JP5688615B2 - 非晶質合金、光学部品および光学部品の製造方法 - Google Patents

非晶質合金、光学部品および光学部品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明はZrを主成分とする非晶質合金、それを用いた光学部品および光学部品の製造方法に関するものである。
近年、一般的な多結晶金属に代わる新たな素材として、バルク非晶質金属が発見された。非晶質金属の新素材の特徴として、結晶粒界が無く、高硬度、高強度、低ヤング率で、また耐腐食性、耐磨耗性に優れた特徴を示す。さらに、非晶質金属を加熱すると容易に結晶化せず、ガラス転移点(Tg)と結晶化温度(Tx)を示し、過冷却液体域ΔTx(ΔTx=結晶化温度Tx−ガラス転移点Tg)内で流動変形を示す金属である。
上述の過冷却域を有する非晶質合金の中でも、特にZrを主成分とする非晶質合金は、室温環境下では非常に高い耐食性を有している。従来のZrを主成分とする非晶質合金には、Zr−Ni−Al系、Zr−Cu−Al系、Zr−Co−Al系、Zr−Fe−Al系等の種類がある。その中で、過冷却液体域ΔTx(ΔTx=結晶化温度Tx−ガラス転移点Tg)の広い合金系が提案されており(特許文献1)、それらの合金は精密部材や微細部品への展開が期待されている。
また、Zr60Al15Ni7.5Cu15Co2.5の5元系合金の研究が報告されており、2.5at%のCo元素を添加した合金は、無添加の合金と比較して耐食性が向上することが知られていた(非特許文献1)。
特公平7−122120号公報
「Physical and Mechanical Properties of Zr−Based Metallic Glasses」,HisamichiKimura, Material Transactions,JIM,Vol.36,No.7(1995),p.890から895
しかしながら、従来のZrを主成分とする非晶質合金は、過冷却液体域で型成形した後、ガラス転位点以下に冷却し、成形品を成形環境の外である大気中に(もしくは低真空雰囲気)に移動させる。その時、外の環境が酸素や水蒸気が残存した十分に減圧されていない雰囲気である大気中においては、成形品の表面が容易に酸化されるという問題点があった。
また、非特許文献1では、Co元素を2.5at%添加した非晶質合金は耐食性が向上することが開示されているが、Coの添加による耐酸化性や鋳造性、成形性に関する効果は不明であった。
本発明は、この様な背景技術に鑑みてなされたものであり、高い耐酸化性と、鋳造性、成形性に優れた非晶質合金を提供するものである。
また、本発明は、上記の非晶質合金を用いた光学部品およびその製造方法を提供するものである。
上記の課題を解決する非晶質合金は、組成式ZrCo(MはAl、Cu、Niから選ばれる2種類以上の元素であり、a、b、xは原子組成百分率(at%)を示し、50≦a≦75、25≦b≦50、0.5≦x≦1.5の関係を満足し、且つa>bであり、a+b+xの合計は99.8以上である。)からなることを特徴とする。
また、本発明の別の態様としての非晶質合金は、組成式Zr Co (MはAl、Cu、Niから選ばれる2種類以上の元素であり、a、b、xは原子組成百分率(at%)を示し、54.2≦a≦59.7、39.5≦b≦44.78、0.5≦x≦1.5の関係を満足し、且つa>bであり、a+b+xの合計は99.8以上である。)からなることを特徴とする。
上記の課題を解決する光学部品は、上記の非晶質合金を用いた光学部品からなることを特徴とする。
上記の課題を解決する光学部品の製造方法は、上記の非晶質合金を、過冷却液体域ΔTx(ΔTx=結晶化温度Tx−ガラス転移点Tg)の温度範囲に加熱し、型成形により加圧して成形した後、圧力を保持した状態で少なくともガラス転移点Tg以下まで冷却する工程を有することを特徴とする。
本発明は、高い耐酸化性と、鋳造性、成形性に優れた非晶質合金を提供することができる。
また、本発明は、上記の非晶質合金を用いた光学部品およびその製造方法を提供することができる。
実施例1のCo添加濃度と過冷却液体温度の相関関係を示すグラフである。 実施例1におけるCo置換量X=0の時の熱重量分析の結果を示すグラフである。 実施例1におけるCo置換量X=1.の時の熱重量分析の結果を示すグラフである。 実施例1におけるCo置換量X=2.0の時の熱重量分析の結果を示すグラフである。 実施例1におけるCo置換量X=3.0の時の熱重量分析の結果を示すグラフである。 実施例2のCo添加濃度と過冷却液体温度の相関関係を示すグラフである。 本発明の光学部品の製造方法の一実施例を示す工程図である。 本発明の他の光学部品の形状を示す断面図である。 本発明の非晶質合金の相転移を示す概略図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る非晶質合金は、組成式ZrCoからなることを特徴とする。Mは、Al、Cu、Niから選ばれる2種類以上の元素である。a、b、xは原子組成百分率(at%)を示す。aは50≦a≦75、bは25≦b≦50、xは0.5≦x≦1.5の関係を満足し、a>bであり、a+b+xの合計は99.8以上である。なお、原子組成百分率(at%)とは、合金を構成する各元素の割合を表す。
本発明に係る非晶質合金は、高い耐酸化性と非晶質安定性を有し、組成として、主成分のZr元素と、Al、Cu、Niから選ばれる2種類以上の元素とを組合せた三元系または四元系合金に、0.5at%以上1.5at%以下のCo元素を含有することを特徴とする。これにより、本発明の非晶質合金は、優れた耐酸化性と生産性、広い過冷却液体域と低コスト、省資源に貢献する組成を実現している。
なお、本発明の非晶質合金は、更にはZr、Al、Cu、NiおよびCo以外の元素から成る不可避不純物が、全体に対して0.2at%未満であれば含有されていても良い。不可避不純物として考えられるのは、もともとの原材料に含まれているものや、下記の製造工程において混入してしまう元素である。不可避不純物としてBe、B、Si、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Ga、Ge、Y、Nb、Mo、Ag、La、Hf、Ta、W、Sn、Ca等が含まれる可能性がある。
Zr元素の含有量は、50≦a≦75、好ましくは50≦a≦60が望ましい。Zr元素は本発明の非晶質合金の主成分であり、50at%より小さい場合は、過冷却液体温度域を有する非晶質合金とならない。また、上限値は、後述する他の元素の含有量から定めることができる。
MはAl、Cu、Niから選ばれる2種類以上の元素であり、その含有量の合計は、25≦b≦50、好ましくは35≦b≦40が望ましい。含有量の合計が、25at%より小さい場合は、および50at%より大きい場合は、過冷却液体を有する非晶質合金を製造することができない。
Co添加量は、0.5≦x≦1.5、好ましくは0.7≦x≦1.4が望ましい。Co添加量が0.5at%未満の場合、溶解・混合加熱は容易であり且つ原料コストの上昇が少なくすむが、耐酸化性及び過冷却液体域の範囲の改善への寄与は少ない。また、Co添加量が1.5at%より大きいと、耐酸化性への寄与は高いが、溶解加熱時に割れを生じ易く、加熱制御が必要となる。また、溶湯の粘度が増し鋳造性が悪化すると共に、原材料コストはより高くなる。
図6は、本発明の非晶質合金の相転移を示す概略図である。図に示す様に、非晶質合金は加熱により、非晶質相(固体)−過冷却液体−結晶層(固体)−液相の相変化をする。Tgはガラス転移点、Txは結晶化温度を示し、ΔTxは過冷却液体域であり、ΔTx=結晶化温度Tx−ガラス転移点Tgの範囲を示す。Tmは融点を示す。
本発明の非晶質合金は、室温からガラス転移点までの酸化速度は、Co元素を含有していないZr合金の7割以下に低下する為、低真空雰囲気への高温取出しが可能となり、製造工程時間が短縮し、生産性が改善する。また、過冷却液体域での上述の合金の酸化速度が、Co元素無添加の合金の3割以下に低下する為、型成形時の装置内を従来の様に高真空雰囲気に保つ必要がなく、工程が短縮し且つ装置コストも少なく済み、生産性に寄与する。
本発明の非晶質合金は、過冷却液体域ΔTx(ΔTx=結晶化温度Tx−ガラス転移点Tg)が、60K以上となっている。また、好ましい実施例では、80K以上を実現している。過冷却液体域が広くなることは、非平衡状態である非晶質相が温度に対してより安定的になることを意味する。つまり、鋳造により大きな体積をもつ非晶質塊(バルク)を製造し易くなる。更には、過冷却液体域での型成形の条件を広く得ることが可能となり、生産性に大きく寄与する。
また、本発明の非晶質合金は、酸素存在下において室温からガラス転移点Tgまで加熱した時の前記非晶質合金の重量増加率が、Co元素を含有していないZr合金の重量増加率の1/2倍以下であることが好ましい。本発明の非晶質合金は、Co元素をCoとして0.5≦x≦1.5at%含有することにより、コストに過大な付加を与えることなく、耐酸化性が著しく向上し、経済性および生産性向上にも寄与する。
また、本発明の光学部品は、前記の非晶質合金を用いた光学部品であり、前記非晶質合金の非晶質相が少なくとも80%以上(体積率)を占めていることを特徴とする。これは前記非晶質合金を熱間で加工した光学部品の結晶相を示すものであり、非晶質合金を熱間中で加工した部品の非晶質相が、該部品の少なくとも80%以上(体積率)であることにより、高い非晶質体積率を維持できることから、十分な形状転写性を発揮することが可能であり、高い形状精度の光学製品が得られる。
本発明の光学部品の製造方法は、上記の非晶質合金を、過冷却液体域ΔTx(ΔTx=結晶化温度Tx−ガラス転移点Tg)の温度範囲に加熱し、型成形により加圧して成形した後、圧力を保持した状態で少なくともガラス転移点Tg以下まで冷却する工程を有することを特徴とする。
本発明の非晶質合金の製造方法は、原材料を溶解・混合させ合金化して合金インゴットを作製する工程と、該合金インゴットを石英製ノズル内で溶融温度Tm(融点)+約200Kに溶解・加熱し、単ロール法(4000rpm)でリボンを作製する工程からなる。原材料としては、98%以上の高純度Zr、Al、Cu、Ni、Coが用いられる。
また、原材料を溶解・混合させ合金化する工程と、該合金インゴットを再溶融・圧縮する工程により非晶質合金板を作製する。X線回折分析工程により、合金板の鋳造性および該板の結晶相を確認する。
最後に光学部品を得る二次成形として、前述の非晶質合金板を金型熱間圧縮成形工程により光学部品形状にした後、形状精度(型形状からのずれ)を確認する。
図4は、本発明の光学部品の製造方法の一実施例を示す工程図である。図4では、金属鋳型への遠心鋳造により得られた合金から金型成形により反射光学素子を作成した。
まず、図4(a)において、チャンバー2の内部において、下金型8に被成形物である非晶質合金板7をセットした。上金型6、下金型8は、超硬合金、SiCや石英等のセラミックスやステンレス鋼、各種超合金、工具鋼、および高ガラス転移点を有する非晶質合金を用いることも可能である。金型表面には、窒化膜や炭化膜、貴金属膜等の金型耐久性を向上させるためのDLC膜等をコートしてもよい。加熱源はセラミックスヒーター5やカートリッジヒーター12等を図示したが、加熱方法はそれらに限らない。上金型6および下金型8の周囲には、ハロゲンヒーター3とリフレクター10が配置されている。4はチャンバー2内の雰囲気を置換する際に使用する真空排気口である。
図4(b)では、成形近傍を非酸化雰囲気とし、ガラス転移点Tg以上結晶化温度Tx以下の範囲に加熱後、プレス軸を軸方向に移動させることで、合金板7は圧縮成形される。9は成形中の非晶質合金板であるした状態を示す。圧縮成形後、Tgの−5K以下まで加圧・徐冷し、その後、圧力を開放し、光学製品13を取出す。図4(c)はその光学製品13を示す図である。
反射光学素子の構造強度を増す為に、光学製品には図5(a)に示すようにリブ13aを外周と内部に設けることができる。また、板厚やサイズによっては、リブは外周のみでも、また無くてもよい。側面には取付基準面13bを熱間成形時に同時に作り出すことも可能である。本実施例では矩形の板上に球面の光学面を有した製品例を示したが、合金板の形状や厚さ、光学面となる形状は特に限定されない。
上述の板製造の工程と、二次成形工程の手段は一例であり、他の手段によって得られた製品も含まれる。
また、光学部品は、バルク材から得るだけでなく、図5(b)に示すように、基材14に、非晶質合金からなる膜や箔15の二次成形による光学部品も含まれる。また、最終製品は光学部品であり、光学部品は高精度な型や種々の反射鏡、反射防止面等の製品が対象であるが、高耐食特性から鑑みて図5(c)に示すように、基材14に微細構造からなる膜16を成形するころで、微細光学部品や微細デバイス等の小型製品にも使用が可能である。
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明する。
アーク放電加熱にて純度99%以上のZr、Cu、Al、Co素材を混合・溶解しインゴットを作製し、高周波加熱により再溶融後、Arガスで石英製ノズルから溶湯を押出し、銅製ロールで急冷凝固させ、非晶質合金のリボン及び合金板(40×30×1mmt)を鋳造により作成した。なお、作成した非晶質合金は、アーク放電による溶解時に、不純物である酸素や低融点金属等は除去され、99.8%以上に精製されている。
このようにして、合金組成が、(Zr0.60Cu0.30Al0.10100−xCo(ただしX=0、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0at%)で構成されている非晶質合金を得た。X=0の時の非晶質合金を比較実験例1、X=0.5、1.0、1.5の時の非晶質合金をそれぞれ実験例1、2、3、X=2.0、2.5、3.0の時の非晶質合金をそれぞれ比較実験例2、3、4とし、表1に示した。
前記リボンを用いて示差走査熱量分析の吸熱発熱反応データより、ガラス転移点Tg、結晶化温度Tx、過冷却液体域ΔTx(ΔTx=Tx−Tg)を求めた結果を表1に示す。図1は、組成式(Zr0.60Cu0.30Al0.10100−xCoのCo添加濃度(0≦x(at%)≦3)と過冷却液体温度(ΔTx)の相関関係を示したグラフである。
図2(a)から(d)は、組成式(Zr0.60Cu0.30Al0.10100−xCoの非晶質合金のリボンの大気腐食によるTGA(熱重量分析)の結果を示したグラフである。図2(a)は、図1におけるCo添加濃度x=0、図2(b)はx=1.0、図2(c)はx=3、図2(d)はx=5の時の、示差熱熱量同時測定における、酸化による重量増加率のプロットを示した。
また、非晶質合金板を金型圧縮成形により光学部品を得る。得られた光学部品の形状精度(型形状からのずれ)を確認した。
表1には、上記の非晶質合金の組成、ガラス転移点Tg、結晶化温度Tx、過冷却液体域ΔTx、Tg点重量増加率、Tx点重量増加率、鋳造性、形状精度を示した。各値および評価結果は以下のようにして求めた。
(測定方法)
(1)ガラス転移点Tg
図2(a)から(d)に示したグラフの吸熱屈曲点により求めた。
(2)結晶化温度Tx
図2(a)から(d)に示したグラフの発熱屈曲点により求めた。
(3)Tg点重量増加率 示差走査熱量分析(+40K/minの加熱速度)により、合金の過冷却液体温度を確認する。また、示差熱熱量同時測定工程により、空気フロー雰囲気中で+10K/minの加熱速度でガラス転移点Tgにおける酸化による重量変化を確認する。(1)で求めたガラス転移点Tgの時の図2(a)から(d)に示したグラフの右軸のTg%の目盛から、Tg点重量増加率を算出した。
(4)Tx点重量増加率 示差走査熱量分析(+40K/minの加熱速度)により、合金の過冷却液体温度を確認する。また、示差熱熱量同時測定工程により、空気フロー雰囲気中で+10K/minの加熱速度で結晶化温度Txにおける酸化による重量変化を確認する。(2)で求めた結晶化温度Txの時の図2(a)から(d)に示したグラフの右軸のTg%の目盛から、Tx点重量増加率を算出した。
(5)鋳造性
前述の非晶質合金板40×30×1mmtの鋳造時の状態から求めた。
○:一連の工程が課題なく完了
×:何れかの工程にて課題発生
(6)形状精度
図4に示す熱間圧縮成形により二次成形を行なった時の形状精度(金型と成形品との差)を、非接触三次元表面形状測定装置により求めた。
Figure 0005688615
表1の実験例と比較実験例を比べると、Co元素の添加効果が総合的に顕著である範囲は0.5≦Co添加量(at%)≦1.5であることが認められた。
比較実施例1では、室温からガラス転移点までの重量増加量と結晶化温度までの重量増加率が、Co元素の微量添加した合金である実験例1から3、及び比較実験例2から4と比較して著しい大きいことが判った。また、比較実験例2から4は鋳造性が低く、溶湯の粘度が高くなり、薄い板や、大きな板の作成が困難であった。特に比較実験例3、4では、鋳造が不完全なため、形状精度を測定することができなかった。
アーク放電加熱にて純度99%以上のZr、Cu、Al、Co、Ni素材を混合・溶解しインゴットを作製し、高周波加熱により再溶融後、Arガスで石英製ノズルから溶湯を押出し、銅製ロールで急冷凝固させ、リボンを作成した。なお、作成した非晶質合金は、アーク放電による溶解時に、不純物である酸素や低融点金属等は除去され、99.8%以上に精製されている。
このようにして、合金組成が、(Zr0.55Cu0.30Al0.10Ni0.05100−xCo(ただしX=0、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0at%)で構成されている表2に示す非晶質合金を得た。X=0の時の非晶質合金を比較実験例5、X=0.5、1.0、1.5の時の非晶質合金をそれぞれ実験例4、5、6、X=2.0、2.5、3.0の時の非晶質合金をそれぞれ比較実験例6、7、8とし、表2に示した。
前記リボンを用いて示差走査熱量分析の吸熱発熱反応データより、ガラス転移点Tg、結晶化温度Tx、過冷却液体域ΔTx(ΔTx=Tx−Tg)を求めた結果を表2に示す。図3は、組成式(Zr0.55Cu0.30Al0.10Ni0.05100−xCoのCo添加濃度(0≦x(at%)≦3)と過冷却液体温度(ΔTx)の相関関係を示したグラフである。
また、表2には、上記の非晶質合金の組成、ガラス転移点Tg、結晶化温度Tx、過冷却液体域ΔTx、Tg点重量増加率、Tx点重量増加率、鋳造性、形状精度を示した。
Figure 0005688615
表2の実施例と比較例を比べると、Co元素の微量添加効果が総合的に顕著である範囲は、0.5≦Co添加量(at%)≦1.5であることが認められた。比較実施例5では、室温からガラス転移点までの重量増加量と結晶化温度までの重量増加率が、Co元素の微量添加した合金である実験例4から6、及び比較実験例6から8と比較して著しい大きいことが判った。また、比較実験例6から8は鋳造性が低く、溶湯の粘度が高くなり、薄い板や、大きな板の作成が困難であった。特に比較実験例3、4では、鋳造が不完全なため、形状精度を測定することができなかった。
本発明は、高い耐酸化性と、鋳造性、成形性に優れたZrを主成分とする非晶質合金を提供することができるので、上記の非晶質合金を用いた光学部品に利用することができる。
1 プレス軸
2 チャンバー
3 ハロゲンヒーター
4 真空排気口
5 セラミックスヒーター
6 上金型
7 非晶質合金板
8 下金型
9 成形中の金属板
10 リフレクター
11 胴型
12 カートリッジヒーター
13 光学製品

Claims (6)

  1. 組成式ZrCo(MはAl、Cu、Niから選ばれる2種類以上の元素であり、a、b、xは原子組成百分率(at%)を示し、54.2≦a≦59.7、39.5≦b≦44.78、0.5≦x≦1.5の関係を満足し、且つa>bであり、a+b+xの合計は99.8以上である。)からなることを特徴とする非晶質合金。
  2. 前記非晶質合金の結晶化温度をTx、ガラス転移点をTgとすると、過冷却液体域ΔTx(ΔTx=結晶化温度Tx−ガラス転移点Tg)の温度範囲が60K以上であることを特徴とする請求項1に記載の非晶質合金。
  3. 酸素存在下において室温からガラス転移点Tgまで加熱した時の前記非晶質合金の重量増加率が、Zr(MはAl、Cu、Niから選ばれる2種類以上の元素であり、a、bは原子組成百分率(at%)を示し、40≦a≦75、25≦b≦50の関係を満足し、且つa>bである。)の重量増加率の1/2倍以下であること特徴とする請求項1又は2に記載の非晶質合金。
  4. 請求項1乃至のいずれか一項に記載の非晶質合金を用いた光学部品。
  5. 前記光学部品の非晶質相の体積率が、少なくとも80%以上を占めていることを特徴とする請求項に記載の光学部品。
  6. 請求項1乃至のいずれか一項に記載の非晶質合金を、過冷却液体域ΔTx(ΔTx=結晶化温度Tx−ガラス転移点Tg)の温度範囲に加熱し、型成形により加圧して成形した後、圧力を保持した状態で少なくともガラス転移点Tg以下まで冷却する工程を有することを特徴とする光学部品の製造方法。
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