JP5692570B2 - 昇圧装置 - Google Patents

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本発明は、アイドルストップ車両に搭載されてバッテリの出力電圧を昇圧する昇圧装置に関する。
従来から、アイドルストップ車両に搭載されて、アイドルストップ後の再起動時にバッテリの出力電圧を昇圧して各種の電気負荷に電力を供給する昇圧装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この昇圧装置は、昇圧回路の後段に接続されたスイッチング素子と、昇圧回路とスイッチング素子に並列に設けられたバックアップラインとを有しており、バックアップラインには逆流防止素子としてのダイオードが挿入されている。この昇圧回路では、昇圧回路やスイッチング素子に異常が生じたときに、バックアップラインを通して電力が供給されるようになっている。
また、従来から、直流電源から出力される太陽光電圧が所定の電圧以下のときにチョッパ回路を通して昇圧を行い、太陽光電圧が所定の電圧を超えるとリレーからなるバイパス回路を通した電圧を出力するようにした構成が記載されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2008−301604号公報(第3−5頁、図1−3) 特開2006−238629号公報(第3−6頁、図1−7)
ところで、特許文献1の昇圧装置では、異常発生時のみバックアップラインを通した電力供給が行われ、正常時には昇圧装置を通した電力供給が行われる。この昇圧装置は、アイドルストップ後の再起動時に昇圧動作を行うものであるため、この再起動時以外には昇圧動作が行われない。このような再起動時以外であっても、正常時においては昇圧装置を通して電力供給が行われることになるため、損失が大きいという問題があった。特に、アイドルストップ車両においては、再起動時に比べて再起動時以外の割合が大きいため、昇圧装置における損失も無視できない。
また、特許文献2の構成では、チョッパ回路の入力電圧に応じて、このチョッパ回路と並列接続されたバイパス回路を通すか否か(オン/オフ)を切り替えている。ところが、アイドルストップ車両に搭載した昇圧装置を考えた場合には、アイドルストップ後の再起動時に昇圧装置を動作させる必要があり、昇圧装置動作中に入力電圧(バッテリ電圧)がスタータの動作に伴って大きくしかも急激に変化することになるため、入力電圧に応じてバイパス回路のオン/オフを切り替えることはできず、特許文献2の構成をアイドルストップ車両の昇圧装置に適用することはできない。
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、アイドルストップ車両に搭載されて少ない損失で電力を供給することができる昇圧装置を提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明の昇圧装置は、アイドルストップ車両に搭載されてバッテリの出力電圧を昇圧する昇圧装置において、アイドルストップ後の再起動時に動作し、入力電圧を所定の出力電圧に変換する昇圧回路と、アイドルストップ後の再起動時に非導通状態を維持し、再起動時以外のときに導通状態を維持して昇圧回路の入力側から出力側へ昇圧回路を通さずに電力を供給するバイパスラインとを備えている。
アイドルストップ後の再起動時のみ昇圧回路を通した電力供給を行い、再起動時以外の期間においてバイパスラインを通した電力供給を行うことにより、アイドルストップ車両における昇圧装置での損失を少なくすることができる。
また、上述したバイパスラインは、昇圧回路の動作時に電力の供給を遮断し、昇圧回路の非動作時に電力の供給を可能にするスイッチング素子を有する。バイパスラインによる電力供給/遮断をスイッチング素子を用いて行うことにより、簡単な構成で昇圧回路よりも低損失のバイパスラインを容易に実現することができる。
また、上述した昇圧回路は、バイパスラインが非導通状態のときに動作し、バイパスラインが導通状態のときに動作を停止することが望ましい。バイパスラインを通して電力供給を行っている間、昇圧回路の動作を停止することで、昇圧装置の動作に伴う電力消費を少なくすることができる。
また、上述したスイッチング素子手段は、制御信号によってオンオフが制御可能なリレーである。リレーをスイッチング素子として用いることにより、導通状態と非導通状態を相互に切り替え可能なバイパスラインを容易に構成することができる。
また、上述したリレーは、制御信号が入力されない非動作時にオンになり、制御信号が入力された動作時にオフになる。これにより、ほとんどの期間を占める非動作状態においてバイパスラインを通して電力供給を行うことになり、昇圧装置の動作に伴う電力消費を少なくすることができる。
また、上述した昇圧回路を通した電力の供給と、バイパスラインを通した電力の供給とを切り替える切替制御部をさらに備え、切替制御部は、アイドルストップ後の再起動時にスタータを動作させるために用いられる起動信号が出力されたときに、昇圧回路を通した電力の供給に切り替え、起動信号が入力されると、バイパスラインを通した電力の供給に切り替える。スタータの起動信号を用いることにより、電力供給路としてのバイパスラインと昇圧回路の切り替えを、複雑な処理や回路を用いることなく容易に行うことができる。
また、上述した昇圧回路は、スイッチング素子を含むスイッチングコンバータと、スイッチング素子をオンオフ制御する昇圧制御部とを備えており、昇圧制御部は、切替制御部の動作を行うことが望ましい。これにより、切替制御部を新たに追加する必要がないため、構成の簡略化が可能となる。
一実施形態の昇圧装置の構成を示す図である。 一実施形態の昇圧装置の構成を示す図である。
以下、本発明を適用した一実施形態の昇圧装置について、図面を参照しながら説明する。図1および図2は、一実施形態の昇圧装置の構成を示す図である。図1および図2に示すように、本実施形態の昇圧装置10は、昇圧回路100とバイパスライン180とを備えている。この昇圧装置10は、アイドルストップ車両に搭載されてアイドルストップ後の再起動時にバッテリ200の出力電圧を昇圧して負荷210に動作電力を供給する。
昇圧回路100は、互いに並列接続されて駆動される4つのコンバータ部110、120、130、140と、2つのコンデンサ150、152と、4つのコンバータ部110〜140のそれぞれのスイッチング動作を別々に制御する4つの駆動信号を生成する昇圧制御部170とを含んで構成されている。一方のコンデンサ150は、入力側においてバッテリ200に並列に接続される。他方のコンデンサ152は、出力側において負荷210に並列に接続される。
コンバータ部110は、リアクトル112、ダイオード114、MOS−FET116を備えている。同様に、コンバータ部120は、リアクトル122、ダイオード124、MOS−FET126を備えている。コンバータ部130は、リアクトル132、ダイオード134、MOS−FET136を備えている。コンバータ部140は、リアクトル142、ダイオード144、MOS−FET146を備えている。このように、4つのコンバータ部110〜140のそれぞれは同じ構成を有しており、以下ではコンバータ部110について詳細に説明し、他のコンバータ部120等については詳細な説明を省略する。
リアクトル112とダイオード114によって直列回路が形成されており、この直列回路の一方の端部(リアクトル112の一方端)が入力端子に、他方の端部(ダイオード114のカソード側)が出力端子に接続されている。また、MOS−FET116は、スイッチング素子であって、一方端(ドレイン側)がリアクトル112とダイオード114の接続点に接続され、他方端(ソース側)が接地されている。また、ゲートが昇圧制御部170に接続されており、昇圧制御部170から出力される駆動信号によってMOS−FET116のスイッチング動作が制御される。このコンバータ部110と出力側に接続されたコンデンサ152によって1フェーズの昇圧型コンバータ(スイッチングコンバータ)が形成されている。
昇圧制御部170は、負荷210の大きさ等に基づいて、動作フェーズ数を決定する。具体的には、制御部170は、出力負荷の大小に応じて、コンバータ部110〜140の中で使用するコンバータ部の数を決定する。例えば、出力負荷の大小が4つのレベルA、B、C、D(Aが最も大きく、Dが最も小さい)に分類されている。
出力負荷レベルがAのときに、昇圧制御部170は、4つのコンバータ部110〜140の全てを使用して動作するように、これら4つのコンバータ部110〜140のそれぞれを制御する4つの駆動信号を生成して出力する。また、出力負荷レベルがBのときに、昇圧制御部170は、3つのコンバータ部110〜130を使用して動作するように、これら3つのコンバータ部110〜130のそれぞれを制御する3つの駆動信号を生成して出力する。また、出力負荷レベルがCのときに、昇圧制御部170は、2つのコンバータ部110、120を使用して動作するように、これら2つのコンバータ部110、120のそれぞれを制御する2つの駆動信号を生成して出力する。また、出力負荷レベルがDのときに、昇圧制御部170は、1つのコンバータ部110を使用して動作するように、このコンバータ部110を制御する1つの駆動信号を生成して出力する。
また、昇圧制御部170は、各動作フェーズの動作タイミングを動作フェーズ数にあわせて切り替える。具体的には、昇圧制御部170は、出力負荷の大小に応じて使用されるコンバータ部の各駆動タイミング(制御タイミング)が等間隔となるように、複数の駆動信号の互いの位相差を設定する。
本実施形態の昇圧装置10では、上述した昇圧回路100と並列接続されたバイパスライン180が設けられている。このバイパスライン180には、昇圧回路100の動作時にバイパスライン180を通した電力の供給を遮断し、昇圧回路100の非動作時にバイパスライン180を通した電力の供給を可能にするスイッチング素子としてのMOS−FET180Aが備わっている。このMOS−FET180Aのドレイン・ソース間に形成される寄生ダイオードは、アノードが昇圧回路100の入力側(バッテリ200側)、カソードが昇圧回路100の出力側(負荷210側)となるように接続されている。MOS−FET180Aは、昇圧制御部170によってオンオフ制御される。
本実施形態の昇圧装置10はこのような構成を有しており、次にその動作を説明する。昇圧装置10が搭載された車両には、アイドルストップ動作を制御するアイドルストップシステム(ISS)300と、イグニッションスイッチがオンされたときやアイドルストップ後の再起動時にエンジン(図示せず)を回転させるスタータ310とが備わっている。
アイドルストップ後の再起動時には、アイドルストップシステム300からスタータ310にスタータ起動信号(特許請求の範囲における「起動信号」に対応する)が送られ、スタータ310が起動されてエンジンのクランキングが行われる。このスタータ起動信号は、昇圧装置10内の昇圧回路100に備わった昇圧制御部170にも入力されている。昇圧制御部170は、スタータ起動信号が入力されると、昇圧回路100の動作(コンバータ部110等を用いた昇圧動作)を開始する。以後、スタータ310にバッテリ200から大電流が流れてバッテリ電圧が低下してもこの低下したバッテリ電圧が昇圧されて昇圧回路100の出力電圧が一定に維持される。このとき、バイパスライン180のMOS−FET180Aはオフされており、昇圧回路100を通した電力供給が行われる。図2では、昇圧回路100を通した電力の供給経路が矢印Bで示されている。
一方、アイドルストップ後の再起動時以外については、アイドルストップシステム300からはスタータ起動信号が出力されない。この場合には、昇圧制御部170の昇圧のための制御動作は行われず、昇圧回路100の動作は停止状態となる。また、昇圧回路100の動作が停止状態にあるときに、昇圧制御部170は、バイパスライン180のMOS−FET180Aをオンする。これにより、アイドルストップ後の再起動時以外については、バイパスライン180を通した電力供給が行われる。図1では、バイパスライン180を通した電力の供給経路が矢印Aで示されている。
このように、本実施形態の昇圧装置10では、アイドルストップ後の再起動時のみ昇圧回路100を通した電力供給を行い、再起動時以外の期間においてバイパスライン180を通した電力供給を行うことにより、アイドルストップ車両における昇圧装置10での損失を少なくすることができる。
また、バイパスライン180は、昇圧回路100の動作時にバイパスライン180を通した電力の供給を遮断し、昇圧回路100の非動作時にバイパスライン180を通した電力の供給を可能にするMOS−FET180Aを含んで構成されており、このような簡単な構成で昇圧回路100よりも低損失のバイパスライン180を容易に実現することができる。
また、昇圧回路100は、バイパスライン180が非導通状態のときに昇圧動作し、バイパスライン180が導通状態のときに昇圧動作を停止するようになっており、バイパスライン180を通して電力供給を行っている間、昇圧回路100の動作を停止することで、昇圧装置10の動作に伴う電力消費を少なくすることができる。また、MOS−FET180Aをスイッチング素子として用いることにより、ダイオード等を用いる場合に比べて損失を少なくすることができる。さらに、MOS−FET180Aは、ドレイン・ソース間に形成される寄生ダイオードのアノードが昇圧回路100の入力側に、カソードを昇圧回路100の出力側になるように接続されているため、昇圧回路100動作時にMOS−FET180Aを介して電流が昇圧回路100の出力側から入力側に逆流することを、特別な構成を追加することなく防止することができる。
また、スタータ起動信号を用いて、電力供給路としてのバイパスライン180と昇圧回路100の切り替えを行うことにより、複雑な処理や回路を用いることなくこの切替制御を容易に行うことができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、出力負荷の大小にあわせて動作フェーズ数を決定したが、出力負荷の大きさにかかわらず動作フェーズ数が固定されている昇圧回路を用いるようにしてもよい。また、動作フェーズ数が4の昇圧回路100を用いたが、動作フェーズ数が4以外のマルチフェーズ型あるいは動作フェーズ数が1のシングルフェーズ型の昇圧回路を用いるようにしてもよい。
また、上述した実施形態の昇圧回路100では、複数のコンバータ部に対応して1つのコンデンサ150および1つのコンデンサ152を用いたが、これらのコンデンサ150、152のそれぞれを複数個のコンデンサによって形成したり、複数のコンバータ部のそれぞれの内部に個別のコンデンサを設けるようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、ダイオード114等を用いたが、このダイオードをスイッチング素子(例えば、MOS−FET)に置き換えるようにしてもよい。この場合には、制御部170は、このスイッチング素子のオン/オフタイミングがMOS−FET116等のオン/オフタイミングと反対になるように制御する必要がある。
また、上述した実施形態では、昇圧制御部170によって昇圧回路100による昇圧動作の制御と、昇圧回路100とバイパスライン180の切替制御の両方を行うようにしたが、切替制御の機能を分離し、切替制御を行う切替制御部を昇圧装置10の内部あるいは外部に備えるようにしてもよい。この切替制御部は、アイドルストップシステム300内に備えるようにしてもよい。あるいは、アイドルストップシステム300から出力されるスタータ起動信号をバイパスライン180のMOS−FET180Aに直接入力して、あるいはMOS−FET180Aを駆動するドライバを追加してこれにスタータ起動信号を入力し、切替制御部を省略するようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、アイドルストップシステム300から出力されるスタータ起動信号を用いて昇圧回路100とバイパスライン180の切り替えを行ったが、スタータ起動信号と同等の信号を制御装置(エンジンECU等)で生成し、この信号を用いて昇圧回路100とバイパスライン180の切り替えを行うようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、バイパスライン180に備わったスイッチング素子としてMOS−FET180Aを用いたが、他のスイッチング素子を用いるようにしてもよい。例えば、MOS−FET180Aに代えて、制御信号によってオンオフが制御可能なリレーを用いるようにしてもよい。リレーをスイッチング素子として用いる場合であっても、導通状態と非導通状態を相互に切り替え可能なバイパスライン180を容易に構成することができる。
また、リレーを用いる場合には、制御信号が入力されない非動作時(例えば、可動接点とこれを可動する電磁石とが備わっている場合に、電磁石に電流が流れていない状態)にオンになり、制御信号が入力された動作時(電磁石に電流が流れている状態)にオフになるように配線することが望ましい。これにより、ほとんどの期間を占める非動作状態においてバイパスライン180を通して電力供給を行うことになり、昇圧装置10の動作に伴う電力消費を少なくすることができる。
上述したように、本発明によれば、アイドルストップ後の再起動時のみ昇圧回路100を通した電力供給を行い、再起動時以外の期間においてバイパスライン180を通した電力供給を行うことにより、アイドルストップ車両における昇圧装置10での損失を少なくすることができる。
10 昇圧装置
100 昇圧回路
110、120、130、140 コンバータ部
112、122、132、142 リアクトル
114、124、134、144 ダイオード
116、126、136、146、180A MOS−FET
150、152 コンデンサ
170 昇圧制御部
180 バイパスライン
200 電源
210 負荷
300 アイドルストップシステム(ISS)
310 スタータ

Claims (3)

  1. アイドルストップ車両に搭載されてバッテリの出力電圧を昇圧する昇圧装置において、
    アイドルストップ後の再起動時に動作し、入力電圧を所定の出力電圧に変換する昇圧回路と、
    アイドルストップ後の再起動時に非導通状態を維持し、再起動時以外のときに導通状態を維持して前記昇圧回路の入力側から出力側へ前記昇圧回路を通さずに電力を供給するバイパスラインと、
    前記昇圧回路を通した電力の供給と、前記バイパスラインを通した電力の供給とを切り替える切替制御部と、を備え、
    前記バイパスラインは、前記昇圧回路の動作時に電力の供給を遮断し、前記昇圧回路の非動作時に電力の供給を可能にするスイッチング素子を有し、
    前記スイッチング素子は、制御信号によってオンオフが制御可能なリレーであり、
    前記リレーは、前記制御信号が入力されない非動作時にオンになり、前記制御信号が入力された動作時にオフになり、
    前記切替制御部は、アイドルストップ後の再起動時にスタータを動作させるために用いられる起動信号が入力されると、前記昇圧回路を通した電力の供給に切り替え、前記起動信号が入力されないときに、前記バイパスラインを通した電力の供給に切り替えることを特徴とする昇圧装置。
  2. 請求項1において、
    前記昇圧回路は、前記バイパスラインが非導通状態のときに動作し、前記バイパスラインが導通状態のときに動作を停止することを特徴とする昇圧装置。
  3. 請求項1または2において、
    前記昇圧回路は、スイッチング素子を含むスイッチングコンバータと、前記スイッチング素子をオンオフ制御する昇圧制御部とを備えており、
    前記昇圧制御部は、前記切替制御部の動作を行うことを特徴とする昇圧装置。
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