷感度補正量は、各振動子♯1〜♯8で受信したエコーの強度を略同等にするために必要となった探傷感度の補正量を意味する。例えば、探傷感度補正量が6dBであれば、探傷感度(エコー信号の増幅度)を補正前の約2倍にする必要があったことを意味する。図2(b)から分かるように、探傷感度を補正する前の各振動子♯1〜♯8間でのエコー強度の分布特性は、底面ノッチF1と表面ノッチF2とで同等であった。
本発明者らは、上記の人工きずを用いた評価方法とその他の評価方法とを対比調査した。まず最初に、前述したJIS規格に準拠して板状体の表面エコーを用いる方法、及び、管状体(外径φ114mm、肉厚7.5mm)の表面(外面)エコーを用いる方法を検討した。
図3は、アレイ型超音波探触子を用いて板状体及び管状体の表面エコーを受信するときに必要となった探傷感度補正量の一例を示す。図3(a)は板状体の表面エコーを用いる場合の評価試験の概要を説明する説明図を、図3(b)は管状体の表面エコーを用いる場合の評価試験の概要を説明する説明図を、図3(c)は各振動子に必要となった探傷感度補正量を示す。
具体的には、板状体の表面エコーを用いる場合、図3(a)に示すように、互いに略平行な表面及び底面を有する板状体P1の表面に対して、振動子11(♯1〜♯8の8個)の配列方向が略平行となるようにアレイ型超音波探触子100を対向配置した。そして、各振動子♯1〜♯8毎に板状体P1の表面に向けて超音波を送信し、各振動子♯1〜♯8毎に板状体P1の表面からのエコーを受信した。
また、管状体の表面エコーを用いる場合、図3(b)に示すように、管状体P2の軸方向に対して、振動子11(♯1〜♯8の8個)の配列方向が略平行となるようにアレイ型超音波探触子100を対向配置した。そして、各振動子♯1〜♯8毎に管状体P2の外面に向けて超音波を送信し、各振動子♯1〜♯8毎に板状体P1の外面からのエコーを受信した。
図3(c)の縦軸である探傷感度補正量は、図2(b)に示すものと同じ意味であり、各振動子♯1〜♯8で受信したエコーの強度を略同等にするために必要となった探傷感度の補正量を意味する。図3(c)から分かるように、探傷感度を補正する前の各振動子♯1〜♯8間でのエコー強度の分布特性は、板状体P1と管状体P2とで同等であった。そして、図3(c)と図2(b)とを対比すれば分かるように、図3(c)に示すエコー強度の分布特性は、図2(b)に示すエコー強度の分布特性に対応しない。従って、図3(c)に示す結果に従って各振動子♯1〜♯8の探傷感度を調整したとしても、各振動子♯1〜♯8で人工きずからのエコーを受信した場合のエコー強度を略同等にはできない、すなわち、探傷感度を適切に調整できない。
次に、本発明者らは、前述したJIS規格に記載のφ4mm鋼球からのエコーを用いる方法を検討した。
図4は、アレイ型超音波探触子を用いてφ4mm鋼球からのエコーを受信するときに必要となった探傷感度補正量の一例を示す。図4(a)はφ4mm鋼球からのエコーを用いる場合の評価試験の概要を説明する説明図を、図4(b)は各振動子に必要となった探傷感度補正量を示す。
具体的には、図4(a)に示すように、φ4mm鋼球Bにアレイ型超音波探触子100を対向配置し、各振動子♯1〜♯8からφ4mm鋼球Bに向けて超音波を送信し、各振動子♯1〜♯8でφ4mm鋼球Bからのエコーを受信した。この際、超音波を送受信する振動子11の直下にφ4mm鋼球Bが位置するように、その都度、アレイ型超音波探触子100又はφ4mm鋼球Bの何れか一方を図4の左右方向に走査した。
図4(b)の縦軸である探傷感度補正量は、図2(b)に示すものと同じ意味であり、各振動子♯1〜♯8で受信したエコーの強度を略同等にするために必要となった探傷感度の補正量を意味する。図4(b)と図2(b)とを対比すれば分かるように、図4(b)に示すエコー強度の分布特性は、図2(b)に示すエコー強度の分布特性に対応する。従って、図4(b)に示す結果に従って各振動子♯1〜♯8の探傷感度を調整すれば、各振動子♯1〜♯8で人工きずからのエコーを受信した場合のエコー強度を略同等にできる。しかしながら、前述のように、超音波を送受信する振動子11の直下にφ4mm鋼球Bが位置するように、その都度、アレイ型超音波探触子100又はφ4mm鋼球Bの何れか一方を走査しなければならず、評価作業が繁雑過ぎるため、特にアレイ型超音波探触子を検査ラインに取り付けた状態では作業を行うことが実質的に困難である。
本発明者らは、さらに鋭意検討を重ね、板状体の底面エコーを用いる方法、及び、管状体(外径φ114mm、肉厚7.5mm)の底面(内面)エコーを用いる方法を検討した。
図5は、アレイ型超音波探触子を用いて板状体及び管状体の底面エコーを受信するときに必要となった探傷感度補正量の一例を示す。図5(a)は板状体の底面エコーを用いる場合の評価試験の概要を説明する説明図を、図5(b)は管状体の底面エコーを用いる場合の評価試験の概要を説明する説明図を、図5(c)は各振動子に必要となった探傷感度補正量を示す。
具体的には、板状体の底面エコーを用いる場合、図5(a)に示すように、互いに略平行な表面及び底面を有する板状体P1の表面に対して、振動子11(♯1〜♯8の8個)の配列方向が略平行となるようにアレイ型超音波探触子100を対向配置した。そして、各振動子♯1〜♯8毎に板状体P1の表面に向けて超音波を送信し、各振動子♯1〜♯8毎に板状体P1の底面からのエコーを受信した。
また、管状体の底面エコーを用いる場合、図5(b)に示すように、管状体P2の軸方向に対して、振動子11(♯1〜♯8の8個)の配列方向が略平行となるようにアレイ型超音波探触子100を対向配置した。そして、各振動子♯1〜♯8毎に管状体P2の外面に向けて超音波を送信し、各振動子♯1〜♯8毎に板状体P1の内面からのエコーを受信した。
図5(c)の縦軸である探傷感度補正量は、図2(b)に示すものと同じ意味であり、各振動子♯1〜♯8で受信したエコーの強度を略同等にするために必要となった探傷感度の補正量を意味する。図5(c)から分かるように、探傷感度を補正する前の各振動子♯1〜♯8間でのエコー強度の分布特性は、板状体P1と管状体P2とで同等であった。そして、図5(c)と図2(b)とを対比すれば分かるように、図5(c)に示すエコー強度の分布特性は、図2(b)に示すエコー強度の分布特性に対応する。従って、図5(c)に示す結果に従って各振動子♯1〜♯8の探傷感度を調整すれば、各振動子♯1〜♯8で人工きずからのエコーを受信した場合のエコー強度を略同等にできる、すなわち、探傷感度を適切に調整できると考えられる。
上記の経緯を踏まえて、本実施形態に係る探傷感度調整方法は、互いに略平行な表面及び底面を有する板状体P1の表面と振動子11の配列方向とが略平行となるように板状体P1をアレイ型超音波探触子100に対向配置する、又は、管状体P2の軸方向と振動子11の配列方向とが略平行となるように管状体P2をアレイ型超音波探触子100に対向配置するステップと、各振動子11から板状体P1の表面又は管状体P2の外面に向けて超音波を送信し、各振動子11で板状体P1の底面又は管状体P2の内面からのエコーを受信するステップと、各振動子11で受信したエコーの強度が略同等となるように、各振動子11の探傷感度(エコー信号の増幅度)を調整するステップと、を含むことを特徴としている。
なお、前述したJIS規格に準拠した板状体P1の表面エコーを用いる方法や、管状体P2の表面(外面)エコーを用いる方法(図3参照)では、補正前のエコー強度が斜角探傷を行う場合(図2参照)の補正前のエコー強度と同等の分布特性にならない一方、板状体P1の底面エコーを用いる方法や、管状体P2の底面(内面)エコーを用いる方法(図5参照)では、補正前のエコー強度が斜角探傷を行う場合(図2参照)の補正前のエコー強度と同等の分布特性になる理由として、以下のようなことが考えられる。
アレイ型超音波探触子100のように、複数の振動子11が互いに固定されている(各振動子11が相対的に変位しない)探触子では、各振動子11の傾きが若干ズレていることが考えられる。特に振動子11の数が多ければ多いほど、各振動子11の傾きを一定に揃えることは不可能に近い。従って、各振動子11から送信される超音波の方向にも若干のズレが生じていると考えられる。斜角探傷を行う場合には、超音波が被検査材への入射点で屈折し被検査材内部に伝搬する。屈折角は入射角に依存して変動するため、各振動子11から送信される超音波の方向にズレが生じていると、入射点で屈折して被検査材内部に伝搬する超音波の方向のズレはさらに増大すると考えられる。このため、補正前のエコー強度の分布特性はバラツキが大きなものになると考えられる。
同様に、板状体P1や管状体P2の底面エコーを用いる方法でも、各振動子11から送信された超音波が板状体P1や管状体P2の内部に伝搬する際に、超音波の方向のズレが増大し、補正前のエコー強度の分布特性はバラツキが大きなものになると考えられる。
これに対し、板状体P1や管状体P2の表面エコーを用いる方法では、各振動子11から送信された超音波が板状体P1や管状体P2の内部に伝搬する前のエコー(屈折を伴わないエコー)を受信するため、底面エコーを用いる場合に比べて補正前のエコー強度の分布特性はバラツキが小さなものになると考えられる。
<超音波探触子の異常診断方法>
本実施形態に係る異常診断方法は、n個(n2)の振動子を具備するアレイ型超音波探触子の異常を診断する方法である。
本実施形態のアレイ型超音波探触子を用いた探傷時には、n個の振動子のうち、m個(n>m≧)の振動子を選択し、該選択振動子から測定対象に向けて超音波を送信し、前記選択振動子で測定対象からのエコーを受信する。そして、選択振動子を構成する各振動子で受信したエコーを合成し、この合成波形を用いて測定対象を探傷する。この動作は、選択振動子を順次切り替えて繰り返される。
本実施形態に係る異常診断方法は、上記の選択振動子の前記測定対象に対する有効ビーム幅が所定のしきい値以下であるかどうかで異常を診断する方法である。
図6は、有効ビーム幅の意味を説明する説明図である。
図6の実線で示すグラフは、選択振動子を振動子の配列方向に沿って相対的に走査した場合(例えば、アレイ型超音波探触子を測定対象に対して機械的に走査(移動)することにより、選択振動子も走査されることになる)に得られる測定対象からのエコー強度(エコーの合成波形の強度)のプロファイルの一例を示す。有効ビーム幅とは、このプロファイルにおいて、エコー強度が所定の強度(例えば、最大強度を0dBとしたときに−6dB)以上となる範囲の長さを意味する。
図7は、選択振動子を構成する振動子の故障の割合と、選択振動子で受信したエコー強度(エコーの合成波形の強度)及び選択振動子の有効ビーム幅との関係の一例を示すグラフである。
具体的には、選択振動子を構成する振動子数を16個とし、振動子への送信電圧(振動子から超音波を送信させるためのパルス信号の電圧)の供給を停止するか、或いは、振動子で受信したエコー信号の波形合成回路(各振動子で受信したエコー信号を合成する回路)への入力を停止することにより、振動子の故障を模擬した。
測定対象としてはφ4mm鋼球を用い、前述した図4(a)に示す形態と同様に、選択振動子をφ4mm鋼球に対向配置した。そして、選択振動子を構成する各振動子のうち、故障振動子を除く全ての振動子からφ4mm鋼球に向けて超音波を略同時に送受信し、エコーの合成波形の強度を測定した。さらに、選択振動子を振動子の配列方向に沿って相対的に走査し、図6に例示したものと同様のエコー強度(エコーの合成波形の強度)のプロファイルを算出した。
以上の動作を故障振動子数を変更して繰り返した。
図7に示すエコー強度は、上記のようにして算出したエコーの合成波形の強度のプロファイルにおける最大の強度を意味する。また、図7に示す有効ビーム幅は、上記のようにして算出したプロファイルから算出したものである。
図7に示すように、故障振動子数が増加する(振動子故障割合が増加する)につれて、エコー強度及び有効ビーム幅の双方が低下する傾向にあるものの、エコー強度の低下よりも、有効ビーム幅の低下の方が先に生じている。図7に示す例では、振動子故障割合が25%のとき、エコー強度は約2dB程度しか低下しないが、有効ビーム幅は6dB以上も低下している。
図1を参照して前述したように、有効ビーム幅が過度に低下すると、一の選択振動子の有効ビーム幅と、これに隣り合う選択振動子の有効ビーム幅とが重複しなくなり、重複しない部分が未探傷領域となって、きずを見逃すおそれがある。この有効ビーム幅の低下は、前述のようにエコー強度の低下よりも先に生じるため、エコー強度の低下を監視していたのでは十分に予見できない。従って、各選択振動子を構成する振動子の故障などのアレイ型超音波探触子の異常を適切に診断するには、この有効ビーム幅が所定のしきい値以下であるかどうかを判断することが重要である。
上記の経緯を踏まえて、本実施形態に係る異常診断方法は、以下の第1〜第4ステップを含むことを特徴としている。
(1)第1ステップ
n個の振動子のうち、m個(n>m≧)の振動子を選択し、該選択振動子から測定対象に向けて超音波を送信し、前記選択振動子で測定対象からのエコーを受信する。
(2)第2ステップ
前記選択振動子を測定対象に対して振動子の配列方向に沿って相対的に走査し、前記選択振動子の測定対象に対する有効ビーム幅を算出する。
(3)第3ステップ
前記選択振動子を順次切り替えて第1ステップ及び第2ステップを交互に繰り返す。
(4)第4ステップ
前記第3ステップにより得られた各選択振動子の有効ビーム幅の何れかが所定のしきい値以下である場合に、当該所定のしきい値以下の有効ビーム幅である選択振動子に異常が生じていると判断する。
アレイ型超音波探触子が板状体や管状体の超音波探傷を実施する検査ラインに取り付けられている場合、第1ステップ及び第2ステップは、例えば、以下の(a)〜(c)のいずれかの方法によって実行することが可能である。
(a)超音波探傷を実施する検査ラインからアレイ型超音波探触子を取り外して、走査機構を備えた水槽内に設置し、該水槽内に設置した測定対象(例えば、φ4mm鋼球)に向けて超音波を送受信することで第1ステップを実行し、走査機構によりアレイ型超音波探触子を振動子の配列方向に沿って走査することで第2ステップを実行する。
(b)超音波探傷を実施する検査ラインにアレイ型超音波探触子を取り付けた状態で、人工きずを施した被検査材(例えば、板状体)を検査ラインに設置し、被検査材の人工きずに向けて超音波を送受信することで第1ステップを実行し、アレイ型超音波探触子を被検査材に対して振動子の配列方向に沿って相対的に走査することで第2ステップを実行する。
(c)超音波探傷を実施する検査ラインにアレイ型超音波探触子を取り付けた状態で、人工きずを施した管をその軸方向が振動子の配列方向と略平行となるように検査ラインに設置し、管の人工きずに向けて超音波を送受信することで第1ステップを実行し、管を軸方向にスパイラル搬送するか、又は、管を周方向に回転させると共にアレイ型超音波探触子を管の軸方向に走査することで第2ステップを実行する。
ただし、上述した(a)の方法は、アレイ型超音波探触子を検査ラインから容易に取り外すことができない場合には実用的ではない。また、上述した(b)及び(c)の方法は、アレイ型超音波探触子を検査ラインから取り外す必要がないものの、有効ビーム幅を算出するためにアレイ型超音波探触子を相対的に走査する必要がある点で、手間が掛かる。
そこで、有効ビーム幅を比較的容易に算出する方法として、例えば、検査ラインに取り付けられた異常を診断するアレイ型超音波探触子(診断対象超音波探触子)の代替となるアレイ型超音波探触子(代替超音波探触子)を用意し、この代替超音波探触子の有効ビーム幅を検査ライン外で算出して、この算出値から診断対象超音波探触子の有効ビーム幅を算出(推定)することが考えられる。
すなわち、診断対象超音波探触子が具備する各振動子から測定対象に向けて超音波を送信し、各振動子で測定対象からのエコーを受信するステップと、診断対象超音波探触子と同仕様である別の代替超音波探触子を用意して、該代替超音波探触子が具備する各振動子から測定対象に向けて超音波を送信し、各振動子で受信した測定対象からのエコー強度が、診断対象超音波探触子が具備する各振動子で受信したエコー強度と同等となるように、代替超音波探触子が具備する各振動子の探傷感度及び/又は送信電圧を調整するステップと、調整後の代替超音波探触子について、第1ステップ〜前記第4ステップを実行することにより、診断対象超音波探触子の異常を推定することも可能である。
ここで、同仕様である別の代替超音波探触子とは、少なくともn個の振動子を具備し、中心周波数及び配列方向の振動子の幅が診断対象超音波探触子と略同一の超音波探触子であることを意味する。
上記の方法によれば、例えば、図5(a)を参照して前述したように、測定対象を板状体P1とし、その板状体P1の寸法(診断対象超音波探触子が具備する振動子の配列方向に沿った寸法)を診断対象超音波探触子の寸法(振動子の配列方向に沿った寸法)以上とすれば、診断対象超音波探触子が具備する各振動子から板状体P1の表面に向けて超音波を送信し、各振動子で板状体P1の底面からエコーを受信するだけでよい。換言すれば、診断対象超音波探触子を検査ラインに取り付けた状態で、なお且つ、有効ビーム幅を算出するために診断対象超音波探触子を相対的に走査する必要もないので、診断対象超音波探触子の有効ビーム幅を比較的容易に算出(推定)することが可能である。
また、有効ビーム幅を比較的容易に算出する方法として、超音波の伝搬解析を行うソフトウェア(有限要素法を用いて波動方程式を解くソフトウェア)を用いた数値計算を利用することも考えられる。このようなソフトウェアは市販されており、例えば、伊藤忠テクノソリューションズ社製の「ComWAVE」(登録商標)という名称のソフトウェアを用いることが可能である。
すなわち、アレイ型超音波探触子が具備する各振動子から測定対象に向けて超音波を送信し、各振動子で測定対象からのエコーを受信するステップと、超音波の伝搬解析を行うソフトウェアを利用して、アレイ型超音波探触子が具備する各振動子から測定対象に向けて超音波を送信したときに、各振動子で受信される測定対象からのエコーの強度を数値計算し、各振動子で受信されるエコーの強度の計算値と実測値とが同等となるように、前記ソフトウェアにおいて各振動子の探傷感度及び/又は送信電圧に対応するパラメータを調整するステップと、パラメータ調整後のソフトウェアを利用して、第1ステップ〜第4ステップに相当する数値計算を実行することにより、アレイ型超音波探触子の異常を推定することも可能である。
図8は、選択振動子の有効ビーム幅の実測値と上記数値計算による有効ビーム幅の計算値とを比較した結果の一例を示すグラフである。
図8に示す有効ビーム幅の実測値は、図7を参照して説明したのと同じ条件で測定したものである。有効ビーム幅の計算値は、パラメータ調整後の上記ソフトウェアを利用して、第1ステップ及び第2ステップに相当する数値計算を実行することにより得られたものである。
図8に示すように、有効ビーム幅の実測値と計算値は良好に一致しており、数値計算によってもアレイ型超音波探触子の異常を推定可能であることが分かる。
11・・・振動子
100・・・超音波探触子(アレイ型超音波探触子)
P1・・・板状体
P2・・・管状体

Claims (1)

  1. 一定の方向に沿って配列されたn個(n2)の振動子を具備する超音波探触子の異常を診断する方法であって、
    前記n個の振動子のうち、m個(n>m≧)の振動子を選択し、該選択振動子から測定対象に向けて超音波を送信し、前記選択振動子で前記測定対象からのエコーを受信する第1ステップと、
    前記選択振動子を前記測定対象に対して前記振動子の配列方向に沿って相対的に走査し、前記選択振動子の前記測定対象に対する有効ビーム幅を算出する第2ステップと、
    前記選択振動子を順次切り替えて前記第1ステップ及び前記第2ステップを交互に繰り返す第3ステップと、
    前記第3ステップにより得られた各選択振動子の有効ビーム幅の何れかが所定のしきい値以下である場合に、当該所定のしきい値以下の有効ビーム幅である選択振動子に異常が生じていると判断する第4ステップと、
    を含むことを特徴とする超音波探触子の異常診断方法。
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