JP5691072B2 - 25−ヒドロキシビタミンd3を用いた高血糖の治療 - Google Patents

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Description

発明の詳細な説明
[技術分野]
本発明は、25−ヒドロキシビタミンD3(カルシフェジオール)を使用して、ヒトの高血糖を治療することに関する。血糖は、基線よりも正常値に近いレベルまで低減される。任意に、ビタミンD3を25−ヒドロキシビタミンD3と一緒に使用してもよい。
[背景技術]
ビタミンD(エルゴカルシフェロールおよびコレカルシフェロールなど)とは、それぞれの生物活性によって定義される脂溶性化合物の総称である。ビタミンDの欠乏によって、子どもではくる病、成人では骨軟化症が起こる。しかしながら、数ヶ月間にわたって1日あたりの推奨摂取量(すなわち、ビタミンD5〜15μgまたは200〜600IU)の100倍を超えて慢性的に摂取すると、毒性が生じる可能性がある。ビタミンDの場合、「毒性の閾値は体重1kgあたり1日で500〜600mcgである。通常、成人はRDAの3倍を超えて長期間消費すべきではない」(Garrison & Somer, The Nutrition Desk Reference, Third Ed., McGraw−Hill, pg. 82, 1997)。高カルシウム血症は、25−ヒドロキシビタミンDの血中濃度が375nmol/Lを超えると生じることがある。最近になって、ビタミンDの安全な上限レベルは少なくとも250μg/日(10’000IU)であることが確認された(Hathcockら Am.J Clin. Nutr. 85:6〜18, 2007)。このような健康補助食品を摂取すると、25−ヒドロキシビタミンDの血中濃度が約200nmol/Lになることが明らかになっている。
ビタミンDは、25−ヒドロキシビタミンD(カルシフェジオール;25−OHビタミンD;25−OH D)を生成するのに肝臓でのヒドロキシル化が必要なプロホルモンの1つであり、この25−ヒドロキシビタミンDが腎臓や他の組織でさらにヒドロキシル化されて、ビタミンDの活性ホルモン形態である1,25−ジヒドロキシビタミンDが生成される。1,25−ジヒドロキシビタミンDは、血液中に放出され、ビタミンD結合タンパク質(DBP)と結合し、標的組織まで運ばれる。1,25−ジヒドロキシビタミンDとビタミンD受容体とが結合することで、この複合体が細胞核で転写因子として機能するようになる。
ビタミンD欠乏によって、骨吸収が促進されることがある。また、それによって、心臓血管系、免疫系、筋肉系の機能が調節されることもある。疫学的研究では、ビタミンD摂取とそれが血圧またはグルコース代謝におよぼす影響との関連性が見いだされている。ビタミンDの活性は、副甲状腺ホルモンによる負のフィードバック制御下にある。
ビタミンDと25−OH D3は、ともに今まで医薬品として投与されてきている。ビタミンDは、言うまでもなく、広く利用可能である。米国では以前、25−OH D3がオルガノン(Organon) USAから「CALDEROL」という商品名で販売されていたが、現在はFDAの販売中止対象薬の一覧に含まれている。これは、コーン油と25−OH D3を含有するゼラチンカプセルであった。
現在は、液状の25−OH D3が、スペインにてFAES Farmaから「HIDROFEROL」という商品名で油性溶液として販売されている。
また、ビタミンDと25−OH D3との組み合わせが、動物の飼料に用いられている。飼料用の25−OH D3は、DSMから「ROVIMIX HY−D」という商品名で市販されている。
5%〜50%(wt/wt)の量で油に溶解された少なくとも25−OH D3と酸化防止剤、25−OH D3と油の液滴をカプセル化する作用剤、栄養添加剤(ビタミンD3など)を含む飼料プレミックス組成物が、Tritschら(米国特許出願公開第2003/0170324号明細書)によって開示されている。このプレミックスを、家禽類、ブタ、イヌまたはネコ用の食品に添加してもよい。この組成物は、25−OH D3を酸化に対して安定させる。
25−OHビタミンD3とビタミンD3の組み合わせを動物用の飼料に添加することが、Simoes−Nunesら(米国特許出願公開第2005/0064018号明細書)によって開示されている。特に、約10μg/kg〜約100μg/kgの25−OHビタミンD3と、約200IU/kg〜約4,000IU/kgのビタミンD3を、ブタ用の飼料に添加する。この添加によって、ブタの骨強度が改善される。
25−OHビタミンD3とビタミンD3の組み合わせを家禽類用の飼料に添加して、脛骨軟骨発育不全症の影響を改善することが、Starkら(米国特許第5,695,794号明細書)によって開示されている。
Borensteinらの米国特許第5,043,170号明細書には、産卵鶏および老齢鶏の卵殻強度および下肢強度を改善するための、ビタミンD3と、1−α−ヒドロキシコレカルシフェロールまたは1α,25−ジヒドロキシコレカルシフェロールのいずれかとの組み合わせが開示されている。
Chungらによる国際公開第2007/059960号パンフレットには、ビタミンD3と25−ヒドロキシビタミンD3の両方を含有する食餌を与えられた雌ブタで、全身の健康状態、体格、産仔数と健康、その他の生産パラメータが改善されることが開示されている。また、ヒト用の25−OH D3栄養補助食品が開示されているが、体重1kgあたり5〜15マイクログラムというその投与量の範囲(一人あたり300〜900マイクログラムという極めて高い一日投与量に相当)は極めて高い。
本発明者らの知るところでは、従来技術は、25−ヒドロキシビタミンD3をヒト用の薬として使用して高血糖を治療することについては、何ら教示も示唆もしていない。血糖を正常化するためにヒトを有効量のビタミンD3および25−ヒドロキシビタミンD3で治療する場合、組成物の形態と投与量によって望ましい効果が得られる。他の利点および改善点については、後述するか、あるいは本明細書の開示内容から自明であろう。
[発明の概要]
25−ヒドロキシビタミンD3(カルシフェジオール)を薬として使用して、ヒトの高血糖を抑えるまたは血糖を正常なレベルに維持することが可能であることが見いだされている。この薬は、任意にビタミンD3(コレカルシフェロール)をさらに含むものであってもよい。ヒトは、子どもや若者をはじめとして、誕生から成人まで、18歳から80歳まで、あるいは80歳を超えるなど、どの年齢であってもよい。医薬組成物の形態と投与量ならびに、薬の製造方法についても開示する。
第1の態様では、少なくとも25−ヒドロキシビタミンD3をヒトに投与する方法が得られる。これによって、正常なレベル(空腹時の成人の血漿1リットルあたりグルコース7mmol未満など)に近いレベルまで血糖を下げるか、そのレベルに維持することができる。任意に、25−ヒドロキシビタミンD3と一緒にまたは別々に、ビタミンD3を投与してもよい。これについては、1日1回、1週間に1回または1ヶ月に1回投与すればよい。
別の態様では、ビタミンD3と、25−ヒドロキシビタミンD3と、薬学的に許容されるキャリアとを、ヒトの血糖レベルを下げる量で含む、ヒトでの用途に適した医薬組成物が得られる。
別の態様については、以下の説明および特許請求の範囲ならびに、これらを一般化したものから自明であろう。
[発明の詳細な説明]
本明細書および特許請求の範囲全体で使用する場合、以下の定義を適用する。
「ビタミンD」は、ビタミンD3(コレカルシフェロール)および/またはビタミンD2(エルゴカルシフェロール)のいずれかを示す。ヒトは、ビタミンD2(エルゴカルシフェロール)を生成できないが、これをビタミンD源として使うことはできる。ビタミンD2は、さまざまな植物によって合成可能であり、ビタミンDに相当するものとしてサプリメントでビタミンDに使用されることが多い。
「ビタミンD代謝物」は、25−ヒドロキシビタミンD3以外のビタミンDの代謝物を意味する。
「25−OH D3」は、具体的には25−ヒドロキシビタミンD3を示す。
「25−OH D」は、血漿中に見られる主要な循環型であるビタミンD2またはビタミンD3のいずれかの25−ヒドロキシル化代謝物を示す。
「予防する」には、疾患の寛解、症候の重篤度の低減、早期介入、疾患の発症期間の延長を含むことを想定しており、患者がその疾患にもはや羅患しないとか、何の症候も経験しないとかいった状況に限定されることを意図したものではない。
ビタミンD3および25−ヒドロキシビタミンD3は、どのような供給源から入手したものであってもよく、その組成物も従来の技術を用いて調製してもよい。通常、ビタミンD3、25−ヒドロキシビタミンD3またはその両方の結晶を、加熱攪拌しながら(別々にまたは一緒に)油に溶解させる。好ましくは、油を容器に移して加熱する。その後、油の温度を維持または経時的に上昇させながら、ビタミンD3、25−ヒドロキシビタミンD3またはその両方を容器に入れる。組成物を攪拌して、ビタミンD3、25−ヒドロキシビタミンD3またはその両方の結晶を溶解させる。油に入れる前に、製粉および/または篩過によって結晶の大きさを小さくし、溶解しやすくしておいてもよい。組成物の攪拌は、かき回し、容器の回転、混合、均質化、再循環または超音波処理によって実施してもよい。好ましくは、油を容器に入れて約80℃〜約85℃の温度まで加熱し、大きさを揃えた結晶を容器に入れ、中身をかき回して結晶を油に溶解させる。
「油」は、ババス油、ココナッツ油、コフネヤシ油、ムルムル脂、パーム核油またはホシダネヤシ油など、食用油、脂質または脂肪のいずれであってもよい。油は、天然油、合成油、半合成油またはこれらの組み合わせであってもよい。天然油は、どのような供給源に由来するものであってもよい(動物、植物、真菌、海洋など);合成または半合成油は、都合のよい技術で製造してもよい。好ましくは、油は、植物中鎖トリグリセリド、主にカプリル酸およびカプリン酸の混合物である。組成物は、任意に、たとえば、酸化防止剤、保存剤、溶解剤、界面活性剤、pH調整剤または緩衝剤、湿潤剤、これらの組み合わせなどの1種類以上の他の好適な成分を含むものであってもよい。上記は、薬学的に許容されるキャリアの例である。
好適な酸化防止剤としては、トコフェロール、混合トコフェロール、天然または合成供給源由来のトコフェロール、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ローズマリー抽出物のような天然酸化防止剤、没食子酸プロピル、ヒト用医薬品の製造に用いられる他の任意の酸化防止剤があげられる。好ましくは、酸化防止剤がトコフェロールである。好適な保存剤としては、メチルパラベン、プロピルパラベン、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸、これらの組み合わせがあげられる。好適な溶解剤としては、アルコール、塩素化炭化水素、これらの組み合わせなどの無機溶媒または有機溶媒があげられる。好適な界面活性剤は、パルミチン酸アスコルビル、ポリソルベート、ポリエチレングリコール、これらの組み合わせなど、アニオン系、カチオン系または非イオン系であってもよい。好適なpH調整剤または緩衝剤としては、クエン酸−クエン酸ナトリウム、リン酸−リン酸ナトリウム、酢酸−酢酸ナトリウム、これらの組み合わせがあげられる。好適な湿潤剤としては、グリセロール、ソルビトール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、これらの組み合わせがあげられる。
油組成物を形成したら、これを他のさまざまな有用な組成物に取り込むことができる。そのうちのいくつかを、以下にあげておく。たとえば、エマルションを形成してもよく、これを任意にカプセル化または噴霧乾燥させてもよい。上述した非水性組成物を水性組成物と組み合わせることで、多岐にわたるエマルションを調製できる。エマルションは、どのようなタイプであってもよい。好適なエマルションとしては、水中油滴型エマルション、油中水滴型エマルション、無水エマルション、固体エマルション、マイクロエマルションがあげられる。エマルションの調製には、都合のよい任意の技術を使用してもよい。エマルションは、水性組成物と非水性(油など)組成物を含有し、後者は、油組成物の総重量に対して約3重量%〜約50重量%の量で油に溶解されたビタミンD3、25−ヒドロキシビタミンD3またはその両方を(別々にまたは一緒に)含む。本明細書で使用する場合、「水性組成物」および「水性相」は同義に用いられる。通常、エマルションは約20%〜約95%の水性組成物と、約5%〜約80%の非水性組成物とを含み得る。しかしながら、好ましくは、エマルションが約85%〜約95%(vol/vol)の水性組成物と、約5%〜約15%(vol/vol)の非水性組成物とを含有する。都合のよいことに、非水性組成物が液滴として水性組成物中に分散していてもよい。たとえば、液滴の平均直径が水性組成物中で約500nm未満であってもよい。都合のよいことに、液滴の平均直径が約100nm〜約200nmである。
特に有利な実施形態では、エマルションは、後にエマルションをさらに処理する(噴霧乾燥など)際に、油組成物のカプセル化を容易にするカプセル化剤を含有する。カプセル化剤は、油組成物をカプセル化できる食用物質であれば何でもよい。好ましくは、カプセル剤が主にコロイド状物質である。このような物質としては、デンプン、動物供給源由来のタンパク質(ゼラチンを含む)、植物供給源由来のタンパク質、カゼイン、ペクチン、アルギン酸塩、寒天、マルトデキストリン、リグニンスルホン酸塩、セルロース誘導体、糖質、糖類、ソルビトール、ゴム、これらの組み合わせがあげられる。
好適なデンプンとしては、植物デンプン(National Starch & Chemical Corp.,New York,NYのCAPSUL(登録商標)またはHI−CAP(登録商標)など)、他の食品用化工デンプン、これらの組み合わせがあげられる。好ましくは、デンプンがCAPSUL(登録商標)化工植物デンプンである。動物供給源由来の好適なタンパク質としては、ゼラチン(ウシゼラチン、ブルーム強度の異なるブタゼラチン(A型またはB型)、魚ゼラチンなど)、脱脂乳タンパク質、カゼイン塩、これらの組み合わせがあげられる。好ましくは、動物タンパク質がゼラチンである。植物供給源由来の好適なタンパク質としては、ジャガイモタンパク質(Roquette Preres Societe Anonyme, Lestrem,FranceのALBUREX(登録商標)など)、マメタンパク質、ダイズタンパク質、これらの組み合わせがあげられる。好ましくは、植物タンパク質がALBUREX(登録商標)ジャガイモタンパク質である。デキストロース当量の異なる好適なマルトデキストリンとして、マルトデキストリン5、マルトデキストリン10、マルトデキストリン15、マルトデキストリン20、マルトデキストリン25、これらの組み合わせがあげられる。好ましくは、マルトデキストリンが、マルトデキストリン15である。好適なセルロース誘導体として、エチルセルロース、メチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、これらの組み合わせがあげられる。好適な糖類として、ラクトース、スクロースまたはこれらの組み合わせがあげられる。好ましくは、糖類がスクロースである。好適なゴムとして、アカシア、ローカストビーン、カラギーナン、これらの組み合わせがあげられる。好ましくは、ゴムがアカシアゴムである。
エマルションがカプセル化剤を含む場合、このカプセル化剤を都合のよい技術で水に分散させ、水性相を形成してもよい。水性相は、選択した成分の特性に応じて、溶液であっても混合物であってもよい。選択した成分の分散には、均質化、混合、乳化、再循環、静的混合、超音波処理、かき混ぜ、加熱またはこれらの組み合わせをはじめとする都合のよい技術を用いればよい。その後、得られる水性相の粘度を、必要に応じて水を加えて調整してもよい。エマルションの水性組成物は、非水性組成物に関して上述したものを含むがこれに限定されるものではない、他の好適な物質を任意に含むものであってもよい。好ましくは、水性組成物は、カプセル化剤、成膜剤、可塑剤、保存剤、酸化防止剤またはこれらの組み合わせを含むものであってもよい。好適な保存剤として、メチルパラベン、プロピルパラベン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、これらの組み合わせがあげられる。好適な酸化防止剤として、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸、クエン酸、これらの組み合わせがあげられる。
好ましくは、水性相が、オクテニルスクシニルデンプン(CAPSUL(登録商標))、マルトデキストリン、アスコルビン酸ナトリウムなどの食品用化工デンプンを含有する。別の好ましい水性相は、ジャガイモタンパク質(ALBUREX(登録商標))、マルトデキストリン20、アスコルビン酸ナトリウムを含有する。選択した成分を水に溶解させるには、都合のよい技術、好ましくはかき混ぜを使用してもよい。混合物を、好ましくはこれが均一で塊のないものになるまで均質化する。好ましくは、約50℃〜約75℃の温度で均質化を実施する。その後、得られる水性相の最終粘度を、好ましくは約250cp〜約450cp、一層好ましくは約300cp〜約400cp、なお一層好ましくは約385cpの所望の粘度に調整してもよい。
エマルションを形成するには、均質化、ロータ−ステータ剪断、高圧剪断およびキャビテーション、高速「カウリング」または剪断攪拌、これらの組み合わせをはじめとする任意の手段で、非水性組成物と水性相を乳化してもよい。エマルションの容量および粘度については、好ましくは、乳化後に水を加えて調整してもよい。好ましくは、非水性組成物および水性組成物を均質化によって乳化する。好ましくは、エマルションは、鉱物、遷移金属またはペルオキシドを含有しないものとする。
上述したように、他の有用な組成物、特に噴霧乾燥粉末などのカプセル化油の製造時に、エマルションを取り込むかまたは利用してもよい。通常、カプセル化油は、油組成物と、油組成物をカプセル化するカプセル剤とを含み、この場合の油組成物は、油に溶解されたビタミンD3、25−ヒドロキシビタミンD3またはその両方を、油組成物の総重量に対して約5重量%〜約50重量%の量で含有する。カプセル化油の製造には、噴霧乾燥、フリーズドライ、流動床乾燥、トレイ乾燥、吸着、これらの組み合わせをはじめとする従来の技術による上述したエマルションの乾燥など、都合のよい任意の技術を用いればよい。好ましくは、カプセル剤を含有する上記の水性相を有するエマルションを噴霧乾燥してカプセル化油を生成する。噴霧乾燥のパラメータは、最終的なカプセル化油に望ましい物理的特徴に左右される。このような物理的パラメータとしては、粒度、粉末の形状とフロー、水分含有量があげられる。好ましくは、油が、カプセル化油の総重量に対して約30重量%未満、約20重量%未満、約10重量%未満または約5重量%未満の量である。カプセル化油は流動性に優れたものでなければならず、ビタミンD3および/または25−ヒドロキシビタミンD3が組成物全体に均一に分散しなければならない。都合のよいことに、カプセル化油が粉末である。他の好適な添加剤をカプセル化油に加えてもよい。このような添加剤の1つが、カプセル化油の流動性を高めるための二酸化ケイ素などのフロー剤であってもよい。
[投与量]
毎日.2種類の有効成分を別々にまたは単独で投与する場合の本発明による組成物は、ビタミンDまたは25−OH D3を、約1μg〜約50μg、好ましくは約5μgおよび25μgの量で含有する。あるいは、ビタミンDと25−OH D3の両方を含む1日の単回投与量に、各有効成分を、約1μg〜約50μg、好ましくは約5μgおよび25μgの量で含有する。
ビタミンD対25−OH D3の用量比については、約50:1〜約1:50であってもよく、一層好ましくは約25:1〜約1:25、なお一層好ましくは約6:1〜約1:6であってもよい。
別個の複数の投与量を単一のキット(または容器)に梱包してもよい。たとえば、1日の投与量30組を、両方の活性成分を別々に分けて(すなわち別々の60の投与量)キットを構成してもよいし、混合(すなわち両方の有効成分を含有する30の投与量)して構成してもよい。この投与量をヒトに投与するための指示をキットに入れておいてもよい。
毎週.1週間の単回投与量には、ビタミンDまたは25−OH D3を約7μg〜約350μg、好ましくは約35〜175μgの量で含有する。あるいは、1週間の単回投与量が、ビタミンDと25−OH D3の両方をそれぞれ約7μg〜約350μg、好ましくは約35〜175μgの量で含有してもよい。ビタミンD対25−OH D3の用量比については、約50:1〜約1:50であってもよく、一層好ましくは約25:1〜約1:25、なお一層好ましくは約6:1〜約1:6であってもよい。
毎月.1ヶ月の単回投与量には、ビタミンDまたは25−OH D3を30μg〜約1500μg、好ましくは約75μg〜約500μgの量で含有する。あるいは、1ヶ月の単回投与量が、ビタミンDと25−OH D3の両方をそれぞれ、30μg〜約1500μg、好ましくは約75μg〜約500μgの量で含有してもよい。1週間または1ヶ月の投与量を1組、2組、3組、4組、5組、6組、7組、8組、9組、10組、11組または12組でキットを構成してもよい。
ビタミンD対25−OH D3の用量比については、50:1〜約1:50の範囲とし、一層好ましくは約25:1〜約1:25、なお一層好ましくは約6:1〜約1:6の範囲とする。
血糖は、血液またはその画分(血漿および血清など)中のグルコースの量を求めるための酵素結合アッセイを用いて簡便に測定可能である。糖尿病患者の血糖を監視するには、多くの異なるアッセイや装置を利用可能である。長期間にわたって高レベルのグルコースに曝露されるとヘモグロビンがグリコシル化されるため、グリコシル化ヘモグロビンを測定すれば慢性高血糖を監視できる。高血糖は、糖尿病患者での顕著な空腹感(過食症)、過剰な口渇(多飲症)、過剰な排尿(多尿)、疲労、体重減少、創傷治癒のしにくさなどの症候につながることがある。血中(血漿)グルコースの正常なレベルは、空腹時の成人において約4mmol/Lから約7mmol/Lとされている。
ヒトに経口投与した25−ヒドロキシビタミンD3と、それによって生じる全身濃度との関係について、ビタミンD3を経口投与した場合と比較したデータが不足している。ビタミンD3および25−ヒドロキシビタミンD3の動態に関する現時点までの最も包括的な分析は、Barger−Luxらによって実施された(Osteoperosis 8:222〜230, 1998)。健康な男性に最大1250μg/日のビタミンD3を8週間にわたって投与し、最大50μg/日の25−ヒドロキシビタミンD3を4週間にわたって投与した。ビタミンD3と血漿25−ヒドロキシビタミンD3との関係についての曲線動態が実証され、これが肝臓でのヒドロキシラーゼ活性の飽和によるものである可能性も示唆された。これは、25−ヒドロキシビタミンD3の投薬が曲線動態を生成するものとして報告されてはいないという点で裏付けられた(Barger−Luxら、1998)。25−ヒドロキシビタミンD3に関するデータはまさに曲線動態を示すが、これは生理学的な利益が最大限になると思われるレベルを超えて用量を延ばした場合に明らかになるものにすぎず、極めて高用量で圧倒される恒常性維持機構の活性を示すことがある。生理学的範囲内で、この関係は線形でBarger−Luxらのものに匹敵するように見える。これらのデータから、健康上の最大の利点を得るには25−ヒドロキシビタミンDの一日量として10μg〜60μgが必要であることが分かる。
噴霧乾燥した25−ヒドロキシビタミンD3、噴霧乾燥したビタミンD3またはその両方を経口投与して、ヒトでの薬物動態に関する研究を開始し、その生理学的相互作用を調査した。特に、その用量反応曲線(単に得られた平均濃度や最大濃度ではなく、一定時間内の経時的なビタミンD3および25−ヒドロキシビタミンD3の循環濃度を示す)の形状と定常状態の動態を対象とした。前者の点に関しては、ビタミンD3と25−ヒドロキシビタミンD3の両方に曝露した場合の用量反応曲線の形状の変化を調査することが重要である。後者の点に関しては、投与が毎日よりも少ない場合の定常状態の動態を調査することも必要である。なぜなら、(高齢者など)毎日摂取しにくい場合もあり得るグループでは、そのほうが好ましいレジメンだからである。
以下の非限定的な実施例は、本発明を一層よく例示するために示すものである。
[実施例]
[実施例1]
[治験]
[製剤]
[材料および方法]
25−ヒドロキシビタミンD3の噴霧乾燥製剤を粉末として提供した。要約すると、25−ヒドロキシビタミンD3およびDL−α−トコフェロールを中鎖トリグリセリドの油に溶解させた後、化工デンプン、スクロース、アスコルビン酸ナトリウムの水溶液に乳化した。このエマルションを二酸化ケイ素の存在下にて噴霧乾燥器で微粒化した。水分含有量(LDO)が4%未満になったら、得られた粉末を回収し、400μmで篩過した。これをアルミ製の袋に包装して封止した後、15℃未満の乾燥した場所で保管し、製造から12ヶ月以内に使用した。
3種類のロットを製造した。詳しく説明すると、アンカー型攪拌羽根を備えるFRYMIXプロセスユニットで、70℃にて真空下で120分間混合してマトリクスを生成した。
・17.300kgの水(WBI)
・13.460kgの食品用化工デンプン(CAPSUL HS)
・3.270kgのスクロース
・0.730kgのアスコルビン酸ナトリウム
プロペラスターラーを備える二重壁容器で、82℃にて35分間混合して、油相を調製した。
・0.550kgのBERGABEST MCT油60/40
・0.049kgのカルシフェジオール(HY−D USP)
・0.183kgのDL−α−トコフェロール
油相をFRYMIXプロセスユニット内のマトリクスに移し、内部のコロイドミル(60分、70℃)で事前乳化させた。この事前乳化物を高圧ホモジナイザに循環させた(20分)。70℃での粘度が60mPa・s〜90mPa・sのエマルションを高圧ポンプでスプレーノズルまで送った。流動化剤として、二酸化ケイ素(SIPERNAT 320 DS)を塔に供給した。噴霧乾燥パラメータを以下にあげておく。
Figure 0005691072

3ロットの25−ヒドロキシビタミンD3それぞれについて、25−ヒドロキシビタミンD3含有量約0.25%の噴霧乾燥粉末平均8.4kgを得た。製剤の他の成分は、食品用化工デンプン73.2%、スクロース17.6%、アスコルビン酸ナトリウム4.0%、中鎖トリグリセリド3.0%、二酸化ケイ素1.0%、DL−α−トコフェロール1.0%である。
ビタミンD3の噴霧乾燥製剤を粉末として提供した。要約すると、ビタミンD3およびDL−α−トコフェロールを中鎖トリグリセリドの油に溶解させた後、化工デンプン、スクロース、アスコルビン酸ナトリウムの水溶液に乳化した。このエマルションを二酸化ケイ素の存在下にて噴霧乾燥器で微粒化した。水分含有量(LOD)が4%未満になったら、得られた粉末を回収し、篩過して大きな塊を取り除いた。これを15℃未満の乾燥した場所で保管し、製造から12ヶ月以内に使用した。
[治験]
[被験者]
インフォームドコンセントを用いて健康な閉経後の女性(50〜70歳)を募集し、以下の基準でふるい分けた。血清25−ヒドロキシビタミンD3が20nmol/L〜50nmol/L、肥満度指数18kg/m〜27kg/m、血圧146/95mm Hg未満、血清カルシウム2.6nmol/L未満、空腹時グルコース100mg/dl未満、1週間に3回を超えて激しい運動をしない、高血圧症の治療歴なし、骨代謝に影響する高用量ビタミンDまたはカルシウムサプリメントまたは薬物(ビスホスホネート、カルシトニン、エストロゲン受容体調節因子、ホルモン補充療法、副甲状腺ホルモン)の使用歴なし、研究中は「日当たりの良い」場所に足を運ばない。
被験者を7つの処理群(すなわち、毎日、毎週、一用量でのボーラス、組み合わせ用量でのボーラス)に無作為に振り分けた。各群を被験者5名ずつで構成した。彼らをスイスのチューリッヒで冬季に4ヶ月間追跡した。
[計画]
目的は、ヒトに投与したビタミンD3および25−ヒドロキシビタミンD3の薬物動態特性を研究および比較することであった。両方の物質を等モル量で調査した。レジメンは、25−ヒドロキシビタミンD3を20μg/日(またはそれに相当する量を週ベースで)とした。比較目的で、等モル量のビタミンD3または25−ヒドロキシビタミンD3のいずれかを投与する必要があった。ビタミンD3の投与に関しては、バックグラウンドのばらつきに影響されず、参加者にとっての有効用量を提供するのに十分な用量であると思われた。
毎日:120回投与
1. 25−ヒドロキシビタミンD3 20μg
2. ビタミンD3 20μg(800IU)
毎週:16回投与
3. 25−ヒドロキシビタミンD3 140μg
4. ビタミンD3 140μg(5600IU)
ボーラス:単回投与
5. 25−ヒドロキシビタミンD3 140μg
6. ビタミンD3 140μg(5600IU)
ボーラス:組み合わせ投与
7. D3および25(OH)D3 140μg(5600IU)+140μg
ハードゲルカプセル(瓶入り)には、噴霧乾燥ビタミンD3または25−ヒドロキシビタミンD3のいずれかが1カプセルあたり20μgまたは140μgのいずれかで含まれている。各投与量を朝食時に経口摂取した。研究期間は、「毎日」および「毎週」群で4ヶ月であった。「ボーラス」群に登録された被験者は、2回目の研究での来訪時に単一投与量を経口摂取した。
この投与量を摂取後、さまざまな時点で被験者から試料を入手して、25−ヒドロキシビタミンD3の血漿濃度(ピークおよび定常状態など)を求めた。スクリーニング目的と基線値を確立するために、研究への参加前に血液試料を採取し、臨床検査室で、血清中のビタミンD3、25−ヒドロキシビタミンD3、カルシウム、クレアチニン、アルブミン、空腹時グルコースを測定した。研究1週目の月曜日に、血清ビタミンD3、25−ヒドロキシビタミンD3、1,25−ジヒドロキシビタミンD3の薬物動態;血清マーカー(すなわち、ビタミンD3、25−ヒドロキシビタミンD3、カルシウム、クレアチニン、アルブミン、PTH、GOT、GPT、ALP、トリグリセリド、HDL、LDL、総コレステロール、bALP、空腹時グルコース);尿マーカー(すなわち、カルシウム、クレアチニン、DPD)を24時間かけて評価した。1週目の残りの日と2週目の月曜日の1日試料を採取して、血清ビタミンD3および25−ヒドロキシビタミンD3、血清マーカー(すなわち、カルシウム、クレアチニン、アルブミン)、尿マーカー(すなわち、カルシウム、クレアチニン)を評価した。3、5、7、9、11、13、15週目の月曜日にも評価を継続した。16週目の月曜日には、試料を採取して、血清ビタミンD3、25−ヒドロキシビタミンD3、1,25−ジヒドロキシビタミンD3;血清マーカー(すなわち、ビタミンD3、25−ヒドロキシビタミンD3、カルシウム、クレアチニン、アルブミン、PTH、GOT、GPT、ALP、トリグリセリド、HDL、LDL、総コレステロール、bALP、空腹時グルコース);尿マーカー(すなわち、カルシウム、クレアチニン、DPD)の薬物動態を評価した。
[結果]
得られた結果の厳密な統計解析については、2つの理由で実施できなかった。第1に、データを非盲検化するにあたり、各群の基線グルコースレベルに差があり、この差が研究の最初から最後まで継続していたことが発覚した。第2に、個々のインスリンレベルを調べるにあたって、そのうちの多数が少なくとも1回の来訪において「0.0」で記録されたことに留意された。このことから、分析、試料、方法のいずれかに問題があるか、あるいはその組み合わせだったことが分かる。
しかしながら、上記の問題にもかかわらず、以下の観察を実施した。
[グルコースレベル:]
ビタミンD3を毎日または毎週摂取した10名の個体のうち、7名で2週目よりも15週目にグルコースレベルの低下が認められた。25−OH D3の場合、10名のうち6名でグルコースレベルが低下した。よって、ビタミンD3と25−OHのどちらもグルコースレベルを下げることができると思われる。
[インスリンレベル:]
ビタミンD3を毎日または毎週摂取した10名の個体のうち、どの来訪時にもインスリンレベルに「0.0」の結果が含まれなかったのは4名しかいなかった。この4名のうち、3名で2週目よりも15週目のほうがインスリンレベルが高くなり、値が下がったのはわずか1名であった。
25−OH D3を毎日または毎週摂取した10名の個体のうち、5名はどの来訪時にもインスリンレベルに「0.0」の結果が含まれなかった。この5名のうち、1名は2週目よりも15週目のほうがインスリンレベルが高かったが、4名はレベルが低下した。
インスリンレベルが下がったのは、インスリン感受性が改善されたことを示すため、望ましい結果である。よって、ビタミンD3よりも25−OH D3のほうがインスリン感受性を改善する機能が優れていたと思われる。
[実施例2]
[マウスによる研究]
25−OH D3または25−OH D3とビタミンD3との組み合わせが血糖に対しておよぼす作用を、マウスでの2つの研究で試験した。
第1の研究では、筋肥大のモデルで、25−OH D3が血糖に対しておよぼす影響を判断した。簡単に説明すると、2つの群の動物10匹を麻酔し、動物の左後肢を固定した。すべての動物に鎮痛剤を与えた。腓腹筋上の皮膚に小さな切開創を作った。腓腹筋と腱全体を露出させた。腓腹筋の両方の頭部を、下にある無傷の筋肉から慎重に切り離し、神経と血管を破断しないよう注意を払った。絹の縫合糸で皮膚を閉じ、動物をケージに戻した。麻酔が切れた後、動物はケージの中で何ら問題なく直接動くことができた。動物に経管栄養で1日投与量50μg/kgの25−OH D3を与え、対照群にはビヒクルを与えて3週間処理した。研究終了時、血液を採取し、Hitachi 912 Automatic Analyserで血漿グルコース濃度を分析した。
第2の研究では、筋萎縮のモデルで、25−OH D3または25−OH D3とビタミンD3の組み合わせが血糖に対しておよぼす影響を試験した。簡単に説明すると、研究開始時に、9ヶ月齢の動物を1群あたり動物10匹で無作為に5群に分けた。これらの動物を3週間にわたって特別なケージに入れて尾部を懸垂した。これによって、負荷軽減した後肢の骨格筋萎縮につながる。負荷軽減の影響を検出するために、後肢の負荷軽減なしで別の群を同様のケージに入れた。すべてのマウスを別々に分けて収容し、水と餌をいつでも自由に摂取できるようにしておいた。3週間にわたる実験の最初から最後まで、経管栄養で動物を毎日処理した。
1.負荷軽減なしの対照群はビヒクル(ゼラチン)を摂取
2.負荷軽減ありの対照群はビヒクル(ゼラチン)を摂取
3.負荷軽減ありのビタミンD3群はビタミンD3(50μg/kg/bw)を摂取
4.負荷軽減ありの25−OH D3群は25−OH D3(50μg/kg/bw)を摂取
5.負荷軽減ありの25−OH D3+ビタミンD3群はビタミンD3+25−OH D3(50+50μg/kg/bw)を摂取
表1に、研究1終了後の血漿グルコース値を示す。
Figure 0005691072

表2に、研究2終了後の血漿グルコース値を示す。
Figure 0005691072
表1の結果から、25−OH D3で処理すると、未処理の対照群に比して血漿グルコースが減少したことが分かる。表2の結果は、後肢負荷軽減によって血糖レベルが上昇する(負荷軽減なしの対照群対負荷軽減ありの対照群)ことを示している。ビタミンD3または25−OH D3での処理によって、血糖レベルは適度に減少した。しかしながら、ビタミンD3と25−OH D3の組み合わせで処理すると、血漿グルコースレベルが相乗的に減少して負荷軽減なしの対照動物のレベルにほぼ達し、よって負荷軽減の影響が改善された。したがって、本発明者らのデータは、ビタミンD3と25−OH D3を組み合わせることで、上昇した血糖レベルが相乗的に低下し、病理的に変化したグルコースレベルが正常化されることを示している。

Claims (2)

  1. 25−ヒドロキシビタミンD3及びビタミンD3を有効成分として含む、高血糖治療剤。
  2. 25−ヒドロキシビタミンD3及びビタミンD3を有効成分として含む、高血糖予防剤。
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