JP2006003150A - 斜角探触子及び超音波探傷装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 人工疵として角溝8を用いた場合にも広いビーム幅WBを有し、安定して探触受け持ち幅WNよりも広いビーム幅WBを確保することのできる斜角探触子およびそれを用いた超音波探傷装置を提供する。
【解決手段】 超音波を被検査体表面から斜めに入射して超音波探傷を行うための斜角探触子であって、超音波を送信する探触子1の表面形状は、超音波放射側に凸であることを特徴とする斜角探触子である。また、このような斜角探触子を複数配列した超音波探傷装置であって、探触子を配列する方向における該探触子の高さは、超音波の送信と受信とを兼ねる探触子又は超音波の受信のみを担当する探触子においては各探触子の探触受け持ち幅の0.6倍〜0.9倍の範囲、超音波の送信のみを担当する探触子においては各探触子の探触受け持ち幅の0.5倍以下であることを特徴とする超音波探傷装置である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、超音波を被検査体表面から斜めに入射して超音波探傷を行うための斜角探触子及び超音波探傷装置に関するものであり、特に鋼板や鋼管の溶接部の超音波探傷を行うためのものに関する。
鋼板や鋼管の内部欠陥を非破壊で探傷する目的で、超音波探傷が用いられており、例えば非特許文献1、2にその内容が記載されている。
超音波探傷装置のパルス送信部から送信された電気パルス信号が各超音波探触子で超音波パルスとなり、音響伝達媒質を介して試験材中に入射される。きず等の不連続部で散乱反射された超音波(エコー)が各超音波探触子に戻り電気信号に変換され、超音波探傷装置の受信部で受信される。試験材の超音波の入射面を探傷面と呼ぶ。超音波探傷には、探傷面に超音波を垂直に入射して垂直方向に超音波を伝播させる垂直探傷法と、斜めに入射して屈折現象を利用して斜め方向に超音波を伝播させる斜角探傷法とがある。
電縫鋼管、鍛接鋼管、UOE鋼管、スパイラル鋼管等の溶接鋼管は、主に熱影響部を含めた溶接部を通常両側より斜角探傷法で検査する。例えば、溶接部のうち管の内面近傍、肉厚中央、外面近傍等監視範囲が分かれた3組の探触子を配置し、それぞれの探触子できずの有無を探傷することができる。超音波の送信と受信を同一の探触子で行う方法、あるいは超音波の送信と受信を別々の探触子で行う方法のいずれもが用いられている。
鋼板や鋼管の溶接部の超音波探傷試験に使用する斜角探触子に関し、特許文献1には、送信用の探触子とくさび、受信用の探触子とくさびをそれぞれ有し、送信用のくさびと受信用のくさびとの間に音響遮蔽板を設け、送信用くさびに固定される複数個の送信用探触子と受信用くさびに固定される複数個の受信用探触子は互いに千鳥状に配置したものが記載されている。これにより、表面エコーレベルを低減でき、その結果不感帯を小さくでき、また、くさびの多重反射波も発生しにくいため試験体の板厚に左右されずにくさび長さを決定できるために必要以上の感度低下を防止でき、自動探傷試験における高い信頼性を確保できるとしている。特許文献1の図1〜3に記載のものは、送信用の探触子が3個直線状に配列され、各探触子の超音波送信方向は相互に平行である。また、受信用の探触子が2個直列に配列されている。
電縫鋼管の溶接部を例えば3組の送信探触子を用いて監視を行い、各探触子がそれぞれ管の内面近傍、肉厚中央、外面近傍に超音波を照射する監視範囲として担当する場合、溶接部に発生する有害疵をもれなく検出するためには、各探触子の監視範囲が少なくとも相互に接しているか重複していることが必要となる。
ここで、図1(a)に示すように、送信探触子の発信超音波の音圧が最も高くなる方向を送信方向6と称し、各送信探触子から送信方向に引いた線を送信方向線7と称する。送信探触子を複数個配列し、各探触子の送信方向線が相互に平行である場合、例えば特許文献1の図1〜3に記載のように送信探触子を3個配列する場合において、隣り合う探触子1の送信方向線間の距離を探触受け持ち幅WNと定義する。そして、図2(a)に示すように、各探触子の監視可能範囲WAが当該探触子の受け持ち幅WNよりも広ければ、各探触子の監視可能範囲WAが少なくとも相互に接しているか重複していることとなり、有害疵をもれなく検出することが可能となる。一方、図2(b)に示すように各探触子の監視可能範囲WAが当該探触子の受け持ち幅WNよりも狭い場合には、各探触子の監視可能範囲WAが重複せず、有害疵を見逃す可能性が生じることとなり好ましくない。
従来、被検査体2に設けたドリルホール9(図3(b))を人工欠陥として用い、探触子の送信方向6にドリルホール9を配置したときのエコー高さピークに対して、ドリルホールの位置を送信方向からずらしたときのエコー高さが−3dBとなるまでの範囲をビーム幅WBと称し(図1(b))、このビーム幅WBが上記監視可能範囲WAであると考えた。そしてビーム幅WBが上記探触子の受け持ち幅WNよりも広くなるように探触子とその配列位置とを決定していた。
超音波探触子から発射された超音波の指向性については、探触子の直径Dが大きいほど指向性が鋭く、中央の主ビームについて音圧が中心軸上から減少して一度0になる指向角θ0はθ0≒70λ/Dで表されることが知られている。θ0は波長λに比例し直径Dに反比例するので、指向性の良い音場を求めるには高い周波数で大きい直径の探触子を用いると良い。
以上のとおりであるから、ビーム幅WBが探触子の受け持ち幅WNよりも広くなるように探触子を設計するに際し、探触子の直径Dを小さくすることによってビーム幅WBを広げることができると考えられていた。そのように直径Dを小さくする結果として、探触子の直径が受け持ち幅WNよりも小さい直径となり、斜角探触子を複数配列した超音波探傷装置において、狭い配列スペース内に探触子を配列することが可能であった。
超音波探傷に使用される探触子は圧電現象を使用したものがほとんどであり、従来はPZT等の圧電セラミックが使用されてきた。最近は非特許文献2に記載のように、図9に示すような棒状の圧電セラミックを樹脂の中に埋め込んだコンポジット探触子が使用されるようになってきた。この探触子は機械結合係数が大きく、音響インピーダンスが低いため、高感度で広帯域特性という特徴を有する。
特開平7−218485号公報 社団法人日本鉄鋼協会編「第3版鉄鋼便覧 IV鉄鋼材料、試験・分析 7・3超音波探傷試験」昭和56年10月、丸善株式会社発行 社団法人日本鉄鋼協会編「第4版鉄鋼便覧 第7巻計測・制御システム 3・2・4超音波探傷」平成14年7月、社団法人日本鉄鋼協会発行
超音波探傷装置の性能を評価するための人工疵としては、前述のドリルホール9の他に角溝8を用いることもできる。角溝8とは、図3(a)に示すように被検査体2の表面に設ける溝であって、溝の断面形状が方形であり、溝の深さは鋼板厚さの5〜10%程度、溝の幅は1mm程度とするものである。電縫鋼管溶接部の鋼管表面近傍に発生する有害疵の超音波探傷能力を評価する上では、ドリルホール9よりも角溝8の方がより実際の探傷能力に近い評価が可能になると考えられる。
斜角探触子の探傷可能範囲評価のため、ビーム幅WBの比較を行った。探触子の送信方向6付近に人工疵を配置したときのエコー高さピークに対して、エコー高さが−3dBとなるまでの範囲をその斜角探触子のビーム幅WBとし、人工疵としてドリルホール9と角溝8をそれぞれ用いて評価を行った。その結果、同じ斜角探触子を用いた場合でも、人工疵としてドリルホール9を用いた場合に比較し、角溝8を用いるとビーム幅WBが狭まる場合があることが判明した。さらには、人工疵として角溝8を用いて評価したときのビーム幅WBが、超音波探傷装置に使用する探触子の探触受け持ち幅WNに満たない場合があり得ることが判明した。
本発明は、人工疵として角溝8を用いた場合にも広いビーム幅WBを有し、安定して探触受け持ち幅WNよりも広いビーム幅WBを確保することのできる斜角探触子およびそれを用いた超音波探傷装置を提供することを目的とする。
従来、斜角探触子であって超音波を送信する探触子1の表面形状としては、平面形状が用いられていた。それに対し、表面形状として超音波放射側に凸の形状を用いることにより、人工疵として角溝8を用いた場合においても、平面形状を用いた場合に比較して十分に広いビーム幅WBを実現することが可能となり、結果として常にビーム幅WBが探触子の探触受け持ち幅WNよりも広い範囲を有する探触子を実現できることがわかった。
本発明は上記知見に基づいてなされたものであり、その要旨とするところは以下のとおりである。
(1)超音波を被検査体表面から斜めに入射して超音波探傷を行うための斜角探触子であって、超音波を送信する探触子1の表面形状は、超音波放射側に凸であることを特徴とする斜角探触子。
(2)探触子1表面形状の曲率半径Rは、探触子1の高さHの5倍〜20倍の範囲であることを特徴とする上記(1)に記載の斜角探触子。
(3)斜角探触子は、超音波の送信と受信とを兼ねる探触子又は超音波の送信のみを担当する探触子のいずれかであることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の斜角探触子。
(4)探触子1の材質がコンポジットであることを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の斜角探触子。
(5)上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の斜角探触子を複数配列した超音波探傷装置であって、探触子を配列する方向における該探触子の高さは、超音波の送信と受信とを兼ねる探触子又は超音波の受信のみを担当する探触子においては各探触子の探触受け持ち幅の0.6倍〜0.9倍の範囲、超音波の送信のみを担当する探触子においては各探触子の探触受け持ち幅の0.5倍以下であることを特徴とする超音波探傷装置。
本発明は、超音波を被検査体表面から斜めに入射して超音波探傷を行うための斜角探触子において、超音波を送信する探触子の表面形状を超音波放射側に凸形状とすることにより、有害疵の探傷を可能とするビーム幅WBを広げることができ、人工疵として角溝とドリルホールのいずれを用いた場合においても、ビーム幅WBが探触子の探触受け持ち幅よりも広い範囲とすることができ、有害疵を常に検出可能とすることができる。
前述のとおり、図1(a)に示すように送信探触子1の発信超音波の音圧が最も高くなる方向を送信方向6と称し、各送信探触子から送信方向に引いた線を送信方向線7と称す。そして、隣り合う探触子の送信方向線が互いに平行な場合において、当該送信方向線間の距離を探触受け持ち幅WNと定義する。また、図1(b)に示すように、探触子の送信方向に人工疵を配置し、エコー高さピークにおけるエコー高さを0dBとし、人工疵の位置を送信方向からずらしたときのエコー高さが−3dBとなるまでの範囲をビーム幅WBと称する。
溶接鋼管の溶接部を実際に探傷する際には、図4(a)に示すように超音波は鋼管表面(被検査体表面4)で何回か反射を繰り返した後、検査対象である溶接部3に到達する。以下の説明では、図4(b)に示すように超音波の経路を直線として作図し、このような図面上において議論を行う。図4(b)における探触子1から検査対象(溶接部3)までの距離を、探触子から超音波が伝搬する経路の距離Lと称する。
従来から用いられている斜角探触子を用い、人工疵として角溝8を採用した場合のビーム幅WBの評価を行った。超音波の送受信を別の探触子で行い、1つの送信探触子に対して2つの受信探触子で受信する方法を採用した。
斜角探触子としては図5(b)に示すように表面形状が平面のものを用い、超音波探傷装置において探触子を配列する方向における探触子の高さHが送受信とも2.8mm、波長λが0.65mmのものを用いた。被検査体としての鋼板は肉厚が6.4mmである。鋼板に入射した超音波の屈折角θは40°とした。探触子から超音波が伝搬する経路の距離Lとして8.5mmの位置に角溝を配置した。角溝8として図3(a)に示す形状のものを用い、その形状は深さを0.64mm、幅を1mmとした。なお、角溝の深さは被検査体の肉厚の5%〜10%とすることが一般的である。
探触子1の送信方向6に角溝8を配置し、エコー高さピークにおけるエコー高さを0dBとし、探触子1を移動することによって角溝8の位置を送信方向6からずらし、送信方向線7と角溝8との間の距離(mm)とエコー高さ(dB)との関係を評価した。その結果、図6に示すように、エコー高さのピークとして大きなピークが2つと小さなピークが1つ出現した。最も高いピークの頂上位置を0dBとした。小さなピークについては、その頂上位置においてもエコー高さが−3dB以下となった。2つの大きなピークを合わせたビーム幅WB(エコー高さが−3dBになるまでの幅)は4.4mm、各ピークそれぞれのビーム幅は2.2mmであった。また、角溝を用いた場合には、最も高いピークのエコー高さに対してノイズレベルのエコー高さが−10dB程度であり、ノイズレベルが高い値であることがわかった。なお上記評価試験において、探触子から人工疵までの距離(探触子から超音波が伝搬する経路の距離L)を変化させても、測定されたビーム幅WBにはさほどの変動が生じないことがわかっている。
一方、人工疵として角溝のかわりに図3(b)に示すような3.2mmφのドリルホール9を用いたところ、エコー高さのピークは1つのみ出現し、ビーム幅WBは10.2mmと広い幅が得られた。
人工疵として角溝を用いた場合に上記のようにビーム幅WBが狭くなる原因を解明するため、外乱として考えられる散乱と表面波の影響を考慮したFEM解析を行った。その結果、鋼板及び角溝表面における超音波の散乱により反射エコーが鋼板表面と角溝壁面との交点(コーナー)部に限定され、加えて位相の異なる表面波の干渉によりコーナー部のエコーが減衰していることが判明した。
上記用いた斜角探触子を複数配列し、図1(a)に示すように隣り合う探触子1の送信方向線7が互いに平行になるようにして超音波探傷装置を構成する場合、隣り合う探触子の送信方向線間の距離として定義される探触受け持ち幅WNを7mm程度とすることが好ましい。探触受け持ち幅WNをこれより狭くしようとすると、探触子1の配列において困難が生じる。ここで、探触受け持ち幅WNが7mmとなると、各探触子のビーム幅WBが7mm以上でないと、図2(b)に示すように探触範囲にもれが生じることとなる。このような観点に立つと、上記角溝8を用いた場合のビーム幅WBは4.4mmで探傷範囲が不十分であるということになる。
上記用いた斜角探触子の高さHを2.8mmと低い高さとしているのは、高さを低くするほど超音波の指向角が広がり、結果としてビーム幅WBが広くなると考えられていたからである。本発明においては、人工疵として角溝を用い、斜角探触子の高さHを逆に高くした場合に、ビーム幅WBにどのような影響が現れるのかについて評価を行ってみた。
ここでは、探触子の高さH/探触子の受け持ち幅WNを探触子高さ比αとおき、探触子曲率半径R/探触子高さHを探触子曲率比βとおき、ビーム幅WB/探触子の受け持ち幅WNをビームカバー率γとおく。
送信探触子、受信探触子ともに、探触子高さ比αを0.4から0.85まで変化させた。その結果、図7(a)に示すように、従来の知見とは逆に、探触子高さ比αを大きくするほどビームカバー率γが広がることが明らかになった。ただし、探触子高さ比αを最大の0.85としても、まだビームカバー率γは目標の1.0には到達していない。受信探触子の高さ拡大によって受信可能範囲は拡大するものの、送信探触子の高さ拡大によって指向角が狭まりビーム幅WBの縮小が起こり、両者の総合効果としてビーム幅WBの増大に限界があったものと考えられる。
本発明ではさらに、送信探触子の表面形状を変更し、図5(b)に示すような表面形状が平面のものから、図5(a)に示すような超音波放射側に凸である形状のものを用いて試験を行った。探触子1の探触子高さ比αは0.85とし、探触子曲率比βが16.7のものと13.3のものを準備した。人工疵として角溝8を用い、その他試験条件は上記の場合と同様とした。その結果、図7(b)に示すように、探触子の表面形状が平面のものに比較して超音波放射側に凸形状としたものの方がビームカバー率γが広がることが明らかとなった。探触子曲率比βが16.7のものはビームカバー率γの平均値が目標とする1.0を超えることができ、探触子曲率比βが13.3のものはビームカバー率γの平均値、最小値ともに目標とする1.0を超えることができた。即ち、超音波を被検査体表面から斜めに入射して超音波探傷を行うための斜角探触子において、超音波を送信する探触子の表面形状を超音波放射側に凸形状とすることにより、たとえ探傷対象とする人工疵が角溝であっても、目標とする広い範囲のビーム幅WBを得ることが可能となる。
図8には、探触子の曲率半径Rが80mm、探触子の高さHが6mmの場合において、送信方向線と角溝との間の距離(mm)とエコー高さ(dB)との関係を評価した結果を示す。ピークは頂上がフラットで良好な形状となり、ビーム幅WBは9.0mmと広いビーム幅が得られた。
送信ビームの指向角は超音波の波長と探触子高さによって決まり、探触子高さが低いほど送信ビームの指向角が狭くなるので、常識的には送信ビーム幅WBを拡大する方法はない。しかし本発明においては、人工疵として角溝を用いた場合とドリルホールを用いた場合のビーム幅WBの差異に着目し、ここから探触子の表面形状を凸にすることを着想した。即ち、曲面のあるドリルホールから反射したビーム幅WBが広くなっていることから、探触子の表面に凸型の曲率を付与すればビーム幅WBが広がるのではないかと想定した。この想定に基づいて実験を行った結果、上記のように想定どおりの結果が得られたものである。
探触子表面形状の曲率半径Rは、探触子の高さHの5倍〜20倍の範囲であることとすると好ましい。20倍を超えると、平面形状との差異が小さく、ビーム幅WBを広げる効果を十分に発揮することができない。逆に5倍未満では、形状が凸となりすぎて探触子の製作が困難となる。
探触子の形状としては、探触子を配列する方向における該探触子の高さHと、高さHと直角方向の奥行きとが異なった寸法であっても良い。その場合において、本発明における上記探触子表面形状の曲率半径Rと探触子の高さとの関係は、あくまで探触子を配列する方向における該探触子の高さHとの関係を意味している。
本発明において、斜角探触子は、超音波の送信と受信とを兼ねる探触子又は超音波の送信のみを担当する探触子のいずれであってもかまわない。
本発明においては、探触子の材質を図9に示すようなコンポジットとするとさらに好ましい。図8に示す測定において、探触子の曲率半径Rが80mm、探触子の高さHが6mmであるとともに、探触子の材質をコンポジットとしている。その結果、最も高いピークのエコー高さに対してノイズレベルのエコー高さが−20dB程度であり、ノイズレベルが非常に低くなっている。即ち、探触子の材質をコンポジットとすることにより、最も高いピークのエコー高さに対するノイズレベルを低減することができる。
従来、前述のとおり探触子の高さHが低いほどビーム幅WBが広がるものと考えられていた。そのため、超音波の送信と受信とを兼用する探触子で行う場合も、あるいは送信と受信を別々の探触子で行う場合もいずれも、隣り合う探触子の送信方向線間距離、即ち探触子の受け持ち幅WNに対し、探触子の高さHは1/2以下とすることが多かった。それに対し、人工疵として角溝を用いて評価した結果に基づく本発明では、探触子の高さHとして受け持ち幅WNに近い高さを採用することにより、より良好な結果が得られることを知見した。即ち、超音波を送信する探触子1を配列する方向における探触子の高さHは、各探触子の探触受け持ち幅WNの0.6倍〜0.9倍の範囲とすると好ましい。探触子の高さHが探触子の探触受け持ち幅WNの0.6倍未満であると、探触子のビーム幅WB(エコーピーク高さに対してエコー高さが−3dBになるまでの幅)を探触受け持ち幅WNよりも広くすることが困難となる。一方、探触子の高さが探触子の探触受け持ち幅WNの0.9倍を超えると、探触子の高さが高くなりすぎ、超音波探傷装置における探触子の配列が困難となる。以上は超音波の送信と受信とを兼用する探触子で行う場合の好適条件である。
超音波の送信を送信探触子で行い、受信を受信探触子で行う場合には、受信探触子の高さHの好適範囲は、上記の場合と同様、各探触子の探触受け持ち幅WNの0.6倍〜0.9倍の範囲である。上記送信と受信とを兼用する探触子で行う場合の好適条件の場合と同様の理由に基づく。送信探触子の高さHの好適範囲は、上記と異なり、各探触子の探触受け持ち幅WNの0.5倍以下である。送信専用探触子の場合は、高さHが低いほどビーム幅を拡げられるからであり、探触子の高さHを各探触子の探触受け持ち幅WNの0.5倍以下とすることによってその効果を十分に発揮できるからである。なお、この場合、超音波の受信のみを行う受信探触子については、その表面形状が平面であっても超音波受信側に凸であってもいずれでも良い。
(a)は探触子から被検査体に送信された超音波の送信方向、受け持ち幅WNを説明するための断面図であり、(b)はビーム幅WBを説明する図である。 斜角探触子を複数配列した超音波探傷装置における受け持ち幅WNとビーム幅WBとの関係を示す断面図であり、(a)はビーム幅WBが受け持ち幅WNよりも広く、(b)はビーム幅WBが受け持ち幅WNよりも狭い場合を示す図である。 人工きずを示す断面図であり、(a)は角溝、(b)はドリルホールを示す図である。 被検査体内における超音波の経路を示す図であり、(a)は鋼管の断面における探触子から溶接部までの超音波の実経路を示し、(b)は(a)の経路を直線状に展開した図を示す。 探触子の断面形状を示す図であり、(a)は探触子表面形状が凸形状の場合、(b)は平面形状の場合である。 人工疵として角溝を用い、探触子表面形状が平面形状の場合のビーム幅測定結果を示す図である。 人工疵として角溝を用い、探触子の形状とビーム幅との関係を示す図であり、(a)は探触子表面形状が平面形状の場合の探触子高さ比とビームカバー率との関係、(b)は探触子表面の探触子曲率比とビームカバー率との関係を示す図である。 人工疵として角溝を用い、探触子表面形状が凸形状の場合のビーム幅測定結果を示す図である。 コンポジット材質を用いた探触子の形状を示す斜視図である。
符号の説明
1 探触子
2 被検査体
3 溶接部
4 被検査体表面
5 くさび
6 送信方向
7 送信方向線
8 角溝
9 ドリルホール
L 超音波が伝搬する経路の距離
H 探触子の幅
R 探触子表面の曲率半径
N 探触受け持ち幅
B ビーム幅
θ 屈折角
θ0 指向角

Claims (5)

  1. 超音波を被検査体表面から斜めに入射して超音波探傷を行うための斜角探触子であって、超音波を送信する探触子の表面形状は、超音波放射側に凸であることを特徴とする斜角探触子。
  2. 前記探触子表面形状の曲率半径は、探触子の高さの5倍〜20倍の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の斜角探触子。
  3. 前記斜角探触子は、超音波の送信と受信とを兼ねる探触子又は超音波の送信のみを担当する探触子のいずれかであることを特徴とする請求項1又は2に記載の斜角探触子。
  4. 探触子の材質がコンポジットであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の斜角探触子。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の斜角探触子を複数配列した超音波探傷装置であって、探触子を配列する方向における該探触子の高さは、超音波の送信と受信とを兼ねる探触子又は超音波の受信のみを担当する探触子においては各探触子の探触受け持ち幅の0.6倍〜0.9倍の範囲、超音波の送信のみを担当する探触子においては各探触子の探触受け持ち幅の0.5倍以下であることを特徴とする超音波探傷装置。
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