JP5692138B2 - 熱影響部低温靭性に優れる超大入熱溶接用高張力鋼 - Google Patents
熱影響部低温靭性に優れる超大入熱溶接用高張力鋼 Download PDFInfo
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Description
(a)母材の板厚の1/4部(1/4t部)において、引張強さ510MPa以上、降伏応力390MPa以上、−40℃でのシャルピー吸収エネルギーが100J以上。
(b)y割れ試験時の必要予熱温度が25℃以下。
(c)溶接入熱400kJ/cmでの超大入熱溶接継手の溶接熱影響部(HAZ部)の溶接融合線(FL)付近の熱履歴をシミュレートした熱サイクルを付与した時の、シャルピー吸収エネルギーが−20℃で70J以上。
また、本発明が対象とする鋼板の板厚は、60〜80mmである。
即ち、本発明の要旨は次の通りである。
(1)質量%で、
0.09≦C<0.12%、 0≦Si<0.10%、
1.0≦Mn<1.4%、 0≦P≦0.01%、
0.002≦S≦0.008%、 0.015<Al≦0.05%、
0.004≦Ti≦0.007%、 0.0005≦B≦0.0020%、
0.0015≦Mg≦0.0030%、
0≦Ca≦0.0005%、 0≦REM≦0.0005%、
0.0020≦N≦0.0035%、 0.0007≦O≦0.0020%、
を含有し、下記に示される溶接割れ感受性指数Pcm値が0.18〜0.21%であり、かつ、下記に示される焼入れ性指数DI値が0.71〜2.00であり、粒子径が0.015〜0.2μmの(Mg、Mn)Sを1平方mmあたり1.0x104〜3.0x105個含み、残部Feおよび不可避的不純物よりなる鋼であることを特徴とする熱影響部低温靭性に優れる超大入熱溶接用高張力鋼。
Pcm=[C]+[Si]/30+[Mn]/20+[Cu]/20+[Ni]/60+[Cr]/20+[Mo]/15+[V]/10+5[B]
DI=0.367([C]1/2)(1+0.7[Si])(1+3.33[Mn])(1+0.35[Cu])(1+0.36[Ni])(1+2.16[Cr])(1+3.0[Mo])(1+1.75[V])(1+1.77[Al])
ここで、[C]、[Si]、[Mn]、[Cu]、[Ni]、[Cr]、[Mo]、[V]、[Al]、[B]は、それぞれC、Si、Mn、Cu、Ni、Cr、Mo、V、Al、Bの質量%で表した含有量を意味する。
0.05≦Cu≦1.0%、 0.05≦Ni≦1.5%、
0.02≦Cr≦0.6%、 0.02≦Mo≦0.4%、
0.005≦Nb≦0.02%、 0.005≦V≦0.06%、
の1種または2種以上を含有することを特徴とする前記(1)記載の熱影響部低温靭性に優れる超大入熱溶接用高張力鋼。
また、本発明で言うところの「溶接用高張力鋼」とは、例えば、JIS G3106「溶接構造用圧延鋼材」、JIS G3115「圧力容器用鋼板」、JIS G3126「低温用圧力容器用炭素鋼鋼板」に相当するものである。
本発明者らは、超大入熱溶接HAZの組織と靭性の関係に関する詳細な調査・研究を実施した結果、従来の大入熱溶接HAZの組織制御または靭性向上法をそのまま適用しても、超大入熱溶接HAZ靭性は限られたものであり、靭性向上にはHAZのオーステナイト粒を著しく微細化する必要があるとの結論に達した。
(Mg、Mn)S粒子によりオーステナイト粒成長を抑制した場合にはオーステナイト粒界面積が大きくなるためHAZ部でのフェライト変態が過剰に進行しやすく、フェライト変態の進行を遅らせることによりフェライトサイズと分率を最適化することが重要となる。この手段として、上述したC添加量の厳格な制御とDI値等による規制が有効であることを新規に知見したものである。
尚、SとOの割合が原子%にて95%≦Sであり、含まれているOが5%未満であっても、粒子が明らかにMnSとMgOの複合体であると同定できる場合には、(Mg、Mn)Sとはみなさない。MgとMnの割合およびSとOの割合は、EDXにて定量して求める。この定量時に使用する電子ビーム径は0.001〜0.02μm、TEM観察倍率は5万〜100万倍とし、微細な(Mg、Mn)S粒子内の任意の位置を定量する。
Mgは(Mg、Mn)Sの生成に必須の元素である。0.0015%未満では必要な個数の(Mg、Mn)S粒子を得ることはできない。より多量の微細な(Mg、Mn)S粒子を生成させるためには0.0020%以上の添加がより好ましい。0.003%超の添加はMgが粗大な酸化物を生成しやすくなり(Mg、Mn)S量が飽和しHAZ靭性向上効果も飽和する上、経済性を損なうのでその上限値を0.003%とした。
Pcm=[C]+[Si]/30+[Mn]/20+[Cu]/20+[Ni]/60+[Cr]/20+[Mo]/15+[V]/10+5[B]
ここで、[C]、[Si]、[Mn]、[Cu]、[Ni]、[Cr]、[Mo]、[V]、[B]は、それぞれC、Si、Mn、Cu、Ni、Cr、Mo、V、Bの質量%で表した含有量を意味する。
DI=0.367([C]1/2)(1+0.7[Si])(1+3.33[Mn])(1+0.35[Cu])(1+0.36[Ni])(1+2.16[Cr])(1+3.0[Mo])(1+1.75[V])(1+1.77[Al])
ここで、[C]、[Si]、[Mn]、[Cu]、[Ni]、[Cr]、[Mo]、[V]、[Al]は、それぞれC、Si、Mn、Cu、Ni、Cr、Mo、V、Alの質量%で表した含有量を意味する。
Cuは母材強度上昇に有効な元素であり、0.05%未満では強度上昇が得られないので、0.05%を下限値とした。1.0%超含有すると超大入熱HAZ部におけるCuの析出が顕著となり、(Mg、Mn)SによってHAZのオーステナイト粒を微細化しても大きなHAZ低温靭性向上効果が得られない。従って、上限値を1.0%とした。
転炉により鋼を溶製し、連続鋳造により厚さが320mmのスラブを製造した。表1、表2に本発明鋼および比較鋼の化学成分を示す。表3、表4に本発明鋼および比較鋼の製造方法と板厚、母材特性と溶接再現熱サイクルによる継手靭性評価結果を示す。表3、表4に示すとおり、制御圧延・制御冷却法、直接焼入れ・焼戻し法、焼入れ・焼戻し法により鋼板を製造した。板厚は60〜80mmとした。
直接焼入れ・焼戻し法では、加熱温度を1080〜1190℃、圧延開始温度を1070〜1180℃、圧延終了温度を920〜990℃、焼入れ開始温度を900〜960℃、焼入れ停止温度を60〜130℃、焼戻し温度を520〜630℃とした。
焼入れ・焼戻し法では加熱温度を1120〜1170℃、圧延開始温度を1090〜1130℃、圧延終了温度を940〜960℃、焼入れ温度を880〜920℃、焼戻し温度を520〜620℃とした。
母材靭性は、1/4t部から圧延方向に直角な方向(C方向)にJIS Z 2202に規定の衝撃試験片を採取し、JIS Z 2242に規定の方法で−40℃でのシャルピー吸収エネルギー(vE−40)を求めて評価した。
溶接性はJIS Z 3158に規定の方法で、入熱1.7kJ/mmで被覆アーク溶接を行い、ルート割れ防止に必要な予熱温度を求めて評価した。
継手靭性の評価は入熱400kJ/cmでの超大入熱溶接を再現した熱サイクルを付与した試験片からシャルピー衝撃試験片を採取することで評価した。
熱サイクルはピーク温度1400℃で20秒保持し、その後1.1℃/秒の冷却速度で100℃以下まで冷却した。
衝撃試験は−20℃で行い(vE−20)、9本繰り返しの平均値と最低値で靭性を評価した。
また、ピーク温度1400℃で60秒保持後、100℃以下まで急冷する熱サイクルを付与したサンプルにつき、オーステナイト粒径を測定し、さらに、0.015〜0.2μmの粒子径の(Mg、Mn)Sの粒子個数を上述の方法に従って測定した。
比較鋼22、24、35、44はそれぞれC量、Si量、B量、DI値が上限値を超えており、オーステナイト粒が細粒であってもHAZ靭性が平均値、最低値ともに目標値を満足できない。
比較鋼23、26、27、31、33、39はそれぞれSi量、Mn量、P量、Al量、Ti量、N量が上限値を超えており、また比較鋼43はDI値が不足しているため、オーステナイト粒が細粒であってもHAZ靭性の平均値では目標値を満足できるものの、最低値が目標値を満足できない。
比較鋼28、30、36はS量、Al量、Mg量が不足しており、(Mg、Mn)S粒子の個数が少なくオーステナイト粒が粗大であり、HAZ靭性が平均値、最低値ともに目標値を満足できない。
比較鋼29、37、38、40はS量、Ca量、REM量、O量が過剰であり、(Mg、Mn)S粒子の個数が少なくオーステナイト粒が粗大であり、HAZ靭性が平均値、最低値ともに目標値を満足できない。比較鋼42はPcm値が上限値を超えており、必要予熱温度の目標値25℃以下を満足できない。
Claims (2)
- 質量%で、
0.09≦C<0.12%、
0≦Si<0.10%、
1.0≦Mn<1.4%、
0≦P≦0.01%、
0.002≦S≦0.008%、
0.015<Al≦0.05%、
0.004≦Ti≦0.007%、
0.0005≦B≦0.0020%、
0.0015≦Mg≦0.0030%、
0≦Ca≦0.0005%、
0≦REM≦0.0005%、
0.0020≦N≦0.0035%、
0.0007≦O≦0.0020%
を含有し、下記に示される溶接割れ感受性指数Pcm値が0.18〜0.21%であり、かつ、下記に示される焼入れ性指数DI値が0.71〜2.00であり、粒子径が0.015〜0.2μmの(Mg、Mn)Sを1平方mmあたり1.0x104〜3.0x105個含み、残部Feおよび不可避的不純物よりなる鋼であることを特徴とする熱影響部低温靭性に優れる超大入熱溶接用高張力鋼。
Pcm=[C]+[Si]/30+[Mn]/20+[Cu]/20+[Ni]/60+[Cr]/20+[Mo]/15+[V]/10+5[B]
DI=0.367([C]1/2)(1+0.7[Si])(1+3.33[Mn])(1+0.35[Cu])(1+0.36[Ni])(1+2.16[Cr])(1+3.0[Mo])(1+1.75[V])(1+1.77[Al])
ここで、[C]、[Si]、[Mn]、[Cu]、[Ni]、[Cr]、[Mo]、[V]、[Al]、[B]は、それぞれC、Si、Mn、Cu、Ni、Cr、Mo、V、Al、Bの質量%で表した含有量を意味する。 - 更に母材強度上昇元素群を、質量%で、
0.05≦Cu≦1.0%、
0.05≦Ni≦1.5%、
0.02≦Cr≦0.6%、
0.02≦Mo≦0.4%、
0.005≦Nb≦0.02%、
0.005≦V≦0.06%、
の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1記載の熱影響部低温靭性に優れる超大入熱溶接用高張力鋼。
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