JP5696496B2 - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents
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Description
前記エンジンおよび電動モータは、走行用駆動源に設けられ、少なくともアクセル開度により決められる目標駆動トルクを実現する。
前記クラッチは、前記電動モータと駆動輪の間に介装され、スリップ要求時、クラッチ入力軸回転数を目標入力軸回転数とし、クラッチ締結トルクを目標トルク容量とし、クラッチ滑りを維持しつつ締結トルク相当の駆動トルクを伝達するスリップ制御を行う。
前記ワンウェイクラッチは、前記クラッチの駆動トルク伝達経路に設けられ、前記走行用駆動源から前記駆動輪へ向かう正方向トルクのみを係合ロックにより伝達する。
前記目標トルク容量補正手段は、前記クラッチへのスリップ要求時、前記目標入力軸回転数より実入力軸回転数が低いとき、入力軸回転数偏差を無くすように前記クラッチの目標トルク容量を減少補正する入力軸回転数フィードバック制御を実施する。
前記目標入力軸トルク補正手段は、前記クラッチへのスリップ要求時、前記目標入力軸回転数より実入力軸回転数が低いとき、入力軸回転数偏差を無くすように前記発進クラッチへの目標入力軸トルクを増大補正する入力軸回転数フィードバック制御を実施する。
前記係合ロック解除検出手段は、前記ワンウェイクラッチの係合ロックが外れ、トルクを伝達しない係合ロック解除状態を検出する。
前記クラッチ動作制御手段は、前記クラッチのスリップ制御中、前記ワンウェイクラッチが係合ロック状態のとき、前記目標入力軸トルク補正手段及び前記目標トルク容量補正手段による入力軸回転数フィードバック制御を実施し、前記ワンウェイクラッチが係合ロック状態から係合ロック解除状態に移行すると、前記目標入力軸トルク補正手段による入力軸回転数フィードバック制御を実施したままで、前記目標トルク容量補正手段による入力軸回転数フィードバック制御の実施を停止し、再び、前記ワンウェイクラッチが係合ロック解除状態から係合ロック状態に移行すると、前記目標トルク容量補正手段による入力軸回転数フィードバック制御の実施を再開する。
すなわち、ワンウェイクラッチが係合ロック解除状態であるとは、駆動輪への駆動トルク伝達経路が遮断され、駆動トルクを伝達できない状態であり、この状態が検出されたときには、目標トルク容量補正手段による入力軸回転数フィードバック制御を停止することにより制御非介入にする。このため、クラッチの目標トルク容量が目標駆動トルクに追従したものとなり、制御介入し続ける場合のように、目標トルク容量が目標駆動トルクから大きく乖離しない。
したがって、再びワンウェイクラッチが係合ロック状態に移行した際に、減少補正制御を受けない目標トルク容量による駆動トルクが、スリップ制御中のクラッチを介して駆動輪へ伝達されることで、車両挙動の急変が防止される。
一方、クラッチスリップ制御中、ワンウェイクラッチが係合ロック解除状態から係合ロック状態になり、駆動輪への駆動トルク伝達経路が構築されると、目標トルク容量補正手段によるクラッチの目標トルク容量を減少補正する入力軸回転数フィードバック制御が再開される。
すなわち、入力軸回転数偏差があるとき、目標トルク容量補正手段による入力軸回転数フィードバック制御が介入することにより、クラッチ上流側の走行用駆動源にとって駆動負荷が低下し、クラッチの入力軸回転数の上昇が促され、目標入力軸回転数(クラッチスリップ状態)に到達する。
したがって、駆動源のトルクを増加することができない状況であっても、また、容量過多のばらつきを持つクラッチであっても、クラッチスリップが維持される。
この結果、クラッチスリップ制御中、ワンウェイクラッチが係合ロック状態のときクラッチスリップを維持しつつ、ワンウェイクラッチが係合ロック解除状態から再び係合ロック状態に移行した際に車両挙動の急変を防止することができる。
図1は、実施例1の制御装置が適用されたハイブリッド車両のパワートレインを示すパワートレイン構成図である。以下、図1に基づき、パワートレイン構成を説明する。
前記加減算器40は、目標入力軸回転数ωCL2i *と実入力軸回転数ωCL2iの入力軸回転数偏差(ωCL2i *−ωCL2i)を演算する。ここで、目標入力軸回転数ωCL2i *は、図外の目標入力軸回転数演算部において、CL2スリップ制御での目標スリップ量と出力軸回転数を加算する式により求められる。
前記比例積分制御部41は、加減算器40から入力軸回転数偏差(ωCL2i *−ωCL2i)を入力し、枠内に記載の比例積分制御式(=PI制御式)を用いたF/B演算により、目標MGトルクF/B増大補正値TM_FB *を演算する。なお、PI制御式において、「KαM」はモータ調整用ゲイン、「KPM」はモータ制御用比例ゲイン、「KIM」はモータ制御用積分ゲインである。
前記加算器42は、比例積分制御部41からの目標MGトルクF/B増大補正値TM_FB *と、駆動トルク配分演算部401からの基本目標MGトルクTM_base *と、を加算することで、目標MGトルクTM *を演算する。
前記比例制御部43は、2つのF/B制御切替器46,47が入り側の演算条件成立時、加減算器40から入力軸回転数偏差(ωCL2i *−ωCL2i)を入力し、枠内に記載の比例制御式(=P制御式)を用いたF/B演算により、目標CL2トルク容量F/B値TCL2_FB *を演算する。なお、P制御式において、「KαCL2」は第2クラッチ調整用ゲイン、「KPCL2」は第2クラッチ制御用比例ゲインである。
前記位相補償部44は、基本目標CL2トルク容量演算部402からの基本目標CL2トルク容量TCL2_base *を入力し、位相補償フィルタGFF(S)を用いて目標CL2トルク容量F/F値TCL2_FF *を演算する。
前記加減算器45は、位相補償部44から入力された目標CL2トルク容量F/F値TCL2_FF *から、比例制御部43から入力された目標CL2トルク容量F/B値TCL2_FB *を減算することにより目標CL2トルク容量TCL2 *を演算する。
前記第1F/B制御切替器46は、第2クラッチ5がスリップ制御中であることを示すCL2スリップフラグ=1であるとき、切替位置を入り側とする。
前記第2F/B制御切替器47は、OWCロック解除検出部405から出力されるF/B許可判定フラグがONのとき切替位置を入り側とし、OWCロック解除検出部405から出力されるF/B許可判定フラグがOFFのとき切替位置を切り側とする。
このOWCロック解除検出部405では、
(a) 第2クラッチ5の入力軸回転数が、出力軸回転数に対して下回っている場合
(b) 第2クラッチ5への入力軸トルクをあらわす目標駆動トルクが負である場合
というロック解除条件(a),(b)のうち、何れか一方の条件が成立しているとき、トルクを伝達しない係合ロック解除状態であると検出する。
まず、「比較例の課題」の説明を行う。続いて、実施例1のハイブリッド車両の制御装置における作用を、「ワンウェイクラッチ状態によるCL2トルク容量制御作用」、「ワンウェイクラッチ状態によるMGトルク制御作用」に分けて説明する。
走行用駆動源にエンジンと電動モータを有するハイブリッド車両の場合、モータアシストタイプ駆動系を持つ車両は、常にエンジンと電動モータが一体に回転する。また、パラレルタイプ駆動系を持つ車両は、HEVモードの選択によりエンジンと電動モータが一体に回転する。したがって、停車時における走行用駆動源の回転数が、エンジンの拘束を受けてアイドル回転数により回転するため、走行用駆動源の下流位置には発進クラッチが必要であり、発進クラッチのスリップ締結制御により停止域や発進域で回転差を吸収している。
すなわち、正側の駆動トルクのみを伝達するワンウェイクラッチの係合ロックが外れたトルク遮断状態で入力軸回転数F/B制御を実施しても、発進クラッチの入力軸回転数を維持できない。それだけでなく、F/B制御の実施を維持し続けると、いつまでも実入力軸回転数が目標入力軸回転数に収束せず、入力軸回転数F/B制御が発散状態に陥り、発進クラッチへのトルク指令値を作り出す目標トルク容量が想定外の値になってしまう。
上記課題を解決するには、第2クラッチ5(発進クラッチ)の目標CL2トルク容量TCL2 *を減少補正する入力軸回転数F/B制御に停止条件を加える必要がある。以下、これを反映するワンウェイクラッチ状態によるCL2トルク容量制御作用を説明する。
図11において、時刻t1はアクセル足離し操作開始時である。時刻t2はアクセル足離し操作終了時であると共に、目標駆動トルクが正(力行放電)から負(回生発電)への切り替え時である。時刻t3は目標駆動トルクが負から正への切り替え時である。時刻t4は車両停止時(出力軸回転数ゼロ)である。
この構成により、図11の時刻t3前後域の発進クラッチ最終トルク特性F,Iに示すように、第2クラッチ5の目標CL2トルク容量TCL2 *が目標駆動トルクTd*に追従して滑らかに繋がれ、制御介入し続ける場合のように、目標トルク容量が目標駆動トルクから大きく乖離しない。したがって、時刻t3にて再びワンウェイクラッチ26が係合ロック状態に移行した際に、減少補正制御を受けない目標CL2トルク容量TCL2 *による駆動トルクが、スリップ制御中の第2クラッチ5を介してタイヤ7,7へ伝達されることで、車両挙動の急変が防止される。
したがって、第2クラッチ5のスリップ制御中、ワンウェイクラッチ26が係合ロック状態のときクラッチスリップを維持しつつ、ワンウェイクラッチ26が係合ロック解除状態から再び係合ロック状態に移行した際に車両挙動の急変が防止される。
この構成により、第2クラッチ5の実入力軸回転数ωCL2iが出力軸回転数に対して下回っているシーンにおいては、ワンウェイクラッチ26の構造上、トルクが伝達できない。すなわち、ワンウェイクラッチ26の係合ロックが解除された状態であると推定できる。
したがって、第2クラッチ5の入出力軸回転数を監視することにより、ワンウェイクラッチ26の係合ロック解除状態が精度良く検出される。
この構成により、目標駆動トルクTd*が負である場合、第2クラッチ5の実入力軸回転数ωCL2iが低下し、出力軸回転数を下回る。すなわち、ワンウェイクラッチ26の係合ロックが解除された状態であると推定できる。
したがって、目標駆動トルクTd*を監視することにより、ワンウェイクラッチ26の係合ロック解除状態が精度良く検出される。
上記のように、ワンウェイクラッチ26の係合ロック解除条件で入力軸回転数F/B制御に停止させた場合、入力軸回転数F/B制御の停止に伴う影響を解消することが必要である。以下、これを反映するワンウェイクラッチ状態によるMGトルク制御作用を説明する。
この構成により、ワンウェイクラッチ26が係合ロック解除状態であるとき、第2クラッチ5への入力軸トルクが増大補正され、目標入力軸回転数ωCL2i *と実入力軸回転数ωCL2iの乖離幅が小さく保たれる。
したがって、ワンウェイクラッチ26が係合ロック解除状態において、目標MGトルク演算部403による入力軸回転数F/B制御を実施することにより、再びワンウェイクラッチ26が係合ロック状態に移行する際、第2クラッチ5のスリップ締結状態が確保される。
実施例1のハイブリッド車両の制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
前記モータジェネレータ2(電動モータ)とタイヤ7,7(駆動輪)の間に介装され、スリップ要求時、クラッチ入力軸回転数を目標入力軸回転数ωCL2i *とし、クラッチ締結トルクを目標トルク容量(目標CL2トルク容量TCL2 *)とし、クラッチ滑りを維持しつつ締結トルク相当の駆動トルクを伝達するスリップ制御を行うクラッチ(第2クラッチ5)と、
前記クラッチ(第2クラッチ5)の駆動トルク伝達経路に設けられ、前記走行用駆動源から前記駆動輪(タイヤ7,7)へ向かう正方向トルクのみを係合ロックにより伝達するワンウェイクラッチ26と、
前記クラッチ(第2クラッチ5)へのスリップ要求時、前記目標入力軸回転数ωCL2i *より実入力軸回転数ωCL2iが低いとき、入力軸回転数偏差(ωCL2i *−ωCL2i)を無くすように前記クラッチ(第2クラッチ5)の目標トルク容量(目標CL2トルク容量TCL2 *)を減少補正する入力軸回転数F/B制御を実施する目標トルク容量補正手段(目標CL2トルク容量演算部404)と、
前記ワンウェイクラッチ26の係合ロックが外れ、トルクを伝達しない係合ロック解除状態を検出する係合ロック解除検出手段(OWCロック解除検出部405)と、
前記クラッチ(第2クラッチ5)のスリップ制御中、前記ワンウェイクラッチ26が係合ロック解除状態であると検出されたとき、前記目標トルク容量補正手段(目標CL2トルク容量演算部404)による入力軸回転数F/B制御の実施を停止するクラッチ動作制御手段(図9)と、
を備える。
このため、クラッチ(第2クラッチ5)のスリップ制御中、ワンウェイクラッチ26が係合ロック状態のときクラッチスリップを維持しつつ、ワンウェイクラッチ26が係合ロック解除状態から再び係合ロック状態に移行した際に車両挙動の急変を防止することができる。
このため、(1)の効果に加え、クラッチ(第2クラッチ5)の入出力軸回転数を監視することにより、ワンウェイクラッチ26の係合ロック解除状態を精度良く検出することができる。
このため、(1)の効果に加え、目標駆動トルクTd*を監視することにより、ワンウェイクラッチ26の係合ロック解除状態を精度良く検出することができる。
前記クラッチ動作制御手段(図9)は、前記発進クラッチ(第2クラッチ5)のスリップ制御中、前記ワンウェイクラッチ26が係合ロック解除状態であると検出されたとき、前記目標入力軸トルク補正手段(目標MGトルク演算部403)による入力軸回転数F/B制御を実施する。
このため、上記(1)〜(3)の効果に加え、ワンウェイクラッチ26の係合ロック解除状態において目標入力軸トルク補正手段(目標MGトルク演算部403)による入力軸回転数F/B制御を実施することにより、ワンウェイクラッチ26が係合ロック解除状態から再び係合ロック状態に移行した際、発進クラッチ(第2クラッチ5)のスリップ締結状態を確保することができる。
2 モータジェネレータ(電動モータ)
3 自動変速機
4 第1クラッチ
5 第2クラッチ(クラッチ)
6 ディファレンシャルギア
7 タイヤ(駆動輪)
8 インバータ
9 バッテリ
10 エンジン回転センサ
11 MG回転センサ
12 AT入力回転センサ
13 AT出力回転センサ
14,15 ソレノイドバルブ
16 SOCセンサ
17 アクセル開度センサ
18 機械式オイルポンプ
19 電動サブオイルポンプ
20 統合コントローラ
21 エンジンコントローラ
22 モータコントローラ
23 ブレーキ油圧センサ
24 電動サブオイルポンプコントローラ
25 バッテリ電流/電圧センサ
26 ワンウェイクラッチ
100 目標駆動トルク演算部
401 駆動トルク配分演算部
402 基本目標CL2トルク容量演算部
403 目標MGトルク演算部(目標入力軸トルク補正手段)
404 目標CL2トルク容量演算部(目標トルク容量補正手段)
405 OWCロック解除検出部(係合ロック解除検出手段)
Claims (3)
- 走行用駆動源に設けられ、少なくともアクセル開度により決められる目標駆動トルクを実現するエンジンおよび電動モータと、
前記電動モータと駆動輪の間に介装され、スリップ要求時、クラッチ入力軸回転数を目標入力軸回転数とし、クラッチ締結トルクを目標トルク容量とし、クラッチ滑りを維持しつつ締結トルク相当の駆動トルクを伝達するスリップ制御を行うクラッチと、
前記クラッチの駆動トルク伝達経路に設けられ、前記走行用駆動源から前記駆動輪へ向かう正方向トルクのみを係合ロックにより伝達するワンウェイクラッチと、
前記クラッチへのスリップ要求時、前記目標入力軸回転数より実入力軸回転数が低いとき、入力軸回転数偏差を無くすように前記クラッチの目標トルク容量を減少補正する入力軸回転数フィードバック制御を実施する目標トルク容量補正手段と、
前記クラッチへのスリップ要求時、前記目標入力軸回転数より実入力軸回転数が低いとき、入力軸回転数偏差を無くすように前記クラッチへの入力軸トルクを増大補正する入力軸回転数フィードバック制御を実施する目標入力軸トルク補正手段と、
前記ワンウェイクラッチの係合ロックが外れ、トルクを伝達しない係合ロック解除状態を検出する係合ロック解除検出手段と、
前記クラッチのスリップ制御中、前記ワンウェイクラッチが係合ロック状態のとき、前記目標入力軸トルク補正手段及び前記目標トルク容量補正手段による入力軸回転数フィードバック制御を実施し、前記ワンウェイクラッチが係合ロック状態から係合ロック解除状態に移行すると、前記目標入力軸トルク補正手段による入力軸回転数フィードバック制御を実施したままで、前記目標トルク容量補正手段による入力軸回転数フィードバック制御の実施を停止し、再び、前記ワンウェイクラッチが係合ロック解除状態から係合ロック状態に移行すると、前記目標トルク容量補正手段による入力軸回転数フィードバック制御の実施を再開するクラッチ動作制御手段と、
を備えることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 請求項1に記載されたハイブリッド車両の制御装置において、
前記係合ロック解除検出手段は、前記クラッチの入力軸回転数が、出力軸回転数に対して下回っている場合、前記ワンウェイクラッチが係合ロック解除状態であると検出する
ことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 請求項1に記載されたハイブリッド車両の制御装置において、
前記係合ロック解除検出手段は、前記クラッチへの入力軸トルクをあらわす目標駆動トルクが負である場合、前記ワンウェイクラッチが係合ロック解除状態であると検出する
ことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
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