JP5693816B2 - 凝集体形成性循環タンパク質形態を、該形態を凝集させる薬剤及び形成された凝集体を捕捉するための薬剤を用いて検出する方法 - Google Patents

凝集体形成性循環タンパク質形態を、該形態を凝集させる薬剤及び形成された凝集体を捕捉するための薬剤を用いて検出する方法 Download PDF

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Description

本発明は、これまで非感染性と認識されている神経変性疾患の分野に関し、特に、このような疾患と関連する凝集体形成性循環タンパク質形態の検出方法に関する。
加齢関連疾患の増加により、人々への影響が増大しており、その平均年齢は、前世紀において大きく増大した。このような疾患の一部は脳に影響を及ぼし、あらゆる認知機能に影響を及ぼすようである。また、一部のこのような疾患では、感覚運動機能が相当影響され得る。これらは、「神経変性」疾患であり、これまで非感染性と認識されており、例えば、パーキンソン病、アルツハイマー病、タウオパシー、レヴィー小体痴呆、ハンチントン病及び血管性痴呆などがある。
したがって、例えば、世界中ではアルツハイマー病患者が2千5百万人を超える。フランスでは、約80万人がアルツハイマー病又は関連疾患に罹患している。また、人口統計学的老齢人口は倍加しており、この数は増大している。既に16万5千人程が、毎年新たに罹患している。アルツハイマー病は、心臓血管の病気、癌及び脳卒中に続き、一般的な死亡原因の第4位である。この神経変性痴呆は、進行的及び不可逆的に記憶障害(健忘症)及び認知機能(失語症、失行症、失認症)の喪失をもたらす。
アルツハイマー病と同様、主な非感染性神経変性疾患は、循環性形態(凝集体形成性循環タンパク質形態)で存在し得、中枢神経系の病理学的凝集過程に関与している非感染性タンパク質からなる細胞外及び/又は細胞内沈着物を特徴とする。このようなタンパク質では、補因子若しくは酵素によって、あるいはタンパク質沈着物の形態の自発的凝集を促進させる遺伝子変異によって誘導される自発的な立体構造の変形が起こり得、このような変形により、タンパク質の型及び生理学的状況に依存して脳の種々の領域において蓄積がもたらされる(非特許文献1)。
したがって、アルツハイマー病の場合、凝集されるタンパク質は、主にタウタンパク質及びAPP(アミロイド前駆体タンパク質)タンパク質の断片、β−アミロイドペプチド(例えば、β1−40、β1−41、β1−42)である。タウタンパク質はまた、β−アミロイドタンパク質は存在しない脳内への凝集タウタンパク質の沈着と関連している非アルツハイマー型痴呆であるタウオパシーと関連している。APPタンパク質及び/又はそのβ−アミロイドペプチド断片はまた、血管性痴呆と関連しており、これは、アミロイド凝集体の血管周囲の沈着を特徴とする。中心灰白質核における神経変性を特徴とするパーキンソン病の場合は、関連するタンパク質はパーキンであり、特に家族性の形態では、α−シヌクレインもまたそうである。また、後者は、パーキンソン型痴呆にも関与しており、これは、感覚運動問題に加えて起こり得る。α−シヌクレインはまた、レヴィー小体痴呆もと関連している。後者は、特に、前頭皮質領域内での凝集したα−シヌクレインタンパク質の沈着を特徴とし、これにより、神経変性がもたらされ、認知機能に影響が及び、痴呆症候群がもたらされる。ハンチントン病の場合、凝集するタンパク質はハンチントンである。したがって、神経毒性タンパク質凝集体の脳へのこの沈着現象は、ほとんどの神経変性疾患において見られるが、「プリオン」疾患とは異なり、神経変性疾患と関連するタンパク質は感染性の性質を示さず、したがって伝染性ではない。実際、「プリオン」タンパク質は、伝染性海綿状脳症を媒介する因子であり、この疾患は、病気個体において単離された病原性プリオンの注射によって伝染し得る。これはまた、遺伝的起源のプリオン疾患、例えば、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー(Gertsmann−Straussler−Scheinker)(GSS)病などについてもそうであり、その病因プリオンは、宿主の遺伝子変異によって生じるが、この病因タンパク質は、いったん形成されると、プリオン疾患に特異的な感染性の性質を獲得する(非特許文献2)。「プリオン疾患」は、病原性プリオンタンパク質が接種された、又はこれに汚染された個体、あるいは、正常なタンパク質の病理的変換を起始させ、したがって「内因性」感染をもたらし得る遺伝子変異を有する個体における病原性プリオンタンパク質の量の緩緩な増加に起因する。
非感染性神経変性疾患と関連するタンパク質は、特に、全身性注射で正常な個体に疾患が伝染され得ないことで後者とは異なる。同様に、このような非感染性神経変性疾患に由来する組織要素では該疾患は伝染され得ず、それにより、後者は感染性疾患から除外され、プリオン疾患と異なる。
このような非感染性神経変性疾患の現在の診断は、ほとんどが、画像に基づくものであり、臨床検査及び神経心理学検査で補完する。これは、難儀で高価な手順であり、いくつかの診断工程を必要とし、いずれも生物試料では行なわれない。場合によっては、遺伝子変異の起源は、このようなタンパク質の1種類の異常な凝集が原因であり、DNA配列レベルでの遺伝子診断が可能であるが、これは、「非遺伝子」形態に関しては一般的ではない。
したがって、このような疾患に対するより容易でより速やかな診断が必要である。したがって、ヒトにおける生物試料における診断は、極めて重要となる。特に、その免疫学的検出によって、簡便でさらにより容易な診断が可能となり得、病変が広がる前に治療工程が開始されるという点で、明白な利点を伴う(非特許文献1)。
種々のグループにおいて、かかる生物試料での検出を達成するための試みがなされた。したがって、特許文献1には、アルツハイマー病に罹患した患者の脳脊髄液(CSF)において、β−アミロイドペプチドの量の測定を、任意選択でタウタンパク質の量の測定と組み合わせ、所定の値と比較することによる診断が記載されている。この方法は、CSFの場合でしか実証されておらず、試験の特異性を改善するために、β−アミロイドペプチドの検出をタウタンパク質のアッセイで補完しなければならないという欠点を有する(非特許文献3)。
現時点では、このような非感染性神経変性疾患の生物学的診断のための常套的な血液試験は存在しない。例えば、タウタンパク質は、ニューロンでのみ産生され、CSF中を通過後、血中では低濃度となるため、血中で検出するのは困難である。さらに、後者の場合、タウタンパク質は、程度の差はあれ、既存の試験によって充分良好に検出される。APPタンパク質及びその循環性断片(例えば、前駆体タンパク質)のアッセイは血小板において行なわれ得るが、多くの凝集体形成性循環タンパク質形態が血漿タンパク質に結合し、これによりエピトープをマスクすることができ、したがって、これら同エピトープに指向させた抗体による検出が不可能及び/又は捕捉が不可能となり得るため、これも依然として問題がある。したがって、マスクされたエピトープは、使用する抗体によって認識されるものであるため、慣用的な免疫酵素的手順である「サンドイッチELISA」型を使用することは不可能である。さらに、抗体は、非常に大きなタンパク質であり、もし、凝集形態の場合、及び、血漿リガンドとの会合形態の場合のように、凝集体形成性循環タンパク質形態の分子性部位が3次元網目内に内在していると、これに接近することができない。小分子のみが、このような凝集体形成性循環タンパク質形態内の増大量のタンパク質と相互作用することができ、一方、抗体は、凝集されておらず、血漿リガンドとも会合していない遊離形態、すなわち、このような神経変性疾患と関連するタンパク質の大部分の生理学的画分を、より容易に検出する。したがって、可変的であり、そのため、その重要性が証明できない画分は、標準的な免疫学的試験ではアッセイされ得ない(非特許文献4)。
その結果、非感染性神経変性病理と関連する可溶性及び/又は循環性形態のタンパク質を捕捉、濃縮及び/又は検出する困難さに対する先行技術の諸方法が絶えず出現している。時として、各型のタンパク質に適した方法が想定されるが、このような方法は、大規模な常套試験に移行することが困難であるという事実に加え、このようなあらゆるタンパク質、又は診断が許容され得る充分な数のタンパク質に共通する単一の方法の実施を可能にすることができない(非特許文献4)。
このようなタンパク質を回収することができ、抗体認識を伴うことなく該タンパク質を生体液から分離することができ、次いで、任意選択で、該タンパク質を、考えられ得るリガンドと解離するように、免疫酵素アッセイに適した表面上に固定されるのに適合する条件下で処理することができ、続いて、最後に該タンパク質を抗体で同定することができる方法により、このような種々のタンパク質の有効で同等な検出を行なうことが可能となり得る。かかる条件は、このようなあらゆるタンパク質及びその種々の循環性形態のより有効な単離を可能にでき、さらに実際の生物医学的パラメータのより良好な相関性、したがって、このような疾患のそれぞれの診断をもたらすアッセイの解釈を伴うものでさえあり得る。
特許文献2には、亜鉛などの重金属カチオンを用いて、β−アミロイドペプチドの形成を検出するためのin vitro方法が記載されている。しかし、該タンパク質上の亜鉛結合部位の数が少ないことにより、この手法では、低速遠心分離によって沈降させ得る多分子網目を形成させることでは、β−アミロイドペプチドを凝集及び濃縮させることができない。
特許文献3には、プリオン、アミロイド及びタウタンパク質の病理学的形態の選択結合のための方法が記載されている。特に、硫酸デキストランによるタウタンパク質の凝集形態の捕捉は、この出願書類の実施例の1つに記載されている。この文献には、凝集剤の使用は記載されておらず、硫酸デキストランは、グリコサミノグリカンファミリーにも大環状分子ファミリーにも属しない。
特許出願EP713095号 米国特許第6365414号 特許出願WO03/073106号 El−Agnaf Oら、2003,Lancet Neurol,2:461−462 Lantos PL.,1992,Histopathology,20(1):1−11 Sjogren Mら、2003,Clin Chim Acta,332:1−10 Kuo Yら、2000,Biochem Biophys Res Commun,268:750−756
本発明者らは、ここに、予想外にも、中枢神経系の病理学的凝集過程に関与する非感染性タンパク質の循環性形態の凝集をもたらす非タンパク質薬剤I及び/又は凝集体形成性循環タンパク質形態の天然の凝集体若しくは前記薬剤Iによって誘導される凝集体を捕捉するための非タンパク質薬剤IIを、非感染性神経変性疾患と関連する凝集体形成性循環タンパク質形態の診断のための試験において使用することにより、単一の方法によって、このようなタンパク質形態を、現在使用されている方法では検出され得ない希釈及び条件下で検出することが可能になることを示した。このような2つの薬剤の単独又は組合せでの使用により、凝集体形成性循環タンパク質形態が、これら凝集体形成性タンパク質形態に特異的な結合パートナーに結合する能力が明白に改善され得るが、いかなる場合も該能力は抑制されない。かかる結合パートナーは、診断試験に使用される。
したがって、本発明の主題は、ヒト起源の生物試料において、非感染性神経変性疾患と関連する少なくとも1つの凝集体形成性循環タンパク質形態をin vitroで検出する方法であって、中枢神経系の病理学的凝集過程に関与する非感染性タンパク質の循環性形態の凝集をもたらす非タンパク質薬剤I、及び/又は、凝集体形成性循環タンパク質形態の天然の凝集体又は前記薬剤Iによって誘導される凝集体を捕捉するための非タンパク質薬剤IIを使用することを特徴とする方法である。
本発明はまた、非感染性神経変性疾患と関連する少なくとも1つの凝集体形成性循環タンパク質形態を検出するための、中枢神経系の病理学的凝集過程に関与する非感染性タンパク質の循環性形態の凝集をもたらす非タンパク質薬剤I及び/又は凝集体形成性循環タンパク質形態の天然の凝集体若しくは前記薬剤Iによって誘導される凝集体を捕捉するための非タンパク質薬剤IIを備える診断用キットの使用に関する。
したがって、本発明の方法は、適用の点に関して簡単で普遍的であり、血液などの生物試料において、凝集体形成性循環タンパク質形態の性質及びその濃度とは無関係に、非感染性神経変性疾患の診断を行なうのに特に有用な方法である。
第1の実施形態によれば、2つの薬剤、すなわち、
−中枢神経系の病理学的凝集過程に関与する非感染性タンパク質の循環性形態の凝集をもたらす非タンパク質薬剤I、及び
−凝集体形成性循環タンパク質形態の天然の凝集体又は前記薬剤Iによって誘導される凝集体を捕捉するための非タンパク質薬剤II
を使用する。
表現「中枢神経系の病理学的凝集過程に関与する非感染性タンパク質の循環性形態の凝集をもたらす非タンパク質薬剤」は、該薬剤の存在下で、凝集体形成性循環タンパク質形態の凝集をもたらすことができる、すなわち、当初の凝集体形成性循環タンパク質形態より大きいサイズのタンパク質塊をもたらすことができる、及び、簡単な遠心分離によってその速やかな沈降を許容することができる非タンパク質の性質の任意の分子を意味することが意図される。凝集は、実際には、低速(10000g)での遠心分離によって沈降され得る多分子網目の形成と規定する。
表現「凝集体形成性循環タンパク質形態の天然の凝集体又は前記薬剤Iによって誘導される凝集体を捕捉するための非タンパク質薬剤」は、該薬剤が天然に(すなわち、生物体内で)形成されるか、又は人工的に(すなわち、薬剤Iとの反応後に)形成されるかに関係なく、凝集体形成性循環タンパク質形態の凝集体に結合することができる非タンパク質の性質の任意の分子を意味することが意図される。
表現「これまで非感染性と認識されている神経変性疾患」は、上記のような凝集体形成性循環タンパク質形態の細胞外及び/又は細胞内沈着物を特徴とする疾患を意味することが意図され、このような凝集体形成性循環タンパク質形態は、感染性タンパク質、すなわち伝染性タンパク質でない。したがって、クロイツフェルト−ヤコブ病又はウシ海綿状脳症などのプリオン疾患は、この定義から明白に除外される。
本発明の定義に含まれる疾患の一例としては、パーキンソン病、アルツハイマー病、タウオパシー、レヴィー小体痴呆、ハンチントン病及び血管性痴呆が挙げられ得る。
本発明の検出方法を行なう生物試料は、少なくとも1つの凝集体形成性循環タンパク質形態を含み得るヒト起源の試料であり得る。
かかる試料の一例としては、脳、中枢神経系の組織、脾臓及び腸などの器官、また生体液、例えば、脳脊髄液、尿及び血液(後者が好ましい)並びに選択した生物試料を構成する血液が挙げられ得る。
中枢神経系の病理学的凝集過程に関与する非感染性タンパク質の循環性形態の凝集をもたらす非タンパク質薬剤Iは、凝集機能を有するあらゆる非タンパク質分子である。このような薬剤はすべて、タンパク質薬剤とは異なり、凝集体形成性循環タンパク質形態の検出を定量的及び定性的に増幅させる特殊性を有する。
薬剤Iの一例としては、少なくとも1つの正の電荷を有する分子が挙げられ得る。塩基性官能基、例えば、グアニジニウム、ピリジニウム又はアンモニウムなどによって提供される正の電荷が好ましい。本発明の目的に好ましい少なくとも1つの正の電荷を有する分子は、少なくとも2つのグアニジニウム及び/又はピリジニウム及び/又はアンモニウム官能基を、好ましくは非重合性親水性分子系内に有する分子である。
本発明の具体的な一実施形態によれば、前記薬剤Iは、少なくとも2つのグアニジニウム及び/又はピリジニウム及び/又はアンモニウム官能基を有する分子である。
好ましくは、少なくとも2つのグアニジニウム及び/又はピリジニウム及び/又はアンモニウム官能基を有する分子は、グアニジニウムを有するアミノグリコシド類から選択され、ストレプトマイシンが特に好ましい。
薬剤Iの一例としてはまた、主要な抗結核剤、例えば、リファンピシン、イソニアジド及びエタンブトールなどが挙げられ得、これは、本発明の具体的な一実施形態を構成する。
本発明の別の具体的な実施形態によれば、少なくとも2つのグアニジニウム及び/又はピリジニウム及び/又はアンモニウム官能基を有する薬剤Iは、トリエチレンテトラミン(TET)、ビス−3−アミノプロピルアミン、テトラヒドロ塩酸スペルミン、セスキ硫酸ジヒドロストレプトマイシン、ストレプトマイシンから選択される。好ましくは、薬剤Iは、ストレプトマイシン及びTETから選択される。
抗体などのタンパク質薬剤と比べ、凝集体形成性循環タンパク質形態の凝集を可能にし、これを増幅様式で試験対象の試料中に捕捉する薬剤Iの特有の特徴のため(より多くの形態の捕捉)、薬剤Iのみを、凝集体形成性循環タンパク質形態の検出に使用することが可能である。
したがって、本発明は、非感染性神経変性疾患と関連する凝集体形成性循環タンパク質形態を検出する方法であって、ヒト生体から誘導又は採取した生物試料を、中枢神経系の病理学的凝集過程に関与する非感染性タンパク質の循環性形態の凝集をもたらす非タンパク質薬剤Iと、好ましくは少なくとも2つのグアニジニウム及び/又はピリジニウム及び/又はアンモニウム官能基を有する分子と一緒にする工程を含む、又は該工程からなることを特徴とする方法に関する。
もちろん、薬剤Iは、上記規定のとおりである。
凝集体形成性循環タンパク質形態の天然の凝集体又は前記薬剤Iによって誘導される凝集体を捕捉するための非タンパク質薬剤IIは、捕捉機能を有するあらゆる非タンパク質分子である。薬剤IIの一例としては、大環状分子及びグリコサミノグリカンが挙げられ得る。
このような薬剤はすべて、タンパク質薬剤とは異なり、凝集体形成性循環タンパク質形態の検出を定量的及び定性的に増幅させる特殊性を有する。
本発明の一実施形態によれば、薬剤IIは、大環状分子及びグリコサミノグリカンから選択される。
グリコサミノグリカンは、当業者に広く知られており、例えば、Polysaccharides,M.Yalpani,Elsevier,Amsterdam,1988に記載されている。
本発明の目的に適したグリコサミノグリカンの一例としては、例えば、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヒアルロン酸及びケラタン硫酸が挙げられ得る。
用語「大環状分子」は、大員環を形成している一連の複数の環からなる化合物を意味することが意図される。
大環状分子は、当業者に知られている。非限定的な例としては、シクロファン、メタシクロファン、シクロデキストリン、シクロ(テトラクロモトロプ酸)、スフェランド及びシクロ[n]ベラトリレンが挙げられ得る。
大環状分子は、ケージ効果によって、遊離形態又は凝集体形態のいずれかで、試験対象のタンパク質を捕捉可能であるという特別な利点を有する。
大環状分子は、当業者に知られている、例えばComprehensive Supramolecular Chemistry,Pergamon,Oxford,1996に記載された手法にしたがって調製され得る。
本発明の方法に好ましい大環状分子は、メタシクロファンから選択され、カリックスアレーンが特に好ましい。カリックスアレーン化合物は、Arduini,A.ら、1996,Macrocycle Synthesis,編集Harwood,L.M.& Moddy,C.J.Oxford University Press,Oxford及びDa Silvaら、2001,J.Supramol.Chem.,1:135−138に記載の方法論に従って得られ得る。
好ましい一実施形態によれば、本発明の大環状分子は、下記一般式(I):
Figure 0005693816
(式中、
は、水素原子、ヒドロキシル基、OR基又はOCOR基(Rは以下に規定するとおりである)を表し、
は、水素原子、R、COR、Pol又はCHPol基を表し、ここで、Polは、リン酸基、硫酸基、アミン基、アンモニウム基、カルボン酸基を表し、Rは以下に規定するとおりであり、
は、水素原子、ヒドロキシル基、OR基又はOCOR基(式中、Rは以下に規定するとおりである)を表し、
は、水素原子、ヒドロキシル基、OR基、OCHR基又はOCOR基(式中、Rは以下に規定するとおりである)を表し、
Yは、炭素、窒素又はイオウ原子であり、
及びは、各々独立して、存在しないか、又は水素原子、CH若しくは以下に規定するR基を表すか、あるいは
及びは一緒になって、酸素又はイオウ原子を表し、
Xは、CH基又は酸素若しくはイオウ原子を表し、
mは、0又は1である整数を表し、
Rは、水素原子、又は、分枝若しくは非分枝の、環状若しくは非環状の、飽和若しくは不飽和の炭化水素系の鎖を表し、ここで、該鎖は、非置換若しくはハロゲンで置換されており、極性若しくは無極性の官能基を有し、
nは3〜15の整数であり、
置換基R〜R、R、X、Y及び整数mは、該単位の性質に応じて異なっていてよい)
に相当する。
したがって、式(I)の化合物は、ベンゼン環の存在を特徴とする一連のn個の単位の形態であり、この環の置換基は、上記のその定義の範囲内で、それぞれ種々であり得る。
もちろん、式中の星印の存在は、環の形成のために必要な結合を表すことがあり得る。
分枝若しくは非分枝の、環状若しくは非環状の、飽和若しくは不飽和の炭化水素系の鎖であって、非置換若しくはハロゲンで置換されており、極性若しくは無極性の官能基を有する該鎖は、当業者に広く知られている。一例として、アルキル、アルケン、アリール及び飽和環(例えば、シクロヘキサンなど)が挙げられ得る。無極性基の一例はCFであり、極性基の一例は、上記規定の置換基Polである。
特に好ましい式(I)の化合物は、下記式(Ia):
Figure 0005693816
(式中、
nは4〜8の整数であり、
各基Rは一緒になって、独立して、硫酸基又はリン酸基であり、
は、(CH−(CO)−(NH)基又は(CH−COOH基(式中、tは0〜6の整数であり、sは0〜6の整数である)を表す)
に相当する。
特に好ましい式(Ia)の化合物は、2つの基Rが各々、硫酸基であり、nが4、6又は8であり、Rが水素原子、−CHCOOH基、−CHCONH基又はCHCHNH基であり、これは、本発明の具体的な一実施形態を構成する。
好ましい一実施形態によれば、該大環状リガンドは、式中、n=6、R=硫酸基及びRが−CHCHNHである一般式(Ia)に相当する。
抗体などのタンパク質薬剤と比べ、試験対象の試料中、増幅様式で凝集体形成性循環タンパク質形態の凝集体の捕捉を可能にする(より多くの形態の捕捉)薬剤IIの特有の特徴により、薬剤IIのみを、凝集体形成性循環タンパク質形態の検出に使用することが可能である。
したがって、本発明は、非感染性神経変性疾患と関連する凝集体形成性循環タンパク質形態を検出する方法であって、ヒト生体から誘導又は採取した生物試料を、凝集体形成性循環タンパク質形態の天然の凝集体を捕捉するための非タンパク質薬剤IIと、好ましくは大環状分子又はグリコサミノグリカンと一緒にする工程を含む、又は該工程からなることを特徴とする方法に関する。
もちろん、薬剤IIは、上記規定のとおりである。
薬剤I及びIIの量は、具体的な試料に応じて当業者により容易に決定され得る。したがって、例えば、ストレプトマイシンなどの薬剤Iの量は、50〜500mg/ml、好ましくは100〜300mg/mlであり得る。
予想外にも、本出願人らは、本発明の方法において検出される凝集体形成性循環タンパク質形態は、薬剤I、特に少なくとも2つのグアニジニウム及び/又はピリジニウム及び/又はアンモニウム官能基を有する薬剤との結合のために、その側鎖が酸官能基、好ましくはカルボン酸官能基、例えば、アスパラギン酸(D)若しくはグルタミン酸(E)、又は水素結合受容体官能基、例えば、セリン(S)若しくはアスパラギン(N)のいずれかを有するアミノ酸を含み、これらのアミノ酸(D、E、S又はN)が、20アミノ酸以下の長さのペプチド配列内に全体に少なくとも4回存在することを示した。好ましくは、20アミノ酸以下のペプチド配列全体において4以上であるこれらのアミノ酸(D、E、S又はN)の密度が、凝集体形成性循環タンパク質形態を構成するタンパク質の完全配列において少なくとも2回見られる。好ましくは、これらのアミノ酸(D、E、S又はN)は、20アミノ酸以下の長さのペプチド配列内に全体に少なくとも5回存在するか、又は16アミノ酸以下の長さのペプチド配列内に少なくとも4回存在する。好ましくは、上記規定の密度は、これらのアミノ酸(D、E、S又はN)より高密度である(12アミノ酸以下の長さのペプチド配列において少なくとも5回に相当する)領域と関連している。また、同等の空間的距離での同等の官能基の密度により、タンパク質の一次構造において上記に規定したものを模倣する構造が構成され得る。
同様に、本出願人らは、薬剤II、特に、カリックスアレーンなどの大環状分子との結合のために、凝集体形成性循環タンパク質形態は、最低3つの基本アミノ酸、好ましくはアルギニン(R)、リシン(K)、ヒスチジン(H)又はグルタミン(Q)を、アミノ酸12以下又は、さらに15以下の長さのペプチド配列内に含むことを示した。また、同等の空間的距離での3つの等価な正の電荷の密度により、タンパク質の一次構造において上記に規定したものを模倣する構造が構成され得る。これは、例えば、12又は、さらに15のアミノ酸の配列に相当する3次元空間内のこれらのカチオン又はその機能的同等物が、アミノ酸からなるαヘリックスである該空間の一部分上に突出された立体構造であり得る。
本方法における生物試料への2つの薬剤I及び/又はIIの添加は、予想外にも、例えば凝集体形成性循環タンパク質形態に対する検出抗体を用いた凝集体形成性循環タンパク質形態の検出がなんら障害されないため、任意の順序で行なわれ得る。しかし、前記薬剤Iは前記生物試料に、薬剤IIの前に凝集体形成性循環タンパク質形態の凝集のために添加されることが好ましく、これは、本発明の具体的な一実施形態を構成する。
本発明の一実施形態によれば、該方法は、
a)凝集体形成性循環タンパク質形態を凝集させるために、前記薬剤Iを前記試料に添加し、これを沈殿させる工程、
b)このようにして得られた混合物を、凝集体形成性循環タンパク質形態の前記凝集体を捕捉するために薬剤IIと一緒にする工程、及び
c)凝集体形成性循環タンパク質形態の存在を顕在化する工程
を含むか、又は該工程からなる。
好ましくは、凝集体形成性循環タンパク質形態の沈殿を促進させるため、薬剤Iの添加後、反応媒体の中程度の加熱を、25〜45℃の温度(37℃の温度が好ましい)で行なう。
薬剤Iの存在下で形成される凝集体形成性循環タンパク質形態の凝集体は、薬剤IIとの反応前に、反応媒体から分離され得る。分離方法は、当業者に知られている任意の沈殿物分離方法によって行なわれ得る。一例として、凝集体形成性循環タンパク質形態の凝集体は反応媒体から、遠心分離又は膜分離によって分離され、次いで、上清みを除く。この分離工程により、その後の凝集体形成性循環タンパク質形態の検出反応に必要ないあらゆる生成物を除去すること、例えば、薬剤I非含有溶液とすることが可能になる。
薬剤Iでの凝集体の形成後、血漿リガンドが結合された(変性)凝集体形成性循環タンパク質形態の血漿リガンドとタンパク質との分離を促進させるため、グアニジン−HClなどの化学変性剤が1〜6モル/1の濃度で添加され得る、及び/又は、熱変性が100℃で行なわれ得、これにより、凝集体形成性循環タンパク質形態のタンパク質のマスクされたエピトープを、薬剤Iに結合されていないリガンドから分離させることにより遊離させることが可能になる。これにより、本発明の検出方法の感度をさらに増強させることが可能になる。凝集体形成性循環タンパク質形態の凝集体と薬剤IIとの反応前での試験対象の生物試料中に存在する前記凝集体の変性もまた、当業者に知られている任意のタンパク質凝集体変性方法によって行なわれ得る。
したがって、本発明による凝集体形成性循環タンパク質形態の検出方法は、好ましくは、以下:
i)凝集体形成性循環タンパク質形態の凝集体を反応混合物から分離する工程、及び
ii)凝集体形成性循環タンパク質形態の凝集体を変性させる工程
のさらなる工程i)及びii)の少なくとも1つを含み、
これらの工程は、適切な場合は、工程a)及び工程b)の間に含まれる。
本発明の方法による生物試料中での凝集体形成性循環タンパク質形態の存在の可視化は、試料中の被検物を検出するための慣用法に従って行なわれ得る。
これは、例えば、免疫学的又は非免疫学的検出によって行なわれ得る。
用語「免疫学的検出」は、凝集体形成性循環タンパク質形態との免疫反応の実証を意味することが意図され、この免疫反応は、検出対象の凝集体形成性循環タンパク質形態と、該凝集体形成性循環タンパク質形態に特異的な少なくとも1種類の結合パートナーとの間の結合、あるいは、試験対象の試料中に含まれている可能性がある凝集体形成性循環タンパク質形態と、標識された凝集体形成性循環タンパク質形態との間の競合反応からなる。
非免疫学的検出の一例としては、例えば、当業者によく知られている電気泳動ゲルでの染色手法が挙げられ得る。
免疫反応による凝集体形成性循環タンパク質形態の検出は、例えば、凝集体形成性循環タンパク質形態に特異的な少なくとも1種類の結合パートナーの添加後に行なわれ得る。
表現「凝集体形成性循環タンパク質形態に特異的な結合パートナー」は、対象の凝集体形成性循環タンパク質形態に結合することができる任意のパートナーを意味することが意図される。そのため、免疫反応の可視化は、凝集体形成性循環タンパク質形態に特異的な結合パートナー/凝集体形成性循環タンパク質形態複合体の可視化からなる。
好ましい一実施形態によれば、本発明の方法は、凝集体形成性循環タンパク質形態に特異的な少なくとも1種類の結合パートナーを、凝集体形成性循環タンパク質形態に特異的な結合パートナーと凝集体形成性循環タンパク質形態との間の免疫反応のために、適切な場合は工程c)において添加するものである。もちろん、かかるパートナーは、本発明の方法において薬剤Iのみ又は薬剤IIのみを使用すると決定された場合にも添加され得る。
本発明の方法において添加される異なる結合パートナーの数は、試験対象の異なる凝集体形成性循環タンパク質形態の数に依存する。したがって、アルツハイマー病の検出の場合、タウタンパク質のみを試験することが望ましい場合、タウ特異的結合パートナーが添加される。他方において、タウタンパク質とβ−アミロイドペプチドとの両方を検出することが望ましい場合、β−アミロイドペプチドに特異的な結合パートナーもまた添加される。
凝集体形成性循環タンパク質形態に特異的な結合パートナーの一例としては、例えば、抗体、抗体断片、ポリペプチド、タンパク質、核酸、ハプテン及びアプタマーが挙げられ得る。
用語「抗体」は、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体、遺伝子組換えによって得られる抗体並びに抗体断片を含む。
ポリクローナル抗体は、少なくとも1種類の対象の標的抗原(本発明の場合は、凝集体形成性循環タンパク質形態)での動物の免疫処置後、前記動物から血清試料を採取し、所望の抗体を他の血清成分から、特に、該抗体によって特異的に認識される抗原(特に、凝集体形成性循環タンパク質形態)を結合したカラム上でのアフィニティクロマトグラフィーによって分離することにより、純粋な形態で前記抗体を回収することによって得られ得る。
モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ手法によって得られ得、その一般原理を、以下に想起する。
第1の工程では、動物、一般的にはマウス(又はin vitro免疫処置の場合は培養細胞)を、対象抗原(本発明の場合は、凝集体形成性循環タンパク質形態)で免疫処置すると、前記マウスのBリンパ球は前記抗原に対して抗体産生できるようになる。次いで、この抗体産生リンパ球を「不死化」骨髄細胞(実施例ではマウスのもの)と、ハイブリドーマが得られるように融合させる。このようにして得られた細胞の不均一系混合物を、次いで、特異的抗体の産生することができ、かつ永久に増殖することができる細胞を選択するための供給源として使用する。各ハイブリドーマを、各々がモノクローナル抗体の産生をもたらすクローン形態で増殖させ、その対象抗原に関する認識特性が、ELISA、1次元若しくは2次元免疫ブロッティング、免疫蛍光又はバイオセンサーによって試験され得る。このようにして選択されたモノクローナル抗体は、続いて、特に上記のアフィニティクロマトグラフィー手法に従って精製される。
本発明に適した抗体の一例としては、例えば、総タウタンパク質(Tau−1抗体(Chemicon)、T46(Zymed))、リン酸化タウタンパク質(抗体PHF−6(Zymed))、APPタンパク質(抗体22C11(Chemicon))、β−アミロイドペプチド(6E10抗体及び4G8(Sigma))に対するモノクローナル抗体が挙げられ得る。
抗体断片は、凝集体形成性循環タンパク質形態への結合機能を保持しているものである。
用語「ポリペプチド」は、少なくとも2つのアミノ酸の配列を意味することが意図される。用語「アミノ酸」は、タンパク質をコードする1級アミノ酸、酵素作用後に誘導されるアミノ酸、例えば、トランス−4−ヒドロキシプロリンなど、及び天然だがタンパク質中には存在しないアミノ酸、例えば、ノルバリン、N−メチル−L−ロイシン、スタリン(Hunt S. Chemistry and Biochemistry of the amino acids,Barett GC編,Chapman and Hall,London,1985)など、化学官能基によって保護され、固相支持体又は液相合成に使用され得るアミノ酸、並びに非天然アミノ酸を意味することが意図される。
用語「タンパク質」は、ホロタンパク質及びヘテロタンパク質(例えば、核タンパク質、リポタンパク質、リンタンパク質、金属タンパク質及び糖タンパク質など)を含み、ともに、繊維性及び球状である。
用語「核酸」は、オリゴヌクレオチド、デオキシリボ核酸及びリボ核酸並びにその誘導体を意味することが意図される。
用語「オリゴヌクレオチド」は、少なくとも2つの天然又は修飾ヌクレオチド(デオキシリボヌクレオチド若しくはリボヌクレオチド又はその両方)の配列を表す。用語「修飾ヌクレオチド」は、例えば、修飾塩基を含むヌクレオチド、及び/又は、ヌクレオチド結合レベル及び/又は主鎖レベルの修飾を含むヌクレオチドを意味することが意図される。修飾塩基の一例としては、イノシン、メチル−5−デオキシシチジン、ジメチルアミノ−5−デオキシウリジン、ジアミノ−2,6−プリン及びブロモ−5−デオキシウリジンが挙げられ得る。修飾ヌクレオチド結合の例示としては、ホスホロチオエート、N−アルキルホスホルアミダイト、アルキルホスホネート及びアルキルホスホジエステル結合が挙げられ得る。α−オリゴヌクレオチド(例えば、FR−A−2607507に記載のものなど)、LNA(例えば、ホスホロチオエート−LNA及び2’−チオ−LNA(Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,第8巻,Issue 16,18 August 1998,第2219−2222頁に記載)など)、並びにPNA(これは、M. Egholmら、J.Am.Chem.Soc.(1992),114,1895−1897による論文の主題である)は、その主鎖が修飾されたヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドの例である。
用語「ハプテン」は、非免疫原性化合物、すなわち、それ自体単独では抗体産生による免疫反応を促進することができないが、既知の条件下での動物の免疫処置、特に、ハプテン−タンパク質コンジュゲートによる免疫処置によって得られる抗体によって認識され得る化合物を表す。このような化合物は、一般的に、3000Da未満、最も一般的には2000Da未満の分子量を有し、例えば、グリコシル化ペプチド、代謝産物、ビタミン類、ホルモン、プロスタグランジン、毒素又は種々の医薬、ヌクレオシド及びヌクレオチドであり得る。
アプタマーは、タンパク質の捕捉パートナーであり、核酸性であり、その機能は、抗体としての機能を果たすこと、及びタンパク質リガンドに結合することである(Toulme,JJ.及びGiege,R.,1998,Medecine Science,14(2),155−166)。
これらのポリペプチド、タンパク質、ハプテン及びアプタマーはすべて、凝集体形成性循環タンパク質形態又は凝集体形成性循環タンパク質形態の凝集体に結合する能力を有する。
凝集体形成性循環タンパク質形態に特異的な結合パートナーと、使用される(特に工程c)で)凝集体形成性循環タンパク質形態との間の免疫反応の可視化は、当業者に知られている任意の検出手段、例えば、直接又は間接的手段などによって行なわれ得る。
直接検出の場合、すなわち、標識を使用しない場合、免疫反応は、例えば、プラズモン共鳴又は導電性ポリマーを担持する電極上でのサイクリックボルタンメトリーによって観察される。
間接的検出の場合、すなわち、標識を使用する場合、標識は、凝集体形成性循環タンパク質形態に特異的な前記結合パートナーによって行なわれ得、ついで、該タンパク質形態が予備標識される。
本発明の方法による生物試料中での凝集体形成性循環タンパク質形態の存在の可視化はまた、「競合」法に従って行なわれ得る。次いで、予備標識された凝集体形成性循環タンパク質形態を、特に工程c)において、凝集体形成性循環タンパク質形態に特異的な結合パートナーの代わりに添加する。この場合、シグナルの検出は、凝集体形成性循環タンパク質形態の不在下で最大であり、次いで徐々に減少する。これは、調査対象の凝集体形成性循環タンパク質形態(これは非標識)の濃度が、競合反応によって増大するためである。
用語「標識すること」は、検出可能なシグナルを直接又は間接的に生成することができる標識の結合を意味することが意図される。このような標識の非限定的な例は、
検出可能なシグナルを、例えば、比色分析、蛍光又は発光によってもたらす酵素、例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、α−ガラクトシダーゼ、グルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼなど、
発色団、例えば、発光化合物、色素化合物など、
放射性分子、例えば、32P、35S又は125Iなど、
蛍光分子、例えば、フルオレセイン、ローダミン、アレクサ又はフィコシアニン、及び
金若しくは磁性ラテックス粒子、又はリポソームなどの粒子
からなる。
また、間接系も、例えば、別のリガンド/抗リガンドの組によって使用され得る。リガンド/抗リガンドの組は、当業者によく知られており、例えば、以下の組:ビオチン/ストレプトアビジン、ハプテン/抗体、抗原/抗体、ペプチド/抗体、糖/レクチン、ポリヌクレオチド/該ポリヌクレオチドの相補配列が挙げられ得る。この場合、結合性因子を担持しているのはリガンドである。抗リガンドは、先のパラグラフに記載した標識によって直接検出可能であり得るか、又はリガンド/抗リガンドによって自身で検出可能である。
これらの間接検出系は、一定の条件下で、シグナルの増幅をもたらし得る。このシグナル増幅手法は、当業者によく知られており、論文J.Histochem.Cytochem.45:481−491,1997を参照してよい。
タンパク質の標識は、当業者に広く知られており、例えば、Greg T.Hermanson Bioconjugate Techniques,1996,Academie Press Inc,525B Street,San Diego,CA92101 USAに記載されている。
使用する標識の型(例えば、酵素の使用)に応じて、当業者は、標識の可視化のための試薬を添加する。
かかる試薬は、当業者に広く知られており、特に、Principles and Practice of Immunoessay,第2版,編集C.Price,DJ.Newman Stockton Press,1997,345 Park Avenue South,New Yorkに記載されている。
凝集体形成性循環タンパク質形態の検出は、固相検出であり得、すなわち、検出対象のタンパク質を捕捉することが意図される捕捉パートナーが固定された固相を使用する。本発明の場合、固相支持体上に事前に固定される捕捉パートナーとして供され得るのは、薬剤IIである。固相検出の例は、当業者によく知られ、サンドイッチ型検出、例えばELISA型検出である。
したがって、本発明の好ましい一実施形態によれば、前記薬剤IIは固相支持体に結合される。
固相支持体の一例としては、例えば、ビーズ(例えば、磁性ビーズなど)及びマイクロタイタープレートが挙げられ得る。
薬剤IIは固相支持体に、当業者に知られている様式で、例えば、吸着又は共有結合によって結合され得、共有結合が好ましい。
したがって、固相支持体は、前記薬剤IIに担持された官能基と結合を形成することができる官能基で官能基化されたものであり得る。好ましい一実施形態によれば、固相支持体は、NHS(N−ヒドロキシスクシンイミド)結合又はNH官能基で官能基化される。この官能基は、薬剤IIに担持された官能基と反応し得る。この実施形態において、固相支持体の官能基結合と結合が形成されるように反応できる官能基を担持する、特にNH又はCOOHを担持する薬剤IIが特に好ましい。
本発明の少なくとも1つの凝集体形成性循環タンパク質形態の検出方法の実施のため、薬剤I及び薬剤IIを備える診断用キットが使用され得、前記薬剤は上記規定のとおりである。
したがって、本発明は、非感染性神経変性疾患と関連する少なくとも1つの凝集体形成性循環タンパク質形態の検出のための、中枢神経系の病理学的凝集過程に関与する非感染性タンパク質の循環性形態の凝集をもたらす非タンパク質薬剤I及び/又は凝集体形成性循環タンパク質形態の天然の凝集体を捕捉するための非タンパク質薬剤IIを備える診断用キットの使用に関する。
好ましい一実施形態によれば、前記薬剤IIは、固相検出法に従って少なくとも1つの凝集体形成性循環タンパク質形態の検出を行なうために、キット内で固相支持体に結合された状態で存在する。
本発明は、非限定的な一例として示す以下の実施例及び図1〜24から、より明白に理解されよう。
図1は、凝集体形成性循環タンパク質形態α−シヌクレイン、APP(アミロイドペプチド前駆体タンパク質)、パーキン及びタウタンパク質の配列の比較を示す。
図2は、ストレプトマイシン(レーン3及び4)又はTET(レーン5及び6)のいずれかである薬剤Iで処理したタウタンパク質の泳動後に得られたウエスタンブロッティング後の電気泳動ゲル(図2B)のX線写真の概略図(図2A)である。レーン1は、分子量マーカーレーンに相当し、レーン2は、薬剤Iでの処理なしの対照試料に相当する。
図3は、リファンピシン(レーン3、4及び5)又はイソニアジド(レーン8、9及び10)のいずれかである薬剤Iで処理したタウタンパク質の泳動後に得られたウエスタンブロッティング後の電気泳動ゲル(図3B)のX線写真の概略図(図3A)である。レーン1及び6は、分子量マーカーレーンに相当し、レーン2及び7は、薬剤Iでの処理なしの対照試料に相当する。
図4は、薬剤IIとしてカリックスアレーンp−スルホナト−3,7−(2−アミノエチルオキシ)カリックス−[6]−アレーン(C6S)で処理したタウタンパク質の泳動後に得られたウエスタンブロッティング後の電気泳動ゲル(図4B)のX線写真の概略図(図4A)である。回収された画分は、ペレット(レーン2〜9)又は上清み(レーン12〜20)のいずれかである。レーン1及び21は、カリックスアレーンでの処理なしの対照試料に相当し、レーン11は、分子量マーカーレーンに相当する。
図5は、C6S(レーン2)、ストレプトマイシン(レーン3)又はTET(レーン4)で処理したペプチドβ−アミロイドペプチド1−40の泳動後に得られたウエスタンブロッティング後の電気泳動ゲル(図5B)のX線写真の概略図(図5A)である。レーン1は、薬剤I又はIIでの処理なしの対照試料に相当し、レーン5は、分子量マーカーレーンに相当する。
図6は、リファンピシン(レーン3、4及び5)又はイソニアジド(レーン8、9及び10)のいずれかである薬剤Iで処理したβ−アミロイドペプチド1−40の泳動後に得られたウエスタンブロッティング後の電気泳動ゲル(図6B)のX線写真の概略図(図6A)である。レーン1及び6は、分子量マーカーレーンに相当し、レーン2及び7は、薬剤Iでの処理なしの対照試料に相当する。
図7は、C6S(レーン2)、ストレプトマイシン(レーン3)又はTET(レーン4)で処理したペプチドβ−Aペプチド1−42の泳動後に得られたウエスタンブロッティング後の電気泳動ゲル(図7B)のX線写真の概略図(図7A)である。レーン1は、薬剤I又はIIでの処理なしの対照試料に相当し、レーン5は、分子量マーカーレーンに相当する。
図8は、リファンピシン(レーン3、4及び5)又はイソニアジド(レーン8、9及び10)のいずれかである薬剤Iで処理したβ−アミロイドペプチド1−42の泳動後に得られたウエスタンブロッティング後の電気泳動ゲル(図8B)のX線写真の概略図(図8A)である。レーン1及び6は、分子量マーカーレーンに相当し、レーン2及び7は、薬剤Iでの処理なしの対照試料に相当する。
図9は、種々の濃度の薬剤II p−スルホナト−カリックス[4]アレーン、薬剤IIでの処理なしの対照であるAb42での処理後のβ−アミロイドペプチド1−42の円偏光二色性によって得られた波長の関数としてのモル楕円率を示すグラフ表示である。
図10は、薬剤II:p−スルホナト−カリックス[4]アレーン(SC4)、p−スルホナト−カリックス[6]アレーン(SC6)、p−スルホナト−カリックス[8]アレーン(SC8)、薬剤IIでの処理なしの対照であるAb40で処理したペプチドβアミロイド1−40の電気スプレイ型の質量分析計で得られた複合体形成ピークの強度cps(カウント毎秒)を示すグラフ表示である。
図11は、種々の濃度の薬剤IIコンドロイチン−6−硫酸、薬剤IIでの処理なしでの対照であるAb42との反応後のβ−アミロイドペプチド1−42の円偏光二色性によって得られた波長の関数としてのモル楕円率を示すグラフ表示である。
図12は、アルツハイマー病患者(AD+)由来又はアルツハイマー病でない患者(AD−)由来の、未処理(NT)又はトリエチレンテトラミン(TET)である薬剤Iで処理した脳抽出物を用いて行なったELISAアッセイのグラフ表示である。リン酸化タウタンパク質の検出(pg/ml、当量(eq)の組換えタウタンパク質でアッセイ)をペレット画分及び上清み画分において行なう。
図13は、アルツハイマー病の患者、未処理(NT)又は種々の濃度(mg/ml)のストレプトマイシンである薬剤Iで処理した脳抽出物を用いて行なったELISAアッセイのグラフ表示である。リン酸化タウタンパク質の検出(当量Tau、pg/ml)をペレット画分及び上清み画分において行なう。
図14は、処理なし又はSDS1%での処理及びストレプトマイシン(500mg/ml)での沈殿後の、リン酸化タウタンパク質の検出に対する種々の取り込みバッファーの効果を示すグラフ表示である。結果は、アルツハイマー病の患者(PAD+)又はアルツハイマー病でない患者(PAD−)又は血漿無添加(P)の脳抽出物を用いて得たものである。Gnd:グアニジン;SN:上清み;stp:ストレプトマイシン。
図15は、TETでの処理後の血漿中のSYNタンパク質の泳動後に得られたクマシーブルーで染色後(図15A)及びウエスタンブロッティング後の同じゲルのX線写真(図15B)の電気泳動ゲル(下パネル)の概略図(上パネル)である(レーン2〜5:ペレット;レーン8〜11:上清み)。レーン1及び7は、薬剤Iでの処理なしの対照試料のペレット及び上清みに相当し、レーン6は分子量マーカーを含み(188、62、49、38、28、18、14、6及び3kDa)、レーン12は、組換えタンパク質単独に相当する。
図16は、ストレプトマイシンでの処理後の血漿中のSYNタンパク質の泳動後に得られたクマシーブルーで染色後(図16A)及びウエスタンブロッティング後の同じゲルのX線写真(図16B)の概略図(上パネル)及び電気泳動ゲル(下パネル)である(レーン2〜5:ペレット;レーン8〜11:上清み)。レーン1及び7は、薬剤Iでの処理なしの対照試料のペレット及び上清みに相当し、レーン6は分子量マーカーを含み(188、62、49、38、28、18、14、6及び3kDa)、レーン12は組換えタンパク質単独に相当する。
図17は、カリックスアレーン(薬剤II)での処理後の血漿中のSYNタンパク質の泳動後に得られたクマシーブルーで染色後の概略図(上パネル)及び電気泳動ゲル(下パネル)である。図17Aはペレット画分に相当し、一方、図17Bは上清み画分に相当する。レーン1〜7は、種々の濃度のカリックスアレーンで処理したSynタンパク質に相当し、レーン8は分子量マーカーを含み(188、62、49、38、28及び14KDa)、レーン9は未処理組換えタンパク質に相当する。
図18は、カリックスアレーン(薬剤II)での処理後の血漿中のSYNタンパク質の泳動後に得られたウエスタンブロッティング後の電気泳動ゲルのオートラジオグラフ(下パネル)の概略図(上パネル)である。図18Aはペレット画分に相当し、一方、図18Bは上清み画分に相当する。レーン1〜7は、種々の濃度のカリックスアレーンで処理したSynタンパク質に相当し、レーン8は分子量マーカーを含み(188、62、49、38、28、18、14及び6kDa)及びレーン9は未処理組換えタンパク質に相当する。
図19は、カリックスアレーン(薬剤II)での処理後の血漿中のSYNタンパク質の泳動後に得られたウエスタンブロッティング後の電気泳動ゲルのオートラジオグラフ(下パネル)の概略図(上パネル)である。図19Aはペレット画分に相当し、一方、図19Bは上清み画分に相当する。レーン1〜8は、カリックスアレーンで処理した種々の濃度のSynタンパク質に相当し、レーン10〜12は、未処理Synタンパク質に相当し、レーン9は分子量マーカーを含む(188、62、49、38、28、18、14及び3kDa)。
図20は、血漿中に存在し、カリックスアレーン(薬剤II)で処理したSynタンパク質のある濃度範囲(ng/ml)を用いて行なったELISAアッセイのグラフ表示である。光学密度は、ペレット画分及び上清み画分にて読み取る。
図21は、カリックスアレーン(薬剤II)を捕捉相に用いたサンドイッチ型のELISAアッセイのグラフ表示である。アルツハイマー病の患者(AD+)又はアルツハイマー病でない患者(AD−)の脳抽出物由来の種々の量(ng)のタンパク質を試験する。得られた結果を相対光単位(RLU)の形態で示す。
図22は、特異的抗体を捕捉相に用いたサンドイッチ型ELISAアッセイのグラフ表示である。該アッセイは、アルツハイマー病の患者(PAD+)由来の脳抽出物を用いて、又は組換えα−シヌクレインタンパク質(Pα−syn)を用いて行ない、ヒト血漿のプール中に添加し、ストレプトマイシンである薬剤Iで沈殿させる。沈殿後、ペレット(C)を加熱又は非加熱グアニジンバッファー中に入れる。結果を光学密度の形態で示す。NTは未処理、Cはペレット及びSは上清みを意味する。
図23は、薬剤I(ストレプトマイシン)での沈殿及び薬剤II(カリックスアレーン)を用いた捕捉によるELISAによる検出後のサンドイッチ型ELISAアッセイのグラフ表示である。該アッセイは、アルツハイマー病の患者(PAD+)由来の脳抽出物を用いて、又は組換えα−シヌクレインタンパク質(Pα−syn)を用いて行ない、ヒト血漿のプール中に添加する。薬剤Iでの沈殿後、ペレットを加熱又は非加熱グアニジンバッファー中に入れる。結果を光学密度の形態で示す。
図24は、アルツハイマー病患者(AD pos)脳抽出物を用いて行ない、未処理又はストレプトマイシンである薬剤Iで処理した正常患者由来の血漿プール中に添加したリン酸化タウタンパク質のELISAアッセイのグラフ表示である。捕捉相は、カリックスアレーン(薬剤II)からなる。ペレット画分及び上清み画分において得られた結果を相対光単位(RLU)の形態で示す。
実施例1:非感染性神経変性疾患における神経毒性凝集体沈着物と関連するタンパク質のペプチド配列の比較解析
本発明者らは、「Mac Vector」ソフトウエアを用い、神経変性疾患における神経毒性凝集体沈着物と関連するタンパク質の代表的なタンパク質、すなわち、タンパク質α−シヌクレイン(配列番号1)、アミロイド前駆体タンパク質すなわちAPP(配列番号2)、パーキンタンパク質(配列番号3)及びタウタンパク質(配列番号4)のペプチド一次配列のアライメントを行なった。アミノ酸は、配列内のアライメント上に、最長のコンセンサス配列との一致に基づいて番号付けし、タンパク質の配列内の点線は、その線形ペプチド配列と、コンセンサス配列におけるすべてのタンパク質に共通する単位のアライメントとの間のシフトを表す。
多重アライメントオプションを用いた「Clustal W」型のアライメントを行ない、図1に示す。相同性領域(同一であるか、又は同等の化学官能基を有するアミノ酸)を四角で囲み、これらの種々のタンパク質に共通するドメインを規定する。これらに共通する性質の1つは、神経変性疾患における中枢神経系でのその神経毒性凝集体の形成である。
個々に四角で囲んだアミノ酸は、特定のタンパク質の一次配列内の目的の特定のアミノ酸の高頻度反復配列の代表である。このような反復配列は、タンパク質に応じて種々に分布し得るが、コンセンサスよりも高密度である官能基の基部を構成しているか、あるいは、その空間内での突出によって結合ドメインが構成され得る。
薬剤I、例えば、少なくとも2つのグアニジニウム及び/又はピリジニウム及び/又はアンモニウム官能基を含む有機化合物など、あるいは薬剤II、例えば、カリックス−6−アレーン−スルホネート型のカリックスアレーンなどとの結合に関与する官能基に関する本発明者らの当初の知識に基づき、本発明者らは、このような相同領域内において、上記の官能基を有する特定の密度のアミノ酸を同定することができた。
したがって、図1において、薬剤I、例えば、少なくとも2つのグアニジニウム及び/又はピリジニウム及び/又はアンモニウム官能基を含む有機化合物などに対する結合では、以下に規定する領域が、20アミノ酸以下の長さのペプチド配列において、D、E、S又はNから選択される最低4個のアミノ酸を含むことがわかる:
i)α−シヌクレインでは、例えば、領域
−124〜143は、4つのD、E、S又はN残基を20アミノ酸上に有する、
−231〜261は、10つのD、E、S又はN残基を19アミノ酸上に有する(点線は、一次配列に対する一致に基づく番号付けにおけるシフトを示し、これは、20アミノ酸が、そのタンパク質の配列範囲内の実際の数より大きな数で番号付けされていることを意味する)及び
−232〜249でさえ、6つのD、E、S又はN残基を12アミノ酸上に有する;
ii)FAPPでは、例えば、領域
−80〜98は、5つのD、E、S又はN残基を20アミノ酸上に有する、
−193〜216は、14つのD、E、S又はN残基を17アミノ酸上に有する、
−225〜236は、6つのD、E、S又はN残基を12アミノ酸上に有する、
−247〜256は、9つのD、E、S又はN残基を10アミノ酸上に有する、
−692〜702は、5つのD、E、S又はN残基を11アミノ酸上に有する、
−713〜718は、4つのD、E、S又はN残基を6アミノ酸上に有する;
iii)パーキンでは、例えば、領域
−25〜46は、8つのD、E、S又はN残基を20アミノ酸上に有する(一致に関する番号付けにおけるシフトのため)、
−153〜172は、8つのD、E、S又はN残基を20アミノ酸上に有する、
−224〜240は、5つのD、E、S又はN残基を12アミノ酸上に有する;
iv)タウタンパク質では、領域
−31〜53は、6つのD、E、S又はN残基を20アミノ酸上に有する、
−225〜248は、12つのD、E、S又はN残基を20アミノ酸上に有する、
−236〜247は、9つのD、E、S又はN残基を12アミノ酸上に有する、
−289〜308は、8つのD、E、S又はN残基を20アミノ酸上に有する、
−361〜380は、8つのD、E、S又はN残基を20アミノ酸上に有する、
−523〜542は、9つのD、E、S又はN残基を20アミノ酸上に有する、及び
−753〜764は、5つのD、E、S又はN残基を12アミノ酸上に有する。
また、20アミノ酸以下のペプチド配列における4以上のこれらのアミノ酸(D、E、S又はN)の密度はまた、凝集体形成性循環タンパク質形態を構成するタンパク質の完全配列において、少なくとも2回見られ得ることが注目され得る。さらに、これらのアミノ酸(D、E、S又はN)は、20アミノ酸以下のペプチド配列において全体として少なくとも5回、及び/又は、16アミノ酸以下のペプチド配列において少なくとも4回存在し得ることが注目される。最後に、上記規定の密度はまた、これらのアミノ酸(D、E、S又はN)より高密度である(12アミノ酸以下の長さのペプチド配列において少なくとも5に相当する)領域と関連し得る。また、同等の空間的距離での同等の官能基の密度により、タンパク質の一次構造において上記規定のものを模倣する構造が構成され得る。
また、これらのアミノ酸の頻度は、APPのペプチド配列の49の連続するアミノ酸のうち32に達し得るが、49残基(領域225−275)のこの配列から離れた他の結合領域は排除されないことに注目するのは興味深い。
さらに、図1において、薬剤II、例えば、カリックスアレーン型の大環状分子に対する結合では、以下に規定する領域が、最低3つの基本アミノ酸、好ましくはアルギニン(R)、リシン(K)、ヒスチジン(H)又はグルタミン(Q)を、アミノ酸12以下又は、さらに15以下の長さのペプチド配列内に含むことが認められ得る:
i)α−シヌクレインでは、領域
−106〜120は、5つのK、H、Q又はR残基を15アミノ酸上に有する、
−128〜142は、4つのK、H、Q又はR残基を15アミノ酸上に有する、
−159〜163は、3つのK、H、Q又はR残基を15アミノ酸上に有する;
ii)APPでは、領域
−90〜104は、7つのK、H、Q又はR残基を15アミノ酸上に有する、
−105〜116は、4つのK、H、Q又はR残基を12アミノ酸上に有する、
−132〜143は、5つのK、H、Q又はR残基を12アミノ酸上に有する、
−153〜163は、3つのK、H、Q又はR残基を12アミノ酸上に有する、
−697〜707は、5つのK、H、Q又はR残基を11アミノ酸上に有する;
iii)パーキンでは、領域
−83〜100は、7つのK、H、Q又はR残基を15アミノ酸上に有する、
−182〜195は、6つのK、H、Q又はR残基を12アミノ酸上に有する;
iv)タウタンパク質では、領域
−101〜108は、4つのK、H、Q又はR残基を8アミノ酸上に有する、
−135〜147は、4つのK、H、Q又はR残基を13アミノ酸上に有する、
−178〜183は、3つのK、H、Q又はR残基を6アミノ酸上に有する、
−197〜208は、5つのK、H、Q又はR残基を1アミノ酸上に有する。
また、同等の空間的距離での3つの等価な正の電荷の密度により、タンパク質の一次構造において上記規定のものを模倣する構造が構成され得ることも注目され得る。これは、例えば、12又は、さらに15のアミノ酸の配列に相当する3次元空間内のこれらのカチオン又はその機能的同等物が、アミノ酸からなるαヘリックスである該空間の一部分上に突出された立体構造であり得る。
実施例2:薬剤Iを用いた方法によるタウタンパク質の検出
2.1 解析手法
この解析は、ウエスタンブロッティング(Laemmli,UK 1970,Nature,227:680−685)に従って行なう。
解析する試料を、SDSバッファー(125mM Tris HCl pH6.8、20%グリセロール、4%SDS、0.02%ブロモフェノールブルー)(50/50v/v)中で、100℃にて5分間変性させる。次いで、前記試料を、ドデシル硫酸ナトリウムの存在下、12%ポリアクリルアミド一次元電気泳動ゲル上に載せる(SDS−PAGE)。
泳動後、タンパク質をニトロセルロース膜に転写し、タウタンパク質に特異的なモノクローナル抗体(Tau−1抗体(Chemicon))を用いて4℃で一晩免疫ブロットする。
二次検出抗体は、ホースラディッシュペルオキシダーゼとコンジュゲートされたマウス免疫グロブリンGの重鎖及び軽鎖を認識するヤギ抗体である。
膜は、工程ごとに、Tween20(0.05%w/v)を含有するリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中、次いでこれを含有しないPBS中で洗浄する。
シグナルを、化学発光によってスーパーシグナルキット(Pierce)を用いて検出し、ラジオグラフィー膜(Pierce)上で可視化する。
2.2 薬剤Iの存在下での検出
このアッセイは、6ヒスチジンのテイル(Calbiochem)と融合させた1μgの組換えタウタンパク質と、薬剤Iとして、硫酸塩形態のストレプトマイシン、又はトリエチレンテトラミンすなわちTET、又はリファンピシン又はイソニアジドのいずれかを、総タンパク質量(μg)に対する薬剤Iの量(μg)の比が9/1又は35/1に等しくなるように用いて行なう。
該組換えタンパク質と薬剤Iを接触させたら、混合物を37℃で30分間インキュベートする。
次いで、試料を10分間13000rpmで遠心分離する。ペレットを回収し、変性後、ウエスタンブロッティング手法によって解析する。
結果を、以下に規定する図2及び3に報告する。
図2は、ストレプトマイシン(レーン3及び4)又はTET(レーン5及び6)で処理したタウタンパク質の泳動後に得られたウエスタンブロッティングの電気泳動ゲル(図2B)のX線写真の概略図(図2A)であり、レーン1は、分子量マーカーレーンに相当し、レーン2は、薬剤Iでの処理なしの対照試料に相当する。
図3は、リファンピシン(レーン3、4及び5)又はイソニアジド(レーン8、9及び10)のいずれかである薬剤Iで処理したタウタンパク質の泳動後に得られたウエスタンブロッティングの電気泳動ゲル(図3B)のX線写真の概略図(図3A)であり、レーン1及び6は、分子量マーカーレーンに相当し、レーン2及び7は、薬剤Iでの処理なしの対照試料に相当する。
電気泳動レーンに対する薬剤Iの濃度は、以下の表1及び2に示すとおりである。
Figure 0005693816
Figure 0005693816
結果は、タウタンパク質及びその消化形態が、ストレプトマイシン、TET、リファンピシン又はイソニアジドのどれであるかに関係なく、薬剤Iで処理した後のペレット中に見られることを示す。沈降ペレット中におけるその存在により、これらが、試験試料容量から濃縮されたという事実が証明され、これは、薬剤Iの不在下では起こらない。したがって、これらの分子は、37℃で30分間のインキュベーション及び簡単な遠心分離後、タウタンパク質の沈殿を誘導する。
実施例3:薬剤IIを用いた方法によるタウタンパク質の検出
3.1 解析手法
上記の2.1に記載のものと同じである。
3.2 薬剤IIとしてのカリックスアレーンp−スルホナト−3,7−(2−アミノエチルオキシ)カリックス−[6]−アレーン(C6Sと示す)の存在下で行なった検出
このアッセイは、特許出願WO2004/059322に示されたようにして調製したC6Sを使用し、濃度範囲を0.5mM〜60mMとする以外は、上記の2.2に示すようにして行なう。
結果を図4に報告する。この図は、薬剤IIとしてカリックスアレーンp−スルホナト−3,7−(2−アミノエチルオキシ)カリックス−[6]−アレーンで処理したタウタンパク質の泳動後に得られたウエスタンブロッティングの電気泳動ゲル(図4B)のX線写真の概略図(図4A)である。回収された画分は、ペレット(レーン2〜9)又は上清み(レーン12〜20)のいずれかである。レーン1及び21は、カリックスアレーンでの処理なしの対照試料に相当し、レーン11は、分子量マーカーレーンに相当する。
電気泳動レーンに対する薬剤IIの濃度は、以下の表3に示すとおりである。
Figure 0005693816
これらの結果は、タウタンパク質及びその消化形態が、C6Sで処理した後のペレット中に見られること、及び、薬剤IIの不在下では、タウタンパク質の濃縮も分離も観察されないことを示す。したがって、これらの分子は、37℃で30分間のインキュベーション後にタウタンパク質の捕捉を誘導し、簡単な遠心分離によって該タンパク質を沈降させる。さらに、至適沈殿は0.5mM〜40mMで観察される。
実施例4:薬剤I又は薬剤IIを用いた方法によるβ−アミロイドペプチドの検出
以下:
−10μgの40アミノ酸長合成β−アミロイドペプチド(β−Aペプチド1−40;配列番号5)又は10μgの42アミノ酸長合成β−アミロイドペプチド(β−Aペプチド1−42;配列番号6)、
−アミロイドペプチドに特異的なモノクローナル抗体(6E10抗体(Sigma))、
−薬剤Iとして、ストレプトマイシン及びTETを、総タンパク質量(μg)に対する薬剤Iの量(μg)の比が35/1に等しくなるように、あるいはリファンピシン及びイソニアジドを、総タンパク質量(μg)に対する薬剤Iの量(μg)の比が2/1、9/1若しくは35/1に等しくなるように、及び
−薬剤IIとして、C6Sを終濃度1mMで
使用する以外は、上記の実施例2及び3に示した手順を繰り返す。
遠心ペレットについて、ウエスタンブロッティングを行ない、これを実施例2に記載のようにして解析した。
結果を、以下に規定する図5〜8に報告する。
図5は、C6S(レーン2)、ストレプトマイシン(レーン3)又はTET(レーン4)で処理したβ−アミロイドペプチドペプチド1−40の泳動後に得られたウエスタンブロッティングの電気泳動ゲル(図5B)のX線写真の概略図(図5A)である。レーン1は、薬剤I又はIIでの処理なしの対照試料に相当し、レーン5は、分子量マーカーレーンに相当する。
図6は、リファンピシン(レーン3、4及び5)又はイソニアジド(レーン8、9及び10)のいずれかである薬剤Iで処理したβ−アミロイドペプチド1−40の泳動後に得られたウエスタンブロッティングの電気泳動ゲル(図6B)のX線写真の概略図(図6A)である。レーン1及び6は、分子量マーカーレーンに相当し、レーン2及び7は、薬剤Iでの処理なしの対照試料に相当する。
図7は、C6S(レーン2)、ストレプトマイシン(レーン3)又はTET(レーン4)で処理したβ−アミロイドペプチドペプチド1−42の泳動後に得られたウエスタンブロッティングの電気泳動ゲル(図7B)のX線写真の概略図(図7A)である。レーン1は、薬剤I又はIIでの処理なしの対照試料に相当し、レーン5は、分子量マーカーレーンに相当する。
図8は、リファンピシン(レーン3、4及び5)又はイソニアジド(レーン8、9及び10)のいずれかである薬剤Iで処理したβ−アミロイドペプチド1−42の泳動後に得られたウエスタンブロッティングの電気泳動ゲル(図8B)のX線写真の概略図(図8A)である。レーン1及び6は、分子量マーカーレーンに相当し、レーン2及び7は、薬剤Iでの処理なしの対照試料に相当する。
電気泳動レーンに対する薬剤I又はIIの濃度は、以下に規定する表4及び5(図5及び7(表4)並びに図6及び8(表5)に相当する)に示すとおりである。
Figure 0005693816
Figure 0005693816
先のとおり、結果は、β−アミロイドペプチド及びそのオリゴマーが、薬剤I又は薬剤IIで処理した後のペレット中に見られることを示す。したがって、これらの分子は、37℃で30分間のインキュベーション及び簡単な遠心分離後、該ペプチドの沈殿を誘導する。
さらに、図7に示されるように、常套的に使用されている抗体などのタンパク質薬剤では通常捕捉されない高分子量オリゴマー(マルチマー)であるレーン1が、薬剤IIによって捕捉されて沈殿し、これは、このようなマルチマー形態に対するその有効性を証明する。したがって、薬剤IIにより、モノマー形態とオリゴマー形態との両方を、これらを架橋させることなく回収することが可能になる(電気泳動の移動度において種々のバンドが観察される)。
同様に、図8に示されるように、常套的に使用されている抗体などのタンパク質薬剤とは通常架橋しない高分子量オリゴマー(マルチマー)であるレーン5が、薬剤Iと架橋して沈殿し、これは、このようなマルチマー形態に対する有効性を証明する。また、さらに薬剤Iにより、あらゆるモノマー形態及びオリゴマー形態を架橋させることが可能になり、これは、比較的均一な高分子量領域(スメア)内のすべての抗原性βアミロイド画分の電気泳動の移動度によって実証される。
実施例5:β−アミロイドペプチド1−42とp−スルホナト−カリックス[4]アレーンとの相互作用
5.1.解析手法
この解析は円偏光二色性によって行なう。
上記のような解析対象のβ−アミロイドペプチド(Aβ42とも示される)を、2.2×10−4Mの濃度で、水中20%のトリフルオロエタノール(TFE)の溶液に即時的に溶解し、β−アミロイドペプチドを構成する。p−スルホナト−カリックス[n]アレーン(Da Silva,E.ら、2003,Tetrahedron,59(37):7357−7364に記載のようにして調製)を、100μMで50mMリン酸バッファーに溶解する。試料を、リン酸バッファー中の終濃度10μMのβ−アミロイドペプチド、すなわち最終容量500μLが得られ得るように調製する。ペプチド濃度/カリックスアレーン濃度の比は、1/0〜1/5で種々であり得る。
p−スルホナト−カリックス[n]アレーンなしのβ−アミロイド対照は、20%TFE中2.2×10−4M(5nmol)のAβ42ストック溶液22.5μL、477.5μLの50mMリン酸バッファーで行なう。
試料を、180〜260nmの円偏光二色性で解析する。
5.2.Aβ42ペプチドとp−スルホナト−カリックス[4]アレーンとの相互作用
このアッセイは、以下の表6に示すように、Aβ42ペプチド/カリックスアレーンの濃度比1/1、1/2及び1/5で行なう。対照は、カリックスアレーンなしのAβ42ペプチドの試料(1/0)である。溶液は、最終容量500μLに調製する。Aβ42ペプチドは、4514g/モルのモル質量を有する。p−スルホナト−カリックス[4]アレーンは、744g/モルのモル質量を有する。
Figure 0005693816
結果を図9に示す。この図は、波長の関数としてのモル楕円率を示すグラフであり、結果は、カリックスアレーンなしの対照(Ab42)について濃度比1/1、1/2、1/5で得られたものである。
図9の曲線は、最初はα−ヘリックスの形態である該ペプチドが、p−スルホナト−カリックス[4]アレーンの存在下で、カリックス[4]アレーンの使用濃度とは無関係に、低濃度(1/1)又は高濃度(1/5)のいずれにおいても、3つの構造α−ヘリックス(210nm)、β−シート(220nm)及び非周期構造(200nm)をとることを示す。α−ヘリックス構造は、可視構造の37%より多く、β−シートは26%より多く、最後に非周期構造は38%を示す。
本発明者らは、濃度比1/1で、該構造のモル楕円率が1/2の場合と比べて増大することを観察している。他方、210nmの領域内波長付近では、1/5の濃度比のAβ42ペプチドのスペクトルは、1/1のものに近く、該領域を超えると1/2のものに近い。
このような変動は、該スペクトルにおいて観察された有意な構造変形による薬剤IIとβ−アミロイドペプチドとの分子相互作用を示す。
実施例6:電気スプレイ型の質量分析計によるβ−アミロイドペプチド1−40とp−スルホナト−カリックス[n]アレーンとの複合体形成の試験
6.1.解析手法
β−アミロイドペプチド(Aβ40ともいう)及び種々のp−スルホナト−カリックス[n]アレーン(n=4、6、8)(Da Silva,E.ら、2003(前掲)に記載のようにして調製)を、100μMの濃度で、10mM酢酸アンモニウムバッファー中にて可溶化させる。試験対象のβ−アミロイドペプチドの溶液を、p−スルホナト−カリックス[n]アレーンの溶液と即時的に混合する。試料を、電気スプレイ型の質量分析計内に直接注入する。
6.2.Aβ40ペプチドと種々のp−スルホナト−カリックス[n]アレーンとの複合体形成の試験
10mM酢酸アンモニウムバッファー中10μMのペプチドAβ40(Mw=4430g/mol)のストック溶液を調製する。種々のp−スルホナト−カリックス[n]アレーン(n=4:SC4 Mw=744g/mol;n=6:SC6 Mw=1116g/mol;n=8:SC8 Mw=1488g/mol)を、10mM酢酸アンモニウムバッファー中100μMで可溶化させる。
100μLの100μMペプチドAβ40溶液を、100μLのp−スルホナト−カリックス[n]アレーン100μM溶液と混合する。試料を、電気スプレイ型の質量分析計内に即時的に注入する。
得られた結果を図10に示す。この図は、薬剤II:p−スルホナト−カリックス[4]アレーン(SC4)、p−スルホナト−カリックス[6]アレーン(SC6)、p−スルホナト−カリックス[8]アレーン(SC8)、薬剤IIでの処理なしの対照であるAb40との反応後のペプチドβアミロイド1−40の電気スプレイ型の質量分析計で得られた複合体形成ピークの強度cps(カウント毎秒)を示すグラフ表示である。
これらの結果は、p−スルホナト−カリックス[n]アレーンとAβ40ペプチドとの複合体形成に特徴的なピークを示す。対照は、大過剰に存在する(これがピークの説明となる)ことが注目され得る。
実施例7:β−アミロイドペプチド1−42とコンドロイチン−6−硫酸との相互作用
薬剤IIとして、コンドロイチン−6−硫酸(Sigma)を使用したこと以外は、上記実施例5に記載の手順を繰り返した。
結果を図11に示す。この図は、カリックスアレーンなしの対照(Ab42)について濃度比1/1及び1/5での、波長の関数としてのモル楕円率を示すグラフ表示である。
図11において得られた結果は、Aβ42スペクトルが、201nmに第1、及び226nmに第2の2つの負の最小ピークを示していることを示す。この合成β−アミロイドペプチドは、一部が非周期構造であるα−ヘリックス構造の形態をとる。
コンドロイチン−6−硫酸の存在下において、Aβ42のものと等しい濃度では、該ペプチドの構造は変化する。3つの構造は同様の割合で存在する。具体的には、α−ヘリックス(210nm)は37%より多く存在し、非周期構造(200nm)は26%より多い。最後に、β−シートは220nmにおいて見られる。
コンドロイチン−6−硫酸の濃度がAβ42ペプチドのものより5倍大きく増大すると、後者の二次立体構造が変化し、本質的に非周期構造となる。
結論として、アミロイドペプチドのものと等しい濃度のコンドロイチン−6−硫酸の存在下では、β−シートが見られるが、コンドロイチン−6−硫酸が高濃度では、この立体構造は非周期構造に置き換わる。
このような変動は、該スペクトルにおいて観察された有意な構造変形による薬剤IIとβ−アミロイドペプチドとの分子相互作用を示す。
実施例8:沈殿剤Iを用いた方法によるリン酸化タウタンパク質の検出
8.1 解析手法
この解析は、Kohnkenら(Neuroscience Letters 287(2000)187−190)に記載の慣用的な「ELISAサンドイッチ型」免疫酵素手法に従って行なう。
PhosphoTau Elisaアッセイは、Dynexマイクロプレートの使用に基づくものであり、これに、3μg/mlの抗マウスFcヤギ抗体(Pierce)を、25mM KHPO(pH7.2)、140mM NaCl、1mM EDTA、2mM NaNを含有するバッファー中で、3時間24℃にて結合させる。次いで、ウェルを、TBS(25mM Tris−HCl、pH7.5、140mM NaCl)カゼイン(1%)バッファー中で1時間24℃にて不動態化し、次いで、2時間24℃で、TBSカゼインバッファー中で希釈した3μg/mlのTaul(Chemicon)抗体及びCP27(AppliedNeuroSolutions)抗体とともにインキュベートする。
標準及び脳抽出物を、このアッセイのための正常血漿プール中で希釈し、ウェル1つあたり80μLの割合で2連で入れる。検出抗体CP9(AppliedNeuroSolutions、US)を、200μg/mlのヒトアルブミン、22μg/mlのヒトIgG及び0.15μg/mlのヒトIgMを、クレブス−リンゲル炭酸塩バッファー中に含有するバッファー中で希釈する。この混合物20μlを各ウェルに添加し、66時間24℃でインキュベートする。結合CP9抗体を認識させるため、1%の正常ヒト血清(Biocell)を含有するTBSカゼインバッファー中0.2μg/mlのビオチン化抗マウスIgMヤギ抗体(F(ab’))(Accurate)を、2時間24℃で添加する。該ビオチン化抗体を、TBSカゼインバッファー中で希釈し、45分間24℃でインキュベートした0.4μg/mlのストレプトアビジン−ペルオキシダーゼコンジュゲート(Pierce)を用いて検出する。Lumiglo試薬(Kirkegaard and Perry laboratories,US)を、各ウェルに添加し、化学発光を照度計(Berthold,Centro LB 960)にて読み取る。得られるデータは、組換えtau同等物においてアッセイされた濃度(pg/ml)である相対光単位(RLU)の形態であり、試料のRLUを標準曲線と関連させることにより得られる(濃度(pg/ml)の関数としてのRLU)。
上記の工程ごとに、ウェルは、0.1%のTween20を含有するTBSバッファーで洗浄する。
8.2 薬剤I、TETの存在下での検出
このアッセイは、25ngの脳抽出物、及び、薬剤IとしてトリエチレンテトラミンすなわちTETを100mg/mlで用いて行なう。
試料と薬剤Iとを接触させたら、混合物を37℃で60分間インキュベートする。
次いで、試料を10分間13000rpmで遠心分離する。ペレットを回収し、上清みから分離する。すべての画分を保存する。ペレットを、250μlのtris−マレイン酸バッファー(特に記載のない限り)中に入れる。次いで、試料をプレートに加える準備をする。
図12に、アルツハイマー(AD+)又は非アルツハイマー(AD−)患者由来の脳抽出物(血漿中に添加)に関して得られた結果をまとめる。結果は、100mg/mlのTETの不在下(NT)又はこれによる処理及び2つのペレット及び上清み画分の解析後に得られたものである。
結果は、リン酸化タウタンパク質が、薬剤I、TETで処理した後のペレット中に見られることを示す。沈降ペレット中におけるその存在により、これが、試験試料容量から凝集によって濃縮されたという事実が証明され、これは、薬剤Iの不在下では起こらない。したがって、これらの分子は、37℃で60分間のインキュベーション及び簡単な遠心分離後、組換えTauタンパク質の沈殿を誘導する。次いで、該タンパク質は、臨床検査室で日常的に使用され得るELISA手法による検出に利用され得る。
8.3 薬剤Iストレプトマイシンの存在下での検出
このアッセイは、25ngの脳抽出物、及び、薬剤Iとして硫酸塩形態のストレプトマイシンを種々の濃度で用いて行なう。
試料と薬剤Iとを接触させたら、混合物を37℃で60分間インキュベートする。
次いで、試料を10分間13000rpmで遠心分離する。ペレットを回収し、上清みから分離する。すべての画分を保存する。ペレットを、250μlのtris−マレイン酸バッファー(特に記載のない限り)中に入れる。次いで、試料をプレートに加える準備をする。
図13に、アルツハイマー(AD+)患者由来の脳抽出物(血漿中に添加)に関して得られた結果をまとめる。結果は、種々の濃度のストレプトマイシンの不在下(NT)又はこれによる処理及び2つのペレット及び上清み画分の解析後に得られたものである。
結果は、リン酸化タウタンパク質が、低濃度の薬剤Iストレプトマイシンで処理した後のペレット中に見られることを示す。沈降ペレット中におけるその存在により、これが、試験試料容量から凝集によって濃縮されたという事実が証明され、これは、薬剤Iでの処理の不在下の同じ試料の解析と比べたときの、検出の増大によって反映される。したがって、これらの分子は、37℃で60分間のインキュベーション及び簡単な遠心分離後、組換えTauタンパク質の沈殿を誘導する。次いで、該タンパク質は、臨床検査室で日常的に使用され得るELISA手法による検出に利用され得る。しかし、タンパク質が上清み中に残存しているため、沈殿は完全でないことがわかる。薬剤Iの量の増大により、500mg/mlの濃度では、上清み中のタンパク質の存在を排除することが可能になる。この場合、沈殿したタンパク質は、ペレット中において、ELISA手法ではもはや検出可能でなくなる。ウエスタンブロッティングによる解析(データ示さず)により、該タンパク質が実際に凝集形態で存在することの確認が可能となった。抗体との前記凝集形態を検出するため、各タンパク質のエピトープを再露出させるための適当な取込みバッファーが必要である(8.4参照)。
8.4 薬剤Iストレプトマイシンの存在下での検出:取込みバッファーの採用
このアッセイは、25ngの脳抽出物、及び、薬剤Iとして硫酸塩形態のストレプトマイシンを500mg/mlで用いて行なう。
試料はSDS(1%最終)で処理又は未処理とする。
試料と薬剤Iとを、SDSの存在下又は不在下で接触させたら、混合物を37℃で60分間インキュベートする。
次いで、試料を10分間13000rpmで遠心分離する。ペレットを回収し、上清みから分離する。すべての画分を保存する。ペレットを、250μlの種々の溶液:
−1% SDS
−グアニジンHCl 0.1M(Gnd)
−1M尿素
−1% SDS+グアニジンHCl 0.1M(Gnd)
−1% SDS+1M尿素
−グアニジンHCl 0.1M(Gnd)+1M尿素
−1% SDS+グアニジンHCl 0.1M(Gnd)+1M尿素
中に入れる。
次いで、試料をプレートに加える準備をする。
結果(図14)は、沈殿工程中SDSの不在下では、タンパク質の検出は至適でないことを示す。
沈殿をSDSの存在下で行なうと、結果は、使用する懸濁バッファーの型に応じて異なる。この場合も、取込みバッファー中のSDSの存在は不可欠である。最良の2つの組合せはSDS−グアニジン、及び、さらに良好なSDS−グアニジン−尿素であり、これは、より良好な検出強度を可能にする。次いで、アルツハイマー陽性(PAD+)試料は、アルツハイマー陰性(PAD−)試料又は非血漿添加(P)から完全に解離される。沈降ペレット中におけるその存在により、試験試料容量から凝集によって濃縮されたという事実が証明され、これは、薬剤Iの不在下では起こらない。したがって、これらの分子は、37℃で60分間のインキュベーション及び簡単な遠心分離後、組換えTauタンパク質の沈殿を誘導する。次いで、該タンパク質は、臨床検査室で日常的に使用され得るELISA手法による検出に利用され得る。
実施例9:沈殿剤Iを用いた方法によるα−シヌクレインタンパク質の検出
9.1 解析手法:タンパク質ゲル及びウエスタンブロッティング
解析する試料を、SDSバッファー(125mM Tris HCl pH6.8、20%グリセロール、4%SDS、0.02%ブロモフェノールブルー)(50/50v/v)中で100℃にて5分間変性させる。ドデシル硫酸ナトリウム(SDS−PAGE)の存在下、12%ポリアクリルアミド一次元電気泳動ゲル上に載せる。泳動後、2つの選択肢を採用する。
*タンパク質ゲルを、ゲルコードブルー染色試薬(Pierce)の添加により、振とうしながら室温にて一晩クマシーブルーで染色する。蒸留水中での洗浄後、ゲルを乾燥用溶液(Pierce)中で、振とうしながら室温で15分間インキュベートし、次いで、2枚のセロファンシート間で少なくとも一晩室温で乾燥させる。
*この解析は、ウエスタンブロッティング手法(Laemmli UK,1970,Nature,227:680−685)に従って行なう。タンパク質をニトロセルロース膜上に転写し、室温で1時間、Synタンパク質211(Zymed)に特異的な抗体を用いて免疫ブロットする。二次検出抗体は、マウス免疫グロブリンGの重鎖及び軽鎖を認識し、ホースラディッシュペルオキシダーゼにコンジュゲートされたヤギ抗体(Jackson)である。膜は、工程ごとに、Tween20(0.05%w/v)リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で、次いで、Tween20なしのPBS中で洗浄する。シグナルをsuper signal kit(Pierce)を用いた化学発光によって検出し、ラジオグラフィー膜(Pierce)上で可視化する。
9.2 薬剤Iの存在下での検出
このアッセイは、ヒト血漿プール中に添加した1μgの組換えα−シヌクレインタンパク質(SYN)(rPeptide)、及び、薬剤Iとして硫酸塩形態のストレプトマイシン又はトリエチレンテトラミンすなわちTETのいずれかを種々の濃度で用いて行なう。
該組換えタンパク質と薬剤Iを接触させたら、混合物を37℃で60分間インキュベートする。
次いで、試料を10分間13000rpmで遠心分離する。ペレットを回収し、上清みから分離する。すべての画分を保存する。ペレットを、250μlのSDSバッファー中に入れる。変性後、すべての画分をウエスタンブロッティング手法によって解析する。
図15は、TETでの処理後の血漿中のSYNタンパク質の泳動後に得られた染色後(図15A)及びウエスタンブロッティング後(図15B)のタンパク質ゲルにおいて得られた結果(概略図、上パネル、及び写真、下パネル)を示す(レーン2〜5:ペレット、8〜11:上清み)。レーン1及び7は、薬剤Iでの処理なしの対照試料のペレット及び上清みに相当し、レーン6は分子量マーカーを含み、レーン12は、組換えタンパク質単独に相当する。
図16は、ストレプトマイシンでの処理後の血漿中のSYNタンパク質の泳動後に得られた染色後(図16A)及びウエスタンブロッティング後(図16B)タンパク質ゲルにおいて得られた結果(概略図、上パネル、及び写真、下パネル)を示す(レーン2〜5:ペレット、8〜11:上清み)。レーン1及び7は、薬剤Iでの処理なしの対照試料のペレット及び上清みに相当し、レーン6は分子量マーカーを含み、レーン12は、組換えタンパク質単独に相当する。
電気泳動レーンに対する薬剤Iの濃度は、以下の表7及び8に示すとおりである。
表7:図15
Figure 0005693816
表8:図16
Figure 0005693816
結果は、Synタンパク質が、ストレプトマイシン又はTETのいずれかの薬剤Iで処理した後のペレット中に見られることを示す。沈降ペレット中におけるその存在により、これが、試験試料容量から凝集によって濃縮されたという事実が証明される。したがって、これらの分子は、37℃で60分間のインキュベーション及び簡単な遠心分離後、組換えSynタンパク質の沈殿を誘導する。しかし、上清み画分中にタンパク質が見られるため、この沈殿は完全ではない。それでもなお、この濃縮は、臨床検査室で日常的に使用され得るELISAアッセイにおけるその検出を可能にするのに充分である。
また、この沈殿は、血漿タンパク質が主に上清み中に見られるため、比較的特異的であることが注目される(図15A及び16A、レーン7〜12)
実施例10:沈殿剤IIを用いた方法によるα−シヌクレインタンパク質の検出
10.1 解析手法:タンパク質ゲル及びウエスタンブロッティング
この手法は、実施例9に記載のものと同じである。
10.2 解析手法:ELISA
この解析は、慣用的な「ELISAサンドイッチ型」免疫酵素手法:ヒトα−シヌクレインELISAキット(BioSource KHB0061)を供給元の推奨に従って行なう。
10.3 薬剤Iの存在下での検出I
このアッセイは、ヒト血漿プール中に添加した1μgの組換えα−シヌクレインタンパク質(SYN)(rPeptide)、及び、薬剤IIとして、カリックスアレーンp−スルホナト−3,7−(2−アミノ−エチルオキシ)カリックス−[6]−アレーン(C6Sとして知られている)を用いて行なう。このアッセイは、特許出願WO2004/059322に示されたようにして調製したC6Sを使用し、0〜200mg/mlの濃度範囲を用いたこと以外は、先の実施例で示したようにして行なう。
図17は、カリックスアレーンでの処理後の血漿中のSYNタンパク質の泳動後に得られたタンパク質ゲルにおいて得られた結果(概略図、上パネル、及び写真、下パネル)を示す。図17Aはペレット画分に相当し、一方、図17Bは上清みに相当する。レーン1〜7は、種々の濃度のカリックスアレーンで処理したSynタンパク質に相当し、レーン8は分子量マーカーを含み、レーン9は、未処理組換えタンパク質に相当する。
電気泳動レーンに対する薬剤IIの濃度は、以下の表9及び10に示すとおりである。
表9:図17A
Figure 0005693816
表10:図17B
Figure 0005693816
結果は、10mg/mlの前の濃度から、血漿タンパク質が、排他的にペレット中に見られることを示す(該タンパク質ゲルの検出限界内)。
図18は、カリックスアレーンでの処理後の血漿中のSYNタンパク質の泳動後に得られたウエスタンブロッティング後の電気泳動ゲルのオートラジオグラフィーから得られた結果(概略図、上パネル、及び写真、下パネル)を示す。図18Aはペレット画分に相当し、一方、図18Bは上清みに相当する。レーン1〜7は、種々の濃度のカリックスアレーンで処理したSynタンパク質に相当し、レーン8は、分子量マーカーを含み、レーン9は、未処理組換えタンパク質に相当する。
電気泳動レーンに対する薬剤IIの濃度は、以下の表11及び12に示すとおりである。
表11:図18A
Figure 0005693816
表12:図18B
Figure 0005693816
結果は、Synタンパク質が、薬剤IIで処理した後のペレット中に見られることを示す。沈降ペレット中におけるその存在により、これが、試験試料容量から捕捉されたという事実が証明される。したがって、これらの分子は、37℃で60分間インキュベーション後、組換えSynタンパク質の捕捉を誘導するが、この場合、予期に反してII型の薬剤では、この捕捉により簡単な遠心分離によるタンパク質の沈殿が可能になる。しかし、タンパク質が上清み画分中に見られるため、この捕捉は完全ではない。ペレット中に見られるタンパク質の最大量を、10〜50mg/mlのカリックスアレーン濃度で調べる。
しかし、この濃縮は、臨床検査室で常套的に使用され得るELISAアッセイにおけるその検出を可能にするのに充分である。
10.4 薬剤IIの存在下での検出感度
このアッセイは、ヒト血漿プール中に添加した一連の組換えα−シヌクレインタンパク質(SYN)(rPeptide)、及び、薬剤IIとしてカリックスアレーンp−スルホナト−3,7−(2−アミノ−エチルオキシ)カリックス−[6]−アレーン(C6Sとして知られる)を用いて行なう。このアッセイは、特許出願WO2004/059322に示されたようにして調製したC6Sを使用し、濃度を50mg/mlとしたこと以外は、先の実施例に示すようにして行なう。
図19は、カリックスアレーンでの処理後の血漿中のSYNタンパク質の泳動後に得られたウエスタンブロッティング後の電気泳動ゲルのオートラジオグラフィーから得られた結果(概略図、上パネル、及び写真、下パネル)を示す。図19Aはペレット画分に相当し、一方、図19Bは上清みに相当する。レーン1〜8は、カリックスアレーンで処理した種々の濃度のSynタンパク質に相当し、レーン10〜12は、未処理Synタンパク質に相当し、レーン9は分子量マーカーを含む。
電気泳動レーンに対するに対するタンパク質の濃度は、以下の表13及び14に示すとおりである。
表13:図19A
Figure 0005693816
表14:図19B
Figure 0005693816
結果は、Synタンパク質が、25ng/mlの感度で、薬剤IIで処理した後のペレット中に見られることを示す。沈降ペレット中におけるその存在により、これが捕捉されたという事実が証明され、この場合、試験試料容量からの沈殿に好ましい条件がもたらされた。したがって、これらの分子は、37℃で60分間インキュベーション後、組換えSynタンパク質の捕捉を誘導し、簡単な遠心分離によってその濃縮を促進する。タンパク質が上清み画分中に100ng/mlの濃度まで見られないため、この捕捉は完全である。これらの結果は、ELISAアッセイ(実施例10参照)(図20)により確認され、このとき、25ng/mlの濃度が、上清みと比べてペレットにおいて有意に検出される。
実施例11:薬剤IIの存在下でのタウタンパク質の検出
解析手法:
この解析は、Kohnkenら(Neuroscience Letters 287(2000)187−190)に記載の慣用的な「ELISAサンドイッチ型」免疫酵素手法に従い、捕捉に通常使用される抗体の代わりにカリックスアレーンを用いて行なう。ELISAアッセイは、NHS活性化マイクロプレートの使用に基づくものであり、これに、カリックスアレーンを、0.6mg/mlの濃度で2時間、室温で結合させる。蒸留水で3回洗浄後、プレートを37℃で15分間真空乾燥させる。次いで、プレートを200μl/ウェルの0.5%乳分含有PBSで、37℃にて1時間不動態化させる。0.05% Tween20含有PBS中で3回洗浄後、プレートの使用の準備をする。
アルツハイマー病患者(AD+)又はアルツハイマー病でない患者(AD−)由来の脳抽出物を、200μg/mlのヒトアルブミン、22μg/mlのヒトIgG及び0.15μg/mlのヒトIgMをクレブス−リンゲル炭酸塩バッファー中に含有するバッファーで希釈する。1〜10000ngの濃度を試験する。これらの希釈液100μlを37℃で1時間30分間インキュベートする。0.05% Tween20含有PBSバッファー中で3μg/mlの濃度に希釈したタウタンパク質T14(Zymed)に特異的な100μlのマウスモノクローナル抗体を、37℃で1時間インキュベートする。
結合された抗T14抗体を認識させるため、ペルオキシダーゼ標識抗マウスIgGヤギ抗体(Jackson)を、0.05% Tween20含有PBSバッファー中、0.5μg/mlの濃度で、45分間37℃にて使用する。Lumiglo試薬(Kirkegaard and Perry laboratories,US)を各ウェルに添加し、化学発光を照度計(Berthold,Centro LB 960)にて読み取る。得られるデータは相対光単位(RLU)の形態である。上記の工程ごとに、ウェルを0.05% Tween20含有PBSバッファーで洗浄する。
図21の結果は、タウタンパク質が、1ng/mlの濃度までのカリックスアレーンよって完全に捕捉されることを示す。この捕捉により、ELISAアッセイ形式において特異的抗体での検出可能になる。当業者には、高濃度のタンパク質で「フック効果」が注目されよう。この現象は、専門技術者によって行なわれる最適化の際に容易に解決され得る。アルツハイマー病の患者(AD+)アルツハイマー病でない患者(AD−)で得られた差により、このアッセイを研究室で日常的に使用することが可能になる。
実施例12;薬剤I及びIIの存在下でのsynタンパク質の検出
解析手法
第1の解析は、慣用的な「ELISAサンドイッチ型」免疫酵素手法:ヒトα−シヌクレインELISAキット(BioSource KHB0061)を供給元の推奨に従って行なう。
第2の解析は、Kohnkenら(Neuroscience Letters 287 (2000)187−190)に記載の慣用的な「ELISAサンドイッチ型」免疫酵素手法に従い、捕捉に通常使用される抗体の代わりにカリックスアレーンを用いて行なう。
ELISAアッセイは、NHS活性化マイクロプレートの使用に基づくものであり、これに、カリックスアレーン(薬剤II)を、0.6mg/mlの濃度で2時間、室温で結合させる。蒸留水で3回洗浄後、プレートを37℃で15分間真空乾燥させる。次いで、プレートを200μl/ウェルの0.5%乳分含有PBSで、37℃にて1時間不動態化させる。0.05% Tween20含有PBS中で3回洗浄後、プレートの使用の準備をする。
このアッセイは、アルツハイマー病の患者(20μg/ml)由来の脳抽出物及びヒト血漿プール中に添加した組換えα−シヌクレインタンパク(SYN)(rPeptide)(25ng/ml)を用いて行なう。
試料を薬剤I(500mg/mlのストレプトマイシン)の存在下で沈殿させる。
試料と薬剤Iを接触させたら、混合物を37℃で60分間インキュベートする。
次いで、試料を10分間13000rpmで遠心分離する。ペレットを回収し、上清みから分離する。すべての画分を保存する。ペレットを、25μlの6Mグアニジン−HCl中に入れ、場合によっては90℃で1分間加熱し、次いで225μlのtris−マレイン酸バッファー中で希釈する。次いで、試料をプレートに加える準備をする。
図22は、薬剤Iでの沈殿及び抗体捕捉による慣用的ELISA手法による検出後に得られた結果を示す(第1の解析;薬剤IIの使用なし)。結果は、組換えタンパク質が薬剤Iでの沈殿後、血漿中に検出されていることを示す。しかし、凝集形態内のその沈殿では至適検出は可能でない。また、タンパク質が上清み中に検出され、モノマー形態が該抗体によって完全に捕捉されるため、この沈殿は完全ではない。他方において、脳抽出物では、タンパク質が主に凝集形態であり、未処理試料中での検出が弱く、薬剤Iでの処理後、この実施例の操作条件下では、タンパク質はペレットにも上清みにも検出されないことがすぐにわかる。
図23は、薬剤Iでの凝集形態での沈殿及び薬剤IIでの捕捉による慣用的なELISA手法及び検出後に得られた結果を示す。結果は、組換えタンパク質及び脳抽出物が、未処理であってもほとんど又は全く検出されないことを示す。他方において、薬剤Iの作用後、捕捉ツールとして薬剤IIを使用する利点は、非常によくわかる。実際、組換えタンパク質と脳抽出物との両方の場合において、Synタンパク質はその凝集形態で、沈殿ペレット中に完全に検出される。さらに、加熱工程により、得られるシグナルを改善することができる。
したがって、薬剤I/薬剤IIの組合せにより、血漿などの試料中のα−シヌクレインタンパク質の検出を改善することが可能になると結論付けることができる。
実施例13:薬剤I及びIIの存在下でのリン酸化タウタンパク質の検出
この解析手法は、抗体を、実施例12に記載のカリックスアレーン(薬剤II)に変えたこと以外は、実施例8に記載のものと同じである。使用した検出抗体は、bioMerieuxで開発されたモノクローナル抗体であり、1μg/mlの濃度のペルオキシダーゼにコンジュゲートさせて使用する。このモノクローナル抗体は、231位がリン酸化されたタウタンパク質から誘導されたリン酸化ペプチドでの免疫処置後に得た。
使用した試料は、アルツハイマー病患者(AD pos)由来の正常患者由来の血漿プールに添加した脳抽出物である。このアッセイは、25ngの脳抽出物及び薬剤Iとして硫酸塩形態のストレプトマイシンを種々の濃度で用いて行なう。
試料と薬剤Iとを接触させたら、混合物を60分間37℃でインキュベートする。次いで、試料を10分間13000rpmで遠心分離する。ペレットを回収し、上清みから分離する。すべての画分を保存する。ペレットを、250μlのtris−マレイン酸バッファー(特に記載のない限り)中に入れる。次いで、試料をプレートに加える準備をする。
図24の結果は、未処理血漿試料中でのリン酸化タウタンパク質の検出が困難であることを示す。他方において、薬剤Iでの凝集後、捕捉を薬剤IIにより行なうと、ELISアッセイでのその検出がペレットにおいて可能になることは明白である。したがって、薬剤I/薬剤IIの組合せにより、血漿などの試料中でのリン酸化タウタンパク質の検出を改善することが可能になると結論付けることができる。
図1は、凝集体形成性循環タンパク質形態α−シヌクレイン、APP(アミロイドペプチド前駆体タンパク質)、パーキン及びタウタンパク質の配列の比較を示す。 図1は、凝集体形成性循環タンパク質形態α−シヌクレイン、APP(アミロイドペプチド前駆体タンパク質)、パーキン及びタウタンパク質の配列の比較を示す(図1−Aの続き)。 図1は、凝集体形成性循環タンパク質形態α−シヌクレイン、APP(アミロイドペプチド前駆体タンパク質)、パーキン及びタウタンパク質の配列の比較を示す(図1−Bの続き)。 図1は、凝集体形成性循環タンパク質形態α−シヌクレイン、APP(アミロイドペプチド前駆体タンパク質)、パーキン及びタウタンパク質の配列の比較を示す(図1−Cの続き)。 図2−Aは、ストレプトマイシン(レーン3及び4)又はTET(レーン5及び6)のいずれかである薬剤Iで処理したタウタンパク質の泳動後に得られたウエスタンブロッティング後の電気泳動ゲル(図2−B)のX線写真の概略図である。レーン1は、分子量マーカーレーンに相当し、レーン2は、薬剤Iでの処理なしの対照試料に相当する。 図2−Bは、ストレプトマイシン(レーン3及び4)又はTET(レーン5及び6)のいずれかである薬剤Iで処理したタウタンパク質の泳動後に得られたウエスタンブロッティング後の電気泳動ゲルである。レーン1は、分子量マーカーレーンに相当し、レーン2は、薬剤Iでの処理なしの対照試料に相当する。 図3−Aは、リファンピシン(レーン3、4及び5)又はイソニアジド(レーン8、9及び10)のいずれかである薬剤Iで処理したタウタンパク質の泳動後に得られたウエスタンブロッティング後の電気泳動ゲル(図3−B)のX線写真の概略図である。レーン1及び6は、分子量マーカーレーンに相当し、レーン2及び7は、薬剤Iでの処理なしの対照試料に相当する。 図3−Bは、リファンピシン(レーン3、4及び5)又はイソニアジド(レーン8、9及び10)のいずれかである薬剤Iで処理したタウタンパク質の泳動後に得られたウエスタンブロッティング後の電気泳動ゲルである。レーン1及び6は、分子量マーカーレーンに相当し、レーン2及び7は、薬剤Iでの処理なしの対照試料に相当する。 図4−Aは、薬剤IIとしてカリックスアレーンp−スルホナト−3,7−(2−アミノエチルオキシ)カリックス−[6]−アレーン(C6S)で処理したタウタンパク質の泳動後に得られたウエスタンブロッティング後の電気泳動ゲル(図4−B)のX線写真の概略図である。回収された画分は、ペレット(レーン2〜9)又は上清み(レーン12〜20)のいずれかである。レーン1及び21は、カリックスアレーンでの処理なしの対照試料に相当し、レーン11は、分子量マーカーレーンに相当する。 図4−Bは、薬剤IIとしてカリックスアレーンp−スルホナト−3,7−(2−アミノエチルオキシ)カリックス−[6]−アレーン(C6S)で処理したタウタンパク質の泳動後に得られたウエスタンブロッティング後の電気泳動ゲルである。回収された画分は、ペレット(レーン2〜9)又は上清み(レーン12〜20)のいずれかである。レーン1及び21は、カリックスアレーンでの処理なしの対照試料に相当し、レーン11は、分子量マーカーレーンに相当する。 図5−Aは、C6S(レーン2)、ストレプトマイシン(レーン3)又はTET(レーン4)で処理したペプチドβ−アミロイドペプチド1−40の泳動後に得られたウエスタンブロッティング後の電気泳動ゲル(図5−B)のX線写真の概略図である。レーン1は、薬剤I又はIIでの処理なしの対照試料に相当し、レーン5は、分子量マーカーレーンに相当する。 図5−Bは、C6S(レーン2)、ストレプトマイシン(レーン3)又はTET(レーン4)で処理したペプチドβ−アミロイドペプチド1−40の泳動後に得られたウエスタンブロッティング後の電気泳動ゲルである。レーン1は、薬剤I又はIIでの処理なしの対照試料に相当し、レーン5は、分子量マーカーレーンに相当する。 図6−Aは、リファンピシン(レーン3、4及び5)又はイソニアジド(レーン8、9及び10)のいずれかである薬剤Iで処理したβ−アミロイドペプチド1−40の泳動後に得られたウエスタンブロッティング後の電気泳動ゲル(図6−B)のX線写真の概略図である。レーン1及び6は、分子量マーカーレーンに相当し、レーン2及び7は、薬剤Iでの処理なしの対照試料に相当する。 図6−Bは、リファンピシン(レーン3、4及び5)又はイソニアジド(レーン8、9及び10)のいずれかである薬剤Iで処理したβ−アミロイドペプチド1−40の泳動後に得られたウエスタンブロッティング後の電気泳動ゲルである。レーン1及び6は、分子量マーカーレーンに相当し、レーン2及び7は、薬剤Iでの処理なしの対照試料に相当する。 図7−Aは、C6S(レーン2)、ストレプトマイシン(レーン3)又はTET(レーン4)で処理したペプチドβ−Aペプチド1−42の泳動後に得られたウエスタンブロッティング後の電気泳動ゲル(図7−B)のX線写真の概略図である。レーン1は、薬剤I又はIIでの処理なしの対照試料に相当し、レーン5は、分子量マーカーレーンに相当する。 図7−Bは、C6S(レーン2)、ストレプトマイシン(レーン3)又はTET(レーン4)で処理したペプチドβ−Aペプチド1−42の泳動後に得られたウエスタンブロッティング後の電気泳動ゲルである。レーン1は、薬剤I又はIIでの処理なしの対照試料に相当し、レーン5は、分子量マーカーレーンに相当する。 図8−Aは、リファンピシン(レーン3、4及び5)又はイソニアジド(レーン8、9及び10)のいずれかである薬剤Iで処理したβ−アミロイドペプチド1−42の泳動後に得られたウエスタンブロッティング後の電気泳動ゲル(図8−B)のX線写真の概略図である。レーン1及び6は、分子量マーカーレーンに相当し、レーン2及び7は、薬剤Iでの処理なしの対照試料に相当する。 図8−Bは、リファンピシン(レーン3、4及び5)又はイソニアジド(レーン8、9及び10)のいずれかである薬剤Iで処理したβ−アミロイドペプチド1−42の泳動後に得られたウエスタンブロッティング後の電気泳動ゲルである。レーン1及び6は、分子量マーカーレーンに相当し、レーン2及び7は、薬剤Iでの処理なしの対照試料に相当する。 図9は、種々の濃度の薬剤II p−スルホナト−カリックス[4]アレーン、薬剤IIでの処理なしの対照であるAb42での処理後のβ−アミロイドペプチド1−42の円偏光二色性によって得られた波長の関数としてのモル楕円率を示すグラフ表示である。 図10は、薬剤II:p−スルホナト−カリックス[4]アレーン(SC4)、p−スルホナト−カリックス[6]アレーン(SC6)、p−スルホナト−カリックス[8]アレーン(SC8)、薬剤IIでの処理なしの対照であるAb40で処理したペプチドβアミロイド1−40の電気スプレイ型の質量分析計で得られた複合体形成ピークの強度cps(カウント毎秒)を示すグラフ表示である。 図11は、種々の濃度の薬剤IIコンドロイチン−6−硫酸、薬剤IIでの処理なしでの対照であるAb42との反応後のβ−アミロイドペプチド1−42の円偏光二色性によって得られた波長の関数としてのモル楕円率を示すグラフ表示である。 図12は、アルツハイマー病患者(AD+)由来又はアルツハイマー病でない患者(AD−)由来の、未処理(NT)又はトリエチレンテトラミン(TET)である薬剤Iで処理した脳抽出物を用いて行なったELISAアッセイのグラフ表示である。リン酸化タウタンパク質の検出(pg/ml、当量(eq)の組換えタウタンパク質でアッセイ)をペレット画分及び上清み画分において行なう。 図13は、アルツハイマー病の患者、未処理(NT)又は種々の濃度(mg/ml)のストレプトマイシンである薬剤Iで処理した脳抽出物を用いて行なったELISAアッセイのグラフ表示である。リン酸化タウタンパク質の検出(当量Tau、pg/ml)をペレット画分及び上清み画分において行なう。 図14は、処理なし又はSDS1%での処理及びストレプトマイシン(500mg/ml)での沈殿後の、リン酸化タウタンパク質の検出に対する種々の取り込みバッファーの効果を示すグラフ表示である。結果は、アルツハイマー病の患者(PAD+)又はアルツハイマー病でない患者(PAD−)又は血漿無添加(P)の脳抽出物を用いて得たものである。Gnd:グアニジン;SN:上清み;stp:ストレプトマイシン。 図15−Aは、TETでの処理後の血漿中のSYNタンパク質の泳動後に得られたクマシーブルーで染色後の電気泳動ゲル(下パネル)の概略図(上パネル)である(レーン2〜5:ペレット;レーン8〜11:上清み)。レーン1及び7は、薬剤Iでの処理なしの対照試料のペレット及び上清みに相当し、レーン6は分子量マーカーを含み(188、62、49、38、28、18、14、6及び3kDa)、レーン12は、組換えタンパク質単独に相当する。 図15−Bは、TETでの処理後の血漿中のSYNタンパク質の泳動後に得られたウエスタンブロッティング後のゲルのX線写真の電気泳動ゲル(下パネル)の概略図(上パネル)である(レーン2〜5:ペレット;レーン8〜11:上清み)。レーン1及び7は、薬剤Iでの処理なしの対照試料のペレット及び上清みに相当し、レーン6は分子量マーカーを含み(188、62、49、38、28、18、14、6及び3kDa)、レーン12は、組換えタンパク質単独に相当する。 図16−Aは、ストレプトマイシンでの処理後の血漿中のSYNタンパク質の泳動後に得られたクマシーブルーで染色後の概略図(上パネル)及び電気泳動ゲル(下パネル)である(レーン2〜5:ペレット;レーン8〜11:上清み)。レーン1及び7は、薬剤Iでの処理なしの対照試料のペレット及び上清みに相当し、レーン6は分子量マーカーを含み(188、62、49、38、28、18、14、6及び3kDa)、レーン12は組換えタンパク質単独に相当する。 図16−Bは、ストレプトマイシンでの処理後の血漿中のSYNタンパク質の泳動後に得られたウエスタンブロッティング後のゲルのX線写真の概略図(上パネル)及び電気泳動ゲル(下パネル)である(レーン2〜5:ペレット;レーン8〜11:上清み)。レーン1及び7は、薬剤Iでの処理なしの対照試料のペレット及び上清みに相当し、レーン6は分子量マーカーを含み(188、62、49、38、28、18、14、6及び3kDa)、レーン12は組換えタンパク質単独に相当する。 図17−Aは、カリックスアレーン(薬剤II)での処理後の血漿中のSYNタンパク質の泳動後に得られたクマシーブルーで染色後の概略図(上パネル)及び電気泳動ゲル(下パネル)であって、ペレット画分に相当する。レーン1〜7は、種々の濃度のカリックスアレーンで処理したSynタンパク質に相当し、レーン8は分子量マーカーを含み(188、62、49、38、28及び14KDa)、レーン9は未処理組換えタンパク質に相当する。 図17−Bは、カリックスアレーン(薬剤II)での処理後の血漿中のSYNタンパク質の泳動後に得られたクマシーブルーで染色後の概略図(上パネル)及び電気泳動ゲル(下パネル)であって、上清み画分に相当する。レーン1〜7は、種々の濃度のカリックスアレーンで処理したSynタンパク質に相当し、レーン8は分子量マーカーを含み(188、62、49、38、28及び14KDa)、レーン9は未処理組換えタンパク質に相当する。 図18−Aは、カリックスアレーン(薬剤II)での処理後の血漿中のSYNタンパク質の泳動後に得られたウエスタンブロッティング後の電気泳動ゲルのオートラジオグラフ(下パネル)の概略図(上パネル)であって、ペレット画分に相当する。レーン1〜7は、種々の濃度のカリックスアレーンで処理したSynタンパク質に相当し、レーン8は分子量マーカーを含み(188、62、49、38、28、18、14及び6kDa)及びレーン9は未処理組換えタンパク質に相当する。 図18−Bは、カリックスアレーン(薬剤II)での処理後の血漿中のSYNタンパク質の泳動後に得られたウエスタンブロッティング後の電気泳動ゲルのオートラジオグラフ(下パネル)の概略図(上パネル)であって、上清み画分に相当する。レーン1〜7は、種々の濃度のカリックスアレーンで処理したSynタンパク質に相当し、レーン8は分子量マーカーを含み(188、62、49、38、28、18、14及び6kDa)及びレーン9は未処理組換えタンパク質に相当する。 図19−Aは、カリックスアレーン(薬剤II)での処理後の血漿中のSYNタンパク質の泳動後に得られたウエスタンブロッティング後の電気泳動ゲルのオートラジオグラフ(下パネル)の概略図(上パネル)であって、ペレット画分に相当する。レーン1〜8は、カリックスアレーンで処理した種々の濃度のSynタンパク質に相当し、レーン10〜12は、未処理Synタンパク質に相当し、レーン9は分子量マーカーを含む(188、62、49、38、28、18、14及び3kDa)。 図19−Bは、カリックスアレーン(薬剤II)での処理後の血漿中のSYNタンパク質の泳動後に得られたウエスタンブロッティング後の電気泳動ゲルのオートラジオグラフ(下パネル)の概略図(上パネル)であって、上清み画分に相当する。レーン1〜8は、カリックスアレーンで処理した種々の濃度のSynタンパク質に相当し、レーン10〜12は、未処理Synタンパク質に相当し、レーン9は分子量マーカーを含む(188、62、49、38、28、18、14及び3kDa)。 図20は、血漿中に存在し、カリックスアレーン(薬剤II)で処理したSynタンパク質のある濃度範囲(ng/ml)を用いて行なったELISAアッセイのグラフ表示である。光学密度は、ペレット画分及び上清み画分にて読み取る。 図21は、カリックスアレーン(薬剤II)を捕捉相に用いたサンドイッチ型のELISAアッセイのグラフ表示である。アルツハイマー病の患者(AD+)又はアルツハイマー病でない患者(AD−)の脳抽出物由来の種々の量(ng)のタンパク質を試験する。得られた結果を相対光単位(RLU)の形態で示す。 図22は、特異的抗体を捕捉相に用いたサンドイッチ型ELISAアッセイのグラフ表示である。該アッセイは、アルツハイマー病の患者(PAD+)由来の脳抽出物を用いて、又は組換えα−シヌクレインタンパク質(Pα−syn)を用いて行ない、ヒト血漿のプール中に添加し、ストレプトマイシンである薬剤Iで沈殿させる。沈殿後、ペレット(C)を加熱又は非加熱グアニジンバッファー中に入れる。結果を光学密度の形態で示す。NTは未処理、Cはペレット及びSは上清みを意味する。 図23は、薬剤I(ストレプトマイシン)での沈殿及び薬剤II(カリックスアレーン)を用いた捕捉によるELISAによる検出後のサンドイッチ型ELISAアッセイのグラフ表示である。該アッセイは、アルツハイマー病の患者(PAD+)由来の脳抽出物を用いて、又は組換えα−シヌクレインタンパク質(Pα−syn)を用いて行ない、ヒト血漿のプール中に添加する。薬剤Iでの沈殿後、ペレットを加熱又は非加熱グアニジンバッファー中に入れる。結果を光学密度の形態で示す。 図24は、アルツハイマー病患者(AD pos)脳抽出物を用いて行ない、未処理又はストレプトマイシンである薬剤Iで処理した正常患者由来の血漿プール中に添加したリン酸化タウタンパク質のELISAアッセイのグラフ表示である。捕捉相は、カリックスアレーン(薬剤II)からなる。ペレット画分及び上清み画分において得られた結果を相対光単位(RLU)の形態で示す。

Claims (11)

  1. 凝集体形成性循環タンパク質を含み得るヒト起源の生物試料において、非感染性神経変性疾患と関連する少なくとも1つの凝集体形成性循環タンパク質を検出する方法であって、
    凝集体形成性循環タンパク質が
    (a)アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、及びアスパラギンからなる群から選択されるアミノ酸を、20アミノ酸以下の長さのペプチド配列内に少なくとも4含み、かつ、
    (b)アルギニン、リシン、ヒスチジン、及びグルタミンからなる群から選択されるアミノ酸を、アミノ酸15以下の長さのペプチド配列内に少なくとも3個含み、
    中枢神経系の病理学的凝集過程に関与する凝集体形成性循環タンパク質の凝集をもたらす、リファンピシン、イソニアジド、エタンブトール、トリエチレンテトラミン(TET)、ビス−3−アミノプロピルアミン、テトラヒドロ塩酸スペルミン、セスキ硫酸ジヒドロストレプトマイシン、及びストレプトマイシンからなる群から選択される非タンパク質薬剤I、及び凝集体形成性循環タンパク質の天然の凝集体又は前記薬剤Iによって誘導される凝集体を捕捉するための、メタシクロファン又はグリコサミノグリカンである非タンパク質薬剤IIを使用することを含む方法。
  2. 前記薬剤IIの前に、凝集体形成性循環タンパク質を凝集させるために前記薬剤Iを生物試料に添加することを含む、請求項1に記載の少なくとも1つの凝集体形成性循環タンパク質を検出する方法。
  3. a)凝集体形成性循環タンパク質を凝集させるために、前記薬剤Iを試料に添加する工程、
    b)このようにして得られた混合物を、凝集体形成性循環タンパク質の前記凝集体を捕捉するために薬剤IIと一緒にする工程、及び
    c)凝集体形成性循環タンパク質の存在を顕在化させる工程
    を含む、請求項2に記載の少なくとも1つの凝集体形成性循環タンパク質を検出する方法。
  4. 以下:
    i)凝集体形成性循環タンパク質の凝集体を反応混合物から分離する工程、及び
    ii)凝集体形成性循環タンパク質の凝集体を変性させる工程
    からなるさらなる工程i)及びii)の少なくとも1つを含み、
    これらの工程は、適切な場合は、工程a)及び工程b)の間に含まれる、請求項1〜3いずれか1項に記載の少なくとも1つの凝集体形成性循環タンパク質を検出する方法。
  5. 凝集体形成性循環タンパク質に特異的な少なくとも1種類の結合パートナーを、凝集体形成性循環タンパク質に特異的な結合パートナーと凝集体形成性循環タンパク質との免疫反応のために、適切な場合は工程c)において添加することを含む、請求項1〜4いずれか1項に記載の少なくとも1つの凝集体形成性循環タンパク質を検出する方法。
  6. 前記薬剤IIが固相支持体に結合されている、請求項1〜5いずれか1項に記載の少なくとも1つの凝集体形成性循環タンパク質を検出する方法。
  7. メタシクロファンがカリックスアレーンである、請求項1〜6いずれか1項に記載の少なくとも1つの凝集体形成性循環タンパク質を検出する方法。
  8. カリックスアレーンが、下記一般式(I):
    Figure 0005693816
    (式中、
    は、水素原子、ヒドロキシル基、OR基又はOCOR基(Rは以下に規定するとおりである)を表し、
    は、水素原子、R、COR、Pol又はCHPol基を表し、ここで、Polは、リン酸基、硫酸基、アミン基、アンモニウム基、カルボン酸基を表し、Rは以下に規定するとおりであり、
    は、水素原子、ヒドロキシル基、OR基又はOCOR基(式中、Rは以下に規定するとおりである)を表し、
    は、水素原子、ヒドロキシル基、OR基、OCHR基又はOCOR基(式中、Rは以下に規定するとおりである)を表し、
    Yは、炭素、窒素又はイオウ原子であり、
    及びは、各々独立して、存在しないか、又は水素原子、CH若しくは以下に規定するR基を表し、あるいは
    及びは一緒になって、酸素又はイオウ原子を表し、
    Xは、CH基又は酸素若しくはイオウ原子を表し、
    mは、0又は1である整数を表し、
    Rは、水素原子、又は、分枝若しくは非分枝の、環状若しくは非環状の、飽和若しくは不飽和の炭化水素系の鎖を表し、ここで、該鎖は、非置換若しくはハロゲンで置換されており、極性若しくは無極性の官能基を有し、
    nは3〜15の整数であり、
    置換基R〜R、R、X、Y及び整数mは、該単位の性質に応じて異なっていてよい)
    に相当する、請求項7に記載の少なくとも1つの凝集体形成性循環タンパク質を検出する方法。
  9. カリックスアレーンが、下記一般式(Ia):
    Figure 0005693816
    (式中、
    nは4〜8の整数であり、
    各基Rは一緒になって、独立して、硫酸基又はリン酸基であり、
    は、(CH−(CO)−(NH)基又は(CH−COOH基(式中、tは0〜6の整数であり、sは0〜6の整数である)を表す)
    に相当する、請求項8に記載の少なくとも1つの凝集体形成性循環タンパク質を検出する方法。
  10. カリックスアレーンが、式中、2つの基Rが各々、硫酸基であり、nが4、6又は8であり、Rが水素原子、−CHCOOH基、−CHCONH基又はCHCHNH基である(Ia)のカリックスアレーンである、請求項9に記載の少なくとも1つの凝集体形成性循環タンパク質を検出する方法。
  11. カリックスアレーンが、式中、n=6であり、Rが−CHCHNHである一般式(Ia)に相当する、請求項10に記載の凝集体形成性循環タンパク質を検出する方法。
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