JP2005320564A - 入熱20〜100kJ/mmの大入熱溶接用高HAZ靭性鋼材 - Google Patents

入熱20〜100kJ/mmの大入熱溶接用高HAZ靭性鋼材 Download PDF

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Abstract

【課題】 入熱20〜100kJ/mmの大入熱溶接用高HAZ靱性鋼材を提供する。
【解決手段】 質量%で、C:0.03〜0.18%、Si:0.01〜0.50%、Mn:0.40〜2.00%、Al:0.005〜0.070%、Ti:0.005〜0.030%、Ca:0.0005〜0.0050%、N:0.0010〜0.0100%、B:0.0002〜0.0050%を含有し、残部はFeおよび不可避不純物からなり、かつ、下記で示される炭素当量Ceq=C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Ni+Cu)/15および固溶B量EB=B−0.77×N+0.23×Tiがそれぞれ、0.35≦Ceq≦0.40、−0.0012≦EB≦0を満たし、45kJ/mm相当の溶接熱サイクルを付与したときの再現HAZ組織のオーステナイト粒の平均粒径が250μm以下であることを特徴とする。
【選択図】 図3

Description

本発明は、船舶、海洋構造物、中高層ビル、橋梁などに使用される溶接熱影響部(以下、HAZと称す。)の靭性に優れた溶接構造用鋼材に関するものである。
近年、船舶、海洋構造物、中高層ビル、橋梁などの大型構造物に使用される溶接用鋼材の材質特性に対する要望は厳しさを増している。さらに、そのような構造物を建造する際、溶接の効率化を促進するため、エレクトロガス溶接法、エレクトロスラグ溶接法などに代表されるような大入熱溶接法の適用が希望されており、鋼材自身の靭性と同様に、HAZの靭性への要求も厳しさを増している。
従来から、大入熱溶接法が適用される鋼材のHAZ靭性に注目した提案は、数多くなされてきた。例えば、特許文献1等に開示されるように、微細なTi窒化物を鋼中に確保することによって、HAZのオーステナイト粒を小さくし、靭性を向上させる方法がある。また、特許文献2ではTi窒化物とMnSとの複合析出物をフェライトの変態核として活用し、HAZの靭性を向上させる方法が提案されている。さらに、特許文献3ではTi窒化物とBNとの複合析出物を粒界フェライトの析出核として活用し、HAZ靭性を向上させる方法が提案されている。
しかしながら、このTi窒化物は、HAZのうち最高到達温度が1400℃を超える溶接金属との境界(以下、溶接ボンド部とも称する。)近傍ではほとんど固溶してしまうので、靭性向上効果が低下してしまうという問題がある。そのため、上記のようなTi窒化物を利用した鋼材では、近年のHAZ靭性に対する厳しい要求や、超大入熱溶接におけるHAZ靭性の必要特性を達成することが困難である。
この溶接ボンド部近傍の靭性を改善する方法として、Ti酸化物を含有した鋼が厚板、形鋼などの様々な分野で使用されている。例えば、厚板分野では特許文献4や特許文献5に例示されているように、Ti酸化物を含有した鋼が大入熱溶接部靭性向上に非常に有効であり、高張力鋼への適用が有望である。この原理は、鋼の融点においても安定なTi酸化物をサイトとして、溶接後の温度低下途中にTi窒化物、MnS等が析出し、さらにそれらをサイトとして微細フェライトが生成し、その結果、靭性に有害な粗大フェライトの生成が抑制されて、靭性の劣化が防止できるというものである。
しかしながら、このようなTi酸化物は、鋼中へ分散される個数をあまり多くすることができないという問題がある。その原因は、Ti酸化物の粗大化や凝集合体であり、Ti酸化物の個数を増加させようとすれば5μm以上の粗大なTi酸化物、いわゆる介在物が増加してしまうためと考えられる。この5μm以上の介在物は、構造物の破壊の起点となったり、靭性の低下を引き起こしたりして、有害であるため回避すべきものである。そのため、さらなるHAZ靭性の向上を達成するためには、粗大化や凝集合体が起こりにくく、Ti酸化物よりも微細に分散する酸化物を活用する必要があった。
また、このようなTi酸化物の鋼中への分散方法としては、Al等の強脱酸元素を実質的に含まない溶鋼中へのTi添加によるものが多い。しかしながら、単に溶鋼中にTiを添加するだけでは鋼中のTi酸化物の個数、分散度を制御することは困難であり、さらには、TiN、MnS等の析出物の個数、分散度を制御することも困難である。そのため、Ti脱酸のみによってTi酸化物を分散させた鋼においては、例えば、Ti酸化物の個数が充分ではなかったり、厚板の板厚方向の靭性変動を生じたりする問題があった。
さらに、上記特許文献4などの方法では、Ti酸化物を生成しやすくするために、Al量の上限を、0.007%という非常に少ない量で制限している。そのため、鋼材中のAl量が少ない場合、AlN析出物量の不足などの原因により、母材の靭性が低下する場合があった。また、通常使用されている溶接材料を用いてAl量の少ない鋼板を溶接した場合、溶接金属の靭性が低下する場合があった。
このような問題に対して、特許文献6や特許文献7において、Ti添加直後のAl添加、あるいはAl、Ca複合添加で、生成するTi−Al複合酸化物やTi、Al、Caの複合酸化物を活用する技術が提案されている。このような技術により、大入熱溶接HAZ靭性を大幅に向上させることが可能となった。
特公昭55−026164号公報 特開平03−264614号公報 特開平04−143246号公報 特開昭61−079745号公報 特開昭62−103344号公報 特開平06−293937号公報 特開平10−183295号公報
しかしながら、造船業界、建設業界においては、近年、20kJ/mm以上の大入熱溶接、大きいものでは100kJ/mmにもなる大入熱溶接の適用が検討されるようになり、上記の特許文献5〜7などの従来手法より飛躍的に溶接熱影響部靱性を向上させた鋼材が必要とされるようになってきた。さらに、強度確保の点から炭素当量(Ceq)を0.35以上に高めた場合では、従来手法ではHAZ靭性、特に溶接ボンド部近傍の靭性向上が大きく低下することから更なる改善が必要とされるようになった。
そこで、本発明は、Ceqが0.35以上0.40以下の鋼材で、入熱20〜100kJ/mmの大入熱溶接においても優れたHAZ靭性を実現できる、入熱20〜100kJ/mmの大入熱溶接用高HAZ靭性鋼材を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、Ceqが0.35以上0.40以下の鋼材で大入熱溶接がなされたときのHAZ部の金属組織を添加元素の適正化により制御することで達成することを着想した。以下に、本発明がなされるまでの経緯を説明する。
再加熱オーステナイト粒を細粒化するためには、前述のとおり、高温でのオーステナイト粒の成長を抑制することが必要である。その手段として最も有効な方法は、分散粒子によりオーステナイトの粒界をピンニングし、粒界の移動を止める方法が考えられる。そのような作用をする分散粒子としては、従来、Ti窒化物(特許文献1〜3参照)や、1400℃以上の高温で安定なTi酸化物(特許文献4、5参照)がピンニング粒子として活用されてきた。そして、分散粒子による結晶粒界のピンニング効果は、分散粒子の体積率が大きいほど大きいことから、Al、Caを随時脱酸元素として用いて酸化物の体積分率を大きくし、かつ適正な粒子径とする方法が提案されてきた(特許文献6、7参照)。これにより、HAZの再加熱オーステナイト粒はピンニングにより極めて有効に細粒化し、HAZ靭性もそれに伴い向上する。
しかし、溶接入熱が20〜100kJ/mmと大入熱である場合、特にCeqが0.35以上0.40以下の鋼材ではHAZ組織が上部ベイナイト主体の粗い組織となるため十分なHAZ靭性が得られないという問題が新たに生じた。従って、HAZ靭性を改善するためには、粒内の組織を細かくすることが必要であると考えた。そして、粒内のベイナイト組織を細かくするにはBの添加が有効であることを見出した。
しかし、単にBを添加するだけでは粒内のベイナイト組織を細かくしない場合がある。そこで、本発明者らは更に詳細検討した。その結果、下記(2)式で示されるEBが−0.0012以上0以下を満たすことにより粒内の組織が針状のフェライトを含む微細な組織となることを見出した。
本発明は、以上の知見に基づき、さらに検討を重ねてはじめてなされたものであり、その要旨は、下記のとおりである。
(1)質量%で、C:0.03〜0.18%、Si:0.01〜0.50%、Mn:0.40〜2.00%、Al:0.005〜0.070%、Ti:0.005〜0.030%、Ca:0.0005〜0.0050%、N:0.0010〜0.0100%、B:0.0002〜0.0050%を含有し、P:0.020%以下、S:0.020%以下であり、残部はFeおよび不可避不純物からなり、かつ、下記(1)式で示される炭素当量(Ceq)が0.35≦Ceq≦0.40、下記(2)式で示される固溶B量(EB)が−0.0012≦EB≦0を満たし、45kJ/mm相当の溶接熱サイクルを付与したときの再現HAZ組織のオーステナイト粒の平均粒径が250μm以下であることを特徴とする、入熱20〜100kJ/mmの大入熱溶接用高HAZ靭性鋼材。
Ceq=C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Ni+Cu)/15 (1)
EB=B−0.77×N+0.23×Ti (2)
ただし、C、Mn、Cr、Mo、V、Ni、Cu、B、N、Tiは、各元素の含有量(質量%)である。
(2)さらに選択元素として、質量%で、Cu:0.10〜1.00%、Ni:0.10〜4.00%、Nb:0.005〜0.100%、V:0.010〜0.100%、Cr:0.01〜0.60%、Mo:0.01〜0.60%、Mg:0.0002〜0.0050%、REM:0.0002〜0.1000%の1種または2種以上を含有することを特徴とする、上記(1)に記載の入熱20〜100kJ/mmの大入熱溶接用高HAZ靭性鋼材。
本発明は、船舶、海洋構造物、中高層ビルなどの破壊に対する厳しい靭性要求を満足する鋼板を供給するものであり、この種の産業分野にもたらす効果は極めて大きく、さらに構造物の安全性の意味から社会に対する貢献も非常に大きい。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明は、船舶、海洋構造物、中高層ビル、橋梁などに使用される溶接構造用鋼材全般に加えて、鋼管用素材の鋼板、棒鋼、条鋼、熱延鋼板などにも適用可能であり、いずれの場合も溶接継手部の靭性の大幅向上が得られるものである。
まず、本発明の基本成分範囲の限定理由について述べる。
Cは、鋼の強度を向上させる有効な成分として下限を0.03%とし、また過剰の添加は、鋼材の溶接性やHAZ靭性などを著しく低下させるので、上限を0.18%とした。
Siは、母材の強度確保、脱酸などに必要な成分であり0.01%以上添加するが、HAZの硬化により靭性が低下するのを防止するため上限を0.50%とした。
Mnは、母材の強度、靭性の確保に有効な成分として0.40%以上の添加が必要であるが、溶接部の靭性、割れ性などの許容できる範囲で上限を2.00%とした。
Pは、含有量が少ないほど望ましいが、これを工業的に低減させるためには多大なコストがかかることから、許容範囲を0.020%以下とした。
Sは、含有量が少ないほど望ましいが、これを工業的に低減させるためには多大なコストがかかることから、許容範囲を0.020%以下とした。
Alは、重要な脱酸元素であり、下限値を0.005%とした。また、Alが多量に存在すると、鋳片の表面品位が劣化するため、上限を0.070%とした。
Tiは、Nと結合してTi窒化物を形成させるために0.005%以上添加する。しかし、固溶Ti量が増加するとHAZ靭性が低下するため、0.030%を上限とした。
Caは、Ca系酸化物を生成させるために0.0005%以上の添加が必要である。しかしながら、過剰の添加は粗大介在物を生成させるため、0.0050%を上限とした。
Nは、Tiと結合してTi窒化物を形成させるために0.0010%以上添加するが、量が増えると固溶Nが増大しHAZ靭性の低下を招くことから0.0100%を上限とした。
Bは、加熱オーステナイト粒界に生成するフェライトの成長を抑制する上で有効な元素であり、少なくとも0.0002%添加する。しかし、多量に添加すると鋼材の靭性を劣化させるため、上限を0.0050%とした。
Cuは、鋼材の強度および耐食性を向上させるために必要に応じて0.10%以上添加するが、1.00%を越えるとHAZ靭性を低下させることから、1.00%を上限とした。
Niは、母材靭性を大きく低下させずに強度を向上させ、またHAZ靭性を改善させる傾向があることから必要に応じて0.10%以上添加するが、4.00%超の添加は製造コストを上昇させることから、Niの範囲を0.10%以上4.00%以下とした。
Nbは、焼き入れ性を向上させることにより母材の強度を向上させるために有効な元素であり必要に応じて添加するが、0.005%未満の添加では十分な強度上昇が得られず、また0.100%を超える過剰な添加は母材の靭性を著しく低下させることから、Nbの添加範囲を0.005%以上0.100%以下とした。
Vは、母材の強度を向上させるために有効な元素であり、必要に応じて0.010%以上添加するが、過剰な添加は母材靭性を著しく低下させることから、それぞれ0.100%を上限とした。
Cr、Moもまた母材の強度を向上させるために有効な元素であることから必要に応じて0.01%以上添加するが、ともに過剰な添加は母材靭性を著しく低下させることから、それぞれ0.60%、0.60%を上限とした。
Mg、REMは、いずれも溶鋼中Caに次ぐ脱酸力を有し、Caによる微細酸化物形成を補助する働きがあることからともに必要に応じて0.0002%以上添加するが、過剰に入れるとCaと比較してコストアップが大きいとともに、粗大介在物を作って鋼板およびHAZの靭性を阻害することから、それぞれの上限を0.0050%、0.1000%とした。
次に、上述(2)式で示されるEB値の限定理由について説明する。
発明者らは上述の通り、HAZ靭性改善に粒内のベイナイト組織の細粒化が必要と考え、そのためにはBの添加が有効であることを見出した。45kJ/mm相当の溶接熱サイクルを付与したときの再現HAZ組織中のオーステナイト粒界から生成する組織が、B無添加時には上部ベイナイトの塊が主体であったものが、B添加により針状に伸びたフェライトが占める割合の多い組織へと変化し、組織が微細になることを見出した。但し、単にBを添加するだけでは全面が上部ベイナイト組織となり、HAZ靭性が改善しないどころかかえって低下することがある。
そこで、本発明者らが更に鋭意検討した結果、Bが固溶している状態であることがHAZ靭性が改善しない原因のひとつであることを見出した。そして、Bと化合物を形成するTi、Nを含む上述(2)式で示される固溶B量(EB)を指標として、HAZ靭性との関係を検討した。
検討には、45kJ/mm相当の溶接熱サイクルを付与したときの再現HAZ組織(以下単に「再現HAZ組織」ともいう。)を用いた。45kJ/mm相当の溶接熱サイクルとは、熱サイクル試験片を用いて、板厚65mmの鋼板を入熱45kJのエレクトロガス溶接を施した際に得られるHAZのいくつかの部位から得られた熱履歴をもとに解析した板厚中心の溶融線での熱履歴を意味する。より具体的には、図1に示すように、室温から最高加熱温度1400℃まで40秒で加熱し、この最高加熱温度に25秒間保持した後、800℃から500℃までを5分間かけて冷却する熱履歴を意味する。
その結果、図2に示すように、EBの値が0質量%以下の範囲であれば、再現HAZ組織中の針状に伸びたフェライトが占める割合の多い組織へと変化し組織が微細になることを見出した。そして図3に示すように、オーステナイト粒の粒径が250μm以下であり、かつ、EBの値が−0.0012質量%以上0質量%以下の範囲であれば、再現HAZ組織が上述の微細組織となり、再現HAZ靱性は、−20℃におけるシャルピー吸収エネルギー値で−100J以上となり、目標とする靭性が得られることを見出した。図3において、「オーステナイト粗大」と記載したプロット以外のプロットについては平均オーステナイト粒径が250μm以下である。また、EBの値が−0.0012質量%未満のときに再現HAZ靭性が劣化する原因については明らかではないが、恐らくHAZ中の固溶N量が多いためと考えられる。
なお、再現HAZ組織のオーステナイト粒を250μm以下に細粒化させる方法として本発明は、Caを0.0005質量%以上含有させることによって鋼中に微細酸化物を多数分散させ、酸化物のピンニングによって結晶粒を微細化する方法を用いることができる。溶鋼の精錬時に溶鋼をAl、Caにより逐次脱酸することで、より確実に鋼中に微細酸化物を多数分散させることが可能となる。
表1に示した化学成分で試験材を試作した。A1〜A19が本発明鋼、B1〜11が比較鋼である。試験材は真空溶解で溶製している。脱酸は、Ti投入前に溶鋼の溶存酸素をCで調整し、その後、B9およびB10以外の試験材についてはTi、Al、Caを順に添加し脱酸を行った。B9については、TiおよびAlを同時に添加し脱酸を行い、B10については、Ti、Al、Caを同時に添加し脱酸を行った。その後、これら鋼材を1200℃に加熱し15mmの圧延材とし、熱サイクル試験片を採取した。得られた試験片に45kJ/mm相当の大入熱溶接を模擬した図1に示す熱サイクルを付与し、シャルピー衝撃試験による靭性を評価した。靭性は、各試験材を−20℃で3本ずつ試験して得られた平均のエネルギー値で評価した。各試験材の再現HAZ組織の金属組織は、ナイタール腐食して光学顕微鏡により観察した。具体的には、オーステナイト粒の測定は50倍の倍率で撮影した写真(160mm×200mm)から切断法から求めた。
表2には、式(1)で示されるCeq値、式(2)で示されるEB値、再現HAZ組織のオーステナイト粒径、およびHAZ靭性値を示す。
表2から明らかなように、A1〜A19の本発明鋼は、−20℃におけるシャルピー衝撃試験での吸収エネルギー値が100J以上となり優れたHAZ靭性を有することが判る。
一方、比較例のB1〜11は、いずれも−20℃におけるシャルピー吸収エネルギー値が100J以下となっておりHAZ靭性が低い。これらの原因は、いずれも本発明範囲から外れているためである。すなわち、B1〜8は、EB値が本発明範囲から外れているためである。B9は、脱酸条件が他鋼と異なり再現HAZ組織のオーステナイト粒の粗大化を抑制するに十分な微細酸化物が分散できていないため、オーステナイト粒径が250μmを超えて粗大になったためである。B10は、B9同様の理由に加え、Ceq値が低くHAZ組織が粗大なフェライト主体となったためである。B11はCeq値が高くHAZ組織が粗大な上部ベイナイト組織となったためである。
Figure 2005320564
Figure 2005320564
溶接入熱45kJ/mm相当の溶接熱影響部を再現する熱サイクル再現を示す図である。 固溶B量(EB値)と再現HAZ組織中に占める針状フェライトの面積分率との関係を示す図である。 固溶B量(EB値)とHAZ靱性の関係を示す図である。

Claims (2)

  1. 質量%で、
    C :0.03〜0.18%
    Si:0.01〜0.50%
    Mn:0.40〜2.00%
    Al:0.005〜0.070%
    Ti:0.005〜0.030%
    Ca:0.0005〜0.0050%
    N :0.0010〜0.0100%
    B :0.0002〜0.0050%を含有し、
    P :0.020%以下
    S :0.020%以下であり、
    残部はFeおよび不可避不純物からなり、かつ、下記(1)式で示される炭素当量(Ceq)が0.35≦Ceq≦0.40、下記(2)式で示される固溶B量(EB)が−0.0012≦EB≦0を満たし、45kJ/mm相当の溶接熱サイクルを付与したときの再現HAZ組織のオーステナイト粒の平均粒径が250μm以下であることを特徴とする、入熱20〜100kJ/mmの大入熱溶接用高HAZ靭性鋼材。
    Ceq=C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Ni+Cu)/15 (1)
    EB=B−0.77×N+0.23×Ti (2)
    ただし、C、Mn、Cr、Mo、V、Ni、Cu、B、N、Tiは、各元素の含有量(質量%)である。
  2. さらに、質量%で、選択元素として
    Cu:0.10〜1.00%
    Ni:0.10〜4.00%
    Nb:0.005〜0.100%
    V :0.010〜0.100%
    Cr:0.01〜0.60%
    Mo:0.01〜0.60%
    Mg:0.0002〜0.0050%
    REM:0.0002〜0.1000%
    の1種または2種以上を含有することを特徴とする、請求項1に記載の入熱20〜100kJ/mmの大入熱溶接用高HAZ靭性鋼材。
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