JP5690146B2 - 波長変換素子および波長変換装置 - Google Patents

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Description

本発明は、波長変換素子およびそれを用いた波長変換装置に関するものである。
特許文献1及び2には、非線形光学結晶(SHG結晶)に基本波を入射することによって2次高調波を発生するためのレーザ光波長変換装置が記載されている。特許文献1に記載された装置では、光強度が強い基本波を集光して非線形光学結晶に入射する際、非線形光学結晶の破壊や損傷を抑制する為に、基本波のビーム断面を楕円形としている。また、特許文献2に記載された装置では、ガウス分布状の光強度分布を有する基本波を非線形光学結晶に入射する際、非線形光学結晶の破壊や損傷を抑制する為に、基本波のビーム径を特定の範囲とし、且つ非線形光学結晶の結晶長を特定の範囲とすることによって、非線形光学結晶中における光強度分布をトップハット型としている。
特開平5−11287号公報 特開平9−318985号公報 米国特許第3476463号明細書 特開平10−153750号公報 特開2003−344762号公報 特開平5−173003号公報 特開平3−69926号公報
レーザ加工に用いられるレーザ光源には、チタンサファイアレーザ等のTi系レーザ、Nd:YAGレーザやNd:YLFレーザ等のNd系レーザ、あるいはYb:YAGやYb:KGW等のYb系のレーザなどがある。これらのレーザ光源は、サファイヤや石英といった加工対象物における吸収が小さい(すなわち透過率が高い)波長のレーザ光を発振する。そこで、加工効率を高める(すなわちレーザ光の吸収を増大させる)ために、レーザ光源から出力されたレーザ光の第2高調波や第3高調波が用いられる。例えば、波長1030nmのレーザ光の第2高調波である波長515nmのレーザ光を集光すると、非線形光学効果である二光子吸収によって波長257.5nmのレーザ光を集光した場合と同等の作用を生じる。これにより、加工対象物におけるレーザ光の実効的な吸収量を増大させることが可能となり、加工効率を向上できる。
しかしながら、レーザ光を非線形光学結晶に入射させることにより第2高調波や第3高調波を発生させる場合、レーザ光によって非線形光学結晶自体が損傷を受けるという問題がある。そのため、非線形光学結晶に入射可能なレーザ光の光強度が制限され、ひいては第2高調波や第3高調波の光強度が限られてしまう。一般的なレーザ光は、ガウシアン分布のように、光軸中心において最も強く、周辺部へ向けて次第に弱くなる強度分布を有することが多いので、非線形光学結晶の損傷は主に光軸中心の近傍において生じる。
そこで、ホモジナイザといった光学部品を用いてレーザ光の光強度分布を平坦化し、その後にレーザ光を非線形結晶へ入射させることが考えられる。これにより、非線形結晶へ入射されるレーザ光のピーク強度が低減されるので、非線形結晶の損傷を回避するためにレーザ光に許容される光強度を従来より高めることができる。しかし、光学部品を出射した後のレーザ光の伝播距離が長くなるほど、光強度分布が次第に歪んでしまうので、このような構成では、上述した効果を十分に得ることが難しくなる。また、通常、大気中を進むレーザ光が或る媒質に対して入射及び出射する際、その媒質と大気との界面においてレーザ光の一部が反射し、光損失が発生する。したがって、このような構成では、非線形光学結晶における光損失に加えて、光強度分布を平坦化するための光学部品における光損失が更に生じてしまう。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、光損失を抑制しつつ、非線形光学結晶の損傷を抑えてレーザ光の出力強度を高めることができる波長変換素子および波長変換装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、本発明による波長変換素子は、(1)光軸線から周辺部へ向けて光強度が低下する光強度分布を有する第1のレーザ光を、該第1のレーザ光の光強度分布と比較して平坦化された光強度分布を有する第2のレーザ光に変換する光強度変換用レンズと、(2)光強度変換用レンズと光学的に結合された光入射面を有し、該光入射面に受けた第2のレーザ光の位相を整える位相整合レンズとを備える。そして、位相整合レンズの少なくとも一部は非線形光学結晶によって構成されており、位相整合レンズは、第2のレーザ光の高調波である第3のレーザ光を光出射面から出射する。
この波長変換素子にレーザ光が入射すると、まず光強度変換用レンズにおいてその光強度分布が平坦化され、次いで位相整合レンズにおいてその位相が整えられる。これらの光強度変換用レンズ及び位相整合レンズは、前述したホモジナイザといった光学部品を構成する。そして、この波長変換素子では、位相整合レンズの少なくとも一部が非線形光学結晶によって構成されているので、レーザ光は位相整合レンズにおいて高調波へ波長変換される。このような構成を備える波長変換素子によれば、ホモジナイザといった光学部品と非線形光学結晶とが一体化されているので、これらを個別に配置する場合と比較して光損失を抑制することができる。また、レーザ光の光強度分布が光強度変換用レンズによって平坦化された後にレーザ光が非線形光学結晶へ入射するので、非線形光学結晶の損傷を抑えることができる。したがって、非線形光学結晶へ入射するレーザ光に許容される光強度を向上させ、ひいては高調波の出力強度を高めることができる。
また、波長変換素子は、位相整合レンズの光出射面側の部分が非線形光学結晶によって構成されていることを特徴としてもよい。或いは、波長変換素子は、位相整合レンズが非線形光学結晶から成ることを特徴としてもよい。これらのうち何れかの構成によって、上述した波長変換素子の作用効果を好適に得ることができる。
また、本発明による波長変換装置は、上記第1のレーザ光を発生する光源と、上述したいずれかの波長変換素子とを備える。この波長変換装置によれば、上述した波長変換素子を備えることによって、光損失を抑制しつつ、非線形光学結晶の損傷を抑えてレーザ光の出力強度を高めることができる。
本発明による波長変換素子および波長変換装置によれば、光損失を抑制しつつ、非線形光学結晶の損傷を抑えてレーザ光の出力強度を高めることができる。
本発明に係る波長変換装置の第1実施形態の構成を示す図である。 波長変換素子の光強度変換用レンズに入射される第1のレーザ光、及び光強度変換用レンズから出射される第2のレーザ光の、各光軸と垂直な面内における光強度分布を模式的に示すグラフである。 一実施例としてYb:KGWレーザの出力光(第1のレーザ光)の強度分布を実測した結果を示すグラフと、第1のレーザ光を撮像して得られた画像である。 図3に示された光強度分布を有する第1のレーザ光を第2のレーザ光に変換するための、光強度変換用レンズを構成する非球面レンズの表面形状の一例を示すグラフである。 図4に示された光強度変換用レンズから出射された第2のレーザ光の位相分布を整えるための、位相整合レンズに含まれる非球面レンズの表面形状の一例を示すグラフである。 非線形光学結晶板から出力された第3のレーザ光の強度分布を実測した結果を示すグラフと、第3のレーザ光を光軸方向から撮像して得られた画像である。 比較のため、光強度変換用レンズ及び位相整合レンズのようなホモジナイザを介さずに第1のレーザ光を非線形光学結晶へ入射させ、第2高調波を得た場合における、その第2高調波の光強度分布を実測した結果を示すグラフと、その第2高調波を光軸方向から撮像して得られた画像である。 本発明の第2実施形態に係る波長変換装置の構成を示す図である。 図4に示された光強度変換用レンズから出射された第2のレーザ光の位相分布を整えるための、位相整合レンズに含まれる非球面レンズの表面形状の一例を示すグラフである。
以下、添付図面を参照しながら本発明による波長変換素子および波長変換装置の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明に係る波長変換装置の第1実施形態の構成を示す図である。図1に示されるように、本実施形態の波長変換装置1Aは、レーザ光源10及び波長変換素子20Aを備えている。
レーザ光源10は、波長変換素子20Aに提供するための第1のレーザ光L1を発生する。レーザ光源10としては、例えばNd:YLFレーザ、Nd:YAGレーザ、Ti:sapphireレーザ、Yb:YAGレーザ、Yb:KYWレーザ、或いはYb:KGWレーザ等のパルス光源が好適に用いられる。
波長変換素子20Aは、レーザ光源10から出射された第1のレーザ光L1の光軸に対して垂直な面内における光強度分布を平坦化するためのいわゆるホモジナイザを構成する、単一の光学部品である。波長変換素子20Aは、光強度変換用レンズ21及び位相整合レンズ22を有する。
光強度変換用レンズ21は、非球面レンズからなり、レーザ光源10に対して光学的に結合された光入射面21aと、光入射面21aとは反対側に位置する光出射面21bとを有する。光入射面21aは、レーザ光源10から第1のレーザ光L1を受ける。光強度変換用レンズ21では、第1のレーザ光L1の光軸に対して垂直な面内における光強度分布が平坦化されるように非球面レンズの形状設計がなされている。すなわち、光強度変換用レンズ21は、第1のレーザ光L1の上記光強度分布を平坦化することにより第2のレーザ光L2を生成する。光強度変換用レンズ21は、生成した第2のレーザ光L2を光出射面21bから出射する。なお、光強度変換用レンズ21の材質としては、例えばCaFやMgF等のガラス材料が用いられる。
位相整合レンズ22は、光強度変換用レンズ21の光出射面21bと光学的に結合された光入射面22aを有し、光入射面22aに受けた第2のレーザ光L2の位相を整えるための光学部材である。位相整合レンズ22は、非球面レンズ23及び非線形光学結晶板24を含む。非球面レンズ23は、位相整合レンズ22の光入射面22aを構成する光入射面23aと、光入射面23aとは反対側に位置する光出射面23bとを有する。光入射面23aは、光強度変換用レンズ21から第2のレーザ光L2を受ける。非球面レンズ23の非球面は、第2のレーザ光L2の光軸に対して垂直な面内における位相分布が整うような形状設計がなされている。加えて、非球面レンズ23は、第2のレーザ光L2を平行光や任意の広がり角を有する光に変換する。非球面レンズ23は、第2のレーザ光L2に対してこれらの作用を施したのち、その第2のレーザ光L2を光出射面23bから出射する。なお、非球面レンズ23の材質としては、例えばCaFやMgF等のガラス材料が用いられる。
非線形光学結晶板24は、例えばKTP(KTiOPO)、BBO(ベータバリウムボライト;β−BaB)あるいはLBO(リチウムトリボレート結晶;LiB)といった非線形光学結晶からなる板状の部材である。非線形光学結晶板24は、非球面レンズ23の光出射面23bに接合(或いは接着)された光入射面24aと、光入射面24aとは反対側に位置する光出射面24bとを有する。光出射面24bは、位相整合レンズ22の光出射面22bを構成する。すなわち本実施形態では、位相整合レンズ22の光出射面22b側の部分が、非線形光学結晶板24によって構成されている。光入射面24aは、非球面レンズ23の光出射面23bから第2のレーザ光L2を受ける。非線形光学結晶板24は、この第2のレーザ光L2を、第2高調波や第3高調波といった高調波である第3のレーザ光L3へ波長変換を行う。非線形光学結晶板24は、光出射面24b(すなわち位相整合レンズ22の光出射面22b)から第3のレーザ光L3を出射する。波長変換装置1Aが例えばレーザ加工装置に用いられる場合、この第3のレーザ光L3は、集光レンズによって集光されたのち加工対象物へ照射される。尚、第2高調波以外の高調波を発生させる場合には、非線形光学結晶板24は複数枚の非線形光学結晶板により構成される。
図2は、波長変換素子20Aの光強度変換用レンズ21に入射される第1のレーザ光L1、及び光強度変換用レンズ21から出射される第2のレーザ光L2の、各光軸と垂直な面内における光強度分布を模式的に示すグラフである。図2において、縦軸は光強度(任意単位)を表しており、横軸は光軸線Aからの距離(単位:mm)を表している。また、グラフG11は第1のレーザ光L1の光強度分布を示しており、グラフG12は第2のレーザ光L2の光強度分布を示している。
図2に示されるように、第1のレーザ光L1は、図中の光軸線Aから周辺部へ向けて光強度が低下する、ガウス分布状といった光強度分布を有する。一方、第2のレーザ光L2は、第1のレーザ光L1の光強度分布と比較して平坦化された光強度分布を有する。本実施形態では、第2のレーザ光L2は、光軸線Aの近傍が平坦化されたいわゆるトップハット型の光強度分布を有する。したがって、第2のレーザ光L2のピーク光強度P2は、第1のレーザ光L1のピーク光強度P1と比較して格段に小さくなっている。
本実施形態の波長変換装置1Aおよび波長変換素子20Aでは、位相整合レンズ22の一部が、非線形光学結晶板24によって構成されている。すなわち、ホモジナイザといった光学部品と非線形光学結晶とが一体化されている。したがって、本実施形態の波長変換装置1Aおよび波長変換素子20Aによれば、これらの光学部品を個別に配置する場合と比較して光損失を効果的に抑制することができる。
このような効果について、更に詳しく説明する。一般に、屈折率がnである媒質から屈折率がnである媒質に光が入射するとき、それらの界面での光の反射率Rは次式(1)により表される。

例えば、波長1030nmの光に対するMgFの屈折率は1.37である。したがって、位相整合レンズの非球面レンズがMgFから成る場合、空気と非球面レンズとの境界面における反射率は2.4%となる。このことから、非球面レンズと非線形光学結晶との間に空気が介在すると、レーザ光が非球面レンズから空気中へ出射する際にレーザ光の光量が出射前の97.6%にまで減衰することとなる。これに対し、式(1)から明らかなように、屈折率の異なる二つの媒質の屈折率差が小さいほど、これらの媒質同士の境界面での反射率は小さくなる。本実施形態では、非球面レンズ23と非線形光学結晶板24とが接合されており、非球面レンズ23と非線形光学結晶板24との屈折率差は、これらと空気との屈折率差より小さい。したがって、非球面レンズ23の光出射面23bおよび非線形光学結晶板24の光入射面24aにおける反射率を効果的に低減することができる。一例として、MgFからなる非球面レンズ23にLBO(屈折率1.59)からなる非線形光学結晶板24を接合した場合、境界面における反射率が0.5%となり、光量の減衰率を99.5%にまで緩和させることが可能となる。或いは、これらの材料からなる非球面レンズ23及び非線形光学結晶板24を接着剤(例えばNORLAND社製接着剤、NBA107、屈折率1.51)により接着した場合、非球面レンズ23と接着剤との界面における反射率は0.2%となり、また接着剤と非線形光学結晶板24との界面における反射率は0.07%となる。したがって、光量の減推率を99.7%にまで緩和させることが可能となる。
また、本実施形態の波長変換装置1Aおよび波長変換素子20Aでは、レーザ光の光強度分布が光強度変換用レンズ21及び位相整合レンズ22によって平坦化された後にレーザ光が非線形光学結晶板24へ入射する。これにより、非線形光学結晶板24へ入射するレーザ光のピーク光強度が抑えられ、非線形光学結晶板24の損傷を抑えることができる。したがって、非線形光学結晶板24へ入射する第2のレーザ光L2に許容される光強度が向上し、ひいては第3のレーザ光L3の出力強度を高めることができる。
このような効果について、更に詳しく説明する。非線形結晶を用いて波長変換を行う場合、波長変換により得られる最大の光強度は、非線形結晶の損傷しきい値(損傷を回避しうる範囲で許容される最大の入射光強度)に依存する。非線形結晶の損傷は光強度の空間的な強度分布に依存するので、図2のグラフG11に示されたようなガウス状の光強度分布を有するレーザ光が非線形結晶に入射すると、特にレーザ光の中心近傍において損傷が生じ易い。これに対し、本実施形態では、光強度変換用レンズ21によって光強度分布が平坦化されるので、平均強度を維持しながら空間的な最大強度を低減させることが可能となる。したがって、より大きな平均強度の第2のレーザ光L2を非線形光学結晶板24に入射させることが可能となるので、波長変換後の第3のレーザ光L3の光強度を更に大きくすることができる。
(実施例)
図3は、一実施例としてYb:KGWレーザ(中心波長1028nm、パルス幅約300fs、繰り返し25kHz、平均強度3.93W)の出力光(第1のレーザ光L1)の強度分布を実測した結果を示すグラフと、第1のレーザ光L1を撮像して得られた画像である。図3に示されるように、Yb:KGWレーザから出力された第1のレーザ光L1は、図中の光軸線Aから周辺部へ向けて光強度が低下する、ガウス分布状といった光強度分布を有することがわかる。なお、この第1のレーザ光L1のビーム径(光強度が最大強度の1/eとなる2点間の距離)は、約2.9mmであった。
また、図4は、図3に示された光強度分布を有する第1のレーザ光L1を第2のレーザ光L2に変換するための、光強度変換用レンズ21を構成する非球面レンズの表面形状の一例を示すグラフである。図4において、縦軸は表面の高さ(単位:μm)を表しており、横軸は光軸線Aからの距離(単位:mm)を表している。光強度変換用レンズ21は、例えばこのような表面形状を有する非球面レンズによって構成されることにより、第1のレーザ光L1の光強度分布を平坦化し、第2のレーザ光L2を好適に生成することができる。なお、本実施例では、光強度変換用レンズ21の材質をMgFとした。
また、図5は、図4に示された光強度変換用レンズ21から出射された第2のレーザ光L2の位相分布を整えるための、位相整合レンズ22に含まれる非球面レンズ23の表面形状の一例を示すグラフである。図5において、縦軸は表面の高さ(単位:μm)を表しており、横軸は光軸線Aからの距離(単位:mm)を表している。非球面レンズ23は、例えばこのような表面形状を有することにより、第2のレーザ光L2の位相分布を好適に整えることができ、例えばスーパーガウシアン分布を有する第2のレーザ光L2(次数8、ビーム径5.175mm)を生成することができる。なお、本実施例では、非球面レンズ23の材質をMgFとし、光強度変換用レンズ21との間隔を10cmとした。
また、非線形光学結晶板24として厚さ5mmのLBO結晶を用い、図5に示された位相整合レンズ22から出射された第2のレーザ光L2の波長変換(第2高調波への変換)を行った。図6は、その計測結果として、非線形光学結晶板24から出力された第3のレーザ光L3の強度分布を実測した結果を示すグラフと、第3のレーザ光L3を光軸方向から撮像して得られた画像である。図6に示されるように、第3のレーザ光L3の光強度分布は、第1のレーザ光L1の光強度分布(図3参照)と比較して、十分に平坦化されていることがわかる。なお、この計測結果における第3のレーザ光L3の光強度は54mWであった。
ここで、図7は、比較のため、光強度変換用レンズ21及び位相整合レンズ22のようなホモジナイザを介さずに第1のレーザ光L1を非線形光学結晶へ入射させ、第2高調波を得た場合における、その第2高調波の光強度分布を実測した結果を示すグラフと、その第2高調波を光軸方向から撮像して得られた画像である。一般に、第2高調波の発生効率は入射光の強度の二乗に比例するので、第1のレーザ光L1のように光強度分布が不均一なレーザ光が非線形光学結晶へ入射すると、光強度分布が変化してしまう。図7に示した例では、第1のレーザ光L1のビーム径(2.9mm)から、第2高調波のビーム径(2.7mm)へ縮小している。ビーム径が縮小すると、レンズの実効的な開口数の低減など、レーザ加工において加工効率の低下を招いてしまう。これに対し、本実施形態では、非線形光学結晶板24へ入射する第2のレーザ光L2の光強度分布が平坦であることから、非線形光学結晶板24の前後においてビーム径が維持される。
また、図7に示された比較例では、第2高調波の光強度が61mWとなった。一方、図6に示された本実施例の第3のレーザ光L3の光強度は54mWであった。このように、本実施例では、光強度変換用レンズ21及び位相整合レンズ22において光損失が生じることにより、レーザ光の最終的な光強度は、これらを設けない場合の88%程度まで低下する。しかしながら、本実施例では、非線形光学結晶へ入射するレーザ光のピーク強度が比較例の1/2程度まで低減されているので、比較例の約2倍の光量のレーザ光を非線形光学結晶に入射することが可能となる。すなわち、本実施例により得られる第3のレーザ光L3の最大の光強度は、比較例の第2高調波の光強度の2×0.88=1.76倍にまで増大することができる。
(第2の実施の形態)
図8は、本発明の第2実施形態に係る波長変換装置1Bの構成を示す図である。図8に示されるように、本実施形態の波長変換装置1Bは、レーザ光源10及び波長変換素子20Bを備えている。なお、レーザ光源10の構成は第1実施形態と同様なので、詳細な説明を省略する。
波長変換素子20Bは、レーザ光源10から出射された第1のレーザ光L1の光軸に対して垂直な面内における光強度分布を平坦化するためのいわゆるホモジナイザを構成する、単一の光学部品である。波長変換素子20Bは、光強度変換用レンズ21及び位相整合レンズ25を有する。光強度変換用レンズ21の構成および作用は、前述した第1実施形態と同様である。
位相整合レンズ25は、非線形光学結晶から成る非球面レンズによって構成されている。非線形光学結晶は、例えばKTP、BBOあるいはLBO等である。位相整合レンズ25は、光強度変換用レンズ21の光出射面21bに対して光学的に結合された光入射面25aと、光入射面25aの反対側に位置する光出射面25bとを有する。光入射面25aは、光強度変換用レンズ21から第2のレーザ光L2を受ける。位相整合レンズ25を構成する非球面レンズの表面には、第2のレーザ光L2の光軸に対して垂直な面内における位相分布が整うような形状設計がなされている。加えて、位相整合レンズ25は、第2のレーザ光L2を平行光や任意の広がり角を有する光に変換する。更に、位相整合レンズ25は、第2のレーザ光L2を、第2高調波や第3高調波といった高調波である第3のレーザ光L3へ波長変換を行う。位相整合レンズ25は、光出射面25bから第3のレーザ光L3を出射する。尚、第2高調波以外の高調波を発生させる場合には、位相整合レンズ25は複数枚の非線形結晶板により構成される。波長変換装置1Bが例えばレーザ加工装置に用いられる場合、この第3のレーザ光L3は、集光レンズによって集光されたのち加工対象物へ照射される。
本実施形態の波長変換装置1Bおよび波長変換素子20Bでは、位相整合レンズ25が非線形光学結晶から成る。すなわち、第1実施形態と同様に、ホモジナイザを構成する一部の光学部品が非線形光学結晶により作成されている。したがって、本実施形態の波長変換装置1Bおよび波長変換素子20Bによれば、光学部品と非線形光学結晶とが一体化された第1実施形態と比較して光損失を更に効果的に抑制することができる。また、非線形光学結晶から成る位相整合レンズ25へ入射するレーザ光のピーク光強度が抑えられ、位相整合レンズ25の損傷を抑えることができる。したがって、位相整合レンズ25へ入射する第2のレーザ光L2に許容される光強度が向上し、ひいては第3のレーザ光L3の出力強度を高めることができる。
ここで、第3実施形態に基づいて試作した波長変換素子についての実測値を示すことにより、上述した効果を証明する。比較のために、光強度変換用レンズの材質をMgFとし、その形状を、図4に示された形状に統一した。また、位相整合レンズの材質をLBOとし、光強度変換用レンズと位相整合レンズとの間隔を10cmとした。そして、位相整合レンズの表面形状を、図9に示された形状とした。その結果、この波長変換素子を通過したレーザ光の平均光強度は55mWであった。更に、第3のレーザ光の光強度分布を計測した結果、前述した第1実施形態と同様に均一な光強度分布(図6を参照)を得ることができた。
本発明による波長変換素子および波長変換装置は、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上述した各実施形態では、非線形光学結晶の例としてKTP、BBO及びLBOを例示したが、本発明には、これら以外にも様々な非線形光学結晶を適用することが可能である。
1A,1B…波長変換装置、10…レーザ光源、20A,20B…波長変換素子、21…光強度変換用レンズ、21a,22a,23a,24a,25a…光入射面、21b,22b,23b,24b,25b…光出射面、22…位相整合レンズ、23…非球面レンズ、24…非線形光学結晶板、25…位相整合レンズ、L1…第1のレーザ光、L2…第2のレーザ光、L3…第3のレーザ光。

Claims (3)

  1. 光軸線から周辺部へ向けて光強度が低下する光強度分布を有する第1のレーザ光を、該第1のレーザ光の前記光強度分布と比較して平坦化された光強度分布を有する第2のレーザ光に変換する光強度変換用レンズと、
    前記光強度変換用レンズと光学的に結合された光入射面を有し、該光入射面に受けた前記第2のレーザ光の位相を整える位相整合レンズとを備え、
    前記位相整合レンズ非線形光学結晶から成り、前記位相整合レンズが、前記第2のレーザ光の高調波である第3のレーザ光を光出射面から出射することを特徴とする、波長変換素子。
  2. 前記位相整合レンズの前記光出射面側の部分が前記非線形光学結晶によって構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の波長変換素子。
  3. 前記第1のレーザ光を発生する光源と、
    請求項1または2に記載された波長変換素子とを備えることを特徴とする、波長変換装置。
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